(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-12-01
(54)【発明の名称】免疫細胞のインビトロ培養、誘導、活性化、凍結保存方法及びその細胞バンクの作成
(51)【国際特許分類】
C12N 5/0783 20100101AFI20221124BHJP
C12N 5/078 20100101ALI20221124BHJP
【FI】
C12N5/0783
C12N5/078
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022507332
(86)(22)【出願日】2020-05-26
(85)【翻訳文提出日】2022-02-04
(86)【国際出願番号】 CN2020092287
(87)【国際公開番号】W WO2021223274
(87)【国際公開日】2021-11-11
(31)【優先権主張番号】202010371435.2
(32)【優先日】2020-05-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520514780
【氏名又は名称】青島瑞思徳生物科技有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100091683
【氏名又は名称】▲吉▼川 俊雄
(74)【代理人】
【識別番号】100179316
【氏名又は名称】市川 寛奈
(72)【発明者】
【氏名】張炳強
(72)【発明者】
【氏名】陳夢夢
【テーマコード(参考)】
4B065
【Fターム(参考)】
4B065AA94X
4B065AC20
4B065BA21
4B065BA30
4B065BB19
4B065BB32
4B065CA44
(57)【要約】
本発明は、免疫細胞のインビトロ培養、誘導、活性化、凍結保存方法及びその細胞バンクの作成を開示する。この方法は、免疫細胞専用の増幅用培地を用いて単核細胞を第1段階の増幅培養を行い、予備増幅免疫細胞を得るステップと、免疫細胞専用の誘導用培地を用いて、予備増幅免疫細胞を第2段階の誘導・増幅培養を行い、誘導免疫細胞を得るステップと、免疫細胞専用の活性化用培地を用いて、誘導した免疫細胞を第3段階の活性化・増幅培養を行い、機能が活性化された大量の免疫細胞を取得するステップと、免疫細胞専用の凍結保存液を用いて免疫細胞を凍結保存し、凍結保存した免疫細胞を得るステップと、ABO/RHタイピングとHLAタイピングに応じて保存することにより、検索可能な免疫細胞情報ファイルを作成し、免疫細胞バンクを構築するステップとを含む。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
免疫細胞のインビトロ培養、誘導、活性化、凍結保存方法及びその細胞バンクの作成であって、
免疫細胞専用の増幅用培地を用いて単核細胞を第1段階の増幅培養を行い、予備増幅免疫細胞を得るステップであって、前記免疫細胞専用の増幅用培地は、500~2000IU/ml IL-2、500~2000IU/ml IL-10、0.5~1ng/ml IL-1αと1~4ng/ml LIF、0.5~2.5ng/ml EPO、l~4ng/ml KGF、2~5ng/mlテストステロン、1~4μg/ml副甲状腺ホルモン、1~4μg/mlラミニンを添加した無血清リンパ球培地であるステップと、
免疫細胞専用の誘導用培地を用いて、予備増幅免疫細胞を第2段階の誘導・増幅培養を行い、誘導免疫細胞を得るステップと、
免疫細胞専用の活性化用培地を用いて誘導した免疫細胞を第3段階の活性化・増幅培養を行い、機能が活性化された大量の免疫細胞を取得するステップと、
免疫細胞専用の凍結保存液を用いて免疫細胞を凍結保存し、凍結保存した免疫細胞を得るステップと、
ABO/RHタイピングとHLAタイピングに応じて保存することにより、検索可能な免疫細胞情報ファイルを作成し、免疫細胞バンクを構築するステップとを含む、ことを特徴とする方法。
【請求項2】
前記免疫細胞専用の誘導用培地は、500~2000IU/ml IL-2、500~2000IU/ml IL-10、1~4ng/ml bFGF、1~4ng/ml BMP-4、0.2~0.8μg/ml ラパマイシン、0.2~0.8μg/ml イカリイン、20~80ng/ml トリメチニブ、1~4ng/ml ヒドロコルチゾン、1~4μg/ml ラミニンを添加した無血清リンパ球培地である、ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記免疫細胞専用の活性化用培地は、500~2000IU/ml IL-2、500~2000IU/ml IL-10、1~4ng/ml TGF-β、1~2ng/ml フォルスコリン、20~80ng/ml レスベラトロール、1~4μg/ml アセトアミノフェン、1~4μg/ml ラミニンを添加した無血清リンパ球培地である、ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記免疫細胞専用の凍結保存液は、DMSO 5体積%、アルブミン1~2体積%、アミノエタノール1~2体積%、無血清リンパ球培地91~93体積%を含む、ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記免疫細胞専用の増幅用培地、免疫細胞専用の誘導用培地、免疫細胞専用の活性化用培地、及び免疫細胞専用の凍結保存液において、前記無血清リンパ球培地はX-VOVO15無血清培地又は市販されている他の種類の無血清培地である、ことを特徴とする請求項1~4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記免疫細胞はナチュラルキラー細胞である、ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バイオテクノロジーの分野に関し、具体的には、免疫細胞のインビトロ培養、誘導、活性化、凍結保存方法、及びその細胞バンクの作成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
細胞生物治療は、手術、放射線・化学療法及び内分泌治療に続く第5位の治療手段となった。養子免疫細胞治療は細胞生物治療方法の一つであり、腫瘍患者に抗腫瘍活性を有する免疫細胞を注入し、腫瘍細胞を直接殺滅したり生体の免疫反応を刺激して腫瘍細胞を殺滅したりすることで、腫瘍治療の目的を達成するものである。現在臨床で応用されている免疫細胞はDC-CIK細胞、TIL細胞、LAK細胞及びNK細胞を含み、その中で、CIK細胞、LAK細胞及びNK細胞はすべてナチュラルキラー細胞を主体とする抗癌系である。
【0003】
NK細胞はナチュラルキラー細胞(natural killer cell)とも呼ばれ、人体の全身をパトロールすると同時に癌細胞やウイルス感染細胞などを探して攻撃し、人体の自然免疫において重要な役割を発揮している。NK細胞は血液中のリンパ球の10~30%を占め、パーフォリン、グランザイムなどの細胞毒性因子を含む。NK細胞はパーフォリン、グランザイムを放出することができ、パーフォリンは標的細胞の表面に孔を空けて、グランザイムbを標的細胞に進入させ、標的細胞のアポトーシスを誘導する。NK細胞はまた大量のサイトカイン、例えばifn-v、tnf-x、gm-csf、il-3、m-csfなどを分泌し、標的細胞に直接作用したり、さらに他の種類の免疫細胞を活性化して標的細胞を攻撃したりする。
【0004】
NK細胞は腫瘍の免疫、非自己細胞の除去などにおいて重要な作用を発揮し、自然免疫防御の主要な構成要素であり、生体防御システムの第一の防御線に位置し、NK細胞の殺滅活性はMHC制限がなく、抗体に依存せず、抗原があらかじめ感作することを必要とせずに腫瘍及びウイルス感染の細胞を識別して殺滅することができ、パーフォリン-グランザイム経路とFas-FasL経路を通じて腫瘍細胞に対して細胞毒作用を直接発揮して腫瘍細胞を殺滅し、また、発病早期に多種のサイトカインとケモカイン、例えばTNF-α、IFN-γやIL-1などを分泌することができ、これらのサイトカインが抗癌と取得性免疫応答の調節に関与するため、NK細胞は自然免疫と取得性免疫を連結する橋でもある。
【0005】
NK細胞療法の優位性:(1)NK細胞は、活性が高く、いかなる癌細胞も殺滅でき、現在まで高活性NK細胞が殺滅できない癌細胞はほとんど発見されていない。(2)効果的に免疫力を刺激し、免疫系を活性化し、毒性や副作用がない。(3)手術、放射線治療後に残った癌細胞を効果的に除去する。(4)NK細胞は患者の免疫機能を高めることができるとともに、抗悪性腫瘍と抗ウイルスの作用を持つ。(5)NK細胞は先天性細胞であり、いかなる癌細胞をも破壊することができ、免疫細胞治療の主な材料である。
【0006】
NK細胞は、抗癌効果の安全性と治療効果を認められているが、末梢血リンパ球の10~30%しか占めていないため、いかに高純度、高品質のNK細胞製品を得るかがNK治療の鍵である。近年、インビトロでの刺激培養により、大規模なNK細胞の調製が可能であることが発見され、IL-2、IL-15、IL-18やIL-7などのサイトカインはNK細胞のインビトロ増幅に重要な役割を果たしており、それらによるNK細胞のインビトロ増幅の倍数は数倍から数十倍であることが知られている。IL-2は、NK細胞の増殖を誘導する重要なサイトカインであり、NK細胞を活性化し、NK細胞の増殖及びサイトカインの産生を促進することができる。IL-15とIL-7の作用はIL-2と類似しており、それらはまたNK細胞表面に発現する複合受容体γ鎖と結合することによって、造血幹細胞のNK細胞への方向性分化を促進し、しかもNK細胞の発育、分化やインビトロ長期生存の維持などに重要な作用を発揮する。IL-15とIL-2の相乗作用により、両者はNK細胞のインビトロ増幅にも作用し、現在のNK細胞インビトロ増幅の最も伝統的なサイトカインの組み合わせである。IL-18は活性化したTHi細胞による大量のIFN-γの分泌を誘導するだけでなく、Fas-FasL経路の開放を促進することにより、NK細胞の細胞毒性を用量依存的に高めることが報告されている。
【0007】
現在、NK細胞治療製品が市販されているが、使用した培養系が煩雑で、増幅倍数と腫瘍を殺す効果が良くなく、凍結保存後の蘇生効果が悪く、一部の培養系には安全上のリスクなどの問題が存在する。これにより、ナチュラルキラー細胞の培養、誘導、活性化、凍結保存方法には改良する余裕がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、従来技術に存在する技術的課題を解決することを目的とする。そのため、本発明は、免疫細胞のインビトロ培養、誘導、活性化、凍結保存方法及びその細胞バンクの作成方法を提案し、この方法は、免疫細胞の培養、誘導、活性化の効率が高く、迅速で、安全性が高く、低コストであり、誘導増幅により得られた大量の機能が活性化された免疫細胞は細胞バンクを作成して長期保存することができ、蘇生後も良好な細胞活性を維持することができる。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、免疫細胞のインビトロ培養、誘導、活性化、凍結保存方法及びその細胞バンクの作成を提供する。本発明の実施例によれば、この方法は、
免疫細胞専用の増幅用培地を用いて単核細胞を第1段階の増幅培養を行い、予備増幅免疫細胞を得るステップと、
免疫細胞専用の誘導用培地を用いて、予備増幅免疫細胞を第2段階の誘導・増幅培養を行い、誘導免疫細胞を得るステップと、
免疫細胞専用の活性化用培地を用いて誘導した免疫細胞を第3段階の活性化・増幅培養を行い、機能が活性化された大量の免疫細胞を取得するステップと、
免疫細胞専用の凍結保存液を用いて免疫細胞を凍結保存し、凍結保存した免疫細胞を得るステップと、
ABO/RHタイピングとHLAタイピングに応じて保存することにより、検索可能な免疫細胞情報ファイルを作成し、免疫細胞バンクを構築するステップとを含む。
【0010】
前記免疫細胞専用の増幅用培地は、500~2000IU/ml IL-2、500~2000IU/ml IL-10、0.5~1ng/ml IL-1αと1~4ng/ml LIF、0.5~2.5ng/ml EPO、l~4ng/ml KGF、2~5ng/mlテストステロン、1~4μg/ml副甲状腺ホルモン、1~4μg/mlラミニンを添加した無血清リンパ球培地である。
【0011】
前記免疫細胞専用の誘導用培地は、500~2000IU/ml IL-2、500~2000IU/ml IL-10、1~4ng/ml bFGF、1~4ng/ml BMP-4、0.2~0.8μg/ml ラパマイシン、0.2~0.8μg/ml イカリイン、20~80ng/ml トリメチニブ、1~4ng/ml ヒドロコルチゾン、1~4μg/ml ラミニンを添加した無血清リンパ球培地である。
【0012】
前記免疫細胞専用の活性化用培地は、500~2000IU/ml IL-2、500~2000IU/ml IL-10、1~4ng/ml TGF-β、1~2ng/ml フォルスコリン、20~80ng/ml レスベラトロール、1~4μg/ml アセトアミノフェン、1~4μg/ml ラミニンを添加した無血清リンパ球培地である。
【0013】
前記免疫細胞専用の凍結保存液は、DMSO 5体積%、アルブミン1~2体積%、アミノエタノール1~2体積%、無血清リンパ球培地91~93体積%を含む。
【0014】
前記免疫細胞専用の増幅用培地、免疫細胞専用の誘導用培地、免疫細胞専用の活性化用培地、及び免疫細胞専用の凍結保存液において、前記無血清リンパ球培地はX-VOVO15無血清培地又は市販されている他の種類の無血清培地である。
【0015】
本発明の実施例によれば、前記免疫細胞はナチュラルキラー細胞である。
【発明の効果】
【0016】
本発明を用いて単核細胞を誘導増幅培養を行うことにより、機能が活性化された大量の免疫細胞を得ることができる。本発明は、誘導効率が高く、増幅速度が速く、安全性が高く、コストが低いなどの利点がある。また、本発明は対応する細胞バンクを作成し、大規模な免疫細胞保存を分類して行い、有効保存時間が長く、蘇生後の細胞も良好な細胞活性を維持し、細胞回収率が高いので、臨床治療における大量の免疫細胞の需要を満たすことができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図2】本発明の方法による14日内の末梢血単核球の増幅効率と細胞生存率である。
【
図3】本発明の方法による14日内の標的細胞の増幅効率である。
【
図4】本発明の方法による12日内の末梢血単核球の増幅効率と細胞生存率である。
【
図5】本発明の方法による12日内の標的細胞の増幅効率である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明は、免疫細胞のインビトロ培養、誘導、活性化、凍結保存方法及びその細胞バンクの作成方法を提供し、具体的には、免疫細胞専用の増幅用培地を用いて単核細胞を第1段階の増幅培養を行い、予備増幅免疫細胞を得るステップと、免疫細胞専用の誘導用培地を用いて、予備増幅免疫細胞を第2段階の誘導・増幅培養を行い、誘導免疫細胞を得るステップと、免疫細胞専用の活性化用培地を用いて誘導した免疫細胞を第3段階の活性化・増幅培養を行い、機能が活性化された大量の免疫細胞を取得するステップと、免疫細胞専用の凍結保存液を用いて免疫細胞を凍結保存し、凍結保存した免疫細胞を得るステップと、ABO/RHタイピングとHLAタイピングに応じて保存することにより、検索可能な免疫細胞情報ファイルを作成し、免疫細胞バンクを構築するステップとを含む。
【0019】
本発明の実施例によれば、免疫細胞専用の増幅用培地は、500~2000IU/ml IL-2、500~2000IU/ml IL-10、0.5~1ng/ml IL-1αと1~4ng/ml LIF、0.5~2.5ng/ml EPO、l~4ng/ml KGF、2~5ng/mlテストステロン、1~4μg/ml副甲状腺ホルモン、1~4μg/mlラミニンを添加した無血清リンパ球培地である
【0020】
本発明の実施例によれば、免疫細胞専用の誘導用培地は、500~2000IU/ml IL-2、500~2000IU/ml IL-10、1~4ng/ml bFGF、1~4ng/ml BMP-4、0.2~0.8μg/ml ラパマイシン、0.2~0.8μg/ml イカリイン、20~80ng/ml トリメチニブ、1~4ng/ml ヒドロコルチゾン、1~4μg/ml ラミニンを添加した無血清リンパ球培地である。
【0021】
本発明の実施例によれば、免疫細胞専用の活性化用培地は、500~2000IU/ml IL-2、500~2000IU/ml IL-10、1~4ng/ml TGF-β、1~2ng/ml フォルスコリン、20~80ng/ml レスベラトロール、1~4μg/ml アセトアミノフェン、1~4μg/ml ラミニンを添加した無血清リンパ球培地である。
【0022】
本発明の実施例によれば、前記免疫細胞はナチュラルキラー細胞である。
【0023】
本発明の実施例によれば、第1段階の免疫細胞増幅培養において、2~3日ごとに1回、合計2回継代し、第2段階の誘導・増幅培養において、2~3日ごとに1回、合計2回継代し、第3段階の大規模活性化・増幅培養において、2日ごとに1回、少なくとも2回(複数回の継代が可能)継代した。これにより、短時間で高純度の大規模な免疫細胞増幅を実現することができ、臨床免疫治療のために十分な機能活性化免疫細胞を得ることができる。
【0024】
本発明の実施例によれば、免疫細胞専用の凍結保存液は、DMSO 5体積%、アルブミン1~2体積%、アミノエタノール1~2体積%、無血清リンパ球91~93体積%を含む培地である。107~108個の免疫細胞あたり上述の免疫細胞専用の凍結保存液1mlを用いた。このため、凍結保存される細胞濃度が高く、大規模免疫細胞の凍結保存に適し、凍結保存のコストが低く、細胞の凍結保存効果が高く、蘇生後の細胞生存率及び細胞収率が高い。
【0025】
本発明の実施例によれば、活性化された増幅免疫細胞をABO/RHタイピングとHLAタイピングに応じて保存することにより、検索可能な免疫細胞情報ファイルを作成し、免疫細胞バンクを構築する。
【0026】
以下、実施例を参照して本発明の技術案を説明する。当業者が理解できるように、以下の実施例は、本発明を説明するためにのみ使用され、本発明の範囲を限定するものとはみなされない。実施例では具体的な技術又は条件が明記されていない場合、その分野内の文献に記載された技術又は条件に基づいて、又は製品の取扱書に基づいて実施する。使用する試薬又は機器にメーカーが明記されていない場合は、いずれも市販可能な通常の製品である。
【実施例1】
【0027】
本発明の免疫細胞の培養、誘導、活性化増幅方法を用いて、単離された単核球を目的免疫細胞(NK細胞)として誘導、活性化、増幅し、目的免疫細胞の活性を検出した。
【0028】
一、実験方法
1.ドナーのスクリーニング
1.1 病院はドナーとインフォームドコンセントに署名しなければならず、1式3通である。ドナー、医療機関は各1通、もう1通は検体とともに実験室に送付する。
【0029】
1.2 病院は質問とフォームでドナーの個人情報、過去の治療歴、家族遺伝歴、及び伝染病歴や造血或いは免疫系の異常などの情報を聴取する。病院は健康診断資料を調べて、健康診断情報を得るにはドナー本人あるいはその授権者の同意を得らなければならない。ドナーの健康診断情報には、HIV-1/2抗体(エイズ抗体)、HBsAg(B型肝炎表面抗原)、抗-HCV(C型肝炎抗体)、CMV-IgM抗体(サイトメガロウイルス抗体)、ALT(アミノトランスフェラーゼ)、梅毒トレポネーマ抗体が含まれる。検出方法は衛生部の現行の検出基準にそれぞれ準じる。ドナーの健康診断は少なくとも『献血者健康診断の要求』に適合しなければならない。
【0030】
1.3 特定の経験豊富な医療スタッフが収集した情報を総合的に評価し、ドナーが要件を満たしているかどうかを判断する。ドナーのインフォームドコンセント、個人情報収集表、検査情報などは番号を付けて密封保存する。情報にアクセスする者は、本人又はその権限を持つ者の同意なしに、そのプライバシーを開示してはならない。
【0031】
1.4 ABO/RHタイピングとHLAタイピングに応じて保存することにより、検索可能な免疫ドナーファイル情報のデータベースを構築した。
【0032】
2.末梢血を採取し、末梢血血漿及び単核細胞を分離した。
【0033】
2.1 抗凝固剤を容れた無菌採血バッグでヒトの末梢血約100mlを採血し、迅速検査と血液型鑑定を行うために1mlの末梢血を保留しておき、採血バッグを直ちに無菌包装し、無菌、4℃で保存輸送し、採血情報を正確に記録した。迅速検査のスクリーニングに合格した後、末梢血をGMP実験室に送り、迅速検査に不合格の場合、血液サンプルは廃棄処理された。
【0034】
2.2 GMP実験室で採血バッグを取り出し、採血バッグをアルコールで消毒し、凝固と溶血がないことを観察した後、クリーンベンチで採血バッグを開き、50mlの無菌遠心分離チューブ(45ml/チューブ以下)に血液を移し、2500rpmで10分間遠心分離した。
【0035】
2.3 上層の血漿を別の無菌遠心分離チューブに移し、3500rpmで10min遠心分離し、上清血漿を新しい無菌遠心分離チューブに採取し、遠心分離チューブの口をフィルムで密封し、血球を用いて単核細胞を分離した。
【0036】
2.4 血漿を56℃の水浴鍋に入れて30~50min水浴処理して補体を不活化し、3500rpmで15min遠心分離して補体を除去し、1本あたり10mlで15ml無菌遠心分離チューブに個包装し、-20℃で使用のために凍結保存し、そしてTORCH、マイコプラズマ、エンドトキシン及び微生物の低速検査用のために7.5ml血漿を残した。
【0037】
2.5 ステップ2の血球沈殿を血漿と同体積の生理食塩水で重懸濁して250mlの無菌ガラス瓶に移し、血液全体の1/3量のヒドロキシエチルデンプンを加え、食塩水瓶を軽く振って均一に混合し、静置して赤血球を沈降させた。
【0038】
2.6 赤血球層が沈降して分離した後、上層の乳白色懸濁液を無菌遠心分離チューブに軽く吸引し、1800rpmで5min遠心分離し、上清を捨て、沈殿を生理食塩水10mlで重懸濁した。
【0039】
2.7 15ml無菌遠心分離チューブ2本を用意し、それぞれ常温ヒト末梢血リンパ細胞分離液5mlを加え、それぞれ上層に細胞懸濁液5mlを軽く加えた。室温、2000rpmでゆっくり上昇、ゆっくり降下するように25min遠心分離した。
【0040】
2.8 遠心分離チューブを軽く取り出し、界面の中間の雲霧層である白血球を慎重に新しい15ml遠心分離チューブに吸引し、生理食塩水を加えて2回洗浄した。
【0041】
2.9 生理食塩水1mlに細胞を重懸濁させ、細胞5μlを生理食塩水245μlに加えて50倍希釈し、計数し、そしてトリパンブルー染色で細胞の生存率を算出した。
【0042】
2.10 フローサイトメトリー抗体標識を行ってNK細胞の割合を検出するために4.5×106個の細胞を保留しておき、残りの単核球細胞を、培地20mlを入れた培養瓶に接種し、免疫細胞専用の増幅用培地、すなわち1000IU/ml IL-2、1000IU/ml IL-10、0.8ng/ml IL-1αと2ng/ml LIF、1.5ng/ml EPO、2ng/ml KGF、3ng/ml テストステロン、2μg/ml 副甲状腺ホルモン、2μg/ml ラミニンを添加したX-VOVO15無血清培地を加え、37℃、5%CO2インキュベーターに入れて無菌培養し、0日目とした。細胞を毎日観察し、培地の色によって2~3日ごとに液体を交換して1回継代した。
【0043】
2.11 2回液体交換後、培養系が2Lに達した時点で、培養系を免疫細胞専用の誘導用培地、すなわち1000IU/ml IL-2、1000IU/ml IL-10、2ng/ml bFGF、2ng/ml BMP-4、0.6μg/ml ラパマイシン、0.6μg/ml イカリイン、50ng/ml トリメチニブ、2ng/ml ヒドロコルチゾン、2μg/ml ラミニンを添加したX-VOVO15無血清培地に交換した。細胞を毎日観察し、培地の色によって2~3日ごとに液体を交換して1回継代した。
【0044】
2.12 続いて2回液体交換後、培養系を免疫細胞専用の活性化用培地、すなわち1000IU/ml IL-2、1000IU/ml IL-10、2ng/ml TGF-β、2ng/ml フォルスコリン、50ng/ml レスベラトロール、2μg/ml アセトアミノフェン、2μg/ml ラミニンを添加したX-VOVO15無血清培地に変換した。細胞を毎日観察し、2日ごとに液体を交換して1回継代した。
【0045】
2.13 14日間培養増幅すると、細胞を回収し、培地上清10mlを取ってElisaによる分泌因子検出を行った。
【0046】
2.14 回収した細胞を生理食塩水200mlで重懸濁し、そして人血清アルブミン10mlを加えて、均一に混合し、そこから細胞懸濁液10mlを検出用に採取し、残りの細胞は輸液用に輸液バッグに注入した。輸液バッグから細胞懸濁液10mlを抽出して、マイコプラズマ、エンドトキシン、微生物及びTORCHを検出した。
【0047】
3.フローサイトメーターによる細胞内リンパ球系の検出
取り出した細胞懸濁液10mlを1800rpmで遠心分離し、細胞を回収し、フローサイトメトリー抗体標識を行った。同型対照、単一標準試料、及び染色管を設置し、試料1本当たりの細胞数を約5×105個とし、次に対応する抗体を加えて染色した。4℃で30min放置し、生理食塩水で洗浄した後、装置にかけてリンパ球群中のNK細胞の割合を検出して分析した。
【0048】
4.残りの細胞懸濁液上清10mlを分装し、TORCH、内毒素、マイコプラズマ、微生物を検出した。
【0049】
5.ヌードマウス腫瘍誘発試験:4~6週齢、体重18~20gのSPF級雌BALB/cヌードマウスを空気層流ラック中の蓋付きマウスケージで飼育し、飲用水、標準飼料及びその他の動物との接触品はすべて滅菌処理した。陽性対照のRagi細胞とK562細胞及び検出対象の28日目インビトロで誘導分化したNK細胞を3×107個/0.2mlでヌードマウスの肋骨部皮下に接種し、ピクリン酸で標記し、2カ月間に腫瘍形成を観察した。
【0050】
6.細胞を採取した培地上清をElisaにより分泌因子、すなわちIFN-γ、TNF-α及びPerforinの検出に供した。
【0051】
二、実験結果
1.14日間培養増幅した実験結果
1.1 14日間培養すると細胞は220倍増幅された。
前記末梢血リンパ球分離液で分離した6×10.0
7個の末梢血単核細胞を培養系20mlに接種し、細胞はすぐに対数成長段階に入った。14日間培養増幅後、培養系は4Lに拡大し、細胞数は1.3×10
10に増幅し、増幅倍数は最大220倍であり、生細胞数は95%以上であり、各培養時間の末梢血単核細胞数と細胞活性の結果は
図2に示される。
【0052】
1.2 増幅後の末梢血単核細胞中のNK細胞の比率は明らかに上昇した。
14日間培養増幅した末梢血単核球では、リンパ球中のNK細胞の割合(CD3
-CD56
+)は18.15%から97.64%に上昇し、Tリンパ球(CD3
+)の割合は71.47%から3.22%に下がり、ヘルパーT細胞(Th、CD3
+CD4
+)及び細胞傷害性T細胞(Tc、CD3
+CD8a
+)は全て低下し、Bリンパ球(CD3
-CD19
+)はほぼ消失し、細胞の均一性が著しく向上し、
図1の細胞数を合わせて計算したところ、14日間培養後、NK細胞は1165倍増幅し、14日間培養前後の末梢血単核球中のリンパ球の割合の結果は
図3に示され、このうち、NK細胞:CD3
-CD56
+;T細胞:CD3
+;ヘルパーT細胞(Th):CD3
+CD4
+;細胞傷害性T細胞(Tc細胞):CD3
+CD8a
+;B細胞:CD3
-CD9
+であった。
【0053】
1.3 培養増幅により得られた細胞製品を検出したところ、病原体の感染は認められなかった。
培養後の細胞と細胞懸濁液について、検出プラットフォームに依頼してB型肝炎表面抗原、C型肝炎抗原、ヒト免疫不全ウイルス抗体、梅毒トレポネーマ特異性抗体、マクロファージウイルス及びマイコプラズマ、細菌と内毒素を検出した結果、いずれも陰性であり、これは、このロットの製品が安全であり、培養中に汚染されていないことを示している。
【0054】
2.12日間培養した実験結果
2.1 12日間培養すると細胞は162倍に増幅された。
末梢血リンパ球分離液で分離した6.0×10
7個の末梢血単核細胞を培養系20mlに接種し、細胞はすぐに対数成長段階に入った。12日間培養後、細胞数は9.7×10
9に増幅され、増幅倍数は162倍に達し、生細胞数は95%以上であり、実験結果の詳細は
図4に示される。
【0055】
2.2 増幅後の末梢血単核球中のNK細胞の割合は明らかに上昇した。
末梢血単核球が12日間増幅された後、リンパ球中のNK細胞の割合(CD3
-CD56
+)は6日目の21.47%から12日目の93.22%に上昇し、Tリンパ球(CD3
+)の割合も3.86%に低下し、ヘルパーT細胞(Th、CD3
+CD4
+)と細胞傷害性T細胞(Tc、CD3
+CD8a
+)はいずれも低下し、Bリンパ球(CD3
-CD19
+)は基本的に消失し、細胞の均一性が著しく向上し、12日間培養前後の末梢血単核細胞中のリンパ球の割合は
図5に示される。
【0056】
2.3 培養増幅により得られた細胞製品を検出したところ病原体感染は認められなかった。
培養後の細胞と細胞懸濁液について、検出プラットフォームに依頼してB型肝炎表面抗原、C型肝炎抗原、ヒト免疫不全ウイルス抗体、梅毒トレポネーマ特異性抗体、マクロファージウイルス及びマイコプラズマ、細菌とエンドトキシンを検出した結果、いずれも陰性であり、これは、このロットの製品が安全であり、培養中に汚染されていないことを示している。
【0057】
3.培養した細胞はいずれもIFN-γ、TNF-α、Perforinの分泌を認め、結果を表1に示した。
【0058】
【0059】
4.培養増幅されたNK細胞は体内で腫瘍を形成しない。
ヌードマウス腫瘍誘発実験結果:A群の生理食塩水対照群(腫瘍形成マウス数/群内マウス数、0/5)、B群のRaji細胞対照群(3/5)、C群のK562細胞対照群(4/5)、D群のNK細胞群(0/5)において、2ヶ月観察期間内に生理食塩水0.2mlを皮下注射した群と、3×107個/0.2mlの28日間培養後のNK細胞を皮下注射した群のマウスはいずれも腫瘍形成を認めず、同量のRaji細胞とK562細胞を注射したマウスB群では、それぞれ4/5と5/5匹のマウスに腫瘍形成が認められた。この結果は、28日間培養してもNK細胞が安全で有効であり、腫瘍の形成を引き起こさないことを示している。
【実施例2】
【0060】
インビトロ誘導活性化増幅をした実施例1のNK細胞を凍結保存し、凍結保存効果を比較した。
【0061】
実施例1のインビトロ誘導増幅14日目に得られたNK細胞を、以下の4種類の凍結保存液を用いて凍結保存し、そのうち、4種類の凍結保存液の成分は以下の通りである:
凍結保存液1:DMSO 5体積%、アルブミン1体積%、アミノエタノール1体積%、X-VOVO15無血清培地93体積%;
凍結保存液2:DMSO 5体積%、アルブミン2体積%、アミノエタノール2体積%、X-VOVO15無血清培地91体積%;
凍結保存液3:DMSO 5体積%、アルブミン2体積%、X-VOVO15無血清培地93体積%;
凍結保存液4:DMSO 5体積%、アミノエタノール2体積%、X-VOVO15無血清培地93体積%;
凍結保存液5:DMSO 5体積%、X-VOVO15無血清培地95体積%;
凍結保存液6:DMSO 5体積%、自己血漿 10体積%、X-VOVO15無血清培地85体積%;
凍結液は7:DMSO 10体積%、アルブミン2体積%、アミノエタノール2体積%、X-VOVO15無血清培地86体積%。
【0062】
以下の手順に従ってNK細胞を凍結保存した。凍結保存液と細胞を均一に混合した後、速やかに凍結保存管に移し、凍結保存箱に入れ、-70℃でプログラム降温を一晩行い、翌日液体窒素に移した。ここで、107個のNK細胞あたり凍結保存液1mlを用いた。NK細胞を60日間凍結保存した後、蘇生を行った。凍結保存前後の細胞の生存率と蘇生後の細胞回収率を検出した。具体的には、凍結保存前、凍結保存及び蘇生後の細胞生存率は[生細胞数/(生細胞数+死細胞数)]×100%で算出した。蘇生後の細胞回収率は、(蘇生後の生細胞数/凍結保存時の生細胞数)×100%で算出した。
【0063】
【0064】
表2に示すように、蘇生後の細胞生存率はいずれも凍結保存前より低かった。具体的には、凍結保存液1、及び2は、凍結保存液3、及び4よりも保存される細胞の生存率及び細胞収率が著しく優れており、凍結保存液1と2の間に差が見られず、凍結保存液3と4の間に差が見られず、このことから、アルブミン1~2体積%及びアミノエタノール1~2体積%を添加することによりNK細胞に対する優れた保護効果が得られることが明らかになった。凍結保存液1で保存された細胞の生存率と細胞の収率は凍結保存液7より明らかに優れており、このことから、5%DMSO濃度は最適濃度であり、DMSO濃度の増加はDMSOの細胞毒性作用を増加させ、NK細胞の生存率と細胞の収率を向上できないことが明らかになった。凍結保存液5と凍結保存液6は、細胞生存率と細胞収率の差が大きくなく、しかもその生存率が凍結保存液1と凍結保存液2の場合より著しく低く、自己血漿を添加しても細胞収率と細胞生存率を高めることができないことを示している。以上のことから、本発明の免疫細胞専用の凍結保存液(すなわち、凍結保存液1及び凍結保存液2)は、細胞生存率及び細胞収率が他の種類の凍結保存液よりも著しく高い。
【実施例3】
【0065】
本発明の実施例の免疫細胞の培養、誘導、活性化方法を用いて、単離した単核細胞を免疫細胞に誘導増幅し、ABO/RHタイピングとHLAタイピングに応じて保存することにより、検索可能な免疫細胞情報ファイルを作成し、免疫細胞バンクを構築した。
【0066】
1.ドナーのスクリーニング
病院は質問とフォームでドナーの個人情報、過去の治療歴、家族遺伝歴、及び伝染病歴や造血或いは免疫系の異常などの情報を聴取する。病院は、健康診断資料を調べて健康診断情報を得るにはドナーとインフォームドコンセントに署名し、ドナー本人又はその授権者の同意を得らなければならない。ドナーの健康診断情報には、HIV-1/2抗体、HBsAg、抗-HCV、CMV-IgM抗体、ALT、梅毒トレポネーマ抗体が含まれる。個人情報収集表、インフォームドコンセント、検査情報などは番号を付けて密封保存し、検索可能な免疫ドナーファイル情報のデータベースを構築した。
【0067】
2.末梢血を採取し、末梢血血漿及び単核細胞を分離した。
【0068】
2.1 抗凝固剤を容れた無菌採血バッグでヒト末梢血約100mlを採取し、迅速検査(HIV-1/2抗体、HBsAg、抗-HCV、CMV-IgM抗体、梅毒トレポネーマ抗体)とABO/RHタイピング、HLAタイピング鑑定を行うために末梢血5mlを保留しておき、採血バッグは直ちに無菌包装し、無菌、4℃で保存輸送し、採血情報を正確に記録した。迅速検査のスクリーニングに合格した後、末梢血をGMP実験室に送り、迅速検査に不合格の場合、血液サンプルは廃棄処理された。
【0069】
2.2 GMP実験室で採血バッグを取り出し、採血バッグをアルコールで消毒し、凝固と溶血がないことを観察した後、クリーンベンチで採血バッグを開き、50mlの無菌遠心分離チューブ(45ml/チューブ以下)に血液を移し、2500rpmで10min遠心分離した。
【0070】
2.3 上層の血漿を別の分離無菌遠心分離チューブに送し、3500rpmで10min遠心分離し、上清血漿を新しい無菌遠心分離チューブに採取し、遠心分離チューブの口をフィルムで密封し、血球を用いて単核細胞を分離した。
【0071】
2.4 ステップ2の血球沈殿を血漿と同体積の生理食塩水で重懸濁させて250mlの無菌ガラス瓶に移し、血液全体の1/3量のヒドロキシエチルデンプンを加え、食塩水瓶を軽く振って均一に混合し、静置して赤血球を沈降させた。
【0072】
2.5 赤血球層が沈降して分離した後、上層の乳白色懸濁液を無菌遠心分離チューブに軽く吸引し、1800rpmで5min遠心分離し、上清を捨て、沈殿を生理食塩水10mlで重懸濁させた。
【0073】
2.6 15ml無菌遠心分離チューブ2本を用意して、それぞれ常温のヒト末梢血リンパ球分離液5mlを加え、それぞれ上層に細胞懸濁液5mlを軽く加えた。室温、2000rpmでゆっくり上昇し、ゆっくり下降するように25min遠心分離した。
【0074】
2.7 遠心分離チューブを軽く取り出し、界面の中間の雲霧層である白血球を新しい15ml遠心分離チューブに慎重に吸引し、生理食塩水を加えて2回洗浄した。
【0075】
2.8 生理食塩水1mlに細胞を重懸濁させ、細胞5μlを生理食塩水245μlに加えて50倍希釈し、計数し、そしてトリパンブルー染色で細胞生存率を測定した。
【0076】
2.9 培地20mlを加えた培養瓶に単核球細胞を接種し、培地の配合比は免疫細胞専用の増幅用培地、すなわち1500IU/ml IL-2、1500IU/ml IL-10、0.7ng/ml IL-1αと2.5ng/ml LIF、1.5ng/ml EPO、2.5ng/ml KGF、3.5ng/mlテストステロン、2.5μg/ml副甲状腺ホルモン、2.5μg/mlラミニンを添加したX-VOVO15無血清培地であり、37℃、5%CO2で無菌培養し、0日目とした。細胞を毎日観察し、培地の色によって2~3日ごとに液体を交換して1回継代した。
【0077】
2.10 2回液体交換後、培養系が2Lに達した時点で、培養系を、免疫細胞専用の誘導用培地、すなわち、1500IU/ml IL-2、1500IU/ml IL-10、2.5ng/ml bFGF、2.5ng/ml BMP-4、0.5μg/ml ラパマイシン、0.5μg/ml イカリソウ、50ng/ml トリメチニブ、2.5ng/ml ヒドロコルチゾン、2.5μg/ml ラミニンを添加したX-VOVO15無血清培地に交換した。細胞を毎日観察し、培地の色によって2~3日ごとに液体を交換して1回継代した。
【0078】
2.11 続いて2回液体交換後、培養系を、免疫細胞専用の活性化用培地、すなわち1500IU/ml IL-2、1500IU/ml IL-10、2.5ng/ml TGF-β、1.5ng/ml フォルスコリン、50ng/ml レスベラトロール、2.5μg/ml アセトアミノフェン、2.5μg/ml ラミニンを添加したX-VOVO15無血清培地に交換した。細胞を毎日観察し、2日ごとに液体を交換して1回継代した。
【0079】
2.12 DMSO 5体積%、アルブミン2体積%、アミノエタノール2体積%、X-VOVO15無血清培地91体積%の割合で免疫細胞専用の凍結保存液を調製した。
【0080】
2.13 上記の活性化増幅された免疫細胞を収集した。細胞懸濁液について、マイコプラズマ、エンドトキシン、微生物、及びTORCHを検出した。検出に合格した免疫細胞は、107個あたり上述の調製した免疫細胞専用の凍結保存液1mlを用いて、凍結保存操作を行い、ABO/RHタイピングとHLAタイピングに応じて保存することにより、検索可能な免疫細胞情報ファイルを作成し、免疫細胞バンクを構築した。
【国際調査報告】