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特表2022-549978LM-ペクチンを含む喫煙物品用香料含有シート及びそれを含む喫煙物品
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  • 特表-LM-ペクチンを含む喫煙物品用香料含有シート及びそれを含む喫煙物品 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-11-30
(54)【発明の名称】LM-ペクチンを含む喫煙物品用香料含有シート及びそれを含む喫煙物品
(51)【国際特許分類】
   A24B 3/14 20060101AFI20221122BHJP
   A24B 15/30 20060101ALI20221122BHJP
   A24D 1/20 20200101ALI20221122BHJP
   A24D 3/17 20200101ALI20221122BHJP
【FI】
A24B3/14
A24B15/30
A24D1/20
A24D3/17
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021555052
(86)(22)【出願日】2021-04-30
(85)【翻訳文提出日】2021-09-10
(86)【国際出願番号】 KR2021005515
(87)【国際公開番号】W WO2022045521
(87)【国際公開日】2022-03-03
(31)【優先権主張番号】10-2020-0107417
(32)【優先日】2020-08-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】519217032
【氏名又は名称】ケーティー アンド ジー コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】キム、イク チュン
(72)【発明者】
【氏名】チョン、キョン ピン
(72)【発明者】
【氏名】ジョン、ウン ミ
(72)【発明者】
【氏名】ソン、ホ リム
【テーマコード(参考)】
4B043
4B045
【Fターム(参考)】
4B043BA15
4B043BB01
4B043BB11
4B043BB17
4B043BC02
4B043BC03
4B043BC05
4B043BC18
4B043BC19
4B043BC23
4B045AA21
4B045AA41
4B045AB04
4B045AB07
4B045AB16
4B045BA02
4B045BA05
4B045BA08
4B045BB03
4B045BC02
4B045BC17
4B045BC24
(57)【要約】
水分、増粘多糖類、LM-ペクチン(low methoxyl pectin)、及び香料を含む喫煙物品用香料含有シートを提供し、香料含有シートを含む喫煙物品は、喫煙期間の間、持続的に香を発散する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
喫煙物品用香料含有シートにおいて、
水分と、
増粘多糖類と、
LM-ペクチン(low methoxyl pectin)と、
香料と、
を含む、喫煙物品用香料含有シート。
【請求項2】
充填剤(bulking agent)をさらに含む、請求項1に記載の喫煙物品用香料含有シート。
【請求項3】
前記LM-ペクチンは、カルボキシル基(carboxyl group)を50%未満含み、
前記LM-ペクチンは、室温への放冷時、ゲル化しない特性を有する、請求項1に記載の喫煙物品用香料含有シート。
【請求項4】
前記喫煙物品用香料含有シートは、全体100重量部を基準に、前記水分2~15重量部、前記増粘多糖類1~60重量部、前記LM-ペクチン1~60重量部、及び前記香料0.1~60重量部を含む、請求項1に記載の喫煙物品用香料含有シート。
【請求項5】
前記喫煙物品用香料含有シートは、エアロゾル形成剤をさらに含む、請求項1に記載の喫煙物品用香料含有シート。
【請求項6】
前記喫煙物品用香料含有シートは、乳化剤をさらに含む、請求項1に記載の喫煙物品用香料含有シート。
【請求項7】
前記増粘多糖類は、寒天、ジェランガム、カラギナン、及びグルコマンナンのうち、1つであり、前記充填剤は、デキストリン(dextrin)である、請求項2に記載の喫煙物品用香料含有シート。
【請求項8】
前記喫煙物品用香料含有シートは、0.01~0.3mmの厚さを有する、請求項1に記載の喫煙物品用香料含有シート。
【請求項9】
喫煙物品において、
タバコ物質及び香料含有シートを含む第1部分と、
フィルタ要素を含む第2部分と、を含み、
前記第1部分、及び前記第2部分は、前記喫煙物品の長手方向を基準に順次に整列され、
前記香料含有シートは、LM-ペクチンを含む、
喫煙物品。
【請求項10】
前記LM-ペクチンは、カルボキシル基(carboxyl group)を50%未満含み、
前記LM-ペクチンは、室温への放冷時、ゲル化しない特性を有する、
請求項9に記載の喫煙物品。
【請求項11】
前記香料含有シートは、全体100重量部を基準に、水分2~15重量部、増粘多糖類1~60重量部、前記LM-ペクチン1~60重量部、及び香料0.1~60重量部を含む、請求項9に記載の喫煙物品。
【請求項12】
前記増粘多糖類は、寒天、ジェランガム、カラギナン、及びグルコマンナンのうち、1つである、請求項11に記載の喫煙物品。
【請求項13】
前記香料含有シートは、エアロゾル形成剤をさらに含む、請求項9に記載の喫煙物品。
【請求項14】
前記香料含有シートは、0.01~0.3mmの厚さを有する、請求項9に記載の喫煙物品。
【請求項15】
燃焼式シガレットにおいて、
タバコ物質及び香料含有シートを含む第1セグメントと、
フィルタ要素を含む第2セグメントと、を含み、
前記第1セグメント、及び前記第2セグメントは、前記燃焼式シガレットの長手方向を基準に順次に整列され、
前記香料含有シートは、LM-ペクチンを含む、
燃焼式シガレット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、LM-ペクチンを含む喫煙物品用香料含有シート及びそれを含む喫煙物品に関する。
【背景技術】
【0002】
喫煙物品で特定香を発生させるために、香料成分を溶液状態でタバコに添加させる方法が採用されている。このような方法は、香料溶液を噴霧などの方式で簡便にタバコに加えられるという利点を有する。但し、喫煙時に香を放出させるために、香料の添加量を増加させれば、溶媒量が多くなり、シガレット紙に染みが発生する傾向がある。また、喫煙中に加香物質の持続的な発現が難しく、喫煙後半部に香が弱くなる短所がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明が解決しようとする課題は、LM-ペクチンを含む喫煙物品用香料含有シート及びそれを含む喫煙物品を提供することである。
【0004】
本発明が解決しようとする技術的課題は、前記のような技術的課題に限定されず、以下の実施例から他の技術的課題が類推されうる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一側面は、喫煙物品用香料含有シートにおいて、水分、増粘多糖類、LM-ペクチン(low methoxyl pectin)、及び香料を含む喫煙物品用香料含有シートを提供する。
【0006】
本発明の他の側面は、喫煙物品において、タバコ物質及び香料含有シートを含む第1部分、及びフィルタ要素を含む第2部分を含み、前記第1部分、及び前記第2部分は、前記喫煙物品の長手方向を基準に順次に整列され、前記香料含有シートは、LM-ペクチンを含む喫煙物品を提供する。
【0007】
本発明のさらに他の側面は、燃焼式シガレットにおいて、タバコ物質及び香料含有シートを含む第1セグメント、及びフィルタ要素を含む第2セグメントを含み、前記第1セグメント、及び前記第2セグメントは、前記燃焼式シガレットの長手方向を基準に順次に整列され、前記香料含有シートは、LM-ペクチンを含む、燃焼式シガレットを提供することができる。
【0008】
課題の解決手段は、上述したところに制限されず、本明細書全体において通常の技術者によって類推可能な事項をいずれも含んでもよい。
【発明の効果】
【0009】
本発明による喫煙物品用香料含有シートは、粘度特性、スラリー形成特性、乾燥特性、シート物理性、及び香料保留性のうち、少なくとも1つの特性が優秀であると評価された。
【0010】
また、喫煙物品用香料含有シートを製造する場合、乳化剤を必須に含まなくても良いという長所がある。
【0011】
また、喫煙物品用香料含有シートを含む喫煙物品は、喫味性が向上する長所がある。
【0012】
また、タバコを吸煙する間、一貫して香が発現され、消費者の満足感を高めることができる。
【0013】
実施例の効果は、前述したところに限定されず、後述する構成から類推可能な効果をいずれも含んでもよい。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】一例示による喫煙物品の構成を概略的に示す図面である。
図2】他の例示による喫煙物品の構成を概略的に示す図面である。
図3A】乾燥前の喫煙物品用香料含有シートを示す図面である。
図3B】乾燥後の喫煙物品用香料含有シートを示す図面である。
図4】喫煙物品の第1部分の断面を示す図面である。
図5】燃焼式シガレットの構成を概略的に示す図面である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
実施例で使用される用語は、本発明での機能を考慮しながら、可能な限り、現在広く使用される一般的な用語を選択したが、これは、当分野に従事する技術者の意図または判例、新たな技術の出現などによっても異なる。また、特定の場合は、出願人が任意に選定した用語もあり、その場合、当該発明の説明部分において、詳細にその意味を記載する。したがって、本発明で使用される用語は、単純な用語の名称ではない、その用語が有する意味と本発明の全般にわたる内容に基づいて定義されねばならない。
【0016】
明細書全体において、ある部分がある構成要素を「含む」とするとき、それは、特別に反対となる記載がない限り、他の構成要素を除外するものではなく、他の構成要素をさらに含んでもよいということを意味する。また、明細書に記載された「...部」、「...モジュール」などの用語は、少なくとも1つの機能や動作を処理する単位を意味し、これは、ハードウェアまたはソフトウェアによって具現されるか、ハードウェアとソフトウェアとの結合によって具現されうる。
【0017】
明細書全体において、「喫煙物品」は、喫煙時に用いられる物品を意味する。例えば、喫煙物品は、点火されて燃焼される方式によって用いられる一般燃焼式シガレットでもあり、または喫煙物品は、エアロゾル発生装置に挿入されて加熱され、エアロゾルを発生させる加熱式シガレットでもある。
【0018】
明細書全体において、「タバコ要素」は、タバコ物質を含有する要素を意味する。
【0019】
明細書全体において、「タバコ物質」は、タバコ葉に由来の成分を含むあらゆる形態の物質を意味する。
【0020】
明細書全体において、「冷却要素」は、ある物質を冷却させる要素を意味する。例えば、冷却要素は、タバコ要素で発生したエアロゾルを冷却させうる。
【0021】
明細書全体において、「フィルタ要素」は、ろ過素材を含む要素を意味する。例えば、フィルタ要素は、複数の繊維ストランドを含んでもよい。
【0022】
明細書全体において、「喫煙物品の長手方向」は、喫煙物品の長さが延びる方向または喫煙物品がエアロゾル発生装置に挿入される方向を意味する。
【0023】
明細書全体において、「増粘多糖類」は、粘度を増加させる多糖類物質を意味する。
【0024】
明細書全体において、「LM-ペクチン(low methoxyl pectin)」は、エステル化が比較的少なくなされた低エステルペクチンまたは低メトキシルペクチンであって、具体的に分子構造内部にカルボキシル基(carboxyl group)が50%未満に含有されたペクチンを意味する。LM-ペクチンは、カラギナンとは異なって、室温への放冷時、ゲル化されていない特性を有する。
【0025】
以下、添付図面に基づいて、本発明の実施例について、本発明が属する技術分野で通常の知識を有する者が容易に実施可能に詳細に説明する。しかし、本発明は、様々な互いに異なる形態にも具現され、ここで説明する実施例に限定されない。
【0026】
以下では、図面に基づいて、本発明の実施例を詳細に説明する。
【0027】
図1は、一例示による喫煙物品100の構成を概略的に示す図面である。
【0028】
喫煙物品100は、タバコ要素を含む第1部分100、及びフィルタ要素を含む第2部分120を含んでもよい。
【0029】
図1を参照すれば、第1部分100、及び第2部分120は、喫煙物品100の長手方向を基準に順次に整列されうる。ここで、喫煙物品100の長手方向は、喫煙物品100の長さが延びる方向でもある。例えば、喫煙物品100の長手方向は、第1部分100から第2部分120に向かう方向でもある。
【0030】
第1部分100は、タバコ要素を含んでもよい。タバコ要素は、特定形態のタバコ物質でもある。例えば、タバコ要素は、刻みタバコ、タバコ粒子(particle)、タバコシート(sheet)、タバコビーズ(beads)、タバコ顆粒(granule)、またはタバコ抽出物の形態を有することができる。また、タバコ物質は、例えば、タバコ葉、タバコ側脈、膨化タバコ、刻みタバコ、板状葉刻みタバコ、及び再構成タバコのうち、1種以上を含んでもよい。
【0031】
第2部分120は、フィルタ要素を含んでもよい。フィルタ要素は、酢酸セルロースフィルタでもある。フィルタ要素の形状には制限がない。例えば、フィルタ要素は、円柱状ロッドでもあり、内部に中空を含むチューブ状ロッドでもある。また、フィルタ要素は、リセス状ロッドでもある。
【0032】
第2部分120は、香味が発生するようにも作製される。一例として、第2部分120に加香液が噴射され、加香液が塗布された別途の繊維が第2部分120の内部に挿入されうる。
【0033】
また、第2部分120は、少なくとも1つのカプセル130を含んでもよい。ここで、カプセル130は、香味を発生させる機能を遂行することもでき、エアロゾルを発生させる機能を遂行することもできる。例えば、カプセル130は、香料を含む液体を被膜で覆い包む構造でもある。カプセル130は、球状または円筒状を有することができるが、必ずしもそれに制限されるものではない。
【0034】
また、第2部分120は、複数のセグメントを含んでもよい。このような実施例について、図1を参照してさらに具体的に説明する。
【0035】
第2部分120は、フィルタ要素123を含んでもよく、冷却要素121をさらに含んでもよい。
【0036】
冷却要素121は、喫煙物品100の外部から第1部分100を通過する気流を冷却させうる。冷却要素121は、紙材質によって形成されて中空を含む円筒状の紙管でもある。また、冷却要素121は、高分子物質または生分解性高分子物質によって製造され、冷却機能を有することができる。例えば、冷却要素121は、ポリ乳酸(PLA)繊維によって作製されるが、それに限定されない。また、冷却要素121は、複数の孔が形成された酢酸セルロースフィルタによって作製されうる。しかし、冷却要素121は、必ずしも上述した例示に制限されず、本発明は、気流が冷却される機能を遂行するあらゆる物質を制限なしに含む。また、冷却要素121は、中空を含むチューブフィルタまたは紙管でもある。
【0037】
また、図1には、図示されていないが、喫煙物品100は、プラグ(図示せず)をさらに含んでもよい。プラグは、喫煙物品100の末端に配置されうる。例えば、プラグは、第1部分100に隣接した喫煙物品100の末端に配置されうる。プラグは、喫煙物品100の全長を適切に調節する機能を行うことができる。また、喫煙物品100がエアロゾル発生装置(図示せず)に挿入される場合、プラグは、第1部分100がエアロゾル発生装置内部に適切な位置に配置されるように調節する機能を行うことができる。
【0038】
喫煙物品100は、少なくとも1枚のラッパ140を含んでもよい。例えば、喫煙物品100は、第1部分100を覆い包む第1ラッパ、及び第2部分120を覆い包む第2ラッパを含んでもよい。また、喫煙物品100は、第1部分100、及び第2部分120全体を覆い包む第3ラッパを含んでもよい。また、喫煙物品100は、第2部分120を再び覆い包む第4ラッパを含んでもよい。第4ラッパは、一般的にチップペーパ(tip paper)の役割が行える。
【0039】
第1ラッパないし第4ラッパのうち、少なくとも1つは、生分解性巻紙でもある。生分解性巻紙が使用される場合、喫煙物品100は、微生物によって迅速に分解され、これにより、環境汚染が減少する。
【0040】
図2は、他の例示による喫煙物品200を概略的に示す図面である。
【0041】
図2を参照すれば、喫煙物品200は、第1部分210、及び第2部分220を含んでもよい。第2部分220は、単一セグメントのフィルタ要素を含んでもよい。例えば、第2部分220に対して、図1の第2部分120に前述した内容が同様に適用されうる。
【0042】
図2を参照すれば、第1部分210は、2個の区画に区分される。第1部分210は、エアロゾル発生基材211及びニコチン発生基材213を含んでもよい。
【0043】
エアロゾル発生基材211は、例えば、エアロゾル発生物質が含浸された巻縮された紙を含んでもよい。エアロゾル発生物質(または、エアロゾル形成剤)は、例えば、グリセリン、プロピレングリコール、エチレングリコール、ジプロピレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール及びオレイルアルコールのうち、少なくとも1つを含んでもよい。
【0044】
ニコチン発生基材213は、例えば、 刻みタバコ、タバコ粒子(particle)、タバコシート(sheet)、タバコビーズ(beads)、タバコ顆粒(granule)を含んでもよい。他の例示として、ニコチン発生基材213は、タバコ抽出物が含浸された巻縮された紙を含んでもよい。ニコチン発生基材213が加熱される場合、ニコチン発生基材213からニコチンが発生して第2部分220にニコチンが移行されうる。
【0045】
また、第2部分220は、複数のセグメントを含んでもよい。例えば、第2部分220は、フィルタ要素223を含み、冷却要素221をさらに含んでもよい。
【0046】
図2の冷却要素221及びフィルタ要素223について、前述した第1の冷却要素121及びフィルタ要素123に係わる内容が同一に適用されうる。したがって、重複内容は記載を省略する。
【0047】
本発明による喫煙物品用香料含有シートは、例えば、図1及び図2に示した喫煙物品100、200の第1部分110、210、または第2部分120、220に含まれる。
【0048】
本発明による喫煙物品用香料含有シートを製造するために、蒸溜水(water)、増粘多糖類、LM-ペクチン(low methyl pectin)、及び香料をいずれも含むスラリー(または粗液)を製造することができる。また、スラリーは、充填剤、エアロゾル形成剤、または乳化剤をさらに含んでもよい。
【0049】
蒸溜水は、スラリーの粘度を決定する因子でもある。
【0050】
増粘多糖類は、スラリーの粘度を増加させる機能を行う多糖類物質でもある。増粘多糖類は、例えば、寒天、ジェランガム、タマリンドガム、コンニャクグルコマンナン、サイリウムシードガム、ローカストビーンガム、グアガム、キサンタンガム、タラガム、澱粉、及びカシアガムのうち、選択される1種以上でもある。
【0051】
LM-ペクチンは、エステル化が比較的少なくなされた低エステルペクチンまたは低メトキシルペクチンであって、具体的に、分子構造内部にカルボキシル基(carboxyl group)が約50%未満含有されたペクチンを意味する。LM-ペクチンは、カラギナンとは異なって、室温への放冷時、ゲル化されない特性を有する。このために、スラリーは、比較的低い粘度(約600cp~約800cp)を示す。また、スラリーは、乳化剤を含まずとも、製造されうる。
【0052】
LM-ペクチンは、分子構造内部にカルボキシル基を約50%未満、約40%未満、約30%未満、約20%未満、または約10%未満含む。LM-ペクチンの分子構造内部にカルボキシル基含有量が少なくなるほど、LM-ペクチンを含むスラリーの粘度が低くなる。
【0053】
充填剤(bulking agent)は、スラリー中の蒸溜水以外の構成成分の合計質量(すなわち、乾物質量)を増加させ、製造される香料含有シートの体積を増加させる役割を行う。充填剤は、香料含有シートの体積を増加させる役割のみを行い、香料含有シートの本来の機能に影響を及ぼさない物質である。具体的に、充填剤は、スラリーの粘度を実質的に上昇させずとも、香料含有シートの香料保留機能に悪影響を及ぼさない特性を有することができる。
【0054】
充填剤は、澱粉類、変性澱粉、または澱粉加水分解物でもある。変性澱粉は、酢酸澱粉、酸化澱粉、ヒドロキシプロピル化リン酸架橋澱粉、ヒドロキシプロピル澱粉、リン酸架橋澱粉、リン酸化澱粉、リン酸化リン酸架橋澱粉などを示す。澱粉加水分解物とは、澱粉を加水分解する工程を含むプロセスによって得られる物質を示す。澱粉加水分解物は、例えば、澱粉を直接加水分解して得られる物質(すなわち、デキストリン)、または澱粉を加熱処理した後、加水分解して得られる物質(すなわち、難消化性デキストリン)である。充填剤は、例えば、デキストリン(dextrin)でもあり、さらに具体的にシクロデキストリン(cyclodextrin)でもある。
【0055】
澱粉加水分解物は、一般的に、約2~40の範囲に含まれるDE値を有する澱粉加水分解物、望ましくは、約2~20の範囲に含まれるDE値を有する澱粉加水分解物でもある。約2~20の範囲に含まれるDE値を有する澱粉加水分解物として、例えば、パインデックス#100(松谷化学工業(株))、パインファイバー(松谷化学工業(株))、TK-16(松谷化学工業(株))が活用されうる。
【0056】
DEは、dextrose equivalentの略語であり、DE値は、澱粉の加水分解の程度、すなわち、澱粉の糖化率を示す値である。本発明において、DE値は、ウィルシュテッター・シューデル(Willstatter-Schudel)法によって測定された値である。ウィルシュテッター・シューデル(Willstatter-Schudel)法によって特定数値としてDE値が測定される。加水分解された澱粉(澱粉加水分解物)の特性、例えば、澱粉加水分解物の分子量や澱粉加水分解物を構成する糖分子の配列などの特性は、澱粉加水分解物の分子ごとに一定しておらず、ある分布またはバリエーションをもって存在している。澱粉加水分解物の特性の分布やバリエーション、またはカットされる区間の差などによって、澱粉加水分解物は、その分子ごとに異なる物性特徴(例えば、DE値)が発現される。このように、澱粉加水分解物は、他の物性特徴を示す分子の集合であるが、ウィルシュテッター・シューデル(Willstatter-Schudel)法における測定結果(すなわち、DE値)は、澱粉の加水分解の程度を示す代表値として取り扱われる。
【0057】
望ましくは、澱粉加水分解物は、約2~5のDE値を有するデキストリン、約10~約15のDE値を有する難消化性デキストリン、及びそれらの混合物からなる群から選択される。約2~5のDE値を有するデキストリンとして、例えば、パインデックス#100(松谷化学工業(株))が活用されうる。約10~約15のDE値を有する難消化性デキストリンとして、例えば、パインファイバー(松谷化学工業(株))が活用されうる。
【0058】
香料は、例えば、メントール、葉タバコ抽出エキス、天然植物性香料(例えば、シナモン、セージ、ハーブ、カモマイル、葛草、甘茶、クローブ、ラベンダー、カルダモン、丁香、ナツメグ、ベルガモット、ゼラニウム、蜂蜜エッセンス、ローズオイル、レモン、オレンジ、桂皮、キャラウェイ、ジャスミン、生姜、コリアンダー、バニラエキス、スペアミント、ペパーミント、カシア、コーヒー、セロリ、カスカリラ、サンダルウッド、ココア、イランイラン、フェンネル、アニス、リコリス、セントジョンズブレッド、プラムエキス、桃エキスなど)、糖類(例えば、グルコース、フルクトース、異性化糖、キャラメルなど)、ココア類(パウダ、エキスなど)、エステル類(例えば、酢酸イソアミル、酢酸リナリル、プロピオン酸イソアミル、酪酸リナリルなど)、ケトン類(例えば、メントン、イオノン、ダマセノン、エチルマルトールなど)、アルコール類(例えば、ゲラニオール、リナロール、アネトール、オイゲノールなど)、アルデヒド類(例えば、バニリン、ベンズアルデヒド、アニスアルデヒドなど)、ラクトン類(例えば、γ-ウンデカラクトン、γ-ノナラクトンなど)、動物性香料(例えば、ムスク、アンバーグリス、シベット、カストリウムなど)、炭化水素類(例えば、リモネン、ピネンなど)が挙げられる。香料は、固体で使用されてもよく、適切な溶媒、例えば、プロピレングリコール、エチルアルコール、ベンジルアルコール、トリエチルシトレートに、溶解または分散されて使用されても良い。また、乳化剤の添加によって溶媒中に分散状態が形成されやすい香料、例えば、疎水性香料や油溶性香料などを利用することができる。それらの香料は、単独でも、混合物でも用いられうる。但し、本発明が前述したところに必ずしも制限されるものではなく、本発明は、喫煙物品に用いられる任意の香料をいずれも含んでもよい。
【0059】
スラリーは、エアロゾル形成剤または乳化剤をさらに含んでもよい。エアロゾル形成剤は、例えば、グリセリン及びプロピレングリコールのうち、少なくとも1つを含んでもよく、乳化剤は、例えば、レシチンでもある。
【0060】
実施例において、喫煙物品用香料含有シートは、全体100重量部を基準に、水分が約2~15重量部、増粘多糖類が約1~60重量部、LM-ペクチンが約1~60重量部、及び香料が約0.1~60重量部を含んでもよい。
【0061】
エアロゾル形成剤は、喫煙物品用香料含有シート全体100重量部を基準に、約0.1~15重量部含まれる。
【0062】
図3Aは、乾燥前の喫煙物品用香料含有シート300を示す図面であり、図3Bは、乾燥後の喫煙物品用香料含有シート400を示す図面である。
【0063】
図3A及び図3Bを参照すれば、乾燥前香料含有シート300は、厚さd1を有することができる。乾燥後の香料含有シート400は、厚さd2を有することができる。乾燥前の厚さd1は、乾燥後の厚さd2以上でもある。一例示として、乾燥前香料含有シート300は、約0.2~2.0mmの厚さを有し、乾燥後の香料含有シート400は、約0.01~0.3mmの厚さを有することができる。前述した厚さ差は、乾燥による水分含量差から起因したものでもある。
【0064】
図4は、一例示による喫煙物品の第1部分500の断面を示す図面である。
【0065】
例えば、図4は、図1の喫煙物品の第1部分の断面を示したものでもある。
【0066】
図4を参照すれば、第1部分500は、タバコ物質511及び香料含有シート513を含んでもよい。タバコ物質511は、例えば、板状葉刻みタバコのようなタバコシート(sheet)の形態でもある。タバコ物質511は、エアロゾル発生物質などによって含浸されたタバコシートでもある。
【0067】
第1部分500が燃焼されるか、加熱される場合、タバコ物質511からエアロゾルが発生し、香料含有シート513から揮発された香料成分がエアロゾルと共に移動されうる。
【0068】
以下、喫煙物品用香料含有シートの製造例及び実施例について具体的に説明する。
【0069】
<実施例1>
【0070】
1.スラリーの製造
【0071】
実施例1として、水72.5gに寒天2.5gを投入し、95℃で撹拌した。以後、ペクチン2.0gを投入した後、撹拌し、グリセリン3gを投入して50℃に冷却した。以後、メントール15gを投入し撹拌して気泡を除去した。完成されたスラリーを、約50℃の温度に保持した。
【0072】
比較例1-5として、各成分の重量比を、下記表1に記載したように変更してスラリーを製造した。
【0073】
【表1】
【0074】
2.喫煙物品用香料含有シートの製造
【0075】
上述したスラリーを乾燥させて厚さ約0.01mmの香料含有シートを製造した。乾燥した喫煙物品用香料含有シートの水分含有量は、約2~15重量部範囲以内であり、さらに具体的に約8重量部に該当した。
【0076】
<実験例>
【0077】
【表2】
【0078】
表2に示したように、実施例1は、比較例1-5に比べて粘度特性、スラリー形成特性、乾燥特性、シート物理性、及び香料保留性のうち、少なくとも1つの特性が優秀であると評価された。また、実施例1は、乳化剤を含まずとも、スラリー製造適性及びシート製造適性が優秀であった。但し、前述した内容が乳化剤の使用を排除するものではない。
【0079】
比較例1は、スラリー形成は良好であるが、乾燥時間が比較的長かった。乾燥工程が完了した後、メントール含量が低く、保留時間が比較的短かった。比較例2は、スラリー安定性が不安定であり、経時的に相分離が起こり、均一なシートの製造が困難であった。比較例3は、スラリー粘度が高く、シート製造が困難であった。比較例4は、シート製造適性及び製造後特性が不良であった。比較例5は、スラリー粘度が高く、シート製造が困難であった。
【0080】
図5は、燃焼式シガレット600の構成を概略的に示す図面である。
【0081】
実施例によれば、燃焼式シガレット600において、タバコ物質及び香料含有シートを含む第1セグメント610、及びフィルタ要素を含む第2セグメント620を含み、第1セグメント610、及び第2セグメント620は、燃焼式シガレット600の長手方向を基準に順次に整列され、香料含有シートは、LM-ペクチンを含む、燃焼式シガレット600を提供することができる。
【0082】
第1セグメント610は、ユーザによって点火されることによって使用されうる。第1セグメント610が点火されることで、香料含有シートから発生する香がタバコ煙と共に第2セグメント620に流れる。
【0083】
前述した喫煙物品用香料含有シートに関する内容は、実施例による燃焼式シガレット600にも同様に適用されうる。
【0084】
本実施例に係わる技術分野で通常の知識を有する者は、前記記載の本質的な特性から外れない範囲で変形された形態として具現可能であるということを理解できるであろう。したがって、開示された方法は、限定的な観点ではなく、説明的な観点で考慮されねばならない。発明の範囲は、前述した説明ではなく、請求範囲に示されており、それと同等な範囲内にある全ての差は、発明に含まれるものと解釈されねばならない。
図1
図2
図3A
図3B
図4
図5
【国際調査報告】