IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ザ・チャールズ・スターク・ドレイパ・ラボラトリー・インコーポレイテッドの特許一覧

特表2022-549897垂直運動MEMS構造物によって制御可能な光スイッチ
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-11-29
(54)【発明の名称】垂直運動MEMS構造物によって制御可能な光スイッチ
(51)【国際特許分類】
   G02B 26/08 20060101AFI20221121BHJP
   B81B 3/00 20060101ALI20221121BHJP
【FI】
G02B26/08 J
G02B26/08 F
B81B3/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022519314
(86)(22)【出願日】2020-09-25
(85)【翻訳文提出日】2022-05-23
(86)【国際出願番号】 US2020052796
(87)【国際公開番号】W WO2021062206
(87)【国際公開日】2021-04-01
(31)【優先権主張番号】16/586,098
(32)【優先日】2019-09-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】591016976
【氏名又は名称】ザ・チャールズ・スターク・ドレイパ・ラボラトリー・インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【弁護士】
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】メビウス, マイケル ジェラルド
(72)【発明者】
【氏名】スペクター, スティーブン ジェイ.
(72)【発明者】
【氏名】クック, ユージーン ハイタワー
(72)【発明者】
【氏名】バーンスタイン, ジョナサン ジェイ.
【テーマコード(参考)】
2H141
3C081
【Fターム(参考)】
2H141MA04
2H141MA15
2H141MA16
2H141MA28
2H141MB32
2H141MB34
2H141MB52
2H141MC06
2H141MC09
2H141MD03
2H141MD04
2H141MF14
2H141MG04
2H141MG06
2H141MZ16
3C081AA13
3C081BA22
3C081BA27
3C081BA33
3C081BA43
3C081BA45
3C081BA48
3C081BA53
3C081CA45
3C081DA03
3C081DA05
3C081DA06
3C081DA08
3C081DA09
3C081EA01
3C081EA09
(57)【要約】
MEMS作動光スイッチが、フォトニックチップ上に実装されることができる。これらのスイッチは、小型であり、略平面状であり、実装することが単純であり、スイッチあたり1つのみの可動MEMS構成要素を含む。スイッチは、低光学損失を呈し、動作するために低パワーを要求し、制御することが単純であり、他の光学デバイスと統合することが容易である。各スイッチは、オンスイッチ状態において光学的に結合され、オフスイッチ状態においては結合されない、2つの光導波路を有する。2つの導波路のうちの一方の端部区分または中間区分が、オン状態とオフ状態との間で並進し、結合に影響を及ぼし得る。代替として、結合フラストレータが、オン状態とオフ状態との間で並進し、結合に影響を及ぼし得る。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
設計波長を有する光スイッチであって、前記光スイッチは、
フォトニックチップと、
並進可能な光結合フラストレータと、
前記フォトニックチップ上に配置され、中間部分を有する第1の光導波路と、
第2の光導波路であって、前記第2の光導波路は、前記第1の光導波路と明確に異なり、前記フォトニックチップ上に配置され、第1の端部部分を有し、前記第1の端部部分は、前記第1の光導波路の中間部分に対して不動であり、前記光結合フラストレータが存在しない状態で、前記設計波長において少なくとも約85%の結合効率を伴って、前記第1の光導波路の中間部分と一過性に結合するように、前記第1の光導波路の中間部分に十分に近接する、第2の光導波路と、
MEMS構造物であって、前記MEMS構造物は、前記フォトニックチップ上に配置され、並進可能部分を有し、前記並進可能部分は、前記光結合フラストレータに機械的に結合され、制御信号に応答して、前記光結合フラストレータを、少なくとも、(a)前記第1の光導波路の中間部分および前記第2の光導波路の第1の端部部分のうちの少なくとも一方に近接する第1の位置と、(b)前記第1の光導波路の中間部分および前記第2の光導波路の第1の端部部分のうちの少なくとも一方から離間される第2の位置との間で並進させるように構成される、MEMS構造物と
を備え、
前記第1の位置において、前記光結合フラストレータは、前記設計波長において約10%超の結合効率を伴って、前記第1の光導波路の中間部分と前記第2の光導波路の第1の端部部分との間の一過性結合を防止するように、前記第1の光導波路の中間部分および前記第2の光導波路の第1の端部部分のうちの少なくとも一方に十分に近接し、
前記第2の位置において、前記光結合フラストレータは、前記設計波長において少なくとも約85%の結合効率を伴って、前記第1の光導波路の中間部分と前記第2の光導波路の第1の端部部分との間の一過性結合を可能にするように、前記第1の光導波路の中間部分および前記第2の光導波路の第1の端部部分のうちの少なくとも一方から十分に離間される、光スイッチ。
【請求項2】
前記第1の位置および第2の位置の両方において、前記光結合フラストレータは、前記フォトニックチップに対して法線方向に視認されたとき、前記第1の光導波路の中間部分および前記第2の光導波路の第1の端部部分のうちの少なくとも一方の少なくとも一部の上方に位置合わせされる、請求項1に記載の光スイッチ。
【請求項3】
前記第1の位置および第2の位置の両方において、前記光結合フラストレータは、前記フォトニックチップに対して法線方向に視認されたとき、前記第1の光導波路の中間部分および前記第2の光導波路の第1の端部部分から側方に変位される、請求項1に記載の光スイッチ。
【請求項4】
前記第1の位置において、前記光結合フラストレータは、前記第1の光導波路の中間部分に近接し、前記第2の位置において、前記光結合フラストレータは、前記第1の光導波路の中間部分から離間される、請求項1に記載の光スイッチ。
【請求項5】
前記第1の位置において、前記光結合フラストレータは、前記第2の光導波路の第1の端部部分に近接し、前記第2の位置において、前記光結合フラストレータは、前記第2の光導波路の第1の端部部分から離間される、請求項1に記載の光スイッチ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本願は、その全内容が、あらゆる目的のために、参照することによって本明細書に組み込まれる、2019年9月27日に出願され、「Optical Switch Controllable by Vertical Motion MEMS Structure」と題された、米国特許出願第16/586,249号に関する。
【0002】
本発明は、光スイッチに関し、より具体的には、フォトニックチップ上に実装され得る、MEMS作動光スイッチに関する。
【背景技術】
【0003】
多くの統合されたフォトニック用途において、二元光スイッチが、光を入力導波路から2つの出力導波路のうちの一方に指向するために必要とされる。いくつかの用途では、いくつかの二元光スイッチが、相互接続され、1×Nタイプ、N×Mタイプ、または他のタイプの光スイッチネットワークを形成する。理想的には、二元光スイッチは、光が結合される出力に関係なく、低光学損失を有し、動作するために低パワーを要求し、小型であり、制御することが単純であり、他の光学デバイスと統合することが容易であるべきである。
【0004】
光スイッチを含み得るシステムの実施例は、光検出および測距(時として、レーザ結像、検出、および測距と称される)(LiDAR)と、画像プロジェクタとを含む。そのようなシステムは、高い精度を伴って制御され得る方向において(人間的見地から可視または不可視である)コリメート光学ビームを放出または受光し、多くの場合、これらのビームは、標的を位置特定または追跡するために操向または掃引される必要がある。同様に、レーザ通信システムは、時として、最初に、2つの端末間に見通し内通信チャネルを確立するため、または後に、端末の一方または両方が移動するかどうかを追跡すること等のために、光学ビームを操向する必要がある。現代の光学システムは、多くの場合、LiDARおよび画像プロジェクタのためのエミッタのアレイを駆動すること等のための、フォトニックチップ上に実装される、小型で略平面状の光スイッチネットワークを要求する。例えば、「Integrated MEMS Switches for Selectively Coupling Light In and Out of a Waveguide」と題された、米国特許公開第2018/0175961号(その全内容が、あらゆる目的のために、参照することによって本明細書に組み込まれる)を参照されたい。
【0005】
統合型フォトニック回路内に光スイッチを実装するための一般的な方法は、Mach-Zehnder干渉計および移相器の使用を伴う。そのような回路では、2つのアームの相対位相が、光を選択された出力に指向する。位相偏移が、実装され、熱的同調等のいくつかの公知の方法において制御され得る。移相器ベースのMach-Zehnderスイッチは、2つの出力間で任意の量のパワーを切り替え得る、アナログデバイスである。多くの用途に関して、これは、有利であるが、二元切替が所望される用途に関して、2つのアーム間の位相の非常に正確な制御が、低損失および良好な減衰を得るために必要である。そのような正確な位相制御は、特に、温度等の環境要因が光伝搬の位相に影響を及ぼし得るとき、複雑な制御システムを要求する。
【0006】
2016年1月のTae Joon Seok, et al.の「Large-scale broadband digital silicon photonic switches with vertical adiabatic couplers」Optica, Vol. 3, No. 1, pp. 64-70(「Seok」)およびTae Joon Seok, et al.の「Large-scale broadband digital silicon photonic switches with vertical adiabatic couplers: supplemental material」(「Seok Supplement」)が、複数の直角に交差する、通常は、非結合導波路から構成される、MEMS作動光切替マトリクスを説明する。2015年4月のSangyoon Han, et al.の「Large-scale silicon photonic switches with movable directional couplers」Optica, Vol. 2, No. 4, pp. 370-375(「Han」)は、複数の垂直に交差する、通常は、非結合導波路から構成される、別のMEMS作動光切替マトリクスを開示する。SeokおよびHanでは、個別のスイッチセルが、各導波路交差に配置される。スイッチセルが、アクティブ化されると、スイッチセルは、2つの交差する導波路を双方向に結合する。したがって、切替マトリクスは、切替マトリクスの各行が切替マトリクスの所望の列に結合され得る、クロスバースイッチとして作用することができる。
【0007】
しかしながら、各Seokスイッチセルは、個別のMEMSアクチュエータ上に一対のバック・トゥ・バック(back-to-back)の断熱結合器を要求し、各Hanスイッチセルは、MEMSアクチュエータ上に一対のバック・トゥ・バックの共振結合器を要求する。各場合では、2つの結合器は、交差する導波路と明確に異なり、Seokでは、2つの結合器が、独立して作動されることができる。スイッチセルをオンにするために、両方の結合器が、2つの結合器がそれぞれ、2つの交差する導波路の個別のものに近接するように、移動されなければならない。オン状態では、2つの交差する導波路のうちの一方からの光が、結合器のうちの一方に結合する。光は、次いで、他の結合器に伝搬し、次いで、光は、他の結合器から2つの交差する導波路のうちの他方に結合する。したがって、2つの一過性結合が、オンスイッチセル内で要求され、これは、損失をもたらす。2つの直角の導波路は、不動である。結合器のみが、移動する。結合器は、物理的に、導波路のうちのいずれの一部でもない。結合器は、スイッチセルを越えて延在しない。対照的に、各導波路は、両方の方向においてスイッチセルを越えて延在する。各スイッチセルは、双方向であり、すなわち、光は、2つの交差する導波路の間のオンスイッチセルを通して、いずれかの方向または両方の方向に同時に伝搬することができる。
しかしながら、より低い損失を伴い、フォトニックチップ上に実装され得る、より単純な光スイッチが、好ましいであろう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】米国特許公開第2018/0175961号明細書
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明のある実施形態は、光スイッチを提供する。光スイッチは、ある設計波長を有する。光スイッチは、フォトニックチップを含む。第1の入力/出力ポートは、フォトニックチップ上に配置される、第1の光導波路を含む。第2の入力/出力ポートは、第1の光導波路と明確に異なり、フォトニックチップ上に配置される、第2の光導波路を含む。第2の光導波路の第1の端部部分が、第1の光導波路の中間部分に近接して配置される。
【0010】
MEMS構造物が、フォトニックチップ上に配置される。MEMS構造物は、制御信号に応答して並進するように構成される、並進可能部分を有する。
【0011】
並進可能な光学構成要素は、(a)第1の光導波路の中間部分および(b)第2の光導波路の第1の端部部分のうちの一方を含む。すなわち、並進可能な光学構成要素は、任意の所与の実施形態では、(a)第1の光導波路の中間部分または(b)第2の光導波路の第1の端部部分のうちのいずれかを含むが、(a)および(b)の両方を含むわけではない。
【0012】
MEMS構造物の並進可能部分は、並進可能な光学構成要素に機械的に結合され、それによって、それを少なくとも第1の(オン)位置と第2の(オフ)位置との間で並進させるように構成される。第1の(オン)位置において、第1の光導波路の中間部分および第2の光導波路の第1の端部部分は、設計波長において少なくとも約85%の結合効率を伴って、相互と一過性に結合するように十分に接近する。第2の(オフ)位置において、第1の光導波路の中間部分および第2の光導波路の第1の端部部分は、設計波長において最大約10%の結合効率を伴って、相互と一過性に結合するように十分に離間される。
【0013】
任意の実施形態では、並進可能な光学構成要素が、第1の位置にあるとき、第1の入力/出力ポートが、単一の一過性結合を介して第2の入力/出力ポートに光学的に結合されてもよい。単一の一過性結合は、第1の光導波路の中間部分と第2の光導波路の第1の端部部分との間のものであってもよい。厳密には、(a)第1の光導波路の中間部分および(b)第2の光導波路の第1の端部部分のうちの一方が、並進するように構成される。すなわち、任意の所与の実施形態では、(a)第1の光導波路の中間部分が並進するように構成される、または(b)第2の光導波路の第1の端部部分が、並進するように構成されることのうちのいずれかになるが、(a)および(b)が両方とも、そうであるわけではない。
【0014】
任意の実施形態では、光スイッチは、並進可能な光学構成要素と、MEMS構造物とを含む、最小に定寸された長方形面積を画定する、外側境界を有してもよい。第1および第2の入力/出力ポートは、外側境界の外側に配列されてもよい。第1の光導波路の各端部は、外側境界の外側に配列されてもよい。第1の光導波路の中間部分は、外側境界内に配置されてもよい。第2の光導波路の第1の端部部分は、外側境界内に配置されてもよい。第1の端部部分の反対にある、第2の光導波路の第2の端部が、外側境界の外側に配置されてもよい。MEMS構造物は、外側境界内に配置されてもよい。
【0015】
任意の実施形態では、並進可能な光学構成要素は、第1の光導波路の中間部分を含んでもよい。
【0016】
いくつかの実施形態では、第1の位置および第2の位置の両方において、第1の光導波路の中間部分は、フォトニックチップに対して法線方向に視認されたとき、第2の光導波路の第1の端部部分の上方に位置合わせされる。第1の光導波路の中間部分は、フォトニックチップに対して、第2の光導波路の第1の端部部分を横切る平面内で並進するように構成されてもよい。
【0017】
いくつかの実施形態では、第1の光導波路の中間部分および第2の光導波路の第1の端部部分は、第1の光導波路の中間部分が第1の位置にあるとき、第1の光導波路の中間部分が、設計波長において少なくとも約85%の結合効率を伴って、共振的かつ光学的に、第2の光導波路の第1の端部部分と結合するように構成される。
【0018】
いくつかの実施形態では、第1の光導波路の中間部分および第2の光導波路の第1の端部部分は、第1の光導波路の中間部分が第1の位置にあるとき、第1の光導波路の中間部分が、設計波長において少なくとも約85%の結合効率を伴って、断熱的かつ光学的に第2の光導波路の第1の端部部分と結合するように構成される。
【0019】
いくつかの実施形態では、第1の位置および第2の位置の両方において、第1の光導波路の中間部分は、フォトニックチップに対して法線方向に視認されたとき、第2の光導波路の第1の端部部分から側方に変位される。第1の光導波路の中間部分は、第2の光導波路の第1の端部部分を横切らない平面内で並進するように構成されてもよい。
【0020】
いくつかの実施形態では、第1の光導波路の中間部分および第2の光導波路の第1の端部部分は、第1の光導波路の中間部分が第1の位置にあるとき、第1の光導波路の中間部分が、設計波長において少なくとも約85%の結合効率を伴って、共振的かつ光学的に第2の光導波路の第1の端部部分と結合するように構成される。
【0021】
いくつかの実施形態では、第1の光導波路の中間部分および第2の光導波路の第1の端部部分は、第1の光導波路の中間部分が第1の位置にあるとき、第1の光導波路の中間部分が、設計波長において少なくとも約85%の結合効率を伴って、断熱的かつ光学的に第2の光導波路の第1の端部部分と結合するように構成される。
【0022】
いくつかの実施形態では、並進可能な光学構成要素は、第2の光導波路の第1の端部部分を含む。
【0023】
いくつかの実施形態では、第1の位置および第2の位置の両方において、第2の光導波路の第1の端部部分は、第1の光導波路の中間部分の上方に位置合わせされる。第2の光導波路の第1の端部部分は、フォトニックチップに対して、第1の光導波路の中間部分を横切る平面内で並進するように構成されてもよい。
【0024】
いくつかの実施形態では、第1の光導波路の中間部分および第2の光導波路の第1の端部部分は、第1の光導波路の中間部分が第1の位置にあるとき、第1の光導波路の中間部分が、設計波長において少なくとも約85%の結合効率を伴って、共振的かつ光学的に第2の光導波路の第1の端部部分と結合するように構成される。
【0025】
いくつかの実施形態では、第1の光導波路の中間部分および第2の光導波路の第1の端部部分は、第1の光導波路の中間部分が第1の位置にあるとき、第1の光導波路の中間部分が、設計波長において少なくとも約85%の結合効率を伴って、断熱的かつ光学的に第2の光導波路の第1の端部部分と結合するように構成される。
【0026】
いくつかの実施形態では、第1の位置および第2の位置の両方において、第2の光導波路の第1の端部部分は、フォトニックチップに対して法線方向に視認されたとき、第1の光導波路の中間部分から側方に変位される。第2の光導波路の第1の端部部分は、第1の光導波路の中間部分を横切らない平面内で並進するように構成されてもよい。
【0027】
いくつかの実施形態では、第1の光導波路の中間部分および第2の光導波路の第1の端部部分は、第1の光導波路の中間部分が第1の位置にあるとき、第1の光導波路の中間部分が、設計波長において少なくとも約85%の結合効率を伴って、共振的かつ光学的に第2の光導波路の第1の端部部分と結合するように構成される。
【0028】
いくつかの実施形態では、第1の光導波路の中間部分および第2の光導波路の第1の端部部分は、第1の光導波路の中間部分が第1の位置にあるとき、第1の光導波路の中間部分が、設計波長において少なくとも約85%の結合効率を伴って、断熱的かつ光学的に第2の光導波路の第1の端部部分と結合するように構成される。
【0029】
本発明の別の実施形態は、光スイッチを提供する。光スイッチは、ある設計波長を有する。光スイッチは、フォトニックチップと、並進可能な光結合フラストレータとを含む。
【0030】
第1の光導波路が、フォトニックチップ上に配置される。第1の光導波路は、中間部分を有する。
【0031】
第1の光導波路と明確に異なる、第2の光導波路が、フォトニックチップ上に配置される。第2の光導波路は、第1の端部部分を有する。第1の端部部分は、第1の光導波路の中間部分に対して不動である。第1の端部部分は、光結合フラストレータが存在しない状態で、設計波長において少なくとも約85%の結合効率を伴って、第1の光導波路の中間部分と一過性に結合するように第1の光導波路の中間部分に十分に近接する。
【0032】
MEMS構造物が、フォトニックチップ上に配置される。MEMS構造物は、光結合フラストレータに機械的に結合される、並進可能部分を有する。MEMS構造物は、制御信号に応答して、光結合フラストレータを、少なくとも第1の位置と第2の位置との間で並進させるように構成される。第1の位置は、第1の光導波路の中間部分および第2の光導波路の第1の端部部分のうちの少なくとも一方に近接する。すなわち、第1の位置において、光結合フラストレータは、第1の光導波路の中間部分および/または第2の光導波路の第1の端部部分に近接する。第2の位置は、第1の光導波路の中間部分および第2の光導波路の第1の端部部分のうちの少なくとも一方から離間される。
【0033】
第1の位置において、光結合フラストレータは、設計波長において約10%超の結合効率を伴って、第1の光導波路の中間部分と第2の光導波路の第1の端部部分との間の一過性結合を防止するように、第1の光導波路の中間部分および/または第2の光導波路の第1の端部部分に十分に近接する。第2の位置において、光結合フラストレータは、設計波長において少なくとも約85%の結合効率を伴って、第1の光導波路の中間部分と第2の光導波路の第1の端部部分との間の一過性結合を可能にするように、第1の光導波路の中間部分および/または第2の光導波路の第1の端部部分から十分に離間される。
【0034】
いくつかの実施形態では、第1の位置および第2の位置の両方において、光結合フラストレータは、フォトニックチップに対して法線方向に視認されたとき、第1の光導波路の中間部分および第2の光導波路の第1の端部部分のうちの少なくとも一方の少なくとも一部の上方に位置合わせされる。
【0035】
いくつかの実施形態では、第1の位置および第2の位置の両方において、光結合フラストレータは、フォトニックチップに対して法線方向に視認されたとき、第1の光導波路の中間部分および第2の光導波路の第1の端部部分から側方に変位される。
【0036】
いくつかの実施形態では、第1の位置において、光結合フラストレータは、第1の光導波路の中間部分に近接し、第2の位置において、光結合フラストレータは、第1の光導波路の中間部分から離間される。
【0037】
いくつかの実施形態では、第1の位置において、光結合フラストレータは、第2の光導波路の第1の端部部分に近接し、第2の位置において、光結合フラストレータは、第2の光導波路の第1の端部部分から離間される。
【図面の簡単な説明】
【0038】
本発明は、図面と併せて以下の具体的実施形態の詳細な説明を参照することによって、より完全に理解されるであろう。
【0039】
図1図1は、本発明のいくつかの実施形態による、光スイッチの一般的原理を図示する、斜視図である。後続の図面は、図1のスイッチの個別の実施形態の種々の側面を図示する。
【0040】
図2図2は、本発明のある実施形態による、一方の導波路の端部が別の導波路の中間部分の真上に配置される、図1の光スイッチの一実施形態の斜視図である。
【0041】
図3図3は、本発明のある実施形態による、図2の光スイッチの側面図である。
【0042】
図4図4は、本発明のある実施形態による、一方の導波路の端部が他方の導波路の中間部分の真下に配置される、図1の光スイッチの別の実施形態の斜視図である。
【0043】
図5図5は、本発明のある実施形態による、図4の光スイッチの側面図である。
【0044】
図6図6は、本発明のある実施形態による、一方の導波路の端部が別の導波路の中間部分の上方に位置合わせされる、図1の光スイッチのさらに別の実施形態の斜視図である。図6は、オフ状態にある光スイッチを示す。
【0045】
図7図7は、本発明のある実施形態による、オフ状態にある、図6の光スイッチの側面図である。
【0046】
図8図8は、本発明のある実施形態による、オン状態にある光スイッチを示す、図6および7の光スイッチの斜視図である。
【0047】
図9図9は、本発明のある実施形態による、オン状態にある、図6-8の光スイッチの側面図である。
【0048】
図10図10および11は、本発明のある実施形態による、図6-9の光スイッチの個別の断面図である。図10は、オフ状態にある光スイッチを示し、図11は、オン状態にある光スイッチを示す。
図11図10および11は、本発明のある実施形態による、図6-9の光スイッチの個別の断面図である。図10は、オフ状態にある光スイッチを示し、図11は、オン状態にある光スイッチを示す。
【0049】
図12図12および13は、本発明のある実施形態による、MEMS構造物の並進可能部分がワイヤフレームで示される、図6-11の光スイッチの個別の斜視図である。図12は、オフ状態にある光スイッチを示し、図13は、オン状態にある光スイッチを示す。
図13図12および13は、本発明のある実施形態による、MEMS構造物の並進可能部分がワイヤフレームで示される、図6-11の光スイッチの個別の斜視図である。図12は、オフ状態にある光スイッチを示し、図13は、オン状態にある光スイッチを示す。
【0050】
図14図14および15は、本発明のある実施形態による、一方の導波路の端部が他方の導波路の中間部分から側方に変位されて配置される、図1の光スイッチの別の実施形態の個別の斜視図である。図14は、オフ状態にある光スイッチを示し、図15は、オン状態にある光スイッチを示す。
図15図14および15は、本発明のある実施形態による、一方の導波路の端部が他方の導波路の中間部分から側方に変位されて配置される、図1の光スイッチの別の実施形態の個別の斜視図である。図14は、オフ状態にある光スイッチを示し、図15は、オン状態にある光スイッチを示す。
【0051】
図16図16は、並進可能な光学構成要素が別の導波路を横切る平面内で並進する、本発明の任意の実施形態による、光スイッチの斜視図である。
【0052】
図17図17は、本発明のいくつかの実施形態による、共振結合器を含む、光スイッチの斜視図である。
【0053】
図18図18は、本発明のいくつかの実施形態による、断熱結合器を含む、光スイッチの斜視図である。
【0054】
図19図19は、本発明のある実施形態による、垂直に並進可能な結合フラストレータが、2つの光導波路が結合するかどうかを制御するために使用される、図1の光スイッチのさらに別の実施形態の斜視図である。
【0055】
図20図20、21、および22は、本発明の個別の実施形態による、図19の光スイッチの代替実施形態の斜視図である。
図21図20、21、および22は、本発明の個別の実施形態による、図19の光スイッチの代替実施形態の斜視図である。
図22図20、21、および22は、本発明の個別の実施形態による、図19の光スイッチの代替実施形態の斜視図である。
【0056】
図23図23および24は、それぞれ、オン状態およびオフ状態にある、図19の光スイッチのコンピュータシミュレーションの結果を示す。
図24図23および24は、それぞれ、オン状態およびオフ状態にある、図19の光スイッチのコンピュータシミュレーションの結果を示す。
【0057】
図25図25および26は、本発明のある実施形態による、断熱結合器が他方の導波路の中間部分の下方に配置される、図1の光スイッチのさらに別の実施形態の斜視図である。図25および26では、MEMS構造物の並進可能部分が、ワイヤフレームで示される。図25は、オフ状態にある光スイッチを示し、図26は、オン状態にある光スイッチを示す。
図26図25および26は、本発明のある実施形態による、断熱結合器が他方の導波路の中間部分の下方に配置される、図1の光スイッチのさらに別の実施形態の斜視図である。図25および26では、MEMS構造物の並進可能部分が、ワイヤフレームで示される。図25は、オフ状態にある光スイッチを示し、図26は、オン状態にある光スイッチを示す。
【0058】
図27図27、28、29、および30は、図25および26の光スイッチのコンピュータシミュレーションの結果を示す。
図28図27、28、29、および30は、図25および26の光スイッチのコンピュータシミュレーションの結果を示す。
図29図27、28、29、および30は、図25および26の光スイッチのコンピュータシミュレーションの結果を示す。
図30図27、28、29、および30は、図25および26の光スイッチのコンピュータシミュレーションの結果を示す。
【0059】
図31図31は、本発明のある実施形態による、導波路または結合フラストレータを並進させるためのMEMS構造物の一部の上面図であり、図32は、その側面図(オフ状態にある光スイッチ)であり、図33は、その側面図(オン状態にある光スイッチ)であり、図34は、その断面図である。MEMS構造物は、本明細書に説明される任意の光スイッチ内で使用され得る。
図32図31は、本発明のある実施形態による、導波路または結合フラストレータを並進させるためのMEMS構造物の一部の上面図であり、図32は、その側面図(オフ状態にある光スイッチ)であり、図33は、その側面図(オン状態にある光スイッチ)であり、図34は、その断面図である。MEMS構造物は、本明細書に説明される任意の光スイッチ内で使用され得る。
図33図31は、本発明のある実施形態による、導波路または結合フラストレータを並進させるためのMEMS構造物の一部の上面図であり、図32は、その側面図(オフ状態にある光スイッチ)であり、図33は、その側面図(オン状態にある光スイッチ)であり、図34は、その断面図である。MEMS構造物は、本明細書に説明される任意の光スイッチ内で使用され得る。
図34図31は、本発明のある実施形態による、導波路または結合フラストレータを並進させるためのMEMS構造物の一部の上面図であり、図32は、その側面図(オフ状態にある光スイッチ)であり、図33は、その側面図(オン状態にある光スイッチ)であり、図34は、その断面図である。MEMS構造物は、本明細書に説明される任意の光スイッチ内で使用され得る。
【0060】
図35図35は、本発明の別の実施形態による、導波路または結合フラストレータを並進させるためのMEMS構造物の一部の上面図であり、図36は、その断面図である。MEMS構造物は、本明細書に説明される任意の光スイッチにおいて使用され得る。
図36図35は、本発明の別の実施形態による、導波路または結合フラストレータを並進させるためのMEMS構造物の一部の上面図であり、図36は、その断面図である。MEMS構造物は、本明細書に説明される任意の光スイッチにおいて使用され得る。
【0061】
図37図37および38は、本発明の別の実施形態による、個別のオフ位置およびオン位置にある、MEMS構造物の側面図である。MEMS構造物は、本明細書に説明される任意の光スイッチにおいて使用され得る。
図38図37および38は、本発明の別の実施形態による、個別のオフ位置およびオン位置にある、MEMS構造物の側面図である。MEMS構造物は、本明細書に説明される任意の光スイッチにおいて使用され得る。
【0062】
図39図39は、本発明の別の実施形態による、オン位置にあるMEMS構造物の上面図である。MEMS構造物は、本明細書に説明される任意の光スイッチにおいて使用され得る。
【発明を実施するための形態】
【0063】
具体的な実施形態の詳細な説明
本発明の実施形態は、フォトニックチップ上に実装され得る、MEMS作動光スイッチを提供する。これらの光スイッチは、小型であり、略平面状であり、実装することが単純であり、Seokとは異なり、光スイッチあたり1つのみの可動MEMS構成要素を含み、SeokまたはHanとは異なり、オン光スイッチあたり1つのみの一過性結合を要求する。スイッチは、低光学損失を呈し、動作するために低パワーを要求し、小型であり、制御することが単純であり、他の光学デバイスと統合することが容易である。
光スイッチ-概要
【0064】
図1は、本発明のいくつかの実施形態による、フォトニックチップ102上に加工される、光スイッチ100の斜視図である。光スイッチ100の一般的原理が、図1を参照して説明され、光スイッチ100の種々の側面が、他の図面を参照して下記に説明される。これらの側面は、(a)一方の導波路の端部部分が、別の導波路の中間部分に隣接する、またはその上方にあるかどうかと、(b)端部部分が、中間部分の上方または下方にあるかどうかと、(c)オン状態において、2つの導波路が、共振的に結合される、または断熱的に結合されるかどうかと、(d)可能性として考えられるスイッチ状態の数(例えば、二元オン/オフ光スイッチは、2つの状態を有する)と、(e)スイッチ状態を変化させるように並進する、光学構成要素と、(f)並進可能な光学構成要素の性質(例えば、これが、光結合器または結合フラストレータであるかどうか)とを含む。これらの側面は、そのいくつかが本明細書に説明される、種々の方法において組み合わせられ得る。これらの側面および側面の組み合わせは、実施形態間で変動し得る。
【0065】
光スイッチ100は、2つの光導波路104および106を含み、ある範囲の波長を包含し得る、ある設計波長を有する。導波路104および106は、フォトニックチップ102に取り付けられ、フォトニックチップ102の表面108の上、上方、または下方に配置される。導波路104および106は、当技術分野において周知であるように、好適な材料から作製され、低損失を伴って設計波長内での光学信号の伝搬を支援するように定寸および加工される。
別の導波路の側にある並進可能な光学構成要素
【0066】
導波路106の端部部分110および他方の導波路104の中間部分112の相対的配置は、種々の実施形態間で異なり得る、光スイッチ100の一側面を表す。図1に示される実施形態では、導波路106の端部部分110および他方の導波路104の中間部分112は、フォトニックチップ102の上方から(表面108に対して法線方向に)視認されたとき、相互に隣接して側方に配置される。すなわち、導波路106の端部部分110は、少なくともオン状態において、フォトニックチップ102の表面108から、他方の導波路104の中間部分112が表面108から配置される場合と同一の距離を空けて配置され、導波路106の端部部分110は、上方から(表面108に対して法線方向に)視認されたとき、他方の導波路104から側方距離114を空けて変位される。したがって、一方の導波路106の端部部分110および他方の導波路104の中間部分112は、上方から、表面108に対して法線方向に視認されたとき、フォトニックチップ102の表面108上に横並びに存在する。
別の導波路の上方に位置合わせされる並進可能な光学構成要素
【0067】
しかしながら、図2および3に示される光スイッチ200によって例示される、いくつかの他の実施形態では、端部部分110は、上方から、表面108に対して法線方向に視認されたとき、他方の導波路104の中間部分112の上方に配置され、位置合わせされてもよい。支持構造202が、導波路106を他方の導波路104の上方に持上し、支持する。随意に、光スイッチ200を越えて、導波路106が、表面108に戻ることができる。いくつかの用途では、2つの導波路104および106が、SeokおよびHanにおけるように、同一の層または類似の層上に配置される必要はないことを認識されたい。また、2つの導波路104および106が、同一または類似の層上にある必要性がないことが、SeokおよびHanにおけるように、スイッチセルあたり2つの結合器ではなく、単一の結合器のみを伴う光スイッチを実装することを可能にしたことを認識されたい。
【0068】
図4および5に示される光スイッチ400によって例示される、いくつかの他の実施形態では、光導波路106の端部部分110は、本明細書においてより詳細に議論されるように、上方から、表面108に対して法線方向に視認されたとき、他方の導波路104の中間部分112の下方に配置され、位置合わせされてもよい。
【0069】
図1に戻ると、大部分の光スイッチ100は、厳密に2つの状態、すなわち、典型的には、「オン」と、「オフ」とを有し、入力経路116(2つの光導波路104または106のうちの一方)からの光を、厳密には、2つの出力経路118または120のうちの一方に切り替える点において、二元である。一方の出力経路118は、光導波路104の入力経路116の継続部であってもよく、他方の出力経路120は、典型的には、他方の光導波路106を辿る。入力経路118および出力経路120は両方とも、光スイッチ100を越えて延在する。しかしながら、2つの光学経路118または120のうちの一方は、光スイッチ100内で終端する。すなわち、2つの光学経路118または120のうちの1つのみの端部が、光スイッチ100内に配置される。対照的に、SeokまたはHanスイッチセル内のバック・トゥ・バックの結合器は、スイッチセルを越えて延在しない。すなわち、SeokおよびHanにおける各バック・トゥ・バックの結合器の両端が、その個別のスイッチセルとともに配置される。
【0070】
光スイッチ100は、少なくとも第1および第2の入力/出力ポート130および132と、随意に、第3の入力/出力ポート134と、随意に、第4の入力/出力ポート(図示せず)とを含む。所与の光スイッチ100上の入力/出力ポートの数にかかわらず、入力/出力ポート130-134は、代表的である。入力/出力ポート130-134は、破線によって示されるように、それらの個別の光導波路104および106の断面によって画定され得る。入力/出力ポート130-134は、光スイッチ100と、光源、光検出器、または光スイッチ100と明確に異なる他の光スイッチ(図示せず)等の他の光学構成要素との間の個別のインターフェースとしての役割を果たす。各入力/出力ポート130-134は、別の光学構成要素、すなわち、光スイッチ100以外のものから、またはそれへの光スイッチ100の中または外への光学信号を得るための手段を提供する。入力/出力ポート130-134は、光スイッチ100に光を注入し、それから光を受光するために使用される。
【0071】
光スイッチ100は、入力/出力ポート130-134のうちの1つを介して受光された光が、入力/出力ポート130-134のうちの他のものに指向される方法を制御する。記載されるように、入力/出力ポート130-134は、光スイッチ100への個別のインターフェースとしての役割を果たす。したがって、入力/出力ポート130-134は、それを通して光が光スイッチ100内に伝搬する構成要素ではない。入力/出力ポートの本定義下では、SeokまたはHanにおける並進可能な光結合器は、各SeokまたはHanの並進可能な光結合器が、所与の光スイッチセルに完全に内在し、各SeokまたはHanの並進可能な光結合器が、光スイッチセルと別の光学構成要素との間においてではなく、光スイッチセル内で光を伝達するにすぎないため、入力/出力ポートではない。SeokおよびHanの並進可能な光結合器は、光スイッチセルと他の光学構成要素との間のインターフェースではない。光スイッチ100のオン/オフ性質は、入力経路116からの光が出力経路120に切り替えられるか、または切り替えられないかどうかを説明するものと見なされ得る。
【0072】
オン状態において、2つの光導波路104および106は、設計波長において、少なくとも約85%の効率を伴って、相互に一過性に結合され、そのため、入力導波路として作用する導波路104および/または106に応じて、入力導波路104に沿って伝搬する光が、他方の導波路106に結合する、または逆になる、または両方向の結合が生じる。結合は、領域122内で生じる。結合は、共振結合および/または断熱結合であり得る。
【0073】
オフ状態において、2つの導波路は、一過性に結合されない、または2つの導波路は、約10%未満の効率を伴って一過性に結合され、そのため、2つの導波路104または106のうちの一方に沿って伝搬する光は、実質的に、他方の導波路に結合せず、代わりに、入力導波路に沿って伝搬し続ける。本明細書で使用されるように、約10%未満の結合効率は、結合されないと見なされる。光スイッチ100が、オフ状態にあるとき、入力経路116からの光が、導波路104に沿って出力経路118に伝搬する。出力経路118は、別の光スイッチ(図示せず)または別の光学要素(図示せず)まで継続してもよい、または出力経路118は、光スイッチ100を越えて終端してもよい。
【0074】
二元光スイッチの文脈において議論されているが、本明細書に開示される原理が、必要な変更を加えて(mutatis mutandis)、複数の出力経路の各出力経路が、非ゼロの部分、例えば、入力光の10%超を同時に受光するように、2つを上回る状態および/または2つを上回る光学経路を伴う光スイッチおよび/または制御信号に従って入力光を出力経路間で分割する光スイッチを構築するために使用されてもよい。いくつかのそのような非二元光スイッチが、本明細書に説明される。光スイッチの状態の数は、光スイッチ100の一側面である。入力光が、実質的に1つのみの出力経路に切り替えられるか、または代替として、入力光が、複数の出力経路間で分割されるかどうかが、光スイッチ100の別の側面である。
【0075】
図1に再び戻ると、MEMS構造物124が、フォトニックチップ102上またはその中に配置される。MEMS構造物124の少なくとも一部(図示せず)が、両矢印126によって示されるように、制御信号128に応答して、フォトニックチップ102の表面108に対して直角である軸等に沿って並進するように構成される。MEMS構造物124は、MEMS構造物124の並進可能部分を並進させるために電極または電磁気構造に印加される(制御信号128から導出される)制御電圧に応じて、相互に静電的に誘引される、撓曲部と、離間された電極(図示せず)とを含んでもよい。
【0076】
MEMS構造物124の並進可能部分は、並進可能な光学構成要素(図1に示されていないが、本明細書において詳細に説明される)に機械的に結合され、並進可能な光学構成要素を軸126に沿って並進させるように構成される。並進可能な光学構成要素の第1の位置から第2の位置への並進は、光スイッチ100を1つの状態から別の状態に変化させ、例えば、オフ状態からオン状態に変化させる。図1では、MEMS構造物124は、導波路104および106の両方の右に示されるが、(他の図面に関して説明される)いくつかの実施形態では、MEMS構造物124は、導波路104および106のうちの一方または両方の左および/または導波路104および106のうちの一方または両方の上方または下方に配置される。
【0077】
記載されるように、光スイッチ100の一側面は、一方の導波路106の端部部分110および他方の導波路104の中間部分112の相対的配置を伴う。図6は、一方の導波路106の端部部分110が他方の導波路104の中間部分112の上方に位置合わせされる、光スイッチ600を図示する。したがって、本実施形態では、端部部分110および中間部分112の配置側面が、上方に位置合わせされたものとして説明され得る。
【0078】
本実施形態では、端部部分110は、MEMS構造物124(明確化のために図6から省略される)に機械的に結合され、両矢印602によって示されるように、MEMS構造物124の並進可能部分の並進に応答して並進する。したがって、本実施形態では、端部部分110は、前述の並進可能な光学構成要素である。端部部分110は、(a)(図6および7に図示されるような)中間部分112から遠位のオフ位置と(b)(図8および9に図示されるような)中間部分112に近接するオン位置との間で並進する。可撓性部分604が、端部部分110の並進を促進する一方、導波路106の残りの部分が、フォトニックチップ102に対して不動のままである。
【0079】
オフ位置(図6および7)において、端部部分110は、端部部分110と中間部分112との間の結合を防止するために中間部分112から十分に遠方にある。しかしながら、オン位置(図8および9)において、端部部分110は、設計波長において少なくとも約85%の結合効率を伴って、端部部分110と中間部分112との間を結合するように中間部分112に十分に近接しているが、必ずしもそれと密着しているわけではない。
【0080】
本実施形態では、導波路106の端部部分110は、端部部分110がオフ位置にあるか、またはオン位置にあるかどうかにかかわらず、端部部分110が、並進するにつれて、他方の導波路104の中間部分112の上方に垂直に位置合わせされたままである。したがって、端部部分110は、他方の導波路104の中間部分112の真上で垂直に並進するものとして説明されることができる。
【0081】
MEMS構造物124は、破線が付けられた長方形の角柱606によって図6に示されるように、導波路106の端部部分110および他方の導波路104の中間部分112を封入する、体積を画定し得る。図10および11は、断面平面608(図6)から視認されたときのMEMS構造物124の断面図である。図12および13は、ワイヤフレームとして示されるMEMS構造物124の並進可能部分を伴う、光スイッチ600の簡略斜視図である。図10および12は、端部部分110がオフ位置にある、すなわち、光スイッチ600がオフ状態にあるときのMEMS構造物124を図示し、図11および13は、端部部分110がオン位置にある、すなわち、光スイッチ600がオン状態にあるときのMEMS構造物124を図示する。
【0082】
図10および11に示されるように、MEMS構造物124は、適切な電圧にチャージされ、オフ位置とオン位置との間での端部部分110の並進を促すように誘引し得る、対向電極1000を含んでもよい。MEMS構造物124は、端部部分110の進行を限定する、すなわち、オン位置において端部部分110と中間部分112との間の小さい間隙を確実にするための機械的停止部1002を含むべきである。停止部はまた、「静摩擦」(van der Waalsまたはミラーチャージベースの付着)を防止するために、可動MEMS要素との最小限の接触面積も有するように設計されるべきである。電極1000、停止部1002、および他の詳細は、単純化のために、ワイヤフレーム図(図12および13)から省略されている。
導波路の中間部分の並進
【0083】
図4および5に関して議論されるように、光スイッチ400では、導波路106の端部部分110は、他方の導波路104の中間部分112の下方に配置され、位置合わせされる。支持構造202は、導波路104を導波路106の上方に持上し、支持する。本実施形態では、中間部分112は、両矢印402によって示されるように、オフ位置(実線で示される)とオン位置(図5に破線で示される)との間で並進する。そのような実施形態では、MEMS構造物124の並進可能部分(明確化のために図4および5に図示せず)は、中間部分112に機械的に結合され、中間部分112をオフ位置とオン位置との間で並進させる。そのような実施形態では、導波路104の中間部分112は、MEMS構造物124の並進可能部分によって支持され、並進される。したがって、図12および13は、中間部分112をワイヤフレーム上に、および導波路106の端部部分110をワイヤフレームの下方に設置するように修正され得る。他の点では、光スイッチ400は、本明細書に説明される光スイッチ600に類似する。
別の導波路の側にある並進可能な光学構成要素
【0084】
図14および15は、導波路106の端部部分110が他方の導波路104の中間部分112の上方に位置合わせされていないことを除いて、図6-13に示される光スイッチ600に類似する、光スイッチ1400を図示する。代わりに、本実施形態によると、オン位置およびオフ位置の両方において、端部部分110は、上方から(表面108に対して法線方向に)視認されたとき、他方の導波路104から距離114を空けて側方に変位される。
【0085】
図14は、オフ状態にある光スイッチ1400を示し、図15は、オン状態にある光スイッチ1400を示す。図6-13に関して説明される光スイッチ600におけるように、光スイッチ1400では、端部部分110は、両矢印1402によって示されるように、垂直に並進する。しかしながら、導波路106の端部部分110は、端部部分110がオフ位置にあるか、またはオン位置にあるかどうかにかかわらず、他方の導波路104の中間部分112と垂直に位置合わせされていないままである。本実施形態では、オン状態において、導波路106の端部部分110および他方の導波路104の中間部分112は、図15の結合領域122によって示されるように、側方に結合する。したがって、本実施形態では、端部部分110は、前述の並進可能な光学構成要素である。
【0086】
図10-13に示されるMEMS構造物124に類似するMEMS構造物(明確化のために、図14および15に図示せず)は、端部部分110および中間部分112が相互から側方に変位されるが、端部部分110を並進させるために使用されてもよい。図10-13に関して説明されるMEMS構造物124は、並進可能な光学構成要素(結合器)の両側に撓曲部を有するが、並進可能な光学構成要素が、(図14および15におけるように)別の導波路を横切らない平面内で並進する場合には、図35および36に関して下記に説明されるように、MEMS構造物124は、片側のみに撓曲部を有してもよく、MEMS構造物124は、片側のみにおいて係留されてもよい。端部部分110は、他方の導波路104の中間部分112に隣接して垂直に並進するものとして説明されることができる。したがって、本実施形態では、端部部分110および中間部分112の配置側面は、隣接している、横並びにある、または位置合わせされていないものとして説明され得る。
【0087】
図1を参照すると、導波路104が、別の光スイッチ(図示せず)または別の光学構成要素(図示せず)まで継続する場合、導波路104は、「バス(bus)」導波路と称され得、他方の導波路106は、光スイッチ100がオン状態にあるとき、他方の導波路106が、バス導波路から光を「取込」するため、「取込(pick-off)」導波路と称され得る。上記に説明されるように、光スイッチ100の一側面は、バス導波路の中間部分112および取込導波路の端部部分110の相対的垂直位置である。図2、3、および6-14は、取込導波路106の端部部分110が、少なくともオフ状態において、フォトニックチップ102に対してバス導波路104の中間部分112より高く配置される、光スイッチ200、600、および1400を示す。他方では、図4および5は、取込導波路106の端部部分110がバス導波路104の中間部分112より低く配置される、光スイッチ400を示す。
【0088】
光スイッチ100の別の側面は、バス導波路の中間部分112および取込導波路の端部部分110の相対的水平位置である。図2-13は、取込導波路の端部部分110がバス導波路の中間部分112と垂直に位置合わせされる、光スイッチ200、400、および600を示す。これらの実施形態では、並進可能な光学構成要素は、端部部分110であろうと、中間部分112であろうと、図16に示されるように、他方の導波路を横切る平面1600内で並進する。並進可能な光学構成要素は、両矢印1602によって示されるように、軸に沿って並進する。他方では、図14および15は、取込導波路の端部部分110が側方に変位され、したがって、バス導波路の中間部分112と垂直に位置合わせされていない、光スイッチ1400を示す。本実施形態では、並進可能な光学構成要素は、他方の導波路を横切らない平面内で並進する。
並進可能な光学構成要素
【0089】
光スイッチ100の別の側面は、光スイッチがオン状態にあるときに生じる結合のタイプ(断熱または共振)に影響を及ぼし得る、並進可能な光学構成要素の性質を伴う。図17は、一方の導波路106の端部部分110および他方の導波路104の中間部分112が、設計波長におけるほぼ等しい実効屈折率を有する、光スイッチの斜視図である。本場合には、端部部分110および中間部分112がオン位置にあるとき、端部部分110と中間部分112との間の結合は、共振性である。
【0090】
材料と、寸法とを含む、いくつかの要因が、屈折率に影響を及ぼす。したがって、実効屈折率をほぼ等しくするための1つの方法は、端部部分110および中間部分112を同一の材料で作製し、それらの個別の寸法をほぼ等しくすることである。しかしながら、端部部分110および中間部分112が、異なる材料から作製される場合、それらの個別の実効屈折率は、当業者に周知であるように、それらの個別の寸法を調節することによって、ほぼ等しくされ得る。同様に、端部部分110および中間部分112の個別の寸法が、異なる場合、それらは、それらの個別の材料の慎重な選択によって、ほぼ等しい実効屈折率を有するようにされ得る。
【0091】
共振結合器では、光パワーが、異なる伝搬速度を有する対称的モードおよび非対称的モードに起因して、2つの導波路104と106との間で伝達される。共振結合器の長さが、適切に選択される場合、入力パワーは、当業者に公知であるように、出力導波路間で任意に分割されることができる。別様に示されない限り、本明細書に説明される実施形態では、共振結合器は、実践的である限り完全にパワーを伝達するように設計され、したがって、光スイッチは、オン/オフスイッチであると見なされることができる。しかしながら、他の実施形態では、共振結合器の長さは、光スイッチがオン状態にあるとき、実践的である限りの多くのパワー未満のものが、伝達され、パワーの残りが、他方の導波路を通して継続するように選択される。
【0092】
したがって、共振結合器に関して、共振結合が、導波路104と106との間の間隔に非常に依存するため、光スイッチがオン状態にあるとき、導波路104および106の結合部分の相対位置を正確に制御することが、重要である。これは、MEMS構造物の運動をほぼ垂直運動のみに制約することによって、およびMEMS構造物が、オン位置にあるときに静置するための停止部1002(図10)等の物理的停止部を含むことによって、遂行され得る。
【0093】
端部部分110および中間部分112の実効屈折率を合致させること、およびMEMS構造物の運動を制約することは、達成することが困難である。本困難を回避するために、いくつかの実施形態では、図18に示されるように、2つの導波路104および106が、異なる屈折率を有する場合、端部部分110または中間部分112のうちの少なくとも一方が、光スイッチがオン状態にあるとき、端部部分110と中間部分112との間の断熱結合を促進するようにテーパ状になっている。図18に示される実施形態では、導波路106の端部部分110は、断熱結合器1800を形成するようにテーパ状になっている。端部部分110および中間部分112の材料および寸法が、断熱結合器1800内の誘導されたモードの実効屈折率が、最初に、他方の導波路104の実効モード屈折率未満であり、実効モード屈折率が、徐々に、入力光が伝搬する方向における、他方の導波路104の実効モード屈折率を上回る値まで増加するように、選定されるべきである。パワーが、2つの導波路104および106の個別の実効屈折率が交差するにつれて、それらの間に伝達される。
【0094】
そのようなテーパ状結合器1800は、導波路104および106のうちの一方または両方のわずかな不整合またはわずかな変位、製造非理想性、光スイッチ間の材料の変動等に対して比較的に耐性がある。他方では、加工公差が、共振結合器に関して厳密に保たれなければならない。
【0095】
本明細書に説明される光スイッチのうちのいずれも、図17-18に関して議論されるような、断熱結合器または共振結合器を採用し得る。さらに、共振結合は、一連の光スイッチを介して背景ノイズ低減または波長多重化/逆多重化の潜在的恩恵を有し得る、波長選択性をもたらし得る。
光結合「フラストレータ」
【0096】
図19は、本発明の別の実施形態による、光スイッチ1900の斜視図である。図14および15に示される光スイッチ1400と同様に、2つの導波路104および106は、相互から距離114を空けて側方に変位される。しかしながら、光スイッチ1400とは異なり、導波路104または106のいずれも(一方の導波路106の端部部分110も、他方の導波路の中間部分112も)、並進しない。代わりに、導波路106の端部部分110および他方の導波路104の中間部分112は、中間部分112が、設計波長において少なくとも85%の結合効率を伴って端部部分110に結合されるように、フォトニックチップ102に対して定位置に固定される。両方の導波路を定位置に固定された状態に保つことによって、導波路間隔に関するより厳密な公差が、確実にされることができる。記載されるように、光スイッチがオン状態にあるときに導波路104および106の結合部分の相対位置を正確に制御することは、高効率の共振結合のために重要である。対照的に、SeokおよびHanによる先行技術光スイッチは、2つの結合器を並進させ、これは、整合および間隔問題を生じさせ得る。
【0097】
光スイッチ1900では、並進可能な光学構成要素は、導波路106の端部部分110の上方に配置される、膜1902(「光結合フラストレータ」)である。膜1902は、MEMS構造物124の並進可能部分(明確化のために図示せず)に機械的に結合される。したがって、MEMS構造物124の並進可能部分は、両矢印1904によって示されるように、MEMS構造物124の並進可能部分が光スイッチ1400内で導波路106の端部部分110を並進させる方法に類似する様式において、膜1902を垂直に並進させる。MEMS構造物124は、図14および15に示される光スイッチ1400に関して説明される、MEMS構造物124に類似する。
【0098】
膜1902の材料および寸法およびそれにわたって膜が並進する距離1904が、膜1902が、端部部分110から遠位の第1の位置(「オン」位置)にあるとき、膜1902と導波路106の端部部分110との間の相互作用が最小限またはごくわずかになり、光が、少なくとも約85%の効率を伴って、第1の導波路104から第2の導波路106の中に結合するが、しかしながら、膜1902が、端部部分110に近接する第2の位置(「オフ」位置)にあるとき、膜1902が端部部分110と強く相互作用するように、選択される。本相互作用は、2つの導波路104と106との間の対称性を破ることによって、2つの導波路104と106との間の結合を妨げる。対称性の破れは、上記に説明される対称的モードおよび非対称的モードの存在を防止し、その結果、いかなる結合も、2つの導波路104と106との間に生じない。結合フラストレータ1902が、オフ位置にあるとき、2つの導波路104および106は、もはや、位相合致しておらず、そのため、パワーが、導波路104と106との間で結合されることはできない。
【0099】
図19に示される実施形態では、結合フラストレータ1902は、導波路106の端部部分110のみの上方に配置されるが、図20に示される別の実施形態では、光スイッチ2000において、結合フラストレータ1902が、他方の導波路104の中間部分112にわたって配置される。図21に示されるさらに別の実施形態では、光スイッチ2100において、結合フラストレータ1902は、ある程度まで、一方の導波路106の端部部分110および他方の導波路104の中間部分112の両方にわたって配置される。
【0100】
光スイッチ1900(図19)におけるように、結合フラストレータ1902を導波路106の端部部分110のみの上方に配置することは、利点を有する。例えば、光は、結合フラストレータ1902の中にそれほど強く結合せず、結合フラストレータ1902は、光学的に損失的な材料から作製されてもよい。結合フラストレータ1902が、導波路104の上方に配置される場合、結合フラストレータ1902は、それ自体で誘導モードを有さないように十分に薄く作製されるべきであり、結合フラストレータ1902は、低光学損失を有するべきである。
【0101】
図22に示される別の実施形態では、光スイッチ2200において、一方の導波路106の端部部分110は、他方の導波路104の中間部分112の上方に位置合わせされる。光スイッチ1900、2000、および2100におけるように、端部部分110および中間部分112は、結合フラストレータ2202がない状態で、結合するようにともに十分に近接して配置される。しかしながら、光スイッチ1900-2100とは異なり、光スイッチ2200では、光学フラストレータ2202が、2つの導波路104および106の側面に沿って、垂直に並進する(2204)。すなわち、光学フラストレータ2202は、2つの導波路104および106から距離114を空けて側方に変位され、光学フラストレータ2202は、2つの導波路104および106を横切らない平面(図示せず)内で並進する。
【0102】
光学フラストレータ1902または2202を並進させる光スイッチ実施形態1900-2200では、光は、必ずしもMEMS構造物124によって画定される体積を通して通過する必要はない。したがって、光は、可能性として考えられる一過性相互作用を除いて、MEMS構造物124の材料に入射しない。したがって、ある光学損失を呈する材料が、MEMS構造物124のために使用され得、これは、ほぼ900nmの波長が、いくつかの用途において特に着目に値するという点で重要である。これらの波長は、(下記に議論される)図23および24においてモデル化されるものに類似する、吸収長を伴うシリコンによって、吸収される。他のMEMSデバイスは、それらの個別の導波路内ではこれらの光学損失に相容れない場合がある。しかしながら、図23および24に示されるように、これらの光学損失は、MEMS光学フラストレータ1902または2202において許容されることができ、シリコンがMEMS構造物124のための材料として使用されることを可能にする。これは、シリコンが、その物理的および電気的性質およびその加工のし易さに起因して、MEMSデバイスのための好まれる材料であるため、重要である。
【0103】
2つの導波路104および106が、図22におけるように上下に重なって配置されるか、または図19におけるように横並びに配置されるかのいずれかである、光スイッチのさらに他の実施形態(図示せず)では、結合フラストレータは、オフ状態において、結合フラストレータが、他方の導波路に対して導波路の伝搬モードの実効屈折率を偏移させるように導波路のうちの一方に十分に近接している限り、垂直にではなく、側方に並進してもよい。
光スイッチの組み合わせられた側面
【0104】
記載されるように、本明細書に説明される光スイッチは、(a)一方の導波路の端部部分が、別の導波路の中間部分に隣接する、またはその上部にあるかどうかと、(b)端部部分が、中間部分の上方または下方にあるかどうかと、(c)オン状態において、2つの導波路が、共振的に結合される、または断熱的に結合されるかどうかと、(d)可能性として考えられるスイッチ状態の数と、(e)スイッチ状態を変化させるように並進する、光学構成要素と、(f)並進可能な光学構成要素の性質とを含む、種々の側面を伴う。これらの側面は、種々の方法において組み合わせられ得る。例えば、図2-4を参照して説明される光スイッチ200は、共振結合器または断熱結合器を含み得る。同様に、図4-5を参照して説明される光スイッチ400も、共振結合器または断熱結合器を含み得る。
光スイッチの外側境界
【0105】
光スイッチ100は、並進可能な光学構成要素と、MEMS構造物124とを含む、最小に定寸された長方形面積を画定する、外側境界136(図1)を有する。外側境界136は、MEMS構造物124と、第1の光導波路104の中間部分112または第2の光導波路106の端部部分110であり得る、並進可能な光学構成要素とを含む、フォトニックチップ102上の最小の長方形面積である。図1に見られ得るように、入力/出力ポート130-134は全て、外側境界136の外側に配置される。第1の光導波路104の各端部(図示せず)は、外側境界136の外側に配置される。第1の光導波路104の中間部分112は、外側境界136内に配置される。第2の光導波路106の第1の端部部分110は、外側境界136内に配置される。第1の端部部分110の反対にある、第2の光導波路106の第2の端部(図示せず)が、外側境界136の外側に配置される。MEMS構造物124は、外側境界136内に配置される。
コンピュータシミュレーション
【0106】
図23および24は、Lumerical, Inc.製のMode SolutionsソフトウェアのBidirectional Eigenmode拡張およびvarFDTDエンジンを用いて実施される、光スイッチ1900(図19)のコンピュータシミュレーションの結果を示す。シミュレーションは、導波路内に、入力導波路および出力導波路を分離するための、図19に示されるものを越えた、余剰屈曲部を含む。表1は、シミュレーションにおいて使用された例示的デバイスパラメータを列挙する。図23は、オン状態にある、すなわち、結合フラストレータ1902が導波路の端部部分110から遠位にある、光スイッチ1900のシミュレーションの結果を示す。図24は、オフ状態にある、すなわち、結合フラストレータ1902が端部部分110に近接している、光スイッチ1900のシミュレーションの結果を示す。シミュレートされる膜材料は、有意な光学損失(約100ミクロンの吸収長)を有するように選定され、さらに、光スイッチ1900の性能は、依然として、優れていた。図23および24から分かり得るように、光スイッチ1900は、両方の状態において、低光学損失および優れた減衰を呈する。
【表1】
【0107】
図25および26は、他方の導波路104の中間部分112の下方に配置される断熱結合器2502を含む、光スイッチ2500の斜視図である。断熱結合器が、図18に関して説明された。光スイッチ2500の他の側面が、図4、5、10、11、および18等に関して本明細書に説明される、他の実施形態に類似する。図25および26は、MEMS構造物124の並進可能部分をワイヤフレームとして図示する。図25は、光スイッチ2500がオフ状態にある、すなわち、中間部分112が断熱結合器2502から遠位にあるときのMEMS構造物124を図示し、図26は、光スイッチ2500がオン状態にある、すなわち、中間部分112が断熱結合器2502に近接しているときのMEMS構造物124を図示する。矢印2504が、光スイッチ2500を通した、導波路104から導波路106への光伝搬の経路を示す。
【0108】
図27、28、29、および30は、光スイッチ2500に関するコンピュータシミュレーション結果を示す。表2は、シミュレーションにおいて使用された例示的デバイスパラメータを列挙する。
【表2】
【0109】
図27および29は、それぞれ、光スイッチ2500がオフ状態およびオン状態にあるときの、断面平面2506から視認されたときの、光スイッチ2500の断面内の種々のx-y座標における、すなわち、断熱結合器2502の始点における(光伝搬の方向における)、光パワー(モードプロファイル)のグラフを描写する。図28および30は、それぞれ、光スイッチ2500がオフ状態およびオン状態にあるときの、断面平面2508から視認されたときの、光スイッチ2500の断面内の種々のx-y座標における、すなわち、断熱結合器2502の端部における(光伝搬の方向における)、光パワー(モードプロファイル)のグラフを描写する。
【0110】
図27-30では、位置2700は、バス導波路104を表し、位置2702は、他方の導波路106を表す。光スイッチ2500が、オフ状態にあるとき、伝搬モードは、図27および28に見られ得るように、上側バス導波路104(位置2700)に限局されたままであり、すなわち、いかなる光も、断熱結合器2502に結合されない。しかしながら、光スイッチ2500が、オン状態にあるとき、伝搬モードは、断熱結合器2502(図29)の始点に対応するx位置におけるバス導波路104に見られ得るが、断熱結合器2502の終了点に対応するx位置によって、伝搬モードは、パワーの大部分が、底部導波路106(図30)内に限局されている状態で、バス導波路104から底部導波路106に結合されている。
【0111】
導波路104および106のために窒化ケイ素を使用する光スイッチ2500の一実装に関する寸法が、表2に提供される。光スイッチ2500の全長および導波路寸法は、光スイッチ2500の所望の合計サイズおよび要求される性能に応じて調節されることができる。他の材料、例えば、シリコン、サファイア、二酸化チタン、ダイヤモンド、炭化ケイ素、およびカルコゲニドガラスも、光スイッチ2500によって対処されるべき動作および光パワーの所望の波長に応じて、導波路のために使用されることができる。
付加的/代替的な構造および/または材料
【0112】
図31は、本発明のある実施形態による、導波路または結合フラストレータを並進させるためのMEMS構造物124の一部の上面図であり、図32は、その側面図(オフ状態にある光スイッチ)であり、図33は、その側面図(オン状態にある光スイッチ)であり、図34は、その断面図である。図34の厚さ寸法(それぞれ、約100nmおよび約300nm)は、シリコンが豊富な窒化ケイ素材料を含み、約1,550nmの波長において動作する実施形態のために良好に作用する、寸法の実施例である。しかしながら、他の実施形態では、厚さ、導波路材料、および波長は、設計選択肢に応じて変動し得る。距離3300(図33)は、いくつかの実施形態では、作動領域内の張力に適合するように約100μmまたはより長い。本MEMS構造物124は、主に、2つの導波路104および106が上下に重なって配置される、光スイッチに適用可能である。理想的には、電気絶縁体である可能性が高い、導波路材料が、MEMS構造材料の上および電極の上に堆積される。代替として、MEMS構造材料が、導波路材料の上に堆積されてもよい。しかしながら、これは、上部電極と底部電極との間に電気絶縁体をもたらす。
【0113】
図35は、本発明の別の実施形態による、導波路または結合フラストレータを並進させるためのMEMS構造物124の一部の上面図であり、図36は、その断面図である。図35に示される、導波路と作動のためのパッドとの間の薄いスラブは、随意である。図36は、下側導波路の真上の上側の導波路を示すが、下側導波路は、上側導波路の真下にある必要はない。図34の厚さ寸法(それぞれ、約100nmおよび約300nm)は、シリコンが豊富な窒化ケイ素材料を含み、約1,550nmの波長において動作する実施形態のために良好に作用する、寸法の実施例である。しかしながら、他の実施形態では、厚さ、導波路材料、および波長は、設計選択肢に応じて変動し得る。スイッチオフ状態およびオン状態の側面図は、図32および33に類似する。本MEMS構造物124は、主に、図14、15、および22等に示される、導波路または結合フラストレータの一部が1つまたはそれを上回る他の導波路の側面に沿って垂直に並進する実施形態等において、並進する上側層が片側のみに係留され得る、光スイッチに適用可能である。
【0114】
作動が、図35-36におけるように片側のみにおいて生じる状態では、停止部が、上側導波路および下側導波路の接触を防止するために使用されてもよい。そうでなければ、単一の電極対が、少なくとも、MEMS構造物が作動されるとき、導波路の両側における1つの電極対と対照的に、傾斜した上側導波路をもたらす可能性が高いであろう。停止部が、MEMS構造物の作動部分を平坦化する。
【0115】
図37および38は、本発明の別の実施形態による、個別のオフ状態およびオン状態にある、MEMS構造物124の側面図である。本実施形態では、相互を静電的に誘引または反発させる、一対の電極ではなく、圧電材料が、作動のために使用される。本圧電材料は、上部導体に印加される作動電圧に応答して、拡張または収縮する。本拡張または収縮は、図38に示されるようなMEMS構造物の屈曲をもたらす。下側停止部は、MEMS構造物の並進を限定し、したがって、MEMS構造物を右に平坦化する。
【0116】
図39は、本発明の別の実施形態による、オン状態にある、MEMS構造物124の上面図である。本MEMS構造物124は、例えば、結合フラストレータを並進させるために使用されてもよい。MEMS構造物124の上部3900は、導波路106の端部部分110を含む、上部の下方の構成要素を露見させることのみのために、概略的に示される。矢印3902が、光が導波路104から導波路106に結合されるにつれて光によってとられる経路を示す。上部3900は、上部が並進するにつれて空気が穿孔を通して流動し、空気との摩擦を低減させることを可能にするように穿孔されてもよい。
【0117】
本明細書に説明される導波路および/またはMEMS構造物は、代替えとして、光スイッチの設計波長に応じて、窒化アルミニウムから作製されてもよい。本明細書に説明されるMEMS構造物は、代替として、窒化スカンジウムアルミニウムまたは種々の金属から作製されてもよい。
【0118】
本発明は、上記に説明される例示的実施形態を通して説明されるが、図示される実施形態への修正およびその変形例が、本明細書に開示される発明の概念から逸脱することなく成され得る。例えば、寸法および材料等の具体的なパラメータ値が、本発明の範囲内で開示される実施形態に関連して列挙され得るが、全てのパラメータの値が、異なる用途に適するように幅広い範囲にわたって変動し得る。文脈において別様に示される、または当業者によって別様に理解されないであろう限り、「約」等の用語は、±20%以内を意味する。
【0119】
請求項を含め、本明細書に使用されるように、項目の列挙に関連して使用される用語「および/または」は、列挙における項目のうちの1つまたはそれを上回るもの、すなわち、列挙における項目のうちの少なくとも1つを意味し、必ずしも列挙における項目の全てを意味するわけではない。請求項を含め、本明細書に使用されるように、項目の列挙に関連して使用される用語「または」は、列挙における項目のうちの1つまたはそれを上回るもの、すなわち、列挙における項目のうちの少なくとも1つを意味し、必ずしも列挙における項目の全てを意味するわけではない。「または」は、別様に示されない限り、「排他的または」を意味するものではない。
【0120】
開示される側面またはその一部は、上記に列挙されていない、および/または明示的に請求されていない方法で組み合わせられてもよい。加えて、本明細書に開示される実施形態は、本明細書に具体的に開示されていないいかなる要素もない状態で適切に実践され得る。故に、本発明は、開示される実施形態に限定されるものとして見なされるべきではない。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26
図27
図28
図29
図30
図31
図32
図33
図34
図35
図36
図37
図38
図39
【国際調査報告】