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特表2022-549991回転式搾乳室装置を制御するためのシステムおよび方法、コンピュータプログラム、ならびに不揮発性データキャリア
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  • 特表-回転式搾乳室装置を制御するためのシステムおよび方法、コンピュータプログラム、ならびに不揮発性データキャリア 図1
  • 特表-回転式搾乳室装置を制御するためのシステムおよび方法、コンピュータプログラム、ならびに不揮発性データキャリア 図2
  • 特表-回転式搾乳室装置を制御するためのシステムおよび方法、コンピュータプログラム、ならびに不揮発性データキャリア 図3a
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  • 特表-回転式搾乳室装置を制御するためのシステムおよび方法、コンピュータプログラム、ならびに不揮発性データキャリア 図5a
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-11-30
(54)【発明の名称】回転式搾乳室装置を制御するためのシステムおよび方法、コンピュータプログラム、ならびに不揮発性データキャリア
(51)【国際特許分類】
   A01K 1/12 20060101AFI20221122BHJP
【FI】
A01K1/12
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022504529
(86)(22)【出願日】2020-10-01
(85)【翻訳文提出日】2022-01-24
(86)【国際出願番号】 SE2020050923
(87)【国際公開番号】W WO2021066719
(87)【国際公開日】2021-04-08
(31)【優先権主張番号】1951122-9
(32)【優先日】2019-10-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】SE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521499848
【氏名又は名称】デラバル ホールディング アクチエボラグ
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】弁理士法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ワラチョウスキー、マルチン
(72)【発明者】
【氏名】ザウィスランスキー、トーマス
(57)【要約】
少なくとも1つの駆動ユニット(241、242、243、244、245)が、回転式搾乳室装置の回転プラットフォーム(130)を、回転点(P)を中心に少なくとも第1の回転方向(RF、RB)に移動させる。各駆動ユニットが、回転プラットフォーム(130)の駆動レール(230)と係合し、駆動レール(230)のそれぞれの側に作用して回転プラットフォーム(130)に前記移動を実行させるように配置された第1および第2の駆動モーターを備える。第1および第2の駆動モーターのそれぞれは、当該の駆動モーターの回転速度を示すそれぞれのペース信号(p11、p12;p21、p22;p31、p32;p41、p42;p51、p52)を生成する。制御ユニット(220)は、各駆動ユニットの前記第1および第2の駆動モーターの各々からペース信号(p11、p12;p21、p22;p31、p32;p41、p42;p51、p52)を受信する。制御ユニット(220)は、各駆動ユニット(241、242、243、244、245)からの、第1の駆動モーターからのペース信号(p41)を、第2の駆動モーターからのペース信号(p42)と比較して、駆動ユニットの回転速度のそれぞれの差を確立する。差がしきい値を超えると、制御ユニット(220)がアラーム(A)をトリガーする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転式搾乳室装置を制御するためのシステムであって、前記回転式搾乳室装置が、複数の区画(S)を備えた回転プラットフォーム(130)を備え、前記複数の区画(S)の各々が、搾乳中にそれぞれの動物を収容するように構成されており、前記システムが、
前記回転プラットフォーム(130)を回転点(P)を中心に少なくとも第1の回転方向(RF、RB)に移動させるように構成された少なくとも1つの駆動ユニット(241、242、243、244、245)と、
前記少なくとも1つの駆動ユニット(241、242、243、244、245)の動作を制御するように構成された制御ユニット(220)とを含み、
前記少なくとも1つの駆動ユニットの各々が、前記回転プラットフォーム(130)の駆動レール(230)と係合し、前記駆動レール(230)のそれぞれの側に作用して、前記回転プラットフォーム(130)に前記移動を実行させるように配置された第1および第2の駆動モーター(341、342)を含み、前記第1および第2の駆動モーター(341、342)の各々が、当該の前記駆動モーターの回転速度を示すそれぞれのペース信号(p11、p12;p21、p22;p31、p32;p41、p42;p51、p52)を生成するように構成されており、前記制御ユニット(220)がさらに、
前記少なくとも1つの駆動ユニット(241、242、243、244、245)の各々の前記第1および第2の駆動モーター(341、342)から前記ペース信号(p11、p12;p21、p22;p31、p32;p41、p42;p51、p52)を受信し、
前記少なくとも1つの駆動ユニット(241、242、243、244、245)の各々からの、前記第1の駆動モーター(341)からの前記ペース信号(p41)を、前記第2の駆動モーター(342)からの前記ペース信号(p42)と比較して、前記少なくとも1つの駆動ユニットの各々における前記回転速度のそれぞれの差を確立し、前記差がしきい値を超える場合、
アラーム(A)をトリガーするように構成されていることを特徴とする、システム。
【請求項2】
前記制御ユニット(220)がさらに、前記アラーム(A)に応答して、ペース信号(p41、p42)が前記アラーム(A)をトリガーした前記1つ以上の駆動ユニット(244)の各々に制御信号(C4)を送信するように構成されており、前記制御信号(C4)が、前記駆動ユニット(244)を前記駆動レール(230)から係合解除させるように構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記駆動ユニット(241、242、243、244、245)の各々が、アクチュエータ(410)を含み、前記アクチュエータ(410)が、前記制御信号(C4)に応答して、第1の駆動輪(351)を第2の駆動輪(352)から分離させることにより前記駆動ユニット(244)を前記駆動レール(230)から係合解除させるように構成されており、
前記第1の駆動輪(351)が、前記駆動レール(230)の第1の側に配置され、前記駆動ユニット(244)の第1の駆動モーター(341)によって動作させられ、
前記第2の駆動輪(352)が、前記駆動レール(230)の第2の側に配置され、前記駆動ユニット(244)の第2の駆動モーター(342)によって動作させられる、請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
前記アクチュエータ(410)、前記第1および第2の駆動輪(351;352)を互いに分離させるように配置された空気圧シリンダ、油圧シリンダ、および電気リニアモーターのうちの少なくとも1つを含む、請求項3に記載のシステム。
【請求項5】
前記駆動ユニット(241、242、243、244、245)の各々が、少なくとも1つのクランプ部材(421、422)を含み、前記少なくとも1つのクランプ部材が、係合モードにおいて、前記第1の駆動輪(351)を前記駆動レール(230)の前記第1の側に強制的に向かわせ、前記第2の駆動輪(352)を前記駆動レール(230)の前記第2の側に強制的に向かわせるように構成されている、請求項3または4に記載のシステム。
【請求項6】
前記駆動ユニット(241、242、243、244、245)の各々が、少なくとも1つのセンサーをさらに備え、前記少なくとも1つのセンサーが、前記制御信号(C4)に応答して、
前記第1の駆動輪(351)が前記第2の駆動輪(352)から適切に分離されているかどうかチェックすることと、前記第1の駆動輪(351)が前記第2の駆動輪(352)から適切に分離されていることが判明した場合、
前記制御ユニット(220)にリターン信号を送信することであって、前記リターン信号が、前記駆動レール(230)からの前記駆動ユニット(241、242、243、244、245)の係合解除の成功を確認する、送信することと、を行うように構成されている、請求項3~5のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項7】
前記駆動ユニット(241、242、243、244、245)の各々が、前記駆動ユニット(244)の前記第1および第2の駆動モーター(341、342)の前記回転速度をそれぞれ示す前記ペース信号(p41、p42)を生成するように構成されたインジケータ-センサー装置を含み、前記インジケータ-センサー装置が、
前記第1の駆動モーター(341)に機械的に連結された第1の歯付き金属カラー(461)、および前記第1の歯付き金属カラー(461)の動きを検出して第1のペース信号(p41)を生成するように構成された第1の誘導センサー(471)と、
前記第2の駆動モーター(342)に機械的に連結された第2の歯付き金属カラー(462)、および前記第2の歯付き金属カラー(462)の動きを検出して第2のペース信号(p42)を生成するように構成された第2の誘導センサー(472)と、を含む、先行請求項のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項8】
前記第1の歯付き金属カラー(461)が、前記第1の駆動輪(351)と一緒に回転するように配置されており、
前記第2の歯付き金属カラー(462)が、前記第2の駆動輪(352)と一緒に回転するように配置されている、請求項3~6のいずれか一項に従属する請求項7に記載のシステム。
【請求項9】
回転式搾乳室装置を制御する方法であって、前記回転式搾乳室装置が、複数の区画(S)を備える回転プラットフォーム(130)を含み、前記複数の区画(S)の各々が、搾乳中にそれぞれの動物を収容するように構成されており、システムが、前記回転プラットフォーム(130)を回転点(P)を中心に少なくとも第1の回転方向(RF、RB)に移動させるように構成された少なくとも1つの駆動ユニット(241、242、243、244、245)を含み、前記方法が、
前記少なくとも1つの駆動ユニット(241、242、243、244、245)の動作を制御することを含み、
前記少なくとも1つの駆動ユニットの各々が、前記回転プラットフォーム(130)の駆動レール(230)と係合し、前記駆動レール(230)のそれぞれの側に作用して、前記回転プラットフォーム(130)に前記移動を実行させるように配置された第1および第2の駆動モーター(341、342)を含み、前記第1および第2の駆動モーター(341、341当該の)の各々が、前記駆動モーターの回転速度を示すそれぞれのペース信号(p11、p12;p21、p22;p31、p32;p41、p42;p51、p52)を生成するように構成されていることを特徴とし、前記方法がさらに、
前記少なくとも1つの駆動ユニット(241、242、243、244、245)の各々の前記第1および第2の駆動モーター(341、342)の各々から前記ペース信号(p11、p12;p21、p22;p31、p32;p41、p42;p51、p52)を受信することと、
前記少なくとも1つの駆動ユニット(241、242、243、244、245)の各々からの、前記第1の駆動モーター(341)からの前記ペース信号(p41)を、前記第2の駆動モーター(342)からの前記ペース信号(p42)と比較して、前記少なくとも1つの駆動ユニットの各々における前記回転速度のそれぞれの差を確立することと、その差がしきい値を超える場合、
アラーム(A)をトリガーすることと、を含む、方法。
【請求項10】
前記アラーム(A)に応答して、前記方法がさらに、
ペース信号(p41、p42)が前記アラーム(A)をトリガーした前記1つ以上の駆動ユニット(244)の各々に制御信号(C4)を送信することを含み、前記制御信号(C4)が、前記駆動ユニット(244)を前記駆動レール(230)から係合解除させるように構成されている、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記ペース信号(p11、p12;p21、p22;p31、p32;p41、p42;p51、p52)の大部分が、しきい値速度以下の回転速度を示している場合、第1の間隔の間、前記アラーム(A)を抑制することと、
前記ペース信号(p11、p12;p21、p22;p31、p32;p41、p42;p51、p52)の大部分が、前記しきい値速度を超える回転速度を示している場合、第2の間隔の間、前記アラーム(A)を抑制することと、を含む、請求項9または10に記載の方法。
【請求項12】
処理ユニット(223)に通信可能に接続された不揮発性データキャリア(225)にロード可能なコンピュータプログラム(227)であって、前記コンピュータプログラム(227)は、前記コンピュータプログラムが前記処理ユニット(223)上で実行されたときに請求項9~11のいずれか一項に記載の方法を実行するためのソフトウェアを含む、コンピュータプログラム(227)。
【請求項13】
請求項12に記載のコンピュータプログラム(227)を含む不揮発性データキャリア(225)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、搾乳されている間、動物が回転プラットフォーム上に配置される解決策に関する。特に、本発明は、回転式搾乳室装置の回転プラットフォームを制御するためのシステム、およびそのようなシステムで実施される方法に関する。本発明はまた、対応するコンピュータプログラム、およびそのようなコンピュータプログラムを記憶する不揮発性データキャリアに関する。
【背景技術】
【0002】
今日の自動搾乳装置は非常に複雑な設備である。特に、回転式搾乳室装置はそのような例の1つである。つまり、ここでは、多数の動物を乗せた非常に重いプラットフォームが回転しながら、搾乳機がその上にいる動物を搾乳する。プラットフォームを回転させるために、強力な電気モーターが必要とされる。例えば、現在プラットフォーム上にいる動物の搾乳特性に基づいて回転速度を調整するために、これらのモーターも非常に高い精度で制御可能でなければならない。さらに、事故や故障の場合には、プラットフォームの回転を即座に停止および/または逆転させることができなければならない。
【0003】
通常、1つ以上のフリクションドライブホイールがプラットフォームの下に配置され、このホイールがプラットフォームに垂直に作用してプラットフォームを回転させる。所望の制御のために、例えば、米国特許出願公開第2016/0278340号に記載されているように、統合ブレーキシステムも使用され得る。
【0004】
出願人は、駆動機構が、回転プラットフォームを回転させるために回転プラットフォームの下に配置された1つ以上の駆動ユニットに編成されることができ、各駆動ユニットが、互いに協力し合う第1および第2の駆動モーターを含む場合、システムの効率および信頼性を改善できることを発見した。ここで、第1の駆動モーターは、プラットフォームの駆動レールと係合し、駆動レールの片側に作用するように配置されている。第2の駆動モーターは、駆動レールの反対側に係合して作用するように配置されている。駆動レールに対する滑りを最小限に抑えるために、2つのモーターは互いに向かって連続的に押される。
【0005】
しかしながら、特定の駆動ユニットの駆動モーターの1つが誤って停止した場合、この静止した駆動モーターとまだ動作している駆動モーターとの間の摩擦により、プラットフォームが脱線する程度まで駆動レールが押し上げられるリスクがかなりある。もちろん、これはコストがかかり、かつ危険な結果につながる可能性がある。
【発明の概要】
【0006】
したがって、本発明の目的は、上記の問題を回避する設計を提供することである。また、本発明の目的は、誤動作しているプラットフォーム駆動機構の早期通知を提供することである。
【0007】
本発明の一態様によれば、目的は、回転式搾乳室装置を制御するためのシステムによって達成され、回転式搾乳室装置は、複数の区画を備えた回転プラットフォームを含み、複数の区画の各々は、搾乳中にそれぞれの動物を収容するように構成されている。システムはまた、少なくとも1つの駆動ユニットと、少なくとも1つの駆動ユニットの動作を制御するように構成された制御ユニットとを有する。少なくとも1つの駆動ユニットは、回転プラットフォームを回転点を中心に少なくとも第1の回転方向に移動させるように構成される。次に、少なくとも1つの駆動ユニットのそれぞれは、回転プラットフォームが該移動を実行するように、回転プラットフォームの駆動レールと係合し、駆動レールのそれぞれの側に作用するように配置された第1および第2の駆動モーターを含む。第1および第2の駆動モーターのそれぞれは、当該の駆動モーターの回転速度を示すそれぞれのペース信号を生成するように構成される。制御ユニットは、少なくとも1つの駆動ユニットの各々の第1および第2の駆動モーターの各々からペース信号を受信するように構成される。制御ユニットはさらに、少なくとも1つの駆動ユニットの各々からの、第1の駆動モーターからのペース信号を、第2の駆動モーターからのペース信号と比較して、回転速度のそれぞれの差を確立するように構成される。差がしきい値を超えると、制御ユニットはアラームをトリガーするように構成される。システムの現在の状態に応じて、アラームは異なる結果をもたらし得る。最初の対策として、アラームが発生した場合は、通常、少なくとも一時的にプラットフォームを停止させることが適切である。しかしながら、多くの場合、アラームに応じて適切な対策を講じれば、アラーム後もプラットフォームの動作を継続することができる。
【0008】
上記のシステムは、静止している駆動モーターを検出するだけでなく、その回転速度が駆動ユニットの相手方から過度に逸脱している誤動作している駆動モーターも特定するので、有利である。したがって、プラットフォームが脱線する全体的なリスクを大幅に減らすことができる。
【0009】
本発明のこの態様の一実施形態によれば、制御ユニットは、アラームに応答して、ペース信号がアラームをトリガーした各駆動ユニットに制御信号を送信するようにさらに構成される。制御信号は、その駆動ユニットを駆動レールから係合解除させるように構成される。したがって、システムにまだ機能している少なくとも1つの駆動ユニットが含まれている場合、システムはこの/これらの駆動ユニットに基づいて動作し続け得る。当然、これは、例えば、システムのアップタイムを考慮するなど、実用的な観点から望ましい。
【0010】
本発明のこの態様の別の実施形態によれば、各駆動ユニットは、制御信号に応答して、第1の駆動輪を第2の駆動輪から分離させることによって駆動ユニットを駆動レールから係合解除させるように構成されるアクチュエータを含む。好ましくは、アクチュエータは、第1および第2の駆動輪を互いに分離させるように配置された空気圧シリンダ、油圧シリンダ、および/または電気リニアモーターを含む。ここで、第1の駆動輪は、駆動レールの第1の側に配置され、駆動ユニット内の第1の駆動モーターによって操作され、第2の駆動輪は、駆動レールの第2の側に配置され、駆動ユニット内の第2の駆動モーターによって操作される。これにより、誤動作している駆動ユニットの係合解除を、非常に簡単に行うことができる。
【0011】
各駆動ユニットが、制御信号に応答して、第1の駆動輪が第2の駆動輪から適切に分離されたかどうかをチェックするように構成されるセンサーを有する場合にも有利である。これが事実であることが判明した場合、センサーは制御ユニットにリターン信号を送信するように構成される。リターン信号は、駆動レールからの駆動ユニットの係合解除の成功を確認する。その結果、制御ユニットは、当該の駆動ユニットが回転プラットフォームの継続的な動作にどのように影響を与え得るかについて通知される。
【0012】
本発明のこの態様のさらに別の実施形態によれば、各駆動ユニットは、係合モードにおいて、第1の駆動輪を駆動レールの第1の側に押し付け、第2の駆動輪を駆動レールの第2の側に押し付けるように構成される少なくとも1つのクランプ部材を含む。その結果、駆動レールに多少の凹凸があっても、駆動輪と駆動レールとの十分な接触が維持される。さらに、上記のアクチュエータを介した係合解除に関連してクランプ部材を解放することは簡単である。
【0013】
本発明のこの態様のさらなる実施形態によれば、各駆動ユニットは、第1および第2の駆動モーターの回転速度をそれぞれ示すペース信号を生成するように構成されたインジケータ-センサー装置を含む。インジケータ-センサー装置は、第1および第2の歯付き金属カラーを含む。第1の歯付き金属カラーは、第1の駆動モーターに機械的に連結され、第1の誘導センサーは、第1の歯付き金属カラーの動きを検出して第1のペース信号を生成するように構成される。第2の歯付き金属カラーは、第2の駆動モーターに機械的に連結され、第2の誘導センサーは、第2の歯付き金属カラーの動きを検出して第2のペース信号を生成するように構成される。設計は汚れと機械的影響の両方に耐性があるため、これは、駆動モーターの回転速度の確実な監視を提供する。
【0014】
好ましくは、第1の歯付き金属カラーは、第1の駆動輪と一緒に回転するように配置され、第2の歯付き金属カラーは、第2の駆動輪と一緒に回転するように配置される。したがって、ペース信号は、駆動レール上の駆動モーターの動作に直接リンクされている。
【0015】
本発明の別の態様によれば、目的は、回転式搾乳室装置を制御する方法によって達成され、回転式搾乳室装置は、複数の区画を備えた回転プラットフォームを含み、複数の区画の各々は、搾乳中にそれぞれの動物を収容するように構成されている。さらに、システムは、回転プラットフォームを回転点を中心に少なくとも第1の回転方向に移動させるように構成された少なくとも1つの駆動ユニットを含むと推定される。この方法は、少なくとも1つの駆動ユニットの動作を制御することを含む。さらに、少なくとも1つの駆動ユニットの各々は、回転プラットフォームの駆動レールと係合し、回転プラットフォームに該移動を実行させるように駆動レールのそれぞれの側に作用するように配置された第1および第2の駆動モーターを含むと推定される。第1および第2の駆動モーターのそれぞれは、当該の駆動モーターの回転速度を示すそれぞれのペース信号を生成するように構成される。この方法はさらに、各駆動ユニット内の該第1および第2の駆動モーターの各々からペース信号を受信することと、各駆動ユニットからの第1の駆動モーターからのペース信号を、第2の駆動モーターからのペース信号と比較して、該少なくとも1つの駆動ユニットの各々における回転速度のそれぞれの差を確立することと、差がしきい値を超えると、アラームをトリガーすることとを含む。この方法の利点、およびその好ましい実施形態は、システムに関する上記の議論から明らかである。
【0016】
本発明のさらなる態様によれば、目的は、処理ユニットに通信可能に接続された不揮発性データキャリアにロード可能なコンピュータプログラムによって達成される。コンピュータプログラムは、プログラムが処理ユニット上で実行されるときに上記の方法を実行するためのソフトウェアを含む。
【0017】
本発明の別の態様によれば、目的は、上記のコンピュータプログラムを含む不揮発性データキャリアによって達成される。
【0018】
本発明のさらなる利点、有益な特徴および用途は、以下の説明および従属請求項から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0019】
次に、本発明は、例として開示されている好ましい実施形態によって、および添付の図面を参照して、より詳細に説明される。
【0020】
図1】本発明の一実施形態による回転式搾乳室装置の回転プラットフォームを示す。
図2】本発明の一実施形態による回転プラットフォームを制御するためのシステムを示す。
図3a】本発明の一実施形態による駆動ユニットの概略図を示す。
図3b】本発明の一実施形態による駆動ユニットの概略図を示す。
図4】本発明の一実施形態による駆動部の斜視図を示す。
図5a】本発明の一実施形態によって、駆動ユニットがどのように係合解除されるかを概略的に示す。
図5b】本発明の一実施形態によって、駆動ユニットがどのように係合解除されるかを概略的に示す。
図6】本発明による一般的な方法をフローチャートで示す。
【発明を実施するための形態】
【0021】
図1には、回転式搾乳室装置の一部を形成する回転プラットフォーム130が示されている。この例では、回転プラットフォーム130は、18個の搾乳区画Sを有する。しかしながら、もちろん、本発明によれば、より多いまたはより少ない数の区画Sが考えられる。それにもかかわらず、各区画Sは、搾乳機によって搾乳されている間、それぞれの動物を収容するように構成されている。
【0022】
本発明によるシステムは、少なくとも1つの駆動ユニットおよび制御ユニット220を含む。図1は、5つの駆動ユニット、すなわち、それぞれ241、242、243、244、および245を示し、これらは、回転プラットフォーム130を、回転点Pを中心に回転の少なくとも第1の方向RFに移動させるように構成される。回転プラットフォーム130のサイズに応じて、駆動ユニットの数は、1から12までの任意のものであり得る。
【0023】
図3aおよび3bは、本発明の一実施形態による駆動ユニット244の概略図を示している。図3aは、回転プラットフォーム130が第1の方向RF、例えば前方に移動させられる、駆動ユニット244の動作を示している。図3bは、回転プラットフォーム130が第2の方向RB、例えば後方に移動させられる駆動ユニット244の動作を示している。各駆動ユニットは、回転プラットフォーム130の駆動レール230と係合するように配置された第1および第2の駆動モーター341および342を含み、この駆動レール230は、好ましくは回転プラットフォーム130の下に配置され、回転プラットフォーム130の円形輪郭に従う。駆動ユニットは、回転プラットフォーム130にその移動を実行させるように、駆動レール230のそれぞれの側に作用する。各駆動ユニット241、242、243、244および245の第1および第2の駆動モーター341および341の各々は、当該の駆動モーターの回転速度を示すそれぞれのペース信号p11、p12;p21、p22;p31、p32;p41、p42およびp51、p52を生成するように構成される。
【0024】
制御ユニット220は、駆動ユニット241、242、243、244および245の動作を制御するように構成される。とりわけ、これは、制御ユニット220が、各駆動ユニット241、242、243、244および245の第1および第2の駆動モーター341および342の各々からペース信号p11、p12;p21、p22;p31、p32;p41、p42およびp51、p52を受信するように構成されていることを意味する。制御ユニット220はさらに、各駆動ユニット241、242、243、244、および245からの、第1の駆動モーター341からのペース信号p41を、第2の駆動モーター342からのペース信号p42と比較して、該少なくとも1つの駆動ユニットの各々における回転速度のそれぞれの差を確立するように構成される。差がしきい値を超える場合、制御ユニット220は、アラームAをトリガーするように構成される。アラームAは、操作者に警告するように適合された音響および/または光学信号の形で表現され得る。代替的または追加的に、アラームはまた、無線でまたはケーブルによって監視ユニットに送信される信号によって表され得、そこでは、ユーザに通知を提供するように、および/または自動記録手段、例えばデータログに登録されるように構成される。
【0025】
アラームAに応答して、制御ユニット220は、好ましくは、アラームAを生成させた問題を克服するための措置が講じられるまで、少なくとも一時的に、プラットフォーム130を停止させるように構成される。アラームAに応答して、制御ユニット220は、好ましくは、ペース信号がアラームAをトリガーした各駆動ユニットに制御信号を送信するようにさらに構成される。したがって、それが、アラームをトリガーした駆動ユニット244からのペース信号p41およびp42だとすると、制御ユニット220は、制御信号C4をこの駆動ユニット244に送信する。制御信号C4は、駆動ユニット244を駆動レール230から係合解除させるように構成される。
【0026】
ここで図4も参照すると、駆動ユニット244は、例えば、アクチュエータ410を含むことができ、アクチュエータ410は、制御信号C4に応答して、第1の駆動輪351を第2の駆動輪352から分離させることによって駆動ユニット244を駆動レール230から係合解除させるように構成される。次に、アクチュエータ410は、第1および第2の駆動輪351および352を互いに分離させるように配置された空気圧シリンダ、油圧シリンダ、および/または電気リニアモーターを含み得る。
【0027】
第1の駆動輪351は、駆動レール230の第1の側、例えば、駆動レール230によって形成される円形ループの内側に配置される。第1の駆動輪351は、駆動ユニット244内の第1の駆動モーター341によって操作される。第2の駆動輪352は、駆動レール230の第2の側、例えば円形ループの外側に配置され、駆動ユニット244内の第2の駆動モーター342によって操作される。
【0028】
好ましくは、駆動ユニット244は、少なくとも1つのクランプ部材を含み、クランプ部材は、係合モードにおいて、第1の駆動輪351を駆動レール230の第1の側に押し付け、第2の駆動輪352を駆動レール230の第2の側に押し付ける。図4に示される本発明の実施形態は、それぞれ2つのクランプ部材421および422を有し、これらは、らせんばねおよび/または板ばねなどの弾性要素によって表すことができる。したがって、実際には、アクチュエータ410が不活性化されるといつでも、クランプ部材421および422は、駆動輪351および352を駆動レール230に向かって押し、その結果、駆動輪351および352は、駆動輪と係合し、プラットフォーム130を回転させ得る。図5aおよび5bは、この機能を示しており、アクチュエータ410の作動の結果、軸Rを中心とする回転によって、それぞれ、モーターおよび駆動輪装置341/351および342/352全体が互いから離れるように旋回させられる。
【0029】
本発明の一実施形態によれば、駆動ユニット244は、制御信号C4に応答して、第1の駆動輪351が第2の駆動輪352から適切に分離されたかどうかをチェックするように構成される少なくとも1つのセンサーを含む。第1の駆動輪351が実際に第2の駆動輪352から適切に分離されたことが判明した場合、少なくとも1つのセンサーは、制御ユニット220にリターン信号(図示せず)を送信するように構成される。リターン信号は、駆動レール230からの駆動ユニット244の係合解除の成功を確認する。これにより、制御ユニット220は、駆動ユニット244が回転プラットフォーム130の継続的な動作にどの程度影響を及ぼし得るかについて通知される。例えば、システムに比較的多数の駆動ユニットが含まれている場合、特に関係する駆動ユニットが互いに隣接していない場合は、システムの全体的な機能に大きな影響を与えることなく、これらの駆動ユニットのうちの1つまたは2つを係合解除させることができる。しかしながら、システム内の元の数の駆動ユニットが比較的少ない場合、例えば4未満である場合、通常、すべての駆動ユニットより少ない数がアクティブである状態で回転プラットフォーム130を操作し続けることは不可能である。すなわち、回転プラットフォーム130を推進することに加えて、駆動ユニットはまた、好ましくは、回転点Pを中心に安定した回転を維持するように配置される。アクティブな駆動ユニットの分布が不均衡になりすぎると、固定回転点を中心とするそのような安定した回転を確実にすることが困難または不可能になり得る。
【0030】
もちろん、誤動作している駆動ユニットの係合解除が失敗した場合、回転プラットフォーム130は動作し続けることができない。したがって、制御ユニット220は、制御信号C4を送信した後、特定の間隔内にリターン信号を受信しない場合、制御ユニット220は、回転プラットフォーム130を停止させるように構成される。
【0031】
ここで図4に戻ると、本発明の一実施形態によれば、各駆動ユニット244は、駆動ユニット244内の第1および第2の駆動モーター341および342の回転速度をそれぞれ示すペース信号p41およびp42を生成するように構成されるインジケータ-センサー装置を有する。インジケータ-センサー装置は、第1および第2の歯付き金属カラー461および462をそれぞれ含む。
【0032】
第1の歯付き金属カラー461は、例えば、第1の駆動輪351と一緒に回転するように配置されることによって、第1の駆動モーター341に機械的に連結されている。第1の誘導センサー471は、第1の歯付き金属カラー461の動きを検出し、それに応答して第1のペース信号p41を生成するように構成される。同様に、第2の歯付き金属カラー462は、例えば、第2の駆動輪352と一緒に回転するように配置されることによって、第2の駆動モーター342に機械的に連結されている。第2の誘導センサー472は、第2の歯付き金属カラー462の動きを検出して第2のペース信号p42を生成するように構成される。第1および第2の歯付き金属カラー461および462は、好ましくは、歯幅と歯間隔との間の関係が50対50~25対75の範囲、好ましくは約1/3~2/3にあるように設計される。
【0033】
制御ユニット220が、コンピュータプログラム227を実行することによって自動的に上記の手順を実行するように構成されている場合、一般に有利である。したがって、制御ユニット220は、コンピュータプログラム227を記憶するメモリユニット225、すなわち、不揮発性データキャリアを含み得、コンピュータプログラム227は、コンピュータプログラム227が少なくとも1つのプロセッサ223において動作させられたとき、中央制御ユニット220における少なくとも1つのプロセッサ223の形態の処理回路に前述の動作を実行させるためのソフトウェアを含む。
【0034】
要約するために、そして図6の流れ図を参照して、ここで、回転式搾乳室の回転プラットフォームを制御する本発明による一般的な方法を説明する。
【0035】
第1のステップ610において、ペース信号は、各駆動ユニットの各駆動モーターから受信される。したがって、例えば駆動ユニットが4つある場合、合計8つのペース信号が受信される。
【0036】
次に、ステップ620において、第1の駆動モーターからのペース信号が、各駆動ユニットからの第2の駆動モーターからのペース信号と比較されて、各駆動ユニットの回転速度のそれぞれの差が確立される。
【0037】
後続のステップ630において、差がしきい値を超えているかどうかがチェックされ、超えている場合、ステップ640が続く。そうでなければ、手順はステップ610に戻る。
【0038】
ステップ640において、アラームがトリガーされ、これは、少なくとも1つの駆動ユニットの機能上の問題を示す。好ましくは、アラームは、アラームをトリガーした駆動ユニットも指定する。
【0039】
本発明の好ましい実施形態では、ステップ650は、ステップ640の後に続く。ステップ650において、アラームに応答して、制御信号が、アラームをトリガーした各駆動ユニットに送信され、この制御信号は、当該の駆動ユニットが回転プラットフォームの駆動レールから係合解除されるという結果を生じるように構成される。したがって、回転式搾乳室は、例えば動物の回転プラットフォームを空にしている間、少なくとも一時的に操作し続けることができる。
【0040】
ステップ640または650の後、手順はステップ610に戻る。
【0041】
図6を参照して説明したすべてのプロセスステップ、およびステップのサブシーケンスは、プログラムされたプロセッサを使用して制御され得る。さらに、図面を参照して上記で説明した本発明の実施形態は、プロセッサおよび少なくとも1つのプロセッサで実行されるプロセスを含むが、したがって、本発明は、コンピュータプログラム、特に、本発明を実用化するために適合されたキャリア上またはキャリア内のコンピュータプログラムにまで拡張する。プログラムは、ソースコード、オブジェクトコード、コード中間ソースおよびオブジェクトコードの形式、例えば部分的にコンパイルされた形式、または本発明によるプロセスの実施に使用するのに適した他の任意の形式であり得る。プログラムは、オペレーティングシステムの一部であるか、別のアプリケーションであり得る。キャリアは、プログラムを実行できる任意のエンティティまたはデバイスであり得る。例えば、キャリアは、フラッシュメモリ、ROM(読み取り専用メモリ)、例えばDVD(デジタルビデオ/汎用ディスク)、CD(コンパクトディスク)、または半導体ROM、EPROM(消去可能プログラム可能読み取り専用メモリ)、EEPROM(電気的に消去可能プログラム可能読み取り専用メモリ)、または磁気記録媒体、例えばフロッピーディスクやハードディスク、などの記憶媒体を含むことができる。さらに、キャリアは、電気または光ケーブルを介して、または無線または他の手段によって伝達され得る、電気または光信号などの伝達可能なキャリアであり得る。プログラムが、ケーブルまたは他のデバイスまたは手段によって直接伝達され得る信号で具体化される場合、キャリアは、そのようなケーブルまたはデバイスまたは手段によって構成され得る。あるいは、キャリアは、プログラムが埋め込まれている集積回路であり得、集積回路は、関連するプロセスを実行するために、またはその実行において使用するために適合されている。
【0042】
この明細書で使用される「含む/含んでいる」という用語は、記載された特徴、整数、ステップ、またはコンポーネントの存在を記述するために使用される。ただし、この用語は、1つ以上の追加の特徴、整数、ステップ、コンポーネント、またはそれらのグループの存在または追加を排除するものではない。
【0043】
本発明は、図に記載された実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲内で自由に変更され得る。
図1
図2
図3a
図3b
図4
図5a
図5b
図6
【国際調査報告】