(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-11-29
(54)【発明の名称】ブレーキ装置
(51)【国際特許分類】
B66B 5/22 20060101AFI20221121BHJP
F16D 63/00 20060101ALI20221121BHJP
【FI】
B66B5/22
F16D63/00 L
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022520046
(86)(22)【出願日】2020-09-04
(85)【翻訳文提出日】2022-05-06
(86)【国際出願番号】 EP2020074847
(87)【国際公開番号】W WO2021063631
(87)【国際公開日】2021-04-08
(32)【優先日】2019-09-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】390040729
【氏名又は名称】インベンテイオ・アクテイエンゲゼルシヤフト
【氏名又は名称原語表記】INVENTIO AKTIENGESELLSCHAFT
(74)【代理人】
【識別番号】110001173
【氏名又は名称】弁理士法人川口國際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ビュートラー,エーリヒ
(72)【発明者】
【氏名】ロ・ヤコノ,ロメオ
(72)【発明者】
【氏名】サルベンモーザー,ミッシャ
【テーマコード(参考)】
3F304
3J058
【Fターム(参考)】
3F304DA49
3J058AB22
3J058CA42
3J058CC13
3J058FA37
(57)【要約】
エレベータ設備の移動体のためのブレーキ装置。このブレーキ装置は、第1の制動プロファイルおよび第2の制動プロファイルを有するレール上で制動することに適する。ブレーキ装置は、フォーシング要素と、カウンタサポートとを備える。フォーシング要素は、第1の制動プロファイルに作用するように構成される第1のフォーシング作用面と、第2の制動プロファイルに作用するように構成される第2のフォーシング作用面とを有する。カウンタサポートは、第1の制動プロファイルに作用するように構成される第1のカウンタサポート作用面と、第2の制動プロファイルに作用するように構成される第2のカウンタサポート作用面とを有する。第1のフォーシング作用面および第1のカウンタサポート作用面は、第1の制動プロファイルにおいて互いに対向して配置され、かつ第2のフォーシング作用面および第2のカウンタサポート作用面は、第2の制動プロファイルにおいて互いに対向して配置される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エレベータ設備の移動体のための、第1の制動プロファイルおよび第2の制動プロファイルを有するレール上で制動するためのブレーキ装置であって、ブレーキ装置は、フォーシング要素と、カウンタサポートとを備え、
フォーシング要素は、第1の制動プロファイル上へ作用するように構成される第1のフォーシング作用面と、第2の制動プロファイル上へ作用するように構成される第2のフォーシング作用面とを有し、
かつ、カウンタサポートは、第1の制動プロファイル上へ作用するように構成される第1のカウンタサポート作用面と、第2の制動プロファイル上へ作用するように構成される第2のカウンタサポート作用面とを有し、
それによって、第1のフォーシング作用面および第1のカウンタサポート作用面は、第1の制動プロファイルにおいて互いに対向して配置され、かつ、
第2のフォーシング作用面および第2のカウンタサポート作用面は、第2の制動プロファイルにおいて互いに対向して配置され、フォーシング要素は、拡張されることが可能であり、この拡張により、第1のフォーシング作用面は、第1の制動プロファイルと接触し、かつ第2のフォーシング作用面は、第2の制動プロファイルと接触することを特徴とする、ブレーキ装置。
【請求項2】
第1の制動プロファイル、第2の制動プロファイルまたは双方は、基本的に厚さが一定であるプレートとして構成されることを特徴とする、請求項1に記載のブレーキ装置。
【請求項3】
第1のフォーシング作用面および第2のフォーシング作用面は、反対向きの面法線を有することと、
第1のカウンタサポート作用面および第2のカウンタサポート作用面は、反対向きの面法線を有することと、
を特徴とする、請求項1または請求項2に記載のブレーキ装置。
【請求項4】
第1および第2のフォーシング作用面は、実質的に第1および第2の制動プロファイル間の中間領域に配置され、かつ、
第1および第2のカウンタサポート作用面は各々、第1および第2の制動プロファイルの、中間領域から見て外方に向く側面上に配置されること、
を特徴とする、請求項1~3のいずれか一項に記載のブレーキ装置。
【請求項5】
ブレーキ装置は、フォーシング要素に対向する前進運動を引き起こすように構成されるアクチュエータを備えることと、フォーシング要素は、前進運動によって制動プロファイルと接触させられることができることと、
を特徴とする、請求項1に記載のブレーキ装置。
【請求項6】
フォーシング要素は、第1の制動プロファイルおよび/または第2の制動プロファイルと接触させられることができる、かつレールに沿った移動運動により制動ポジションへと至らされることができる制動要素、好ましくは2つの制動要素、を備えることを特徴とする、請求項1~5のいずれか一項に記載のブレーキ装置。
【請求項7】
フォーシング要素は、ブレーキウェッジまたは偏心器を備え、フォーシング要素は、ブレーキ装置の制動プロファイルに沿った方向の運動が制動プロファイルに対するフォーシング要素の接触圧を高めるように構成されることを特徴とする、請求項1~6のいずれか一項に記載のブレーキ装置。
【請求項8】
アクチュエータは、電気信号または電子信号により起動されることができることを特徴とする、請求項5~7のいずれか一項に記載のブレーキ装置。
【請求項9】
カウンタサポートおよびフォーシング要素は、接続要素により互いに直に接続されることを特徴とする、請求項1~8のいずれか一項に記載のブレーキ装置。
【請求項10】
接続要素は、カウンタサポートに対するフォーシング要素の相対運動を可能にし、第1のフォーシング作用面および第2のフォーシング作用面の領域において、この運動は、
-第1のフォーシング作用面に対して、
-第2のフォーシング作用面に対して、
-第1のカウンタサポート作用面に対して、および/または、
-第2のカウンタサポート作用面に対して、
略垂直であることを特徴とする、請求項9に記載のブレーキ装置。
【請求項11】
エレベータ設備の移動体のための、第1の制動プロファイルおよび第2の制動プロファイルを有する2つのレール上で移動体を案内することに適する案内システムであって、
案内システムは、移動体をレールに対するその位置合せおよびポジションが略保持されるようにして案内するように構成される3つ以上の案内要素を備え、かつ、案内要素のうちの少なくとも1つは、請求項1から10のいずれか一項に記載のブレーキ装置として構成され、かつ具体的には、カウンタサポート作用面が案内面として機能することを特徴とする、案内システム。
【請求項12】
請求項1~10のいずれか一項に記載のブレーキ装置を有し、かつ第1の制動プロファイルおよび第2の制動プロファイルを伴うレールを有するエレベータ設備であって、
レールは、1つまたは複数のシートメタル部品から形成されることを特徴とする、エレベータ設備。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エレベータ設備の移動体のためのブレーキ装置、案内システム、およびエレベータ設備に関する。
【背景技術】
【0002】
エレベータ設備において、移動体は、典型的には、移動経路に沿った異なる階間を略垂直に動かされる。進路沿いには、複数のレールが存在することが多い。ブレーキレールは、移動体を制動するために使用される。ガイドレールは、移動体を案内するために使用される。典型的には、レールは、ブレーキレールおよびガイドレールの双方の機能を果たす。移動体は、典型的には、トリガ信号によってトリガされる、レール上で制動するための1以上のブレーキ装置を有する。エレベータ設備の制御装置が移動体の望ましくない、または過度の動きを検出した場合、多くの場合速度リミッタである制御装置は、ブレーキ装置へ、通常は速度リミッタケーブルにおける張力増加の形態でトリガ信号を送り、これにより、ブレーキ装置を起動させる。移動体は、起動されたブレーキ装置によって安全に停止される。今日、レールは、シートメタルで製造される傾向がある。従来のブレーキ装置は、シートメタルのプロファイルが従来のブレーキ装置によって生じる負荷に耐えることができないという理由で、シートメタル製のレール上ではほとんど使用されない。
【0003】
欧州特許出願第3353104号明細書は、シートメタル製のレールプロファイル上へ垂直力をより穏やかに分散させるブレーキ装置を開示している。
【0004】
特開平02-48390号公報および特開昭56-56484号公報は、各々が2つの制動プロファイルを有するレール上で制動するためのブレーキ装置を示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】欧州特許出願第3353104号明細書
【特許文献2】特開平02-48390号公報
【特許文献3】特開昭56-56484号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
したがって、改善されたブレーキ装置および全体として改善されたエレベータ設備が開発されている、という事実において、1つの目的が見出されることができる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1の態様によれば、あるブレーキ装置が上述の課題を解決する。このブレーキ装置は、第1の制動プロファイルおよび第2の制動プロファイルを有するレール上で制動することに適する。ブレーキ装置は、フォーシング要素と、カウンタサポートとを備える。フォーシング要素は、第1の制動プロファイルに作用するように構成される第1のフォーシング作用面と、第2の制動プロファイルに作用するように構成される第2のフォーシング作用面とを有する。カウンタサポートは、第1の制動プロファイルに作用するように構成される第1のカウンタサポート作用面と、第2の制動プロファイルに作用するように構成される第2のカウンタサポート作用面とを有する。第1のフォーシング作用面および第1のカウンタサポート作用面は、第1の制動プロファイルにおいて互いに対向して配置され、かつ第2のフォーシング作用面および第2のカウンタサポート作用面は、第2の制動プロファイルにおいて互いに対向して配置される。さらに、フォーシング要素は、拡張されることが可能であり、この拡張により、第1のフォーシング作用面は、第1の制動プロファイルと接触し、かつ第2のフォーシング作用面は、第2の制動プロファイルと接触する。
【0008】
本発明のさらなる一態様によれば、エレベータ設備の移動体のための、ある案内システムが問題を解決する。この案内システムは、好ましくは第1の制動プロファイルおよび第2の制動プロファイルを有する2本のレール上で移動体を案内することに適する。案内システムは、移動体をレールに対するその向きおよびポジションが略保持されるようにして案内するように構成される3つ以上の案内要素を備える。案内要素のうちの少なくとも1つは、本発明によるブレーキ装置として構成される。具体的には、カウンタサポート作用面は、案内面として機能する。
【0009】
本発明の別の態様は、課題を解決する、かつブレーキ装置ならびに第1の制動プロファイルおよび第2の制動プロファイルを有するレールを有する、エレベータ設備に関する。レールは、1つまたは複数のシートメタル部品から形成される。
【0010】
本発明の実施形態の可能な特徴および利点は、とりわけ、但し、本発明を限定することなく、後述する概念および成果に基づくものと考えることができる。
【0011】
第1のフォーシング作用面および第2のフォーシング作用面は、各々、フォーシング要素の表面である。第1のカウンタサポート作用面および第2のカウンタサポート作用面は、各々、カウンタサポートの表面である。
【0012】
ブレーキ装置がまだトリガされていない休止位置において、フォーシング要素は、制動プロファイルの表面から取り外されている。フォーシング要素、具体的にはフォーシング要素のフォーシング作用面は、制動プロファイルに接触することができない。カウンタサポート、具体的にはそのカウンタサポート作用面は、制動プロファイルに接触することができる。典型的には、2つのカウンタサポート作用面のうちの一方は、対応する制動プロファイルに接触し、これにより、制動プロファイルと移動体との間に案内力を伝達する。この時点で、もう一方のカウンタサポート作用面ともう一方の制動プロファイルとの間に遊びが存在する。したがって、休止位置において、案内力を移す機能は、第1のカウンタサポート作用面を有する第1の制動プロファイルと第2のカウンタサポート作用面を有する第2の制動プロファイルとの間で交互し、よって、案内力の方向へと適合することができる。
【0013】
ブレーキ装置は、レール上の移動体を制動するために使用される。制動動作を開始するために、フォーシング要素のフォーシング作用面は各々、カウンタサポート作用面の方向へ前進される。この場合、第1のフォーシング作用面は、第1のカウンタサポート作用面の方向へ前進され、かつ第2のフォーシング作用面は、第2のカウンタサポート作用面の方向へ前進される。フォーシング要素は、好ましくは、たとえばブレーキウェッジなどの制動要素を有する。フォーシング要素がブレーキウェッジを有する場合、ブレーキウェッジが制動プロファイルの可動部と接触すると、前進運動方向の接触圧が増加する。この補強の有無にかかわらず、フォーシング要素は、前進運動方向に十分大きい接触圧を生成する。フォーシング要素は、双方の制動プロファイルを押圧する。レールは、制動プロファイルが接触圧下で弾性的に、すなわち可逆的に、変形されるように構成される。変形は、カウンタサポートによって制限される。
【0014】
制動プロファイルがカウンタサポート、具体的には2つのカウンタサポート作用面、に当接するとすぐに、個々の制動プロファイルがカウンタサポート作用面とフォーシング作用面との間にクランプされる。ここで、ブレーキ装置は、完全な制動力を発生させる。押圧力は、摩擦力となり、これにより、2つのフォーシング作用面および2つのカウンタサポート作用面の双方に対するブレーキ装置の制動力が引き起こされる。
【0015】
レールは、移動体の移動経路に沿って配置されるプロファイルである。レールは、第1および第2の制動プロファイルを含む。2つの制動プロファイルは、好ましくは、背面で互いに接続される。典型的な形状は、たとえば、C-プロファイルである。
【0016】
レールは、効果的には、制動プロファイル上に、たとえば制動プロファイルを締結するために使用される開口、細長い孔またはボアホールが存在することにより、シャフト内に容易かつ確実に締結されることが可能であるように構成される。
【0017】
レールは、効果的には、曲げ作業またはロールプロファイリングによってシートメタルから生産される。一方で、これは、オープンプロファイルであってもよい。基本的に、比較的厚いシートが2つの曲げ縁で折り曲げられる。これにより、2つの制動プロファイルおよび背面接続部を伴う、好ましくはC-プロファイルに類似するプロファイルが創出される。オープンプロファイルの創出は、少ない作業ステップを要するのみであり、よって、とりわけ安価である。一方で、これは、クローズドプロファイルであってもよい。クローズドプロファイルは、大部分がロールプロファイリングによって製造される、典型的にはより複雑な部品である。シートの一方の縁は、典型的には、シートのもう一方の縁へ接続され、プロファイルの断面は、数回接続される。2つのプロファイルは、好ましくは、折り重なりとして、すなわちシートメタルの二重層として構成される。二重層の2つのシートは、間に接着剤または充填剤が貼付されることができ、または、互いに接触している。背面接続部は、効果的には、中空プロファイルとして構成され、これにより、レールに、具体的には案内力に関して、高レベルの強度がもたらされる。
【0018】
あるいは、レールは、機械加工されたストランド材から製造されることも可能である。ブランクとして、好ましくは、熱間圧延されたC-プロファイルが使用される。C-プロファイルは、この場合、2つの制動プロファイルおよび背面接続部を含む。次に、制動プロファイルが、好ましくはフライス加工により、2つの制動プロファイルが各々移動体の案内に使用される少なくとも1つの滑らかな表面を受け入れるようにして機械加工される。具体的には、機械加工された表面は、カウンタサポートのカウンタサポート作用面と接触するために使用される。しかしながら、効果的には、各制動プロファイルの2つまたは3つの表面が機械加工される。また、熱間圧延される押出プロファイルの代わりに、比較的厚いシートメタルがC-プロファイルへと形成され、次にこれが滑らかな表面を創出するように機械加工されるハイブリッドな製造プロセスも考えられる。
【0019】
レールは、容易な輸送および設置を可能にするために、好ましくは、セグメントに分割される。典型的には、このようなセグメントは、長さ5mまたは2.5mである。
【0020】
ブレーキ装置の好ましい一実施形態によれば、第1の制動プロファイル、第2の制動プロファイルまたは双方は、基本的に厚さが一定であるプレートとして構成される。
【0021】
制動プロファイルは、効果的には、移動体の移動経路に沿った制動プロファイルの全範囲にわたって略一定のプレート厚さを有する。プレート厚さは、複数の材料層を具備することもあれば、1つの材料層からなることもある。プレートの形式の設計は、製造が容易なものである。
【0022】
2つの制動プロファイルは、互いに対してある角度を成している。この角度は、好ましくは、これらの制動プロファイルが互いに平行して配置されるように、0゜である。これらの制動プロファイルは、0゜より大きい、または小さい場合もある角度であってもよい。その結果、これらの制動プロファイルは、背面接続部を始点としてさらに離れるように移動するか、背面接続部を始点としてさらに近づくように移動する。
【0023】
プレート形式の制動プロファイルの代替物としては、たとえば、丸みのある棒状の制動プロファイル、T字形または楔形の制動プロファイルがある。このような代替形状の制動プロファイルは、フォームフィットによる他の案内力を伝達することができる。
【0024】
さらなる好ましい一実施形態によれば、第1のフォーシング作用面および第2のフォーシング作用面は、反対向きの面法線を有し、かつ第1のカウンタサポート作用面および第2のカウンタサポート作用面は、反対向きの面法線を有する。
【0025】
これらの作用面は、制動プロファイルのうちの1つの、典型的には平坦な表面と相互作用するように構成される。したがって、作用面は、略平坦であるように構成されることが効果的である。作用面は、たとえば、プロファイリングまたはラフニングなどの表面構造を有することが可能である。このような表面構造は、フォーシング作用面上で最適な制動効果を達成するために、または、カウンタサポート作用面上で最適な制動効果および/または最適な滑動性を達成するために使用される。
【0026】
面法線は、作用面から離れて、作用面が相互作用するように意図される制動プロファイルの方向に向いているものと理解されるべきである。面法線は、作用面の平面に対して垂直である。
【0027】
第1のフォーシング作用面および第2のフォーシング作用面は、反対向きの面法線を有し、かつ第1のカウンタサポート作用面および第2のカウンタサポート作用面は、反対向きの面法線を有することが効果的であるが、これは、フォーシング作用面上の垂直力が互いに実質的に補償し合うことに起因する。第1のフォーシング作用面上の垂直力および第2のフォーシング作用面上の垂直力は、量が略同じである。面法線は、反対向きであることから、該力は、互いに略相殺する。面法線が反対の向きから少しの角度だけ反れると、フォーシング要素に大きな合力が生じることになる。その場合、フォーシング要素にかかるこの大きい合力は、たとえば、接続要素または移動体上のアタッチメントによって吸収されなければならなくなる。本段落のこの説明は、カウンタサポートについても等しく当てはまり、すなわち、カウンタサポート作用面の垂直力も、互いに実質的に補償し合い、よって、類似のことがフォーシング作用面についても当てはまる。
【0028】
この実施形態において、これらの制動プロファイルは、効果的には、互いに平行に位置合わせされる。
【0029】
2つの代替実施形態のうちの第1の実施形態によれば第1および第2のフォーシング作用面は、第1および第2の制動プロファイル間の略中間領域に配置され、かつ第1および第2のカウンタサポート作用面は各々、第1および第2の制動プロファイルの、該中間領域から見て外方に向く側面上に配置される。
【0030】
中間領域は、2つの制動プロファイルの個々の内面により渡される平面によって渡される空間、として理解されるべきである。
【0031】
これらの実施形態において、カウンタサポートは、2つの制動プロファイルの周りに外側から係合し、かつフォーシング要素は、中間領域内に配置される。制動動作を開始するために、フォーシング要素は拡張され、その結果、フォーシング要素のフォーシング作用面は、カウンタサポート作用面の方向へ前進される。
【0032】
言い換えれば、第1のフォーシング作用面および第2のフォーシング作用面は、フォーシング要素の広がりに起因して互いから離れて移動する。この目的に沿って、フォーシング要素は、ある機構によって押し開かれる2つの部分を有することができる。
【0033】
第2の、特許請求されていない実施形態によれば、第1および第2のカウンタサポート作用面は、第1および第2の制動プロファイル間の中間領域に配置され、かつ第1および第2のフォーシング作用面は各々、第1および第2の制動プロファイルの、該中間領域から見て外方に向く側面上に配置される。
【0034】
さらなる、特許請求されていない実施形態によれば、フォーシング要素は、フォーシング作用面間に狭められることができる距離を有し、フォーシング作用面間の距離を狭めることにより、第1のフォーシング作用面は、第1の制動プロファイルと接触することになり、かつ第2のフォーシング作用面は、第2の制動プロファイルと接触することになる。
【0035】
特許請求されていないこれらの実施形態において、フォーシング要素は、2つの制動プロファイルの周りに外側から係合し、かつカウンタサポート要素は、中間領域内に配置される。制動動作を開始するために、フォーシング要素は、狭められ、その結果、フォーシング要素のフォーシング作用面は、カウンタサポート作用面の方向へ前進される。
【0036】
ブレーキが機能する方法は、主として、第1のフォーシング作用面および第1のカウンタサポート作用面が合同して第1の制動プロファイルをクランプし、かつ第2のフォーシング作用面および第2のカウンタサポート作用面が合同して第2の制動プロファイルをクランプするというものである。カウンタサポートは、制動プロファイルの外側にあって、フォーシング要素が制動プロファイルの内側にある、または、カウンタサポートは制動プロファイルの内側にあって、フォーシング要素が制動プロファイルの外側にある、のいずれかである。いずれの変形形態においても、制動中にカウンタサポート上およびフォーシング要素上の双方に生じる垂直力は、互いに実質的に打ち消し合うことが効果的である。したがって、この合力は、摩擦により生成される制動力を略含む。
【0037】
ある好ましい実施形態によれば、ブレーキ装置は、フォーシング要素に対向する前進運動を引き起こすように構成されるアクチュエータを備える。フォーシング要素は、この前進運動によって制動プロファイルと接触させられることが可能である。
【0038】
フォーシング作用面が制動プロファイルに対向して前進可能であることを可能にする、フォーシング要素の広がりまたは狭まりは、前進運動と称される。効果的には、アクチュエータは、フォーシング要素の2つの部分領域が互いから離れて、または互いに向かって滑動することを可能にして、これにより前進運動へと導く運動を駆動する。このような前進運動は、アクチュエータに外部からエネルギーが電気、圧縮空気または油圧の形態で供給されること、または、アクチュエータが、フォーシング要素の部分領域の相対運動のためのエネルギーを貯蔵するエネルギー貯蔵部を包含することによって、アクチュエータにより駆動されてもよい。いずれの場合も、フォーシング作用面の前進運動の方向は、制動プロファイルの面法線の方向に少なくとも1つの最小運動成分を有する方向に延びる。
【0039】
一実施形態は電気モータであり、これは、フォーシング要素のこれらの部分領域のうちの一方を別の部分領域からリニア駆動装置を介して除去することができ、これによりフォーシング要素を拡張させるものである。2つの部分領域は各々、好ましくはブレーキライニングの形態で構成されるフォーシング作用面を含む。
【0040】
好適な一実施形態によれば、フォーシング要素は、制動要素、好ましくは2つの制動要素を備え、これは第1の制動プロファイルおよび/または第2の制動プロファイルと接触させられることができる、かつレールに沿った移動運動により制動ポジションへと至らされることができる。
【0041】
好適な一実施形態によれば、フォーシング要素は、ブレーキウェッジまたは偏心器を備え、フォーシング要素は、ブレーキ装置の制動プロファイルに沿った方向の運動が制動プロファイルに対するフォーシング要素の接触圧を高めるように構成される。
【0042】
具体的には、ブレーキウェッジまたは偏心器の形態である制動要素は、各々、フォーシング要素の部分領域を形成し、かつ各々がフォーシング作用面を有する。また、フォーシング要素は、さらなる部分領域も備えることもでき、具体的には、これは、たとえば制動要素のためのガイドとすることができる。
【0043】
フォーシング要素は、好ましくは、第1の制動要素を有する。第1の制動要素は、第1のフォーシング要素作用面を有する。前進運動は、第1の制動要素を第1の制動プロファイルへ向かって、第1の制動要素が第1の制動プロファイルに接触するまで動かす。この接触は、当初比較的低い垂直力を伴う。第1の制動要素と第1の制動プロファイルとの接触は、摩擦力を発生させ、よって、駆動運動は、その運動で制動要素を動かして、これらを制動ポジションへとシフトさせる。これにより、垂直力が増加する。垂直力は、移動体を制動しかつ保持するに足る大きさの摩擦力となる。
【0044】
利点は、前進運動が、駆動装置または前進ばねにより小さい力で引き起こされることができることにある。垂直力の主要部分は、制動要素を介する移動運動がさらなる前進運動となることで蓄積される。フォーシング要素が排他的に第1の制動要素を有する場合、この1つの制動要素のみがベアリングを有し、よってブレーキ装置の製造が安価であるという利点がある。
【0045】
フォーシング要素は、効果的には、第1の制動要素と、第2の制動要素とを有する。第1の制動要素は、第1のフォーシング要素作用面を有し、かつ第2の制動要素は、第2のフォーシング要素作用面を有する。2つの制動要素は、前進運動を介して制動プロファイルと接触させられる。この接触は、当初比較的低い垂直力を伴う。移動運動の結果として、制動要素と制動プロファイルとの接触は、制動要素が制動ポジションへと至らされることができることを意味する。
【0046】
2つの制動要素を伴うブレーキ装置の利点は、制動プロファイルとの接触時のこれらの制動要素の対称的なさらなる前進運動にあり、これにより、第1のフォーシング作用面上および第2のフォーシング作用面上の制動力が同期して増加することが保証される。その結果、このブレーキ装置の接続要素は、フォーシング要素上のトルクが比較的小さいという理由で、より弱くてもよく、よってより費用対効果的となることができる。
【0047】
また、制動後のブレーキ装置の解除が、僅かな解除力しか必要としないことも、効果的である。双方の制動要素は、フォーシング要素上へ滑動可能に取り付けられることから、解除力は、2つの制動要素をフォーシング要素上のそれらのサポートに沿って僅かな労力で元のポジションへと戻すことができるもので十分である。
【0048】
あるいは、フォーシング要素は、1つの制動要素のみを有することができる。このような実施形態は、可動式に案内される制動要素が1つだけであることから、より費用対効果的である。前進は、もはや対称的ではない。制動要素を伴う側面である第1の側面では、第1のカウンタサポート作用面と第1の制動プロファイルとの間に摺動があり、よって、係合中に摩擦力が存在する。制動要素は、当初はまだ制動プロファイルに付着している。摩擦がほとんどない状態で案内されることから、静摩擦力は、極めて小さい。しかしながら、第2の制動プロファイル上では、フォーシング作用面もカウンタサポート作用面も制動プロファイルと共に動かず、よって、双方のフォーシング作用面が摩擦力を受ける。したがって、この係合の間、第2の制動プロファイル上の制動力は、第1の制動プロファイル上より遙かに大きい。基本的に、ブレーキ装置の解除についても同じことが言える。制動要素は、ガイドに沿って極めて容易に摺動するが、制動要素上にない他の3つの作用面は、移動体が持ち上げられる際の摺動摩擦に起因して大きい力を引き起こすことから、この力は、移動体の重量とは別に克服されなければならない。
【0049】
好適な一実施形態によれば、アクチュエータは、電気信号または電子信号によって起動されることが可能である。
【0050】
外部から供給される電気信号は、それ自体で、前進運動を、例えば電気モータを介して引き起こすに足るエネルギーを提供することができ、または、電気信号は、他のエネルギー源により駆動される前進運動を制御する。他のエネルギー源は、たとえば、別個の電力供給源として、またはフォーシング要素のテンションばねなどのエネルギー貯蔵部として機能する。電気信号または電子信号は、単に、このエネルギー源またはこのエネルギー貯蔵部からエネルギーの流れを放出するように機能する。
【0051】
ある効果的な実施形態において、引張ばねは、爪により保持される。爪を保持する電磁石の供給電流をオフ切換することにより、引張ばねは、当初、フォーシング要素の部分領域を互いに相対移動させるために部分的に緩められる。残りのばね張力は、作用面上の垂直力として働く。制動プロファイル、またはそれらの互いの接続は、カウンタサポートのための遊びがフォーシング要素により引き起こされる力に起因して克服され、よって、制動プロファイルがフォーシング作用面とカウンタサポート作用面との間でクランプされることができるようにして構成される。
【0052】
さらなる一実施形態によれば、カウンタサポートおよびフォーシング要素は、接続要素によって互いに直に接続される。
【0053】
好適な一実施形態によれば、接続要素は、カウンタサポートに対するフォーシング要素の相対運動を可能にし、第1のフォーシング作用面および第2のフォーシング作用面の領域において、該相対運動は、第1のフォーシング作用面に対し、第2のフォーシング作用面に対し、第1のカウンタサポート作用面に対し、および/または第2のカウンタサポート作用面に対して略垂直である。
【0054】
したがって、垂直に移動するエレベータの場合、この相対運動は、設置状態において略水平に進む。
【0055】
言及している4つの作用面は、少なくともペアで互いに平行に位置合わせされることから、これらの作用面のうちの1つに対する垂直方向は、本質的に他の作用面のうちの少なくとも1つに対しても垂直方向を示す。4つの作用面は全て、好ましくは互いに略平行に位置合わせされ、よって、これらの作用面のうちの1つに対する垂直方向は、本質的に他の全ての作用面に対しても垂直方向を示す。
【0056】
接続要素により許容されるカウンタサポートに対するフォーシング要素の相対運動は、特に、基本的に第1および第2のフォーシング作用面の領域において上述の方向を有し、よって、フォーシング要素は、2つの制動プロファイルの変形に従って自由に位置合わせされる。これは、2つのフォーシング作用面が制動プロファイルに同じ垂直力を加えることを可能にする。
【0057】
接続要素は、好ましくは、一体コンポーネントとして構成される。接続要素の僅かな弾性は、相対運動を可能にする。しかしながら、代替として、フォーシング要素の連結またはリニア軸受が相対運動を有効化するという設計も考えられる。連結またはリニア軸受を使用する場合、好ましくは、カウンタサポート要素に対してフォーシング要素を中心位置決めする中心位置決め装置が存在する。たとえば、接続要素上のボールキャッチまたはばねは、フォーシング要素が駆動動作中に2つの制動プロファイルに対して遊びを有するように、フォーシング要素を中心位置に保持する可能性もある。
【0058】
案内システムは、有利には、カウンタサポート作用面を案内要素の案内面として用いる。これには、案内要素が、このブレーキ装置を用いることにより、どの場合でも交換されることができるという利点がある。従来の移動体は、典型的には厳密に4つのガイドユニットと、典型的には厳密に2つのブレーキ装置とを有する。ある好ましい実施形態において、従来から設置される案内要素のうちの2つは、ブレーキ装置に置き換えられる。カゴは、好ましくは、案内機能のある2つのブレーキ装置と、2つの従来の案内要素とを有する。この配置は、2つのブレーキ装置が移動体の底部へ取り付けられ、かつ2つの従来の案内要素が移動体の上部へ取り付けられる場合に、特に効果的である。従来の案内要素の幾何学的形状は、案内要素が2つの制動プロファイルのうちの一方に対向して案内するか、または効果的には、双方の制動プロファイルに対向して案内するかのいずれかであるように構成される。この場合、案内要素は、カウンタサポートの案内特性と同様に、2つの制動プロファイルの両内側または2つの制動プロファイルの両外側に接触する。
【0059】
案内力は、移動体の運動方向に対して略垂直に作用し、かつ少なくとも1つの作用面の平面内で、有利には、制動プロファイルの前縁を介して伝達されることが可能である。あるいは、これらの力は、別々の滑動コーティングを介して、たとえばC-プロファイル形式のレールの基部へ伝達されることも可能である。
【0060】
シートメタル部品から形成されるレールを有するエレベータ設備は、製造および設置が特に安価である。具体的には、レールプロファイルをクローズドレールプロファイルとして設計することにより、優れた剛性および同時に超軽量設計を達成することが可能である。クローズド型レールプロファイルは、ケーブルダクトとしても機能することができる。または、これらは、概して、強度を高め、ノイズを減らし、または駆動性を高めるために使用される材料で充填される。
【0061】
エレベータ設備の1つのコンポーネントとしてのレールは、好ましくは、移動体を制動するためのレールとして、かつ移動体を案内するためのレールとして使用される。あるいは、レールは、ブレーキレールとしてのみ機能することもある。レールは、シートメタル部品から安価に製造される。
【0062】
本発明のさらなる利点、特徴および詳細は、以下の実施形態の説明から、および図面から明らかとなるであろう。諸図面において、同一の要素または機能的に同一の要素は、同一の参照符号で示される。図面は、単に概略的なものであって、縮尺通りではない。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【
図1】ブレーキ装置の第1の実施形態の水平断面図である。
【
図2】キャッチウェッジが制動ポジションにある、
図1と同じ断面を示す。
【
図3】
図1と同様の第1の実施形態を示す図である。
【
図4】アクチュエータを伴うフォーシング要素を示す。
【
図6】フォーシング要素がウェッジを1つだけ伴うブレーキ装置を示す。
【
図7】外的なフォーシング要素を有する、本発明によらないブレーキ装置を示す。
【
図8】設計されたソリューションを示す等角図である。
【
図9】案内システムをレールおよびブレーキ装置と共に示す。
【発明を実施するための形態】
【0064】
図1は、ブレーキ装置2の第1の実施形態の、それが移動体1へ取り付けられた際の水平断面を示す。ブレーキ装置2は、カウンタサポート11と、フォーシング要素9とを略備え、これらは、接続要素43を介して互いに接続される。ブレーキ装置は、第1の制動プロファイル7および第2の制動プロファイル8と係合され、これらはいずれも、レール5の一部である。レール5は、シートメタルから圧延されたクローズドプロファイルである。制動プロファイル6は、2つの層を有し、かつそれらの端に僅かに大きい曲げ半径66を有する。クローズドプロファイルは、オープンプロファイルより剛性が高いという利点を有する。レールは、レールサポート53へねじによって締結される。レールサポート53は、とりわけ、金属プロファイルであっても、シャフト壁であってもよい。
【0065】
第1のフォーシング作用面13および第1のカウンタサポート作用面17は、両者間を第1の制動プロファイル7が通るように配置される。第2のフォーシング作用面15および第2のカウンタサポート作用面19は、両者間を第2の制動プロファイル8が通るように配置される。フォーシング要素は、ブレーキ装置を休止位置を始点に制動プロファイルと接触させるべく拡張することができるように構成される。拡張は、制動要素31、すなわちブレーキウェッジ37、を制動プロファイル6へと近づける。ブレーキウェッジ37は、主たる運動成分によって移動方向へ線形運動を行う。制動プロファイル6方向の運動成分は、作用面13、15、17および19上に垂直力を蓄積する働きをする。
【0066】
フォーシング要素9は、2つの制動プロファイル6間の中間領域に位置決めされる。中間領域の説明図は、
図10および
図11に見出されることができる。
【0067】
接続要素43は、僅かに弾性であるように構成され、よって、フォーシング要素9は、制動プロファイル6間で容易に動くことができる。接続要素43の弾性復元力は、フォーシング作用面13および15を制動プロファイル6から一定の距離に保つ。4つの作用面上の垂直力は、選択されたこの配置に起因して略同じ量を有する。
【0068】
図2は、ブレーキ装置2が制動中である動作状態における、
図1と同様の第1の実施形態を示す図である。制動要素31、すなわちブレーキウェッジ37、は、制動位置にシフトされている。ブレーキウェッジ37は、第1のフォーシング作用面13および第2のフォーシング作用面15が制動プロファイル6に押し付けられるようにして、制動プロファイル6上の摩擦力によって変位される。レール5は、弾性的かつ可逆的に変形される。制動プロファイル6は、弾性であって、第1のカウンタサポート作用面17および第2のカウンタサポート作用面19まで変位される。このシフトは、レール5の僅かな変形を伴う。ブレーキウェッジ37とカウンタサポート11との間にクランプされる制動プロファイル6上には、大きい垂直力が作用する。これらの垂直力は、大きい摩擦力を引き起こす。垂直力は、ブレーキウェッジの変位が制限されるという点、および、カウンタサポートが、フォーシング要素9が最大限に広げられた場合に制動力を設定点値の範囲内に制限するようにして、弾性であるべく構成されるという点、において制限される。
図7に示すようなばねセットも、制動力を制限するために使用されることが可能である。
【0069】
図3は、
図1に示すような第1の実施形態の側面図を示す。ブレーキウェッジの形態である制動要素31は、フォーシング要素9のコア要素に沿って案内される。
【0070】
第1の実施形態は、案内システムにおける案内要素として使用されることに適する。第1のカウンタサポート作用面17と第1の制動プロファイル7との間には、初期の遊びS1が存在する。第2のカウンタサポート作用面19と第2の制動プロファイル8との間には、第2の遊びS2が存在する。駆動中、2つの遊びS1およびS2は、案内要素上の負荷に適合する。典型的には、2つの遊びのうちの一方は、接触によって打ち消される。もう一方の遊びは、対応して大きくなる。案内力は、接触を介して移されることが可能である。その結果、ブレーキ装置2の移動体は、作用面13、15、17および/または19に垂直な変位に抗して確実に案内される。レールに向かうブレーキ装置2の変位は、拡大された曲げ半径66を伴う制動プロファイル6がカウンタサポート11と接触するという事実によって、防止される。あるいは、フォーシング要素9は、接続要素43とは反対側の表面に滑動コーティングを有することも考えられると思われる。
【0071】
図4は、
図1、
図2、
図3において、但しブレーキウェッジ37が一方にしかない場合の
図6においても、ブレーキ装置2内で使用されるような、アクチュエータ29を伴うフォーシング要素9を示す。第1のブレーキウェッジ37上の第1のフォーシング作用面13および第2のブレーキウェッジ37上の第2のフォーシング作用面15を前進運動30の文脈において互いから離れて拡張することができるように、ブレーキウェッジは、テンションプレート401へ接続される。テンションプレート401は、テンションロッド402を介して、ばねの形態であるエネルギー貯蔵部55へ接続される。電磁石292は、ラチェットレバー293を引き寄せることができる。外部からの電気信号または電子信号41、具体的には供給電圧の降下、が電磁石のオフ切換に繋がり、かつ結果的に電磁石がその保持能力を失った場合、爪294は、プルロッド402上の保持ラグ295から解放される。結果として、制動要素31、またはより正確にはブレーキウェッジ37は、これで上方へ動かされ、このプロセスにおいて互いから離れて拡張させられる。爪レバー293を電磁石292から確実に引き離すために使用される補助ばね291は、爪294を確実にトリガする働きもする。保持ラグ295と爪294との間の接触面の巧妙な構成により、一代替実施形態では、補助ばね291が省略されてもよい。
【0072】
移動体は、移動方向33に動くことから、ブレーキウェッジ37と制動プロファイル6との間の摩擦力は、ブレーキウェッジ37が制動プロファイル6に接触するとすぐに、ブレーキウェッジ37をさらに上方へと駆動する手助けをする。
【0073】
図5は、偏心器39として構成される制動要素31を伴うフォーシング要素9を示す。このような実施形態の動作モードは、
図1から
図4に類似している。偏心器39の前進運動は、ブレーキウェッジの前進運動とは対照的に、偏心器39の回転運動に基づく。
【0074】
図6は、この場合はブレーキウェッジ37の形態である制動要素31を一方にのみ有するフォーシング要素9を有するブレーキ装置2を示す。第1のフォーシング作用面13は、フォーシング要素9に直に対向して構成される。また、極薄の接続要素43も示されている。レール5ならびに2つのカウンタサポート作用面17および19を伴うカウンタサポート11は、実質的に各々が2つの制動要素31を備える前出の諸図と同じ方法で構成される。このブレーキ装置が係合されると、第1のフォーシング作用面13は、既に第1の制動プロファイル7に擦りつきつつあるが、第2のフォーシング作用面15は、第2の制動プロファイル8に付着してこれにより引きずられ、第1のフォーシング作用面13上の垂直力、ひいては制動力が増加する。第2のフォーシング作用面15は、制動要素31がフォーシング要素9に抗して実質的に摩擦なしに案内されることから、いまだ実質的な制動力を生成していない。制動要素31がフォーシング要素9上の停止装置に当たったときにのみ、第2のフォーシング作用面15上に生成される制動力もまた制動力に大きく寄与することになる。
【0075】
図7は、外的なフォーシング要素9を伴う、本発明によらないブレーキ装置2を示す。第1のフォーシング作用面13と第2のフォーシング作用面15との間に距離aを有するフォーシング要素9は、狭められることが可能である。フォーシング要素を狭めると、すなわち、2つのフォーシング作用面13および15間の距離aを縮小すると、2つのフォーシング作用面13および15は、制動プロファイル6と接触するに至る。ブレーキ装置2は、ブレーキウェッジ37とばねアセンブリ71とを備え、これらはいずれもフォーシング要素9へ取り付けられる。その結果、カウンタサポートは、極めて単純な構成を有することができる。先の実施形態とは対照的に、この場合、カウンタサポート11は、第1の制動プロファイル7と第2の制動プロファイル8との間の中間領域にある。接続要素43は、フォーシング要素9に対するカウンタサポート11の相対変位を可能にする。したがって、2つのカウンタサポート作用面17および19は各々、制動プロファイル6に当接することができ、かつ、カウンタサポート作用面17および19間で押圧力を、接続要素43に多大な力をかけることなく伝達することができる。
【0076】
レール5は、シートメタルから形成され、かつ非対称的に構成される。オープンプロファイルは、少ない作業ステップによる生産を可能にする。
【0077】
図7の概念は、前出の図面の概念と組み合わされてもよい。具体的には、フォーシング要素9は、制動要素31を両側に有することが可能である。このような場合は、カウンタサポート11を、規定の制動力を得るために幾分か可撓性にすることが有利である。たとえば、カウンタサポートは、ばねアセンブリ71を有することができる。制動要素31は、ブレーキウェッジ37または偏心器として構成されても、あえて単一の偏心器として構成されることができる。オープン型の制動プロファイル5の代わりに、クローズド型の制動プロファイル5も使用されることが可能である。
【0078】
図8は、設計されたソリューションを示す等角図である。フォーシング要素9は、制動プロファイル(不図示)間の中間領域に位置決めされている。
【0079】
エネルギー貯蔵部55が見えているアクチュエータは、カウンタサポート11の内部に位置決めされる。制動要素31は、ブレーキウェッジ37として構成され、第1のフォーシング要素作用面13および第2のフォーシング要素作用面15は各々、ブレーキウェッジ37上に位置決めされる。カウンタサポート11は、第1のカウンタサポート作用面17と、第2のカウンタサポート作用面19とを有する。カウンタサポート作用面17および19は、移動体の案内として機能すべく摺動ライニングとして構成される。
【0080】
図9は、エレベータ設備3の、レール5およびブレーキ装置2を伴う案内システム47を示す。レール5は、各事例で2つの制動プロファイル6を備える。レール5は、移動体1のガイドとして機能し、よって、レール5に沿って移動運動方向33へ動くことができる。カゴの底部にある2つのブレーキ装置2に加えて、移動体1は、2つのさらなる案内要素51をも介して案内される。
【0081】
案内要素51およびブレーキ装置2は、制動プロファイル6の個々の外面との接触を介して移動体1を案内する。
【0082】
図10および
図11は、中間領域25の詳細な画定を示す。中間領域25は、第1の制動プロファイル7および第2の制動プロファイル8の個々の内面により渡される平面によって渡される空間、として理解されるべきである。
【0083】
最後に、「備える(comprising)」、「有する(having)」、他などの用語が他の要素またはステップを排除するものではなく、また「1つの」または「ある」(aまたはan)などの用語が複数を排除するものではない点は、留意されるべきである。さらに、上述の実施形態のうちの1つを参照して説明されている特徴またはステップが、これまでに述べた他の実施形態の他の特徴またはステップと組み合わせて使用される場合もあることは、留意されるべきである。特許請求の範囲に記載の参照符号は、限定として見なされるべきではない。
【国際調査報告】