(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-11-30
(54)【発明の名称】神経再生治療を提供し、術後の慢性痛を軽減するためのシステムおよび方法
(51)【国際特許分類】
A61N 1/36 20060101AFI20221122BHJP
A61N 1/05 20060101ALI20221122BHJP
【FI】
A61N1/36
A61N1/05
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022520215
(86)(22)【出願日】2020-09-30
(85)【翻訳文提出日】2022-05-30
(86)【国際出願番号】 US2020053630
(87)【国際公開番号】W WO2021067498
(87)【国際公開日】2021-04-08
(32)【優先日】2019-10-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2020-06-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】520146271
【氏名又は名称】エピニューロン テクノロジーズ インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002860
【氏名又は名称】弁理士法人秀和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ウィランド,マイケル,パトリック
(72)【発明者】
【氏名】アギレ,セルジオ,デビッド
(72)【発明者】
【氏名】チャン,ケイトリン,ジャン,ウェイ
【テーマコード(参考)】
4C053
【Fターム(参考)】
4C053BB12
4C053JJ02
4C053JJ03
4C053JJ04
4C053JJ18
4C053JJ27
4C053JJ40
(57)【要約】
電気刺激を使用して損傷した末梢神経または他の組織を治療するためのシステム、装置、および方法が開示される。システムは、術中または周術期のいずれかの環境において使用することができ、パッチをリターンとして用いる複数の単極電極またはカフなどの複数の双極電極のいずれかの使用を取り入れることができる。システムは、所定の時間セットにわたって神経再生治療および疼痛管理治療をハンズフリーでもたらすことができる。さらに、整形可能なリードアセンブリに関するシステム、装置、および方法が開示される。そのようなリードアセンブリを、例えばリードアセンブリが対象者の身体構造内に少なくとも部分的に配置された後など、処置の前および/または最中に所望のやり方で整形されるように構成することができる。整形可能なリードアセンブリを、神経再生処置の最中に整形して、目的の神経に接触および/またはインターフェースさせることができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象者の身体構造へと少なくとも部分的に挿入されるように構成された電気リードアセンブリであって、
所望の処置を実行するために対象者の目的の組織に接触するように構成された少なくとも1つの電極と、
前記電気リードアセンブリの整形または再整形を容易にするための弾性変形性を備えるインサートと、
前記電気リードアセンブリに力が作用したときに形状の弾力的変化を被ることを可能にする弾性変形性を備える外側カバーと
を備えており、
前記電気リードアセンブリは、前記電気リードアセンブリの少なくとも一部分に沿って力またはモーメントを選択的に作用させることによって、対象者の身体構造への経皮的挿入の後に整形されるように構成されている、電気リードアセンブリ。
【請求項2】
前記外側カバーの遠位の態様が、前記外側カバーの近位の態様よりも低いデュロメータまたは硬度を備え、
前記外側カバーの前記遠位の態様のショアDデュロメータは、20D~50Dの間であり、
前記外側カバーの近位の態様のショアDデュロメータは、50D~80Dの間であり、
前記外側カバーの厚さは、100~400μmの間であり、
前記インサートは、焼きなましされた金属または合金を備え、
前記インサートの直径または他の断面寸法は、前記外側カバーの厚さの100%~500%である、請求項1に記載のリードアセンブリ。
【請求項3】
前記外側カバーのショアDデュロメータが、20D~80Dの間であり、
前記外側カバーの厚さは、100~400μmの間であり、
前記インサートは、焼きなましされた金属または合金を備え、
前記インサートの直径または他の断面寸法は、前記外側カバーの厚さの100%~500%である、請求項1に記載のリードアセンブリ。
【請求項4】
前記焼きなましされた金属または合金は、銅を含む、請求項2または3に記載のリードアセンブリ。
【請求項5】
前記インサートの直径または他の断面寸法は、前記外側カバーの厚さの100%~500%である、請求項1に記載のリードアセンブリ。
【請求項6】
前記外側カバーは、前記電気リードアセンブリの長さを通じて均一または連続的な厚さを備える、請求項1に記載のリードアセンブリ。
【請求項7】
前記外側カバーの遠位の態様が、前記外側カバーの近位の態様よりも低いデュロメータまたは硬度を備える、請求項1に記載のリードアセンブリ。
【請求項8】
前記外側カバーの前記遠位の態様のショアDデュロメータは、20D~50Dの間である、請求項4に記載のリードアセンブリ。
【請求項9】
前記外側カバーの近位の態様のショアDデュロメータは、50D~80Dの間である、請求項4または5に記載のリードアセンブリ。
【請求項10】
前記外側カバーのショアDデュロメータが、20D~80Dの間である、請求項1~9
のいずれか一項に記載のリードアセンブリ。
【請求項11】
前記外側カバーの厚さは、100~400μmの間である、請求項1~10のいずれか一項に記載のリードアセンブリ。
【請求項12】
前記インサートは、焼きなましされた金属または合金を備える、請求項1~11のいずれか一項に記載のリードアセンブリ。
【請求項13】
前記焼きなましされた金属または合金は、銅を含む、請求項12に記載のリードアセンブリ。
【請求項14】
前記インサートの直径または他の断面寸法は、前記外側カバーの厚さの100%~500%である、請求項1~13のいずれか一項に記載のリードアセンブリ。
【請求項15】
前記リードアセンブリは、目的の神経または神経束を少なくとも部分的に取り囲むように構成される、請求項1~14のいずれか一項に記載のリードアセンブリ。
【請求項16】
前記リードアセンブリは、神経再生処置において使用されるように構成される、請求項1~15のいずれか一項に記載のリードアセンブリ。
【請求項17】
前記リードアセンブリは、疼痛管理処置において使用されるように構成される、請求項1~16のいずれか一項に記載のリードアセンブリ。
【請求項18】
前記リードアセンブリは、神経再生処置および疼痛管理処置の両方において使用されるように構成される、請求項1~17のいずれか一項に記載のリードアセンブリ。
【請求項19】
請求項1~18のいずれか一項に記載のリードアセンブリを備える神経再生システム。
【請求項20】
請求項1~18のいずれか一項に記載のリードアセンブリを備える疼痛管理システム。
【請求項21】
請求項1~18のいずれか一項に記載のリードアセンブリを備える神経再生および疼痛管理システム。
【請求項22】
電気リードアセンブリを少なくとも部分的に対象者の身体構造内に配置する方法であって、
所望の処置を実行するために対象者の目的の組織に接触するように構成された少なくとも1つの電極を備え、インサートおよび外側カバーをさらに備え、前記インサートは、前記電気リードアセンブリの整形または再整形を容易にするための塑性変形性を備え、前記外側カバーは、前記電気リードアセンブリに力が作用したときに形状の一時的変化を被ることを可能にする弾性変形性を備える電気リードアセンブリを、対象者の身体構造へと経皮的に挿入するステップと、
前記電気リードアセンブリを、対象者の身体構造への経皮的挿入の後に、前記電気リードアセンブリの少なくとも一部分に沿って力またはモーメントを選択的に作用させることによって整形するステップと
を含んでおり、
前記外側カバーの前記弾性変形性は、前記インサートの前記塑性変形性以下であり、
前記電気リードアセンブリを整形するステップは、前記目的の組織に沿って前記電気リードアセンブリの前記少なくとも1つの電極を配置することができる、方法。
【請求項23】
前記所望の処置は、神経再生処置を含む、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記所望の処置は、疼痛管理処置を含む、請求項22に記載の方法。
【請求項25】
前記所望の処置は、神経再生処置および疼痛管理処置の両方を含む、請求項22に記載の方法。
【請求項26】
前記目的の組織は、神経組織を含む、請求項22に記載の方法。
【請求項27】
対象者の末梢神経損傷に関係する疼痛を管理する方法であって、
再生段階において、少なくとも1つの電極アセンブリを介して目的の神経へと第1の周波数の刺激エネルギーをもたらして、長期の疼痛を発症する可能性の低減につながるように構成された改善された組織再神経支配をもたらす神経再生効果を目的の神経に生じさせるステップと、
少なくとも1つの神経障害疼痛管理段階において、前記少なくとも1つの電極アセンブリを介して所定の期間にわたって第2の周波数の刺激エネルギーをもたらして、前記末梢神経損傷によって引き起こされる対象者の神経障害疼痛を軽減するステップと
を含む方法。
【請求項28】
傍切開アプローチを使用して目的の神経にアクセスするステップ
をさらに含み、
前記神経障害疼痛管理段階の前記周波数は、前記神経再生段階の前記周波数よりも大きい、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
傍切開アプローチを使用して目的の神経にアクセスするステップ
をさらに含み、
前記目的の神経は、持続的損傷を抱える末梢神経である、請求項27に記載の方法。
【請求項30】
前記神経障害疼痛管理段階の前記周波数は、前記神経再生段階の前記周波数よりも大きい、請求項27に記載の方法。
【請求項31】
前記神経障害疼痛管理段階の前記周波数は、20KHz~500KHzである、請求項27に記載の方法。
【請求項32】
前記神経障害疼痛管理段階の前記周波数は、1KHz~10KHzである、請求項27に記載の方法。
【請求項33】
前記神経障害疼痛管理段階の前記周波数は、50Hz~200Hzである、請求項27に記載の方法。
【請求項34】
前記目的の神経にアクセスするステップは、経皮的に実行される、請求項27に記載の方法。
【請求項35】
前記再生段階において刺激エネルギーをもたらすことは、反応を引き起こすために充分である、請求項27に記載の方法。
【請求項36】
前記反応は、対象者における活動電位または誘発反応に関する、請求項35に記載の方法。
【請求項37】
前記再生段階における前記引き起こされる反応は、少なくとも部分的に、対象者における神経再生治療の治療有効性の立証を確認するように構成される、請求項35または36
に記載の方法。
【請求項38】
前記神経障害疼痛管理段階において刺激エネルギーをもたらすことは、反応を引き起こすために充分である、請求項27に記載の方法。
【請求項39】
前記反応は、対象者における活動電位または誘発反応に関する、請求項35に記載の方法。
【請求項40】
前記神経障害疼痛管理段階における前記引き起こされる反応は、少なくとも部分的に、対象者における神経障害疼痛の緩和を確認するように構成される、請求項35または36に記載の方法。
【請求項41】
前記再生段階において少なくとも1つの電極アセンブリを介して目的の神経へと前記第1の周波数の刺激エネルギーをもたらすことは、前記少なくとも1つの神経障害疼痛管理段階再生段階において少なくとも1つの電極アセンブリを介して目的の神経へと前記第2の周波数の刺激エネルギーをもたらすことに先行する、請求項22~40のいずれか一項に記載の方法。
【請求項42】
前記少なくとも1つの神経障害疼痛管理段階再生段階において少なくとも1つの電極アセンブリを介して目的の神経へと前記第2の周波数の刺激エネルギーをもたらすことは、ターゲットへと前記第1の周波数の刺激エネルギーをもたらすことに先行する、請求項22~41のいずれか一項に記載の方法。
【請求項43】
請求項22~42のいずれか一項に記載の方法を遂行するために前記第1の周波数および前記第2の周波数の刺激エネルギーをもたらすように構成された1つ以上の構成要素を備えるシステム。
【請求項44】
対象者の目的の神経を刺激する方法であって、
傍切開アプローチを使用して(例えば、経皮的に)目的の神経にインターフェースまたはアクセスするステップと、
第1の段階において、少なくとも1つの電極アセンブリを介して、対象者において活動電位または誘発反応を引き起こすために充分である第1の周波数の刺激エネルギーをもたらすステップと、
第2の段階において、前記少なくとも1つの電極アセンブリを介して、所定の期間にわたって第2の周波数の刺激エネルギーを対象者へともたらすステップと
を含んでおり、
前記第2の段階において刺激エネルギーを対象者へともたらすことで、改善された組織再神経支配をもたらす再生効果が目的の神経に生じ、
改善された組織再神経支配は、慢性の疼痛を発症する可能性の低減につながり、
前記第1の段階において刺激エネルギーをもたらすことは、少なくとも部分的に、神経再生治療の治療有効性の立証を確認するように構成される、方法。
【請求項45】
前記少なくとも1つの立証条件は、前記少なくとも1つの電極アセンブリが機能していることであり、
前記第2の周波数は、前記第1の周波数よりも大きく、
前記第1の周波数は、1Hz~10Hzであり、前記第2の周波数は、10Hz~100Hzであり、
前記第2の周波数は、1Hz~100Hzである、請求項44に記載の方法。
【請求項46】
前記第2の周波数は、前記第1の周波数よりも大きい、請求項44に記載の方法。
【請求項47】
前記少なくとも1つの立証条件は、前記少なくとも1つの電極アセンブリが機能していることである、請求項44に記載の方法。
【請求項48】
前記第1の段階において刺激エネルギーをもたらすことは、前記少なくとも1つの電極アセンブリが機能している旨のインジケータを作動させるように構成される、請求項47に記載の方法。
【請求項49】
前記第1の周波数は、1Hz~10Hzであり、前記第2の周波数は、10Hz~100Hzである、請求項44に記載の方法。
【請求項50】
前記第2の周波数は、1Hz~100Hzである、請求項44に記載の方法。
【請求項51】
前記第1の段階において刺激エネルギーをもたらすことは、前記少なくとも1つの電極アセンブリが機能している旨のインジケータを作動させるように構成される、請求項44に記載の方法。
【請求項52】
前記インジケータは、視覚インジケータを備える、請求項51に記載の方法。
【請求項53】
前記視覚インジケータは、LEDまたは他の光源を備える、請求項52に記載の方法。
【請求項54】
前記インジケータは、視覚以外のインジケータを備える、請求項51に記載の方法。
【請求項55】
前記視覚以外のインジケータは、可聴インジケータおよび触覚フィードバックインジケータの少なくとも一方を備える、請求項54に記載の方法。
【請求項56】
前記少なくとも1つの立証条件は、前記少なくとも1つの電極が目的の神経に接触していることである、請求項44~55のいずれか一項に記載の方法。
【請求項57】
前記第1の段階において刺激エネルギーをもたらすことは、目的の神経の位置特定を容易にするように構成される、請求項44~56のいずれか一項に記載の方法。
【請求項58】
前記第1の段階において第1の周波数の刺激エネルギーをもたらすことは、対象者の反応を生じさせる、請求項44~57のいずれか一項に記載の方法。
【請求項59】
前記反応は、可視の反応を含む、請求項58に記載の方法。
【請求項60】
前記可視の反応は、単収縮、反射、筋反応、または対象者の他の不随意の動作を含む、請求項59に記載の方法。
【請求項61】
前記反応は、言語応答を含む、請求項58に記載の方法。
【請求項62】
前記言語応答は、対象者からの口頭応答を含む、請求項61に記載の方法。
【請求項63】
対象者の目的の神経を刺激する方法であって、
傍切開アプローチを使用して(例えば、経皮的に)目的の神経にインターフェースまたはアクセスするステップと、
第1の段階において、少なくとも1つの電極アセンブリを介して、対象者において活動電位または誘発反応を引き起こすために充分である第1の周波数の刺激エネルギーをもたらすステップと、
第2の段階において、前記少なくとも1つの電極アセンブリを介して、所定の期間にわたって第2の周波数の刺激エネルギーを対象者へともたらすステップと
を含んでおり、
前記第2の段階において刺激エネルギーを対象者へともたらすことで、神経障害疼痛が管理され、
前記第1の段階において刺激エネルギーをもたらすことで、慢性の疼痛を発症する可能性の低減につながる改善された組織再神経支配をもたらす再生効果が目的の神経に生じ、
前記第1の段階における前記惹起される反応は、少なくとも部分的に、神経再生治療の治療有効性の立証を確認するように構成される、方法。
【発明の詳細な説明】
【相互参照】
【0001】
本出願は、2019年10月1日に出願された米国仮特許出願第62/909,048号および2020年6月25日に出願された米国仮特許出願第63/044,208号の優先権を主張し、これらの両方の内容は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。さらに、2019年8月27日に出願され、2020年3月17日に発行された米国特許第10,589,089号の全内容が、参照により本明細書に組み込まれ、本出願の一部とされる。
【技術分野】
【0002】
本出願は、広くには、損傷組織の位置特定および/または治療(例えば、再生、治療の促進、など)のための装置、システム、および方法に関し、より具体的には、損傷神経の再生(例えば、神経再生)を促進する装置、システム、および方法に関する。
【背景技術】
【0003】
末梢神経損傷は、患者を著しく弱らせ、日常生活の活動を行う能力を制限することによって、本来であれば健康な患者に悪影響を及ぼす。末梢神経損傷は、複雑な外傷から医原性および圧迫性の神経障害まで、さまざまな病因に起因し得る。しかしながら、さまざまな病因にもかかわらず、末梢神経損傷を修復するための主な手段は、切断された神経端の外科的修復または圧迫された神経の外科的解放である。残念なことに、たとえ最良の外科的処置であっても、通常は、患者に著しい欠陥が残る。さらに、患者は、多くの場合に、神経損傷に関連する神経障害性の疼痛を有する。疼痛は、損傷部位に存在し、もしくは損傷した神経に沿って広がる可能性があり、あるいは圧迫の場合には、疼痛が損傷部位から下流に広がる可能性がある。神経損傷に関連する障害に鑑み、転帰を改善する必要性が明らかに存在する。
【0004】
現時点において、損傷した末梢神経の臨床治療は、主に外科的であり、神経圧迫源を解放するか、あるいは切断された神経を直接つなげ、もしくは移植材料でつなげるかのいずれかである。外科手術は、神経のつながりを再び確立させることによって神経の再成長を可能にするが、機能的回復は不充分なままである。一般に、神経はゆっくりと再生し(最速で約1mm/日)、除神経となった対象の筋肉または感覚末端器官と再びつながるまでに長期間を必要とする。神経再生のための機会のウインドウは短く、損傷したニューロンの再生能力および遠位神経断端の再生サポートは、時間および距離につれて低下する。これらの要因が、神経の再生の方向の誤りと相まって、回復不良の原因となることが多い。回復不良に加えて、患者は、多くの場合に、神経損傷に起因する疼痛に直面する。この疼痛は、異痛症または痛覚過敏症の形態で臨床的に存在し得る。この疼痛は、本質的に一過性であって、組織の神経再生によって解消するかもしれないが、神経再生が神経腫の形成につながる場合に、慢性となる可能性もある。再生不良は、運動機能の低下という結果につながるだけでなく、慢性の疼痛および残留感覚異常の増加につながる可能性もある。神経再生の促進は、機能的転帰を改善するだけでなく、慢性または他の長期の疼痛を発症する可能性も低減するより良好な組織神経再生をもたらすことができる。慢性または長期の疼痛は、通常の治癒時間(例えば、特定の種類の損傷または他の疼痛の原因に対する通常の時間)を超えて持続する疼痛も含むことができる。本明細書において使用されるとき、「慢性疼痛」または「長期疼痛」は、12週間以上続く疼痛を含むことができるが、これに限定されない。
【発明の概要】
【0005】
いくつかの実施形態によれば、対象者の末梢神経損傷に関係する疼痛を管理する方法が、再生段階において、少なくとも1つの電極アセンブリを介して目的の神経へと第1の周波数の刺激エネルギーをもたらして、長期の疼痛を発症する可能性の低減につながるように構成された改善された組織再神経支配をもたらす神経再生効果を目的の神経に生じさせるステップと、少なくとも1つの神経障害疼痛管理段階において、少なくとも1つの電極アセンブリを介して所定の期間にわたって第2の周波数の刺激エネルギーをもたらして、末梢神経損傷によって引き起こされる対象者の神経障害疼痛を軽減するステップとを含む。
【0006】
いくつかの実施形態によれば、本方法は、傍切開アプローチを使用して目的の神経にアクセスするステップをさらに含み、目的の神経は、持続的損傷を抱える末梢神経であり、神経障害疼痛管理段階の周波数は、神経再生段階の周波数よりも大きい。
【0007】
いくつかの実施形態によれば、本方法は、傍切開アプローチを使用して目的の神経にアクセスするステップをさらに含み、目的の神経は、持続的損傷を抱える末梢神経である。
【0008】
いくつかの実施形態によれば、神経障害疼痛管理段階の周波数は、神経再生段階の周波数よりも大きい。いくつかの実施形態において、疼痛管理治療は、50~200Hzの範囲(例えば、50~60、50~55、55~60、52~58Hz、これらの範囲の間の値、など)の刺激を含む。いくつかの実施形態において、神経障害疼痛管理段階の周波数は、20KHz~500KHzである。いくつかの実施形態において、神経障害疼痛管理段階の周波数は、1KHz~10KHzである。
【0009】
いくつかの実施形態によれば、目的の神経にアクセスするステップは、経皮的に実行される。
【0010】
いくつかの実施形態によれば、再生段階において刺激エネルギーをもたらすことは、反応を引き起こすために充分である。いくつかの実施形態において、反応は、対象者における活動電位または誘発反応に関する。いくつかの構成において、再生段階における引き起こされる反応は、少なくとも部分的に、対象者における神経再生治療の治療有効性の立証を確認するように構成される。
【0011】
いくつかの実施形態によれば、神経障害疼痛管理段階において刺激エネルギーをもたらすことは、反応を引き起こすために充分である。いくつかの構成において、反応は、対象者における活動電位または誘発反応に関する。いくつかの実施形態において、神経障害疼痛管理段階における引き起こされる反応は、少なくとも部分的に、対象者における神経障害疼痛の緩和を確認するように構成される。
【0012】
いくつかの実施形態によれば、システムが、上述の方法のうちのいずれかの方法を遂行するために第1の周波数および第2の周波数の刺激エネルギーをもたらすように構成された1つ以上の構成要素を備える。
【0013】
いくつかの実施形態によれば、本明細書に開示されるシステムおよび方法は、組織再神経支配を促進することによって、電気刺激による損傷組織の治療および神経障害疼痛の軽減の両方を目的とするアプローチを提供するように構成される。
【0014】
いくつかの実施形態において、本明細書に記載のシステムは、神経再生治療の1つ以上のバウトおよび別個の疼痛管理治療をもたらすことができる。他の構成においては、組織再神経支配の促進につながる神経再生治療の複数のバウトをもたらすことができる。そのような実施形態において、患者または他の対象者について慢性の疼痛または他の長期の疼
痛の発症の可能性を減らすことができる一方で、疼痛管理波形の印加が、短期の急性の疼痛を軽減することができる。
【0015】
いくつかの実施形態によれば、損傷した神経に狙った電気刺激治療をもたらすように構成されたシステム(および、対応する方法)は、さまざまな身体構造領域、損傷した神経、神経の直径、および神経損傷の種類などのさまざまな損傷および臨床ワークフローのニーズに容易に適合可能である。システムは、(例えば、神経再生のために)接続される神経インターフェースをシームレスに交換して神経再生治療を提供する可能性を、ユーザに好都合に提供することができる。本明細書に開示される実施形態は、所望または必要に応じて、手術前、手術時、術後、またはこれらの組み合わせにおいて神経再生治療を適用するための柔軟性をユーザに提供する。
【0016】
加えて、いくつかの実施形態によれば、システムおよび方法は、物理的自己検証または自動検証ステップのいずれかによって電極および/またはシステムの完全性を検証する手段を提供することによって、刺激電極が正しく機能していることの確認を可能にする。これは、運動神経が切断され、物理的反応(例えば、筋収縮)が存在しない状況、または純粋な感覚神経が切断され、最初から物理的反応が存在しない状況において、好都合になる。この同じ検証方法は、電極を通る電流の流れを監視することによって、神経再生治療の安全かつ継続的な提供を可能にする。
【0017】
いくつかの実施形態によれば、本明細書に開示されるシステムおよび方法は、ユーザが、神経再生治療の開始に先立ち、同じ神経インターフェースまたは異なる神経インターフェースを使用して神経の位置特定のタスクを実行することをさらに可能にする。さらに、システムは、刺激パラメータ、システムモード、および治療時間を制御する単一のボタンを備えるように構成され、訓練および複雑さを最小限に抑える臨床医にとって使いやすいインターフェースを提供する。
【0018】
いくつかの実施形態によれば、対象者の目的の神経を刺激する方法が、第1の段階において、少なくとも1つの電極アセンブリを介して、第1の周波数の刺激エネルギーをもたらすステップと、第2の段階において、少なくとも1つの電極アセンブリを介して、所定の期間にわたって第2の周波数の刺激エネルギーを対象者へともたらすステップとを含み、第2の段階において刺激エネルギーを対象者へともたらすことで、目的の神経に再生効果(例えば、神経再生効果)が生じ、第1の段階において刺激エネルギーをもたらすことは、少なくとも1つの立証条件を確認するように構成される。いくつかの実施形態において、第2の周波数は、第1の周波数よりも大きい。
【0019】
いくつかの実施形態によれば、対象者の目的の神経を刺激する方法が、第1の段階において、少なくとも1つの電極アセンブリを介して、第1の周波数の刺激エネルギーをもたらすステップと、第2の段階において、少なくとも1つの電極アセンブリを介して、所定の期間にわたって第2の周波数の刺激エネルギーを対象者へともたらすステップとを含み、第2の段階において刺激エネルギーを対象者へともたらすことで、目的の神経に神経再生効果が生じ、第2の周波数は、第1の周波数よりも大きい。
【0020】
いくつかの実施形態によれば、少なくとも1つの立証条件は、少なくとも1つの電極アセンブリが機能していることである。いくつかの実施形態において、第1の段階において刺激エネルギーをもたらすことは、少なくとも1つの電極アセンブリが機能している旨のインジケータを作動させるように構成される。いくつかの実施形態において、インジケータは、視覚インジケータ(例えば、LEDまたは他の光源)を備える。他の構成において、インジケータは、視覚以外のインジケータ(例えば、可聴インジケータ、触覚フィードバックインジケータ、など)を備える。
【0021】
いくつかの実施形態によれば、少なくとも1つの立証条件は、少なくとも1つの電極が目的の神経に接触していることである。いくつかの実施形態において、第1の段階において刺激エネルギーをもたらすことは、目的の神経の位置特定を容易にするように構成される。いくつかの実施形態において、第1の段階において第1の周波数の刺激エネルギーをもたらすことは、対象者の可視の反応および/または言語(例えば、口頭)反応を生じさせる。いくつかの実施形態において、可視の反応は、単収縮、反射、筋反応、または対象者の他の不随意の動作を含む。
【0022】
いくつかの実施形態によれば、所定の期間は、少なくとも10分である。いくつかの実施形態において、所定の期間は、少なくとも20分または30分である。いくつかの構成において、所定の期間は、10分~60分である。
【0023】
いくつかの実施形態によれば、第1の周波数は、1Hz~40Hzである。いくつかの実施形態において、第1の周波数は、40Hzよりも低い。いくつかの実施形態において、第2の周波数は、1Hz~100Hzである。いくつかの実施形態において、第1の周波数は、1Hz~10Hzであり、第2の周波数は、10Hz~100Hzである。
【0024】
いくつかの実施形態によれば、本方法は、少なくとも1つの電極アセンブリを対象者の目的の神経に隣接させて配置することをさらに含む。
【0025】
本方法は、少なくとも1つの電極アセンブリを対象者の目的の神経に少なくとも部分的に固定することをさらに含む。いくつかの実施形態において、少なくとも1つの電極アセンブリを目的の神経に少なくとも部分的に固定することは、縫合糸、かかり、組織アンカー、フラップ、および別の種類の機械的コネクタのうちの少なくとも1つを使用することを含む。一実施形態において、少なくとも1つの電極アセンブリを目的の神経に少なくとも部分的に固定することは、接着剤を使用することを含む。
【0026】
いくつかの実施形態によれば、少なくとも1つの電極アセンブリを目的の神経に隣接させて配置することは、少なくとも1つの電極アセンブリを対象者に固定しないことを含む。いくつかの実施形態において、少なくとも1つの電極アセンブリを目的の神経に隣接させて配置することは、(例えば、挿入器具を用い、あるいは用いずに)少なくとも1つの電極アセンブリを目的の神経の隣または付近に整列させることを含む。
【0027】
いくつかの実施形態によれば、第1の段階において刺激エネルギーを対象者へともたらすことは、反復バーストシーケンスにて刺激エネルギーをもたらすことを含む。いくつかの実施形態において、反復バーストシーケンスは、少なくとも2つのパルスを含む。いくつかの実施形態において、反復バーストシーケンスは、少なくとも3つのパルスを含む。
【0028】
いくつかの実施形態によれば、少なくとも1つの電極は、双極電極アセンブリの一部として含まれる。いくつかの実施形態において、少なくとも1つの電極アセンブリを目的の神経またはその隣に配置することは、少なくとも1つの電極アセンブリおよび少なくとも1つの電極に固定されたリードを、カニューレ、鞘、または内部開口を有する他の装置を通って前進させることを含む。いくつかの実施形態においては、術中環境において、少なくとも1つの電極アセンブリは、カフ電極を備える。
【0029】
いくつかの実施形態によれば、対象者の目的の神経を刺激するための装置が、少なくとも1つの電極アセンブリと、少なくとも1つの電極アセンブリに物理的に結合したリードとを備え、第1の段階において、少なくとも1つの電極は、少なくとも1つの電極アセンブリを介して第1の周波数の刺激エネルギーをもたらすように構成され、第2の段階にお
いて、少なくとも1つの電極は、少なくとも1つの電極アセンブリを介して所定の期間にわたって第2の周波数の刺激エネルギーを対象者へともたらすように構成され、第2の段階において刺激エネルギーを対象者へともたらすことで、目的の神経に神経再生効果が生じ、第1の段階において刺激エネルギーを対象者へともたらすことは、少なくとも1つの立証条件を確認するように構成される。
【0030】
いくつかの実施形態によれば、少なくとも1つの立証条件は、少なくとも1つの電極アセンブリが機能していることである。いくつかの実施形態において、装置はインジケータをさらに備え、第1の段階において刺激エネルギーをもたらすことが、インジケータを作動させるように構成され、インジケータは、少なくとも1つの電極アセンブリが機能している旨の確認をもたらすように構成される。いくつかの実施形態において、インジケータは、視覚インジケータ(例えば、LEDまたは他の光源)を備える。いくつかの実施形態において、インジケータは、視覚以外のインジケータ(例えば、可聴インジケータ、触覚フィードバックインジケータ、など)を備える。
【0031】
いくつかの実施形態によれば、少なくとも1つの立証条件は、少なくとも1つの電極が目的の神経に接触していることである。いくつかの実施形態において、第1の段階において刺激エネルギーをもたらすことは、目的の神経の位置特定を容易にするように構成される。いくつかの実施形態において、第1の段階において第1の周波数の刺激エネルギーをもたらすことは、対象者の可視の反応および/または言語(例えば、口頭)反応を生じさせる。いくつかの実施形態において、可視の反応は、単収縮、反射、筋反応、または対象者の他の不随意の動作を含む。
【0032】
いくつかの実施形態によれば、第1の周波数は、1Hz~40Hzである。いくつかの実施形態において、第1の周波数は、40Hzよりも低い。いくつかの実施形態において、第2の周波数は、1Hz~100Hzである。いくつかの実施形態において、第1の周波数は、1Hz~10Hzであり、第2の周波数は、10Hz~100Hzである。
【0033】
いくつかの実施形態によれば、第1の段階において刺激エネルギーを対象者へともたらすことは、反復バーストシーケンスにて刺激エネルギーをもたらすことを含む。いくつかの実施形態において、反復バーストシーケンスは、少なくとも2つのパルスを含む。いくつかの実施形態において、反復バーストシーケンスは、少なくとも3つのパルスを含む。いくつかの実施形態において、少なくとも1つの電極アセンブリは、カフ電極を備える。
【0034】
いくつかの実施形態によれば、対象者の目的の神経を刺激する方法は、目的の神経を識別すること、目的の神経を選択的に刺激するために対象者に対して少なくとも1つの電極アセンブリを配置すること、および目的の神経に神経再生効果を生じさせるために所定の期間にわたって少なくとも1つの電極アセンブリを介して対象者へと治療刺激エネルギーをもたらすことを含み、所定の期間は、少なくとも10分(例えば、10分、10~30分、10~60分、など)であり、少なくとも1つの電極アセンブリは、目的の神経のすぐ隣に配置された第1の電極と、第1の電極から物理的に離して配置された第2の電極とを備える。
【0035】
いくつかの実施形態によれば、第2の電極は、対象者の皮膚表面に配置されたパッチ電極を含む。一実施形態において、第1および第2の電極は、双極電極アセンブリの一部として含まれる。いくつかの実施形態において、目的の神経を識別することは、対象者に立証刺激をもたらすことによって対象者からの反応を求めることを含む。いくつかの実施形態において、立証刺激は、治療刺激エネルギーの周波数よりも低い周波数を含む。いくつかの実施形態において、立証刺激は、少なくとも2つのパルスによる反復バーストシーケンスを含む。いくつかの実施形態において、反復バーストシーケンスは、少なくとも3つ
のパルスを含む。
【0036】
いくつかの実施形態によれば、対象者の目的の神経を刺激する方法は、目的の神経を識別すること、少なくとも1つの電極アセンブリを目的の神経に隣接させて配置すること、少なくとも1つの電極アセンブリを目的の神経に隣接させて配置する前に、少なくとも1つの電極が立証刺激源から由来する立証刺激に曝されたときに電気的に活性化されることを検証すること、および目的の神経に神経再生効果を生じさせるために所定の期間にわたって少なくとも1つの電極アセンブリを介して対象者へと治療刺激をもたらすことを含み、治療刺激は、治療刺激源から由来し、所定の期間は、少なくとも10分である。
【0037】
いくつかの実施形態によれば、立証刺激源は治療刺激源と同じであり、したがって、立証刺激源および治療刺激源が単一の刺激経過を含む。いくつかの実施形態において、単一の刺激源は、手持ち式装置を含む。いくつかの実施形態において、立証刺激源は、治療刺激源とは異なる。いくつかの実施形態において、立証刺激は、治療刺激よりも低い周波数を含む。いくつかの実施形態において、立証刺激は、少なくとも2つのパルスによる反復バーストシーケンスを含む。いくつかの実施形態において、反復バーストシーケンスは、少なくとも3つのパルス(例えば、3つ、4つ、5つのパルス、6つ以上のパルス、など)を含む。
【0038】
いくつかの実施形態によれば、本出願は、術中または周術期の神経刺激に使用することができる1つ以上の電極を備える電気刺激システムを開示する。いくつかの実施形態において、システムは、エンドユーザの手のひらに好適に収まる比較的小さいサイズを備える。いくつかの実施形態において、本明細書に開示される構成のうちの1つ以上は、システムを異なる電極とインターフェースさせる能力を提供する。いくつかの実施形態では、システムは、一回だけ使用されて使い捨てされるように設計され、外科医または他の施術者などのエンドユーザに、システムを術中に使用する可能性を提供する(例えば、システムが滅菌され、適切な包装材料に包装されている場合)。
【0039】
いくつかの実施形態において、本明細書に開示される種々のシステム、装置、および方法は、損傷した神経の位置を特定して電気刺激で治療するやり方を施術者に提供する。実施形態を、術中または周術期に使用することができる。
【0040】
いくつかの実施形態において、システムを周術期環境で使用することができる。システムのハウジングは、刺激振幅および/または他の設定を変更するための制御部(例えば、1組以上の制御部)を含むことができる。
【0041】
いくつかの実施形態において、システムは、損傷組織を治癒するためのエネルギーの供給を開始、停止、一時停止、再開、および/または他のやり方で変更するための1つ以上の制御部を含む。いくつかの実施形態において、システムは、システムへの電力を可能にし、したがって適切なインターフェースが接続されたときにのみ刺激をもたらす回路をさらに備える。視覚インジケータは、ハウジング上または接続されたインターフェースに含まれてよい。これらのインジケータは、システムの状態、アクティブなインターフェースの使用、現在の動作モード、刺激設定、および/または治療の提供の残り時間に関する情報を中継する信号をエンドユーザに提供することができる。インジケータは、複数の発光ダイオード、グラフィカルディスプレイ、または同様の発光要素を含むことができる。ハウジングは、システムを外科用ドレープまたは他の構造に固定するために使用される要素をさらに含むことができる。この要素は、接着剤、ストラップ、フック、またはクリップであってよいが、これらに限られるわけではない。
【0042】
システムのさらなる態様は、単極刺激または双極刺激のいずれかを提供する能力を含む
。露出した損傷組織が好ましくは神経である術中使用の場合、システムを、損傷神経とインターフェースするために双極または単極電極装置を使用して展開することができる。記載される電極装置は、電極キャリア本体を神経の周りに巻き付け、巻き付けられた部分をタブを使用して定位置に固定することによって、ユーザが任意の直径の神経をインターフェースすることを可能にできる。タブを横方向にそらすことで、神経への巻き付けが解放され、電極の容易な取り外しが可能になる。電極装置の一態様は、平坦または開いた構成にて成形され、神経の周囲に巻き付けられたとき、電極がこの構成に跳ね戻ることができることである。電極上の成形タブが、電極のヘッド部分がタブの下方に固定されることを可能にし、電極が平坦な構成に跳ね戻ることを防止して、適切な刺激治療をもたらすためにインターフェースされた神経への巻き付きを維持する。
【0043】
いくつかの実施形態においては、周術期使用のために、電極は、経皮的方法を使用して、外科的処置の最中または周術期に配置される。いくつかの実施形態において、電極インターフェースが神経に直接接触しなくてもよい単極電極を使用することができる。そのような構成において、システムをリターン電極(例えば、皮膚上に配置され、システムに直接接続されるパッチ型電極を含むことができる)に接続し、あるいは結合させることができる。
【0044】
いくつかの実施形態によれば、システムの追加の態様は、刺激信号(例えば、定電圧パルスまたは定電流パルスのいずれかを含むことができる)を含む。いくつかの実施形態においては、定電流パルスが使用される。いくつかの実施形態において、定電流刺激振幅は、0~20ミリアンペア(例えば、0~1、1~2、2~3、3~4、4~5、5~6、6~7、7~8、8~9、9~10、10~15、15~20ミリアンペア、これらの範囲内の値、など)の範囲である。
【0045】
いくつかの実施形態によれば、或る期間にわたる安全な刺激のために、二相パルス出力が使用される。これは、電極インターフェースに正味の電荷がもたらされていないことを保証する役に立つことができる。いくつかの実施形態では、受動素子(例えば、刺激装置の出力に結合したコンデンサなど)を使用して電荷の釣り合いが達成される。いくつかの実施形態において、能動的方法は、フィードバックループにおいての刺激装置の出力オフセットをサンプリングし、かつ/または正味の電荷が確実に0になるように、正しい極性の追加のパルスを生成し、もしくは逆オフセットを注入することによってこれを補正する。本明細書に具体的に記載されない他の方法も使用することができる。
【0046】
いくつかの実施形態によれば、システムの追加の態様が、(例えば、ユーザが最初に、損傷した組織が刺激に反応するかどうかをエンドユーザにとって視覚化可能にする低周波刺激(例えば、0.1~10Hz)をもたらすことができるようにするための)試験モードを含む。いくつかの実施形態において、さまざまな構成が、ユーザが刺激出力を所望のレベルに調整して、治療用の電気刺激の供給を開始することを可能にする。追加のパラメータを調整することができる。
【0047】
いくつかの実施形態によれば、システムの追加の態様は、神経ロケータとして機能するように双極プローブ電極に対応するための刺激の第1の段階およびハウジングの変更を含む。いくつかの実施形態において、試験モードを、末梢神経とのプローブ接続後に強い筋収縮反応を誘発するために充分な電気刺激パルスをもたらすように変更することができる。いくつかの構成において、試験モードは、連続刺激が融合収縮をもたらす筋捕捉様特性を利用するために使用される刺激ダブレットパルス(例えば、ダブレット)を供給する。特定の実施形態において、ダブレットはより大きな筋可動域を可能にし、神経の位置特定に役立つことができる。
【0048】
いくつかの実施形態によれば、損傷組織(例えば、神経を治療するための方法は、最初に組織を使用事例(例えば、術中または周術期、他の処置、など)に適した電極とインターフェースさせることを含む。さらに、本方法は、電極をシステムに固定し、あるいは結合させることを含むことができる。これにより、いくつかの実施形態において、システムは、電気刺激に対する組織の反応を検証するための試験刺激を提供できるようになる。いくつかの実施形態において、システムは、1つ以上の動作パラメータ(例えば、振幅)のユーザによる変更を可能にするように構成される。方法は、ユーザが損傷組織(例えば、目的の神経)を治療するために神経再生治療を開始することをさらに含む。
【0049】
いくつかの実施形態によれば、本明細書に開示される方法は、電気刺激による損傷組織の治療を目的とするアプローチを提供するように構成される。いくつかの実施形態においては、他の刺激システムと異なり、本明細書に開示されるシステム、装置、および方法を、システムを所定の適切な電極インターフェースを使用して術中に適用するか、あるいは適切な電極インターフェースを使用して周術期に適用するかをユーザが選択できるように構成することができる。いくつかの実施形態においては、外科的処置の長さが、装置がどのように適用されるかを決定する。
【0050】
いくつかの実施形態によれば、電気リードアセンブリを少なくとも部分的に対象者の身体構造内に配置する方法が、電気リードアセンブリを対象者の身体構造へと経皮的に挿入するステップを含み、リードアセンブリは、所望の処置を実行するために対象者の目的の組織に接触するように構成された少なくとも1つの電極を備え、電器リードアセンブリは、インサートおよび外側カバーをさらに備え、インサートは、電気リードアセンブリの整形または再整形を容易にするための弾性変形性を備え、外側カバーは、電気リードアセンブリに力が作用したときに外側カバーが形状の一時的変化を被ることを可能にする弾性変形性を備える。本方法は、電気リードアセンブリを、対象者の身体構造への経皮的挿入の後に、電気リードアセンブリの少なくとも一部分に沿って力またはモーメントを選択的に作用させることによって整形するステップをさらに含み、外側カバーの弾性変形性は、インサートの塑性変形性以下(例えば、インサートの塑性変形性に等しく、あるいはインサートの塑性変形性よりも小さい)であり、電気リードアセンブリを整形するステップは、目的の組織に沿って電気リードアセンブリの少なくとも1つの電極を配置することができる。
【0051】
いくつかの実施形態によれば、外側カバーの遠位の態様が、外側カバーの近位の態様よりも低いデュロメータまたは硬度を備え、外側カバーの遠位の態様のショアDデュロメータは、20D~50Dの間であり、外側カバーの近位の態様のショアDデュロメータは、50D~80Dの間であり、外側カバーの厚さは、100~400μmの間であり、インサートの直径または他の断面寸法は、外側カバーの厚さの100%~500%である。換言すると、いくつかの実施形態において、インサートの直径または他の断面寸法は、外側カバーまたはジャケットの厚さ以上である。
【0052】
いくつかの実施形態によれば、外側カバーは、電気リードアセンブリの長さを通じて均一または連続的な厚さを備える。いくつかの実施形態においては、外側カバーの遠位の態様が、外側カバーの近位の態様よりも低いデュロメータまたは硬度を備える。いくつかの構成において、外側カバーの遠位の態様のショアDデュロメータは、20D~50Dの間である。いくつかの構成において、外側カバーの近位の態様のショアDデュロメータは、50D~80Dの間である。
【0053】
いくつかの実施形態によれば、外側カバーの厚さは、100~400μmの間である。いくつかの実施形態において、インサートの直径または他の断面寸法は、外側カバーまたはジャケットの厚さの100%~500%である。いくつかの構成において、リードアセ
ンブリは、目的の神経または神経束を少なくとも部分的に取り囲むように構成される。
【0054】
いくつかの実施形態によれば、外側カバーのショアDデュロメータが、20D~80Dの間であり、外側カバーの厚さは、100~400μmの間であり、インサートは、焼きなましされた金属または合金を備え、インサートの直径または他の断面寸法は、外側カバーの厚さの100%~500%である。
【0055】
いくつかの実施形態によれば、インサートは、焼きなましされた金属または合金を備える。いくつかの実施形態において、焼きなましされた金属または合金は、銅を含む。
【0056】
いくつかの実施形態において、インサートの直径または他の断面寸法は、外側カバーの厚さの100%~500%である。換言すると、いくつかの実施形態において、インサートの直径または他の断面寸法は、外側カバーまたはジャケットの厚さ以上である。
【0057】
いくつかの実施形態によれば、外側カバーの遠位の態様のショアDデュロメータは、20D~50Dの間である。
【0058】
いくつかの実施形態によれば、リードアセンブリは、神経再生処置において使用されるように構成される。いくつかの実施形態において、リードアセンブリは、疼痛管理処置において使用されるように構成される。いくつかの実施形態において、リードアセンブリは、神経再生処置および疼痛管理処置の両方において使用されるように構成される。
【0059】
いくつかの実施形態によれば、所望の処置は、神経再生処置および/または疼痛管理処置を含む。いくつかの実施形態において、目的の組織は、神経組織を含む。
【0060】
いくつかの実施形態によれば、対象者の身体構造へと少なくとも部分的に挿入されるように構成された電気リードアセンブリが、所望の処置を実行するために対象者の目的の組織に接触するように構成された少なくとも1つの電極と、電気リードアセンブリの整形または再整形を容易にするための弾性変形性を備えるインサートと、電気リードアセンブリに力が作用したときに形状の一時的変化を被ることを可能にする弾性変形性を備える外側カバーとを備え、電気リードアセンブリは、電気リードアセンブリの少なくとも一部分に沿って力またはモーメントを選択的に作用させることによって、対象者の身体構造への経皮的挿入の後に整形されるように構成される。
【0061】
いくつかの実施形態によれば、整形可能なリードアセンブリが、例えばリードアセンブリが対象者の身体構造内に少なくとも部分的に配置された後など、処置の前および/または最中に、所望のやり方で整形されるように構成される。整形可能なリードアセンブリを、神経再生処置の最中に整形して、目的の神経に接触および/またはインターフェースさせることができる。
【0062】
いくつかの実施形態によれば、整形可能なリードアセンブリは、インサートまたは他の部材と、外側ジャケットまたは他の外側カバーとを含む。インサートは、アセンブリの整形または再整形を容易にするように構成されてよく、塑性変形性を含むことができる(例えば、インサートを、降伏強度を超え、伸び、曲がり、ねじれ、などを引き起こす特定の力および/または応力を材料が被るときに、ゆがみを生じるように構成することができる)。そのようなゆがみは、インサートまたは他の部材が、外力が加えられていないとき(例えば、ユーザが別の曲げまたは他の再整形の力またはモーメントを加えるまで、テーブルまたは他の表面に置かれているとき、など)に自身の形状を維持することができるように、一時的であってよい。リードアセンブリの外側ジャケットまたは他の外側カバーは、弾性変形性を含むことができる(例えば、リードアセンブリ、したがって外側ジャケット
またはカバーに力が加わると、形状の一時的な変化を被るように構成することができる)。弾性変形性を有するこのような部材は、力またはモーメントが除去または低減されると、元の形状または向きを再びとるように構成される(例えば、少なくとも部分的に自己可逆性である)。
【図面の簡単な説明】
【0063】
本出願のこれらの特徴、態様、および利点、ならびに他の特徴、態様および利点が、特定の実施形態の図面を参照して説明されるが、それらの実施形態は、本明細書に開示される考え方を例示しようとするものであり、限定しようとするものではない。添付の図面は、本明細書に開示される実施形態の少なくともいくつかについて、考え方を例示する目的で提供されており、必ずしも縮尺どおりではないかもしれない。
【0064】
【
図1】一実施形態によるシステムの種々の構成の概略図を示している。
【0065】
【
図2A】一実施形態によるハンドヘルド神経ロケータの上面図を示している。
【0066】
【
図2B】片手を用いた保持を容易にするための横溝を取り入れた一実施形態によるハンドヘルド神経ロケータの上面図を示している。
【0067】
【
図2C】片手を用いた回転および制御部へのアクセスを容易にするための縦溝を取り入れた一実施形態によるハンドヘルド神経ロケータの側面図を示している。
【0068】
【
図2D】神経ポートへのアクセスを示す一実施形態によるハンドヘルド神経ロケータの後面図を示している。
【0069】
【
図3】ジャック検出回路用の接点を提供するために使用される一実施形態による改良されたタッチプルーフジャックの斜視図を示している。
【0070】
【
図4】医療用タッチプルーフ接続を検出するように構成された一実施形態によるジャック検出回路の概略図を示している。
【0071】
【
図5】一実施形態によるシステムを生成するためにマイクロコントローラと相互作用する主マイクロコントローラおよびサブシステムの概略図を示している。
【0072】
【
図6A】一実施形態による任意の振幅の二重刺激パルスを示すグラフを示している。
【0073】
【
図6B】一実施形態による任意の振幅の二相二重刺激パルスを示すグラフを示している。
【0074】
【
図6C】一実施形態による任意の振幅の二重刺激パルスに続く単一の電荷平衡パルスの使用を示すグラフを示している。
【0075】
【
図6D】一実施形態による任意の振幅の二重刺激パルス列の各パルスに続く指数関数的な立ち上がりの電荷平衡パルスを示すグラフを示している。
【0076】
【
図7A】一実施形態による電極構成が単極であり、単一の電極パッドがキャリアの最も厚い部分に存在する装置の一実施形態の斜視図を示している。
【0077】
【
図7B】単一の電極パッドのリード線への取り付けを示す一実施形態によるキャリアの断面図を示しており、リード線は、テール部分においてキャリアから外部に出されている。
【0078】
【
図8A】一実施形態による装置の斜視図を示しており、リードケーブルがキャリアの後端から長手軸に沿ってキャリアの外へと出されている。
【0079】
【
図8B】一実施形態による管状の構造体の周りに巻き付けられたキャリアに係合したロック機構の斜視図を示している。
【0080】
【
図8C】一実施形態による装置の斜視図を示しており、リードケーブルが長手軸に垂直にキャリアの外へと出されている。
【0081】
【
図9A】一実施形態による装置の後面図を示しており、装置のテール部分から始まり、電極を配置するために使用される単一の貫通孔を示している。
【0082】
【
図9B】
図3Aに示した装置の斜視図を示し、貫通孔の出口部分を強調している。
【0083】
【
図10A】一実施形態による電極の構成が2つの電極パッドを備える双極である装置の一実施形態の斜視図を示している。
【0084】
【
図10B】一実施形態による電極の構成が3つの電極パッドを備える三極である装置の一実施形態の斜視図を示している。
【0085】
【
図11A】一実施形態による電極の構成が金属箔から作られ、キャリアの溝付き部分に沿って長手方向に配向された2つの電極パッドを備える双極である装置の一実施形態の斜視図を示している。
【0086】
【
図11B】一実施形態による電極の構成が金属箔から作られ、キャリアの溝付き部分に沿って長手方向に配向された3つの電極パッドを備える三極である装置の一実施形態の斜視図を示している。
【0087】
【
図11C】一実施形態による電極の構成が金属箔から作られ、キャリアの溝付き部分に沿って長手方向に配向された2つの電極パッドを備える双極である装置の一実施形態のより近付いた斜視図を示している。
【0088】
【
図12】一実施形態によるロック機構が円形ストラップである実施形態の斜視図を示している。
【0089】
【
図13】一実施形態によるロック機構がキャリアに沿って長手方向に並べられた一連の開口ペアならびに開口と係合する1対の突起またはボタンである実施形態の斜視図を示している。
【0090】
【
図14】一実施形態による視覚インジケータを含む接着パッチが電極装置のリード線の近位端に結合した実施形態の斜視図を示している。
【0091】
【
図15A】一実施形態による接着パッチが単極針電極に結合し、パッチがリターンとして機能する実施形態の斜視図を示している。
【0092】
【
図15B】一実施形態による粘着パッチ刺激装置の回路層の上面図を示している。
【0093】
【
図15C】一実施形態による導電性ゴム皮膚インターフェース、回路層、およびエラストマー保護層を備える接着パッチ刺激システムのアセンブリの分解図を示している。
【0094】
【
図16A】一実施形態に従って周囲組織から関心の組織を単離するために使用されるポリマー背景材料に結合したキャリアを示す装置の一実施形態の斜視図を示している。
【0095】
【
図16B】周囲組織から関心の組織を単離するために使用されるポリマー背景材料に結合したキャリアを示す装置の一実施形態の斜視図を示しており、一実施形態に従い、切断された神経が背景材料上に位置している。
【0096】
【
図16C】装置の一実施形態の斜視図を示しており、一実施形態に従い、神経を包むように折り曲げられているが、依然として周囲組織から関心の組織を単離するために使用されるポリマー背景材料に部分的に結合しているキャリアを示しており、切断された神経が背景材料上に位置している。
【0097】
【0098】
【0099】
【0100】
【0101】
【
図18A】キャップ要素に結合した電気リードの一実施形態を示している。
【0102】
【
図18B】電気回路を備えるキャップ要素の一実施形態を示している。
【0103】
【
図18C】キャップ要素に固定されるように構成されたアセンブリの一実施形態を示している。
【0104】
【0105】
【
図18E】キャップ要素を備える電気リードの一実施形態を示している。
【0106】
【
図19】露出した導電性接点を含む接着パッチの一実施形態を示している。
【0107】
【
図20A】導電性要素を含む検証アセンブリの一実施形態を示している。
【0108】
【
図20B】検証バーとインターフェースしたカフ電極装置の一実施形態を示している。
【0109】
【
図20C】検証バーとインターフェースしたカフ電極装置の一実施形態を示している。
【0110】
【
図20D】検証バーとインターフェースしたカフ電極装置の一実施形態を示している。
【0111】
【
図21A】刺激源を含むハウジングに結合した経皮リードからなる電極の一実施形態を示している。
【
図21B】刺激源を含むハウジングに結合した経皮リードからなる電極の一実施形態を示している。
【0112】
【
図21C】刺激源を含むハウジングに結合した経皮リードからなる電極の一実施形態を示している。
【0113】
【
図22】本明細書に開示されるシステムおよびデバイスを使用するための方法の実施形態を示すフロー図を含んでいる。
【
図23】本明細書に開示されるシステムおよびデバイスを使用するための方法の別の実施形態を示すフロー図を含んでいる。
【0114】
【
図24】一実施形態による記載されたシステムを使用する術中環境における損傷神経の位置特定および治療のプロセスを示す流れ図である。
【0115】
【
図25】別の実施形態による本明細書に開示されるシステムおよびデバイスを使用する術中環境における損傷神経の位置特定および治療のプロセスを示す流れ図である。
【0116】
【
図26】別の実施形態による本明細書に開示されるシステムおよびデバイスを使用する損傷神経の位置特定および治療のプロセスを示す流れ図である。
【0117】
【
図27】神経再生治療を提供するために、挿入器具を使用して経皮的に電極を挿入し、刺激装置を接続するプロセスを示す処置図の一実施形態を示している。
【0118】
【
図28A】神経再生治療を提供するために身体構造の種々の位置に経皮的に電極を配置する実施形態を示している。
【
図28B】神経再生治療を提供するために身体構造の種々の位置に経皮的に電極を配置する実施形態を示している。
【
図28C】神経再生治療を提供するために身体構造の種々の位置に経皮的に電極を配置する実施形態を示している。
【
図28D】神経再生治療を提供するために身体構造の種々の位置に経皮的に電極を配置する実施形態を示している。
【0119】
【
図29A】一体化された電子機器を有する表面パッチに接続された経皮配置の電極リードを使用して1つ以上の生体信号を刺激および測定する実施形態を示している。
【
図29B】一体化された電子機器を有する表面パッチに接続された経皮配置の電極リードを使用して1つ以上の生体信号を刺激および測定する実施形態を示している。
【
図29C】一体化された電子機器を有する表面パッチに接続された経皮配置の電極リードを使用して1つ以上の生体信号を刺激および測定する実施形態を示している。
【
図29D】一体化された電子機器を有する表面パッチに接続された経皮配置の電極リードを使用して1つ以上の生体信号を刺激および測定する実施形態を示している。
【0120】
【
図29E】経皮配置の電極リードを用いた刺激および神経の周りのカフ電極を用いた生体信号の測定の一実施形態を示しており、どちらも一体化された電気機器を有する表面パッチに接続されている。
【0121】
【
図30】一実施形態に従って多チャネル電極をシステムにどのようにインターフェースさせることができるかについての概略図を示している。
【0122】
【
図31】一実施形態による神経再生および疼痛管理治療を対象者に提供するための手順、プロトコル、または方法の流れ図を概略的に示している。
【0123】
【
図32】一実施形態による神経再生および疼痛管理治療を対象者に提供するための手順、プロトコル、または方法の流れ図を概略的に示している。
【0124】
【
図33】一実施形態による神経再生および疼痛管理治療を対象者に提供するための手順、プロトコル、または方法の流れ図を概略的に示している。
【0125】
【
図34】一実施形態による神経再生および疼痛管理治療を対象者に提供するための手順、プロトコル、または方法の流れ図を概略的に示している。
【0126】
【
図35】刺激システムによって適用される疼痛軽減波形の一実施形態を示している。
【0127】
【
図36】神経再生治療と疼痛管理治療の両方を対象者に提供するように構成されたシステムの一実施形態を示している。
【0128】
【
図37A】一実施形態による術野において手で整形されている電極リードの斜視図を示している。
【0129】
【
図37B】一実施形態による術野において鉗子を使用して整形されている電極リードの斜視図を示している。
【0130】
【
図38A】一実施形態によるリード本体の全体的な長手方向軸からずれた形状に整形された電極リードの斜視図を示している。
【0131】
【
図38B】一実施形態による神経構造をおおむね取り囲み、あるいは包むように整形された電極リード線の斜視図を示している。
【0132】
【
図38C】一実施形態によるU字形に整形された電極リード線の斜視図を示している。
【0133】
【
図39A】一実施形態による神経とインターフェースするために使用される遠位平坦部分を有する電極リードの斜視図を示している。
【0134】
【
図39B】一実施形態による固定に使用される平坦な矩形フラップに神経をインターフェースする電極リードの斜視図を示している。
【0135】
【
図40A】一実施形態による電極リードの遠位端の縦断面図を示しており、整形可能なインサートを見て取ることができる。
【0136】
【
図40B】一実施形態による整形可能なリードアセンブリの一部分の縦断面図を概略的に示している。
【0137】
【
図41】一実施形態による2つの別個の領域を有する電極リードの外形図を示している。
【0138】
【
図42A】一実施形態による多管腔リードハウジングを軸方向から見た図を示している。
【0139】
【
図42B】一実施形態による管腔内の整形可能なインサートおよびワイヤの両方を示す多管腔リードハウジングの斜視図を示している。
【0140】
【
図43】一実施形態による鉗子での取り扱いに適した溝を備える電極リードの外形図を示している。
【0141】
【
図44A】一実施形態による同心リング接点を有する電極リードの近位端の外形図を示している。
【0142】
【
図44B】一実施形態による同心リング接点を有する電極リードの近位端を覆って引っ張られる挿入器具の外形図を示している。
【0143】
【
図44C】一実施形態による同心リング接点およびキー溝を有する電極リードの近位端の斜視図を示している。
【0144】
【
図45】一実施形態による立証条件のインジケータを有する電極リードの外形図を示している。
【0145】
【
図46A】一実施形態による導電性要素の近位での固定のために使用される生体接着性テープを有する電極リードの斜視図を示している。
【0146】
【
図46B】一実施形態による導電性要素の間での固定のために使用される生体接着性テープを有する電極リードの斜視図を示している。
【0147】
【
図47】一実施形態による生体接着剤送出装置および光に基づく硬化装置の斜視図を示している。
【0148】
【
図48A】一実施形態による生体接着剤送出装置の斜視図を示しており、生体接着剤送出装置は、光源および送出装置の遠位端に位置するより小さい照明領域を含む。
【0149】
【
図48B】一実施形態による生体接着剤送出装置の斜視図を示しており、生体接着剤送出装置は、光源および送出装置の遠位端に位置するより大きい照明領域を含む。
【0150】
【
図48C】電極リードを神経に固定するために生体接着剤を送出する光源を備える一実施形態による生体接着剤送出装置の斜視図を示している。
【0151】
【
図49A】一実施形態による生体接着剤の送出に使用される灌流開口を有する電極リードの長手方向の図を示している。
【0152】
【
図49B】一実施形態による生体接着剤の送出に使用される複数の灌流開口を有する電極リードの長手方向の図を示している。
【発明を実施するための形態】
【0153】
本明細書に記載の装置、システム、および関連の方法は、外科的処置の最中に使用され、神経組織の位置を特定し、神経組織の興奮性を試験し、かつ/または目的の神経組織(例えば、損傷した神経組織)を治療するための神経再生治療(例えば、電気刺激)を提供することができる。本明細書に開示される実施形態は、末梢神経に使用可能であるが、例えば自律神経系の神経または中枢神経系の神経など、他の種類の神経も目的とすることができる。例えば、末梢神経として、上肢の正中神経、下肢の坐骨神経、より小さい神経(例えば、胸部の肋間枝)、などを挙げることができる。自律神経として、これに限られるわけではないが、迷走神経を挙げることができる。中枢神経系の神経は、脊髄または脳に
存在し得る。
【0154】
いくつかの実施形態によれば、本明細書に開示されるシステムおよび方法は、組織再神経支配を促進することによって、電気刺激による損傷組織の治療および神経障害疼痛の軽減の両方を目的とするアプローチを提供するように構成される。
【0155】
いくつかの実施形態において、本明細書に記載のシステムは、神経再生治療の1つ以上のバウトおよび別個の疼痛管理治療をもたらすことができる。他の構成においては、組織再神経支配の促進につながる神経再生治療の複数のバウトをもたらすことができる。そのような実施形態において、患者または他の対象者について慢性の疼痛または他の長期の疼痛の発症の可能性を減らすことができる一方で、疼痛管理波形の印加が、短期の急性の疼痛を軽減することができる。
【0156】
いくつかの実施形態において、損傷した神経に狙った電気刺激治療をもたらすように構成されたシステム(および、対応する方法)は、さまざまな身体構造領域、損傷した神経、神経の直径、および神経損傷の種類などのさまざまな損傷および臨床ワークフローのニーズに容易に適合可能である。システムは、(例えば、神経再生のために)接続される神経インターフェースをシームレスに交換して神経再生治療を提供する可能性を、ユーザに好都合に提供することができる。本明細書に開示される実施形態は、所望または必要に応じて、手術前、手術時、術後、またはこれらの組み合わせにおいて神経再生治療を適用するための柔軟性をユーザに提供する。神経再生治療の提供を、所望または必要に応じて、疼痛管理治療の提供の前、最中、および/または後に行うことができる。
【0157】
加えて、システムおよび方法は、物理的自己検証または自動検証ステップのいずれかによって電極および/またはシステムの完全性を検証する手段を提供することによって、刺激電極が正しく機能していることの確認を可能にする。これは、運動神経が切断され、物理的反応(例えば、筋収縮)が存在しない状況、または純粋な感覚神経が切断され、始めから物理的反応が存在しない状況において、好都合になる。この同じ検証方法は、電極を通る電流の流れを監視することによって、神経再生治療の安全かつ継続的な提供を可能にする。
【0158】
いくつかの実施形態において、本明細書に開示されるシステムおよび方法は、ユーザが、神経再生治療の開始に先立ち、同じ神経インターフェースまたは異なる神経インターフェースを使用して神経の位置特定のタスクを実行することをさらに可能にする。さらに、システムは、刺激パラメータ、システムモード、および治療時間を制御する単一のボタンを備えるように構成され、訓練および複雑さを最小限に抑える臨床医にとって使いやすいインターフェースを提供する。
【0159】
長時間の刺激のために適切な神経インターフェースを収容し、神経再生を加速するために損傷した神経に電気刺激をもたらすことができる意図的に設計されたシステムが、必要とされている。多くの医療分野にとって、開示されたシステムおよびインターフェースを使用して神経再生を促進することが有利となり得る。これらの分野には、形成外科、整形外科、耳鼻咽喉科、口腔外科、および神経外科が含まれるが、これらに限定されない。さらに、本開示の装置の使用から改善されると考えられる臨床診断として、これらに限られるわけではないが、鋭い裂傷、神経離断、神経圧迫、圧迫性神経障害、神経のがん損傷、末梢神経障害、医原性神経損傷、出産時腕神経叢麻痺、新生児腕神経叢麻痺、顔面麻痺、および神経根障害が挙げられる。
【0160】
より具体的には、本開示のシステムおよびインターフェースは、術中使用および/または周術期使用のために設計され、以下の状況、すなわち神経切断、神経減圧、神経移行、
神経移植、神経溶解、神経同種移植、胸腔出口減圧、手根管解放、肘部管解放、および足根管解放において、手術結果を改善することができる。:これらの列挙された例は、本開示の装置から利益を得ることができるが、列挙は網羅的ではなく、どのような医学的状態を治療できるかについての例を提示するにすぎない。
【0161】
さらに、上記列挙の神経損傷のうちの1つ以上の後で、患者は、不完全または不充分な神経再生によって疼痛を経験する可能性がある。疼痛は、損傷した神経経路および遠位に接続された組織に沿って異痛症または痛覚過敏として現れる可能性がある。本開示のシステムおよび方法を、これらの損傷した神経に疼痛管理治療を提供するために使用することができる。
【0162】
いくつかの構成においては、特定の外科的処置(例えば、複雑または面倒な外科的処置)の過程において、神経が視認できない可能性があり、かつ/あるいは結合組織、瘢痕組織、および/または他の種類の組織によって取り囲まれている可能性がある。神経ロケータなどの装置を使用し、電気刺激を使用して組織を調べ、組織が神経であるかどうかを試験および確認することができる。さらに、神経移行処置に先立って神経束の運動成分を試験するために神経ロケータが使用される場合がある。
【0163】
いくつかの実施形態において、神経は、横断または切断(例えば、部分的に横断、大部分が横断、完全に横断、など)され、押しつぶされ、かつ/または他の様相で損傷し、もしくは傷つく可能性がある。そのような場合、損傷した神経について、刺激治療の適用が有益となり得る。例えば、いくつかの実施形態において、短いが連続的な電気刺激を損傷した神経の近位セグメントに加えることで、目的の神経に治療および/または他の利益をもたらすことができる。いくつかの実施形態において、そのような治療は、損傷した神経の神経再生を加速することができる。この治療は、本明細書において、神経再生治療と呼ばれる。
【0164】
いくつかの実施形態において、神経再生治療の単一のバウトの適用が、他の利益および利点のうちでもとりわけ、患者が慢性の疼痛を発症する可能性を低減し、残留感覚異常を減少させ、微細運動能力を向上させるという結果を最終的にもたらす組織再神経支配の促進につながり得る。
【0165】
いくつかの構成において、神経再生治療の複数のバウトの適用が、他の利益および利点のうちでもとりわけ、患者が慢性の疼痛を発症する可能性を低減し、残留感覚異常を減少させ、微細運動能力を向上させるという結果を最終的にもたらすことができる組織再神経支配の促進につながり得る。
【0166】
本明細書に開示される種々の実施形態は、1つ以上の利点を提供する。例えば、本明細書に記載の装置およびシステムは、神経の位置特定/試験機能、損傷した神経の治療(例えば、神経再生)のための神経再生治療(例えば、連続刺激、断続的刺激、など)、および疼痛管理治療の両方をもたらすように設計および構成されたハンドヘルドの二重目的技術として機能する能力を提供する。記載される実施形態のさらなる利点は、双極および単極刺激神経プローブならびにシステムとインターフェースさせることができる他のプローブまたは電極の間で、切り替えが可能なことである。
【0167】
いくつかの実施形態において、外科医または他の施術者は、本明細書で開示される種々の装置、システム、および/または方法を使用することによって利益を得る。例えば、本明細書に開示される種々の実施形態は、完全に統合されてよく、複数(例えば、2つ以上、別個、など)の装置および/またはシステムを置き換えることができ、片手を使用して制御することができ、かつ/あるいは1つ以上の利益または利点を提供することができる
。
【0168】
本明細書で論じられる実施形態の1つ以上によって提供される別の利益は、本開示の装置/システムが所定の期間にわたって連続刺激を適用することができ、損傷組織を治療するために使用されるときにシステムをハンズフリー(例えば、刺激エネルギーをもたらすためにボタンまたは他のコントローラを操作または使用する必要がない)で使用できることである。
【0169】
全体的なシステムの概要
一実施形態において、システムは、ハウジング、神経プローブ、追加の電極用のポート、視覚インジケータ、電源、刺激パルス発生器/コントローラ、中央処理ユニット、およびユーザ制御部を備える。
図1の概略図をとくに参照すると、システム100を、複数の構成で機能するように構成することができる。
図1および/または本開示の他の図に具体的に示されていないが、システムのさらなる構成も存在し得る。本明細書に開示されるあらゆる実施形態において、装置またはシステムは、所望に応じ、あるいは必要に応じて、より少数の構成要素および/または特徴を含んでもよい。例えば、いくつかの構成において、装置またはシステムは、視覚インジケータおよび/または電源などを含まない。
【0170】
一構成において、神経プローブ102は双極性であり、すなわち、刺激発生器に内部接続された2つの別個の電極導体を備える。別の構成において、やはり
図1に示されるように、神経プローブは双極性であってよく、すなわち2つの別個の電極導体を備える。しかしながら、図示の構成において、導体104を内部で互いに短絡させて、本質的に単一のプローブを生成することができる。この接続されたプローブは、いくつかの実施形態において、適切なリターン電極がシステムの電極ポート106に接続される場合に、単極プローブとして機能することができる。
図1に概略的に示されるように、リターン電極108は、リターン経路が存在する限りにおいて、針、表面パッド、および/または別の導電性材料を備えることができる。そのような実施形態に関するさらなる詳細が、本明細書において提供される。
【0171】
上述の構成において、システム100を使用し、神経プローブまたは神経プローブの付近に刺激をもたらして、神経組織を探査することができる。したがって、システム100を、神経ロケータまたは評価器として使用することができる。双極構成または単極構成が、探査中の神経の場所または実行中の外科処置の種類に応じて、外科医にとって有利となり得る。
【0172】
やはり
図1に示される実施形態など、さらに別の構成においては、神経とインターフェース(例えば、直接的、間接的、など)するように構成されたカフ型電極110を、システムの電極ポートに接続することができる。そのような実施形態は、損傷した神経に神経再生治療を施すうえで有利であり得る。そのような構成において、刺激出力は、神経プローブではなく、差し込み式の電極へと(例えば、完全に)駆動されてよい。
【0173】
いくつかの実施形態において、ポートに差し込まれる電極は、1つ以上の電極接点を備えることができ、電極ポートを介して刺激発生器に物理的に接続されてよい。使用される正確な構成にかかわらず、本出願のいくつかの実施形態においては、システムを、電極がポートに差し込まれているか否か、およびどの電極がポートに差し込まれているかを検出し、適切な刺激が出力されて駆動されていることを保証するように構成することができる。システムの種々の実施形態、構成要素、部分、および/またはサブシステム、などに関するさらなる詳細が、以下で提示される。
【0174】
ハウジング
いくつかの実施形態において、
図2Aに示されるように、システムは、所望に応じ、あるいは必要に応じて、ユーザ制御部116、視覚インジケータ118、電源、刺激パルス発生器/コントローラ、中央処理ユニット、ならびに/あるいは任意の他の構成要素または部分を含むことができるハウジング114を備えることができる。図示のように、ハウジングは、所望に応じ、あるいは必要に応じて、例えば、熱可塑性タイプの材料(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ポリアミド、ポリエステル、ポリウレタン、など)、熱可塑性エラストマー(例えば、いくつかの実施形態において、柔らかい把持可能なテクスチャをもたらす)、金属または合金(例えば、ステンレス鋼、アルミニウム、他のブラシ処理または研磨された金属または合金、など)、ならびに/あるいは複合材料、などの1つ以上の材料を含むことができる。
【0175】
いくつかの実施形態においては、ハウジングおよび付随する内部構成要素を、再使用されるように構成することができる。したがって、そのような構成要素または部分を、滅菌および/または他のやり方で洗浄されるように、設計および他のやり方で構成することができる。例えば、システムを、エチレンオキシド、二酸化塩素、気化した過酸化水素、ガンマ線、および/または電子線、などへの曝露によって滅菌することができる。
【0176】
いくつかの実施形態によれば、ハウジングは、
図2Bに示されるように、外科医の手に人間工学的にフィットするように設計される。したがって、いくつかの構成において、ハウジングは、溝またはスカラップ120で形作られ、かつ/またはハウジングは、ユーザの利き手(例えば、右利きまたは左利き)に関係なく保持を容易にするための人間工学的形状を含む。他の実施形態において、ハウジングは、ユーザの単一の利き手(例えば、右利きまたは左利き)に合わせて特定的に設計される。そのような溝またはスカラップ120は、対称、非対称、整列、オフセット、および/または他のやり方で構成されてよい。図示のように、一実施形態において、溝120の最も深い部分は、0.1~10mm(例えば、0.1~0.2、0.2~0.3、0.3~0.4、0.4~0.5、0.5~0.6、0.6~0.7、0.7~0.8、0.8~0.9、0.9~1、1~2、2~3、3~4、4~5、5~6、6~7、7~8、8~9、9~10mm、これらの間の距離、など)の範囲でハウジングの最も幅広い部分からオフセットされてよい。
【0177】
いくつかの実施形態において、溝120は、長手軸、水平軸、ハウジングの下側、または上記の組み合わせに沿ってよい。例えば、
図2Cを参照されたい。いくつかの実施形態において、ハウジングは、近位端122および遠位端124を備える。遠位端124は、視覚インジケータ118および神経プローブ102あるいはそれらの組み合わせを含むことができる。いくつかの実施形態において、近位端は、神経プローブ102を含むことができる神経ポート106を備える。
【0178】
いくつかの実施形態において、遠位端および近位端は、同一直線上にあっても、オフセットされていてもよい。例えば、いくつかの構成において、遠位端および近位端は、1°~30°(例えば、1~2、2~3、3~4、4~5、5~6、6~7、7~8、7~8、8~9、9~10、10~15、15~20、20~25、25~30、5~25、10~20°、これらの範囲の間の角度、など)の範囲の角度だけオフセットされ、結果として(例えば、近位端に対して)斜めの遠位端がもたらされる。いくつかの実施形態において、そのような斜めの遠位端の構成は、例えば
図2Cに示されるように、装置の使用を好都合に容易にすることができる。さらに、角度のオフセットは、例えば外科医または他の施術者が他の手術作業を行うためにハウジングを脇に置く場合など、緩やかに傾斜した表面または起伏のある表面に配置された場合に、ハウジングの(例えば、テーブル、カート、他のプラットフォーム、などからの)転がり防止に役立つことができる。
【0179】
いくつかの実施形態において、ハウジングの長さ、または近位端から遠位端までの距離
は、10~40cm(例えば、10~15、15~20、20~25、25~30、30~35、35~40、15~25、20~40cm、これらの範囲の間の長さ、など)であってよい。他の実施形態において、ハウジングの長さは、所望に応じ、あるいは特定の用途または使用によって要求されるとおりに、10cm未満または40cm超であってよい。さらに、ハウジングの幅(例えば、直径または断面寸法)は、0.5~3cm(例えば、0.5~1、1~1.5、1.5~2、0.5~2、2~2.5、2.5~3cm、これらの範囲の間の幅、など)であってよい。
【0180】
いくつかの実施形態において、ハウジングの近位端は、ハウジングに物理的に接続されたフック状、または他の湾曲し、もしくは斜めにされた延長部、あるいは閉じたリングを含む。いくつかの構成においては、延長部を使用して、ハウジングをIVポールおよび/または別の種類のフックなどから吊り下げることができる。
【0181】
いくつかの実施形態において、ハウジングは、バッテリとインターフェースするプルタブを容易にするためのスロットまたは開口部を含むことができる。プルタブは、バッテリ接点の分離を可能にし、システムへの電力供給を防止することが可能であってよい。これは、とりわけシステムの保管寿命を延ばすがゆえに好都合である。いくつかの実施形態において、プルタブのスロットまたは開口部は、ハウジングの近位端に位置し、あるいはハウジングの近位端に沿って位置し、スロットの幅は、5mm~30mm(または、ハウジングの幅)の範囲であってよい。スロットの高さは、0.1~2mm(例えば、0.1~0.2、0.2~0.3、0.3~0.4、0.4~0.5、0.5~0.6、0.6~0.7、0.7~0.8、0.8~0.9、0.9~1、1~1.5、1.5~2mm、これらの範囲の間の高さ、など)の範囲であってよい。
【0182】
図2A~
図2Dに示されるように、システム100は、もたらされる刺激のパラメータを調整するためのユーザによって操作可能な第1組の制御部116を備えることができる。いくつかの実施形態において、システムは、神経活性化のしきい値などを決定(例えば、しきい値試験)するために、例えば刺激の振幅またはパルス幅などの刺激パラメータをユーザが離散的に制御することを可能にするように構成される。これは、神経が瘢痕組織および/または他の組織に包まれる場合(例えば、脱分極に比較的大きな刺激電流が必要である)に、とくに重要であり得る。瘢痕および/または他の妨げとなる組織を切開することで、必要な活性化電流を少なくできる可能性がある。
【0183】
一実施形態において、制御部は、2つのボタンを含むことができる。別の構成において、第1組の制御部は、スライダあるいは同様の機能または装置を含むことができる。さらに別の構成において、第1組の制御部は、ホイール制御部(例えば、ローラ、ホイール、など)を含むことができる。しかしながら、スライダおよび/またはホイール制御部に代え、あるいは加えて、任意の他の種類の制御部(例えば、ボタン、ダイヤル、など)を装置に組み込むことができる。いくつかの構成において、ホイール制御部を使用する場合、離散的なステップの組が、刺激の振幅の調整を可能にすることができる。したがって、ホイールおよび/または任意の他の制御部を、離散的なステップまたは位置の間を移動するように構成することができる。しかしながら、他の構成において、刺激の振幅を、或る範囲の非離散的なレベルにおいて(例えば、振幅の連続的なスペクトルにおいて)選択することができる。いくつかの構成において、ホイールを、ホイールの動きを離散化するために、ロータリエンコーダに結合させることができる。他の構成において、ロータリエンコーダは、制御を行うユーザに触覚フィードバックを提供するための戻り止めを含むことができる。
【0184】
いくつかの構成によれば、システムは、ユーザによる操作が可能な第2組の制御部をさらに含むことができる。そのような第2の制御部を、治療の開始または中断を開始、停止
、および/または一時停止させるように構成することができる。一実施形態においては、第2の制御部を使用して、システムの電源をオンおよびオフにすることができる。いくつかの構成において、第2組の制御部は、ユーザによる操作が可能な第1組の制御部の近くに配置されてよい。一実施形態において、第2の制御部は、第1のユーザ制御部の一部であってよい。例えば、スライダまたはホイール制御部を、スライダまたはホイール制御部を押し込むことでモメンタリースイッチなどが作動するように、スイッチに結合させることができる。任意の他の種類の制御部(例えば、ボタン、スイッチ、フットペダル、タッチスクリーン、など)を使用することが可能である。
【0185】
一実施形態において、システムは、システムへの電力を制御するための(例えば、本明細書において説明されるとおりの)プルタブ制御部を備える。いくつかの構成において、システムは、システムへの電力を制御するために使用されるスイッチまたはボタンを含む。
【0186】
いくつかの実施形態によれば、本明細書においてさらに詳細に説明されるように、システムは、ハウジングに結合(例えば、物理的に結合、動作可能に結合、など)した神経ポート106をさらに含むことができる。これにより、ユーザが別個の電極をシステムに接続する(例えば、物理的または動作的に結合させる)ことができる。制御部として、別個の電極をシステムに差し込み、あるいは物理的に接続する行為によって、システムの構成において前述したようにシステムの動作モードが変更されてもよい。
【0187】
図2A~
図2Dに示されるいくつかの実施形態において、神経ポートは、ハウジングの近位の態様122に含まれてよい。いくつかの構成において、神経ポートは、ハウジングの長手軸に平行な接続を可能にすることができる(例えば、
図2Dを参照されたい)。他の構成において、神経ポートは、接続された構成要素のコネクタがハウジングの長手軸に対して垂直(例えば、正確に垂直、またはおおむね垂直、あるいは実質的に垂直)になるように備えられてもよい。一実施形態においては、別個の電極をシステムに差し込み、あるいは物理的に接続する行為が、システムの電源をオンにすることを可能にする。
【0188】
電極が存在し、システムに物理的に接続されているかどうかを検出するために、
図3に示されるように、修正されたジャック130が神経ポートと共に含まれてよい。例えば、いくつかの実施形態において、ジャック130は、(例えば、IEC 60601に従って設計された)タッチ防止ジャックを備えることができる。修正されたジャックは、メインピン134に物理的に接触することができる可撓接点132を含むことができる。しかしながら、このような実施形態において、電極リードコネクタが導き入れられると、可撓接点とメインピンとの間の物理的接続が断たれるように構成することができる。いくつかの構成において、ジャックは、1つ以上の可撓接点を含むことができる。他の構成において、接続されるプラグの正しい極性を保証するために、極性スタンドオフ136がジャック130と共に含まれてよい。いくつかの実施形態においては、複数のピン/接点または同等物を有する標準的なタッチ防止ジャック130が使用される。他の実施形態において、ジャックまたはカップリング130は、所望に応じ、あるいは必要に応じて、別の構成または設計(例えば、別の一式の特徴または構成要素を備える)であってよい。
【0189】
いくつかの実施形態において、ジャック上の接点は、例えば
図4に示されるように、ジャック検出回路142に配線されてよい。この回路142は、マイクロコントローラと、接続の状態を検出するために使用することができる受動構成要素とを含むことができる。
【0190】
一実施形態において、回路142は、ヘッドセットを検出するために携帯電話業界で使用される標準的なジャック検出チップ142を含む。これらのチップは、NXP Semiconductors製のNCX8193またはMaxim Semiconduct
or製のMAX13330を含むことができるが、これらに限定されない。いくつかの構成においては、チップを、水分がジャックハウジングにおいて検出された場合にシステムによって全電力または他の設定を不可能にすることを可能にする水分検出の利点を含むように構成することができる。これは、例えば、システムが手術中の状況において使用される場合に生じ得る。
【0191】
インジケータ
いくつかの実施形態において、システムは、少なくとも1組のインジケータ118を備える。一実施形態において、第1のインジケータは、少なくとも2つの発光素子(例えば、LED)を互いに近くに配置することによって形成された棒グラフタイプのディスプレイを含むことができる。いくつかの構成において、第1のインジケータは、
図2Aに示されるように、マルチセグメント(例えば、7セグメント)ディスプレイを含むことができる。マルチセグメント(例えば、7セグメント)ディスプレイは、所望に応じ、あるいは必要に応じて、2つ以上の桁および小数位を含んでもよい。いくつかの実施形態において、第1のインジケータは、液晶ディスプレイ(LCD)、プラズマディスプレイ、陰極線管ディスプレイ(CRT)、有機発光ダイオードディスプレイ(OLED)、薄膜トランジスタディスプレイ(TFT)、および/または任意の他の種類のディスプレイを備えることができる。
【0192】
一実施形態において、そのようなディスプレイまたはインジケータの目的は、例えば、限定はしないが、振幅、パルス幅、周波数、持続時間、および/または他の時間パラメータ、などの刺激パラメータに関する情報を伝達することである。いくつかの構成において、ディスプレイは、例えばタイマまたはカウントダウンクロックなどの時間に関する情報を提供するように構成される。そのような情報は、治療の用途について残り時間または経過時間を判断するうえで有益かつ好都合であり得、損傷した神経組織または他の対象の神経組織の神経再生治療(例えば、短時間の電気刺激、他の種類の電気刺激、など)の実行において外科医または他の施術者を案内するうえで役に立つことができる。いくつかの構成において、刺激パラメータ、時間関連パラメータ、ならびに/あるいは任意の他のデータまたは情報の組み合わせが、インジケータに表示される。そのようなデータおよび/または情報は、その正確な性質にかかわらず、ユーザによって制御されるスイッチなどによって交互のやり方で表示されてよい。いくつかの構成において、ユーザは、インジケータによるデータおよび/または情報の提示の種類および/または方法(例えば、どのデータ/情報が提示されるか、どのようにユーザに提示されるか、など)をカスタマイズすることができる。
【0193】
例として、いくつかの構成によれば、第1組のインジケータは、システムに供給されている電力を示すために使用されてよい。一例において、前述のプルタブ(あるいは、同様の特徴または構成要素)がシステムへの電力供給を制御するために使用され、ユーザがタブを引っ張ると、第1のインジケータが点灯して、システムに電力が供給されていることを示すことができる。
【0194】
いくつかの実施形態において、システムは、所望に応じ、あるいは必要に応じて、さらなるインジケータを備える。例えば、システムは、第1のインジケータによって提示される追加のデータおよび/または情報(例えば、時間関連データまたは情報、刺激パラメータ、など)を施術者または他のユーザに好都合に提示することができるインジケータ118の第2の(または、追加の)組を含むことができる。いくつかの実施形態において、システムは、第3組のインジケータ118を含んでもよい。一実施形態において、第3組のインジケータ118は、ハウジングの遠位の態様または遠位の態様の近くに配置される。しかしながら、システムのインジケータは、いくつ含まれるか、どのデータ/情報を提示するように構成されるか、などに関係なく、所望に応じ、あるいは必要に応じて、任意の
場所に含まれてよい。例として、第3組のインジケータは、光パイプとして機能するキャップ126内に位置するLEDを備えることができる。そのようなキャップを、ハウジング114に物理的に(例えば、直接的または間接的に)結合させることができる。いくつかの構成において、キャップおよび光パイプを、例えば、ハウジングを(例えば、斜めの遠位の態様に起因して)上方、下方、側方、および/または後方から見る場合など、あらゆる方向からの視認性を可能にするように設計および/または他のやり方で構成することができる。
【0195】
いくつかの実施形態において、インジケータ(例えば、第1のインジケータ、第2のインジケータ、第3のインジケータ、など)を、システムの状態を表示するように構成することができる。例えば、第1のソリッド色が、出力の状態(例えば、アクティブまたは非アクティブ)を示すことができる。いくつかの構成において、出力を神経プローブに物理的に(例えば、直接的または間接的に)接続し、あるいは結合させることができる。したがって、例えば、いくつかの構成において、第1のソリッド色は、神経プローブがアクティブであるかどうかを示すことができる。1つの具体例において、前述のシステム構成を参照すると、第1のソリッド色は、神経プローブが双極構成または単極構成のいずれかにてアクティブであることを示すことができる。
【0196】
いくつかの実施形態において、インジケータの組(例えば、第3組のインジケータ)を、刺激の出力を示すために第1の色を点滅(例えば、オン/オフ)させるように構成することができる。いくつかの構成において、点滅のタイミングを、刺激パルスの出力に一致させることができる。いくつかの構成において、点滅は、刺激パルスの出力と非同期であってよい。所望に応じ、あるいは必要に応じて、インジケータ(例えば、異なるテキストおよび/またはグラフィック表現、異なる警告効果、など)によってユーザにデータおよび/または他の情報を提供するために、任意の他の種類の構成を使用することができる。
【0197】
いくつかの実施形態において、点滅は、脈動出力で置き換えられる。いくつかの構成において、脈動出力は、光強度を0から所定の最大値まで立ち上げ、次いで最大値から0まで下降させることを含むことができる。いくつかの構成において、脈動出力は、非ゼロの強度値から立ち上げを開始し、最大値から非ゼロの強度値への下降にて終わる。
【0198】
いくつかの実施形態において、視覚インジケータ(例えば、第3組の視覚インジケータ)を、刺激電極とリターン電極との間の開回路を示すために点滅または脈動するように構成することができる。1つの特定の例において、神経プローブの双極の先端の間に接触が存在しない場合、視覚インジケータの点滅または脈動を引き起こすことができる開回路が示される。別の特定の例において、システムが前述の単極構成で動作している場合、刺激電極とリターン電極との間の電流の欠如が、視覚インジケータの点滅または脈動を生じさせることができる。いくつかの実施形態において、第1の色を有するインジケータ(例えば、第3のインジケータ)の点滅が、0より大きい刺激設定で生じてよい。
【0199】
いくつかの実施形態において、インジケータ(例えば、第3のインジケータ)の点滅または脈動が、第2の色で生じ得る。いくつかの構成において、第2の色は第1の色と違ってよい。一例として、第2の色の点滅または脈動は、閉回路を示すことができる。一実施形態において、神経プローブの双極の先端の間に電流の接触が存在する場合、視覚インジケータの点滅または脈動を生じさせる閉回路の表示がもたらされる。別の特定の例において、システムが前述の単極構成で動作している場合、刺激電極とリターン電極との間に電流が存在するとき、視覚インジケータの点滅または脈動を作動または開始させることができる。
【0200】
いくつかの実施形態において、システムは、特定の用途または使用に関して所望され、
あるいは必要とされるように、インジケータ118の第4の(または、追加の)組を含むことができる。いくつかの構成において、第4組のインジケータは、神経ポート106の隣または付近に存在してよい。いくつかの実施形態において、第4組のインジケータは、神経ポート106の状態を示すことができる。いくつかの構成において、第4組のインジケータは、第3組(および/または他の組)のインジケータと同様に機能することができ、複数色のインジケータおよび/または同様の出力を備えることができる。
【0201】
上述のインジケータは、本明細書に記載の装置またはシステムの任意の実施形態に取り入れることができ、所望に応じ、あるいは必要に応じて、変更することが可能である。
【0202】
中央処理ユニット
いくつかの実施形態において、本明細書に記載の任意のシステム構成は、種々の電子機能、安全機構、などを備えたスマートシステムの一部であってよい。そのような特徴、機構、および/または他の特性のいくつかに関する詳細が、本明細書において提供される。
【0203】
いくつかの実施形態において、システムの制御サブシステムまたは中央処理ユニットを、マイクロコントローラ150に関連して(例えば、周囲に)構築することができる。いくつかの構成において、マイクロコントローラは、システムを適切かつ効果的に動作させるために、プログラムされ、コードを格納および実行し、かつ/または他のやり方で特定のタスクを実行するように構成される。いくつかの実施形態において、マイクロコントローラは、例えば時限刺激出力を可能にするタイミング機能を含む。他の実施形態において、マイクロコントローラは、本明細書に記載の少なくとも1つ以上のサブシステム152とインターフェースする(例えば、
図5を参照されたい)。
【0204】
電源
いくつかの実施形態において、本明細書に開示される任意のシステムを、比較的小さく、使い捨てであり、手持ちでの操作を含み、かつ/あるいは他の所望の特徴または必要とされる特徴を含むように設計することができる。他の構成において、システムは再使用可能であってよい。
【0205】
いくつかの実施形態において、システムは、バッテリ、AC電源、などのエネルギー源を使用して電力供給または通電される。いくつかの構成において、電源は、標準的なリチウムコイン電池を有するバッテリを備える。しかしながら、他の構成において、より大容量が必要とされる場合、N型電池または他の同様のアルカリ電池が代わりとなってよい。いくつかの構成において、バッテリは充電式であってよい。所望に応じ、あるいは必要に応じて、任意の他の種類のバッテリまたは他のローカル電源を使用することができる。
【0206】
いくつかの実施形態において、システムは、電力管理サブシステムを含むことができる。これらの実施形態において、電力管理サブシステムは、例えば、3~5Vの範囲内の安定した動作電圧を維持するための低ノイズ低ドロップアウトのスイッチング式レギュレータなどの1つ以上の下位構成要素を含むことができる。例えば、いくつかの実施形態においては、Texas InstrumentsのLP5912を使用することができる。
【0207】
いくつかの実施形態において、電力管理サブシステムは、組織の刺激に必要なより高い電圧を生成するための手段を有する第2の下位構成要素を備える。そのような実施形態において、電力管理サブシステムは、例えば、これに限られるわけではないが、Texas
InstrumentsのTPS61096Aなどの低電力昇圧コンバータを含むことができる。いくつかの実施形態において、より高い電圧範囲は、10~50V(例えば、10~15~15~20、20~25、25~30、30~35、35~40、40~45、45~50、20~40、25~35V、これらの間の値、など)の間であってよい
。
【0208】
いくつかの実施形態において、電力管理サブシステムの下位構成要素は、マイクロコントローラ150によって統制(例えば、有効化および無効化)される。他の構成においては、電極を神経ポート106に物理的に接続し、あるいは差し込む行為が、本明細書において説明したジャック検出回路142を介して電力管理サブシステムの下位構成要素を有効または無効にすることができる。
【0209】
いくつかの実施形態において、電力管理サブシステムは、傾斜センサを含むことができる。そのような傾斜センサを、データおよび/または他の情報をユーザに提供するように構成することができる。例えば、データまたは情報は、システムが平坦な表面に置かれたか、あるいは非水平な姿勢に保持されているかに関係することができる。いくつかの構成において、傾斜センサの出力は、電力管理サブシステムを介して低電力モードをもたらすことができる。
【0210】
出力段
いくつかの実施形態において、システムは、刺激出力段サブシステムを備える。いくつかの構成において、そのようなサブシステムの電気出力は、組織を選択的に刺激するように構成される。システムマイクロコントローラを、刺激出力段サブシステムによって調整される矩形刺激パルスを生成するように構成することができる。刺激出力段サブシステムを、刺激パルスを生成するように構成することができる。いくつかの実施形態において、刺激パルスは、二相定電流または電圧パルスを含む。
【0211】
いくつかの実施形態において、刺激出力段サブシステムは、例えば、組織にもたらされる正味の電荷がゼロであることを保証する役に立つように、容量結合による出力を備える。いくつかの実施形態において、刺激出力段サブシステムは、電流極性を切り替えるために使用されるHブリッジを備える。Hブリッジを、所望に応じ、あるいは必要に応じて、電流源に結合させることができる。いくつかの実施形態において、電流源は、ハウランド電流ポンプを備える。
【0212】
いくつかの実施形態によれば、刺激出力段サブシステムは、1~500マイクロ秒(例えば、1~5、5~10、10~20、20~30、30~40、40~50、50~60、60~70~70~80、80~90~100、100~120~120~140、140~160、160~180、180~200、200~250、250~300、300~350、350~400、400~450、450~500、0~20、1~30、0~40、0~50、0~100、50~150、100~200、100~300マイクロ秒、これらの範囲の間の持続時間、など)の範囲のパルス持続時間を有する刺激パルスを生成するように構成される。いくつかの構成において、サブシステムは、0~20mA(例えば、0~1、1~2、2~3、3~4、4~5、5~6、6~7、7~8、8~9、9~10、10~15、15~20mA、これらの間の値、など)の範囲の刺激パルス振幅を生成するように構成される。いくつかの構成において、サブシステムは、0.1~100Hz(例えば、0.1~0.5、0.5~1、1~2、2~3、3~4、4~5、5~10、10~15、15~20、20~25、25~30、30~40、40~50、50~60、60~70、70~80、80~90、90~100、20~80~40~60、10~70Hz、これらの間の周波数、など)の周波数範囲のパルス列を生成するように構成される。
【0213】
いくつかの実施形態によれば、パルス列154は、1~10ms(例えば、1~2、2~3、3~4、4~5、5~6、6~7、7~8、8~9、9~10ミリ秒、これらの間の間隔、など)の範囲のダブレットパルス156と呼ばれる短いパルス間間隔で隔てられ
た振幅Aの1つ以上のパルスを含む。そのような構成の一実施形態が、
図6Aに概略的に示されている。いくつかの実施形態において、ダブレットパルスの使用は、より大きな筋収縮または目に見える応答をもたらす筋肉の自然なキャッチ状の特性の利用を可能にする。
【0214】
いくつかの実施形態において、ダブレットパルス156は、個別に電荷平衡されてよく、すなわち、各々のダブレットパルスの後に、持続時間は等しいが極性が反対である電荷回復パルス158が続けられてよい。例えば、
図6Bを参照されたい。他の構成において、ダブレットパルスは、個々のダブレットパルス156の持続時間の合計に等しい持続時間の電荷回復パルス158が生じるように、全体として電荷平衡されてもよい。例えば、
図6Cを参照されたい。他の構成において、電荷回復パルスは、刺激器の出力のAC結合によって受動的に生成されてもよい。そのような実施形態は、
図6Dに示されるように、各々の出力パルスが後続する指数関数的に減衰する電荷回復パルス158を生成する(例えば、各々のダブレットパルスが、受動的に生成された電荷回復パルスを含むことができる)。いくつかの実施形態において、サブシステムは、神経線維を脱分極させて活動電位を誘発するための充分な刺激のパルス、振幅、および/または列を生成する。
【0215】
安全機構
患者の安全を確保するために、いくつかの実施形態においては、インピーダンスが10kOhm未満(例えば、10kOhm未満、9kOhm未満、8kOhm未満、7kOhm未満、6kOhm未満、5kOhm未満、4kOhm未満、3kOhm未満、2kOhm未満、1kOhm未満、など)である場合にのみ、神経組織に接触している刺激電極または神経プローブ106に電気エネルギーがもたらされる。いくつかの実施形態において、電気エネルギーは、インピーダンスが0~10kOhmの間(例えば、0~1、1~2、2~3、3~4、4~5、5~6、6~7、7~8、8~9、9~10KOhm、これらの範囲の間のインピーダンス、など)である場合にのみ、神経組織に接触している刺激電極または神経プローブ106にもたらされる。
【0216】
いくつかの実施形態において、本明細書に開示される構成のいずれかによるシステムは、インピーダンス測定サブシステムを含む。そのようなサブシステムは、定電流源に結合し、さらに1組の電極に結合した回路を備えることができ、この回路で正弦波を生成することができる。いくつかの実施形態において、定電流源は、ハウランド電流ポンプを備えることができる。
【0217】
いくつかの実施形態において、正弦波は、マイクロコントローラのデジタル-アナログ変換器を使用して生成される。他の構成においては、マイクロコントローラのパルス幅変調出力が使用され、ローパスフィルタに結合させられる。いくつかの構成において、ローパスフィルタは受動構成要素を備えるが、他の構成において、フィルタは能動構成要素(例えば、アクティブフィルタ)を備える。
【0218】
いくつかの実施形態において、インピーダンス測定サブシステムは、インピーダンスを測定するために使用される電極経路に結合した計装増幅器を含む。インピーダンス測定値を、サブシステム内で計算し、マイクロコントローラに(例えば、デジタル的に)送信することができる。他の構成において、マイクロコントローラは、アナログインピーダンス値をサンプリングし、値を内部でデジタル表現に変換する。
【0219】
いくつかの実施形態において、電極が神経組織に適切に接触させて配置されている場合、電極-組織インピーダンスは、電極が組織に接触していない場合のインピーダンスよりも小さくなる。いくつかの構成において、そのような状況におけるインピーダンスは、典型的には10kOhm未満(例えば、0~1、1~2、2~3、3~4、4~5、5~6
、6~7、7~8、8~9、9~10、3~8、1~10、4~8KOhm、これらの範囲の間のインピーダンス、など)である。このような低い抵抗は、健康な人間の内部組織が、電流が通過することができる比較的低抵抗の電気経路を提供するがゆえに、存在することができる。いくつかの実施形態において、しきい値(例えば、10kOhm)を超える抵抗は、電極の不適切な配置の指標となり得る。いくつかの構成において、システムは、そのようなしきい値を超える値を認識するように構成される。
【0220】
いくつかの実施形態において、システムは、電気刺激の連続的な印加の最中にインピーダンスを定期的に検出するように構成される。いくつかの構成においては、比較的高いインピーダンス(例えば、しきい値レベルまたは上限と比較して高い)が検出された場合に、システムを、連続的な電気刺激の印加を休止し、ハウジング114上のインジケータ118によってオペレータに警告することができるように、設計または他のやり方で構成することができる。他の構成において、システムは、刺激出力を終了し(例えば、自動的に停止させ)、かつ/またはユーザを促すように構成される。いくつかの実施形態において、インジケータは視覚インジケータを備えるが、他の実施形態において、インジケータは、視覚的表示に加え、あるいは代えて、聴覚インジケータおよび/または任意の他の種類のインジケータを含むことができる。
【0221】
本明細書において述べられるように、患者の安全性をさらに高めるために、いくつかの実施形態においては、電極組織界面への正味のDC電荷の流入を防止するために、システムの出力は容量結合される。
【0222】
神経プローブおよび電極
神経プローブ102を使用して、興奮性を検査するために組織を探査することができる。神経などの身体組織は、物理的手段、電気刺激、などを使用して探査されたときに筋肉へと活動電位を伝導し、筋肉の単収縮、反射、または収縮をもたらすことができる。いくつかの実施形態によれば、本明細書に開示される装置およびシステムは、ハウジングに物理的に結合し、刺激出力段サブシステムに電気的に結合した神経プローブを含む。
【0223】
いくつかの実施形態において、神経プローブは、ハウジングの遠位端から延びる円柱またはロッドの形状の単一の導電性要素を備える。他の実施形態において、導電性要素の形状は、さまざまであってよい。いくつかの構成において、神経プローブは、神経プローブの遠位の態様における小さな非絶縁の構成要素を除き、完全に(または、ほぼ完全に)電気的に絶縁される。例えば、神経プローブの大部分(例えば、70%超、70~100%、80~95%、など)が電気的に絶縁される。非絶縁の面積は、0.1mm2~10mm2(例えば、0.1~0.5、0.5~1、1~2、2~3、3~4、4~5、5~6、6~7、7~8、8~9、9~10、2~8、1~9、4~8mm2、これらの範囲内の面積、など)の範囲であってよい。いくつかの実施形態において、絶縁を、例えば1~30%(例えば、1~2、2~3、3~4、4~5、5~10、10~15、15~20、20~25、25~30%、これらの範囲内のパーセンテージ、など)などのさまざまな割合によってプローブを非絶縁とするように手動で構成することができる。
【0224】
いくつかの構成において、単一の導電性要素は、カソードまたは刺激電極として機能する。このような構成において、電流が流れるための適切なリターン経路が必要である。いくつかの実施形態において、リターン経路は、リターン電極を神経ポート106に接続することによって提供されてよい。リターン電極は、針、表面パッド、別の導電性要素、などを備えることができる。
【0225】
いくつかの実施形態において、神経プローブは、複数の導電性要素を備える。いくつかの構成において、導電性要素のうちの1つ以上を、リターン電極またはアノードとして機
能するように設計または他のやり方で構成できる一方で、導電性要素のうちの1つ以上を、カソードまたは刺激電極として機能するように設計および他のやり方で構成することができる。
【0226】
いくつかの実施形態において、導電性要素は、1つ以上の金属または合金(例えば、ステンレス鋼、白金、イリジウム、金、など)を含む。一構成において、導電性要素は、白金または90/10の白金イリジウム、金を含む。導電性要素は、所望に応じ、あるいは必要に応じて、任意の他の導電性金属、合金、および/または他の材料を含むことができる。
【0227】
いくつかの実施形態において、導電性要素の長さは、0.5~10cm(例えば、0.5~1、1~2、2~3、3~4、4~5、5~6、6~7、7~8、8~9、9~10、3~7、5~10、0~5cm、これらの範囲内の長さ、など)である。しかしながら、導電性要素の長さは、特定の用途または使用の要件を満たすために、10cmを超えてもよい。導電性要素の直径または他の断面寸法は、0.1~5mm(例えば、0.1~0.2、0.2~0.3、0.3~0.4、0.4~0.5、0.5~1、1~2、2~3、3~4、4~5、0.1~2、1~2mm、これらの範囲内の値、など)であってよい。しかしながら、導電性要素の直径(または、他の断面寸法)は、特定の用途または使用の要件を満たすために、5mmを超えてもよい。
【0228】
いくつかの実施形態において、システムは神経プローブを含まない。代わりに、そのような構成において、システムは、神経ポートに接続される適切な電極装置に依存することができる。いくつかの構成において、電極装置は、単極または双極のカテーテル型装置を含む。そのような構成は、周術期の状況においてとくに有利であることができ、リードを手術中に配置することができ、その形状ゆえに、閉じた切開部または経皮アクセス点から容易に除去することができる。
【0229】
いくつかの実施形態においては、神経カフ電極装置が、神経ポートに接続される。カフ電極は、手術中の状況においてとくに有利であることができ、切開された神経に容易にアクセスすることができる。しかしながら、本明細書で論じられるように、本出願で開示される任意の実施形態において、電極はカフ電極以外の構成を含むことができる。
【0230】
神経カフ電極装置10の特定の実施形態が、
図7~
図11に示される。図示のように、神経カフ電極装置10は、キャリア本体12を備えることができる。いくつかの実施形態において、キャリア本体12および/または装置10の他の部分は、例えばシリコーンゴム、他のエラストマーおよび/またはポリマー材料、ならびに/あるいは任意の他の材料などの1つ以上の絶縁材料を含む。ゴムに代え、あるいはゴムに加えて、例えば、これらに限られるわけではないが熱可塑性エラストマー、エラストマーポリウレタン、などの1つ以上の材料を使用することができる。いくつかの実施形態において、装置に含まれる材料は、使用中の動きによって破損、破砕、および/または他の損傷を来すことなく曲がることができるように、可撓性である。
【0231】
いくつかの実施形態において、電極装置10は、長さが幅よりも著しく長い長手方向の様相で配置される。例えば、いくつかの実施形態において、電極装置10の長さ対幅の比は、1:1~20:1の間(例えば、2:1、3:1、4:1、5:1、6:1、7:1、8:1、9:1、10:1、15:1、20:1、これらの範囲内の比、など)であってよい。いくつかの実施形態において、電極装置10は、2つの端部、すなわちヘッド部分16およびテール部分26を含む。
【0232】
図7Aに示されるように、装置10は、装置10に沿って長手方向または長さ方向に延
びる長手軸11を含むことができる。装置の長さは、20~80mmであってよい。装置10の幅(例えば、長手軸11に垂直な寸法)は、5~30mmであってよい。したがって、いくつかの実施形態において、装置10の長さは、装置の幅の2~5倍である。しかしながら、他の構成において、幅は長さ以上であってよい。いくつかの実施形態において、ヘッド部分16の厚さは、1.5mmであってよい。いくつかの構成において、厚さは、所望に応じ、あるいは必要に応じて、0.1mm~5mm(例えば、0.1~0.2、0.2~0.3、0.3~0.4、0.4~0.5、0.5~0.6、0.6~0.7、0.7~0.8、0.8~0.9、0.9~1、1~2、2~3、3~4、4~5mm、これらの範囲内の厚さ、など)の範囲であってよい。
【0233】
ヘッド部分は、丸みを帯び、外科医が電極装置を取り扱ううえで助けとなる把持構造18を含んでいるテーパ状の端部16を含むことができる。いくつかの実施形態において、把持構造18は、キャリアのテーパ状の端部の両側に存在する。しかしながら、他の実施形態において、把持構造18は片側だけに含まれる。いくつかの実施形態において、把持構造18は、隆起部、凹部、突出部、などを含む。いくつかの実施形態において、そのような構造18は、装置の表面または本体へと形成され、したがって、それらを含む部分と一体構造を形成する。例えば、隆起部または他の構造18を、装置の主要部分と一緒に成形(例えば、射出成形)することができる。しかしながら、他の構成において、把持構造18は、装置の主要部分とは別個であり、かつ/または装置の主要部分が形成された後に(例えば、1つ以上の接続技術または方法、材料の除去、などによって)生成される。いくつかの実施形態において、把持構造は、1つ以上の縫合糸を通すことができる貫通孔または複数の孔に置き換えられる。
【0234】
図7Aをさらに参照すると、装置10のテール部分26は、テーパ状でなくてもよい。しかしながら、他の構成において、テール部分26の少なくとも一部分は、所望に応じ、あるいは必要に応じて、テーパ状である。いくつかの実施形態において、テール部分26は、装置の取り扱いを容易にするために、丸みを帯びた角部または湾曲した角部を備える。いくつかの実施形態において、テール部分は、電極リード線の配置を可能にする長手軸11の貫通孔を取り囲むように、ヘッド部分よりも実質的に厚い1つ以上の領域を含む。いくつかの実施形態において、このより厚い領域は、ヘッド部分よりも1倍超厚くてよいが(例えば、1~5倍厚い、1~10倍厚い、1~20倍厚い、など)、溝付きの本体24よりも厚くなくてよい。いくつかの実施形態において、テール部分の厚さの増加は、溝付きの本体24の厚さの増加とは反対方向であってよく、電極リード線の収容を可能にするためのテール部分の底面から中央本体への斜め方向の貫通孔をさらに含むことができる。
【0235】
図7Aに示されるように、キャリアの中央部分は、溝付きの本体24および翼付きロック機構20という2つの特徴を含むことができる。いくつかの実施形態においては、溝付きの本体24を、外科医が電極装置10上に神経を配置したときに、神経の長手軸が電極の長手軸11に対して垂直(例えば、実質的に垂直)になり、神経自体が溝付きの本体のより薄い中央部分28に自然に落ち着くような構造および構成とすることができる。
【0236】
いくつかの実施形態において、翼付きロック機構は、長手方向におけるさまざまな位置に配置されてよく、各々の位置に1組(例えば、2つの翼)よりも多数を含むことができる。いくつかの実施形態において、ロック翼は、互い違いの配置で配置される。
【0237】
溝付きの本体24のより薄い中央部分28を、神経の配置を容易にし、装置のヘッド部分16が神経の周囲に(例えば、少なくとも部分的に周囲に)巻き付けられ、あるいは曲げられるように形作ることができる。神経の配置に関し、いくつかの実施形態において、より薄い中央部分28は、半円の形状あるいは他の円形または湾曲した形状に従う。これ
は、神経組織が電極装置10から滑り落ちることを防止する役に立つことができる。より薄い中央部分28の曲率半径は、1~10mm(例えば、1~2、2~3、3~4、4~5、5~6、6~7、7~8、8~9、9~10、2~8、4~8、5~10mm、これらの範囲内の半径、など)の範囲であってよい。いくつかの構成において、曲率半径は、所望に応じ、あるいは必要に応じて、10mmよりも大きい(例えば、10~15、15~20、10~20、10~50mm、これらの間の半径、50mmより大きい、100mmより大きい、など)。
【0238】
いくつかの実施形態において、溝付きの本体24のより薄い中央部分28は、平坦であり、電極装置10のヘッド部分16の接線である。中央部分の厚さは、0.1mm~5mmの範囲であってよい。上述の所望の湾曲した形状などのいくつかの構成において、最も薄い部分は、0.1mm(例えば、0.05mm~2mm)であってよい。いくつかの実施形態において、最も薄い部分は、電極装置10のヘッド部分16の最も厚い部分の10%(例えば、5~25%)であってよい。中央部分28の厚さを、ヘッド部分16が神経の周囲に巻き付けられたときの装置の可撓性の程度を調整するように、設計または他のやり方で構成することができる。
【0239】
いくつかの実施形態において、中央部分28の溝付きの本体24は、均一またはおおむね均一な厚さを備える。すなわち、中央部分は、接続されたヘッド部分16と同様の厚さであり、平坦な平面を提供する。いくつかの構成において、キャリアは、キャリア12の下面に配置された電極を含むことができる。いくつかの実施形態において、ロック機構を、キャリアが折り畳まれたときにヘッド部分16がテール部分の方向からロック機構に係合するように、逆向きに係合させることができる。
【0240】
いくつかの構成において、本明細書に記載の所望の湾曲した形状は、半円形の形状あるいはヘッド部分16に対して均一な厚さを有する他の部分的に丸みを帯びた形状または湾曲した形状に従う。いくつかの構成において、半円形の溝の基部は、神経配置のためのより大きな円周を形成するように、ヘッド部分16の平面の下方に少なくとも部分的に突出することができる。
【0241】
いくつかの実施形態において、溝は、以下でさらに概説されるようにさまざまな構成で存在してよい1つ以上の導電性電極30をさらに含む。いくつかの構成において、溝の目的は、神経の滑りを防止または制限しながら、神経とのインターフェースを容易にすることである。そのような構成は、いくつかの実施形態において、神経と導電性電極30との間の接触を促進することができる。神経が適所に配置されると、外科医または他の施術者は、キャリアのテーパ状のヘッド部分16を(例えば、鉗子、自身の指、他の装置または方法、などのいずれかを使用して)把持することができ、神経を(例えば、少なくとも部分的に)包むことができる。いくつかの実施形態においては、カフを適所にロックするために、テーパ状のヘッド部分16は、翼付きロック機構20の下方に配置される。電極装置を、さまざまな直径の神経または神経束を受け入れるように好都合に構成することができるため、外科医または他の施術者は、神経を充分に覆うような大きな、または小さな包囲圧力を加えることができる。テーパ状のヘッド部分16を確実にロックするために、外科医は、翼付きロックタブ22を横方向に撓ませ、テーパ状のヘッド部分16をその下方に配置し、次いでタブを解放することができる。
【0242】
一実施形態において、キャリアは、平坦または開放位置にて成形される。例えば、キャリアを曲げ、ロックタブ22の下方に配置することができる。いくつかの実施形態において、テーパ状のヘッド部分16をロックタブ22に対して押し付け、あるいは他の様相で駆り立てる自然の付勢力が存在し、テーパ状の部分が装置の長手軸11をさらに滑り下り、インターフェースされた神経を圧迫する可能性を防止する。
【0243】
いくつかの構成において、外科医または他の施術者は、電極装置10の使用を終えるときに、ロックタブ22を横方向に撓ませることができ、キャリアのテーパ状のヘッド部分16を、元の平坦または開放形状へと押し戻す付勢力によって跳ね戻るように構成することができる。そのような特徴は、インターフェースされた神経の迅速な解放を可能にすることができる。したがって、外科医または他の施術者は、その後に神経カフをテール部分26から引っ張り、インターフェースされた神経を傷めることなく神経の下方からスライドさせることができる。
【0244】
図7Aをさらに参照すると、単一の導電性電極パッド30が、キャリア24の溝付きの部分に配置される。いくつかの構成において、これは、キャリアの最も厚い部分であり、1つ以上の目的(例えば、電流の広がりを防止するための絶縁バリアを提供する、神経の周囲へと曲げられ、その後に解放される際の電極パッドの剥離の可能性を低減するための剛性を提供する、など)を果たす。
【0245】
いくつかの実施形態において、電極パッド30は、単極単一接点の構成を含む。電極パッド30にリード線32を(例えば、レーザまたは抵抗溶接、かしめ、他の技術または技法の使用、などによって)結合させることができる。いくつかの実施形態において、電極パッドとの物理的な導電接続が形成される。
図7Bが、電極装置10の中央平面を通る断面図を示している。図示のように、電極パッド30はリード線32に結合する。リード36の後端を電極装置から外部に出すことができる。
【0246】
いくつかの実施形態によれば、
図8Aに示されるように、リード36の後端は、キャリアの長手軸に平行またはおおむね平行に、キャリア26の後端から装置を出る。いくつかの構成において、神経14とインターフェースされたとき(
図8Bを参照)、翼付きロック機構20を使用してヘッド部分16が固定された装置10は、神経から好都合に遠ざかるように配置されたリード線を有する。リード線の偶発的な引っ張りまたは移動が、インターフェースされた神経14を長手軸に垂直な方向に近い方向に移動させることができる。別の実施形態においては、
図8Cに示されるように、リード線36の後端を、キャリア12の長手軸11に対して垂直に出すことができる。
【0247】
いくつかの構成においては、
図9Aに示されるように、電極パッド30およびリード線32が、貫通孔40を介してキャリアに接続される。いくつかの実施形態において、貫通孔は、キャリア26の後端の厚くされた部分42に切削され、あるいは他のやり方で生成される。いくつかの実施形態においては、
図9Bに示されるように、貫通孔が、キャリア26の後端からの直線であってよく、溝付きの本体24の孔または他の開口部46を通って出ることができる。
【0248】
いくつかの実施形態において、リード線32を含む貫通孔は、長手軸間の角度が変化する1つ以上の貫通孔を備える。このような構成は、
図7Bに示されるチャンバと同様のリード線32を配置することができるチャンバをもたらすことができる。いくつかの構成において、貫通孔の長手軸は、互いに45度(例えば、30~60度)の傾きである。いくつかの構成において、そのような角度は、所望に応じ、あるいは必要に応じて、0度~90度(0~10~10~20、20~30、30~40、40~50、50~60、60~70、70~80、80~90、45~90、45~60、15~45度、これらの範囲内の角度、など)である。
【0249】
いくつかの実施形態において、電極パッド30は、リード線が挿入される貫通孔よりも実質的に大きい、拡大された第2の電極領域34を介して装置に固定される。いくつかの実施形態では、電極パッド30は、装置の隣接部分に対して突出している。他の構成にお
いて、電極パッドは、装置の隣接部分に対して同一平面または凹状にインサート成形されてもよい。他の構成において、電極パッドは、所望に応じ、あるいは必要に応じて、拡大された第2の電極領域34によって固定され、かつ/または装置の隣接部分に対して同一平面または凹状である。
【0250】
いくつかの実施形態によれば、
図10Aに示されるように、電極装置10’の電極接点パッドは、単一の導電性パッドに限定されない。代わりに、図示のように、装置は、双極構成にて(例えば、単一の電極パッド30と同様のやり方で)配置された2つ(または、3つ以上)のパッドを含むことができる。双極パッド間の間隔は、5mmであってよい。いくつかの構成において、間隔は、0.1mm~5mmまたは0.1mm~電極装置の幅の範囲であってよい。
【0251】
神経内の軸索をより正確または選択的に刺激するために、
図10Bの電極装置10’’に示されるように、三極電極パッド構成を使用することができる。隣接する電極パッド間の間隔は、0.1mm~2mmの範囲であってよい。いくつかの構成においては、複数の4つ以上の電極パッドを、0.1mm~電極パッドが装置の幅に収まる限りの接点間隔で導入することができる。
【0252】
さらに他の実施形態においては、
図11Aおよび
図11Bに示されるように、電極パッドが、導電性電極ストリップ50の構成であってよく、キャリア上に印刷され、接着剤を使用してキャリアに接着され、かつ/または何らかの他の方法または技術を使用してキャリア上に配置されてよい。いくつかの実施形態において、電極パッドは、金属箔(例えば、白金イリジウム90/10)を含み、双極構成に配置される(
図11A)。いくつかの実施形態において、金属箔は、所望に応じ、あるいは必要に応じて、白金イリジウムに加え、あるいは代えて、金および/または任意の他の導電性材料を含むことができる。いくつかの実施形態においては、
図11Bに示されるように、箔ストリップの三極構成を使用することができる。隣接するストリップ間の間隔は、上述の電極パッド間の間隔と同様であってよい。
【0253】
導電性電極ストリップ50を、
図11Cに示されるように、キャリア本体12に埋め込むことができる。いくつかの実施形態において、キャリアは、金属接点を少なくとも部分的に露出させ、組織とのインターフェースを可能にするためのレーザ切断による窓または他の開口部54を備える。いくつかの構成によれば、箔の大部分が、キャリア12の溝付きの本体のより薄い中央部分28または溝付きの本体24に配置される。これは、導電性ストリップ電極の配置に関して、いくつかの実施形態において、ヘッド部分16が神経14の周囲に巻き付けられて、翼付きロック機構20とインターフェースされるときの層間剥離の可能性を最小化または低減するために、とくに有用であり得る。導電性電極ストリップを、特定の用途または使用に関して所望され、あるいは必要とされるとおりに、複数の電極ストリップ(例えば4つ、5つ、6つ、など、3つよりも多い)のアレイ配置を含むさまざまなやり方で構成することができる。いくつかの実施形態においては、本明細書においてさらに詳細に説明されるように、電極装置10を使用して、組織または神経の活動を記録し、電気刺激をもたらすこともできる。
【0254】
図12が、電極装置のさらに別の実施形態を示している。図示のように、ロック装置はストラップ60を含むことができ、外科医または他の施術者は、キャリア本体12のヘッド部分16を(例えば、鉗子または何らかの他のツールを使用して)ストラップ60の下方に引っ張ることができる。そのような動きは、外科医または他の施術者がキャリア本体12を神経に適切にフィットするサイズにすることを可能にすることができる。上述の実施形態と同様に、平坦な構成での電極装置10の成形は、付勢力(例えば、キャリアのヘッド部分16がストラップの下方に通されたときに上方へとストラップに押し付ける)を
生み出すことができる。そのような付勢力は、ヘッド部分16が望ましくない動きをする可能性を防止または低減するのに役立つことができる。さらに、エラストマー材料の摩擦が、ストラップ60に係合している間のキャリア本体12のヘッド部分16の移動の可能性を、さらに防止または低減することができる。いくつかの実施形態においては、神経から電極装置を取り外すために、外科医または他の施術者は、ストラップ60を切断し、あるいは他のやり方で弱めることができる。これにより、ヘッド部分16を解放することができ、付勢力によって電極装置10が平坦な形状またはほぼ平坦な形状に戻ることを可能にすることができる。
【0255】
いくつかの実施形態において、導電性電極ストリップ50は、本明細書に開示される電極構成のいずれにも含まれてもよい。ストリップは、一方向においてストラップ60の位置まで延びてよく、装置のヘッド部分16のテーパ状の部分まで延びてよい。導電性ストリップ50を、(例えば、すでに説明したように)電極キャリア本体12に取り付け、あるいは他のやり方で結合させることができる。電極は、上述のストリップに限定されず、すでに説明した他の電極の実施形態を含んでもよい。
【0256】
いくつかの構成において、
図13に示されるように、ロック装置は、1対以上の開口70、ならびに表面突起(例えば、開口よりも大きい直径を有する)を備える1対の対応する突起72またはボタンを含む。開口は、直径(または、他の断面寸法)が1~10mm(例えば、1~2、2~3、3~4、4~5、5~6、6~7、7~8、8~9、9~10、2~8、4~8、1~5、5~10mm、これらの範囲内の寸法、など)の範囲であってよい。しかしながら、直径または他の断面寸法は、特定の用途または使用に関して所望され、あるいは必要とされるように、10mmより大きくても、1mmより小さくてもよい。対応する対のボタンまたは突起72は、対の開口70以上であってよい直径または他の断面寸法を有するキャップ74(例えば、半球形キャップ)を含むことができる。いくつかの実施形態において、突起は、キャリア本体12に取り付けられ、半球形キャップ74よりも小さくてもよい円柱形(または、おおむね円柱形)の部分を備える。
【0257】
いくつかの実施形態においては、先端と後端とがより確実に固定されるように、1つ以上の異なるロック機構を組み合わせることができる。いくつかの実施形態において、ヘッド部分16は、所与の長手方向位置で翼付き機構に固定され、ヘッド部分の確実な保持において追加のロック強度をもたらすために、さらに第2の機構(例えば、同じ翼機構または他の機構からなる)に固定される。外科医または他の施術者は、使用時に追加のロック機構の使用が必要かどうかを決定することができる。
【0258】
本明細書に開示される実施形態のいずれにも、1つ以上の導電性電極ストリップ50が含まれてよい。ストリップは、一方向において最後の対またはロック開口70まで延びてよく、他方向において対のボタン72まで延びてよい。導電性ストリップ50を、すでに説明したように電極キャリア本体12に取り付けることができる。電極は、上述のストリップに限定されず、特定の用途または使用に関して所望され、あるいは必要とされるとおりに、本明細書に記載の他の電極の実施形態を含んでもよい。
【0259】
いくつかの実施形態において、キャリア本体12は、2組以上の翼付きロック機構(例えば、キャリア本体内の対称溝の両側に配置される)を含む。いくつかの構成において、キャリア本体は、溝内に1つ以上の電極を備えることができる。キャリア本体および付随するロック機構を、1つ以上の電極を含んでいる第2のキャリア本体と係合するように構成することができる。いくつかの実施形態において、第2のキャリア本体は、第1のキャリア本体に等しく、あるいは第1のキャリア本体よりも長い。第2のキャリア本体を第1のキャリア本体の上に配置し、両方のキャリア本体の間に配置された神経を固定するために、ロック機構を係合させることができる。
【0260】
ロック機構と溝との間の距離は、可変であっても、溝中心線に対して対称であってもよい。いくつかの構成において、ロック機構は、本明細書に記載のとおりのストラップまたはロック開口を含む。
【0261】
いくつかの実施形態によれば、
図14に示されるように、接着パッチ80がリード線32に追加される。これは、電極装置10を安定させ、意図せぬ動きを防止する(または、少なくともその可能性を減らす)ことを好都合に助けることができる。一例として、そのような動きは、ユーザがリード線32を誤って引っ張る、あるいは外科処置の最中にワイヤと相互作用する場合に起こり得る。接着パッチ80を、治療中または対象の切開あるいは他の領域に近い身体構造の一部分に(例えば、直接的または間接的に)取り付けることができる。
【0262】
一実施形態において、接着パッチ80は、炭素含浸ゴムまたは同様のエラストマー材料を含む。パッチ80に使用されるエラストマー材料に、所望に応じ、あるいは必要に応じて、導電性要素を含浸させることができる。一実施形態において、接着パッチ80(例えば、パッチの片側)は、導電性接着ゲル(例えば、Parker LabsのTensive Conductive Adhesive Gel)を含むことができる。
【0263】
接着パッチ80は、長方形の形状を含むことができる。例えば、いくつかの実施形態において、パッチは長方形であり、10mm~100mmの長さおよび5mm~50mmの幅を含む。したがって、いくつかの実施形態において、接着パッチ80の長さは、接着パッチ80の幅の1.5~5倍である。一実施形態において、接着パッチ80の電極装置10までの距離は、50mm~300mmの範囲であってよい。パッチのサイズ、向き、寸法、および/または他の特性は、本明細書に開示されるものと違ってもよい。例えば、いくつかの構成において、パッチの形状は、円形、長円形、三角形、他の多角形、不規則、などである。
【0264】
図14をさらに参照すると、接着パッチ80は、ユーザに状態表示を提供するために、LEDなどの1つ以上の視覚インジケータ82を備えることができる。インジケータは、電気刺激装置または生物学的増幅器などの接続された装置によって給電されてよい。
【0265】
いくつかの実施形態において、表示は、刺激パルスの適切な供給または電極の高インピーダンスを確認するように構成される。いくつかの構成において、インジケータは、神経再生治療の場合に、タイマまたは刺激振幅レベルを表示するように構成される。所望に応じ、あるいは必要に応じて、任意の他のデータ、情報、確認、などがユーザに提供されるように構成されてよい。
【0266】
いくつかの実施形態において、1つ以上のインジケータ82(例えば、視覚インジケータ)を備える接着パッチ80は、インジケータを埋め込むための成形部分84を含むことができる。いくつかの構成において、成形部分は、必要または要求に応じて、(例えば、インジケータに電力を供給し、インジケータを制御し、他の非視覚的キューをエンドユーザに提供する、などのための)追加の回路を含む。
【0267】
いくつかの実施形態において、接着パッチ80に接続された電極装置10は、単極刺激場をもたらす単一の電極接点を備える。いくつかの構成において、接着パッチ80は、単極刺激場のためのリターン電極として機能することができる。
【0268】
他の構成においては、
図15Aに示されるように、接着パッチ80を、針または針状の装置を備える単極電極180に接続することができる。接着パッチ80は、刺激パルスを
成形して接続された電極へともたらすための回路を備える(例えば、
図15Bを参照)。いくつかの構成において、パッチおよび回路に、含まれる電池源182によって電力が供給される。回路は、マイクロコントローラ150など、電気刺激システムの他の実施形態に関して本明細書において説明された要素と同様の要素を含むことができる。いくつかの実施形態において、回路は、刺激パルスを生成するために使用される時間(例えば、555タイマ)、あるいは同様の装置、構成要素、または特徴を含む。上述の実施形態において、関連の受動素子も、必要または要求に応じて、抵抗器190およびコンデンサ192などの回路を備えることができる。
【0269】
いくつかの実施形態において、刺激パルスを成形および供給するために使用される回路を備える接着パッチ80は、本明細書においてさらに詳細に説明されるように、1つ以上のインジケータ82(例えば、視覚インジケータ)を含むことができる。いくつかの実施形態において、接着パッチ80および内蔵回路の機能は、単極電極の接続および配置を試験することである。
【0270】
いくつかの実施形態においては、
図15Aに示されるように、接着パッチ80が、電極180への1つ以上の刺激パルスを開始または供給するために使用される押しボタン184を含む。いくつかの構成においては、そのような押しボタン184を、特定の用途または使用に関して所望され、あるいは必要とされるとおりに、刺激振幅および/または他の刺激パラメータ(例えば、周波数、パルス幅、など)を変更するように構成することもできる。
【0271】
いくつかの実施形態において、接着パッチ80は、マルチセグメントディスプレイ(例えば、7セグメントディスプレイ)を含むことができる。7セグメントまたは他のマルチセグメントディスプレイは、所望に応じ、あるいは必要に応じて、2つ以上の桁および小数位を含むことができる。ディスプレイは、特定の用途または使用に関して所望され、あるいは必要とされるとおりに、液晶ディスプレイ(LCD)、プラズマディスプレイ、有機発光ダイオードディスプレイ(OLED)、薄膜トランジスタディスプレイ(TFT)、および/または任意の他の種類のディスプレイを含むことができる。ディスプレイは、刺激パラメータ、治療の残り時間、バッテリ電力レベル、動作モード、他の装置との接続、などの情報を提供することができる。
【0272】
いくつかの構成において、接着パッチ80は、第2の刺激システムとインターフェースするために使用されるコネクタ186を備える。そのようなコネクタは、前述の神経ポートの実施形態と同様に機能することができる。いくつかの構成において、コネクタ186は、接着パッチ80と(例えば、シームレスに、またはほぼシームレスに)インターフェースする成形部品188を備える。いくつかの実施形態において、第2の刺激システムは、特定の用途または使用に関して所望され、あるいは必要とされるとおりに、より容量の大きな電池、あるいは任意の他の種類のシステム、装置、構成要素、などを含む。第2の刺激システムは、本明細書の他の実施形態に関して説明した刺激システムと同様の要素を含むことができる。いくつかの実施形態において、第2の刺激システムは、接着パッチに組み込まれてもよい。
【0273】
いくつかの実施形態によれば、接着パッチ上に存在する回路は、第1または第2の刺激システムから出力される刺激を方向付けるためのスイッチ194あるいは他の構成要素または特徴などの要素を含むことができる。いくつかの実施形態において、接着パッチは、複数の層を備える(例えば、
図15Cを参照)。そのような構成における層のいくつかは、ゲル化導電性ゴム層196、電気回路および他の電気素子198を組み込んだ層、エラストマー保護層200、および/または任意の他の層または構成要素を含むことができる。
【0274】
いくつかの実施形態においては、
図16Aに示されるように、電極キャリア本体12が、1つ以上の小さいタブ90を介してポリマーまたは顕微鏡手術用背景材料92に(例えば、直接的または間接的に)結合する。そのような材料92を、典型的には、神経または他の組織を周囲の組織から分離または隔離するために使用することができ、外科医または他の施術者が、隔離された組織の修復または切開に集中(例えば、それだけに集中、またはそれにより独占的に集中)することを可能にする。
【0275】
いくつかの実施形態によれば、
図16Bに示されるように、キャリア12および結合した背景材料は、損傷した神経94(例えば、切断された神経)を、損傷した神経の近位端を電極装置10上に配置しつつ隔離するために使用される。損傷した神経94の遠位端を、背景材料上に配置することができる。
図16Bに示される例として、切断された神経が近位端と遠位端との間の距離を橋渡しするための神経移植片を必要としない場合、両方の神経端の接合を、背景材料の上で直接達成することができる。切断された神経の近位端と遠位端との間の間隙を埋めるために神経移植片が使用される場合、神経移植片の挿入を、背景材料上で達成することができる。
【0276】
一実施形態において、損傷した神経94の修復に先立ち(例えば、そのような修復の直前に)、タブ90を切断する(または、他のやり方で弱らせる)ことによって、電極装置10を背景材料から切り離すことができる。次いで、いくつかの実施形態においては、
図16Cに示されるように、切り離されたキャリア本体12を損傷した神経94に巻き付け、あるいは切り離されたキャリア本体12で損傷した神経94を取り囲むことができ、近位神経断端を包んだ後に翼付きロック機構20を係合させ、神経再生を加速および促進するために神経再生治療(例えば、比較的短時間の電気刺激)をもたらすことができる。このときに、外科医は、神経の近位部分の遠位の態様および遠位の切断された神経94を背景材料92上に配置した状態で、電極装置に対して遠位側(例えば、すぐ遠位側)から神経修復または移植片設置を実行することができる。
【0277】
本明細書に開示される実施形態またはその均等物のいずれにおいても、導電性電極パッド30に接続されたリード線32を、刺激出力サブシステムに結合させる(例えば、接続する)ことができる。これは、軸索を脱分極させ、あるいは組織を電気的に刺激するための刺激パルスの供給に役立つことができる。他の実施形態において、リード線は、特定の用途、指示、または使用に関して所望され、あるいは必要とされるとおりに、神経または他の組織からの信号、ならびに/あるいは任意の他のシステム、サブシステム、装置、などへの信号を記録するために、生物学的増幅器に接続されてもよい。
【0278】
いくつかの実施形態によれば、経皮電極リード250を、接着パッチ80に結合させることができる。電極リードは、
図17Aに示されるように、1つ以上の導電性要素252を含むことができる。導電性要素を、
図17Aの一例に示されるように、リードの先端または先端付近に配置することができる。他の構成においては、導電性要素252を、所望に応じ、あるいは必要に応じて、リードの先端または先端付近に代え、あるいは加えて、リードの長さに沿って配置することができる。
【0279】
いくつかの実施形態では、電極リードは、円形または湾曲した形状(例えば、少なくとも部分的に円形または湾曲した形状)を備え、0.1~5mm(例えば、0.1~0.2、0.2~0.3、0.3~0.4、0.4~0.5、0.5~0.6、0.6~0.7、0.7~0.8、0.8~0.9、0.9~1、1~2、2~3、3~4、4~5、1~4、0.5~4、1~4mm、これらの間の範囲、など)の外径(または、他の断面寸法)を備える。いくつかの構成において、直径または他の断面寸法は、リードハウジング254(例えば、リードハウジングのサイズ、形状、および/または他の特性)によって
(少なくとも部分的に、例えば主に)決定される。他の実施形態において、電極は針を備える。
【0280】
リードハウジング254は、例えばシリコーンゴム(例えば、シリコーンゴム管)、ポリウレタン、他のポリマー材料、他の種類のエラストマーまたはゴム材料、他の可撓性または半可撓性材料、などのような1つ以上の弾性または半弾性材料を備えることができる。リードを、既存の切開を通り、あるいは経皮の経路(例えば、神経へのアクセスをもたらすためにカニューレを有する針または他の鋭利な物体が利用される場合)を通って、神経の近くに配置することができる。リードハウジング254の材料/構造の可撓性および/または同様の物理的特性を、経皮電極リード250の容易な除去を促進するように選択することができる。いくつかの実施形態において、リードハウジング254は、例えば
図17Bに示されるように、導電性要素252に物理的に接続されたリード線256を備える。
【0281】
いくつかの実施形態において、リードハウジングは、リードの長さ全体にわたって均一または連続的な材料厚さを備えることができる。他の実施形態において、リードハウジングは、リードを整形するための追加の柔軟性を提供することができる屈曲可能なジョイントとして機能する異なる厚さの領域を含む。いくつかの構成においては、例えば手動操作またはリードを除去する動作などのリードの形状を変更する他の力が加えられるまで、所望の形状が保持される。他の実施形態において、これらのジョイント部分は、ハウジングの残りの部分とは異なる材料から構成されてもよい。いくつかの実施形態において、ジョイント部分は、リードハウジングの残りの部分よりも多かれ少なかれ可撓性であってよい。
【0282】
いくつかの実施形態において、リードハウジングは、リードに形状記憶を提供するために使用されるコイル状ワイヤを含むことができる。これは、リードの曲げおよびその形状の維持が必要とされる領域において、とくに有利であり得る。いくつかの構成において、コイル状ワイヤは、リードの全長に及ぶ。他の構成において、コイル状ワイヤは、リードの第1の長さまたは部分(例えば、最初の10cm以下、例えば0~10、2~8、1~5、5~10cm、これらの範囲の間の長さ、など)にのみ及ぶことができる。しかしながら、コイル状ワイヤの範囲は、これらの距離に限定される必要はない(例えば、所望または必要に応じて、10cmより大きくてもよい)。いくつかの実施形態において、コイル状ワイヤは、電極に物理的に結合する(例えば、直接的または間接的に)。他の実施形態において、コイル状ワイヤは、いかなる刺激電極にも電気的に結合しない。いくつかの実施形態において、コイル状ワイヤは、リードハウジングの遠位端に位置し、遠位端に沿って位置し、あるいは遠位端の付近に位置する他の回路への電気コネクタとして機能する。用途、必要とされる柔軟性および記憶特性、ならびに/あるいは他の設計上の考慮事項に応じて、隣接するコイル間の間隔は0(例えば、コイルは互いに接触している)または固定された距離である。いくつかの実施形態において、コイル状ワイヤは絶縁され、あるいは絶縁されない。いくつかの構成において、コイル状ワイヤは、種々のデュロメータのPellethane(登録商標)またはPebax(登録商標)あるいは同様の熱可塑性ポリウレタンまたはエラストマー材料などの可撓性材料に包まれる。
【0283】
いくつかの実施形態においては、刺激ユニットが電極リード250の配置の領域から遠くに配置されている場合に、より長い長さを提供するために、経皮電極リード250を延長ワイヤに接続することができ、次いで延長ワイヤが刺激ユニットに接続される。延長ワイヤは、30~100cm(30~40、40~50、50~60、60~70、70~80、80~90、90~100、50~80cm、これらの範囲の間の距離、など)の追加の長さを備えることができる。延長ワイヤは、電極リードとインターフェースして電気的接触を形成する少なくとも1つの端部と、刺激ユニットとインターフェースして電気
的接触を形成する少なくとも1つの端部とで、同様または異なる材料特性であってよい。いくつかの実施形態において、刺激ユニット、延長ワイヤ、および電極リードが接続されると、それらは一体化されたユニットとして機能し、上述と同様に機能する。
【0284】
いくつかの実施形態において、電極リードハウジング254は、リードの先端からの距離を示すのに役立つ基準マーカおよび/または他のマーカを含む。他のマーカ(例えば、基準マーカ)は、リードの画像誘導配置のための放射線不透過性マーカまたは高エコー輝度マーカを含むことができる。電極リード250の画像誘導配置は、損傷した神経および/または電極リードの直接的な視覚化が不可能な状況において有利となり得る。そのような状況は、例えば、患者が局所麻酔下で神経修復または減圧処置を受けている場合に生じ得る。軸索の脱分極は、麻酔された領域においては不可能である。いくつかの実施形態においては、損傷した神経に神経再生治療を提供するために、電極リード250を麻酔の領域の近位に配置することが有利である。いくつかの実施形態において、治療が有効である(または、より効果的である)ために、リードによって生成される電場は、損傷した神経の麻酔されていない近位ブランチを脱分極しなければならない。1つの非限定的な例において、患者に、手首を麻酔する処置である局所麻酔下での手根管解放術を施すことができる。いくつかの実施形態において、前腕などの正中神経の近位ブランチは表面付近になく、電極リード250の画像誘導配置が、損傷した正中神経の近位成分を正確に標的とするために、外科医にとって好都合であると考えられる。いくつかの構成において、画像誘導配置は、リードの盲目での挿入が周囲の血管構造に損傷を引き起こさないことも保証する。
【0285】
別の例において、画像誘導を用いた電極リードの挿入は、神経修復または他の手術が以前に行われたかもしれないが、患者が元の修復処置の時点で電気刺激治療を受けていない状況においても、好都合であり得る。そのような状況において、画像誘導を用いた使用した電極リードの配置を、修復処置の数時間後、数日後、または数週間後に行うことができる。電極の配置を、神経修復処置の前に行ってもよい。そのような配置は、細胞体の電気刺激コンディショニング効果を生じさせることができる。画像誘導を、超音波、蛍光透視、X線、または他の撮像態様を使用して実行することができる。
【0286】
いくつかの実施形態において、マーカは、1つ以上の突起および/または凹部(例えば、ディンプルまたは逆ディンプル)を備える。そのような構成において、突起、凹部、および/または同様の特徴は、二重または多面の目的または機能を果たすことができる。例えば、そのような特徴は、基準マーカとして機能することができるだけでなく、対象物(例えば、カニューレ、鞘、別の円筒状の物体、1つ以上の開口部を有する別の物体、など)の内部に配置されたときのリードの動きを規制(または、制限)するのに役立つこともできる。
【0287】
いくつかの実施形態においては、例えば
図17Cに示されるように、リードハウジング254が、テクスチャ加工された表面、リブが設けられた表面、および/または他の非平滑な表面286を備える。そのような構成は、接触の表面積を増加させ、その場におけるリードの隣接組織との局所的な固定を改善するうえで、助けとなることができる。例えば、表面から(例えば、翼のような様相で)突出する円形または直線状の下部構造が含まれてよい。そのような実施形態に加え、あるいは代えて、凹状特徴が含まれてもよい。例えば、そのような凹状の特徴は、材料の表面において押し下げられてよい。いくつかの実施形態においては、その場でのリードの一時的な固定を改善するために、特定の方向の動きを制限し、あるいはより強く防止する一方で、他の方向の動きを容易にするように、下部構造を形作り、あるいは異なるサイズとすることができる。さらに別の実施形態において、下部構造は、隣接する組織への縫合などによる電極リードの固定を改善または他のかたちで強化するために、単一または複数のリング、フック状の構造、ならびに/あるいは任
意の他の固定機構または部材288を含むことができる。他の構成では、フィブリン糊または同様の組織接着剤を使用して、電極リードを一時的に固定することができる。そのような設計は、刺激リードを対象の神経組織のすぐ近くに貼り付け、意図せぬ動きの最小化または低減を保証し、刺激が完了した後に組織をできる限り乱すことなくリードを除去することを容易にし、かつ/あるいは1つ以上の他の利点または利益を提供するために、ユーザにとって好都合であり得る。一例として、ユーザは、対象の神経構造に対して平行またはほぼ平行あるいは接線方向にリードを配置し、所望であれば、標準的な医療用縫合糸および/または他の固定技術を使用して、リード上の可撓性構造を組織への固定のために係合させることができる。
【0288】
いくつかの実施形態においては、
図17Dに示されるように、経皮電極リード250が、複数の導電性要素252、258を備える。導電性要素252、258は、所望または必要に応じて、異なる形状、サイズ、および/または他の特性を含むことができる。例えば、
図17Dに示されるように、電極リードの先端部252の導電性要素を、電極リードハウジング254にキャップをするとともに、末梢神経などの組織に刺激電流を供給するために使用することができるより大きな表面積も提供するようなやり方で、形作ることができる。
図17Dをさらに参照すると、第2の導電性要素258を、厚さが0.1~10mm(例えば、0.1~0.2、0.2~0.3、0.3~0.4、0.4~0.5、0.5~0.6、0.6~0.7、0.7~0.8、0.8~0.9、0.9~1、1~2、2~3、3~4、4~5、5~6、6~7、7~8、8~9、9~10、2~8、3~6、1~3、3~5、5~8mm、これらの間の範囲、など)でさまざまであるリングとして形作ることができ、導電性の絶縁されたワイヤ260に物理的に結合させることができる。いくつかの構成において、第2の導電性要素258を、本質的に双極刺激場を生成する第1の導電性要素のためのリターン電極として使用することができる。他の構成において、第2の導電性要素は、他の回路のための信号経路として使用され、リード上に配置された追加の導電性要素と組み合わされる。複数の導電性要素は、電流場を形作り、あるいは他のやり方で修正または左右することを可能にする電気刺激アレイを形成することもできる。
【0289】
いくつかの実施形態においては、
図18Aに示されるように、経皮電極リード250が、エンクロージャ262(例えば、成形されたプラスチックまたは他のエラストマーまたは非導電性のエンクロージャまたは部材)と、導電性表面264とを備えるキャップ要素に結合する。いくつかの構成において、導電性表面264は、エンクロージャ262よりも大きい。プラスチックエンクロージャ262は、所望または必要に応じて、電極リードの直径の1倍超かつ20倍未満(例えば、1~20倍、例えば、1~5、2~4、5~10、10~20、5~15、これらの間の値、など)であってよい。いくつかの構成において、(本明細書で前述したように)先端部252に導電性要素を備える経皮電極リード250は、キャップ上に存在するより大きな導電性表面264に物理的に接触(例えば、少なくとも部分的に物理的に接触)して、より大きな刺激表面を効果的に作り出すことができる。一例として、電極リードがパルス発生器に結合し、上述のキャップで覆われ、前記パルス発生器が長時間のパルス(例えば、200μsより大きい波長を有するパルス)を出力する場合、キャップのより大きな導電性表面を使用して、筋組織を刺激することができる。刺激出力を検証する文脈において、これは、(例えば、電極リード上に含まれるような)より小さい導電性表面では、目に見える筋収縮を誘発するような充分に大きい電場が生成されない可能性があるため、有利であり得る。筋肉を刺激するためのキャップ上のより大きな導電性表面の使用は、例えば、無傷の損傷していない運動神経が刺激のために容易にアクセスできない状況において生じ得る。キャップを使用して筋肉に目に見える収縮を生じさせることにより、刺激が電極へと出力されていることの改善された確認をユーザに提供することができる。
【0290】
いくつかの構成においては、キャップを、保持、把持、操作、使用、などを容易にするために、ペン状の構造と同様に形作ることができる。そのような構成において、キャップは、神経ロケータとして機能することができる。いくつかの実施形態において、キャップは、単極プローブまたは双極プローブを含むことができる。これらのプローブを、神経の解剖学的位置をマッピングするために、刺激場を細かく分割するためのより小さい導電性表面を提供するように構成することができる。これらの構成は、神経位置特定機能および神経再生機能の両方を提供する多機能システムを好都合に可能にすることができる。
【0291】
いくつかの実施形態において、キャップは、電極リードの周りで互いにスナップ嵌合する2つ以上のピースまたは部分を含む。他の実施形態においては、摩擦または圧入、カップリング(例えば、標準または非標準)、機械的締結具、あるいは他の機械的接続、など、任意の他の種類の接続または取り付け方法または技術を使用することができる。
【0292】
いくつかの実施形態において、エンクロージャ262(例えば、成形エンクロージャ)は、埋め込み回路用の空間を含む。いくつかの構成において、エンクロージャは、成形されたプラスチックエンクロージャを備える。
図18Bが、
図18Aに描かれた平面265に関するキャップの断面図を示しており、回路266のための潜在的な空間を含む。いくつかの実施形態において、そのような回路は、
図18Cに示されるような1つ以上のアセンブリ270を含む。一例においては、図示のように、アセンブリ270が、プリント回路基板274とインターフェースする2つの導電性構成要素、すなわち遠位構成要素272および近位構成要素280を含む。プリント回路基板は、受動および/または能動構成要素を含むことができる。いくつかの実施形態において、プリント回路基板274は、抵抗器276およびLED278を備える。
【0293】
さらに他の実施形態において、回路は、例えば1つ以上のLED(および/または、他のインジケータ)ならびに/あるいは1つ以上のボタンまたは他の制御部もしくはコントローラを含むインジケータと制御部との組み合わせを備える。そのような設計は、先端において(例えば、点灯するLEDによって)、かつ/または1つ以上の他のやり方で、パルスの生成を開始させ、先端における機能出力を検証するために、ユーザにとって好都合であり得る。例として、ユーザは、電極リード250をパルス発生器に接続し、電極キャップ上のボタンを使用してパルスの生成を開始させ、電極キャップ上のLEDを観察することによって機能を検証することができる。そのようなボタン、制御部、または他のコントローラを、特定の用途または使用に関して所望され、あるいは必要とされるとおりに、刺激振幅および/または1つ以上の他の刺激パラメータ(例えば、周波数、パルス幅、など)を変更するように構成することもできる。
【0294】
図18Dが、
図18Cの埋め込みアセンブリ270を有する電極キャップ261を示している。いくつかの実施形態において、遠位導電性構成要素272は、キャップ上の導電性表面264に結合する(例えば、物理的に接続される)。キャップが電極リード250に対して完全に組み立てられると、キャップの近位導電性構成要素280は、例えば
図18Eに示されるように、電極リード上の導電性要素258に物理的に接触することができる。
【0295】
いくつかの構成において、キャップが適切に成形され、あるいは他のやり方で構成されると、リードの導電性先端部252の遠位導電性構成要素272への接続、およびリード258上の第2の導電性要素の近位導電性構成要素280への接続が、電流がリード先端部からプリンタ回路基板274内の回路を通ってリード上の第2の導電性要素258へと流れることを可能にすることができる。そのような設計は、導電性先端部が機能しているかどうかをユーザが試験することを可能にするうえで有利であり得る。
【0296】
例として、ユーザは、電極リード250をパルス発生器に接続することができる。パルスが発生器から引き出されると、導電性先端部252が損傷しておらず、キャップが導電性先端部252およびリード258上の第2の導電性要素の両方と適切にインターフェースされている限りにおいて、電流が回路基板を通って流れ、LEDまたは他のインジケータを作動させることができる。したがって、電流が導電性先端部252を通って流れていることの視覚的確認を、ユーザに提供することができる。いくつかの実施形態において、導電性先端部への電流の流れの確認を、これらに限られるわけではないが視覚、聴覚、触覚、および/またはこれらの組み合わせを含む任意の他のやり方を含む1つ以上の形態で提供することができる。そのような構成を、本明細書に開示される実施態様またはその変種のいずれにも取り入れることができる。
【0297】
いくつかの実施形態によれば、接着パッチ80は、
図19に示されるように、(例えば、少なくとも部分的に)露出した導電性接点282を含む。さらに、接着パッチ80は、1つ以上の抵抗または他の要素を介して導電性接点に(例えば、直接的または間接的に)結合することができる1つ以上のLED(および/または、他の視覚インジケータ)284を含むことができる。例として、
図19に示されるように、接着パッチ80は、経皮電極リード250(例えば、本明細書に記載のもの、またはそれらの均等物による)を含むことができる。いくつかの構成においては、ユーザがリード252の導電性先端部が機能しているかどうかを試験するために、施術者または他のユーザは、先端部252を接着パッチ上の露出した導電性接点282に物理的に接触(例えば、少なくとも部分的に物理的に接触)させることができる。いくつかの実施形態においては、パッチが刺激パルスを出力している限りにおいて、ユーザによる特定の動作(例えば、スイッチ184を押し下げる)がLEDあるいは他の視覚または他のインジケータ284を作動(例えば、点灯)させることができ、したがって導電性先端部が機能しており、刺激電流を通すことができる旨の視覚的確認がもたらされる。いくつかの実施形態において、導電性要素が機能している旨の確認は、視覚、聴覚、または触覚による表示、あるいはこれらの組み合わせを含むことができる。
【0298】
いくつかの実施形態において、パッチ80は、マイクロコントローラおよび刺激生成器を備え、刺激生成器が、いくつかの実施形態において検証信号として使用され得る低振幅AC波形を出力する。いくつかの実施形態においては、例として、振幅が0.1μA~10μA(例えば、0.1~0.2、0.2~0.3、0.4~0.5、0.5~0.6、0.6~0.7、0.7~0.8、0.8~0.9、0.9~1、1~2、2~3、3~4、4~5、5~6、6~7、7~8、8~9、9~10、0.1~1、0.5~2、1~5、5~10μA、これらの間の値、など)である。他の実施形態において、振幅は、所望または必要に応じて、0.1μA未満(例えば、0.01~0.1、0.005~0.001μA、0.005μA未満、など)または10μA超(例えば、10~15、15~20、20μA超、など)である。AC波形は、1Hzより大きい周波数(例えば、1~2、2~3、3~4、4~5、5~6、6~7、7~8、8~9、9~10Hz、これらの範囲の間の周波数、10Hz超、など)または1Hzより小さい周波数(0.01~0.1、0.1~0.2、0.2~0.3、0.3~0.4、0.4~0.5、0.5~1、0.3~0.7Hz、これらの範囲の間の周波数、など)の方形波、正弦波、または他の交流波形を含むことができる。
【0299】
いくつかの実施形態において、刺激生成器は、電極リードに結合する(例えば、物理的に(例えば、直接的または間接的に)、動作可能に、など)。いくつかの実施形態において、マイクロコントローラは、例えば
図19に示されるように、検証信号が露出した導電性接点282に印加されるまで、刺激パルス(例えば、本明細書に記載されているパルスなど)の出力を防止するようにプログラムされる。そのような「検証後にロック解除」の機能は、電極リード250および導電性先端部252の機能および完全性を(例えば、直
接的に)検証するため、ユーザにとって好都合であり得る。
【0300】
いくつかの実施形態において、電極リード線は、カフ電極装置10(例えば、本明細書に記載の装置、それらの変形例、および/または任意の他の種類のカフ電極、など)に結合する。カフ電極の出力を検証するために、
図20Aに示される検証バーなどの検証バー290が、1つ以上の導電性要素292を含むことができ、巻かれたカフ電極または巻かれていないカフ電極の内側に配置されてよい。
【0301】
いくつかの構成によれば、
図20Bに示されるように、単極電極構成を有するカフ電極装置10(例えば、本明細書に記載の実施形態のいずれか、など)は、検証バー290あるいは同様の特徴または部分とインターフェースするように構成される。いくつかの構成において、検証バー内の導電性要素が、カフ内の単極電極と物理的に接触(例えば、少なくとも部分的に物理的に接触)する。さらに、導電性要素を、バーの先端または先端付近ならびに電極によって包まれていない領域の導電性要素にも結合させることができる。いくつかの実施形態において、ユーザは、リードの試験282に使用されるパッチ上の前述の露出した接点など、リードの試験に使用される露出した接触面上に露出した導電性先端部を配置することによって、カフ電極装置10の刺激出力を選択的に検証することができる。この検証プロセスは、導電性先端部を有する経皮リード線を使用する場合の本明細書に記載のプロセスと同様であり、本明細書に開示される任意の実施形態に適用可能である。
【0302】
特定の実施形態において、検証バー290は、検証を試験するための1つ以上のLEDおよび/または他の視覚インジケータ284を含む。一例において、
図20Cに示されるように、検証バー290は、電極装置10(例えば、本明細書において前述した電極装置など)の電極に接触した導電性要素292を備える。検証バー290の導電性要素292を、第2の導電性要素292に結合(例えば、動作可能に、電気的に、など)したLEDまたは他の視覚インジケータに結合させることができる。ユーザは、リードの試験に使用される露出した接触面(例えば、リードの試験に使用されるパッチ上の前述の露出した接点282)上に露出した導電性先端部を配置することによって、カフ電極装置10の刺激出力を検証することができる。いくつかの実施形態において、検証バー内のLEDまたは他のインジケータ284の作動は、電極装置10からの適切な電流伝導を示すことができる。
【0303】
いくつかの実施形態において、検証バー290は、マルチコンタクト電極装置とインターフェースするように設計され、あるいは他のやり方で構成される。一例においては、
図20Dに示されるように、検証バー290が2つの導電性要素292を備え、検証バーの導電性要素292の各々が、カフ電極装置10の別個の電極と物理的に接触(例えば、少なくとも部分的に物理的に接触)する。いくつかの実施形態において、複数の電極とインターフェースする検証バー290は、所望または必要に応じて、1つ以上のLEDならびに/あるいは他の視覚または他のインジケータを含むことができる。
図20Dに示される例をさらに参照すると、刺激出力の検証を、リードの試験のために別個の露出した接触面を使用することなく、電極装置のレベルで直接的に好都合に実行することができる。いくつかの実施形態において、検証バー290は、接着パッチ80に物理的に結合してもよい。
【0304】
いくつかの実施形態において、(例えば、本明細書に記載のとおりの)複数の導電性要素258を有する経皮電極リード250は、電極リードの接続および配置を試験するための回路を含むことができる刺激源に結合(例えば、物理的に、電気的に、動作可能に、など)する。いくつかの構成において、刺激源を、(例えば、刺激エネルギーをもたらすことによって)神経再生治療を提供するように構成することもできる。機能性電極と呼ぶこ
とができるそのような一実施形態が、
図21Aおよび
図21Bに示される。いくつかの実施形態において、そのような電極は、刺激源を含むことができるハウジングに結合した経皮リードを備えることができる。
【0305】
いくつかの実施形態においては、
図21Cに示されるように、刺激出力の検証を、本明細書において説明されるように、検証試験要素を備える電気刺激装置のハウジング114にリードの1つ以上の導電性要素を挿入することによって実行することができる。いくつかの実施形態において、そのような刺激装置は、刺激出力が検証されたことをユーザに通知するために、1つ以上の視覚要素284を含むことができ、かつ/またはユーザへの別の種類の知らせ(例えば、可聴な知らせ、触覚による知らせ、など)を含むことができる。
【0306】
いくつかの実施形態によれば、電気刺激装置のハウジングは、(例えば、他の実施形態に関して本明細書で説明されるような)プルタブ187を備える。いくつかの構成において、刺激装置は、(例えば、やはり本明細書で説明されるように)システムを「ロック解除」モードにするうえで役に立つ1つ以上の検証機構または機能を含む。例として、複数の導電性要素を有する経皮電極リードを、プルタブまたは同様の特徴を有する刺激装置のハウジングに挿入された1つ以上の導電性要素とパッケージすることができる。ユーザがプルタブを取り除くと、刺激装置は、対応する装置に含まれるインジケータ(例えば、視覚インジケータ、音声インジケータ、触覚インジケータ、これらの組み合わせ、など)を使用して刺激出力の状態をユーザに通知(例えば、1秒未満のうちになど、即時に通知)することができる。他の実施形態において、ユーザへの通知は、所望または必要に応じて、他の形態(例えば、他の種類の知らせ、他の時間枠内、など)をとることができる。状態を、刺激回路を「ロック解除」またはオンにし、あるいは回路への電力の供給を防止するために使用することができる。これは、パルス発生器の適切な機能および電極リードの完全性を、単一のステップにて、リードを励起可能な組織またはその付近に配置して刺激パルスをもたらす必要なく評価することができるという点で、ユーザにとって有利であり得る。
【0307】
いくつかの実施形態において、プルタブは、触覚スイッチ185または他の種類のスイッチで置き換えられてもよい。いくつかの構成において、刺激装置は、これらに限られるわけではないが時間および/または相対刺激振幅118などを含む情報を提供(例えば、表示)するために使用することができる複数のインジケータ(例えば、視覚、聴覚、触覚、他のインジケータ、など)を含む。
【0308】
図22および
図23に示されるいくつかの構成によれば、装置またはシステムは、最初に神経の位置を特定し(300、310)、損傷した神経が発見または他のやり方で検出された場合に(302、312)、神経再生治療をもたらす(304、314)ために使用される。いくつかの実施形態において、装置またはシステムは、神経ロケータとしてのみ使用され、あるいは再生治療システムとしてのみ使用される。しかしながら、いくつかの構成において、装置またはシステムが、検出およびその後の(例えば、神経再生治療用の)エネルギーの供給の両方を行うように構成されることが好都合である。そのような特徴を、本明細書に開示される装置またはシステムの実施形態のいずれにも組み込むことができる。
【0309】
いくつかの実施形態において、装置またはシステムは、刺激の第1の段階と刺激の第2の段階との間の切り替えに使用される単一の制御ボタンあるいは他の制御部またはコントローラ(例えば、ボタン以外の何らかの形態をとることができる)を備える。そのようなボタンあるいは他の制御部またはコントローラを、所望または必要に応じて、刺激出力パラメータを調整し、視覚インジケータを制御し、かつ/または任意の他の機能を実行する
ためにも使用することができる。
【0310】
手術中の神経の位置特定および治療
いくつかの構成によれば、システムの1つの意図される使用は、手術室内にある。したがって、システムを、そのような意図される使用の考えで設計し、カスタマイズし、他のやり方で構成することができる。本明細書に開示される種々のシステムは、神経位置特定機能および神経(例えば、神経再生)治療の両方の必要性に役立つ二重目的の装置として好都合に機能および動作することができる。
【0311】
いくつかの実施形態において、システムのハウジングは、損傷した神経組織に神経再生治療を施すために損傷した神経とのインターフェースに使用することができるカフ型電極を接続するために使用されるポートを備える神経位置特定の目的に使用される双極プローブ型電極を備える。双極電極装置は、本明細書においてさらに詳細に説明される装置のいずれかと同様であってよい。一実施形態において、損傷した組織は、末梢神経である。しかしながら、他の構成において、損傷した組織は、自律神経などの任意の他の種類の神経を含むことができる。他の実施形態において、双極電極は、当業者にとって一般的なさまざまな種類のうちの1つであってよい。そのような構成および使用において、外科医または他の施術者は、リードワイヤおよびコネクタを有する電極を、ハウジングユニット上に配置されたジャックまたは他の結合位置に物理的に接続することができる。二重目的の装置の使用の一実施形態の流れ図が、
図24に概略的に示されており、以下でさらに詳細に説明される。
【0312】
一実施形態においては、
図24の例に示されるように、システムの最初の電源投入時(354)に、「試験」モードに入るように構成される。一例において、試験モードは、神経の位置特定を支援するように構成される(356)。試験モードは、パルス列を含むことができ、各々の刺激パルスは、(例えば、特定のパルス間間隔によって隔てられた)ダブレットパルスを含む。例えば、いくつかの実施形態において、パルス間間隔は、本明細書において説明され、例えば
図6Aに示されるように、5msであってよい。しかしながら、他の構成において、パルス間間隔は、所望または必要に応じて、5ms未満または5ms超(例えば、0~5ms、5~10ms、10ms超、など)であってよい。パルス列を対象の神経に適用して、接続された筋肉の完全性および機能を試験することができる(358)。ダブレットパルスを、トルク時間間隔を増やし(例えば、最大化し)、あるいは他のやり方で増強し、刺激振幅要件を低減するように構成することができる。
【0313】
いくつかの実施形態において、パルスは、テタニー様収縮をもたらすために10Hz以下の周波数で出力される。周波数範囲は、0.1~40Hz(例えば、0.1~0.2、0.2~0.3、0.3~0.4、0.4~0.5、0.5~1、1~2、2~3、3~4、4~5、5~10、10~15、15~20、20~30、30~40Hz、これらの範囲内の周波数、など)を含むことができる。
【0314】
いくつかの実施形態において、刺激の振幅を、所望の応答が達成される(362)まで調整される(360)ように構成することができる。ユーザは、対象の神経の試験に満足した場合、他の神経を試験することを選択的に選択することができ(364)、振幅を調整するプロセスを繰り返すことができる。いくつかの実施形態において、試験されるべき神経に関して所望の応答に達すると、ユーザは、システムの使用を完了することができる(366)。
【0315】
いくつかの実施形態において、
図24をさらに参照すると、ユーザが神経の位置特定に満足し、かつ/または神経が損傷している(例えば、特定のしきい値レベルまたは応答に鑑みて、神経が損傷している)と判断されたときに(368)、施術者は、電極(例えば
、カフ型電極、任意の他の種類の電極、など)をハウジングに位置する神経ポートに接続することができる(370)。所望または必要に応じて、任意の他の種類の電極を使用することができる。システムを、電極を検出し(372)、刺激出力をプローブから電極に適切に導くように構成することができる。これが生じるとき、システムモードを神経再生治療モードに切り替えることができる(374)。刺激振幅を、所望の応答に達する(378)まで変更する(376)ことができる。次いで、ユーザは、神経再生治療を使用して損傷した神経の治療を開始することができる(380)。いくつかの実施形態において、システムはタイマを備え、タイマは、神経再生治療の持続時間を制限し(382)、合計時間を超えていないことをチェックして確実にする(384)。そのような実施形態において、規定の時間要件または必要な時間要件に達すると、システムを(例えば、自動的に、所定のプロトコルまたはアルゴリズムに従って)停止するように構成することができる(386)。さらに、システムを、施術者に適切な知らせまたはキュー(例えば、視覚的キュー、音声キュー、および/または任意の他の知らせ)をもたらすように構成することができる。
【0316】
いくつかの実施形態において、システムの手術中使用は、ハンズフリー使用(完全または部分的なハンズフリー使用)を含むことができる。例えば、システムは、術野内に配置でき、刺激の期間中に手術スタッフから最小限の注意しか必要とせず、あるいは注意をあまり必要としないようなモードで動作することができる。前述したように、ハウジングの形状を、システムが手術テーブルまたは患者へと配置された滅菌タオルから転がり落ちることを防止するために使用することができる。さらに、やはり本明細書において説明されるように、特別な形状(例えば、フック状)の延長要素または他の特徴を取り入れることで、治療の対象者の比較的近くのIVポールまたは他の構造にシステムを結合させるユーザを助けることができる。好都合には、これらの特徴は、手術スタッフからの介入を最小限にし、あるいは低減するハンズフリーでの使用を可能にし、促進することができる。いくつかの構成において、システムは使い捨てであり、したがって、ひとたびオンにされ、あるいは他のやり方で作動させられると、システムをもはやオフにすることができない。例えば、いくつかの構成において、プルタブが取り除かれ、電源が作動すると、装置は電池の寿命によって決まる有限の機能期間を有する。いくつかの実施形態においては、プルタブをオン/オフスイッチあるいは同様の特徴または構成要素で置き換えることで、装置を再使用可能にしてもよい。
【0317】
周術期の使用
本明細書に記載され、以下でさらに詳細に説明されるように、本明細書に開示される任意のシステム実施形態は、周術期の状況または用途においても使用可能である。例えば、いくつかの実施形態において、本明細書に記載の種々の構成によるシステムを、単極電極(例えば、活性刺激電極またはカソードとして機能する)に接続されるように構成することができる。そのような単極電極は、これらに限られるわけではないが、損傷した神経の近くに経皮的に配置されてよく、あるいは損傷した神経が露出している場合に神経の近くに配置されてよい針電極ならびに/あるいはカテーテルまたは円筒型電極などを含む種々の形態を備えることができる。本明細書に開示されるように、任意の他の種類の電極を、装置またはシステムの設計あるいは治療方法の実行に組み込むことができる。
【0318】
いくつかの実施形態においては、単極リードが神経プローブとして置換され、リターン電極が神経ポートに接続される。いくつかの実施形態においては、多導体電極リードが神経ポートに接続される。システムの導体のうちの1つを、患者内に配置された単極リードに接続することができる一方で、第2の導体は、表面パッドまたは針などのリターン電極に接続されてよい。いくつかの実施形態においては、例えば
図21Aに示されるように、神経プローブは存在せず、電気刺激パルスを出力するために神経ポートへの接続のみが必要である。システムのいくつかの実施形態は、例えば手根管解放術などの、特定の治療お
よび特定の用途において好都合であり得る。
【0319】
上記で概説した両方の使用事例(例えば、手術中および周術期の両方の状況)において、システムは、必ずしもそれらの使用事例に関して説明されたやり方での使用に限定されない。例えば、周術期の使用事例は、エンドユーザが単極電極リードまたは同様のリードを用いた刺激がより適切であると判断する場合に、手術中に適用されてもよい。
【0320】
図25が、周術期システム(例えば、本明細書に記載のパッチなど)の使用の一実施形態の流れ図の概要を示している。一実施形態において、ユーザが、接着パッチ80を患者の皮膚に配置する(402)。パッチの位置は特定的ではなく、いくつかの実施形態においては、パッチが患者または対象者の皮膚に少なくとも部分的に物理的に接触していれば充分である。一実施形態において、パッチ内の内蔵刺激生成器が、スイッチまたは他のコントローラを押すことによって作動する(404)。スイッチまたは他のコントローラは、本明細書に記載のスイッチまたは他のコントローラと同一または同様であってよい。
【0321】
いくつかの実施形態によれば、パルス生成器の出力は、単一パルス、パルス列、ダブレットパルス列、または任意の他の種類のパルスを含む。パルスは、適切な電極接触および/または他の動作パラメータが使用される限りにおいて神経または筋肉の脱分極に充分な振幅を有する定電圧または定電流パルスであってよい。一構成において、ひとたび刺激生成器が作動すると、ユーザは刺激出力の検証を望むかもしれない(406)。いくつかの実施形態において、そのような検証は、本明細書に記載の構成のうちの1つ以上に従って、1つ以上のステップにて達成される。
【0322】
いくつかの構成において、ユーザは、パッチ自体に位置する刺激出力LED82を観察する(かつ/あるいは、別の種類の視覚的、聴覚的、触覚的、および/または他のインジケータもしくは出力を使用して刺激出力について警報を受け取る)ことができる(408)。本明細書に記載の実施形態と同様に、電極キャップが電極リードに組み付けられる場合、ユーザは、刺激が出力されるときにオンになるキャップ内のLED(または、他のインジケータ)を観察することができる(410)。
【0323】
キャップが存在しないいくつかの構成によれば、ユーザは、パッチ自体に位置する出力の試験に使用される導電性表面に電極リードを接触させることができ、接続されたときにパッチ上のLEDがオンになる(412)。キャップが存在せず、カフ電極装置10が使用されるいくつかの構成において、ユーザは、カフ内の検証バー上の露出した接触部(存在する場合)を、パッチ自体に位置する出力を試験するために使用される導電性表面に接触させることによって、刺激出力を検証することができる。いくつかの構成において、カフ装置10は、双極または多極構成の複数の電極を備えることができる。この構成における刺激出力の検証は、検証バーのLEDまたは他のインジケータが作動している(例えば、オンになる)かどうかを観察することを含むことができる。
【0324】
いくつかの実施形態において、上述の検証ステップのいずれかまたはすべてが否定的である場合、刺激発生器または電極リードに欠陥が存在する可能性があるため、ユーザは処置を停止し(414)、パッチを取り外すことができる。しかしながら、試験のうちの1つ以上が肯定的である場合、ユーザは処置を継続することができる。一実施形態において、例えば、開放切開を伴う外科手術中に、ユーザは、キャップのより大きな導電性表面または導電性リード先端部を使用して、露出した無傷の損傷していない神経または近傍の筋肉に触れることによって、出力をさらに検証することができる(416)。
【0325】
いくつかの構成において、ユーザが出力に満足し、キャップが接続されている場合、ユーザはキャップを取り外し(418)、神経再生治療で治療されるべき損傷した神経にリ
ードを隣接させて(例えば、隣に)配置することができる(420)。いくつかの実施形態において、ユーザは、外科手術を完了させ(422)、露出した経皮リードを創傷から適切に出ている状態に保ちながら、創傷を縫合して閉じることができる(424)。
【0326】
いくつかの構成によれば、患者は、その後に、手術室から離れることができ、看護師などのユーザが、第2の刺激ユニットをパッチコネクタ426に接続することができる。第2の刺激ユニットをオンにすることができ、損傷した神経の神経再生治療が開始される(428)。ユーザは、治療時間の経過の全体において刺激振幅を調整することができる(430)。所望の応答が達成されると(432)(これは、患者のフィードバック、筋収縮反応、または他の基準に基づくことができる)、ユーザは、いくつかの実施形態において、刺激ユニットを残し、治療を完了させることができる。治療が完了すると(434)、刺激ユニットがオフにされ(436)、電極リードが身体から取り除かれ(438)、処置を完了させることができる(440)。
【0327】
いくつかの実施形態において、第1の刺激ユニットは、神経および/または筋肉を試験し、かつ/あるいは電極および/またはシステムの機能を検証するために使用される両方の検証刺激パルスをもたらすことができ、第2の刺激ユニットを必要とせずに神経再生治療を提供するために必要なハードウェアも含むことができる。
【0328】
そのようなシステムの機能の流れ図が、
図26に示される。
図26の例示的な実施形態に示されるように、システムを、例えばプルタブの除去(322)によってシステムに電力が印加されると、自己検証状態で動作(324)するように構成することができる。自己検証は、本明細書において説明されるように、電極をシステムハウジング上の露出した接点に接触させること、またはシステムハウジング内にリードを配置することを含むことができる。いくつかの実施形態において、自己検証は、システムを「ロック解除」するために使用される特徴的な周波数パターンをもたらす刺激源との露出した接点または凹んだ接点に電極を配置することを含む。いくつかの構成において、システムが自己検証を完了すると(326)、システムを神経の位置特定(例えば、「試験」)に使用することができる(330)。いくつかの構成において、例えばキャップまたは手持ちアタッチメントなどの装置またはシステムの付属品または構成要素を、把持および手持ち式神経ロケータとしての使用を容易にするために、電極リードにクリップ式または他のやり方で(例えば、直接的または間接的に)取り付けることができる。
【0329】
図26をさらに参照すると、損傷した神経は、システム自体を使用し、あるいはユーザ(例えば、施術者、医療専門家、何らかの他の機構または手順)によって先験的に決定されることで位置特定され(332)、電極リードを(例えば、本明細書に開示される実施形態に従って)挿入ツールを使用して一時的に埋め込むことができる(334)。埋め込みの方法は、リードの固定を支援し、横方向(例えば、リードの長手軸に垂直)のリードの動きを低減または最小化するために、切開近傍領域の組織(例えば、好ましくは非切開組織または非損傷組織)を使用することに少なくとも部分的に依存することができる。ひとたび埋め込まれると、もたらされる刺激振幅および/または刺激エネルギーを調整することができ、適切な電極配置を確保するために第2の検証を行うことができる(336)。この検証ステップは、アノード電極とカソード電極との間の電流を測定すること、神経内の活動電位を測定すること、運動または感覚応答を測定すること、ならびに/あるいは所望または必要に応じた任意の他の検証ステップまたは方法を含むことができる。この第2の検証ステップに使用される刺激パラメータは、少なくとも2つのパルスを有する反復バーストシーケンスを含むことができる。いくつかの実施形態において、反復バーストシーケンスは、少なくとも3つのパルス(例えば、3つ、4つ、5つ、6つ以上、など)を含む。検証に対して所望の応答が生じたとき(340)、損傷した神経について神経再生治療を開始することができる(342)。システムを、本明細書に開示されるように、損
傷した神経に適切な時間にわたって神経再生治療を提供するように構成することができる。そのような時間が経過したとき(344)、電極を身体から取り除くことができ(346)、電極および刺激源の両方を廃棄することができる(348)。
【0330】
いくつかの実施形態において、挿入ツールは、オーバーニードル・カテーテル・アセンブリを備えることができる。そのようなアセンブリを、例えば
図27において概説および図示されるように、一連のステップにて電極を展開するために利用することができる。いくつかの実施形態によれば、外科医のワークフローの影響を最小限に抑え、あるいは他のやり方で低減するために、挿入ツールが、すでに述べたように切開近傍領域に電極を配置するために使用される(
図27A~
図27C)。いくつかの構成において、これは、1つ以上の理由で有利である。例えば、このような構成は、既存の切開部位を通ってリード線が突出(例えば、部分的または完全に)することを防止することができる。そのような突出は、一般に、周囲の縫合により長い時間がかかり、除去の場合に、修復された末梢神経などの下方の構造を損傷する可能性がある。
【0331】
いくつかの実施形態によれば、挿入ツールを使用して切開近傍の利用可能な経路が生成されると、電極リードを、損傷した神経に向かって前進させる(例えば、そのような経路を使用して送る)ことができる(例えば、
図27Dを参照)。いくつかの実施形態においては、トロカール(例えば、トロカール、鋭い端部を有し、もしくは有さない別の種類の中空管、など)を使用してアクセス点を生成することができる。そのようなトロカールは、典型的には、身体の内側から開始して組織を通って皮膚に向かって押すアクセスポイントを生成することによって使用される。いくつかの実施形態において、トロカールが皮膚から出ると、電極をトロカールを通って対象の部位へと送ることができる。他の実施形態においては、ロボット手術ユニットを使用して、挿入ツールまたはトロカールを経皮的に配置することができる。いくつかの構成においては、治療効果のために、神経損傷/修復部位の近位の電場を維持することが重要である。
【0332】
神経の間隙をまたぐ電気刺激を使用して、間隙をまたぐ神経突起の成長をゆっくりと増加させることができる。これらの信号は、低レベル(例えば、しきい値以下)のDC電流であってよい。対照的に、いくつかの構成においては、ニューロン細胞体に向かって伝導する損傷神経の近位の態様における活動電位を生成するために充分な電場をもたらすAC刺激が、再生関連遺伝子を上方制御し、軸索再生の加速をもたらす。
【0333】
現在の手順および治療技術によれば、AC刺激をもたらして神経再生を促進するために、いくつかの方法を使用することができる。そのような方法は、損傷および修復された末梢神経の近位の態様に2つの(例えば、別個の)ワイヤ(例えば、細い番手のステンレス鋼ワイヤ)を配置することを含む。典型的には、アノードが、損傷した近位神経断端の最も遠位の態様に配置される一方で、カソードは、さらに近位に配置される。アノード/カソードのそのような配置を、陽極ブロックを誘発する可能性を回避または低減するために使用することができる。しかしながら、そのような実施形態において、ワイヤは外科的切開内に配置され、外科医は、主な処置切開を閉じるときに、これらのワイヤの周りを慎重に縫合する必要がある。
【0334】
別の臨床研究においては、AC刺激をもたらして神経再生を促進するために、単極カフ電極が使用される。しかしながら、そのような構成において、カフ電極の使用は、神経損傷を招くことなくカフ電極を経皮的に取り除くことが不可能であるため、刺激処置が術中に行われることを要求する。
【0335】
第3の臨床例において、神経再生の促進に使用されるAC刺激は、単極微細針電極の使用を利用する。針電極を切開近傍領域に配置することができるが、組織を貫く経路を形成
するために使用される鋭い先端が、刺激すべき損傷神経を誤って穿刺する可能性もある。さらに、針電極は剛的であるため、容易に外れ、あるいは移動する可能性がある。いくつかの状況において、これは、活性電極が移動することで電場が遠くなり、損傷した軸索の脱分極に不充分となって、治療効果(例えば、すべてまたは必要な量の治療効果)が低下し、あるいは失われる可能性があるという点で、神経再生を促進するためにAC刺激を使用する臨床医にとって困難を生む。
【0336】
本開示に記載の方法およびシステムは、神経再生を促進するためのAC刺激の現在の臨床利用において説明された否定的問題の可能性を回避または少なくとも低減する役に立つ。
【0337】
図27Dをさらに参照すると、検証または検証ステップを、電極リードの配置に関連して(例えば、配置の最中に)行うことができる。いくつかの実施形態において、そのような検証または検証ステップは、アノード電極とカソード電極との間の電流を測定すること、神経内の活動電位を測定すること、運動または感覚応答を測定すること、ならびに/あるいは所望または必要に応じた任意の他の検証ステップまたは方法を含む。いくつかの構成においては、電極が配置され、1つ以上の検証ステップが完了すると、神経再生および組織再神経支配を促進し、あるいは他のやり方で改善するための治療的刺激を含むことができる刺激の第2段階を投与することができる。
【0338】
いくつかの実施形態において、検証および治療手順は2つのステップを含むが、そのようなステップは、2つの別個の事象として完了される必要はない。いくつかの構成において、検証および治療は、2つの別々の事象にて行われる。例えば、検証ステップ(例えば、第1の刺激段階)を、神経の位置特定または患者の反応(例えば、感覚、運動、言語、など)の測定の事象において行うことができる一方で、治療ステップ(例えば、神経再生治療をもたらすための第2の刺激段階)が後に続く。いくつかの実施形態においては、これら2つの別々の事象が続けて(例えば、連続して)生じる。換言すると、神経の位置特定の事象と治療の提供の事象とが別個の事象であるが、そのような別個のステップが、依然として二相刺激手法を使用する。
【0339】
検証および治療の刺激が別々のステップとして連続して(例えば、続けて)生じる実施形態を引き続き参照すると、後続の治療ステップを、検証ステップの終了の直後に生じるように構成することができる。他の構成においては、検証ステップの終了と後続の治療ステップとの間に遅延が存在する。そのような実施形態において、2つのステップの間の時間遅延は、0~5秒(例えば、0~0.05、0~0.1、0.1~0.5、0~1、1~2、2~3、3~4、4~5、0~2秒、これらの値の間の時間範囲、など)である。
【0340】
しかしながら、他の実施形態において、本明細書に記載の同じ装置およびシステムは、2ステップの検証および治療手順を1つの物理的事象(例えば、別個の事象ではなく)にて完了するように構成される。具体的な例として、刺激システムを、神経再生治療をもたらすために埋め込み、作動させる(例えば、オンにする)ことができる。いくつかの実施形態において、例えば治療刺激パルスが50msごとにもたらされる場合、以下でさらに説明されるように、検証刺激をもたらすための充分な時間を、連続するパルス間に設けることができる。検証刺激に対する反応を、神経再生治療の提供を続行または継続するための決定点として使用することができる。いくつかの実施形態においては、そのような単一の事象(例えば、刺激装置の埋め込みおよび作動)が、1つの単一の事象において生じるが、依然として2つの刺激段階を使用する。
【0341】
いくつかの実施形態においては、治療パルス自体が、生物学的反応(例えば、活動電位)を誘発するために充分なエネルギーである場合、立証条件を満たすことができる。
【0342】
図27A~
図27Dは、記載された技術の利用の一例を示しているにすぎず、本明細書に記載の技術は、身体内の任意の損傷神経に適用することが可能である。例えば、
図28Aおよび
図28Bに示されるように、装置、システム、および方法を、正中神経が少なくとも部分的に引き裂かれ(かつ/または、他のかたちで損傷し)、修復され、神経再生治療をもたらすためにシステムに接続されて経皮的に配置された刺激電極が使用される状況に、適用することが可能である。別の例が、
図28Cおよび
図28Dに示されており、腓骨神経が少なくとも部分的に引き裂かれ(かつ/または、他のかたちで損傷し)、修復され、神経再生治療をもたらすためにシステムに接続されて経皮的に配置された刺激電極が使用される。いくつかの実施形態によれば、上記および本出願の他の場所に記載された構成は、身体構造にかかわらず、すなわち身体のあらゆる場所の損傷した神経の治療になじむように、好都合に設計される。例として、本明細書に記載の装置、システム、および方法を用いた治療の対象とすることができる神経として、これらに限られるわけではないが、末梢神経系の神経(例えば、正中、尺骨、橈骨、腓骨、脛骨、坐骨、など)、自律神経系の神経(例えば、内臓、横隔、迷走神経、腸間膜、など)、脳に生じ、あるいは由来する神経(例えば、顔面神経、三叉神経、脊髄副神経、などの脳神経)が挙げられる。
【0343】
いくつかの実施形態において、挿入ツールは、立証条件を確認するために使用される1つ以上の電気的に活性な構成要素を備える。例えば、オーバーニードル・カテーテル・アセンブリ内の針を刺激源に物理的に接続し、立証条件を確認するために使用することができる。他の実施形態において、カテーテルは、立証条件を確認するために使用される刺激源に物理的に接続された1つ以上(例えば、2つ、3つ、4つ、5つ、など)の導電性要素を含むことができる。
【0344】
いくつかの実施形態において、カテーテル上の導電性要素を、例えば損傷した神経の活動電位などの生体信号を検出するために使用することができる。そのような活動電位は、個々の活動電位(スパイク)、複合運動活動電位、複合感覚活動電位、またはこれらの混合の形態であってよい。
【0345】
いくつかの実施形態において、(例えば、本明細書に記載のような)複数の導電性要素258を有する経皮電極リード250を、活動電位を測定するために好都合に使用することができる(
図29A~
図29D)。一例においては、多要素電極リードが、損傷した神経の近くに配置される。いくつかの構成において、電極は、神経の長手軸に平行またはおおむね平行に位置することができる。近位導電要素30を、遠位導電要素に由来する刺激に応答して、損傷した神経における誘発応答を測定するように構成することができる。いくつかの構成において、そのような「上流」測定値は、立証条件を確認するために(単独で、あるいは何らかの他の測定値または基準と一緒に)使用される。いくつかの構成において、記録電極構成は、特定の設計または用途によって所望または必要とされるように、単極、双極、三極、または他の構成を備える。いくつかの実施形態において、遠位導電性先端部252は、遠位基準電極との組み合わせにおいて単極電場を生成するように構成される。いくつかの構成において、遠位基準電極は、集積電子回路を有する表面パッチ電極80(または、何らかの他の種類の表面電極)である。さらに別の実施形態において、他の導電性要素258を有する遠位導電性先端部252は、双極電場を生成するように構成される。いくつかの実施形態においては、3つ以上の導電性要素(例えば、3つ、4つ、5つ、など)が、損傷した神経、損傷した神経内の特定の線維束、および/または他の対象の身体構造を標的とするように、電流をより正確に操縦し、あるいは他のやり方で導くために使用される。
【0346】
いくつかの構成においては、電極を刺激から記録に切り替えるために、切り替え機構が使用される。このような構成は、本明細書に開示される電極の実施形態のいずれにも適用
することが可能である。例えば、遠位単極刺激電極252を、電子機器が組み込まれたパッチ80などの遠位の基準電極またはリターン電極と併せて刺激パルスをもたらすために刺激の第一段階において使用することができる。いくつかの構成において、ひとたび刺激パルスがもたらされると、遠位刺激電極252を記録増幅器に接続されるように切り替えることができ、1つ以上の近位電極30および電子機器が組み込まれたパッチ80などの遠位基準電極と組み合わせて、活動電位などの生体信号を測定するために使用することができる。これらの構成の組み合わせも使用可能であり、本明細書に記載された構成に限定されない。
【0347】
いくつかの実施形態において、刺激システムは、生体信号を測定するための記録および増幅回路を含む。いくつかの実施形態において、増幅回路は、計装増幅器、フィルタリング回路、または他のアナログ増幅構成要素を備える。そのような増幅回路を、測定されたアナログ信号をデジタル形式に変換するアナログ-デジタル変換器とインターフェースするように構成することも可能である。いくつかの構成において、そのようなデジタル信号は、特徴的な特徴を抽出するためにさらに操作される。そのような特徴は、信号振幅、面積、電力、周波数、位相、などを含むことができるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態において、そのような特徴の抽出は、マイクロコントローラあるいは同様のコントローラまたは装置上で行われる。
【0348】
いくつかの実施形態においては、
図29Eに示されるように、カフ電極アセンブリ10を使用して立証条件を監視することができる。そのようなカフ電極アセンブリを、刺激の供給および活動電位の測定を取り入れる単一のシステムに接続することができる。いくつかの時において、そのようなシステムを、神経再生治療をもたらすように構成することができる。
【0349】
本明細書に開示される任意の実施形態に関して、測定システムまたはアセンブリは、刺激システムまたはアセンブリとは別個のシステムであってもよい。いくつかの構成において、別個の測定システムを、(例えば、第1の刺激段階において立証条件を確認し、記録された信号特性に関する情報を提供し、あるいは神経再生または組織再神経支配を強化するための刺激を含むことができる刺激の第2段階をゲーティングする(例えば、開始/停止信号をもたらす)、などのために)刺激システムと無線で通信するように構成することができる。無線通信手段として、無線周波数プロトコル(例えば、Bluetooth、Zigbee、Wi-Fi、NFC、など)、光通信(例えば、赤外、近赤外、可視光)、または磁気(誘導リンク)を挙げることができるが、これらに限られるわけではない。他の構成においては、異なるシステムまたはアセンブリの間の通信を可能にするために、有線接続(例えば、ケーブルを介する)を使用することができる。いくつかの構成においては、所望または必要に応じて、別個のシステムを使用して、筋活動電位、神経活動電位、および/または他の誘発された生体信号を測定することができる。そのような潜在的な信号および他の信号は、さまざまな損傷の状況において好都合であり、あるいは他のやり方で有益であり得る。例えば、圧迫性神経損傷(例えば、手根管症候群など)の場合に、接続された筋活動電位測定システムを使用して、部分的に除神経された筋肉からの誘発筋反応を測定し、立証条件を確認することができる。別の例においては、別個のシステムを使用して、異なる身体構造位置の神経からの活動電位を測定することができる。そのような神経は、損傷した神経に物理的に(例えば、損傷部位のさらに上流に)つながっているが、障害なくアクセスできなくてもよい。そのような状況下で、別個のシステムを使用して、他の記載された手段を用いたのでは確認することが不可能であり得る立証条件を確認することができる。いくつかの実施形態において、別個のシステムは、測定値を得るために表面または経皮電極を使用する。
【0350】
いくつかの構成において、刺激システムは、動作の検証(例えば、立証条件)のために
外部特徴シグネチャを待つ。いくつかの実施形態において、そのようなシグネチャは、別個の刺激ユニットによってもたらされる離散刺激パルスを含む。シグネチャに対して測定される応答を、立証条件を確認するために使用することができる。そのようなシグネチャは、電気刺激の使用だけでなく、振動刺激、音響、または光、あるいは組み合わせを使用して誘発されてよい。
【0351】
いくつかの実施形態において、別個の測定システムは、触覚の刺激から生じる体性感覚誘発電位または脳の他の電気的活動を測定し、記録し、かつ/または他のやり方で考慮するように調整および構成される。例として、誘発電位は、近位断端における損傷神経または接続されたブランチを刺激することによって誘発されてよい。これは、別個の測定システムを使用して記録されてよい脊髄および脳の両方における応答を誘発することができる。いくつかの構成において、そのような別個の測定システムは、立証条件を確認するために使用される。任意の状況において、そのような記録は、皮膚の表面に位置し、硬膜上に位置し(硬膜外電極)、あるいは脊髄または脳に直接(硬膜下に)位置する表面電極を利用することができる。
【0352】
いくつかの構成において、統合された電子機器を有する表面パッチ80の電極は、電極リード内の近位導電性素子によって記録される生体信号(例えば、活動電位)の測定のための基準電極として使用される。そのような表面パッチ80は、1つ以上の視覚インジケータ82を含むことができる。いくつかの構成においては、そのようなインジケータ82を使用して、例えば、時間、状態、刺激振幅、などのデータおよび他の情報をユーザに好都合に提供することができる。
【0353】
いくつかの実施形態において、測定システムは、例えば、スマートフォン、タブレット、別のスマート・ポータブル・デバイス、別個のコンピューティングデバイス(例えば、ラップトップ)、などの別個のデバイスまたは構成要素にデータを無線で送信するように構成される。別個のデバイスまたは構成要素は、データを分析し、立証条件を確認し、かつ/または任意の他の機能を実行するための1つ以上のアルゴリズムを含んでよい(または、使用するように構成されてよい。いくつかの構成において、そのようなスマートまたは他のコンピューティングデバイスまたは構成要素は、神経再生治療の実行を可能にし、かつ/または促進するために1つ以上の刺激装置と通信するように構成されてよい。
【0354】
利用される構成にかかわらず、いくつかの実施形態においては、生体信号(例えば、活動電位)を測定しつつ、測定される特性(例えば、振幅、信号面積、信号電力、周波数スペクトル、位相、など)の移動平均を維持し、かつ/あるいは他のやり方で検討または考慮することが、信号対雑音比または別の指標を向上させるために好都合である。いくつかの構成において、そのような平均は、少なくとも2回の誘発応答を含む。
【0355】
いくつかの実施形態において、検証または検証ステップにおける生体信号の測定値を、神経再生または組織再神経支配を促進するための刺激を含むことできる刺激の第2の段階または他の後続の段階をゲーティングする(例えば、開始/停止信号をもたらす)ために使用することができる。
【0356】
検証または検証ステップにおける運動/感覚応答をさらに精密にし、あるいは他のやり方で補足または強化するために、いくつかの実施形態においては、本明細書で説明される反復バーストシーケンスが、検証シグネチャまたは他の一意の識別子を生成する。そのようなシグネチャは、さまざまな特性(例えば、異なるパルス持続時間、振幅、周波数)の刺激パルスを含むことができる。いくつかの構成において、検証シグネチャは、ディスプレイ(または、他の出力)と同期し、直接的な患者および/または施術者のフィードバック(例えば、刺激から感じる反応がディスプレイに表示された反応に類似しているか否か
を患者に尋ねる、患者の反応を評価するように医師に問い合わせる、など)に使用されるように構成される。いくつかの実施形態においては、この検証段階においてランダムにもたらされてよい離散パルスを使用することが有利である。そのような構成は、一定周波数出力(例えば、固定のパルス幅で20Hz)が患者に「ブザー音」、他の一定の感覚、および/または別の種類の感覚をもたらすことができるため、好都合であり得る。例えば、重度の神経損傷(例えば、離断)の場合、刺激からのそのような一定の感覚は、ランダムに発火し、あるいは過敏である損傷した軸索ゆえに、マスクされ、あるいは刺激として解釈されない可能性がある。いくつかの構成において、離散パルスはこの制限を克服し、立証条件(例えば、刺激に対する患者の反応)の客観的測定をもたらすことができる。さらに、融合した筋収縮を防止するために、筋融合周波数よりも低い周波数で離散パルスをもたらすことが好都合であり得る。いくつかの実施形態において、筋肉融合頻度は、筋肉に応じて変化する。例えば、そのような融合周波数は、速収縮の眼筋に関して100Hzより大きくてよく、ヒラメ筋などの緩徐収縮筋に関して5~20Hz(5~6、6~7、7~8、8~9、9~10、10~11、11~12、12~13、13~14、14~15、5~10、10~15、15~20、10~20Hz、これらの範囲の間の周波数、など)であってよい。いくつかの構成において、そのような収縮は、切断された神経が損傷の近位および損傷していない神経ブランチの近位で刺激される場合に生じ得る。また、これらの収縮は、損傷した神経が近位で刺激された場合に何らかの遠位伝導が生じることができる圧迫によって損傷した神経においても生じ得る。非テタニー性パルス列を、いくつかの実施形態において、立証条件を満たし得る患者による離散事象として解釈することができる。
【0357】
いくつかの実施形態においては、検証シグネチャまたは他の一意の識別子が、治療刺激ウインドウ(例えば、1時間の神経再生治療、何らかの他の持続時間の治療、などの間)の全体にわたって使用される。この検証シグネチャは、刺激を受けている損傷神経に対してシステムが治療効果をもたらしていることをユーザに好都合に確認することができる。いくつかの構成において、刺激ウインドウの全体に適用される検証シグネチャは、1つ以上(例えば、2つ、3つ、4つ、5つ、など)の誘発電位を生成する1つ以上の離散パルス(例えば、2つ、3つ、4つ、5つのパルス、など)を含むことができる。後続のパルスの間のタイミング(例えば、パルス周波数)は、所望または必要に応じて、均一または不均一(例えば、ランダム)であってよい。いくつかの構成においては、そのような誘発電位を平均して、刺激が正しく適用され、システムが損傷した神経に治療効果をもたらしているかどうかをユーザに確認することができる複合検証応答を生成することができる。
【0358】
多発性神経損傷
複数の神経が損傷する上腕神経叢損傷などの場合に、損傷したすべての神経に神経再生治療を一度に提供することが望ましい場合がある。そのような場合および構成において、システムを、異なる電極構成に出力するように設計および構成することができる。例えば、
図30を参照されたい。
【0359】
いくつかの実施形態においては、
図30の例に示されるように、システムによって制御されるアナログデマルチプレクサ210を有する電極装置コネクタ208を、神経ポートに接続することができる。いくつかの構成において、これは、システムがチャネル212を切り替えることによって一度に1つのチャネルに出力をもたらすことを可能にする。
【0360】
いくつかの実施形態において、神経ポートは、電力および制御情報をアナログデマルチプレクサへと伝えるための追加の導電性信号経路または線を備える。いくつかの実施形態において、コネクタは、システムに接続された各々の電極について1つの制御信号線が必要とされるパラレル構成のいずれかを使用してアナログデマルチプレクサを制御するための接続を特徴とすることができる(例えば、ON SemiのMC14067B、Ana
log DevicesのADG5412、Maxim IntegratedのMAX4623、または同等品)。他の構成において、コネクタは、シリアル周辺機器インターフェース(SPI)を使用してアナログデマルチプレクサへとインターフェースするための3つの制御信号を含むことができる(例えば、Analog DevicesのADGS1412)。
【0361】
いくつかの実施形態によれば、複数の電極を含むケーブルは、デマルチプレクサ回路と、例えばアクティブなチャネルを表示するLEDなどのインジケータとを含むコネクタ・ハウジング・ユニットを備えることができる。さらに他の構成において、コネクタ・ハウジング・ユニットは、メモリと、前記メモリに電力を供給するためのエネルギー源(例えば、比較的小さなエネルギー源、例えばコイン型電池など)とを含むことができる。いくつかの構成において、メモリは、例えば刺激設定および/または他の動作パラメータなどの情報を記憶するように構成される。いくつかの構成において、コネクタ・ハウジング・ユニットは、所望または必要に応じて、メモリ、エネルギー源、デマルチプレクサ回路、ならびに/あるいは任意の他の特徴または構成要素を含むことができる。電極装置に接続された各々のリード線は、本明細書に開示の実施形態のいずれかを参照してより詳細に説明された構成要素のちの1つ以上を備えるコネクタ・ハウジング・ユニットを含むことができる。
【0362】
治療方法の期間
治療期間に関して、最適期間がわずか10分または30分であることが研究によって実証されている。しかしながら、大部分の研究は、1時間または1時間に近い治療期間を利用する。したがって、治療方法の持続時間は、所望または必要に応じて、10~90分(例えば、10~20、20~30、30~40、40~50、50~60、60~70、70~80、80~90、10~30、30~60、40~80分、これらの範囲内の時間、など)の間であってよい。他の実施形態において、治療処置は、90分超または10分未満を要し得る。
【0363】
いくつかの実施形態において、損傷した神経の治療は、適切な電極装置および刺激パラメータの設定、治療の開始、ならびに軸索の脱分極に充分な刺激振幅の維持を含む。さらに、治療期間は、治療の合計時間が最適刺激期間と同等である限り、治療期間の全体にわたって連続的に適用される必要はない。例えば、外科的処置の最中に電極装置を移動させる必要がある場合、エンドユーザは、前述のようにユーザによる操作が可能な制御部を使用して治療を一時停止させることができる。一時停止されると、システムは、電気刺激出力の送出を停止し、一時停止の制御部が再び使用された場合に限り再開する。この特定の例において、治療が1時間にわたって適用されると、前述のインジケータが、治療の完了をユーザに通知することができる。
【0364】
いくつかの構成においては、短い電気刺激の複数のバウトをもたらすことが有利かもしれず、各々のバウトは、すでに述べた持続時間(例えば、10~90分)および刺激パラメータを含む。短い電気刺激の後続のバウトの間のタイミング、すなわち休止期間は、1日当たりに複数のバウトから、1日以上の日数を隔てて1日以上の日数でもたらされる1回のバウトまで、さまざまであってよい。いくつかの実施形態において、損傷した軸索の短い電気刺激の単一のバウトが、損傷した軸索の細胞体における再生関連遺伝子および神経栄養因子を一時的に上方制御する。いくつかの実施形態によれば、複数回のバウトが、これらの遺伝子および神経栄養因子の上方制御された発現を延長し、一時的に増加させ、あるいは維持できると意図される。
【0365】
もたらされるべきバウトの数は、神経損傷の種類の距離に応じて異なり得る。例として、肩の近位損傷は、損傷した軸索が損傷部位から手の遠位筋まで再生するために最低でも
450日を必要とし得る。毎日の刺激がもたらされる状況において、刺激の複数のバウトをもたらすために、この状況においては少なくとも450回のバウトが必要になると考えられる。人間の指の指神経の裂傷などのより遠位の損傷は、おそらくは、毎日の刺激の場合に、例えば30~60回などのかなり少ないバウトしか必要としない。もたらされるバウトの数は、損傷に依存し、先験的に決定することはできない。場合によっては、バウトの反復が有益でない可能性があるため、わずか数回のバウトしか必要でない。刺激の主な効果は、損傷部位を横切る神経の成長を促進することであり、したがって、特定の日数の後に、損傷したすべての軸索が損傷部位を横切り、さらなる神経再生治療は有益でないかもしれない。神経再生治療のさらなる利点は、より多くの組織を再神経支配できることである。いくつかの実施形態において、これは、再生する軸索が組織に再結合することができ、神経腫を形成し、あるいは疼痛を引き起こす可能性がある遊離軸索端部が少なくなるため、より大きな機能をもたらすだけでなく、慢性疼痛を発症する可能性も低下させる。
【0366】
いくつかの実施形態において、短い電気刺激の複数のバウトの実施は、すでに説明したシステムおよび装置の修正を必要とする可能性がある。一例においては、接着パッチ80上のコネクタ186とインターフェースする第2の刺激システムが、適切な治療期間および治療回数が行われたかどうかを監視、追跡、または検証するようにプログラムされてよい。いくつかの実施形態において、第2の刺激システムは、治療に対する患者の順守を追跡するために、一意の識別子などの患者情報を保存することができる。
【0367】
別の例においては、接着パッチ80を、複数のバウトの供給の期間にわたって持続するエネルギー源を用いて構成することができる。そのような実施形態において、接着パッチ80は、検証エネルギー源および刺激エネルギー源の両方として機能することを可能にする要素を備えることができる。接着パッチに含まれてよいさらなる要素は、インジケータまたは本明細書で言及されるように刺激パラメータを調整するためのユーザ制御部である。
【0368】
いくつかの実施形態において、接着パッチは、外部装置または埋め込まれた装置あるいはそれらの組み合わせとの無線通信に使用される回路要素を含む。1つの例示的な構成において、そのような装置は、スマートフォンまたは他のコンピューティングデバイス(例えば、タブレット)を含むことができる。そのような用途において、前記スマートフォンは、刺激パラメータの変更ならびに適切な治療期間および適用の検証に使用されるソフトウェアアプリケーションを含むことができる。別の例において、そのような装置は、埋め込まれた電極リードを含むことができる。そのような用途において、電極リードは、パッチと通信し、電気刺激のような所望の機能を実行するためのハードウェアおよび回路を含むことができる。
【0369】
疼痛管理
他の実施形態において、システム(および、関連の方法)を、神経再生治療の複数の1回以上のバウトをもたらすだけでなく、疼痛管理治療ももたらすように修正することができる。そのような疼痛管理治療を、神経再生治療の直前および/または直後に提供することができる。さらに、そのような疼痛管理治療の提供を、所望または必要に応じて、神経修復手術の前、最中、および/または後に行うことができる。しかしながら、疼痛管理治療のためのエネルギーの供給は、この時間に限定されず、神経再生治療の提供から一定の時間において提供されてよい。一定の時間は、神経再生治療の提供から数分~数時間~数日(例えば、0~10、0~30、0~60分、0~1、0~2、0~3、0~4、0~5、0~6、0~12、0~12、0~24時間、0~1、0~2、0~3、0~4、0~5、0~6、0~10、0~20、0~30日、30日超、これらの範囲内の任意の期間、など)を表すことができる。さらに、疼痛管理のためのエネルギーの供給は、固定された供給スケジュールを必要とせずに、患者が神経損傷に関連する疼痛を感じているとき
に行われてもよい。
【0370】
いくつかの実施形態によれば、疼痛管理治療は、50~200Hzの範囲(例えば、50~60、50~55、55~60、52~58、50~100、50~200、50~150、100~150、100~200、70~130、80~120、60~120、150~200Hz、これらの範囲の間の値、など)の刺激を含む。いくつかの構成において、疼痛を軽減するための刺激の周波数は、20KHz~500KHz(例えば、20~500、20~100、50~100、100~200、100~300、100~400、100~500、200~400、200~500KHz、これらの範囲の間の周波数、など)または1KHz~10KHz(例えば、1~10、2~8、4~6、3~7、1~5、5~10KHz、これらの範囲の間の周波数、など)であってよい。いくつかの実施形態においては、疼痛を軽減するための最適、効率的、かつ/または快適な周波数を提供するようにシステムを設計および他のやり方で構成することができる(したがって、そのようなシステムに関係する対応する方法を構成することができる)。いくつかの実施形態においては、システムによってもたらされる周波数を、所望または必要に応じて、疼痛を軽減するためにもたらされる刺激エネルギーを調節(例えば、特定の患者または他の対象者に応じ、特定の患者または対象者の処置中に、特定の種類の疼痛を対象として、など)するように構成することができる。しかしながら、他の実施形態においては、疼痛を軽減するためにシステムによってもたらされる刺激エネルギーを、固定することができる。
【0371】
いくつかの構成において、神経再生治療の単一のバウトまたは治療ラウンドは、慢性疼痛または他の種類の長期疼痛の発症の可能性の低減につながる組織再神経支配を促進するために充分であってよい。しかしながら、神経組織が再生しているとき、短期疼痛が依然として存在し、持続する可能性がある。本明細書に記載の任意のシステムを、神経再生治療の1つ以上のバウトの後に連続的または断続的な疼痛管理治療をもたらすために使用することができる。
【0372】
図31、
図32、
図33、および
図34が、対象者に神経再生治療および疼痛管理治療を提供するためのステップの実施形態の流れ図を示している。これらの流れ図は、神経再生治療および疼痛管理治療の提供を適用することができるさまざまな時間構成を示している。これらの流れ図は、これらの治療の提供の時間構成のいくつかの例を提示するが、施術者または装置のユーザは、所望または必要に応じて、1つ以上のステップのバイパスまたは非実行を選択することができ、示されたステップを代替のステップで置き換えることができ、かつ/あるいは追加のステップを取り入れることができる。例えば、施術者は、ただ1つの適用または神経再生治療の実施を選択することができるが、疼痛管理治療の複数の適用を選択することもできる。したがって、そのような状況下で、施術者は、追加の神経再生治療を適用することができるステップを省略することができる。
【0373】
図31は、神経再生および疼痛管理治療を対象者に提供するための手順、プロトコル、または方法の一実施形態を概略的に要約している。図示のように、本明細書に開示される種々の構成のうちの1つ以上などに従って、神経再生刺激を対象者に適用することができる(502)。図示の構成において、神経再生刺激は、神経外科手術が最初に実行(500)された後に適用される(502)。しかしながら、本明細書に開示される他の実施形態(例えば、
図32~
図34を参照)に関連して示されるように、神経再生刺激を、所望または必要に応じて、神経外科手術が行われる前に最初に適用することができる。神経再生刺激の供給が完了すると(504)、疼痛管理刺激を対象者に適用することができる(506)。疼痛管理刺激を、本明細書に開示される任意の装置、システム、および/または方法を使用して適用することができる。
【0374】
図31をさらに参照すると、対象者への疼痛管理刺激が完了すると、施術者は、追加の疼痛管理治療が所望されるか、あるいは必要であるかを判断することができる(510)。同様に、追加の疼痛管理治療が所望されず、あるいは必要でないと判断されると、施術者は、追加の神経再生治療が望まれるか、あるいは必要であるかを判断することができる(512)。これらの追加の治療のいずれも所望されず、あるいは必要とされない場合、プロトコル、手順、または方法を終えることができる(514)。しかしながら、
図31に示されるように、追加の治療が所望され、あるいは必要である場合、施術者は、所望または必要に応じて、ステップのうちの1つ以上を繰り返すことを選択することができる。
【0375】
図32は、神経再生および疼痛管理治療を対象者に提供するための
図31に示したものと同様の手順、プロトコル、または方法の別の実施形態を概略的に要約している。しかしながら、
図32においては、神経再生刺激が、神経外科手術の実行(524)の前に適用される(520)。
図32においては、疼痛管理刺激の適用(526)の前に、神経外科手術が行われる(524)。しかしながら、
図33および
図34に概略的に示される手順においては、神経再生刺激(540)および疼痛管理刺激(544)の両方を適用した後に、神経手術が行われる(548)。
図33において、神経再生刺激の適用(540)は、疼痛管理刺激の適用(544)の前に行われる。しかしながら、代案として、
図34においては、疼痛管理刺激の適用(560)が、神経再生刺激の適用(566)の前に行われる。
【0376】
いくつかの実施形態によれば、疼痛管理治療を、神経再生治療と同時に提供することができる。すなわち、神経再生パラダイムにおける連続するパルス600の間に、疼痛軽減波形602をもたらすことができる。そのような波形は、正弦、矩形、傾斜、および/または任意の他の方式、パターン、または形状を含むことができる。例として、
図35は、二相の20Hzの矩形の神経再生パルスが散在する1KHzの正弦波を示している。しかしながら、所望または必要に応じて、刺激エネルギーの供給に関して任意の他の波/パターン、周波数、および/または他の特性を使用することができる。
【0377】
いくつかの実施形態において、損傷した神経とすでにインターフェースされた経皮的に配置されたリードおよび電極の存在は、疼痛を軽減するための1つ以上のフォローアップ刺激エネルギーの供給に固有の利点を提供する。したがって、疼痛管理のための刺激エネルギーを供給するために神経組織(および/または、周囲の身体構造領域)へのアクセスを得るための別個の処置の要求が、不要である。これは、神経障害性の疼痛の部位が神経損傷の部位であると考えられるため、重要である。他の利点として、疼痛管理治療の治療有効性を検証できること、生体信号の記録を通じて最適または優れた疼痛管理を生じるように刺激レベルを滴定できること、などが挙げられる。
【0378】
いくつかの実施形態においては、
図36に示されるように、(例えば、本明細書に開示の構成またはそれらの均等物のいずれかに従って)神経再生治療を提供するシステムが、疼痛管理治療の提供に役立つ別個のアクチュエータ、ボタン、制御部、コントローラ、ならびに/あるいは他の装置、特徴、または構成要素を備える。いくつかの実施形態において、そのような特徴または構成要素を、システムの1つ以上の他の特徴、構成要素、装置、および/または部分に組み込むことができる。他の構成においては、別個のシステム610が、疼痛管理治療を提供するために使用されてよく、制御部およびインジケータ612を含むこともできる。いくつかの実施形態において、そのような別個の制御部は、所望または必要に応じて、患者、介護者、医療専門家、などによって有効にされ、あるいは他のやり方で作動および/または制御されるように構成される。
【0379】
いくつかの実施形態においては、神経再生治療が完了すると、システムは疼痛管理治療のみを提供するように構成される。他の実施形態においては、神経再生および疼痛管理の
両方の治療が利用可能である(例えば、断続的に、無期限に、特定の期間にわたって、特定の事象またはしきい値が達成されるまで、システムによって他のやり方で決定されるとおりに、施術者または他のユーザによって指示されるとおりに、かつ/あるいは1つ以上の他の要因または条件によって指定されるとおりに)。
【0380】
いくつかの実施形態においては、別個の装置またはシステムを、神経再生治療を提供する装置を置き換えるように構成することができる。本明細書に記載のとおりの神経再生提供装置を、損傷した神経を修復するための手術時または手術の直後に展開し、あるいは他のやり方で作動させることができる。例えば、疼痛管理治療を、他方では、家庭環境で行うことができ、あるいは典型的には、医療環境(例えば、病院、診療所、医院、など)から離れた環境で行うことができる。したがって、特定の実施形態のもとでは、神経再生装置を、切開部位614から上流にすでに配置されて損傷神経とインターフェースした電極250とインターフェースする疼痛管理装置と変更または交換することが、好都合であり得る。
【0381】
いくつかの実施形態によれば、神経再生治療および/または疼痛管理治療の場合に、対応するシステムは、身体に装着可能であって、四肢616に直接取り付け可能であってよい。いくつかの実施形態においては、同じ装置またはシステムを使用して、神経再生治療および疼痛管理治療の両方をもたらすことができる。他の構成においては、神経再生治療および疼痛管理治療をもたらすために、異なるシステムを使用することができる。神経再生治療および疼痛管理治療に同じ刺激エネルギー供給装置またはシステムが使用されるか、あるいは異なる刺激エネルギー供給装置またはシステムが使用されるかにかかわらず、そのような装置またはシステムは、特定の用途または使用に関して所望または必要とされるとおりに、身体装着型(例えば、対象者に直接的または間接的に取り付けられる)であっても、身体装着型でなくてもよい。
【0382】
いくつかの実施形態において、疼痛管理を可能にし、実行し、あるいは他のやり方で容易にするための制御部(例えば、装置、システム、構成要素、特徴、など)が、スマートフォン、あるいは他の無線周波数(RF)、Bluetooth、および/または他の無線/有線送信可能なリモートなどの別個の装置(例えば、リモート装置)618を使用してトリガされ、あるいは他のやり方で開始される。疼痛管理治療を可能にするために使用されるスマートフォンまたは他のコンピューティングデバイスの例において、そのようなスマートフォンまたは他のデバイスは、アプリケーション(例えば、スマートフォンアプリケーションまたはプログラム)を介して所望または必要とされる治療を管理し、あるいは他のやり方で管理を制御するように構成されてよく、提供時間の記録、供給したエネルギーの量、治療の遵守、目標刺激レベル、刺激目標からの時間につれての偏差、などの情報を含むことができる。いくつかの構成において、疼痛管理システムに物理的な制御部は見られず、コンピュータ、タブレット、スマートフォン、などに見られるソフトウェアを介して厳密に制御される。前記ソフトウェアは、刺激パラメータ、治療時間、供給時間、医師との通信、などを調整することができる。
【0383】
いくつかの実施形態において、疼痛管理治療または神経再生治療の提供に使用されるシステムは、電池または同様の電源を含むことができる。他の構成において、システムは、装置に電力を供給するために使用することができる無線電荷転送機構(例えば、誘導結合コイルまたは電磁結合回路)を含む。いくつかの実施形態においては、コンピュータ、タブレット、スマートフォン、他のコンピューティングデバイス、などのコンピューティングデバイスからもたらされる無線で転送された電力620を、コンデンサ(例えば、スーパーキャパシタ)などの電荷貯蔵デバイスに電力をもたらす(例えば、電気的に充電する)ように構成することができる。いくつかの実施形態において、このようなやり方で充電されるように構成されたスーパーキャパシタを、設定量の疼痛管理または神経再生治療を
提供するようにプログラムに基づいて充電されるように構成することができる。いくつかの実施形態においては、スーパーキャパシタを電池と併せて使用して、大電流消費事象(例えば、データを無線で送信する)に起因する電池の電圧低下を低減することができる。例えば、いくつかの構成において、設定量は、もたらされる予め設定された電荷量、持続時間、刺激設定、などを含んでよい。いくつかの構成においては、例えば13.56MHzなどのライセンス不要周波数帯域を利用する近距離無線通信プロトコルを使用して、疼痛管理装置またはシステムと電力および/またはデータをやり取りすることができる。しかしながら、所望または必要に応じて、疼痛管理装置またはシステムとの電力および/またはデータのやり取りを容易にするために、任意の他の構成を使用することが可能である。
【0384】
いくつかの実施形態において、コンピューティングデバイス/タブレット/スマートフォンは、支払いシステムとしての役割を果たすこともできる。そのような構成において、コンピューティングデバイスは、支払いが受信されると、疼痛管理治療をロック解除または有効化することができる。
【0385】
整形可能な電極リード-全般
神経損傷は、身体のさまざまな部分で生じる可能性があり、通常は予測不可能である。これらの損傷の外科的修復は、典型的には、開放切開または開放手術領域を含む。これらの状況において神経再生治療を施すために神経にインターフェースすること(例えば、到達する、接触する、アクセスする、近づく、など)は、電極(例えば、カフ型電極)の使用を含むことができる。しかしながら、典型的には、既知の電極(例えば、カフ型電極)は、経皮的に除去することができず、外科的処置の期間にのみ適し、あるいは恒久的に埋め込まれる。神経再生治療の一般的な一過性の性質に鑑み、神経修復などの開放手術の状況において神経に適切に接触し、その後に対象者の身体から除去(例えば、シームレスに、追加の外科的処置を含まずに、など)することができる神経インターフェースを有することが、そのような治療の進歩および/または適応性にとって重要かつ有用であり得る。さらに、容易に引き抜くことができる整形可能な電極の使用が、本明細書に記載の神経修復後の疼痛管理治療の提供に有利である。
【0386】
いくつかの実施形態において、経皮的に配置された電極は、神経再生治療および/または疼痛管理治療の提供に好適であり得る。いくつかの実施形態において、電極リードを、それが配置される身体構造の特定の領域に適合するように整形することができる。電極リードの整形可能な態様の利点および利益として、これらに限られるわけではないが、電極リードを身体構造の一領域により良好に適合させることができること、電極リードを対象の神経の長手軸に平行ではない軌道に沿って配置できること、対象の構造を少なくとも部分的に包み、かつ/または少なくとも部分的に取り囲み、位置を維持することができること、対象の神経に依然として係合しつつ身体構造を回避するために使用される形状を生じることができること、固定のために周囲の結合組織に頼る必要なく、電極リードを対象の神経の近くに配置できること、修復された対象の神経を傷めることなく電極を引き抜くことができること、所望の部位に治療をより良好に局所化して、治療(例えば、神経再生治療および/または疼痛管理治療)を誘発するために必要な電流密度を低減できること、柔軟でなく、堅く、あるいは突出する埋込材料であれば生じるであろう痛み、不快感、または外傷が緩和または防止されること、などが挙げられる。
【0387】
いくつかの実施形態によれば、本明細書に開示される構成のいずれか、またはその均等物は、整形可能な1つ以上の部分を有する電極リードを含むことができる。いくつかの構成においては、電極リードの一部分のみが整形可能である(例えば、整形可能な態様を含む)。しかしながら、他の実施形態においては、電極リードの全体が整形可能である。
【0388】
手術領域、あるいは対象の損傷神経を含み、かつ/または取り囲む領域は、標準的な身体構造に類似しないような充分な外傷を被っている可能性がある(例えば、構造、材料の変化が生じている可能性がある)。さらに、電極リードの整形可能な態様を有することは、リードを身体構造の全体形状にかかわりなく特定の神経に適合するように整形(例えば、全体的に、おおむね、自動的に、手動で、など)できるため、開放手術の場合に有利であり得る。いくつかの構成において、リード本体1100の1つ以上の部分(例えば、遠位の態様1102および/または近位の態様1104)の整形を、
図37Aに示されるように、手作業で行うことができる。いくつかの実施形態において、そのような手作業での成形または操作を、ロボット機器などによって
図37Bに示されるように1つ以上の外科器具(例えば、鉗子)を使用して達成することができる。他の実施形態においては、外科器具および/または機器などは使用されない。いくつかの実施形態において、整形は、少なくとも部分的に手術領域内で行われる。例えば、電極リード本体1100を、所望または必要に応じて、ひとたびリード本体1100が対象の手術領域内に配置されると、全体的または部分的に整形することができる。
【0389】
整形は、電極リードに力を加えて、リードの形状の変化をもたらすことを含むことができる。力を停止または変更することにより、電極リードは、加えられた力で生成された形状を維持することができる。
【0390】
図38Aに示されるように、いくつかの例によれば、整形は、導電性要素1108を含んでよい遠位の態様1102について、電極リード本体1100の長手軸1106から逸脱する湾曲要素を生成することを含むことができる。他の例においては、
図38Bに示されるように、電極リード本体1100におおむねらせんの形状を与えるために整形を使用することができる。図示のように、そのような形状は、対象の神経構造1110を取り囲むように構成されてよい。
【0391】
本明細書に開示される任意の実施形態に関して、電極リード本体1100の一部分(例えば、遠位の態様1102)が自身の形状を保持できることは、電極を神経構造1110により予測可能かつ確実に接触させ、その接触を維持することができる(例えば、カフ電極と同様であるが、外傷を引き起こさずに除去できる可撓性を有する)ため、好都合であり得る。
【0392】
さらに別の構成においては、
図38Cに示されるように、電極リード本体1100の整形を、1つ以上のU字形部分を生成するために使用することができる。本出願においては、電極を形作ることができる整形の少数の例だけが例示され、あるいは他のやり方で開示されている。電極リード本体1100の選択的な整形が、遭遇するあらゆる身体構造の状況に適合することができ、かつ/または任意の他の目標または目的を満たすことができるように、本出願において論じられていない形状を含む無数の形状をもたらすことができることを、理解されたい。
【0393】
既存の装置は、本明細書に開示される実施形態に対して、1つ以上の制限および/または他の欠点を含む可能性がある。例えば、心臓の用途において、カテーテル型の電極リードが、心臓のペーシング(例えば、心臓組織に電気刺激または他のエネルギーを供給する)、心臓からの信号の記録、などのために使用されることが多い。これらのカテーテル型のリードの遠位の態様の整形を、体内に配置する前に行うことができる。製造業者が、典型的には、異なる形状を含む遠位の態様(および/または、他の部分)を有するさまざまなモデルを製造する。そのようなさまざまなモデルを、例えば、これらに限られるわけではないが、対象者の身体構造への進入に使用される挿入方法(例えば、大腿動脈アクセスまたは橈骨動脈アクセス)、対象者の身体構造の1つ以上の特性(例えば、対象者の大動脈が狭いか、あるいは広いか)、などの1つ以上の要因に基づいて選択することができる
。さらに、このような従来の整形技術は、電極を有するカテーテルに限定されず、ガイドワイヤ、ガイドカテーテル、あるいはより一般的には、対象者の血管系または他の腔内身体構造ネットワークを通過しなければならない装置も含むことができる。
【0394】
神経外科の分野において、脳とのインターフェースに使用される電極(例えば、脳深部刺激電極)または脊髄とのインターフェースに使用される電極(例えば、脊髄刺激電極)は、現時点において、高精度での局在を保証するために画像誘導下で配置されている。これらの処置は、侵襲が最小限であり、開放手術を必要としない。そのような状況下で、電極は整形可能ではないが、代わりに、それらがインターフェースする組織(例えば、脳または脊髄)に適合するように充分に可撓性である。スタイレット、金属インサート、または他の装置が、必要な剛性、押し込み性、および/または組織内での他の特性を提供するために、これらのリードの配置に典型的に使用される。スタイレットを取り除くことにより、周囲の組織がリードに力を及ぼし、リードを所定の位置に保つことができる。しかしながら、周囲の組織が存在しない場合、リードの可撓性ゆえに、修復処置が典型的には開放手術領域(例えば、あるいは低侵襲性)で行われる末梢神経修復の状況において、リードを整形して使用することができない可能性がある。(例えば、外科的処置の最中に)特定の身体構造領域に合わせてリードを整形する能力は、既存の技術では不可能である。
【0395】
いくつかの実施形態において、電極リードは、リードの1つ以上の部分(例えば、リードの遠位の態様)に沿って分布した1つ以上の導電性要素1108を含むことができる。他の構成において、導電性要素1108は、所望または必要に応じて、リードの遠位端または遠位端付近に代え、あるいは加えて、リードの全長にわたって配置される。導電性要素は、所望または必要に応じて、異なる形状、サイズ、および/または他の特性を含むことができる。例えば、
図38Aに示されるように、電極リード本体1100の遠位端の導電性要素1108を、電極リード本体1100をキャップするとともに、末梢神経などの組織に刺激電流を供給するために使用することができるより大きな表面積も提供するようなやり方で、形作ることができる。
図38Aをさらに参照すると、先端要素から離れて配置された第2の導電性要素1108を、幅が0.05~5mm(例えば、0.05~0.06、0.06~0.07、0.07~0.08、0.08~0.09、0.09~0.1、0.1~0.2、0.2~0.3、0.3~0.4、0.4~0.5、0.5~0.6、0.6~0.7、0.7~0.8、0.8~0.9、0.9~1、1~2、2~3、3~4、4~5mm、これらの間の範囲、など)でさまざまであるリングとして形作ることができ、かつ/または導電性絶縁ワイヤ1122に(例えば、直接的または間接的に)物理的に結合させることができる。いくつかの構成においては、双極刺激場を生成するために、少なくとも2つの導電性要素1108が使用される。複数の導電性要素は、電流場を形作り、あるいは他のやり方で修正または左右することを可能にする電気刺激アレイを形成することもできる。
【0396】
いくつかの実施形態において、(例えば、本明細書に記載のとおりの)複数の導電性要素1108を有する電極リード本体1100は、電極リードの接続および配置を試験するための回路を含むことができる刺激源に結合(例えば、物理的に、電気的に、動作可能に、直接的に、間接的に、など)する。いくつかの構成において、刺激源を、(例えば、刺激エネルギーをもたらすことによって)神経再生治療を提供するように構成することもできる。他の構成において、刺激源を、疼痛管理治療(例えば、電気刺激による慢性痛の管理)を提供するように構成することもできる。
【0397】
いくつかの実施形態において、電極リードは、円形または湾曲した形状(例えば、少なくとも部分的に円形または湾曲した形状)を備え、0.1~5mm(例えば、0.1~0.2、0.2~0.3、0.3~0.4、0.4~0.5、0.5~0.6、0.6~0.7、0.7~0.8、0.8~0.9、0.9~1、1~2、2~3、3~4、4~5
、1~4、0.5~4、1~4、0.1~5、4~5、3~5、2~5mm、これらの間の範囲、など)の外径(または、他の断面寸法)を備える。
【0398】
いくつかの実施形態では、電極リードは、複数の部分(例えば、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ以上、など)を含む。各々の部分は、異なる形状を含むことができる。しかしながら、いくつかの構成においては、2つ以上の部分が、所望または必要に応じて、類似またはほぼ類似の形状を含むことができる。
【0399】
いくつかの実施形態によれば、
図39Aに示されるように、電極リードの近位の態様の断面形状が、少なくとも部分的に円形、円柱形、かつ/または他のやり方で湾曲していてよく、一方で、遠位の態様の断面形状は、薄い矩形の形状(あるいは、他の非円形または湾曲形状)を含んでよい。いくつかの構成において、近位の態様は整形可能であってよく、ユーザが、電極リードを、遠位端における神経との接触または遠位端に沿った神経との接触を維持しつつ、神経の長手方向の経路からそらすことを可能にする。
【0400】
いくつかの構成によれば、電極リードの厚さを、その長さに沿って変化させることができる。例えば、リードの厚さが、1つ以上の部分において異なってよい。例えば、おおむね平坦な矩形の形状が、円柱形の構成要素に対して充分に薄くてよい(例えば、10μm~500μm)。これは、薄い矩形部分が、神経の下方に配置されることによって損傷した神経と外傷を引き起こさずにインターフェースすることができる一方で、円柱形部分が、挿入器具によるインターフェースの経皮配置あるいは送入および回収を容易にするため、好都合であり得る。
【0401】
いくつかの実施形態においては、例えば
図39Bに示されるように、薄い矩形の形状またはフラップ1112を、表面張力(例えば、組織内および/または組織の周囲に位置する流体を使用して、フラップに表面張力をもたらす)によって円柱形のリードを留め、あるいは他のやり方で固定(例えば、一時的に、恒久的に、など)するために使用することができる。いくつかの構成において、薄い矩形の形状は、例えば、これらに限られるわけではないが、ポリマー材料および/またはエラストマー材料など(例えば、シリコーンゴム、ポリウレタン、など)の1つ以上の可撓性(例えば、非剛体)材料を含む。
【0402】
いくつかの実施形態において、電極リードの遠位の態様は、整形可能な1つ以上の材料を備える。一例においては、
図40Aに示されるように、リードが、少なくとも部分的には、電極リード本体1100内に位置することができるインサート1114の結果として、整形されるように構成される。そのようなインサート1114を、いくつかの構成においては、電極リード本体の遠位端(例えば、先端部)に配置された導電性要素1108に結合させることができる。次いで、このアセンブリを(例えば、層、コーティング、ジャケット、他のカバー1116、などを使用して)覆うことができる。そのような覆いは、1つ以上のポリマーおよび/またはエラストマー材料を含むことができる。一例において、インサート1114は、(例えば、少なくとも部分的に)導電性であってよく、導電性要素へと信号を運び、導電性要素から信号を運ぶワイヤまたは他の導体として機能することができる。
【0403】
本明細書に開示される任意の実施形態に関して、
図40Bの一部分の縦断面に概略的に示されるように、電極リードアセンブリ100を、(1)少なくとも1つの整形可能な(例えば、可鍛性、屈曲性、などの)インサートまたは他の部材1114と、(2)少なくとも1つのより柔らかい外側ジャケットおよび/または他のカバー116との組み合わせを使用して、整形可能または操作可能であるように構成することができる。リードアセンブリは、所望または必要に応じて、追加の層、コーティング、部材、構成要素、特徴、などを含むことができる。例えば、電極リードは、電極、ワイヤまたは他の導電体、他の電
気構成要素、編組、他の構造要素または特徴、管腔または他の通路、などのうちの1つ以上を含むことができる。
【0404】
本明細書で使用されるとき、電気ワイヤおよび導電体は、広義の用語であり、これらに限られるわけではないが、ワイヤ、プリント回路基板、導電路、導電性パッド、エッチングによる導電性特徴、はんだ付けによる導電性特徴、他の導電性特徴、ならびに/あるいは導電性を有するように構成された任意の他のデバイス、部材、構成要素、または特徴を含むことができる。
【0405】
図40Bの概略図をさらに参照すると、本明細書に開示される任意の実施形態に関して、整形可能なインサートまたは部材1114を、施術者または他のユーザによって整形された後にその形状を維持するように構成することができる。同様に、整形可能なインサートまたは部材1114を備える電極リード1100を、整形後にその形状を維持するように構成することができる。整形可能なインサートまたは部材1114、したがってそれらを含む対応するリードまたはリードアセンブリ1100を、処置の最中に自身の形状を維持するように構成することができる。いくつかの実施形態において、そのようなリード1100を、使用中(例えば、治療処置の実行中)の初期の整形後に再整形されるように構成することができる。例えば、整形可能なインサートまたは部材1114(結果として、リード全体)を、リードの1つ以上の部分に力および/またはモーメントを加えることによって再整形することができる。本明細書で説明されるように、そのような力は、施術者または他のユーザによって手動で(例えば、施術者の手を使用して)加えられてよく、かつ/または1つ以上のツール(例えば、鉗子、他の手術器具またはツール、など)を使用して加えられてよい。別の例においては、リードアセンブリを、周囲の身体構造によって及ぼされる垂直力によって整形および/または再整形することができる。これは、例えば長期間の埋め込みの間および/またはリード除去手順の最中などの少なくとも2つの状況において有利であり得る。
【0406】
例として、(例えば、疼痛管理治療のための)長期にわたる埋め込みの間に、(例えば、周囲の組織および/または身体構造の他の部分、他の力の発生源、などによって)整形可能なインサートまたは部材に加えられる力(例えば、受動力)が、電極リードを再成形(例えば、連続的に再成形)して、損傷した神経に過度の張力または応力を発生させることなく所望の場所への電極リードの適合を可能にすることができる。また、これらに限られるわけではない例示の例の目的に関して、リードの除去時(例えば、対象者の身体構造からリードを引き出す)に、(例えば、周囲の組織および/または身体構造の他の部分、他の力の発生源、などによって)整形可能なインサートまたは部材に加えられる力(例えば、受動力)が、対象者の周囲の身体構造に損傷を引き起こしかねないもつれ、座屈、および/または他の変形を伴うことなくリードを除去することができるように、リードを(例えば、直線、おおむね直線、滑らかな曲線、などへと)少なくとも部分的に変形させることができる。
【0407】
本明細書に開示される任意の実施形態に関して、アセンブリの整形または再整形を容易にするように構成されたリードアセンブリ1100のインサートまたは他の部材1114は、塑性変形性を含むことができる。換言すると、そのようなインサートまたは他の部材1114を、材料に降伏強度を超える特定の力または応力(例えば、引張、圧縮、曲げ、またはねじりの力または応力)が加わったときにゆがみを生じ、伸び、曲がり、および/またはねじれなどが生じるように構成することができる。そのようなゆがみは、インサートまたは他の部材が、外力が加えられていないとき(例えば、ユーザが別の曲げまたは他の再整形の力またはモーメントを加えるまで、テーブルまたは他の表面に置かれているとき、など)に自身の形状を維持することができるように、一時的であってよい。いくつかの構成において、電極リードを(例えば、遠位の整形可能な態様が支持されておらず、あ
るいは他の外力の影響を受けていない空中で)取り扱うときに、重力はリードを整形するには不充分であり、リードは所望の形状を維持するための充分な剛性を有する。
【0408】
本明細書に開示される任意の実施形態に関して、リードアセンブリ1100の外側ジャケットまたは他の外側カバー1116は、弾性変形性を含むことができる。換言すると、そのような外側ジャケットまたはカバーを、リードアセンブリ、したがって外側ジャケットまたはカバーに力が加わると、形状の一時的な変化を被るように構成することができる。弾性変形性を有するこのような部材は、力またはモーメントが除去または低減されると、元の形状または向きを再びとるように構成される(例えば、少なくとも部分的に自己可逆性である)。
【0409】
いくつかの実施形態においては、
図40Bに概略的に示されるように、インサートまたは他の部材1114と外側ジャケットまたはカバー1116との間に、すき間または空間1115が存在する。一構成において、すき間はいかなる材料も含まない。しかしながら、いくつかの構成においては、1つ以上の中間層または部材(
図40Bには示されていない)が、すき間または空間1115に位置する。他の構成において、インサートまたは他の部材1114は、所望または必要に応じて、外側ジャケットまたはカバー1116に少なくとも部分的に接触するように構成される。したがって、いくつかの実施形態においては、インサート1114と外側ジャケット1116との間にすき間または空間は存在しない。
【0410】
本明細書に開示される任意の実施形態に関して、整形可能なリードアセンブリ1100を、管腔または他の内部開口を含まないように構成することができる。しかしながら、本明細書に開示される任意の実施形態に関して、整形可能なリードアセンブリ1100を、1つ以上の管腔または他の開口を含むように構成することができる。いくつかの実施形態において、整形可能なリードアセンブリ1100は、整形可能な管および/または他の少なくとも部分的に中空の(例えば、非中実な)部材を含まない。いくつかの実施形態において、リードアセンブリ1100は、アセンブリの曲げを少なくとも部分的に補助し、整形または他のやり方で操作された後のアセンブリ1100の形状を維持する少なくとも1つのインサートまたは内部部材1114を備える。
【0411】
本明細書に開示の任意の実施形態に関して、リードアセンブリ1100を、治療処置(例えば、神経再生処置)の最中に整形および/または再整形されるように構成することができる。施術者または他のユーザは、処置が開始された後にインサートを整形または再整形することができる。例えば、本明細書に開示の任意のリードアセンブリ1100の構成は、アセンブリ1100が対象者に挿入された後に施術者がアセンブリの形状、方向、向き、などを変更することを可能にできる。いくつかの実施形態において、例えば、施術者がアセンブリ1100を操作して、対象者の身体構造に適合する(例えば、神経に接触し、もしくは神経に対して所望の向きになり、神経の周囲に少なくとも部分的に巻き付き、あるいは対象者の別の身体構造的特徴に当接し、固定され、かつ/または他のやり方で近接する、など)ように整形または再整形することができる。
【0412】
操作を、リードアセンブリ1100の1つ以上の部分に力、圧力、モーメント、および/または任意の他の外的影響を選択的に加えることによって達成することができる。いくつかの実施形態においては、本明細書で述べられるように、そのような力または他の外的影響を、所望または必要に応じて、鉗子および/または他の器具またはツールを使用して(例えば、施術者の手を用いて)手動で、かつ/またはロボットによって、などによって実行することができる。
【0413】
いくつかの構成によれば、インサート1114を、導電性要素に結合したワイヤまたは
他の導体に結合させることができる。他の実施形態においては、インサート1114を、一端において導電性要素に結合させ、コネクタに結合した他端においてワイヤまたは他の導体に結合させることができる。そのような材料は、例えば、これらに限られるわけではないが、銅、銀被覆銅、ポリイミド被覆銅、白金被覆タングステン、ステンレス鋼、鉛、スズ、などのさまざまな種類の金属および/または合金を含むことができる。いくつかの構成において、金属をそれらの構造を軟化させるために焼きなますことができ、これにより、焼きなまし前よりも小さい力での整形を可能にすることができる。いくつかの構成において、金属を、ロッドまたは円柱形構造を備えることができるインサートとして、電極リードの遠位の態様に組み込むことができる。インサートの長さは、遠位の態様に限定されなくてもよい。例えば、いくつかの実施形態において、インサートは、所望または必要に応じて、電極リードの全長または電極リードの全長の大部分(例えば、電極リードの長さの50~60、60~70、70~80、80~90~90~100、50~75、5~90、60~90%、これらの範囲および値の間の百分率、など)に及ぶ。
【0414】
いくつかの実施形態において、インサートを導電性要素に結合(例えば、直接的に、間接的に、など)させることができる。インサートを、例えば、抵抗溶接、レーザ溶接、はんだ付け、かしめ、および/または金属を互いに結合させるために使用される他の技術/方法などを含む任意の適切な技術または方法を使用して、導電性要素に結合させることができる。
【0415】
いくつかの実施形態において、リードハウジングまたはジャケットは、例えばシリコーンゴム(例えば、シリコーンゴム管)、ポリウレタン、他のポリマー材料、他の種類のエラストマーまたはゴム材料、他の可撓性または半可撓性材料、などのような1つ以上の弾性または半弾性材料(PEBAX(商標)、Pellethane(商標)、など)を備えることができる。
【0416】
いくつかの実施形態において、電極リード本体1100を整形するために力が加えられると、インサート1114は変形(例えば、塑性変形)を被るように構成される。いくつかの例において、ジャケット1116も、そのような力の印加の結果として、同様の変形(例えば、塑性変形)を被る可能性がある。いくつかの実施形態において、ジャケットは、弾性変形を被ることができる。そのような場合、ジャケットの弾性反跳力は、インサートの塑性変形に打ち勝つには不充分であってよく、結果として電極リードは自身の形状を維持する。いくつかの構成においては、例えば手動操作またはリードを除去する動作に起因する力など、リードを再整形する他の力が加えられるまで、所望の形状が保持される。
【0417】
いくつかの実施形態において、リードハウジングまたはジャケット1116は、リード本体1100の長さの全体にわたって均一または連続的な材料厚さを備えることができる。いくつかの実施形態において、ジャケットは、複数のデュロメータを含むことができる。例えば、
図41に示されるように、より低いデュロメータの材料を、リードの遠位の整形可能な態様1102に使用することができる一方で、より高いデュロメータを、近位の態様1104に使用することができる(例えば、リードを組織へと押し込んで前進させるうえで有利となり得る)。そのような例は、2つのデュロメータを有する2つのセグメントを概説しているが、リードは必ずしも2つのデュロメータに限定されず、セグメント内またはセグメント間で変化するデュロメータを有する複数のセグメントを含むことができる。
【0418】
特定の状況下で、リードの遠位の態様のデュロメータは、ショアDスケールで20D~50D(例えば、20D、25D、30D、35D、40D、45D、50D、20D~50D、25D~45D、30D~40D、20D~40D、30D~50D、これらの値および範囲の間の値および範囲、など)であってよく、一方で、近位の態様のデュロメ
ータは、ショアDスケールで50D~80D(例えば、50D、55D、60D、65D、70D、75D、80D、50D~80D、55D~75D、60D~70D、50D~70D、60D~80D、これらの値および範囲の間の値および範囲、など)であってよい。このように、いくつかの実施形態においては、本明細書で述べられるように、リードの近位の態様の硬度、したがって対応するデュロメータを、所望または必要に応じて、リードの遠位の態様の硬度、したがって対応するデュロメータよりも、大きくすることができる。
【0419】
デュロメータは、整形可能なリードアセンブリの整形性、機能性、および/または他の態様に影響(例えば、特定の状況下では、著しい影響)を及ぼし得る1つのパラメータであるが、例えば材料/構成要素の肉厚などの1つ以上の他の特性も影響力が大きい可能性がある(例えば、重要であり得る)。
【0420】
いくつかの実施形態によれば、比較的厚い外側ジャケットおよび/または他のカバーは、リードアセンブリを整形するために比較的大きな力を必要とし得る。例えば、そのような力が、ジャケットおよび/または他のカバーの内側に配置されたインサートも整形するために充分でなければならないという事実を、考慮しなければならない。
【0421】
例として、特定の実施形態の下で、100~400μmの間のリードアセンブリのジャケットまたは他の外側カバーの肉厚が、(例えば、施術者または他のユーザがリードアセンブリに所望の形状または必要な形状をとらせることができるように)リードアセンブリ全体の適切な可撓性を可能にすることができる。したがって、いくつかの構成において、リードアセンブリのジャケットまたは他の外側カバーの肉厚は、所望または必要に応じて、100~400μmの間(例えば、100~150、150~200、100~200、100~300、200~300、150~300、100~400、100~500、200~400、200~500、300~500、400~500μm、これらの範囲の間の値、など)であるべきである。
【0422】
さらに、ジャケットまたは他の外側カバーの肉厚の対応するインサートの直径(または、他の断面寸法)に対する関係も、整形性および/またはリードアセンブリの機能の他の態様に影響を及ぼす可能性がある。例えば、いくつかの実施形態において、インサートの直径または他の断面寸法は、リードアセンブリのジャケットまたは他の外側カバーの肉厚以上である。例えば、インサートの直径または他の断面寸法は、ジャケットまたは他の外側カバーの厚さの100%~500%(例えば、100~500、200~400、100~400、200~500、300~500、150~200、100~150、100~200、200~300、400~500%、これらの範囲の間のパーセンテージ値、など)である。
【0423】
特定の状況下では、ジャケットまたは他の外側カバーの厚さがインサートの直径または他の断面直径よりも大きいが、リードアセンブリは、依然として所望の整形性または必要な整形性を達成することができる。しかしながら、いくつかの実施形態において、これは、ジャケットの材料が比較的柔らかく柔軟である場合にのみ生じ得る。そのため、このような条件下では、電極リードの押し込み性が不都合に低下する可能性があり、もつれの発生という望ましくない影響につながりかねない。
【0424】
いくつかの実施形態において、整形可能な電極リードの所望の特性を達成するために、ジャケットのデュロメータ、ジャケットの肉厚、およびインサートの直径(円柱形の構造であるとする)の組み合わせの間でバランスをとることができる。
【0425】
いくつかの実施形態において、電極リードの整形可能な構成要素を、少なくとも部分的
に、コイル状ワイヤから構築し、かつ/またはコイル状ワイヤで構築することができる。いくつかの構成において、コイル状ワイヤは、リードの全長に及ぶ。他の構成において、コイル状ワイヤは、リードの長さの一部にのみ及ぶ。例えば、コイル状ワイヤは、リードの第1の長さまたは部分(例えば、最初の10cm以下、例えば0~10、2~8、1~5、5~10cm、これらの範囲の間の長さ、など)にのみ及ぶことができる。しかしながら、コイル状ワイヤの範囲は、これらの距離に限定される必要はない(例えば、所望または必要に応じて、10cmより大きくてもよい)。いくつかの実施形態において、コイル状ワイヤは、電極に物理的に結合する(例えば、直接的または間接的に)。他の実施形態において、コイル状ワイヤは、いかなる刺激電極にも電気的に結合しない。いくつかの実施形態において、コイル状ワイヤは、リードハウジングの遠位端に位置し、遠位端に沿って位置し、あるいは遠位端の付近に位置する他の回路への電気コネクタとして機能する。用途、必要とされる柔軟性および記憶特性、ならびに/あるいは他の設計上の考慮事項に応じて、隣接するコイル間の間隔は0(例えば、コイルは互いに接触している)または固定された距離である。いくつかの実施形態において、コイル状ワイヤは絶縁され、あるいは絶縁されない。いくつかの構成において、コイル状ワイヤは、上述したように、少なくとも部分的に、可撓性ジャケットまたは他のカバー内に包まれ、かつ/または可撓性ジャケットまたは他のカバーで包まれる。いくつかの実施形態において、コイル状ワイヤは、電磁シールドとして機能することで、内側に含まれるワイヤまたは回路に少なくとも部分的なノイズ耐性を提供する。
【0426】
いくつかの実施形態においては、
図42Aに示されるように、リードハウジング1118に多管腔押出成形または他の設計を使用することができる。したがって、そのような実施形態において、リードハウジングは、リードハウジングを通って(例えば、部分的に、完全に)延びる2つ以上の管腔を含むことができる。いくつかの例においては、
図42Bに示されるように、一方の管腔1120をインサート1114を収容または他のやり方で受け入れる(例えば、スライド可能に、恒久的に、一時的に、など)ために使用することができる一方で、他の管腔が、導電性要素につながるワイヤまたは他の導体1122を収容することができる。他の構成においては、管腔を、(例えば、周術期の状況において)リードハウジングの遠位の態様および/または別の部分を再整形し、あるいは配置し直すために、スタイレットを(例えば、交換可能に)を受け入れるように構成することができる。
【0427】
いくつかの実施形態において、リードの近位(および/または他の)態様は、きわめて可撓であることを可能にする特性を有することができる。いくつかの実施形態において、そのような可撓性は、リードの隣接部分または他の部分よりも大きい。いくつかの例において、リードの1つ以上の部分または態様の可撓性は、シリコーン管または他の柔らかいポリマー/エラストマー材料を使用して生み出される。リードアセンブリの近位の部分または態様の可撓性は、電極リードのうちの身体の外部にある長さが(例えば、ひずみの緩和をもたらすために)緩く巻かれる外部固定の状況において、好都合または有益であり得る。可撓管を巻くことによって、反跳力をより小さくすることができる。反跳力が大きいと、電極リードが不都合にも外れる可能性がある。
【0428】
いくつかの実施形態において、リードアセンブリの近位の部分または態様の可撓性は、好都合または有益である。例えば、そのような設計は、対象の神経と接触し、近接し、かつ/または他のやり方でインターフェースする遠位の部分または態様へと力が伝達されることを防止または低減するうえで役に立つことができる。一例において、リードの可撓な態様の動きが、遠位の態様の対応する変位をもたらさない。これは、主に、遠位の態様が整形可能なインサートを含む場合のように、近位および遠位の態様の異なる特性に起因し得る。いくつかの実施形態において、近位側に力が加わるときに遠位先端部が偏向しない(かつ/または、偏向が限定的である)ことが有利であり、なぜならば、先端部の偏向は
、電極がもはや神経とインターフェースしない可能性があるため、神経再生治療の有効性を妨げかねないからである。
【0429】
いくつかの実施形態においては、
図43に示されるように、遠位の態様が、(例えば、鉗子および/または他のツールを用いたリードの把持を容易にするための)1つ以上のディンプル、溝、凹部、および/または他の特徴1124を含むことができる。いくつかの構成において、ディンプルまたは溝1124は、円柱形のリードの外周(または、他の外側範囲)にまたがる。他の構成において、ディンプルまたは溝1124は、外周または他の外側範囲を部分的にのみ(例えば、外周の半分)覆うことができる。
【0430】
いくつかの実施形態において、遠位端および近位端のジャケット1116は、色が異なってもよい。いくつかの構成において、遠位端は、異なる色の領域を有することができる。色は、異なるセグメント(例えば、整形可能な態様または整形不可能な態様)を示すことができ、あるいは特定の長さを示すことができ、リードの位置決めにおいて有用であり得る。いくつかの実施形態において、単位尺度に対応する線セグメントを、定規として役立つようにリード上に印刷することができる。
【0431】
いくつかの実施形態において、電極リードアセンブリの近位の部分または態様1104は、コネクタで終わることができる。そのようなコネクタは、標準的な医療用コネクタ(例えば、Redel、Lemu、ODU、などによって製造されている)であってよい。しかしながら、コネクタは、所望または必要に応じて、非標準であって(例えば、カスタマイズされて)よい。
【0432】
図44Aに示される他の構成において、コネクタは、導電性である1つ以上の同心リング1126を備えてもよい。前記リングを、リードの外周を完全に、または部分的に包み、あるいは他のやり方で取り囲むように構成することができる。いくつかの実施形態において、リング接点は、標準的な医療用コネクタと比較してより有利である。そのような接点を使用する利点は、電極リードを対象者の体内に経皮的に配置するために挿入器具(例えば、オーバー・ニードル・カテーテル)を使用する場合に強調され得る。リング接点は、
図44Bに示されるように、挿入器具1128の管腔をリード本体の全長にわたってスライドさせ、リード1104の近位の態様を過ぎて取り外すことによって、挿入器具の直接的な取り外しを可能にすることができる。標準的な医療用コネクタの場合、器具は取り外されなくてもよい(例えば、リードアセンブリにとどまり続ける必要があるかもしれない)。そのような実施形態において、剥離可能な(あるいは、他のやり方で分離可能な)カテーテルの使用は、この障害を克服することができるが、全体的な複雑さ、費用、などが増加する。
【0433】
いくつかの実施形態においては、
図44Cに示されるように、円柱形のリードの全周にまたがらない近位側の同心なリング接点の間の空間が、溝あるいは他の凹部または特徴1130を含むことができる。このような溝1130を、刺激生成器ユニットにリードを挿入するためのキーとして使用することができる。
【0434】
いくつかの実施形態において、(例えば、本明細書に記載のような)複数の導電性要素1108を有する電極リード本体1100を、活動電位を測定するために好都合に使用することができる。一例においては、多要素電極リードが、損傷した神経の近くに配置される。いくつかの構成において、電極を神経の身体構造における経路を辿るように整形することができる。近位導電性要素を、遠位導電性要素に由来する刺激に応答して、損傷した神経における誘発応答を測定するように構成することができる。いくつかの構成において、そのような「上流」測定値は、立証条件を確認するために(単独で、あるいは何らかの他の測定値または基準と一緒に)使用される。いくつかの構成において、記録電極構成は
、特定の設計または用途によって所望または必要とされるように、単極、双極、三極、または他の構成を備える。いくつかの実施形態において、遠位導電性先端部は、遠位基準電極との組み合わせにおいて単極電場を生成するように構成される。いくつかの構成において、遠位基準電極は、集積電子回路を有する表面パッチ電極(または、何らかの他の種類の表面電極)である。さらに別の実施形態において、他の導電性要素1108を有する遠位導電性先端部は、双極電場を生成するように構成される。いくつかの実施形態においては、3つ以上の導電性要素(例えば、3つ、4つ、5つ、6つ以上、など)が、損傷した神経、損傷した神経内の特定の線維束、および/または他の対象の身体構造を標的とするように、電流をより正確に操縦し、あるいは他のやり方で導くために使用される。前記要素は、円周の要素(例えば、リング電極)、セグメント化された要素(例えば、部分リング電極)、または他の形状として配置されてよい。いくつかの実施形態においては、複数の導電性要素が、対象の神経に電気刺激をもたらし、かつ/または対象の神経の長さにおけるさまざまな位置で対象からの生体電気信号を測定するために使用される。
【0435】
いくつかの実施形態においては、
図45に示されるように、電極リードの遠位端がインジケータを含むことができる。そのようなインジケータを、遠位端に加え、あるいは代えて、リードの任意の他の部分に沿って配置することができる。いくつかの構成において、インジケータは、LED1136を備えることができる。一例において、LEDを、立証条件(例えば、近位電極導電性要素による活動電位捕捉の成功)を示すために使用することができる。外科医の視覚的注意は神経修復部位または電極インターフェース領域に向けられるため、インジケータを術野に取り入れることが好都合となり得る一方で、刺激発生器を、この視野のすぐ外側に配置することができる。外科医の注意をそらすことなく、外科医がリード線を操作(例えば、移動させ、かつ/または整形)し、立証条件が確認されたことをインジケータによって外科医に知らせることができる。
【0436】
神経再生治療が長期治療となることは示されていないが、神経再生治療以外の治療を提供するために電極を損傷した神経の近くに電極を維持することが、好都合であり得る。そのような治療として、例えば、伝統的に長期治療であり続ける疼痛管理治療を挙げることができる。経皮的電気刺激を使用して、疼痛管理治療を提供することができる。典型的には、そのような長期刺激の枠組みは、神経インターフェースのより充分な固定を必要とする。本出願において開示される実施形態の場合、整形可能な態様(例えば、遠位の態様)を、疼痛管理治療の文脈におけるように、長期的な神経インターフェースのために神経を少なくとも部分的に取り囲むために利用することができる。
【0437】
長期の埋め込み
いくつかの実施形態においては、長期または常在の埋め込みのために、生体接着剤を適用できることが好都合であり得る。長期または常在の埋め込みを、30日を超えるものと定義することができ、これに対して、典型的にはこの時間枠を過ぎて、ISO 10993-1によって定義されるように、慢性炎症反応および異物反応が生じる。接着材料は、電極リード本体および/または導電性要素を神経に固定または係止するためのインターフェースとして働くことができる一方で、本明細書においてすでに述べたように電極リードが整形可能であることによる周囲の身体構造組織への整形による適合を、維持することができる。
【0438】
いくつかの実施形態において、組織接着剤は、以下の特性、すなわち少なくとも部分的に生分解性、少なくとも部分的に生体内分解性、少なくとも部分的に生体吸収性、少なくとも部分的に生体適合性、少なくとも部分的に生体不活性、などのうちのいくつか、いずれか、またはすべてを有する生体材料を含む。生体材料は、単一の材料を含むことができ、あるいは、例えば、これらに限られるわけではないが、ポリマー、エラストマー、複合材料、粒子、分子、層状材料、ゲル、などの2つ以上の材料を含むことができる。いくつ
かの実施形態において、ポリマーは、所望または必要に応じて、合成、天然、ハイブリッド、これらのいずれかを化学的に修飾したもの、などである。合成ポリマーとして、これらに限られるわけではないが、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリ(N-イソプロピルアクリルアミド)(ポリ(NIPAAm))、ポリ乳酸-グリコール酸共重合体(PLGA)、ポリウレタン(PU)などを挙げることができる。天然ポリマーとして、これらに限られるわけではないが、フィブリン、コラーゲン、ゼラチン、それらの誘導体、などが挙げられる。ポリマーの化学的修飾として、これらに限られるわけではないが、カテコールアミンなどの生体接着性官能基の付着、包含、または存在を挙げることができる。例えば、バイオインスパイアード生体接着剤成分は、主にカテコール官能基の存在ゆえに優れた接着特性を達成するL-3,4-ジヒドロキシフェニルアラニン(DOPA)である。
【0439】
いくつかの実施形態において、生体接着剤は、調整可能または他のやり方で変更可能であってよく、体内に存在し、制御された期間または予め定められた期間にわたって接着剤として機能することができる。所望の特性または応答を達成するための生体接着剤の調整は、化学的特性、材料特性、および/または物理的特性の関数、あるいは外部から加えられる刺激の関数であってよい。本明細書において使用されるとき、生体接着剤の調整可能性または変更可能性は、例えば、これらに限られるわけではないが、生分解速度、生物活性の分子または物質の放出プロファイル、接着強度、機械的特性(例えば、せん断、圧縮、および/または引張弾性率)、あるいは外部刺激に対する応答などの所望の特性または応答を達成するように上述の因子のうちの任意の1つ以上を設計および/または制御することを指す。
【0440】
いくつかの実施形態において、生体接着剤は、急性期間または比較的短い期間(例えば、30分未満、30分~1時間、1~6時間、6~12時間、12~24時間、1~30日、これらの値または範囲の間の値、など)のうちに分解し得る。本明細書において使用されるとき、そのような急性期間は、ISO 10993-1によって定義されるような急性の人間用インプラントに典型的に許容される期間に基づく。
【0441】
いくつかの構成によれば、例えば、生体接着剤は治療の開始時にリードを神経に固定するため、急性期間における生体接着剤の分解は、神経再生治療の適用に好都合であり得る。これは、リードアセンブリの移動を防止し、刺激の最中の最適な接触またはより有利な接触を保証する役に立つことができる。さらに、治療中の生体接着剤の分解は、生体接着剤からの抵抗をほとんど、または全く伴わずに、治療後のリードの容易な除去を可能にすることができる。
【0442】
いくつかの実施形態においては、生体接着剤を、より長い期間(例えば、30~40日、40~50日、50~60日、60~70日、70~80日、80~90日、90~100日、100~120日、120日超、これらの範囲の間の期間、など)にわたって分解するように調整または他のやり方で構成することができる。これは、神経再生治療および/または疼痛管理の目的のためにリードの長期の埋め込みを必要とする状況において好都合であり得る。そのような状況において、埋め込まれる材料を、このホスト応答を変調するように設計することが有利または望ましい場合がある。そのような設計上の考慮事項として、これらに限られるわけではないが、生体適合性、生体再吸収性、生体不活性材料の使用、抗炎症剤または免疫抑制剤の供給、などを挙げることができる。
【0443】
糊または他の接着剤を用いた固定
いくつかの実施形態において、生体接着剤は、バルクゲルあるいは他のゲルまたはゲル様材料(例えば、ヒドロゲル、糊、他の接着剤、他のポリマー材料、など)の形態である。ゲルは、(例えば、埋め込みの前に)予め形成されても、その場で形成されるように構
成されても、あるいは両方の組み合わせであってもよい。いくつかの構成においては、予め形成されたゲルを、リードの埋め込みの前または最中に、目的の身体構造の部位および/または電極リードの表面に直接適用することができる(例えば、リードと組織表面との間の接着を達成するために)。いくつかの実施形態において、予め形成されたバルクゲルは、適用前に混合を必要としない。そのような構成は、目的の表面に接触すると接着剤として機能(例えば、即座に、迅速に、など)することができる。そのような予め形成されたバルクゲルとして、これらに限られるわけではないが、既存の市販の材料(例えば、Dermabond(商標)、Indermil(登録商標)、Liquidband(登録商標)、など)、特注材料、またはこれらのハイブリッドを挙げることができる。
【0444】
いくつかの実施形態において、生体接着剤は、適用時に形成および/または混合される。本明細書において使用されるとき、その場での形成は、最終的な生体接着剤の形成をもたらすように生じる化学的および/または物理的反応を指す。これを生じさせる化学的または物理的機構は、これらに限られるわけではないが、界面結合、共有結合またはイオン結合、架橋(例えば、化学的、物理的、酵素的、光化学的)、光重合、熱硬化(例えば、熱硬化性)、酸化、などを含むことができる。いくつかの実施形態においては、そのような反応を、複数の成分の物理的混合および/または外部刺激の印加によって開始させることができる。先行の一文に示した開始機構に代え、あるいは加えて、追加の開始機構を使用することができる。いくつかの実施形態において、その場で形成される生体接着剤は、既存の市販の組織糊または接着剤(例えば、Tisseel(商標)などのフィブリン系ゲル、Coseal(商標)などのPEG系ゲル、など)、特注材料、またはこれらのハイブリッドであってよい。
【0445】
他の実施形態において、生体接着剤は、電極リード線の表面のコーティングまたはフィルムを含む(例えば、コーティングまたはフィルムの形態である)。コーティング/フィルムは、生体接着剤の接着を促進(例えば、主機構として、補足機構として、など)するための物理的特性(例えば、粗面トポグラフィ、マイクロパターニング、など)を取り入れ、あるいは他のやり方で含むことができる。いくつかの実施形態において、コーティング/フィルムの接着機能は、装置の埋め込みの前、最中、または後に活性化されてよい。いくつかの実施形態において、生体接着剤はすでに機能的である。いくつかの実施形態において、活性化は、適用前の接着を防止する保護層の除去を必要とする。いくつかの実施形態において、コーティング/フィルムは、独自に設計された化学的および/または物理的特性ゆえに接着性である。そのような特性は、これらに限られるわけではないが、トポグラフィパターンまたは窪み、表面電荷(アニオン性、カチオン性、など)、などを含むことができる。いくつかの実施形態において、生体接着性コーティングは、接着剤の目的の表面への接触時に(例えば、直後に、或る期間の経過後に、など)機能し、あるいは活性化することができる。他の構成において、接着機能は、外部刺激の印加によって活性化される。刺激として、これらに限られるわけではないが、電気または他の電気刺激、熱エネルギー、光エネルギー、化学物質、圧力、音響エネルギー、他の種類のエネルギー、などのうちの1つ以上を挙げることができる。
【0446】
いくつかの実施形態において、電極リード本体1100の固定は、生体接着剤または他の接着テープ1300の一形態を採用または使用することができる。いくつかの構成において、テープは電極リードアセンブリに含まれる。このような構成において、生体接着性テープアンカーを解放または展開するために別個の装置および/またはアクチュエータを使用することが有利であり得る。生体接着性テープは、リード線の先端部に取り付けられ、指定された制御に応答して広がり、あるいは他のやり方で解放されるように構成された1つ以上のウィング/フラップを含むことができる。例えば、リードアセンブリが所望の身体構造位置(例えば、末梢神経上、または末梢神経に隣接、損傷および/または修復部位の近位)に配置されると、制御システム上の指定されたボタンまたは他のコントローラ
を作動させて(例えば、押して)、リードの遠位先端部において生体接着性テープを展開または解放することができる。いくつかの実施形態においては、展開に先立ち、生体接着性テープを移動する(例えば、リードの配置時に組織に引っ掛かることがないように、リードに向かって内側に丸まり、リードの縁部と同一平面になる)ように構成することができる。展開後に、生体接着性テープは開放され(例えば、広がり)、周囲の身体構造に(例えば、即座に、ほぼ即座に)適合し、リードを周囲の身体構造に接着することができる。他の構成において、テープは、装置の埋め込みの前、最中、および/または後に適用される別個の装置である。
【0447】
いくつかの構成において、テープ1300は、半周状または周状に、円形または円柱形の身体構造の一部位の周囲を部分的または完全に包み、あるいはテープの両面の接着機能によって電極リードを身体構造の一部位へとインターフェースする。一例においては、
図46Aに示されるように、テープ1300を導電性要素1108の近位に配置することにより、テープを使用して電極リード本体1100を神経構造1110に固定することができる。
図46Bに示されるさらに別の例において、テープ1300は導電性要素1108の間に配置されてもよい。
【0448】
いくつかの構成において、身体構造の一部位へのリードの固定は、1つ以上(2つ、3つ、など)の生体接着性テープで達成される。いくつかの実施形態において、テープは、矩形、円形、円筒形、楕円形、または任意の他の形状である。
【0449】
いくつかの実施形態において、テープは比較的薄く(例えば、1~10μm、10~50μm、50~100μm、1mm未満、1~9mm、これらの範囲または値の間の任意の値、など)、あるいは比較的厚い(例えば、9~10mm、10~15mm、15mm超、など)。
【0450】
いくつかの実施形態において、テープは、身体構造の一部位からのリードの容易な除去を促進するために、所望の時間枠内で分解するように、制御された調整可能な生分解プロファイルを有することができる。
【0451】
他の実施形態において、リードアンカーテープは、装置の制御によって瞬時に無効にされてよい。このような実施形態において、テープは、除去時にリードに付着したままであってよいが、パラ切開部位を通ってリードおよび生体接着剤を円滑に除去することができる材料または物理的特性を有することができる。他の実施形態において、制御は、リードの除去前にリードからのテープの排出を生じさせることができる。この場合、テープは、リードの除去中および除去後に身体構造の一部位に留まるが、分解時に負の免疫応答を引き起こすことがないように、生体適合性かつ迅速に生分解可能(例えば、1時間未満、1~2時間、2~4時間、4~6時間、6~12時間、12~24時間、1~30日間、これらの値または範囲の間の任意の値、など)であることが好都合であると考えられる。
【0452】
接着剤の送入および硬化の方法
いくつかの実施形態において、生体接着剤は、注入によって所望の身体構造部位へと送入され、瞬時に接着剤として機能するように構成された予め混合されて予め形成された流体溶液を含む。一例は、予め形成された生体接着剤が、神経再生刺激システムの内蔵または付随のリザーバから送出され、カニューレ、あるいは対応するリードに組み込まれ、もしくは他のやり方で含まれる他の開口部(例えば、管腔)を通って流れる(あるいは、他のやり方でもたらされる)ことを含むことができる。予め形成された生体接着剤が既存の市販製品であるような他の状況においては、生体接着剤溶液を、身体構造の所望の部位および/またはその付近へのリードの少なくとも一部分の付着または少なくとも部分的な固定の前および/または直後に、当該部位に適用することができる。
【0453】
他の実施形態において、生体接着剤は、その場で形成および/または機能的に活性化される。いくつかの構成において、その場での形成は、2つ以上の適合するポリマー前駆体溶液を混合(例えば、少なくとも部分的にその場で)することによる物理的および/または化学的架橋によって生じる。いくつかの構成においては、マルチバレルのシリンジまたは押出装置が、刺激システムに内蔵され(もしくは、他のやり方で含まれ)、あるいは刺激システムの外部に存在する(すなわち、刺激システムに含まれない)。そのようなシリンジまたは他の送入装置を、前駆体(または、組み合わせられる他の材料)を、使用までは架橋が生じないように別々に収容する(例えば、少なくとも部分的に、完全に、など)ように構成することができる。いくつかの構成において、混合および架橋は、適用部位の近位で生じる。他の構成において、混合および架橋は、適用部位で直接生じる。2つ以上(例えば、3つ、4つ、5つ、6つ以上、など)の材料が少なくとも部分的にその場で混合され、あるいは組み合わせられるように構成されてよい。
【0454】
いくつかの構成においては、本明細書に開示の任意の実施形態に関して、リードアセンブリが、遠位先端部および送入部位あるいはこれらの付近への材料および/または他の物質(例えば、単位の流体または他の溶液、2つ以上の流体または溶液、など)の流れを容易にするための単一の管腔または他の開口を含む。他の構成においては、遠位先端部またはその付近ならびに目的の送入部位またはその付近へと別個の溶液、流体、および/または材料をもたらすことができるように、複数の管腔、カニューレ、および/または他の開口がリードアセンブリに含まれる。
【0455】
いくつかの実施形態においては、別個の装置を使用し、材料または他の物質(例えば、前駆体)が混合されて架橋を形成し、混合後の材料が、所望の部位またはその付近へと直接的に押し出されて適用される。混合後の材料は、押し出しの時点において、完全に架橋した形態であっても、部分的に架橋していてもよい。いくつかの実施形態においては、迅速なゲル化を達成し、あるいは他のやり方で生体接着剤を素早く活性化させるために、完全な架橋が望ましいかもしれない。他の実施形態においては、部分的に架橋した材料を押し出して、より遅いゲル化時間を可能にし、より遅い速度で生体接着剤を活性化させることが有利かもしれない。
【0456】
いくつかの実施形態において、生体接着剤溶液は、神経に沿い、神経に隣接し、かつ/または神経の付近に生体接着剤を少なくとも部分的に収容する局所チャンバ機構として機能することができるカフ状装置に適用される。前記カフ状装置を、生体接着剤の薄層のみを神経または包まれた構造へと押し出すことを可能にするモールドとして機能するように構成することができる。このような適用は、バルクのヒドロゲルを送入すると神経が圧迫されて神経損傷が生じる可能性があるため、好都合である。さらに、このような適用は、カフ状装置の使用が周囲の組織からの接着剤の分離(例えば、完全な、部分的な、など)に役立つことができるため、有利であり得る。
【0457】
いくつかの構成においては、予め充てんされた前駆体溶液を混合用の先端部を有する二重バレルシリンジまたは他の送出装置から身体構造の一部位へと直接押し出し、次いでその部位にリードを接着することが好都合であり得る。例えば、広く用いられている市販の外科用組織接着剤であるTisseel(商標)を、接着剤としての活性を維持し、14日以内に生分解されるがゆえに、長期の神経再生治療の適用中にリードを神経に固定するために使用することができる。これは、混合時に架橋してフィブリン(生体接着剤)を形成するフィブリノーゲンおよびトロンビン前駆体溶液から構成される。これは、2つの前駆体を別々に収容する二重バレル・シリンジ・システムに包装される。シリンジを押し出すと、前駆体がシリンジの先端部の混合チャンバに進入することにより、接触によって前駆体が架橋を形成する化学反応を被り、生体接着剤であるフィブリンの形成がもたらされ
る。いくつかの状況においては、Tisseel(商標)を、アダプタを使用してリードの本体内のカニューレを通って押し出してもよい。他の状況においては、Tisseel(商標)を、リードの配置に先立ってリードの先端部および/または身体構造の一部位の表面に適用して、治療のためにリードを神経に固定することができる。
【0458】
一実施形態において、生体接着剤は、光硬化性であり、光(例えば、特定の波長および/または他の特性の光)を照射することによって活性化(例えば、光活性化)されるように構成される。活性化していない生体接着剤を、目的の部位(例えば、組織上、電極リード表面、これらの組み合わせ、など)に塗布することができる。いくつかの実施形態においては、リードアセンブリが所望の位置に配置されると、光を(例えば、所望の期間または必要な期間にわたって)照射して生体接着剤を硬化および活性化させることによって、所望の場所における電極リードの充分な少なくとも部分的な固定を保証することができる。いくつかの実施形態において、生体接着剤は光分解性でもあり、材料の分解は、或る波長(例えば、接着剤を硬化させるために必要な波長とは異なる波長)の光の照射によって制御される。
【0459】
いくつかの状況において、生体接着剤が、固有の波長の印加に応答して即座に硬化または分解する光硬化性部分および光分解性部分の両方を含有することが好都合であり得る。例えば、生体接着剤は、可視スペクトル(400~700nmの波長)の光に反応し、露光から数秒以内に硬化するオルト-ニトロベンジル保護官能基を含むことができる。これは、電気刺激治療に先立って電極リードを近位神経セグメントに接着(例えば、即座に、迅速に、特定の期間内に、など)するために適用することができる。さらに、生体接着剤は、治療後に神経からリードを取り外し、リードを容易に除去することができるように、UV光(10~400nm)に対して反応性であり、露光時に分解(例えば、即座に、迅速に、特定の期間内に、など)するように構成されたジオルト-ニトロベンズアルデヒド部分を含むことができる。
【0460】
いくつかの実施形態によれば、
図47に示されるように、生体接着剤送出装置1310および光源1312が、例えば刺激システムとは別個の個々の装置であり、キットの一部として含まれてよい。生体接着剤送出装置は、ノズル1316を通って制御された流量で押し出され(シリンジディスペンサ)、あるいはプランジャ1317を使用して押し出される生体接着剤が予め装てんされたリザーバ、開口、および/または他のチャンバ1314などを含むことができる。光源は、所望または必要に応じて、電源、光源、透過機構(例えば、電球、光ファイバケーブル、など)、オン/オフまたは光の種類を変更するための制御部1318(例えば、ボタンまたはスイッチ)、ならびに/あるいは任意の他の構成要素または特徴を備えることができる。
【0461】
いくつかの実施形態において、光源は、先端部および/または他の部分が光を放射するように構成されたハンドヘルド装置またはワンド1312に含まれる。いくつかの構成においては、生体接着剤の局所的な小面積を照らすために、光エネルギーを1つの位置に集中させるべく装置先端部を通って光を伝えることが好都合であり得る。
【0462】
他の状況においては、とりわけ生体接着剤のより大きな表面積を一度に照射する必要がある場合に、装置の少なくとも一部(例えば、装置の一部分、装置全体、など)を水平に(あるいは、基準点または基準面に対して何らかの他の向きに)保持されたときに光を伝えるように構成することが好都合であり得る。
【0463】
別の実施形態において、光応答性生体接着剤アプリケータおよび光源は、刺激システムとは別個の1つの装置を構成する(または、刺激システムとは別個の1つの装置に含まれる)。一構成において、装置は、生体接着剤リザーバ、電源、光源、および伝達機構を備
え、生体接着剤の送出の少なくとも1つの態様(例えば、自動ボタンディスペンサ、手動プランジャ、など)を制御または調節するように構成され、光の透過を制御または調節するように構成された手持ち式ツールである。
【0464】
いくつかの構成によれば、
図48Aに示されるように、生体接着剤送出ノズル先端部1320が、1つ以上の光源1322(例えば、LED)を含む。そのような光源1322を、装置の本体上の1つ以上のコントローラ(例えば、ボタン、スイッチ、ダイヤル、など)によって制御されるように構成することができ、所望の種類の光(例えば、UVまたは可視光)を透過させ、あるいは他のやり方でもたらすように構成することができる。
【0465】
いくつかの構成においては、
図48Bに示されるように、装置の軸の少なくとも一部が、特定の向き(例えば、水平)に保持されたときに光を透過させ、あるいは他のやり方でもたらすことが好都合であり得る。いくつかの実施形態において、このような構成は、生体接着剤のより大きな表面積を一度に照射しなければならない場合に、望ましい可能性がある。生体接着剤送出制御は、ユーザが或る量(例えば、予め設定された量、カスタマイズ可能な量、など)の接着剤を(例えば、最大リザーバ限界まで)送出することを可能にできる。
【0466】
いくつかの実施形態においては、
図48Cに示されるように、送ディスペンサを、電極リード本体1100または電極1102の遠位の態様を神経構造1110に固定するために使用することができる硬化性の生体接着剤1330を送出するように構成することができる。ディスペンサを、そのような生体接着剤を硬化させるようにも構成することができる。装置は、例えば、これらに限られるわけではないが、ディスプレイ(例えば、LCD画面、他のディスプレイ、他の出力、など)へのセンサ出力などのインジケータ(例えば、視覚インジケータ、別の種類のインジケータ、など)を含むことができる。そのようなディスプレイを、所望または必要に応じて、これらに限られるわけではないが、送出されるべき生体接着剤の選択または予め設定された量、リザーバに残存する生体接着剤の量、などの種々の情報を表示するように構成することができる。さらに、視覚インジケータを、例えば、光源に関する情報(例えば、光源がオンであるか、あるいはオフであるか)、伝えられ、もしくは伝えられるべき光の波長に関する情報、照射の時間に関する情報(例えば、経過時間、残り時間、など)、などの追加の情報を提供するように構成することができる。いくつかの実施形態においては、生体接着剤自体が、適切な硬化を知らせるために色を変化させる(例えば、リアルタイムで、別の条件が満たされた後で、など)ように構成される。
【0467】
いくつかの実施形態において、生体接着剤溶液は、生体接着剤を神経の付近または神経に沿って(あるいは、神経に対する他の場所)に戦略的に収容する局所チャンバ機構として機能することができるカフ状装置に適用される。前記カフ状装置を、生体接着剤の薄層、パターン化層、またはマルチパターン化層のみを神経または包まれた構造へと押し出すことを可能にするモールドとして機能するように構成することができる。さらに、前記装置は、包まれた構造において内部に向けられた光源および/または光拡散要素をさらに備えてもよく、ポリマーを硬化させるために利用されてよい。
【0468】
いくつかの構成において、光応答性生体接着剤アプリケータおよび光源システムを事前にプログラムすることが好都合であり得る。例えば、システムを、神経にリード先端部を固定するために、1つ以上の予め設定された制御部(例えば、内蔵され、あるいは組み込まれた制御部)によって以下のやり方で動作させることができ、すなわち、(1)神経の表面またはその付近に或る量の生体接着剤を適用(例えば、制御された量、一定の流量、直接的、間接的、均一、不均一、など)するために押され、あるいは他のやり方で制御できるように構成されたボタンまたは他のコントローラを操作し、(2)神経の表面にリー
ドを、生体接着剤を2つの表面の間のインターフェースとして配置、または他のやり方で位置決めし、(3)1つ以上の光源を(例えば、予め設定された持続時間、予め決められた持続時間、または固定された持続時間(例えば、30秒、1分、2分、3分、4分、5分、5~10分、これらの範囲の間の値、10分超、など)にわたって)作動させるために別のボタンまたは他のコントローラを押し、あるいは他のやり方で作動させる。そのような期間を、生体接着剤の光硬化および活性化に必要な時間に少なくとも部分的に基づいて選択することができる。いくつかの実施形態において、生体接着剤は、制御された期間にわたって受動的に生分解し、生分解期間の終わりにおいて容易にリードを取り外して除去することを可能にする。他の実施形態において、生体接着剤は、硬化のための要件とは異なる波長の光の照射時に即座に、または急速に分解する。
【0469】
いくつかの実施形態において、生体接着剤塗布システムおよび光源は、刺激システムおよび/またはリードに組み込まれ、あるいは他のやり方で取り入れられる。一構成においては、生体接着剤溶液リザーバが、刺激ユニット内に収容されてよい。他の構成において、リザーバは、所望または必要に応じて、外部構成要素(例えば、刺激および/またはリードアセンブリに組み込まれておらず、あるいはその一部ではない)であってよい。一構成において、生体接着剤は、1つ以上の収容されたチャネル、リザーバ、および/または他の部分においてリードアセンブリの本体を通って(例えば、少なくとも部分的に)押し出され、あるいは他のやり方で配置される溶液である。いくつかの実施形態において、生体接着剤は、リードアセンブリの先端部または遠位端あるいはその付近から出るように構成される。
【0470】
一例においては、
図49Aに示されるように、生体接着剤溶液が、電極リード本体1102の遠位部分の付近または遠位部分から(例えば、1つ以上の専用の灌流ポート、穴、細孔、開口、および/または他の開口部1340を通って)出るように構成される。このような開口部を、導電性要素1108の間の電極リード本体の遠位端またはその付近に配置することができる。いくつかの実施形態において、生体接着剤は、電極リード本体またはアセンブリの遠位の態様または部分、近位の態様または部分、近位部分と遠位部分との間の位置、これらの組み合わせなどに沿って配置されてよい1つ以上のポート、穴、細孔、開口、および/または他の開口部を通って出てもよい。
【0471】
いくつかの構成によれば、
図49Bに示されるように、生体接着剤が、身体構造部位への最適な接着のためにリード先端部の周囲の表面領域への均一な押し出しが達成されるように、遠位および/または近位リード本体に沿って位置し、あるいはその近くに位置する多数の(例えば、2つ以上の)開口部1340を通って出るように構成されることが好都合であり得る。リードアセンブリは、生体接着剤をリードアセンブリおよび/または対象者の身体構造の特定の領域へと届けることを可能にするための開口部1340の任意の配置を含むことができる。
【0472】
別の構成において、生体接着剤は、リードアセンブリの表面に位置するコーティングまたはフィルムを備える。いくつかの実施形態では、そのようなコーティングまたはフィルムは、先端部から予め設定された長さ(例えば、リードの全長、リードの全長の半分まで、リードの全長の遠位側4分の1、リードの任意の他の部分、など)まで延在し、光(例えば、固有の波長の光)および/または任意の活性化源の適用によって活性化/非活性化させることが可能である。
【0473】
いくつかの構成において、光源は、少なくとも部分的に、リードアセンブリの先端部および/またはその近くに配置され、1つ以上の制御部(例えば、刺激ユニット、別の装置、などに配置されたボタンまたは他の制御部)によって制御されてよい。
【0474】
いくつかの実施形態によれば、作動する光源は、光発生器(例えば、1つ以上のLED、1つ以上の他の光源、など)の1つ以上の組を含む。他の構成において、光源は、刺激ユニットのハウジング内に(例えば、部分的または完全に)収容され、かつ/またはリードアセンブリの本体を通って(例えば、例えば光ファイバ、他のトランスミッタ、などのような機構を介して)伝達される。いくつかの構成において、リードアセンブリの少なくとも一部分は、リード本体の専用部分またはその全体を通る光の伝達を可能にするために、少なくとも部分的に半透明または透明である。
【0475】
いくつかの実施形態において、生体接着剤の活性化および/または不活性化は、例えば、これらに限られるわけではないが、熱エネルギー、電気エネルギー、光音響エネルギー、化学的および/または生化学的刺激を挙げることができる他の外部刺激によって制御される。いくつかの実施形態において、生体接着剤は、熱応答性または感熱性である。そのような構成において、生体接着剤は、通常の生理学的温度を上回る/下回る温度範囲(例えば、周囲病院保管温度)において不活性であるが、ひとたび通常の生理学的範囲内の温度に曝されると活性になるように構成されてよい。
【0476】
他の実施形態において、生体接着剤は、電気エネルギー刺激に応答する。いくつかの状況において、生体接着剤は、所与のパラメータの電気刺激または指定されたパラメータ範囲内の電気刺激に応答して活性化または不活性化されてよい。これらのパラメータとして、これらに限られるわけではないが、刺激電流、電圧、振幅、パルス周波数、交流または直流、などの差を挙げることができる。いくつかの構成においては、生体接着剤の活性化を、神経再生治療の電気刺激パラメータと同じ(または、実質的に同じ)または異なる電気刺激パラメータに応答して生じるように構成することができる。例えば、電極リードアセンブリが、身体構造の一部位またはその付近に、生体接着剤を2つの表面の間のインターフェースとして配置された後。刺激ユニット上の制御部を使用して、生体接着剤が硬化および活性化してリードを身体構造に取り付けるように、所望の用量(例えば、予め定められ、固定され、あるいは可変である、など)の電気刺激を加えることができる。
【0477】
いくつかの実施形態において、生体接着剤に対してもたらされる電気刺激の用量は、神経再生治療における用量と同じ、またはおおむね同じである。いくつかの実施形態において、そのような刺激の用量は、治療の開始時に有効にされる。他の実施形態において、硬化用の用量は、例えば、同じ電流出力であるが、より低いパルス周波数(例えば、1Hz未満、1Hz、1~2Hz、2~3Hz、3~4Hz、4~5Hz、1~5Hz、5Hz、10Hz、15Hz、25Hz、5~10Hz、10~15Hz、15~20Hz、20~25Hz、これらの範囲内および/またはこれらの値の間の周波数、25Hz超、など)での刺激など、神経再生治療の用量とは異なってよい。そのような周波数は、神経再生治療に使用される周波数に等しくても、神経再生治療に使用される周波数よりも低くても、神経再生治療に使用される周波数よりも高くてもよい。
【0478】
いくつかの構成によれば、生体接着剤は、電気刺激時に活性化される。このような活性化は、即座に、または電気刺激の活性化後の或る時点で生じ得る。いくつかの構成において、本明細書に開示される種々の実施形態は、2つの刺激段階、すなわち(1)生体接着剤硬化刺激段階および(2)神経再生治療刺激段階を有することができる。いくつかの実施形態において、硬化用の電気刺激の用量は、生体接着剤を活性化させるために、例えば5分未満(例えば、30秒未満、30秒、1分、2分、30秒~1分、1~2分、2~3分、3~5分、これらの範囲または値の間の値、など)などの比較的短い時間にわたって適用される。他の構成においては、硬化用の用量を、より長い時間(例えば、5分、10分、5~10分、10分超、これらの範囲または値の間の値、など)にわたって適用する必要がある。いくつかの状況においては、合計の外科手術時間が最小化され、あるいは他の様態で短縮されるように、生体接着剤が電気刺激に続いて瞬時に、または短時間のうち
に活性化されることが、好都合であり得る。
【0479】
いくつかの構成において、生体接着剤は、電気刺激によって活性化され、受動的生分解によって不活性化されて、(例えば、生分解期間の後の)リードアセンブリの容易な除去を可能にする。特定の状況においては、生分解期間を神経再生治療に必要な期間内であるように設計することが好都合であり得る。したがって、生分解期間は、神経再生治療の期間以上であり得る。
【0480】
いくつかの構成によれば、生体接着剤は、電気刺激によって活性化および非活性化される。そのような構成において、生体接着剤の不活性化のための電気刺激の印加は、活性化および/または神経再生治療に必要な電気刺激の印加と同じであっても、異なっていてもよい。一態様において、生体接着剤は、特定の硬化用の用量の電気刺激で活性化されてよいが、神経再生治療の電気刺激に曝されたときに不活性化されてよい。別の態様において、生体接着剤は、特定の硬化用の用量の電気刺激で活性化され、神経再生治療の最中に活性なままであり、その後に硬化用の用量および神経再生治療とは異なるパラメータの電気刺激を印加することによって、不活性化されてよい。
【0481】
いくつかの構成において、電気刺激による生体接着剤の不活性化は、瞬時に生じ、あるいは短時間または長時間にわたって生じる。例えば、リードの除去の総時間を最小限に抑えるために、急性環境における神経再生治療の後に電気刺激を印加して生体接着剤を瞬時に不活性化することが好都合であり得る。
【0482】
いくつかの実施形態において、生体接着剤は、光音響および/または他の音響エネルギーに応答する。例えば、超音波システムを、術中および/または周術期に多機能なやり方で使用することができる。そのような構成において、超音波または他の音響システムを、(1)リードの配置においてユーザを案内し、(2)少なくとも一部分が対象者の身体構造内にあるリードアセンブリの視覚化をユーザにとって可能にし、(3)生体接着剤を活性化し、(4)生体接着剤を不活性化し、かつ/または任意の他のタスクを実行するように構成することができる。いくつかの構成において、生体接着剤の活性化/非活性化は、同じ光音響エネルギーパラメータを必要としても、異なる光音響エネルギーパラメータを必要としてもよい。
【0483】
いくつかの実施形態において、生体接着剤は、化学的および/または生化学的刺激に応答することができる。一態様において、生体接着剤はpH応答性であり、生理学的pH(pH7.4)への曝露によって活性化される。いくつかの態様において、生体接着剤はpH応答性であり、生理学的条件よりも上または下のpHを有する溶液の適用に応答して活性化/不活性化される。例えば、生体接着剤は、身体構造の一部位と電極リードとの間のインターフェースとして配置され、酸性または塩基性の溶液(pH<7.4またはpH>7.4)がその領域に適用されたときに限り活性化されてよい。さらに、生体接着剤は、受動的生分解によって不活性化されてよく、あるいは、例えば通常の生理学的条件のpHとは異なるpHを有する溶液の適用など、化学的変化に応答して不活性化されてよい。
【0484】
いくつかの実施形態において、生体接着剤は多機能性であり、身体構造の一部位へのリードの固定に加えて、化学的および/または生化学的刺激(および/または、他の刺激)に応答して治療または非治療の物質をもたらす。例えば、神経へのリードの固定に続いて、生体接着剤は、生理学的pH値および/または他の生理学的生化学的因子に曝露されたときに反応するように構成されてよい。そのような状況において、神経再生剤(例えば、神経成長因子、グリア由来成長因子、タクロリムス、など)を、神経再生の電気刺激との組み合わせにおいて相乗的に損傷末梢神経の再生速度を高め、再生を促進するための速度(例えば、制御された速度)で放出または送出することができる。これに加え、あるいは
代えて、生体接着剤は、神経再生の電気刺激と組み合わせて疼痛調節剤(例えば、アスピリンおよびイブプロフェンなどの非ステロイド系抗炎症薬、他の薬剤、など)を放出または供給するように構成されてよい。pH応答性生体接着剤の例として、これらに限られるわけではないが、オリゴ(メチルメタクリレート)-グラフトポリ(アクリル酸)、修飾ポリ(エチレングリコール)、修飾ポリ(アミノエステル)、これらの誘導体が挙げられる。
【0485】
組み合わせシステム
いくつかの実施形態において、生体接着剤は多機能性であるように構成され、(例えば、特定の接着特性および特徴の維持に加えて)生物活性分子および/または治療用分子をもたらすように構成される。生体接着剤によってもたらすことができる生物活性分子および/または治療用分子として、これらに限られるわけではないが、抗炎症剤(例えば、イブプロフェン、セレコキシブ、ジクロフェナク、など)、麻酔剤(例えば、リドカイン)、免疫抑制剤(例えば、タクロリムス、シクロスポリンA、ラパマイシン、など)、抗菌剤(例えば、シプロフロキサシン)、ステロイド剤またはホルモン剤(例えば、エリスロポエチン、メラトニン、テストステロン、エストロゲン、など)、神経剤(例えば、リチウム、ガパペンチン、など)、タンパク質およびニューロトロフィン(例えば、脳由来神経栄養因子、グリア由来神経栄養因子、神経成長因子、など)、細胞(例えば、幹細胞、シュワン細胞、マクロファージ、など)、ビタミン(例えば、ビタミンB12、など)、運搬ビークル(例えば、ナノ/マイクロ粒子、リポソーム、ミセル、沈殿物、など)、などが挙げられる。
【0486】
いくつかの構成において、生体接着剤は、最適または所望の時間枠内で生物活性分子および/または治療用分子を送出するように調整される。いくつかの構成において、そのような時間枠は、少なくとも部分的に、分子、送出の部位、クリアランス速度、などに依存する。送出は、所望または必要に応じて、生体材料の設計および分子または薬剤の特性ならびに/あるいは1つ以上の他の因子または考慮事項に従って、規則的または不規則な頻度(例えば、一定速度または非一定速度)に従って生じてよい。
【0487】
一例において、生体接着剤は、60日以上(例えば、60、70、80、90、100、110、120、150、200、250、300日を超える、これらの値の間の日数、1年を超える、など)にわたって外科的に修復された神経に電極リードを少なくとも部分的に固定するために使用される。そのような状況下で、生体接着剤は多機能性であってよく、リードが固定されている間、免疫抑制剤(例えば、シクロスポリンAまたはタクロリムス)を一定の速度で放出することで、リードの早期除去、治療の無効、ならびに患者または他の対象者への疼痛または他の負の生理学的影響もしくは問題となり得る生理学的影響につながりかねない埋め込まれたリードに対する重い炎症または宿主免疫拒絶反応の可能性を、予防または低減するように構成されてよい。
【0488】
いくつかの構成において、特定の所望の効果を果たし、あるいは他のやり方で生じさせる薬剤または複数の薬剤を送出することが、好都合であり得る。いくつかの実施形態においては、2つ以上の所望の効果が生成される。例えば、タクロリムス(例えば、FK506としても知られる)は、市販の免疫抑制剤であるが、急性および慢性動物神経損傷モデルにおいて末梢神経再生を促進することも証明されている。したがって、特定の状況下では、タクロリムスの生物学的神経再生機構が神経再生電気刺激治療の機構とは異なるがゆえに、タクロリムスおよび電気刺激の両方をもたらすことが相乗的に作用して、個々の方法のいずれかを単独で適用した場合に達成できるよりも、末梢神経再生を最適化または他の様態で改善することができる。したがって、損傷末梢神経の神経再生能力を相乗的に高め、あるいは向上させるために、所望の様相(例えば、制御された様相)で1つ以上の治療薬(例えば、タクロリムス)をもたらす治療用送出装置でもあるように電極リード生体
接着剤を設計することが、好都合であり得る。これを、電気刺激治療の適用に加えて行うことができる。さらに、タクロリムスの例を念頭に、タクロリムスは免疫抑制剤であるため、この薬物の供給は、埋め込まれた任意の構成要素に対する慢性免疫または異物応答の緩和を助けることもできる。
【0489】
他の態様において、神経再生電気刺激と再生促進剤の供給との組み合わせが、(例えば、重度の神経損傷モデル(例えば、慢性軸索切断、神経叢損傷、間隙神経損傷、など)に関する)特定の状況下で(例えば、最適な効果またはより優れた効果を生み出すために)所望され得る。神経移植片(例えば、自己移植片、異種移植片、同種移植片、など)または神経導管の外科的実施を必要とする間隙神経損傷の現時点における治療戦略は、損傷後の意味のある再生および機能回復に関して、依然としてほとんど不充分である。
【0490】
さらに、いくつかの種類の神経移植片が、入手しやすく、二次手術部位が不要であるという理由で、多くの場合に選択されるが、急性および/または慢性の宿主炎症または免疫原性反応を引き起こすことも報告されている。そのような場合、再生を促進し、神経間隙損傷後の移植片拒絶の可能性を防止または低減するために、移植片または導管を使用した外科的神経間隙修復、神経再生電気刺激、抗炎症剤および/または免疫抑制剤の局所提供、ならびに/あるいは他の材料/治療を適用する多因子の治療戦略を適用することが好都合または望ましいかもしれない。
【0491】
いくつかの構成において、神経間隙の外科的修復に続いて、神経再生刺激システムを実施することができる。リードを傍切開アプローチを使用して挿入し、(例えば、本明細書に記載の技術および方法のいずれかによる)多機能生体接着剤で適所に固定することができる。いくつかの態様において、生体接着剤は、例えばタクロリムス(FK506)などの免疫抑制剤または他の免疫抑制物質(例えば、シクロスポリンA、ラパマイシン、など)を含むことができる。
【0492】
いくつかの実施形態によれば、生体接着剤は、リードを神経上の一部位(例えば、修復部位の近位)および/またはその付近に少なくとも部分的に固定することができ、対応する神経移植片の表面積を覆う(例えば、完全に、部分的に、など)こともできる。生体接着剤は、神経再生電気刺激治療の期間および過程の間、刺激リードを係止または他のやり方で固定するように機能することができる。いくつかの実施形態においては、特定の用途または使用に関して所望され、あるいは必要とされるとおりに、治療のために留まり、より長時間(例えば、2時間、4時間、1~4時間、1時間未満、4~6時間、6~8時間、8~12時間、4~16時間、12~18時間、12~24時間、18~24時間、1~30日、30~60日、60~90日、これらの範囲内の時間、90日超、など)にわたってその部位に留まるように構成されてよい。
【0493】
正確な時間枠にかかわらず、対応する期間に関して、生体接着剤を、生分解し、所望の(例えば、制御された)速度で治療薬(例えば、タクロリムス(FK506))をもたらすように構成することができる。いくつかの実施形態において、そのような実施形態を、軸索再生および移植片リモデリングの過程において局所免疫抑制を提供するように構成することができる。すでに述べたように、免疫抑制剤であることに加えて、タクロリムス(FK506)は、例えば、神経栄養剤であり得る。したがって、特定の状況下で、神経再生電気刺激治療との組み合わせにおける物質(例えば、タクロリムス)の制御された局所供給は、神経移植片および/または導管の宿主拒絶を防止するだけでなく、外科処置単独で達成することができるよりもさらに、軸索再成長を相乗的に促進し、間隙神経損傷モデルにおける神経再生を促進する(かつ/または、他の何らかの有益な効果または結果を生み出す)こともできる。
【0494】
別の例において、生体接着剤は多機能性であり、急性および/または慢性の疼痛の調節の目的のための薬物送出システムでもある。いくつかの態様において、生体接着剤は、疼痛抑制剤または疼痛防止剤(例えば、抗炎症剤、ステロイド剤、局所麻酔薬、など)のための局所供給ビークルとして機能することができる。この薬物送出システムは、疼痛調節電気刺激と相乗的に作用しても、別個に作用してもよい。生体接着性薬物送出システムを、最適な治療ウインドウに応じて薬物ペイロードを放出するように調整することができる。いくつかの態様においては、生体接着性薬物送出システムが、薬剤を迅速に送出する一方で、リードの埋め込みの過程において接着性および整形性を保持することが好都合であり得る。
【0495】
いくつかの実施形態において、生体接着性薬物送出システムが、よりゆっくりとした時間経過にて薬剤を送出することが好都合であり得る。
【0496】
いくつかの実施形態において、薬物放出プロファイルは、連続的であっても、非連続であっても、設計された間隔(例えば、パルス状の薬物送出)で生じてもよい。例えば、末梢神経損傷患者は、神経再生治療のための電気刺激段階および疼痛管理治療のための第2の電気刺激段階を受けることができる。神経再生治療段階の間および疼痛調節治療段階の過程全体を通して、神経損傷部位の近位に電極リードをインターフェースさせて固定するために、生体接着剤を使用することができる。さらに、生体接着剤を、これらに限られるわけではないが、イブプロフェン、プレガバリン、ガバペンチン、トピラマート、カルバマゼピン、などの抗炎症剤および疼痛調節剤の局所用量を放出するように設計することができる。薬物送出システムからの疼痛調節剤の放出プロファイルは線形であってよく、電気刺激によってもたらされる疼痛調節治療段階に加えて、患者に回復の過程において疼痛緩和をもたらすために、一定の用量および速度の疼痛調節剤が経時的に放出される。生体接着剤は、リードを除去する時点において、リードがもはや身体構造の一部位に接着しておらず、容易な除去が可能であるように、神経再生治療または疼痛調節治療の時間枠のいずれかまたは両方において受動的に分解することができる。
【0497】
いくつかの実施形態において、生体接着剤は多機能であり、放射線不透過性要素で構成され、あるいは放射線不透過性要素を含み、放射線不透過性要素またはリードの画像誘導による視覚化、配置、および/または除去が可能である。さらに、放射線不透過性要素は、とりわけ長期のリード埋め込みの場合にリードの位置および配置を監視するための追加の安全機能であってよい。いくつかの構成において、生体接着剤は、放射線不透過性要素および/または造影剤を完全に、または部分的に含み、あるいは放射線不透過性要素および/または造影剤のハイブリッドを含んでもよい。そのような放射線不透過性要素として、これらに限られるわけではないが、放射線不透過性ポリマー剤、放射線不透過性剤(例えば、アクリル誘導体、無機塩、ならびにビスマス、ヨウ素、バリウム、などのような大きな原子番号の元素)、造影剤溶出ナノ/マイクロ粒子、などを挙げることができる。
【0498】
いくつかの実施形態において、生体接着剤は、導電性および/または圧電性である。いくつかの態様において、生体接着剤は、導電性または圧電性材料(例えば、ポリピロール、ポリアニリン、ポリチオフェン、など)を含むことができる。他の態様において、生体接着剤は、これらに限られるわけではないが、カーボンナノチューブ、グラフェン粒子、金ナノ粒子、銀ナノ粒子、などの導電性または圧電性要素を含む複合材料であってよい。導電性または圧電性の材料特性は、好都合または他のかたちで有利であり得る。例えば、神経再生治療および/または疼痛調節治療のために神経に加えられる電気刺激と相乗的に作用するが、対象の身体構造領域へのより局所的な電荷集中を可能にするために。
【0499】
他の実施形態においては、さまざまな治療物質を、電極リード本体を介して対象の損傷神経の付近または対象の損傷神経上の軌道に沿ってさまざまな位置に届けることができる
。そのような物質は、別の機構によって作用して、神経再生治療と相乗的に作用することができ、かつ/または、とりわけ疼痛および局所炎症を最小限に抑えるように作用することができる。
【0500】
キット
いくつかの実施形態において、神経治療キットは、生体接着剤、少なくとも1つの電極を有する電極リード、刺激システム、挿入器具、およびユーザマニュアルのうちの2つ以上を含む。一構成においては、神経損傷の治療の最中または前に、キットを手術中に展開することができる。
【0501】
いくつかの実施形態および例が本明細書に開示されているが、本出願は、具体的に開示された実施形態を超えて、種々の発明および修正の代案の実施形態および/または使用、ならびに/あるいはそれらの均等物に及ぶ。また、実施形態の特定の特徴および態様のさまざまな組み合わせまたは部分的組み合わせが行われてもよく、依然として本発明の範囲に含まれると考えられる。したがって、開示された実施形態のさまざまな特徴および態様を互いに組み合わせ、あるいは置き換えて、開示された発明のさまざまな態様を形成することが可能である。したがって、本明細書に開示された種々の発明の範囲は、上述した特定の実施形態によって限定されるべきではない。本明細書に開示された実施形態は、さまざまな修正および代替の形態を許すことができるが、その具体例が図面に示され、本明細書において詳細に説明されている。しかしながら、本出願の発明は、開示された特定の形態または方法に限定されるものではなく、むしろ反対に、記載された種々の実施形態および添付の特許請求の範囲の精神および範疇に含まれるすべての修正、等価物、および代替物を包含する。さらに、或る実施態様または実施形態に関連するあらゆる特定の特徴、態様、方法、性質、特性、品質、属性、要素、などについての本明細書の開示は、本明細書に記載の他のすべての実施態様または実施形態で使用することが可能である。
【0502】
本明細書に開示されたあらゆる方法において、行為または動作は、任意の適切な順序で実行することが可能であり、必ずしも特定の開示された順序に限定されず、列挙された順序では実行されない。さまざまな動作を、特定の実施形態の理解に役立つことができるようなやり方で、順繰りの複数の個別の動作として説明することができるが、説明の順序を、これらの動作が順序に依存することを意味すると解釈すべきではない。さらに、本明細書に記載のあらゆる構造は、統合された構成要素として具現化されても、別個の構成要素として具現化されてもよい。さまざまな実施形態を比較する目的で、これらの実施形態の特定の態様および利点が説明されている。必ずしもそのような態様または利点のすべてが、特定の実施形態によって達成されるわけではない。したがって、例えば、実施形態を、1つの利点または利点群を達成または最適化するようなやり方で、必ずしも他の利点または利点群を達成することなく実施することができる。
【0503】
本明細書に開示される方法は、施術者が行う特定の動作を含むが、それらは、明示的または暗示的に、それらの動作の任意の第三者指示も含むことができる。例えば、神経を「位置特定する」、電極を神経に「結合させる」、連結する」、刺激処置を「開始する」、などの動作は、それぞれ「位置特定を指示する」、「結合を指示する」、および「開始を指示する」、などを含む。本明細書に開示される範囲は、それらのあらゆる重なり、部分範囲、および組み合わせを包含する。「~まで(up to)」、「少なくとも(at least)」、「~より大きい(greater than)」、「~未満(less
than)」、「~の間(between)」、などの言語は、そこで述べられた数字を含む。「約」または「およそ」などの用語が添えられた数字は、そこで述べられた数字を含み、状況に基づいて(例えば、±5%、±10%、±15%、など、状況下で合理的に可能な限り正確に)解釈されるべきである。例えば、「約1mm」は、「1mm」を含む。「実質的に」などの用語が添えられた句は、そこで述べられた句を含み、状況に基づ
いて(例えば、状況下で合理的に可能な限りに)解釈されるべきである。例えば、「実質的に剛体」は、「剛体」を含み、「実質的に平行」は、「平行」を含む。
【国際調査報告】