(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-11-29
(54)【発明の名称】皮膚または粘膜への局所適用のための製剤
(51)【国際特許分類】
A61K 38/46 20060101AFI20221121BHJP
A61K 38/43 20060101ALI20221121BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20221121BHJP
A61K 9/10 20060101ALI20221121BHJP
A61K 47/36 20060101ALI20221121BHJP
A61Q 19/00 20060101ALI20221121BHJP
A61K 8/66 20060101ALI20221121BHJP
A61K 9/127 20060101ALI20221121BHJP
【FI】
A61K38/46
A61K38/43
A61P43/00 121
A61K9/10
A61K47/36
A61Q19/00
A61K8/66
A61K9/127
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022519508
(86)(22)【出願日】2020-09-25
(85)【翻訳文提出日】2022-05-24
(86)【国際出願番号】 EP2020076913
(87)【国際公開番号】W WO2021058748
(87)【国際公開日】2021-04-01
(32)【優先日】2019-09-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522120521
【氏名又は名称】セバン,サンドゥリヌ
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】特許業務法人HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】セバン,サンドゥリヌ
【テーマコード(参考)】
4C076
4C083
4C084
【Fターム(参考)】
4C076AA16
4C076AA19
4C076AA72
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4C084ZA891
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4C084ZC751
(57)【要約】
本発明は皮膚または粘膜への局所適用のための製剤に関し、前記製剤は活性物質として酵素複合体を含む粉末組成物と、適用される製剤を得るために前記粉末組成物と混合されることが意図される液体組成物との両方を含み、前記液体組成物は溶媒を含み、前記液体組成物および/または前記粉末状組成物は、さらに、前記液体組成物中に前記粉末組成物を分散させるための分散剤を含む。また本発明は、このような製剤の包装と調合のためのシステムに関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
皮膚または粘膜への局所適用のための製剤であって、前記製剤は、一方では、活性物質として酵素複合体を含む粉末組成物を含み、他方では、適用される前記製剤を得るために前記粉末組成物と混合されることが意図される液体組成物を含み、前記液体組成物は溶媒を含み、前記液体組成物および/または前記粉末組成物はさらに、前記液体組成物中に前記粉末組成物を分散させるための分散剤を含む、ことを特徴とする製剤。
【請求項2】
前記液体組成物は、精油または精油の混合物に基づいた追加の活性物質を含み、前記分散剤は、前記液体組成物中において前記追加の活性物質の分散が促進されるように構成されている、ことを特徴とする請求項1に記載の製剤。
【請求項3】
前記追加の活性物質が、治癒、消毒、浮腫抑制、止血、抗炎症および/または鎮痛の少なくとも1つの特性を有する精油を少なくとも1つ含む、ことを特徴とする請求項2に記載の製剤。
【請求項4】
前記製剤は、1重量%~5重量%の精油複合体を含む、ことを特徴とする請求項2または3に記載の製剤。
【請求項5】
前記製剤は、2重量%~40重量%、好ましくは5重量%~20重量%の分散剤を含む、ことを特徴とする請求項1~4のいずれか1項に記載の製剤。
【請求項6】
前記液体組成物は、保湿、緩和、抗炎症、抗浮腫、治癒、回復、抗酸化、抗セルライトおよび/または抗皺の少なくとも1つの特性を有する少なくとも1つの追加の活性物質を含み、前記活性物質は、具体的には、アロエベラ、多糖類および/またはグリセリンに基づいたものである、請求項1~5のいずれか1項に記載の製剤。
【請求項7】
前記製剤は、0.1~5重量%の抗菌剤を含み、具体的には、レブリン酸ナトリウム、アニス酸ナトリウム、クロルヘキシジンおよび/またはカプリル酸グリセリルをベースとする抗菌剤を含む、ことを特徴とする請求項1~6のいずれか1項に記載の製剤。
【請求項8】
前記製剤は、0.1重量%~2重量%のゲル化剤を含み、具体的には、植物ガムをベースとするゲル化剤を含み、好ましくはキサンタンガムをベースとするゲル化剤を含む、ことを特徴とする請求項1~7のいずれか1項に記載の製剤。
【請求項9】
前記酵素複合体がヒアルロニダーゼを含有する、ことを特徴とする請求項1~8のいずれか1項に記載の製剤。
【請求項10】
前記酵素複合体がリポソーム形態のヒアルロニダーゼを含有する、ことを特徴とする請求項9に記載の製剤。
【請求項11】
前記製剤は、1重量%~25重量%、好ましくは3重量%~16重量%の酵素複合体を含む、ことを特徴とする請求項1~10のいずれか1項に記載の製剤。
【請求項12】
前記酵素複合体が、組織透過性を促進する少なくとも1つの酵素を含む、ことを特徴とする請求項1~11のいずれか1項に記載の製剤。
【請求項13】
前記粉末組成物がアンチケーキング剤を含む、ことを特徴とする請求項1~12のいずれか1項に記載の製剤。
【請求項14】
前記製剤は、40重量%~90重量%、好ましくは50重量%~75重量%の溶媒、具体的には脱塩水、を含む、ことを特徴とする請求項1~13のいずれか1項に記載の製剤。
【請求項15】
前記製剤は、3~20重量%の粉末組成物と、80~97重量%の液体組成物と、を含む、ことを特徴とする請求項1~14のいずれか1項に記載の製剤。
【請求項16】
請求項1~15のいずれか1項に記載の製剤の包装および調合のためのシステムであって、局所適用のための前記製剤の前記調合を行う装置(4)を装備した本体(3)を含む、システム。
【請求項17】
前記装置(4)は、使い捨てパッチをさらに含み、前記パッチによって局所適用を実施するために、前記パッチ上で前記製剤を調合する構成となっている、ことを特徴とする請求項16に記載のシステム。
【請求項18】
前記装置(4)は、前記製剤の局所適用を可能にするためのアプリケータ(18)を備える、ことを特徴とする請求項16に記載のシステム。
【請求項19】
前記本体(3)は、別個の第1のリザーバ(5)および第2のリザーバ(6)を有し、各リザーバは、前記粉末組成物および前記液体組成物のうちのいずれか1つ(1、2)を包装し、
前記システムは、前記本体内において前記粉末組成物および前記液体組成物を即時に混合して前記製剤を得るための手段(7、8)をさらに含む、ことを特徴とする請求項17または18に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
本発明は、特に医学的および/または審美的介入との関連において、皮膚または粘膜への局所適用のための酵素複合体を含む製剤、ならびに局所適用のためのそのような製剤の包装および調合のためのシステムに関する。
【0002】
一形態として、前記酵素複合体は、特にヒアルロニダーゼを含有する。また、前記複合体は、リパーゼ、プロテアーゼ、ブロメラインおよび/またはQ10補酵素などの他の酵素を含んでもよい。
【0003】
ヒアルロン酸は、ヒトおよび動物の組織、特に皮膚に広く存在する生物学的産物である。ここで、ヒアルロン酸は、細胞内空間を満たし、そして特に組織の水和および凝集に関与する。
【0004】
さらに、ヒアルロニダーゼは、ヒアルロン酸を分解することによって組織の透過性を増加させることができる酵素または酵素群である。例えば、天然の状態ではヒアルロニダーゼは精子の原形質膜に見られ、ヒアルロニダーゼが卵子の保護層に存在するヒアルロン酸を分解することによって、精子が卵子に侵入することを可能にする。
【0005】
この性質のため、ヒアルロニダーゼは、医薬、特に他の薬との併用において頻繁に用いられ、生体内での薬の分散を加速する。
【0006】
ヒアルロニダーゼはまた、美容医学の分野における注入として、特に、ヒアルロン酸をベースとした賦形剤の注入に対する補足として、見苦しいと考えられる効果を矯正するために、またはヒアルロン酸の前記注入による副作用および/または合併症が生じた場合に、広く用いられる。
【0007】
実際、賦形剤が、過多な量で、過度に不均一に、および/または皮膚の不十分に選択された領域に注入されると、処置された皮膚は不自然な外観、特に非対称性および/または腫脹を伴って矯正不良となる。顔に対してその注入が行われてしまうと、より問題となる。
【0008】
さらに、このような注入は、浮腫、塞栓症などの健康に危険な可能性のある副作用および/または医学的合併症を引き起こす可能性がある。
【0009】
したがって、これらの副作用を矯正するために、例えば次の文献に説明されるように、特に、ヒアルロニダーゼを含有する製剤を前記皮膚に注入(注射)することによって、皮膚をヒアルロニダーゼにより治療することが可能である。
‐“Hyaluronidase in the correction of hyaluronic acid-based fillers: a review and a recommendation for use”(RZANY, BECKER-WEGERICH, BACHMANN, ERDMANN, WOLLINA, Journal of Cosmetic Dermatology, December 2009)
‐“The Kinetics of Reversible Hyaluronic Acid Filler Injection Treated With Hyaluronisade”(JUHASZ, LEVIN, MARMUR, Dermatologic Surgery, Volume 43(6), pp. 841-847, American Society for Dermatology Surgery, June 2017)
‐“Hyaluronidase in cosmiatry: what should we know?”(ADA REGINA TRINDADE DE ALMEIDA, ANA FLAVIA NOGUEIRA SALIBA, Surgical and Cosmetic Dermatology, Volume 7(3), January 2015)
特に、前記製剤はヒアルロニダーゼを含む粉末状組成物を適切な溶媒中で混合することによって調製することができ、その使用までヒアルロニダーゼ酵素の安定性を保存するために当該混合は即時に行うことが好ましい。
【0010】
皮下注射に関連する外傷(血腫、打撲傷、浮腫など)のリスクを制限するために、適切な製剤の局所適用によってヒアルロニダーゼを皮膚の表層または粘膜上に投与することを検討することも可能である。
【0011】
特に、注射の場合、最も頻繁に報告される望ましくない効果は、注射部位での中程度の局所反応:刺激、感染、出血または血腫、皮膚の軟化、衰弱である。アナフィラキシー反応を含む重篤なアレルギー反応が報告されている。さらに、アレルギー反応には、眼科における局所麻酔薬に関連したヒアルロニダーゼの使用による眼窩周囲浮腫の症例が含まれている。また、眼球突出の症例が報告されている。眼科手術において顔面血管浮腫が数例観察され、良好な転帰をたどっている。また、皮下注射に伴う浮腫が報告されている。
【0012】
それ故、国際公開公報2009/037566は、局所適用のための、特に美容目的のための、ローションまたはクリームの形態の製剤における特定のヒアルロニダーゼの使用を提供する。美容目的とは、例えば、次のようなものが挙げられる。
- しわの予防または減少;
- 特に外科的切開、やけどまたはにきびによる瘢痕の予防または減弱;
- 適切な活性物質と組み合わせた毛管および/または毛髪成長の刺激または減弱。
【0013】
ヒアルロン酸の注射に起因する不具合および/または副作用を矯正するために、ヒアルロニダーゼを含有する製剤を、治療される皮膚または粘膜における非常に特異的な領域に投与することが必要であり、これは、実際には局所適用のための製剤で達成することが困難であることが判明している。
【0014】
特に、製剤はその適用後に流動しないように十分に高い粘度を有するべきであるが、製剤はまた、その適用および浸透を十分に促進するために、流体のままであるべきである。
【0015】
この目的のために、粘度調整剤(consistency agent)を添加することによって、製剤の粘度の最適化を検討することが可能である。
【0016】
しかしながら、この手法では、溶媒中のヒアルロニダーゼ粉末の分散に問題をきたし得るという点で、十分な満足は得られず、望ましくない。
【0017】
本発明は特に、皮膚または粘膜への非常に正確な方法での局所適用を可能にするのに十分な粘度を有する酵素複合体を含有する製剤を提案する一方で、前記製剤中の前記酵素複合体の均一な分散を保証するように適合させることによって、先行技術を改善することを目的とする。
【0018】
この目的のために、本発明の第1の態様によれば、本発明は、皮膚または粘膜への局所適用のための製剤を提供し、前記製剤は、一方では、活性物質として酵素複合体を含む粉末組成物を含み、他方では、適用される前記製剤を得るために前記粉末組成物と混合されることが意図される液体組成物を含み、前記液体組成物は溶媒を含み、前記液体組成物および/または前記粉末組成物はさらに、前記液体組成物中に粉末組成物を分散させるための薬剤を含む。
【0019】
また、本発明の第2の態様によれば、本発明はそのような製剤の包装および調合(dispensing)のためのシステムを提供し、前記システムは、前記製剤の局所適用のための前記調合を行う装置を備えた本体を含む。
【0020】
本発明の他の特徴および利点は、以下添付の図面を参照してなされる以下の説明において明らかになるであろう;
図1aおよび
図1bは、それぞれ、本発明の第1の実施形態に係るシステムについて、使用ストローク上の破壊装置の変位の前(
図1a)および後(
図1b)の状態を、概略的に示す縦断面図である;
図1cは、
図1aおよび
図1bの破壊装置の斜視上面図である;
図2aおよび
図2bは、本発明の第2の実施形態によるシステムについて、使用ストローク上の破壊装置の変位の前(
図2a)および後(
図2b)の状態を、それぞれ縦断面で概略的に示す;
図3a、
図3bおよび
図3cは、組成物の混合後に製剤の局所適用を実施するための、先の図のシステムの調合用の装置と関連付けられ得るアプリケータの例を概略的に示したものである。
【0021】
以下では、皮膚または粘膜への局所適用のための製剤は特に、医療および/または審美的介入、ならびにそのような製剤を包装および調合するためのシステムの関連について記載する。
【0022】
前記製剤は、一方では、活性物質として酵素複合体を含む粉末状組成物を含み、他方では、適用される前記製剤を得るために前記粉末状組成物と混合されることが意図される液体組成物を含む。具体的には、適用される製剤は、クリームまたはローションの形態である。
【0023】
一実施形態によれば、酵素複合体は、特にヒアルロニダーゼを含有する。製剤は、これにより、美的目的で、特にヒアルロン酸をベースとした賦形剤の注入に対する補足として、皮膚または粘膜に適用され得る。
【0024】
酵素複合体はまた、単独で、または組み合わせて、他の酵素を含み得る。他の酵素とは、例えば、以下のようなものである:
- リパーゼ(脂肪沈着物の除去を容易にするために抗セルライト製品に使用されるものであり、皮脂を除去するための酵素的ピーリングに使用されるもの);
- プロテアーゼ(死んだ皮膚を排除し、細胞の再生を促し、皮膚の再生を促進するための酵素的ピーリングに使用されるもの)。
また、以下も、組織透過性を促進する;
・ パイナップル由来のブロメライン(プロテアーゼの作用機序と同様のタンパク質分解作用をもつ);
・ Q10補酵素(強力な抗酸化物質であり、組織DNAを回復させ、細胞への酸素供給を増加させる)。
【0025】
酵素複合体は、ヒアルロニダーゼが例えばマルトデキストリンに平均0.01%配合された化合物を、90重量%~100重量%、特には95重量%を超えて含むことができる。一実施形態によれば、酵素複合体はまた、リパーゼおよびプロテアーゼがそれぞれ平均0.01%配合された第2の化合物も、1重量%未満含む。この酵素複合体は特に、99.5:0.5のこれらの2つの化合物の重量比率を含み得ることによって、組織の透過性を促進する。
【0026】
ヒアルロニダーゼを含有する製剤は、好ましくは以下のような美的治療のために使用することができるが、これらに限定されるものではない:
- シワの予防または軽減;
- 特に外科的切開、やけどまたはにきびによる瘢痕の予防または減弱;
- 適切な活性物質と組み合わせた毛管および/または毛髪成長の刺激または減弱;
- セルライトの処置。
【0027】
また、この製剤は、ヒアルロン酸注入による副作用、特に皮膚の補正における欠陥(例えば腫脹および/または非対称性)を補正するために、および/または、健康に潜在的な危険をもたらすおそれのある浮腫や塞栓症のような医療合併症を処置するためにも使用され得る。
【0028】
この製剤は、実施したい医学的および/または美的治療に応じて、1重量%~25重量%、好ましくは3重量%~16重量%の酵素複合体を含むことができる。特に、治療効果は、使用濃度および使用量に比例する。さらに、局所適用は、製剤に拡散効果があるため、考慮される領域に対して極めて正確な様式で行われるべきである。
【0029】
例えば、以下の割合でヒアルロニダーゼを含有する酵素複合体を含む製剤を提供することが可能である:
- 注入直後の浮腫または口唇部の粘膜の治療の場合には、約4重量%の酵素複合体;
- ヒアルロン酸または頬骨部の過剰注入の治療の場合には、約8重量%の酵素複合体;
- 塞栓症のような重篤な医学的合併症の治療には、ヒアルロニダーゼ注入に補足して、約15重量%の酵素複合体。
【0030】
有利には、酵素複合体が、リポソーム形態のヒアルロニダーゼを含む。これにより、ヒアルロニダーゼの保存および皮膚浸透を改善することを可能にする。
【0031】
実際、リポソームは球状脂質小胞であり、一旦形成されると、安定な構造であり、その膜は、表皮の表面層の構造を生体模倣した構造を有するリン脂質の1つまたはいくつかの二重層からなる。したがって、リポソームは、特に良好に皮膚に浸透する能力を有する。
【0032】
製剤は、以下を含む:
- 3~20重量%の粉末組成物、および
- 80~97重量%の液体組成物。
【0033】
このような量の粉末組成物を含む製剤は、ペースト状で、その粘度によって、比較的不快な外観を付与することに加えて、例えば、調合のために使用されるシステムに残渣を形成することによって、その調合を難しくするだけでなく、その局所適用も困難にする場合がある。
【0034】
そこで、これらの欠点を克服するために、粉末組成物はアンチケーキング剤を含み、粉末組成物が液体組成物との混合において塊となることを回避する。
【0035】
具体的には、製剤は、アンチケーキング剤として、例えばディクタメン根抽出物(Maranta arundinacea)、デンプン、特に米デンプン(Oryza sativaデンプン)および/またはタルクをベースとするアンチケーキング剤を、1重量%~10重量%、好ましくは2重量%~5重量%、例えば約3重量%含む。
【0036】
液体組成物は、溶媒、特に脱塩水を含む。
【0037】
一実施形態によれば、製剤は、40重量%~90重量%、好ましくは50重量%~75重量%の溶媒を含む。
【0038】
さらに、液体組成物および/または粉末組成物には、粉末組成物を前記液体組成物中において分散させるための薬剤が含まれる。
【0039】
これにより、製剤は、皮膚または粘膜への非常に正確な様式でその局所適用を可能にするために満足な粘度で得られる一方で、前記製剤中の酵素複合体の均一な分散を保証するのに適している。
【0040】
有利には、液体組成物は、精油または精油の混合物をベースとした追加の活性物質を含み、前記液体組成物中の前記追加の活性物質の分散を改善するために前記液体組成物中に分散剤を含む。
【0041】
この目的を達成するために、分散剤は、以下を含むことができる:
- 50~70重量%のグリセリン;
- 20~30重量%の溶媒、特に水性溶媒;
- 1~10重量%の乳化剤、特に大豆レシチン系乳化剤。
【0042】
例えば、このような分散剤は、Solubol(登録商標)という商標で市販されており、また、場合によっては、以下のものを含むことも可能である:
- カボチャおよびココナッツの天然エキス;
- 0.01~0.1重量%のアスコルビン酸;
- 0.01~0.1重量%のクエン酸;
- 0.01~0.1重量%のトコフェロール;
- 0.01~0.1重量%のローズマリー(Rosmarinus officinalis)。
【0043】
また、製剤は、オレイン酸グリセリドに基づく分散剤、特にLabrafil(登録商標)、より具体的にはLabrafil(登録商標)M2125 CSの商標で商業化された製品の範囲から選択される分散剤を含んでもよい。
【0044】
分散剤は、均質な混合物を得るために、液体組成物中の先述した追加の活性物質の分散および/または液体組成物中の粉末組成物の分散を相乗的に改善することを可能にするいくつかの物を含み得る。さらに、使用される物のうちの少なくとも1つは、皮膚保湿の改善などの追加の効果を付与することができる。
【0045】
特に、製剤は、2重量%~40重量%、好ましくは5重量%~20重量%の分散剤を含む。
【0046】
追加の活性物質は、治癒、消毒、抗浮腫、止血、抗炎症および/または鎮痛の特性のうちの少なくとも1つを有する少なくとも1つの精油を含む。
【0047】
特に、追加の活性物質は、イタリアのヘリキリサム精油(Helichrysum italicumまたはgolden eternal flower精油)、cistus ladaniferus精油(Cistus ladaniferus)、ミルラ(myrrh)精油(Commiphora myrrha)、ラベンダー精油(Lavandula angustifolia)、フランキンケンス精油(Boswellia carteriiまたはBoswellia serrata)、ガウルテリア精油(Gaultheria procumbens)、茶樹精油(Melaleuca alternifolia)、ローズ・ゲラニウム精油(Pelargonium graveolens)、またはこれらの成分のうちの少なくとも2つの混合物から選択される少なくとも1つの精油を含む。
【0048】
有利には、製剤は以下を含む:
- 抗浮腫性、治癒、および消毒の目的で、0.1重量%~10重量%、好ましくは0.5重量%~5重量%のイタリアヘリクリサム精油;
- 止血性、治癒、および消毒の目的で、0.1~10重量%、好ましくは0.25~2.5重量%のシスタス・ラダニフェルス精油;
- 鎮痛性および治癒効果の目的で、0.1~10重量%、好ましくは0.25~2.5重量%のミル精油;
- 回復性(皮膚刺激との闘い)、皮膚再生、および浄化効果の目的で、0.1~10重量%、好ましくは0.25~2.5重量%のラベンダー精油。
【0049】
特に、製剤中の精油の含有量は、所望の活性特性を付与するのに適しているが、特に顔に塗布した場合に、過度に強いにおいによって不快にならないように、含有量を多くしすぎないようにしなくてはならない。
【0050】
追加の活性物質は、精油複合体を含み、その両親媒性により製剤の皮膚への浸透を大幅に改善させる。具体的には、製剤は、1重量%~5重量%の間の精油複合体を含み得る。
【0051】
製剤の目的の用途に応じて、液体組成物はまた、以下の特性:保湿、緩和、抗炎症、抗浮腫、治癒、回復、抗酸化、抗セルライト、および/または抗しわのうちの少なくとも1つを有する少なくとも1つの他の追加の活性物質を含んでもよい。
【0052】
この補足的な追加の活性物質としては、アロエベラ、多糖類、および/またはグリセリンをベースとしたものが挙げられる。
【0053】
有利には、製剤が以下を含む:
- 多糖類に基づく保湿剤および/または緩和剤(特にはFucogel(登録商標))を0.01~5重量%。前記保湿剤および/または緩和剤は修復特性をも有し、局所適用される場合に非常に良い効果を与える。
- アロエベラに基づく保湿剤および/または緩和剤(特にはアロエベラ(Aloe Vera)AG014(登録商標)を0.01重量%~20重量%。前記保湿剤および/または緩和剤は、抗炎症性および治癒特性も有する)。
【0054】
また、製剤は、1重量%~50重量%、特に8重量%~10重量%の、グリセリンをベースとした保湿剤および/または緩和剤を含んでもよい。特に、この薬剤は、植物グリセリンに基づくものであってもよい。
【0055】
また、製剤は、以下を含む:
- 0.1~5重量%の抗菌剤。特には植物起源であり、例えばレブリン酸ナトリウム、アニス酸ナトリウム、クロルヘキシジンおよび/またはカプリル酸グリセリルをベースとする。
- 0.1~2重量%のゲル化剤。特には植物ガムをベースとし、好ましくはキサンタンガムをベースとする。
【0056】
〔製剤の実施例〕
望ましくない明らかな兆候をもたらすヒアルロン酸の存在による問題を解消するために、以下の表に示す製剤が調製された。
【0057】
【0058】
〔酵素の選定〕
第1の選択酵素はヒアルロニダーゼである。この酵素の使用は、皮膚および結合組織の透過性を増加させることを可能にする。すでに皮膚に天然に存在しているこの酵素は、ヒアルロン酸のグリコシド結合の加水分解を触媒する。それは、ヒアルロン酸の解重合を可能にし、従って、その架橋を減少させ、従って、考慮される皮膚表面の体積を減少させる。次いで、ヒアルロン酸は、結合組織を通って、天然の経路によってより容易に分解され、そして排除される。この酵素は、ヒアルロン酸に関連する体積を低減させる直接的な結果を有する。
【0059】
第2の酵素はリパーゼであり、すでに皮膚に天然に存在し、脂質を標的とし、したがって、本質的に脂肪物質から構成される皮膚の表面(角質層)をより透過性にする。従って、ヒアルロニダーゼのアクションを促進する。
【0060】
第3の酵素はすでに皮膚に天然に存在するプロテアーゼであり、タンパク質に対するアクションを有し、皮膚などの組織の透過性も改善する。従って、ヒアルロニダーゼのアクションを促進する。
【0061】
〔選択される精油〕
酵素複合体のアクションを完了させるためだけでなく強化するために、精油の複合体が選択される。
【0062】
一般に、精油は皮膚の透過性を促進し、したがって製剤の活性成分のアクションを促進する能力をそれらに付与する両親媒性特性を有する。
【0063】
さらに、選択された精油は、酵素複合体の作用分野を完成させる追加の特性を有する:
- golden eternal flower精油:活性化(赤み、腫れを減らす)、皮膚再生、清浄化;
- ミルラ精油:鎮静(皮膚の不快感を和らげる)、皮膚修復、浄化;
- オフィシャルラベンダー精油:修復(皮膚刺激と闘う)、皮膚再生、浄化;
- cistus精油:引き締め(皮膚に張りを与える)、皮膚再生、浄化。
【0064】
それぞれは、製剤の効果を強化する異なる相補的な主なアクションを有する。
【0065】
また、これらはいずれも、皮膚を清浄化する浄化作用と、酵素複合体に関わる皮膚完全化効果を強化するために、皮膚の弾力性や硬さを向上させる再生作用とを有している。
【0066】
〔完了試験〕
上記の実施例による混合製剤の有効性を試験するために、死体での試験を行った。
【0067】
〔操作手順〕
生検は解剖学者によって行われた。その後、試料を解剖病理学研究所に送り、そこで試料を固定し、切片化し、染色して、結果を顕微鏡下で観察することができるようにした。
【0068】
いくつかの組織切片を作製した。染色は、サンプル中に存在する皮膚層(表皮、真皮、皮下組織、筋肉組織)を視覚化することを可能にする。アルシアンブルー染色は、ヒアルロン酸を含む糖タンパク質を染色するために使用される。
【0069】
<実験A>
1mlのヒアルロン酸(Stylage M)の表在性注入を、27G 13mm針を用いて右側の頬骨部に行った。注射された製品および処置された場所に関して同等であるように、左側の頬骨部にも同様の注射を行った。その後、実施例に基づく製剤のピペット(約0.54g)を、注射された左頬骨部にのみ適用して、参照右頬骨部と比較してその有効性を観察することができる。
【0070】
本発明者らは、肉眼で、右頬骨部の組織切片と比較して、左頬骨部の組織切片のスライド上のヒアルロン酸がより少ないことを観察した。視覚的に、ヒアルロン酸の注射によって生成された塊は、製剤の適用後に消失していた。また、死体には、発生した腫脹の消失が認められた。
【0071】
<実験B>
下唇に、0.5mlのヒアルロン酸(Juvederm Ultra 3)の3回の注射を、右、中央および左に行った。予め3mlの生理食塩水で希釈した0.1mlの注射用ヒアルロニダーゼ(Desinfiltral)を左側面に注射した。右側に、実施例に基づく製剤1ピペット(約0.54g)を適用した。
【0072】
中央の部分では、筋肉組織中にヒアルロン酸が存在し、真皮表層部、真皮中央部および真皮深部に少量存在する。左側および右側では、真皮の異なる層におけるヒアルロン酸の存在が完全に消失しており、筋肉組織にのみヒアルロン酸が残存していた。
【0073】
<実験C>
0.5mlのヒアルロン酸(Juvederm Ultra 3)の2回の注射を、左右のほうれい線に行った。予め3mlの生理食塩水で希釈した0.1mlのDesinfiltralを左側に注射した。右側に、実施例に基づく製剤1ピペット(約0.54g)を適用した。
【0074】
左側では皮下組織中に少量のヒアルロン酸が存在するが、右側では、本発明に基づく製剤の適用後には、もはやヒアルロン酸は存在しなかった。したがって、本発明に基づく製剤の効果は、Desinfiltralの使用によって付与される効果と同等であるか、または、それよりも良好である。
【0075】
患者に関する別の研究がCanfieldと共同で実施されている。高精度の光学特性を持つVECTRA H2装置の使用により、皮膚のトポグラフィー、特にその凹凸を可視化するために、高解像度の3D画像(色解像度:18%メガピクセル、幾何学的解像度:0.95mm)が可能になる。
【0076】
処置に関して、3D画像は、処置前後に撮影される。画像が利用可能であれば、カラー凹凸マップの結果によって外観の変化の度合いを可視化することで、2つの画像間の体積の差を測定することができる。
【0077】
60歳の患者は、下瞼で過剰矯正を受けた。
【0078】
<操作手順>
粉末組成物を液体組成物と混合し、約0.24gの製剤に相当する4滴を下瞼上に正確に入れた。滴下と滴下との間には、毎回、円運動を行うことによって、ブラシを用いて処方物を局所的に適用した。その後、手袋をした指で約3分間マッサージを行い、次にSoftFil(登録商標)Skin Massagerでマッサージを行った。
【0079】
正面、プロファイルおよび3/4サイズの写真は、上記の操作手順の完了前および完了後にVECTRA H2装置で撮影された。
【0080】
体積の減少は目に見えるほど顕著である。この減少は、VECTRA H2装置を用いて定量化された。その結果を示すと、
- 表面突起が1.27mmの減少
- 体積が0.27cm3の減少
であった。
【0081】
図1~
図3を参照して、前述の製剤の包装および調合のためのシステムを説明する。特に、システムは、製剤の使用前に、無菌であるかないかに関わらず、ブリスター包装の中に1つに纏めてパッケージングされていてもよいし、個別包装されてもよい。
【0082】
一般に、システムは、局所適用のために製剤を調合するための装置4を備えた本体3を含む。
【0083】
ある特定の適用において、当該本体は、製剤が含浸されるマトリックスを含む1回切りの使用パッチの形態とすることができ、前記マトリックスは、製剤の調合および局所適用を同時に確実に行い、処置されるべき領域に適用されることが意図される。
【0084】
図に示される別の特に有利な一形態によれば、本体3は粉末組成物および液体組成物のうちの1つをそれぞれ包装するための第1および第2の別個のリザーバ5および6を有し、前記システムは、前記本体内で前記組成物を即時に混合することによって前記製剤を得るための手段をさらに含む。
【0085】
実際、組成物の即時混合は複合体、特にヒアルロニダーゼの酵素(複数可)の安定性を、その使用時まで保存することを可能にし、したがって、所望の医療的および/または審美的処置が行われるべき時に最適な酵素安定性を有する製剤から利益を得る。
【0086】
この目的のために、リザーバ5、6は壊れやすい壁7によって隔てられ、このシステムは、前記壊れやすい壁を少なくとも部分的に壊して、前記リザーバ同士を連通させて前記製剤を得るための装置8を備える。
【0087】
図において、本体3は、粉末組成物1が包装される第1の上流リザーバ5と、液体組成物2が包装される第2の下流リザーバ6とを含む。代わりに、液体組成物が上流リザーバ5内に包装されてもよく、粉末組成物が下流リザーバ6内に包装されてもよい。
【0088】
破壊装置8は、壊れやすい壁7から離れた位置において本体3に取り付けられた穿孔手段9を備える。前記破壊装置は、使用行程にわたって移動可能な構成となっており、穿孔手段9が第1のリザーバ5を貫通し、壊れやすい壁7を通過して第2のリザーバ6に入る。
【0089】
具体的には、壊れやすい壁7および/または穿孔手段9は、前記穿孔手段が前記壊れやすい壁を引き裂くことができるように配置される。特に、穿孔手段9、特にその先端9bは、その通過で壊れやすい壁面を破壊し、第2のリザーバ6内への第1の組成物1の放出を容易にするように配置することができる。
【0090】
壊れやすい壁7は、例えば、穿孔手段9によって引き裂き易い張力を有することによって、樹脂および/またはアルミニウムをベースとする、容易に引裂き可能な材料、特に防水性のシートで作ることができる。
【0091】
有利には、穿孔手段9は、遠位端上に先端9bがある棒9aを含み、前記先端はユーザの著しい労力を必要とせずに、壊れやすい壁7の穿孔を確実にすることができるように鋭利になっている。
【0092】
図1cを参照すると、先端9bは、ヘッドが上に載っているベースを有し、前記ベースは、ロッド9aの外形寸法よりも大きい外形寸法を有する。
【0093】
かくして、先端9bの通過後、壊れやすい壁面7はロッド9aが容易にその中を通過することを可能にするのに十分な大きさの裂け目を有し、かくして、穿孔手段9は、第1のリザーバ5の中を通ってその使用行程を継続する。
【0094】
有利には、先端9bは、使用行程の開始時に、前記先端の周囲にある脆弱な壁7を漸進的に引き裂くことができるように円錐形状を有している。
【0095】
図面を参照すると、出発位置にある穿孔手段9は第1のリザーバ5の外壁10に向かい合って配置され、前記外壁は使用行程の開始時に穿孔手段が通過できるように配置されている。
【0096】
外壁10は、特に、適した素材で作られていることによって、および/または、少なくとも穿孔手段9に向かい合ったところの厚さが薄くなっていることによって、穿孔手段によって穿孔されることができる。外壁10は、穿孔手段9がその使用行程で通過する開口部を有してもよく、前記開口部は第1のリザーバ5からの組成物1の漏れを防止するために、穿孔手段9が通過するまでは蓋によって覆われていてもよい。
【0097】
特に、
図1aおよび
図1bに示すように、外壁10は、穿孔手段9の通過を可能にするように特に配置された凹状の中央領域11を有することができる。
【0098】
図1a、
図1bおよび
図1cにおいて、システムは1回切りの使用の形態であり、特に、5ミリリットル未満の投与量の製剤が含まれるような構成となっている。
【0099】
特に、容器の本体3は、円形又は正方形の断面、並びに以下の寸法を有することができる:
- 縦の寸法が5±1センチメートル程度;
- 横の寸法が1.5cm程度。
【0100】
本形態では、破壊装置8は穿孔手段9が付属する支持体12を備え、前記支持体はその使用行程にわたって前記穿孔手段を移動させるために、本体3上を摺動することができるように配置される。
【0101】
支持体12は、中心に筐体13を備えている。この筐体13には穿孔手段9が配置されており、使用行程の終わりに前記本体3の下に嵌まるように、本体3の底部の形状と相補的な内部形状を有する(
図1b)。
【0102】
具体的には、本体3の寸法を考慮すると、支持体12は、1cm程度の高さを有する。
【0103】
支持体12は本体3上を摺動可能に連結され得、これはシステムの使い心地を改善することを可能にする。この場合、破壊装置8は、システムを使用する前に穿孔手段9の不慮の動作を防止するための安全手段を備えていてもよく、ユーザは組成物1、2を混合したいときに前記安全手段を停止させる。
【0104】
代替的に、本体3を別個の支持体上に取り付け、穿孔手段9がその使用行程にわたって移動するようにしてもよい。これにより、ユーザは、組成物1、2の混合を行うことを望む場合に、本体3を破壊装置8に組み付ける。
【0105】
図2aおよび
図2bにおいて、システムは注射器の形態である。具体的には、注射器の本体3は、以下の幾何学的な構成を有してもよい:
- 縦の寸法が6±0.5センチメートル程度;
- 直径1+/0.1センチメートル程度;および、
- 横の寸法が約4.5+/0.5センチメートルのデジタル保持用のカラー3a。
【0106】
本形態では、破壊装置8がその中心に穿孔手段9が付属するプランジャ14を備え、前記プランジャはその使用行程にわたって前記穿孔手段を移動させるために本体3内で摺動することができるように構成される。
【0107】
穿孔手段9の動きを可能にするために、プランジャー14は、横寸法が約5.5+/0.5センチメートルである注射器押込み部15に取り付けられる。
【0108】
さらに、本体3は、特に第1のリザーバ5の上流に形成された第3のリザーバ16を有し、この第3のリザーバ内には、穿孔手段9が出発位置において配置されている。
【0109】
図2aおよび
図2bに示すように、第2のリザーバ6は製剤を調合するための開口部17と連通している。また、システムには、適切な装置4が取り付けられており、前記開口部から来る製剤の量を調合することができる。穿孔手段9は、製剤の全ての混合および調合を促進するために、その行程の終わりに調合用の開口部17に嵌合することができる。
【0110】
有利には、調合用の装置4がアプリケータ18を備え、特に医学的および/または審美的な診療との関係において、処置される身体の部分への製剤の局所適用を直接可能にするためのアプリケータ18を備える。
【0111】
図3を参照すると、このアプリケータ18は、平坦なアプリケータ18a(
図1a、
図1b、
図3(a))、1滴ずつ滴下するピペット型アプリケータ18b(
図2a、
図2b、
図3(b))、またはローラー塗布式アプリケータ18cを含む群から選択され得る。
【0112】
具体的には、
図3(c)に示すように、ローラー塗布式アプリケータ18cは、調合用の開口部17に取り付けられた基部19を含んでいる。該基部は、以下を含む:
- 適用される製剤の量が通過することができる開口部20を備えた下壁19a;
- ボール21が回転可能に取り付けられており、処置される領域に多量の配合物を前記ボールによって塗布することを可能にする上部開口19b。
【0113】
代替として、調合用の装置4は、所定量の製剤を1回使いきりのパッチで調合するように構成することができ、それにより、前記製剤の局所適用は、治療される領域に前記パッチを配置することによって実施される。
【0114】
このために、調合用の装置4は、例えば、前述のように1滴ずつ滴下できるピペット型のアプリケータ18bを備えてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0115】
【
図1a】本発明の第1の実施形態に係るシステムについて、使用ストローク上の破壊装置の変位の前の状態を概略的に示す縦断面である。
【
図1b】本発明の第1の実施形態に係るシステムについて、使用ストローク上の破壊装置の変位の後の状態を概略的に示す縦断面である。
【
図2a】本発明の第2の実施形態によるシステムにおいて、使用ストローク上の破壊装置の変位の前の状態を縦断面で概略的に示す。
【
図2b】本発明の第2の実施形態によるシステムにおいて、使用ストローク上の破壊装置の変位の前の状態を縦断面で概略的に示す。
【
図3a】組成物の混合後に製剤の局所適用を実施するための、先の図のシステムの分配用の装置と関連付けられ得るアプリケータの例を概略的に示す。
【
図3b】組成物の混合後に製剤の局所適用を実施するための、先の図のシステムの分配用の装置と関連付けられ得るアプリケータの例を概略的に示す。
【
図3c】組成物の混合後に製剤の局所適用を実施するための、先の図のシステムの分配用の装置と関連付けられ得るアプリケータの例を概略的に示す。
【国際調査報告】