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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-11-30
(54)【発明の名称】柔軟なシースボディ
(51)【国際特許分類】
   A61M 25/06 20060101AFI20221122BHJP
   A61M 60/13 20210101ALI20221122BHJP
   A61M 60/216 20210101ALI20221122BHJP
【FI】
A61M25/06 550
A61M60/13
A61M60/216
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022520036
(86)(22)【出願日】2020-09-28
(85)【翻訳文提出日】2022-04-15
(86)【国際出願番号】 US2020053035
(87)【国際公開番号】W WO2021067175
(87)【国際公開日】2021-04-08
(31)【優先権主張番号】62/907,927
(32)【優先日】2019-09-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】510121444
【氏名又は名称】アビオメド インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100102978
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 初志
(74)【代理人】
【識別番号】100102118
【弁理士】
【氏名又は名称】春名 雅夫
(74)【代理人】
【識別番号】100160923
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 裕孝
(74)【代理人】
【識別番号】100119507
【弁理士】
【氏名又は名称】刑部 俊
(74)【代理人】
【識別番号】100142929
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 隆一
(74)【代理人】
【識別番号】100148699
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 利光
(74)【代理人】
【識別番号】100128048
【弁理士】
【氏名又は名称】新見 浩一
(74)【代理人】
【識別番号】100129506
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 智彦
(74)【代理人】
【識別番号】100205707
【弁理士】
【氏名又は名称】小寺 秀紀
(74)【代理人】
【識別番号】100114340
【弁理士】
【氏名又は名称】大関 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100121072
【弁理士】
【氏名又は名称】川本 和弥
(72)【発明者】
【氏名】コークチ クリストファー ネイソン
【テーマコード(参考)】
4C077
4C267
【Fターム(参考)】
4C077AA30
4C077DD08
4C077DD21
4C077EE01
4C077JJ03
4C077KK07
4C077KK21
4C267AA05
4C267AA15
4C267CC08
4C267EE03
4C267GG05
4C267GG07
4C267HH30
(57)【要約】
血液ポンプアセンブリは、近位端および遠位端を備えたイントロデューサシース(100)と;イントロデューサシース内に延在するポンプボディ(120)と;ポンプボディとインターフェースしかつイントロデューサシースを通じて近位方向に延在するカテーテル(121)とを含む。イントロデューサシースは、静置状態において、カテーテルおよび医療デバイスを包含するようサイズ決定された長円形断面を形成する。ポンプボディがイントロデューサシース内にある時の拘束状態において、イントロデューサシースの断面は円形である。イントロデューサシースの柔軟性は、より大きい医療デバイスがイントロデューサシースに通されることを可能にし、なお一方で、ポンプがガイドされて通った後に他のデバイスをイントロデューサシースを通じて挿入することも可能にする。イントロデューサシースの長円形断面の外周はイントロデューサシースの円形断面の外周に等しい。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一開口部を有する近位端と;
第二開口部を有する遠位端と;
該第一開口部および該第二開口部の間に延在する管腔を形成するシースと
を具備し、
該第一開口部は、静置状態における第一断面形状および拘束状態における第二断面形状を有するように構成されており;かつ
該第一断面形状の円周が該第二断面形状の円周と同じである、
イントロデューサシース。
【請求項2】
第一断面形状が長円形である、請求項1記載のイントロデューサシース。
【請求項3】
第二断面形状が円形である、請求項1または2のいずれか一項記載のイントロデューサシース。
【請求項4】
デバイスが第一開口部に通されて管腔に入る時に第二断面形状を有するように該第一開口部が構成されている、請求項1~3のいずれか一項記載のイントロデューサシース。
【請求項5】
前記デバイスが管腔に通された後に第二断面形状から第一断面形状に戻るように第一開口部が構成されている、請求項4記載のイントロデューサシース。
【請求項6】
第一断面形状における第一開口部の高さおよび幅が前記デバイスのサイズに依存する、請求項5記載のイントロデューサシース。
【請求項7】
第一断面形状における第一開口部の高さおよび幅が、3 mmのカテーテルと8 Frのシースとを収容するように構成されている、請求項6記載のイントロデューサシース。
【請求項8】
第一断面形状における第一開口部の高さが約4 mmであり、かつ該第一断面形状における該第一開口部の幅が約6.25 mmである、請求項7記載のイントロデューサシース。
【請求項9】
第一断面形状における第一開口部の断面積が、第二断面形状における該第一開口部の断面積より小さくなるように構成されている、請求項1~8のいずれか一項記載のイントロデューサシース。
【請求項10】
第一断面形状における第一開口部の高さおよび幅が、動脈切開部のサイズにマッチするように構成されている、請求項1~5のいずれか一項記載のイントロデューサシース。
【請求項11】
第一断面形状における第一開口部の寸法が前記イントロデューサシースの長さに沿って一定である、請求項1~10のいずれか一項記載のイントロデューサシース。
【請求項12】
第一開口部の外周が、第一断面形状および第二断面形状の間で一定であるように構成されている、請求項1~11のいずれか一項記載のイントロデューサシース。
【請求項13】
第一開口部が第二断面形状において約5 mmの内径を有する、請求項1~12のいずれか一項記載のイントロデューサシース。
【請求項14】
管腔が、第二断面形状における第一開口部の内径に等しい内径を有するように構成されている、請求項1~12のいずれか一項記載のイントロデューサシース。
【請求項15】
第一開口部が第二断面形状にある時に14 Frの外径を有するように構成されている、請求項1~14のいずれか一項記載のイントロデューサシース。
【請求項16】
前記イントロデューサシースの外面が、近位端から遠位端まで滑らかであるように構成されている、請求項1~15のいずれか一項記載のイントロデューサシース。
【請求項17】
70A~40Dの材料剛性を有するように構成されている、請求項1~16のいずれか一項記載のイントロデューサシース。
【請求項18】
10 MPa~1000 MPaの弾性率を有するように構成されている、請求項1~17のいずれか一項記載のイントロデューサシース。
【請求項19】
熱可塑性ポリウレタン、ポリエーテルブロックアミドプラスチック(PEBA)、または熱可塑性エラストマーのうち1つを含む、請求項1~18のいずれか一項記載のイントロデューサシース。
【請求項20】
近位端が、イントロデューサハブに連結されるように構成されている、請求項1~19のいずれか一項記載のイントロデューサシース。
【請求項21】
前記デバイスが、バルーン、ステント、人工弁、第二カテーテル、ガイド、またはアテレクトミー用ツールのうち1つである、請求項1~20のいずれか一項記載のイントロデューサシース。
【請求項22】
近位端および遠位端を有するイントロデューサシースと;
該イントロデューサシース内に延在するように構成されているポンプボディと;
該ポンプボディとインターフェースするように、かつ該イントロデューサシースを通じて近位方向に延在するように構成されているカテーテルと
を具備し、
該イントロデューサシースの断面が、該カテーテルおよび医療デバイスを包含するようにサイズ決定された長円形断面を形成する、
血液ポンプアセンブリ。
【請求項23】
シュラウド内部に配置されたローターと、モーターとを、ポンプボディが含み、該モーターが前記カテーテルに連結されている、請求項22記載の血液ポンプアセンブリ。
【請求項24】
前記イントロデューサシースの断面が、ポンプボディが該イントロデューサシース内にある時に該イントロデューサシースが円形であるように構成されている、請求項22または23のいずれか一項記載の血液ポンプアセンブリ。
【請求項25】
前記イントロデューサシースの断面が、ポンプボディが該イントロデューサシースの遠位端の遠位側でありかつ前記カテーテルが該ポンプボディから該イントロデューサシースの近位端まで延在している時に該イントロデューサシースが円形断面から長円形断面に戻るように構成されている、請求項24記載の血液ポンプアセンブリ。
【請求項26】
イントロデューサシースが自由状態において長円形断面を有する、請求項24または25のいずれか一項記載の血液ポンプアセンブリ。
【請求項27】
イントロデューサシースが拘束状態において円形断面を有する、請求項24~26のいずれか一項記載の血液ポンプアセンブリ。
【請求項28】
イントロデューサシースの外周が、長円形断面および円形断面の間で一定であるように構成されている、請求項24~27のいずれか一項記載の血液ポンプアセンブリ。
【請求項29】
イントロデューサシースの長円形断面が第一の断面積を有し、該イントロデューサシースの円形断面が第二の断面積を有し、かつ、該第二の断面積が該第一の断面積より大きい、請求項24~28のいずれか一項記載の血液ポンプアセンブリ。
【請求項30】
イントロデューサシースの長円形断面の第一の断面積が、3 mmのカテーテルと8 Frのイントロデューサシースとを収容するように構成されている、請求項29記載の血液ポンプアセンブリ。
【請求項31】
イントロデューサシースの長円形断面が約4 mmの高さおよび約6.25 mmの幅を有する、請求項28~30のいずれか一項記載の血液ポンプアセンブリ。
【請求項32】
イントロデューサシースの長円形断面の高さおよび幅が医療デバイスのサイズに依存する、請求項24~29のいずれか一項記載の血液ポンプアセンブリ。
【請求項33】
イントロデューサシースの長円形断面の高さおよび幅が、動脈切開部のサイズにマッチするように構成されている、請求項24~29のいずれか一項記載の血液ポンプアセンブリ。
【請求項34】
イントロデューサシースの長円形断面の高さおよび幅が、該イントロデューサシースの近位端から遠位端まで一定である、請求項24~29のいずれか一項記載の血液ポンプアセンブリ。
【請求項35】
イントロデューサシースが14 Frのイントロデューサシースである、請求項22~34のいずれか一項記載の血液ポンプアセンブリ。
【請求項36】
イントロデューサシースの円形断面が5 mmの直径を有する、請求項24~35のいずれか一項記載の血液ポンプアセンブリ。
【請求項37】
イントロデューサシースの円形断面が、該イントロデューサシースの近位端から遠位端まで一定の直径を有する、請求項24~36のいずれか一項記載の血液ポンプアセンブリ。
【請求項38】
イントロデューサシースの外面が、該イントロデューサシースの近位端から遠位端まで滑らかであるように構成されている、請求項22~37のいずれか一項記載の血液ポンプアセンブリ。
【請求項39】
イントロデューサシースが70A~40Dの材料剛性を有するように構成されている、請求項22~38のいずれか一項記載の血液ポンプアセンブリ。
【請求項40】
イントロデューサシースが10 MPa~1000 MPaの弾性率を有するように構成されている、請求項22~39のいずれか一項記載の血液ポンプアセンブリ。
【請求項41】
イントロデューサシースが、熱可塑性ポリウレタン、ポリエーテルブロックアミドプラスチック(PEBA)、または熱可塑性エラストマーのうち1つを含む、請求項22~30のいずれか一項記載の血液ポンプアセンブリ。
【請求項42】
イントロデューサシースの近位端に連結されたイントロデューサハブをさらに具備する、請求項22~41のいずれか一項記載の血液ポンプアセンブリ。
【請求項43】
イントロデューサハブが、1つより多いイントロデューサポートを具備する、請求項42記載の血液ポンプアセンブリ。
【請求項44】
イントロデューサハブが弁を具備する、請求項42または43のいずれか一項記載の血液ポンプアセンブリ。
【請求項45】
医療デバイスがバルーン、ステント、人工弁、第二カテーテル、ガイド、またはアテレクトミー用ツールである、請求項22~44のいずれか一項記載の血液ポンプアセンブリ。
【請求項46】
以下の段階を含む、医療デバイスを患者の脈管構造内に導入するための方法:
イントロデューサシースの遠位端を該患者の脈管内に挿入する段階であって、該イントロデューサシースの近位端は該脈管から出て延在しており、該イントロデューサシースの断面は静置状態において長円形断面を有する、段階;
遠位医療デバイスと近位カテーテルとを具備する第一医療デバイスを該イントロデューサシースの該近位端内に導入する段階;
該医療デバイスの該近位カテーテルが該イントロデューサシースを通じかつ該イントロデューサシースの該近位端から出て延在するように、該第一医療デバイスをガイドして該イントロデューサシースに通しそして該イントロデューサシースの該遠位端から出す段階;
第二医療デバイスを該イントロデューサシースの該近位端内に導入する段階;および
該第一医療デバイスの該近位カテーテルが該イントロデューサシースに入ったままである間に、該第二医療デバイスをガイドして該イントロデューサシースに通す段階。
【請求項47】
第一医療デバイスがイントロデューサシース内を通り過ぎている時に該イントロデューサシースの断面が円形断面を形成する、請求項46記載の方法。
【請求項48】
前記医療デバイスの一部分を封入している、イントロデューサシースに沿った軸方向位置にて、該イントロデューサシースの円形断面が形成される、請求項47記載の方法。
【請求項49】
イントロデューサシースの円形断面が、静置状態における該イントロデューサシースの長円形断面の円周に等しい円周を有する、請求項47または48のいずれか一項記載の方法。
【請求項50】
イントロデューサシースの円形断面が、静置状態における該イントロデューサシースの長円形断面の断面積より大きい断面積を有する、請求項47~49のいずれか一項記載の方法。
【請求項51】
イントロデューサシースの円形断面が、近位端から遠位端までの該イントロデューサシースの長さに沿って形成される、請求項47~50のいずれか一項記載の方法。
【請求項52】
第一医療デバイスがガイドされてイントロデューサシースの遠位端から出た後に、該イントロデューサシースの断面が長円形断面を形成する、請求項47~51のいずれか一項記載の方法。
【請求項53】
第一医療デバイスが血液ポンプである、請求項46~52のいずれか一項記載の方法。
【請求項54】
血液ポンプが、シュラウド内部に配置されたローターと、近位カテーテルに連結されたモーターとを含む、請求項53記載の方法。
【請求項55】
第二医療デバイスが、バルーン、ステント、人工弁、第二カテーテル、ガイド、またはアテレクトミー用ツールである、請求項46~54のいずれか一項記載の方法。
【請求項56】
患者の脈管構造内における第一医療デバイスを用いた療法を提供する段階
をさらに含む、請求項46~55のいずれか一項記載の方法。
【請求項57】
第一医療デバイスの近位カテーテルを通じて該第一医療デバイスに電気信号を提供する段階
をさらに含む、請求項46~56のいずれか一項記載の方法。
【請求項58】
患者の脈管構造内における第二医療デバイスを用いた療法を提供する段階
をさらに含む、請求項46~57のいずれか一項記載の方法。
【請求項59】
動脈切開部を脈管に作成する段階であって、該動脈切開部のサイズがイントロデューサシースの寸法にマッチしている、段階;および
該動脈切開部を通じて患者の該脈管にアクセスする段階
をさらに含む、請求項46~58のいずれか一項記載の方法。
【請求項60】
脈管が大腿動脈である、請求項59記載の方法。
【請求項61】
脈管が橈骨動脈である、請求項59記載の方法。
【請求項62】
第二脈管において第二動脈切開部を作成する段階;および
該第二動脈切開部を通じてシース、カテーテル、または医療デバイスを導入する段階
をさらに含む、請求項59記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、参照により本明細書に組み入れられる、2019年9月30日に提出された米国特許仮出願第62/907,927号による優先権の恩典を主張する。
【背景技術】
【0002】
背景
血液ポンプは、心血管疾患を患う患者を支持および処置するために他の医療デバイスとの組み合わせで用いられることが多い。医師は、手技中に心臓支持を提供するために血液ポンプを利用しながら高リスク経皮的冠動脈インターベンション(HRPCI)を行うことがある。そうした手技に必要とされる血液ポンプおよび他のデバイスを挿入するには、典型的に、動脈系内に至る2つないし3つの別個のアクセス位置が必要となる。脈管構造内へのアクセス位置が追加されるごとに、アクセスポイントを準備するためのより多くの時間と、追加的なイントロデューサ、閉塞器、および他のデバイスとが必要になり、手術部位における合併症につながる可能性もある。心血管疾患を患う一部の患者では、脈管系の追加的な問題により、動脈または静脈のアクセスに利用できるアクセスポイントが1つしかない可能性もある。利用可能なアクセスポイントがないことは、医師が脈管構造へのアクセスを得ることを妨げて、患者の治療機会の減少という結果をもたらす可能性がある。
【0003】
一部の医師は、患者の脈管構造にアクセスするために単一のアクセスポイントを用い、そしてそのアクセスポイントに留置された単一のイントロデューサシース、ハブ、および弁を通じて複数のデバイスを挿入することによって、これらの問題に対処しようと試みている。単一のハブおよびイントロデューサシースを用いて複数のデバイスを留置することは、第二デバイスの導入および操作中に第一デバイスの位置を維持する能力を損なう可能性があるとともに、導入弁からの止血不良をきたす可能性もある。より大きいデバイスはイントロデューサシースおよび弁を通り抜けられない可能性があり、そして、より大きいデバイスが留置された後は、より小さいデバイスが、そのより大きいデバイスのカテーテルと並んでイントロデューサシースを通り抜けることができない可能性がある。大きいまたは複数のデバイスを、単一の従来式イントロデューサシースを通じて導入しようとすると、挿入中にイントロデューサシースおよび弁の破損を引き起こす可能性がある。
【0004】
そうした課題があるため、一部の医師は、脈管構造への複数のアクセス部位を準備することが困難であることから、脈管インターベンションを行う時に血液ポンプのような心血管支持デバイスを用いないことを選択する可能性がある。そうしたケースにおいて、医師は、ステント、バルーン、人工弁、追加的カテーテル、ガイド、またはアテレクトミー用ツールの導入といったPCIを続行して、血液ポンプによる同時的な心臓支持を提供しない可能性がある。その意思決定は、結局のところ、インターベンション中に必要な機械的循環支持を受けるという患者の能力を損なってしまう可能性がある。
【0005】
したがって、心血管インターベンション中に複数の医療デバイスのための脈管アクセスを提供する新しい技術に対するニーズが存在する。
【発明の概要】
【0006】
概要:
本明細書に説明する方法、システム、およびデバイスは、柔軟なイントロデューサシースを通じてさまざまなサイズの医療デバイスを導入することを可能にする。本発明のイントロデューサシースの柔軟性は、ポンプのようにより大きい医療デバイスをイントロデューサシースを通じて導入することを可能にしながら、なお一方で、ポンプがガイドされて通った後にカテーテルおよび他のより小さいデバイスをイントロデューサシースを通じて挿入するための空間を維持する。
【0007】
1つの局面において、血液ポンプアセンブリは、近位端および遠位端を備えたイントロデューサシースと;イントロデューサシース内に延在するポンプボディと;ポンプボディとインターフェースしかつイントロデューサシースを通じて近位方向に延在するカテーテルとを含む。イントロデューサシースは、カテーテルおよび医療デバイスを包含するようにサイズ決定された長円形断面を形成する。
【0008】
別の局面において、イントロデューサシースは、第一開口部を備えた近位端と;第二開口部を備えた遠位端と;第一開口部および第二開口部の間に延在する管腔を形成するシースとを含む。例えば、シースは患者の動脈内または静脈内に挿入できるようにサイズ決定されてもよい。第一開口部は、静置状態における第一断面形状と、拘束状態における第二断面形状とを有する。第一断面形状の円周は第二断面形状の円周とほぼ同じである。第一断面形状は長円形であってもよく、そして第二断面形状はより円形であってもよい。静置状態における第一開口部の長円形の断面形状は、複数のデバイスおよびカテーテルを同時にイントロデューサを通じて挿入することを可能にし、一方、拘束状態における円形の断面形状は、より大きい直径のデバイスを必要時にイントロデューサシースを通じて挿入することを可能にする。いくつかの実施形態において、イントロデューサシースは柔軟であり、そして、より大きい直径のデバイスがイントロデューサシースの管腔を通じて挿入された時に円形または不規則形状を受動的に形成する。例えば、イントロデューサシースは、イントロデューサシースが円形の断面形状を有する拘束状態にある時に血液ポンプが管腔を通ることができるようにサイズ決定されてもよく、そして、イントロデューサシースが長円形の断面形状をした静置状態にある時に、第二医療デバイス(カテーテル、ステント、または他のデバイスなど)が血液ポンプのカテーテルとともに管腔に通されてもよい。
【0009】
別の局面において、患者の脈管構造内への挿入中に2つまたはそれ以上の異なる医療デバイスがシースを通ることを許容するため形状を変化させるように構成されているイントロデューサシースによって、患者の脈管構造内に医療デバイスを導入するための方法。例えば、シースは、血液ポンプがシース管腔を通りそして患者の脈管内に着座でき、かつ、ステント、弁、または他のインターベンション用デバイスもまたシース管腔を通ることができるように、サイズ決定および構成されてもよい。それにより、そうした複数デバイスのアセンブリが、単一のアクセス部位内に導入された単一のシースを通じてポジショニングされてもよい。いくつかの実施形態において、本発明の方法は、イントロデューサシースの近位端を脈管から外に出て延在する状態に残しながら、イントロデューサシースの遠位端を患者の脈管内に挿入する段階を伴う。イントロデューサシースは、複数の医療デバイスがそれを通過することを許容するような構造をした断面を有する。いくつかの適合形態において、シースは静置状態および伸展状態を有する。シースは静置状態において長円形の断面形状を取るように構成されてもよい;ここで長円形は、2つの医療デバイスが(ポンプおよびステントなどがそれぞれ送達カテーテルを介して)シースを同時にまたは直列で通ることを許容する。本発明の方法は、第一医療デバイスをイントロデューサシースの近位端内に導入する段階(例えば第一医療デバイスが血液ポンプなどの遠位医療デバイスと近位カテーテルとを含んでもよい);および、医療デバイスの近位カテーテルがイントロデューサシースを通じイントロデューサシースの近位端から出て延在するように、第一医療デバイス(例えば血液ポンプ)をガイドしてイントロデューサシースに通しそしてイントロデューサシースの遠位端から出す段階を含んでもよい。本発明の方法は、第二医療デバイス(ステント、弁、または他のデバイスなど)を(例えばカテーテルを介して)イントロデューサシースの近位端内に導入する段階;および、第一医療デバイスの近位カテーテルがイントロデューサシースに入ったままである間に、第二医療デバイスをガイドしてイントロデューサシースに通す段階を、さらに含む。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1Aは、静置状態にある柔軟なイントロデューサシースを示す。図1Bは、イントロデューサシース内への医療デバイスの挿入中に拘束状態にある柔軟なイントロデューサシースを示す。図1Cは、イントロデューサシース内への第二医療デバイスの挿入中に静置状態にある柔軟なイントロデューサシースを示す。
図2】静置状態にある柔軟なイントロデューサシースの断面を示す。
図3】拘束状態にある柔軟なイントロデューサシースの断面を示す。
図4】静置状態および拘束状態にあるイントロデューサシースの断面形状の比較を示す。
図5】静置状態および拘束状態にあるイントロデューサシース内に挿入されたデバイスサイズの比較を示す。
図6】柔軟なイントロデューサシースを用いて患者の脈管構造内に医療デバイスを導入するための方法を図示したフローチャートを示す。
【発明を実施するための形態】
【0011】
詳細な説明:
デバイスがシースに通される時に2つまたはそれ以上の断面形状の間で変化できる柔軟なイントロデューサシースは、ポンプのようなより大きい医療デバイスをイントロデューサシースを通じて導入することを可能にしながら、なお一方で、ポンプがガイドされて通った後にカテーテルおよび他のより小さいデバイスをイントロデューサシースを通じて挿入するための空間を維持する。
【0012】
単一のイントロデューサシースを通じて複数のデバイスを導入することを可能にすることにより、患者の脈管構造内への1つのアクセスポイントのみが必要となる。利用可能な動脈または静脈アクセスポイントを1つしか持たない患者が、同じアクセスポイントを通してPCIおよび心臓支持の両方を受けることができ、ゆえに医療アウトカムが向上する。加えて、単一のアクセスポイントは、1つの無菌野と1つのクロージャのみを必要とし、それは合併症をもたらす可能性がより低い。
【0013】
図1A~Cに、柔軟なイントロデューサシースが脈管構造内への複数デバイスの挿入を可能にする機構を図示する;図に示すようにイントロデューサシースは、デバイスが導入される前は静置状態にあり(図1A)、イントロデューサシースを通じて大きい医療デバイスが挿入されている間は拘束状態にあり(図1B)、そして、大きい医療デバイスがイントロデューサシースを通った後は静置状態に戻る(図1C)。
【0014】
まず、図1Aに、静置状態にある柔軟なイントロデューサシース100を示す。イントロデューサシース100は、近位端102と、第一開口部104と、シース106を通じて延在する管腔108を形成しているシース106とを有する。第一開口部は幅110および高さ112を有する。イントロデューサシース100の近位端102は切開部111にて患者の脈管114から出て延在する。イントロデューサシースの遠位端(図示せず)は脈管114内で延在しており、脈管114へのアクセスを提供する。
【0015】
第一開口部104は、幅110が高さ112より大きくなるように、静置状態において長円形の断面形状を有する。イントロデューサシース100の静置状態は拘束されておらず、そして、シース106に作用する力が存在していない時にイントロデューサシースがそれに戻る形状である。シース106は、近位端102から遠位端(図示せず)までのイントロデューサシース100の長さに沿って、長円形の断面形状を有する。シース106は、脈管114内への容易な導入を可能にするため、および、管腔108を通じて脈管114内に医療デバイスを導入することを促進するため、それぞれ、滑らかな外面と管腔108内の滑らかな内面とを有する。
【0016】
イントロデューサシース100は、材料の可撓性と柔軟性とを可能にする弾性率を有する材料から形成される。図2において説明するように、イントロデューサシース100は静置状態において長円形断面を有するが、より大きいデバイスが管腔108に通されることを可能にするために断面形状を変更することができる。イントロデューサシース100は10 MPa~1000 MPaの弾性率を有する材料から形成される;そして、熱可塑性ポリウレタン、ポリエーテルブロックアミドプラスチック(PEBA)、もしくは熱可塑性エラストマーのうちいずれか、または他の任意の好適な材料から形成されてもよい。いくつかの実施形態において、イントロデューサシースは、70A~40Dの硬さの目標材料剛性を有する材料から形成される。
【0017】
静置状態にあるイントロデューサシース100の長円形の断面形状は、6.25 mmの幅110および4 mm~4.2 mmの高さ112、または他の任意の好適な寸法を有してもよい。理想的には、静置状態にあるイントロデューサシース100の幅110および高さ112は、3 mmのカテーテルと10 Frの外径を有する8 Frのシースとがイントロデューサシース100内にフィットできるような幅および高さである。
【0018】
切開部111は、脈管の円周方向にアライメントするように配向された動脈切開部であってもよい。第一開口部104の長円形は脈管114における切開部111にマッチするように形状決定されてもよい。脈管114はその弾性によって特定の方向に延伸できるので、長円形の切開部111は円形または他の形状の切開部より結果の向上につながる可能性がある。長円形の切開部111はまた、手技が完了した後の閉鎖がより容易である可能性がある。加えて、イントロデューサシースの長円形断面は、追加的または異なる形状のデバイスの導入を従来のイントロデューサシースより可能にする可能性がある;従来のイントロデューサシースは典型的に、他の丸い形状のデバイスの導入に最も効果的である、完全に丸いチューブとして形成される。
【0019】
患者の脈管は動脈切開部を通じてアクセスされてもよい。いくつかの態様において、動脈切開部のサイズはイントロデューサシースの寸法にマッチする。いくつかの態様において脈管は大腿動脈である。いくつかの態様において脈管は橈骨動脈である。
【0020】
イントロデューサシース100の近位端102がハブ(図示せず)に連結されてもよい。ハブは、医療デバイスがガイドされてそれを通りイントロデューサシース100内に入ってもよい、1つまたは複数のアクセスポイントと1つまたは複数の弁とを含んでもよい。いくつかの実施形態において、ハブは、イントロデューサシース内に挿入されるべきすべての医療デバイスがガイドされて同じハブを通るように、イントロデューサシースに連結された単一のアクセスポイントを提供してもよい。他の実施形態において、ハブは、複数の医療デバイスを脈管内に導入するための複数のアクセスポイントを含んでもよい。複数のアクセスポイントを有するように設計されたハブとともにイントロデューサシース100を用いると、同じ弁またはハブを通じて医療デバイスが導入された時にそれらをずらしまたは動かしてしまうという懸念を伴わずに、脈管内で医療デバイスを個々に操作およびポジショニングすることができる。さらに、複数のデバイスへのアクセスを提供するように設計されたハブとともにイントロデューサシース100を用いると、脈管内への1つのアクセスポイントが必要とされるのみであり、かつ、ハブ、イントロデューサシース100、およびデバイスが導入中に損傷または破損する可能性が低いので、患者の安全性が向上する。シース106を通じて複数のデバイスを導入できるように設計されたイントロデューサシース100は、静脈または動脈のアクセスポイントの利用可能性を限定するような心血管疾患を患う患者を含めて、より広範囲の患者に用いることができる。
【0021】
図1Bに、イントロデューサシース100内への第一医療デバイス120の挿入中に拘束状態にある柔軟なイントロデューサシース100を示す。第一医療デバイス120が管腔108に通される時、イントロデューサシース100はより円形の形状を受動的に取る。イントロデューサシース100は拘束状態において約5 mmの直径を有する。いくつかの態様において、イントロデューサシースの円形断面は、医療デバイスの一部分を封入している、イントロデューサシースに沿った軸方向位置にて、形成される。
【0022】
静置状態におけるイントロデューサシース100の幅110および高さ112は、拘束状態において、図1Bに示す円形の拘束状態の半径105に向かって変化する;ただし、イントロデューサシース100が真に円形をしていなくてもよい。図1Bにおいて、便宜上、拘束状態は円形断面を有するものとして図示しているが、いくつかの実施形態において、拘束状態は、長円形ではあるが図1Aに示す静置状態の長円形とは寸法が異なる形状である。イントロデューサシース100は、管腔108を通じた第一医療デバイス120の通過によって受動的に操作されて拘束状態になり、そして、イントロデューサシース100の管腔108および開口部104の実際の形状は、管腔108を通る第一医療デバイス120の寸法によって決定される。イントロデューサシース100が最大拘束状態において真に円形断面をしている時に、5 mmの円形の医療デバイスがイントロデューサシース内にフィットできるよう、半径105は約5 mmである。いくつかの実施形態において、円形の半径105は4 mm、4.5 mm、5 mm、5.5 mm、6 mm、7 mm、または8 mmである。理想的には、イントロデューサシース100の半径105はサイズ14 Frの第一医療デバイスを収容できる。
【0023】
いくつかの実施形態において、第一医療デバイス120が血液ポンプ、大動脈弁置換デバイス、または血管内動脈瘤修復デバイスであってもよい。例えば、図1Bにおいて第一医療デバイス120は血液ポンプとして図示されている。血液ポンプは、カニューレと、血液をポンプ送りするため回転可能式に駆動されるインペラーと、カニューレの近位側に延在するカテーテル121とを有してもよい。カテーテルは血液ポンプを制御するための電線を含んでもよい。いくつかの態様において、血液ポンプは、シュラウド内部に配置されたローターと、カテーテルに連結されたモーターとを含む。いくつかの態様において、血液ポンプは、イントロデューサシースの近位端に連結されたイントロデューサハブをさらに具備する。いくつかの態様において、イントロデューサハブは、1つより多いイントロデューサポートを具備する。いくつかの態様において、イントロデューサハブは弁を具備する。
【0024】
図1Cに、イントロデューサシース100内への第二医療デバイス122の挿入中に静置状態にある柔軟なイントロデューサシース100を示す。第一医療デバイス120(図1Bに図示)がイントロデューサシース100を通った後、イントロデューサシース100は静置状態の長円形の断面形状に戻る。第一医療デバイス120のカテーテル121はイントロデューサシース100通じてなお延在しており、第一医療デバイス120をイントロデューサシース100の近位端102に接続している。第一医療デバイス120のカテーテル121は、第一医療デバイス120それ自体より小さい直径を有する。イントロデューサシース100は、静置状態にあり長円形の断面形状を有している間、イントロデューサシース100を通じて脈管114内に導入されるべき追加の第二医療デバイス122を第一医療デバイス120のカテーテル121の隣に収容できる。
【0025】
いくつかの態様において、イントロデューサシース100の断面は、ポンプボディがイントロデューサシース100の遠位端の遠位側でありそしてカテーテル121がポンプボディからイントロデューサシース100の近位端まで延在している時に、円形断面から長円形断面に戻るように構成されている。
【0026】
イントロデューサシース100は、イントロデューサシース100が静置状態にあってもまたは拘束状態にあっても、開口部104の外周が同じである。イントロデューサシース100は、長円形の静置状態において、拘束されたより円形の状態よりも小さい断面積を有する。静置状態にあるイントロデューサシース100は静的に長円形であり、そして、より大きい第一医療デバイス120の管腔108を通じた通過に対応するために、断面形状がより円形の断面形状に一時的に変化する。断面形状が変化可能であることにより、イントロデューサシース100は、形状の異なるシース開口部と、同じ外周を有するシースとを通じて、静的に丸いイントロデューサシースよりも大きいデバイスを収容できる。例えば、イントロデューサシース100が静置状態にある時に、PCIにおいて使用するためのシースを、イントロデューサシース100を通じて血液ポンプ用の9 Frのカテーテルの隣に挿入できるが、これら2つの医療デバイスは従来の剛性イントロデューサシースを一緒に通り抜けることはできない。静置状態におけるより小さい断面積は、脈管の断面に占める部分がより小さく、それはシースを通り越すフローをより多く提供して遠位の灌流を増大させるので、イントロデューサシース100を患者体内でより長い持続時間にわたって使用するうえで都合がよい。
【0027】
明瞭さのため図1A~1Cにはハブを示していないが、ハブに取り付けられたシースが円形または長円形の形状をしていてもよい。長円形断面の最小幅、または円形断面の直径は、理想的には直径3 mmのカテーテルまたは10 Frのシースを収容できる。いくつかの実施形態において、ハブは剛性であって柔軟なではなく、そして、ハブの形状の変化を伴わずにハブを通じてデバイスを収容しなければならない。ハブは、静置状態にあるシース、またはシースの拘束状態より、大きい断面積を有してもよい。シースは、取り付け部の遠位側に移行ゾーンがあり、かつ移行ゾーンの遠位側にシースの静置状態があることを伴って、ハブへの取り付けポイントにおいて円形またはより円形断面を有してもよい。いくつかの実施形態において、動脈切開との相互作用を回避するため、移行ゾーンは長さが2 cm未満である。
【0028】
図2に、静置状態にある柔軟なイントロデューサシース200の断面を示す。図1Aおよび1Cに関して上述したように、イントロデューサシース200は静置状態において長円形の断面形状を有する。イントロデューサシース200(例えば図1A~Cのイントロデューサシース100)は、近位端202と、第一開口部204と、シース206を通じて延在する管腔208を形成しているシース206とを有する。第一開口部204は幅210および高さ212を有する。
【0029】
静置状態において、イントロデューサシース200は第一開口部204における断面が長円形であり、かつ、シース206の長さに沿って断面形状を維持する。静置状態にある間、イントロデューサシース200の管腔208も同様に断面が長円形である。第一開口部204の幅210は高さ212より大きい。
【0030】
いくつかの実施形態において、第一開口部204は、6.25 mmの幅210および4 mm~4.2 mmの高さ212、または他の任意の好適な寸法を有する。理想的には、静置状態にあるイントロデューサシース200の第一開口部204の幅210および高さ212は、3 mmのカテーテルと10 Frの外径を有する8 Frのシースとがイントロデューサシース200内にフィットできるような幅および高さである。
【0031】
いくつかの実施形態において、シース206の第一開口部204と近位端202の一部分とは、静置状態にある間、断面が長円形であり、そして、イントロデューサシース200の長さの残りの部分は、形状が円形であるか、または異なる寸法をした長円形の断面形状を有する。イントロデューサシース200がキンクを生じることなく脈管構造内の自然な曲線に沿って曲がるよう、シース206は柔軟である。
【0032】
図3に、拘束状態にある柔軟なイントロデューサシース300の断面を示す。図1Bに関して上述したように、イントロデューサシース300は拘束状態において円形の断面形状を有するか、または静置状態にあるイントロデューサシースの断面よりも円形である断面形状を有する。イントロデューサシース300(例えば図1Bのイントロデューサシース100)は、近位端302と、第一開口部304と、シース306を通じて延在する管腔308を形成しているシース306とを有する。第一開口部は幅310および高さ312を有する。幅310および高さ312は、(例えば図2における)静置状態にあるイントロデューサシースの幅および高さとは異なるが、第一開口部304の外周は静置状態および拘束状態の両方において同じである。静置状態構成は、拘束状態にある時より小さい断面積を有する。
【0033】
拘束状態にあるイントロデューサシース300は、第一開口部304にて、そしてシース306の長さに沿って、断面形状が円形である。イントロデューサシース300は、医療デバイスを収容するために第一開口部304の断面形状が変化するよう、イントロデューサシース300の第一開口部304の幅310または高さ312より大きい寸法の断面を有する医療デバイスが通過することによって拘束されてもよい。イントロデューサシース300の柔軟な材料は、医療デバイスが管腔306を通ることを可能にするだけ充分にイントロデューサシースの断面形状が変化することを可能にする。
【0034】
いくつかの実施形態において、イントロデューサシース300は拘束状態において完全に円形の断面形状を有するわけではない。代わりに、イントロデューサシース300は引き続き断面形状が長円形であってもよい;ただし、長円形の寸法が静置状態の長円形から変更されてもよい。いくつかの実施形態において、イントロデューサシース300は、イントロデューサシース300を通っているデバイスの形状を模した複雑または不規則な形状を有する。いくつかの実施形態において、近位端302から遠位端(図示せず)までのシース306の全長は、一貫した断面形状を有する。他の実施形態において、医療デバイスが現在通っているイントロデューサシース300の一部分のみが、円形のまたは拘束された断面を有する。
【0035】
いくつかの実施形態において、イントロデューサシース300は、1つまたは複数の医療デバイスが管腔306を通過している間、その断面形状が変更される。医療デバイスは、血液ポンプ、大動脈弁置換デバイス、または血管内動脈瘤修復デバイスであってもよい。イントロデューサシース300は、医療デバイスがガイドされて管腔306を通って脈管内に入った後に、長円形断面の静置状態に戻る。
【0036】
図4に、静置状態403および拘束状態401におけるイントロデューサシース400の断面形状の比較を示す。静置状態403において、イントロデューサシース400は、幅407および高さ409を有する長円形として形状決定された断面を有する。拘束状態401において、イントロデューサシースは形状が円形でありかつ半径405を有する断面を有する。
【0037】
静置状態403において、イントロデューサシース400は約6.25 mmの幅407および約4 mmの高さ409を有する。いくつかの実施形態において、静置状態におけるイントロデューサシース400は、5.25 mm、5.5 mm、5.75 mm、6 mm、6.25 mm、6.5 mm、6.75 mm、7 mm、7.25 mm、7.5 mm、8 mm、9 mm、または他の任意の好適な幅である幅407を有する。いくつかの実施形態において、静置状態におけるイントロデューサシース400は、3 mm、3.5 mm、3.75 mm、4 mm、4.25 mm、4.5 mm、4.75 mm、5 mm、または他の任意の好適な高さである高さ412を有する。理想的には、静置状態にあるイントロデューサシース400の幅407および高さ409は、3 mmのカテーテルと10 Frの外径を有する8 Frのシースとがイントロデューサシース400内にフィットできるような幅および高さである。
【0038】
ガイドされてイントロデューサシース400内に入りこれを通る医療デバイスの寸法に対応するため、拘束状態401においてイントロデューサシース400の幅407が減少し、一方で高さ409が増大する。幅407および高さ409は、拘束状態における円形の半径405に近づいてもよい。円形の断面形状の半径405は約5 mmである。いくつかの実施形態において、円形の断面形状の半径は、4 mm、4.5 mm、5 mm、5.5 mm、6 mm、7 mm、または8 mmである。便宜上、図4に示すように、拘束状態401は円形であってもよいが、いくつかの実施形態において、拘束状態401は、長円形ではあるが静置状態の長円形とは寸法が異なる形状である。いくつかの実施形態において、拘束状態401は断面形状が複雑または不規則であり、そしてその形状は、イントロデューサシース400を通じて挿入されている医療デバイスの形状および寸法を反映していてもよい。理想的には、イントロデューサシース400の半径405はサイズ14 Frの医療デバイスを収容できる。
【0039】
静置状態403および拘束状態401においてイントロデューサシース400の開口部の断面外周は一定であるが、開口部を通過できる医療デバイスのサイズは開口部の寸法に応じてさまざまである。図5に、静置状態503(例えば図4における静置状態403)および拘束状態501(例えば図4における拘束状態401)においてイントロデューサシース500内に挿入されうるデバイスサイズの比較を示す。
【0040】
拘束状態501にあるイントロデューサシース500は、断面形状が円形であるか、または静置状態にある時よりも断面形状が円形であり、そして、より大きい医療デバイスを管腔に通すことができる。拘束状態501にあるイントロデューサシース500の管腔は、例えば半径R1の2つのデバイス(511および513)、または半径R3の、より大きい1つのデバイスなどを収容できるようにサイズ決定される。静置状態503にあるイントロデューサシース500は断面形状が長円形である。長円形のより長い幅は、静置状態503にあるイントロデューサシース500がさまざまなサイズの複数のデバイスを収容することを可能にする;例えば、静置状態503にあるイントロデューサシース500は、半径R1の第一デバイス515と、より大きい半径R3の第二デバイス517とを収容できる。静置状態503における管腔の断面積は、拘束状態501における断面積より小さい。
【0041】
より大きいデバイス(半径R3のデバイスなど)がイントロデューサシース500に通される時の、イントロデューサシース500の断面形状における変動が可能であるのは、イントロデューサシースの柔軟性による。静置状態503において、複数の医療デバイスがイントロデューサシース500を通じて挿入される時、他の医療デバイス(例えば第一医療デバイス515)がイントロデューサシースの管腔を通じて延在している間に、より大きい口径の医療デバイスをガイドしてイントロデューサシース500の管腔に通すことができる(例えば第二医療デバイス517)。
【0042】
1つの例において、血液ポンプがイントロデューサシース500の管腔を通じて脈管内に挿入される際に、イントロデューサシース500が円形断面の拘束状態501を取ってもよい。拘束状態501の円形の断面形状は、血液ポンプがイントロデューサシース500を通る際にその大きい直径に対応できる。例えば血液ポンプが半径R3を有してもよい。血液ポンプがイントロデューサシース500を通ったら、カテーテルは(例えば第一医療デバイス515として)イントロデューサシース500の管腔に入ったままであり、そしてイントロデューサシース500は静置状態503に戻る。次に、第二医療デバイス517が、カテーテル(第一医療デバイス515)と並んで、静置状態503にあるイントロデューサシース500に通されてもよい。第二医療デバイスは、バルーン、ステント、人工弁、第二カテーテル、ガイド、またはアテレクトミー用ツールであってもよい。第二医療デバイス517は、カテーテル(第一医療デバイス515)と並んで従来の剛性イントロデューサシースを通り抜けることはない。ガイドされて管腔を通る医療デバイスを収容するために断面形状を変化させることが可能であることにより、本発明のイントロデューサシースはより用途が多く、そして、心血管インターベンション用の患者の脈管構造へのアクセスを医師が安全に得るための機構を提供する。
【0043】
静置状態は長円形の断面形状を有するものとして本明細書に説明している一方で、拘束状態はより円形の断面形状をしたシースとして説明しているが、静置状態が円形断面を有して、より大口径の医療デバイスの通過を可能にしてもよく、そして、イントロデューサシースの拘束状態が、より小さい直径および寸法の複数デバイスを収容するため長円形の形状をしていてもよい、ということも考えられる。
【0044】
いくつかの態様において、患者の脈管構造内における第一医療デバイスを用いた療法が提供される。いくつかの態様において、第一医療デバイスの近位カテーテルを通じて第一医療デバイスに電気信号が提供される。いくつかの態様において、患者の脈管構造内における第二医療デバイスを用いた療法が提供される。
【0045】
図6に、柔軟なイントロデューサシースを用いて患者の脈管構造内に医療デバイスを導入するための方法を図示したフローチャート600を示す。段階602において、イントロデューサシース(例えば、図1A~Cにおけるイントロデューサシース100、図2におけるイントロデューサシース200、図3におけるイントロデューサシース300、図4におけるイントロデューサシース400、または図5におけるイントロデューサシース500)の遠位端が患者の脈管内に挿入される。イントロデューサシースに作用する力が存在していない時に、近位端から遠位端までのイントロデューサシースの長さに沿ってイントロデューサシースが長円形断面であるよう、イントロデューサシースは静置状態において長円形の断面形状を有する。いくつかの実施形態において、イントロデューサシースは、イントロデューサシースの近位端でのみ、またはイントロデューサシースのいくらかの部分にわたって、断面形状が長円形である。
【0046】
段階604において第一医療デバイスがイントロデューサシースの近位端内に導入され、第一医療デバイスがイントロデューサシース内を通る時にイントロデューサシースにおいて円形の断面形状が形成される。イントロデューサシースは、静置状態におけるイントロデューサシースの開口部の幅または高さなどの寸法より大きい医療デバイスがイントロデューサシースに導入された時に、受動的に円形の形状を取る、柔軟なシースとして形成される。イントロデューサシースの開口部は、長円形の静置状態において、拘束された円形状態と同じ外周を有するが、医療デバイスがイントロデューサシースを通ることを可能にするため寸法が変更される。イントロデューサシースの開口部は、拘束状態と比較して静置状態においてより小さい断面積を有する。段階606において、第一医療デバイスはガイドされてイントロデューサシースを通りそしてイントロデューサシースの遠位端から出る。第一医療デバイスは、第一医療デバイスのボディから近位方向に延在するカテーテルを有し、そしてその近位カテーテルは、イントロデューサシースの遠位端からイントロデューサシースの近位端までイントロデューサシースを通じて延在する。第一医療デバイスは、血液ポンプ、大動脈弁置換デバイス、または血管内動脈瘤修復デバイスであってもよい。
【0047】
段階608において、第二医療デバイスがイントロデューサシースの近位端内に導入される;イントロデューサシースは、第一医療デバイスがイントロデューサシースを通った後、静置状態における長円形の断面形状に戻っている。第二医療デバイスは、バルーン、ステント、人工弁、第二カテーテル、ガイド、またはアテレクトミー用ツールであってもよい。イントロデューサシースは、静置状態において第二医療デバイスと併せて第一医療デバイスの近位カテーテルも収容するようにサイズ決定される。段階610において第二医療デバイスがガイドされてイントロデューサシースを通り、一方で、第一医療デバイスの近位カテーテルはイントロデューサシースに入ったままである。
【0048】
より大きい医療デバイスがシースの管腔に通された時に、長円形の静置状態からより円形または完全に円形の断面形状へと、断面形状を受動的に変化させることができる柔軟なイントロデューサシースは、複数の医療デバイスが単一のイントロデューサシースに通ることを可能にして、複数アクセスポイントに対する必要性を減少させる。イントロデューサシースの柔軟な断面形状は、より大きい医療デバイスの通過をさらに可能にし、なお一方で、動脈切開に対するより良好な形状を提供しかつ心血管手技中に複数のより小さいデバイスがそれを通じて延在できる、静置状態の断面形状を維持する。
【0049】
断面形状を変化させることができる柔軟なイントロデューサシースを、複数の医療デバイスを導入するための複数のアクセスポイントを有するハブとともに使用することは、医師が、脈管における単一のアクセスポイントを通じてデバイスを挿入すること、ならびに他のデバイスの導入および操作中にデバイスの相対的位置を維持することを可能にして、患者の安全性および患者の効率的な処置を促進する。
【0050】
いくつかの態様において、第二の脈管において第二の動脈切開部が作られ、そしてその第二の動脈切開部を通じてシース、カテーテル、または医療デバイスが挿入される。
【0051】
以上は本開示の原理を例証したものにすぎず、本発明の装置は、限定ではなく例証の目的で提示される本説明の局面以外によっても実施されうる。理解されるべき点として、本明細書に開示する装置は、心臓ポンプの経皮的挿入における使用について示されているが、止血を必要とする他の用途における装置に適用されてもよい。
【0052】
当業者には、本開示の検討後にバリエーションおよび改修が考えられるであろう。本開示の諸特徴は、本明細書に説明する1つまたは複数の他の特徴との、任意の組み合わせおよび下位組み合わせ(複数の従属的な組み合わせおよび下位組み合わせを含む)において実施されてもよい。以上に説明または例証したさまざまな特徴は、そのコンポーネントも含めて、他のシステム内に組み合わせられまたは統合されてもよい。さらに、ある一定の特徴が省略されるかまたは実施されなくてもよい。
【0053】
改変、置換、および変更の例は当業者によって確認可能であり、かつ、本明細書に開示する情報の範囲から逸脱することなく行われうる。本明細書に挙げるすべての参照物は、その全内容が参照により組み入れられ、かつ本出願の一部をなす。
【0054】
例示的態様:
態様A:
A1:
近位端および遠位端を有するイントロデューサシースと;
該イントロデューサシース内に延在するように構成されているポンプボディと;
該ポンプボディとインターフェースするように、かつ該イントロデューサシースを通じて近位方向に延在するように構成されているカテーテルと
を具備し、
該イントロデューサシースが、該カテーテルおよび医療デバイスを包含するようにサイズ決定された長円形断面を形成する、
血液ポンプアセンブリ。
A2:
シュラウド内部に配置されたローターと、モーターとを、ポンプボディが含み、該モーターが前記カテーテルに連結されている、A1の血液ポンプアセンブリ。
A3:
前記イントロデューサシースの断面が、ポンプボディが該イントロデューサシース内にある時に該イントロデューサシースが円形であるように構成されている、A1~A2のいずれか一つの血液ポンプアセンブリ。
A4:
前記イントロデューサシースの断面が、ポンプボディが該イントロデューサシースの遠位端の遠位側でありかつ前記カテーテルが該ポンプボディから該イントロデューサシースの近位端まで延在している時に該イントロデューサシースが円形断面から長円形断面に戻るように構成されている、A1~A3のいずれか一つの血液ポンプアセンブリ。
A5:
イントロデューサシースが自由状態において長円形断面を有する、A3~A4のいずれか一つの血液ポンプアセンブリ。
A6:
イントロデューサシースが拘束状態において円形断面を有する、A2~A5のいずれか一つの血液ポンプアセンブリ。
A7:
イントロデューサシースの外周が、長円形断面および円形断面の間で一定であるように構成されている、A2~A6のいずれか一つの血液ポンプアセンブリ。
A8:
イントロデューサシースの長円形断面が第一の断面積を有し、かつ、該イントロデューサシースの円形断面が第二の断面積を有し、該第二の断面積が該第一の断面積より大きい、A2~A7のいずれか一つの血液ポンプアセンブリ。
A9:
イントロデューサシースの長円形断面の第一の断面積が、3 mmのカテーテルと8 Frのシースとを収容するように構成されている、A8の血液ポンプアセンブリ。
A10:
イントロデューサシースの長円形断面が約4 mmの高さおよび約6.25 mmの幅を有する、A7~A9のいずれか一つの血液ポンプアセンブリ。
A11:
イントロデューサシースの長円形断面の高さおよび幅が医療デバイスのサイズに依存する、A7~A10のいずれか一つの血液ポンプアセンブリ。
A12:
イントロデューサシースの長円形断面の高さおよび幅が、動脈切開部のサイズにマッチするように構成されている、A7~A11のいずれか一つの血液ポンプアセンブリ。
A13:
イントロデューサシースの長円形断面の高さおよび幅が、該イントロデューサシースの近位端から遠位端まで一定である、A7~A12のいずれか一つの血液ポンプアセンブリ。
A14:
イントロデューサシースが14 Frのイントロデューサシースである、A1~A13のいずれか一つの血液ポンプアセンブリ。
A15:
イントロデューサシースの円形断面が5 mmの直径を有する、A2~A14のいずれか一つの血液ポンプアセンブリ。
A16:
イントロデューサシースの円形断面が、該イントロデューサシースの近位端から遠位端まで一定の直径を有する、A2~A15のいずれか一つの血液ポンプアセンブリ。
A17:
イントロデューサシースの外面が、該イントロデューサシースの近位端から遠位端まで滑らかであるように構成されている、A1~A16のいずれか一つの血液ポンプアセンブリ。
A18:
イントロデューサシースが70A~40Dの材料剛性を有するように構成されている、A1~A17のいずれか一つの血液ポンプアセンブリ。
A19:
イントロデューサシースが10 MPa~1000 MPaの弾性率を有するように構成されている、A1~A18のいずれか一つの血液ポンプアセンブリ。
A20:
イントロデューサシースが、熱可塑性ポリウレタン、ポリエーテルブロックアミドプラスチック(PEBA)、または熱可塑性エラストマーのうち1つを含む、A1~A9のいずれか一つの血液ポンプアセンブリ。
A21:
イントロデューサシースの近位端に連結されたイントロデューサハブをさらに具備する、A1~A20のいずれか一つの血液ポンプアセンブリ。
A22:
イントロデューサハブが、1つより多いイントロデューサポートを具備する、A21の血液ポンプアセンブリ。
A23:
イントロデューサハブが弁を具備する、A21またはA22の血液ポンプアセンブリ。
A24:
医療デバイスがバルーン、ステント、人工弁、第二カテーテル、ガイド、またはアテレクトミー用ツールである、A1~A23のいずれか一つの血液ポンプアセンブリ。
態様B:
B1:
第一開口部を有する近位端と;
第二開口部を有する遠位端と;
該第一開口部および該第二開口部の間に延在する管腔を形成するシースと
を具備し、
該第一開口部は、静置状態における第一断面形状および拘束状態における第二断面形状を有するように構成されており;かつ
該第一断面形状の円周が該第二断面形状の円周と同じである、
イントロデューサシース。
B2:
第一断面形状が長円形である、B1のイントロデューサシース。
B3:
第二断面形状が円形である、B1またはB2のイントロデューサシース。
B4:
デバイスが第一開口部を通じて押されて管腔に入る時に第二断面形状を有するように該第一開口部が構成されている、B1~B3のいずれか一つのイントロデューサシース。
B5:
前記デバイスが管腔に通された後に第二断面形状から第一断面形状に戻るように第一開口部が構成されている、B4のイントロデューサシース。
B6:
第一断面形状における第一開口部の高さおよび幅が前記デバイスのサイズに依存する、B5のイントロデューサシース。
B7:
第一断面形状における第一開口部の高さおよび幅が、3 mmのカテーテルと8 Frのシースとを収容するように構成されている、B6のイントロデューサシース。
B8:
第一断面形状における第一開口部の高さが約4 mmであり、かつ該第一断面形状における該第一開口部の幅が約6.25 mmである、B7のイントロデューサシース。
B9:
第一断面形状における第一開口部の断面積が、第二断面形状における該第一開口部の断面積より小さくなるように構成されている、B1~B8のいずれか一つのイントロデューサシース。
B10:
第一断面形状における第一開口部の高さおよび幅が、動脈切開部のサイズにマッチするように構成されている、B1~B8のいずれか一つのイントロデューサシース。
B11:
第一断面形状における第一開口部の寸法が前記シースの長さに沿って一定である、B1~B10のいずれか一つのイントロデューサシース。
B12:
第一開口部の外周が、第一断面形状および第二断面形状の間で一定であるように構成されている、B1~B11のいずれか一つのイントロデューサシース。
B13:
第一開口部が第二断面形状において約5 mmの内径を有する、B1~B12のいずれか一つのイントロデューサシース。
B14:
管腔が、第二断面形状における第一開口部の内径に等しい内径を有するように構成されている、B13のイントロデューサシース。
B15:
第一開口部が第二断面形状にある時に14 Frの外径を有するように構成されている、B1~B14のいずれか一つのイントロデューサシース。
B16:
前記シースの外面が、近位端から遠位端まで滑らかであるように構成されている、B1~B15のいずれか一つのイントロデューサシース。
B17:
70A~40Dの材料剛性を有するように構成されている、B1~B16のいずれか一つのイントロデューサシース。
B18:
10 MPa~1000 MPaの弾性率を有するように構成されている、B1~B17のいずれか一つのイントロデューサシース。
B19:
熱可塑性ポリウレタン、ポリエーテルブロックアミドプラスチック(PEBA)、または熱可塑性エラストマーのうち1つを含む、B1~B18のいずれか一つのイントロデューサシース。
B20:
近位端が、イントロデューサハブに連結されるように構成されている、B1~B19のいずれか一つのイントロデューサシース。
B21:
前記デバイスが、バルーン、ステント、人工弁、第二カテーテル、ガイド、またはアテレクトミー用ツールのうち1つである、B1~B20のいずれか一つのイントロデューサシース。
態様C:
C1:
以下の段階を含む、医療デバイスを患者の脈管構造内に導入するための方法:
イントロデューサシースの遠位端を該患者の脈管内に挿入する段階であって、該イントロデューサシースの近位端は該脈管から出て延在しており、該イントロデューサシースは静置状態において長円形断面形状を有する、段階;
遠位医療デバイスと近位カテーテルとを具備する第一医療デバイスを該イントロデューサシースの該近位端内に導入する段階;
該医療デバイスの該近位カテーテルが該イントロデューサシースを通じかつ該イントロデューサシースの該近位端から出て延在するように、該第一医療デバイスをガイドして該イントロデューサシースに通しそして該イントロデューサシースの該遠位端から出す段階;
第二医療デバイスを該イントロデューサシースの該近位端内に導入する段階;および
該第一医療デバイスの該近位カテーテルが該イントロデューサシースに入ったままである間に、該第二医療デバイスをガイドして該イントロデューサシースに通す段階。
C2:
第一医療デバイスを導入する段階が、第一医療デバイスがイントロデューサシース内を通り過ぎている時に該イントロデューサシース内に円形断面形状を形成する、C1の方法。
C3:
前記円形断面が、前記医療デバイスの一部分を封入している、イントロデューサシースに沿った軸方向位置にて、該イントロデューサシース内に形成される、C2の方法。
C4:
イントロデューサシース内に形成された円形断面形状が、静置状態における該イントロデューサシースの長円形断面形状の円周に等しい円周を有する、C2またはC3の方法。
C5:
イントロデューサシース内に形成された円形断面形状が、静置状態における該イントロデューサシースの長円形断面形状の断面積より大きい断面積を有する、C2~C4のいずれか一つの方法。
C6:
円形断面が、近位端から遠位端までのイントロデューサシースの長さに沿って該イントロデューサシース内に形成される、C2~C5のいずれか一つの方法。
C7:
第一医療デバイスがガイドされてイントロデューサシースの遠位端から出た後に、該イントロデューサシースが長円形断面形状を形成する、C2~C6のいずれか一つの方法。
C8:
第一医療デバイスが血液ポンプである、C1~C7のいずれか一つの方法。
C9:
血液ポンプが、シュラウド内部に配置されたローターと、近位カテーテルに連結されたモーターとを含む、C8の方法。
C10:
第二医療デバイスが、バルーン、ステント、人工弁、第二カテーテル、ガイド、またはアテレクトミー用ツールである、C1~C9のいずれか一つの方法。
C11:
患者の脈管構造内における第一医療デバイスを用いた療法を提供する段階
をさらに含む、C1~C10のいずれか一つの方法。
C12:
第一医療デバイスの近位カテーテルを通じて該第一医療デバイスに電気信号を提供する段階
をさらに含む、C1~C11のいずれか一つの方法。
C13:
患者の脈管構造内における第二医療デバイスを用いた療法を提供する段階
をさらに含む、C1~C12のいずれか一つの方法。
C14:
動脈切開部を脈管に作成する段階であって、該動脈切開部のサイズがイントロデューサシースの寸法にマッチしている、段階;および
該動脈切開部を通じて患者の該脈管にアクセスする段階
をさらに含む、C1~C13のいずれか一つの方法。
C15:
動脈切開部を脈管に作成する段階であって、該動脈切開部のサイズがイントロデューサシースの寸法にマッチしている、段階
が、動脈切開部を大腿動脈に作成することをさらに含む、C14の方法。
C16:
動脈切開部を脈管に作成する段階であって、該動脈切開部のサイズがイントロデューサシースの寸法にマッチしている、段階
が、動脈切開部を橈骨動脈作成することをさらに含む、C14の方法。
C17:
第二脈管において第二動脈切開部を作成する段階;および
該第二動脈切開部を通じてシース、カテーテル、または医療デバイスを導入する段階
をさらに含む、C14の方法。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
【国際調査報告】