(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-11-30
(54)【発明の名称】亜鉛活性化チムリンおよび調製方法および投与方法
(51)【国際特許分類】
A61K 38/08 20190101AFI20221122BHJP
A61K 33/30 20060101ALI20221122BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20221122BHJP
A61P 37/04 20060101ALI20221122BHJP
A61P 31/12 20060101ALI20221122BHJP
A61P 31/10 20060101ALI20221122BHJP
A61P 31/04 20060101ALI20221122BHJP
A61P 33/00 20060101ALI20221122BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20221122BHJP
C07K 7/06 20060101ALI20221122BHJP
C07K 14/575 20060101ALN20221122BHJP
C12N 15/16 20060101ALN20221122BHJP
【FI】
A61K38/08
A61K33/30
A61P35/00
A61P37/04
A61P31/12
A61P31/10
A61P31/04
A61P33/00
A61P43/00 121
C07K7/06
C07K14/575
C12N15/16
【審査請求】有
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2022509641
(86)(22)【出願日】2020-08-14
(85)【翻訳文提出日】2022-04-14
(86)【国際出願番号】 US2020046380
(87)【国際公開番号】W WO2021030689
(87)【国際公開日】2021-02-18
(32)【優先日】2019-08-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522058039
【氏名又は名称】サイトリフ セラピューティクス エルエルシー
【氏名又は名称原語表記】CYTOLYF THERAPEUTICS LLC
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100142907
【氏名又は名称】本田 淳
(74)【代理人】
【識別番号】100152489
【氏名又は名称】中村 美樹
(72)【発明者】
【氏名】プラサード、アナンダ
(72)【発明者】
【氏名】ヴァルギース、ロイ
(72)【発明者】
【氏名】バード、フィリップ
(72)【発明者】
【氏名】クレイトン、チャールズ
【テーマコード(参考)】
4C084
4C086
4H045
【Fターム(参考)】
4C084AA02
4C084AA03
4C084BA01
4C084BA08
4C084BA17
4C084BA23
4C084BA31
4C084CA18
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4C084CA21
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4C084MA02
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4C084NA14
4C084ZB09
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4C084ZB35
4C084ZB37
4C084ZC75
4C086AA01
4C086AA02
4C086HA03
4C086HA20
4C086HA21
4C086HA24
4C086HA28
4C086MA02
4C086MA04
4C086NA14
4C086ZB09
4C086ZB27
4C086ZB32
4C086ZB33
4C086ZB35
4C086ZB37
4C086ZC75
4H045BA15
4H045BA16
4H045CA40
4H045EA20
4H045EA22
4H045EA28
4H045EA29
4H045FA33
4H045FA71
(57)【要約】
本発明の実施形態は、一般に、活性化チムリンの合成およびその用途のカテゴリに分類される。経口的または非経口的に送達される実施形態は、細胞傷害性T細胞を活性化すること、ヘルパーT1細胞の生成を増加させること、および/またはインターロイキン2の産生を増強することにより、悪性腫瘍および免疫系機能不全を治療するために使用される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
チムリン、亜鉛、および1つ以上の薬学的に許容される賦形剤を含む医薬組成物。
【請求項2】
in vivoで組み合わされたチムリン、亜鉛、および1つ以上の薬学的に許容される賦形剤を含む医薬組成物。
【請求項3】
ex vivoで組み合わされたチムリン、亜鉛、および1つ以上の薬学的に許容される賦形剤を含む医薬組成物。
【請求項4】
前記チムリンは、アミノ酸配列Glu-Ala-Lys-Ser-Gln-Gly-Gly-SerAsn-OHを使用して配列決定および合成される請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項5】
前記チムリンは、アミノ酸配列H-Pyr-Glu-Ala-Lys-Ser-Gln-Gly-Gly-SerAsn-OHを使用して配列決定および合成される請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項6】
前記チムリンは、アミノ酸配列Pyro-Glu-Ala-Lys-Ser-GIn-GlyGly-Ser-Asnを使用して配列決定および合成される請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項7】
前記チムリンは、アミノ酸配列H-Pyr-Ala-Lys-Ser-Gln-Gly-Gly-Ser-Asn-OHを使用して配列決定および合成される請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項8】
前記チムリンは、アミノ酸配列Pyr-Ala-Lys-Ser-GIn-Gly-Gly-Ser-Asn-OHを使用して配列決定および合成される請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項9】
胸腺上皮細胞によって生成されるチムリンは、ヒト血漿から生物学的に抽出される請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項10】
前記チムリンは、ブタ血清から生物学的に抽出される請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項11】
前記チムリンは、ウシ血清から生物学的に抽出される請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項12】
前記チムリンは、チムリンの合成ペプチド類似体である請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項13】
前記亜鉛は、酢酸亜鉛、塩化亜鉛、硫酸亜鉛、モノメチオニン亜鉛、ピコリン酸亜鉛、グルコン酸亜鉛、アスパラギン酸亜鉛、クエン酸亜鉛、オロチン酸亜鉛、グリシン酸亜鉛、酸化亜鉛、およびそれらの混合物からなる群から選択される少なくとも1つである請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項14】
前記亜鉛は、塩化亜鉛である請求項13に記載の医薬組成物。
【請求項15】
前記亜鉛は、約10mg~約200mgの範囲の量で存在する請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項16】
前記亜鉛は、約15~100マイクロモーラー亜鉛の範囲の量で存在する請求項1のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項17】
前記亜鉛は、約30mgの量で存在する請求項15に記載の医薬組成物。
【請求項18】
前記亜鉛は、約50mgの量で存在する請求項15に記載の医薬組成物。
【請求項19】
前記亜鉛は、約15マイクロモーラー亜鉛の量で存在する請求項16に記載の医薬組成物。
【請求項20】
前記亜鉛は、約20マイクロモーラー亜鉛の量で存在する請求項16に記載の医薬組成物。
【請求項21】
前記亜鉛は、約30マイクロモーラー亜鉛の量で存在する請求項16に記載の医薬組成物。
【請求項22】
前記亜鉛は、約45マイクロモーラー亜鉛の量で存在する請求項16に記載の医薬組成物。
【請求項23】
約10mg~約200mgの亜鉛;
アミノ酸配列Glu-Ala-Lys-Ser-Gln-Gly-Gly-SerAsn-OHを使用して配列決定および合成されたチムリン;および、
薬学的に許容される賦形剤
をさらに含む請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項24】
約10mg~約200mgの亜鉛;
アミノ酸配列H-Pyr-Glu-Ala-Lys-Ser-Gln-Gly-Gly-SerAsn-OHを使用して配列決定および合成されたチムリン;および、
薬学的に許容される賦形剤
をさらに含む請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項25】
約10mg~約200mgの亜鉛;
アミノ酸配列Pyro-Glu-Ala-Lys-Ser-GIn-GlyGly-Ser-Asnを使用して配列決定および合成されたチムリン;および、
薬学的に許容される賦形剤
をさらに含む請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項26】
約10mg~約200mgの亜鉛;
アミノ酸配列H-Pyr-Ala-Lys-Ser-Gln-Gly-Gly-Ser-Asn-OHを使用して配列決定および合成されたチムリン;および、
薬学的に許容される賦形剤
をさらに含む請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項27】
約10mg~約200mgの亜鉛;
アミノ酸配列Pyr-Ala-Lys-Ser-GIn-Gly-Gly-Ser-Asn-OHを使用して配列決定および合成されたチムリン;および、
薬学的に許容される賦形剤
をさらに含む請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項28】
約10mg~約200mgの亜鉛;
チムリンの合成ペプチド類似体;および、
薬学的に許容される賦形剤
をさらに含む請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項29】
約15~45マイクロモーラーの亜鉛;
アミノ酸配列Glu-Ala-Lys-Ser-Gln-Gly-Gly-SerAsn-OHを使用して配列決定および合成されたチムリン;および、
薬学的に許容される賦形剤
をさらに含む請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項30】
約15~45マイクロモーラーの亜鉛;
アミノ酸配列H-Pyr-Glu-Ala-Lys-Ser-Gln-Gly-Gly-SerAsn-OHを使用して配列決定および合成されたチムリン;および、
薬学的に許容される賦形剤
をさらに含む請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項31】
約15~45マイクロモーラーの亜鉛;
アミノ酸配列Pyro-Glu-Ala-Lys-Ser-GIn-GlyGly-Ser-Asnを使用して配列決定および合成されたチムリン;および、
薬学的に許容される賦形剤
をさらに含む請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項32】
約15~45マイクロモーラーの亜鉛;
前記アミノ酸配列H-Pyr-Ala-Lys-Ser-Gln-Gly-Gly-Ser-Asn-OHを使用して配列決定および合成されたチムリン;および、
薬学的に許容される賦形剤
をさらに含む請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項33】
約15~45マイクロモーラーの亜鉛;
前記アミノ酸配列Pyr-Ala-Lys-Ser-GIn-Gly-Gly-Ser-Asn-OHを使用して配列決定および合成されたチムリン;および、
薬学的に許容される賦形剤
をさらに含む請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項34】
約15~45マイクロモーラーの亜鉛;
生物学的に抽出されるヒトチムリン;および、
薬学的に許容される賦形剤
をさらに含む請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項35】
約15~45マイクロモーラーの亜鉛;
生物学的に抽出されるブタチムリン;および、
薬学的に許容される賦形剤
をさらに含む請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項36】
約15~45マイクロモーラーの亜鉛;
生物学的に抽出されるウシチムリン;および、
薬学的に許容される賦形剤
をさらに含む請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項37】
等モル濃度の亜鉛およびチムリン;および、
薬学的に許容される賦形剤
をさらに含む請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項38】
等モル濃度の亜鉛および合成チムリン;および、
薬学的に許容される賦形剤
をさらに含む請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項39】
等モル濃度の亜鉛および天然チムリン;および、
薬学的に許容される賦形剤
をさらに含む請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項40】
約15~45マイクロモーラーの亜鉛;
等モル濃度のアミノ酸配列Glu-Ala-Lys-Ser-Gln-Gly-Gly-SerAsn-OHを使用して配列決定および合成されたチムリン;および、
薬学的に許容される賦形剤
をさらに含む請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項41】
約15~45マイクロモーラーの亜鉛;
等モル濃度の前記アミノ酸配列H-Pyr-Glu-Ala-Lys-Ser-Gln-Gly-Gly-SerAsn-OHを使用して配列決定および合成されたチムリン;および、
薬学的に許容される賦形剤
をさらに含む請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項42】
約15~45マイクロモーラーの亜鉛;
等モル濃度の前記アミノ酸配列Pyro-Glu-Ala-Lys-Ser-GIn-GlyGly-Ser-Asnを使用して配列決定および合成されたチムリン;および、
薬学的に許容される賦形剤
をさらに含む請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項43】
約15~45マイクロモーラーの亜鉛;
等モル濃度の前記アミノ酸配列H-Pyr-Ala-Lys-Ser-Gln-Gly-Gly-Ser-Asn-OHを使用して配列決定および合成されたチムリン;および、
薬学的に許容される賦形剤
をさらに含む請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項44】
約15~45マイクロモーラーの亜鉛;
等モル濃度の前記アミノ酸配列Pyr-Ala-Lys-Ser-GIn-Gly-Gly-Ser-Asn-OHを使用して配列決定および合成されたチムリン;および、
薬学的に許容される賦形剤
をさらに含む請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項45】
約15~45マイクロモーラーの亜鉛;
等モル濃度の生物学的に抽出されるヒトチムリン;および、
薬学的に許容される賦形剤
をさらに含む請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項46】
等分子比の亜鉛およびチムリン;および、
薬学的に許容される賦形剤
をさらに含む請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項47】
前記亜鉛は塩化亜鉛である請求項15に記載の医薬組成物。
【請求項48】
血清胸腺因子から調製されるチムリン溶液は、10ピコグラム/ミリリットル~4000ピコグラム/ミリリットルの範囲の量で対象に投与される請求項15に記載の医薬組成物。
【請求項49】
血清胸腺因子から調製されるチムリン溶液は、0.4mg/kg体重の量で対象に投与される請求項15に記載の医薬組成物。
【請求項50】
血清胸腺因子から調製されるチムリン溶液は、0.1~100μg/kgの範囲で対象に投与される請求項15に記載の医薬組成物。
【請求項51】
血清胸腺因子から調製されるチムリン溶液は、約5mg~20mgの範囲内で対象に投与される請求項15に記載の医薬組成物。
【請求項52】
血清胸腺因子から調製されるチムリン溶液は、対象に、前記対象の体重1kgあたり1.5mgの量で投与される請求項15に記載の医薬組成物。
【請求項53】
0.0001%~0.1%の重量/体積パーセントで存在する亜鉛およびチムリンをさらに含む請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項54】
0.001%~0.05%の重量/体積パーセントで存在する亜鉛およびチムリンをさらに含む請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項55】
約10mg~約200mgの亜鉛;
約5~20mgのチムリン;および、
薬学的に許容される賦形剤
をさらに含む請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項56】
約15マイクロモーラー~100マイクロモーラーの亜鉛;
約0.1mg/kg~10mg/kg体重のチムリン;および、
薬学的に許容される賦形剤
をさらに含む請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項57】
約30mgの亜鉛;
約0.4mg/kg体重のチムリン;および、
薬学的に許容される賦形剤
をさらに含む請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項58】
約15マイクロモーラーの亜鉛;
約0.4mg/kg体重のチムリン;および、
薬学的に許容される賦形剤
をさらに含む請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項59】
約15~20マイクロモーラーの亜鉛;および、
薬学的に許容される賦形剤
を含む医薬組成物。
【請求項60】
met-FTSをコードする合成DNA配列を発現する組み換えアデノウイルスベクター、RAd-metFTS(メチオニン-FTS);
血清胸腺因子(FTS)の類似体;および、
薬学的に許容される賦形剤
を含む医薬組成物。
【請求項61】
固体経口投与量は、カプセルまたは錠剤である請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項62】
前記医薬組成物は、粉末として製剤化される請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項63】
前記医薬組成物は、液体、懸濁液、注射可能な溶液、およびシロップからなる群から選択される少なくとも1つとして製剤化される請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項64】
前記医薬組成物は、製剤化されて、皮下投与を介して非経口的に投与される請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項65】
前記医薬組成物は、製剤化されて、静脈内投与を介して非経口的に投与される請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項66】
前記医薬組成物は、製剤化されて、筋肉内投与を介して非経口的に投与される請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項67】
前記医薬組成物は、製剤化されて、経皮投与を介して投与される請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項68】
前記医薬組成物は、坐薬の形態で製剤化され、および投与される請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項69】
請求項1に記載の前記医薬組成物中の活性チムリンを測定および最適化する方法であって、
チムリンを提供すること;
亜鉛を提供すること;
少なくとも1つの薬学的に許容される賦形剤を提供すること;
前記チムリン、亜鉛および薬学的に許容される賦形剤を組み合わせて活性化チムリンを含む医薬組成物にすること;
前記医薬組成物を対象に投与すること;
少なくとも1つの血清サンプルを前記対象から回収すること;および、
チムリン、亜鉛、および前記薬学的に許容される賦形剤からなる群から選択される少なくとも1つを測定すること
を含む、前記方法。
【請求項70】
活性チムリンの存在は、蛍光X線を使用して原子レベルでチムリンに存在する亜鉛を検出することによって監視および最適化される請求項69に記載の方法。
【請求項71】
請求項72に記載の方法を介して、活性チムリンの存在を示すまで、亜鉛は前記組成物に添加される請求項70に記載の方法。
【請求項72】
亜鉛は、チムリンと等モル濃度で混合される請求項69に記載の方法。
【請求項73】
亜鉛は、チムリンと等分子比で混合される請求項69に記載の方法。
【請求項74】
チムリンは、抗体を使用して測定される請求項69に記載の方法。
【請求項75】
前記チムリンに添加されると、前記チムリン中の亜鉛の存在は、蛍光X線技術を使用して確認される請求項69に記載の方法。
【請求項76】
前記測定方法は、0.03~16ng・mL
-1の範囲内の前記組成物中のチムリンの存在を決定する酵素結合免疫吸着測定法(ELISA)キットである請求項69に記載の方法。
【請求項77】
前記測定方法は、チムリンに特異的な抗体を使用する前記組成物のラジオイムノアッセイである請求項69に記載の方法。
【請求項78】
前記測定方法は亜鉛の測定であり、原子吸光分光法によって達成される請求項69に記載の方法。
【請求項79】
請求項1に記載の医薬組成物を、それを必要とする対象に投与することを含む、その後細胞傷害性T細胞を活性化するインターロイキン2を産生するヘルパーT1細胞を生成する方法。
【請求項80】
免疫系機能不全または欠乏症に関連する慢性症状の治療、重症度の軽減、発生率の軽減、発症の遅延、再発の予防または病因の軽減のための、それらを必要とする対象に対して、請求項1に記載の医薬組成物を投与することを含む方法。
【請求項81】
前記慢性症状が癌である請求項80に記載の方法。
【請求項82】
前記癌は、膵臓癌、前立腺癌、乳癌、肺癌、結腸癌、子宮頸癌、卵巣癌、黒色腫、リンパ腫、リンパ腫および扁平上皮癌からなる群から選択される少なくとも1つである請求項81に記載の方法。
【請求項83】
持続性感染症の治療、重症度の軽減、発生率の軽減、発症の遅延、再発の予防または病因の軽減のための、それらを必要とする対象に対して、請求項1に記載の医薬組成物を投与することを含む方法。
【請求項84】
前記持続性感染症は、ウイルス感染症、細菌感染症、真菌感染症、および寄生虫感染症からなる群から選択される少なくとも1つである請求項83に記載の方法。
【請求項85】
前記ウイルス感染症は、肝炎ウイルス、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)、ヒトTリンパ好性ウイルス(HTLV)、ヘルペスウイルス、エプスタイン-バーウイルス、およびヒトパピローマウイルスからなる群から選択される少なくとも1つによる感染症である請求項84に記載の方法。
【請求項86】
細胞傷害性T細胞活性は、請求項1に記載の医薬組成物をそれを必要とする対象に投与することによって増加されることをさらに含む請求項79に記載の方法。
【請求項87】
前記細胞傷害性T細胞活性は、サイトカイン産生、T細胞増殖、および感染性病原体のクリアランスからなる群から選択される少なくとも1つである請求項86に記載の方法。
【請求項88】
前記感染性病原体は、ウイルス、細菌、真菌、マイコプラズマ、および寄生虫からなる群から選択される少なくとも1つである請求項87に記載の方法。
【請求項89】
前記T細胞は癌/腫瘍抗原特異的なT細胞である請求項87に記載の方法。
【請求項90】
前記サイトカインは、IFNγ、TNFα、またはIL-2からなる群から選択される少なくとも1つである請求項87に記載の方法。
【請求項91】
持続性感染症または癌を有するかまたは有するリスクがある対象を診断する方法であって、
(a)前記対象から血漿サンプルを獲得すること;
(b)前記サンプル中のチムリンの生物学的活性を測定すること;
を含み、
対照サンプルにおけるそのような活性と比較したチムリンの生物学的活性の減少は、前記対象が持続性感染症または癌を有するかまたは有するリスクがあることを特定する、
前記方法。
【請求項92】
持続性感染症または癌を有するかまたは有するリスクがある対象に対する治療を選択する方法であって、
(a)前記対象から血漿サンプルを獲得するステップ;
(b)前記サンプル中のチムリンの生物学的活性を測定するステップ;および、
(c)治療を必要とする前記対象に請求項1に記載の医薬組成物を投与することを含む、持続性感染症または癌を有するかまたはリスクがあると診断された前記対象に対する治療法を選択するステップ
を含む、前記方法。
【請求項93】
前記医薬組成物は、1日複数回投与される請求項69に記載の方法。
【請求項94】
前記医薬組成物は、1日1回投与される請求項69に記載の方法。
【請求項95】
前記医薬組成物は、2日ごとに、または3日ごとに投与される請求項69に記載の方法。
【請求項96】
チムリン;
亜鉛;および、
1つ以上の薬学的に許容される賦形剤
を含む医薬組成物であって、
前記チムリンおよび前記亜鉛は、各々が15μモーラー濃度で、前記1つ以上の薬学的に許容される賦形剤とともに溶液内で組み合わされ、得られた組成物は対象への非経口投与の好適である、前記医薬組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2019年8月15日に出願された、米国仮特許出願第62/886,995号に関連し、それは、参照によってその全体が本明細書に援用される。
【0002】
本発明の実施形態は、一般に、活性化チムリンの合成およびその用途のカテゴリに分類される。経口的または非経口的に送達される実施形態は、細胞傷害性T細胞を活性化すること、ヘルパーT1細胞の生成を増加させること、および/またはインターロイキン2の産生を増強することにより、悪性腫瘍および免疫系機能不全を治療するために使用される。
【背景技術】
【0003】
胸腺は、哺乳類の免疫系において重要な役割を果たす。これは、免疫担当Tリンパ球の産生のための主要な部位である。胸腺刺激ホルモン(Thymopoietic hormones)は、Tリンパ球マーカーの分化、発現、機能の原因である。胸腺ホルモンであるチムリンは、哺乳類において天然に存在する物質であり、合成的に作ることもできる。ヒトチムリンは、ブタおよびウシのチムリンと同じアミノ酸配列を有する。生物学的チムリンと同じ機能性を有するチムリンの合成品は、ヒトチムリンのアミノ酸配列を使用して生成された(最初の合成は、固相合成および古典的な溶液方法論で実行された)。
【0004】
最初の頃には胸腺血清因子(「facteur thymique serique」またはFTS)と呼ばれたチムリンは、いくつかのT細胞マーカーの発現を誘導し、T細胞の機能(同種異系細胞傷害性、サプレッサー機能およびIL-2産生を含む)を促進し、かつ、Tリンパ球分化の初期段階および後期段階の両方に作用するノナペプチドホルモンである。2種類のチムリンがあり、1つ目は不活性、2つ目は活性である。チムリンは、亜鉛がない場合は不活性であり、亜鉛が含まれている場合は活性である。したがって、チムリンは亜鉛が存在する場合にのみ生物学的に活性である。亜鉛は、特に、触媒、構造、制御という3つの主要な役割において、ヒトの健康に不可欠な微量元素である。生物中の亜鉛はレドックス不活性であり、1つの原子価状態すなわちZn+2を有する。生物学的に活性なチムリンに必要な1つの既知のチムリン:亜鉛比は1:1である。亜鉛は、アスパラギンの側鎖および2つのセリンのヒドロキシル基を介して1:1の化学量論でチムリンに結合する。動物およびヒトの両方において、in vitroおよびin vivoでのチムリン活性は血漿亜鉛濃度に依存するため、亜鉛摂取量または利用可能性のわずかな変化がチムリン活性に影響を及ぼす。これまでに収集された証拠により、チムリンは、胸腺上皮細胞によって分泌される前に亜鉛を取り込むことが示唆されている。
【0005】
T細胞の分化および成熟過程において生物学的に活性なチムリンが存在する必要があるため、生物学的に活性なチムリンは治療用途への可能性を有する。チムリンは、比較的高用量でさえ無毒であることがさらに知られている。生物学的に活性なチムリンは、正常または部分的に胸腺欠損のレシピエントにおいて、T細胞の分化を誘導し、様々なT細胞サブセットのいくつかの機能を増進することが示されている。チムリンは亜鉛欠乏患者の血清で検出可能であるが、それは活性ではない。亜鉛のペプチドへの結合は、チムリンの活性型を生成するコンフォメーション変化につながる。
図01は、亜鉛-チムリン結合構造の概略図を示す。
【0006】
低レベルのチムリン活性は、自己免疫疾患および他の慢性疾患などの他の症状において見られ得る。研究によって、亜鉛欠乏の対象においては、利用可能な循環血漿亜鉛が活性チムリンを生成できなかったことが示されている。したがって、活性チムリンを形成するためには、最適なレベルの血清亜鉛が必要である。活性チムリンおよび亜鉛の投与は、少数の免疫不全のヒト対象において非常に有用な役割を果たし得ると考えられている。
【0007】
末梢神経系および/または中枢神経系において、チムリンが疾患における炎症誘発性サイトカインを調節することができるという証拠があり、抗炎症薬としての使用の可能性を示唆している。チムリンはまた、下垂体で活性であることが知られる。
【0008】
さらに、臨床研究は、亜鉛血漿欠乏症が特定の腫瘍学的環境に存在することを示唆している。特に、亜鉛血漿欠乏症は、急性リンパ芽球性白血病患者において発症時および再発時に観察された。そのような欠乏症は、胸腺によるほぼ正常な産生にもかかわらず、チムリンの活性の低下を引き起こすことが知られる。疾患の様々な段階において、亜鉛または活性チムリンと末梢免疫学的パラメータ(フィトヘモグルチニン(phytohemogglutinin)[PHA]およびコンカナバリンA[ConA])との間に正の相関が存在することは、末梢免疫機能の乱れ、胸腺ホルモン活性、および亜鉛不全の間の関連を示唆する。
【0009】
したがって、研究によって、亜鉛はチムリンの生物学的活性に必要であること、生物学的に活性なチムリンはTリンパ球の成熟、IL-2産生および細胞傷害性を促進すること、および、免疫力が低下した対象は低レベルの生物学的活性チムリンを有することが示された。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
それでも、生物学的に活性なチムリンの利点を示す証拠にもかかわらず、生物学的に活性なチムリンの治療可能性を活用することにおいてほとんど進歩がなかった。特に、生物学的に活性なチムリンの投与量を体系的に生成、カスタマイズ、測定、監視、および最適化することはできていない。したがって、活性チムリンを調製および投与する方法が必要である。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の一実施形態は、チムリン、亜鉛、および1つ以上の薬学的に許容される賦形剤を含む医薬組成物である。
いくつかの実施形態において、本開示の医薬組成物は、合成的に生成された亜鉛が結合したチムリン分子を含む。いくつかの実施形態において、本開示の医薬組成物は、その後にex vivoおよびin vitroで亜鉛と結合される、合成的に生成されたチムリン分子を含む。
【0012】
別の態様において、本開示は、免疫系機能不全または欠乏症に関連する慢性症状の治療、重症度の軽減、発生率の軽減、発症の遅延、再発の予防または病因の軽減のための、それらを必要とする対象に対して、本明細書に開示される医薬組成物を投与することを含む方法を提供する。
【0013】
いくつかの実施形態において、本開示の医薬組成物は、合成的に生成された亜鉛が結合したチムリン分子を含む。いくつかの実施形態において、本開示の医薬組成物は、その後にex vivoおよびin vitroで亜鉛と結合される、合成的に生成されたチムリン分子を含む。
【0014】
いくつかの実施形態において、本開示の医薬組成物は、その後にex vivoおよびin vitroで亜鉛と結合される、ヒト血漿から抽出された生物学的なチムリン分子を含む。
【0015】
いくつかの実施形態において、本開示の医薬組成物は、その後にex vivoおよびin vitroで亜鉛と結合される、ブタ血漿から抽出された生物学的なチムリン分子を含む。
【0016】
いくつかの実施形態において、本開示の医薬組成物は、その後にex vivoおよびin vitroで亜鉛と結合される、ウシ血漿から抽出された生物学的なチムリン分子を含む。
【0017】
いくつかの実施形態において、本開示の医薬組成物は、活性チムリンを生成するために、その後対象に投与される、亜鉛イオンを含む。
いくつかの実施形態において、本開示の医薬組成物は、活性チムリンを生成するために、その後対象に投与される、遺伝子操作されたチムリン類似体である。いくつかの実施形態において、医薬組成物は、非経口的に対象へ送達される。いくつかの実施形態において、医薬組成物は経口的に対象へ送達される。
【0018】
一態様において、本開示は、細胞傷害性T細胞をその後活性化するインターロイキン2を生成するヘルパーT1細胞を生成する方法を提供し、その方法はそれを必要とする対象に本明細書で開示される医薬組成物を投与することを含む。
【0019】
別の態様において、本開示は、met-FTSをコードする合成DNA配列を発現する組み換えアデノウイルスベクター、RAd-metFTS(メチオニン-FTS);血清胸腺因子(FTS)の生物学的に活性な類似体(この枠組みにおいて、metFTSは異なるアデノウイルスベクターに構築およびクローニングされる);および、薬学的に許容される賦形剤を含む医薬組成物を提供する。
【0020】
さらなる本発明の目的は、合成または生物学的形態のチムリンに亜鉛を添加することにより、ex vivoおよびin vitroで生物学的に活性なチムリン組成物を生成することである。
【0021】
本発明のさらに別の目的は、分子レベルの分析が可能なものを含む1つ以上の測定技術を使用してex vivoおよびin vitroで医薬組成物中のチムリンの生物学的活性を確認することである。
【0022】
さらに別の態様において、本発明の目的は、本明細書に開示された組成物を、経口および非経口投与により対象に送達することである。
本発明の別の目的は、投与量および送達を調節および最適化するように、T細胞活性などのバイオマーカーを用いて、対象における本明細書に開示された組成物の治療有効性を継続的に監視することである。
【0023】
別の態様において、本発明の目的は、その後機能不全または悪性腫瘍の緩和に寄与する細胞障害性T細胞を活性化することによって、悪性腫瘍及び免疫系機能不全を治療することである。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】亜鉛-チムリン結合構造の一例示的なダイアグラムを示す図。
【発明を実施するための形態】
【0025】
特に定義されない限り、本明細書で使用されるすべての技術的および科学的用語は、当業者によって一般的に理解される意味を有する。矛盾がある場合は、定義を含み、本開示が優先する。
【0026】
上記で使用され、記載全体を通して、以下の用語は、特に明記されない限り、以下の意味を有すると理解されるものとする。
本明細書に使用されるとき、「a」(または「an」)、「1つ以上の」および「少なくとも1つの」は、互換的に使用でき、存在する物の1つ以上を指すことができる。例えば、少なくとも1つの賦形剤は、1つ以上の賦形剤を指す。
【0027】
本明細書に使用されるとき、「医薬組成物」は、「1つ以上の医薬組成物」を指す。
本明細書に使用されるとき、「約」は、所与の値または範囲の10%以内、5%以内など、およびさらに2.5%以内などを意味する。用語「約」が数値範囲と組み合わせて使用される場合、それは、示された数値の上下の境界を拡張することによってその範囲を変更する。用語「約」はまた、製造プロセスでの調製および組成に反映される妥当な許容誤差および変動を示し得る。
【0028】
本明細書に使用されるとき、「有効成分」は、生物学的に活性である医薬組成物内の成分である(すなわち、細胞、組織、器官、または生物の化学的または生理学的機能を変える)。チムリンの場合、「活性チムリン」は、亜鉛の供給源および/または追加のイオン、化合物、酵素、ペプチド、小分子などの存在に関係なく、チムリンが生物学的効果を生み出すことができるようにするのに十分な、亜鉛と結合するチムリンである。
【0029】
本明細書に使用されるとき、「薬学的に許容される賦形剤」は、前記医薬組成物を調製するのに有用な有効成分以外の医薬組成物中の機能性または非機能性成分である。「薬学的に許容される賦形剤」は、一般的に安全で、哺乳類の薬学的使用に許容される。
【0030】
本明細書に使用されるとき、「崩壊剤」は、医薬組成物を水和し、医薬組成物(例えば、錠剤)の崩壊または分解を容易にする、薬学的に許容される賦形剤である。
本明細書に使用されるとき、「希釈剤」または「充填剤」は、有効成分を希釈し、かつ、医薬組成物にかさ高性を加える賦形剤である。例えば、希釈剤または充填剤は、有効成分を安定化するか、または圧縮を容易にし得る。
【0031】
本明細書に使用されるとき、「界面活性剤」は、が増進した医薬組成物に増進した溶解性および/または湿潤性を付与する賦形剤である。
本明細書に使用されるとき、「結合剤」は、医薬組成物に凝集性又は引張強度(例えば、硬度)を付与する薬学的に許容される賦形剤である。
【0032】
本明細書に使用されるとき、「滑剤」とは、医薬組成物に増進された流動特性を付与し、それによって処理中の付着又は摩擦を防止、低減、又は抑制する、薬学的に許容される賦形剤である。
【0033】
本明細書に使用されるとき、「潤滑剤」は、有効成分が一緒に固まり、製造装置に張り付くことを防止することによって、医薬組成物に改善された圧密および排出特性を付与する、薬学的に許容される賦形剤である。
【0034】
本明細書に使用されるとき、「カプセル化機械」は、カプセル充填を容易にするために使用され得る任意の機械又は装置の一部を指す。カプセル化機械は、自動、半自動、または手動であってよい。
【0035】
本明細書に使用されるとき、「打錠機」は、錠剤の製造を容易にするために使用され得る任意の機械または装置の一部を指す。打錠機は、自動、半自動、または手動であってよい。
【0036】
本明細書に使用されるとき、「%w/w」は、医薬組成物中の成分の重量%を指す。例えば、5%w/wは、成分の重量が医薬組成物の総重量の5%であることを意味する。医薬組成物の総重量は、成分の重量を含む。
【0037】
本明細書に使用されるとき、「%w/v」は、医薬組成物中の成分の重量/体積パーセントを指す。例えば、5%w/vは、成分の重量が医薬組成物の総体積の5%であることを意味する。医薬組成物の総重量は、成分の重量を含む。
【0038】
本明細書に使用されるとき、「1日投与量」は、医薬組成物の形態で消費される有効成分の総量を指す。本明細書で使用されるとき、有効成分の1日投与量は、通常の摂食行動(すなわち、有効成分の食餌源)を介して消費される有効成分を含まない。
【0039】
本明細書に使用されるとき、「免疫系機能不全」は、病原体、ウイルス、細菌、異物、および変異した細胞に対する体の免疫応答の弱体化を指す。
本明細書に使用されるとき、「悪性腫瘍」は、「異常な細胞が制御なしに分裂し、近くの組織に侵入し得る疾患」を指す。悪性細胞はまた、血液系およびリンパ系を介して体の他の部分に広がり得る。悪性腫瘍には主にいくつかの種類がある。癌腫は、皮膚において、または内臓を裏打ちまたは覆う組織において生じる悪性腫瘍である。肉腫は、骨、軟骨、脂肪、筋肉、血管、またはその他の結合組織または支持組織で生じる悪性腫瘍である。白血病は、骨髄など造血組織で発生する悪性腫瘍であり、異常な血球が大量に生成されて血液に入る。リンパ腫および骨髄腫は、免疫系の細胞から生じる悪性腫瘍である。中枢神経系の癌は、脳および脊髄の組織で生じる悪性腫瘍である。
【0040】
本明細書に使用されるとき、「ヘルパーT1細胞」は、T細胞の分化した集団を指す。それらは、細胞を冒す細菌およびウイルスに対する免疫応答にとって重要である。それらは、インターフェロンガンマとして知られている炎症誘発性分子の産生によって特徴付けられる。ナイーブCD4 T細胞を、主要な転写因子T-bet、GATA3、およびRORγtの発現によってそれぞれ定義される、エフェクターT細胞の機能的に異なるサブセット(ヘルパーT1(TH1)、TH2、およびTH17)に分化させることにより、適応免疫応答は、異なる種類の病原体に調整される。
【0041】
本明細書に使用されるとき、「インターロイキン-2」は、白血球(leukocytes(white blood cells))または体内の他の細胞によって作られる関連タンパク質のグループの1つを指す。インターロイキン-2はTリンパ球の一種によって作られる。それは他のTリンパ球およびBリンパ球の成長および活動を増加させ、免疫系の発達に影響を与える。
【0042】
本明細書に使用されるとき、「細胞傷害性T細胞」は、外来細胞、癌細胞、およびウイルスに感染した細胞を含む、特定の細胞を殺傷することができる免疫細胞の一種を指す。細胞傷害性T細胞は、他の血球から分離し、実験室で成長させ、その後癌細胞を殺傷するために患者に与えることができる。細胞傷害性T細胞は、白血球の一種であり、かつ、リンパ球の一種である。細胞傷害性Tリンパ球およびキラーT細胞とも呼ばれる。
【0043】
本発明の他の実施形態は、チムリンへの亜鉛の添加を含み、記載されたようにチムリンのその後の活性化をもたらす、医薬組成物を提供する。これらの組成物は、薬学的に許容される賦形剤、キャリア、または希釈剤をさらに含み得、いかなる生物学的に有害な物質を含まない。本発明の医薬組成物は、当業者によって製剤化され得る。好適な医薬製剤は、参照により本明細書に援用される、本分野における標準的な参照テキストであるレミントンの製薬科学(Remington’s Pharmaceutical Sciences)に記載されている。
【0044】
医薬組成物は、着色剤または安定剤、浸透圧剤、抗細菌剤、またはその物質が組成物の機能を妨害しない限り、他の任意の物質をさらに含み得る。本発明の医薬組成物は、例えば、薬学的に許容される非経口ビヒクルに関連する溶液、懸濁液、または乳濁液として製剤することができる。そのようなビヒクルの例は、水、生理食塩水、リンガー液、デキストロース溶液、および5%ヒトアルブメン(albumen)である。リポソームも使用できる。ビヒクルは、等張性(例えば、塩化ナトリウムまたはマンニトール)および化学的安定性(例えば、緩衝液および防腐剤)を維持する添加剤を含み得る。エンドトキシン汚染は安全なレベル、例えば0.5ng・mg-1タンパク質未満に維持するべきであることを理解すべきである。また、ヒト投与については、調製は、米国食品医薬品局の生物学的標準品が要求する無菌性、発熱性、一般的な安全性および純度の基準を満たすべきである。製剤は、ろ過などの一般的に使用される技術によって滅菌され得る。
【0045】
句「薬学的に許容される」は、動物またはヒトに必要に応じて投与したときに有害な、アレルギー性の、またはその他の不都合な反応を生じない物質および組成物を指す。これらの有害作用のいずれかを引き起こした、または生じた物質は、本発明の範囲内で「生物学的に有害」として分類されるであろう。薬学的に許容される物質および組成物には、限定するものではないが、溶媒、分散媒、コーティング、抗細菌剤および抗真菌剤、等張剤および吸収遅延剤が含まれる。本発明と互換性がない場合を除いて、任意の従来の成分の使用が企図される。さらにまた、他のいくつかの薬理学的に便宜的な目的に役立つ補助有効成分はまた、本発明のより広い範囲から逸脱することなく、本発明の組成物に組み込むことができる。
【0046】
治療投与量は、即時または漸進的に(用語「即時に」または「漸進的に」は、定量的ではなく定性的かつ相対的であると理解される)、患者に比較的速い治療効果を生成するように計算されるものとして当技術分野で一般的に理解されるように使用される。維持投与量は、一般的に理解されるように、患者の治療効果を維持するために計算されたものである。初期治療投与量は、維持投与量に減少され得る。同様に、維持投与量は、1つ以上の生理的測定によって要求されるように、または追加の治療プロトコルと組み合わせて、増加または減少され得る。
【0047】
本発明の特定の実施形態の投与の有効量および方法は、個々の患者および現症(例えば、癌、甲状腺障害、免疫障害、および/または他の併存疾患)のステージ、ならびに当業者に知られる他の要因に基づいて変化し得る。そのような実施形態の治療有効性および毒性は、細胞培養または実験動物における標準的な薬学的手順、例えば、ED50(集団の50%で治療的に有効な用量)およびLD50(集団の50%に致死的な用量)によって決定することができる。毒性および治療効果の用量比は治療指数であり、LD50/ED50の比として表すことができる。大きい治療指数を示す医薬組成物が好ましい。細胞培養アッセイおよび動物実験から得られたデータは、ヒト使用のための一連の投与量の製剤に使用され得る。そのような化合物の投与量は、好ましくは、毒性がほとんどまたはまったくない、ED50を含む循環濃度の範囲内にある。投与量は、用いる投与形態、患者の感受性、および投与経路に応じて、この範囲内で変化する。
【0048】
本発明の任意の実施形態の正確な投与量は、治療される患者を考慮して、個々の医師によって選択され得る。投与量および投与は、所望の効果を維持するために本発明の実施形態の十分なレベルを提供するように調整される。考慮に入れられ得る追加の要因には、病状の重症度、年齢、体重、患者の性別、食餌、投与の時間および頻度、薬の組み合わせ、反応感受性、および治療に対する耐性/反応が含まれる。短時間作用型医薬組成物は毎日投与され得るが、長時間作用型医薬組成物は2、3~4日ごと、毎週、または2週間以上ごとに投与され得る。特定の製剤の半減期およびクリアランス速度に応じて、本発明の医薬組成物は、1日1回、2回、3回、4回、5回、6回、7回、8回、9回、10回またはそれ以上投与し得る。
【0049】
チムリンの分子式は、C33H54N12O15である。ノナペプチドホルモンであるチムリンは、以下のペプチド配列を有し得る。
Glu-Ala-Lys-Ser-Gln-Gly-Gly-Ser-Asn-OH
H-Pyr-Glu-Ala-Lys-Ser-Gln-Gly-Gly-SerAsn-OH(ピログルタミン酸を添加したとき)
Pyro-Glu-Ala-Lys-Ser-GIn-Gly-Gly-Ser-Asn
H-Pyr-Ala-Lys-Ser-Gln-Gly-Gly-Ser-Asn-OH
Pyr-Ala-Lys-Ser-GIn-Gly-Gly-Ser-Asn-OH。
【0050】
また、チムリンは、チモシンなどの他の胸腺ホルモン、またはT細胞の増殖および分化を刺激することを目的とするがチムリンの薬理学とは関係のないチモスチムリンなどのチモシンベースの製品と混同しないようにされたい。
【0051】
チムリンを活性化するためには、単純な亜鉛補充それ自体だけでは十分ではない。必要としている対象が亜鉛補給を受けた場合、亜鉛とのチムリン結合に対する阻害剤がある。例えば、α2-マクログロブリンは亜鉛結合についてチムリンと競合し、この競合は活性チムリン欠損の原因であると考えられている。また、補充でさえも、亜鉛吸収の邪魔となるのは、投与される亜鉛塩の種類、投与の時間、亜鉛拮抗ミネラルの同時消費などの多くの障害である。本開示は、事前に活性化されたチムリンを送達することを介する新しい方法によってこれらすべての課題を克服する。
【0052】
生物学的活性なチムリンの利点を活用することにおける別の重要な障害は、それを検出して有効に使うための実用的な能力がないことである。チムリンの生物学的活性は、亜鉛の1つの分子に結合することに依存する。イムノアッセイでは活性チムリン(またはZn-血清胸腺因子(Zn-FTS))と不活性型(すなわち、ZnまたはFTSを含まない)を区別できないので、Dardenne&Bachによるロゼット抑制アッセイとして知られるアッセイは、面倒であることに加えて、ホルモンの生物学的活性型を評価するために利用できる唯一の方法である。本開示は、すでに活性化されたチムリンを送達するその新規な方法により、この課題を克服する。さらに、本開示はまた、活性チムリンを検出し、それによって活性チムリンを最適化するように設計されたより新しい洗練された技術の使用を含む。
【0053】
最後に、本開示の価値は、1つ以上のチムリン阻害因子の結果として、時間の経過とともに活性チムリンの健康に有害な減少を考えると明らかになる。特定の理論または解釈に縛られるものではないが、チムリンの加齢性変動に対する推定阻害因子の影響を仮定することはできるが、この阻害のメカニズム(酵素分解、キャリアタンパク質への結合、標的細胞レベルで作用する阻害因子)はまだ解明されていない。以前の研究では、チムリン阻害因子のレベルは30歳を過ぎると増加し、70歳を超える対象では非常に高いレベルに達するようである。これは、活性チムリンを提供するだけでなく、監視、測定、カスタマイズされた送達の体制を通じてその活性を最適化することにも焦点を当てた本開示によって排除されたさらに別の障壁である。
【0054】
いくつかの実施形態において、本明細書に記載されるチムリンへの亜鉛の添加およびその後のチムリンの活性化には、室温または37℃で中性または弱アルカリ性のpH(7~8.5)の溶液が用いられる。活性化にはおおよそ5分かかる。亜鉛塩を蒸留水中に1~500ppmで添加する。合成チムリン塩(トリフルオロ酢酸塩)は、1mg対1mlの比率で溶媒に添加することができる。亜鉛溶液およびチムリン溶液は、異なるモル比で組み合わせることができ、1:1の等モル濃度が好ましい組み合わせである。
【0055】
凍結乾燥された合成チムリンは、塩の標準的な溶媒である0.1%酢酸で正常に再構成される。生物学的に抽出された血清中に存在するチムリンは、ELISAキットにより定量的に決定される。典型的なそのようなアッセイキットにおいて、試験原理は、サンプル中の抗原と、マイクロプレートのウェル上にコーティングされた抗チムリン抗体の結合部位のトレーサーとしてのビオチン化チムリンとの間の競合に基づく。ペルオキシダーゼ結合ステプタビジン(steptavidin)は検出および定量化に使用され、テトラメチルベンジジン(TMB)はペルオキシダーゼ基質として使用される。酵素反応は酸性の停止液によって終了する。標準から得られた値を使用して、濃度に対する吸光度単位(光学密度、450nmでのOD)の用量応答曲線を作成する。患者サンプルに存在するチムリンは、この曲線から直接決定される。
【0056】
一態様において、本開示は、チムリン、亜鉛および1つ以上の薬学的に許容される賦形剤を含む医薬組成物を提供する。
いくつかの実施形態において、亜鉛は、酢酸亜鉛、塩化亜鉛、硫酸亜鉛、モノメチオニン亜鉛、ピコリン酸亜鉛、グルコン酸亜鉛、アスパラギン酸亜鉛、クエン酸亜鉛、オロチン酸亜鉛、グリシン酸亜鉛、酸化亜鉛およびそれらの混合物から選択される。いくつかの実施形態において、亜鉛は、酢酸亜鉛である。いくつかの実施形態において、亜鉛は、塩化亜鉛である。いくつかの実施形態において、亜鉛は、硫酸亜鉛である。いくつかの実施形態において、亜鉛は、モノメチオニン亜鉛である。いくつかの実施形態において、亜鉛は、ピコリン酸亜鉛である。いくつかの実施形態において、亜鉛は、グルコン酸亜鉛である。いくつかの実施形態において、亜鉛は、アスパラギン酸亜鉛である。いくつかの実施形態において、亜鉛は、クエン酸亜鉛である。いくつかの実施形態において、亜鉛は、オロチン酸亜鉛である。いくつかの実施形態において、亜鉛は、グリシン酸亜鉛である。いくつかの実施形態において、亜鉛は、酸化亜鉛である。
【0057】
いくつかの実施形態において、チムリンは、アミノ酸配列Glu-Ala-Lys-Ser-Gln-Gly-Gly-SerAsn-OHを使用して配列決定および合成されたチムリンから選択される。いくつかの実施形態において、チムリンは、アミノ酸配列H-Pyr-Glu-Ala-Lys-Ser-Gln-Gly-Gly-SerAsn-OHを使用して配列決定および合成されたチムリンから選択される。いくつかの実施形態において、チムリンは、アミノ酸配列Pyro-Glu-Ala-Lys-Ser-GIn-GlyGly-Ser-Asnを使用して配列決定および合成されたチムリンから選択される。いくつかの実施形態において、チムリンは、アミノ酸配列H-Pyr-Ala-Lys-Ser-Gln-Gly-Gly-Ser-Asn-OHを使用して配列決定および合成されたチムリンから選択される。いくつかの実施形態において、チムリンは、アミノ酸配列Pyr-Ala-Lys-Ser-GIn-Gly-Gly-Ser-Asn-OHを使用して配列決定および合成されたチムリンから選択される。
【0058】
いくつかの実施形態において、チムリンは、ヒト胸腺上皮細胞によって生成され、標準的な手順を使用してヒト血漿から生物学的に抽出される。いくつかの実施形態において、チムリンは、標準的な手順を使用してブタ血漿から生物学的に抽出される。いくつかの実施形態において、チムリンは、標準的な手順を使用してウシ血漿から生物学的に抽出される。いくつかの実施形態において、チムリンは、チムリンペプチドの遺伝子操作された類似体から獲得される。
【0059】
いくつかの実施形態において、亜鉛は、約10mg~約100mgの範囲の量で存在する。例えば、いくつかの実施形態において、亜鉛は、約30mg、約35mg、約40mg、約45mg、約50mg、約55mg、約60mg、約65mg、約70mg、約75mg、約80mg、約85mg、約90mg、約95mg、または約100mgの量で存在する。いくつかの実施形態において、亜鉛は約35mgの量で存在する。いくつかの実施形態において、亜鉛は約40mgの量で存在する。いくつかの実施形態において、亜鉛は約45mgの量で存在する。いくつかの実施形態において、亜鉛は約50mgの量で存在する。いくつかの実施形態において、亜鉛は約55mgの量で存在する。
【0060】
いくつかの実施形態において、亜鉛は、約15マイクロモーラー亜鉛~約45マイクロモーラー亜鉛の範囲の量で存在する。例えば、いくつかの実施形態において、亜鉛は、約15マイクロモーラー亜鉛、約20マイクロモーラー亜鉛、30マイクロモーラー亜鉛または約45マイクロモーラー亜鉛の量で存在する。いくつかの実施形態において、亜鉛は、約15マイクロモーラー亜鉛の量で存在する。いくつかの実施形態において、亜鉛は、約20マイクロモーラー亜鉛の量で存在する。いくつかの実施形態において、亜鉛は、約30マイクロモーラー亜鉛の量で存在する。いくつかの実施形態において、亜鉛は約45マイクロモーラー亜鉛の量で存在する。
【0061】
いくつかの実施形態において、チムリンは、約0.4mg/kg~1.5mg/対象の体重の範囲の量で存在する。いくつかの実施形態において、チムリンは、0.4mg/対象の体重kgで存在する。いくつかの実施形態において、チムリンは、1.5mg/対象の体重kgで存在する。
【0062】
いくつかの実施形態において、チムリンは、0.1~100μg・kg-1の範囲で存在する。
いくつかの実施形態において、チムリンは、5mg~20mgの範囲で存在する。
【0063】
いくつかの実施形態において、チムリンは、約10ピコグラム/ミリリットル~4000ピコグラム/ミリリットルの範囲の量で存在する。
いくつかの実施形態において、本開示の医薬組成物は、合成的に生成された亜鉛が結合したチムリン分子を含む。いくつかの実施形態において、本開示の医薬組成物は、その後にex vivoおよびin vitroで亜鉛と結合される合成的に生成されたチムリン分子を含む。
【0064】
いくつかの実施形態において、本開示の医薬組成物は、その後にex vivoおよびin vitroで亜鉛と結合される、ヒト血漿から抽出された生物学的なチムリン分子を含む。いくつかの実施形態において、本開示の医薬組成物は、その後にex vivoおよびin vitroで亜鉛と結合される、ブタ血漿から抽出された生物学的なチムリン分子を含む。いくつかの実施形態において、本開示の医薬組成物は、その後にex vivoおよびin vitroで亜鉛と結合される、ウシ血漿から抽出された生物学的なチムリン分子を含む。いくつかの実施形態において、本開示の医薬組成物は、活性チムリンを生成するために、その後対象に投与される亜鉛イオンを含む。いくつかの実施形態において、本開示の医薬組成物は、活性チムリンを生成するために、その後対象に投与される、遺伝子操作されたチムリン類似体である。いくつかの実施形態において、医薬組成物は、非経口的に対象へ送達される。いくつかの実施形態において、医薬組成物は経口的に対象へ送達される。
【0065】
好ましい実施形態において、15マイクロモーラー亜鉛の溶液は、薬学的に許容される賦形剤とともに合成チムリンの等モル溶液に添加され、その後、非経口的に対象へ投与される。
【0066】
好ましい実施形態において、20マイクロモーラー亜鉛の溶液は、薬学的に許容される賦形剤とともに合成チムリンの等モル溶液に添加され、その後、非経口的に対象へ投与される。
【0067】
好ましい実施形態において、30マイクロモーラー亜鉛の溶液は、薬学的に許容される賦形剤とともに合成チムリンの等モル溶液に添加され、その後、非経口的に対象へ投与される。
【0068】
好ましい実施形態において、45マイクロモーラー亜鉛の溶液は、薬学的に許容される賦形剤とともに合成チムリンの等モル溶液に添加され、その後、非経口的に対象へ投与される。
【0069】
好ましい実施形態において、15マイクロモーラー亜鉛の溶液は、薬学的に許容される賦形剤とともに天然の(ヒト、ブタまたはウシ)チムリンの等モル溶液に添加され、その後、非経口的に対象へ投与される。
【0070】
好ましい実施形態において、20マイクロモーラー亜鉛の溶液は、薬学的に許容される賦形剤とともに天然の(ヒト、ブタまたはウシ)チムリンの等モル溶液に添加され、その後、非経口的に対象へ投与される。
【0071】
好ましい実施形態において、30マイクロモーラー亜鉛の溶液は、薬学的に許容される賦形剤とともに天然の(ヒト、ブタまたはウシ)チムリンの等モル溶液に添加され、その後、非経口的に対象へ投与される。
【0072】
好ましい実施形態において、45マイクロモーラー亜鉛の溶液は、薬学的に許容される賦形剤とともに天然の(ヒト、ブタまたはウシ)チムリンの等モル溶液に添加され、その後、非経口的に対象へ投与される。
【0073】
好ましい実施形態において、15マイクロモーラー亜鉛の溶液は、薬学的に許容される賦形剤とともに合成チムリンの等モル溶液に添加され、その後、経口的に対象へ投与される。
【0074】
好ましい実施形態において、20マイクロモーラー亜鉛の溶液は、薬学的に許容される賦形剤とともに合成チムリンの等モル溶液に添加され、その後、経口的に対象へ投与される。
【0075】
好ましい実施形態において、30マイクロモーラー亜鉛の溶液は、薬学的に許容される賦形剤とともに合成チムリンの等モル溶液に添加され、その後、経口的に対象へ投与される。
【0076】
好ましい実施形態において、45マイクロモーラー亜鉛の溶液は、薬学的に許容される賦形剤とともに合成チムリンの等モル溶液に添加され、その後、経口的に対象へ投与される。
【0077】
好ましい実施形態において、15マイクロモーラー亜鉛の溶液は、薬学的に許容される賦形剤とともに15マイクロモーラー合成チムリンの溶液に添加され、その後、非経口的に対象へ投与される。
【0078】
好ましい実施形態において、20マイクロモーラー亜鉛の溶液は、薬学的に許容される賦形剤とともに20マイクロモーラー合成チムリンの溶液に添加され、その後、非経口的に対象へ投与される。
【0079】
好ましい実施形態において、30マイクロモーラー亜鉛の溶液は、薬学的に許容される賦形剤とともに30マイクロモーラー合成チムリンの溶液に添加され、その後、非経口的に対象へ投与される。
【0080】
好ましい実施形態において、45マイクロモーラー亜鉛の溶液は、薬学的に許容される賦形剤とともに45マイクロモーラー合成チムリンの溶液に添加され、その後、非経口的に対象へ投与される。
【0081】
いくつかの実施形態において、亜鉛およびチムリンは、0.0001%~0.1%の範囲の重量/体積パーセントで存在する。
いくつかの実施形態において、亜鉛およびチムリンは、0.001%~0.05%の範囲の重量/体積パーセントで存在する。
【0082】
別の態様において、本開示は、
約10mg~約200mgの亜鉛;
約5~20mgのチムリン;および、
薬学的に許容される賦形剤
を含む医薬組成物を提供する。
【0083】
別の態様において本開示は、
約15マイクロモーラー~100マイクロモーラーの亜鉛;
約0.1mg/kg~10mg/kg体重のチムリン;および、
薬学的に許容される賦形剤
を含む医薬組成物を提供する。
【0084】
別の態様において本開示は、
約30mgの亜鉛;
約0.4mg/kgの体重のチムリン;および、
薬学的に許容される賦形剤
を含む医薬組成物を提供する。
【0085】
別の態様において、本開示は、
約15マイクロモーラーの亜鉛;
約0.4mg/kgの体重のチムリン;および、
薬学的に許容される賦形剤
を含む請求項1の医薬組成物を提供する。
【0086】
別の態様において本開示は、
約15~45マイクロモーラーの亜鉛;および、
薬学的に許容される賦形剤
を含む医薬組成物を提供する。
【0087】
別の態様において本開示は、
met-FTSをコードする合成DNA配列を発現する組み換えアデノウイルスベクター、RAd-metFTS(メチオニン-FTS);
血清胸腺因子(FTS)の生物学的に活性な類似体(この枠組みにおいて、metFTSは異なるアデノウイルスベクターに構築およびクローニングされる);および、
薬学的に許容される賦形剤
を含む医薬組成物を提供する。
【0088】
いくつかの実施形態において、本明細書に開示される医薬組成物中の医薬賦形剤の総重量パーセントは、最大で約35%w/wである。例えば、いくつかの実施形態において、本明細書に開示される医薬組成物中の医薬賦形剤の総重量パーセントは、最大約35%w/w、最大約30%w/w、最大約25%w/w、最大約20%w/w、最大約15%w/w、または最大約10%w/wである。
【0089】
いくつかの実施形態において、本明細書に開示される医薬組成物は、非経口または経口投与されるように液体として製剤化される。いくつかの実施形態において、本明細書に開示される医薬組成物は、固体経口剤形として製剤化される。固体経口剤形の非限定的な例としては、糖衣錠、フィルムコーティング錠、舌下錠、バッカル錠、または口腔内崩壊錠などの錠剤、およびソフトカプセルまたはマイクロカプセルなどのカプセルが含まれる。本開示の固体及び液体の非経口及び経口剤形は、医薬品の調製の技術分野で一般的に使用される任意の既知の製造方法によって調製され得る。組成物に使用されるチムリンは、ヒト、ブタまたはウシの血清から単離され得るか、または固相反応または液相反応を含む通常の化学合成によって生成され得るか、または遺伝子工学的プロセスおよび/または細胞融合プロセスによって調製され得る。特定の実施形態において、本明細書で提供される非経口および経口剤形は、例えば、関連する教科書に記載されているように、医薬調製の分野の当業者に知られている従来の方法を使用して調製し得る。例えば、Allan GoldsteinによるThymic Hormones and Lymphokines: Basic Chemistry and Clinical Applications (Springer,1984)、Andrew Hughesによる第5巻のAmino Acids, Peptides and Proteins in Organic Chemistry, Building Blocks, Catalysis and Coupling Chemistry (Wiley,2011)、および、N・Leo BenoitonによるChemistry of Peptide Synthesis (CRC Press,2005)を参照されたい。これらの文献は、医薬製剤の分野の当業者に知られている好適な従来の方法を開示している限り、参照により本明細書に援用される。
【0090】
いくつかの実施形態において、本開示の医薬組成物は、充填剤、結合剤、崩壊剤、潤滑剤、滑剤、pH制御の改善を助ける緩衝塩、保存性賦形剤、界面活性剤、共溶媒、シクロデキストリンなどの可溶化賦形剤、安定化賦形剤、凍結乾燥された製剤における増量剤及び等張化剤を含む。
【0091】
いくつかの実施形態において、本開示の医薬組成物は、耐酸性腸溶コーティング、ペプチダーゼ阻害剤、pH調整剤、ポリマーマイクロ/ナノ粒子、固体脂質マイクロ/ナノ粒子、マイクロエマルジョン、リポソーム、及び上記の組み合わせを含む。
【0092】
いくつかの実施形態において、本明細書に開示される医薬組成物は、1、2、または3つの固体または液体剤形として製剤化される。いくつかの実施形態において、本明細書に開示される医薬組成物は、1つの固形経口剤形として製剤化される。いくつかの実施形態において、本明細書に開示される医薬組成物は、2つの固形経口剤形として製剤化される。いくつかの実施形態において、本明細書に開示される医薬組成物は、3つの固形経口剤形として製剤化される。
【0093】
いくつかの実施形態において、本明細書に開示される医薬組成物は、粉末として製剤化される。
いくつかの実施形態において、本明細書に開示される医薬組成物は、経口摂取に好適な液体として製剤化され得る。
【0094】
いくつかの実施形態において、本明細書に開示される医薬組成物は、静脈内または皮下または筋肉内投与に好適な液体として製剤化され得る。
いくつかの実施形態において、本明細書に開示される医薬組成物は、任意の薬学的に許容される塩の形態で患者に経口投与され得る。いくつかの実施形態において、本明細書に開示される医薬組成物は、非経口経路によって患者に投与され得る。
【0095】
いくつかの実施形態において、本明細書に開示される医薬組成物は、静脈内注射、筋肉内注射、または皮下注射によって患者に投与され得る。いくつかの実施形態において、本明細書に開示される医薬組成物は、坐薬の形態で投与され得る。
【0096】
一態様において、本明細書に開示される医薬組成物中の活性チムリンの存在は、X線蛍光(XRF)技術を用いることによって監視及び最適化され、それによってXRF分析器は、その中に存在する特定の元素がその固有の蛍光X線フィンガープリントを生成した後にX線源によって照射されるときにそれによって生成される蛍光X線を監視して組成物の化学組成を記述する。いくつかの実施形態において、蛍光X線法は、チムリンに存在する亜鉛を原子レベルで検出することを可能にする。
【0097】
別の態様において、医薬組成物中の活性チムリンの存在は、0.03~16ng・mL-1の範囲内で組成物中のチムリンの存在を決定する酵素結合免疫吸着測定法(ELISA)キットを使用して検出できる。別の実施形態において、測定方法は、チムリンに特異的な抗体を使用する組成物のラジオイムノアッセイ(radioimmunoassay)である。場合によっては、抗体は、モノクローナル抗体または宿主動物の抗血清からの抗体;およびトレーサーとして放射性標識されたチムリン類似体であり得る。別の実施形態において、医薬組成物中の亜鉛は、原子吸光分光法を使用して測定される。
【0098】
一態様において、本開示は、それを必要とする対象に、本明細書に開示される医薬組成物を投与することを含み、その後細胞傷害性T細胞を活性化するインターロイキン2を産生する、ヘルパーT1細胞を生成する方法を提供する。
【0099】
別の態様において、本開示は、免疫系機能不全または欠乏症に関連する慢性症状の治療、重症度の軽減、発生率の軽減、発症の遅延、再発の予防または病因の軽減のための、それらを必要とする対象に対して、本明細書に開示される医薬組成物を投与することを含む方法を提供する。
【0100】
いくつかの実施形態において、治療される慢性症状は、膵臓癌、前立腺癌、乳癌、肺癌、結腸癌、子宮頸癌、卵巣癌、黒色腫、リンパ腫、および扁平上皮癌を含む癌である。
別の態様において、本開示は、持続性感染症の治療、重症度の軽減、発生率の軽減、発症の遅延、再発の予防または病因の軽減のための、それらを必要とする対象に対して、本明細書に開示される医薬組成物を投与することを含む方法を提供する。
【0101】
いくつかの実施形態において、治療される持続性感染症は、ウイルス感染症、細菌感染症、真菌感染症、または寄生虫感染症である。いくつかの実施形態において、ウイルス感染症は、肝炎ウイルス、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)、ヒトTリンパ好性ウイルス(HTLV)、ヘルペスウイルス、エプスタイン-バーウイルス、またはヒトパピローマウイルスによる感染症である。
【0102】
別の態様において、本開示は、(a)対象から血漿サンプルを獲得するステップと、(b)サンプル中のチムリンの生物学的活性を測定するステップと、(c)本明細書に開示される医薬組成物を投与することを含み得る持続性感染症または癌を有するかまたはリスクがあると診断された対象に対する治療法を選択するステップと、を含む、持続性感染症または癌を有するかまたは有するリスクがある対象に対する治療を選択する方法を提供する。
【0103】
一態様において、ヘルパーT1細胞および他の免疫細胞の生成は、細胞傷害性Tリンパ球(CTL)応答アッセイ、ELISPOT(enzyme-linked immunospot、酵素結合免疫スポット)技術、細胞内サイトカインのフローサイトメトリー分析、個々の細胞を分離、培養、アッセイするための光流体工学法、および他の方法論など標準的な方法を使用して測定される。
【0104】
いくつかの実施形態において、本明細書に開示される医薬組成物の1日用量は、約10mg~約200mgの範囲の亜鉛および約5~20mgの範囲のチムリンおよび薬学的に許容される賦形剤である。いくつかの実施形態において、本明細書に開示される医薬組成物の1日用量は、約15マイクロモーラー~100マイクロモーラーの亜鉛、および15マイクロモーラー~100マイクロモーラーのチムリンの範囲である。いくつかの実施形態において、開示される医薬組成物の1日用量は、15マイクロモーラーの亜鉛および15マイクロモーラーのチムリンである。いくつかの実施形態において、開示される医薬組成物の1日用量は、20マイクロモーラーの亜鉛および20マイクロモーラーのチムリンである。
【0105】
いくつかの実施形態において、本明細書に記載される医薬組成物は、1日1~3回投与される。いくつかの実施形態において、本明細書に記載される医薬組成物は1日1回投与される。いくつかの実施形態において、本明細書に記載される医薬組成物は、1日複数回投与される。いくつかの実施形態において、本医薬組成物は、2日ごとに、または3日ごとに投与される。
【0106】
上記したように、本発明の一実施形態にしたがって活性チムリンを投与された慢性感染症(ウイルス感染症を含む)を経験する対象は、活性化チムリンの増加した血清レベルにより、少なくとも、ヘルパーT1細胞の増加した産生、インターロイキン2の増加した産生、または、対象の慢性感染の期間を短縮および/または排除するための正味の効果である増加した細胞傷害性T細胞活性につながることが予期される。
【0107】
上記したように、本発明の一実施形態にしたがって活性チムリンを投与された悪性腫瘍を経験する対象は、活性化チムリンの増加した血清レベルにより、少なくともヘルパーT1細胞の増加した産生、インターロイキン2の増加した産生、または細胞傷害性T細胞活性の増加につながり、対象の悪性腫瘍の期間を短縮および/または排除するための正味の効果であることが予期される。
最後に、書かれた説明は、例を使用して、最良の形態を含む本発明を開示し、また、任意のデバイスまたはシステムの作成および使用、および任意の組み込まれた方法の実行を含む、当業者が本発明を実施できるようにする。本発明の特許性のある範囲は、特許請求の範囲によって定義され、当業者が思いつく他の例を含み得る。そのような他の例は、特許請求の範囲の文字通りの文言と異ならない構造要素を有する場合、または特許請求の範囲の文字通りの文言と些細に異なる同等の構造要素を含む場合、特許請求の範囲の範囲内にあることを意図している。
【0108】
本発明の薬理学的に活性な化合物は、製剤学の従来の方法に従って、患者(例えば、ヒトを含む哺乳類)に対する投与のための薬剤を生成することができる。
本明細書で使用されるとき、用語「配列」は、DNA、cDNA、RNA、およびそれによってセンス方向およびアンチセンス方向の両方でコードされる結果として生じるペプチド鎖を明示的に企図する。一方を知ることは、標準化されたDNA、RNA、およびアミノ酸のコドン表に例示されているように、相補性およびコドン符号化の標準的な規則を介して他方を知ることである。
【0109】
本明細書で使用されるとき、単数形で記述され、「a」または「an」という単語に続く要素またはステップは、そのような除外が明示的に述べられていない限り、前記要素またはステップの複数を除外しないと理解されるべきである。さらにまた、本発明の「一実施形態」への言及は、列挙された特徴も組み込む追加の実施形態の存在を除外するものとして解釈されることを意図されていない。また、反対に明示的に述べられていない限り、特定の特性を有する要素または複数の要素を「含む(“comprising”、“including”)」、または「有する」実施形態は、その特性を有さない、追加のそのような要素を含み得る。
【0110】
本明細書に含まれる本発明の技術的思想および範囲から逸脱することなく、上記の発明に特定の変更をすることができるので、添付の図面に示される上記の説明の主題のすべては、本明細書の本発明の概念を説明する単なる例として解釈されるものであり、本発明を限定するものとして解釈されるべきではないことが意図される。
【0111】
参照
以下は、それらが含む教示について、参照によりその全体がここに援用される。
A S Prasad, J F Bach, M Dardenne, et al., “Serum thymulin in human zinc deficiency,” Journal of Clinical Investigation, 1988;82(4):1202-1210, https://doi.org/10.1172/JCI113717.
Ananda S. Prasad, “Lessons Learned from Experimental Human Model of Zinc Deficiency,” Journal of Immunology Research, Volume January 9, 2020, Volume 2020 , https://doi.org/10.1155/2020/9207279
Mireille Dardenne and Jean-Marie Pleau, et al, “Contribution of zinc and other metals to the biological activity of the serum thymic factor,” Proceedings of the National Academy of Sciences, USA, September 1982, Vol. 79(19):5370-3.
M. Dardenne, W. Savino, S. Berrih, and J. F. Bach, “A zinc-dependent epitope on the molecule of thymulin, a thymic hormone”, Proceedings of the National Academy of Sciences, USA, October 1985,Vol. 82, pp. 7035-7038, https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC391304/pdf/pnas00360-0321.pdf
Jean-Francois Bach and Mireille Dardenne, “Thymulin, a zinc-dependent hormone,” Medical Oncology and Tumor Pharmacotherapy, March 1989, Volume 6, Issue 1, pp 25-29, https://link.springer.com/article/10.1007/BF02985220
Mireille Dardenne and Jean-Marie Pleau, “Interactions between Zinc and Thymulin,” Metal Based Drugs, 1994; 1(2-3): 233-239, https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC2364880/
Eugenio Mocchegiani, Paolo Paolucci, Donatella Granchi, Laura Cavallazzi, Lory Santarelli, and Nicola Fabris, “Plasma Zinc Level and Thymic Hormone Activity in Young Cancer Patients,” The American Society of Hematology, 1994, http://www.bloodjournal.org/content/bloodjournal/83/3/749.full.pdf?sso-checked=true
J.J. Haddad , N.E. Saade and B. Safieh-Garabediana, “Thymulin: An Emerging Anti-Inflammatory Molecule,” Curr. Med. Chem. - Anti-Inflammatory & Anti-Allergy Agents, 2005, 4, 333-338 333 1568-0142/05, http://citeseerx.ist.psu.edu/viewdoc/download?doi=10.1.1.658.4398&rep=rep1&type=pdf
Paula C. Reggiani, Jose I. Schwerd, Gloria M. Console, Eduardo A. Roggero, Mireille Dardenne and Rodolfo G. Goya, “Physiology and Therapeutic Potential of the Thymic Peptide Thymulin,” Current Pharmaceutical Design, 2014, 20, 000-000 1 1381-6128/14. DOI: 10.2174/1381612820666140130211157
【手続補正書】
【提出日】2021-06-15
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0001
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2019年8月15日に出願された、米国仮特許出願第62/886,995号に関連し、それは、参照によってその全体が本明細書に援用される。
ASCIIテキストファイルでの配列表の提出
本出願は、ASCII形式で電子的に提出された配列表を含み、その全体が参照により本出願に援用される。2020年10月02日に作成された前記ASCIIファイルは、1188-0001-1 - CytoLyf - SEQ.txtという名前であり、サイズは477バイトである。参照により本明細書に援用されるASCIIテキストファイルの内容は、次の1つの配列のコンピュータ可読形式(CRF)である。
配列番号01は、チムリンについての非修飾ノナペプチド配列である。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0049
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0049】
チムリンの分子式は、C33H54N12O15である。配列番号01で示される塩基配列を有するノナペプチドホルモンであるチムリンは、以下のペプチド配列を有し得る。
Glu-Ala-Lys-Ser-Gln-Gly-Gly-Ser-Asn-OH
H-Pyr-Glu-Ala-Lys-Ser-Gln-Gly-Gly-SerAsn-OH(ピログルタミン酸を添加したとき)
Pyr-Glu-Ala-Lys-Ser-GIn-Gly-Gly-Ser-Asn
H-Pyr-Ala-Lys-Ser-Gln-Gly-Gly-Ser-Asn-OH
Pyr-Ala-Lys-Ser-GIn-Gly-Gly-Ser-Asn-OH。
【手続補正書】
【提出日】2022-04-15
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
チムリン、亜鉛、および1つ以上の薬学的に許容される賦形剤を含む、医薬組成物。
【請求項2】
前記チムリンは、
Glu-Ala-Lys-Ser-Gln-Gly-Gly-SerAsn-OH;
H-Pyr-Glu-Ala-Lys-Ser-Gln-Gly-Gly-SerAsn-OH;
Pyr-Glu-Ala-Lys-Ser-GIn-GlyGly-Ser-Asn;
H-Pyr-Ala-Lys-Ser-Gln-Gly-Gly-Ser-Asn-OH;および、
Pyr-Ala-Lys-Ser-GIn-Gly-Gly-Ser-Asn-OH
からなる群から選択される少なくとも1つのアミノ酸配列を使用して配列決定および合成される、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項3】
前記チムリンは、
ウシ血清
;
ヒト血漿;および
ブタ血清
からなる群から選択される少なくとも1つから生物学的に抽出される請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項4】
前記チムリンは、チムリンの合成ペプチド類似体である請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項5】
前記亜鉛は、酢酸亜鉛、塩化亜鉛、硫酸亜鉛、モノメチオニン亜鉛、ピコリン酸亜鉛、グルコン酸亜鉛、アスパラギン酸亜鉛、クエン酸亜鉛、オロチン酸亜鉛、グリシン酸亜鉛、酸化亜鉛、およびそれらの混合物からなる群から選択される少なくとも1つである請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項6】
請求項1に記載の医薬組成物を、それを必要とする対象に投与することを含む、その後細胞傷害性T細胞を活性化するインターロイキン2を産生するヘルパーT1細胞を生成する方法。
【請求項7】
細胞傷害性T細胞活性は、請求項1に記載の医薬組成物をそれを必要とする対象に投与することによって増加されることをさらに含む請求項
6に記載の方法。
【請求項8】
前記細胞傷害性T細胞活性は、サイトカイン産生、T細胞増殖、および感染性病原体のクリアランスからなる群から選択される少なくとも1つである請求項
7に記載の方法。
【請求項9】
前記感染性病原体は、ウイルス、細菌、真菌、マイコプラズマ、および寄生虫からなる群から選択される少なくとも1つである請求項
8に記載の方法。
【請求項10】
前記T細胞は癌/腫瘍抗原特異的なT細胞である請求項
8に記載の方法。
【請求項11】
前記サイトカインは、IFNγ、TNFα、またはIL-2からなる群から選択される少なくとも1つである請求項
8に記載の方法。
【請求項12】
前記亜鉛および前記チムリンが等モル
比である請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項13】
前記亜鉛は約10mg~約200mg
の範囲の量で存在する請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項14】
血清胸腺因子から調製されるチムリン溶液は、
10ピコグラム/ミリリットル~4000ピコグラム/ミリリットルの範囲
;
0.4mg/kg体重;
0.1~100μg/kgの範囲;
約5mg~20mgの範囲;および
対象の体重1kgあたり1.5mg
からなる群から選択される少なくとも1つの量で対象に投与される請求項
13に記載の医薬組成物。
【請求項15】
チムリン;
亜鉛;および
1つ以上の薬学的に許容される賦形剤
を含む医薬組成物であって、
前記チムリンおよび前記亜鉛は、各々が15μモーラー濃度で、前記1つ以上の薬学的に許容される賦形剤とともに溶液中で組み合わされ、得られた組成物は対象への非経口投与に好適である、前記医薬組成物。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0110
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0110】
本明細書に含まれる本発明の技術的思想および範囲から逸脱することなく、上記の発明に特定の変更をすることができるので、添付の図面に示される上記の説明の主題のすべては、本明細書の本発明の概念を説明する単なる例として解釈されるものであり、本発明を限定するものとして解釈されるべきではないことが意図される。
[付記1] チムリン、亜鉛、および1つ以上の薬学的に許容される賦形剤を含む医薬組成物。
[付記2] in vivoで組み合わされたチムリン、亜鉛、および1つ以上の薬学的に許容される賦形剤を含む医薬組成物。
[付記3] ex vivoで組み合わされたチムリン、亜鉛、および1つ以上の薬学的に許容される賦形剤を含む医薬組成物。
[付記4] 前記チムリンは、アミノ酸配列Glu-Ala-Lys-Ser-Gln-Gly-Gly-SerAsn-OHを使用して配列決定および合成される付記1に記載の医薬組成物。
[付記5] 前記チムリンは、アミノ酸配列H-Pyr-Glu-Ala-Lys-Ser-Gln-Gly-Gly-SerAsn-OHを使用して配列決定および合成される付記1に記載の医薬組成物。
[付記6] 前記チムリンは、アミノ酸配列Pyro-Glu-Ala-Lys-Ser-GIn-GlyGly-Ser-Asnを使用して配列決定および合成される付記1に記載の医薬組成物。
[付記7] 前記チムリンは、アミノ酸配列H-Pyr-Ala-Lys-Ser-Gln-Gly-Gly-Ser-Asn-OHを使用して配列決定および合成される付記1に記載の医薬組成物。
[付記8] 前記チムリンは、アミノ酸配列Pyr-Ala-Lys-Ser-GIn-Gly-Gly-Ser-Asn-OHを使用して配列決定および合成される付記1に記載の医薬組成物。
[付記9] 胸腺上皮細胞によって生成されるチムリンは、ヒト血漿から生物学的に抽出される付記1に記載の医薬組成物。
[付記10] 前記チムリンは、ブタ血清から生物学的に抽出される付記1に記載の医薬組成物。
[付記11] 前記チムリンは、ウシ血清から生物学的に抽出される付記1に記載の医薬組成物。
[付記12] 前記チムリンは、チムリンの合成ペプチド類似体である付記1に記載の医薬組成物。
[付記13] 前記亜鉛は、酢酸亜鉛、塩化亜鉛、硫酸亜鉛、モノメチオニン亜鉛、ピコリン酸亜鉛、グルコン酸亜鉛、アスパラギン酸亜鉛、クエン酸亜鉛、オロチン酸亜鉛、グリシン酸亜鉛、酸化亜鉛、およびそれらの混合物からなる群から選択される少なくとも1つである付記1に記載の医薬組成物。
[付記14] 前記亜鉛は、塩化亜鉛である付記13に記載の医薬組成物。
[付記15] 前記亜鉛は、約10mg~約200mgの範囲の量で存在する付記1に記載の医薬組成物。
[付記16] 前記亜鉛は、約15~100マイクロモーラー亜鉛の範囲の量で存在する付記1のいずれか1つに記載の医薬組成物。
[付記17] 前記亜鉛は、約30mgの量で存在する付記15に記載の医薬組成物。
[付記18] 前記亜鉛は、約50mgの量で存在する付記15に記載の医薬組成物。
[付記19] 前記亜鉛は、約15マイクロモーラー亜鉛の量で存在する付記16に記載の医薬組成物。
[付記20] 前記亜鉛は、約20マイクロモーラー亜鉛の量で存在する付記16に記載の医薬組成物。
[付記21] 前記亜鉛は、約30マイクロモーラー亜鉛の量で存在する付記16に記載の医薬組成物。
[付記22] 前記亜鉛は、約45マイクロモーラー亜鉛の量で存在する付記16に記載の医薬組成物。
[付記23] 約10mg~約200mgの亜鉛;アミノ酸配列Glu-Ala-Lys-Ser-Gln-Gly-Gly-SerAsn-OHを使用して配列決定および合成されたチムリン;および、薬学的に許容される賦形剤をさらに含む付記1に記載の医薬組成物。
[付記24] 約10mg~約200mgの亜鉛;アミノ酸配列H-Pyr-Glu-Ala-Lys-Ser-Gln-Gly-Gly-SerAsn-OHを使用して配列決定および合成されたチムリン;および、薬学的に許容される賦形剤をさらに含む付記1に記載の医薬組成物。
[付記25] 約10mg~約200mgの亜鉛;アミノ酸配列Pyro-Glu-Ala-Lys-Ser-GIn-GlyGly-Ser-Asnを使用して配列決定および合成されたチムリン;および、薬学的に許容される賦形剤をさらに含む付記1に記載の医薬組成物。
[付記26] 約10mg~約200mgの亜鉛;アミノ酸配列H-Pyr-Ala-Lys-Ser-Gln-Gly-Gly-Ser-Asn-OHを使用して配列決定および合成されたチムリン;および、薬学的に許容される賦形剤をさらに含む付記1に記載の医薬組成物。
[付記27] 約10mg~約200mgの亜鉛;アミノ酸配列Pyr-Ala-Lys-Ser-GIn-Gly-Gly-Ser-Asn-OHを使用して配列決定および合成されたチムリン;および、薬学的に許容される賦形剤をさらに含む付記1に記載の医薬組成物。
[付記28] 約10mg~約200mgの亜鉛;チムリンの合成ペプチド類似体;および、薬学的に許容される賦形剤をさらに含む付記1に記載の医薬組成物。
[付記29] 約15~45マイクロモーラーの亜鉛;アミノ酸配列Glu-Ala-Lys-Ser-Gln-Gly-Gly-SerAsn-OHを使用して配列決定および合成されたチムリン;および、薬学的に許容される賦形剤をさらに含む付記1に記載の医薬組成物。
[付記30] 約15~45マイクロモーラーの亜鉛;アミノ酸配列H-Pyr-Glu-Ala-Lys-Ser-Gln-Gly-Gly-SerAsn-OHを使用して配列決定および合成されたチムリン;および、薬学的に許容される賦形剤をさらに含む付記1に記載の医薬組成物。
[付記31] 約15~45マイクロモーラーの亜鉛;アミノ酸配列Pyro-Glu-Ala-Lys-Ser-GIn-GlyGly-Ser-Asnを使用して配列決定および合成されたチムリン;および、薬学的に許容される賦形剤をさらに含む付記1に記載の医薬組成物。
[付記32] 約15~45マイクロモーラーの亜鉛;前記アミノ酸配列H-Pyr-Ala-Lys-Ser-Gln-Gly-Gly-Ser-Asn-OHを使用して配列決定および合成されたチムリン;および、薬学的に許容される賦形剤をさらに含む付記1に記載の医薬組成物。
[付記33] 約15~45マイクロモーラーの亜鉛;前記アミノ酸配列Pyr-Ala-Lys-Ser-GIn-Gly-Gly-Ser-Asn-OHを使用して配列決定および合成されたチムリン;および、薬学的に許容される賦形剤をさらに含む付記1に記載の医薬組成物。
[付記34] 約15~45マイクロモーラーの亜鉛;生物学的に抽出されるヒトチムリン;および、薬学的に許容される賦形剤をさらに含む付記1に記載の医薬組成物。
[付記35] 約15~45マイクロモーラーの亜鉛;生物学的に抽出されるブタチムリン;および、薬学的に許容される賦形剤をさらに含む付記1に記載の医薬組成物。
[付記36] 約15~45マイクロモーラーの亜鉛;生物学的に抽出されるウシチムリン;および、薬学的に許容される賦形剤をさらに含む付記1に記載の医薬組成物。
[付記37] 等モル濃度の亜鉛およびチムリン;および、薬学的に許容される賦形剤
をさらに含む付記1に記載の医薬組成物。
[付記38] 等モル濃度の亜鉛および合成チムリン;および、薬学的に許容される賦形剤をさらに含む付記1に記載の医薬組成物。
[付記39] 等モル濃度の亜鉛および天然チムリン;および、薬学的に許容される賦形剤をさらに含む付記1に記載の医薬組成物。
[付記40] 約15~45マイクロモーラーの亜鉛;等モル濃度のアミノ酸配列Glu-Ala-Lys-Ser-Gln-Gly-Gly-SerAsn-OHを使用して配列決定および合成されたチムリン;および、薬学的に許容される賦形剤をさらに含む付記1に記載の医薬組成物。
[付記41] 約15~45マイクロモーラーの亜鉛;等モル濃度の前記アミノ酸配列H-Pyr-Glu-Ala-Lys-Ser-Gln-Gly-Gly-SerAsn-OHを使用して配列決定および合成されたチムリン;および、薬学的に許容される賦形剤をさらに含む付記1に記載の医薬組成物。
[付記42] 約15~45マイクロモーラーの亜鉛;等モル濃度の前記アミノ酸配列Pyro-Glu-Ala-Lys-Ser-GIn-GlyGly-Ser-Asnを使用して配列決定および合成されたチムリン;および、薬学的に許容される賦形剤をさらに含む付記1に記載の医薬組成物。
[付記43] 約15~45マイクロモーラーの亜鉛;等モル濃度の前記アミノ酸配列H-Pyr-Ala-Lys-Ser-Gln-Gly-Gly-Ser-Asn-OHを使用して配列決定および合成されたチムリン;および、薬学的に許容される賦形剤をさらに含む付記1に記載の医薬組成物。
[付記44] 約15~45マイクロモーラーの亜鉛;等モル濃度の前記アミノ酸配列Pyr-Ala-Lys-Ser-GIn-Gly-Gly-Ser-Asn-OHを使用して配列決定および合成されたチムリン;および、薬学的に許容される賦形剤をさらに含む付記1に記載の医薬組成物。
[付記45] 約15~45マイクロモーラーの亜鉛;等モル濃度の生物学的に抽出されるヒトチムリン;および、薬学的に許容される賦形剤をさらに含む付記1に記載の医薬組成物。
[付記46] 等分子比の亜鉛およびチムリン;および、薬学的に許容される賦形剤
をさらに含む付記1に記載の医薬組成物。
[付記47] 前記亜鉛は塩化亜鉛である付記15に記載の医薬組成物。
[付記48] 血清胸腺因子から調製されるチムリン溶液は、10ピコグラム/ミリリットル~4000ピコグラム/ミリリットルの範囲の量で対象に投与される付記15に記載の医薬組成物。
[付記49] 血清胸腺因子から調製されるチムリン溶液は、0.4mg/kg体重の量で対象に投与される付記15に記載の医薬組成物。
[付記50] 血清胸腺因子から調製されるチムリン溶液は、0.1~100μg/kgの範囲で対象に投与される付記15に記載の医薬組成物。
[付記51] 血清胸腺因子から調製されるチムリン溶液は、約5mg~20mgの範囲内で対象に投与される付記15に記載の医薬組成物。
[付記52] 血清胸腺因子から調製されるチムリン溶液は、対象に、前記対象の体重1kgあたり1.5mgの量で投与される付記15に記載の医薬組成物。
[付記53] 0.0001%~0.1%の重量/体積パーセントで存在する亜鉛およびチムリンをさらに含む付記1に記載の医薬組成物。
[付記54] 0.001%~0.05%の重量/体積パーセントで存在する亜鉛およびチムリンをさらに含む付記1に記載の医薬組成物。
[付記55] 約10mg~約200mgの亜鉛;約5~20mgのチムリン;および、薬学的に許容される賦形剤をさらに含む付記1に記載の医薬組成物。
[付記56] 約15マイクロモーラー~100マイクロモーラーの亜鉛;約0.1mg/kg~10mg/kg体重のチムリン;および、薬学的に許容される賦形剤をさらに含む付記1に記載の医薬組成物。
[付記57] 約30mgの亜鉛;約0.4mg/kg体重のチムリン;および、薬学的に許容される賦形剤をさらに含む付記1に記載の医薬組成物。
[付記58] 約15マイクロモーラーの亜鉛;約0.4mg/kg体重のチムリン;および、薬学的に許容される賦形剤をさらに含む付記1に記載の医薬組成物。
[付記59] 約15~20マイクロモーラーの亜鉛;および、薬学的に許容される賦形剤を含む医薬組成物。
[付記60] met-FTSをコードする合成DNA配列を発現する組み換えアデノウイルスベクター、RAd-metFTS(メチオニン-FTS);血清胸腺因子(FTS)の類似体;および、薬学的に許容される賦形剤を含む医薬組成物。
[付記61] 固体経口投与量は、カプセルまたは錠剤である付記1に記載の医薬組成物。
[付記62] 前記医薬組成物は、粉末として製剤化される付記1に記載の医薬組成物。
[付記63] 前記医薬組成物は、液体、懸濁液、注射可能な溶液、およびシロップからなる群から選択される少なくとも1つとして製剤化される付記1に記載の医薬組成物。
[付記64] 前記医薬組成物は、製剤化されて、皮下投与を介して非経口的に投与される付記1に記載の医薬組成物。
[付記65] 前記医薬組成物は、製剤化されて、静脈内投与を介して非経口的に投与される付記1に記載の医薬組成物。
[付記66] 前記医薬組成物は、製剤化されて、筋肉内投与を介して非経口的に投与される付記1に記載の医薬組成物。
[付記67] 前記医薬組成物は、製剤化されて、経皮投与を介して投与される付記1に記載の医薬組成物。
[付記68] 前記医薬組成物は、坐薬の形態で製剤化され、および投与される付記1に記載の医薬組成物。
[付記69] 付記1に記載の前記医薬組成物中の活性チムリンを測定および最適化する方法であって、チムリンを提供すること;亜鉛を提供すること;少なくとも1つの薬学的に許容される賦形剤を提供すること;前記チムリン、亜鉛および薬学的に許容される賦形剤を組み合わせて活性化チムリンを含む医薬組成物にすること;前記医薬組成物を対象に投与すること;少なくとも1つの血清サンプルを前記対象から回収すること;および、チムリン、亜鉛、および前記薬学的に許容される賦形剤からなる群から選択される少なくとも1つを測定することを含む、前記方法。
[付記70] 活性チムリンの存在は、蛍光X線を使用して原子レベルでチムリンに存在する亜鉛を検出することによって監視および最適化される付記69に記載の方法。
[付記71] 付記72に記載の方法を介して、活性チムリンの存在を示すまで、亜鉛は前記組成物に添加される付記70に記載の方法。
[付記72] 亜鉛は、チムリンと等モル濃度で混合される付記69に記載の方法。
[付記73] 亜鉛は、チムリンと等分子比で混合される付記69に記載の方法。
[付記74] チムリンは、抗体を使用して測定される付記69に記載の方法。
[付記75] 前記チムリンに添加されると、前記チムリン中の亜鉛の存在は、蛍光X線技術を使用して確認される付記69に記載の方法。
[付記76] 前記測定方法は、0.03~16ng・mL
-1
の範囲内の前記組成物中のチムリンの存在を決定する酵素結合免疫吸着測定法(ELISA)キットである付記69に記載の方法。
[付記77] 前記測定方法は、チムリンに特異的な抗体を使用する前記組成物のラジオイムノアッセイである付記69に記載の方法。
[付記78] 前記測定方法は亜鉛の測定であり、原子吸光分光法によって達成される付記69に記載の方法。
[付記79] 付記1に記載の医薬組成物を、それを必要とする対象に投与することを含む、その後細胞傷害性T細胞を活性化するインターロイキン2を産生するヘルパーT1細胞を生成する方法。
[付記80] 免疫系機能不全または欠乏症に関連する慢性症状の治療、重症度の軽減、発生率の軽減、発症の遅延、再発の予防または病因の軽減のための、それらを必要とする対象に対して、付記1に記載の医薬組成物を投与することを含む方法。
[付記81] 前記慢性症状が癌である付記80に記載の方法。
[付記82] 前記癌は、膵臓癌、前立腺癌、乳癌、肺癌、結腸癌、子宮頸癌、卵巣癌、黒色腫、リンパ腫、リンパ腫および扁平上皮癌からなる群から選択される少なくとも1つである付記81に記載の方法。
[付記83] 持続性感染症の治療、重症度の軽減、発生率の軽減、発症の遅延、再発の予防または病因の軽減のための、それらを必要とする対象に対して、付記1に記載の医薬組成物を投与することを含む方法。
[付記84] 前記持続性感染症は、ウイルス感染症、細菌感染症、真菌感染症、および寄生虫感染症からなる群から選択される少なくとも1つである付記83に記載の方法。
[付記85] 前記ウイルス感染症は、肝炎ウイルス、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)、ヒトTリンパ好性ウイルス(HTLV)、ヘルペスウイルス、エプスタイン-バーウイルス、およびヒトパピローマウイルスからなる群から選択される少なくとも1つによる感染症である付記84に記載の方法。
[付記86] 細胞傷害性T細胞活性は、付記1に記載の医薬組成物をそれを必要とする対象に投与することによって増加されることをさらに含む付記79に記載の方法。
[付記87] 前記細胞傷害性T細胞活性は、サイトカイン産生、T細胞増殖、および感染性病原体のクリアランスからなる群から選択される少なくとも1つである付記86に記載の方法。
[付記88] 前記感染性病原体は、ウイルス、細菌、真菌、マイコプラズマ、および寄生虫からなる群から選択される少なくとも1つである付記87に記載の方法。
[付記89] 前記T細胞は癌/腫瘍抗原特異的なT細胞である付記87に記載の方法。
[付記90] 前記サイトカインは、IFNγ、TNFα、またはIL-2からなる群から選択される少なくとも1つである付記87に記載の方法。
[付記91] 持続性感染症または癌を有するかまたは有するリスクがある対象を診断する方法であって、(a)前記対象から血漿サンプルを獲得すること;(b)前記サンプル中のチムリンの生物学的活性を測定すること;を含み、対照サンプルにおけるそのような活性と比較したチムリンの生物学的活性の減少は、前記対象が持続性感染症または癌を有するかまたは有するリスクがあることを特定する、前記方法。
[付記92] 持続性感染症または癌を有するかまたは有するリスクがある対象に対する治療を選択する方法であって、(a)前記対象から血漿サンプルを獲得するステップ;(b)前記サンプル中のチムリンの生物学的活性を測定するステップ;および、(c)治療を必要とする前記対象に付記1に記載の医薬組成物を投与することを含む、持続性感染症または癌を有するかまたはリスクがあると診断された前記対象に対する治療法を選択するステップを含む、前記方法。
[付記93] 前記医薬組成物は、1日複数回投与される付記69に記載の方法。
[付記94] 前記医薬組成物は、1日1回投与される付記69に記載の方法。
[付記95] 前記医薬組成物は、2日ごとに、または3日ごとに投与される付記69に記載の方法。
[付記96] チムリン;亜鉛;および、1つ以上の薬学的に許容される賦形剤を含む医薬組成物であって、前記チムリンおよび前記亜鉛は、各々が15μモーラー濃度で、前記1つ以上の薬学的に許容される賦形剤とともに溶液内で組み合わされ、得られた組成物は対象への非経口投与の好適である、前記医薬組成物。
【国際調査報告】