(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-11-29
(54)【発明の名称】軟質先端プランジャ
(51)【国際特許分類】
A61F 2/16 20060101AFI20221121BHJP
【FI】
A61F2/16
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022519789
(86)(22)【出願日】2020-09-25
(85)【翻訳文提出日】2022-03-29
(86)【国際出願番号】 IB2020059023
(87)【国際公開番号】W WO2021064540
(87)【国際公開日】2021-04-08
(32)【優先日】2019-09-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】319008904
【氏名又は名称】アルコン インコーポレイティド
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100160705
【氏名又は名称】伊藤 健太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100165995
【氏名又は名称】加藤 寿人
(72)【発明者】
【氏名】ポール ヘックラー ザ セカンド
(72)【発明者】
【氏名】キャスリン ジェンセン
(72)【発明者】
【氏名】マシュー ダグラス マッコウリー
(72)【発明者】
【氏名】クリス レンナー
(72)【発明者】
【氏名】スダルシャン ビー.シング
(72)【発明者】
【氏名】トッド テイバー
【テーマコード(参考)】
4C097
【Fターム(参考)】
4C097AA25
4C097BB01
4C097BB04
4C097BB09
4C097CC01
4C097CC05
4C097DD04
4C097EE02
4C097EE08
4C097EE09
4C097EE11
4C097FF02
4C097MM09
4C097SA05
(57)【要約】
眼内レンズ(IOL)を眼内に挿入するためのシステム、方法及びデバイスが提供され得る。装置は、プランジャ及びプランジャ先端を含む。プランジャ先端は、プランジャ先端の遠位端に配置されたディンプルを含む。プランジャ先端は、ディンプルと流体連通しているポケットを更に含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
眼内への眼内レンズ(IOL)の送達用の装置であって、
プランジャと、
プランジャ先端であって、
前記プランジャ先端の遠位端に配置されたディンプルと、
前記ディンプルと流体連通しているポケットと、
を含む、プランジャ先端と、
を備える、装置。
【請求項2】
前記ディンプルが、曲率半径を有する、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記曲率半径が、約0.4ミリメートル~約0.8ミリメートルの範囲にある、請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記プランジャ先端が、スチレンブロックコポリマー、ポリオレフィンブレンド、エラストマー合金、熱可塑性ポリウレタン、熱可塑性コポリエステル、熱可塑性ポリアミド、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される少なくとも1つの材料を含む、請求項1に記載の装置。
【請求項5】
前記プランジャが、ポリスチレン、アクリロニトリルブタジエンスチレン、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリイミド、ポリエーテルイミド、ポリアリールアミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリブチレンテレフタレート、ポリプロピレン、ポリスルホン、液晶ポリマー、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される少なくとも1つの材料を含む、請求項1に記載の装置。
【請求項6】
前記プランジャ先端の直径が、約2ミリメートル以下である、請求項1に記載の装置。
【請求項7】
前記ポケットの高さが、約2ミリメートル以下である、請求項1に記載の装置。
【請求項8】
前記ポケットの深さが、約1ミリメートル~約4ミリメートルの範囲にある、請求項1に記載の装置。
【請求項9】
前記ポケットの幅が、約0.5ミリメートル~約1.5ミリメートルの範囲にある、請求項1に記載の装置。
【請求項10】
前記プランジャ先端が、前記プランジャ上のオーバーモールドであり、前記プランジャ先端が、シリコーンを含み、前記プランジャが、ポリカーボネートを含み、且つ少なくとも0.1mmの厚さを含む、請求項1に記載の装置。
【請求項11】
前記プランジャ先端が、ショアAデュロメータ値が約30~約95の範囲にある材料で作製されている、請求項1に記載の装置。
【請求項12】
眼内への眼内レンズ(IOL)の送達用の装置であって、
ノズルと、
前記ノズルに結合されたカートリッジと、
前記カートリッジのアパーチャと整列されたプランジャと、
プランジャ先端であって、
前記プランジャ先端の遠位端に配置されたディンプルと、
前記ディンプルと流体連通しているポケットと、
を含む、プランジャ先端と、
を備える、装置。
【請求項13】
前記カートリッジが、前記IOLを含む、請求項12に記載の装置。
【請求項14】
前記IOLが、ハプティックを含む、請求項13に記載の装置。
【請求項15】
前記プランジャ先端が、シリコーンを含み、前記プランジャが、ポリカーボネートを含む、請求項12に記載の装置。
【請求項16】
前記ディンプルが、約0.4ミリメートル~約0.8ミリメートルの範囲の曲率半径を有する、請求項12に記載の装置。
【請求項17】
前記ポケットが、前記プランジャ先端の遠位端の約20%~約30%を占有する、請求項12に記載の装置。
【請求項18】
眼内への眼内レンズ(IOL)の送達用の方法であって、
切開部を介して、挿入ツールのノズルを前記眼内に挿入すること、を含み、
前記挿入ツールが、
プランジャと、
プランジャ先端であって、
前記プランジャ先端の遠位端に配置されたディンプルと、
前記ディンプルと流体連通しているポケットと、
を含む、プランジャ先端と、
を更に備える、方法。
【請求項19】
前記切開部が、直径約2ミリメートル以下である、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記ディンプルが、曲率半径を有する、請求項18に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は一般に、眼科手術に関し、より詳細には、いくつかの実施形態では一般に、軟質先端プランジャを用いて眼内レンズ(IOL)を眼内に挿入するためのシステム、方法、及びデバイスに関し得る。
【背景技術】
【0002】
人間の眼は、軽度の劣化から視力の完全な喪失を引き起こす多くの疾患に罹患する可能性がある。コンタクトレンズ及び眼鏡は、いくつかの病気を補うことができるが、他の場合には眼科手術が必要になる場合がある。一般に、眼科手術は、硝子体網膜手術などの後区処置と白内障手術などの前区処置とに分類され得る。硝子体網膜手術は、黄斑変性、糖尿病性網膜症、糖尿病性硝子体出血、黄斑円孔、網膜剥離、網膜上膜、及びサイトメガロウイルス網膜炎を含むがこれらに限定されない多くの異なる眼状態に対処することができる。
【0003】
白内障手術については、濁った水晶体を眼内レンズ(IOL)に置き換えるために、外科的処置に、切開、及び眼内へのツールの挿入が必要となる場合がある。IOLを眼内に送達するために挿入ツールが使用され得る。例として、挿入ツールは、挿入ツールのノズルからIOLを押し出すためのプランジャを含み得る。いくつかの場合では、IOLは、挿入ツール内に予め装填され得る。他の場合では、別個のベイが、挿入ツール内に装填され得る。プランジャは、IOLと係合し、IOLを、ベイからノズルを介して眼内に前進させることができる。ベイ(又は挿入ツール)は、折り畳みチャンバを含む場合がある。折り畳みチャンバは、例えば、IOLが折り畳みチャンバ内を前進するときにIOLを折り畳むように構成されている。いくつかの場合では、別の動作によってIOLの折り畳みを生じさせる場合がある。
【0004】
挿入ツールからのIOLの送達は、複数工程のプロセスとなり得る。例えば、送達は、前進段階及び送達段階と呼ばれ得る2段階を含むことができる。前進段階では、IOLを、ベイ内での保管状態から静止状態に前進させることができる。IOLは、予め折り畳まれていてもよい、又は保管状態から静止状態に前進したときに折り畳まれてもよい。静止状態において、IOLの前進は停止され得る。ノズルが眼内に配置された状態で、IOLは、その後静止状態から送達段階に更に前進させることができる。送達段階は、IOLを、ノズルを介して眼内に前進させることを含み得る。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
例示的な実施形態では、本開示は、眼内へのIOLの送達用の装置を提供する。装置は、プランジャ及びプランジャ先端を含む。プランジャ先端は、プランジャ先端の遠位端に配置されたディンプルを含む。プランジャ先端は、ディンプルと流体連通しているポケットを更に含む。
【0006】
別の例示的な実施形態では、本開示は、ノズル及びカートリッジを含む、眼内へのIOLの送達用の装置を提供する。カートリッジは、ノズルに結合されており、プランジャは、カートリッジのアパーチャと整列されている。プランジャ先端は、プランジャ先端の遠位端に配置されたディンプルを含む。ポケットは、ディンプルと流体連通している。
【0007】
別の例示的な実施形態では、本開示は、眼内へのIOLの送達用の方法を提供する。方法は、切開部を介して、挿入ツールのノズルを眼内に挿入することを含む。挿入ツールは、プランジャ及びプランジャ先端を更に含む。プランジャ先端は、プランジャ先端の遠位端に配置されたディンプルを含む。プランジャ先端はまた、ディンプルと流体連通しているポケットを含む。
【0008】
上述の一般的な説明と以下の詳細な説明との両方は、本質的に例示的且つ説明的であり、本開示の範囲を制限することなく本開示の理解を提供することを意図していることを理解されたい。その点に関して、本開示の更なる態様、特徴、及び利点が以下の詳細な説明から当業者に明らかになるはずである。
【0009】
これらの図面は、本開示の実施形態のいくつかの特定の態様を示すものであり、本開示を限定する又は定義するために使用されるべきではない。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、本開示のいくつかの実施形態によるIOLを示す。
【
図2A】
図2Aは、本開示のいくつかの実施形態による挿入ツールの斜視図を示す。
【
図3】
図3は、本開示のいくつかの実施形態による、挿入ツールの部分的破断図を示す。
【
図4】
図4は、本開示のいくつかの実施形態による、挿入カートリッジの部分的破断図を示す。
【
図5A】
図5Aは、本開示のいくつかの実施形態による、軟質先端プランジャを示す。
【
図5B】
図5Bは、本開示のいくつかの実施形態による、代替的なプランジャを示す。
【
図6】
図6は、本開示のいくつかの実施形態による、挿入カートリッジの断面を示す。
【
図7A】
図7Aは、本開示のいくつかの実施形態による、軟質先端の側面斜視図を示す。
【
図7B】
図7Bは、本開示のいくつかの実施形態による、軟質先端の正面斜視図を示す。
【
図7D】
図7Dは、本開示のいくつかの実施形態による、
図5Bのプランジャの遠位端の側面図を示す。
【
図7E】
図7Eは、本開示のいくつかの実施形態による、
図7Dの遠位端の正面図の断面を示す。
【
図7F】
図7Fは、本開示のいくつかの実施形態による、軟質先端の側面図を示す。
【
図8】
図8は、本開示のいくつかの実施形態による、ノズルの正面斜視図を示す。
【
図9A】
図9Aは、本開示のいくつかの実施形態による、格納位置にあるプランジャを示す。
【
図9B】
図9Bは、本開示のいくつかの実施形態による、伸長位置にあるプランジャを示す。
【
図10A】
図10Aは、本開示のいくつかの実施形態による、IOLに到達しているプランジャを示す。
【
図10B】
図10Bは、本開示のいくつかの実施形態による、折り畳みチャンバを介してIOLを駆動するプランジャを示す。
【
図11A-11B】
図11A-11Bは、本開示のいくつかの実施形態による、IOLの植え込みを示す。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本開示の原理の理解を促進する目的のため、ここで、図面に示す実装形態を参照し、特定の言語を用いてそれを説明する。それにも関わらず、本開示の範囲について何らの限定も意図され得ないことが理解されよう。説明するデバイス、機器、方法に対する任意の代替形態及び更なる修正形態並びに本開示の原理の任意の更なる適用は、本開示が関連する技術分野の当業者が通常想到するものと完全に想定されるものである。特に、1つ以上の実装形態に関して説明する特徴、構成要素、及び/又は工程は、本開示の他の実装形態に関して説明する特徴、構成要素、及び/又は工程と組み合わせてもよいと完全に想定することができる。簡略化のために、場合によっては、全図面を通じて同じ参照番号を用いて同一又は類似部品を参照する。
【0012】
本開示のいくつかの実施形態は、手動で装填されるIOL送達システムにおいて一般的な既存の軟質先端プランジャに対する改善を提供する。以前の軟質先端プランジャは、固体シリンダの「プラグ」タイプであった。これらの固体シリンダプランジャ先端は、眼内への送達中にIOLを損傷する場合がある。例えば、固体シリンダプランジャ先端は、IOLの圧縮及び送達中に、ガセット及び/又は後続のハプティックを押しつぶし得る。本明細書に記載されるいくつかの実施形態は、送達中のIOLへの損傷を防止するために、より高度な形状を提供する。具体的には、本明細書に記載されるいくつかの実施形態は、表面トポグラフィを含むプランジャの軟質先端を含む。表面トポグラフィは、IOLが送達中に圧縮されるときに、それに取り付けられたガセット及び/又は後続のハプティックにレリーフを提供するためのディンプル及び/又はポケットなどの輪郭を含み得る。このレリーフにより、IOLへの損傷を防止することができる。
【0013】
本開示の特定の実施形態は、直径2.0ミリメートル(「mm」)未満であり得る切開部を介してのIOL送達用に利用される予め装填されたシステムにパッケージ化され得るプランジャを対象としている。プランジャは、IOLと係合してIOLをカートリッジから前進させ、IOLに損傷を与えることなくIOLを送達するように構成されている。本開示の特定の実施形態は、IOLの係合及び送達を改善するために使用される剛性の幾何学的基板を含む。この基板は、送達中のIOLの損傷を防止するのに十分なクッションを提供する軟質材料又は軟質先端で囲まれていてもよい。
【0014】
図1は、本開示のいくつかの実施形態によるIOL10を示している。IOL10は、任意の適切な眼内レンズであり得る。IOL10は、レンズ部分12及びハプティック拡張部14を備え得る。ハプティック拡張部14は、IOL10が患者の眼内に配置され得るときにIOL10を安定させ得る、レンズ部分12から延びる横支柱(又は他の適切な拡張部)であり得る。ガセット16は、そこからハプティック拡張部14が延びるレンズ部分12の肩部又は部分であり得る。
図1に示されるIOL10は単なる例示であり、本明細書で開示される技術は、任意の適切なIOLに使用され得ることを理解すべきである。例えば、ハプティック拡張部を有する基部に配置可能なレンズ部分を備えるモジュール式IOL(図示せず)もまた使用され得る。
【0015】
図2A及び
図2Bは、本開示の特定の実施形態による、眼内レンズ10を眼内に植え込むための挿入ツール32を示している。挿入ツール32は非限定的な例であり、他のタイプの挿入ツール(例えば、手動の、又は電動でないツール)が(例えば、
図5A及び
図5Bに示される)軟質先端プランジャと共に利用され得ることに留意すべきである。
図2Aに示されるように、挿入ツール32は、ハウジング34を含み得る。ハウジング34は、一般に、管状形状であってもよく、遠位端又は第2の端部41の反対側の近位端又は第1の端部35を含んでもよい。別個のユーザコンソール(図示せず)からの電力及び/又は制御信号を搬送するケーブル36は、第1の端部35から延び得る。特定の実施形態では、挿入ツール32は、電池を含み得る。
【0016】
図2Bは、本開示の特定の実施形態による第2の端部41の拡大図である。示されるように、挿入ツール32はまた、取り外し可能に取り付けられた挿入カートリッジ38を保持するカートリッジマウント37を含み得る。挿入カートリッジ38は、例示的な実施形態によれば、プランジャがハウジング34から挿入カートリッジ38を通って前方に平行移動するときに、展開されたIOL10を収容し、且つIOL10を折り畳んで変位させるように適合された使い捨てポリマー構成要素であり得る。
【0017】
カートリッジマウント37は、第2の端部41から延びる剛性部材であり得る。いくつかの実施形態では、カートリッジマウント37は、挿入カートリッジ38を収容するための金属の切り欠き又は湾曲した内面37aを備え得る。特定の実施形態では、カートリッジマウント37の端部39は、示されるように、ハウジング34を介して、且つハウジング34の長手方向軸Lに沿って延びる通路40内に圧入され得る。
【0018】
図3は、挿入ツール32の例示的な実施形態の部分的破断図を示し、(例えば、
図2Aに示される)ハウジング34内に配置された作動アセンブリ44を示している。作動アセンブリ44は、ハウジング34の長手方向軸Lに沿ってプランジャ47を直線的に平行移動させることができる。
【0019】
作動アセンブリ44は、ねじ付き(めねじ付き)管状カプラ48の内部で長手方向に平行移動させるように構成されたシャフト46を含む。示されるように、シャフト46は、駆動システム50及びプランジャ47に結合され得る。プランジャ47は、スナップフィット機構49を介してシャフト46に取り外し可能に結合され得る。いくつかの実施形態では、スナップフィット機構49は、プランジャ47の部分47aとインターロックするシャフト46の部分46aを含む。示されるように、部分47aは、プランジャ47の遠位端47bの反対側にあり得る。駆動システム50は、管状カプラ48を回転させて、管状カプラ48内のシャフト46及びプランジャ47の直線的な平行移動を強制するように構成された電気モータ及びギアセットなどの構成要素を含み得る。示されるように、管状カプラ48は、駆動システム50の作動に応じて、シャフト46の後端においてねじ付き(おねじ付き)カプラ52と係合して、シャフト46の直線的な平行移動を強制することができる。エラストマーから形成され得るOリング54は、ハウジング34と作動アセンブリ44との間にシールを提供し、水分及び/又は他の汚染物質がハウジング34の内部に到達するのを防止することができる。
【0020】
図4は、本開示の特定の実施形態による、挿入カートリッジ56の部分的破断図を示している。挿入カートリッジ56は、(例えば、
図2Bに示される)挿入カートリッジ38と同様であり得る。
図4はまた、本開示の特定の実施形態による、(例えば、
図3に示される)プランジャ47と同様であり得るプランジャ58を示している。プランジャ58は、(例えば、
図3に示される)部分47aと同様である部分60を含み得る。プランジャ58は非限定的な例であり、他のタイプのプランジャが利用され得ることに留意すべきである。示されるように、部分60は、溝62及び凹部64などの特徴部を含み得る。(例えば、
図3に示される)スナップフィット機構49の部分46aは、部分46a及び60を一緒に固定又は「スナップ」するための、溝62及び凹部64を補完又は対応する特徴部を含む。示されるように、ノズル66は、挿入カートリッジ56の遠位端に配置され得る。
【0021】
図5Aは、本開示の特定の実施形態による、軟質先端70を備えたプランジャ58の斜視図を示している。軟質先端70は、プランジャ58の(例えば、
図6に示される)遠位端72に配置され得る。いくつかの実施形態では、軟質先端70は、遠位端72上にオーバーモールドされ得る。いくつかの実施形態では、軟質先端70は、例えば、遠位端72と比較して、IOL10とのクッション性又は非研磨性係合を提供するように適合され得る。軟質先端70は、滑らかな表面を含み得、エラストマーであり得る。特定の実施形態では、軟質先端70は、シリコーンから形成され得る。
【0022】
軟質先端70は、任意の適切な医学的に適合性のある軟質材料から作製され得る。軟質先端70は、スチレンブロックコポリマー、ポリオレフィンブレンド(「TPO」)、エラストマー合金、熱可塑性ポリウレタン(「TPU」)、熱可塑性コポリエステル、熱可塑性ポリアミド、又はそれらの組み合わせで作製され得るが、これらに限定されない。プランジャ58は、ポリスチレン、アクリロニトリルブタジエンスチレン、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリイミド、ポリエーテルイミド、ポリアリールアミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリブチレンテレフタレート、ポリプロピレン、ポリスルホン、液晶ポリマー、又はそれらの組み合わせで作製され得る。いくつかの実施形態では、軟質先端70を形成する材料は、約30~約95のショアAデュロメータ値を有し得る。本明細書で使用される場合、デュロメータ値は、ASTM D2250タイプA及びタイプDスケールを使用して測定されたショア硬度値である。
【0023】
図5Bは、本開示の特定の実施形態による、遠位端73を備えたプランジャ59の斜視図を示している。プランジャ59は、プランジャ50を例えば挿入ツール32などの挿入ツールに接続するために利用される、コネクタ77から延びる細長い基板75を含み得る。プランジャ59は、例えば、挿入ツール32のハウジング34からのプランジャ59の作動を容易にするためにチャネル79を含み得る。いくつかの実施形態では、プランジャ59は、プランジャ58と同様の特徴部を含み得る。例えば、プランジャ59は、ポリカーボネートで作製され得る。加えて、遠位端73は、いくつかの態様では、遠位端47bと同様であり得る。遠位端73上にオーバーモールドされ得る軟質先端81は、以下で更に詳細に説明される(例えば、
図7D~
図7Fを参照)。
【0024】
図5Cは、本開示の特定の実施形態による、プランジャ59の断面を示している。断面は、
図5Bに示されるように、AからA’に延びる破線に沿って切り取られている。
図5Cに示されるように、プランジャ59は、示されるように、幅(w
2)及び高さ(h
2)を含み得る。チャネル79は、湾曲していてもよく、1mm~2mm(例えば、1.25mm~1.35mm)の範囲にある曲率半径r
2を含み得る。
【0025】
図6は、本開示の特定の実施形態による、
図4に示される、破線L
1に沿って切り取られた挿入カートリッジ56の断面を示している。
図6に示されるように、プランジャ58は、挿入カートリッジ56内に移動可能に(例えば、軸方向に移動可能に)配置され得る。ノズル66は、ノズル66の遠位端から挿入カートリッジ56の内部チャンバ又はベイ68まで延びる通路67を含み得る。示されるように、通路67は、内向きに先細になる直径を含む折り畳みチャンバ69を含み得る。先細になることにより、IOL10がノズル66を介して眼内に送達される間に、IOL10の屈曲又は折り畳みを容易にすることができる。
【0026】
図7Aは、本開示の特定の実施形態による、軟質先端70の側面斜視図を示している。軟質先端70の全長Lは、約2mm~約6mmの範囲であり得る。示されるように、遠位端70a(及びその表面)は、約0.4mm~約0.8mmの範囲(例えば、約0.65mm)の曲率半径Rを有し得るディンプル又はディンプル74を含む。
【0027】
特定の実施形態では、ディンプル74は、(例えば、
図10Bに示されるように)IOL10が送達中に圧縮されるときに、後続のハプティック拡張部のガセット(例えば、
図10Bに示されるガセット16b)を受容し、ディンプル74に隣接するか、又はそれと流体連通しているポケット76内にガセットを案内することができる。ポケット76は、約1mm~約4mmの範囲(例えば、約2.5mm)の深さdを含み得る。いくつかの実施形態では、ポケット76は、示されるように、遠位端70aの約20%~約30%(例えば、約25%)を占有し得る。
【0028】
図7Bは、本開示の特定の実施形態による、軟質先端70の正面斜視図である。ディンプル74は、遠位端70aの中心に配置され得る。遠位端70aは、約2mm以下、例えば、約1mm~約2mm(例えば、約1.6mm)の範囲の(破線d
2で示される)直径を有して、2mm未満の切開部内への挿入を可能にし得る。ポケット76の高さh及び幅wは、約0.5mm~約1.5mm(例えば、約1.3mm)の範囲にあり得る。
【0029】
図7Cは、本開示のいくつかの実施形態による、
図7Aの軟質先端の縦断面を示している。特定の実施形態では、軟質先端70は、示されるように、軟質先端70の後方に配置された開口部71aから延びる通路71を含み得る。通路71は、約2mm以下、例えば、約0.5mm~約2mm未満の範囲の内径を有し得る。プランジャ58の(例えば、
図6に示される)遠位端72は、例えば、圧入を介して通路71内に固定され得る。
【0030】
図7Dは、本開示のいくつかの実施形態による、
図5Bの遠位端73の側面図を示している。示されるように、遠位端73は、軟質先端(例えば、
図7Fに示される軟質先端86)に取り付けるための凹部81を含む。
【0031】
図7Eは、本開示の特定の実施形態による、遠位端73の断面を示している。断面は、
図7Dに示されるように、BからB’まで延びる破線に沿って切り取られている。示されるように、遠位端73は、溝83を含む。溝83は、第1の部分85、及び第1の部分85からある角度で延びる第2の部分87を含み得る。例えば、第2の部分87は、第1の部分85から約30°~約60°の範囲の角度(例えば、45°)で延び得る。
【0032】
図7Fは、本開示の特定の実施形態による、プランジャ59の遠位端73上にオーバーモールドされ得る軟質先端86の側面図を示している。軟質先端86は、軟質先端70と同様であり得る。例えば、軟質先端86は、ポケット91と流体連通しているディンプル88を含み得る。軟質先端86は、少なくとも0.1mmである厚さ(例えば、シリコーン又はTPUのオーバーモールド厚さ)を含み得る。軟質先端86は、軟質先端70と同様の寸法を含み得る。
【0033】
図8は、本開示の特定の実施形態による、ノズル66の正面斜視図である。図示されるように、軟質先端70は、ノズル66の開口部78において可視であり得る。軟質先端70のポケット76は、示されるように、ノズル66の開口部78の右上四分円78aと整列され得る。開口部78の直径は、約2mm以下、例えば、約1mm~約2mmの範囲であり得る。
【0034】
図9A及び
図9Bは、本開示の特定の実施形態による、挿入ツール32の断面である。断面は、例えば、
図2Aに示されるように、破線L
2に沿って切り取られた側面図を示している。
【0035】
図9Aは、本開示の特定の実施形態による、プランジャ58を備えた挿入ツール32を示している。示されるように、プランジャ58は格納されて、挿入ツール32内に配置される。この初期位置では、IOL10は、前進段階の前に、挿入カートリッジ56のベイ68内に配置され得る。IOL10は、IOL10又はその構成要素を含み得る。
【0036】
図9Bは、本開示の特定の実施形態による、前進段階での挿入ツール32を示している。示されるように、プランジャ58は、ハウジング34から延びて、ベイ68に入ることができ、更にIOL10を、折り畳みチャンバ69を介して、ノズル66の展開チャネル80内の滞留位置まで前進させることができる。IOL10は、IOL10が折り畳みチャンバ69を通過するときに、折り畳みチャンバ69内で折り畳まれ(圧縮され)得る。IOL10は、IOL10のサイズを低減するために、巻かれるか、又は折り畳まれ得る。このサイズの低減により、眼内の最小サイズ(例えば、2.0mm未満)の切開部を介してIOL10の送達が可能になる。
【0037】
図10A及び10Bは、本開示の特定の実施形態による、挿入カートリッジ56の上面図の断面である。
【0038】
図10Aは、ベイ68内に配置されたIOL10に到達しているプランジャ58を示している。プランジャ58は、矢印で示された方向に移動する。プランジャ58は、示されるように、挿入カートリッジ56のアパーチャ56aを介してベイ68を通って移動することができる。プランジャ58は、送達のために、折り畳みチャンバ69を介して、IOL10に接触して移動させる。アパーチャ56aは、プランジャ58と整列され得る。
【0039】
図10Bは、示されるように、IOL10をベイ68から折り畳みチャンバ69を通って展開チャネル80まで駆動するプランジャ58を示している。ディンプル74は、IOL10のレンズ部分12及び/又は後続のガセット16aに接触し得る。ポケット76は、後続のガセット16aを受容し、それにより、後続のガセット16aにレリーフを提供する。このレリーフは、後続の後部ガセット16aの屈曲を低減し、それにより、IOL10への損傷を防止することができる。(
図7Aに示される)曲率半径Rは、示されるように、遠位端70aがIOL10を把持することを可能にし、且つIOL10を回転及び圧縮して、後続のガセット16aをポケット76内に配置することを可能にし得る。
【0040】
展開段階では、挿入ツール32は、IOL10を滞留位置から前進させ、展開チャネル80を介してノズル66から出して、患者の眼内に入れることができる。
【0041】
ここで、患者の眼90内へのIOL10の植え込みのための例示的な技術を、
図11A及び11Bに関して説明する。
【0042】
図11Aに示されるように、本開示の特定の実施形態による(例えば、
図2Aに示される)挿入ツール32と同様であり得る挿入ツール89。外科医により、眼90内に切開部92が作成され得る。例えば、切開部92は、眼90の強膜94を通って行われてもよい。切開部92は、適切な幅又は長さであり得る。限定されるものではないが、適切な幅及び/又は長さは、2ミリメートル未満であり得る。切開部92が作成された後、挿入ツール89のノズル66は、切開部92を通って眼90の内部部分96に挿入され得る。挿入ツール89は、IOL10を眼90の水晶体嚢98内に投入するように作動され得る。
【0043】
IOL10は、折り畳まれた(又は巻かれた構成)で送達され、挿入ツール32から排出された後に展開可能にされ得る。IOL10は、投入されると、
図11Bに示されるように、眼90の水晶体嚢98内で展開し、収まるべきである。ハプティック拡張部14は、例えば、水晶体嚢98の赤道内で係合するように操作され得る。ハプティック拡張部14は、水晶体嚢98に係合して、水晶体嚢98内でIOL10を固定することができる。
【0044】
本明細書に記載される方法及びシステムを使用することにより、他のIOL送達システムに比べて多くの利益及び利点がもたらされ得る。例えば、本明細書に記載されるように、軟質先端70は、眼内への送達中に圧縮されているため、IOL10への損傷を防止又は軽減する形状を含む。
【0045】
本開示の動作及び構造は、上述の説明から明らかになると考えられる。上に図示又は記載された装置及び方法は、好ましいものとして特徴付けられているが、以下の特許請求の範囲で定義される本開示の趣旨及び範囲から逸脱することなく、それらに対する様々な変更形態及び修正形態がなされ得る。
【国際調査報告】