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特表2022-549935生物学的療法の必要性を予測する方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-11-29
(54)【発明の名称】生物学的療法の必要性を予測する方法
(51)【国際特許分類】
   C12Q 1/686 20180101AFI20221121BHJP
   C12Q 1/6837 20180101ALI20221121BHJP
   C12Q 1/6883 20180101ALI20221121BHJP
   A61P 29/00 20060101ALI20221121BHJP
   A61K 45/00 20060101ALI20221121BHJP
   G01N 33/564 20060101ALI20221121BHJP
【FI】
C12Q1/686 Z
C12Q1/6837 Z
C12Q1/6883
A61P29/00 101
A61K45/00
G01N33/564 B
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022519692
(86)(22)【出願日】2020-09-30
(85)【翻訳文提出日】2022-05-27
(86)【国際出願番号】 GB2020052367
(87)【国際公開番号】W WO2021064371
(87)【国際公開日】2021-04-08
(31)【優先権主張番号】1914079.7
(32)【優先日】2019-09-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】515200272
【氏名又は名称】クイーン メアリー ユニバーシティ オブ ロンドン
(74)【代理人】
【識別番号】110002572
【氏名又は名称】弁理士法人平木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ピットザリス,コスタンティノ
(72)【発明者】
【氏名】ルイス,マイルズ ジェイ
(72)【発明者】
【氏名】ハンビー,フランシス クレア
【テーマコード(参考)】
4B063
4C084
【Fターム(参考)】
4B063QA01
4B063QA13
4B063QA19
4B063QQ03
4B063QQ53
4B063QR08
4B063QR55
4B063QR62
4B063QS25
4B063QS28
4B063QS34
4B063QX02
4C084AA17
4C084NA05
4C084NA06
4C084ZA961
4C084ZA962
4C084ZB151
4C084ZB152
(57)【要約】
関節リウマチに対する生物学的療法による治療を要する対象を特定するための方法であり、該方法は、(a)対象から得られた1以上のサンプルにおける、表1から選択される1以上のバイオマーカーのレベルを決定する工程、および(b)前記の1以上のバイオマーカーのレベルを1以上の対応参照値と比較する工程を含み、ここで、対応参照値と比較された前記の1以上のバイオマーカーのレベルは関節リウマチに対する生物学的療法による治療の必要性の指標となる。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
関節リウマチに対する生物学的療法による治療を要する対象を特定するための方法であって、該方法は、
(a)対象から得られた1以上のサンプルにおける、表1から選択される1以上のバイオマーカーのレベルを決定する工程、および
(b)前記の1以上のバイオマーカーのレベルを1以上の対応参照値と比較する工程
を含み、
ここで、対応参照値と比較された前記の1以上のバイオマーカーのレベルは関節リウマチに対する生物学的療法による治療の必要性の指標となる、前記方法。
【請求項2】
前記の1以上のバイオマーカーが表1からの少なくとも2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71個または72個全てのバイオマーカーを含む、請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記の1以上のバイオマーカーが表2から選択され、前記の1以上のバイオマーカーのレベルが対応参照値と比較して増加しており、所望により、前記の1以上のバイオマーカーが表2からの少なくとも2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48個または49個全てのバイオマーカーを含む、請求項1または2記載の方法。
【請求項4】
前記の1以上のバイオマーカーが表3から選択され、前記の1以上のバイオマーカーのレベルが対応参照値と比較して減少しており、所望により、前記の1以上のバイオマーカーが表3からの少なくとも2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22個または23個全てのバイオマーカーを含む、前記請求項1~3のいずれか1項記載の方法。
【請求項5】
前記の1以上のバイオマーカーのレベルを決定する工程が、1以上のバイオマーカーの遺伝子発現のレベルを決定することを含む、前記請求項1~4のいずれか1項記載の方法。
【請求項6】
該レベルが核酸レベルであり、所望により、核酸レベルがmRNAレベルである、前記請求項1~5のいずれか1項記載の方法。
【請求項7】
前記の1以上のバイオマーカーのレベルを核酸の直接デジタル計数、RNA-seq、RT-qPCR、qPCR、マルチプレックスqPCRもしくはRT-qPCR、マイクロアレイ分析またはそれらの組合せにより決定する、前記請求項1~6のいずれか1項記載の方法。
【請求項8】
対象が以前に疾患修飾性抗リウマチ薬(DMARD)または関節リウマチに対する生物学的療法で治療されていない、前記請求項1~7のいずれか1項記載の方法。
【請求項9】
対象が1年未満にわたって関節リウマチの1以上の症状を示している、前記請求項1~8のいずれか1項記載の方法。
【請求項10】
サンプルが滑膜サンプルであり、所望により、サンプルが滑膜組織サンプルまたは滑液サンプルである、前記請求項1~9のいずれか1項記載の方法。
【請求項11】
該方法が、対象が関節リウマチに対する生物学的療法による治療を要すると特定された場合、関節リウマチに対する生物学的療法を対象に投与することを更に含む、前記請求項1~10のいずれか1項記載の方法。
【請求項12】
生物学的療法がB細胞アンタゴニスト、ヤヌス(Janus)キナーゼ(JAK)アンタゴニスト、腫瘍壊死因子(TNF)アンタゴニスト、デコイ(decoy)TNF受容体、T細胞共刺激シグナルアンタゴニスト、IL-1受容体アンタゴニスト、IL-6受容体アンタゴニストまたはそれらの組合せである、前記請求項1~11のいずれか1項記載の方法。
【請求項13】
生物学的療法が抗TNF-アルファ療法または抗CD20療法である、前記請求項1~12のいずれか1項記載の方法。
【請求項14】
生物学的療法が、アダリムマブ、インフリキシマブ、セルトリズマブペゴル、ゴリムマブ、リツキシマブ、オクレリズマブ、ベルツズマブ、オファツムマブ、トシリズマブおよびトファシチニブまたはそれらの組合せからなる群から選択される、前記請求項1~13のいずれか1項記載の方法。
【請求項15】
該方法が、対象がリンパ性-骨髄性病原型を示すかどうかを決定する工程を更に含む、前記請求項1~14のいずれか1項記載の方法。
【請求項16】
関節リウマチに対する生物学的療法の有効量を対象に投与することを含む、関節リウマチの治療方法であって、ここで、対象が関節リウマチに対する生物学的療法による治療を要すると前記請求項1~15のいずれか1項記載の方法により特定されている、前記方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、対象が関節リウマチ(リウマチ性関節炎)に対する生物学的療法を要するかどうかを予測するための方法に関する。本発明はまた、関節リウマチに対して対象を治療するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
炎症性関節炎は、関節リウマチ(RA)、乾癬性関節炎(PsA)、全身性エリテマトーデス(SLE)、シェーグレン症候群および多発性筋炎を含む多様な自己免疫障害における顕著な臨床症状である。
【0003】
RAは、北欧および北米の成人集団の約0.5~1%を冒す慢性炎症性疾患である。それは、罹患関節の滑膜における慢性炎症により特徴づけられる全身性炎症性疾患であり、これは最終的に、慢性疼痛および倦怠感により、日常的な機能の喪失を招く。患者の大多数は罹患関節における軟骨および骨の進行性悪化を経験し、これは最終的に永久的な障害につながりうる。RAの長期的予後は不良であり、患者の約50%が診断時から10年以内に重大な機能障害を経験する。平均余命は平均3~10年短くなる。
【0004】
RAのような炎症性骨疾患は破骨細胞性吸収の増加による罹患関節周辺の骨量減少を伴う。このプロセスは、主に、炎症性サイトカインの局所産生の増加によって媒介され、該炎症性サイトカインのうち、腫瘍壊死因子-アルファ(TNF-α)が主要エフェクターである。
【0005】
特にRAにおいては、免疫応答は、滑液コンパートメントに存在する1つまたは幾つかの抗原によって開始/永続化されて、関節内への急性炎症細胞およびリンパ球の流入を引き起こすと考えられている。炎症の連続的な波は、パンヌスと称される侵襲的で侵食性の組織の形成につながる。これは、TNF-αおよびインターロイキン-1(IL-1)のような炎症性サイトカインを産生するマクロファージおよび増殖性線維芽細胞様滑膜細胞を含有する。タンパク質分解酵素、種々の炎症性メディエーターの局所放出および破骨細胞の活性化が組織損傷の大部分に関与する。関節軟骨の喪失および骨浸食の生成が認められる。周囲の腱および滑液包が炎症プロセスにより冒されうる。最終的に、関節構造の完全性が損なわれて、障害が生じる。
【0006】
B細胞は、主に、自己抗体産生細胞の前駆細胞として機能するだけでなく、抗原提示細胞(APC)および炎症性サイトカイン産生細胞としても機能することにより、RAの免疫病原性に関与すると考えられている。II型コラーゲンおよびプロテオグリカンに対する抗体、ならびにリウマチ因子および最も重要な抗シトルリン化タンパク質抗体(ACPA)を含む多くの自己抗体特異性が特定されている。大量の抗体の生成は免疫複合体の形成および補体カスケードの活性化を招く。これは次に免疫応答を増幅し、最終的に局所的細胞溶解を引き起こしうる。
【0007】
疾患プロセスを修飾し、関節破壊を遅らせるために使用されるRAに対する現在の標準的な治療薬は疾患修飾性抗リウマチ薬(DMARD)として公知である。メトトレキサート、レフルノミド、スルファサラジンは伝統的なDMARDであり、しばしば、第1選択治療として有効である。
【0008】
RAにおいて何らかの役割を果たす免疫系の特定の成分を標的とするように設計された生物学的薬剤も治療薬として使用される。RAに対する生物学的治療薬には種々のグループが存在し、それらには、TNF-αインヒビター(エタネルセプト、インフリキシマブおよびアダリムマブ)、ヒトIL-1受容体アンタゴニスト(アナキンラ)および選択的共刺激モジュレーター(アバタセプト)が含まれる。
【0009】
ACR/EULAR RA分類基準の導入はRAの早期診断および治療に好ましい影響を及ぼし、より良好な結果をもたらしている。同様に、より広範な基準は、より軽度でより不均一な疾患の患者の包含をもたらしている。これは、個々の患者レベルで疾患の予後および治療応答を正確に予測できないことと相まって、構造的損傷の進行が加速するリスクのある患者を特定し、予後不良の患者に対して積極的/生物学的治療を迅速に行う必要性を強調している。
【0010】
csDMARDに応答する可能性が低い患者を疾患発症時に特定することは、依然として、主要な満たされていない要求である。初期の臨床分類基準を改良することができれば、そして生物学的療法を後に要する患者を疾患発症時に特定することができれば、最も必要性の高い患者に対する治療的介入を層別化する機会がもたらされるであろう。
【0011】
したがって、特に疾患発症時に、対象が関節リウマチに対する生物学的療法を要するかどうかを予測する方法が必要とされている。また、関節リウマチに対して対象を治療するための方法も必要とされている。
【発明の概要】
【0012】
本発明は、特許請求の範囲に記載されているとおり、関節リウマチに対する生物学的療法による治療を要する対象を特定するための方法を、そのように特定された対象の治療方法と共に提供することによって、前記の先行技術の問題に対処する。
【0013】
本発明者らは、これまでで最大の生検主導初期炎症性関節炎コホート(200名の患者)を研究し、滑膜の詳細な細胞的および分子的特徴付けによって、ACR/EULAR疾患分類を改良した。また、本発明者らは、リンパ性-骨髄性病原型に関連する及び12ヶ月における生物学的療法の必要性に関連する滑膜病理生物学的マーカーを特定した。特に、これらの知見は症状の開始から最初の12ヶ月以内の診断の時点に無関係であり、このことは、いわゆる「治療機会(window of opportunity)」が6ヶ月より広いこと、および疾患発症時における予後不良滑膜病理生物学的亜型に応じた生物学的療法の早期層別化がこれらの患者の転帰を改善しうることを示唆している。滑膜病理生物学的マーカーをロジスティック回帰モデルに統合する(組み込む)と、予測精度が78.8%から89~90%へと改善し、生物学的療法を後に要する患者を疾患発症時に特定することが可能となる。本発明者らのアプローチは、予後不良の患者において生物学的療法を早期に開始することを可能にする。
【0014】
1つの態様においては、本発明は、関節リウマチに対する生物学的療法による治療を要する対象を特定するための方法を提供し、該方法は、(a)対象から得られた1以上のサンプルにおける、表1から選択される1以上のバイオマーカーのレベルを決定する工程、および(b)前記の1以上のバイオマーカーのレベルを1以上の対応参照値と比較する工程を含み、ここで、対応参照値と比較された前記の1以上のバイオマーカーのレベルは関節リウマチに対する生物学的療法による治療の必要性の指標となる。
【0015】
もう1つの態様においては、本発明は、疾患修飾性抗リウマチ薬(DMARD)以外の、またはそれに追加する、関節リウマチに対する生物学的療法による治療を要する対象を特定するための方法を提供し、該方法は、(a)対象から得られた1以上のサンプルにおける、表1から選択される1以上のバイオマーカーのレベルを決定する工程、および(b)前記の1以上のバイオマーカーのレベルを1以上の対応参照値と比較する工程を含み、ここで、対応参照値と比較された前記の1以上のバイオマーカーのレベルは、DMARD以外の、またはそれに追加する、関節リウマチに対する療法による治療の必要性の指標となる。
【0016】
もう1つの態様においては、本発明は、DMARD不応性(治療抵抗性)である可能性が高い対象を特定するための方法を提供し、該方法は、(a)対象から得られた1以上のサンプルにおける、表1から選択される1以上のバイオマーカーのレベルを決定する工程、および(b)前記の1以上のバイオマーカーのレベルを1以上の対応参照値と比較する工程を含み、ここで、対応参照値と比較された前記の1以上のバイオマーカーのレベルは、DMARD不応性である対象の指標となる。
【0017】
1つの態様においては、本発明は、関節リウマチを有する又は有する疑いがある対象に対する療法を選択するための方法を提供し、該方法は、(a)対象から得られた1以上のサンプルにおける、表1から選択される1以上のバイオマーカーのレベルを決定する工程、および(b)前記の1以上のバイオマーカーのレベルを1以上の対応参照値と比較する工程を含み、ここで、対応参照値と比較された前記の1以上のバイオマーカーのレベルは関節リウマチに対する生物学的療法による治療の必要性の指標となる。
【0018】
もう1つの態様においては、本発明は、疾患修飾性抗リウマチ薬(DMARD)のみによる関節リウマチの治療が無効である可能性が高い対象を特定するための方法を提供し、該方法は、(a)対象から得られた1以上のサンプルにおける、表1から選択される1以上のバイオマーカーのレベルを決定する工程、および(b)前記の1以上のバイオマーカーのレベルを1以上の対応参照値と比較する工程を含み、ここで、対応参照値と比較された前記の1以上のバイオマーカーのレベルは、DMARDのみによる関節リウマチの治療が無効である指標となる。
【0019】
幾つかの実施形態においては、前記の1以上のバイオマーカーは表1からの少なくとも2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71個または72個全てのバイオマーカーを含む。
【0020】
幾つかの実施形態においては、前記の1以上のバイオマーカーは表1からの全てのバイオマーカーを含む。
【0021】
幾つかの実施形態においては、前記の1以上のバイオマーカーは表1からの2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71個または72個全てのバイオマーカーからなる。
【0022】
幾つかの実施形態においては、前記の1以上のバイオマーカーは表1からの全てのバイオマーカーからなる。
【0023】
幾つかの実施形態においては、前記の1以上のバイオマーカーは表2から選択され、前記の1以上のバイオマーカーのレベルは対応参照値と比較して増加している。
【0024】
幾つかの実施形態においては、前記の1以上のバイオマーカーは表2からの少なくとも2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48個または49個全てのバイオマーカーを含む。
【0025】
幾つかの実施形態においては、前記の1以上のバイオマーカーは表2からの全てのバイオマーカーを含む。
【0026】
幾つかの実施形態においては、前記の1以上のバイオマーカーは表2からの2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48個または49個全てのバイオマーカーからなる。
【0027】
幾つかの実施形態においては、前記の1以上のバイオマーカーは表2からの全てのバイオマーカーからなる。
【0028】
幾つかの実施形態においては、前記の1以上のバイオマーカーは表3から選択され、前記の1以上のバイオマーカーのレベルは対応参照値と比較して減少している。
【0029】
幾つかの実施形態においては、前記の1以上のバイオマーカーは表3からの少なくとも2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22個または23個全てのバイオマーカーを含む。
【0030】
幾つかの実施形態においては、前記の1以上のバイオマーカーは表3からの全てのバイオマーカーを含む。
【0031】
幾つかの実施形態においては、前記の1以上のバイオマーカーは表3からの2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22個または23個全てのバイオマーカーからなる。
【0032】
幾つかの実施形態においては、前記の1以上のバイオマーカーは表3からの全てのバイオマーカーからなる。
【0033】
幾つかの実施形態においては、前記の1以上のバイオマーカーはGPR114、CSF1、MMP3、IL20およびMMP10の1以上を含む。幾つかの実施形態においては、前記の1以上のバイオマーカーはGPR114、CSF1、MMP3、IL20およびMMP10を含む。
【0034】
幾つかの実施形態においては、前記の1以上のバイオマーカーはGPR114、CSF1、MMP3、IL20、MMP10およびNOGの1以上を含む。幾つかの実施形態においては、前記の1以上のバイオマーカーはGPR114、CSF1、MMP3、IL20、MMP10およびNOGを含む。
【0035】
幾つかの実施形態においては、前記の1以上のバイオマーカーはGPR114、IL8、CSF1、MMP3、LTB、HIVEP1、IL20、UBASH3AおよびMMP10の1以上を含む。幾つかの実施形態においては、前記の1以上のバイオマーカーはGPR114、IL8、CSF1、MMP3、LTB、HIVEP1、IL20、UBASH3AおよびMMP10を含む。
【0036】
幾つかの実施形態においては、前記の1以上のバイオマーカーはGPR114、IL8、CSF1、MMP3、HIVEP1、IL20、MMP10、NOGおよびIFNB1の1以上を含む。幾つかの実施形態においては、前記の1以上のバイオマーカーはGPR114、IL8、CSF1、MMP3、HIVEP1、IL20、MMP10、NOGおよびIFNB1を含む。
【0037】
幾つかの実施形態においては、該方法は、対象の1以上の臨床共変量(clinical covariate)を決定し、1以上の臨床共変量を1以上の参照値と比較することを更に含む。臨床共変量は、例えば、疾患活動性スコア(DAS)、DAS28、ベースライン病原型、C反応性タンパク質および圧痛関節数(TJC)からなる群から選択されうる。
【0038】
幾つかの実施形態においては、該方法は、対象のC反応性タンパク質およびDAS28臨床共変量を決定し、各臨床共変量を1以上の参照値と比較することを更に含む。幾つかの実施形態においては、該方法は、対象の病原型、C反応性タンパク質、TJCおよびDAS28臨床共変量を決定し、各臨床共変量を1以上の参照値と比較することを更に含む。
【0039】
幾つかの実施形態においては、前記の1以上のバイオマーカーはGPR114、CSF1、MMP3、IL20およびMMP10の1以上を含み、該方法は、対象のC反応性タンパク質およびDAS28臨床共変量を決定し、各臨床共変量を1以上の参照値と比較することを更に含む。幾つかの実施形態においては、前記の1以上のバイオマーカーはGPR114、CSF1、MMP3、IL20およびMMP10を含み、該方法は、対象のC反応性タンパク質およびDAS28臨床共変量を決定し、各臨床共変量を1以上の参照値と比較することを更に含む。
【0040】
幾つかの実施形態においては、前記の1以上のバイオマーカーはGPR114、CSF1、MMP3、IL20、MMP10およびNOGの1以上を含み、該方法は、対象の病原型、C反応性タンパク質、TJCおよびDAS28臨床共変量を決定し、各臨床共変量を1以上の参照値と比較することを更に含む。幾つかの実施形態においては、前記の1以上のバイオマーカーはGPR114、CSF1、MMP3、IL20、MMP10およびNOGを含み、該方法は、対象の病原型、C反応性タンパク質、TJCおよびDAS28臨床共変量を決定し、各臨床共変量を1以上の参照値と比較することを更に含む。
【0041】
幾つかの実施形態においては、前記の1以上のバイオマーカーはGPR114、IL8、CSF1、MMP3、LTB、HIVEP1、IL20、UBASH3AおよびMMP10の1以上を含み、該方法は、対象のC反応性タンパク質およびDAS28臨床共変量を決定し、各臨床共変量を1以上の参照値と比較することを更に含む。幾つかの実施形態においては、前記の1以上のバイオマーカーはGPR114、IL8、CSF1、MMP3、LTB、HIVEP1、IL20、UBASH3AおよびMMP10を含み、該方法は、対象のC反応性タンパク質およびDAS28臨床共変量を決定し、各臨床共変量を1以上の参照値と比較することを更に含む。
【0042】
幾つかの実施形態においては、前記の1以上のバイオマーカーはGPR114、IL8、CSF1、MMP3、HIVEP1、IL20、MMP10、NOGおよびIFNB1の1以上を含み、該方法は、対象の病原型、C反応性タンパク質、TJCおよびDAS28臨床共変量を決定し、各臨床共変量を1以上の参照値と比較することを更に含む。幾つかの実施形態においては、前記の1以上のバイオマーカーはGPR114、IL8、CSF1、MMP3、HIVEP1、IL20、MMP10、NOGおよびIFNB1を含み、該方法は、対象の病原型、C反応性タンパク質、TJCおよびDAS28臨床共変量を決定し、各臨床共変量を1以上の参照値と比較することを更に含む。
【0043】
幾つかの実施形態においては、前記の1以上のバイオマーカーはGPR114、IL8、CSF1、MMP3、LTB、HIVEP1、IL20、UBASH3A、MMP10、NOGおよびIFNB1の1以上を含む。幾つかの実施形態においては、前記の1以上のバイオマーカーはGPR114、IL8、CSF1、MMP3、LTB、HIVEP1、IL20、UBASH3A、MMP10、NOGおよびIFNB1を含む。幾つかの実施形態においては、前記の1以上のバイオマーカーはGPR114、IL8、CSF1、MMP3、LTB、HIVEP1、IL20、UBASH3A、MMP10、NOGおよびIFNB1を含み、該方法は、対象の病原型、C反応性タンパク質およびTJC(および所望によりDAS28)臨床共変量を決定し、各臨床共変量を1以上の参照値と比較することを更に含む。
【0044】
本明細書に記載されている方法において使用される例示的なバイオマーカーおよび/または臨床共変量は、実施例1および/または図6Bに記載されているものである。
【0045】
幾つかの実施形態においては、前記の1以上のバイオマーカーのレベルを決定する工程は、1以上のバイオマーカーの遺伝子発現のレベルを決定することを含む。
【0046】
幾つかの実施形態においては、該レベルは核酸レベルである。幾つかの実施形態においては、核酸レベルはmRNAレベルである。
【0047】
幾つかの実施形態においては、前記の1以上のバイオマーカーのレベルは核酸の直接デジタル計数、RNA-seq、RT-qPCR、qPCR、マルチプレックス(多重)qPCRもしくはRT-qPCR、マイクロアレイ分析またはそれらの組合せにより決定される。
【0048】
幾つかの実施形態においては、該レベルはタンパク質レベルである。
【0049】
幾つかの実施形態においては、前記の1以上のバイオマーカーのレベルはイムノアッセイ、液体クロマトグラフィー-質量分析(LC-MS)、ネフェロメトリー、アプタマー技術またはそれらの組合せにより決定される。
【0050】
好ましい実施形態においては、対象は以前に関節リウマチの治療を受けていない。好ましい実施形態においては、対象は疾患修飾性抗リウマチ薬(DMARD)および/またはステロイドでの治療を受けたことがない。
【0051】
幾つかの実施形態においては、対象は以前に疾患修飾性抗リウマチ薬(DMARD)で治療されていない。幾つかの実施形態においては、対象は以前に関節リウマチに対する生物学的療法で治療されていない。好ましい実施形態においては、対象は以前に疾患修飾性抗リウマチ薬(DMARD)または関節リウマチに対する生物学的療法で治療されていない。
【0052】
幾つかの実施形態においては、対象は関節リウマチを有する疑いがある。
【0053】
幾つかの実施形態においては、対象は1年未満(例えば、9、8、7、6、5、4、3、2または1ヶ月未満)にわたって関節リウマチの1以上の症状を示している。
【0054】
幾つかの実施形態においては、サンプルは滑膜サンプルである。幾つかの実施形態においては、サンプルは滑膜組織サンプルまたは滑液サンプルである。
【0055】
幾つかの実施形態においては、サンプルは滑膜生検、好ましくは超音波ガイド下滑膜生検により得られる。
【0056】
幾つかの実施形態においては、該方法は、対象が関節リウマチに対する生物学的療法による治療を要する、または疾患修飾性抗リウマチ薬(DMARD)以外の、もしくはそれに追加する、関節リウマチに対する療法による治療を要する、またはDMARD不応性であると特定された場合、関節リウマチに対する生物学的療法を対象に投与(実施)することを更に含む。
【0057】
幾つかの実施形態においては、該方法は、対象が関節リウマチに対する生物学的療法による治療を要する、または疾患修飾性抗リウマチ薬(DMARD)以外の、もしくはそれに追加する、関節リウマチに対する療法による治療を要する、またはDMARD不応性であると特定された場合、疾患修飾性抗リウマチ薬(DMARD)以外の、またはそれに追加する、関節リウマチに対する治療用物質を対象に投与することを更に含む。
【0058】
幾つかの実施形態においては、生物学的療法はB細胞アンタゴニスト、ヤヌス(Janus)キナーゼ(JAK)アンタゴニスト、腫瘍壊死因子(TNF)アンタゴニスト、デコイ(decoy)TNF受容体、T細胞共刺激シグナルアンタゴニスト、IL-1受容体アンタゴニスト、IL-6受容体アンタゴニストまたはそれらの組合せである。
【0059】
幾つかの実施形態においては、生物学的療法は抗TNF-アルファ療法または抗CD20療法である。
【0060】
幾つかの実施形態においては、抗TNF-アルファ療法は抗TNF-アルファ抗体、好ましくはアダリムマブを含む。
幾つかの実施形態においては、抗CD20療法は、抗CD20抗体、好ましくはリツキシマブを含む。
【0061】
幾つかの実施形態においては、生物学的療法は、アダリムマブ、インフリキシマブ、セルトリズマブペゴル、ゴリムマブ、リツキシマブ、オクレリズマブ、ベルツズマブ、オファツムマブ、トシリズマブおよびトファシチニブまたはそれらの組合せからなる群から選択される。
【0062】
幾つかの実施形態においては、DMARDは、メトトレキサート、ヒドロキシクロロキン、スルファサラジン、レフルノミド、アザチオプリン、シクロホスファミド、シクロスポリンおよびミコフェノール酸モフェチルまたはそれらの組合せからなる群から選択される。
【0063】
幾つかの実施形態においては、該方法は、対象がリンパ性-骨髄性病原型を示すかどうかを決定する工程を更に含む。
【0064】
もう1つの態様においては、本発明は、関節リウマチに対する生物学的療法の有効量を対象に投与することを含む、関節リウマチの治療方法を提供し、ここで、対象は関節リウマチに対する生物学的療法による治療を要する、または疾患修飾性抗リウマチ薬(DMARD)以外の、もしくはそれに追加する、関節リウマチに対する療法による治療を要する、またはDMARD不応性であると、前記のいずれかの実施形態の方法により特定されている。
【図面の簡単な説明】
【0065】
図1A】ベースライン患者人口統計。(A)患者のベースライン分類。200名の患者をRA 1987と診断未確定関節炎(UA)とに分類した。ついでRA 2010 ACR/EULAR基準をUA患者に適用した。得られた最後の3つの群は47名の患者のUA(RA 1987- / RA 2010-)、RA 2010(RA 1987- / RA 2010+)、RA 1987(RA 1987+ / RA 2010+)を示した。
図1B】ベースライン患者人口統計。(B)分類基準ごとの人口統計。データは連続変数の平均(SD、標準偏差)、ならびにカテゴリ変数の頻度およびパーセンテージとして示されている。クラスカル-ウォリス検定またはフィッシャー直接検定を適宜使用して、3つの群間のベースライン特性を比較した。事後比較のために、ダン検定を行い、ペアワイズ比較からのp値が表の最後の3つの列に示されている。ESR:赤血球沈降速度; CRP: C反応性タンパク質; 28TJC: 28の圧痛関節数; 28SJC: 28の腫脹関節数; DAS28: 疾患活動性スコア28関節; RF力価: リウマチ因子力価(IU/ml); ACPA力価: 抗シトルリン化タンパク質抗体価(IU/L); RF + ve : リウマチ因子血清陽性(> 15 IU/L); ACPA + ve : 抗シトルリン化タンパク質抗体(> 20 IU/L)。
図2A】患者人口統計および疾患活動性: 病原型間の比較。(A)関節MCP(中手指節関節)、MTP(中足指節)、PIP(近位指節間)ごとの生検の数。
図2B】(B)滑膜病原型の代表的イメージ。H & E: ヘマトキシリン & エオシン。切片を免疫組織化学的染色および半定量的スコア化(0~4)に付して、CD20+ B細胞、CD3+ T細胞、CD68+ ライニング(l)およびサブライニング(sl)マクロファージならびにCD138+ 形質細胞浸潤の程度を決定した。切片を以下の3つの病原型に分類した: (i)微量免疫型(CD68 SL < 2および/またはCD3、CD20、CD138 < 1)、(ii)びまん性-骨髄性(CD68SL > 2、CD20 < 1および/またはCD3 > 1)および(iii)リンパ性-骨髄性(グレード2~3 CD20+ 凝集体、CD20 > 2)。矢頭は陽性染色細胞を示す。空白の矢印はB細胞凝集体を示す。
図2C】(C)病原型ごとの人口統計分析。データは数値変数の平均および標準偏差(SD)、ならびにカテゴリ変数の頻度およびパーセンテージとして表示される。クラスカル-ウォリス検定およびフィッシャー直接検定(RFおよびACPA陽性)を適宜使用して、3つの病原型間のベースライン特性を比較した。多重比較のためにダン検定を使用した、有意差の事後分析。0.05未満のP値を統計的に有意とみなした。
図2D】(D)診断時における罹患期間(月数)ごとの病原型。絶対値(N)およびパーセンテージ。0.05未満のP値を統計的に有意とみなした。
図3A】患者の臨床分類による滑膜病理生物学的特徴の変動。(A)病原型と比較したベースライン臨床分類。ベースライン亜群(RA 1987、RA 2010およびUA)を病原型と比較した。フィッシャー直接検定を分析に使用した。
図3B】(B)各臨床亜群に関する免疫細胞浸潤。3つの群間の比較のためのクラスカル-ウォリス検定。多重比較のためにダン検定を使用した、有意差の事後分析。(C~E)亜群間の比較のための遺伝子発現分析。比較のためのT検定、および代表的イメージに関するボルケーノプロット。正の値はアップレギュレーションを表し、負の値はダウンレギュレーションを表す。緑色の水平線の上の緑色の丸印は、群間の多重分析発現遺伝子に関して未補正であることを表す。赤色の線の上の赤色い丸印は、多重分析に関する補正p値(ベンジャミニ-ホッホバーグ(Benjamini-Hochberg)法)を表す。
図3CDE】(C)ボルケーノプロットRA 1987対RA 2010: RA 1987 ACR基準およびRA 2010 ACR/EULAR基準を満たす患者間の遺伝子発現の差異。(D)ボルケーノプロットRA 1987対UA: RA 1987 ACR基準を満たす患者と診断未確定関節炎との間の遺伝子発現の差異。(E)ボルケーノプロットRA 2010対UA: RA 2010 ACR/EULAR基準を満たす患者とUAとの間の遺伝子発現の差異。
図4A】疾患の進展。(A)12ヶ月のフォローアップの後の患者分類。初期ベースライン亜群(RA 1987 / RA 2010 / UA)のそれぞれに関する12ヶ月のフォローアップの後の疾患転帰。自然治癒(self-limiting)または持続性疾患として分類される疾患の進展。1年後にUAコホートから再分類された患者に関して示されている他の診断。
図4BC】(B)亜群ごとの疾患の進展。疾患の進展をベースライン亜群(RA 1987、RA 2010およびUA)と比較した。フィッシャー検定を分析に使用した。(C)病原型ごとの疾患の進展。疾患の進展を病原型(微量免疫型対びまん性-骨髄性対リンパ性-骨髄性)と比較した。フィッシャー検定を分析に使用した。0.05未満のP値を統計的に有意とみなした。
図5AB】(A)12ヶ月のフォローアップにおける診断亜群と治療転帰との間の比較。必要な治療を以下の3つの群に分けた: (i)治療なし、(ii)csDMARDのみ、(iii)csDMARD +/- 生物学的療法。分析にはフィッシャー検定。(B)12ヶ月の時点における病原型と治療転帰との比較。
図5C】(C)生物学的療法を要する患者と非生物学的療法群との間のボルケーノプロット比較において表された遺伝子発現分析。群間の遺伝子差発現のT検定比較。正の値はアップレギュレーションを表し、負の値はダウンレギュレーションを表す。0.01未満の補正(多重分析のためのベンジャミニ-ホッホバーグ補正)P値は統計的に有意とみなされ、赤色の線の上の点として表されている。緑色の線の上の緑色の点は、多重分析に補正が適用されていない場合の遺伝子発現の有意性に関するものである(P値 < 0.05)。
図5DE】(D)ベースライン罹患期間ごとの治療転帰。分析にはフィッシャー検定。(E)生物学的療法患者コホートに関するベースライン罹患期間ごとの病原型。分析にはフィッシャー検定。特に示されていない限り、0.05未満のP値を統計的に有意とみなした。
図6AB】予測モデル。(A~B)1年の時点における生物学的療法の使用を予測する臨床的および遺伝子発現の特徴の特定。ロジスティック回帰を、後方および段階的モデル選択と組合せて、12ヶ月の時点における生物学的療法の使用の有無の従属変数に対するベースライン臨床パラメーターに適用して、どの臨床共変量が予測に最も寄与したかを選択した。最適なスパース予測モデルを決定するために、選択された共変量(119個の遺伝子 + 4個の臨床共変量)を、L1正則化ペナルティ(LASSO)を伴うロジスティックモデルに同時に入力した。僅かに異なるセットの選択共変量(図6B)で結果がペナルティ化(penalize)された場合(青色の破線、図6A)と、ペナルティ化されなかった場合(赤色の点線、図6A)とで、臨床における類似した予測性能が見られた。図6Bは、LASSO回帰により選択された最終変数に関連した非ゼロ重みを示す。灰色の空欄は、モデルにより選択されなかった変数を表す。
図6CD】(C~D)最終的なglmnet適合モデルからのラムダトレーニング曲線。赤色の点は、10分割交差検証を使用した平均二項逸脱度を表す。エラーバーは二項逸脱度の標準誤差を表す。垂直の点線は、最小二項逸脱度(λmin)と、二項逸脱度誤差が最小二項逸脱度の1標準誤差内にある(λ1se)より正則化されたモデルとを示す。臨床(clinical)がペナルティ化されたLASSOに関する最終モデルにおける11非ゼロ係数(図6C)と、臨床がペナルティ化されなかったLASSOに関する最終モデルにおける13非ゼロ係数(図6D)とに対応するλminを選択した。
【0066】
発明の詳細な説明
本明細書中で用いる「含む」、「含み」および「含まれる」なる語は、「包含する」もしくは「包含し」または「含有する」もしくは「含有し」と同義であり、非排他的(包括的)または拡張可能(オープンエンド)であり、追加的な非列挙メンバー、要素または工程を除外するものではない。「含む」、「含み」および「含まれる」なる語は「からなる」なる語をも含む。
【0067】
関節リウマチ(RA)
関節リウマチ(RA)は、多数の組織および器官を冒しうる慢性全身性炎症性障害であるが、主に滑膜関節を襲う。それは身体障害および疼痛を伴う病態であり、適切に治療されなければ、機能および移動性の実質的な喪失を招きうる。
【0068】
疾患プロセスは、滑膜細胞の大量の免疫細胞浸潤および増殖に続発する滑膜の炎症反応、過剰な滑液、ならびに軟骨および軟骨下骨を攻撃する滑膜における線維組織(パンヌス)の発達を伴う。これは、しばしば、関節軟骨の破壊と、関節の続発性強直(融合)を伴う骨侵食の生成とを招く。RAはまた、肺、心膜、胸膜、強膜におけるびまん性炎症、そしてまた、結節性病変(最も一般的には皮下組織におけるもの)を引き起こしうる。RAは全身性自己免疫疾患とみなされる。なぜなら、自己免疫が、その慢性化および進行において極めて重要な役割を果たすからである。
【0069】
T細胞、B細胞、単球、マクロファージ、樹状細胞および滑膜線維芽細胞を含む多数の細胞型がRAの病因に関与する。RAに関連することが公知である自己抗体には、抗シトルリン化タンパク質抗体(ACPA)およびリウマチ因子(RF)を標的とするものが含まれる。
【0070】
RAの治療
新たにRAと診断された典型的な患者は、しばしば、最初は非ステロイド性抗炎症薬、および疾患修飾性抗リウマチ薬(DMARD)、例えばヒドロキシクロロキン、スルファサラジン、レフルノミドまたはメトトレキサート(MTX)の単独または組合せにより治療される。一般的なDMARDに応答しない患者はDMARD不応性と称されうる。
【0071】
DMARD不応性患者は、伝統的には、しばしば、生物学的療法剤、例えばTNF-αアンタゴニスト、例えばアダリムマブ、エタネルセプト、ゴリムマブおよびインフリキシマブへと進められる。TNF-αアンタゴニスト療法に応答しない患者はTNF-αアンタゴニスト不応性または不適切応答者と称されうる。
【0072】
本発明により、初期の臨床分類基準を改良すること、および生物学的療法を要する患者を疾患発症時に特定することが可能となり、それにより、最も必要性の高い患者への治療的介入を層別化する機会がもたらされ、予後不良の患者において生物学的療法を早期に開始することが可能となる。
【0073】
本明細書中で用いる「生物学的療法」なる語は、関節リウマチに対する治療を可能にするタンパク質剤に関するものでありうる。関節リウマチに対する生物学的療法の例は当技術分野で周知であり、適切な生物学的療法は当業者によって容易に選択されうる。
【0074】
幾つかの実施形態においては、関節リウマチに対する生物学的療法は抗体である。
【0075】
幾つかの実施形態においては、生物学的療法はB細胞アンタゴニスト、ヤヌスキナーゼ(JAK)アンタゴニスト、腫瘍壊死因子(TNF)アンタゴニスト、デコイTNF受容体、T細胞共刺激シグナルアンタゴニスト、IL-1受容体アンタゴニスト、IL-6受容体アンタゴニストまたはそれらの組合せである。
【0076】
幾つかの実施形態においては、生物学的療法は抗TNF-アルファ療法または抗CD20療法である。
【0077】
幾つかの実施形態においては、抗TNF-アルファ療法は抗TNF-アルファ抗体、好ましくはアダリムマブを含む。
【0078】
幾つかの実施形態においては、抗CD20療法は抗CD20抗体、好ましくはリツキシマブを含む。
【0079】
幾つかの実施形態においては、生物学的療法は、アダリムマブ、インフリキシマブ、セルトリズマブペゴル、ゴリムマブ、リツキシマブ、オクレリズマブ、ベルツズマブ、オファツムマブ、トシリズマブおよびトファシチニブまたはそれらの組合せからなる群から選択される。
【0080】
抗TNF-アルファ療法
本明細書中で用いる「抗TNF-アルファ療法」なる語は、TNF-アルファに対する生理学的応答の抑制を含む作用メカニズムを有する治療用物質の使用を含むと意図される。
【0081】
特に、抗TNF-アルファ療法には、TNF-アルファに結合しその受容体へのその結合能を阻害することにより作用しうるTNFインヒビターが含まれる。TNFインヒビターの例には、抗TNF-アルファ抗体および融合タンパク質エタネルセプトが含まれる。
【0082】
抗TNF-アルファ抗体の例には、アダリムマブ(Humira)、インフリキシマブ(Remicade)、セルトリズマブペゴル(Cimzia)およびゴリムマブ(Simponi)が含まれる。
【0083】
アダリムマブは、商品名Humiraとして販売されているモノクローナル抗体であり、リウマチ性関節炎、乾癬性関節炎、強直性脊椎炎、クローン病、潰瘍性大腸炎、慢性乾癬、化膿性汗腺炎および若年性特発性関節炎を含む病態の治療に使用される。
【0084】
セルトリズマブは、セルトリズマブペゴルとして商品名Cimziaで販売されているモノクローナル抗体のフラグメントである。それはクローン病、関節リウマチ、乾癬性関節炎および強直性脊椎炎の治療に使用される。
【0085】
抗CD20療法
本明細書中で用いる「抗CD20療法」なる語は、CD20への結合を含む作用メカニズムを有する治療用物質の使用を含むと意図される。抗CD20療法はB細胞の発生および/または機能を妨害または阻害しうる。抗CD20療法はB細胞の枯渇またはB細胞の発生および成熟の阻害を引き起こしうる。
【0086】
幾つかの実施形態においては、抗CD20療法は抗CD20抗体(例えば、抗CD20モノクローナル抗体)、例えば、リツキシマブを含む。
【0087】
CD20に対する抗体は標的抗原に結合し、アポトーシス、補体依存性細胞傷害(CDC)および抗体依存性細胞傷害(ADCC)の混合体を開始することにより、それ(CD20)が表面上で発現される細胞を殺しうる。
【0088】
幾つかの実施形態においては、抗CD20療法は、リツキシマブ、オクレリズマブ、ベルツズマブおよびオファツムマブからなる群から選択される。
【0089】
好ましい実施形態においては、抗CD20療法はリツキシマブである。
【0090】
リツキシマブは、CD20への結合に際してB細胞破壊を刺激するCD20に対するキメラマウス/ヒト免疫グロブリンG1(IgG1)モノクローナル抗体である。リツキシマブは、抗体依存性細胞傷害(ADCC)、補体依存性細胞傷害(CDC)を含むメカニズムにより、血液、骨髄およびリンパ節からCD20表面陽性ナイーブおよび記憶B細胞を枯渇させる。それは骨髄におけるCD20陰性初期B細胞系列前駆細胞および後期B系列形質細胞に影響を及ぼさない。
【0091】
オクレリズマブは、ADCCおよびCDCを含むメカニズムよってCD20への結合の後でCD20+ B細胞の枯渇を引き起こすヒト化抗CD20モノクローナル抗体である。
【0092】
ベルツズマブは、ADCCおよびCDCを含むメカニズムによってCD20への結合の後でCD20+ B細胞の枯渇を引き起こすヒト化第2世代抗CD20モノクローナル抗体である。
【0093】
オファツムマブはCD20に対するヒトモノクローナルIgG1抗体であり、初期Bリンパ球の活性化を阻害しうる。オファツムマブは、リツキシマブにより標的化されるエピトープと比較して、CD20のN末端のより近くに位置する異なるエピトープを標的化し、細胞外ループを含む。なぜなら、それはCD20分子の小ループと大ループとの両方に結合するからである。オファツムマブはADCCおよびCDC経路を介してB細胞破壊を刺激する。
【0094】
B細胞
B細胞はRAの病因において中心的な役割を果たす。
【0095】
骨髄において未成熟B細胞が産生される。これらの未成熟B細胞は、骨髄においてIgM+ 未成熟段階に達した後、二次リンパ組織(例えば、脾臓、リンパ節)に移動し、そこにおいては移行B細胞と称され、これらの細胞の一部は成熟Bリンパ球およびおそらくは形質細胞へと分化する。
【0096】
B細胞は、B細胞の発生および成熟の種々の段階で発現される様々な細胞表面マーカーにより定義されうる(以下の表を参照されたい)。これらのB細胞マーカーには、CD19、CD20、CD22、CD23、CD24、CD27、CD38、CD40、CD72、CD79aおよびCD79b、CD138ならびに免疫グロブリン(Ig)が含まれうる。
【0097】
【0098】
免疫グロブリン(Ig)は、免疫グロブリンスーパーファミリーに属する糖タンパク質であり、外来抗原を認識し、免疫系の体液性応答を促進する。Igは、2つの物理的形態、すなわち、細胞から分泌される可溶性形態、およびB細胞受容体(BCR)と称されるB細胞表面に結合している膜結合形態として見出されうる。哺乳類Igは、それらが有する重鎖に基づいて5つのクラス(アイソタイプ)に分類されうる。抗原に曝露されたことがない未成熟B細胞はナイーブB細胞として公知であり、細胞表面結合形態のIgMアイソタイプのみを発現する。B細胞は、成熟状態に達すると、IgMとIgDとの両方を発現し始める。これらの免疫グロブリンアイソタイプの両方の共発現はB細胞を「成熟」させ、抗原に応答する準備を整わせる。B細胞の活性化は細胞結合抗体分子と抗原との篏合の後に生じて、細胞を分裂させ、抗体産生形質細胞へと分化させる。この活性化形態においては、B細胞は、膜結合形態ではなく分泌形態で抗体を産生し始める。活性化B細胞の娘細胞の幾つかはアイソタイプスイッチを受けて、IgMまたはIgDから、免疫系において一定の役割を有する他の抗体アイソタイプ、すなわち、IgE、IgAまたはIgGに変化する。
【0099】
CD19は、実質的に全てのB系列細胞により発現され、Srcファミリーキナーゼ活性を増幅することにより細胞内シグナル伝達を調節する。
【0100】
CD20は、膜に包埋されたCa2+チャネルとして機能する成熟B細胞特異的分子である。CD20の発現はプレB細胞段階から形質細胞への最終分化までのB細胞系列に限定される。
【0101】
CD22は、濾胞B細胞の生存を調節しシグナル伝達を負に調節するα2,6結合シアル酸の哺乳類レクチンとして機能する。
【0102】
CD23は、IgE産生に影響を及ぼす、活性化B細胞上で発現されるIgEに対する低アフィニティ受容体である。
【0103】
CD24はGPI固定糖タンパク質であり、最初に特定された汎B細胞分子の1つであった。
【0104】
CD27はTNF受容体スーパーファミリーのメンバーである。それはそのリガンドCD70に結合し、B細胞活性化および免疫グロブリン合成の調節において中心的な役割を果たす。この受容体は、NF-κBおよびMAPK8/JNKの活性化をもたらすシグナルを伝達する。
【0105】
CD38はサイクリックADPリボース加水分解酵素としても公知である。それは、細胞接着、シグナル伝達およびカルシウムシグナル伝達においても機能する糖タンパク質であり、一般的には細胞活性化のマーカーである。
【0106】
CD40は胚中心(GC)B細胞の重要な生存因子として機能し、T細胞により発現されるCD154のリガンドである。
【0107】
CD72は、シグナル伝達の負の調節因子として、およびセマフォリン4D(CD100)のB細胞リガンドとして機能する。
【0108】
CD79a/CD79b二量体はB細胞抗原受容体と密接に結合しており、細胞がその表面上の抗原の存在に対して応答することを可能にする。CD79a/CD79b二量体はライフサイクル全体を通じてB細胞の表面上に存在し、他の全ての健常細胞上には存在しない。
【0109】
CD138はシンデカン1としても公知である。シンデカンは細胞結合、細胞シグナル伝達および細胞骨格組織化を媒介する。CD138は形質細胞の細胞表面マーカーとして有用でありうる。
【0110】
RA患者における治療に対する応答
関節リウマチの治療に対する対象の応答を評価する方法は当技術分野で公知であり、当業者によく知られているであろう。
【0111】
例えば、RAにおける疾患活動性の周知の尺度には、疾患活動性スコア(DAS)、修正形態のDAS28、およびDASに基づくEULAR応答基準が含まれる。
【0112】
バイオマーカー
本発明は、関節リウマチに対する生物学的療法による治療を要する対象を特定するための方法を提供し、該方法は、
(a)対象から得られた1以上のサンプルにおける、表1から選択される1以上のバイオマーカーのレベルを決定する工程、および
(b)前記の1以上のバイオマーカーのレベルを1以上の対応参照値と比較する工程を含み、
ここで、対応参照値と比較された前記の1以上のバイオマーカーのレベルは関節リウマチに対する生物学的療法による治療の必要性の指標となる。
【0113】
幾つかの実施形態においては、前記の1以上のバイオマーカーは表1からの2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71個または72個全てのバイオマーカーを含む。
【0114】
幾つかの実施形態においては、前記の1以上のバイオマーカーは表1からの72個全てのバイオマーカーを含む。
【0115】
幾つかの実施形態においては、前記の1以上のバイオマーカーは表1からの2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71個または72個全てのバイオマーカーからなる。
【0116】
幾つかの実施形態においては、前記の1以上のバイオマーカーは表1からの72個全てのバイオマーカーからなる。
【0117】
【表1】
【0118】
本発明の更なるバイオマーカーのそれぞれの例示的なNCBI遺伝子IDおよび核酸配列(NCBIアクセッション番号)には、IL8(NCBI遺伝子ID 3576; 例示的NCBIアクセッション番号NM_000584.4)、LTB(NCBI遺伝子ID4050; 例示的NCBIアクセッション番号NM_002341.2)、HIVEP1(NCBI遺伝子ID3096; 例示的NCBIアクセッション番号NM_002114.4)、UBASH3A(NCBI遺伝子ID53347; 例示的NCBIアクセッション番号NM_001001895.3)およびIFNB1(NCBI遺伝子ID3456; 例示的NCBIアクセッション番号NM_002176.4)。
【0119】
幾つかの実施形態においては、前記の1以上のバイオマーカーは表2から選択され、前記の1以上のバイオマーカーのレベルは対応参照値と比較して増加している。
【0120】
幾つかの実施形態においては、前記の1以上のバイオマーカーは表2からの少なくとも2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48個または49個全てのバイオマーカーを含む。
【0121】
幾つかの実施形態においては、前記の1以上のバイオマーカーは表2からの49個全てのバイオマーカーを含む。
【0122】
幾つかの実施形態においては、前記の1以上のバイオマーカーは表2からの2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48個または49個全てのバイオマーカーからなる。
【0123】
幾つかの実施形態においては、前記の1以上のバイオマーカーは表2からの49個全てのバイオマーカーからなる。
【0124】
幾つかの実施形態においては、前記の1以上のバイオマーカーは、B細胞およびT細胞の増殖、分化および活性化に関連する、表2からの1以上の遺伝子(例えば、TNFRSF13C、CD79A、CD2およびCD3E)を含む。幾つかの実施形態においては、前記の1以上のバイオマーカーは、TNFRSF13C、CD79A、CD2およびCD3Eから選択される1以上のバイオマーカーを含む。幾つかの実施形態においては、前記の1以上のバイオマーカーはTNFRSF13C、CD79A、CD2およびCD3Eを含む。幾つかの実施形態においては、前記の1以上のバイオマーカーは、TNFRSF13C、CD79A、CD2およびCD3Eから選択される1以上のバイオマーカーからなる。幾つかの実施形態においては、前記の1以上のバイオマーカーはTNFRSF13C、CD79A、CD2およびCD3Eからなる。
【0125】
幾つかの実施形態においては、前記の1以上のバイオマーカーは、マトリックスメタロペプチダーゼの産生/調節に関連する、表2からの1以上の遺伝子(例えば、MMP1)を含む。幾つかの実施形態においては、前記の1以上のバイオマーカーはMMP1を含む。幾つかの実施形態においては、前記の1以上のバイオマーカーはMMP1からなる。
【0126】
幾つかの実施形態においては、前記の1以上のバイオマーカーは、サイトカイン媒介性細胞活性化に関連する、表2からの1以上の遺伝子(例えば、TNFAおよびTRAF3IP3)を含む。幾つかの実施形態においては、前記の1以上のバイオマーカーは、TNFAおよびTRAF3IP3から選択される1以上のバイオマーカーを含む。幾つかの実施形態においては、前記の1以上のバイオマーカーはTNFAおよびTRAF3IP3を含む。幾つかの実施形態においては、前記の1以上のバイオマーカーは、TNFAおよびTRAF3IP3から選択される1以上のバイオマーカーからなる。幾つかの実施形態においては、前記の1以上のバイオマーカーはTNFAおよびTRAF3IP3からなる。
【0127】
幾つかの実施形態においては、前記の1以上のバイオマーカーは、破骨細胞形成阻害に関連する、表2からの1以上の遺伝子(例えば、DEF6)を含む。幾つかの実施形態においては、前記の1以上のバイオマーカーはDEF6を含む。幾つかの実施形態においては、前記の1以上のバイオマーカーはDEF6からなる。
【0128】
【表2】
幾つかの実施形態においては、前記の1以上のバイオマーカーは表3から選択され、該1以上のバイオマーカーのレベルは対応参照値と比較して減少している。
【0129】
幾つかの実施形態においては、前記の1以上のバイオマーカーは表3からの少なくとも2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22個または23個全てのバイオマーカーを含む。
【0130】
幾つかの実施形態においては、前記の1以上のバイオマーカーは表3からの23個全てのバイオマーカーを含む。
【0131】
幾つかの実施形態においては、前記の1以上のバイオマーカーは表3からの2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22個または23個全てのバイオマーカーからなる。
【0132】
幾つかの実施形態においては、前記の1以上のバイオマーカーは表3からの23個全てのバイオマーカーからなる。
【0133】
【表3】
【0134】
対応参照値と比較した場合の前記の1以上のバイオマーカーのレベルの増加は、例えば、参照値に対して少なくとも約10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%、96%、97%、98%または99%以上のレベルの増加でありうる。対応参照値と比較した場合の前記の1以上のバイオマーカーのレベルの増加は、例えば、参照値に対して少なくとも約1.1倍、1.2倍、1.3倍、1.4倍、1.5倍、1.6倍、1.7倍、1.8倍、1.9倍、2倍、2.1倍、2.2倍、2.3倍、2.4倍、2.5倍、2.6倍、2.7倍、2.8倍、2.9倍、3倍、3.5倍、4倍、4.5倍、5倍、6倍、7倍、8倍、9倍、10倍、15倍、20倍、30倍、40倍、50倍、100倍、500倍または1000倍のレベルの増加でありうる。
【0135】
対応参照値と比較した場合の前記の1以上のバイオマーカーのレベルの減少は、例えば、参照値に対して少なくとも約10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%、96%、97%、98%または99%以上のレベルの減少でありうる。
【0136】
幾つかの実施形態においては、前記の1以上のバイオマーカーは、CCL19、MMP1、TNFRSF17、PIM2、CXCL1、FCRL5、CD19、MMP10、SEL1L3、SIRPG、CD40LG、XBP1、SLAMF6、BTK、BTLA、TRAF3IP3、MAP4K1、SLC31A1、TNFA、TIGIT、CD180、DKK3、FGF9、NOGおよびCILPからなる群から選択されるバイオマーカーを含まない。。
【0137】
幾つかの実施形態においては、前記の1以上のバイオマーカーはCCL19を含まない。幾つかの実施形態においては、前記の1以上のバイオマーカーはMMP1を含まない。幾つかの実施形態においては、前記の1以上のバイオマーカーはTNFRSF17を含まない。幾つかの実施形態においては、前記の1以上のバイオマーカーはPIM2を含まない。幾つかの実施形態においては、前記の1以上のバイオマーカーはCXCL1を含まない。幾つかの実施形態においては、前記の1以上のバイオマーカーはFCRL5を含まない。幾つかの実施形態においては、前記の1以上のバイオマーカーはCD19を含まない。幾つかの実施形態においては、前記の1以上のバイオマーカーはMMP10を含まない。幾つかの実施形態においては、前記の1以上のバイオマーカーはSEL1L3を含まない。幾つかの実施形態においては、前記の1以上のバイオマーカーはSIRPGを含まない。幾つかの実施形態においては、前記の1以上のバイオマーカーはCD40LGを含まない。幾つかの実施形態においては、前記の1以上のバイオマーカーはXBP1を含まない。幾つかの実施形態においては、前記の1以上のバイオマーカーはSLAMF6を含まない。幾つかの実施形態においては、前記の1以上のバイオマーカーはBTKを含まない。幾つかの実施形態においては、前記の1以上のバイオマーカーはBTLAを含まない。幾つかの実施形態においては、前記の1以上のバイオマーカーはTRAF3IP3を含まない。幾つかの実施形態においては、前記の1以上のバイオマーカーはMAP4K1を含まない。幾つかの実施形態においては、前記の1以上のバイオマーカーはSLC31A1を含まない。幾つかの実施形態においては、前記の1以上のバイオマーカーはTNFAを含まない。幾つかの実施形態においては、前記の1以上のバイオマーカーはTIGITを含まない。幾つかの実施形態においては、前記の1以上のバイオマーカーはCD180を含まない。幾つかの実施形態においては、前記の1以上のバイオマーカーはDKK3を含まない。幾つかの実施形態においては、前記の1以上のバイオマーカーはFGF9を含まない。幾つかの実施形態においては、前記の1以上のバイオマーカーはNOGを含まない。幾つかの実施形態においては、前記の1以上のバイオマーカーはCILPを含まない。
【0138】
幾つかの実施形態においては、前記の1以上のバイオマーカーはCCL19、MMP1、TNFRSF17、PIM2、CXCL1、FCRL5、CD19、MMP10、SEL1L3、SIRPG、CD40LG、XBP1、SLAMF6、BTK、BTLA、TRAF3IP3、MAP4K1、SLC31A1、TNFA、TIGIT、CD180、DKK3、FGF9、NOGおよびCILPのいずれをも含まない。
【0139】
追加的な臨床共変量
本明細書に開示されている方法は、対象の、1以上の臨床共変量を決定することを更に含みうる。代替的または追加的に、1以上の臨床共変量は対象に関して決定されていてもよい。該方法は、前記の1以上の臨床共変量を1以上の参照値と比較することを含みうる。臨床共変量の例には、疾患活動性スコア(DAS)、DAS28、ベースライン病原型、C応答性タンパク質および圧痛関節数(TJC)が含まれる。
【0140】
幾つかの実施形態においては、前記の1以上の臨床共変量は、疾患活動性スコア(DAS)、DAS28、ベースライン病原型、C応答性タンパク質および圧痛関節数(TJC)からなる群から選択される。
【0141】
幾つかの実施形態においては、該方法は、対象のベースライン病原型を決定する工程を更に含む。幾つかの実施形態においては、ベースライン病原型は対象に関して決定されている。幾つかの実施形態においては、該方法は、対象がリンパ性-骨髄性病原型を示すかどうかを決定する工程を更に含む。
【0142】
幾つかの実施形態においては、リンパ性-骨髄性病原型は、関節リウマチに対する生物学的療法による治療の必要性の指標となる。
【0143】
本明細書中で用いる「病原型」なる語は、RAの病理学的、組織学的および/または臨床的特徴により特徴付けられるRAの亜型を意味しうる。そのような病原型には、リンパ性病原型(例えば、B細胞に富む凝集体により特徴付けられる)、骨髄性病原型(例えば、優勢なマクロファージ浸潤により特徴付けられる)および微量免疫-フィブロイド病原型(例えば、少数の浸潤性免疫細胞により特徴付けられるが、下層および内層における線維芽細胞系列細胞増殖が尚も認められる)が含まれるが、これらに限定されるものではない。
【0144】
1以上のバイオマーカーのレベルの決定
バイオマーカーレベルの決定方法は当技術分野で周知であり、当業者によく知られているであろう。
【0145】
例えば、バイオマーカーのレベルは、バイオマーカー遺伝子の遺伝子発現を(例えば、RTPCRを使用して)測定することにより、またはバイオマーカー遺伝子のタンパク質産物を(例えば、イムノアッセイを使用して)検出することにより決定されうる。
【0146】
幾つかの実施形態においては、前記の1以上のバイオマーカーのレベルを決定する工程は、前記の1以上のバイオマーカーの遺伝子発現のレベルを決定することを含む。
【0147】
幾つかの実施形態においては、該レベルは核酸レベルである。幾つかの実施形態においては、核酸レベルはmRNAレベルである。
【0148】
幾つかの実施形態においては、前記の1以上のバイオマーカーのレベルは核酸の直接デジタル計数[例えば、本明細書の実施例に開示されているナノストリング(Nanostring)によるもの]、RNA-seq、RT-qPCR、qPCR、マルチプレックスqPCRもしくはRT-qPCR、マイクロアレイ分析またはそれらの組合せにより決定される。
【0149】
幾つかの実施形態においては、該レベルはタンパク質レベルである。
【0150】
幾つかの実施形態においては、前記の1以上のバイオマーカーのレベルはイムノアッセイ、液体クロマトグラフィー-質量分析(LC-MS)、ネフェロメトリー、アプタマー技術またはそれらの組合せにより決定される。
【0151】
幾つかの実施形態においては、前記の1以上のバイオマーカーのレベルは、前記の1以上のバイオマーカーのレベルの平均である。幾つかの実施形態においては、前記の1以上のバイオマーカーのレベルの平均は、前記の1以上のバイオマーカーの正規化レベルの平均である。
【0152】
幾つかの実施形態においては、前記の1以上のバイオマーカーのレベルは、前記の1以上のバイオマーカーのレベルの中央値である。幾つかの実施形態においては、前記の1以上のバイオマーカーのレベルの中央値は、前記の1以上のバイオマーカーの正規化レベルの中央値である。
【0153】
幾つかの実施形態においては、前記の1以上のバイオマーカーのレベルは、参照遺伝子(例えば、ACTB、GAPDH、GUSB、HPRT1、PGK1、RPL19、TUBB、TMEM55Bまたはそれらの組合せ)に対して正規化された前記の1以上のバイオマーカーのレベルである。
【0154】
サンプル
本発明の方法は、対象、例えば、RAを有する疑いがある患者から得られた1以上のサンプルに対して実施される。
【0155】
サンプルは、対象の関節から、例えば生検から得られうる。サンプルは対象からの滑膜組織サンプルから得られうる。
【0156】
本明細書中で用いる場合、「滑膜サンプル」なる語は、滑膜関節に由来するサンプルを意味する。典型的には、滑膜サンプルはRA患者の滑膜関節に由来する。滑膜サンプルは滑膜組織生検であることが可能であり、滑膜関節はサンプルの採取時に活動性炎症を示しうる。
【0157】
滑膜組織サンプルのようなサンプルを得るための方法は当技術分野で周知であり、当業者によく知られているであろう。例えば、組織サンプルを得るために、超音波(US)ガイド下生検のような技術が用いられうる。
【0158】
幾つかの実施形態においては、サンプルは滑膜サンプルである。幾つかの実施形態においては、サンプルは滑膜組織サンプルまたは滑液サンプルである。
【0159】
幾つかの実施形態においては、サンプルは、滑液生検、好ましくは超音波ガイド下滑膜生検により得られる。
【0160】
参照値
本発明の方法は、1以上のバイオマーカーのレベルを1以上の対応参照値と比較する工程を含む。
【0161】
本明細書中で用いる場合、「参照値」なる語は、[例えば、診断(例えば、予測および/または予後)および/または治療決定を行うために]別の発現レベル(例えば、本明細書に開示されている1以上のバイオマーカーのレベル)と比較される発現レベルを意味しうる。
【0162】
例えば、参照値は、参照集団、例えばRA療法で治療されていないRAを有する患者の集団における発現レベル(例えば、参照集団における発現レベルの中央値)、参照サンプル、および/または予め割り当てられた値(例えば、関節リウマチに対する生物学的療法を要する個体の第1サブセットと、それを要しない個体の第2サブセットとを有意に分離するために予め決定されたカットオフ値)に由来しうる。
【0163】
幾つかの実施形態においては、カットオフ値は参照集団における中央値または平均発現レベルでありうる。幾つかの実施形態においては、参照レベルは参照集団における発現レベルの上位40%、上位30%、上位20%、上位10%、上位5%または上位1%でありうる。
【0164】
対応参照値は、RAを有さない対象、例えば、変形性関節症(OA)を有する対象に由来しうる。
【0165】
参照値は、例えば、対象の対照集団、例えば、5、10、100、1000名以上の対象(年齢および/または性別が釣り合わされていること、あるいは試験対象に対して釣り合わされていないことが可能である)におけるバイオマーカーの平均または中央値レベルに基づきうる。
【0166】
特定の実施形態においては、参照値は、予め決定されていることが可能であり、または得られた各試験サンプルに関する対照サンプルに対する対応決定を行う必要なしに計算または外挿されうる。
【0167】
対象
好ましい実施形態においては、対象(被験者)はヒトである。
【0168】
好ましい実施形態においては、対象は成人である。幾つかの実施形態においては、対象は小児または乳幼児でありうる。
【0169】
好ましい実施形態においては、対象は以前に関節リウマチに対して治療されていない。好ましくは、対象は疾患修飾性抗リウマチ薬(DMARD)および/またはステロイドで治療されたことがない。
【0170】
幾つかの実施形態においては、対象は以前に疾患修飾性抗リウマチ薬(DMARD)で治療されていない。幾つかの実施形態においては、対象は以前に関節リウマチに対する生物学的療法で治療されていない。好ましい実施形態においては、対象は以前に疾患修飾性抗リウマチ薬(DMARD)または関節リウマチに対する生物学的療法で治療されていない。
【0171】
幾つかの実施形態においては、対象は関節リウマチを有する疑いがある。幾つかの実施形態においては、対象は、RAに関連する1以上の症状を示し、幾つかの実施形態においては、関節リウマチ(RA)と診断されている。
【0172】
幾つかの実施形態においては、対象は、1年未満、例えば、11、10、9、8、7、6、5、4または3ヶ月未満にわたって関節リウマチの1以上の症状を示している。
【0173】
抗体
「抗体」なる語は、本明細書において、抗体またはその機能的フラグメントに関して用いられる。機能的フラグメントは、親抗体と同じ抗原標的に結合する能力を保持する、抗体の任意の部分を意味する。
【0174】
本明細書中で用いる「抗体」は、少なくとも1つの相補性決定領域(CDR)を含む抗原結合部位を有するポリペプチドを意味する。抗体は3つのCDRを含むことが可能であり、ドメイン抗体(dAb)と同等の抗原結合部位を有することが可能である。抗体は6つのCDRを含むことが可能であり、古典的抗体分子と同等の抗原結合部位を有することが可能である。該ポリペプチドの残部は、適切なスカフォールドを抗原結合部位に提供する任意の配列であって、それが抗原に結合するための適切な様態でそれを提示する任意の配列でありうる。抗体は免疫グロブリン分子全体またはその一部、例えば、Fab、F(ab)'2、Fv、単鎖Fv(ScFv)フラグメントまたはナノボディでありうる。抗体は、該抗体と、別の物質または抗体とのコンジュゲートでありうる。例えば、抗体は、ポリマー(例えば、PEG)、毒素または標識にコンジュゲート化されうる。抗体は二官能性抗体でありうる。抗体は非ヒト、キメラ、ヒト化または完全ヒト抗体でありうる。
【0175】
治療方法
本発明はまた、関節リウマチに対する対象の治療方法を提供し、該方法は、関節リウマチに対する生物学的療法の有効量を対象に投与することを含み、ここで、対象は、本明細書に開示されている本発明の方法により、関節リウマチに対する生物学的療法による治療を要するものとして特定されている。
【0176】
関節リウマチに対する生物学的療法は、本明細書に開示されている生物学的療法でありうる。
【0177】
キット
本発明はまた、本明細書に開示されている方法を実施するのに適したキットを提供する。特に、該キットは、本明細書に開示されているバイオマーカーを検出するのに適した、または本明細書に開示されているバイオマーカーの組合せを検出するのに適した試薬を含みうる。
【0178】
当業者は、それらが、開示されている本発明の範囲から逸脱することなく、本明細書に開示されている本発明の全ての特徴を兼ね備えうると理解するであろう。
【0179】
次に、本発明の好ましい特徴および実施形態を非限定的な実施例によって説明することとする。
【0180】
本発明の実施は、特に示されていない限り、化学、生化学、分子生物学、微生物学および免疫学の通常の技術を用い、それらは当業者の能力の範囲内である。そのような技術は文献において説明されている。例えば、以下のものを参照されたい:Sambrook, J., Fritsch, E.F.およびManiatis, T. (1989) Molecular Cloning: A Laboratory Manual, 2nd Edition, Cold Spring Harbor Laboratory Press; Ausubel, F.M.ら (1995および定期的補遺) Current Protocols in Molecular Biology, Ch. 9, 13および16, John Wiley & Sons; Roe, B., Crabtree, J.およびKahn, A. (1996) DNA Isolation and Sequencing: Essential Techniques, John Wiley & Sons; Polak, J.M.およびMcGee, J.O'D. (1990) In Situ Hybridization: Principles and Practice, Oxford University Press; Gait, M.J. (1984) Oligonucleotide Synthesis: A Practical Approach, IRL Press; ならびにLilley, D.M.およびDahlberg, J.E. (1992) Methods in Enzymology: DNA Structures Part A: Synthesis and Physical Analysis of DNA, Academic Press。これらの一般的なテキストのそれぞれを参照により本明細書に組み入れることとする。
(実施例)
【0181】
実施例1
方法
患者
初期関節炎コホート(http://www.peac-mrc.mds.qmul.ac.uk)の多施設病理生物学の一部としてBarts Health NHS Trustにおいて募集した200名の炎症性関節炎の治療継続患者を研究に含めた。患者は治療歴(csDMARDおよびステロイド)を有さず、1年未満の症状を有していた。
【0182】
ベースラインにおいて、患者の通常の人口統計データの収集を行い、以下の基準に従って患者を分類した: (i)RA 1987(Arnett FCら, (1987) THE AMERICAN RHEUMATISM ASSOCIATION 1987 REVISED CRITERIA FOR THE CLASSIFICATION OF RHEUMATOID ARTHRITIS)または(ii)UA. 2010 ACR/EULAR基準(RA用)(Aletaha Dら, (2010) Rheumatoid arthritis classification criteria: an American College of Rheumatology / European League Against Rheumatism collaborative initiative 1580-8)を次いで、UAの患者を更に分類するために適用して、以下の3つの群を得た: (i)RA 1987(RA 1987+ / RA 2010+)、(ii)RA 2010(RA 1987- / RA 2010+)および(iii)UA(RA 1987- / RA 2010-)。臨床的に活動的な関節の超音波(US)ガイド下滑膜生検を行った(Kelly Sら, (2013) Ann Rheum Dis 74: 611-7)。ついで、治療エスカレーションのための、目標達成に向けた治療アプローチを伴う標準的な通常の合成(cs)DMARD療法を、患者において開始した(DAS28 <3.2)。csDMARD療法が奏功しなかった患者において、該患者が6ヶ月の治療の後もDAS28 > 5.1を有し続けた場合、一般的な英国国立医療技術評価機構(UK National Institute for Clinical Excellence)(NICE)処方アルゴリズムに従い、生物学的療法(抗TNF、トシリズマブまたはリツキシマブ)を開始した(概要|成人における関節リウマチ: 処置|指針|NICE. https://www.nice.org.uk/guidance/ng100 (2019年7月2日にアクセス))。12ヶ月の時点で、フォローアップ患者を以下のとおり分類した: i. 自然治癒(SL)疾患(DAS28 < 3.2および/またはcsD
MARD / ステロイド療法)対持続性疾患(PD)(DAS28 > 3.2および/またはcsDMARD)およびii. 対症療法(非ステロイド性抗炎症薬)治療対csDMARD療法対生物学的療法 +/- csDMARD療法。
【0183】
滑膜生検の収集および処理
パラフィン包埋のために患者当たり少なくとも6個の生検を収集し、無傷の内層が確認された場合には、組織病理学的評価に付した。予め検証されたスコア化システム(Krenn V, (2006) Histopathology 49: 358-64)を用いて、滑膜炎スコアを決定した。B細胞(CD20)、T細胞(CD3)、マクロファージ(CD68)および形質細胞(CD138)に関する既に報告されているプロトコルを用いた連続切断スライドの免疫組織化学的染色の後、免疫細胞浸潤の程度を半定量的に評価した(0~4)(Humby Fら (2009) PLoS Med 6: 0059-75)。以下の基準に従い、生検を3つの滑膜病原型の1つに層別化した: i )リンパ性-骨髄性 グレード2~3のCD20+ 凝集体の存在(CD20 ≧2)および/またはCD138 > 2; ii)びまん性-骨髄性 CD68 SL≧2、CD20 ≦1および/またはCD3 ≧1、CD138 ≦2、およびiii)微量免疫型 CD68 SL < 2およびCD3、CD20、CD138 < 1。
【0184】
ナノストリング(Nanostring)分析
患者当たり少なくとも6個の滑膜サンプルを直ちにRNA-Laterに浸し、記載されているとおりに(Humby Fら, (2019) Ann Rheum Dis annrheumdis-2018-214539, doi:10.1136/annrheumdis-2018-214539)、RNA抽出を行った。ついでRNAサンプルを、確立されたRA(Dennis Gら, (2014) Arthritis Res Ther 16: R90)および/またはRA病因との関連性を有する患者からの滑膜組織の事前のマイクロアレイ分析に基づいて予め選択された238遺伝子の発現に関するプロファイリングに付した。R3.2.0におけるNanoStringQCProパッケージを使用して、NanoStringのロー(raw)カウントを処理した。カウントを、グローバル遺伝子カウント正規化によりRNA含有量に対して正規化し、ついで対数変換した(ベース2)。ついで正規化の妥当性を、正規化カウントのボックスプロットおよび散布図によって確認した。ベンジャミニ-ホッホバーグ(Benjamini-Hochberg)法を用いて多重試験を補正した。遺伝子がFDR補正p値 < 0.01を示した場合、該遺伝子は差次的に発現しているとみなされた。
【0185】
統計分析
R.3.0.2を使用して統計分析を行った。三方比較(three way comparison)のために、クラスカル-ウォリス検定を連続検定に使用し、カテゴリ変数のために、適宜、カイ2乗検定またはフィッシャー直接検定を使用した。0.05未満のp値を統計的に有意とみなした。ダン検定またはボンフェローニ補正を適宜使用して、事後比較検定を行った。
【0186】
線形回帰モデル: 前方、後方および双方向の段階的選択を用いたロジスティック回帰を、Rにおけるglm関数を使用して行った。
【0187】
Rパッケージglmnetを使用したL1(LASSO)スパースロジスティック回帰により、遺伝子発現予測因子を選択した。10フォールド交差検証を使用して、ペナルティパラメータλを最適化した。最小平均交差検証誤差に対応するλをモデルにおける最終ペナルティパラメーターとして維持した。
【0188】
予測性能評価: 95% CIで見掛け検証と内部検証との両方を用いて受信者動作特性曲線下面積(AUC)を計算することにより、最終予測モデルの予測性能を評価した。ブートストラップ法を使用した内部検証[Smith GCSら, (2014) Am J Epidemiol 180: 318-24; Efron Bら, An introduction to the bootstrap. Chapman & Hall 1994. https://www.crcpress.com/An-Introduction-to-the-Bootstrap/Efron-Tibshirani/p/book/9780412042317 (2019年2月7日にアクセス)](Rパッケージブートバージョン1.3-18で実施)を用いてオーバーフィットに関して補正して、低い絶対誤差を有するC統計量(AUC)の不偏性オプティミズム補正推定値を得た。オプティミズム補正AUCの推定を可能にするために、500回の置換を伴うランダムサンプリングにより、AUC統計量のブートストラップ推定値を計算した。
【0189】
結果
患者の人口統計および臨床的相関性
200名のPEAC患者が含まれた。128/200名(64%)の患者をRA 1987(RA 1987+/RA 2010+)として分類し、72/200名(36%)をUAとして分類した。UA患者のうち、25名を更にRA 2010(RA 1987-/RA 2010+)(25/200名、12.5%)として分類し、47名はUA(RA 1987-/RA 2010-)(47/200名、23.5%)のままであった(図1A)。群間で平均年齢、罹患期間またはESRにおける有意差は示されなかった。しかし、RA 1987群は、RA 2010またはUA群と比較して、CRP、TJC、SJC、DAS28、RF、ACPAおよびVASのレベルが有意に高く、RFおよびACPAに関して血清陽性の患者数が有意に多かった(図1B)。SJCおよびACPA力価は、RA 2010群とUA群との間に有意差がある唯一の臨床パラメーターであり、このことは、疾患活動性の臨床的尺度の点では、これら2つの群が比較的均質であることを示している。
【0190】
滑膜病原型は、罹患期間に無関係に、臨床表現型を識別する
滑膜生検を主に小さな関節(81.5%)から得た(図2A)。組織学的分析に適した滑膜組織を有する患者(166/200名)をベースライン滑膜病原型に従って分類し(図2B)、臨床パラメーターにおける差異を評価した。びまん性-骨髄性または微量免疫群のいずれかと比較して、リンパ性-骨髄性における平均DAS28が有意に高いことが示された(5.82対4.93対4.86、p < 0.001)。平均CRPはリンパ性-骨髄性およびびまん性-骨髄性対微量免疫群において有意に高く(16.86対15.52対9.55、p < 0.001)、リンパ性-骨髄性群において、有意に多数の患者がRF(p = 0.012)またはACPA(p = 0.011)のいずれかに関して血清陽性であった(図2C)。罹患期間が滑膜病原型の保有率に影響を及ぼすかどうかを評価するために、ベースラインにおいて、罹患期間(1~3ヶ月、4~6ヶ月、7~9カ月および10~12ヶ月)に従い患者を4つの群に層別化し、滑膜病原型の頻度を決定した。各時点で滑膜病原型頻度に有意差は示されなかった(p = 0.65)(図2D)。
【0191】
RA 1987患者は、RA 2010およびUA患者と比較して有意に高いレベルの滑膜免疫細胞浸潤を示す
患者を病原型に従い分類し、更にRA 1987、RA 2010およびUAのカテゴリーに分類した。RA 1987群内のより高い割合の患者はリンパ性-骨髄性として分類された(びまん性-骨髄性または微量免疫型との比較)(43.5%対33%対23.5%)(図3A)。また、RA 1987群およびRA 2010群とUA群との両方において、有意に高い平均滑膜炎、CD3+ T細胞、CD20+ B細胞、CD138+ 形質細胞およびCD68+ SL/Lマクロファージスコアが示された(p < 0.001)(図3B)。RA 2010群とUA群との間で滑膜炎スコア、平均CD3+ T、CD20+ B、CD68+ LもしくはSLマクロファージまたはCD138+ 形質細胞数に有意差は見られず(図3B)、このことは、これらの2つの群が組織病理学的に比較的均質であることを示している。
【0192】
B細胞の活性化および機能を調節する滑膜遺伝子は、RA 1987患者においては、RA 2010/UA群と比較して有意にアップレギュレートされている
145/200名の患者は、ナノストリング分析に利用可能なRNAを有しており(95/128名のRA 1987患者、12/25名のRA 2010患者および38/47名のUA患者)、群間の差次的遺伝子発現(238遺伝子)に関して分析された。
【0193】
RA 1987群とRA 2010群とを比較して、53個の遺伝子の有意な差次的発現が実証された(図3C)。組織学的分析と一致して、RA 1987コホート内の多数の差次的アップレギュレート化遺伝子がB細胞の活性化/機能の媒介に関与していた(例えば、CD79A、CD38、IGJ、CXCL13、IRF4、CCL19、CD38、TNFAおよびIL6)。RA 1987およびUA群間の遺伝子発現を評価したところ、B細胞の活性化/機能を媒介するRA 1987コホート内の多数の遺伝子の差次的アップレギュレーションの類似傾向が見出された。ただし、CXCL13のみが多重比較に関する補正の後に有意であった(図3D)。逆に、RA 2010およびUAコホート間の遺伝子発現を評価したところ、7個の遺伝子のみが有意であるようであり、軟骨生物学を媒介するRA 2010コホート内の差次的アップレギュレート化遺伝子が優勢であり(COMP、DKK3、INHBA)、残りのものはいずれも、多重比較に関する補正の後で有意でなかった(図3E)。
【0194】
疾患発症時におけるRA 1987基準としての分類は12ヶ月の時点における持続性疾患を予測する
190/200名の患者の12ヶ月のフォローアップデータが利用可能であり、ベースライン滑膜病原型が疾患の進展に関連しているかどうかを調べた。119/121名(99%)のRA 1987患者および19/22名(90%)のRA 2010がPDを有していた(図4A)。UAコホート内の11/47名(23%)は他の診断を受けた。残りの36名の患者のうち、26/36名(72.2%)はPDを有し、10/36名(27.8%)はSLを示した。PDを有するUA患者のうち、4/26名(15.3%)は、12ヶ月において2010 ACR/EULAR基準RAを満たすように進行した。結果は、RA 2010またはRA 1987群と比較してUA群ではSL疾患患者の割合が有意に高く、PDを有するRA 1987群内の患者数が有意に多いことを示した(図4B)。ベースライン病原型の影響を評価したところ、リンパ性-骨髄性病原型のPD患者の割合が、びまん性-骨髄または微量免疫病原型と比較して高く(39%対32%対13%)、びまん性-骨髄性病原型のSL患者の数が、リンパ性-骨髄性または微量免疫病原型と比較して多かった(54%対18%対27%)(図4C
【0195】
ベースラインリンパ球-骨髄性病原型は生物学的療法の12ヶ月の必要性に有意に関連している
診断群または病原型に従って層別化された患者を12ヶ月の治療必要性に従い更に分類した: i. 対症療法、ii. csDMARD、またはiii. 生物学的療法 +/- csDMARD。RA 1987におては、RA 2010およびUAと比較して、有意に高い割合の患者が生物学的療法を要し(27.82%対20.83%対10.63%)(p <0.001)(図5A)、重要なことに、リンパ性-骨髄性(対びまん性-骨髄性または微量免疫)病原型は、生物学的療法の12ヶ月の必要性に有意に関連していた(57%対21%対21%, p = 0.02)(図5B)。
【0196】
ついで、生物学的療法を要する患者(n = 34)と、要しない患者(n = 106)との間で、ナノストリング(Nanostring)パネルにおける238個の遺伝子の発現を比較し、119個の差次的発現遺伝子を見出した。生物学的療法を要する患者は、B細胞およびT細胞の増殖、分化および活性化を調節する遺伝子(例えば、TNFRSF13C、CD79A、CD2、CD3EおよびCD38)、マトリックスメタロプロテアーゼの産生/調節に関与する遺伝子(例えば、MMP1およびTIMP1)、サイトカイン媒介性細胞活性化に関与する遺伝子(TNFA、TRAF3IP3、IFNA1)、ならびに破骨細胞形成阻害に関与する遺伝子(DEF6)の、より高い差次的アップレギュレーションを示した。生物学的療法を要しなかった患者は幾つかのB細胞およびT細胞調節遺伝子ならびにB増殖マーカーを発現したが、ほとんどは線維芽細胞増殖および軟骨代謝回転のマーカーであった(図5C)。
【0197】
罹患期間が転帰に影響を及ぼすかどうかを判断するために、12ヶ月の治療(生物学的療法かどうか)に従い患者を分類し、更に罹患期間の四分位数に分類し(図5D)、診断時において、罹患期間に関して有意差がないことを実証した。次に、生物学的療法で治療された患者(n=39)を罹患期間の四分位数に従い分類し、ついで滑膜病原型に従い分類した。各四分位数において患者数の有意差は見出されなかった(P = 0.3)(図5E)。これらの結果は、罹患期間ではなく滑膜病原型が12ヶ月の治療転帰に影響を及ぼすことを強く示唆している。
【0198】
滑膜遺伝子発現シグネチャーは生物学的療法の必要性に関する臨床予測モデルの性能を向上させる
ベースライン臨床データおよび遺伝子発現データが、生物学的療法の必要性を予測するためのモデルへと統合されうるかどうかを判断するために、以下の2つの補完的なアプローチを用いた: 予測臨床共変量を特定するためのロジスティック回帰モデル、および臨床モデルを改善する遺伝子を特定するためのL1正則化ペナルティ(LASSO)を伴うロジスティック回帰に基づくペナルティ化法。
【0199】
以下の9個のベースライン臨床共変量が回帰モデルにおける候補とみなされた: 罹患期間、ESR、CRP、RF、ACPA、TJC、SJC、DAS28および病原型(2つのカテゴリー: リンパ性-骨髄性対微量免疫/びまん性-骨髄性)。後方前方および双方向の段階的選択を用いるロジスティック回帰モデルは同一セットの臨床共変量(DAS28、病原型、CRPおよびTJC)の選択をもたらした。AUCにより評価された該モデルの見掛け予測性能は0.78(95% CI = 0.70~0.87)であった。
【0200】
以前のロジスティック回帰により選択された4つの臨床共変量に適用されたL1正則化ペナルティ(LASSO)を伴うロジスティック回帰を使用して、臨床モデルを改善するために遺伝子を選択し、119個の遺伝子が、生物学的療法群と非生物学的療法群との間で有意に差次的発現しているものと特定された。臨床的予測因子がペナルティ化されている又は強制的包含に付されているモデルを比較した。全ての予測因子がペナルティ化された場合には、11個の予測因子が最終モデルにおいて保持され、臨床共変量がペナルティ化されなかった場合には、13個の予測因子が保持された(図6A)。ペナルティ化臨床モデルと非ペナルティ化臨床モデルとの両方において、見掛け予測性能が改善された(見掛けAUC = 0.89、95% CI = 0.83~0.95およびAUC = 0.90、95% CI = 0.84~0.95)(図6B)。更に、元のデータセットからの置換を伴うブートストラップサンプリングにより各モデルに関するAUCのオプティミズムを計算することにより、オーバーフィットに関してAUC性能尺度を補正するための内部検証を行った。オプティミズム補正AUCは純粋臨床モデルに関しては0.75であり、臨床および遺伝子モデル(LASSO)に関しては0.81であった(図6Cおよび6D)。このことは、臨床共変量と遺伝子との両方をモデルに含めることにより、モデルの予測能力が改善することを示唆している。
モデルにおいて使用した遺伝子を以下の表に示す。
【0201】
【表4】
【0202】
考察
これらの結果は、RA 1987基準を満たさない初期炎症性関節炎患者が、RA 2010またはUA基準による更なる分類に関係なく、類似した臨床的な滑膜の組織学的および分子的特徴を示すことを強く示唆している。これらのデータはまた、疾患発症時のリンパ性-骨髄性病原型が、臨床分類に関係なく、後に生物学的療法を要する患者の転帰不良を予測すること、そして最後に、組織学的シグネチャーおよび分子的シグネチャーを臨床予測モデルに統合することにより、患者が生物学的療法を要するかどうかを予測するための感度/特異性が増強されることを示唆している。
【0203】
データは、RA 2010+/RA 1987-群においては、生物学的療法を要する患者の割合が低いことを示している。これはACR/EULAR 2010基準に合致しており、早期診断およびそれによる有効な治療を可能にする。しかし、この群は、最初から、より軽度な病態を有する可能性もある。
【0204】
滑膜病原型自体は、SL疾患ではなくPDを発症するリスクのある患者を識別するようには見えない。しかし、12ヶ月の生物学的療法の必要性を予後的転帰として適用したところ、B細胞に富む濃厚滑膜浸潤物を伴うリンパ性-骨髄性病原型、および疾患発症時におけるT/B細胞遺伝子の有意なアップレギュレーションを示す患者が、後の生物学的療法の必要性を予測するものであり、決定的に、これが罹患期間に無関係であることが実証された。本研究は、12ヶ月のフォローアップにおいて、リンパ性-骨髄性病原型として分類された患者のかなり高い割合が生物学的療法を要したことを示している。この研究はまた、RAを有する全ての患者に関する「早期治療機会(early window of opportunity)」を取り巻く現在の定説に疑問を投げかけており、単なる罹患期間ではなく病原型が転帰に影響を及ぼすこと、および予後不良病原型が集中治療レジメンの対象となるべきであることを示唆している。この見解は、生物学的製剤の使用に関する臨床予測モデルに滑膜組織学的マーカーおよび分子マーカーを統合することにより、罹患期間に無関係に、感度/特異性が78.8%から89~90%へと改善するという実証により裏付けられている。
【0205】
滑膜不均一性は臨床表現型に関連しないことを示唆する以前に報告されたデータとの不一致は、おそらく、以下の事実により説明されるであろう。すなわち、本発明者らの研究においては、大多数の生検は小関節において行われたが、そのコホートにおいては、関節鏡生検は、主に大関節病変を有する患者に限定されており、したがって潜在的な選択バイアスが生じた。また、これまでに報告されている最大の生検主導早期関節炎コホートにおける組織学的データおよび分子的データのペアは内部検証および高い分類精度を確保していた。
【0206】
本発明者らの結果は確固たるものであり、これが示唆するところによると、新しいRA 2010分類基準の導入は、1987基準と比較して、追加的な臨床的および生物学的不均一性を初期患者分類にもたらし、RA 2010基準だけでは不良転帰を予測する能力が限られている。罹患期間に無関係に予後不良(生物学的療法の必要性)を予測する臨床アルゴリズムへの滑膜病理生物学的マーカーの統合は、「治療機会」が6ヶ月より広いこと、および疾患発症時における予後不良滑膜病理生物学的亜型に応じた生物学的療法の早期層別化がこれらの患者の転帰を改善しうることを示唆している。
【0207】
前記明細書に記載されている全ての刊行物を参照により本明細書に組み入れることとする。本発明の開示方法の種々の修飾および変形が、本発明の範囲および精神から逸脱することなく、当業者に明らかであろう。本発明は、特定の好ましい実施形態に関して開示されているが、特許請求されている本発明は、そのような特定の実施形態に不当に限定されるべきではないと理解されるべきである。実際、当業者に明らかな本発明を実施するための開示態様の種々の修飾は以下の特許請求の範囲の範囲内であると意図される。
図1A
図1B
図2A
図2B
図2C
図2D
図3A
図3B
図3CDE
図4A
図4BC
図5AB
図5C
図5DE
図6AB
図6CD
【国際調査報告】