IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ エシコン・インコーポレイテッドの特許一覧 ▶ シラグ・ゲーエムベーハー・インターナショナルの特許一覧

特表2022-550247酸化セルロースから構成される膨張性止血剤
<>
  • 特表-酸化セルロースから構成される膨張性止血剤 図1A
  • 特表-酸化セルロースから構成される膨張性止血剤 図1B
  • 特表-酸化セルロースから構成される膨張性止血剤 図2
  • 特表-酸化セルロースから構成される膨張性止血剤 図3A
  • 特表-酸化セルロースから構成される膨張性止血剤 図3B
  • 特表-酸化セルロースから構成される膨張性止血剤 図4A
  • 特表-酸化セルロースから構成される膨張性止血剤 図4B
  • 特表-酸化セルロースから構成される膨張性止血剤 図4C
  • 特表-酸化セルロースから構成される膨張性止血剤 図5
  • 特表-酸化セルロースから構成される膨張性止血剤 図6
  • 特表-酸化セルロースから構成される膨張性止血剤 図7
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-12-01
(54)【発明の名称】酸化セルロースから構成される膨張性止血剤
(51)【国際特許分類】
   A61L 15/28 20060101AFI20221124BHJP
   A61P 17/02 20060101ALI20221124BHJP
   A61L 31/04 20060101ALI20221124BHJP
   A61L 15/64 20060101ALI20221124BHJP
   A61L 15/60 20060101ALI20221124BHJP
   A61L 31/14 20060101ALI20221124BHJP
   A61L 31/16 20060101ALI20221124BHJP
   A61L 15/44 20060101ALI20221124BHJP
   A61L 15/18 20060101ALI20221124BHJP
   A61L 15/20 20060101ALI20221124BHJP
   A61L 15/32 20060101ALI20221124BHJP
   A61L 31/02 20060101ALI20221124BHJP
   A61L 31/12 20060101ALI20221124BHJP
   A61F 13/00 20060101ALI20221124BHJP
   A61K 31/717 20060101ALN20221124BHJP
   A61P 7/04 20060101ALN20221124BHJP
   A61P 31/04 20060101ALN20221124BHJP
   A61K 45/00 20060101ALN20221124BHJP
   A61P 43/00 20060101ALN20221124BHJP
   A61P 17/00 20060101ALN20221124BHJP
   A61K 47/02 20060101ALN20221124BHJP
   A61K 9/20 20060101ALN20221124BHJP
   A61K 47/26 20060101ALN20221124BHJP
   A61K 47/42 20170101ALN20221124BHJP
   A61K 47/12 20060101ALN20221124BHJP
【FI】
A61L15/28 100
A61P17/02
A61L31/04 120
A61L15/64 100
A61L15/60 100
A61L15/28
A61L15/60
A61L15/64
A61L31/14 500
A61L31/14
A61L31/16
A61L15/44 100
A61L15/44
A61L15/18
A61L15/18 100
A61L15/20
A61L15/20 100
A61L15/32
A61L15/32 100
A61L31/02
A61L31/12 100
A61F13/00 301A
A61F13/00 301Z
A61K31/717
A61P7/04
A61P31/04
A61K45/00
A61P43/00 121
A61P17/00 101
A61K47/02
A61K9/20
A61K47/26
A61K47/42
A61K47/12
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022507432
(86)(22)【出願日】2020-08-03
(85)【翻訳文提出日】2022-03-14
(86)【国際出願番号】 IB2020057322
(87)【国際公開番号】W WO2021024159
(87)【国際公開日】2021-02-11
(31)【優先権主張番号】268572
(32)【優先日】2019-08-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IL
(31)【優先権主張番号】62/883,764
(32)【優先日】2019-08-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】512080321
【氏名又は名称】エシコン・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】Ethicon, Inc.
【住所又は居所原語表記】P.O. Box 151, U.S. Route 22, Somerville, NJ 08876, United States of America
(71)【出願人】
【識別番号】506157570
【氏名又は名称】シラグ・ゲーエムベーハー・インターナショナル
【氏名又は名称原語表記】Cilag GMBH International
(74)【代理人】
【識別番号】100088605
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 公延
(74)【代理人】
【識別番号】100130384
【弁理士】
【氏名又は名称】大島 孝文
(72)【発明者】
【氏名】イラン・エレツ
(72)【発明者】
【氏名】ファインゴールド・オムリ
(72)【発明者】
【氏名】アエウルバッハ-ニーボー・タマル
(72)【発明者】
【氏名】ネグラヌ-ギルボア・タリ
(72)【発明者】
【氏名】アルペリン・ハダス
(72)【発明者】
【氏名】ワン・アレン
(72)【発明者】
【氏名】ルーニー・ドウェイン
【テーマコード(参考)】
4C076
4C081
4C084
4C086
【Fターム(参考)】
4C076AA36
4C076BB21
4C076BB31
4C076BB32
4C076CC14
4C076CC19
4C076CC31
4C076DD23
4C076DD38
4C076DD41
4C076EE41
4C076FF04
4C076FF68
4C076GG11
4C081AA02
4C081AA12
4C081AA14
4C081AC16
4C081BA11
4C081BA14
4C081BA16
4C081BC02
4C081CD021
4C081CD112
4C081CE01
4C081CE03
4C081CF21
4C081DA01
4C081DA02
4C081DA05
4C081DC11
4C081EA02
4C081EA11
4C081EA13
4C084AA19
4C084MA32
4C084MA35
4C084MA63
4C084MA65
4C084NA05
4C084ZA531
4C084ZA532
4C084ZA891
4C084ZA901
4C084ZB351
4C084ZB352
4C084ZC751
4C086AA01
4C086AA02
4C086EA25
4C086MA01
4C086MA02
4C086MA03
4C086MA04
4C086MA05
4C086MA32
4C086MA35
4C086MA63
4C086MA65
4C086NA10
4C086NA20
4C086ZA53
4C086ZA89
4C086ZA90
4C086ZB35
4C086ZC75
(57)【要約】
酸化セルロースからなり、かつ約0.8~約1.2gr/cmの範囲の密度を有する、膨張性生分解性止血マトリックスが、本明細書に開示される。マトリックスは、室温で水溶液と接触すると、4秒以内に、その元の体積の少なくとも3倍に膨張可能であり得る。更に、止血マトリックスを作製するための方法、並びに創傷を治療する方法が開示される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
酸化セルロース(OC)を含む生分解性止血マトリックスであって、前記OCが、1つ又は2つ以上のシートを含み、前記マトリックスが、(i)約0.8~約1.2gr/cmの範囲の密度を有し、(ii)10~40℃の少なくとも1つの温度で水溶液と接触すると、4秒以内に、その元の体積の少なくとも3倍に膨張可能である、生分解性止血マトリックス。
【請求項2】
約1.2gr/cmの密度を有する、請求項1に記載のマトリックス。
【請求項3】
5mm超の体積を有する、請求項1又は2に記載のマトリックス。
【請求項4】
圧縮状態にある、請求項1~3のいずれか一項に記載のマトリックス。
【請求項5】
円筒形、長方形、及び/又は多角形の形状を有する、請求項1~4のいずれか一項に記載のマトリックス。
【請求項6】
水溶液に浸漬した後、30秒以内に、その最大膨張容量の少なくとも90%に膨張することができる、請求項1~5のいずれか一項に記載のマトリックス。
【請求項7】
10~30℃の少なくとも1つの温度で水溶液と接触すると、4秒以内に、その元の体積の15~30倍に膨張可能である、請求項6に記載のマトリックス。
【請求項8】
錠剤及び創傷包帯から選択される形態である、請求項1~7のいずれか一項に記載のマトリックス。
【請求項9】
前記OCが、酸化再生セルロース(ORC)を含む、請求項1~8のいずれか一項に記載のマトリックス。
【請求項10】
前記ORCが、ニット布、不織布、織布、細断材料、及びそれらの任意の組み合わせから選択される形態である、請求項9に記載のマトリックス。
【請求項11】
前記ORCが、不織布の形態である、請求項10に記載のマトリックス。
【請求項12】
カルシウム塩、抗感染剤、及び止血促進剤からなる群から選択される1つ又は2つ以上の添加剤を更に含む、請求項1~11のいずれか一項に記載のマトリックス。
【請求項13】
塩化ナトリウム、マンニトール、アルブミン、及び酢酸ナトリウムからなる群から選択される1つ又は2つ以上の賦形剤を更に含む、請求項1~12のいずれか一項に記載のマトリックス。
【請求項14】
前記OCのカルボキシル含有量が、米国薬局方(USP)23-NF18に従って、12重量%~21重量%の範囲である、請求項1~13のいずれか一項に記載のマトリックス。
【請求項15】
約0.5~約10cm、任意選択的に、約3~約5cmの範囲の膨張前総表面積を有する、請求項1~14のいずれか一項に記載のマトリックス。
【請求項16】
約0.05cm~約2cm、任意選択的に、約0.4~約0.8cmの範囲の膨張前体積を有する、請求項1~14のいずれか一項に記載のマトリックス。
【請求項17】
軟組織における出血を制御する際に使用するための、請求項1~16のいずれか一項に記載のマトリックス。
【請求項18】
微生物の負荷の形成を阻害又は低減する際に使用するための、請求項1~17のいずれか一項に記載のマトリックス。
【請求項19】
OC系材料を、その表面に0.3~7トン/cmの範囲の圧力を加えることによって、圧縮することによって生成されている、請求項1~18のいずれか一項に記載のマトリックス。
【請求項20】
前記OCが、前記水溶液と接触する前に、8%未満の水、任意選択的に、5%未満の水を含む、請求項1~19のいずれか一項に記載のマトリックス。
【請求項21】
10~40℃の少なくとも1つの温度で水溶液と接触すると、4秒以内に、その元の体積の少なくとも4倍に膨張可能である、請求項1~20のいずれか一項に記載のマトリックス。
【請求項22】
10~40℃の少なくとも1つの温度で水溶液と接触すると、4秒以内に、その元の体積の少なくとも5倍に膨張可能である、請求項1~21のいずれか一項に記載のマトリックス。
【請求項23】
10~40℃の少なくとも1つの温度で水溶液と接触すると、4秒以内に、その元の体積の3~6倍に膨張可能である、請求項1~21のいずれか一項に記載のマトリックス。
【請求項24】
請求項1~23のいずれか一項に記載の止血マトリックスを作製する方法であって、OC系材料を、その表面に約0.3~約7トン/cmの範囲の圧力を加えることによって、圧縮するステップを含む、方法。
【請求項25】
前記OC材料が、ORCを含む、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記ORCが、不織形態である、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
前記OC材料を、カルシウム塩、抗感染剤、及び止血促進剤からなる群から選択される1つ又は2つ以上の添加剤と混合するステップを更に含む、請求項24~26のいずれか一項に記載の方法。
【請求項28】
創傷を治療する方法であって、請求項1~23のいずれか一項に記載の生分解性止血マトリックスを、それを必要とする対象の前記創傷上及び/又は内に適用するステップを含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、とりわけ、酸化セルロース(oxidized cellulose、OC)の膨張性生分解性止血マトリックス、及びその使用(例えば、創傷を治療するための使用)に関する。
【背景技術】
【0002】
多種多様な状況において、ヒトを含む動物は、創傷が原因で、あるいは外科的処置の間に、出血に見舞われることがある。状況によっては、出血は比較的軽く、通常の血液凝固が機能し、そのため、必要なのは簡単な応急処置を適用するだけである。他の状況では、相当な出血が起こることがある。これらの状況では、通常、専門的な設備及び物資、並びに適切な救助を施すように訓練された人員が必要となる。
【0003】
止血を達成するための従来の方法としては、外科的技術、縫合、結紮又はクリップ、及びエネルギーに基づく凝固又は焼灼の使用が挙げられる。これらの従来の対策が非効果的又は非実用的である場合、補助的な止血技術及び止血製品が必要とされる。
【0004】
出血を制御するための適切な方法又は製品の選択は、多くの要因に依存し、これには、出血の重症度、出血源の解剖学的場所及び隣接する重要な構造の近接性、出血が離散した出血源からのものであるか、又はより広い表面積からのものであるか、出血源の視認性及び正確な特定、並びに出血源へのアクセスが含まれるが、これらに限定されない。
【0005】
上述の問題に対処する取り組みにおいて、過度の出血を制御するための材料が開発されてきた。局所用吸収性止血剤(Topical Absorbable Hemostat、TAH)は、外科用途で広く使用されている。TAHは、酸化セルロース(OC)、ゼラチン、コラーゲン、キチン、キトサンなどに基づく製品を包含する。止血性能を改善するために、上述の材料に基づくスキャフォールドは、トロンビン及びフィブリノゲンなどの生物学的に誘導された凝固因子と組み合わせられることができる。
【0006】
その生分解性、並びにその殺菌性及び止血特性により、酸化再生セルロース(oxidized regenerated cellulose、ORC)などの酸化セルロース(OC)系材料は、神経外科手術、腹部手術、心臓血管手術、胸部手術、頭頸部手術、骨盤手術、並びに皮膚及び皮下組織処置を含む様々な外科的処置において、局所止血剤として長い間使用されてきた。粉末、織布、不織布、ニット布、及び他の形態で作られるか否かにかかわらず、OC材料に基づいた様々な種類の止血剤を形成するためのいくつかの方法が知られている。現在利用されている止血剤としては、粉末、又はORCを含む布地が挙げられる。
【0007】
急速な出血の迅速な対応は、外科的処置に重要である。止血は、様々な方法によって達成することができる。一般的な慣行は、包帯又は止血パッチを介して創傷に圧力を加えて、凝固の形成を促進する手動圧縮の使用である。手動圧縮には、いくつかの顕著な欠点があり、手術スタッフにとって、かなり面倒で、比較的時間がかかる。その用途に関して、手動圧縮は、狭くて手の届きにくい空間、間隙、又は空洞から血液が失われる場合、効果的ではない。このような場合、流動性シーラントが、通常、止血を達成するために使用される伝導性アプリケータを介して適用される。一連の流動性シーラント製品が市場で入手可能であり、それらのほとんどは、生物学的に活性な成分に基づいている。
【0008】
生物学的止血剤は、汚染の潜在的なリスクを伴い、それらのコストは高い。更に、市場のいくつかの止血剤は、適用する前の手間のかかる調製、手術スタッフからのある程度の専門知識を必要とし、急速な失血の場合、必要な有効性を欠いている。
【0009】
公開番号第2012/0101520号を有する米国特許出願は、血管穿刺部位(特に、カテーテル法又は他の介入処置の結果である穿刺部位)を封止するために使用される装置及び方法に関する。封止デバイスは、封止部材及びテザーを含む。封止部材は、切開、穿刺、又は他の創傷の空間を占有し、それが占有する空間を封止して、更なる血流を防止する。テザーは、封止部材に取り付けられており、必要に応じて、ユーザーに、封止部材を引き抜く能力を提供する。
【0010】
米国特許第8,518,064号は、概して、膨張性生体適合性プラグ材料を血管壁に固定して、腫瘍組織又は腫瘍に血液を供給する動脈などの所望の血管標的への血流を遮断又は低減する固定された閉塞プラグを形成するための方法に関する。
【0011】
公開番号第2005/0287215号を有する米国特許出願は、間質性細孔を含む複数の充填粒子であって、間質性細孔が、同じ材料の複数の非充填粒子と比較して、生理液又は水性媒体と接触して配置された場合、生理液又は水性媒体の改善された吸収を提供するのに有効な細孔容積及び中央細孔径を有し、粒子が、生体適合性材料でできており、止血を必要とする哺乳動物の身体の部位に止血を提供する際の使用に好適な平均直径を有する、充填粒子、かかる複数の充填粒子を含む止血組成物、かかる粒子及び組成物を作製する方法、ならび止血性の複数の粒子及び/又は組成物を身体の部位に送達及び含有するのに好適な装置、を開示している。
【0012】
公開番号第2014/0142523号を有する米国特許出願は、とりわけ、第1の外層、第2の外層、及び第1の外層と第2の外層との間に配置された液体膨張性層を含む、自己膨張性創傷包帯を開示しており、液体膨張性層は、基材によって保持される複数の液体膨張性物品を含み、複数の液体膨張性物品は、液体と接触すると、膨張した物品を形成する。
【0013】
米国特許第8,828,050号は、液体と接触すると膨張し得る複数の液体膨張性物品を含む止血組成物に関する。好適な組成物は、互いに機械的に結合されていなくてもよく、したがって、互いに独立して動くことができる、複数の液体膨張性物品を含む。複数の液体膨張性物品は、液体と接触すると、高度の膨張を可能にする圧縮材料を含み得る。
【0014】
公開番号第2007/0014862号を有する米国特許出願は、とりわけ、出血部位上又は傷口(wound gap)内に配置するための、実質的に圧縮形態又は成形形態のままであり得る、圧縮性かつ成形性の塊の形態の酸化セルロースを含む止血剤を開示している。酸化セルロースは、不織酸化セルロース繊維鎖のペレットであってもよく、又は織られた若しくはその他ガーゼ又はメッシュに配置された不織セルロース繊維の鎖であってもよい。ペレットは、創傷に適用される前に圧縮され得、それによって、ペレットが膨張して、傷口の形状に適合することが可能になる。ペレットは、創傷の治癒中に傷口内に留まることができ、したがって、ペレットを身体の生物学的プロセスによって吸収させることができる。
【0015】
公開番号第2006/0078589号を有する米国特許出願は、間隙を形成し、したがって縫合には大きすぎる口腔創傷を治療するためのデバイスを開示している。デバイスは、生じた傷口を満たすことを意図しており、出血している組織と接触すると、局所的な止血を引き起こす。デバイスは、治癒の過程で傷口に留まり、かつ傷口を保護する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
しかしながら、出血の制御は、失血を最小限に抑えるため、術後の合併症を低減するため、及び手術室における手術時間を短縮するために、外科的処置において不可欠かつ重要であるため、特に、手の届きにくい出血部位において、適用の容易さを促進させる改善された止血形態及び止血材料が必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明は、とりわけ、酸化再生セルロース(ORC)などの圧縮酸化セルロース(OC)から構築された膨張性止血マトリックスに関し、例えば、穿刺創傷又は組織間隙の場合に止血を達成するために使用され得る。止血酸化セルロース材料は、体液に曝露された場合、急速に膨張し、血液を吸収した後、本開示のマトリックスは、外部圧迫を更に適用することなく出血を低減することができ、創傷部位の形状を取って止血を可能にすることができる。マトリックスは、時間とともに溶解しながら、創傷部位に残り得る。マトリックスは、異なる加工OC又はORC材料(例えば、不織、及びニット)の圧縮から生成され得る。
【0018】
手動圧縮の一般的な慣行は、手術スタッフ(一般的な慣行)にとってかなり面倒であり、比較的時間がかかり、狭くて手の届きにくい空間から血液が失われる場合、効果的ではない。
【0019】
明確に区別すると、本開示の膨張性マトリックスは、手動圧縮が実行可能又は効果的ではない失血性損傷を治療するための即時の解決策として有効であり得る。したがって、マトリックスは、包帯又は止血パッチを介して創傷に圧力を加えて、凝血塊の形成を促進する手動圧縮の一般的な慣行の欠点を克服することを可能にする。
【0020】
マトリックスは、既存の解決策よりも更に顕著な利点を有し、調製時間を必要とせず、室温(room temperature、RT)で安定であり、生物学的止血剤よりも費用効果が高く安全である。
【0021】
以下の実施例のセクションでは、ORC不織材料を含む本開示のマトリックスは、ORCニット源材料及び粉末で構成される錠剤と比較して、優れた膨張特性及び止血効果を示すことが更に実証される。
【0022】
したがって、膨張性マトリックスはまた、失血性損傷を治療するための(例えば、強い出血を伴う歯科処置のための)即時の解決策として有効である。更に、効率的な止血剤として機能するために、ORCは殺菌性化合物であり、これは、高濃度の細菌を保持する口腔などの体腔への介入後に有利である。
【0023】
本発明の一態様によれば、酸化セルロース(OC)を含む生分解性止血マトリックスが提供され、当該マトリックスは、(i)約0.8~約1.2gr/cmの範囲の密度を有し、(ii)10~40℃の少なくとも1つの温度で水溶液と接触すると、4秒以内に、その元の体積の少なくとも3倍、少なくとも4倍、又は少なくとも5倍に膨張可能である。いくつかの実施形態では、マトリックスは、約1.2gr/cmの密度を有する。
【0024】
いくつかの実施形態では、マトリックス中のOCは、1つ又は2つ以上のシート(例えば、繊維状及び/又は充填された層状シート)を含むか、又はその形態である。
【0025】
いくつかの実施形態では、マトリックスは、5mm超(例えば、0.3~0.9cm)の体積を有する。
【0026】
いくつかの実施形態では、マトリックスは、圧縮形態である。いくつかの実施形態では、マトリックスは、予め膨張した状態又は形態にある。
【0027】
「圧縮された」という用語は、1つ又は2つ以上の方向(例えば、水平、垂直、及び/又は放射方向)の圧縮力によって、圧縮されることを指し得る。
【0028】
いくつかの実施形態では、マトリックスは、実質的に円柱状、長方形状、及び/又は多角形状の形態である。
【0029】
いくつかの実施形態では、マトリックスは、水溶液中に浸漬した後、30秒以内に、その最大膨張容量の少なくとも90%に膨張することができ、10~30℃の少なくとも1つの温度で水溶液と接触すると、4秒以内に、その元の体積の3~30倍、又は15~30倍に膨張可能である。
【0030】
いくつかの実施形態では、マトリックスは、錠剤及び創傷包帯から選択される物品の形態である。
【0031】
いくつかの実施形態では、マトリックスであるOCは、酸化再生セルロース(ORC)を含む。
【0032】
いくつかの実施形態では、OCマトリックスは、ニット布、不織布、織布、細断材、及びそれらの任意の組み合わせから選択される形態を有するOC(又はORC)系材料に由来する。
【0033】
いくつかの実施形態では、ORC系材料は、不織布の形態である。
【0034】
いくつかの実施形態では、マトリックスは、カルシウム塩、抗感染剤、及び止血促進剤から選択される1つ又は2つ以上の添加剤を更に含む。
【0035】
いくつかの実施形態では、マトリックスは、塩化ナトリウム、マンニトール、アルブミン、及び酢酸ナトリウムから選択される1つ又は2つ以上の賦形剤を更に含む。
【0036】
いくつかの実施形態では、OCのカルボキシル含有量は、米国薬局方(United States Pharmacopeia、USP)23-NF18に従って、約12重量%~約21重量%である。
【0037】
いくつかの実施形態では、膨張前形態のマトリックスは、約3~約5cmの範囲の総表面積を有する。
【0038】
いくつかの実施形態では、マトリックスは、約0.4~約0.8cmの範囲の膨張前体積を有する。
【0039】
いくつかの実施形態では、マトリックスは、軟組織における出血を制御する際に使用される。
【0040】
いくつかの実施形態では、マトリックスは、微生物の負荷の形成を阻害又は低減する際に使用される。
【0041】
いくつかの実施形態では、マトリックスは、その少なくとも1つの表面に0.3~7トン/cm(例えば、0.3~2.5トン/cm)の範囲の圧力を加えることによって、OC系材料を圧縮することによって生成される。
【0042】
本発明の一態様によれば、そのいずれかの実施形態では止血マトリックスを作製する方法が提供され、本方法は、その少なくとも1つの表面に約0.3~約7トン/cmの範囲の圧力を加えることによって、OC系材料を圧縮するステップを含む。
【0043】
止血マトリックスを作製する方法のいくつかの実施形態では、OC材料は、ORCを含む。
【0044】
止血マトリックスを作製する方法のいくつかの実施形態では、ORCは、不織形態である。
【0045】
止血マトリックスを作製する方法のいくつかの実施形態では、本方法は、OC材料をカルシウム塩、抗感染剤、及び止血促進剤から選択される1つ又は2つ以上の添加剤と混合するステップを更に含む。
【0046】
本発明の一態様によれば、創傷を治療する方法が提供され、本開示のそのいずれかの実施形態の生分解性止血マトリックスを、それを必要とする対象の創傷上及び/又は創傷内に適用するステップを含む。
【0047】
別段の定義がない限り、本明細書で使用されるすべての技術用語及び/又は科学用語は、本発明が属する技術分野における当業者によって一般的に理解されている意味と同一の意味を有する。本明細書に記載されているものと同様又は同等の方法及び材料を、本発明の実施形態の実行又は試験に使用することが可能であるが、代表的な方法及び/又は材料を以下に記載する。矛盾のある場合、定義を含め本特許明細書が適用される。なお、材料、方法、及び実施例は、単に例示的なものであり、必ずしも限定を意図したものではない。
【図面の簡単な説明】
【0048】
ここで、本発明のいくつかの実施形態について、例示のみを目的として、添付図面を参照して本明細書において説明する。ここで図面を詳細に具体的に参照すると、示される詳細は、例示的なものであり、本発明の実施形態の例示的な説明を目的としていることが強調される。この点に関し、図面を用いた説明は、本発明の実施形態がどのように実施され得るかを当業者に明らかにする。
図1A】異なるサイズを有する本開示のペレットの形態のマトリックスを示す写真を提示する。大(図1A)及び小(図1B)。定規の数値は、センチメートルである。
図1B】異なるサイズを有する本開示のペレットの形態のマトリックスを示す写真を提示する。大(図1A)及び小(図1B)。定規の数値は、センチメートルである。
図2】外科的処置中に、本開示のペレットの形態のマトリックスの適用を実証する写真を提示する。白色のペレットが出血部位に挿入され(左パネル)、その後、血液を吸収し、その元の体積から急速に膨張して、効率的な止血を促進する(右パネル、矢印に従う)。
図3A】実施例のセクションに記載される0.5、2、及び5トンの圧縮強度(T)で圧縮された様々な酸化再生セルロース(ORC)マトリックス試料(表2A)の、生理食塩水中での最大膨張体積(cm)を示す棒グラフ(図3A)、及び各試料が最大膨張に達するのにかかったそれぞれの時間(秒)を示す棒グラフ(図3B)を提示する。各3つ組の棒は、左が0.5トン(T)を指し、中央が1Tを指し、右が5Tを指す。
図3B】実施例のセクションに記載される0.5、2、及び5トンの圧縮強度(T)で圧縮された様々な酸化再生セルロース(ORC)マトリックス試料(表2A)の、生理食塩水中での最大膨張体積(cm)を示す棒グラフ(図3A)、及び各試料が最大膨張に達するのにかかったそれぞれの時間(秒)を示す棒グラフ(図3B)を提示する。各3つ組の棒は、左が0.5トン(T)を指し、中央が1Tを指し、右が5Tを指す。
図4A】0.25~5トンの範囲の異なる力(圧縮強度;T)の下で圧縮された様々なORCマトリックス試料及びガーゼパッド(非酸化セルロース)の生理食塩水中での膨張体積を示す表2Bに提示されたデータに基づいて、4秒後の膨張率(図4A)、最大膨張率(図4B)、及び試験されたORC材料の最大膨張率と4秒後の膨張率を組み合わせた棒(図4C)として、棒グラフを提示する。
図4B】0.25~5トンの範囲の異なる力(圧縮強度;T)の下で圧縮された様々なORCマトリックス試料及びガーゼパッド(非酸化セルロース)の生理食塩水中での膨張体積を示す表2Bに提示されたデータに基づいて、4秒後の膨張率(図4A)、最大膨張率(図4B)、及び試験されたORC材料の最大膨張率と4秒後の膨張率を組み合わせた棒(図4C)として、棒グラフを提示する。
図4C】0.25~5トンの範囲の異なる力(圧縮強度;T)の下で圧縮された様々なORCマトリックス試料及びガーゼパッド(非酸化セルロース)の生理食塩水中での膨張体積を示す表2Bに提示されたデータに基づいて、4秒後の膨張率(図4A)、最大膨張率(図4B)、及び試験されたORC材料の最大膨張率と4秒後の膨張率を組み合わせた棒(図4C)として、棒グラフを提示する。
図5】ORC材料の密度に対して生理食塩水中で4秒後の膨張率を示すグラフを提示する。
図6】ORC材料の密度に対して生理食塩水中での最大膨張率を示すグラフを提示する。
図7】脾臓生検パンチのモデルで使用される出血レベルのグレードの概略図を示す画像を提示する。白色の円はパンチを表し、灰色の円は、背景を表し、黒色の円は、生検パンチ部位から流れる血液を表す(左から右のパネルへ:出血なし「0」、滲出「1」、非常に軽度「2」、軽度「3」、中等度「4」、重度「5」)。
【発明を実施するための形態】
【0049】
本発明の目的は、酸化セルロース(OC)、例えば、特定の範囲の密度を有する酸化再生セルロース(ORC)を含む止血マトリックス組成物を提供することであり、体液と接触すると、高度に膨張することができ、必要な部位に容易に適用され、例えば、穿刺創傷又は組織間隙の場合に止血を達成することができる。本明細書に記載される膨張性組成物の利点は、膨張形態へと迅速に膨張する能力である。これにより、膨張した組成物は、創腔を迅速に充填し、いずれの外部圧力又は外部圧迫を加える必要なしに、ほぼ即時の止血効果を提供することができる。本発明に関連する追加の利点としては、とりわけ、創傷内の改善された位置決め、改善された組織並置、及び複雑な創傷の輪郭に対するより良好な適合が挙げられる。
【0050】
以下でより詳細に説明されるように、本開示の組成物は、出血している組織に適用され得、その後、体液に曝露されると、傷口の形状を取りながら、急速に膨張して、止血を補助することができる。組成物は、時間とともに分解しながら、創傷部位に残り得る。
【0051】
「止血(hemostasis)」(又は「止血(haemostasis)」)は、創傷治癒の第1の段階を指す。これは、出血を止めるプロセスである。「止血を助ける」とは、出血を低減する又は止めるのを助けることを意味する。「出血している組織に適用される」とは、出血部位、例えば、出血を制御するための手術部位での組成物の局所適用を指すことを意味する。出血の制御は、創傷の治療又は外科的処置中(例えば、腹腔鏡下手術、神経外科手術、腹部手術、心臓血管手術、胸部手術、頭頸部手術、骨盤手術、皮膚及び皮下組織処置など)を含む様々な状況において必要である。これらの状況のうちの少なくとも1つについて、本発明の組成物は、好適なシーラントとして機能し得る。
【0052】
いくつかの実施形態では、組成物は、圧縮OCを含む。いくつかの実施形態では、OCは、圧縮性である。
【0053】
「圧縮」、又は「圧縮状態」という用語は、例えば、それに圧力を加えることによって、圧縮の後の材料の状態を指す。反対に、「非圧縮」という用語は、圧縮の前の材料の状態、又は、例えば、その分解若しくは破裂の後の膨張時の状態を指す。「圧縮性」という用語は、圧縮を受ける材料の能力を指す。
【0054】
いくつかの実施形態では、乾燥状態にある組成物は、出血部位又は傷口などの水性媒体中/上に接触若しくは配置される前、実質的に圧縮形態若しくは成形形態のままである。
【0055】
「圧縮状態」という用語は、本明細書では「元の体積」とも称される。
【0056】
いくつかの実施形態では、圧縮材料は、液体(例えば、水溶液)への曝露時、外因性のガス又は圧力を使用することなく、本明細書に記載のように急速に膨張し得る。「水溶液」とは、溶媒が水であるか、又は水を含む、水並びに溶液の両方(例えば、生理食塩水及び血液などの体液)を包含することを意味する。水は、純水を指し得る。
【0057】
このように形成された圧縮マトリックスは、粒子(例えば、粉砕されたORC粒子)と比較した場合、改善された膨張及び/又は液体(例えば、水)膨潤性を示す。本発明の組成物は、出血部位にあるように適用され得るか、又は、いくつかの実施形態では、生理食塩水とともに、同時に、若しくは順次適用され得る。いくつかの実施形態では、マトリックスは、手動で、又は、いくつかの実施形態では、医療デバイスなどのデバイス(例えば、様々な寸法(例えば、直径が5、10、12、15mm)のトロカール)、又は他の既知のアプリケータを使用して適用され得る。企図される使用のための所望の形状、形態、及びサイズに応じて、異なる成形型又は他の圧縮技術を使用して、本開示のマトリックス又は組成物の所望の本体を実現することができる。
【0058】
本発明の実施形態は、更に、とりわけ、急速な膨潤性、超吸収性、生分解性の止血組成物に関する。急速な膨潤性は、血漿との接触の際に提供され得、組成物が、少なくとも一部、又は更にほとんどの血漿成分を吸収することを可能にする。
【0059】
「吸収」という用語、又はその任意の語形変化は、流体(例えば、体液などの水性媒体)がOCマトリックスの内部本体全体にわたって分布している物理状態を指す。
【0060】
本開示の組成物は、接触し、例えば、乾燥組成物の最大2、3、4、5、6、7、8、9、10、又は更には最大20倍に膨潤すると、例えば、限定された創傷空間を満たして、タンポナーデ効果を模擬し、自然な凝固プロセスを増強することを可能にする。いくつかの実施形態では、本開示の組成物は、可撓性であり、それによって、狭い空間へのそのアクセス、及び平らでない表面へのその適用を確実にし、手術中の出血又は滲出に対処するのに有用な材料となっている。本マトリックスは、特に、組織の裂け目又は空洞の出血などのアクセスが困難な創傷に好適である。
【0061】
「乾燥」とは、8重量%未満、5重量%未満、又は1重量%未満の水を含むOC又はORCを指すことを意味する。
【0062】
本開示のマトリックス(例えば、錠剤又はペレットの形態)の文脈における「可撓性」という用語は、破壊することなく曲げる、又は巻くことができる材料に関係する。
【0063】
本開示の一態様によれば、酸化セルロース(OC)を含む生分解性止血マトリックスが提供され、マトリックスは、(i)約0.8~約1.2gr/cmの範囲の密度を有し、(ii)10~40℃の少なくとも1つの温度で水溶液と接触すると、4秒以内に、その元の体積の少なくとも3倍に膨張可能である。
【0064】
いくつかの実施形態では、マトリックスは、これらに限定されないが、錠剤及びペレットから選択される物品の形態である。
【0065】
本明細書で使用される場合、「布地」という用語は、典型的には、例えば、限定されないが、織り、編み、かぎ針編み、結び、フェルト加工、又は結びによって生成される繊維のネットワークを含む可撓性材料に関する。典型的には、排他的ではないが、「ガーゼ」は、包帯及びスワブに使用される薄く、典型的には、緩く織られた布、又は開いたメッシュのような織りで作られた任意の材料に関する。
【0066】
いくつかの実施形態では、OCは、1つ又は2つ以上のシートを含むか、又はその形態である。「シート」という用語は、その長さ及び幅と比較して、薄い材料を意味する。いくつかの実施形態では、シートは、実質的に平坦な構成を形成する。いくつかの実施形態では、シートは、非平面的な構成を有する。いくつかの実施形態では、シートは、圧縮された位置に構成される。いくつかの実施形態では、OCは、粉末又は複数の粒子の形態ではない。いくつかの実施形態では、OCは、粉砕されていない。「OCは、粉末又は複数の粒子の形態ではない」という用語は、本開示のマトリックス中の50重量%未満、40重量%未満、30重量%未満、20重量%未満、10重量%未満のOC、若しくは、更に本質的に皆無のOCが、粉末形態及び粉砕された粒子であるか、又はそれを含むか、あるいは、本開示のマトリックス中の少なくとも50重量%、少なくとも60重量%、少なくとも70重量%、少なくとも80重量%、少なくとも90重量%のOC、若しくは、更に本質的にすべてのOCが、粉末形態及び粉砕された粒子であるか、又はそれを含む。
【0067】
いくつかの実施形態では、「膨張可能」とは、水などの水溶液に曝露、接触、又は浸漬した場合、その最初の体積よりも大きな体積に達することができる構造を意味する。「膨張可能」という用語は、例えば、放射状方向に膨張可能である、マトリックスが膨張し得る1つ又は2つ以上の方向を指し得る。本明細書で使用される場合、「放射状に膨張可能」という用語は、小さい構成から、典型的には円筒形の構成で、小さな構成から放射状に膨張され得るセグメントを含む。「膨張可能」という用語は、水平に膨張可能(すなわち、幅が増加する)、又は垂直に膨張可能(すなわち、高さが増加する)を更に指し得る。「小さな構成」は、少なくとも1つの寸法、例えば、直径を指し得る。
【0068】
追加的又は代替的に、「膨張可能」という用語は、水平に膨張可能及び垂直に膨張可能のいずれか又は両方であることを更に指し得る。追加的又は代替的に、「膨張可能」という用語は、水平に膨張可能であり、垂直に膨張可能であり、かつ/又は放射状に膨張可能であることを更に指し得る。
【0069】
いくつかの実施形態では、組成物は、水溶液と接触すると、その元の体積の少なくとも2倍、少なくとも3倍、少なくとも4倍、少なくとも5倍、少なくとも6倍、又は少なくとも7倍に膨張可能である。いくつかの実施形態では、組成物は、水溶液と接触すると、その元の体積の約2、約3、約4、約5、約6、又は約7倍(その間の任意の値及び範囲を含む)に膨張可能である。いくつかの実施形態では、組成物は、その元の体積の2~5、3~6、又は4~7(その間の任意の値及び範囲を含む)に膨張可能である。
【0070】
いくつかの実施形態では、マトリックスは、室温付近で水溶液と接触すると、2~6秒又は3~5秒(例えば、4秒)以内に、その元の体積の少なくとも2倍、少なくとも3倍、少なくとも4倍、少なくとも5倍、少なくとも6倍、又は少なくとも7倍に膨張可能である。
【0071】
いくつかの実施形態では、マトリックスは、室温付近で水溶液と接触すると、2~6秒又は3~5秒(例えば、4秒)以内に、その元の体積の3~40倍又は10~40倍に膨張可能である。いくつかの実施形態では、マトリックスは、室温付近で水溶液と接触すると、2~6秒又は3~5秒(例えば、4秒)以内に、その元の体積の15~30倍に膨張可能である。
【0072】
いくつかの実施形態では、マトリックスは、室温付近で水溶液と接触すると、2~6秒又は3~5秒(例えば、4秒)以内に、その元の体積の3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、又は30倍(その間の任意の値及び範囲を含む)に膨張可能である。
【0073】
表2Bに提示されている(図4A図6に更に示されている)結果を参照すると、約0.95~1.2gr/cmのORC密度が、4秒後に、最適な膨張を提供し、最大の膨張率を示す「FIBRILLAR」及び「SNoW」を有する。
【0074】
いくつかの実施形態では、マトリックスは、室温付近で水溶液と接触すると、4秒以内に、その元の体積の少なくとも5倍に膨張可能である不織OCを含む。
【0075】
いくつかの実施形態では、マトリックスは、OCを含み、約0.9~約1.25gr/cmの密度を有し、室温付近で水溶液と接触すると、4秒以内に、その元の体積の少なくとも5倍に膨張可能である。いくつかの実施形態では、マトリックスは、OCを含み、約0.9~約1.25gr/cmの密度を有し、室温付近で水溶液と接触すると、4秒以内に、その元の体積の約5~約6に膨張可能である。
【0076】
いくつかの実施形態では、マトリックスは、不織OCを含み、約0.9~約1.25gr/cmの密度を有し、室温付近で水溶液と接触すると、4秒以内に、その元の体積の少なくとも5倍に膨張可能である。いくつかの実施形態では、マトリックスは、不織OCを含み、約0.9~約1.25gr/cmの密度を有し、室温付近で水溶液と接触すると、4秒以内に、その元の体積の約5~6に膨張可能である。
【0077】
いくつかの実施形態では、マトリックスは、OCを含み、約1~約1.25gr/cmの密度を有し、室温付近で水溶液と接触すると、4秒以内に、その元の体積の少なくとも6倍に膨張可能である。いくつかの実施形態では、マトリックスは、不織OCを含み、約0.9~約1.25gr/cmの密度を有し、室温付近で水溶液と接触すると、4秒以内に、その元の体積の約6~約8に膨張可能である。
【0078】
いくつかの実施形態では、マトリックスは、不織OCを含み、約1~約1.25gr/cmの密度を有し、室温付近で水溶液と接触すると、4秒以内に、その元の体積の少なくとも6倍に膨張可能である。いくつかの実施形態では、マトリックスは、不織OCを含み、約0.9~約1.25gr/cmの密度を有し、室温付近で水溶液と接触すると、4秒以内に、その元の体積の約6~約8に膨張可能である。
【0079】
いくつかの実施形態では、マトリックスは、不織OCを含み、約0.9~約1.25gr/cmの密度を有し、室温付近で水溶液と接触すると、4秒以内に、その元の体積の少なくとも5倍に膨張可能である。いくつかの実施形態では、マトリックスは、不織OCを含み、約0.9~約1.25gr/cmの密度を有し、室温付近で水溶液と接触すると、4秒以内に、その元の体積の約5~約6に膨張可能である。
【0080】
いくつかの実施形態では、マトリックスは、OCを含み、約1~約1.25gr/cmの密度を有し、室温付近で水溶液と接触すると、4秒以内に、その元の体積の少なくとも4倍に膨張可能である。いくつかの実施形態では、マトリックスは、織OCを含み、約1~約1.25gr/cmの密度を有し、室温付近で水溶液と接触すると、4秒以内に、その元の体積の少なくとも4倍に膨張可能である。いくつかの実施形態では、マトリックスは、織OCを含み、約0.9~約1.25gr/cmの密度を有し、室温付近で水溶液と接触すると、4秒以内に、その元の体積の約4~約5に膨張可能である。
【0081】
「室温付近で」とは、10~40℃の範囲内の少なくとも1つの温度、例えば、15~37℃、又は、例えば、10、15、20、25、30、35、37、若しくは40℃(それらの間の任意の値及び範囲を含む)を指すことを意味する。
【0082】
いくつかの実施形態では、マトリックスは、水溶液中に浸漬した後、20~40秒以内に、その最大膨張容量の少なくとも70%、少なくとも80%、又は少なくとも90%に膨張することができる。いくつかの実施形態では、マトリックスは、水溶液中に浸漬した後、20~40秒以内に、その最大膨張容量の少なくとも70%、少なくとも80%、又は少なくとも90%に膨張することができる。いくつかの実施形態では、マトリックスは、水溶液中に浸漬した後、20~40秒以内に、その最大膨張容量の少なくとも70%に膨張することができる。いくつかの実施形態では、マトリックスは、水溶液中に浸漬した後、20~40秒以内に、その最大膨張容量の少なくとも80%に膨張することができる。いくつかの実施形態では、マトリックスは、水溶液中に浸漬した後、20~40秒以内に、その最大膨張容量の少なくとも90%に膨張することができる。いくつかの実施形態では、マトリックスは、水溶液中に浸漬した後、20~40秒以内に、その最大膨張容量の70~95%に膨張することができる。
【0083】
いくつかの実施形態では、マトリックスは、水溶液中に浸漬した後、約30秒以内に、その最大膨張容量の少なくとも70%、少なくとも80%、又は少なくとも90%に膨張することができる。いくつかの実施形態では、マトリックスは、水溶液中に浸漬した後、約30秒以内に、その最大膨張容量の少なくとも70%に膨張することができる。いくつかの実施形態では、マトリックスは、水溶液中に浸漬した後、約30秒以内に、その最大膨張容量の少なくとも80%に膨張することができる。いくつかの実施形態では、マトリックスは、水溶液中に浸漬した後、約30秒以内に、その最大膨張容量の少なくとも90%に膨張することができる。いくつかの実施形態では、マトリックスは、水溶液中に浸漬した後、約30秒以内に、その最大膨張容量の70~95%に膨張することができる。
【0084】
「膨張」という用語は、体積の増加を意味する。「膨張容量」、「最大膨張」、又は「最大膨張容量」という用語は、互換的に使用され得、マトリックスが水性媒体と接触した後に到達し得る最大体積を意味する。
【0085】
いくつかの実施形態では、マトリックスは、約0.4~約1.5cm又は約0.4~約1.5cmの範囲の膨張前体積を有する。いくつかの実施形態では、マトリックスは、約0.5~約0.75cmの範囲の膨張前体積を有する。いくつかの実施形態では、マトリックスは、約0.4、約0.5、約0.6、約0.7、又は約0.8cm(それらの間の任意の値及び範囲を含む)の膨張前体積を有する。
【0086】
したがって、いくつかの実施形態では、マトリックスは、約3~約5cmの範囲の膨張前総表面積を有する。いくつかの実施形態では、マトリックスは、約3~約5cmの範囲の膨張前総表面積を有する。いくつかの実施形態では、マトリックスは、約3.5~約4.5cmの範囲の膨張前総表面積を有する。いくつかの実施形態では、マトリックスは、約3cm、約3.1cm、3.2cm、約3.3cm、約3.4cm、約3.5cm、3.6cm、約3.7cm、3.8cm、約3.9cm、約4cm、約4.1cm、4.2cm、約4.3cm、4.4cm、約4.5cm、約4.6cm、約4.7cm、4.8cm、約4.9cm、又は約5cm(それらの間の任意の値及び範囲を含む)の膨張前総表面積を有する。
【0087】
「マトリックス」という用語は、「組成物(composition)」及び「組成物(composition-of-matter)」という用語と互換的に使用され、例えば、OC材料から形成される三次元構造を定義する。本明細書に記載のマトリックスは、それらの形成に使用されるOCから、それらの二次構造、三次構造、及び四次構造が異なり得る。
【0088】
本開示の文脈で使用される「生分解性」という用語は、生理学的条件下及び/又は環境条件下で、分解産物に分解され得る材料を記載する。かかる生理学的条件及び/又は環境条件としては、例えば、加水分解(加水分解的開裂による分解)、酵素触媒(酵素分解)、及び機械的相互作用が挙げられる。この用語は、典型的には、これらの条件下で分解する(例えば、物質の少なくとも30重量パーセントが、1年より短い期間内に分解する)物質を指す。本開示の文脈で使用される「生分解性」という用語はまた、「生体吸収性」という用語を包含し、これは、生理学的条件下で、宿主生物への生体吸収を受ける生成物(すなわち、宿主生物の生化学システムの代謝産物)に分解される物質を記載する。
【0089】
マトリックスは、任意の形状又は形態であり得、例えば、少なくとも1つの軸に沿って、実質的に、多角形若しくは長方形(実質的に正方形を含む)の断面、実質的に円形の断面、及び/又は実質的に楕円形の断面を有する。例えば、マトリックスは、実質的に箱状の形状(3つの軸に沿って実質的に長方形の(任意選択的に角が丸い)断面を有する)、実質的に円筒形の形状(1つの軸に沿って実質的に円形及び/又は実質的に楕円形の断面を有し、2つの軸に沿って実質的に長方形の(任意選択的に角が丸い)断面を有する)、又は、実質的に円形若しくは楕円形の形状(3軸に沿って実質的に円形の断面及び/又は実質的に楕円形の断面を有する)、を有し得る。本開示の組成物の他の形状、形態、及びサイズは、これらに限定されないが、プラグ、ディスク、ロッド、チューブ、円錐、円筒、球、半分及び球、立方体、長方形、三角形、又は円盤から選択され得る。
【0090】
本明細書で使用される場合、水溶液の文脈における「接触」又は「曝露」という用語は、本開示の組成物が、水溶液を少なくとも部分的に吸収することができる位置にもたらされる任意の様式を指す。「水溶液」という用語は、水が溶解用の媒体又は溶媒である溶液を指す。いくつかの実施形態では、水溶液は、血液などの体液を含む。例えば、「接触させること」は、組成物を出血部位に浸漬することを含み得る。
【0091】
いくつかの実施形態では、組成物は、(任意選択的に、図1A及び図1Bに示されるような)ペレット又は錠剤の形態である。いくつかの実施形態では、組成物は、創傷包帯の形態である。本開示の文脈で使用される「創傷包帯」という用語は、創傷及び/又は出血部位上/内に局所適用するための包帯を指す。「絆創膏(wound plaster)」、「創傷包帯」又は「創傷被覆材」などの用語も同義的に使用することができる。
【0092】
いくつかの実施形態では、マトリックスは、0.7~1.4gr/cm、0.7~1.3gr/cm、0.8~1.2gr/cm、0.9~1.2gr/cm、1.1~1.2gr/cm、0.8~1.3gr/cm、0.7~1.1gr/cm、0.7~1gr/cm、0.7~0.9gr/cm、0.7~0.8gr/cmの密度を有する。いくつかの実施形態では、マトリックスは、0.7、0.8、0.9、1、1.1、1.2、1.3、又は1.4gr/cm(それらの間の任意の値及び範囲を含む)の密度を有する。いくつかの実施形態では、マトリックスは、約1.2gr/cmの密度を有する。本明細書では、「密度」とは、非膨張状態(すなわち、水溶液に曝露する前の状態)を指すことを意味する。
【0093】
いくつかの実施形態では、マトリックスの体積は、1mm超であり得る。いくつかの実施形態では、マトリックスの体積は、少なくとも5mmであり得る。いくつかの実施形態では、マトリックスの体積は、10mm超であり得る。いくつかの実施形態では、マトリックスの体積は、約5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、又は100mm(それらの間の任意の値及び範囲を含む)であり得る。いくつかの実施形態では、マトリックスの体積は、100mm超であり得る。いくつかの実施形態では、マトリックスの体積は、約1~100mm、1~10mm(例えば、約5mm)であり得る。本明細書では、「マトリックスの体積」によって、非膨張状態(すなわち、水溶液に曝露する前の状態)を指すことを意味する。
【0094】
「酸化セルロース」(又は「OC」)なる用語は、一級アルコール基の少なくとも一部、例えば、無水グルコース単位の6位の炭素がカルボン酸に酸化され、任意選択で官能化されたセルロース誘導体を指す。OCは、OCを含むか、若しくは本質的にOCからなる、材料、製品、物品、又は組成物(例えば、包帯、フィブリン糊、合成接着剤、パッド、マトリックス、粉末、タブ、ピル、縫合糸、繊維、ステント、インプラント、スカフォールド、溶液、ゲル、ワックス、ゼラチンなど)を含み得る。
【0095】
OCは、酸化剤をセルロースに適用することによって生成することができる。酸化剤は、これらに限定されるものではないが、塩素、過酸化水素、過酢酸、二酸化塩素、二酸化窒素、過硫酸塩、過マンガン酸塩、二クロム酸塩-硫酸、次亜塩素酸、次亜ハロゲン酸、過ヨウ素酸塩、若しくはこれらの任意の組み合わせ、及び/又は各種の金属触媒から選択することができる。酸化セルロースは、酸化剤の性質及び反応条件に応じて、出発材料であるセルロースの元のヒドロキシル基の代わりに、又はそれに加えて、カルボン酸、アルデヒド、及び/又はケトン基を含んでもよい。
【0096】
本発明の組成物中のOCは、典型的には、排他的ではないが、ペレット、カプセル、又は錠剤の形態である。
【0097】
「錠剤」という用語は、その一般的な文脈で使用され、任意の体腔への適用に便利な形態で組成物の混合物を圧縮及び/又は成形することによって作製された固体組成物を指す。この用語には、すべての形状及びサイズのマトリックス(例えば、医薬組成物)が含まれる。「ペレット」という用語は、本明細書では、様々なサイズ及び形状のペレットとして理解され得る顆粒及び錠剤を含むものとする。
【0098】
例示的実施形態では、OCは、生分解性を提供するのに有効な量でカルボキシル部分を含有するよう酸化されている。例えば、米国特許第3,364,200号は、フレオン媒体中の四酸化二窒素などの酸化剤を用いたカルボン酸酸化セルロースの調製を開示している。米国特許第5,180,398号は、パーフルオロカーボン溶媒中の二酸化窒素等の酸化剤を用いたカルボキシ酸化セルロースの調製を開示している。いずれかの方法により酸化した後、布地を、四塩化炭素などの溶媒、続いて、イソプロピルアルコール(isopropyl alcohol、IPA)の50パーセント水溶液、最後に、99%のIPAで十分に洗浄してもよい。酸化前、布地は、所望の織布又は不織布構造体で構成されていてもよい。
【0099】
典型的には、酸感受性種に適合する止血剤は、例えば、生体適合性のあるアルデヒド酸化多糖類から調製される布基材を含む。このような例示的な止血剤では、多糖類は、変性多糖を生分解性にするのに有効な量のアルデヒド部分を含有し、これは、多糖類が、身体によって吸収され得るか又は体内を容易に通過することができる成分に分解可能であることを意味する。より具体的には、生分解された成分は、永続的な少量の成分又は成分残留物が埋め込み部位に実質的に残留しないように、体内に吸収されるときに永続的な慢性の異物反応を誘発しない。
【0100】
本発明の特定の実施形態では、OCは、生体適合性、生分解性のアルデヒド酸化再生セルロースから調製された層を含む。いくつかの実施形態では、OCは、酸化再生セルロース(ORC)、例えば、アルデヒド酸化再生セルロースを含むか、又は本質的にOCからなる。いくつかの実施形態では、アルデヒド酸化した再生セルロースは、米国特許第8,709,463号の構造IIの繰り返し単位を含むものである。いくつかの実施形態では、ORCは、止血剤を調製するために使用される。典型的には、再生セルロースは、再生されていないセルロースに対して均等度がより高度であるため好ましい。例示的な再生セルロース及びORCを作製する方法の詳細な説明は、米国特許第3,364,200号及び同第5,180,398号に記載されている。
【0101】
上記のように、いくつかの実施形態では、OCの酸化度は、生体適合性及び生体吸収性などのその機能特性にとって重要であり得る。カルボン酸基が酸化セルロースの18~21重量%の濃度で存在する外科用止血剤など、様々なOCの酸化度を含む製品が存在する。
【0102】
OCを参照して本明細書で使用される場合、「酸化レベル」、「酸化度」、「カルボキシル含有量」、及び「カルボキシル化レベル」という用語は互換可能であり、米国薬局方(USP)23-NF18に従って決定され得る。
【0103】
したがって、いくつかの実施形態では、OCのカルボキシル含有量は、12~24重量%である。いくつかの実施形態では、OCのカルボキシル含有量は、12~23重量%である。いくつかの実施形態では、OCのカルボキシル含有量は、12~22%である。いくつかの実施形態では、OCのカルボキシル含有量は、12~21%である。
【0104】
いくつかの実施形態では、OCのカルボキシル含有量は16~24重量%であり、組成物は、止血剤として機能し得る。いくつかの実施形態では、OCのカルボキシル含有量は、17~23重量%である。いくつかの実施形態では、OCのカルボキシル含有量は、18~22重量%である。いくつかの実施形態では、OCのカルボキシル含有量は、18~21重量%である。
【0105】
いくつかの実施形態では、OCのカルボキシル含有量は、12~18重量%である。いくつかの実施形態では、OCのカルボキシル含有量は、12~17重量%である。いくつかの実施形態では、OCのカルボキシル含有量は、12~16重量%である。
【0106】
いくつかの実施形態では、OCのカルボキシル含有量は、約12重量%、13重量%、14重量%、15重量%、16重量%、17重量%、18重量%、19重量%、20重量%、21重量%、22重量%、23重量%、又は24重量%(それらの間の任意の値及び範囲を含む)である。
【0107】
OCの通常の供給源は植物材料であるが、OCは細菌源由来であってもよいことが理解される。いくつかの実施形態では、OCは、植物源由来のものである。
【0108】
いくつかの実施形態では、本発明で使用するためのセルロースは、CMCを含まない。
【0109】
のいくつかの実施形態によれば、マトリックスは、生体適合性ポリマーから調製された繊維を含み、止血剤としての使用に好適な特性(例えば、強度、可撓性、及び多孔性)を有する表面を含む。
【0110】
本発明の特定の実施形態では、OC(例えば、ORC)は、薬剤及び医薬品を含む止血剤又は他の生物学的若しくは治療用化合物と、更に組み合わせることができる。いくつかの実施形態では、止血性能を改善するには、上記の材料をベースとするスカフォールドを、トロンビン及びフィブリノゲンなど生物由来の凝固因子と組み合わせることができる。更に別の実施形態では、ORC系組成物は、カルボキシメチルセルロース(carboxymethyl cellulose、CMC)、カルシウム塩、抗感染症剤、止血促進剤、ゼラチン、コラーゲン、生理食塩水、又はそれらの組み合わせなどの添加剤と組み合わせることができる。
【0111】
本発明の更なる実施形態では、本開示のORC系組成物は、止血特性、創傷治癒特性、及び取り扱い特性を更に改善するために、様々な添加剤と組み合わせることができる。当業者に既知の添加剤の利用として、例えば、止血添加剤(ゼラチン、コラーゲン、セルロース、キトサン、多糖類、デンプンなど)、生物製剤系止血剤(トロンビン、フィブリノゲン、及びフィブリンによって例示される)が挙げられる。追加の生物製剤の止血剤には、限定されないが、凝血原酵素、タンパク質、及びペプチドが含まれる。かかる薬剤は、各々、天然型、組換え型、又は合成型であり得、フィブロネクチン、ヘパリナーゼ、第X/Xa因子、第VII/VIIa因子、第IX/IXa因子、第XI/XIa因子、第XII/XIIa因子、組織因子、バトロキソビン、アンクロッド、エカリン、フォン・ヴィレブランド因子、アルブミン、血小板表面糖タンパク質、バソプレシン及びバソプレシン類似体、エピネフリン、セレクチン、凝血原毒液、プラスミノゲン活性化因子阻害因子、血小板活性化剤、止血作用を有する合成ペプチド、上記の誘導体、及びそれらの任意の組み合わせ、抗感染剤(例えば、グルコン酸クロルヘキシジン(chlorhexidine gluconate、CHG)、トリクロサン、銀、及び当該技術分野で既知の同様の抗菌/抗微生物剤)、止血剤の粘着性を高める添加剤、並びに当該技術分野で既知の他の添加剤、から更に選択することができる。
【0112】
いくつかの実施形態では、ORCなどのOCは、ペレット(圧縮又は非圧縮)、ビーズ、顆粒、凝集体、繊維、シート(織布、不織布、ニット、粉砕又は微細繊維、及びそれらの組み合わせを含む)の形態で提供され、すべて、独立して使用されるか、又は薬学的に許容されるビヒクル若しくは他の形態に分散される。
【0113】
ペレット形態であるか、又は最初に複数のシートを得るために粉砕され得、利用され得るOC系材料の非限定的な例としては、異なる加工OC又はORC材料が含まれ、例えば、これらに限定されないが、INTERCEED(登録商標)吸収性接着バリア、SURGICEL(登録商標)オリジナル吸収性止血剤(ルーズニットのORC)、SURGICEL(登録商標)NU-KNIT(登録商標)吸収性止血剤(密織りニットのORC)、SURGICEL(登録商標)FIBRILLAR(商標)吸収性止血剤(軟質、軽量、層状ORC)、及びSURGICEL(登録商標)SNoW(商標)吸収性止血剤(構造化不織布、ニードルパンチの噛み合い繊維)及びSURGICEL(登録商標)粉末吸収性止血鉗子、又はGelitaCel(登録商標)吸収性セルロース外科用包帯(Gelita Medical BV,Amsterdam,The Netherlands)が挙げられる。
【0114】
SURGICEL(登録商標)粉末吸収性止血剤は、大きな表面積にわたって広げることができる小さなORC繊維断片の凝集体を含む粉末であり、灌注時に洗い流されないか又は再出血させない耐久性のある凝血塊を形成する粉末である。
【0115】
典型的には、織布は、2組の糸からなる。糸の1組の縦糸は、布地の長さに沿って延びる。他の1組の糸、横糸又は緯糸は、縦糸に対して垂直である。織布は、縦糸と横糸を互いに上下に織り合わせることによって、一緒に保持される。
【0116】
「不織布」とは、化学処理、機械的処理、熱処理、又は溶媒処理によって一緒に結合された、長い繊維から作製された布のような材料を指す。この用語は、織物製造業界で、織られたり編まれたりしていないフェルトなどの布を表すのに使用されている。したがって、「不織布」という語句は、繊維が噛み合わされていないが、例えば、摩擦、凝集、及び/又は接着を含む様々な手段を介して結合されている、方向的に又はランダムに配向された繊維のシート、ウェブ、又はマットを指す。「不織布」という用語はまた、紡績、織り、又は編み以外のプロセスによって製造された、接着布、形成布又は改変布も含むが、これらに限定されない。
【0117】
典型的には、排他的ではないが、「不織布」という用語はまた、通常フラットシートの形状で、主に又は完全にステープルファイバからなり、ウェブ、シート、又はバットに組み立てられた多孔性の織物のような材料に関する。不織布の構造は、典型的には、おおよそランダムに配列され、例えば、ステープルファイバの配列に基づく。不織布の張力、応力-歪み、及び触覚特性は、通常、例えば、ステープルファイバの絡み合わせ及び強化によって発生する繊維同士の摩擦、並びに/又は接着、化学的若しくは物理的結合に起因する。それにもかかわらず、不織布を製造するために使用される原材料は、(公開番号第1802358(A2)号を有する欧州特許出願に記載されているように)紡績、織り、又は編みを含むプロセスによって作製された糸、スクリム、網、又はフィラメントであってもよい。
【0118】
典型的には、ニット布は、すべて同じ方向に延びる1組の糸のみから作製される。いくつかのニットは、布の長さに沿って延びる糸を有し、他のものは、布の幅にわたって延びる糸を有する。ニット布は、糸を互いに巻き付けることによって一緒に保持され得る。編みは、得られた布に隆起を生じさせる。
【0119】
以下の実施例のセクションに示されるように、短繊維(「ORCショート」)に由来するORCは、その元の体積の最大約5倍に膨張し、一方、長繊維ORC(「ORCロング」)で作られたORCは、その元の体積の最大3倍に膨張した。圧縮圧力を2又は5トンに増加させても、膨張率に有益な効果がなかった。不織布は、優れた全体的な膨張効果を示した。ORC繊維のタイプである「ORCロング」又は「ORCショート」の典型的なサイズ分布は、以下の実施例のセクションに記載されているとおりである(表1)。
【0120】
いくつかの実施形態では、OC系材料の上述の形態(例えば、不織、編み、など)は、必ずしも本開示のマトリックスの圧縮形態と同じままであるわけではない。
【0121】
製造された圧縮ORC材料A、B、C、及びD(以下の実施例のセクションに記載されている)は、すべて、粉砕粉末よりも優れた膨張率を示した。
【0122】
本発明の組成物は非水性組成物であり、これは組成物中の主な液体が水ではなく、水性環境に浸される前に、組成物が非常に低い含水量を有するか、又は全く水を有しないことを意味する。したがって、いくつかの実施形態では、組成物の含水量は、約10%(w/w)未満である。いくつかの実施形態では、組成物の含水量は、約8(w/w)%未満である。いくつかの実施形態では、組成物の総含水量は、約5%、4%、3%、2%、又は1%(w/w)未満である。いくつかの実施形態では、組成物は水を含有しない。いくつかの実施形態では、組成物は、いずれの溶媒も含まない。
【0123】
いくつかの実施形態では、マトリックスは、薬学的に許容される賦形剤又は添加剤を更に含む。賦形剤及び添加剤は、これらに限定されないが、カルシウム塩、ヒトアルブミン、マンニトール、酢酸ナトリウム、塩化ナトリウム、クエン酸ナトリウム二水和物、グルコン酸緩衝液、サッカロース、グリシン、酢酸ナトリウム、ヒスチジン、及びポリエチレングリコール(polyethylene glycol)などの任意の薬学的に好適な賦形剤を含み得る。
【0124】
本発明で使用されるカルシウム塩は、塩化カルシウム塩の形態であってもよい。代替的に、酢酸カルシウム及び/又はクエン酸カルシウムなどの追加の塩を使用してもよい。
【0125】
いくつかの実施形態では、組成物は、生物学的に活性な薬剤を更に含んでいてもよい。組成物に含まれ得る非限定的な生物学的に活性な薬剤としては、抗生物質、抗炎症剤、増殖因子、又は上に記載される凝固因子などの治療剤が挙げられる。例えば、組成物は、フィブリノゲン又はトロンビンを更に含んでもよい。
【0126】
本明細書で使用するとき、「トロンビン」は、プロトロンビン(第II因子)のタンパク質分解切断から生じる活性化酵素を示す。トロンビンは、当該技術分野において既知の様々な生成方法によって生成されてもよく、組換えトロンビン及び血漿由来トロンビンが挙げられるが、これらに限定されない。
【0127】
ヒトトロンビンは、ジスルフィド結合によって接合された2つのポリペプチド鎖から構成される、295アミノ酸タンパク質である。ヒトトロンビン及び非ヒト(例えば、ウシ)トロンビンの両方を、本開示の範囲内で使用することができる。
【0128】
「フィブリノゲン」という用語は、限定されないが、凍結沈殿物中のフィブリノゲンなどの任意のタイプのフィブリノゲンを含むことが意図される。したがって、フィブリノゲンは、天然型、修飾型、又は合成型にかかわらず、そのモノマー構造(AαBβγ)、ハイブリッド分子、及びそれらのバリアントを有する単量体及び二量体のフィブリノゲン分子を指す。「フィブリノゲン」という用語は、一般にヒト由来のフィブリノゲンを指すが、任意の種のフィブリノゲン(特に、哺乳動物種)を含み得る。
【0129】
治療的使用のための任意の調製物は、無菌でなければならない。特に、血液製品を取り扱う場合、無菌性の問題、具体的には、ウイルス不活性化の問題が重要である。一般に、ウイルス不活性化は、溶媒洗剤、熱不活性化、照射、及びナノ濾過を含む任意の方法によって実施され得る。典型的には、ウイルス不活性化の標準では、2つの異なる方法を使用する必要がある。更に、無菌性に関する米国食品医薬品局(U. S. Food and Drug Administration、FDA)の標準では、濾過を必要とする。
【0130】
別の実施形態では、本開示の組成物は、創傷の表面を被覆するための機械的強度を与えるための裏材、パッド、スカフォールド、又はマトリックスと併せて使用することもできる。この場合、本マトリックスは、適用又はタンポナーデを容易にするためのパッド上で支持される。
【0131】
いくつかの実施形態では、マトリックスは、抗菌効力を特徴とする。いくつかの実施形態では、マトリックスは、例えば、微生物の負荷の形成を阻害又は低減する際の抗菌薬使用のためのものである。本明細書で使用される場合、「抗菌」という用語は、病原性細菌などの微生物の破壊又はその増殖の阻害を含むことが意図される。抗菌効力、及び、いくつかの実施形態では、微生物の負荷の形成を阻害又は低減する際に使用するためのものであり得る。
【0132】
組成物は、例えば、組成物を出血部位に直接付着させることによって、適用され得ることが理解される。したがって、組成物は、出血部位に適用するために適切な形態とするために、固体表面、物体、又はストリップ若しくはフィルムなどの他の固体媒体上に更に塗り広げるか、又は適用する必要はない。それにもかかわらず、組成物を出血部位に適用、定位、塗布、又は付着させるために、容易なアクセス及び取り扱いを目的として、好適なアプリケータを使用してもよい。
【0133】
本明細書で提供されるように、OCマトリックスは、創傷部位において、時間がかかり、かつ煩雑な手動圧縮を必要とせずに、即時の止血剤として使用され得る。創傷部位における材料自体の膨張によって加えられる圧迫により、血液の吸収後、圧縮材料は、更なる外部圧迫なしに、出血を停止又は低減することができる。
【0134】
本発明の一態様では、創傷を治療する方法が提供され、その治療を必要とする対象の創傷上及び/又は創傷内に、その任意の実施形態において開示された生分解性止血マトリックスを適用する(例えば、接触させる)ステップを含む。
【0135】
「創傷を治療すること」とは、例えば、手術を受けている患者で、組織の出血部位における失血を低減することを包含することを更に意味する。したがって、いくつかの実施形態では、本方法は、例えば、手術を受けている患者で、組織の出血部位における失血を低減するためのものであり、その実施形態における本開示の組成物を、出血部位と接触させることを含む。
【0136】
ここで、図2を参照して、創傷部位の形状を取りながら、体液に曝露されると膨張する、本発明の組成物の能力を実証する。
【0137】
本明細書で使用される場合、「対象」という用語は、任意の動物を意味するものとし、限定されないが、ヒト、マウス、ラット、ウサギ、非ヒト霊長類、又は任意の他の哺乳動物が含まれる。いくつかの実施形態では、対象は、ヒト(例えば、ヒト患者)である。対象は、雄性又は雌性であり得る。
【0138】
したがって、その任意の実施形態における本開示のマトリックスは、それを必要とする対象の軟組織における出血を制御する際に使用するためのものである。「軟組織」という用語は、明細書で使用される場合、固化又は石灰化されていない身体組織に関する。この用語は、血管新生されており、したがって出血源であり得る軟組織に関する。このような組織の例としては、結合組織(腱、靱帯、筋膜、皮膚、繊維性組織、脂肪、及び滑膜など)、筋肉、及び内臓器官が挙げられるが、これらに限定されない。一般に、軟組織は、骨組織を除外することを意味する。
【0139】
いくつかの実施形態では、組成物は均質である。本明細書で使用される場合、「均質」とは、全体を通して均一な組成及び質感を指し、すなわち、±20%未満、±15%未満、±10%未満、±5%未満、±2%未満、又は±1%未満の範囲で異なる密度を有することを意味する。
【0140】
例えば、0.8~1.2gr/cmの範囲の密度を有し、かつ水溶液と接触すると、4秒以内に、その元の体積の少なくとも3倍に膨張可能である本開示のマトリックスの特性の所望の組み合わせが、例えば、OC材料(例えば、不織材料ORC源)を圧縮することによって、達成可能であることが見出された。
【0141】
したがって、本開示の止血マトリックスを、その任意の実施形態に従って作製する方法が提供され、本方法は、その表面に約0.2~約7トン/cmの範囲の圧力を加えることによって、OC系材料を圧縮又は成形(compacting)するステップを含む。いくつかの実施形態では、本方法は、1つ又は2つ以上の表面に0.3~3.5トン/cmの範囲の圧力を加えることによって、OC系材料を圧縮又は成形するステップを含む。いくつかの実施形態では、本方法は、OC系材料を、その表面に0.2、0.3、0.4、0.5、0.5、0.7、0.8、0.9、1、1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、1.6、1.7、1.8、1.9、2、2.1、2.2、2.3、2.4、2.5、2.6、2.7、2.8、2.9、3、3.1、3.2、3.3、3.4、3.5、3.6、3.7、3.8、3.9、4、4.1、4.2、4.3、4.4、4.5、4.6、4.7、4.8、4.9、5、5.1、5.2、5.3、5.4、5.5、5.6、5.7、5.8、5.9、6、6.1、6.2、6.3、6.4、6.5、6.6、6.7、6.8、6.9、又は7トン/cm(それらの間の任意の値及び範囲を含む)の圧力を加えることによって、圧縮又は成形するステップを含む。
【0142】
本開示の別の態様では、マトリックスが提供され、その表面に本明細書に示される圧力を加えることによって、OC系材料を圧縮する方法によって生成されている。いくつかの実施形態では、圧縮は、例えば、油圧プレスを使用して、圧力を加えることによって適用される。いくつかの実施形態では、加えられる圧力は、約0.2~約7トン/cm、1cm当たり0.3~3トン、又は0.5~2トン、例えば、1cm当たり0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1、1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、1.6、1.7、1.8、1.9、2、2.1、2.2、2.3、2.4、2.5、2.6、2.7、2.8、2.9、3、3.1、3.2、3.3、3.4、3.5、3.6、3.7、3.8、3.9、3、4、4.1、4.2、4.3、4.4、4.5、4.6、4.7、4.8、4.9、5、5.1、5.2、5.3、5.4、5.5、5.6、5.7、5.8、5.9、6、6.1、6.2、6.3、6.4、6.5、6.6、6.7、6.8、6.9、又は7トン(それらの間の任意の値及び範囲を含む)の範囲である。
【0143】
本方法のいくつかの実施形態では、OC材料は、ORCを含む。この方法のいくつかの実施形態では、ORCは、不織形態である。いくつかの実施形態では、本方法は、これらに限定されないが、カルシウム塩、抗感染剤、及び止血促進剤から選択される1つ又は2つ以上の添加剤とOC材料を混合するステップを更に含む。
【0144】
本発明で使用される場合、「約」という用語は、±10%を意味する。
【0145】
「~を含む(comprises)」、「~を含む(comprising)」、「~を含む(includes)」、「~を含む(including)」、「~を含む(contains)」、「~を含む(containing)」、「~を有する(has)」、「~を有する(having)」という用語及びそれらの活用は、「~を含むが、それらに限定されない(including but not limited to)」ことを意味する。「~からなる(consisting of)」という用語は、「包含し、限定される(including and limited to)」ことを意味する。「~から本質的になる(consisting essentially of)」という用語は、組成物、方法又は構成が、追加の成分、工程及び/又は部分を含み得ることを意味するが、追加の成分、工程及び/又は部分が、特許請求される組成物、方法又は構成の基本的かつ新規の特性を実質的に変えない場合に限る。
【0146】
「代表的な」という単語は、本明細書では、「実例、事例又は例証としての役割を果たす」ことを意味する。「代表的な」として記載される任意の実施形態は、他の実施形態よりも好ましい、若しくは有利であると必ずしも解釈される必要はない、かつ/又はその他の実施形態からの特徴の組み込みを必ずしも排除する必要はない。
【0147】
「任意選択で(optionally)」という単語は、本明細書では、「いくつかの実施形態では提供され、他の実施形態では提供されない」ことを意味する。本発明の任意の特定の実施形態は、このような特徴が矛盾しない限り、複数の「任意の(optional)」特徴を含んでもよい。
【0148】
本明細書で使用される場合、その内容に別段の明確な指示がない限り、単数形「a」、「an」、及び「the」は、複数の指示物を含む。例えば、「化合物(compound)」又は「少なくとも1つの化合物(at least one compound)」という用語は、それらの混合物を含めて、複数の化合物を含んでいてもよい。
【0149】
本出願全体を通して、本発明の種々の実施形態が範囲形式にて提示されてもよい。範囲形式の説明は単に便宜上及び簡潔さのためのものであり、本発明の範囲上の確固とした制限として解釈されるべきではない、と理解すべきである。したがって、範囲の説明は、すべての可能な部分範囲、並びにその範囲内の個々の数値を具体的に開示していると見なされるべきである。例えば、1~6などの範囲の説明は、1~3、1~4、1~5、2~4、2~6、3~6などの具体的に開示される部分範囲、並びにその範囲内の個々の数、例えば、1、2、3、4、5、及び6を有すると見なされるべきである。これは、範囲の広さにかかわらず適用される。
【0150】
数値範囲が本明細書に示される場合はいつでも、示された範囲内の任意の引用された数字(分数又は整数)を含むことを意味する。第1の表示番号と第2の表示番号との「間の範囲(ranging)/範囲(ranges)」、及び第1の表示番号「から」第2の表示番号「までの範囲(ranging)/範囲(ranges)」という語句が本明細書で互換的に使用されるが、これは、第1及び第2の表示番号、並びにこれらの間のすべての分数及び整数を含むことを意味する。
【0151】
本明細書で使用される場合、「方法」という用語は、所与のタスクを達成するための方法、手段、技術及び手順を意味し、化学的、薬理学的、生物学的、生化学的及び医学的分野の施術者による周知の方法、手段、技術及び手順として、知られているか、又は容易に開発されるか、のいずれかの方法、手段、技術及び手順のようなものを含むが、これらに限定されない。
【0152】
本明細書で使用される場合、「治療する(treating)」という用語は、病状の進行を抑制すること、実質的に阻害すること、緩徐化すること、若しくは逆行させること、状態の臨床症状若しくは審美的症状を実質的に改善すること、又は状態の臨床症状若しくは審美的症状の外観を実質的に予防することを含む。
【0153】
本明細書で使用される場合、特に明記しない限り、「重量で」、「w/w」、「重量パーセント」、又は「重量%」という用語は、本明細書で互換的に使用され、対応する混合物、溶液、製剤、又は組成物の総重量のうちの特定の物質の濃度を記述する。
【0154】
本明細書で使用される場合、「出血」という用語は、循環系の任意の構成要素からの血液の溢出を指す。したがって、「出血」は、手術、外傷、又は他の形態の組織損傷に関連した望ましくない、制御されていない、多くの場合、過度の出血、並びに、出血性障害を有する患者における望ましくない出血を包含する。
【0155】
本明細書で使用される場合、「制御する」、「防止する」、又は「低減する」という用語は、本明細書では、出血との関連において互換的に使用されてもよく(そのあらゆる文法的な語尾変化を含む)、これは、遊出する(extravagated)血液速度を、本質的に無効にするか、又は、本開示の組成物を出血部位内/出血部位上に接触させることを欠く状況と比較して、初期の出血速度の10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、又は更には100%低減させることを示す。出血の出現のレベルを決定するための方法は、当該技術分野において既知である。
【0156】
更に、いくつかの実施形態では、出血の文脈において、「制御する」、「防止する」、又は「低減する」という用語はまた、軟組織のいずれかの出血部位における血管を、少なくとも部分的に封止することを包含することを意味する。
【0157】
「A、B、及びCなどのうちの少なくとも1つ」に類する表記が用いられる場合、一般に、このような構文は、当業者がその表記を理解するであろう意味で意図されている(例えば、「A、B、及びCのうちの少なくとも1つを有する組成物」は、限定するものではないが、Aのみ、Bのみ、Cのみ、AとBの両方、AとCの両方、BとCの両方及び/又はAとBとCのすべてなどを有する組成物を含む)。明細書、特許請求の範囲、又は図面のいずれにおいても、2つ又は3つ以上の代替用語を提示する事実上すべての分離語及び/又は語句は、用語のうちの1つ、用語のいずれか、又は両用語を含む可能性を考慮すると理解されるべきであることを当業者は更に理解するだろう。例えば、「A又はB」という語句は、「A」若しくは「B」又は「A及びB」の可能性を含むものと理解されよう。
【0158】
本発明の特定の特徴は、明確性のために別個の実施形態の文脈において記載されているが、これはまた、単一の実施形態において組み合わせて提示されてもよいことが理解されている。逆に、本発明の様々な特徴は、簡潔さのために、単一の実施形態の文脈において記載されているが、これはまた、別個に、若しくは任意の好適な部分的組み合わせで、又は本発明の任意の他の記載される実施形態で、好適にもたらされてもよい。種々の実施形態の文脈において記載される特定の特徴は、その実施形態がそれらの要素なしには動作不可能である場合を除き、それらの実施形態の必須特徴であるとして考慮されるべきではない。
【0159】
本明細書の上記で詳述され、以下の特許請求の範囲において特許請求されるような、本発明の種々の実施形態及び態様は、以下の実施例において実験的な裏付けを見出す。
【実施例
【0160】
以下の実施例を参照すると、上記の説明と併せて、非限定的な方法で本発明のいくつかの実施形態が例示されている。
【0161】
材料及び方法
材料
以下の表1は、例示的な膨張実験に使用されるORC形態を示す。
【0162】
【表1】

錠剤「A」及び「B」は、ニット布(A=SURGICELオリジナル、B=NU-KNIT)から作製され、錠剤「C」及び「D」は、織材料又は不織(非ニット)材料(C=FIBRILLAR、D=SNoW)のいずれかから作製される。
【0163】
追加の例示的な手順では、以下のORC材料:SURGICEL、NU-KNIT、FIBRILLAR、SNoW及び粉砕ORCは、以下に記載されるように更に試験された。
【0164】
試料の調製
0.5gの試料を、各材料から秤量した。秤量した試料を、直径1cmの円形の錠剤型にプレスした。0.5、2、及び5トンの圧縮力を施し、その結果、それらの圧縮レベルが異なるORC錠剤を得た。
【0165】
秤量した試料を、直径1cmの丸いペレット用ダイ金型内に配置した。例示的な手順では、使用した金型は、直径1cmの金属シリンダーであった。金型開口部と同様の直径を有する金属ロッドを金型に挿入し、試料材料の上部に配置した。試料を含む金型に、ロッドが挿入され続けている間、試料を圧縮するために、ロッドに力を使用した。円筒形の金型の垂直軸に、ロッドによって力を加えた。0.5、2、及び5トンの圧縮力などの所定の力に到達するまで、手動油圧プレスによって力を加えた。達成されたら、ロッドを除去し、得られた錠剤を金型から取り出した。
【0166】
方法
各プレスされた試料の厚さを、キャリパを使用して測定して、その初期体積を計算した。透明な直径12mmのメスシリンダーを、生理食塩水で10mLまで充填した。次に、直径10mmの試料錠剤を、メスシリンダー内の生理食塩水中に、シリンダーの上面から投下した。投下時点でタイマーを開始した。試料はほとんど水平に拘束され、液体を吸収し始め、主に垂直軸に膨張し始めた。消費される試料の体積は、透明なメスシリンダーを通して適切に視覚化され、評価された。投下後4秒で、膨張率を評価した。最大膨張率、並びに最大膨張が達成されるまでの時間の長さを記録した。
【0167】
器具:
1.キャリパ-Sylva「SCal pro IP67」
2.直径12mmのメスシリンダー-「Plasti Brand」
3.手動油圧プレス-Specac Atlasシリーズ15トンプレス
4.10mmの排気可能ペレットダイ-Specac
5.デジタルタイマーTM-44-MICROTEMP ELECTRICS CO.,LTD
【0168】
実施例1:膨張度
例示的な手順では、とりわけ、異なる加工ORC材料から、生成された膨張性錠剤の速度及び膨張度を評価した。結果は、様々な失血シナリオにおいて効果的な止血剤として機能させるために、各タイプの圧縮ORCの可能性に関する推定値を提供する。
【0169】
膨張率:膨張度(膨張率)は、最大膨張における元の体積(mL)の倍数として定義される。例えば、錠剤の元の体積が2cmであり、最大膨張体積が8cmあった場合、膨張率は4になる。
【0170】
最大膨張までの時間:錠剤を生理食塩水に曝露してから、それらが完全に膨張するまでの時間を測定した。最大300秒間、時間を測定した。
【0171】
結果を、生理食塩水に曝露されたORC錠剤(表2Bでは4秒に固定されている)の膨張率及び膨張までの時間を示す表2A及び表2Bに要約し、図3A及び図3Bに更に示されている。
【0172】
【表2】

初期体積は、すべての試料について同様であった。
【0173】
粉砕ORC「ORCショート」及び「ORCロング」の試料は、最小の膨張体積を示した。更に、生理食塩水に曝露した場合、繊維がある程度溶解し、直ちに崩壊し始める。(0.785cm当たり)0.5トンの圧力の下で圧縮した場合、「ORCショート」は、その元の体積の最大約5倍に膨張し、「ORCロング」は、その元の体積の3倍に膨張した。圧縮圧力を2又は5トンに増加させても、膨張率に有益な効果がなかった。しかしながら、圧縮強度を増加させると、錠剤の膨張容量が妨げられ、その結果、最大膨張までの時間が、アッセイの定義された5分間のタイムリミットを超えることになる。
【0174】
製造された圧縮材料A、B、C、及びDはすべて、粉砕粉末よりも優れた膨張率を示した。
【0175】
ニット布(材料A及びB)のうち、材料Bは、材料Aよりもわずかに良好な膨張特性を示し、膨張度に対する圧力増加の明らかな影響はない。しかしながら、最大膨張に必要な時間は、すべての圧縮強度(5~8秒、10~35秒)で、材料Bと比較して、材料Aが有意に短かった。粉末ORCのように、両方の布において、0.5トンの圧縮錠剤が、より圧縮された錠剤よりも速く膨張した。
【0176】
0.5トンの圧縮では、両方の布の膨張率が減少した。最大膨張までの時間は、すべての圧縮圧力について、材料Dの錠剤(5秒)が非常に速かった。材料Cの錠剤は、「最大膨張までの時間」に対して圧縮の直接的な影響を示し、錠剤圧力の増加は、膨張までの時間を、3秒(0.5トン)から16秒(5トン)へと直接増加させた。材料A及び材料Cは、同時に、それらの最大膨張に達した(2トン圧縮で8秒)(図3Bを参照)。膨張体積及び膨張時間の組み合わせた結果(図3A及び図3Bに示される)を考慮して、2トン圧縮を選択した。
【0177】
図4A図5に更に示される表2Bに提示される結果は、ORC密度が約0.8~1.2gr/cmであることを示し、特に、0.95~1.2gr/cmが、4秒後に最適な膨張を提供し、「FIBRILLAR」及び「SNoW」は、最大の膨張率を示した。比較のために、ガーゼパッド(非酸化セルロース)も試験し、酸化セルロース試料と比較して、特定の密度値について、膨張係数が低いことを示した。
【0178】
【表3】

円形1cmの金型を想定すると、πrによる計算で、0.785cmが与えられる。
**シリンダーの表面積=2πr+2πrh
材料:「1」-SURGICEL、「2」-NU-KNIT、「3」-FIBRILLAR、「4」-SNoW、「5」-粉砕ORC、「6」-ガーゼパッド(非酸化セルロース)
【0179】
また、図6は、表2Bに基づくもので、ORC材料密度に対する生理食塩水中の最大膨張体積(mL)を示すグラフを提示する。
【0180】
実施例2:インビボ研究:ブタ脾臓生検パンチモデル
インビボ研究では、異なる布(ニット布及び不織布)から構成される代表的な錠剤の差異的な止血効果を研究した。
【0181】
この研究では、同様の膨張時間が推奨される。したがって、ニット材料から、材料Aを選択し(表2Aを参照)、不織材料から、材料Cを選択した(表2Aを参照)。上に記載のように、両方とも、同時に、それらの最大膨張に達した(2トン圧縮で8秒)(図3Bを参照)。膨張体積及び膨張時間の組み合わせた結果(図3A及び図3Bを参照)を考慮して、2トン圧縮を選択した。
【0182】
材料
ORC材料C又はORC材料A(各5g)を、2トンの圧縮力を加えることによって、0.4mL(cm)の錠剤に圧縮した。
【0183】
方法
ブタ脾臓生検パンチモデル:約60kgの成体雌ブタを、外科的処置の前に、24時間絶食させた。動物を1150~1400mgのケタミン、115~140mgのキシラジン、7.5mgのミダゾラムで麻酔した。イソフルランで麻酔を維持し、開腹して、脾臓を露出した。
【0184】
平均動脈血圧、体温、及び心拍数は、外科的処置の間、連続的に監視した。平均動脈血圧が60mmHg未満に低下したとき、実験を終了した。
【0185】
直径8mm×深さ3mmの生検パンチを脾臓上で実施し、検体を外科用ハサミで切除した。パンチ部位を30秒間出血させ、出血強度を、0~5のスケールで、視覚的に評価した(図7に記載される)。「出血なし」には、0のスコアを与え、「大量出血」には、5のスコアを与えた。次に、パンチ部位を綺麗なガーゼで拭いて、過剰な血液を除去し、単一の錠剤を穿刺創傷に挿入した。その後、図7に記載のスキームに従って、出血率を再評価した。
【0186】
以下の表3に、結果を要約する。直径8mm×深さ3mmの脾臓生検パンチモデルにおける出血レベルに対するORC錠剤の適用の効果を示す。
【0187】
【表4】
【0188】
出血レベル3のグレード(「軽度」出血)を有する穿刺に対してORC材料Aの錠剤を適用すると、出血がグレード1のレベルに減少した(「滲出」)。ORC材料Cの錠剤の適用は、優れた有効性を示し、グレード4の出血レベル(「中等度」出血)をグレード1(「滲出」)まで減少させることができた。適用中、ORC材料Cの錠剤は、はるかに急速に膨張し、ORC材料Aの錠剤よりも高い有効性及びより速い速度で出血を低減することができることが示された。これらの結果は、圧縮ニットORCよりも大きな体積に、かつより速い速度で膨張する不織圧縮布の特性の質感が、穿刺出血の止血において、改善された有効性も示すことを示す。非圧縮ORC材料Cの適用は、出血レベルを4(「中等度」)から2(「軽度」)に減少させる、低減した有効性を示し、穿刺創傷の即時止血における、非圧縮材料に対する圧縮錠剤の利点を示唆している。
【0189】
実施例3:インビボ研究:ヘパリン化ブタ脾臓生検パンチモデル
約60kgの成体雌ブタを、上に記載のように処置し、開腹して、肝臓又は脾臓を露出させ、生検手順の前に、27,000IUのヘパリンを投与した。ヘパリン処理を監視するために、ACT(活性化凝固時間)試験を使用した。したがって、安定したACTレベルを維持するために、ヘパリンブーストを与えた。ヘパリンは、注射用抗凝固剤として(アンチトロンビンIIIの活性化を通じて)使用される。したがって、このモデルは、チャレンジ出血モデルを表す。
【0190】
肝臓を、直径8mm×深さ3mm生検パンチにかけた。ブタ脾臓を、直径6mm×深さ3mmの生検パンチにかけた。両方の臓器において、検体を外科用ハサミで切除した。パンチ部位を、30秒間出血させ、上に記載のように、出血強度(レベル)を、0~5のスケールで視覚的に評価した。結果を要約する。表4に、直径8mm×深さ3mmの肝臓生検パンチモデルにおける出血レベルに対するORC錠剤の適用の効果を示す。表5に、直径6mm×深さ3mmの脾臓生検パンチモデルにおける出血レベルに対するORC錠剤の適用の効果を示す。止血効果の評価を、ブタ肝臓及びブタ脾臓において行った。ORC錠剤を、創傷部位に手動で適用した。
【0191】
【表5】

三重
【0192】
【表6】
【0193】
直径8mm×深さ3mmの生検パンチサイズにおいて(表4に示されるように)、不織ORC錠剤(材料C-三重、材料D-一重)を肝臓に適用すると、出血強度が4から0へ(「中等度」から「出血なし」へ)、出血が完全に停止した。「ORCショート」の圧縮錠剤の適用では、錠剤がほとんど膨張を示さず、この試料は、止血を達成することができなかった(表4に示されるように)。
【0194】
不織ORC錠剤(材料C-一重、材料D-二重)をブタ脾臓に適用すると、2/3/4(初期出血レベル)から0(表5に示すように)へ、出血が完全に停止した。「ORCショート」の圧縮錠剤の適用では(3重で試験した)、1又は2の出血の減少を示した。
【0195】
不織ORC材料から生成された圧縮錠剤が、他のORC材料から生成された錠剤よりも高い有効性を示すことが、これらの結果から示される。これらの錠剤は、新しい手術シナリオに潜在的に適用され、ORC系材料の適用範囲を広げることができる。
【0196】
本発明は、その特定の実施形態とともに記載されてきたが、多くの代替、変更及び変形形態が当業者には明白となることは明らかである。したがって、これは、添付の特許請求の趣旨及び広義の範囲内にある、このような代替、変更及び変形形態のすべてを包含することを目的としている。
【0197】
〔実施の態様〕
(1) 酸化セルロース(OC)を含む生分解性止血マトリックスであって、前記OCが、1つ又は2つ以上のシートを含み、前記マトリックスが、(i)約0.8~約1.2gr/cmの範囲の密度を有し、(ii)10~40℃の少なくとも1つの温度で水溶液と接触すると、4秒以内に、その元の体積の少なくとも3倍に膨張可能である、生分解性止血マトリックス。
(2) 約1.2gr/cmの密度を有する、実施態様1に記載のマトリックス。
(3) 5mm超の体積を有する、実施態様1又は2に記載のマトリックス。
(4) 圧縮状態にある、実施態様1~3のいずれかに記載のマトリックス。
(5) 円筒形、長方形、及び/又は多角形の形状を有する、実施態様1~4のいずれかに記載のマトリックス。
【0198】
(6) 水溶液に浸漬した後、30秒以内に、その最大膨張容量の少なくとも90%に膨張することができる、実施態様1~5のいずれかに記載のマトリックス。
(7) 10~30℃の少なくとも1つの温度で水溶液と接触すると、4秒以内に、その元の体積の15~30倍に膨張可能である、実施態様6に記載のマトリックス。
(8) 錠剤及び創傷包帯から選択される形態である、実施態様1~7のいずれかに記載のマトリックス。
(9) 前記OCが、酸化再生セルロース(ORC)を含む、実施態様1~8のいずれかに記載のマトリックス。
(10) 前記ORCが、ニット布、不織布、織布、細断材料、及びそれらの任意の組み合わせから選択される形態である、実施態様9に記載のマトリックス。
【0199】
(11) 前記ORCが、不織布の形態である、実施態様10に記載のマトリックス。
(12) カルシウム塩、抗感染剤、及び止血促進剤からなる群から選択される1つ又は2つ以上の添加剤を更に含む、実施態様1~11のいずれかに記載のマトリックス。
(13) 塩化ナトリウム、マンニトール、アルブミン、及び酢酸ナトリウムからなる群から選択される1つ又は2つ以上の賦形剤を更に含む、実施態様1~12のいずれかに記載のマトリックス。
(14) 前記OCのカルボキシル含有量が、米国薬局方(USP)23-NF18に従って、12重量%~21重量%の範囲である、実施態様1~13のいずれかに記載のマトリックス。
(15) 約0.5~約10cm、任意選択的に、約3~約5cmの範囲の膨張前総表面積を有する、実施態様1~14のいずれかに記載のマトリックス。
【0200】
(16) 約0.05cm~約2cm、任意選択的に、約0.4~約0.8cmの範囲の膨張前体積を有する、実施態様1~14のいずれかに記載のマトリックス。
(17) 軟組織における出血を制御する際に使用するための、実施態様1~16のいずれかに記載のマトリックス。
(18) 微生物の負荷の形成を阻害又は低減する際に使用するための、実施態様1~17のいずれかに記載のマトリックス。
(19) OC系材料を、その表面に0.3~7トン/cmの範囲の圧力を加えることによって、圧縮することによって生成されている、実施態様1~18のいずれかに記載のマトリックス。
(20) 前記OCが、前記水溶液と接触する前に、8%未満の水、任意選択的に、5%未満の水を含む、実施態様1~19のいずれかに記載のマトリックス。
【0201】
(21) 10~40℃の少なくとも1つの温度で水溶液と接触すると、4秒以内に、その元の体積の少なくとも4倍に膨張可能である、実施態様1~20のいずれかに記載のマトリックス。
(22) 10~40℃の少なくとも1つの温度で水溶液と接触すると、4秒以内に、その元の体積の少なくとも5倍に膨張可能である、実施態様1~21のいずれかに記載のマトリックス。
(23) 10~40℃の少なくとも1つの温度で水溶液と接触すると、4秒以内に、その元の体積の3~6倍に膨張可能である、実施態様1~21のいずれかに記載のマトリックス。
(24) 実施態様1~23のいずれかに記載の止血マトリックスを作製する方法であって、OC系材料を、その表面に約0.3~約7トン/cmの範囲の圧力を加えることによって、圧縮するステップを含む、方法。
(25) 前記OC材料が、ORCを含む、実施態様24に記載の方法。
【0202】
(26) 前記ORCが、不織形態である、実施態様25に記載の方法。
(27) 前記OC材料を、カルシウム塩、抗感染剤、及び止血促進剤からなる群から選択される1つ又は2つ以上の添加剤と混合するステップを更に含む、実施態様24~26のいずれかに記載の方法。
(28) 創傷を治療する方法であって、実施態様1~23のいずれかに記載の生分解性止血マトリックスを、それを必要とする対象の前記創傷上及び/又は内に適用するステップを含む、方法。
図1A
図1B
図2
図3A
図3B
図4A
図4B
図4C
図5
図6
図7
【国際調査報告】