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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-11-30
(54)【発明の名称】手術用ハンマー
(51)【国際特許分類】
   A61B 17/92 20060101AFI20221122BHJP
   A61F 2/46 20060101ALN20221122BHJP
【FI】
A61B17/92
A61F2/46
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022515986
(86)(22)【出願日】2020-07-15
(85)【翻訳文提出日】2022-05-02
(86)【国際出願番号】 US2020042059
(87)【国際公開番号】W WO2021066921
(87)【国際公開日】2021-04-08
(31)【優先権主張番号】16/787,500
(32)【優先日】2020-02-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/908,813
(32)【優先日】2019-10-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】519070932
【氏名又は名称】シュクラ・メディカル
【氏名又は名称原語表記】SHUKLA MEDICAL
【住所又は居所原語表記】8300 SHEEN DRIVE, ST. PETERSBURG, FL 33709, UNITED STATES OF AMERICA
(74)【代理人】
【識別番号】100121821
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 強
(72)【発明者】
【氏名】スワイツァー ザッカリー ロバート
(72)【発明者】
【氏名】キーチ ニコラス クリストファー
【テーマコード(参考)】
4C097
4C160
【Fターム(参考)】
4C097AA01
4C097BB10
4C097DD09
4C097EE13
4C160LL70
(57)【要約】
手術用ハンマーは、ハンドルと、ハンドルから延びるシャフトと、シャフトに接続されたハンマーヘッドと、を備える。ハンマーヘッドは、ハンマーヘッドを通って延在し、ハンマーヘッドの遠位端と流体連結されるスロットと、スロットから横方向に離間し、ハンマーヘッド内に設けられた第1の内部空洞と、スロットから横方向に離間し、ハンマーヘッド内に設けられた第2の内部空洞と、を有する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハンドルと、
前記ハンドルから延びるシャフトと、
前記シャフトに接続されたハンマーヘッドと、
を備え、
前記ハンマーヘッドは、
前記ハンマーヘッドを通って延在し、前記ハンマーヘッドの遠位端と流体連結されるスロットと、
前記スロットから横方向に離間し、前記ハンマーヘッド内に設けられた第1の内部空洞と、
前記スロットから横方向に離間し、前記ハンマーヘッド内に設けられた第2の内部空洞と、
を有する、手術用ハンマー。
【請求項2】
前記第1の内部空洞及び前記第2の内部空洞のそれぞれの一部は、金属で満たされている、請求項1に記載の手術用ハンマー。
【請求項3】
前記第1の内部空洞及び前記第2の内部空洞のそれぞれの一部は、金属製のボールベアリング又はショットで満たされている、請求項1に記載の手術用ハンマー。
【請求項4】
前記第1の内部空洞及び前記第2の内部空洞は、部分的に金属で満たされている、請求項2に記載の手術用ハンマー。
【請求項5】
前記第1の内部空洞及び前記第2の内部空洞のそれぞれは、容積で約20%から95%の金属で満たされている、請求項2に記載の手術用ハンマー。
【請求項6】
前記第1の内部空洞及び前記第2の内部空洞のそれぞれは、完全に金属で満たされている、請求項2に記載の手術用ハンマー。
【請求項7】
前記第1の内部空洞及び前記第2の内部空洞のそれぞれは、円筒形の空洞である、請求項1に記載の手術用ハンマー。
【請求項8】
前記スロットは、前記第1の内部空洞と前記第2の内部空洞との間にある、請求項1に記載の手術用ハンマー。
【請求項9】
前記第1の内部空洞及び前記第2の内部空洞は、前記ハンマーヘッドの全体容積の約40%から70%の全体容積を有する、請求項1に記載の手術用ハンマー。
【請求項10】
前記シャフトは、前記ハンマーヘッドの近位端に接続されている、請求項1に記載の手術用ハンマー。
【請求項11】
前記シャフトが、前記ハンマーヘッドの近位端において前記ハンマーヘッドの長手方向の中央部分に接続されている、請求項1に記載の手術用ハンマー。
【請求項12】
前記スロットは、前記シャフトの長手方向軸線に平行な長手方向軸線を有する細長いスロットである、請求項1に記載の手術用ハンマー。
【請求項13】
前記スロットは、先細のスロットである、請求項1に記載の手術用ハンマー。
【請求項14】
前記スロットの近位端を規定する凸面を含む、請求項1に記載の手術用ハンマー。
【請求項15】
前記ハンマーヘッドは、実質的に円筒形の全体外形を有する、請求項1に記載の手術用ハンマー。
【請求項16】
前記ハンマーヘッドは、約100gから5kgの総重量を有する、請求項1に記載の手術用ハンマー。
【請求項17】
ハンドルと、
前記ハンドルから延びるシャフトと、
実質的に円筒形のハンマーヘッドと、
を備え、
前記シャフトは、前記ハンマーヘッドの近位端において前記ハンマーヘッドの長手方向の中央部分に接続されており、
前記ハンマーヘッドは、
前記ハンマーヘッドを通って延在し、前記ハンマーヘッドの遠位端と流体連結される細長い先細のスロットと、
細長い先細の前記スロットから横方向に離間し、少なくとも部分的に金属製のボールベアリング又はショットで満たされた前記ハンマーヘッド内の円筒形の第1の内部空洞と、
細長い先細の前記スロットから横方向に離間し、少なくとも部分的に金属製のボールベアリング又はショットで満たされた前記ハンマーヘッド内の円筒形の第2の内部空洞と、
を有する、手術用ハンマー。
【請求項18】
前記第1の内部空洞及び前記第2の内部空洞は、前記ハンマーヘッドの全体容積の約40%から70%の全体容積を有する、請求項17に記載の手術用ハンマー。
【請求項19】
前記ハンマーヘッドは、約100gから5kgの総重量を有する、請求項17に記載の手術用ハンマー。
【請求項20】
金属製の前記ボールベアリング又は前記ショットは、容積で前記第1の内部空洞及び前記第2の内部空洞の総内部容積の約20%から約95%を占める、請求項20に記載の手術用ハンマー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の例示的な実施形態は、概して、医療装置インプラント摘出ツールの分野に関する。具体的には、本開示は、手術用ハンマーに関する。
【背景技術】
【0002】
多くの場合、インプラント再置換手術を実施する場合、及び任意の種類の手術を実施する場合、手術用の装置のシャフト又はシャンクに平行な力を加えるために、手術用の装置のシャフト又はシャンクに沿って正確に力を導くことが必要になる又は望ましい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許出願公開第2018/116821号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示は、この必要性に対処するための改良された手術用ハンマーを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の1つの例示的実施形態は、ハンドルと、ハンドルから延びるシャフトと、シャフトに接続されたハンマーヘッドとを含む手術用ハンマーを提供する。ハンマーヘッドは、ハンマーヘッドを通って延在し、ハンマーヘッドの遠位端と流体連結されるスロットと、スロットから横方向に離間し、ハンマーヘッド内に設けられた第1の内部空洞と、スロットから横方向に離間し、ハンマーヘッド内に設けられた第2の内部空洞とを含む。特定の実施形態では、スロットは、第1の内部空洞と第2の内部空洞との間にある。
【0006】
特定の例示的な実施形態では、第1の内部空洞及び第2の内部空洞それぞれの少なくとも一部は、金属製のボールベアリング又はショットなどの固体材料(例えば、金属)で充填される。第1の内部空洞及び第2の内部空洞は、部分的又は完全に満たすことができる。例えば、金属製のベアリング又はショットは、第1の内部空洞及び第2の内部空洞それぞれの内部容積の約20%~約95%を占めることができる。例示的な実施形態では、第1の内部空洞及び第2の内部空洞それぞれは、円筒形の空洞である。
【0007】
特定の例示的な実施形態では、第1の内部空洞及び第2の内部空洞は、ハンマーヘッドの全体容積の約40%~70%の全体容積を有する。特定の実施形態では、シャフトは、ハンマーヘッドの近位端及び/又はハンマーヘッドの長手方向中央部に接続される。例示的な実施形態では、スロットは、シャフトの長手方向軸線に平行な長手方向軸線を有する細長いスロットである。特定の実施形態では、スロットは、先細のスロットである。特定の実施形態では、ハンマーは、スロットの近位端を画定する凸面を含む。
【0008】
特定の例示的な実施形態では、ハンマーヘッドは、実質的に円筒形の全体外形を有する。例えば、ハンマーヘッドは、約100gから5kgの総重量を有することができる。
【0009】
本開示の別の例示的な実施形態は、ハンドルと、ハンドルから延びるシャフトと、実質的に円筒形のハンマーヘッドと、を備え、シャフトが、ハンマーヘッドの近位端においてハンマーヘッドの長手方向の中央部分に接続されている、手術用ハンマーを提供する。ハンマーヘッドは、ハンマーヘッドを通って延在し、ハンマーヘッドの遠位端と流体連結される細長い先細のスロットと、細長い先細のスロットから横方向に離間し、少なくとも部分的に金属製のボールベアリング又はショットで満たされたハンマーヘッド内の円筒形の第1の内部空洞と、細長い先細のスロットから横方向に離間し、少なくとも部分的に金属製のボールベアリング又はショットで満たされたハンマーヘッド内の円筒形の第2の内部空洞と、を有する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
本開示の例示的実施形態の以下の詳細な説明は、添付図面と併せて読むと、より良く理解されるであろう。本開示を例示するために、例示的な実施形態が図面に示されている。しかしながら、本出願は、示された正確な配置及び器具に限定されないことを理解されたい。
図1図1は、本開示の例示的実施形態による手術用ハンマーの斜視図である。
図2図2は、図1の手術用ハンマーの左側面図である。
図3図3は、図1の手術用ハンマーの上面図である。
図4図4は、図1の手術用ハンマーの底面図である。
図5図5は、図1の手術用ハンマーの正面図である。
図6A図6Aは、図1の手術用ハンマーの断面図である。
図6B図6Bは、図1の手術用ハンマーの別の断面図である。
図7A図7Aは、図1の手術用ハンマーと共に使用することができる例示的な手術用装置である。
図7B図7Bは、図7Aの外科デバイスに係合した図1の手術用ハンマーを示す。
【発明を実施するための形態】
【0011】
ここで、添付の図面に示される本開示の例示的実施形態を詳細に参照する。可能な限り、同一又は類似の特徴を参照するために、図面全体を通じて同一又は類似の参照番号が使用される。図面は単純化された形であり、正確な縮尺で描かれていないことに留意されたい。本明細書中の開示に関しては、便宜上及び明りょう性の目的のみのために、上方、下方、上端、下端、上部、下部及び対角線のような方向用語が添付の図面に関して使用される。以下の図面の説明に関連して使用されるこのような方向性のある用語は、明示的に記載されていない方法で主題の開示の範囲を制限すると解釈されるべきではない。また、明細書において「a」という用語は、「少なくとも1つ」を意味し、用語は、上記の用語、その派生物、および類似の意味を有する用語を含む。
【0012】
本明細書で使用される「約」とは、量、時間的持続時間等の測定可能な値を言及する場合、例えば、変動が適切であるように、指定された値から±20%、±10%、±5%、±1%又は±0.1%の変動を包含することを意味する。
【0013】
本明細書において使用される場合、「実質的に」とは、当該技術分野において容認される範囲、大部分ではあるが完全には特定されていないかなりの範囲、又は当該技術分野において容認されるような、当該技術分野からの適切な変更を意味するものとする。
【0014】
本出願を通して、その種々の態様を範囲フォーマットで提示することができる。範囲形式の説明は、単に便宜性及び簡潔性のためのものであり、本開示の範囲に対する柔軟性のない制限と解釈されるべきではないことを理解されたい。したがって、範囲の説明は、その範囲内の個々の数値だけでなく、全ての可能な範囲を具体的に開示したものとみなすべきである。例えば、1~6の範囲の説明は、1~3、1~4、1~5、2~4、2~6、3~6等のような範囲、及び例えば1、2、2.7、3、4、5、5.3、6のような範囲内の個々の数字を具体的に開示しているとみなすべきである。これは、範囲の幅に関係なく適用される。
【0015】
さらに、本開示の例示的実施形態の記載された特徴、利点及び特徴は、1つ以上の実施形態において任意の適切な方法で組み合わせることができる。当業者は、本明細書の説明に照らして、特定の例示的実施形態の1つ以上の特定の特徴又は利点なしに、主題の開示を実施することができることを認識するであろう。他の例では、本開示の全ての例示的な実施形態に存在しないかもしれない特定の実施形態において、付加的な特徴及び利点が認識されてもよい。
【0016】
図面を参照すると、図1~7は、本開示の例示的実施形態による手術用ハンマ(100)を図示している。手術用ハンマーは、ハンドル(102)と、ハンドルから延びるシャフト(104)とを含む。ハンマーヘッド(106)は、シャフト(104)に接続されており、スロット(108)を含んでいる。スロット(108)は、ハンマーヘッド(106)において広がっており、ハンマーヘッドの遠位端(110)と流体連結(fluid communication)する。
【0017】
図6Aに最も良く示され、以下により詳細に説明されるように、この例示的実施形態におけるハンマーヘッド(106)は、スロット(108)から横方向に離間された第1の内部空洞(612)と、スロット(108)から横方向に離間された第2の内部空洞(614)とを含む。別の実施形態では、ハンマーヘッド(106)は、任意の位置でハンマーヘッド内に配置された1つ以上の内部空洞を有することができる。
【0018】
ハンドル(102)は、ハンドルの長手方向に延びる足場(scaffold)(605)を含むことができる。足場は、ハンドル(102)の近位端(101)及び手術用ハンマー(100)の周りの放射状フレア(607)と、ハンドルの遠位端(103)の周りの第2の放射状フレア(609)とを含む。この特定の実施形態では、放射状フレア(607)及び第2の放射状フレア(609)は、同じ直径を有する。この実施形態における放射状フレア(607)と第2の放射状フレア(609)との間の長さに沿って、足場(605)は、概ね断面形状が円形であり、直径が小さい。足場における一連の開口(611)は、例えば、成形中に把持部(613)との係合を容易にするために、任意に設けられてもよい。
【0019】
把持部(613)は、足場(605)の周囲に固定され、ハンドル(102)の外面を形成する。把持部は、手術用ハンマー(100)の効率的及び/又は人間工学的な手動操作を容易にする種々の材料から構成することができる。この例示的な実施形態では、把持部の直径は、把持部においてハンドル(102)の長手方向の中央部(115)付近で比較的に大きく、把持部において中央部(115)付近の直径は、放射状フレア(607、609)の直径とほぼ同じ、又は同じ直径を有する。把持部(613)は、図1~7に示すように、中央部(115)から縮小した直径に向かって徐々に細くなり、その後、ハンドル(102)の近位端(101)の周りの放射状フレア(607)及びハンドル(102)の遠位端の周りの第2の半放射状フレア(609)に外接するようテーパになっている。上記の説明は、限定ではなく例示の目的のために提供されているため、他の設計を提供することができる。
【0020】
第2の放射状フレア(609)は、ハンドルの遠位端(103)の中央に位置するねじ付き穴(617)を含むことができる。ねじ付き穴(617)は、シャフト(104)の相補的なねじ山付き近位部分(619)を受けるように形成されている。図6Aに示されるように、足場(605)と係合するシャフトの近位部分(619)は、シャフト(104)の残りの部分と比較して縮小した直径を有する。この実施形態では、その近位部分(619)を含むシャフト(104)は、円形又は略円形の断面形状を有するが、シャフト(104)は、代替的に異なる形状を有することができる。
【0021】
シャフト(104)は、シャフト(104)の遠位端(627)の周りのねじ付き部分(621)まで遠位側に延びている。ねじ付き部分(621)は、円形の断面形状を有する。穴(623)は、ハンマーヘッドの本体(641)において、ハンマーヘッド(106)の近位端(116)の周りに設けられており、ねじ付き部分(621)を受け入れるサイズであり、ねじ付き部分(621)に相補的なねじ山が設けられている。穴(623)の中心は、ハンマーヘッド(106)の長手方向長さ(l)の長手方向中央部(524)に沿って位置している。図6A及び図6Bに最も良く示されるように、シャフト(627)の遠位端は、組み立てられたスロット(108)の近位端(125)に接近している。(例えば、遠位端(627)は、スロット(108)の近位端(125)の5、4、3、2又は1mm内にある。)
図に示されるように、この例示的な実施形態におけるハンマーヘッド(106)は、円筒形の全体形状を有し、より詳細には、直円筒形の全体形状を有する。スロット(108)は、ハンマーヘッド(106)の長手方向中央部(524)の周りにハンマーヘッドの本体(641)を貫通し、シリンダを解離し、ハンマーヘッド(106)の一方側に第1の円筒部(130)を形成し、ハンマーヘッド(106)の他方側に第2の円筒部(132)を形成する。
【0022】
図5に最も良く示されるように、スロット(108)は、シャフト(104)の長手方向軸線(520)と同軸、及び/又は平行である長手方向軸線(518)を有する細長いスロットである。スロット(108)は、また、テーパ状のスロットであり、ハンマーの遠位端(110)のスロットの幅は最も広く、スロットがスロットの近位端(125)に近づくにつれて幅は徐々に小さくなる。
【0023】
図6Bは、シャフト(104)の長手方向中央部(524)に沿った断面図である。そこに示されるように、ハンマーのスロットの近位端(125)は、スロットの近位端を画定する凸面(129)を含む。凸面は、ハンマーヘッド(106)の本体(641)において向かい合う打撃面(658、660)に近づくにつれて、対称的に内向きに湾曲する。凸面(129)は、第1の内部空洞と第2の内部空洞との間にある。
【0024】
以下にさらに詳細に説明するように、手術において手術用ハンマーは、打撃される物体のシャフト又はシャンクがスロット内に位置するように位置決めされる。図6Bに示される例示的な実施形態では、近位端(125)の凸形状は、ユーザが手首を上向きにして自然にヒンジ又はコックする等、ユーザが自然な手首の動きでスイングしたときに、ハンマーヘッド(104)のスイング平面(127)と実質的に一致する。これは、打たれる物体のシャフトの長手方向の平面からハンマーヘッドを遠ざける傾向があり、次に、下向きのスイングで手首を緩めるか解放する。これにより、シャフトの長手方向の平面からハンマーヘッドが再び離れる傾向がある。この特定の実施形態におけるスロット(106)の近位端(125)における凸形状(129)は、ハンマーヘッドのこの自然なスイング平面(127)を説明し、ハンマーヘッドが全可動域にわたってユーザによってスイングされ、打たれた物体(例えば、打たれた物体の打撃プレート)に効率的に力を伝達するときに、シャフト又は他の直線ガイドとより良好な接触を維持することを可能にする。
【0025】
スロット(108)が形成されたハンマーヘッドの本体(641)は、スロット(108)の一方の側に沿った第1の内部空洞(612)と、スロット(108)の他方の側に沿った第2の内部空洞(614)とを含む。図6Aに最も良く示されるように、第1及び第2の内部空洞の一部は円筒形であり、第1の内部空洞(612)の一部及び第2の内部空洞(614)の一部は、金属又は他の高密度物質のような固体材料で満たされている。図6Aに示されるような部分的な部分、又は第1の内部空洞及び/又は第2の内部空洞の全体的な部分は、固体材料で充填することができる。この特定の実施形態では、第1及び第2の内部空洞は、金属ベアリング又はショット(622)で満たされている。
【0026】
例えば、特定の実施形態では、第1の内部空洞(612)及び第2の内部空洞(614)は、ハンマーヘッド(106)の全体容積の25%~約85%(例えば、40%~約70%)の全体容積を有する。第1及び第2の内部空洞は、より大きな又はより小さな体積を提供するために、より大きく又はより小さくすることができる。第1及び第2の内部空洞は、同じサイズ及び体積を有することができ、又は、それらは、他の空洞とは異なるサイズ及び体積を有することができる。この特定の実施形態では、第1及び第2の内部空洞は、実質的に同じサイズ及び体積を有する。
【0027】
例示的な実施形態では、第1の内部空洞(612)及び第2の内部空洞(614)は、個々の構成要素(例えば、個々のボールベアリング又はショット(622))が使用時に空洞内を移動する余地を持たないように、固体材料で完全に満たされる。
【0028】
あるいは、例示的な実施形態では、第1の内部空洞(612)及び/又は第2の内部空洞(614)は、図6Aに示されるように、部分的に充填される。部分的に充填された空洞を設けて、打撃中に発生し得るハンマーヘッドのリンギング音又は残響を抑制することができる。例示的な実施形態では、第1の内部空洞(612)及び/又は第2の内部空洞(614)は、ハンマーヘッド空洞が音叉に音響的に類似する程度に部分的に充填され、ショット又は個々のボールベアリングが音の原因となる振動を減衰させる。加えて、または代替的に、第1の内部空洞(612)及び/又は第2の内部空洞(614)は、打撃物体からのハンマーヘッドの跳ね返り又は跳ね返りが衝撃時に減少するデッドブロー効果を提供するように、部分的に充填される。
【0029】
一実施形態では、固体材料(例えば、ショット(622))は、例えば、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%及び95%を含む、第1の内部空洞(612)及び/又は第2の内部空洞(614)の全内部容積の約5%~約98%、又は約20%~約95%、又は約50%~約90%を占める。
【0030】
第1の内部空洞(612)及び第2の内部空洞(614)の体積、及び/又は第1の内部空洞(612)及び第2の内部空洞(614)が固体材料で充填される程度(例えば容積)は、ハンマーヘッド(104)の所望の重量に基づいて変化させ、ハンマーによる衝撃時に所望の力を与えることができる。
【0031】
例示的な実施形態では、ハンマーヘッドは、約100g~5kgの総重量を有する。例えば、ハンマーヘッドは、約500g~4kg、又は約1kg~3kgの総重量を有することができる。その他の重量は、用途に応じて提供できる。例えば、より繊細な外科的処置の場合、ハンマーヘッドは、100g未満、又は50g未満(例えば、約10g程度)の総重量を有することができる。あるいは、大きな手足を含む整形外科手術などのより侵襲的な手術の場合、ハンマーヘッドは、1kgを超える、3kgを超える、又は5kgを超える(例えば、最大約10kg)総重量を有することができる。例えば、200g、300g、400g、500g、600g、700g、800g、900g、2kg、4kg、6kg、7kg、8kg、および9kgを含む、他のハンマーヘッド重量を提供することができる。
【0032】
第1の円筒部(130)及び第2の円筒部(132)の周囲の本体(641)の表面は、医療デバイス(例えば、医療インプラント及び医療インプラントの抽出に関連するツール)と接触するための打撃面(658、660)を形成する。したがって、本体(641)及びハンマーヘッド(106)は、一般に、金属、セラミックなどの適切な硬い材料、又はステンレス鋼、アルミニウム、銅、スズ、軟鋼などの複合材料で構成することができるが、これらに限定されるものではない。本開示に従って、他の構成を提供することができる。
【0033】
第1のキャップ(126)は、第1の円筒部(130)の端部の周りに設けられ、これは、一端部(633)(例えば、第1のキャップ(126)の横方向の端部)に沿ってハンマーヘッド(106)自体の端部(例えば、横方向の端部)を形成し、また、第1のキャップの反対側の端部(635)に沿って第1の内部空洞(612)への境界を形成する。第2のキャップ(128)は、第2の円筒部分(132)の端部の周りに設けられ、ハンマーヘッド(106)の反対側の端部(629)を形成し、また、第2のキャップ(128)の反対側の端部(631)に沿って第2の内部空洞(614)への境界を形成する。特定の実施形態では、第1のキャップ(126)及び第2のキャップ(128)は、側端部(629、633)の周りに第2の打撃表面を提供することができる。
【0034】
図6Aに示されるように、第1のキャップ(126)は、円筒形ハンマーヘッド(106)自体の全体の直径と同一又は実質的に同一の直径を有する端部(633)の周りの第1の円形部分(637)と、第1の円形部分よりも相対的に直径が小さく、ねじ山が形成された第2の円形部分(639)とを有している。この例示的な実施形態では、本体(641)の端部は、第1のキャップ(126)の第2の円形部分(639)を受け入れるサイズの穴を含み、穴には、第1のキャップ(126)の第2の円形部分(639)のねじ山と相補的なねじ山が設けられる。第2のキャップ(128)は、同じ方法で本体(641)と係合している。あるいは、例えば、ねじ山のないボアを設けることができ、第1のキャップ(126)の第2円形部分(639)及び本体の端部は、例えば、圧入係合(press-fit engagement)又は滑り嵌め(slip-fit engagement)を提供するような寸法にすることができる。さらに、例えば、第1及び第2のキャップ(126、128)をさらに本体(641)の端部に固定するために、溶接及び/又はエポキシを任意に使用することができる。
【0035】
第1の内部空洞(106)及び第2の内部空洞(108)は、ショット(622)で充填することができ、第1のキャップ及び第2のキャップは、空洞内においてショット(622)を固定するために本体(641)に係合(例えば、ねじ込み)することができる。第1及び第2のキャップの端部(629、633)の外周は、任意選択的に、(例えば溶接により)永久的に固定することができ、又は他の方法で封止し、仕上げを施すことができる。
【0036】
手術中、例えば、即時に開示された手術用ハンマーのユーザは、手術用装置のシャフト又はシャンクの周りにスロット(104)を挿入し、シャフト又はシャンクに平行にハンマーヘッドを効率的に移動させるためのガイドとして医療装置のシャフト又はシャンクを使用しながら、その手術用装置に力を加えることができる。
【0037】
図7Aは、即座に開示された手術用ハンマー(100)を適用することができる例示的な医療装置(700)を示す。例えば、ユーザは、図7Bに示されるように、医療装置(700)のシャンク(704)内及びその周囲に、即時に開示される手術用ハンマーのスロット(108)を挿入することができる。次に、ハンマーヘッドを方向(754)に揺動又は落下させ、医療装置(700)の打撃プレート(756)をハンマーヘッドの本体に接触させる。これにより、医療用インプラント(750)の除去が支援される。
【0038】
当業者には、上述の例示的な実施形態を、その広範な発明概念から逸脱することなく変更することができることが理解されるであろう。したがって、本開示は、開示された特定の実施形態に限定されるものではなく、本明細書に定義された特許請求の範囲の精神および範囲内の変更をカバーすることを意図していることが理解されるべきである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6A
図6B
図7A
図7B
【手続補正書】
【提出日】2022-05-23
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】請求項20
【補正方法】変更
【補正の内容】
【請求項20】
金属製の前記ボールベアリング又は前記ショットは、容積で前記第1の内部空洞及び前記第2の内部空洞の総内部容積の約20%から約95%を占める、請求項17,18又は19に記載の手術用ハンマー。
【国際調査報告】