(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-11-30
(54)【発明の名称】セグメント化された抵抗器デジタルアナログコンバータ
(51)【国際特許分類】
H03M 1/38 20060101AFI20221122BHJP
H03M 1/68 20060101ALI20221122BHJP
H03M 1/80 20060101ALI20221122BHJP
【FI】
H03M1/38
H03M1/68
H03M1/80
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022519132
(86)(22)【出願日】2020-09-21
(85)【翻訳文提出日】2022-05-24
(86)【国際出願番号】 US2020051742
(87)【国際公開番号】W WO2021061547
(87)【国際公開日】2021-04-01
(32)【優先日】2019-09-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】507107291
【氏名又は名称】テキサス インスツルメンツ インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】230129078
【氏名又は名称】佐藤 仁
(71)【出願人】
【識別番号】390020248
【氏名又は名称】日本テキサス・インスツルメンツ合同会社
(72)【発明者】
【氏名】ロヒット ナルラ
(72)【発明者】
【氏名】プリータム チャラン アナンド タデパーシ
(72)【発明者】
【氏名】マヤンク ジェイン
【テーマコード(参考)】
5J022
【Fターム(参考)】
5J022AA02
5J022AB04
5J022AB09
5J022BA05
5J022CF01
(57)【要約】
アナログデジタルコンバータ(ADC)が抵抗回路ネットワークを有するデジタルアナログ変換器(DAC、408)を含む。抵抗器ネットワークは第1及び第2セグメント(B0~9、T1~15)を含む。第1セグメント(B0~9、T1~15)は第1の供給電圧ノードと抵抗器(R)の第1のセットの間に結合される第1のスイッチ(SW)を含む。第2セグメント(T13、14)は第1の供給電圧ノードと第2のセット(450)の抵抗器の間に結合される第2のスイッチ(SW)を含む。第1セグメントは第2の抵抗器と直列結合される第3のスイッチを含む。第3のスイッチと第2の抵抗器の直列組み合わせは抵抗器の第1のセットの少なくとも1つの抵抗器と並列に結合される。第2セグメントは第3の抵抗器と直列結合される第4スイッチを含む。第4スイッチと第3の抵抗器の直列組み合わせは抵抗器の第2のセットの少なくとも1つの抵抗器と並列に結合される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
アナログデジタルコンバータ(ADC)であって、
抵抗器ネットワークを含むデジタルアナログコンバータ(DAC)を含み、
前記抵抗器ネットワークが、第1のセグメント及び第2のセグメントを含み、前記第1のセグメントが、第1の供給電圧ノードと抵抗器の第1のセットとの間に結合される第1のスイッチを含み、前記第2のセグメントが、前記第1の供給電圧ノードと抵抗器の第2のセットとの間に結合される第2のスイッチを含み、
前記第1のセグメントが、第2の抵抗器と直列に結合される第3のスイッチを含み、前記第3のスイッチと前記第2の抵抗器の前記直列の組み合わせが、前記抵抗器の第1のセットの少なくとも1つの抵抗器と並列に結合され、
前記第2のセグメントが、第3の抵抗器と直列に結合される第4のスイッチを含み、前記第4のスイッチと前記第3の抵抗器との前記直列の組み合わせが前記抵抗器の第2のセットの少なくとも1つの抵抗器と並列に結合される、
ADC。
【請求項2】
請求項1に記載のADCであって、
前記第3のスイッチと前記第2の抵抗器との前記直列の組み合わせが、前記抵抗器の第1のセットの少なくとも2つの抵抗器の直列の組み合わせと並列に結合され、
前記第4のスイッチと前記第3の抵抗器との前記直列の組み合わせが、前記抵抗器の第2のセットの少なくとも2つの抵抗器の直列の組み合わせと並列に結合される、
ADC。
【請求項3】
請求項1に記載のADCであって、前記第1のセグメントがバイナリセグメントを含み、前記第2のセグメントがサーモメトリックセグメントを含み、前記抵抗器ネットワークが前記バイナリセグメントとサーモメトリックセグメントとの間に結合される抵抗器の第3のセットをさらに含み、前記抵抗器の第3のセットが、直列に結合される第4及び第5の抵抗器、直列に結合される第6及び第7の抵抗器を含み、前記第4及び第5の抵抗器の直列の組み合わせが、前記第6及び第7の抵抗器の直列の組み合わせと並列に結合される、ADC。
【請求項4】
請求項1に記載のADCであって、前記抵抗器の第2のセットが、
前記第2のスイッチと前記DACの出力ノードとの間に直列に結合される第4、第5、第6、及び第7の抵抗器と、
直列に結合される第8、第9、第10、第11の抵抗器と、
を含み、
前記第4~第7の抵抗器が、前記第8~第11の抵抗器の前記直列組み合わせと並列に結合される、
ADC。
【請求項5】
請求項4に記載のADCであって、前記抵抗器の第1のセットが、前記抵抗器の第2のセットよりも少ない抵抗器を含む、ADC。
【請求項6】
請求項1に記載のADCであって、前記抵抗器の第1のセットの各抵抗器が、
nウェル上に形成されるポリシリコン抵抗器と、
pドープ基板と、
前記nウェルより高いドーピング濃度を有するnドープ領域と、
前記nドープ領域への電気的接続と、
を含み、
前記電気的接続が前記第1のスイッチに結合される、
ADC。
【請求項7】
請求項1に記載のADCであって、前記DACの出力ノードに結合されるコンパレータをさらに含み、また、前記コンパレータの出力及び前記DACの入力に結合されるレジスタを含む、ADC。
【請求項8】
アナログデジタルコンバータ(ADC)であって、
抵抗器ネットワークを含むデジタルアナログコンバータ(DAC)を含み、
前記抵抗器ネットワークが、複数のバイナリセグメントと複数のサーモメトリックセグメントとを含み、
第1のサーモメトリックセグメントが、第1のスイッチと、第1のスイッチとDACの出力ノードとの間に直列に結合される一対のユニット抵抗器とを含み、第2のサーモメトリックセグメントが、第2のスイッチと、第2のスイッチと出力ノードとの間に結合される2つ以上のユニット抵抗とを含む、
ADC。
【請求項9】
請求項8に記載のADCであって、前記第2のサーモメトリックセグメントが、前記第2のスイッチと前記出力ノードとの間に結合される8つのユニット抵抗を含む、ADC。
【請求項10】
請求項9に記載のADCであって、前記8つのユニット抵抗器のうちの4つが直列に結合され、前記8つのユニット抵抗器のうちの別の4つも直列に結合され、前記2つの直列のユニット抵抗器が互いに並列に結合される、ADC。
【請求項11】
請求項8に記載のADCであって、前記第1のサーモメトリックセグメントが、第2の抵抗器と直列に結合される第3のスイッチを含み、前記第3のスイッチと第2の抵抗器の直列組み合わせが、前記第1のサーモメトリックセグメントの対応するユニット抵抗器の対のうちの少なくとも1つと並列に結合されている、ADC。
【請求項12】
請求項9に記載のADCであって、前記第2のセグメントが、第3の抵抗器と直列に結合される第4のスイッチを含み、前記第4のスイッチと前記第3の抵抗器との直列組み合わせが、前記第2のサーモメトリックセグメントの前記ユニット抵抗器のうちの少なくとも1つと並列に結合される、ADC。
【請求項13】
請求項8に記載のADCであって、前記複数のバイナリセグメントの第1のバイナリセグメントが、複数のユニット抵抗器と、第2の抵抗器と直列に結合される第3のスイッチとを含み、前記第3のスイッチと第2の抵抗器の前記直列組み合わせが、前記第1のバイナリセグメントの前記複数のユニット抵抗器の少なくとも1つのユニット抵抗器と並列に結合される、ADC。
【請求項14】
請求項8に記載のADCであって、前記第1及び第2のサーモメトリックセグメントのそれぞれのユニット抵抗器が、
nウェル上に形成されるポリシリコン抵抗器と、
pドープ基板と、
前記nウェルよりも高いドーピング濃度を有するnドープ領域と、
前記nドープ領域への電気的接続と、
を含み、
前記電気的接続が、それぞれの第1又は第2のスイッチに結合される、
ADC。
【請求項15】
アナログデジタルコンバータ(ADC)であって、
抵抗器ネットワークを含むデジタルアナログコンバータ(DAC)を含み、
前記抵抗器ネットワークが複数のセグメントを含み、前記複数のセグメントが、第1のスイッチと抵抗器の第1のセットとを含む第1のセグメントを含み、前記第1のスイッチが供給電圧ノードと抵抗器の第1のセットとの間に結合され、
前記第1のセグメントがまた、第2の抵抗器と直列に結合される第2のスイッチを含み、前記第2のスイッチと第2の抵抗器との直列の組み合わせが、前記抵抗器の第1のセットのうちの少なくとも1つの抵抗器と並列に結合され、前記第1のスイッチが、動作時間期間の間、前記抵抗器の第1のセットに供給電圧を印加するように制御されるとき、前記第2のスイッチが、前記動作時間期間未満の間オンにされ、次いで、前記動作時間期間の残りの間オフにされるように構成される、
ADC。
【請求項16】
請求項15に記載のADCであって、前記第2のスイッチと前記第2の抵抗器との前記直列の組み合わせが、前記抵抗器の第1のセットの少なくとも2つの抵抗器の直列の組み合わせと並列に結合される、ADC。
【請求項17】
請求項15に記載のADCであって、前記複数のセグメントが第2のセグメントを含み、前記第2のセグメントが第3のスイッチ及び抵抗器の第2のセットを含み、前記第3のスイッチが前記供給電圧ノードと前記抵抗器の第2のセットとの間に結合され、前記抵抗器ネットワークがさらに、前記バイナリ及びサーモメトリックセグメント間に結合される抵抗器の第3のセットを含み、前記抵抗器の第3のセットが、直列に結合される第4及び第5の抵抗器、直列に結合される第6及び第7の抵抗器を含み、前記第4及び第5の抵抗器の前記直列の組み合わせが、前記第6及び第7の抵抗器の前記直列の組み合わせと並列に結合される、ADC。
【請求項18】
請求項17に記載のADCであって、前記抵抗器の第1のセットが前記抵抗器の第2のセットよりも多くの抵抗器を含み、前記抵抗器の第1のセットが、前記抵抗器の第2のセットと同じ実効抵抗を有する、ADC。
【請求項19】
請求項17に記載のADCであって、前記抵抗器の第1のセットが、
前記第1のスイッチと前記DACの出力ノードとの間に直列に結合される第4、第5、第6、及び第7の抵抗器と、
直列に結合される第8、第9、第10、第11の抵抗器と、
を含み、
前記第4~第7の抵抗器の直列の組み合わせが、前記第8~第11の抵抗器の前記直列の組み合わせと並列に結合される、
ADC。
【請求項20】
請求項15に記載のADCであって、前記抵抗器の第1のセットの各抵抗器が、
nウェル上に形成されるポリシリコン抵抗器と、
pドープ基板と、
前記nウェルよりも高いドーピング濃度を有するnドープ領域と、
n‐ドープ領域への電気的接続と、
を含み、
前記電気的接続が前記第1のスイッチに結合される、
ADC。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
アナログデジタルコンバータ(ADC)の一種として、逐次比較レジスタ(SAR)ADCがある。SAR ADCは、最上位ビット(MSB)で始まり、次に最上位のビットなど、最下位ビット(LSB)が決定されるまで反復して、出力デジタルコードを決定する。SAR ADCの各サイクルは、入力アナログ信号を、連続する各反復でリセットされる閾値電圧と比較する。最初のサイクルでは、閾値電圧が入力電圧範囲の中間点にセットされ、入力電圧が閾値電圧より高い場合はMSBが「1」に、閾値電圧より低い場合は「0」に決定される。一旦MSBが既知となると、閾値電圧は、そのサイクルにおいて、MSBが1であると決定された場合、前の中間点電圧と最大入力電圧との間の範囲の中間点、又はMSBが0であると決定された場合、0V(すなわち、入力電圧範囲の下端)と前の中間点電圧との間の範囲の中間点にリセットされる。このプロセスは繰り返され、閾値電圧は、LSBが決定されるまで、サイクル毎にリセットされる。その時点で、完全なデジタル出力コードが決定されている。
【0002】
SAR ADCは、デジタル値を、コンパレータによってアナログ信号と比較すべき閾値電圧に変換するデジタルアナログコンバータ(DAC)を含む。DACに提供されるデジタル値はサイクル毎に変更され、そのため、DACからのアナログ出力閾値電圧も、上述したように、サイクル毎に変更される。
【発明の概要】
【0003】
一例において、アナログデジタルコンバータ(ADC)が、抵抗器ネットワークを有するデジタルアナログコンバータ(DAC)を含む。抵抗器ネットワークは、第1及び第2のセグメントを含む。第1のセグメントは、第1の供給電圧ノードと抵抗器の第1のセットとの間に結合された第1のスイッチを含む。第2のセグメントは、第1の供給電圧ノードと抵抗器の第2のセットとの間に結合された第2のスイッチを含む。第1のセグメントは、第2の抵抗器と直列に結合された第3のスイッチを含む。第3のスイッチと第2の抵抗器との直列の組み合わせは、抵抗器の第1のセットの少なくとも1つの抵抗器と並列に結合される。第2のセグメントは、第3の抵抗器と直列に結合された第4のスイッチを含む。第4のスイッチと第3の抵抗器との直列の組み合わせは、抵抗器の第2のセットの少なくとも1つの抵抗器と並列に結合される。
【0004】
種々の例の詳細な説明のため、ここで、添付の図面を参照する。
【図面の簡単な説明】
【0005】
【
図1】逐次比較レジスタ(SAR)ベースのアナログデジタルコンバータ(ADC)の例を図示する。
【0006】
【
図2】
図1のSAR ADCにおいて用いられる抵抗器ベースのデジタルアナログコンバータ(DAC)の例示の実装を示す。
【0007】
【
図3】
図1のSAR ADCを用いた集積回路(IC)を含むサーバコンピュータを示す。
【0008】
【
図4】
図1のSAR ADCにおいて用いられる抵抗器ベースのDACの別の例示の実装を図示する。
【0009】
【
図5】SAR ADCのDACにおいて用いられるユニット抵抗器の例示の実装を示す。
【0010】
【
図6】直列に接続された
図5のような2つのユニット抵抗器を図示する。
【0011】
【
図7】
図6のように、抵抗器ベースのDACの2つの隣り合ったセグメントの電気回路モデルを含む。
【0012】
【
図8】
図1のSAR ADCにおいて用いられる抵抗器ベースのDACのさらに別の例示の実装を図示する。
【0013】
【
図9】
図8のように、抵抗器ベースのDACの2つの隣り合ったセグメントの電気回路モデルを含む。
【0014】
【
図10】
図2の抵抗器ベースDACのセグメントの整定時間期間を図示するタイミング図を示す。
【0015】
【
図11】抵抗器ベースのDACの個々のセグメントの代替例と、整定時間期間を示すタイミング図を示す。
【0016】
【
図12】DAC内のスイッチ抵抗ミスマッチに起因する一対の直列接続抵抗器の積分非線形性を低減するための例示の実装を示す。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図1は、SAR ADC100の例示の実装を示す。例示のSAR ADC100は、サンプル・ホールド回路102と、コンパレータ104と、SAR106と、DAC108とを含む。サンプル・ホールド回路102は、入力電圧VINをサンプル・ホールドし、それをコンパレータ104によってDAC108からの閾値電圧109と比較する。コンパレータ104からの出力は、VINがDACの出力電圧より大きいか小さいかに応じて、高レベル又は低レベルである。各サイクルにおけるコンパレータ104からの出力は、出力デジタルコードの次の最上位ビットを表す。出力デジタルコードは、SAR106に記憶され、そこからデジタル出力コード110として取り出され得る。SAR106はまた、デジタル値107をDAC108に提供する。DAC108は、デジタル値107をコンパレータ104に提供すべきアナログ閾値電圧109に変換する。デジタル値107は、デジタル出力コード110の全てのビットが決定されるまで、変換プロセスの各サイクルで更新される。
【0018】
図2は、DAC108の例示の実装を示す。この例では、DAC108は、抵抗器ネットワークと、バイナリサーモメトリックコンバータ235とを含む。抵抗器ネットワークは、複数のバイナリセグメント210、及び複数のサーモメトリックセグメント240を含む。この例では、各バイナリセグメント210が、スイッチSWと、2つの直列接続された抵抗器Rとを含む。別の抵抗器Rが、図示するように、1つのバイナリセグメント210をバイナリセグメント210に接続する。各抵抗器Rは「ユニット」抵抗器と呼ばれる。バイナリセグメント210のアーキテクチャは、R‐2R抵抗器ネットワークと呼ばれることがある。各サーモメトリックセグメント240はまた、スイッチSWと、2つの直列接続された抵抗器Rとを含むが、サーモメトリックセグメント240間に接続される付加的な抵抗器は伴わない。
【0019】
各スイッチSWは、そのセグメントのそれぞれの直列接続された抵抗器を、基準電圧(VREF)又は接地(VGND)のいずれかに結合する。この例では、DAC108が、10個のバイナリセグメント210及び15個のサーモメトリックセグメント240を含む。
図2の例におけるDAC108は、14ビットDACであり、ここでは、SAR106からのデジタル値107の10個の最下位ビット[B9:B0]が、236で示されるように、バイナリセグメント210のスイッチSWを制御する。例えば、「1」であるバイナリビットは、対応するスイッチにVREFをそのセグメントの抵抗器に結合させ、「0」であるバイナリビットは、対応するスイッチにVGNDをそのセグメントの抵抗器に結合させる。デジタル値107の上位4ビットは、バイナリサーモメトリックコンバータ235によって15ビットサーモメトリックコードに変換されて、15個のサーモメトリックセグメントT1~T15のスイッチSWを制御する。各サイクルにおいて、デジタル値107の上位4ビットの値に基づいて、サーモメトリックビットのうちの1つが高であり(又はいずれも高でない)(それらのセグメントの抵抗器をVREFに結合し)、残りは低である(それらのセグメントの抵抗器をVGNDに結合する)。サーモメトリックセグメント240を共に接続するノードN1は、DAC108からコンパレータ104に閾値電圧109を提供する。
【0020】
図3は、サーバ300(又は他のタイプのコンピュータ)の例を示し、サーバ300は、パルス幅変調器(PWM)集積回路(IC)301、複数の電力段320、複数のインダクタL1、中央処理装置(CPU)390、及びメモリ392を含む。他の構成要素も同様に含まれ得る。PWM IC301は、多相PWMを含む。複数のPWM制御回路310はPWM IC301内に設けられ、各PWM制御回路310は対応する電力段320に結合される。各電力段320は、例えば、電力供給ノードと接地との間に接続された一対のトランジスタを含み得る。各電力段320は対応するインダクタLIに結合する。インダクタLIは、CPU390への供給電圧(VOUT)を生成するために、図示のように共に接続される。供給電圧はまた、メモリ392などのサーバ300内の他のデバイスに電力供給するために使用されてもよい。各PWM制御回路310は、対応する電力段320内の各トランジスタがオン及びオフであるときを制御し、それによってCPU390への電圧を調整する。
【0021】
各電力段320は、電流感知(CS)信号及び温度感知(TS)信号を生成する。CS信号は、それぞれの電力段320の電流を表す。CS信号は、組み合わせ電流(IMON)を生成するために加算器345によって共に加算される。TS信号はそれぞれの電力段320の温度を示す。TS信号は共に、最も高温の電力段320を示す信号を提供するために、PWM IC301に単一の入力として接続される。
【0022】
図3の例におけるPWM IC301はまた、多数のアナログ信号355のいずれかをデジタル値357に変換するために使用可能なSAR ADC350を含む。このようなアナログ信号355の例には、PWM IC300への入力電圧(VIN)、IMON信号、TEMP信号などが含まれる。通信インタフェース360(例えば、電力管理バス(「PMBus」)プロトコルに準拠する)が、SAR ADC350に結合され、デジタル値355を外部デバイスに送信することができる。
【0023】
DACの差動非線形性(DNL)は、隣接する入力デジタル値に対応する2つのアナログ電圧間の偏差を記述する計量であり、デジタル‐アナログ変換プロセスにおける誤差を測定する。幾つかの応用例(例えば、PWM IC301)では、1つのSAR ADC350を使用して、複数の異なるアナログ信号をデジタル化する。したがって、異なる電圧範囲に対して、異なるDNL要件がSAR ADC355に課され得る。例えば、アナログ信号355の1つに対して、SAR ADCのDACに対するDNL要件は、14ビットコンバータ、及び1.5V~1.75Vの電圧範囲及び1.92VのDAC内の基準電圧(VREF)に対して、2分の1 LSB DNLであり得る。他のアナログ信号355は、より厳しくないDNL要件を有する可能性がある。
【0024】
特定の電圧範囲に対して或るDNL要件を有するSAR ADCに加えて、SAR ADCのDACの整定時間によって、SAR ADCの変換速度が制限される。整定時間は、ノードN1上の電圧が最終電圧レベルに達したことが保証される前に経過しなければならないスイッチSWの状態の変化に続く時間である。より長い整定時間は、より遅いデジタル‐アナログ変換を意味する。考慮すべきもう一つの問題はスイッチSWのオン抵抗であり、これは比較的大きな積分非線形性(INL)を引き起こすのに十分大きくし得る。以下に説明するDACは、これら3つの問題、つまり、(1)特定の電圧範囲に対するDNL要件、(2)整定時間、及び(3)INLに対するスイッチオン抵抗の効果、のうちの1つ又はそれ以上に対処する。その結果、サーバ300内のアナログ‐デジタル変換プロセスは、(少なくとも1つ又はそれ以上のアナログ信号355に対して)より少ないエラーを有し得、より速い整定時間を有し得、及び/又は(以下に説明されるように)スイッチサイズを増加させることなく一層低いINLを有し得る。一例では、CPU390は、IMON、TEMP、VINなどのデジタル化された値を読み取り、これらのパラメータのうちの1つ又は複数の大きさに応じて、その動作環境を改変する。例えば、CPU390は、電流又は温度がそれぞれの閾値を超える場合、その動作周波数又は動作電圧を低下させ得る。CPU390は、インタフェース360を介してPWM IC301に信号又はメッセージを送ってVOUTを変更させ得る。その結果、(改善されたDNL性能に起因して)、例えばIMONのデジタル化された値がより正確であればあるほど、CPUの動作環境の制御はより効果的になる。この例では、SAR ADC350内のDACは、サーバ300がその動作環境をより効果的に監視及び制御することができるように、IMON信号の信号範囲に対して、事前決定されたDNLを有するように構成される。
【0025】
抵抗器ネットワークベースのDACのDNLは、バイナリセグメント210を有するスイッチSWの全てが状態を変更させるとき、1つのデジタル値から次のデジタル値への遷移において悪化する。例えば、14ビットのDACでは、デジタル値1023(十進法)の場合、最下位10ビットは全て「1」であるため、バイナリセグメント210の全ての10個のスイッチSWが制御されて、これらのセグメントの抵抗器RをVREFに接続する。次に隣接するデジタル値は1024であり、これは最下位10ビットの全てが「0」であることを意味し、そのため、バイナリセグメント210の10個のスイッチSW全てが、抵抗器RをVGNDに接続するように制御される。バイナリセグメント210内の全ての10個のスイッチSWの状態の変化は、2047から2048、3071から3072などへの遷移においても生じ、最下位10ビットが全て「1」から全て「0」に変化するたびに生じる。
【0026】
DACのDNLは、抵抗器Rの抵抗が全て正確に同じである場合、より低くなる。しかし、実際には、抵抗器ベースのDACは、その全ての抵抗器の同一の抵抗を含まない。DAC108内の抵抗器の抵抗はR(1+σ)としてモデル化することができ、ここで、σは抵抗器のミスマッチ係数である。抵抗器ミスマッチは一般に、所与の抵抗器サイズに対して、DACの抵抗器全体にわたってランダムである。つまり、DACを含むICの製造業者は、あるサイズの全ての抵抗器に対して、ミスマッチ係数(σ)の特定の値を保証する。そのため、例示のDAC108内の抵抗器は全て同じ寸法であり、したがって同じ面積(面積は、抵抗器を通る電流経路に沿った抵抗器の断面積を指す)である。ユニット抵抗Rのミスマッチ係数σは、性質上ガウス型である。ミスマッチ係数σは、抵抗器の面積の平方根に反比例する。直列に接続された2つのユニット抵抗Rは、例えば、2R(1+σ/sqrt(2))の実効抵抗を有する。このように、抵抗器の面積を増加させることは実効ミスマッチ係数の減少(すなわち、σ/sqrt(2))をもたらし、DAC内の抵抗器のミスマッチ係数の減少は望ましく一層低いDNLをもたらす。
【0027】
上述のように、DACの特定の電圧範囲に対して一層低いDNLを有することが望ましい場合がある。上の例では、14ビットコンバータで、1.5V~1.75Vの電圧範囲及び1.92Vの基準電圧(VREF)に対して1/2 LSB DNLのDNLが望ましい場合がある。1.92V基準の14ビットDAC(10バイナリビット及び15サーモメトリックビット)で1.5V~1.75Vの範囲では、1.56Vと1.68VのDACアナログ出力電圧で主要なデジタル値遷移が生じる(10個のバイナリセグメント210スイッチSWの全てが状態を変える)。これらの電圧は、T13スイッチSWを制御してその抵抗器をVREF(これは1.56Vを生成する)に接続し、また、T14スイッチSWを制御してその抵抗器をVREF(これは1.68Vを生成する)に接続するときに生じる。
【0028】
図4は、
図2のDAC108のアーキテクチャに類似したアーキテクチャを有するが、単一ユニット抵抗器Rがバイナリセグメント210を、
図4では(401で示される)ユニット抵抗器Rの4つのインスタンスとして実装される、
図2のサーモメトリックセグメント240に接続するDAC408の例示の実装を示し、
図2ではT13及びT14のためのサーモメトリックセグメント内の2つのユニット抵抗器Rの各々が、2つの並列セットの4つの直列接続されたユニット抵抗器R(450で示される)を備える
図4の例で置き換えられている。401における4つのユニット抵抗器Rは、直列接続された2つの抵抗器402と、直列接続された2つの抵抗器403とを含む。直列接続された抵抗器402は、直列接続された抵抗器403と並列に接続される。結果として生じるノードN1とN3との間の実効抵抗は、依然として単一ユニット抵抗器Rの抵抗であるが、抵抗器402と403のグループの面積は単一ユニット抵抗器の面積の4倍である。同様に、参照符号450は、4Rの組み合わせ抵抗を有する4つの直列接続されたユニット抵抗器Rを示す。直列接続された各4個のユニット抵抗器を、4つの直列接続されたユニット抵抗器Rの別のセットと並列接続すると、結果として生じるそのセグメントの実効抵抗は2Rとなる。
【0029】
このように、ノードN1とN2との間の実効抵抗は、依然としてRであり、T13及びT14サーモメトリックセグメント内では、実効抵抗は依然として2Rである。しかしながら、401における4つのユニット抵抗器の総面積は、ユニット抵抗器Rの面積(A)の4倍(すなわち、4A)であり、そのため、401における2つの並列接続されたユニット抵抗器のセットの実効抵抗はR(1+σ/2)であり、そのため、単一ユニット抵抗器と比較して、抵抗ミスマッチはより小さい。また、450におけるT13及びT14サーモメトリックセグメントにおける8個のユニット抵抗器の総面積は、
図2におけるように直列の2個のユニット抵抗器の面積よりも4倍大きい。有利には、450における2つの並列接続されたユニット抵抗器の実効抵抗は2R(1+σ’/2)であるのに対して、
図2におけるような2つの直列接続されたユニット抵抗器の場合、そのような各セグメントの実効抵抗は2R(1+σ’)であり、ここでσ’は直列の2つのユニット抵抗器の実効ミスマッチ係数である。そのため、抵抗器ミスマッチは、
図2における対応する抵抗と比較して、
図4の401及び450における実効抵抗に対してより小さい。
【0030】
そのため、DAC408は対象とするアナログ出力電圧に対応する或るデジタル値において一層低いDNLを有し、他のデジタル値において一層高いDNLを有し得る。他のデジタル値に対してDNLが高くなり得ることは、特定のアナログ信号がデジタル化されて用いられる場合にDAC408が用いられるSAR ADCの性能に有害な影響を与えない。
【0031】
図5は、単一ユニット抵抗器Rの例示の実装を示す。この例では、ユニット抵抗器は、二酸化シリコン(又は他のタイプの誘電体)層502内のポリシリコン502の抵抗である。誘電体層502は、ドープされた(例えば、nドープされた)ウェル520上に形成され、ドープされたウェル520は、基板518(例えば、pドープされた基板)内に形成される。電気的コンタクト530及び535(例えば、ビア)が、ポリシリコン502の対向する端部に提供される。抵抗515はポリシリコン502の抵抗を表す。電気的コンタクト540もまた、nウェル520内のnドープされた領域545に提供される。nドープされた領域545は、n‐ウェル520よりも高いドーピング濃度を有する。図示の例では、ウェル520及び領域545はnドープされているが、他の例ではpドープすることもできる。一例において、領域545はpドープされ、基板518はnドープされ、それによってp‐n接合を形成する。pドープされた領域545とnドープされた基板518との間に形成されるp‐n接合の順方向バイアスを回避するために、基板に印加される同じ電圧が、電気的コンタクト545にも印加される。この電圧は、
図5ではPBKGとして示されている。nウェル520はまたPBKG電圧に接続され得る。
【0032】
図5のコンデンサCは、ポリシリコン502とnウェル520との間に形成される寄生バルク静電容量を表す。寄生静電容量は、ポリシリコン502の長さ及び下にあるnウェル520に沿って分布するが、ポリシリコン502の対向する端部に示されるように、等しい静電容量の2つのコンデンサCとして数学的にモデル化することができる。
【0033】
図6は、2つの直列接続されたポリシリコンベースのユニット抵抗器を図示する。一方の抵抗器の電気的コンタクト530は、図示のように他方の抵抗器の電気的コンタクト535に接続される。右側のポリシリコンベースの抵抗器上の電気的コンタクト535と、左側のポリシリコンベースの抵抗器の電気的コンタクト530との間の実効抵抗は2Rである。コンデンサ560及び562は、導体558を介して並列に電気的に接続され、両方のnウェル520が同じ電圧PBKGでバイアスされる寄生静電容量Cを表す。
【0034】
図7は、コンデンサC1の寄生静電容量を含む、DAC108のバイナリ又はサーモメトリックセグメント210、240のうちの2つの電気回路モデル715を示す。各セグメントは、上述のように直列の2個のユニット抵抗Rを含む。抵抗器Rの各端部とPBKG電圧との間にコンデンサCが接続される。参照符号702及び704は、
図6に関して上述したような、隣接する抵抗器間のコンデンサ560及び562の並列組合せを表す2Cコンデンサを示す。
【0035】
電気回路モデル715は、DACの分散RCネットワークをより容易に示すため表現720として
図7で再び示される。ポリシリコンベースのユニット抵抗Rの寄生容量に起因して、DACの整定時間はRとCの積の関数である。
【0036】
図8は、
図2のアーキテクチャと同様であるが、各ユニット抵抗器Rがその電気的コンタクト540(nウェル520に接続され、そのため、コンデンサCの1つの端子に接続される)を有し、PBKG電圧にではなく、対応するスイッチSWに接続されるアーキテクチャを有するDAC808を示す。所与のセグメント810又は840のスイッチSWを介して、ユニット抵抗器の電気的コンタクト540は、スイッチの状態に応じて、VREF又はVGNDのいずれかに接続される。バイナリセグメント810間、及び、バイナリセグメント810とサーモメトリックセグメント840と間の抵抗器は、図示のようにPBKGに接続されるそれらの電気的コンタクト540を有する。
図8のDAC808では、ユニット抵抗器が、隣接するバイナリセグメント810を接続する抵抗器、及び、バイナリセグメントとサーモメトリックセグメントとの間の抵抗器とは別個のウェル内、並びに、IC内の他の構造のウェルとは別個のウェル内に配置される。
【0037】
電気的コンタクト540をスイッチSWに接続した結果、電気回路モデルは、
図7に示されるモデル715/720から、
図9に示されるモデル910/920/930に変わる。
図7のコンデンサ770は、電気的コンタクト540のスイッチSWへの接続に起因して
図8において短絡され、そのため、
図9では示されない。回路モデル920により良く例示されているように、
図9における組み合わせ並列2Cコンデンサは、各セグメントにおける上側抵抗器を介して接続される。各セグメントの底部におけるより低いコンデンサCは、回路モデル920により良く例示されているように、直列接続されたユニット抵抗器を介して接続される。各セグメントは、2つの直列接続されたユニット抵抗Rと、両方のユニット抵抗を介するコンデンサCと、ユニット抵抗器の1つを介する2Cコンデンサとを含む。各セグメントのインピーダンスは同じであり、インピーダンスZとして回路モデル930に表される。回路モデル930は、サーモメトリックセグメントが分圧器であり、インピーダンスZ間のド931上の電圧がVREF/2であることを示す。
【0038】
DACに用いられる抵抗器は、隣接するバイナリセグメント810と、バイナリセグメントとサーモメトリックセグメントとの間の抵抗器とを接続する抵抗器のためのnウェルとは別個であり、また、IC内の他の構造のウェルとは別個であるnウェル520を含む。別個のn‐ウェルを使用し、それらのウェルをスイッチノードに接続することによって、特定のサーモメトリックレッグがオンにされると、そのような各サーモメトリックレッグは、
図9に関して上述したような整合インピーダンスネットワークを含む。スイッチの状態の変化はR及びCに依存せず、それにより
図2の場合よりも速い整定時間となる。
【0039】
図2を再び参照すると、各スイッチSWは、そのセグメントをVREF又はVGNDのいずれかに接続する。各スイッチSWは、一対のトランジスタ、例えば、p型金属酸化物半導体電界効果トランジスタ(PMOS)及びn型金属酸化物半導体電界効果トランジスタ(NMOS)、として実装され得る。PMOSトランジスタは、VREFに接続され、オンのとき、直列接続された抵抗器にVREFを接続する。NMOSトランジスタは、VGNDに接続され、オンのとき、直列接続された抵抗器にVGNDを接続する。一般に、IC上のPMOSトランジスタのオン抵抗は、温度又はVREF電圧などの変化にもかかわらず、それら自体の間で一貫して追跡する。同様に、IC上のNMOSトランジスタのオン抵抗も、それらの間で一貫して追跡する。
【0040】
PMOS及びNMOSトランジスタは、PMOS及びNMOSトランジスタ間のオン抵抗がプロセス及び温度にわたって追跡しないという制約を提示している。スイッチ抵抗ミスマッチによるINLは、
に等しいことが示され得る。ここで、式(1)のR’は、単一のサーモメトリックセグメントの抵抗(例えば、本明細書に記載される例では2R)であり、INL
SWITCHは、スイッチ抵抗ミスマッチに起因するINL貢献である。スイッチ抵抗ミスマッチのためにINLを減少させる方式の1つは、ユニット抵抗Rに対してより大きな抵抗を選択することである。しかしながら、より大きな抵抗はより長い整定時間をもたらし、一般に、Rの値はDACに対する整定要件によって決定される。あるいは、INL
SWITCHが、PMOS及びPMOSトランジスタのサイズを増加させることによって減少され得、その結果、それらのオン抵抗の値がより小さくなる。しかし、残念ながら、トランジスタのサイズを大きくするとDACの面積が大きくなる。
【0041】
図10及び
図11は、INLを減少させるための異なるメカニズムを記載する。
図10は、単一セグメント1010(例えば、バイナリセグメント又はサーモメトリックセグメント)を図示する。抵抗器Rは、ターゲット整定時間tを達成するためのセグメントの抵抗器を表す。つまり、スイッチ1012が抵抗器RをVREFに接続するように構成される場合、VGNDからVREFへの急激さに起因するノード1015上の電圧は、期間t内に整定するはずである。
【0042】
図11は、抵抗器Rが、スイッチ1111を介して並列に結合される2つの抵抗器R2及びR3で置き換えられる実装を示す。R2は、
図5に示されるようなポリシリコンベースの抵抗器として実装され得、R3は、比較的高いシート抵抗率及び比較的小さな幅(抵抗器R2と比較して)を有するポリシリコンベースの抵抗器として実装され得る。整定期間t(動作時間期間とも呼ばれる)は、2つの部分t1及びt2に分割される。t1の間、スイッチ1111は閉じられ、R2とR3の並列組み合わせの実効抵抗は、個々にR2又はR3のいずれかより小さく、Rより小さい。t2の間、スイッチ1111は開かれ、Rより大きい抵抗器R2のみが電流を受け取る。この構成では、t1の間、R2||R3(これはRより小さい)が用いられ、t2の間、R2が用いられるので、整定時間は概して同じ(t)のままである。最終的な整定はR2(Rより大きい)で起こり、そのため、上記式(1)に従って、R’がより大きいとINLはより小さくなる。
【0043】
以下の式は、抵抗器R2とR3の値をどのように選択するかの例を図示する。スイッチ1111は時間t1の間オンにされ、R2とR3の並列組み合わせ(実効抵抗R1)は、スイッチ1012を介してVREFに結合される。R1の実効バルク容量(例えば、
図5に示すようにR2の寄生容量)はCである。時間間隔t1における充電式は次のようになる。
ここで、V1は中間電圧値(すなわち、t1の終わりのR1の電圧)であり、Vxは時間期間t2の終わりの最終電圧である。
【0044】
時間t1の後、スイッチ1111が開き(オフになり)、抵抗値がR2になる。最終的な整定は、下記式に従って、中間電圧V1から最終電圧値(VF)まで起こる。
【0045】
式(6)に従って、時間t1+t2におけるターゲット整定に対するRの値は、時間t1に抵抗器R1及び時間t2に抵抗器R2を用いることによって達成され得る。例えば、60KΩの抵抗がターゲット整定時間に必要とされると仮定する。抵抗器R2は100KΩの抵抗器とし得、R3は別の100KΩの抵抗器とし得る。スイッチ1111をオンにすると、R2とR3の並列組合せの実効抵抗は50KΩとなる。スイッチ1111が時間2t/3の間オンにされ、t/3の間オフにされた場合、整定時間は、全時間期間tの間単一の60KΩが用いられた場合と同じになる。時間期間tの終わりにおける抵抗は100KΩであるため、INLは、スイッチ1012に用いられるトランジスタのサイズを増大させることなく低減される。
【0046】
一例では、
図2における各ユニット抵抗器Rは、
図11の例に示すように実装され得る。別の例において、
図12に図示されているように、スイッチ111及び抵抗器R5が、各個別のユニット抵抗器を介してではなく、直列接続された各対のユニット抵抗器R4を介して接続され得る。各抵抗器R4の抵抗は、
図2におけるRよりも大きく、2×R4及びR5の実効並列抵抗は、上述したようにRよりも小さい。
【0047】
「結合する」という用語は本明細書全体を通じて用いられている。この用語は、本開示の説明と一貫した機能的な関係を可能にする、接続、通信、又は信号経路を包含し得る。例えば、デバイスAが、或る行為を行なうためにデバイスBを制御するための信号を生成する場合、第1の例において、デバイスAはデバイスBに結合され、或いは第2の例において、介在構成要素CがデバイスAとデバイスBとの間の機能関係を実質的に変化させない場合に、デバイスBがデバイスAによって生成される制御信号を介してデバイスAによって制御されるように、デバイスAは介在構成要素Cを介してデバイスBに結合される。
【国際調査報告】