(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-11-30
(54)【発明の名称】COPD-OSA重複症候群の検出及び治療
(51)【国際特許分類】
A61M 16/00 20060101AFI20221122BHJP
【FI】
A61M16/00 343
A61M16/00 370Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022519152
(86)(22)【出願日】2020-09-25
(85)【翻訳文提出日】2022-03-25
(86)【国際出願番号】 EP2020076875
(87)【国際公開番号】W WO2021063824
(87)【国際公開日】2021-04-08
(32)【優先日】2019-09-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】590000248
【氏名又は名称】コーニンクレッカ フィリップス エヌ ヴェ
【氏名又は名称原語表記】Koninklijke Philips N.V.
【住所又は居所原語表記】High Tech Campus 52, 5656 AG Eindhoven,Netherlands
(74)【代理人】
【識別番号】110001690
【氏名又は名称】特許業務法人M&Sパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】ロマノ ロベルト
(72)【発明者】
【氏名】マッケンジー ジュニア リチャード ジェームズ
(57)【要約】
同時慢性閉塞性肺疾患(COPD)及び閉塞性睡眠時無呼吸(OSAイベント)重複症候群を検出及び治療するための本人工呼吸器システムは、被検者の気道に送達するための呼吸可能なガスの加圧フローを発生させる圧力発生器と、呼吸可能なガスのパラメータに関連する情報を伝達する出力信号を生成するセンサと、センサ及び圧力発生器に動作可能に接続され、出力信号に基づいて被検者におけるOSAイベント及び/又は呼気フロー制限(EFL)の存在を検出するプロセッサとを含む。OSAイベント及びEFLの同時存在の検出に応答して、プロセッサは、被検者において検出されたOSAイベントを治療するためのOSAイベント療法パラメータを決定し、被検者において検出されたEFLを治療するためのEFL療法パラメータを決定し、OSAイベント療法パラメータとEFL療法パラメータとの比較に基づいて優先治療を決定し、決定された優先治療を実施するために圧力発生器を制御する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
同時慢性閉塞性肺疾患(COPD)及び閉塞性睡眠時無呼吸(OSA)イベント重複症候群を検出及び治療するための人工呼吸器システムであって、
被検者の気道に送達するための呼吸可能なガスの加圧フローを生成する圧力発生器と、
呼吸可能なガスに関連する1つ以上のパラメータに関連する情報を伝達する出力信号を生成する1つ以上のセンサと、
前記1つ以上のセンサ及び前記圧力発生器に動作可能に接続された1つ以上の物理的コンピュータプロセッサと、
を含み、
前記1つ以上の物理的コンピュータプロセッサは、コンピュータ可読命令によって、
前記出力信号に基づいて、前記被検者における閉塞性睡眠時無呼吸OSAイベント及び/又は呼気フロー制限(EFL)の存在を検出し、
OSAイベント及びEFLの同時存在の検出に応答して、
前記被検者における、前記検出された閉塞性睡眠時無呼吸を治療するための1つ以上のOSAイベント療法パラメータを決定し、
前記被検者における、前記検出された呼気フロー制限を治療するための1つ以上のEFL療法パラメータを決定し、
前記1つ以上のOSAイベント療法パラメータと前記1つ以上のEFL療法パラメータとの比較に基づいて、優先治療を決定し、
前記被検者に前記決定された優先治療が実施されるように、前記圧力発生器を制御する、人工呼吸器システム。
【請求項2】
前記被検者におけるOSAイベントの存在を検出することは、前記出力信号に基づいて、前記被検者の上気道閉塞を検出することを含む、請求項1に記載の人工呼吸器システム。
【請求項3】
前記1つ以上の物理的コンピュータプロセッサはさらに、
第1のOSAイベント療法パラメータが、対応する第1のEFL療法パラメータよりも大きいことに応答して、前記第1のOSAイベント療法パラメータと第1のパラメータオフセットとの累積である第1の累積パラメータを送達するように前記人工呼吸器を制御し、
前記第1のEFL療法パラメータが前記第1のOSAイベント療法パラメータよりも大きい又はそれと等しいことに応答して、前記第1のEFL療法パラメータを送達するように前記人工呼吸器を制御する、請求項1に記載の人工呼吸器システム。
【請求項4】
前記1つ以上のOSAイベント療法パラメータは、OSAイベントを治療するための圧力を含む、請求項1に記載の人工呼吸器システム。
【請求項5】
前記1つ以上のEFL療法パラメータは、圧力を含む、請求項1に記載の人工呼吸器システム。
【請求項6】
前記1つ以上の物理コンピュータプロセッサはさらに、前記1つ以上のOSAイベント療法パラメータ及び/又は前記1つ以上のEFL療法パラメータを決定するために、強制オシレーション法を実施する、請求項1に記載の人工呼吸器システム。
【請求項7】
前記1つ以上の物理的コンピュータプロセッサはさらに、前記検出されたEFLの治療よりも、前記検出されたOSAイベントの治療を優先する、請求項1に記載の人工呼吸器システム。
【請求項8】
前記被検者におけるOSAイベントの存在を検出することは、無呼吸及び呼吸低下インデックスに基づいて、前記被検者の上気道閉塞を検出することを含む、請求項1に記載の人工呼吸器システム。
【請求項9】
圧力発生器、1つ以上のセンサ、及び1つ以上の物理的コンピュータプロセッサを含む人工呼吸器システムを用いて、同時慢性閉塞性肺疾患(COPD)及び閉塞性睡眠時無呼吸(OSA)イベント重複症候群を検出及び治療するための方法であって、
前記圧力発生器を用いて、被検者の気道に送達するための呼吸可能なガスの加圧フローを生成するステップと、
前記1つ以上のセンサを用いて、前記呼吸可能なガスの1つ以上のパラメータに関連する情報を伝達する出力信号を生成するステップと、
前記1つ以上の物理的コンピュータプロセッサを用いて、前記出力信号に基づいて、前記被検者における閉塞性睡眠時無呼吸(OSA)イベント及び/又は呼気フロー制限(EFL)の存在を検出するステップと、
OSAイベント及びEFLの同時存在の検出に応答して、
前記1つ以上の物理的コンピュータプロセッサを用いて、前記被検者における、前記検出された閉塞性睡眠時無呼吸を治療するための1つ以上のOSAイベント療法パラメータを決定するステップと、
前記1つ以上の物理的コンピュータプロセッサを用いて、前記被検者における、前記検出された呼気フロー制限を治療するための1つ以上のEFL療法パラメータを決定するステップと、
前記1つ以上の物理的コンピュータプロセッサを用いて、前記1つ以上のOSAイベント療法パラメータと前記1つ以上のEFL療法パラメータとの比較に基づいて、優先治療を決定するステップと、
前記1つ以上の物理的コンピュータプロセッサを用いて、前記被検者に前記決定された優先治療が実施されるように、前記圧力発生器を制御するステップと、
を含む、方法。
【請求項10】
前記被検者におけるOSAイベントの存在を検出するステップは、前記出力信号に基づいて、前記被検者の上気道閉塞を検出するステップを含む、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
第1のOSAイベント療法パラメータが、対応する第1のEFL療法パラメータよりも大きいことに応答して、前記第1のOSAイベント療法パラメータと第1のパラメータオフセットとの累積である第1の累積パラメータを送達するように前記人工呼吸器を制御するステップと、
前記第1のEFL療法パラメータが前記第1のOSAイベント療法パラメータよりも大きい又はそれと等しいことに応答して、前記第1のEFL療法パラメータを送達するように前記人工呼吸器を制御するステップと、
をさらに含む、請求項9に記載の方法。
【請求項12】
前記1つ以上のOSAイベント療法パラメータは、OSAイベントを治療するための圧力を含む、請求項9に記載の方法。
【請求項13】
前記1つ以上のEFL療法パラメータは、圧力を含む、請求項9に記載の方法。
【請求項14】
前記1つ以上のOSAイベント療法パラメータ及び/又は前記1つ以上のEFL療法パラメータを決定するために、強制オシレーション法を実施するステップをさらに含む、請求項9に記載の方法。
【請求項15】
前記検出されたEFLの治療よりも、前記検出されたOSAイベントの治療を優先するステップをさらに含む、請求項9に記載の方法。
【請求項16】
前記被検者におけるOSAイベントの存在を検出するステップは、無呼吸及び呼吸低下インデックスに基づいて、前記被検者の上気道閉塞を検出するステップを含む、請求項9に記載の方法。
【請求項17】
同時慢性閉塞性肺疾患(COPD)及び閉塞性睡眠時無呼吸(OSA)イベント重複症候群を検出及び治療するための人工呼吸器システムであって、
被検者の気道に送達するための呼吸可能なガスの加圧フローを生成するための手段と、
前記呼吸可能なガスの1つ以上のパラメータに関連する情報を伝達する出力信号を生成するための手段と、
1つ以上の物理的コンピュータプロセッサを用いて、前記出力信号に基づいて、前記被検者における閉塞性睡眠時無呼吸(OSA)イベント及び/又は呼気フロー制限(EFL)の存在を検出するための手段と、
OSAイベント及びEFLの同時存在の検出に応答して、
前記被検者における、前記検出された閉塞性睡眠時無呼吸を治療するための1つ以上のOSAイベント療法パラメータを決定するための手段と、
前記被検者における、前記検出された呼気フロー制限を治療するための1つ以上のEFL療法パラメータを決定するための手段と、
前記1つ以上のOSAイベント療法パラメータと前記1つ以上のEFL療法パラメータとの比較に基づいて、優先治療を決定するための手段と、
前記被検者に前記決定された優先治療が実施されるように、圧力発生器を制御するための手段と、
を含む、人工呼吸器システム。
【請求項18】
前記被検者におけるOSAイベントの存在を検出することは、前記出力信号に基づいて、前記被検者の上気道閉塞を検出することを含む、請求項17に記載の人工呼吸器システム。
【請求項19】
第1のOSAイベント療法パラメータが、対応する第1のEFL療法パラメータよりも大きいことに応答して、前記第1のOSAイベント療法パラメータと第1のパラメータオフセットとの累積である第1の累積パラメータを送達するように前記人工呼吸器を制御するための手段と、
前記第1のEFL療法パラメータが前記第1のOSAイベント療法パラメータよりも大きい又はそれと等しいことに応答して、前記第1のEFL療法パラメータを送達するように前記人工呼吸器を制御するための手段と、
をさらに含む、請求項17に記載の人工呼吸器システム。
【請求項20】
前記1つ以上のOSAイベント療法パラメータは、OSAイベントを治療するための圧力を含む、請求項17に記載の人工呼吸器システム。
【請求項21】
前記1つ以上のEFL療法パラメータは、圧力(PEFL)を含む、請求項17に記載の人工呼吸器システム。
【請求項22】
前記1つ以上のOSAイベント療法パラメータ及び/又は前記1つ以上のEFL療法パラメータを決定するために、強制オシレーション法を実施するための手段をさらに含む、請求項17に記載の人工呼吸器システム。
【請求項23】
前記検出されたEFLの治療よりも、前記検出されたOSAイベントの治療を優先するための手段をさらに含む、請求項17に記載の人工呼吸器システム。
【請求項24】
前記被検者におけるOSAイベントの存在を検出することは、無呼吸及び呼吸低下インデックスに基づいて、前記被検者の上気道閉塞を検出することを含む、請求項17に記載の人工呼吸器システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願への相互参照
[01] 本特許出願は、2019年9月30日に提出された米国仮出願第62/908,093号の合衆国法典第35巻第119(e)条に基づく優先権の利益を主張し、その内容は参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
[02] 本開示は、COPD-OSA重複症候群を検出及び治療するための人工呼吸器システム及び方法に関連する。
【背景技術】
【0003】
[03] 慢性閉塞性肺疾患(COPD)及び閉塞性睡眠時無呼吸(OSA)イベント(及び/又は吸気フロー制限の発生)は、いくつかの併存疾患と別々に関連している場合がある。COPD-OSA重複症候群と呼ばれる2つの状態の共存は、各疾患に別々に関連する併存疾患と比較して、併存疾患の有病率が高くなる要因となる場合がある。現在、この2つの状態に同時に対処する適切な医療ソリューションはない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
そのため、COPD-OSA重複症候群に苦しむ被検者を治療できる単一の医療機器が必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
[04] したがって、本開示の1つ以上の態様は、同時慢性閉塞性肺疾患(COPD)及び閉塞性睡眠時無呼吸(OSA)重複症候群を検出及び治療するための人工呼吸器システムに関連する。本システムは、被検者の気道に送達するための呼吸可能なガスの加圧フローを生成する圧力発生器を含む。本システムは、呼吸可能なガスの1つ以上のパラメータに関連する情報を伝達する出力信号を生成する1つ以上のセンサを含む。
【0006】
[05] 本システムは、1つ以上のセンサ及び圧力発生器に動作可能に接続された1つ以上の物理的コンピュータプロセッサを含む。1つ以上の物理的コンピュータプロセッサは、コンピュータ可読命令によって、出力信号に基づいて、被検者における閉塞性睡眠時無呼吸OSAイベント及び/又は呼気フロー制限(EFL)の存在を検出する。OSAイベント及びEFLの同時存在の検出に応答して、1つ以上の物理的コンピュータプロセッサは、被検者において検出されたOSAイベントを治療するための1つ以上のOSAイベント療法パラメータを決定し、被検者において検出された呼気フロー制限を治療するための1つ以上のEFL療法パラメータを決定し、1つ以上のOSAイベント療法パラメータとEFL療法パラメータとの比較に基づいて優先治療を決定し、被検者に決定された優先治療が実施されるように圧力発生器を制御する。
【0007】
[06] 本開示の別の態様は、人工呼吸器システムを用いて、同時慢性閉塞性肺疾患(COPD)及び閉塞性睡眠時無呼吸(OSA)イベント重複症候群を検出及び治療するための方法に関連する。人工呼吸器システムは、圧力発生器、1つ以上のセンサ、及び、1つ以上のセンサと圧力発生器とに動作可能に接続された1つ以上の物理的コンピュータプロセッサを含む。本方法では、圧力発生器を用いて、被検者の気道に送達するための呼吸可能なガスの加圧フローを生成するステップと、1つ以上のセンサを用いて、呼吸可能なガスの1つ以上のパラメータに関連する情報を伝達する出力信号を生成するステップと、1つ以上の物理的コンピュータプロセッサを用いて、出力信号に基づいて、被検者における閉塞性睡眠時無呼吸OSAイベント及び/又は呼気フロー制限(EFL)の存在を検出するステップとを含む。OSAイベント及びEFLの同時存在の検出に応答して、1つ以上の物理的コンピュータプロセッサを用いて、被検者の気道のフロー制限又は開通性の低下をもたらす、検出された閉塞性睡眠時無呼吸又は他の上気道懸念事項を治療するための1つ以上のOSA療法パラメータを決定し、1つ以上の物理的コンピュータプロセッサを用いて、被検者における検出された呼気フロー制限を治療するための1つ以上のEFL療法パラメータを決定し、1つ以上の物理的コンピュータプロセッサを用いて、1つ以上のOSAイベント療法パラメータとEFL療法パラメータとの比較に基づいて優先治療を決定し、1つ以上の物理的コンピュータプロセッサを用いて、被検者に決定された優先治療が実施されるように圧力発生器を制御する。
【0008】
[07] 本開示のさらに別の態様は、同時慢性閉塞性肺疾患(COPD)及び閉塞性睡眠時無呼吸(OSA)重複症候群を検出及び治療するための人工呼吸器システムに関連する。本システムは、被検者の気道に送達するための呼吸可能なガスの加圧フローを生成するための手段と、呼吸可能なガスの1つ以上のパラメータに関連する情報を伝達する出力信号を生成するための手段と、出力信号に基づいて、被検者における閉塞性睡眠時無呼吸OSAイベント及び/又は呼気フロー制限(EFL)の存在を検出するための手段と、被検者における検出された閉塞性睡眠時無呼吸を治療するための1つ以上のOSAイベント療法パラメータを決定するための手段と、OSAイベント及びEFLの同時存在の検出に応答して、被検者における検出された呼気フロー制限を治療するための1つ以上のEFL療法パラメータを決定するための手段と、1つ以上のOSAイベント療法パラメータとEFL療法パラメータとの比較に基づいて優先治療を決定するための手段と、被検者に決定された優先治療が実施されるように、圧力発生器を制御するための手段とを含む。
【0009】
[08] 本開示のこれら及び他の目的、特徴、及び特性、並びに、構造体の関連要素及び部品の組み合わせの操作方法及び機能及び製造の経済は、以下の説明及び添付の特許請求の範囲を、添付の図面を参照して検討することにより、より明らかとなろう。以下の説明、特許請求の範囲、及び添付の図面はすべて、本明細書の一部を形成する。様々な図において、同様の参照符号が、対応する部分を指定する。しかしながら、図面は、例示及び説明を目的としているに過ぎず、本開示の限定を定義することを意図していないことを明白に理解されたい。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】[09]
図1は、1つ以上の実施形態による、COPD-OSA重複症候群を検出及び治療するための人工呼吸器システムの例を示す。
【
図2A】[10]
図2Aは、1つ以上の実施形態による、COPD-OSA重複症候群を検出及び治療するための人工呼吸器システムの例を示す。
【
図3】[11]
図3は、1つ以上の実施形態による、システム100によって実施される治療のアルゴリズムの例を示す。
【
図4】[12]
図4は、1つ以上の実施形態による、COPD-OSA重複症候群を検出及び治療するための方法を示す。
【発明を実施するための形態】
【0011】
[13] 本明細書で使用される場合、コンテキストに明確に指示されていない限り、単数形には複数のものが含まれる。本明細書で使用される場合、2つ以上の部品又は構成要素が「結合」されているという記述は、連結が発生している限り、部品が直接的又は間接的に(すなわち、1つ以上の中間部品又は構成要素を介して)接合される又は一緒に動作することを意味する。本明細書で使用される場合、「直接結合」とは、2つの要素が互いに直接接触していることを意味する。本明細書で使用される場合、「固定結合」又は「固定」とは、相互に相対的に一定の向きを維持しながら1つの構成要素として動くように2つの構成要素が結合されていることを意味する。
【0012】
[14] 本明細書で使用される場合、「単位の」という単語は、構成要素が単一の要素又は単位として作成されることを意味する。つまり、個別に作成され、ユニットとして一緒に結合された要素を含む構成要素は、「単位の」構成要素又は本体ではない。本明細書で採用される場合、2つ以上の部品又は構成部品が互いに「係合」するという記述は、部品が直接的に又は1つ以上の中間部品若しくは構成部品を介して互いに力を及ぼすことを意味する。本明細書で採用される場合、「数」という用語は、1又は1よりも大きい整数(すなわち、複数)を意味する。
【0013】
[15] 例えば、次に制限されないが、上、下、左、右、上方、下方、前、後、及びこれらの派生語などの本明細書で使用される方向に関する語句は、図面に示されている要素の向きに関連し、明示的に記載されていない限り、特許請求の範囲を限定するものではない。
【0014】
[16] 本明細書で使用される場合、COPDとは、慢性閉塞性肺疾患の1つ以上の状態の発生を指す。本明細書で使用される場合、OSAとは、閉塞性睡眠時無呼吸イベント及び/又は吸気フロー制限の発生を指す。
【0015】
[17]
図1及び
図2は、1つ以上の実施形態による、被検者70におけるCOPD-OSA重複症候群を検出及び治療するための人工呼吸器システムの例を示している。COPD及びOSAイベントは、最も一般的な肺疾患のうちの2つである。残念ながら、かつ、知らない間に、これらはCOPD-OSA重複症候群と一般的に呼ばれる現象で同時に発生する可能性があり、呼吸障害の2倍の不快な状態をもたらす。本明細書で使用される場合、COPD-OSA重複症候群は、慢性閉塞性肺疾患の1つ以上の状態を伴う同時の閉塞性睡眠時無呼吸イベント及び/又は上気道閉塞の発生(吸気フロー制限をもたらすか、又は被検者の気道の開通性を低下させる)を指す。COPDの主要な特徴は、下気道に影響を及ぼす状態であり、疾患によって実質が破壊され、弾性収縮力が失われて呼気中の下気道の虚脱がもたらされる。これは、呼気フロー制限(EFL)と呼ばれ、肺内外圧差が増加しても呼気フローが増加しない場合に定義される。OSAイベントは、上気道の部分的又は完全な閉塞が原因で発生することがあるため、吸気フロー制限が発生する。治療しないまま放置されると、これら2つの肺状態の共存により、心疾患、脳卒中、2型糖尿病、及び罹患率と死亡率の潜在的な増加による合併症の可能性がさらに増大する。マスクを用いて施される持続的気道陽圧(CPAP)療法を使用して、気道の閉塞性の向上による吸気フロー制限の発生を補正できる。CPAPのレベルは、上気道開通性を維持し、閉塞性イベントを緩和するように滴定できる。最適なレベルのCPAPを適用することで、被検者の呼気フロー制限を効果的に無効にし、呼吸仕事量を減らし、OSAイベント及び/又は上気道閉塞の発生を治療することが実証されている。本明細書で使用される場合、COPDとは、慢性閉塞性肺疾患の1つ以上の状態の発生を指す。
【0016】
[18] 呼気フロー制限(EFL)は、COPD並びにOSAイベント及び/又は上気道閉塞の発生だけでなく、肥満低換気症候群(OHS)にも重複パターンを示す場合がある。システム100は、被検者に送達される気道内圧のプリファランスを決定することで、人工呼吸器の圧力を滴定できる。いくつかの実施形態では、被検者の上気道閉塞を治療するために必要な圧力が、被検者の呼気フロー制限を治療するために必要な圧力よりも優先される。
【0017】
[19] いくつかの実施形態では、システム100は、圧力発生器20、1つ以上のセンサ40、被検者インターフェース90、1つ以上の物理的コンピュータプロセッサ60、ユーザインターフェース120、電子ストレージ130、及び/又は他の構成要素のうちの1つ以上を含む。
【0018】
[20] いくつかの実施形態では、圧力発生器20には、例えばポンプ、ブロワ、ピストン、又はベローズなど、被検者への送達のために受け取ったガスの圧力を上げることができる任意のデバイスが含まれる。いくつかの実施形態では、圧力発生器20には、例えばバルブ及び/又は一連のバルブなど、ガスフローの圧力、流量、フロー方向、及び/又は他のパラメータを制御できる1つ以上のデバイスが含まれる。本開示では、例えば単独で又は圧力発生器20に含まれる及び/又は外部の1つ以上のバルブ及び/又は他のデバイスと組み合わせてブロアの動作速度を制御して、被検者70に提供されるガスの圧力及び/又はフローを制御することが企図されている。いくつかの実施形態では、圧力発生器20は、周囲の雰囲気などのガス源からガスのフローを受け取り、被検者70の気道への送達のためにガスの圧力を上げる。本開示では、周囲の雰囲気空気以外のガスが、被検者への送達のためにシステム100の中に導入されることが企図されている。
【0019】
[21] いくつかの実施形態では、圧力発生器20は、被検者70の気道への送達のためのガスの加圧フローを発生させる。圧力発生器20は、治療目的及び/又は他の目的で、ガスフローの1つ以上のパラメータ(例えば流量、圧力、ボリューム、温度、ガス組成など)を制御する。非限定的な例として、圧力発生器20は、ガスフローの流量及び/又は圧力を制御して、被検者70の気道に圧力サポートを提供する。
【0020】
[22] センサ40は、システム100内のガスの1つ以上のパラメータに関連する情報を伝達する出力信号を生成する。システム100内のガスの1つ以上のパラメータは、呼吸可能なガスの加圧フローに関連するガスパラメータ、被検者70の呼吸に関連する呼吸パラメータ、被検者70の生理学的パラメータ、及び/又は他のパラメータを含み得る。呼吸可能なガスの加圧フローの1つ以上のガスパラメータは、例えば流量、ボリューム、圧力、湿度、温度、加速度、速度、及び/又は他のガスパラメータのうちの1つ以上を含み得る。被検者70の呼吸に関連する呼吸パラメータは、1回換気量、タイミング(例えば吸入の開始及び/又は終了、呼気の開始及び/又は終了など)、呼吸速度、(例えば吸入、呼気、呼吸サイクルなどの)持続時間、呼吸数、及び/又は他の呼吸パラメータのうちの1つ以上を含み得る。生理学的パラメータには、オキシメトリパラメータ、脈拍、心拍数、体温、血圧、及び/又は他の生理学的パラメータが含まれ得る。
【0021】
[23] センサ40は、このようなパラメータを(例えば被検者インターフェース90内のガスフローとの流体連通を介して)直接測定する1つ以上のセンサを含み得る。センサ40は、間接的に1つ以上のパラメータに関連する出力信号を生成する1つ以上のセンサを含んでいてもよい。例えばセンサ40は、圧力発生器20の動作パラメータに基づいて出力(例えばモータ電流、電圧、回転速度、及び/又は他の動作パラメータからの被検者のフロー及び/又は圧力推定値)を生成する1つ以上のセンサ及び/又は他のセンサを含み得る。いくつかの実施形態では、センサ40には、流量センサ、位置センサ、ボリュームセンサ、圧力センサ、湿度センサ、温度センサ、モーションセンサ、加速度センサ、オキシメトリセンサ、音声センサ、ビデオセンサ、フォトセンサ、及び/又は他のセンサのうちの1つ以上が含まれ得る。センサ40は、例えばコンジット50内(又はそれと連通している)、圧力発生器20内、被検者インターフェース90内(又はそれと連通している)、被検者70上の様々な場所又は他の場所など、複数の場所に配設されたセンサを含み得る。
【0022】
[24] 被検者インターフェース90は、呼吸可能なガスの加圧フローを被検者70の気道に伝達する。したがって、いくつかの実施形態では、被検者インターフェース90は、コンジット50、インターフェースアプライアンス80、及び/又は他の構成要素を含む。いくつかの実施形態では、コンジット50は、ガスの加圧フローをインターフェースアプライアンス80に伝達する。インターフェースアプライアンス80は、ガスフローを被検者70の気道に送達する。いくつかの実施形態では、インターフェースアプライアンス80は、被検者70によって非侵襲的に係合される。非侵襲的係合は、被検者70の気道の1つ以上の外口(例えば鼻孔や口)に取り外し可能に係合して、被検者70とインターフェースアプライアンス80との間でガスをやり取りすることを含む。いくつかの実施形態では、インターフェースアプライアンス80は、コンジット50に取り外し可能に結合されている。インターフェースアプライアンス80は、クリーニング及び/又は他の目的のために取り外されてもよい。いくつかの実施形態では、コンジット50は、被検者70の口によって係合されるマウスピースとして構成されてもよい。
【0023】
[25] いくつかの実施形態では、他のインターフェースアプライアンスが、インターフェースアプライアンス80として構成されてもよい。インターフェースアプライアンス80のいくつかの例としては、例えば鼻カニューレ、鼻マスク、鼻/口マスク、フルフェイスマスク、トータルフェイスマスク、又はガスフローを被検者の気道に伝達する他のインターフェースアプライアンスが挙げられる。本開示は、これらの例に限定されず、任意のインターフェースアプライアンスを使用する、被検者へのガスフローの送達を企図している。例えば、気管内チューブ、気管切開チューブ、喉頭マスクエアウェイ、及び/又は他の侵襲的インターフェースアプライアンスが挙げられる。
【0024】
[26] プロセッサ60は、システム100内の情報処理能力を提供する。したがって、プロセッサ60には、1つ以上のデジタルプロセッサ、1つ以上のアナログプロセッサ、情報を処理するために設計された1つ以上のデジタル回路、情報を処理するために設計された1つ以上のアナログ回路、ステートマシン、及び/又は電子的に情報を処理するための他のメカニズムが含まれ得る。いくつかの実施形態では、プロセッサは、センサ(40)及び/又は圧力発生器(20)に動作可能に接続されている。
図1では、プロセッサ60を単一のエンティティとして示しているが、これは例示のみを目的としている。いくつかの実装形態では、プロセッサ60には、複数の処理ユニットが含まれている。これらの処理ユニットは、同じデバイス(例えば圧力発生器20)内に物理的に設置されていてもよい。又は、プロセッサ60は、連携して動作する複数のデバイスの処理機能を表していてもよい。
【0025】
[27]
図1に示すように、プロセッサ60は、1つ以上のコンピュータプログラム構成要素を実行する。1つ以上のコンピュータプログラム構成要素は、パラメータ構成要素62、検出構成要素63、療法決定構成要素64、比較構成要素66、優先決定構成要素68、制御構成要素69、及び/又は他の構成要素を含み得る。プロセッサ60は、構成要素62、63、64、66、68、及び69をソフトウェア、ハードウェア、ファームウェア、ソフトウェア、ハードウェア、及び/若しくはファームウェアの一部の組み合わせ、並びに/又はプロセッサ60の処理能力を設定するための他のメカニズムで実行し得る。
【0026】
[28] 構成要素62、63、64、66、68、及び69は、
図1では、単一の処理ユニット内に共同設置されているものとして示されているが、プロセッサ60が複数の処理ユニットを含む実装形態では、構成要素62、63、64、66、68、及び69のうちの1つ以上が、他の構成要素から離れた場所に設置されていてもよいことを理解されたい。以下で説明する様々な構成要素62、63、64、66、68、及び69によって提供される機能の説明は、例示のためのものであり、構成要素62、63、64、66、68、及び69のいずれも、説明されている機能よりも多い又は少ない機能を提供できるため、限定を意図していない。例えば、構成要素62、63、64、66、68、及び69のうちの1つ以上を除外しても、その機能の一部又はすべてを他の構成要素62、63、64、66、68、及び/又は69が提供してもよい。別の例として、プロセッサ60は、構成要素62、64、66、68、及び/又は69のいずれかに帰属する機能の一部又はすべてを行う1つ以上の追加の構成要素を実行してもよい。
【0027】
[29] パラメータ構成要素62は、システム100内の1つ以上のパラメータを受信、決定、及び/又は取得する。例えば、1つ以上のパラメータは、センサ40からの出力信号に基づいて決定される。いくつかの実施形態では、パラメータ構成要素62は、システム100内のガスの1つ以上のパラメータ(例えば、呼吸可能なガスの加圧フローに関連するガスパラメータ)、被検者70の呼吸に関連する1つ以上の呼吸パラメータ、被検者70の1つ以上の生理学的パラメータ、及び/又は他のパラメータを決定する。呼吸可能なガスの加圧フローの1つ以上のガスパラメータは、例えば、流量、ボリューム、圧力、湿度、温度、加速度、速度、及び/又は他のガスパラメータのうちの1つ以上を含む。被検者70の呼吸に関連する呼吸パラメータは、1回換気量、タイミング(例えば吸入の開始及び/又は終了、呼気の開始及び/又は終了など)、呼吸速度、(例えば吸入、呼気、呼吸サイクルなどの)持続時間、呼吸数、AHIインデックス(無呼吸及び呼吸低下インデックス=睡眠セッションごとに計数される無呼吸及び呼吸低下の数を睡眠セッションごとの時間数で割ったもの)、及び/又は他の呼吸パラメータを含み得る。生理学的パラメータには、オキシメトリパラメータ、脈拍、心拍数、体温、血圧、動き、及び/又は他の生理学的パラメータが含まれ得る。
【0028】
[30] 検出構成要素63は、被検者の1つ以上の呼吸状態の存在を検出する。いくつかの実施形態では、検出構成要素63は、パラメータ構成要素62、又はシステム100の1つ以上の構成要素から受信した情報に基づいて、1つ以上の呼吸状態を検出する。いくつかの実施形態では、検出構成要素63は、1つ以上の呼吸障害を検出し、システム100の内部又は外部にある他の構成要素から、1つ以上の他の呼吸障害の存在に関する情報を受信する。例えば、リモートデータベース、別の医療機器、又はユーザ(例えば患者、医療従事者、ユーザ)から受信する。いくつかの実施形態では、検出構成要素63によって検出された1つ以上の呼吸状態は、同時、連続、又は非同期である。
【0029】
[31] いくつかの実施形態では、呼吸状態は、被検者の呼吸の状態を示す。例えば、呼吸状態は、被検者の呼吸の状態が正常であることを示す。例えば、1つ以上の呼吸パラメータが正常値(例えば健常者の値)の範囲内にある。いくつかの実施形態では、呼吸状態は異常の存在を示す。例えば、1つ以上の呼吸パラメータが正常値の範囲外にあるときである。いくつかの実施形態では、検出構成要素63によって検出された1つ以上の呼吸状態は、1つ以上の呼吸障害の存在を示す。例えば、1つ以上の検出された状態は、上気道閉塞、下気道閉塞、気道の制限、吸気フロー制限の発生(IFL)、呼気フロー制限(EFL)、及び/又は他の障害を示す。
【0030】
[32] 閉塞性睡眠時無呼吸(OSA)イベントは、被検者が呼吸を試み続けているにもかかわらず、被検者が睡眠中に空気フローの低下又は完全な停止を経験する状態である。いびきとは、睡眠時の呼吸中の、呼吸構造の振動と、その結果もたらされる、空気の動きが妨げられることによる音のことである。一部の場合では音は小さいが、ほとんどの場合、音は大きくて不快である。睡眠中のいびきは、閉塞性睡眠時無呼吸(OSA)イベントの兆候、すなわち、最初のアラームであり得る。これらのイベントは、睡眠中に筋肉が弛緩して、喉の背部にある軟組織が虚脱し、上気道を閉塞するときに発生する。これは、呼吸中の部分的な減少(呼吸低下として知られる)及び完全な休止(無呼吸として知られる)につながる。無呼吸イベントは、睡眠中の少なくとも10秒間の空気フローの停止として定義される。呼吸低下は、ベースラインと比較して胸腹部の動き又は空気フローが少なくとも30%減少し、酸素飽和度が少なくとも4%低下する、少なくとも10秒間持続する異常な呼吸イベントとして定義される。ほとんどの無呼吸イベントは、10~30秒間持続するが、一部のイベントは1分以上に及ぶ場合がある。これは、血液酸素飽和度の急激な低下につながり、重度のケースでは酸素レベルが40%以上低下する可能性がある。
【0031】
[33] いくつかの実施形態では、検出構成要素63は、被検者の上気道の部分的又は完全な閉塞に基づいて、OSAイベント(及び/又は吸気フロー制限の発生)を検出する。いくつかの実施形態では、睡眠中の上気道の測定可能な虚脱による気道の吸気抵抗の増加に基づいて、OSAイベント(及び/又は吸気フロー制限の発生)が検出される。例えば、被検者の気道虚脱又は上気道閉塞は、気道の吸気抵抗の増加によって決定される。いくつかの実施形態では、強制オシレーション法(FOT)を使用して、OSAイベント(及び/又は吸気フロー制限の発生)を検出する。FOTは、気道構造を定量的に評価するための方法(人工呼吸器システム100で実施できる)である。いくつかの実施形態では、FOTは、良好な耐容性を示し、従来の人工呼吸器睡眠セットアップと容易に併用できる。FOTは、フロー信号の小さな振幅振動の位相シフトを圧力信号の振動と比較することによって機能する。例えば、健康な閉塞していない肺では、これら2つの信号は、同時にセンサに到着する。しかしながら、肺閉塞があるときや肺の慣性特性に変化があるときには、これら2つの信号間の到着時間にオフセットが生じる。これらの小さな時間と共に変動する変化に対する機械的反応によって、気道インピーダンスを推定できる。インピーダンスは、抵抗及びリアクタンスの2つの成分にさらに分解できる。上気道閉塞がある被検者など、気道の制限がある被検者では、抵抗成分が優位になる。いくつかの実施形態では、インピーダンス測定値は、吸気相及び呼気相にさらに分解できる。FOTでは上気道インピーダンスを解析できるため、閉塞性睡眠時無呼吸が検出できる。
【0032】
[34] OSAイベントの検出には、他の手法を使用することもできる。例えば、いくつかの実施形態では、検出構成要素63は、(例えば被検者が寝ている間に)被検者のいびき音の解析及び/又はモニタリングに基づいて、OSAイベントを検出する。いくつかの実施形態では、検出構成要素63は、被検者が覚醒している間にOSAイベント(及び/又は吸気フロー制限の発生)を検出する。例えば、覚醒状態時の上気道の代償性筋活性化(首、舌、及び/又は喉の筋肉)を測定することによって検出する。この筋活性化は、顎から舌まで走っている人体の筋肉であるオトガイ舌筋(GG)に特に見られるように思われる。GGは舌を突出させる(すなわち、突き出す)ための主要な筋肉である。このような代償性筋活性化の増加は、筋肉の強直活性化の増加と吸気時の負圧発生の増加とを組み合わせたことによる産物であると思われる。いくつかの実施形態では、検出構成要素63は、上気道筋の磁気刺激の存在下及び不在下での被検者のコンプライアンスを測定する。磁気刺激は、夜間の無呼吸イベントが筋緊張の低下に関連している個人の上気道を安定させる筋肉を刺激するために使用される。センサ40は、被検者の生理学的特徴をモニタし、コイルは、上気道に関連付けられた適切な筋肉を刺激するために通電され、電源は、コイルに通電するための電力を提供し、制御システムは、センサ40の出力に基づいてコイルへの電力の印加を制御する。
【0033】
[35] 他の実施形態では、筋(例えばGG)活性化の増加による振戦を、覚醒状態時に音響咽頭計測法を使用して測定して、OSAイベントに関連付けられた特徴変調(例えば30~40Hz、又は他の周波数範囲)を識別して、被検者がOSAイベントを経験しているかどうかを決定する。当技術分野で知られているように、音響咽頭計測法は、被検者が呼吸している間に、声門の先の口腔の寸法を決定する動的検査である。特に、音響咽頭計測法では、音響反応手法を使用して、吸気時に被検者の上気道の少なくとも一部分の断面積を測定する。
【0034】
[36] いくつかの実施形態では、検出構成要素63は、呼気中の下気道の虚脱を検出する。呼気中の下気道の虚脱は、呼気フロー制限(EFL)である及び/又はその原因となる場合がある。これは、肺内外圧の増加が、COPDの特徴である、多くの気管支枝の「チョークポイント」による呼気フローの対応する増加をもたらさない状態である。COPDは、肺機能に影響を与えるが、肺外にも著しい作用を及ぼす進行性かつ不可逆性の疾患である。より重度のCOPD被検者は、急性増悪(AE-COPD:症状の突然の悪化)が頻繁に発生し、入院が必要となる場合がある。十分なリードタイムで急性増悪を予測するなど、自宅での被検者の管理を改善することで、入院、罹患率、死亡率を低下させ、生活の質を向上させることができる。呼気中の下気道の虚脱により、肺の肺胞領域にCO2を含む肺ガスが閉じ込められ、ガス交換不良や血液中のCO2の蓄積が生じることがある。EFLに加えて、COPDは、咳モニタリング、血液酸素化測定、アンケート、及び/又は他の手法を使用して検出できる。
【0035】
[37] いくつかの実施形態では、出力信号、パラメータ構成要素62で決定されたパラメータ、及び/又は他の情報に基づいて、EFLを検出できる。例えば、EFLは、(例えばセンサ40に含まれる)パルスオキシメータからの出力信号、筋電図、圧力センサ、フローセンサ、強制オシレーション法、及び/又は他の検出手法に基づいて検出される。いくつかの実施形態では、強制オシレーション法(FOT)を使用してEFLを検出できる。上記で説明したように、FOTは、フロー信号の小さな振幅振動の位相シフトを圧力信号の振動と比較することによって機能する。肺閉塞があるときや肺の慣性特性に変化があるときには、これら2つの信号間の到着時間にオフセットが生じる。これらの小さな時間と共に変動する変化に対する機械的反応によって、気道インピーダンスを推定できる。インピーダンスは、抵抗及びリアクタンスの2つの成分に数学的にさらに分解できる。呼気リアクタンス成分は、被検者の呼気フロー制限(EFL)の程度と相関することが示されている。
【0036】
[38] 療法決定構成要素64は、呼吸障害の検出に応答して、1つ以上の呼吸障害を治療するための1つ以上の療法パラメータを決定する。いくつかの実施形態では、療法決定構成要素64は、ユーザ及び/又はシステム100の1つ以上の構成要素からのリクエストに応答して、1つ以上の障害のための療法パラメータを決定する。1つ以上の療法パラメータには、血圧、フロー、ボリューム、及び/又は他のパラメータが含まれ得る。例えば、いくつかの実施形態では、決定構成要素64は、OSAイベントの存在の検出に応答して、OSAイベント(及び/又は吸気フロー制限の発生)を治療するための1つ以上の療法パラメータを決定する。いくつかの実施形態では、決定構成要素64は、EFLの検出に応答して、被検者の検出されたEFLを治療するための1つ以上のEFL療法パラメータを決定する。いくつかの実施形態では、OSAイベントのための1つ以上の療法パラメータは、OSAイベントを治療するための圧力(POSA)を含み、EFLのための1つ以上の療法パラメータは、EFLを治療するための圧力(PEFL)を含む。いくつかの実施形態では、療法決定要素64は、AHI(無呼吸・呼吸低下指数(1時間あたりの無呼吸及び呼吸低下の数)を下げる。例えば、OSAイベントをキャプチャすることにより、AHIを計算し、次に、人工呼吸器の圧力を変更して「現在の(Running)AHI」スコアを下げる。
【0037】
[39] いくつかの実施形態では、比較構成要素66は、1つ以上の疾患についての1つ以上の療法パラメータ(例えば、OSAイベント療法パラメータとEFL療法パラメータとの間、及び/又は他の疾患)を比較する。例えば、比較構成要素66は、POSAとPEFLとを比較する。いくつかの実施形態では、比較構成要素66は、他の療法パラメータを比較する。いくつかの実施形態では、比較構成要素66は、システム100の内部又は外部にある他の構成要素から受信した他のパラメータを比較する。いくつかの実施形態では、比較ステップは、システム100の他の構成要素(例えば以下に説明する優先構成要素68、療法決定構成要素、又は他の構成要素)を用いて行ってもよい。
【0038】
[40] 優先構成要素68は、1つ以上の疾患について優先治療を決定する。いくつかの実施形態では、優先治療の決定は、比較構成要素66による比較に基づいている。いくつかの実施形態では、優先構成要素68は、(気道抵抗を示す)インピーダンスの実成分の吸気相の値か、又は(呼気フロー制限を示す)被検者の気道インピーダンスの虚数成分、すなわち、リアクタンス成分の呼気相の値のいずれかに基づいて、被検者に送達される気道内圧のプリファランスを決定する。いくつかの実施形態では、気道の吸気抵抗の増加によって、被検者の気道虚脱又は上気道閉塞が決定され、呼気リアクタンスの減少(マイナス)値によって、被検者の呼気フロー制限が決定される。いくつかの実施形態では、優先構成要素68は、患者の上気道閉塞を治療するために必要な圧力を、患者の呼気フロー制限を治療するために必要な圧力よりも優先し、それに応じて人工呼吸器が圧力設定を調整する。これにより、下気道の呼気フロー制限よりも上気道閉塞を治療することが優先される。重大な医学的影響(例えば心不全のリスクの増大、また、一般的にOSAイベントが治療されない被検者は、罹患リスク及び死亡リスクが大幅に高い)により、被検者のOSAイベントを治療することが臨床的により重要であるため、この考え方は有益である。上気道の開通性、又は吸気フロー制限の発生の減少若しくは除去は、OSAイベントが管理されなければ、呼気フロー制限の管理がほぼ不可能になるため、より優先され得る。さらに、被検者のOSAイベントの治療に必要な治療的圧力レベルでは、被検者の大半がEFLにも恩恵を受ける可能性が高い。
【0039】
[41] 次の表は、(COPDに関連する)EFL及び/又はOSAイベントの検出に基づく療法決定の例を示している。
【表1】
例えば、優先構成要素68は、EFLの存在(OSAイベントの有無にかかわらず)、OSAイベントの存在(EFLの有無にかかわらず)、又はEFLとOSAイベントとの同時の存在の検出に応答して、被検者に送達される呼吸可能なガスの圧力を上げる決定をする。優先構成要素68は、EFL及び/又はOSAイベントを検出しないことに応答して、被検者に送達される呼吸可能なガスの圧力を下げる決定をしてもよい。
【0040】
[42] いくつかの実施形態では、優先構成要素68は、2つの圧力のうちの高い方を優先する。しかしながら、これは、閉塞を除去するために必要な閉塞性圧力が、呼気フロー制限を低減又は除去するために必要な圧力よりも大きい場合、患者を過度に膨張させる可能性があるか、又は呼気圧力がより高いと見なされる場合は、閉塞性障害が十分に治療されない可能性がある。いくつかの実施形態では、被検者のEFLを解決するために必要な圧力が、被検者のOSAイベントを治療するために決定された圧力よりも高いと人工呼吸器が決定する場合、人工呼吸器から送達される圧力は、2つの決定された圧力間の差と、呼気フロー制限された呼吸の割合とを考慮し、それに応じて圧力を設定する人工呼吸器内のCOPD-OSA重複ルールの独自のセットに基づいて、決定されたOSAイベント圧力よりも0.1cmH2O、0.2cmH2O、又は0.3cmH2Oなど、最大2cmH2Oだけ、正にオフセットされる。
【0041】
[43] 制御構成要素69は、圧力発生器20を制御して、1つ以上の療法レジームに従ってガスフローを生成する。いくつかの実施形態では、制御構成要素69は、圧力発生器20を制御して、優先構成要素68によって決定された優先治療を実施する。制御構成要素69は、センサ40からの出力信号、パラメータ構成要素62からの情報、比較構成要素66による比較、優先構成要素68によって決定された優先、及び/又は他の情報に基づいて、圧力発生器20を制御できる。いくつかの実施形態では、制御構成要素69は、ユーザの情報(又は入力)に基づいて圧力発生器20を制御する。
【0042】
[44]
図3は、システム100によって実施される治療のアルゴリズムの例300を示している。この例では、検出構成要素63(上記で説明したものであり、ここでは図示せず)が、吸気及び呼気フロー制限の発生の存在を決定する(例えば呼吸ごと又は呼吸数)(302)。決定(302)に応答して、療法決定構成要素64(上記で説明したものであり、ここでは図示せず)が、上部閉塞を治療するための療法パラメータを決定し(304)、呼気フロー制限を治療するための療法パラメータを決定する(306)。いくつかの実施形態では、療法パラメータ304及び/又は306は、強制オシレーション法(FOT)を使用して決定される。いくつかの実施形態では、上記で説明したように、療法パラメータを決定するための他の手法を使用してもよい。いくつかの実施形態では、療法パラメータ304は、OSAイベントを治療するための圧力(POSA)を含み、療法パラメータ306は、COPDに関連するEFLを治療するための圧力(PEFL)を含む。
【0043】
[45] いくつかの実施形態では、1つ以上の療法パラメータ304が1つ以上の療法パラメータ306よりも大きい(例えばPOSA>PEFL)こと(308)に応答して、制御構成要素69(上記で説明したものであり、ここでは図示せず)は、人工呼吸器圧力を、POSA+オフセット圧力に設定する(312)。例えば、決定されたPOSAよりも0.1cmH2O、0.2cmH2O、又は0.3cmH2Oなど、最大2cmH2Oだけ、正にオフセットされる。1つ以上の療法パラメータ306が1つ以上の療法パラメータ304よりも大きいか又はそれと等しい(例えばPEFL≧POSA)こと(309)に応答して、制御構成要素69は、人工呼吸器圧力をPEFLに設定する(312)。1つ以上の療法パラメータ304が1つ以上の療法パラメータ306よりも大きくないことに応答して、また、1つ以上の療法パラメータ306が1つ以上の療法パラメータ304よりも大きくない又はそれと等しくないことに応答して、制御構成要素69は、人工呼吸器圧力をデフォルト圧力に設定する(例えばユーザがデフォルト圧力を設定できる)(314)。
【0044】
[46] ユーザインターフェース120は、システム100と被検者70及び/又は他のユーザとの間のインターフェースを提供する。このインターフェースを介して、被検者70及び/又は他のユーザがシステム100と情報を送受信できる。他のユーザには、例えば介護者、医師、及び/又は他のユーザが含まれる。これにより、データ、キュー、結果、及び/又は指示、並びに他の任意の通信可能なアイテム(総称して「情報」と呼ぶ)を、ユーザ(例えば被検者70)と、圧力発生器20、プロセッサ60、及び/又はシステム100の他の構成要素のうちの1つ以上と間で通信できるようになる。例えば、ユーザは、ユーザインターフェース120を使用して、被検者70に対して実施される1つ以上の療法レジーム及び1つ以上の療法セットポイントを指定できる。例えば、ユーザは、インターフェース120を使用して、陽圧支援療法のベース呼気圧レベル及びベース吸気圧レベルを含む療法セットポイントを定義できる。制御構成要素69は、ユーザがユーザインターフェースに行った1つ以上の入力に基づいて、被検者に実施される療法レジームをカスタマイズできる。別の例として、治療的圧力、被検者70の呼吸数、及び/又は他の情報を、ユーザインターフェース120を介してユーザ(例えば被検者70)に表示できる。ユーザインターフェース120に含めるのに適したインターフェースデバイスの例としては、キーパッド、ボタン、スイッチ、キーボード、ノブ、レバー、ディスプレイ画面、タッチスクリーン、スピーカ、マイク、インジケータライト、可聴アラーム、プリンタ、触覚フィードバックデバイス、及び/又は他のインターフェースデバイスが挙げられる。一実施形態では、ユーザインターフェース120は、複数の別個のインターフェースを含む。
【0045】
[47] また、配線接続又はワイヤレスのいずれかの他の通信手法も、本開示では、ユーザインターフェース120として企図されていることを理解されたい。例えば、本開示では、ユーザインターフェース120は、電子ストレージ130によって提供されるリムーバブルストレージインターフェースと統合され得ることが企図されている。この例では、リムーバブルストレージ(例えばスマートカード、フラッシュドライブ、リムーバブルディスクなど)から、ユーザがシステム100の実装をカスタマイズできるようにする情報がシステム100にロードされる。システム100でユーザインターフェース120として使用できる他の例示的な入力デバイス及び手法には、RS-232ポート、RFリンク、IRリンク、モデム(電話、ケーブルなど)が含まれるが、これらに限定されない。つまり、本開示では、システム100と情報をやり取りするためのあらゆる手法が、ユーザインターフェース120として企図されている。
【0046】
[48] いくつかの実施形態では、電子ストレージ130は、情報を電子的に保存する電子ストレージ媒体を含む。電子ストレージ130の電子ストレージ媒体は、システム100と統合されて提供されるシステムストレージ(すなわち、実質的に非リムーバブル)及び/又は例えばポート(例えばUSBポート、firewireポートなど)若しくはドライブ(例えばディスクドライブなど)を介してシステム100に取り外し可能に接続可能であるリムーバブルストレージの一方又は両方を含み得る。電子ストレージ130は、光学的に読み取り可能なストレージ媒体(例えば光学ディスクなど)、磁気的に読み取り可能なストレージ媒体(例えば磁気テープ、磁気ハードドライブ、フロッピー(登録商標)ドライブなど)、電荷ベースのストレージ媒体(例えばEEPROM(登録商標)、RAMなど)、ソリッドステートストレージ媒体(例えばフラッシュドライブなど)、及び/又は他の電子的に読み取り可能なストレージ媒体のうちの1つ以上を含み得る。電子ストレージ130には、ソフトウェアアルゴリズム、プロセッサ60によって決定された情報、ユーザインターフェース120経由で受信した情報、及び/又はシステム100が正常に機能することを可能にする他の情報が保存され得る。電子ストレージ130は、(全体的又は部分的に)システム100内の独立した構成要素であってもよい。又は、電子ストレージ130を(全体的又は部分的に)システム100の1つ以上の他の構成要素(例えばユーザインターフェース120、プロセッサ60など)と統合して提供することもできる。
【0047】
[49] プロセッサ60によって決定された情報、及び/又は電子ストレージ130によって保存された情報には、被検者70の呼吸、コンプライアンス、使用頻度、及び/又は他の情報に関連する情報が含まれ得る。電子ストレージ130に保存されている情報は、別のコンピュータに(有線又はワイヤレスで)接続したり、他の方法で他のコンピュータに接続したりすることで、ユーザインターフェース120を介して見ることができる。例えば、療法設定の調整、医師による医学的判断、及び/又は他の用途に、電子ストレージ130に保存されている情報を使用できる。いくつかの実施形態では、システム100は、ワイヤレス送信器(図示せず)を含み、プロセッサ60によって決定される情報、電子ストレージ130によって保存される情報、及び/又は他の情報を、例えばワイヤレスネットワーク経由で介護者に伝達できる。非限定的な例として、介護者が、使用情報、被検者ステータス、及び/又は他の情報を受信し、システム100によって実施された療法をリモートで追跡することが可能になる。
【0048】
[50]
図4は、人工呼吸器システムを用いて、同時慢性閉塞性肺疾患(COPD)及び閉塞性睡眠時無呼吸イベント(OSA)重複症候群を検出及び治療するための方法400を示している。呼吸システムは、圧力発生器、1つ以上のセンサ、1つ以上の物理的コンピュータプロセッサ、及び/又は他の構成要素を含む。以下に提示する方法400の操作は、例示を目的としている。いくつかの実施形態では、方法400は、説明されていない1つ以上の追加操作を用いるか、及び/又は説明されている操作のうちの1つ以上を用いずに達成できる。さらに、
図4に示され、以下に説明される方法400の操作の順序は、限定を意図したものではない。
【0049】
[51] いくつかの実施形態では、方法400は、1つ以上の処理デバイス(例えばデジタルプロセッサ、アナログプロセッサ、情報を処理するために設計されたデジタル回路、情報を処理するために設計されたアナログ回路、ステートマシン、及び/又は電子的に情報を処理するための他のメカニズム)に実装できる。1つ以上の処理デバイスには、電子ストレージ媒体に電子的に保存された命令に応答して、方法400の操作の一部又は全部を実行する1つ以上のデバイスが含まれ得る。1つ以上の処理デバイスには、方法400の操作のうちの1つ以上を実行するように特別に設計された、ハードウェア、ファームウェア、及び/又はソフトウェアによって構成された1つ以上のデバイスが含まれ得る。
【0050】
[52] 操作402において、被検者の気道に送達するための呼吸可能なガスの加圧フローが生成される。いくつかの実施形態では、呼吸可能なガスの加圧フローは、(
図1及び2に示され、本明細書に説明される)圧力発生器20と同様及び/又は同じ圧力発生器によって生成される。
【0051】
[53] 操作404において、呼吸可能なガスの1つ以上のパラメータに関連する情報を伝達する出力信号が生成される。いくつかの実施形態では、(
図1及び2に示され、本明細書に説明される)センサ40と同じ又は同様の1つ以上のセンサによって、操作404が行われる。
【0052】
[54] 操作406において、閉塞性睡眠時無呼吸OSAイベント及び/又は呼気フロー制限EFLの存在が検出される。いくつかの実施形態では、(
図1及び2に示され、本明細書に説明される)プロセッサ60と同じ又は同様の物理的コンピュータプロセッサによって、操作406が行われる。
【0053】
[55] 操作408において、被検者で検出された閉塞性睡眠時無呼吸イベント(及び/又は吸気フロー制限の発生)を治療するための1つ以上のOSAイベント療法パラメータが決定される。いくつかの実施形態では、(
図1及び2に示され、本明細書に説明される)プロセッサ60と同じ又は同様の物理的コンピュータプロセッサによって、操作408が行われる。
【0054】
[56] 操作410において、被検者で検出されたEFLを治療するための1つ以上のEFL療法パラメータが決定される。いくつかの実施形態では、(
図1及び2に示され、本明細書に説明される)プロセッサ60と同じ又は同様の物理的コンピュータプロセッサによって、操作410が行われる。
【0055】
[57] 操作412において、被検者に実施する優先治療が決定される。いくつかの実施形態では、1つ以上のOSAイベント療法パラメータとEFL療法パラメータとの比較に基づいて優先治療が決定される。いくつかの実施形態では、(
図1及び2に示され、本明細書に説明される)プロセッサ60と同じ又は同様の物理コンピュータプロセッサによって、操作412が行われる。
【0056】
[58] 操作414において、呼吸可能なガスの加圧フロー量の生成を制御して、優先治療が実施される。いくつかの実施形態では、(
図1及び2に示され、本明細書に説明される)プロセッサ60と同じ又は同様の物理的コンピュータプロセッサによって操作408が行われる。
【0057】
[59] 特許請求の範囲では、括弧内の任意の参照符号は、特許請求の範囲を限定するものと解釈されるべきではない。「有する」又は「含む」という語は、請求項に列挙されている要素又はステップ以外の要素又はステップの存在を除外するものではない。いくつかの手段を列挙するデバイス請求項において、これらの手段のうちのいくつかは、まったく同一のハードウェアアイテムによって具体化されてもよい。単数形の要素は、当該要素が複数存在することを除外するものではない。いくつかの手段を列挙する任意のデバイス請求項において、これらの手段のうちのいくつかは、まったく同一のハードウェアアイテムによって具体化されてもよい。特定の要素が相互に異なる従属請求項に記載されているという単なる事実は、これらの要素の組み合わせが有利に使用できないことを意味するものではない。
【0058】
[60] 上記の説明は、現在最も実用的で好ましい実施形態と考えられているものに基づく例示のための詳細を提供するが、このような詳細は、その目的のみを対象としており、本開示は明示的に開示された実施形態に限定されず、反対に、添付の特許請求の範囲の趣旨及び範囲内にある修正配置及び同等配置を対象とすることを意図していることを理解されたい。例えば、本開示では、可能な限り、任意の実施形態の1つ以上の特徴を任意の他の実施形態の1つ以上の特徴と組み合わせることができることが企図されていることを理解されたい。
【国際調査報告】