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特表2022-550033Wi-FiネットワークにおけるOFDMA最適化ステアリング
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-11-30
(54)【発明の名称】Wi-FiネットワークにおけるOFDMA最適化ステアリング
(51)【国際特許分類】
   H04W 76/10 20180101AFI20221122BHJP
   H04W 84/12 20090101ALI20221122BHJP
   H04W 72/04 20090101ALI20221122BHJP
   H04W 8/22 20090101ALI20221122BHJP
   H04W 16/28 20090101ALI20221122BHJP
【FI】
H04W76/10
H04W84/12
H04W72/04 133
H04W8/22
H04W16/28 130
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022518674
(86)(22)【出願日】2020-09-14
(85)【翻訳文提出日】2022-05-23
(86)【国際出願番号】 US2020050633
(87)【国際公開番号】W WO2021067025
(87)【国際公開日】2021-04-08
(31)【優先権主張番号】62/909,338
(32)【優先日】2019-10-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】17/010,957
(32)【優先日】2020-09-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】518329826
【氏名又は名称】プリューム デザイン インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】PLUME DESIGN, INC.
【住所又は居所原語表記】325 Lytton Ave, Palo Alto, CA 94301 USA
(74)【代理人】
【識別番号】100145713
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 竜太
(74)【代理人】
【識別番号】100165157
【弁理士】
【氏名又は名称】芝 哲央
(74)【代理人】
【識別番号】100120684
【弁理士】
【氏名又は名称】宮城 三次
(72)【発明者】
【氏名】マクファーランド ウィリアム ジェイ.
【テーマコード(参考)】
5K067
【Fターム(参考)】
5K067EE02
5K067EE10
5K067KK02
5K067KK03
(57)【要約】
本開示は、Wi-Fiネットワーク(10、10A、32)における直交周波数分割多重アクセス(OFDMA)最適化ステアリングのためのシステム及び方法に関する。本開示は、OFDMA技術、例えば、IEEE802.11axを利用する複数のアクセスポイントネットワーク(14、36)における動作を企図し、クライアントが接続される場所に応じてOFDMA動作への影響を考慮してアクセスポイントにクライアントが接続される。すなわち、本開示は、分散又は複数のアクセスポイントネットワーク(14、36)における最適化の文脈でOFDMA動作を考慮する。最適化決定は、クライアントデバイス及び/又はアクセスポイントの能力に基づいて行われる。最適化決定は、クライアントデバイスが接続すべき場所を選択するために使用され、最適化要因には、個々のデバイススループット、共同負荷スループット(システム容量)、公平性等を含んでもよい。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
結合されたWi-Fiネットワーク(10、10A、32)を形成するように構成された複数のアクセスポイント(14、36)に通信するステップであって、前記複数のアクセスポイント(14、36)の少なくとも一部のアクセスポイント(14、36)は直交周波数分割多重アクセス(OFDMA)を利用する、ステップと、
前記複数のアクセスポイント(14、36)のうちのどれが前記結合されたWi-Fiネットワーク(10、10A、32)のOFDMA動作に部分的に基づいて前記複数のクライアントデバイス(16)のうちのいくつかに接続するかを決定するステップと、
を含む、方法。
【請求項2】
前記複数のアクセスポイント(14、36)のうちアクセスポイント(14、36)は、複数の家および複数の企業のうちの少なくとも1つを含む複数の場所に配置される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記複数のアクセスポイント(14、36)のうちのどれが前記複数のクライアントデバイス(16)のうちのいくつかに接続するかを決定するステップは、前記複数のクライアントデバイス(16)のOFDMA能力、多重入力多重出力(MIMO)能力およびチャネル能力のうちの少なくとも1つを含むクライアント情報に基づいている、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記クライアント情報は、前記複数のクライアントデバイス(16)、及び前記複数のアクセスポイント(14、36)によって収集されたデータのうちの少なくとも1つから取得される、請求項4に記載の方法。
【請求項5】
前記複数のアクセスポイント(14、36)のうちのどれが前記複数のクライアントデバイス(16)のうちのいくつかに接続するかを決定するステップは、前記複数のクライアントデバイス(16)の前記複数のアクセスポイント(14、36)に対するトラフィック負荷、パケット長、及び信号強度の少なくとも1つを含む前記結合されたWi-Fiネットワーク(10、10A、32)のOFDMA動作に関するクライアントの特性に基づいている、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記複数のアクセスポイント(14、36)のうちのどれが前記複数のクライアントデバイス(16)のうちのいくつかに接続するかを決定するステップは、動的であり、時間ベースの再計算と、前記結合されたWi-Fiネットワーク(10、10A、32)の状態の変化に基づく再計算との少なくとも一方に基づいて変化する、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記複数のアクセスポイント(14、36)のうちのどれが前記複数のクライアントデバイス(16)のうちのいくつかに接続するかを決定するとき、前記結合されたWi-Fiネットワーク(10、10A、32)が最適化され、最適化要因は、前記複数のアクセスポイントのそれぞれの個々のデバイススループット、前記結合されたWi-Fiネットワーク(10、10A、32)の共同負荷スループット、前記複数のクライアントデバイス(16)に対するスループットの公平性、及び前記結合されたWi-Fiネットワーク(10、10A、32)の条件の安定性を含む、請求項1~6いずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記複数のクライアントデバイス(16)は、接続先を示すクライアントデバイス(16)へのメッセージング、プローブ応答ブロック、関連付け又は認証ブロック、ビーコン隠し、及び混乱を最小限に抑えるためのプロトコルのうちの1つ又は複数を使用して、前記複数のアクセスポイント(14、36)に接続するように誘導される、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
プロセッサ(202)と、命令を記憶するメモリ(210)と、を備えるWi-Fiコントローラ(200)であって、前記命令は、実行されると、前記プロセッサ(202)に請求項1~8のいずれか一項に記載の方法を実施させる、Wi-Fiコントローラ(200)。
【請求項10】
前記Wi-Fiコントローラ(200)は、ローカルコントローラと、クラウドベースコントローラとの一方である、請求項9に記載のWi-Fiコントローラ(200)。
【請求項11】
前記結合されたWi-Fiネットワーク(10、10A、32)を形成するように構成された前記複数のアクセスポイント(14、36)を備える、Wi-Fiシステムであって、前記複数のアクセスポイント(14、36)の少なくとも1つのアクセスポイント(14、36)が請求項9又は10に記載のWi-Fiコントローラ(200)に接続される、Wi-Fiシステム。
【請求項12】
命令を含むコンピュータプログラムであって、前記命令は、少なくとも1つのプロセッサ上で実行されると、前記少なくとも1つのプロセッサ(202)に請求項1~8のいずれか一項に記載の方法を実施させる、コンピュータプログラム。
【請求項13】
請求項12に記載のコンピュータプログラムを含むキャリアであって、前記キャリアは、電子信号、光信号、無線信号、又はコンピュータ可読ストレージ媒体のうちの1つである、キャリア。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般に、無線ネットワーキングのシステム及び方法に関する。より詳細には、本開示は、Wi-Fiネットワークにおける直交周波数分割多元接続(OFDMA)最適化ステアリングのためのシステム及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
Wi-Fiネットワーク(すなわち、IEEE802.11規格に基づく無線ローカルエリアネットワーク(WLAN))が広く普及している。実際、Wi-Fiは、ユーザデバイス接続の最も一般的な手法であり、Wi-Fi上での実行に使用されるアプリケーションは、拡大を続けている。例えば、Wi-Fiは、あらゆる種類のメディアで、ビデオトラフィック、オーディオトラフィック、電話での通話、ビデオ会議、オンラインゲーム、及び防犯カメラビデオ等で伝送に使用されている。ウェブ閲覧、ファイルのアップロード/ダウンロード、ディスクドライブのバックアップ、及びいくつかのモバイルデバイス用アプリケーション等の従来のデータサービスも同時に使用されることが多い。すなわち、Wi-Fiは、家又は他の場所で、ユーザデバイスとインターネットとの主接続となっている。接続されたデバイスの大半が、その主ネットワーク接続のためにWi-Fiを使用している。そのため、Wi-Fi上でアプリケーションが円滑に動作するようにする必要がある。ネットワーク動作パラメータを調整するための様々な最適化技法がある。例えば、2018年7月11日に出願され、「Optimization of distributed Wi-Fi networks」と題され、本発明の譲受人に譲渡された米国特許出願(特許文献1)に記載されており、その内容は参照により本書に組み込まれるものとする。
【0003】
Wi-Fiが人気を博し、広く普及しているにもかかわらず、消費者の多くは、今もWi-Fiで苦労している。上述のようなリアルタイムのメディアアプリケーションを提供するという課題によって、Wi-Fiのスループット、遅延、ジッター、及び堅牢性に対する要求が高まっている。調査によると、サービスプロバイダを介するインターネットへのブロードバンドアクセスは、99.9%を越える確率で高速データレートである。しかしながら、インターネットが消費者の家の隅まで確実に高速で到達しているにもかかわらず、Wi-Fiを介して家全体に接続を分散するだけでは、信頼性が大幅に低下し、ユーザ体験が低下する。
【0004】
従来のWi-Fiシステムは、i)干渉、ii)輻輳、及びiii)カバレッジを含むいくつかの問題により、良好な動作が妨げられる。干渉については、Wi-Fiの拡大に伴い、重複する異なるWi-Fiネットワーク間の干渉も拡大している。互いの範囲内にある2つのネットワークが高レベルのトラフィックを伝送する場合、互いに干渉して、いずれかのネットワークで実現可能なスループットが低下する。輻輳については、単一のWi-Fiネットワーク内で、いくつかの通信セッションが実行されていることがある。高解像度のビデオストリーム等、いくつかの厳しい要求のアプリケーションを実行すると、ネットワークは飽和状態に達し、ビデオストリームをサポートする十分な容量がなくなることがある。
【0005】
カバレッジについては、Wi-Fi信号は距離とともに減衰し、また壁及び他の物体を通過する際に減衰する。多くの環境、例えば、住居で、確実なWi-Fiサービスが全ての部屋で得られるとは限らない。基本的な接続が全ての部屋で得られる場合であっても、Wi-Fi信号が弱いために、そのような場所の多くで、性能が悪くなる。住居内の様々な物体、例えば、壁、ドア、鏡、人間、及びその辺にあるような物は、全てWi-Fi信号に干渉して減衰させ、データレートを低下させる。
【0006】
従来のWi-Fiシステムの性能を改善するために、2つの一般的手法が試されてきた。第一の手法は、単純に、より強力な単一アクセスポイントを確立して、ある場所をより高い信号強度でカバーしようというものであり、そうすることで、所与の場所でカバレッジをより完全なものにし、データレートをより高くするものである。しかしながら、この手法は、許容送信電力(transmit power)の規制上の限界と、基本的な自然法則との双方で制限される。そのような強力なアクセスポイントを作成するには、電力を増強するにしても、送受信アンテナの数を増やすにしても、実現される改善とともに指数関数的に、その難易度が上昇する。こうした技法を用いた現実的な改善は、6~12dBの範囲である。しかしながら、壁を1枚追加するだけで、12dB減衰することもある。したがって、12dBのリンクバジェットを得るための相当な難易度及び費用にも関わらず、結果としてのシステムは、追加された壁が1枚であっても、通過して送信できない可能性がある。元から存在していた可能性もあるカバレッジの穴は、今も全て存在し、低スループットのデバイスは、今も比較的低いスループットしか実現できず、全体的なシステム容量はわずかしか改善されないことになる。それに加えて、この手法は、干渉及び輻輳に関する状況を何ら改善しない。実際、送信電力を増強することにより、ネットワーク間の干渉量は、現実に増えてしまう。
【0007】
第二の手法は、リピータ又はWi-Fiデバイスのメッシュを用いて、ある場所全体でWi-Fiデータをリピートすることである。この手法は、基本的に、より良いカバレッジを実現するのに、より良い手法である。家の中心に1つのリピータノードを配置するだけでも、1つのWi-Fi送信波が移動しなければならない距離を半分に減らすことができ、Wi-Fi信号の各ホップが横断しなければならない壁の数も半分になる。こうすることで、リンクバジェットの変化を40dB以上とすることができ、これは上述した単一アクセスポイントを拡張することにより得られる6~12dBのタイプの改善と比べて大きな変化である。メッシュネットワークは、Wi-Fiリピータを用いるシステムと同様の特性を有する。完全に相互接続されたメッシュでは、全てのリピータが互いに通信できるようになり、パケットがネットワーク中の任意の経路をたどって複数のホップを介して送達される可能性を開く。
【0008】
最先端のメッシュ又はリピータシステムにも多くの限界はある。このようなシステムはローカル制御に依存するので、リピータ又はメッシュノード間で全バックホール通信に同じ周波数を用いるように自己構成する。このため、深刻なシステム容量の問題が生じる。パケットを目的地に届けるのに、ネットワーク内で3ホップを要求するシステムがあるとする。3ホップは全て同じ周波数チャネル上にあるので、また、範囲(範囲は、サポートされる最も低いデータレートの長いレンジによって決定される)内にある複数のデバイスの中の所与のチャネルで一度に1つのWi-Fi電波しか送信できないので、一度に1つのホップしか有効にできない。したがって、この例では、3ホップを介してパケットを送達することは、当該1つのチャネルでパケットを直接送達する場合の3倍の通信時間がかかることになる。第一のホップでは、パケットがWi-Fiゲートウェイから第一のメッシュノードへと移動しているとき、この家の他の全てのリンクはサイレントでなければならない。同様に、後にパケットが第一のメッシュノードから第二のメッシュノードへと送られるとき、その家の他のどのWi-Fiデバイスも送信することができない。最後に、パケットが第二のメッシュノードから最終目的地へと移動するときも同じである。結局、3ホップのリピートを使用することで、ネットワーク容量が3分の1に減ったことになる。また、単一アクセスポイントの場合と同様に、リピータ又はメッシュの手法は、干渉又は輻輳の問題については役に立たない。前述のように、この技法は、単一のパケット送信が3つの別個の送信となり、全部で3倍の通信時間がかかり、近隣のWi-Fiネットワークに対し3倍の干渉を生じるので、実は干渉を増加させるものである。
【0009】
さらに、Wi-Fiは、IEEE802.11a、802.11b、802.11g、802.11n、802.11ac、及び802.11ax等、より新しい世代の技術で進化し続けている。各世代の技術は、Wi-Fiメディアアクセス制御(MAC)層と物理(PHY)層を進化させ、より多くの機能を追加している。IEEE802.11axの場合、複数のクライアントデバイスとの間で多数の小さなパケットを送信する際のWi-Fi通信の効率改善を目的とした技術として、直交周波数分割多重アクセス(OFDMA)が追加された。OFDMAは、ダウンリンク(1つのアクセスポイントから複数のクライアントに対して同時に通信を行う)、あるいはアップリンク(1つのアクセスポイントに対して複数のクライアントが同時に通信を行う)の両方で動作させることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】米国特許出願第16/032,584号
【発明の概要】
【0011】
本開示は、Wi-Fiネットワークにおける直交周波数分割多重アクセス(OFDMA)最適化ステアリングのためのシステム及び方法に関するものである。本開示は、OFDMA技術、例えば、IEEE802.11ax(Wi-Fi6とも呼ばれる)を利用する複数のアクセスポイントネットワークにおける動作を企図し、クライアントが接続される場所に応じてOFDMA動作への影響を考慮してアクセスポイントにクライアントが接続される。すなわち、本開示は、分散又は複数のアクセスポイントネットワークにおける最適化の文脈でOFDMA動作を考慮する。最適化決定は、各アクセスポイントでローカルに、クラウドベースのコントローラ等のネットワーク外で、複数のアクセスポイント等(異なる家、企業等のアクセスポイントを含む)にわたる分散決定として、行われ得る。最適化決定は、OFDMA能力、多重入力多重出力(MIMO)能力、チャネル能力等を含む、クライアントデバイス及び/又はアクセスポイントの能力に基づいて行うことができる。最適化決定は、トラフィック負荷、パケット長、アクセスポイントへの信号強度等、OFDMAに関連するクライアントデバイスの特性に基づいて行うことができる。最適化決定は、動的であり、時間ベース及び/又は条件変更ベース等、ネットワークの条件に応じて変化させることができる。最適化決定は、クライアントデバイスが接続すべき場所を選択するために使用され、最適化要因には、個々のデバイススループット、共同負荷スループット(システム容量)、公平性等を含んでもよい。最適化要因は、改善量だけでなく、条件の安定性に基づいて測定することができる。クライアントデバイスは、例えば、IEEE802.11k、又は802.11vメッセージ、プローブ応答ブロック、関連付け又は認証ブロック、ビーコン隠し、混乱を最小限に抑えるためのIEEE802.11r技術等、接続先を示すメッセージングを含む様々な技術を使用して、アクセスポイント間でステアリングされることが可能である。
【0012】
本開示は、本明細書において様々な図面を参照して例示され説明され、図面の中で、適宜、類似の参照番号が類似のシステムの構成要素/方法ステップを表示するのに用いられる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】クラウドベースの制御を有するWi-Fiシステムのネットワーク図である。
図2】従来の単一アクセスポイントシステム、Wi-Fiメッシュネットワーク、及びWi-Fiリピータシステムに対する、図1のWi-Fiシステムの動作の違いを示すネットワーク図である。
図3図1のWi-Fiシステム又は図2の他の内のWi-Fiシステムにおけるアクセスポイントの機能的構成要素のブロック図である。
図4図1のWi-Fiシステム又は図2の他の内のWi-Fiシステムで用いることができる、サーバ、Wi-Fiクライアントデバイス、又はユーザデバイスの機能的構成要素のブロック図である。
図5図1のWi-Fiシステムのための構成及び最適化処理300のフローチャートである。
図6】ダウンリンクOFDMAを従来の単一ユーザ通信、すなわち、直交周波数分割多重方式(OFDM)と比較するための周波数対時間のグラフである。
図7】アクセスポイントがクライアントデバイスとの送信において行うことができる様々な時間/周波数割り当てのグラフである。
図8】4つのアクセスポイント及びOFDMAをサポートする様々な(例えば、12の)クライアントデバイスを備えた例示的なWi-Fiシステムのネットワーク図である。
図9】4つのアクセスポイント及びOFDMAをサポートする様々な(例えば、12の)クライアントデバイスを備えた例示的なWi-Fiシステムのネットワーク図である。
図10】4つのアクセスポイント及びOFDMAをサポートする様々な(例えば、12の)クライアントデバイスを備えた例示的なWi-Fiシステムのネットワーク図である。
図11】最適化への入力及び出力のブロック図である。
図12図11の最適化のための例示的な混合整数線形計画(MILP)の方程式である。
図13】まとめて最適化される家の数を減らし、それによって演算の複雑性を管理可能なものにするためのクラスタ化の一例の図である。
図14】任意の分散Wi-Fiネットワークでクライアント関連付けを遠隔で制御するために使用されるクライアントステアリング処理のフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
再び、本開示は、Wi-Fiネットワークにおける直交周波数分割多重アクセス(OFDMA)最適化ステアリングのためのシステム及び方法に関するものである。本開示は、OFDMA技術、例えば、IEEE802.11ax(Wi-Fi6とも呼ばれる)を利用する複数のアクセスポイントネットワークにおける動作を企図し、クライアントが接続される場所に応じてOFDMA動作への影響を考慮してアクセスポイントにクライアントが接続される。すなわち、本開示は、分散又は複数のアクセスポイントネットワークにおける最適化の文脈でOFDMA動作を考慮する。最適化決定は、各アクセスポイントでローカルに、クラウドベースのコントローラ等のネットワーク外で、複数のアクセスポイント等(異なる家、企業等のアクセスポイントを含む)にわたる分散決定として、行われ得る。最適化決定は、OFDMA能力、多重入力多重出力(MIMO)能力、チャネル能力等を含む、クライアントデバイス及び/又はアクセスポイントの能力に基づいて行われる。最適化決定は、トラフィック負荷、パケット長、アクセスポイントへの信号強度等、OFDMAに関連するクライアントデバイスの特性に基づいて行うことができる。最適化決定は、動的であり、時間ベース及び/又は条件変更ベース等、ネットワークの条件に応じて変化させることができる。最適化決定は、クライアントデバイスが接続すべき場所を選択するために使用され、最適化要因には、個々のデバイススループット、共同負荷スループット(システム容量)、公平性等を含んでもよい。最適化要因は、改善量だけでなく、条件の安定性に基づいて測定することができる。クライアントデバイスは、例えば、IEEE802.11k、又は802.11vメッセージ、プローブ応答ブロック、関連付け又は認証ブロック、ビーコン隠し、混乱を最小限に抑えるためのIEEE802.11r技術等、接続先を示すメッセージングを含む様々な技術を使用して、アクセスポイント間でステアリングされることが可能である。
【0015】
(Wi-Fiシステム)
図1は、クラウド12ベースの制御を有するWi-Fiシステム10のネットワーク図である。Wi-Fiシステム10は、IEEE802.11プロトコル及びその変更された形態に従って動作することができる。Wi-Fiシステム10は、ある場所、例えば住居、職場その他等の全体に分散させることができる複数のアクセスポイント14(アクセスポイント14A~14Hとラベル付け)を含む。すなわち、Wi-Fiシステム10は、単一アクセスポイント、リピータ、又はメッシュシステムによるサービスが非効率又は非実用的な任意の物理的な場所での動作を意図している。本明細書で説明するように、Wi-Fiシステム10は、ネットワーク、システム、Wi-Fiネットワーク、Wi-Fiシステム、クラウドベースのシステム等と呼ばれることもある。アクセスポイント14は、ノード、アクセスポイント、Wi-Fiノード、Wi-Fiアクセスポイント等と呼ばれることもある。アクセスポイント14の目的は、Wi-Fiクライアントデバイス16(Wi-Fiクライアントデバイス16A~16Eとラベル付け)へのネットワーク接続性を提供することである。Wi-Fiクライアントデバイス16は、クライアントデバイス、ユーザデバイス、クライアント、Wi-Fiクライアント、Wi-Fiデバイス等と呼ばれることもある。
【0016】
典型的な住居展開では、Wi-Fiシステム10は、1軒の家の中に2~12、又はそれ以上のアクセスポイントを含むことができる。多数のアクセスポイント14(Wi-Fiシステム10内のノードと呼ばれることもある)によって、任意のアクセスポイント14間の距離が、Wi-Fiサービスを必要とする任意のWi-Fiクライアントデバイス16までの距離と同様、常に短いことが保証される。すなわち、Wi-Fiシステム10の目的は、アクセスポイント14間の距離が各Wi-Fiクライアントデバイス16と関連付けられたアクセスポイント14との間の距離と同様のサイズとなることである。このような短距離によって、消費者の家の隅々まで良好にWi-Fi信号にカバーされることが保証される。また、Wi-Fiシステム10内の任意の所与のホップが短くなり、ほとんど壁を貫通しないことも保証される。その結果、Wi-Fiシステム10内の各ホップの信号強度は非常に強くなり、より高いデータレートの使用が可能になり、堅牢な動作が提供される。なお、当業者であれば、Wi-Fiクライアントデバイス16が、モバイルデバイス、タブレット、コンピュータ、家電、家庭用エンターテメントデバイス、テレビ、モノのインターネット(IoT)デバイス、又は任意のネットワーク可能デバイスであり得ることを認識しよう。外部ネットワーク接続性のために、1つ又は複数のアクセスポイント14がモデム/ルータ18に接続されていてもよく、このモデム/ルータ18はケーブルモデム、デジタル加入者ループ(DSL)モデム、又はWi-Fiシステム10と関連付けられた物理的な場所への外部ネットワーク接続性を提供する任意のデバイスであってもよい。
【0017】
優れたカバレッジを提供する一方で、多数のアクセスポイント14(ノード)には同調の問題がある。全てのアクセスポイント14を正しく構成させ高効率で通信させるには、中央制御が必要である。この制御は、好ましくはサーバ20で実行され、このサーバ20にはインターネット(クラウド12)経由で到達でき、ユーザデバイス22で稼動するアプリケーション(「アプリ」)を通じる等して遠隔アクセスが可能である。Wi-Fiシステム10を稼働させることは、したがって、「クラウドサービス」として一般的に知られているものとなる。サーバ20は、クラウド12を通じて、測定データを受信し、この測定データを分析し、それに基づきWi-Fiシステム10内のアクセスポイント14を構成するように、構成されタクラウドベースのコントローラであってもよい。サーバ20は、また、どのアクセスポイント14が各Wi-Fiクライアントデバイス16と接続(関連)するかを決定するように構成されることができる。すなわち、例示的な態様では、Wi-Fiシステム10は、アクセスポイント14及びWi-Fiクライアントデバイス16の動作を最適化し、構成し、監視する、(クラウドベースのコントローラ又はクラウドサービスによる)クラウドベースの制御を含む。このクラウドベースの制御は、アクセスポイントにローカルでログインするような、ローカル構成に依存する従来の動作とは対照的である。Wi-Fiシステム10では、制御及び最適化はアクセスポイント14へのローカルなログインを必要とせず、ユーザデバイス22(又はローカルWi-Fiクライアントデバイス16)が、別個のネットワーク(Wi-Fiシステム10とは異なるネットワーク)(例えば、LTE(登録商標)、別のWi-Fiネットワーク等)を介する等して、クラウド12内のサーバ20と通信する。
【0018】
アクセスポイント14は、接続性のために無線リンク及び有線リンクの両方を含むことができる。図1の例では、アクセスポイント14Aは、モデム/ルータ18への例示的なギガビットイーサネット(登録商標)(GbE)の有線接続を有する。任意選択により、アクセスポイント14Bもまた、重複又は負荷のバランスをとるため等に、モデム/ルータ18への有線接続を有している。アクセスポイント14A、14Bはまた、モデム/ルータ18への無線接続を有することができる。アクセスポイント14は、クライアント接続性のための無線リンク(クライアントリンクと呼ばれる)、及びバックホールのための無線リンク(バックホールリンクと呼ばれる)を有することができる。Wi-Fiシステム10が従来のWi-Fiメッシュネットワークと異なる点は、クライアントリンクとバックホールリンクとが必ずしも同じWi-Fiチャネルを共有しないので、干渉が低下することである。すなわち、アクセスポイント14は少なくとも2つのWi-Fi無線チャネルをサポートすることができ、これらのチャネルはクライアントリンク又はバックホールリンクのいずれかに対応できるように柔軟に使用することができ、また、モデム/ルータ18への接続性のために、又は他のデバイスに接続するために、少なくとも1つの有線ポートを有していてもよい。Wi-Fiシステム10では、小サブセットのアクセスポイント14だけがモデム/ルータ18への直接的な接続性を必要とし、接続されていないアクセスポイント14は接続しているアクセスポイント14へのバックホールリンクを通じてモデム/ルータ18と通信している。
【0019】
(Wi-Fiシステムの従来のWi-Fiシステムと比較)
図2は、従来の単一アクセスポイントシステム30、Wi-Fiメッシュネットワーク32、及びWi-Fiリピータネットワーク33に対するWi-Fiシステム10の動作の違いを示すネットワーク図である。単一アクセスポイントシステム30は、ある場所(例えば家)における全てのWi-Fiクライアントデバイス16に対応するように中心部に配置され得る単一の強力なアクセスポイント34に依存する。ここでも、本明細書で上述したように、典型的な住居では、単一アクセスポイントシステム30は、アクセスポイント34とWi-Fiクライアントデバイス16との間に、いくつかの壁、床等を有し得る。それに加えて、単一アクセスポイントシステム30は単一チャネルで動作するので、近隣システムからの干渉が生じることがある。Wi-Fiメッシュネットワーク32は、Wi-Fiカバレッジを分散する複数のメッシュノード36を有することにより、単一アクセスポイントシステム30の問題の一部を解決する。具体的には、Wi-Fiメッシュネットワーク32は、完全に相互接続されているメッシュノード36に基づき動作し、チャネルX等のチャネルを各メッシュノード36とWi-Fiクライアントデバイス16との間で共有している。すなわち、Wi-Fiメッシュネットワーク32は、完全に相互接続されたグリッドであり、同じチャネルを共有し、メッシュノード36とWi-Fiクライアントデバイス16との間で複数の異なる経路を可能にしている。しかしながら、Wi-Fiメッシュネットワーク32は同一のバックホールチャネルを用いるので、ソースポイント間の各ホップは、データ送達に必要なホップ数によってネットワーク容量を分割する。例えば、ビデオをWi-Fiクライアントデバイス16にストリーミングするのに3ホップを要する場合、Wi-Fiメッシュネットワーク32には1/3の容量しか残らない。Wi-Fiリピータネットワーク33は、Wi-Fiリピータ38に無線接続されたアクセスポイント34を含む。Wi-Fiリピータネットワーク33は、アクセスポイント14とWi-Fiクライアントデバイス16との間に最大で1つのWi-Fiリピータ38が存在しているスター状トポロジである。チャネルの観点からは、アクセスポイント34は第一のチャネルCh.XでWi-Fiリピータ38と通信でき、Wi-Fiリピータ38は第二のチャネルCh.YでWi-Fiクライアントデバイス16と通信できる。
【0020】
Wi-Fiシステム10は、全接続に同一チャネルを要するWi-Fiメッシュネットワーク32の問題を、様々なホップに異なるチャネル又は帯域を用いることにより解決し(なお、一部のホップが同じチャネル/帯域を使用してもよいが、必須ではない)、Wi-Fi速度の低下を防止する。例えば、Wi-Fiシステム10は、アクセスポイント14間で、及びWi-Fiクライアントデバイス16との間で異なるチャネル/帯域(例えば、Ch.X、Ch.Y、Ch.Z、Ch.A)を使用することができ、また、Wi-Fiシステム10は、クラウド12による構成及び最適化に基づき、必ずしも全てのアクセスポイント14を使用しなくてよい。Wi-Fiシステム10は、複数のアクセスポイント14を提供することにより、単一アクセスポイントシステム30の問題を解決する。Wi-Fiシステム10は、Wi-Fiクライアントデバイス16とゲートウェイとの間に最大でも2つの無線ホップしか許可しないWi-Fiリピータネットワーク33のようなスター状トポロジに縛られない。また、Wi-Fiシステム10は、Wi-Fiクライアントデバイス16とゲートウェイとの間に1つの経路があるツリートポロジを形成するが、Wi-Fiリピータネットワーク33とは違って複数の無線ホップを可能とする。
【0021】
Wi-Fiは、共有型単信プロトコル、すなわち、ネットワーク内ではいかなるときも2つのデバイス間の1つの会話だけが生じることが可能であり、1つのデバイスが発信している間、その他のデバイスは聴取していなくてはならない。異なるWi-Fiチャネルを用いることにより、Wi-Fiシステム10内で複数の同時の会話が同時に生じることが可能になる。アクセスポイント14間で異なるWi-Fiチャネルを選択することにより、干渉及び輻輳が回避できる。サーバ20は、クラウド12を通じて、最適化されたチャネルホップソリューションのアクセスポイント14を自動的に構成する。Wi-Fiシステム10は、消費者及び彼らのWi-Fiクライアントデバイス16の常に変化し続けるニーズをサポートするように、経路及びチャネルを選択することができる。Wi-Fiシステム10の手法は、Wi-Fi信号がバックホール接続性でもクライアント接続性でも遠方まで移動する必要がないことを保証するものである。したがって、Wi-Fi信号は強いままであり、Wi-Fiメッシュネットワーク32又はWi-Fiリピータのように同じチャネルで通信することによる干渉を回避できる。一実施形態では、クラウド12内のサーバ20は、最高のユーザ体験のためにチャネル選択を最適化するように構成されている。
【0022】
注目すべきは、本明細書に記載されたシステム及び方法は、Wi-Fiシステム10、単一アクセスポイントシステム30、Wi-Fiメッシュネットワーク32、及びWi-Fiリピータネットワーク33のいずれかを通じた動作を企図している。システム及び方法には、特定の局面が存在し、それらの局面では、Wi-Fiシステム10、Wi-Fiメッシュネットワーク32、及びWi-Fiリピータネットワーク等の複数のデバイスWi-Fiネットワークを必要とする。
【0023】
(アクセスポイント)
図3は、Wi-Fiシステム10、単一アクセスポイントシステム10、Wi-Fiメッシュネットワーク32、及びWi-Fiリピータネットワーク33内のアクセスポイント14の機能的構成要素のブロック図である。アクセスポイント14は、プロセッサ102、複数の無線機104、ローカルインターフェース106、データストア108、ネットワークインターフェース110、及び電源112を収容する物理的なフォームファクタ100を含む。当業者であれば、図3は、アクセスポイント14を簡略化して示したものであり、実際の実施形態は、追加の構成要素及び好ましく構成された処理論理(processing logic)を含んで、本明細書で説明する特徴、又は本明細書では詳述されない既知の従来の動作特徴をサポートすることができることを理解すべきである。
【0024】
例示的な実施形態では、フォームファクタ100は、小型の物理的実装体であり、アクセスポイント14は電気ソケットに直接挿し込まれ、この電気ソケットとの電気プラグ接続により物理的にサポートされる。この小型の物理的実装体は、住居全体に分散する多数のアクセスポイント14には理想的である。プロセッサ102は、ソフトウェア命令を実行するハードウェアデバイスである。プロセッサ102は、あらゆる特別仕様の、又は市販されているプロセッサ、中央処理装置(CPU)、モバイルデバイス300と関連付けられたいくつかのプロセッサのうちの補助プロセッサ、(マイクロチップ又はチップセットの形態の)半導体ベースのマイクロプロセッサ、又は一般にソフトウェア命令を実行するあらゆるデバイスであってよい。アクセスポイント14の動作中、プロセッサ102は、メモリ又はデータストア108内に記憶されたソフトウェアを実行し、メモリ又はデータストア108と互いにデータを送受信し、ソフトウェア命令に従ってアクセスポイント14の動作を広く制御するように構成されている。例示的な実施形態では、プロセッサ102には、モバイル用に最適化されたプロセッサ、例えば、消費電力及びモバイルアプリケーション用に最適化されたプロセッサを含んでもよい。
【0025】
無線機104によって、Wi-Fiシステム10内の無線通信が可能になる。無線機104は、IEEE802.11規格に従って動作することができる。無線機104は、Wi-Fiシステム10での適切な通信を可能にするアドレス、制御部、及び/又はデータ接続を含む。本明細書で説明するように、アクセスポイント14は、異なるリンク、すなわち、バックホールリンク及びクライアントリンクをサポートする複数の無線機を含む。無線機104は、また、IEEE802.11動作を実行するように構成されたWi-Fiチップセットを含むことができる。一実施形態では、最適化は、帯域幅、チャネル、トポロジ等の無線機104の構成を決定することができる。一実施形態では、アクセスポイント14は、2.4GHzについては20/40MHz、5GHzについては20/40/80MHzの動作帯域幅を有する2.4GHz及び5GHzの2x2 MIMO 802.11b/g/n/acの電波を同時に操作するデュアルバンドの動作をサポートする。例えば、アクセスポイント14は、IEEE802.11AC1200ギガビットWi-Fi(300+867Mbps)をサポートすることができる。
【0026】
ローカルインターフェース106は、アクセスポイント14へのローカル通信用に構成され、有線接続にすることも、Bluetooth(登録商標)その他等の無線接続にすることもできる。クセスポイント14はクラウド12を介して構成されるので、新たにオンになったアクセスポイント14の接続性を最初に確立するために、オンボード化処理が必要である。例示的な実施形態では、アクセスポイント14は、また、ユーザデバイス22上のアプリを通じる等してWi-Fiシステム10にオンボードするために、ユーザデバイス22(又はWi-Fiクライアントデバイス16)への接続性を可能にするローカルインターフェース106を含むこともできる。データストア108は、データを記憶するために用いられる。データストア108は、揮発性メモリ素子(例えば、ランダムアクセスメモリ(RAM、例えばDRAM、SRAM、SDRAM等))、不揮発性メモリ素子(例えば、ROM、ハードドライブ、テープ、CDROM等)、及びそれらの組合せのいずれをも含むことができる。さらに、データストア108は、電子、磁気、光学、及び/又は他のタイプのストレージ媒体を組み込んでもよい。
【0027】
ネットワークインターフェース110は、アクセスポイント14に有線接続性を提供する。ネットワークインターフェース104は、アクセスポイント14がモデム/ルータ18と通信可能にするために用いることができる。また、ネットワークインターフェース104は、Wi-Fiクライアントデバイス16又はユーザデバイス22にローカル接続性を提供するために用いることができる。例えば、デバイスにおけるアクセスポイント14への有線接続は、Wi-Fiをサポートしていないデバイスにネットワークアクセスを提供することができる。一実施形態では、Wi-Fiシステム10内の全てのアクセスポイント14は、ネットワークインターフェース110を含む。別の実施形態では、モデム/ルータ18に接続するか又はローカル有線接続を要求する選択アクセスポイント14は、ネットワークインターフェース110を有する。ネットワークインターフェース110は、例えば、イーサネットカード又はアダプタ(例えば、10BaseT、ファーストイーサネット、ギガビットイーサネット、10GbE)を含んでもよい。ネットワークインターフェース110は、ネットワーク上での適切な通信を可能にするアドレス、制御部、及び/又はデータ接続を含むことができる。
【0028】
プロセッサ102及びデータストア108は、アクセスポイント14の動作を基本的に制御するソフトウェア及び/又はファームウェア、データ収集及び測定の制御、データ管理、メモリ管理、及びクラウドを介してのサーバ20との通信及び制御インターフェースを含むことができる。プロセッサ102及びデータストア108は、本明細書で説明する様々な処理、アルゴリズム、方法、技法等を実施するように構成されてもよい。
【0029】
(クラウドサーバ及びユーザデバイス)
図4は、Wi-Fiシステム10で使用され得るサーバ20、Wi-Fiクライアントデバイス16、又はユーザデバイス22の機能的構成要素のブロック図である。図4は、Wi-Fiクライアントデバイス16、サーバ20、ユーザデバイス22、又は任意の汎用処理デバイスのいずれをも形成することができる機能的構成要素を示す。サーバ20は、デジタルコンピュータであってもよく、そのデジタルコンピュータは、ハードウェアアーキテクチャとして、一般にプロセッサ202、入力/出力(I/O)インターフェース204、ネットワークインターフェース206、データストア208、及びメモリ210を含む。当業者であれば、図4は、サーバ20を非常に簡略化して示したものであり、実際の実施形態は、追加の構成要素及び適切に構成された処理論理を含んで、本明細書で説明する特徴、又は本明細書では詳述していない既知又は従来の動作特徴をサポートすることができることを理解すべきである。
【0030】
構成要素(202、204、206、208、及び210)は、ローカルインターフェース212を介して通信可能に接続されている。ローカルインターフェース212は、例えば、限定ではないが、当業界で知られているように、1つ又は複数のバス又は他の有線接続もしくは無線接続であってもよい。ローカルインターフェース212は、簡潔にするために省略されているが、通信を可能にする追加の素子、とりわけ、コントローラ、バッファー(キャッシュ)、ドライバ、リピータ、及びレシーバを有していてもよい。さらに、ローカルインターフェース212は、前述の構成要素間の適切な通信を可能にするアドレス、制御部、及び/又はデータ接続を含んでもよい。
【0031】
プロセッサ202は、ソフトウェア命令を実行するハードウェアデバイスである。プロセッサ202は、あらゆる特別仕様の、又は市販されているプロセッサ、中央処理装置(CPU)、サーバ20と関連付けられたいくつかのプロセッサのうちの補助プロセッサ、(マイクロチップ又はチップセットの形態の)半導体ベースのマイクロプロセッサ、又は一般にソフトウェア命令を実行する任意のデバイスであってもよい。サーバ20の動作中、プロセッサ202は、メモリ210内に記憶されたソフトウェアを実行し、メモリ210と互いにデータを送受信し、ソフトウェア命令に従ってサーバ20の動作を広く制御するように構成されている。I/Oインターフェース204は、1つ又は複数のデバイス又は構成要素からユーザ入力を受信するために、及び/又は1つ又は複数のデバイス又は構成要素にシステム出力を提供するために用いることができる。ユーザ入力は、例えば、キーボード、タッチパッド、及び/又はマウスを介して提供されてもよい。システム出力は、ディスプレイデバイス及びプリンタ(図示せず)を介して提供されてもよい。I/Oインターフェース204には、例えば、シリアルポート、パラレルポート、small computer system interface(SCSI)、シリアルATA(SATA)、ファイバーチャネル、Infiniband、iSCSI、PCI Express interface(PCI-x)、赤外線(IR)インターフェース、高周波(RF)インターフェース、及び/又はユニバーサルシリアルバス(USB)インターフェースを含んでもよい。
【0032】
ネットワークインターフェース206は、サーバ20がクラウド12等のネットワーク上で通信可能とするために用いることができる。ネットワークインターフェース206は、例えば、イーサネットカード又はアダプタ(例えば、10BaseT、ファーストイーサネット、ギガビットイーサネット、10GbE)、あるいは無線ローカルエリアネットワーク(WLAN)カード又はアダプタ(例えば、802.11a/b/g/n/ac)を含むことができる。ネットワークインターフェース206は、ネットワーク上の適切な通信を可能にするアドレス、制御部、及び/又はデータ接続を含むことができる。データストア208は、データを記憶するのに用いることができる。データストア208は、揮発性メモリ素子(例えば、ランダムアクセスメモリ(RAM、例えばDRAM、SRAM、SDRAM等))、不揮発性メモリ素子(例えば、ROM、ハードドライブ、テープ、CDROM等)、及びそれらの組合せのいずれをも含むことができる。さらに、データストア208は、電子、磁気、光学、及び/又は他のタイプのストレージ媒体を組み込んでもよい。一例では、データストア208は、サーバ20の内部に、例えば、サーバ20内でローカルインターフェース212に接続されている内部ハードドライブ等に配置されてもよい。それに加えて、別の実施形態では、データストア208は、サーバ20の外部に、例えば、I/Oインターフェース204に接続(例えば、SCSI又はUSB接続)された外部ハードドライブ等に配置されてもよい。さらなる実施形態では、データストア208は、ネットワークを通じてサーバ20に、例えば、ネットワークに接続したファイルサーバ等に接続されてもよい。
【0033】
メモリ210は、揮発性メモリ素子(例えば、ランダムアクセスメモリ(RAM、例えばDRAM、SRAM、SDRAM等))、不揮発性メモリ素子(例えば、ROM、ハードドライブ、テープ、CDROM等)、及びそれらの組合せのいずれをも含むことができる。さらに、メモリ210は、電子、磁気、光学、及び/又は他のタイプのストレージ媒体を組み込んでもよい。なお、メモリ210は、分散アーキテクチャを有してもよく、その場合、様々な構成要素は互いに離れて配置されているが、プロセッサ202によってアクセス可能である。メモリ210内のソフトウェアは、1つ又は複数のソフトウェアプログラムを含むことができ、そのそれぞれが論理関数を実施するための順序付き実行命令リストを含む。メモリ210内のソフトウェアは、適切なオペレーティングシステム(O/S)214及び1つ又は複数のプログラム216を含む。オペレーティングシステム214は、他のコンピュータプログラム、例えば1つ又は複数のプログラム216の実行を基本的に制御し、スケジューリング、入出力制御、ファイル及びデータ管理、メモリ管理、並びに通信制御及び関連サービスを提供する。1つ又は複数のプログラム216は、本明細書で説明され、例えば、最適化70に関する様々な処理、アルゴリズム、方法、技法等、を実施するように構成されていてもよい。
【0034】
(分散Wi-Fiシステムの構成及び最適化処理)
図5は、Wi-Fiシステム10の構成及び最適化処理300のフローチャートである。具体的には、構成及び最適化処理300は、Wi-Fiシステム10の効率的な動作を可能にする様々なステップ301~308を含む。これらのステップ301~308は、異なる順序で、全てのステップが実行されずに、継続的に繰り返され得るサブセットで実行されてもよく、Wi-Fiシステム10が状況の変化に適応することを可能にする。第一に、各アクセスポイント14がプラグに挿し込まれ、オンボード化される(ステップ301)。Wi-Fiシステム10では、サブセットのアクセスポイント14だけがモデム/ルータ18に有線接続され(又は任意選択によりモデム/ルータ18に無線接続され)、有線接続性のないアクセスポイント14は、クラウド12に接続するためにオンボード化されなくてはならない。オンボード化ステップ301は、新たにインストールされたアクセスポイント14がWi-Fiシステム10に確実に接続して、このアクセスポイントがコマンドを受信でき、データをサーバ20に提供できるようにする。オンボード化ステップ301は、正しいサービスセット識別子(SSID)(ネットワークID)及び関連付けられたセキュリティ鍵を有するアクセスポイントを構成することを含むことができる。一実施形態では、オンボード化ステップ301は、アクセスポイント14とユーザデバイス22との間で、Bluetooth又は同等の接続性により実行されて、ユーザがSSID、セキュリティ鍵等を提供することを可能にする。オンボード化されると、アクセスポイント14は、構成のために、Wi-Fiシステム10経由でサーバ20との通信を開始することができる。
【0035】
第二に、アクセスポイント14は、測定値を取得し、情報を収集して、ネットワーキング設定の最適化を可能にする(ステップ302)。収集された情報は、全ノード間の、並びに全ノードと全Wi-Fiクライアントデバイス16との間の、信号強度及びサポート可能なデータレートを含むことができる。具体的には、測定ステップ302は、各アクセスポイント14がデータを収集することにより実行される。干渉量の測定、分散Wi-Fiシステム10上で動作する異なるアプリケーションにより要求される負荷(スループット)の測定等、様々な追加の測定を実行することができる。第三に、測定ステップ302からの測定値及び収集された情報は、クラウド12内のサーバ20に提供される(ステップ303)。ステップ301~303は、Wi-Fiシステム10の場所で実行される。注目すべきことに、本明細書で説明するQoE測定は、これらのステップで想定される。
【0036】
ステップ302、303のこれらの測定値は、各クライアントにより要求されるトラフィック負荷、各ノード間でも、各ノードから各クライアントまでの間でも維持され得るデータレート、ノード間及びノードとクライアントとの間のリンクにおけるパケットエラーレート等を含むことができる。それに加えて、ノードは、ネットワークに影響する干渉レベルの測定を行う。これは、他のクラウド制御の分散Wi-Fiシステム(「ネットワーク内インターフェアラ」)からの干渉、及び制御可能なネットワークの一部ではないデバイスからの干渉(「ネットワーク外インターフェアラ」)を含む。これらのタイプのインターフェアラを区別することは重要である。ネットワーク内インターフェアラは、クラウドシステムにより制御可能なので、ネットワーク内システム全体の大きな最適化に含まれ得る。ネットワーク外インターフェアラは、クラウドから制御できないので、これらの干渉を別のチャネルに移動させたり、別途変更したりすることはできない。システムは、これらの干渉を変更するのではなく、これらに適合しなければならない。これらのネットワーク外インターフェアラは、クラウド制御されないWi-Fiネットワークと、Bluetoothデバイス、ベビーモニタ、コードレス電話等、Wi-Fiによって使用される周波数で送信する非Wi-Fiデバイスとを含む。
【0037】
別の重要な入力は、ネットワークを移動するパケットの遅延である。これらの遅延は、直接の測定値から、Wi-Fiネットワークのゲートウェイに到着したパケットをタイムスタンプし、それらが最後のノードを離れるまでの経過時間を測定することによって導出することができる。しかしながら、そのような測定は、ノード間のある程度の時刻同期を要することになる。別の手法は、各ノードを通過する遅延の統計値を個々に測定するものである。次に、ネットワーク全体の総遅延の平均及び何らかの仮定を与えられた遅延の分布を各ノードの個々の遅延統計値に基づいて、計算することができる。こうして、遅延は、最適化において最小化されるべきパラメータとなることができる。また、最適化にとって、各ノードが送信及び受信に費やす時間を知ることも有用である。これは、送信又は受信された情報の量とともに、様々なリンクが維持している平均データレートを判定するために用いることができる。
【0038】
第四に、クラウド12内のサーバ20は、これらの測定値を用いて、Wi-Fiシステム10の最適化アルゴリズムを実行する(ステップ304)。最適化アルゴリズムは、ネットワーク動作にとって最良のパラメータを出力する。これらには、各ノードがクライアントリンク及びバックホールリンク用に動作すべきチャネルの選択、ノードが使用すべきこれら各チャネルの帯域幅、ノード間の接続のトポロジ及びそのトポロジによるネットワーク内の任意のソースから任意の目的地へのパケットの経路、各クライアントが接続すべき適切なノード、各クライアントが接続すべき帯域等が含まれる。
【0039】
具体的には、最適化は、ノードからの測定値を、最大化される目的関数への入力として用いる。各リンクの容量は、移動したデータの量(負荷)、及び干渉によってメディアがビジーになっている時間の量を検証することによって導出することができる。これも、送信キューがビジーだった時間の割合に対して、リンクを介して移動したデータの比をとることによって導出することもできる。この容量は、リンクが飽和状態になるまで負荷を受け、可能な限りのデータ量を移動させした場合に、実現され得る仮想スループットを表す。
【0040】
第五に、最適化の出力が、Wi-Fiシステム10を構成するのに用いられる(ステップ305)。ノード及びクライアントデバイスは、最適化の出力に基づきクラウドから構成される必要がある。特定の技法が用いられて速やかに構成がなされ、既に動作しているネットワークの中断が最小化される。最適化の出力は、Wi-Fiシステム10の動作パラメータである。これには、各ノードが動作する周波数チャネル、及び使用されるチャネルの帯域幅が含まれる。802.11ac規格によって、チャネル帯域幅20、40、80、及び160MHzが可能になる。使用する帯域幅の選択は、Wi-Fiシステム10において、より高いデータレート(広いチャネル帯域幅)をサポートすることと、使用する様々な非干渉チャネルの数が多いこととの間のトレードオフである。最適化は、様々なユーザのアプリケーションによって要求される負荷をサポートする可能な限り低いチャネル帯域幅を各リンクで使用させようとする。必要十分な最も狭いスループットチャネルを用いることによって、Wi-Fiシステム10内の他のリンク用に最大数の非干渉チャネルが残される。
【0041】
最適化は、上述したように目的関数を最大化することにより、入力から出力を生成する。多くの異なる可能な目的関数がある。1つの目的は、全てのクライアントに提供される総スループットを最大化することであり得る。このゴールには、すでに良好に機能しているクライアントの性能を向上させるために、一部のクライアントを完全に枯渇させることによって、最大の合計スループットが達成され得るという欠点がある。別の目的は、最悪の状況にあるネットワーク内のクライアントの性能をできる限り高めることであり得る(クライアントへの最小のスループットの最大化)。このゴールは、公平性を高めるのには役立つが、最悪のクライアントで漸増的な改善を得るために多大な総容量を引き換えにする場合がある。好ましい手法は、ネットワーク内の各クライアントの所望の負荷を考慮し、その負荷比の余剰容量を最大化することである。最適化は、容量を改善できるとともに、2つのAP間で容量を変えることもできる。望ましい最適化は、負荷比の方向に余剰容量を最大化するものである。このことは、Wi-Fiシステム10に望ましい負荷を伝送する最大のマージンを与えて、それらの性能をより堅牢にし、より少ない待機時間及びより少ないジッターとすることを表す。この厳格な最適化は、可変スケールで容量割当に重み付けするよりソフトな最適化関数を提供することにより、さらに強化することができる。要求された負荷よりも高いスループットとすることには、高い利用価値が置かれることになる。要求された負荷を上回るスループットをクライアント又はノードに提供することは、今も利点とみなされようが、全てのクライアント/ノードにその要求している負荷を与えることよりは、重み付けは相当低くなる。そのようなソフトな重み付けの最適化関数によって、デバイス間の余剰性能のトレードオフをより有利に行うことができる。
【0042】
別のセットの最適化の出力は、Wi-Fiシステム10のトポロジ、つまり、どのノードが他のどのノードと接続するかを定める。Wi-Fiシステム10を通る2つのクライアント間又はクライアントとインターネットゲートウェイ(モデム/ルータ18)との間の実際の経路もまた、最適化の出力である。ここでまた、最適化は、経路内の最良のトレードオフを選択しようとする。一般に、より多くのホップを移動するほど、各ホップの範囲は短くなり、データレートが高くなり、より堅牢になる。しかしながら、ホップが多いと、待機時間及びジッターが増え、チャネル周波数割り当てによっては、システムの残りからより多くの容量が奪われる。
【0043】
第六に、学習アルゴリズムをクラウドに記憶されたデータに適用して、傾向及びパターンを判定することができる(ステップ306)。なお、サーバ20は、ノードからの測定値、最適化の結果、及び関連のある最適化後の後続の測定値を記憶することができる。このデータを用いて、様々な目的のために傾向及びパターンを決定し分析することができる。ネットワークの再構成には時間がかかり、有効な通信を少なくとも部分的には必ず中断するので、ピーク負荷に達する前に、ピーク負荷のためのネットワークを構成することが有益である。既に取り込まれている履歴のデータから学習することにより、将来起こる使用及び干渉を予測することが可能になる。取り込みデータの学習のその他の用途は、バグを特定し、クライアントデバイスの挙動におけるバグを発見することを含む。クライアントデバイスの挙動にバグが発見されると、ネットワークのインフラストラクチャ側からのツール及びコマンドを用いてそれらのバグを回避することが可能であり得る。
【0044】
第七に、ネットワークの性能を評価し、ユーザ又はWi-Fi上でサービスを稼働させているサービスプロバイダに報告することができる(ステップ307)。第八に、アプリケーション(例えば、ユーザデバイス22で動作するモバイルアプリ)がネットワーク動作の可視性をユーザに提供することができる(ステップ308)。これは、ネットワーク活動及び性能メトリクスの表示を含む。モバイルアプリは、ユーザに情報を送り、測定を行い、ユーザがWi-Fiネットワークの動作の特定の側面を制御可能にするために用いることができる。モバイルアプリは、また、セルラーシステム経由でインターネットと通信して、ノードが最初に設定される際のオンボード化を支援する。モバイル電話アプリは、セルラーシステムを使用して、またユーザの正常なインターネット接続が機能していないときに、Wi-Fiネットワークがインターネット及びクラウドと通信する方法を提供する。このセルラーベースの接続は、状況を知らせ、サービスプロバイダ及び他のユーザに通知するために用いることができ、また、ユーザの正常なインターネット接続が不調の際、データを家からインターネットへと伝送するのに用いることもできる。
【0045】
構成及び最適化処理300は、本明細書では例示的な実施形態としてのWi-Fiシステム10を参照して説明されている。当業者であれば、構成及び最適化処理300は、Wi-Fiメッシュネットワーク32、Wi-Fiリピータネットワーク33等を含むあらゆるタイプの複数ノードWi-Fiシステムで動作可能であることを認識しよう。例えば、クラウドベースの制御をWi-Fiメッシュネットワーク32、Wi-Fiリピータネットワーク33等で実施することもでき、ここでも本明細書で説明する様々なシステム及び方法は、クラウドベースの制御及び最適化のために動作することができる。
【0046】
(OFDMA)
本開示の焦点は、ステップ305の一部であり、具体的には、分散Wi-Fiネットワーク10内のクライアントデバイス16を構成及び制御する技法に関することである。これは、Wi-Fiメッシュネットワーク32にもWi-Fiリピータネットワーク33にも、すなわち、任意の複数のアクセスポイントシステムにも適用され得る。
【0047】
図6は、ダウンリンクOFDMAを従来の単一ユーザ通信、すなわち、直交周波数分割多重方式(OFDM)と比較するための周波数対時間のグラフである。この例では、短いパケットを3つの異なるクライアントデバイスに配信している。単一ユーザの場合、送信は独立しており、各送信に関連付けられた付随時間オーバーヘッドを伴う。OFDMAの場合、3つの送信は1つの送信にまとめられる。時間スケールから分かるように、OFDMAを使用すると、3つのクライアントデバイスと通信するための完全な交換にかかる総時間が短くなり、効率が向上し、他のトラフィックのためにネットワークの容量をより多く確保することができる。アップリンクOFDMAは、図6のOFDMAと同様に動作するが、アップリンク(UL)期間とダウンリンク(DL)期間が逆になっているだけであり、OFDMAの場合、UL期間には複数のクライアントデバイスから同時に発信される伝送がある。
【0048】
単一アクセスポイントシステム30では、全てのクライアントデバイス16がアクセスポイント34に接続する。アクセスポイント34のジョブは、クライアントデバイス16にダウンリンクトラフィックをどのように送信する方法と、クライアントデバイス16がアップリンクトラフィックをアクセスポイント34に順番に送信する方法を決定することである。アクセスポイント34は、1回のOFDMA送信内でどのクライアントデバイス16に送信するかを決定しなければならないので、これは「グループ化」と呼ばれることもある。グループ化には、OFDMA交換において一緒に動作するクライアントデバイス16を選択することが必要である。考慮する必要がある要因は、以下の通りである。
・デバイスがOFDMAパケットを受信及び/又は送信することができるかどうか、
・アクセスポイントからクライアントデバイス16までの、及びクライアントデバイス16からアクセスポイントまでの相対的な信号強度、
・クライアントデバイス16がダウンリンク方向及びアップリンク方向で必要とするパケットの長さ、並びに
・各クライアントデバイス16が必要とするトラフィック量。
【0049】
アクセスポイントは、どのクライアントデバイス16がOFDMA送信に一緒に含まれるかを決定すると、OFDMA波形内の周波数と時間を割り当てなければならない。
【0050】
図7は、アクセスポイントがクライアントデバイス16との送信において行うことができる様々な時間/周波数割り当てのグラフである。図中に異なる網掛けで示されたキャリアの各グループは、OFDMAグループ内のクライアントのいずれかに割り当てられ得る。
【0051】
Wi-Fiネットワークが複数のアクセスポイント14、34、36、38を有する場合、分散Wi-Fiネットワーク10、Wi-Fiメッシュネットワーク32、及びWi-Fiリピータネットワーク33において前述したように、状況は、さらに複雑となる。この場合、OFDMA対応のクライアントデバイス16は、アクセスポイント14,34,36,38の間に分散されてもよい。本明細書で前述したように、クライアントデバイス16は、OFDMAを利用できる場合、例えば、IEEE802.11axに準拠している場合、OFDMA互換クライアントデバイス16(又は単にOFDMAクライアントデバイス16と呼ばれる)であり、全てのクライアントデバイス16がOFDMA互換であるとは限らない。
【0052】
問題は、OFDMA互換のクライアントデバイス16の自然な分散が、OFDMAによって提供される効率改善を達成するために理想的でない場合があるということである。前述のように、全てのクライアントデバイス16がOFDMAになるための「互換性のあるパートナー」ではないので、各アクセスポイントで少数のOFDMAクライアントデバイス16が接続されている場合、OFDMAはあまり効果的でない可能性がある。確かに、各アクセスポイントにOFDMAクライアントが1つしか接続されていない場合は、OFDMAを全く利用することができない。これは、クライアントデバイス16の分散が、いくつかの異なる、潜在的に「インテリジェント」な方法で、すなわち、ランダムに、最も近いアクセスポイントの選択で、及びコントローラの選択で行われる場合であっても同様である。
【0053】
ランダムなアプローチの場合、OFDMAクライアントデバイス16がアクセスポイントにランダムに接続する場合、それらは全て同一のアクセスポイントに接続することも(OFDMAにとって良い)、あるいはアクセスポイント間で散在し、各アクセスポイントが有効なOFDMAグループを形成する能力を低下させることもある。クライアントデバイス16が、信号強度に基づく等して、最も近いアクセスポイントを選択する場合、OFDMAクライアントデバイス16は、家全体に分散され、アクセスポイント14は、家全体に分散され、これは、当然、OFDMAクライアントデバイス16が全てのアクセスポイント14にわたって分散され、性能を向上させるのにOFDMAが有効でなくなる可能性があることを意味する。
【0054】
コントローラは、単一クライアントのスループットを最適化するために、クライアントデバイス16の位置を選択することができる。本明細書で前述したように、いくつかの洗練されたシステムは、ネットワークを管理する、家もしくは企業へのローカルの、又はクラウド12内のいずれかの、集中型コントローラを有する。これらのコントローラは、クライアントデバイス16の最適な場所を、そのそれぞれのスループットを個々に最大化することを考慮して、決定してもよい。しかしながら、各クライアントデバイス16のスループットを個別に最大化すると、OFDMAの有効利用、ひいてはネットワーク全体の容量の有効利用ができない場合がある。例えば、アクセスポイント14間の非常に高速なバックホールリンク(無線又は有線のいずれか)を有する環境では、通常、最も近いアクセスポイント14に接続させるために、各クライアントデバイス16のスループットを個々に最大化させることになる。この場合も当然、家内のアクセスポイント14にクライアントが分散されることになり、OFDMAを使用する能力が低下する。
【0055】
図8図9、及び図10は、4つのアクセスポイント14-1、14-2、14-3、14-4、及びOFDMAをサポートする様々な(例えば、12の)クライアントデバイス16を備えた例示的なWi-Fiシステム10Aのネットワーク図である。図8は、OFDMAクライアントデバイス16が、アクセスポイント14-1、14-2、14-3、14-4にわたって分散されて終わることができる場所を示しており、例えば、前述の手法、ランダムに、最も近いアクセスポイントの選択で、及びコントローラのいずれかが選択された当然の結果であるとする。例えば、各アクセスポイント14-1、14-2、14-3、14-4は、2つのクライアントデバイス16が接続された状態で終わる。この配置は、アクセスポイント14-1、14-2、14-3、14-4がOFDMAを利用する能力を制限することになる。
【0056】
OFDMAを利用する能力を最大化するためには、図9に示すように、全てのクライアントがアクセスポイント14-1のうちの1つだけに接続されることが望ましいであろう。しかしながら、図9の配置も最適とは言えないこともある。ここでは、いくつかのOFDMAクライアントデバイス16は、家全体にわたって送受信しなければならず、その結果、データレートが低くなり、OFDMAの利点があっても、Wi-Fiシステム10Aは非常に非効率となるであろう。実際、OFDMA能力を最大化するためにネットワークが単純な方法で配置された場合、OFDMAクライアントデバイス16が家全体にわたって送信することさえ不可能であり、接続されないままとなる可能性がある。
【0057】
好ましい手法は、Wi-Fiシステム10Aにおいて性能を最大化するものに基づいて、各OFDMAクライアントデバイス16がどのアクセスポイント14-1、14-2、14-3、14に接続すべきかを決定する。議論されている例では、これは、図10に示す配置をもたらすことがある。この例では、この配置は、アクセスポイント14-1、14-3に十分なOFDMAクライアントデバイス16を有して、OFDMAの効果的な使用を可能にする一方で、いずれかのOFDMAクライアントデバイス16への接続の品質及び速度を著しく低下させないというバランスをとることになる。
【0058】
(Wi-FiネットワークにおけるOFDMAクライアントステアリング)
本開示は、複数のアクセスポイントを有するWi-Fiネットワーク(例えば、Wi-Fiシステム10、Wi-Fiメッシュネットワーク32、及びWi-Fiリピータネットワーク33)における動作を企図し、OFDMAを利用するものである。具体的には、本開示は、OFDMAの動作に与える影響を考慮して、アクセスポイント14に接続するOFDMAクライアントデバイス16を企図した。
【0059】
一実施形態において、これは、図1に示すように、アクセスポイント14のそれぞれと通信する集中型コントローラを有することによって達成され得る。このコントローラは、クラウド12に位置することができ、あるいはWi-Fiシステム10が配置されている家又は企業内に位置してもよい。実際、コントローラは、Wi-Fiシステム10内のアクセスポイント14のうちの1つに実装されるかもしれない。管理されるアクセスポイント14のセットは、単一の家又は企業内にあってもよいし、あるいは公共ネットワーク、又はホットスポットのネットワークとして複数の家又は企業にわたって広がっていてもよい。
【0060】
任意のコントローラが、クライアントデバイス16をどこに接続すべきかを適切に判断するためには、Wi-Fiシステム10、クライアントデバイス16、アクセスポイント14、及びWi-Fiシステム10内を流れているトラフィックに関する情報が必要である。特に、コントローラは、どのデバイス(クライアントデバイス16及びアクセスポイント14)がOFDMAを使用することができるかを知る必要がある。また、コントローラは、これらのデバイスの他の無線能力も理解しなければならない。これには、MIMO次元と、各デバイスが使用できる周波数チャネルとが含まれるであろう。例えば、高いMIMO能力を有するデバイスは、低いMIMO次元のデバイスよりはるかに速くデータを送信する。これにより、より高いトラフィック負荷をより短時間で伝送することができる。したがって、トラフィック負荷が高くてもMIMO能力の高いデバイスは、パケットが非常に短いがMIMO次元が低いデバイスとOFDMA送信に組み合わされる可能性がある。その結果、送信がほぼ同じ時間続くため、効率的にグループ化することができる。他の例としては、グループ化された全てのデバイスは同じ周波数チャネルで動作しなければならないので、コントローラは、特定の周波数チャネルで動作できないデバイスを、そのチャネルで動作しているアクセスポイント14の上に決してグループ化すべきではない。
【0061】
デバイスの能力とともに、デバイスをどのように接続し、グループ化するかの決定は、所与の時点にネットワークで発生している条件に依存する。これらの条件を、Wi-Fiシステム10内のアクセスポイント14によって収集し、コントローラに通信することができる。適切な動作のために重要なWi-Fiシステム10における動的条件には、各クライアントデバイス16が送信又は受信するために必要とするトラフィック負荷、各クライアントデバイス16から、又は各クライアントデバイス16へデータがストリーミングするパケットの長さ、及びクライアントデバイス16のそれぞれからWi-Fiシステム10におけるアクセスポイント14のそれぞれへの信号強度が含まれる。信号強度の重要性は、クライアントデバイス16をどのようにグループ化すべきかの例で前述したとおりである。また、パケット長の例についても説明した。OFDMA送信は、各クライアントデバイス16の同じ時点に始まり、終わるので、各クライアントデバイス16への送信が同じ長さであれば、最も効率的に使用される。同様の理由で、トラフィック負荷も重要である。あるクライアントデバイス16が非常に頻繁に送信を必要とするが、別のクライアントデバイス16が時々しか送信を必要としない場合、それらを1セットのOFDMA送信にグループ化することは、効率的でない。実際、トラフィック負荷が大きいクライアントデバイス16は、それらをOFDMAグループに全く含めない方がよく、それらの送信のために、可能な限り高速な単一ユーザデータレートを使用することが可能になる。
【0062】
デバイスの能力とは異なり、これらの条件は動的である。トラフィック負荷は、ユーザが様々なアプリケーション又は活動を開始して、終了することによって変化する。パケット長は、VoIP電話(短いパケット)からビデオ通話(長いパケット)、ストリーミングビデオ(長いパケット)等、ユーザがアプリケーションを切り替えると、変化する。クライアントデバイス16とアクセスポイント14の間の信号強度は、その所有者が家の中でデバイスを移動させるのに伴って変化する。したがって、Wi-Fiシステム10及びクライアントデバイス16の所望の構成が定期的に再計算され、大きなメリットを享受できる場合にデバイス接続が変更されることが有益である。この定期的な再計算は、経過時間(例えば、毎分)に基づくことも、あるいは条件の変化の検出に基づくこともある。このように変化した条件の検出は、各アクセスポイント14で局所的に、あるいは測定値が収集されているコントローラで行われ得る。クライアントデバイス16を1つのアクセスポイント14から別のアクセスポイントに移動させると、トラフィックに短時間の乱れが生じることがあるので、得られる改善度が大きく、条件が一定期間その新しい状態で安定したままである可能性が高いことを確認することが重要である。したがって、優れたコントローラは、クライアントデバイス16の新しい配置を展開するか否かを決定する際に、改善の量、及び条件の安定性を考慮する。
【0063】
理想的には、コントローラは、クライアントが接続される場所に応じて達成されるスループットを評価して、選択を行う。選択を行うための1つの実装は、最適化を実行することである。
【0064】
(最適化)
図11は、最適化370への入力360及び出力362のブロック図である。入力360は、例えば、各クライアントにより要求されるトラフィック負荷、ノード間及びアクセスポイント14(ノード)とWi-Fiクライアントデバイス16との間の信号強度、Wi-Fiシステム10内の各可能なリンクのデータレート、各リンクのパケットエラーレート、ネットワーク内インターフェアラの強度及び負荷、並びにネットワーク外インターフェアラの強度及び負荷を含むことができる。ここでまた、これらの入力は、複数のアクセスポイント14により収集された測定値及びデータに基づき、クラウド12内のサーバ20に通信される。サーバ20は、最適化370を実施するように構成されている。最適化370の出力は、例えば、チャネル及び帯域幅(BW)の選択、経路及びトポロジ、送信要求/送信許可(RTS/CTS)の設定、送信機(TX)電力、クリアチャネル評価閾値、クライアント関連付けステアリング、並びに帯域ステアリングを含む。
【0065】
ノードは、Wi-Fiシステム10に影響する干渉レベルの測定を行うことができる。これは、他のクラウド制御の分散Wi-Fiシステム(「ネットワーク内インターフェアラ」)からの干渉、及び制御可能なネットワークの一部ではないデバイスからの干渉(「ネットワーク外インターフェアラ」)を含む。これらのタイプのインターフェアラを区別することは重要である。ネットワーク内インターフェアラは、コントローラにより制御可能なので、ネットワーク内システム全体の大きな最適化に含むことができる。ネットワーク外インターフェアラは、クラウドから制御できないので、これらの干渉を別のチャネルに移動させたり、別途変更したりすることはできない。システムは、これらの干渉を変更するのではなく、これらに適合しなければならない。これらのネットワーク外インターフェアラは、クラウド制御されないWi-Fiネットワークと、Bluetoothデバイス、ベビーモニタ、コードレス電話等、Wi-Fiによって使用される周波数で送信する非Wi-Fiデバイスとを含む。各リンクの容量は、移動したデータの量(負荷)、及び干渉によってメディアがビジーになっている時間の量を検証することによって導出することができる。これも、送信キューがビジーだった時間の割合に対して、リンクを介して移動したデータの比をとることによって導出することもできる。この容量は、リンクが飽和状態になるまで負荷を受け、可能な限りのデータ量を移動させした場合に、実現され得る仮想スループットを表す。
【0066】
別の重要な入力は、Wi-Fiシステム10を移動するパケットの遅延である。これらの遅延は、直接の測定値から、Wi-Fiシステム10のゲートウェイに到着したパケットをタイムスタンプし、それらが最後のノードを離れるまでの経過時間を測定することによって導出することができる。しかしながら、そのような測定は、ノード間のある程度の時刻同期を要することになる。別の手法は、各ノードを通過する遅延の統計値を個々に測定するものである。次に、Wi-Fiシステム10全体の総遅延の平均及び何らかの仮定を与えられた遅延の分布を各ノードの個々の遅延統計値に基づいて、計算することができる。こうして、遅延は、最適化370において最小化されるべきパラメータとなることができる。
【0067】
また、最適化370にとって、各ノードが送信及び受信に費やす時間を知ることも有用である。これは、送信又は受信された情報の量とともに、様々なリンクが維持している平均データレートを判定するために用いることができる。
【0068】
最適化の出力370は、Wi-Fiシステム10の動作パラメータである。これには、各ノードが動作する周波数チャネル、及び使用されるチャネルの帯域幅が含まれる。802.11ac規格によって、チャネル帯域幅20、40、80、及び160MHzが可能になる。使用する帯域幅の選択は、Wi-Fiシステム10において、より高いデータレート(広いチャネル帯域幅)をサポートすることと、使用する様々な非干渉チャネルの数が多いこととの間のトレードオフである。最適化370は、様々なユーザのアプリケーションによって要求される負荷をサポートする可能な限り低いチャネル帯域幅を各リンクで使用させようとする。必要十分な最も狭いスループットチャネルを用いることによって、家内の他のリンク用に最大数の非干渉チャネルが残される。
【0069】
別のセットの最適化370の出力362は、Wi-Fiシステム10のトポロジ、つまり、どのノードが他のどのノードと接続するかを定める。Wi-Fiシステム10を通る2つのクライアントデバイス16間又はクライアントデバイス16とインターネットゲートウェイとの間の実際の経路もまた、最適化370の出力362である。ここでまた、最適化370は、経路内の最良のトレードオフを選択しようとする。一般に、より多くのホップを移動するほど、各ホップの範囲は短くなり、データレートが高くなり、より堅牢になる。しかしながら、ホップが多いと、待機時間及びジッターが増え、チャネル周波数割り当てによっては、Wi-Fiシステム10の残りからより多くの容量が奪われる。最適化370は、この全てを考慮に入れて、真に最適な配置を考え出す。
【0070】
最適化370は、各クライアントデバイス16がWi-Fiシステム10内のどのノードに接続するかを選択することを許可される場合、Wi-Fiシステム10の性能における大きなメリットを得ることが可能である。この能力は、いくつかの問題に役立つ。第一に、クライアントデバイス16は、自らが接続されたアクセスポイント14から、自らが近くに移動した可能性のあるアクセスポイント14へのローミングをうまく行えないことが多い。これらの「粘着性」クライアントデバイス16は、遠すぎるアクセスポイント14と通信しようとするために、不必要に低いスループットを経験することになる。クライアントデバイス16の関連付けを制御する別の利点は、Wi-Fiシステム10内の特定のノードにおける輻輳を回避することである。例えば、Wi-Fiシステム10内の全てのクライアントデバイス16は、1つの特定のノードに最も近い場所に位置している可能性がある。それらのスループットは、その1つのノードの総容量を共有することによって制限されることになる。この場合、クライアントデバイス16のいくつかを、それらのノードが多少離れていたとしても、異なるノードと関連付けるように強制する方がうまく機能することになる。各ノードにおける容量は、今や、より少ないクライアント間で共有され、それぞれにより高いスループットを可能にする。クライアントデバイス16を移動させるさらに別の理由は、バックホールリンクの輻輳を緩和することである。クライアントデバイス16がノード間でうまく広がったとしても、それらのノードの全てが、今度は、バックホール内の1つのノードに接続する可能性がある。この場合、輻輳はバックホールで発生することになる。この場合も、クライアントデバイス16を、バックホールを通じて異なる経路を有する他のノードに移動させると、輻輳を緩和することができる。
【0071】
最後に、そして本開示の焦点は、各クライアントデバイス16がどのアクセスポイント14に接続すべきかをオプティマイザが選択することによるOFDMA動作に対する利点である。
【0072】
クライアントがどこに関連付けるかのステアリングと密接に関連するのは、どの周波数帯域で接続するかのステアリングである。Wi-Fiシステム10において、アクセスポイント14は、複数の周波数帯域で同時に動作することができる。例えば、いくつかのアクセスポイント14は、2.4GHz帯域及び5GHz帯域で同時に動作することができる。
【0073】
最適化370は、上述したように目的関数を最大化することにより、入力360から出力362を生成する。多くの異なる可能な目的関数がある。1つの目的は、各クライアントデバイス16に達成可能なスループットを個別に最大化することであり得る。これは、1つのデバイスのみが動作しているときのユーザの体験に一致する。しかしながら、多くの場合、典型的なWi-Fiシステム10では、複数のデバイスが同時に動作している。このシナリオを考慮するために、同時に動作しているときに、全てのクライアントデバイス16に提供される総スループットは、目的関数を形成し得る。このゴールには、すでに良好に機能しているクライアントの性能を向上させるために、一部のクライアントを完全に枯渇させることによって、最大の合計スループットが達成され得るという欠点がある。別の目的は、最悪の状況にあるネットワーク内のクライアントの性能をできる限り高めることであり得る(クライアントへの最小のスループットの最大化)。このゴールは、公平性を高めるのには役立つが、最悪のクライアントデバイス16で漸増的な改善を得るために多大な総容量を引き換えにする場合がある。好ましい手法は、単一ユーザスループット、共同スループット、及びスループットの公平性の3つを全て重み付けすることができる。
【0074】
入力360があって、目的関数がわかっていれば、目的関数を最大化する出力362のセットを見出すことは数学的な問題となる。本明細書では、多数の異なる最適化技法が知られており、企図されている。これを行う効率的な方法は、混合整数線形計画(MILP)として問題を公式化することである。この公式には、いくつかの利点がある。第一に、連続変数と離散変数との両方が関与するので、問題の性質に合う。例えば、チャネル選択は整数の変数である。第二に、MILPの問題を解く効率的な方法が公知である。第三に、公式はかなり包括的であり、多様な目的関数及び解の制約に対応する。図12は、最適化370のための例示的な混合整数線形計画(MILP)の式である。
【0075】
理想的には、この最適化370は、1軒の家だけでなく、互いにWi-Fi範囲内にある全ての家で行われ、したがって、互いに干渉が生じる。当然、第一の家に干渉する家にも、さらに遠く離れたインターフェアラが存在する。このように進行していくと、1回の最適化だけで非常に多数の家を、例えば、市内の全ての家を最適化しようとすることになる。MILPの解の演算時間は、最適化の対象のパラメータの数とともに幾何級数的に増加し、また、1回の最適化を実行する家の数とともに幾何級数的に増加する。この解決策は、クラスタ化を行うことである。図13は、一緒に最適化される家の数を減らし、それによって演算の複雑性を管理可能なものにするためのクラスタ化の一例の図である。クラスタ化技法は、本明細書でよく知られており、企図されており、Wi-Fiシステム10内の各アクセスポイント14によって見られる他のアクセスポイント14の信号強度に基づくことができる。
【0076】
(ステアリング技法)
最適化370が完了し、クライアントデバイス16の所望の位置を決定したら、次のステップは、クライアントデバイス16が正しいアクセスポイント14に接続するように誘導することである。これが、本明細書で「クライアントステアリング」と呼ぶものである。クライアントステアリング処理の主な信条は、クライアントデバイス16のWi-Fi接続への中断を最小限に抑え、クライアントデバイス16の大部分で機能するようにすることである。
【0077】
一実施形態では、本明細書で説明するクライアントステアリング処理は堅牢であり、実質的に全てのタイプのクライアントデバイス16で動作する。第一に、クラウド12上のコントローラは、Wi-Fiシステム10内の様々なアクセスポイント14に、使用するステアリング技法のタイプとともにステアリングする必要があるクライアントデバイス16の詳細を含むメッセージを送信する。このメッセージを受信すると、クライアントデバイス16が現在関連付けられているアクセスポイント14は、以下、1)クライアントデバイス16に関連付け解除要求を送信すること、2)そのクライアントデバイス16からのプローブ要求への応答を停止すること、及び3)クライアントデバイス16がまだ関連付けを試みている場合、理由コード34で認証失敗を送信することを行う。クライアントデバイス16が関連付けられていないアクセスポイント14は、そのクライアントからのプローブ要求への応答を停止する。最後に、クライアントデバイス16がステアリングされているアクセスポイント14は、そのクライアントデバイス16からのプローブ要求に応答する。
【0078】
クライアントデバイス16を1つのアクセスポイント14から別のアクセスポイント14へとステアリングするのに使用できる技法は他にもある。これらの手法はさほど一般的ではないかもしれないが、はるかに高速に動作することもあり、クライアントデバイス16がその関連付けを1つのアクセスポイント14から別のアクセスポイント14へと移動している際のネットワークの中断時間を減らすことができる。そのような機構の1つは、Channel Switch Announcement(CSA)を使用することである。IEEE802.11標準化チャネル切替えアナウンスメントを理解するクライアントデバイス16は、その命令に従い、同意された時間で非常に迅速にチャネル移動する。しかしながら、CSAは高速チャネル切替えを誘導しはするが、それ自体ではデバイス16を新アクセスポイント14へローミングさせない。CSAによってデバイスを速やかにチャネル移動させたら、クライアントデバイス16に関連付け解除メッセージを送信することによって、実際にローミングさせることができる。このメッセージは、新チャネル上の新アクセスポイント14によって送信されることができ、旧チャネル上の旧アクセスポイント14としてのアクセスポイント14が、旧アクセスポイント14の基本サービスセット識別子(BSSID)を妨害することによって自己妨害している、というものである。明確な関連付け解除がなくでも、一部のクライアントデバイス16はそれらの旧接続を時間切れとして、CSAが送信されないときよりも手早く新アクセスポイント14を発見する。一部のクライアントデバイス16は、スキャンして、関連付け解除メッセージに従って新チャネル上の新アクセスポイント14を発見するのは非常に遅い。
【0079】
IEEE802.11k規格及びIEEE802.11v規格内に、クライアントデバイス16を1つのアクセスポイント14から別のアクセスポイント14へとローミングさせる機構もある。これらの機構は、サービスの中断がより少なく、より迅速にクライアントデバイス16を新アクセスポイント14へと移動させることができるので、有利である。しかしながら、全てのデバイスがこれらの動作モードをサポートするわけではない。
【0080】
同様に、高速ローミングプロトコルであるIEEE802.11rの使用も、1つのアクセスポイント14から別のアクセスポイント14への移動を加速するのに用いることができる。しかしながら、IEEE802.11k及びIEEE802.11vと同様に、この手法も全てのデバイスにサポートされるわけではない。
【0081】
全ての手法が全てのデバイスにサポートされるわけではなく、また、一部の手法では一部のデバイスで高速だがそれ以外のデバイスでは高速ではないので、どのクライアントデバイス16がどの手法をサポートし、どの手法が所与のクライアントデバイス16でのネットワーク中断を最短とするかを、コントローラが学習することが重要になる。クラウドをベースとする学習システムは、このことを実施するには良い方法である。そのようなシステムは、多数のクライアントデバイス16の挙動の可視性を有し、どのデバイスがどの手法で最良に動作するかを理解するのに必要な統計値を抽出することが可能になる。
【0082】
これを行うための一手法は、アクセスポイント14に、異なるステアリングアルゴリズムに対する様々なクライアントデバイス16の挙動をクライアントMACアドレス及びクライアント名を用いて把握させておき、それらをクラウド12上のコントローラに報告させることである。このことは、Wi-Fiシステム10がクライアントステアリングアルゴリズムの変更形態を異なるクライアントデバイスのステアリングに用いることができるように、クライアントの挙動を学習するのに役立つ。どの手法が最良に機能するかを学習することと合わせて、Wi-Fiシステム10は、各手法をある特定のクライアントデバイス16に関していかにして最適化できるかについて具体的な詳細を学習することができる。例えば、関連付け解除要求を送ること、及びプローブ要求に応答しないことは、ほとんどのクライアントデバイス16をステアリングするのに十分な場合もあるが、ステアリングの認証失敗の送信を要求し得るクライアントデバイス16の特定のセットがあってもよい。
【0083】
図14は、任意の分散Wi-Fiネットワークでクライアント関連付けを遠隔で制御するために使用されるクライアントステアリング処理400のフロー図である。クライアントステアリング処理400は、クラウド12内のクラウドコントローラ410、Open vSwitch Database(OVSDB)412、アクセスポイント14と関連付けられたWi-Fiマネージャ414、及び同じくアクセスポイント14と関連付けられたWi-Fiドライバ416を参照して説明される。クラウドコントローラ410は、クラウド12内のサーバ20であってもよい。OVSDB412は、Software Defined Networking(SDN)環境における管理プロトコルである。ほとんどのネットワークデバイスは、シンプルネットワーク管理プロトコル(SNMP)等のレガシープロトコルによる遠隔構成が可能である。OVSDB412の重点は、現代的な、プログラムに基づく管理プロトコルインターフェースを作成することであった。OVSDB412は、RFC7047「The Open vSwitch Database Management Protocol」(12/2013)に基づくことができ、その内容は参照により本明細書に援用する。アクセスポイント14は、プロセッサ102を介する等してWi-Fiマネージャ414を実行することができ、Wi-Fiドライバ416は、無線機104のWi-Fiインターフェースを制御するために使用することができる。クライアントステアリング処理400は、堅牢で、ほぼ全てのWi-Fiクライアントデバイス16で機能する。
【0084】
例示の目的で、クライアントステアリング処理400を、ノード1からノード2(すなわち、アクセスポイント14)へと誘導されている1つのクライアントを参照して説明する。なお、アクセスポイント14は、Wi-Fiマネージャ414と関連付けられており、Wi-Fiドライバ416は現在Wi-Fiクライアント16、すなわちノード1と関連付けられており、クラウドコントローラ410はクライアントステアリング処理400によってクライアントを別のアクセスポイント14、すなわちノード2(図42には図示せず)へと誘導している。しかしながら、ノード2は、同様のWi-Fiマネージャ414及びWi-Fiドライバ416を有する。当業者であれば、クライアントステアリング処理400を複数のWi-Fiクライアントデバイス16及び複数のWi-Fiネットワークで用いることができることを認識しよう。クラウドコントローラ410は、構成及び最適化処理50に基づいて、Wi-Fiクライアントデバイス16を誘導する必要性を判定することができる。しかしながら、Wi-Fiクライアントデバイス16は、負荷バランシング、最適化、メンテナンス、オフチャネルスキャニング等を含む何らかの理由により誘導されることがある。
【0085】
クラウドコントローラ410は、クライアント(すなわち、Wi-Fiクライアントデバイス16)をノード1からノード2へと誘導する必要があると判定する。具体的には、クラウドコントローラ410は、その制御下にある各アクセスノード14のAssociated Client List(ACL)テーブルを維持することができる。クライアントステアリング処理400では、クラウドコントローラ410は、特定のWi-Fiクライアントデバイス16を、関連付けられたアクセスポイント14のACLテーブルに追加する/そこから削除することができる(ステップ420、421)。例えば、クライアントAをノード1から離れてノード2へと誘導するには、クラウドコントローラ410はクライアントAをノード1のACLテーブルから削除し、当該クライアントをノード2のACLテーブルに追加する。
【0086】
クライアントステアリング処理400では、クラウドコントローラ410は、Wi-Fiネットワーク内の様々なノードに、使用されるステアリング技法のタイプとともに、ステアリングが必要なクライアントの詳細を含むメッセージを送信する。例示的な実施形態では、クラウドコントローラ410は、そのようなメッセージをノードに送信するのにOVSDB412を使用することができる。例えば、クラウドコントローラ410は、OVSDB412を介して、各ノードにACLテーブルのアップデートを提供することができる。アクセスポイント14(ノード)は、アップデートされると、動作することができ、すなわち、削除されたクライアントから関連付けを解除し、追加されたクライアントから関連付けられようとする。
【0087】
クラウドコントローラ410がACLテーブルにノードAの追加/削除を実行するとき(ステップ420、421)、アップデート通知メッセージをノード1及びノード2の両方のWi-Fiマネージャ414に送信することができる(ステップ422)。ノード1は、そのACLリストをクリアして(ステップ423)、ブラックリストモードを有効にし(ステップ424)、クライアントAのMedia Access Control(MAC)アドレス(又は何らかの他の一意識別子)をACLリストのブラックリストに追加することができる(ステップ425)。次に、ノード1のWi-Fiマネージャ414は、OVSDB312からの変更があるまで待機する状態に進むことができる(ステップ426)。ノード1のWi-Fiマネージャ414は、Wi-Fiドライバ416(例えばInput/Output Control(IOCTL))にコールすることができる。
【0088】
このコールを受信すると、クライアントAが現在関連付けられているノード1は、以下、クライアントAに関連付け解除要求を送信すること(ステップ427)、当該クライアントAからのプローブ要求への応答を停止すること(ステップ428)、及びクライアントが今も関連しようとした場合は理由コード34とともに認証失敗を送信すること(ステップ429)を行う。また、ACLリストにクライアントAが載っていないWi-Fiネットワーク内の他のノード及びノード1は、クライアントAからのプローブ要求に応答しない。反対に、クライアントAが誘導されているノード2は、当該クライアントAからのプローブ要求に応答する。
【0089】
Wi-Fiクライアントデバイス16を1つのアクセスポイント14から別のアクセスポイント14へとステアリングするのに使用できる手法は他にもある。これらの手法はさほど一般的ではないかもしれないが、はるかに高速に動作することもあり、Wi-Fiクライアントデバイス16がその関連付けを1つのアクセスポイント14から別のアクセスポイント14へと移動している際のネットワークの中断時間を減らすことができる。そのような機構の1つは、Channel Switch Announcement、すなわち、CSAを使用することである。IEEE802.11標準化チャネル切替えアナウンスメントを理解するクライアントは、その命令に従い、同意された時間で非常に迅速にチャネル移動する。しかしながら、CSAは高速チャネル切替えを誘導しはするが、それ自体ではデバイスを新アクセスポイント14へローミングさせない。CSAによってWi-Fiクライアントデバイス16を速やかにチャネル移動させたら、Wi-Fiクライアントデバイス16に関連付け解除メッセージを送信することによって、実際にローミングさせることができる。このメッセージは、新チャネル上の新アクセスポイント14によって送信されることができ、旧チャネル上の旧アクセスポイント14としてのアクセスポイント14が、旧アクセスポイント14の基本サービスセット識別子(BSSID)を妨害することによって自己妨害している、というものである。明確な関連付け解除メッセージなしでも、一部のWi-Fiクライアントデバイス16はそれらの旧接続を時間切れとして、CSAが送信されないときよりも迅速に、新アクセスポイント14を発見する。一部のWi-Fiクライアントデバイス16は、スキャンして関連付け解除メッセージに従って新チャネル上の新アクセスポイント14を発見するのは非常に遅い。
【0090】
IEEE802.11k規格のローミング支援及びIEEE802.11v規格のマルチキャスト指定内に、Wi-Fiクライアントデバイス16を1つのアクセスポイント14から別のアクセスポイント14へとローミングさせる機構もある。これらの機構は、サービスの中断がより少なく、より迅速にWi-Fiクライアントデバイス16を新アクセスポイント14へと移動させることができるので、有利である。しかしながら、全てのWi-Fiクライアントデバイス16がこれらの動作モードをサポートするわけではない。同様に、高速ローミングプロトコルであるIEEE802.11rの使用も、1つのアクセスポイント14から別のアクセスポイント14への移動を加速するのに用いることができる。しかしながら、IEEE802.11k及びIEEE802.11vと同様に、この手法も全てのWi-Fiクライアントデバイス16にサポートされるわけではない。
【0091】
なお、クラウドコントローラ410は、クライアントステアリング処理400、CSAアナウンスメント、IEEE802.11r規格の高速ローミング、IEEE802.11k規格のローミング支援、及びIEEE802.11v規格のマルチキャスト指定等を使用することができる。本明細書で説明したように、クラウドコントローラ410は、クライアントステアリング処理400、CSAを含む複数のステアリング手法を利用することができ、アクセスポイント14に関連付けを解除させ、アクセスポイントのACLリスト中のクライアントをブラックリスト化させる。
【0092】
本明細書で説明されたいくつかの例示的な実施形態は、マイクロプロセッサのような1つ又は複数の一般又は専用プロセッサ(「1つ又は複数のプロセッサ」)、中央処理装置(CPU)、デジタル信号プロセッサ(DSP)、ネットワークプロセッサ(NP)又はネットワーク処理装置(NPU)、グラフィック処理装置(GPU)等のようなカスタム化プロセッサ、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)等を、それらを制御するための一意の記憶されたプログラム命令(ソフトウェア及びファームウェアの両方を含む)とともに含んで、特定の非プロセッサ回路と関連して、本明細書で説明された方法及び/又はシステムの一部、ほとんど、又は全部の機能を実装することができることを理解されよう。あるいは、一部又は全部の機能は、プログラム命令が記憶されていない状態のマシンによって実装されるか、又は1つ又は複数の特定用途向け集積回路(ASIC)に実装されてもよく、各機能又は特定の機能の何らかの組合せがカスタム論理又は回路として実装される。当然、前述の手法の組合せを使用してもよい。本明細書で説明された例示的な実施形態の一部では、ハードウェア内の対応するデバイスは、任意選択でソフトウェア、ファームウェア、及びそれらの組合せを備えて、1セットの動作、ステップ、方法、処理、アルゴリズム、機能、技法等を、デジタル及び/又はアナログ信号で、様々な例示的な実施形態について本明細書で説明されたように、実行する「ように構成又は適合されている回路」、「ように構成又は適合されている論理」等と呼ばれることがある。
【0093】
さらに、いくつかの例示的な実施形態は、コンピュータ、サーバ、アプライアンス、デバイス、プロセッサ、回路等をプログラムするためのコンピュータ可読コードを有する非一過性コンピュータ可読ストレージ媒体を含むことができ、そのコンピュータ、サーバ等のそれぞれは、本明細書に記載され、特許請求される機能を実行するプロセッサを含むことができる。そのようなコンピュータ可読ストレージ媒体の例としては、限定ではないが、ハードディスク、光学ストレージデバイス、磁気ストレージデバイス、ROM(読出し専用メモリ)、PROM(プログラム可能読出し専用メモリ)、EPROM(消去可能プログラム可能読出し専用メモリ)、EEPROM(電気的消去可能プログラム可能読出し専用メモリ)、フラッシュメモリ等が挙げられる。非一過性コンピュータ可読媒体に記憶される場合、ソフトウェアは、プロセッサ又はデバイス(例えば、任意のタイプのプログラム可能回路又は論理)によって実行可能な命令を含むことができ、当該命令は、そのような実行に応答して、様々な例示的実施形態について本明細書で説明したような1セットの動作、ステップ、方法、処理、アルゴリズム、機能、技法等をプロセッサ又はデバイスに実行させる。
【0094】
本開示を好ましい実施形態及びそれらの具体的な例を参照して、本明細書の中で例示し説明してきたが、当業者であれば、他の実施形態及び例も同様に機能し得ること、及び/又は同様の結果を実現し得ることは容易に理解できる。そのような均等の実施形態及び例は全て、本開示の趣旨及び範囲内であり、それによって企図され、以下の特許請求の範囲によってカバーされることを意図している。
図1
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図14
【手続補正書】
【提出日】2022-05-23
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
結合されたWi-Fiネットワーク(10、10A、32)を形成するように構成された複数のアクセスポイント(14、36)に通信するステップであって、前記複数のアクセスポイント(14、36)の少なくとも一部のアクセスポイント(14、36)は直交周波数分割多重アクセス(OFDMA)を利用する、ステップと、
前記複数のアクセスポイント(14、36)のうちのどれが前記結合されたWi-Fiネットワーク(10、10A、32)のOFDMA動作に部分的に基づいて前記複数のクライアントデバイス(16)のうちのいくつかに接続するかを決定するステップと、
OFDMAをサポートするクライアントデバイス(16)の一部又は全部を、OFDMAをサポートする同一のアクセスポイント(14、36)に接続させるステップと、
を含む、方法。
【請求項2】
前記複数のアクセスポイント(14、36)のうちアクセスポイント(14、36)は、複数の家及び複数の企業のうちの少なくとも1つを含む複数の場所に配置される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記複数のアクセスポイント(14、36)のうちのどれが前記複数のクライアントデバイス(16)のうちのいくつかに接続するかを決定するステップは、前記複数のクライアントデバイス(16)のOFDMA能力、多重入力多重出力(MIMO)能力及びチャネル能力のうちの少なくとも1つを含むクライアント情報に基づいている、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記クライアント情報は、前記複数のクライアントデバイス(16)、及び前記複数のアクセスポイント(14、36)によって収集されたデータのうちの少なくとも1つから取得される、請求項に記載の方法。
【請求項5】
前記複数のアクセスポイント(14、36)のうちのどれが前記複数のクライアントデバイス(16)のうちのいくつかに接続するかを決定するステップは、前記複数のクライアントデバイス(16)の前記複数のアクセスポイント(14、36)に対するトラフィック負荷、パケット長、及び信号強度のうちの少なくとも1つを含む、前記結合されたWi-Fiネットワーク(10、10A、32)のOFDMA動作に関するクライアントの特性に基づいている、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記複数のアクセスポイント(14、36)のうちのどれが前記複数のクライアントデバイス(16)のうちのいくつかに接続するかを決定するステップは、動的であり、時間ベースの再計算と、前記結合されたWi-Fiネットワーク(10、10A、32)の状態の変化に基づく再計算との少なくとも一方に基づいて変化する、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記複数のアクセスポイント(14、36)のうちのどれが前記複数のクライアントデバイス(16)のうちのいくつかに接続するかを決定するとき、前記結合されたWi-Fiネットワーク(10、10A、32)が最適化され、最適化要因は、前記複数のアクセスポイントのそれぞれの個々のデバイススループット、前記結合されたWi-Fiネットワーク(10、10A、32)の共同負荷スループット、前記複数のクライアントデバイス(16)に対するスループットの公平性、及び前記結合されたWi-Fiネットワーク(10、10A、32)の条件の安定性を含む、請求項1~6いずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記複数のクライアントデバイス(16)は、接続先を示すクライアントデバイス(16)へのメッセージング、プローブ応答ブロック、関連付け又は認証ブロック、ビーコン隠し、及び混乱を最小限に抑えるためのプロトコルのうちの1つ又は複数を使用して、前記複数のアクセスポイント(14、36)に接続するように誘導される、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
プロセッサ(202)と、命令を記憶するメモリ(210)と、を備えるWi-Fiコントローラ(200)であって、前記命令は、実行されると、前記プロセッサ(202)に請求項1~8のいずれか一項に記載の方法を実施させる、Wi-Fiコントローラ(200)。
【請求項10】
前記Wi-Fiコントローラ(200)は、ローカルコントローラと、クラウドベースコントローラとの一方である、請求項9に記載のWi-Fiコントローラ(200)。
【請求項11】
前記結合されたWi-Fiネットワーク(10、10A、32)を形成するように構成された前記複数のアクセスポイント(14、36)を備える、Wi-Fiシステムであって、前記複数のアクセスポイント(14、36)の少なくとも1つのアクセスポイント(14、36)が請求項9又は10に記載のWi-Fiコントローラ(200)に接続される、Wi-Fiシステム。
【請求項12】
命令を含むコンピュータプログラムであって、前記命令は、少なくとも1つのプロセッサ上で実行されると、前記少なくとも1つのプロセッサ(202)に請求項1~8のいずれか一項に記載の方法を実施させる、コンピュータプログラム。
【請求項13】
請求項12に記載のコンピュータプログラムを含むキャリアであって、前記キャリアは、電子信号、光信号、無線信号、又はコンピュータ可読ストレージ媒体のうちの1つである、キャリア。
【国際調査報告】