(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-11-29
(54)【発明の名称】生体試料処理システム及び生体試料処理システムのためのマイクロ流体カートリッジ
(51)【国際特許分類】
G02B 21/00 20060101AFI20221121BHJP
G01N 37/00 20060101ALI20221121BHJP
G01N 35/08 20060101ALI20221121BHJP
G01N 35/04 20060101ALI20221121BHJP
【FI】
G02B21/00
G01N37/00 101
G01N35/08 E
G01N35/04 E
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022519302
(86)(22)【出願日】2020-09-25
(85)【翻訳文提出日】2022-05-24
(86)【国際出願番号】 EP2020076978
(87)【国際公開番号】W WO2021058782
(87)【国際公開日】2021-04-01
(32)【優先日】2019-09-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】518281339
【氏名又は名称】ルナフォア・テクノロジーズ・エスアー
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ピエール・ジョリス
(72)【発明者】
【氏名】デニズ・エログル
(72)【発明者】
【氏名】ディエゴ・デュプイ
(72)【発明者】
【氏名】ベンジャミン・ペルツ
(72)【発明者】
【氏名】マルコ・アマン
【テーマコード(参考)】
2G058
2H052
【Fターム(参考)】
2G058BB02
2G058BB09
2G058CC05
2G058CC14
2G058CC19
2G058EA12
2G058GA02
2H052AA13
2H052AB02
2H052AC04
2H052AC05
2H052AE13
(57)【要約】
生体試料処理システムは、デジタル画像処理システムと、少なくとも1つのレンズ(14)を含む少なくとも1つの顕微鏡と、を備えるイメージングユニット(2)と、支持体(17)と、支持体(17)を移動させるための変位機構と、を含むハンドリングプラットフォーム(5)を備える試料処理ステーション(3)と、ハンドリングプラットフォーム(5)に取り付けられた試料処理ユニット(7)と、を備える。試料処理ユニット(7)は、組織スライドホルダ(11)であって、組織スライド(34)を、組織スライド(34)上に固定された生体試料(36)と共に、組織スライドホルダ(11)上に取り付けるための組織スライドホルダ(11)と、マイクロ流体カートリッジホルダ(9)であって、マイクロ流体カートリッジ(4)をマイクロ流体カートリッジホルダ(9)上に取り付けるためのマイクロ流体カートリッジホルダ(9)と、を備える。組織スライドホルダ(11)は、マイクロ流体カートリッジホルダ(9)に結合部(13)を介して結合され、結合部(13)は、開位置で、マイクロ流体カートリッジ及び組織支持体が、試料処理ユニットに取り付け、及び試料処理ユニットから取り外されることと、閉位置で、組織支持体(34)が、マイクロ流体カートリッジ(4)とシール接触することと、を可能にする。試料処理ステーションは、ハンドリングプラットフォーム(5)上に取り付けられる複数の前記試料処理ユニットを備え、複数の試料処理ユニットは、組織スライド、マイクロ流体カートリッジそれぞれの取付け、又は組織スライド、マイクロ流体カートリッジそれぞれの取外しを可能にする位置から、マイクロ流体カートリッジホルダ(9)の観察窓が少なくとも一つの前記顕微鏡のレンズと位置合わせして位置付けられる位置まで、移動可能である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
デジタル画像処理システムと、少なくとも1つのレンズ(14)を含む少なくとも1つの顕微鏡と、を備えるイメージングユニット(2)と、
支持体(17)と、前記支持体(17)を移動させるための変位機構と、を含むハンドリングプラットフォーム(5)を備える試料処理ステーション(3)と、
前記ハンドリングプラットフォーム(5)に取り付けられた試料処理ユニット(7)と、
を備える生体試料処理システムであって、
前記試料処理ユニット(7)は、組織スライドホルダ(11)であって、組織スライド(34)であって生体試料(36)が前記組織スライド(34)上に固定されている組織スライド(34)を前記組織スライドホルダ(11)上に取り付けるための組織スライドホルダ(11)と、マイクロ流体カートリッジホルダ(9)であって、マイクロ流体カートリッジ(4)を前記マイクロ流体カートリッジホルダ(9)上に取り付けるためのマイクロ流体カートリッジホルダ(9)と、を備え、
前記組織スライドホルダ(11)は、前記マイクロ流体カートリッジホルダ(9)に結合部(13)を介して結合され、それにより、開位置で、前記マイクロ流体カートリッジ及び前記組織支持体を前記試料処理ユニットに取り付け、及び前記試料処理ユニットから取り外すことと、閉位置で、前記組織支持体(34)が前記マイクロ流体カートリッジ(4)とシール接触することと、を可能にし、
前記試料処理ステーションは、前記ハンドリングプラットフォーム(5)上に取り付けられた複数の前記試料処理ユニットを備え、複数の前記試料処理ユニットは、前記組織スライド及び前記マイクロ流体カートリッジそれぞれの取付け、又は前記組織スライド及び前記マイクロ流体カートリッジそれぞれの取外しを可能にする位置から、前記マイクロ流体カートリッジホルダ(9)の観察窓(19)が少なくとも一つの前記顕微鏡の前記レンズと位置合わせして位置付けられる位置まで、移動可能であることを特徴とする、生体試料処理システム。
【請求項2】
前記マイクロ流体カートリッジホルダの前記観察窓(19)が、凹部(43)を備え、前記凹部(43)内には、前記レンズ(14)が前記イメージング位置で部分的に挿入される、請求項1に記載の生体試料処理システム。
【請求項3】
前記試料処理ステーション(3)が、少なくとも3つ、好ましくは4つ以上の前記試料処理ユニット(7)を備える、請求項1又は2に記載の生体試料処理システム。
【請求項4】
前記ハンドリングプラットフォーム(5)が、前記支持体(17)を複数の位置間で回転させるための回転変位機構を備える、請求項1から3のいずれか1項に記載の生体試料処理システム。
【請求項5】
前記試料処理ユニット(7)のそれぞれが、少なくとも1つの試薬供給管及び少なくとも1つの試薬流出管に結合される、請求項1から4のいずれか1項に記載の生体試料処理システム。
【請求項6】
前記試料処理ユニットのそれぞれが、ロック機構(16)と、閉位置にある前記マイクロ流体カートリッジ(4)に対して前記組織支持体(34)に圧力を加えるように構成された圧力アクチュエータ(18)と、を含むクランプ機構(15)を備え、前記クランプ機構が、圧縮ガスピストンを備える、請求項1から5のいずれか1項に記載の生体試料処理システム。
【請求項7】
前記試料処理ユニットのそれぞれが、前記組織スライドホルダ(11)に結合された冷却・加熱システムを含む温度制御システムを備える、請求項1から6のいずれか1項に記載の生体試料処理システム。
【請求項8】
前記マイクロ流体カートリッジホルダ(9)及び前記組織スライドホルダ(11)が、ヒンジ結合部(13)を介して共に枢動可能に結合される、請求項1から7のいずれか1項に記載の生体試料処理システム。
【請求項9】
前記マイクロ流体カートリッジホルダが、移動可能な蓋の形態であり、前記組織スライドホルダ(11)が、前記ハンドリングプラットフォーム(5)の前記支持体(17)に静的に固定されたベースの形態である、請求項1から8のいずれか1項に記載の生体試料処理システム。
【請求項10】
基板(6)と、
前記基板(6)内に形成された流体流動ネットワーク(8)と、
前記基板に取り付けられたシール(10)と、
前記基板内に形成された反応チャンバ(29)の空洞部(29a)と、
観察窓(12)と、
を備える、生体試料処理システム(1)のためのマイクロ流体カートリッジであって、
前記マイクロ流体カートリッジは、組織支持体(34)に当接して設置されて、前記空洞部を覆い前記反応チャンバ(29)の側部を構成するように構成され、そのため、前記反応チャンバは、前記組織支持体と前記マイクロ流体カートリッジとの間に形成され、
前記流体流動ネットワークは、流入部(26)と、流入チャネルネットワーク(27)と、複数のチャンバ入口孔(28)と、を備え、
前記流体流動ネットワークは、流出部(32)と、流出チャネルネットワーク(31)と、複数のチャンバ出口孔(30)と、をさらに備え、
前記チャンバ入口孔及び前記チャンバ出口孔は、前記反応チャンバを通過する試薬の流動のために前記反応チャンバの前記空洞部の両側に配置され、
前記シール(10)は、前記反応チャンバ(29)の前記空洞部と前記チャンバ入口孔(28)及び前記チャンバ出口孔(30)とを囲み、
前記観察窓(12)は、厚さ1mm未満且つ前記基板(6)の外表面に関して前記観察窓(12)の前記基板に形成された凹部内に外表面を有する、透明カバーを備え、前記観察窓(12)は、顕微鏡のレンズ(14)が、前記観察窓の前記凹部に部分的に挿入可能であるように構成されることを特徴とするマイクロ流体カートリッジ。
【請求項11】
前記透明カバー(33)が、ガラス又はサファイアで作られる、請求項10に記載のマイクロ流体カートリッジ。
【請求項12】
前記透明カバーが、0.5mm未満の厚さ、好ましくは0.3mm未満の厚さを有する、請求項1から11のいずれか1項に記載のマイクロ流体カートリッジ。
【請求項13】
前記組織支持体(34)が設置され且つ前記反応チャンバ(29)に対して押圧されたときに、前記反応チャンバ(29)の高さを規定する、スペーサ要素をさらに備える、請求項1から12のいずれか1項に記載のマイクロ流体カートリッジ。
【請求項14】
前記スペーサ要素が、前記反応チャンバに対して前記シールの外側に配置される、請求項12又は13に記載のマイクロ流体カートリッジ。
【請求項15】
複数の請求項10から14のいずれか1項に記載のマイクロ流体カートリッジをさらに含む、請求項1から9のいずれか1項に記載の生体試料処理システム(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、顕微鏡を含むイメージングシステムを使用して、支持体に固定された組織試料を分析するための生体試料処理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
組織試料分析のための従来の支持体は、典型的には、支持体に組織試料を固定するスライドガラス又はカバーガラスを含み、スライドガラス又はカバーガラスは、コーティングされないものであっても、ポリリジンコートスライド又はゲルコートスライドなどのコーティングされたものであってもよい。支持体は、しかしながら、他の材料で製造されたものであってもよい。
【0003】
試料は、全組織試料、組織タイプの外科生検若しくは針生検、血液試料又は細胞塗抹標本を含む。組織試料は、薄い切片へとカットされた後に支持体に乗せられた組織、支持体に塗抹された組織試料、支持体に滴下された又は他の方法で乗せられた流体として提供された組織試料として提供され得る。組織試料は、例えば、乳房組織、肺組織、扁桃組織、大腸組織、リンパ節組織、前立腺組織、腸組織、肝臓組織、腎臓組織などの試料であり得る。分析のための試料は、例えば、乳癌、肺癌、前立腺癌、卵巣癌、大腸癌、及びメラノーマなどの癌からの生検を含む腫瘍試料であり得る。本発明は、細菌などの微生物性の試料又は組織培養などの生体組織の試料にも適用され得る。
【0004】
分析のための組織試料の固定の一般的な形態は、ホルマリン固定パラフィン包埋(FFPE)試料である。
【0005】
生体組織試料の分析は、免疫組織化学法(IHC)及び免疫蛍光法を含む。
【0006】
IHCは、組織サンプル内の細胞によって発現される可能性のある固有のバイオマーカー(抗原など)の存在を検出するために、抗体などの特定のプローブ分子の使用を要する手法である。IHCは、例えば癌の種類などの特定の疾患を診断するため、又は、疾患の予後と新しいバイオマーカーの発現との相関関係を調査するために、臨床及び研究の環境の双方で広く使用されている。IHCの主な適用領域は癌の診断であるが、ウイルスなどの病原体の検出を含む他の適用領域を有し、アルツハイマーなどの他の疾患の診断を支援する。
【0007】
免疫蛍光法は、特に、単一の試料で複数の分子測定を観察することを望む場合の適用のための、古典的な免疫組織化学法に代わる手法である。しかしながら、マルチプレキシティ(multiplexity)(すなわち、同時分子読取数)が低くなるといったいくらかの制限を有する。免疫蛍光法の主要な制限は、蛍光体シグナル間の混信である。検出分子の放射スペクトル同士の重複は、各シグナルの特異性を低下させ、従って、最大でも4種類~5種類の同時読取しか可能にしない。別の制限は、各分子ターゲットが異なる種から派生する一次抗体を要求するという事実に由来し、これはマルチプレキシティを厳しく制限する。これは、サンドイッチアッセイの代わりに、抗体の直接標識が使用されると克服され得るが、これは増幅の欠如のために出力信号がはるかに低くなり、感度の低下を導く。
【0008】
マルチサイクルマルチプレックス解析(Multi-cycle multiplexing)は、古典的なマルチプレックス解析法のある程度の制限を克服し得る手法である。この手法は、各染色及びイメージングサイクル後に、ターゲット抗体の溶出又は標識分子の不活性化を要する。しかし、組織切片のための従来のマルチサイクル染色及びイメージング技術に関連するいくらかの欠点がある。第1の欠点は、且つ(通常数時間に及ぶ)長いインキュベーション及び洗浄サイクルに由来する非常に長いターンアラウンドタイムであり、これは、処理能力を制限し且つ時間の経過とともに試料の変質を引き起こし得る。さらに、繰り返されるイメージングカバーガラスの取付け/取外しステップは、組織の完全性をさらに低下させる。サイクル中の手動での試料ハンドリングもまた、再現性と信頼性とを低下させる。別の考慮事項は、イメージングされる試料領域及びスライド全体のスキャンの精度である。スライド全体又は広い関心領域が高倍率の対物レンズでイメージングされるときに、オーバーレイ/ステッチングソフトウェアソリューションが、画像を取得するために使用される。各染色サイクルの後に対物レンズの下で試料を取り外して再挿入することは、異なるマーカーに対応する画像間の位置合わせエラーをもたらし得、マルチプレックス解析の精度を低下させる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の目的は、支持体に固定された組織試料をイメージング及び分析するための生体試料処理システムを提供することであり、生体試料処理システムは、迅速且つ効率的であり、広い領域にわたる組織試料の正確なイメージングを可能にする。
【0010】
汎用的であり、異なる用途に使用又は適応され得る生体試料処理システムを提供することが、有利である。
【0011】
試薬のシーケンスで、迅速で、正確且つ信頼性の高い結果を生成する生体試料の逐次マルチプレックス処理を行うことができる生体試料処理システムを提供することが、有利である。
【0012】
本発明の別の目的は、支持体に固定された組織試料をイメージング及び分析するための生体試料処理システムのためのマイクロ流体カートリッジを提供することであり、マイクロ流体カートリッジは、広い領域にわたって迅速で、効率的且つ正確な組織試料のイメージングを可能にする。
【0013】
汎用的であり、異なる用途に使用又は適応され得るマイクロ流体カートリッジを提供することが、有利である。
【0014】
コンパクトで、経済的、且つ設置及び交換が容易な、マイクロ流体カートリッジを提供することが、有利である。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明の目的は、請求項1に記載の生体試料処理システムを提供することによって達成された。
【0016】
本発明の目的は、請求項10に記載のマイクロ流体カートリッジを提供することによって達成された。
【0017】
本明細書で開示される生体試料処理システムは:デジタル画像処理システムと、少なくとも1つのレンズを含む少なくとも1つの顕微鏡と、を備えるイメージングユニットと;支持体と、支持体を移動させるための変位機構と、を含むハンドリングプラットフォームを備える試料処理ステーションと;ハンドリングプラットフォームに取り付けられた試料処理ユニットと、を備える。試料処理ユニットは、組織スライドホルダであって、組織スライドであって生体試料(36)が組織スライド上に固定されている組織スライド(34)を組織スライドホルダ上に取り付けるための組織スライドホルダと、マイクロ流体カートリッジホルダであって、マイクロ流体カートリッジをマイクロ流体カートリッジホルダ上に取り付けるためのマイクロ流体カートリッジホルダと、を備える。組織スライドホルダは、マイクロ流体カートリッジホルダに結合部を介して結合され、それにより、開位置で、マイクロ流体カートリッジ及び組織支持体を、試料処理ユニットに取り付け、及び試料処理ユニットから取り外すことと、閉位置で、組織支持体が、マイクロ流体カートリッジとシール接触することと、を可能にする。
【0018】
試料処理ステーションは、ハンドリングプラットフォーム上に取り付けられた複数の前記試料処理ユニットを備え、複数の前記試料処理ユニットは、組織スライド及びマイクロ流体カートリッジそれぞれの取付け、又は組織スライド及びマイクロ流体カートリッジそれぞれの取外しを可能にする位置から、マイクロ流体カートリッジホルダの観察窓が少なくとも一つの前記顕微鏡のレンズと位置合わせして位置付けられる位置まで、移動可能である。
【0019】
有利な実施形態では、マイクロ流体カートリッジホルダ窓が、凹部を備え、凹部内には、レンズがイメージング位置で部分的に挿入される。
【0020】
有利な実施形態では、試料処理ステーションが、少なくとも3つ、好ましくは4つ以上の試料処理ユニットを備える。
【0021】
有利な実施形態では、ハンドリングプラットフォームが、支持体を複数の位置間で回転させるための回転変位機構を備える。
【0022】
有利な実施形態では、試料処理ユニットのそれぞれが、少なくとも1つの試薬供給管及び少なくとも1つの試薬流出管に結合される。
【0023】
有利な実施形態では、試料処理ユニットのそれぞれが、ロック機構と、閉位置にあるマイクロ流体カートリッジに対して組織支持体に圧力を加えるように構成された圧力アクチュエータと、を含むクランプ機構を備え、クランプ機構が、圧縮ガスピストンを備える。
【0024】
有利な実施形態では、試料処理ユニットのそれぞれが、組織スライドホルダに結合された冷却・加熱システムを含む温度制御システムを備える。
【0025】
有利な実施形態では、マイクロ流体カートリッジホルダ及び組織ホルダが、ヒンジ結合部を介して共に枢動可能に結合される。
【0026】
有利な実施形態では、マイクロ流体カートリッジホルダが、移動可能な蓋の形態であり、組織スライドホルダが、ハンドリングプラットフォームの支持体に静的に固定されたベースの形態である。
【0027】
有利な実施形態では、マイクロ流体カートリッジホルダの観察窓が、面取りされた凹部を備える。
【0028】
また、本明細書では、生体試料処理システムのためのマイクロ流体カートリッジも開示されており、マイクロ流体カートリッジは、基板と、基板内に形成された流体流動ネットワークと、基板に取り付けられたシールと、基板内に形成された反応チャンバの空洞部と、観察窓と、を備え、マイクロ流体カートリッジは、組織支持体に当接して設置されて、前記空洞部を覆い反応チャンバの側部を構成するように構成され、そのため、反応チャンバは、組織支持体とマイクロ流体カートリッジとの間に形成される。流体流動ネットワークは、流入部と、流入チャネルネットワークと、複数のチャンバ入口孔と、を備える。流体流動ネットワークは、流出部と、流出チャネルネットワークと、複数のチャンバ出口孔と、をさらに備える。チャンバ入口孔及びチャンバ出口孔は、反応チャンバを通過する試薬の流動のために反応チャンバの空洞部の両側に配置される。シールは、反応チャンバの空洞部とチャンバ入口孔及びチャンバ出口孔とを囲む。
【0029】
観察窓は、厚さ1mm未満且つ基板の外表面に関して観察窓の基板に形成された凹部内に外表面を有する、透明カバーを備え、前記観察窓は、顕微鏡のレンズが、前記観察窓凹部に部分的に挿入可能であるように構成される。
【0030】
有利な実施形態では、透明カバーが、ガラス又はサファイアで作られる。
【0031】
有利な実施形態では、透明カバーが、0.5mm未満の厚さ、好ましくは0.3mm未満の厚さを有する。
【0032】
有利な実施形態では、カートリッジが、組織支持体が設置され且つ反応チャンバに対して押圧されたときに、反応チャンバの高さを規定する、スペーサ要素をさらに備える。
【0033】
スペーサ要素は、連続した又は部分的に連続した突起の、又は好ましくは、間隔を空けられた離散的な突起の形態であり得る。
【0034】
有利な実施形態では、スペーサ要素が、反応チャンバに対してシールの外側に配置される。
【0035】
有利な実施形態では、シールが、基板の溝に取り付けられる。
【0036】
本発明のさらなる目的及び有利な特徴は、特許請求の範囲、詳細な説明及び添付の図面から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【
図1】本発明の実施形態による生体試料処理システムの概略斜視図である。
【
図2】本発明の実施形態による生体試料処理システムの試料処理ステーションの主要構成要素の概略斜視図である。
【
図3a】開位置にある、本発明の実施形態による試料処理ステーションの試料処理ユニットの斜視図である。
【
図3b】閉位置にある、本発明の実施形態による試料処理ステーションの試料処理ユニットの斜視図である。
【
図3c】閉位置にある、本発明の実施形態による試料処理ステーションの試料処理ユニットの断面における斜視図である。
【
図4a】本発明の実施形態による生体試料処理システムのマイクロ流体カートリッジの頂面側斜視図である。
【
図4b】本発明の実施形態による生体試料処理システムのマイクロ流体カートリッジの底面側斜視図である。
【
図5】本発明の実施形態による生体試料処理システムで試料スライドに取り付けられたマイクロ流体カートリッジの概略拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0038】
図面を参照すると、
本発明の実施形態による生体試料処理システムは、イメージングユニット2と、試料処理ステーション3と、試料処理ステーション3に取り付けられた複数のマイクロ流体カートリッジ4と、を備える。生体試料処理システム1は、支持体34に固定され得る生体組織試料36を分析するためのものである。
【0039】
支持体34は、例えばガラスで作られ3cm×2cmの表面領域及び約1mmの厚さの典型的な寸法を有する、従来の顕微鏡スライドの形態であり得る。このような顕微鏡スライドは、手動で又は自動化されたイメージングシステムによって試料を分析するための顕微鏡対物レンズの下への設置のために、組織試料を固定するために広く使用される。しかしながら、従来のものであるかに関わらず他の支持体もまた、本発明の実施形態によるイメージングシステムでの分析のために組織試料を固定するために使用され得る。好ましくは、支持体は試料の下に光源を設けるために透明であるが、本発明の範囲内では、支持体は不透明であり得、イメージングのための光は、試料の観察側から提供されてもよい。
【0040】
様々な組織試料が分析され得、その例は上記の本明細書の背景技術に与えられる。
【0041】
本発明の有利な特徴から利益を得る用途は、分析の直前に採取され、組織の迅速な分析が要求される生検からの組織試料の分析を含む。これは、例えば、癌の可能性のある生検中に発生し得る。特に、結果の迅速な生成が非常に有利な用途は、癌組織の外科的除去中に、癌細胞を含む組織の全てが完全に除去されたことを確認するためである。従って、分析は、手術中及び外科手術を完了する前に行われ得る。本発明は、組織試料処理が、1時間未満、好ましくは45分未満、場合によっては30分未満で行われることを可能にする。
【0042】
しかしながら、本発明の実施形態による生体処理システムは、結果のこのような迅速な出力を要求しないが、組織試料の迅速で、信頼性が高く且つ効率的な分析から利益を得る、他の用途で使用され得る。非常に望ましい利点の1つは、生検プロセスが可能な限り低侵襲であることを保証するために、分析のために必要な組織の量を減少させることである。
【0043】
イメージングユニット2は、それぞれが少なくとも1つのレンズ14を有する1つ以上の顕微鏡と、画像処理システム(内部の詳細は明示的に図示されていない)であって、顕微鏡レンズを通して観察された画像をキャプチャ及び処理するための、画像キャプチャセンサ並びに関連付けられた電子回路及びソフトウェアを備える画像処理システムと、を備える。画像のキャプチャ、処理及び保存のためのイメージングシステムは、それ自体よく知られており、本明細書でさらに説明される必要はない。
【0044】
生体試料処理システムは、試薬、緩衝液、及び洗浄液を試料処理ステーションに供給するための、特に、試料の分析のためにマイクロ流体カートリッジ4の反応チャンバ29を通過する流動のための、試薬保存・送達モジュール(図示されず)をさらに含み得る。
【0045】
試料処理ステーション3は、ハンドリングプラットフォーム5と、ハンドリングプラットフォーム5の支持体17上に取り付けられた複数の試料処理ユニット7と、を備える。ハンドリングプラットフォーム5は、顕微鏡のレンズ14の下方の位置から、少なくとも試料処理ユニット7からの組織スライド34のロード及びアンロード位置までの間で、試料処理ユニット7を移動させるために、支持体17及び/又は支持体上の試料処理ユニット7を移動させるための変位機構(図示されず)をさらに備える。
【0046】
実施形態において、変位機構は、例えば、中心軸周りの支持体の回転のために支持体17の下方に配置された回転結合部を備え得る。図示された実施形態では、複数(ここでは4つが示される)の試料処理ユニット7は、ロード位置と観察位置と他の任意の位置(例えば待機位置)との間で、中心軸A周りに回転される。
【0047】
別の実施形態(図示されず)において、試料処理ステーションは、観察位置とロード位置との間の並進のために変位機構のスライド上に取り付けられた例えば2つのみの試料処理ユニットを備え得る。
【0048】
しかしながら、変位の回転軸及び/又は並進軸の様々な組合せが、本発明の範囲内の変位機構に実装され得る。
【0049】
各試料処理ユニット7は、マイクロ流体カートリッジホルダ9と、組織ホルダ11と、組織スライド34の取付け及び取外しのために組織スライドホルダ11に対するカートリッジホルダ9の移動を可能にする、マイクロ流体カートリッジホルダ9と組織ホルダ11との間の結合部13と、を備える。図示された実施形態では、マイクロ流体カートリッジホルダは、結合部13を形成するヒンジを介して組織スライドホルダ11を形成するベース部に回転可能に結合された蓋の形態で設けられる。
【0050】
しかしながら、本発明の範囲内で、ベース部としてのマイクロ流体カートリッジホルダと、ベース部に移動可能に取り付けられた蓋としての組織スライドホルダと、を有することも想定され得る。この構成は、例えば、倒立顕微鏡法と組合せて使用され得る。
【0051】
ベース部は、試料処理ステーション3のハンドリングプラットフォーム5に固定的に取り付けられる。
【0052】
結合部13は、ピボットヒンジの代わりの他の形態で、例えば、マイクロ流体カートリッジホルダが、並進運動又は並進と回転との複合運動で、組織スライドホルダ11を保持するベース部から離れることを可能にするリンクアーム又はスライドによって、設けられ得る。しかしながら、ピボットヒンジの形態の結合部13は、簡素且つ堅牢であり、好ましい実施形態に対応する。
【0053】
マイクロ流体カートリッジホルダ9は、有利には、顕微鏡レンズがマイクロ流体カートリッジの観察窓12の非常に近くに位置付けられ得るように、凹部43を有する観察窓19を備え、凹部43は、顕微鏡のレンズ14を少なくとも部分的に凹部43内に受けるように構成される。従って、非常に大きな開口数を有するレンズが、観察中の試料の画像キャプチャの質を向上させるために使用され得る。
【0054】
試料処理ユニット7は、さらに有利には、ロック機構16及び圧力アクチュエータ18を含むクランプ機構15を備える。圧力アクチュエータ18は、マイクロ流体カートリッジ4に対して組織スライド34に圧力を加える、例えば圧縮空気ピストン37などの、圧縮流体によって駆動されるピストンを備え得る。この圧力は、マイクロ流体カートリッジ4の基板6と組織スライド34との間に配置されたシール10が、反応チャンバ内の試薬及び他の流体の注入中における反応チャンバ29内の圧力に耐えるように気密に閉鎖されることを保証する。圧力アクチュエータによって加えられる圧力は、反応チャンバ内で到達する最大圧力がシール10に漏れを引き起こさないことを保証する。
【0055】
ロック機構16は、例えば、蓋又はベース部の他方のロックフランジ又はタブの対応する孔に挿入される、1つ以上のロックピンの形態であり得る。しかしながら、本発明の範囲内で、ロック機構は、例えば、蓋又はベース部分の他方の対応するキャッチ肩部と係合するキャッチ肩部を有する枢動可能アームなどの他の構成を有し得る。
【0056】
マイクロ流体カートリッジホルダ又は組織スライドホルダの可動部分は、手動で作動され得、又は電動作動機構(図示されず)を含み得、同様に、ロック機構は、手動で操作され得、又は可動部分及び固定部分の自動開閉のための電動作動システムを含み得る。
【0057】
試料処理ユニット7は、外部試薬源からマイクロ流体カートリッジ4への試薬及び他の流体の流動を導くための試薬流体流動システムをさらに備える。従って、試薬流体流動システムは、試薬の流入及び流出のための試薬チューブなどの試薬導管のための流入結合部と、マイクロ流体カートリッジ4上の流体流動ネットワーク8に結合するシール要素に囲まれた境界面と、を備える。
【0058】
クランプ機構15は、組織スライド34をマイクロ流体カートリッジ4に対して押圧するときに、マイクロ流体カートリッジを組織スライドホルダ11に対して押し、マイクロ流体カートリッジの流入部及び流出部とマイクロ流体カートリッジホルダ9内の試薬流体流動システムの対応する流出部及び流入部との間の境界面で堅いシールを確保するように機能し得る。
【0059】
試料処理ユニットは、特にマルチプレックス解析の目的で、組織試料処理中において反応チャンバ29内の試薬を加熱又は冷却することを考慮して、組織スライド34の冷却及び/又は加熱のための温度制御システム24をさらに備え得る。温度制御システム24は、有利には、組織スライドホルダ11を形成するベース部内又はベース部の下に位置付けられたペルチェチップ31を備え得る。変形例では、温度制御システムは、試料処理ユニット内の試薬流体流動システムの周りを加熱及び/又は冷却するために、特に反応チャンバ29に入る試薬を予熱又は予冷するために位置付けられた加熱要素及び/又は冷却要素をさらに備え得る。
【0060】
本発明の実施形態によるマイクロ流体カートリッジは、基板6と、基板6内に形成された流体流動ネットワーク8と、シール10と、観察窓12と、を備える。流体流動ネットワーク8は、試料処理ユニット7のベース部内の試薬流体流動システムに結合するための流入部26と、反応チャンバ29からの試薬の排出のための流出部32と、チャンバ入口孔28及びチャンバ出口孔30にそれぞれ接続された流入チャネルネットワーク27及び流出チャネルネットワーク31と、を備える。流体流動ネットワークは、組織支持体34上に固定された生体試料36への試薬の実質的な移流輸送を確実にすることが意図されて、反応チャンバ29を通過する試薬の実質的に均一な流動を提供するように構成される。
【0061】
シール10は、チャンバ入口孔28及びチャンバ出口孔30並びに反応チャンバ29を囲む基板6の溝に取り付けられる。反応チャンバ29は、組織支持体34と、基板6と組織支持体34との間に挟まれたシール10によって囲まれた観察窓12と、の間に形成される。
【0062】
有利には、マイクロ流体カートリッジ4は、例えば有利には、好ましくはシール10の外側に配置された連続リム又は複数の離散的な突起の形態にあるスペーサ要素40をさらに備え得る。スペーサ要素は、圧力アクチュエータ18によって与えられるシール10への圧縮力に依存しない定義された所定の高さに反応チャンバ29の高さを維持することを保証する。圧力アクチュエータ及びクランプ機構15の力は、スペーサ要素40が組織支持体34と接触するまでシール10を圧縮するのに十分であるように調整され、これによって、過剰な圧力がシールをさらに圧縮しない、又は剛性のスペーサ要素によって反応チャンバの高さを変化させない。スペーサ要素はまた、有利には、観察窓12が組織支持体34と平行な関係のままであり、組織支持体34に対して傾かないことを保証する。
【0063】
観察窓12は、1mm未満、好ましくは0.5mm未満、例えば約0.2mm(例えば0.17mm)の厚さを有する透明カバー33を備える。透明カバー33は、有利には、ガラス又はサファイアで作られ得る。透明カバー33は、基板6と別個に形成され得、接着剤による接着、溶接、又は基板6の材料によるオーバーモールドによって、基板6と組立てられ得る。観察窓12は、基板6の外表面に関する凹部を備え、後述するように、凹部は、顕微鏡のレンズが、透明カバー33の表面及び透明カバー33の下の組織試料に非常に近くなるように前記観察窓凹部に部分的に挿入されることを可能にするように構成される。
【0064】
基板6は、有利には、成形ポリマー、例えば、透明又は不透明であり得るCOP、COC、PC、PSU及びPEEKのなどの射出成形ポリマーで形成され得る。
【0065】
反応チャンバ高さが0.05mmから0.5mmの範囲であることを考えると、組織試料から顕微鏡のレンズまでの距離が典型的には1mm未満であるように、薄い透明カバー33と観察窓12の凹部とは、顕微鏡レンズ14の観察面41が反応チャンバ29から1mm未満、特に0.5mm未満の距離に設置され得る。スペーサ要素の高さは、有利には、反応チャンバを通過する試薬の最適な流動と組織支持体への試薬の移流輸送とを有するために、0.05mmから0.3mmの範囲、好ましくは0.05mmから0.2mmの範囲である。
【0066】
従って、連続したイメージングステップを通して組織試料の広い表面領域、例えば80mm2から120mm2の範囲、典型的には80mm2から100mm2の範囲をキャプチャするために、高開口数の顕微鏡レンズが使用され得、従って、50mm2を超える組織試料の切片の良好な画像キャプチャ及び分析を可能にする。有利にはガラスなどの材料で作られ得る非常に薄い透明カバーは、高性能な試料分析のために、顕微鏡のレンズ14によってキャプチャされた画像上のアーティファクトや収差を低減する。
【0067】
ハンドリングプラットフォームに取り付けられた複数の試料処理ユニットは、有利には、特にマルチプレックス解析中に、試料の分析の迅速性を高めるために、組織試料を試薬で処理しながら、同時に、顕微鏡の下に位置付けられた他の試料の画像キャプチャ及び分析を行うことを可能にする。
【0068】
例えば、複数の試料処理ユニット7の各々は、マルチプレックスプロセスの異なるステージにある、換言すれば異なる試薬を有するものであり得、試料処理ユニットは、イメージングユニットのレンズまで逐次前進させられる。また、組織試料36のロード及びアンロードは、ある試料処理ユニット7上で行われ得る一方、他の試料処理ユニット7は、イメージングユニット2によって分析されている、又は後の分析のために試薬を反応チャンバに注入させている。
【0069】
複数の試料処理ユニットは、共通ハンドリングプラットフォーム5上に、好ましくは3つ以上の試料処理ユニット、好ましくは4つ以上の試料処理ユニットを備える。
【0070】
生検組織試料の分析のために、様々な異なる試薬及び分析が組織試料に同時に行われ得るように、同じ患者からの組織の試料は、様々な対応する試料処理ユニット7に設置された複数の組織スライド上に分配され得ることが留意され得る。代替的には、診断の信頼性を高めるために比較され得る複数の検査結果を提供するために、同じ試薬及び分析が行われ得る。代替的には、同じ患者又は異なる患者からの異なる組織試料の分析を行うために、複数の試料ステーションもまた使用され得る。
【0071】
使用される参照符号のリスト
生体試料処理システム 1
イメージングユニット 2
顕微鏡
レンズ 14
観察面 41
画像処理システム
試料処理ステーション 3
ハンドリングプラットフォーム 5
支持体 17
変位機構(図示されず)
試料処理ユニット 7
マイクロ流体カートリッジホルダ 9
(蓋)
観察窓 19
面取りされた凹部 43
組織側ホルダ 11
ベース部
結合部 13
ヒンジ部
クランプ機構 15
ロック機構 16
ロックピン
圧力アクチュエータ 18
ピストン
圧縮空気ピストン
試薬流体流動システム
流入導管 20
流出導管 22
温度制御システム 24
冷却/加熱システム
ペルチェチップ 41
温度センサ(図示されず)
マイクロ流体カートリッジ 4
基板 6
流体流動ネットワーク 8
カートリッジ流入部 26
流入チャネル 27
チャンバ入口孔 28
反応チャンバ 29
チャンバ出口孔 30
流出チャネル 31
カートリッジ流出部 32
シール 10
観察窓 12
透明カバー 33
ガラス層
スペーサ要素 40
組織支持体 34
組織試料 36
外部試薬源
試薬チューブ
透明カバーの厚さ T
【手続補正書】
【提出日】2022-05-26
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
デジタル画像処理システムと、少なくとも1つのレンズ(14)を含む少なくとも1つの顕微鏡と、を備えるイメージングユニット(2)と、
支持体(17)と、前記支持体(17)を移動させるための変位機構と、を含むハンドリングプラットフォーム(5)を備える試料処理ステーション(3)と、
前記ハンドリングプラットフォーム(5)に取り付けられた試料処理ユニット(7)と、
を備える生体試料処理システムであって、
前記試料処理ユニット(7)は、組織スライドホルダ(11)であって、組織スライド(34)であって生体試料(36)が前記組織スライド(34)上に固定されている組織スライド(34)を前記組織スライドホルダ(11)上に取り付けるための組織スライドホルダ(11)と、マイクロ流体カートリッジホルダ(9)であって、マイクロ流体カートリッジ(4)を前記マイクロ流体カートリッジホルダ(9)上に取り付けるためのマイクロ流体カートリッジホルダ(9)と、を備え、
前記組織スライドホルダ(11)は、前記マイクロ流体カートリッジホルダ(9)に結合部(13)を介して結合され、それにより、開位置で、前記マイクロ流体カートリッジ及び前記組織支持体を前記試料処理ユニットに取り付け、及び前記試料処理ユニットから取り外すことと、閉位置で、前記組織支持体(34)が前記マイクロ流体カートリッジ(4)とシール接触することと、を可能にし、
前記試料処理ステーションは、前記ハンドリングプラットフォーム(5)上に取り付けられた複数の前記試料処理ユニットを備え、複数の前記試料処理ユニットは、前記組織スライド及び前記マイクロ流体カートリッジそれぞれの取付け、又は前記組織スライド及び前記マイクロ流体カートリッジそれぞれの取外しを可能にする位置から、前記マイクロ流体カートリッジホルダ(9)の観察窓(19)が少なくとも一つの前記顕微鏡の前記レンズと位置合わせして位置付けられる位置まで、移動可能であることを特徴とする、生体試料処理システム。
【請求項2】
前記マイクロ流体カートリッジホルダの前記観察窓(19)が、凹部(43)を備え、前記凹部(43)内には、前記レンズ(14)が前記イメージング位置で部分的に挿入される、請求項1に記載の生体試料処理システム。
【請求項3】
前記試料処理ステーション(3)が、少なくとも3つ、好ましくは4つ以上の前記試料処理ユニット(7)を備える、請求項1又は2に記載の生体試料処理システム。
【請求項4】
前記ハンドリングプラットフォーム(5)が、前記支持体(17)を複数の位置間で回転させるための回転変位機構を備える、請求項1から3のいずれか1項に記載の生体試料処理システム。
【請求項5】
前記試料処理ユニット(7)のそれぞれが、少なくとも1つの試薬供給管及び少なくとも1つの試薬流出管に結合される、請求項1から4のいずれか1項に記載の生体試料処理システム。
【請求項6】
前記試料処理ユニットのそれぞれが、ロック機構(16)と、閉位置にある前記マイクロ流体カートリッジ(4)に対して前記組織支持体(34)に圧力を加えるように構成された圧力アクチュエータ(18)と、を含むクランプ機構(15)を備え、前記クランプ機構が、圧縮ガスピストンを備える、請求項1から5のいずれか1項に記載の生体試料処理システム。
【請求項7】
前記試料処理ユニットのそれぞれが、前記組織スライドホルダ(11)に結合された冷却・加熱システムを含む温度制御システムを備える、請求項1から6のいずれか1項に記載の生体試料処理システム。
【請求項8】
前記マイクロ流体カートリッジホルダ(9)及び前記組織スライドホルダ(11)が、ヒンジ結合部(13)を介して共に枢動可能に結合される、請求項1から7のいずれか1項に記載の生体試料処理システム。
【請求項9】
前記マイクロ流体カートリッジホルダが、移動可能な蓋の形態であり、前記組織スライドホルダ(11)が、前記ハンドリングプラットフォーム(5)の前記支持体(17)に静的に固定されたベースの形態である、請求項1から8のいずれか1項に記載の生体試料処理システム。
【請求項10】
基板(6)と、
前記基板(6)内に形成された流体流動ネットワーク(8)と、
前記基板に取り付けられたシール(10)と、
前記基板内に形成された反応チャンバ(29)の空洞部(29a)と、
観察窓(12)と、
を備える、生体試料処理システム(1)のためのマイクロ流体カートリッジであって、
前記マイクロ流体カートリッジは、組織支持体(34)に当接して設置されて、前記空洞部を覆い前記反応チャンバ(29)の側部を構成するように構成され、そのため、前記反応チャンバは、前記組織支持体と前記マイクロ流体カートリッジとの間に形成され、
前記流体流動ネットワークは、流入部(26)と、流入チャネルネットワーク(27)と、複数のチャンバ入口孔(28)と、を備え、
前記流体流動ネットワークは、流出部(32)と、流出チャネルネットワーク(31)と、複数のチャンバ出口孔(30)と、をさらに備え、
前記チャンバ入口孔及び前記チャンバ出口孔は、前記反応チャンバを通過する試薬の流動のために前記反応チャンバの前記空洞部の両側に配置され、
前記シール(10)は、前記反応チャンバ(29)の前記空洞部と前記チャンバ入口孔(28)及び前記チャンバ出口孔(30)とを囲み、
前記観察窓(12)は、厚さ1mm未満且つ前記基板(6)の外表面に関して前記観察窓(12)の前記基板に形成された凹部内に外表面を有する、透明カバーを備え、前記観察窓(12)は、顕微鏡のレンズ(14)が、前記観察窓の前記凹部に部分的に挿入可能であるように構成されることを特徴とするマイクロ流体カートリッジ。
【請求項11】
前記透明カバー(33)が、ガラス又はサファイアで作られる、請求項10に記載のマイクロ流体カートリッジ。
【請求項12】
前記透明カバーが、0.5mm未満の厚さ、好ましくは0.3mm未満の厚さを有する、
請求項10又は11に記載のマイクロ流体カートリッジ。
【請求項13】
前記組織支持体(34)が設置され且つ前記反応チャンバ(29)に対して押圧されたときに、前記反応チャンバ(29)の高さを規定する、スペーサ要素をさらに備える、
請求項10から12のいずれか1項に記載のマイクロ流体カートリッジ。
【請求項14】
前記スペーサ要素が、前記反応チャンバに対して前記シールの外側に配置される、
請求項13に記載のマイクロ流体カートリッジ。
【請求項15】
複数の請求項10から14のいずれか1項に記載のマイクロ流体カートリッジをさらに含む、請求項1から9のいずれか1項に記載の生体試料処理システム(1)。
【国際調査報告】