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特表2022-550052微生物でグラフェンオキシドを還元することによって窒素および硫黄でグラフェンをドープする方法、それにより得られた窒素および硫黄でドープされたグラフェンならびにその使用
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-11-30
(54)【発明の名称】微生物でグラフェンオキシドを還元することによって窒素および硫黄でグラフェンをドープする方法、それにより得られた窒素および硫黄でドープされたグラフェンならびにその使用
(51)【国際特許分類】
   C12P 11/00 20060101AFI20221122BHJP
   C12P 13/00 20060101ALI20221122BHJP
【FI】
C12P11/00
C12P13/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022519062
(86)(22)【出願日】2020-09-23
(85)【翻訳文提出日】2022-03-23
(86)【国際出願番号】 IB2020058879
(87)【国際公開番号】W WO2021059152
(87)【国際公開日】2021-04-01
(31)【優先権主張番号】102019000017291
(32)【優先日】2019-09-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522115365
【氏名又は名称】バイオエネ テクノロジーズ ソシエテ ア レスポンサビリテ リミテ
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100119013
【弁理士】
【氏名又は名称】山崎 一夫
(74)【代理人】
【識別番号】100123777
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 さつき
(74)【代理人】
【識別番号】100111796
【弁理士】
【氏名又は名称】服部 博信
(74)【代理人】
【識別番号】100123766
【弁理士】
【氏名又は名称】松田 七重
(74)【代理人】
【識別番号】100183379
【弁理士】
【氏名又は名称】藤代 昌彦
(72)【発明者】
【氏名】ヤキモフ ヴァレンチノ
【テーマコード(参考)】
4B064
【Fターム(参考)】
4B064AE01
4B064AE61
4B064CA02
4B064CB16
4B064CD01
4B064CD02
4B064CD20
4B064CD30
4B064DA01
4B064DA16
4B064DA20
(57)【要約】
本発明は、微生物によるグラフェンオキシドの還元を通じて、窒素原子および硫黄原子でデュアルドープされたグラフェンを製造する方法に関する。加えて、本発明は、この方法によって得られる窒素原子および硫黄原子でデュアルドープされたグラフェンに関し、かつそのようにドープされたグラフェンの、例えば電子部品または水精製機器を製造するための、使用に関する。特に、方法はエコサステナブルであり、かつ経済的であり、公知の製品と比べて著しく改善された性能を有する製品を提供するという、さらなる利点を有する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
窒素原子および硫黄原子でドープされたグラフェン(N,S-DDG)を製造する方法であって、
- 厳密に嫌気性であり、かつスルファイト還元性であり、かつ200g・L-1を超える塩分条件および7.0~10.0のpHにおいて、20℃~50℃で生存可能なハロバクテリア(Halobacteria)綱の微生物を準備する工程と、
- 電子供与体として、100mmolまでの量で、水素(H2)、アセテート(C242)、ホルメート(CH22)、グリセロール(C385)、グルコース(C6126)、スクロース(C122211)および他の類似の糖、ラクテート(C363)、短鎖脂肪酸(C4-C9)ならびに/またはピルベート(C343)を含み、かつ電子受容体として、50mmolまでの量で、元素の硫黄(S8°)、ポリスルフィド(-S-S6-S-)、チオスルフェート(S23 2-)、ジメチルスルホキシド(CH32SO、テトラチオネート(S46 2-)を含む、S2-よりも酸化された硫黄形態のうちの任意の1つを含む媒質中で、前記微生物を培養する工程と、
- グラフェンオキシド(GO)の溶液を、前記微生物を含有する前記培地と、窒素および硫黄でのドープを得るのに十分な時間、接触させる工程と、
- グラフェンを洗浄して、有機相と、酸化させたグラフェンと反応していない窒素および硫黄を含有する分子との両方を除去する工程と
を含む、方法。
【請求項2】
前記微生物が、ハラルカリアルカエウム(Halalkaliarchaeum)属、ハラナエロアルカエウム(Halanaeroarchaeum)属、ハロデスルフラルカエウム(Halodesulfurarchaeum)属、ハラルカエオグロブス(Halarchaeoglobus)属、ナトラナエロアルカエウム(Natranaeroarchaeum)属およびナトロノリムノビウス(Natronolimnobius)属、好ましくは、ハラルカリアルカエウム・デスルフリクム(Halalkaliarchaeum desulfuricum)種、ハラナエロアルカエウム・スルフリレドゥケンス(Halanaeroarchaeum surufurireducens)種、ハロデスルフラルカエウム・フォルミキクム(Halodesurfurarchaeum formicicum)種、ハラルカエオグロブス・デスルフリクス(Halarchaeoglobus desulfuricus)種、ナトラナエロアルカエウム・スルフィディゲヌム(Natranaeroarchaeum sulfidigenum)種およびナトロノリムノビウス・スルフリレドゥケンス(Natronolimnobius sulfurireducens)種から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記培地が、240g・L-1のNaCl、3g・L-1のK2HPO4、0,5g・L-1のNH4Cl、1~5mMのMgCl2×6H2Oを含み、滅菌されており、20~50mg・L-1の酵母抽出物、1ml・L-1の酸微量金属溶液、1mL・L-1のSe/Wアルカリ溶液およびビタミンミックスが添加されている、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記酸微量金属溶液が、(培地1リットルに対して)以下の物質、HCl 0.01N、0.6gのCoCl2×6H2O、30mgのCuCl2、0.3gのFeCl2×4H2O、1.14gのH3BO3、4gのMnCl2×4H2O、0.5gのNa2MoO4×2H2O、0.3gのNiCl2×6H2Oおよび0.42gのZnCl2を含み、前記ビタミンミックスが、脱イオン水1L当たり、1mgのB12ビタミン、20mgのビオチン、20mgの葉酸、50mgのニコチン酸、50mgのp-アミノ安息香酸、50mgのパントテン酸カルシウム、100mgのピリドキシン×HCl、50mgのリボフラビン、50mgのチアミンおよび50mgのチオン酸を含み、前記Se/Wアルカリ溶液が(0.01NのNaOH 1リットルに対して)以下の物質、2mgのNa2SeO3および4mgのNa2WO4×1.5H2Oからなる、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記培地が、10g・L-1のHEPESをさらに含む、請求項3または4に記載の方法。
【請求項6】
前記培地が、2種の培地の混合物であり、第1の培地が、240g・L-1のNaCl、5g・L-1のKCl、2g・L-1のK2HPO4、0.5g・L-1のNH4Clを含み、第2の培地が、190g・L-1のNa2CO3、30g・L-1のNaHCO3、16g・L-1のNaCl、5.0g・L-1のKCl、8mMのNH4Cl、1.0g・L-1のK2HPO4を含み、両方の培地に、1mMのMgCl2×6H2O、1mL・L-1の酸微量金属溶液、ビタミンミックス、1mL・L-1のアルカリ溶液Se/W、20mg・L-1の酵母抽出物が添加されている、請求項1または2に記載の方法。
【請求項7】
グラフェンオキシド(GO)を細胞培地と接触させる工程が、20℃~50℃の温度で10~30日の時間、撹拌しながら又は攪拌せずに、2mg・mL-1までの濃度で、粉末の形態にあるグラフェンオキシドを接触させて行われる、請求項1~6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
グラフェンを洗浄する工程が、遠心分離および/またはろ過による、グラフェンオキシドからの有機材料の分離を含み、好ましくは、前記工程が、2.000~6.000×gでの2~10分間の遠心分離、続いて等張溶液での洗浄、および5~20μmの孔径を有するグラスファイバーフィルターでのろ過を含み、洗浄が、Milli-Q(登録商標)水で実施され、2回または3回、好ましくは撹拌しながら繰り返され、最終の乾燥の工程が、40℃~80℃で2~6時間実施される、請求項1~7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
窒素および硫黄でドープされたグラフェンオキシドを製造するためのプラントであって、グラフェンオキシドを還元する請求項1または2に記載の微生物の貯蔵および維持/増殖のための第1のタンク(1)と、前記第1のタンクに水力学的に連結されている、前記オキシドを前記微生物と混合しドープするための少なくとも第2のタンク(2)と、第1のタンクのための調節手段(3)と、前記第1のタンクのpH制御および調整手段(4)と、前記第2のタンクの温度制御および調整手段(5)と、ドープされたグラフェンオキシドから有機相を分離するための手段(6)と、ドープされたグラフェンオキシドの洗浄手段(7)と、ドープされ洗浄されたグラフェンの乾燥手段(8)とを備える、プラント。
【請求項10】
請求項1または2に記載の微生物の、窒素および硫黄でグラフェンオキシドをドープする方法における、使用。
【請求項11】
原子の総パーセンテージに対するパーセンテージとして、1%~9%、好ましくは1%~5%の窒素原子と、0.3%~15%、好ましくは1%~10%の硫黄原子とを含む、請求項1~8のいずれか1項に記載の方法により窒素および硫黄でドープされたグラフェンオキシド。
【請求項12】
窒素が、90%超のパーセンテージで熱分解形態にあり、かつ/または硫黄が、40%超のパーセンテージでチオフェノール形態にある、請求項11に記載のグラフェンオキシド。
【請求項13】
電子部品および電気化学部品、電気化学電池の電極、分析システム、浄化システム、医薬分野、テレコミュニケーション分野、航空分野、航空宇宙分野、ロボット分野のためのナノ部品として使用されるナノ材料、機械部品、自動車部品、航空部品、航空宇宙部品およびロボット部品としてのエコサステナブルなマクロ材料を製造するための、請求項11または12に記載のドープされたグラフェンオキシドの使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、微生物によるグラフェンオキシドの還元を通じて、窒素原子および硫黄原子でドープされたグラフェンを製造する方法に関する。加えて、本発明は、この方法によって得られる窒素および硫黄でドープされたグラフェンに関し、そのようにドープされたグラフェンの、例えば電子部品または水精製装置を製造するための、使用に関する。特に、方法は、エコサステナブルであり、経済的であり、公知の製品と比べて著しく改善された性能を有する製品を提供するというさらなる利点を有する。
【背景技術】
【0002】
グラフェンは、炭素原子の単原子層であることが知られている。グラフェンは、ダイヤモンドの機械的強度とプラスチックの可撓性とを有する。実際に2人の物理学者Andrej GejmおよびKonstantin Novoselovに帰するその発見は、ナノテクノロジーにおいて新しい道を開いた。詳細には、グラフェンは、最近10年にわたって行われた多くの研究を通じて実験的に明示されているように、きわめて安定であり、非常に優れた機械的、熱的、光学的および化学的な特性、ならびに改善された電気的特性を提供している。
【0003】
名称(末尾「ene」)によって示唆されているように、炭素原子はsp2形態において混成され、そのため、高い結晶特性を有するパターンにおいて配列された120°の角度を有する六角形を形成するように配置されている。したがって、2次元結晶材料であるため、グラフェンは、独特で適合可能な物理的性質、すなわち制御可能であるという性質を提供し、エレクトロニクス、生物学、バイオテクノロジー、エネルギー等の多くの分野において使用されうる、センサー、トランジスター、メモリー、フィルタリングシステム等を含む、異なる機能を有する多種の装置を製造することを可能にする。これらの分野におけるグラフェンの有望な特性は、需要の増加に期待して、大規模生産方法の定義を要請している。その上、グラフェンの、容易に改質しうる構造、そのきわめて興味深い物理的-化学的性質、およびその自然における存在量に起因して、この材料は「可鍛性のクレイ」と関連している。
【0004】
最新技術において公知であるように、多くの分野において異なる装置用にこの材料の使用を可能にするために、グラフェンを、非改質グラフェンに関するその性質を改善するのに好適なドープ方法に供することが必要である。実際、ヘテロ原子とのグラフェンのドープは、その性質を改善するための、好ましくはその電気的性質を改善するための、効果的な方法である。したがって、現在、この分野における研究者のほとんどが、ドープを通じたグラフェンの性質の改質に向けて集中している。
詳細には、グラフェンオキシド中の窒素(N)および硫黄(S)等の異なる原子の挿入は、sp2炭素原子パターンの中断を引き起こし、グラフェンの化学的および物理的性質に影響を及ぼし、性質がドープの程度およびタイプに応じて適合されることを可能にする。理論的研究は、窒素(N)および硫黄(S)でのグラフェンのドープが、その性質、好ましくはその電気-化学的性質を有利に改質し、いわゆる「N,Sデュアルドープグラフェン」(N,S-DDG)を製造し、それが、明示されることになるように、例えば酸素還元反応のための触媒中でさらに変化させうることを示した。
現在、グラフェンのドープのために典型的に使用され、かつ最も効果的な方法は、800℃に加熱された反応器内でグラフェン表面上で蒸発させた化学的物質の堆積(化学的蒸着、CVDの技術)に基づく。詳細には、N,Sデュアルドープグラフェンオキシド(N,S-DDG)を製造するために、グラフェンオキシド(GO)が出発材料として使用され、メタン(CH4)、アンモニア(NH3)および硫酸(H2SO4)等の化学物質でドープされる。いかなる理論にも束縛されることなく、高温(800℃)にて、いくつかの共有結合は壊され、例えばアンモニア中の窒素原子、硫酸中の硫黄原子、およびドープする物質のそれぞれに伴う水素原子を有するものである。次いで、反応器条件下で、得られた不安定分子、例えばアミドイオン(NH2 -)およびスルフェートイオン(SO4 2-)は、グラフェン共有結合と相互作用し、同様に高温によって弱められ、その化学的組成を改質させ、それをN,Sデュアルドープグラフェン(N,S-DDG)へと変化させる。
【0005】
上記のような方法において、環境にとっての汚染性化学物質および人間にとっての有毒物質が使用され、すなわちメタン(CH4)、アンモニア(NH3)および硫酸(H2SO4)である。方法の温度はきわめて高く、このような条件を維持するのに適合させた好適なプラントを見越すことが必要である。さらに、メタンが、(グラフェンオキシドによって潜在的に放出される、またはプラント中へ偶発的に導入される)酸素の存在下で引火性であることに起因して、操作者にとってのセキュリティリスクはきわめて高い。
N,Sデュアルドープグラフェン(N,S-DDG)の最終精製処理は、前の工程で使用された物質の毒性残渣、すなわちアンモニウムイオン(NH3 +)およびスルフェートイオン(SO4 2-)の除去を含む。典型的には、N,Sデュアルドープグラフェン(N,S-DDG)のこの精製工程は、塩酸(HCl)で濯ぐことによる前記残渣の溶解を含む。したがって、方法は、さらなる汚染および有毒物質、すなわちまさに塩酸(HCl)を含み、これは、方法を実施するのに必要な、上に記載される物質の列挙に加えられ、これはまた、頑強性等のグラフェンの性質に影響も及ぼしうる。
先に曝された手順に対する別法として、微生物の使用が、特定のフェーズにおいて、上に記載されるものよりも決定的な実験条件を減らすことを可能にするために提案されている。
【0006】
参照として本明細書に組み込まれる科学刊行物「One-Pot Microbial Method to Synthesize Dual-Doped Graphene and Its Use as High-Performance Electrocatalyst, Guo et al., 16 December 2013」(https://www.nature.com/articles/srep03499)は、スルフェート還元性細菌(SRB)の微生物呼吸によるグラフェンオキシド(GO)の還元の方法を記載している。
詳細には、この文献は、N原子とS原子とで所望のドープを得るために37℃の温度でのスルフェート還元性細菌(SRB)の微生物呼吸を通じたグラフェンオキシド(GO)の還元による、N,Sデュアルドープグラフェン(N,S-DDG)の調製の手順を記載している。
嫌気性呼吸中、スルフェート還元性細菌(SRB)が、最終電子受容体としてスルフェート(SO4 2-)を主に使用することは周知である。グラフェンオキシド(GO)が明らかに電子受容体の性質を明示しているため、SRB呼吸プロセス中にグラフェンオキシド(GO)の還元を達成することが可能である。
【0007】
この手順において使用されるSRB細菌が、Shengli(中国)の湿潤な油状の土壌に由来すること、および(超純水1リットル当たり)4.0mLの乳酸ナトリウム、1.0gの酵母抽出物、0.2gの硫酸マグネシウム(MgSO4・7H2O)、0.1のビタミンC(Vc)、0.01gの二リン酸カリウム(K2HPO4)ならびに10gの塩化ナトリウム(NaCl)からなるAPI-RP38培地中で増殖させたことは、注目されるべきである。pHを、1Mの水酸化ナトリウム(NaOH)で7.0~7.2に調整した。最終溶液を、オートクレーブ中121℃にて20分間滅菌し、室温に冷却して、紫外光で滅菌した0.2gのFeSO4・(NH4)2SO4・6H2Oを添加する。
100mLのGO溶液(0.1mg・mL-1)を、10mLのSRB培地および30mLの新しい培地と混合することによって、グラフェンオキシド(GO)の還元が達成された。混合物を、インキュベーター中、嫌気性条件下37℃にて数日間インキュベートした。
得られた黒色の分散体を遠心分離し(14000rpm)、HCl水溶液で洗浄して、有機物、細胞デブリを除去し、超純水で数回洗浄した。最後に、得られた固体を、真空下80℃にて乾燥させた。
高解像度X線光電子分光測定法によって窒素についてのXPSスペクトルを検出すると、ドープされた窒素および硫黄の原子のパーセンテージは、それぞれ、およそ6.11%と1.1%であった。
【0008】
前記手順は確実に有利であり、その理由は、スルフェート還元性細菌(SRB)の使用のおかげで、ドープの条件が大幅に減少されたからである。特に、最終洗浄フェーズ以外でも、温度ははるかに低く、試薬は完全に環境に優しいものである。
それにもかかわらず、前述した微生物学的方法で得られたN,S-DDGの性能は、満足がいくように証明されていない。実際、グラフェン上のNとSとの分布が類似しているほど、ドープされたグラフェンはより効果的であり、すなわち、それは電流について伝導性であるように見えることが、実験で観察されている。換言すると、理論に束縛されることなく、導電性の観点から優れた基質を得るためには、NとSとの間の%比は、1:1の値に可能な限り近くなければならないと考えられる。
さらに、SRBは、高量のGOに対して過度に感度が高い。このことは、大規模生産でのそれらの使用を著しく制限すると考えられ、その理由は、工業的方法のためだけに必要とされるものの代わりとしてのGOの多すぎる投与量の挿入が、「ドープする」細菌学的培地の死を引き起こすと考えられるからである。
【0009】
最後に、微生物ドープグラフェンオキシドの詳述された物理化学的特性にもかかわらず、上記刊行物は、N,S-DDG合成を当業者にとって十分明確には記載していない。より詳細には、SRBの単離および獲得、ならびに実験室における維持/培養の条件に関する一切の情報を欠いている。したがって、この刊行物は、いかなる規模についてであれ、記載されているプロセスを再現するのに必要な情報を提供しているとは限らない。推測にすぎないが、その筆者らは、いかなる種も開示することなく、使用されたスルフェート還元性細菌の属であるデルタプロテオバクテリア(Deltaproteobacteria)綱のSRB細菌を単離しており、そのためこれがきわめて可変性であり得、おそらくはデスルフォビブリオ属(Desulfovibrio)、デスルフォバクター属(Desulfobacter)、デスルフォコッカス属(Desulfococcus)またはデスルフォネーマ属(Desulfonema)に属している。
結果として、上に記載される課題を克服する、N,Sデュアルドープグラフェンオキシド(N,S-DDG)の調製の方法を定義する必要性が存在する。詳細には、製造方法、好ましくは大規模における製造方法は、低い汚染リスク、操作者にとっての低い危険性、例えば低温、ならびに汚染生成物および有毒生成物の最少化された使用を伴う条件を採用しなければならず、かつ同時に、導電性の点で高い性能を保有している最終製品を保証しなければならない。
【発明の概要】
【0010】
したがって、本発明に潜在している技術的課題は、メタン(CH4)、アンモニア(NH3)および硫酸(H2SO4)等の、環境に対して汚染物質であり、ヒト対して有毒である化学物質の大量使用または放出リスクを包含しない、かつ実質的に低い反応温度を包含する、窒素原子および硫黄原子でドープされたグラフェン(N,S-DDG)の製造の方法を提供することである。
【0011】
上記課題は、特別に選択された微生物の手段によるグラフェンオキシド(GO)の還元フェーズを包含する、窒素原子および硫黄原子でデュアルドープされたグラフェン(N,S-DDG)を製造する方法によって解決される。
したがって、本発明の第1の目的は、選択された微生物の培地をグラフェンオキシド(GO)の混合物と接触させる工程を含む、窒素原子および硫黄原子でデュアルドープされたグラフェン(N,S-DDG)を製造する方法である。
第2の目的は、培地が、還元されたグラフェンオキシド(GO)のドープに必要な元素、例えば窒素(N)および硫黄(S)も提供する、窒素原子および硫黄原子でデュアルドープされたグラフェン(N,S-DDG)の製造の方法である。
第3の目的は、単離されたシステムにおいて起こるときに中断を要しない、非操作フェーズ、すなわち「インループ」方法または連続的再循環方法を実際に含まない、窒素原子および硫黄原子でドープされたグラフェン(N,S-DDG)の製造の方法である。
さらなる目的は、グラフェンオキシド中への高い挿入率を有する不安的な活性分子の放出を可能にし、きわめて低い毒性およびきわめて低い汚染グレードを有する製品をもたらす方法である。
【0012】
なおもさらなる目的は、特別な微生物を使用して、窒素原子および硫黄原子でデュアルドープされたグラフェンを製造することである。
なおもさらなる目的は、本方法によって得られる、窒素原子および硫黄原子でデュアルドープされたグラフェン(N,S-DDG)であり、そのためそのコストが低く、環境およびヒトの健康に最小科されたリスクを伴う。
なおもさらなる目的は、窒素原子および硫黄原子でデュアルドープされたグラフェン(N,S-DDG)を製造するコストを下げる単純な方法において特別に設計された、単純化された製造プラントである。
【0013】
最終の目的は、電子部品および電気化学部品(例えば燃料電池)の製造、分析システム、精製システム、および医薬、電話、航空、航空宇宙、ロボット工学のナノ部品、自動車機械の部品、航空の部品、航空宇宙の部品、ロボット工学の部品としてのエコサステナブルなマクロ材料のための、本発明によるドープされたグラフェンの使用である。
上に示した課題および目的、ならびに本明細書で後により良く現れる他の課題および目的は、添付した独立の特許請求の範囲において定義される方法、プラント、特定のドープ微生物、グラフェンおよびその使用によって解決され、達成される。
【0014】
本発明による、窒素原子および硫黄原子でデュアルドープされたグラフェン(N,S-DDG)の製造の方法の、さらなる特性および利点は、非限定的な例として付与されるいくつかの好ましい実施形態の以下の記載において、また以下の図を参照して、明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】ハロバクテリア(Halobacteria)綱、ステノサルカエア(Stenosarchaea)分岐群、エウルヤルカエオタ(Euryarchaeota)門に属する6種の新しいハロアルカエア(Haloarchaea)種の位置を示す系統樹を表す図である。
図2】本発明による、窒素原子および硫黄原子でドープされたグラフェンを製造する工業的方法の一般スキームを表す図である。
図3】チオスルフェート(DDGO-T)およびポリスルフィド(DDGO-S)が元素の硫黄の代わりに電子受容体として供給されるときの、ホルメート(電気供与体)上で増殖させた異なるハロアルカエアの使用による、グラフェンオキシド(GO)、およびN,S-DDG中で還元されたグラフェンオキシドの、ラマン分光分析の結果の比較のグラフを表す図である。
図4】異なる炭素源上で増殖させた異なるハロアルカエア種を使用して得た、グラフェンオキシド(対照)のサイクリックボルタンメトリーと、NとSとでドープされたグラフェンオキシドサンプルとの間の結果の、2種の比較グラフを表す図であり、ここで、元素の硫黄は、最終電子受容体として、かつホルメート上で増殖したとして付与され(グラフA)、ここで、チオスルフェートおよびポリスルフィドは電子受容体として付与された(グラフB)。
図5】それぞれが3種の異なる基質(PYR、AC、FORM)で増殖させた微生物(HSR)の種を使用して3種のドープされたグラフェンサンプルの、ドープされていないグラフェンオキシドに対する、XPSスペクトルをそれぞれ示している3種のグラフを示す図であり、それぞれa)Cの1s混成、b)Nの1s混成、およびc)Sの2p混成である。
図6】それぞれ、チオスルフェート(グラフA)およびポリスルフィド(グラフB)で培養されたAARC-S株の、微生物での処理後の、ドープされたグラフェンサンプル中の窒素の化学的形態の分析に関する2種のグラフを表す図である。
図7】チオスルフェートで増殖させた本発明の微生物(AARC-S)で改質されたグラフェンのサンプル中の硫黄の化学的形態の、XPSスペクトルのグラフを表す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明は、ナノ材料の工業的用途を見越した、グラフェンオキシド(GO)をドープする生物化学的方法を本質的に指す。いわゆる「ドープする」は、グラフェンオキシド、特定の微生物、およびそれらの培地の間の物理的近さによって排他的に可能にする、方法である。以下の記述では、用語「ドープする」および関連語は、初期にその元々の構造中に不在であった原子の挿入によって、分子の化学組成を変更する方法を意味する。この方法は、それに供された材料の物理化学的性質を改質する。本発明の特定の事例では、「N,S-DDG」は、窒素(N)原子と硫黄(S)原子とでドープされたグラフェン、すなわち文字通り、N[窒素],S[硫黄]-D[デュアル]D[ドープされた]G[グラフェン]を意味する。
【0017】
製品の最終の精製の工程を除き、ドープを実施するのに中断は必要ないことが注目されるべきである。
加えて、一般に、選択された微生物の呼吸機能が、非常に高い挿入率を有する不安定分子の放出を可能にする。次いで、不安定分子とGOとの間の近さは、硫黄(S)原子と窒素(N)原子との、グラフェンオキシド(Cnij)の2次元構造への挿入を、驚くべき効果的な方法で可能にする。
すでに説明したように、そのようにドープされた、還元されたグラフェンオキシドの物理化学的性質は、最近では、ケイ素半導体の置き換えから、革新的な水の脱汚染システムの運用までの多様な用途における、それらの多用途性のために認識されている。したがって、単純で効果的で経済的な方法に、大きな関心が集まっている。
【0018】
したがって、本発明によれば、窒素原子および硫黄原子でドープされたグラフェン(N,S-DDG)を製造する方法は、以下の工程を含む;
- 厳密に嫌気性であり、かつスルファイト還元性であり、かつ200g・L-1を超える塩分条件および7.0~10.0の間からなるpHにおいて、20℃~50℃の間で生存可能なハロバクテリア(Halobacteria)綱の微生物を準備する工程と、
- 電子供与体として、最大100mmolの量にある、水素(H2)、アセテート(C2H4O2)、ホルメート(CH2O2)、グリセロール(C3H8O5)、グルコース(C6H12O6)、スクロース(C12H22O11)および他の類似の糖、ラクテート(C3H6O3)、短鎖脂肪酸(C4-C9)ならびに/またはピルベート(C3H4O3)を含み、かつ電子受容体として、最大50mmolの量にある、元素の硫黄(S8°)、ポリスルフィド(-S-S6-S-)、チオスルフェート(S2O32-)、ジメチルスルホキシド(CH3)2SO、テトラチオネート(S4O62-)を含む、S2-よりも多く酸化された硫黄形態のうちの任意の1つを含む媒質中で、前記微生物を培養する工程と、
- グラフェンオキシド(GO)の溶液を、前記微生物を含有する前記培地と、窒素および硫黄でのドープを得るのに十分な時間の間、接触させる工程と、
- グラフェンを洗浄して、有機相と、酸化させたグラフェンと反応していない窒素および硫黄を含有する分子の両方を、除去する工程。
【0019】
微生物を準備する工程は特に重要であり、その理由は、微生物の、生物学的なドープを実施するためのグラフェンの使用に関する先行技術の情報が、そのような方法の真の効能についてのデータを提供するのに十分でなく明確でないためである。
上に記載されているように、今までグラフェンをドープするために実験的に使用されてきた微生物は、エウバクテリア(Eubacteria)界、「クラシックな」細菌の幹、硫黄中の化学-合成的細菌酸化スルフィド酸、亜硫酸および硫酸中の硫黄、ならびにスルフェート中のチオスルフェートであるスルフェート還元性細菌(SRB)群に属する。
【0020】
分類法が微生物の新しい種の発見に基づいて持続的に再構成される場合でさえ、任意の事例においてエウバクテリアはアルカエア(Archaea)とは根本的に異なると満場一致で考えられており、そこにハロバクテリア(Halobacteria)(またはハロアルカエア(Haloarchaea))綱が属する。
【0021】
好ましくは、本発明のハロバクテリアは、ハラルカリアルカエウム(Halalkaliarchaeum)属、ハラナエロアルカエウム(Halanaeroarchaeum)属、ハロデスルフラルカエウム(Halodesulfurarchaeum)属、ハラルカエオグロブス(Halarchaeoglobus)属、ナトラナエロアルカエウム(Natranaeroarchaeum)およびナトロノリムノビウス(Natronolimnobius)属(図1)から選択され、より好ましくは、ハラルカリアルカエウム属の中ではハラルカリアルカエウム・デスルフリクム(Halalkaliarchaeum desulfuricum)種、ハラナエロアルカエウム属の中ではハラナエロアルカエウム・スルフリレドゥケンス(Halanaeroarchaeum sulfurireducens)種、ハロデスルフラルカエウム属の中ではハロデスルフラルカエウム・フォルミキクム(Halodesulfurarchaeum formicicum)種、ハラルカエオグロブス属の中ではハラルカエオグロブス・デスルフリクス(Halarchaeoglobus desulfuricus)種、ナトラナエロアルカエウム属の中ではナトラナエロアルカエウム・スルフィディゲヌム(Natranaeroarchaeum sulfidigenum)種、ナトロノリムノビウス属の中ではナトロノリムノビウス・スルフリレドゥケンス(Natronolimnobius sulfurireducens)種から選択される。電子供与体として、アセテート(C242)、ホルメート(CH22)、グリセリン(C385)、グルコース(C6126)、スクロース(C122211)および/またはピルベート(C343)等の単純な有機物質を使用して、これらの生理的に排他的な有機物は、元素の硫黄(S8°)、ポリスルフィド(-S-S6-S-)、チオスルフェート(S23 2-)、ジメチル-スルホキシド(CH32SO、テトラチオネート(S46 2-)の両方を還元し、かつそれらの硫黄依存性呼吸の最終生成物としてH2Sを生成する。
【0022】
特に、上記のハラルカリアルカエウム・デスルフリクム種およびナトロノリムノビウス・スルフリレドゥケンス種が、それぞれ、「Sulfur respiration in a group of facultatively anaerobic natronoarchaea ubiquitous in hypersaline soda lakes」, Frontiers in Microbiology, Volume 9, Article 2359, 2 October 2018, Sorokin et al.においてコードAArc-SおよびAArc1で記載され、特徴づけられている。ハロデスルフラルカエウム・フォルミキクム種が、「Discovery of anaerobic lithoheterotrophic haloarchaea, ubiquitous in hypersaline habitats」, The ISME Journal, volume 11, pages 1245-1260 (2017), Sorokin et al.においてコードHTSR1およびHSR6で記載され、特徴づけられている。ハラナエロアルカエウム・スルフリレドゥケンス種が、「Elemental sulfur and acetate can support life of a novel strictly anaerobic haloarchaeon」, The ISME Journal, volume 10, pages 240-252 (2016), Sorokin et al.においてコードHSR12で記載され、特徴づけられている。ハラルカエオグロブス・デスルフリクス種が、コードHSR12で記載され、特徴づけられており、かつモスクワのロシア科学アカデミーのUNIQEM(ヴィノグラツキー微生物研究所の培地コレクション)コレクションセンターに、識別番号U1000Tで寄託されている。ナトラナエロアルカエウム・スルフィディゲヌム種が、コードAArc-Sで記載され、特徴づけられており、かつモスクワのロシア科学アカデミーのUNIQEM(ヴィノグラツキー微生物研究所の培地コレクション)コレクションセンターに、識別番号U999Tで寄託されている。
【0023】
加えて、その論文中のハロデスルフラルカエウム・フォルミキクム種HTSR1が、モスクワのロシア科学アカデミーのUNIQEMコレクションセンターに寄託された。そのため、そのゲノムは、GenBankデータベースにおいて、アクセス番号CP016070で入手可能である。ナトロノリムノビウス・スルフリレドゥケンス種AArc1が、モスクワのロシア科学アカデミーのUNIQEMコレクションセンターに識別番U932Tで、かつ日本微生物コレクションセンターにアクセス番号JCM30663Tで寄託されている。ハロデスルフラルカエウム・フォルミキクム種HSR6が、同じロシアのセンター(UNIQEM)に番号U983Tで、かつ日本のセンターJMCに番号30662Tで寄託されている。ハラルカリアルカエウム・デスルフリクム種AArc-S1が、UNIQEMに番号U999Tで、かつJCMセンターに番号30664Tで寄託された。前述した刊行物において述べられているように、すべてのこれらのハロアルカエアは、未知の硫黄に基づくある種の硫黄呼吸を有する。それらは、いずれにしても、いくつかの高塩性生息地において偏在性である。上に記載した増殖する培地を用いて、ハラナエロアルカエウム属、ハロデスルフラルカエウム属、ハラルカエオグロブス属、ナトラナエロアルカエウム属およびナトロノリムノビウス属に属するアルカエア株は、ブライン、およびストロンボリ火山島(Aeolian Archipelago、地中海、イタリア)で収集された高塩性堆積物サンプルから単離された。これらの株は分析され、上に挙げた刊行物に記載されている株と同一の化学的/形態学的/遺伝学的特性を示し、したがって、同じコードで示された。
【0024】
上に挙げたすべての微生物の活動は、呼吸プロセスの最終フェーズにおいて、最大10~15mmolのH2Sの生成で終わることが観察されている。さらに、これらの微生物は、有利にも、GOの毒性に対して大きい抵抗性を有する。実際、GOの存在はSRBの増殖条件および生存条件に負の影響を及ぼすことが明示されているが、上に挙げたハロバクテリアではそうではない。特に、以下に説明するように、GOのドープを進めるために、1.0~2.0mg・mL-1の量、すなわちGuo et al. (2013)により使用されたものよりも10~20倍多い量が使用されている。
したがって、これらの特定のかつ選択された微生物を使用すると、先に記載された生物的方法よりもはるかに多くのドープを実施することが可能になる。
【0025】
培地はまた、一側面から、微生物の増殖を可能にし、かつ同時にグラフェンオキシド(GO)をドープするための窒素および硫黄の必要な源を提供する。
好ましくは、前記培地は、240g・L-1のNaCl、3g・L-1のK2HPO4、0,5g・L-1のNH4Cl、1~5mMのMgCl2×6H2Oを含み、滅菌され、次いで20~50mg・L-1の酵母抽出物、1ml・L-1の酸性微量金属溶液、1mL・L-1のSe/Wアルカリ溶液、およびビタミンの混合物が添加される。最終pHは7に制御される。より好ましくは、ハロデスルフラルカエウム・フォルミキクム種およびハラナエロアルカエウム・スルフリレドゥケンス種で、培地はまた、10g・L-1のHEPESも含む。加えて、1mLの微量金属の酸性溶液は、(培地1リットルに)以下の物質、HCl0.01N(すなわち10mmol)、0.6gのCoCl2×6H2O、30mgのCuCl2、0.3gのFeCl2×4H2O、1.14gのH3BO3、4gのMnCl2×4H2O、0.5gのNa2MoO4×2H2O、0.3gのNiCl2×6H2O、および最後に0.42gのZnCl2を好ましくは含む。
【0026】
好ましくは、ビタミン混合物は、1リットルの蒸留水に対して、1mgのビタミンB12、20mgのビオチン、20mgの葉酸、50mgのニコチン酸、50mgのp-アミノ安息香酸、50mgのパントテン酸カルシウム、100mgのピリドキシン×HCl、50mgのリボフラビン、50mgのチアミンおよび50mgのチオン酸を含む。
Se/Wアルカリ溶液は、(0.01N[すなわち10mmol]のNaOH1リットルに対して)以下の物質、2mgのNa2SeO3および4mgのNa2WO4×1.5のH2Oから好ましくはなる。
媒質のpHはまた、特定の要請、例えば7.0に、1MのKOHを添加することによって調整されうる。
【0027】
本発明の実施形態によれば、培地は、240g・L-1のNaCl、5g・L-1のKCl、2g・L-1のK2HPO4、0.5g・L-1のNH4Clを含む第1の培地、190g・L-1のNa2CO3、30g・L-1のNaHCO3、16g・L-1のNaCl、5.0g・L-1のKCl、8mMのNH4Cl、1.0g・L-1のK2HPO4を含む第2の培地の、2種の培地の混合物からなる。両方の媒質が、1mMのMgCl2×6H2Oで補充される。これまでのように、滅菌後、20~50mgのL-1の酵母抽出物、1mlのL-1の、上に挙げた酸微量金属溶液、1mL・L-1の、上に挙げたSe/Wアルカリ溶液、および上に挙げたビタミン混合物が添加される。最終pHは7に調整される。より好ましくは、ハロデスルフラカエウム・フォルミキクム種およびハラナエロアルカエウム・スルフリレドゥケンス種と共に、上記媒質はまた、10g・L-1のHEPESも含む。
【0028】
さらなる実施形態によれば、ハラルカリアルカエウム・デスルフリクムを増殖させるのに使用される培地は、好ましくは、9.6の最終pHを得るために第1の媒質と第2の媒質とを1:1の比で混合することによって得られ、その一方で、ナトロノリムノビウス・スルフリレドゥケンスのための培地は、9.3の最終pHを得るために第1の媒質と第2の媒質とを3:1の比で混合することによって形成される。
一般に、本発明の微生物は、増殖中、静的条件下で、すなわち激しい撹拌なしで、それらの培地内に保たれる。
【0029】
グラフェンオキシド(GO)を細胞培地と接触させる工程は、好ましくは、2mg・mL-1未満またはそれと等しい濃度で、20℃~50℃の間の温度にて10日から30日の期間、撹拌ありでまたはなしで、細胞増殖培地中で直接、(粉末として固体相にある)グラフェンオキシドを添加することによって実施される。
このフェーズは、その中で、空の空間、すなわちグラフェンオキシドを含有する細胞培地によって充填されていない空間が、窒素またはアルゴン等の不活性ガスで飽和されている、単離されたドーピングチャンバまたは容器中で実施される。
微生物をグラフェンオキシドと接触させるフェーズ、すなわちドープのフェーズの終わりに、洗浄フェーズは、好ましくは、有機物を、ドープされたグラフェンオキシドから、例えば遠心分離および/またはろ過によって分離するフェーズを含む。より好ましくは、このフェーズは、2,000~6,000×gにて2~10分間遠心分離して、ドープされたグラフェンを分離し、続いてグラフェンを等張性溶液(240g・L-1のNaCl)で洗浄し、かつ水道水または蒸留水での2つの連続した洗浄の工程、続いてドープされたグラフェンを保持するために、5~20μmの間の多孔度を有するWhatman定性ろ紙グレード1でろ過する工程を含む。
ろ過フェーズの後、さらなる洗浄工程が適用されてもよく、フィルター上に保持された材料を、例えばMilli-Q(登録商標)水の手段によって濯ぐことである。濯ぎは、好ましくは容器内または洗浄チャンバ内での激しい撹拌下、2回以上繰り返されうる。最後に、処理された材料は、従来型オーブン内で40~80℃にて2~6時間乾燥される。
好都合にも、N,S-DDG製品の、上に挙げた処理または洗浄の工程のいずれにおいても、有機溶媒も酸性物質も必要とされない。
【0030】
本発明の第2の目的は、還元、および同時に、硫黄と窒素とでグラフェンオキシドをドープするための、厳密に嫌気性で硫黄還元性微生物のハロバクテリア綱の使用である。このような微生物は、200g・L-1超の塩分条件および6.5~10.0の間のpHにおいて、20℃~50℃の間で生存することができる。好ましくは、微生物は上に記載したものである。
【0031】
本発明の第3の目的によれば、図2に示すように、上に記載されている方法は、窒素および硫黄でデュアルドープされたグラフェンの製造用プラント中で実施され得、プラントは、上に記載したグラフェンオキシド還元性微生物の第1の貯蔵および維持/増殖容器1、挙げられた微生物をグラフェンオキシド(GO)と混合するための少なくとも第2の容器(グラフェンオキシドのドーピングチャンバ)2を備え、この第2の容器は、第1の容器、第1の容器の調節手段3、第1の容器に連結されているpH制御および調整手段4、第2の容器の温度制御および調整手段5、ドープされたグラフェンオキシドの分離/洗浄装置6、7、およびドープされ洗浄されたグラフェンの乾燥手段8に、水力学的に(hydraulically)連結されている。
【0032】
好ましくは、第1の容器1は、例えば、適合可能な速度を有して従来技術の装置により制御可能な好適なモーターによって、ローテーションで駆動されるパドル撹拌機からなる、微生物培地のための撹拌手段9(図2に示さず)を備える。このような機能を有する容器は、例えば、Eppendorfにより商品名New Brunswick(登録商標)BioFlo Fermenters & CelliGen(登録商標)Bioreactorsで販売されているものである。
第1の容器の調節手段3は、好ましくは、容器内部の温度を検出して信号を従来技術のコントロールユニットへ送ることが可能な温度計を備え、コントロールユニットは、容器の外壁上の加熱流体の循環を、微生物の維持のために設定された温度に制御するために、この信号を検出してそれを処理する。加熱流体の代わりに、コイル等の電気素子を使用することが可能である。いずれの事例においても、加熱装置は完全に従来技術であり、例えば、上に挙げたEppendorf製品中で使用されている。
pHのための制御および調整手段4は、コントロールユニットに連結された完全に従来技術のセンサーまたはpHメーターを備え、コントロールユニットは、容器1内部のpHの代表的信号を受け取り、微生物の繁栄のための所望の条件においてpHを維持するための酸(例えばHCl)または塩基(例えばKOH)物質の放出のために、信号を、任意の煽動ポンプ(図示せず)へ送る。
【0033】
第2の容器中の温度制御および調整のための手段5はまた、第1の容器3を参照して記載された調節手段と同一であってもよい。第2の容器は、同様に、上に記載したものと同一の撹拌装置10を備えてもよい。
ドープされたグラフェンの有機相の除去のための分離/洗浄手段6、7は、遠心分離機および/または5~20μmの間の多孔度を有するWhatman定性ろ紙グレード1を備える。ベンチ遠心分離機が提唱され、例えばEppendorf 5804R遠心分離機である。好ましくは、媒質の分離/洗浄は、フラスコの口の上に載置されてフィルターを備えている漏斗を備えた真空フィルターであり、フラスコは真空ポンプに連結されている。そのようなシステムは、例えばMembrane Solution LLCにより商品名BIO-PURE(登録商標)Vacuum Filters,SIGMA-ALDRICH(登録商標)で販売されている。
【0034】
さらなる分離/洗浄手段は、例えばガラス溶媒システム、すなわち液体サスペンションから本体(微生物、沈殿物および類似の粒子)を分離するよう設計された硬質ガラス化合物ろ過システムであってもよい。
したがって、これらの手段は、単純な分離、例えば遠心分離用のシステムとして、またはろ過を通じた分離も含む洗浄用のシステムとして、のいずれかで特定されうる。
乾燥手段8は、好ましくは真空下で操作される静的オーブン、例えばZZKD Instrument Equipmentにより商品名DZF-6010 Vacuum Drying Ovenで販売されているものを備える。
【0035】
少なくとも第2の容器2またはドーピングチャンバに、選択された所望のパラメータに応じて所望のドープを実施するのに必要な好適な量を供給するために、プログラム可能な供給ポンプ11、例えば蠕動ポンプが、第1の容器1と第2の容器(ドーピングチャンバ)2との間にインストールされることが注目されることになる。これらの調整は、一旦上に挙げたドープのプロセスの条件が公知となると、当業者内の任意の事例となる。さらに、代表的なプラントは、完全に従来技術である水力連結および関連するバルブ(図2中で参照番号なしで示されている)が備えられることになり、これは、緊急放出または安全放出のために、またはタンク中に収容されている液体の定期的洗浄用に空にするために、ドープされたグラフェンおよび他のありうる汚染物質から分離された培地の再利用のための正しい運用を保証するためである。
【0036】
一旦、グラフェンオキシドが第2の容器内でドープされると、第2の容器は、好ましくはシステム中の再循環から分離されて、培地、微生物、およびN-Sデュアルドープグラフェンの混合物を集めるために開かれる。離脱がなされた後、容器は必要とされる条件において再配置され、さらなるドープのプロセスのために、(図2中の参照物GOを入れるから示されているように)再度GOが供給されうる。必要に応じて、それは次いで循環中へと再連結されうる。これらの運用は、図2に示されているもの等の流体圧回路のおかけで実施され得、ここで、導管20、60、70、80およびそれぞれのバルブ21、61は、前記循環を可能にする。
【0037】
ドープの条件の適合は好適なコンピュータによって制御され、ここで、プログラムは、すべての作動条件(温度、圧力、化学的-物理的な値、例えば塩分およびpH)を検出する従来型のセンサー、プローブ、温度計から信号を受け取り、ドープのプロセスの正しい管理を最良の方法において実施すべくコマンド信号を送るように走行する。
本発明のさらなる目的によれば、上記方法により得られうる窒素および硫黄でデュアルドープされたグラフェンオキシドは、グラフェンオキシド結晶中に挿入された原子の総パーセンテージに対して、1%~9%の間、好ましくは1%~5%の間の窒素含有量、および0.3%~15%の間、好ましくは1%~15%の間、より好ましくは1%~10%の間の硫黄含有量によって特徴づけられる。これらの値は、以下のように得られた。採用された化学的分析は、サンプル中の炭素、硫黄、窒素および水素(CHNS)の組成を測定する破壊的技術である。分析は、酸素に富む雰囲気中、約1000℃におけるサンプルの完全な燃焼に基づき(Analytical Methods Committee (2006) Evaluation of analytical instrumentation. Part XIX. CHNS elemental analyzers. Accreditation and Quality Assurance 11(11), 569-576. Doi:10.1007/s00769-006-0185-xに記載されている方法に従って)、燃焼中に生成された気体(CO2、H2O、N2およびSO2)の回収を伴い、元々の組成を元素のパーセンテージとして付与する。元素分析に使用される機器は、LECO CHNS-932(モデルNO:601-800-500)であり、各測定のために、約2mgの材料を使用した。
【0038】
硫黄の事例では、その中でそれがドープのために使用される化学的形態が、組み込まれる分子のパーセンテージに影響を及ぼすことが注目されるべきである。したがって、N,S-DDG中の窒素および硫黄のパーセンテージはきわめて可変的であり、使用される種、ドープのために使用される(硫黄の事例では)前駆体の化学的形態、および(窒素の事例では)増殖条件に依存する。実施される実験的試験によれば、元素の硫黄の使用は、グラフェンオキシド中のその含有量のパーセンテージを著しく増加させる。
【0039】
したがって、本発明による方法の(コスト、エコロジー的影響および実用性以外の)特定の利点は、上に特定した条件を多様化させることによって、要請に応じてN原子とS原子との挿入比を調整しうると考えられる。
本発明の事例では、硫黄に好ましい最適なS:N比(1:1)からの逸脱は、製品の触媒効能に悪影響を与えることはなく、その理由はおそらくは、それらが、新しい材料中に統合された硫黄成分を排他的とするわけではないためである。事実、ドープされたグラフェンの、有機溶媒での洗浄フェーズの添加は、表面硫黄堆積物を除去し、それらのパーセンテージ値を著しく下げる。
本発明の方法に従って得られた結果は、生物的にドープされたN,S-DDGが、優れた酸素還元触媒作用(ORR)の性質を有していることを示す(以下の例を参照されたい)。
【0040】
特定のX線光電子分光法(XPS)分析も実施し、化学的形態および元素の結合に関連して、2種のサンプル(チオスルフェートの存在下およびポリスルフィドの存在下でのAARC-S)を特徴づけた。用いた技術は、サンプルの表面(あるnmの深さ、典型的には2~4nm)の、元素の、構造の、および量の分析を行うことを可能にした。分析は、固体サンプル上で、約10-8Paの真空圧力において実施される。サンプルは、X線光子に供される(アルミニウムまたは代わりにマグネシウムのKα線、この事例ではアルミニウムのKα線が使用された)。X線光子は、サンプル中に存在する元素を励起し、その結果は、特定のエネルギーレベルからの電子の直接発光(光イオン化)であることができる。分析は、エネルギーをフィルタリングしてこれらの光電子を検出することからなる。光電子の動態エネルギーは、等式:
動態(光電子)=E0(X線)-E結合(光電子)
に従った光子Xのエネルギーの関数である。
アルミニウムX線源は、Kα12=1486.7eVである。元素の同定(定性分析)は、光電子の結合エネルギーを測定することによって行われる。分析システムは、それらの動態エネルギーに従って電子をフィルタリングし、得られたスペクトルは結合エネルギースケール(逆スケール)において提示される。一旦、光子が発光されると、元素は励起状態にある。ありうる脱エネルギー状態は、3種の電子レベルを行うよう持ち込むオージエ電子の発光に相当する。オージエ電子の動態エネルギーは、入射したX線のエネルギーから独立している。X線は、サンプル中の重要な深さ(1μm)において貫通するが、光電子は、その厚さが数ナノメートルの桁のものである非常に薄い層からは抄出され得ない。XPS技術は、定性的と定量的との両方であり、その理由は、感度が0.1%原子の桁のものであるからである。しかし、主な利点は、元素の化学的環境についての情報を得る可能性に潜在している。光電子ピークのエネルギー中の精密な位置は、分析された元素とその近隣との間の共有結合の性質を決定することを可能にする。炭素-酸素結合の事例では、例えば、酸素の電気陰性度は、炭素から酸素への電子の部分的移行を誘起することになる。このようにして、炭素プロトンは、電子に富むことが少ない環境において会い、これらの電子の結合エネルギーは増加される。
【0041】
特に、上記分析を、単色X線源(アルミニウムKα線)、二重陽極X線源(アルミニウムおよびマグネシウムKα線)、電気絶縁サンプル用の電荷中和システムおよび半球型電子分析器を備えたPHI Versaprobe 500発光分光計で実施した。装置はまた、電子源(約200nmの横方向解像度での純粋なオージエ分析)、低エネルギーイオン源(XPSまたはオージエ側面計)および挿入チャンバから分析チャンバへのサンプル用冷却システムも有する。この機器を用いて、10μm~1ミリメートルの範囲のスポット直径で、サンプル上のX線源に焦点を当てることが可能である。詳細には、本発明に従ったサンプル上の分析は、200μmの円形スポット直径について50WのX線管パワーで実施された。情報が集められ、全表面にわたる平均が算出される。
【0042】
分光光度計に関して、光電子は、45°の緊急角度にて集められる。スペクトルおよびウィンドウごとにセッティングは異なる。条件は、銀の3d5/2レベルの半値幅(FWHMまたはFull Width at Half Maximum)を測定することによって規定される(純銀本位制における購入):
Wraith:FWHM=2.3eV
Windows:FWHM=0.8eV
操作はMultiPak論理プログラムを用いて実施された。定量化のために、感度因子法を用い、面積の測定は、Shirley法で連続的背景を減算した後にwindowsによって形成されたピークである。
結果は、図6のグラフAおよび以下の表1によって表され、チオスルフェートで増殖させたAARC-S株を用いてドープされたグラフェンサンプルを参照し、その一方で図6によるグラフBおよび以下の表2は、ポリスルフィドで増殖させたAARC-S株を使用してドープされたサンプルを参照する。
【0043】
【表1】
【0044】
【表2】

上の表のデータにあるように、本発明によれる手順は窒素および硫黄の非常に妥当な値を有するドープへと導いた。その上、図6にあるグラフは、ドープが深く起こること、したがってグラフはそれらが単純な堆積ではないことを示している。その上、ドープ前とドープ後とで硫黄の化学的形態を比べると、N,S-DDGは、硫黄でドープされているだけでなく、表面の不完全性から清浄されていると見ることができる(この方法の前では、測定された硫黄の化学的形態のみがスルフェートに相当し、これは実際にはグラフェンオキシドの分離の化学的プロセス中に使用された硫酸残渣に由来しており、この方法の後では、硫黄はスルフェートの形態にある明らかな少数であり、2p形態において主に混成されており、すなわち炭素のヘキサゴン中に挿入され、したがってグラフェンオキシド結晶中に完全に統合されている)。
【0045】
特に、図6のグラフを参照すると、約400.1eVのピークに相当する結合エネルギーの値から、本発明者らは、窒素からグラフェン構造に結合させる結合が主に熱分解窒素であるという、より精密な情報を得ている。実際に、公知の技術と比べると、窒素のドープは90%超(ピーク面積)の値を有し、ドープで創製されうるすべての形態の窒素(ピリミジン、熱分解およびグラファイト質)の中でほとんどもっぱら熱分解である。対照的に、公知の技術は、およそ40%の熱分解窒素のパーセンテージ量を示している。
同様に、図7のグラフを見ると、本発明者らは、約162.9eVのピークを示す曲線が、いかにして、チオフェノール形態にある硫黄の存在を40%超のパーセンテージにおいて示すかを見ることができる。硫黄のこの形態のドープは、いかなる公知の技術分野においても現れない。
【0046】
結果的に、上記分析から、このドープの方法が、90%超の熱分解窒素のパーセンテージおよび/または40%超のチオフェノール硫黄のパーセンテージを有することによって特徴づけられる、窒素および硫黄でドープされたグラフェンオキシドを得ることを可能にすることが明らかである。
したがって、本発明のさらなる目的は、前に記載したドープされたグラフェンの、電子部品および電気化学部品(例えば燃料電池)、分析システム、精製システム、医薬、電話、航空、航空宇宙、ロボット工学として使用されるナノ材料、自動車機械の部品、航空、航空宇宙、ロボット工学等のエコサステナブルなマクロ材料の製造ための、使用である。
以下は、非網羅的な実施例として提供される、本発明のいくつかの実施形態である。
【0047】
(実施例1)
ナトロノリムノビウス・スルフリレドゥケンス(イタリア、ストロンボリ島から分離されたAArc1株)を含有する細胞培地の使用による、グラフェンオキシドのN,S-DDGへの還元
【0048】
1L「Schott」ボトルに、上記の第1の媒質と第2の媒質との3:1比の混合物(最終pH約9.6)を含有して50mmolのポリスルフィドおよび50mmolのホルメートで補充された900mLの鉱物媒質を充填した。100mLの細胞懸濁液(107細胞・mL-1)を接種菌液として添加した。1.5gのグラフェンオキシド粉末を続けて添加してドープのプロセスを開始した。次いで、ボトルのヘッドスペースを窒素で5回、アルゴンで1回洗浄して、慎重に封止した。培地を、温度計で40℃にて静的モード(振とうしない)に保った。毎日、ボトルを上下逆さにして、沈降したGO/N,S-DDGを混合させた。GOドープ処理の期間を、1か月に設定した。ポリスルフィド(前記微生物の呼吸における電子供与体)は、高度にアルカリ性の培地条件下で可溶性である。これはまた、硫化物イオン、CO2分子(呼吸の最終生成物)およびホルメート分子(前記微生物の呼吸チェーンにおける電子供与体)にも適用する。したがって、形成したバイオマスとは別に、培地およびドーパント媒質中に不溶性生成物は存在しない。遠心分離(4,000×g、5分)による上記1か月の後、バイオマスからのN,S-DDGの分離を実施し、続いて50mLの等張性溶液(240g・L-1、NaCl)での、沈殿したN,S-DDGの2回洗浄、および8μmの多孔度を有するWhatmanグレード1紙フィルターでの最終ろ過を実施した。得られた材料を、真空ポンプ、ろ過ランプおよびフィルターフラスコから構成されているBIO-PURE(登録商標)Vacuum filters moduleを通して濯いだ。液体懸濁液から粒子を分離するよう設計されている硬質ガラスろ過システムを用いた。洗浄を、2回/3回、Milli-Q(登録商標)水で実施し、次いでろ液を、真空炉、タイプDZF-6010 Vacuum Drying Oven内で60℃にて4時間乾燥させた。すべてのN,S-DDGの精製の工程が、有機溶媒または酸生成物の使用を一切含まないことが注目されなければならない。
【0049】
上記手順から得られたN、S-DDGは、ラマン分光法によって分析した以下の特性を示した。ラマン散乱分析において得られた情報は、本発明に従ってドープしたN、S-DDGについての図3で、DDG-S図(ラマンスペクトル)としてグラフで表し(チオスルフェートの存在下でHTSR1での第1のもの、DDGO-T曲線であり、ポリスルフィドの存在下でHTSR1での第2のもの、DDGO-S曲線である)、ここで、横軸は、cm-1で表される基本的な振動レベルv=0とv=1との間のジャンプのエネルギーに相当するラマンシフトを報告している(波の番号:
【0050】
【化1】
は、エネルギーと、電磁放射線の波長E=hv=hc・1/λの逆型との間の直接比例関係を想起させる)。機器の検出器によって集めたストークス光子の数に比例するラマン強度を、縦軸上で報告している。したがって、先に処理したN,S-DDGは、Renishaw社製ラマン顕微鏡で得られた、図3で報告したスペクトルを示した。単色光は、可視スペクトル中の緑色のレーザー(532nm)であり、5mWの電力を有する。1回の測定につき1.5mgのサンプルを必要とする。分光測定を1%電力において実施し、各測定を100~3200cm-1のスペクトル範囲において行い、各サンプルを10回のサイクルで累積した。図3は、処理したサンプルのスペクトルと非処理のサンプルのスペクトルとの有意な差を示す。類似の研究から推定したグラフェンの2つのピークの特性(AおよびB、それぞれ約1350cm-1および1600cm-1)を各曲線上に示す。スペクトルのA帯域は、構造における混成に関連し、より精密には、構造におけるsp2混成によって通常引き起こされる障害のレベルに関連する。B帯域は、多層グラフェン構造に典型的な「層間」相互作用に関連する。より低い周波数範囲(150~550cm-1)にあるラマン帯域は、処理したサンプルとGO対照サンプルとの差のさらなる証拠を与える(図3のGO曲線)。それらは、処理したサンプル中の、より低い炭素濃度を示し、そのため、より高いパーセンテージの異種原子が挿入されたという推論を強化する。より弱いラマン2A(2500cm-1)帯域はまた、グラフェンの重層された性質を伴う。曲線2Aが大きいほど、分析した材料は、汚染されていないグラフェン構造に近い。したがって、再度、それが低い信号を有するという事実は、得られたドープされたグラフェンの優れた品質を証明している。最後に、Aピークの強度とBピークの強度との比(IA/IB)は、炭素質材料の結晶構造中の障害のレベルを特徴づけるために通常用いられるパラメータである。分析したシートの欠陥のある形態学の評価を許容すると、このパラメータは、グラフェンの構造における本発明の試験した(ドープする)方法の効果についての情報を付与する。IA/IB比が高いほど、ドープの性能は高い。それは、GO(対照サンプル)については0.9~1.1の値、かつ処理したサンプルについては1.2~2.0の可変な値(使用した微生物に依る)を有する。微生物ナトロリムノビウス・スルフリドゥケンシス(AArc1)によってドープされたグラフェンオキシドのIA/IB比は、約1.48に相当する(図3)。
【0051】
(実施例2)
ハロデスルフラルアルカエム・フォルミキクム(イタリア、ストロンボリ島から分離したHTSR1株)を含有する細胞培地の使用によるN,S-DDG中のグラフェンオキシドの還元
Schottの1Lボトルに、240g・L-1のNaCl、3g・L-1のK2HPO4、0.5g・L-1のH4Cl、1~5mMのMgCl2×6H2O、1ml・L-1の酸性微量金属溶液、そのほかに(培地1リットルに対して)以下の物質、HCl 0.01N(すなわち10mmol)、0.6gのCoCl2×6H2O、30mgのCuCl2、0.3gのFeCl2×4H2O、1.14gのH3BO3、4gのMnCl2×4H2O、0.5gのNa2MoO4×2H2O、0.3gのNiCl2×6H2O、および最後に0.42gのZnCl2を含有する900mLの鉱物媒質を充填した。滅菌後、20~50mgの酵母抽出物、10g・L-1のHEPES(最終pH約7.0)、30mmolのチオスルフェートおよび50mmolのホルメートを添加した。100mLの細胞懸濁液(107細胞・mL-1)を接種菌液として添加した。ボトルのヘッドスペースを窒素で5回、アルゴンで1回洗浄し、慎重に封止した。ドープする方法のための1.5gのグラフェオキシド粉末を50mLフラスコに添加し、フラスコを、40mL・h-1の速度で作動させる煽動ポンプの介在を伴う、ノルプレンチューブを有する培養ボトルに連結させた。このポンプは、増殖する培地がボトルからドーパントフラスコ中に循環して、次いで、8μmの多孔度を有するWhatmanグレード1紙フィルターを通った後に培養ボトルに戻ることを可能にする。先になされたように、培養は、静的モード(激しい撹拌なし)で40℃にて1か月間実施した。今度は、ドーパントフラスコを、温度50℃、250rpmにて撹拌というパラメータで調整したStirrer Pro加熱プレート/磁気撹拌機上に置いた。前のように、すべての生成物および試薬(明らかにGOを省いて生成されたN,S-DDG)は水溶性である。したがって、バイオマスからのN,S-DDGの分離は、遠心分離(4,000×g、5分)、それに続く等張性溶液(240g・L-1)50mLでの2種の洗浄、および8μmの多孔度を有するWhatmanグレード1紙でのろ過によって容易に実施することができた。次いで得られた材料をBIO-PURE(登録商標)Vacuum filters moduleを通してMilli-Q(登録商標)水で3回濯いだ。次いで、それを、真空オーブン、タイプDZF-6010 Vacuum Drying Oven中、60℃にて4時間乾燥させた。
【0052】
ここでも、N,S-DDG精製の工程のいずれについても、有機溶媒も酸も必要としない。
上記手順から得たN,S-DDGは、以下のラマンスペクトル(DDG-T曲線)を示した:ピークAの面積は2,692E+05であり、ピークBの面積は2,042E+05であった。結論付けると、実施例2において、微生物ハロデスルフラルカエウム・フォルミキクム(HTRS1)によってドープされたグラフェンオキシドのIA/IB比は、約1.32に相当した(図3)。
【0053】
(実施例3)
実施例1および2に従って製造したN,S-DDGでの、電解セルにおける酸素還元反応
ここで、本発明者らは、酸素を過酸化水素へ還元するために、実施例1および2に従ってドープしたグラフェンの触媒の性能を測定した。
【0054】
製造したH22のパーセンテージを得るために、電気化学的特徴づけのための以下の測定を、バイポテンシオスタット-ガルバノスタットによって制御する3電極セルにおいて実施した。この目的のために、その上で乾燥させた触媒インクでコーティングした白金リングおよびガラス状ディスクからなる回転するリング-ディスク電極(RRDE)を作用極として使用した。ORR(酸素還元反応)作用を、RHE(参照の水素電極)に対する1.1~0.2Vの間の分極曲線を用いて、O2流れ中1600rpmにおいて試験した。H22形成を検出するために、測定を、1.2Vに保持したリング電極を用いて実施した。
【0055】
(導電体として知られる白金のような)良好な触媒によるO2の電気化学的還元は、中間フェーズを有さず、分子の酸素を直接に水(H2O)へと還元する。したがって、過酸化水素は、反応の副産物としてほとんど完全に不在である。他方で、未加工のグラフェンオキシドは反対の特性を有し、それは、酸素の、過酸化水素への還元のための優れた触媒であり、水中での過酸化水素還元の阻害剤である。それにもかかわらず、この未加工の材料が電気を良く伝導しないため、生成されるH22の予想の体積は、水に対して大多数の比ではあるが、低いままである。以下の実験を、(未加工の、ならびにそれぞれHTSR1によっておよびAArc1生物的作用でドープした)1mgのグラフェンオキシドからなる電極で実施した。
(i)HTSR1ドープグラフェンオキシドサンプルを使用して、本発明者らは92±3%H2Oおよび8±3%H22の収率を得る。
(ii)AArc1ドープグラフェンオキシドサンプルを使用して、本発明者らは72±5%H2Oおよび28±5%H22の収率を得る。
(iii)HSR2ドープグラフェンオキシドサンプルを使用して、本発明者らは90±2%H2Oおよび10±2%H22の収率を得る。
(iv)最後に未加工のグラフェンオキシドサンプルを使用して、本発明者らは2.4±0.3%H2Oおよび97.6±3.7%H22の収率を得る。
【0056】
第2に、電気合成によって製造した過酸化水素(H22)の製品を測定した。
(i)HTSR1ドープグラフェンオキシドサンプル製品を、ドープした材料1mg当たり4.37mg・h-1と評価した。
(ii)Aarc1ドープグラフェンオキシド製品を、ドープした材料1mg当たり32.1mg・h-1と評価した。
(iii)HSR2ドープグラフェンオキシド製品を、ドープした材料1mg当たり10.2mg・h-1と評価した。
(iv)未加工のグラフェンオキシド製品を、未加工の材料1mg当たり10.5μg・h-1と評価した。
【0057】
AArc1で改質したグラフェンによるH22のより高率の製造は、この材料が、O2のH2Oへの還元のためにわずかに効果の低い触媒であるという事実に起因し得、この材料は、いずれにしても導電性である。これに基づいて、AArc1で改質したグラフェンは、H22を生成するのにより効率的な材料であるように見え、一方で、HSTR1で改質したグラフェンは、O2からH2Oを生成するのにより効率的であると考えられる。いずれの事例でも、AArc1で改質したグラフェンおよびHSTR1で改質したグラフェンの生産性は、対照のグラフェンオキシドの生産性よりも実質的に高い(それぞれ、3150倍および970倍高く、すなわち3倍高い)。
【0058】
(実施例4)
サイクリックボルタンメトリー分析
上に挙げた電極を異なる材料で改質した:還元したGOで2種の電極を改質し、1種は、アセテート(曲線2)およびピルベート(曲線3)で増殖させた、HSR2コードで特定した、上に挙げた微生物での改質であり、1種は、ホルメート(曲線4)で増速させたHSR6での改質であり、かつ1種は、スクロース(曲線5)で増殖させたAArc-Sでの改質であり、すべての微生物について元素の硫黄を、電子受容体として使用した(図4A)。図4では、代わりに、ポリスルフィド上で増殖させたAArc-1で還元したGOで改質した電極を使用し、かつチオスルフェート上で増殖させたHTSR1で還元したGOで改質した電極を使用した。
【0059】
本発明に従って改質したすべての電極は、本発明の方法でドープしたグラフェンによって引き起こされた拡大した面積に関連する収率を呈する。この結果は、一方で、ドープ手順が正しかったこと、他方で、それが、両方のグラフにおいて、ドープされていないGO(曲線1)により表している対照と比べて効果的であったことを明示している。グラフAで、カーブ面積の振幅がグラフBのカーブの振幅よりも大きいが、グラフAの事例では、既述したように、元素の硫黄を電子受容体として使用しており、これはドープしたグラフェンの、汚染物での洗浄を包含していることが特記されるべきである。対照的に、グラフBの事例では、使用した受容体は汚染物の使用を包含していない。
【0060】
(実施例5)
光電気X線分光測定
この技術は、X線光子で照射したときに固体によって放出された電子のエネルギーを研究することによる固体表面の特性付けを可能にする。このようにして、化学結合の状態および表面上の原子の濃度についての情報を得る。
使用した機器は、半球型電子分析器、電子5倍増管型検出器(Channeltron(登録商標))およびMg(Kα=1253.6eV)のアノードX線放出源から構成されている分光光度計VG ESCALAB 200R(VG-Scientific)であり、9トール未満の作動チャンバ中圧力を有し、12kVおよび10mAで作動させる。触媒の表面上の元素の炭素、酸素、窒素および硫黄、ならびにそれらの酸化状態を、XPS技術を用いて分析した。
【0061】
以下の表3は、すべての触媒の原子表面比O/C、N/CおよびS/Cから得られた値を詳述している。本発明のハロバクテリアでのグラフェンオキシドの処理がグラフェンオキシドの還元をもたらし、そのため表面の酸素を低減させ、本発明のバクテリアHTSRで処理したサンプル中の硫黄および窒素のヘテロ原子の含有量を増加させることが注目されうる。
特に、HTRS1で処理したサンプルが最多の硫黄含有量を有し、その一方で、HSR2で処理したサンプルが最多の窒素含有量を有する。硫黄、窒素および酸素の中間値を、HSR6で処理したサンプルで得る。
【0062】
【表3】

加えて、本発明の微生物で処理した3種のサンプルのO/C比が、グラフェンオキシドのものの半分未満に相当することが特記されるべきである。このことは、導電性が、これらのサンプルの二重を超えることを意味する。
【0063】
図5は、それぞれHSR2、HSR6およびHTRS1で処理した後の3種のサンプルから得た3種の異なる元素A)炭素1s、B)窒素1s、およびC)硫黄2pの混成の、非処理のグラフェンオキシドサンプルに対するXPSスペクトルを示す。
スペクトルA)は、すべてのサンプルのC1sゾーンを示し、それぞれ、グラファイト、ヒドロキシル、エポキシおよびカルボン酸の酸化状態に相当する4つのサブ群におけるそれらの分布の概要を記している。約284.53eV未満の結合エネルギーを有するサブ群は、グラファイト炭素(C-C)に相当し、その一方で、後のサブ群は、より高い結合エネルギーを有する、より高い酸化状態に相当する。グラフェンオキシドとHSR微生物で処理したサンプルとの最大の差が、酸化された炭素サブ群についての曲線の振幅によって示されている(287.66eVにおいてC=O、286.55eVにおいてC-O、C-O-C、C-O)。処理したサンプルでは、グラフェンオキシドにおけるものよりも有意に低い。このことは、微生物の存在下で、グラフェンオキシドにおける著しい還元が存在していたことを示す。
【0064】
エネルギーレベルN1s(図5B)のスペクトルを3種のピークへと等しく分けた。最も低い結合エネルギーピーク(約399eV)は、ピリミジン窒素に相当し、約400evでの熱分解窒素、および約402eVでのグラファイト窒素へと続く。最も高い強度を有するピークは、処理したすべての3種のサンプル中でピリミジン窒素である。観察した成分は、すべての3種のサンプルにおいて類似しているが、例外がHSR2であり、ここで、N-ピロール窒素の割合がわずかに高い。
【0065】
HTSRサンプルについての図5C)のS2pエネルギーレベルスペクトルを、4種の成分へと分け、例外がグラフェンオキシドサンプルであり、これを単一の群の下に保持した。窒素については、S2p信号が、グラフェンオキシドで非常に低い。およそ約163~164eVおよび約166eVのHSRサンプルにおいて得たピークは、それぞれ、グラフェン、チオフェンおよび酸化されたチオフェン(C-SO、C-SO2)のアトミックチェーンにおける硫黄に起因する。代わりに、二硫酸(SO4 2-)、スルファイト(SO3 2-)またはチオスルファイト(S23 2-)の形態にある硫黄のより高い状態の酸化は、167eV超の結合エネルギーに相当すると考えらえる。
【0066】
したがって、グラフは、他の微生物の使用に基づく類似のプロセスと比べてさえ、特にピロール窒素およびチオフェン硫黄等の特定した形態を有する本発明のバクテリアで処理したときの、グラフェンの還元における優れた性能、およびグラフェンの表面上のヘテロ原子NとSとの含有量の増加を明示している。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
【国際調査報告】