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特表2022-550252コンプレッサのサクションマフラ断熱システム
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  • 特表-コンプレッサのサクションマフラ断熱システム 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-12-01
(54)【発明の名称】コンプレッサのサクションマフラ断熱システム
(51)【国際特許分類】
   F04B 39/06 20060101AFI20221124BHJP
【FI】
F04B39/06 U
F04B39/06 T
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2022510133
(86)(22)【出願日】2020-08-14
(85)【翻訳文提出日】2022-04-12
(86)【国際出願番号】 BR2020050322
(87)【国際公開番号】W WO2021030892
(87)【国際公開日】2021-02-25
(31)【優先権主張番号】1020190171260
(32)【優先日】2019-08-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】BR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521552534
【氏名又は名称】ニデック グローバル アプライアンス ブラジル リミターダ
【氏名又は名称原語表記】NIDEC GLOBAL APPLIANCE BRASIL LTDA.
(74)【代理人】
【識別番号】100109380
【弁理士】
【氏名又は名称】小西 恵
(74)【代理人】
【識別番号】100109036
【弁理士】
【氏名又は名称】永岡 重幸
(72)【発明者】
【氏名】ローン,セルジオ コエリッヒ
(72)【発明者】
【氏名】クレマー,ロドリゴ
【テーマコード(参考)】
3H003
【Fターム(参考)】
3H003AA01
3H003AC01
3H003BA04
3H003BF03
3H003BF04
3H003BF05
3H003CE01
3H003CF04
(57)【要約】
本発明は、コンプレッサにおけるサクションサマフラの断熱のためのシステムに関し、前記システムは、消音装置と保護装置とを備え、圧縮される冷媒流体の断熱を最適化し、コンプレッサの動作をより効率化することができる。前記システムでは、消音装置と保護装置とは、当該2つの装置間に隙間を形成できる接続領域を介して接続されており、コンプレッサの動作を向上させる。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
保護装置(10)と消音装置(1)を備える、コンプレッサにおけるサクションマフラ断熱システムであって、
前記消音装置(1)は、本体と、空洞(3)と、くびれ領域(4)と、上部領域(5)とを備え、前記本体は、外面(7)及び内面(8)を画定する壁(6)を有し、
前記消音装置(1)は、前記壁(6)に設けられた少なくとも1つの接続領域(9)を備え、
前記保護装置(10)は、外面(16)及び内面(17)を画定する壁(12)を有する本体を備え、
前記壁(12)は、少なくとも1つの接続領域(18)を有し、
前記保護装置(10)は、前記少なくとも1つの接続領域(18)と前記少なくとも1つの接続領域(9)との間の相互作用を利用して前記消音装置(1)に接続されることを特徴とするサクションマフラ断熱システム。
【請求項2】
前記接続領域(9)は、前記消音装置(1)の壁(6)の外面(7)に形成された突出部を有することを特徴とする請求項1に記載のサクションマフラ断熱システム。
【請求項3】
前記接続領域(18)は、前記保護装置(10)の壁(12)の内面(17)に形成された凹部を有することを特徴とする請求項1に記載のサクションマフラ断熱システム。
【請求項4】
前記保護装置(10)は、前記消音装置(1)のくびれ領域(4)及び上部領域(5)を覆うことを特徴とする請求項1に記載のサクションマフラ断熱システム。
【請求項5】
前記保護装置(10)の内面(17)は、隙間(19)を形成するために、前記消音装置(1)の外面(7)から最大5.0mm隔てられていることを特徴とする請求項1に記載のサクションマフラ断熱システム。
【請求項6】
前記隙間(19)には、冷媒流体、断熱材、または防音材が充填されていることを特徴とする請求項1に記載のサクションマフラ断熱システム。
【請求項7】
前記保護装置(10)の本体は、空洞(13)と、くびれ領域(14)と、上部領域(15)とを有することを特徴とする請求項1に記載のサクションマフラ断熱システム。
【請求項8】
前記接続領域(18)は、前記保護装置(10)の本体の壁(12)を通過することを特徴とする請求項1に記載のサクションマフラ断熱システム。
【請求項9】
前記保護装置(10)の本体は、1層または複数層の金属材料層及び/または高分子材料層からなることを特徴とする請求項1に記載のサクションマフラ断熱システム。
【請求項10】
前記保護装置(10)は、サクションマフラを固定するバネによって前記消音装置(1)に取り付けられていることを特徴とする請求項1に記載のサクションマフラ断熱システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、消音装置と保護装置とを備えたコンプレッサ(圧縮機)のサクションマフラ断熱(保温)システムに関する。当該システムは、圧縮される冷媒流体にとって不可欠な断熱性(断熱性能)を最適化し、コンプレッサの運転をより効率的にすることができるシステムである。
【背景技術】
【0002】
当業者には公知のように、密閉型コンプレッサは時代とともに技術的に進化しており、高効率な運転と大きな騒音のないものが増えている。特に騒音に関しては、吸気消音器(サクションマフラとも呼ばれる)が特に重要な部品となっている。
【0003】
吸気消音器またはサクションマフラは、振動や音響ノイズなど、流体の圧力脈動によって発生する望ましくない影響を緩和する機能を持つ。しかし、吸気消音器は、密閉型コンプレッサの内部動作環境に晒されるため、圧縮中の流体の温度に影響を与える熱変動に悩まされることになり、結果としてコンプレッサ全体の効率に影響を与えることになる。
【0004】
特に、冷媒流体の「過熱」に最も寄与する部位の一つが、マフラの「ネック領域(ネック部)」である。この領域は冷媒流体を吸入弁に導くため、コンプレッサヘッドの高温部に非常に近く、ヘッドの金属部品と流体との熱交換を過度に促進する。
【0005】
このため、マフラ断熱システムは、多くの場合、動作時にマフラを保護したり、その効率を高めるために設計された追加の要素を備えている。この意味で、特許文献である中国特許出願公開公報CN1955464及び特開2004-251131号公報(JP2004251131)に例示される解決策が際立っている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
例えば、中国特許出願公開公報CN1955464には、吐出パイプが外壁及び内壁から所定の間隔をおいて形成された断熱層を有するサクションマフラが開示されている。また、吐出パイプとバルブプレートとの間には、第2の断熱層が設けられている。しかしながら、当該特許文献には、消音要素の保護手段が記載されているものの、保護要素と消音要素との間の接続を容易にする手段については何ら記載も提供もしていない。さらに、中国特許出願公開公報CN1955464は、保護要素(断熱体)とマフラの「ネック領域」との間の間隔がコンプレッサからの冷媒流体で満たされる条件について何ら規定していない。
【0007】
特開2004-251131号公報には、対流による熱伝達を避けるために、その連絡パイプが真空(負圧)に調整/維持された少なくとも1つの断熱層(熱絶縁層)に繋がる吸引消音要素(マフラ)が記載されている。この従来技術でも、保護要素と消音要素との間の容易な接続のための手段は提供されておらず、また、断熱材と消音要素の「ネック領域」との間の間隔(空間、ギャップ)の存在を教示しておらず、その結果、この間隔(空間)をコンプレッサからの冷媒流体で満たすことはしていない。
【0008】
本発明は、上記した先行技術の課題に基づいてなされたものである。
【0009】
したがって、本発明の主な目的は、コンプレッサ(好ましくは密閉型コンプレッサ)におけるサクションマフラ(の)断熱システムを提供することであり、このシステムは、保護装置と消音装置とを備える。
【0010】
さらに、本発明の目的は、保護装置における少なくとも1つの接続領域と消音装置における接続領域の少なくとも一部との間の相互作用を利用して、前記保護装置が消音装置に接続されるマフラ断熱システムを提供することである。
【0011】
また、本発明の目的は、圧縮される冷媒流体の断熱を最適化し、コンプレッサの運転をより効率的にすることができるマフラ断熱システムを提供することである。
【0012】
本発明のさらなる目的は、消音装置と保護装置との間に、コンプレッサの運転時に冷媒流体によって満たされることができる隙間を形成できるマフラ断熱システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記したすべての目的は、保護装置と消音装置とを備える、コンプレッサのサクションマフラ断熱システムを用いて完全に達成される。消音装置は、本体と、空洞と、くびれ領域(収縮領域、constricted region)と、上部領域とを備え、消音装置の本体は、外面及び内面を画定する壁を有する。マフラ断熱システムでは、前記消音装置が、少なくとも、それらの本体の壁に設けられた接続領域(接続部)も備える。同様に、保護装置は、外側面及び内側面を画定する壁を有する本体を備え、保護装置の本体の壁は、少なくとも接続領域(接続部)を有する。このサクションマフラ断熱システムでは、前記保護装置における少なくとも1つの接続領域と前記消音装置における接続領域の少なくとも一部との間の相互作用を利用して、前記保護装置が前記消音装置に接続されるようになっている。
【0014】
さらに、消音装置の接続領域が、前記消音装置の壁の外面からの突出部を規定する(接続領域が消音装置の壁の外面に形成された突出部を有する)、マフラ断熱システムが提供される。
【0015】
また、前記保護装置の接続領域が、前記保護装置の壁の内面に形成された凹部を規定する、マフラ断熱システムが提供される。
【0016】
さらに、本発明は、保護装置が消音装置のくびれ領域と上部領域とを包む(覆う、囲む)、マフラ断熱システムを提供する。
【0017】
また、本発明は、隙間を形成するために、保護装置の内面が消音装置の外面から最大5mm隔てられた、マフラ断熱システムを提供する。
【0018】
さらに、上記隙間に冷媒流体、断熱材料、または音響絶縁材料(防音材料)を充填した、マフラ断熱システムが提供される。
【0019】
本発明によるマフラ断熱システムでは、保護装置の本体が、空洞部と、狭窄部と、上部領域とを有する。
【0020】
さらに、マフラ断熱システムでは、保護装置の接続領域が、前記保護装置の本体の壁を通過する。
【0021】
さらに、本発明は、保護装置の本体が、1層または複数層の金属材料層及び/または高分子材料(ポリマー材料)層からなる、マフラ断熱システムを提供する。
【0022】
最後に、本発明は、保護装置がサクションマフラを固定するバネによって消音装置に取り付けられる、マフラ断熱システムを提供する。
【0023】
本発明は、以下に簡単に説明する図に基づいて詳述される。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1図1は、保護装置が接続領域を介して消音装置に接続されているマフラ断熱システムの図である。
図2図2は、保護装置の内部空洞とその本体壁の接続領域を示す斜視図である。
図3図3は、密閉型コンプレッサに取り付けられたマフラ断熱システムを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本発明の目的に適合するように、密閉型コンプレッサに好ましく適用されるサクションマフラ断熱システムを説明する。図1に示すように、本実施形態のマフラ断熱システムは、保護装置10と消音装置1とを備えている。
【0026】
特に、消音装置1は、本体と、空洞3と、くびれ領域(収縮領域:constricted region)4と、上部領域5とを備え、消音装置1の本体は、外面7及び内面8を画定する壁6を有する。さらに、消音装置1は、その本体の壁6に設けられた(形成された)少なくとも1つの接続領域9を有する。
【0027】
尚、消音装置1のくびれ領域4は、一般に「ネック領域」と称され得る。
【0028】
そして図2に示すように、保護装置10は、外面16及び内面17を規定する壁12を有する本体を備える。さらに、好ましい実施形態では、保護装置10は、空洞13と、くびれ領域14と、上部領域15とを有する。好ましい実施形態では、本体の壁12は、少なくとも1つの接続領域(接続部)18をさらに有することができる。
【0029】
マフラ断熱システムの要素に関する先に提供された説明から、好ましくは、保護装置10は、消音装置1と同様のまたは一致する形状を有するように設計されていることがわかる。これは、保護装置10が消音装置1のカバー、覆い、または外装要素(外側に設けられる部品)として機能する必要があるためである。
【0030】
マフラ断熱システムの組立においては、保護装置10における少なくとも1つの接続領域18と消音装置1の接続領域9の少なくとも一部との間の相互作用を利用して、保護装置10が消音装置1に接続・結合される。このように、保護装置10は、迅速に、便利に、かつ安全に消音装置1に結合・固定される。特筆すべきは、保護装置10の固定は、サクションマフラを固定するバネによって行うことができることである。したがって、バネは、消音装置1(マフラ)を固定し、保護装置10を固定する。図3はこれを示す図である。
【0031】
尚、マフラ断熱システムの組立状態を維持するために、リベット、ネジ、接着剤、または他の干渉嵌合要素などの追加の接続要素及び固定要素を適用(使用)することができる。しかしながら、好ましい実施形態では、保護装置10は、サクションマフラを締結(固定)するバネによって固定される。したがって、バネは、消音装置1を固定し、保護装置10を固定する。図3は、これを示す図である。
【0032】
具体的に接続領域(接続部)18を詳述すると、図2に示すように、接続領域18は、保護装置10の壁12の内面17に凹部を有していることが分かる。好ましくは、この凹部は曲線形状(アーチ形状)を有するが、所望の要素間の接続を保証する限り、様々な形状を有することができる。別の実施形態において、接続領域18は、保護装置10の壁12の内面17に形成された突出部(凸部)であってもよい。
【0033】
接続領域9は、消音装置1の壁6の外面7から延びる突出部を有し、好ましくは、この突出部は曲線形状を有するが、この形状に限定されることはない。さらに、別の実施形態では、接続領域9は、消音装置1の壁6の外面7に形成された凹部であってもよい。
【0034】
本実施形態では、接続領域18及び9は、それらの形状が相互接続(結合、係合)を可能にするように、互いに適合するようなものでなければならない。すなわち、もし接続領域18が窪み部(凹部)である場合、接続領域9は突出部(凸部)でなければならず、逆もまた真でなければならない。さらに、図1に示すように、消音装置1及び保護装置10において、接続領域18及び9が設けられる位置も、これらの要素を組み立てるときに領域が互いに係合するように、互いに対応する位置でなければならない(同じ位置でなければならない)。
【0035】
これも、保護装置10が消音装置1の本体を包み込むような形状であるからである。好ましい実施形態では、保護装置10は、消音装置1のくびれ領域4と上部領域5を包み込む(覆う)。異なる実施形態では、保護装置10は、消音装置1のくびれ領域4(「ネック領域」)だけ、または上部領域5だけを包み込むように構成されることが可能である。
【0036】
別の好ましい実施形態では、接続領域18は、保護装置10の本体の壁12を通過(貫通)し、保護装置10の表面にオリフィス(orifices:開口部、孔)を形成してもよい。
【0037】
図1に示すように、保護装置10の内面17は、消音装置1に接続されると、当該消音装置1の外面7から隔てられている(間隔が空いている)。この離間は、好ましくは最大5.0mmの幅(大きさ)を有するギャップ(隙間)19を規定する。
【0038】
別の好ましい実施形態では、隙間19は、追加の保護(熱及び/または音響)材料の層によって充填されてもよく、または冷媒流体で充填されてもよい。上記したバリエーションは、マフラ断熱システムを適用することができる各コンプレッサのタイプ(種類、型式等)の設計、仕様及び特徴(特殊性)を満たすことを目的とする。
【0039】
特に、消音装置1(マフラ)の「ネック領域」とも呼ばれるくびれ領域4は、保護装置10のくびれ領域14によって包み込まれる(覆われる)ため、この位置に隙間19が設けられることになる。したがって、コンプレッサの運転時には、この場所(すなわち隙間19)に冷媒流体を充填することができる。したがって、断熱性能が最適化される。
【0040】
さらに、本明細書で提案するマフラ断熱システムは、消音装置1の「ネック領域」とヘッドの他の部品、特にコンプレッサヘッドの金属部品との間に流体「ギャップ」を形成することができることを強調すべきであろう。したがって、本実施形態で提案された課題解決手段は、流体への熱伝達に対して追加の熱抵抗(断熱)を導入し、消音装置1(マフラ)の「ネック領域」内部での加熱を最小限に抑える。
【0041】
最後に、保護装置10に関する説明をする。その本体は、1層または複数層の金属材料層及び/または高分子材料層であってもよいし、あるいは、この要素(保護装置の本体)の動作仕様を満たす任意の材料で構成されてもよい。
【0042】
総括として、本発明により提案されたサクションマフラ断熱システムは、圧縮される冷媒流体の断熱を最適化し、コンプレッサの運転をより効率的にすることができる構成を有することが、本明細書により明らかにされた。当該システムは、消音装置1と保護装置10を有し、接続領域を使用することにより、消音装置1と保護装置10は簡単に組み立てることができる。
【0043】
本明細書は、本発明の特定の実施形態を例示的に説明することのみを目的としている。したがって、同じ結果(作用・効果)を得るために実質的に同じ方法で同じ機能を果たす要素の修正、変形、及び構成的な組み合わせは、特許請求の範囲によって定義される本発明の保護範囲内に留まることは明らかである。
図1
図2
図3
【手続補正書】
【提出日】2021-06-01
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
保護装置(10)と消音装置(1)を備える、コンプレッサにおけるサクションマフラ断熱システムであって、
前記消音装置(1)は、本体と、空洞(3)と、くびれ領域(4)と、上部領域(5)とを備え、前記本体は、外面(7)及び内面(8)を画定する壁(6)を有し、
前記消音装置(1)は、前記壁(6)に設けられた少なくとも1つの接続領域(9)を備え、
前記保護装置(10)は、外面(16)及び内面(17)を画定する壁(12)を有する本体を備え、
前記壁(12)は、少なくとも1つの接続領域(18)を有し、
前記保護装置(10)は、前記少なくとも1つの接続領域(18)と前記少なくとも1つの接続領域(9)との間の相互作用を利用して前記消音装置(1)に接続され
前記保護装置(10)の内面(17)は、隙間(19)を形成するために、前記消音装置(1)の外面(7)から最大5.0mm隔てられ、
前記保護装置(10)は、サクションマフラを固定するバネによって前記消音装置(1)に取り付けられていることを特徴とするサクションマフラ断熱システム。
【請求項2】
前記接続領域(9)は、前記消音装置(1)の壁(6)の外面(7)に形成された突出部を有することを特徴とする請求項1に記載のサクションマフラ断熱システム。
【請求項3】
前記接続領域(18)は、前記保護装置(10)の壁(12)の内面(17)に形成された凹部を有することを特徴とする請求項1に記載のサクションマフラ断熱システム。
【請求項4】
前記保護装置(10)は、前記消音装置(1)のくびれ領域(4)及び上部領域(5)を覆うことを特徴とする請求項1に記載のサクションマフラ断熱システム。
【請求項5】
前記隙間(19)には、冷媒流体、断熱材、または防音材が充填されていることを特徴とする請求項1に記載のサクションマフラ断熱システム。
【請求項6】
前記保護装置(10)の本体は、空洞(13)と、くびれ領域(14)と、上部領域(15)とを有することを特徴とする請求項1に記載のサクションマフラ断熱システム。
【請求項7】
前記接続領域(18)は、前記保護装置(10)の本体の壁(12)を通過することを特徴とする請求項1に記載のサクションマフラ断熱システム。
【請求項8】
前記保護装置(10)の本体は、1層または複数層の金属材料層及び/または高分子材料層からなることを特徴とする請求項1に記載のサクションマフラ断熱システム。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、消音装置と保護装置とを備えたコンプレッサ(圧縮機)のサクションマフラ断熱(保温)システムに関する。当該システムは、圧縮される冷媒流体にとって不可欠な断熱性(断熱性能)を最適化し、コンプレッサの運転をより効率的にすることができるシステムである。
【背景技術】
【0002】
当業者には公知のように、密閉型コンプレッサは時代とともに技術的に進化しており、高効率な運転と大きな騒音のないものが増えている。特に騒音に関しては、吸気消音器(サクションマフラとも呼ばれる)が特に重要な部品となっている。
【0003】
吸気消音器またはサクションマフラは、振動や音響ノイズなど、流体の圧力脈動によって発生する望ましくない影響を緩和する機能を持つ。しかし、吸気消音器は、密閉型コンプレッサの内部動作環境に晒されるため、圧縮中の流体の温度に影響を与える熱変動に悩まされることになり、結果としてコンプレッサ全体の効率に影響を与えることになる。
【0004】
特に、冷媒流体の「過熱」に最も寄与する部位の一つが、マフラの「ネック領域(ネック部)」である。この領域は冷媒流体を吸入弁に導くため、コンプレッサヘッドの高温部に非常に近く、ヘッドの金属部品と流体との熱交換を過度に促進する。
【0005】
このため、マフラ断熱システムは、多くの場合、動作時にマフラを保護したり、その効率を高めるために設計された追加の要素を備えている。この意味で、特許文献である中国特許出願公開公報CN1955464及び特開2004-251131号公報(JP2004251131)に例示される解決策が際立っている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
例えば、中国特許出願公開公報CN1955464には、吐出パイプが外壁及び内壁から所定の間隔をおいて形成された断熱層を有するサクションマフラが開示されている。また、吐出パイプとバルブプレートとの間には、第2の断熱層が設けられている。しかしながら、当該特許文献には、消音要素の保護手段が記載されているものの、保護要素と消音要素との間の接続を容易にする手段については何ら記載も提供もしていない。さらに、中国特許出願公開公報CN1955464は、保護要素(断熱体)とマフラの「ネック領域」との間の間隔がコンプレッサからの冷媒流体で満たされる条件について何ら規定していない。
【0007】
特開2004-251131号公報には、対流による熱伝達を避けるために、その連絡パイプが真空(負圧)に調整/維持された少なくとも1つの断熱層(熱絶縁層)に繋がる吸引消音要素(マフラ)が記載されている。この従来技術でも、保護要素と消音要素との間の容易な接続のための手段は提供されておらず、また、断熱材と消音要素の「ネック領域」との間の間隔(空間、ギャップ)の存在を教示しておらず、その結果、この間隔(空間)をコンプレッサからの冷媒流体で満たすことはしていない。
【0008】
また、米国特許出願公開US2004/179955には、サクションマフラ、当該サクションマフラを備えるコンプレッサ、及び当該コンプレッサを備え且つ冷媒循環回路を備える装置が開示されている。
【0009】
さらに、国際公開第WO2006/092771号には、冷凍サイクルにおいて蒸発器から受け取る冷媒流体を、適切に断熱された小型冷媒チャンバに保持・貯留することにより、体積効率を向上したコンプレッサが開示されている。
【0010】
また、特開昭59-218323号公報には、密閉型コンプレッサのシリンダに取り付けられたバルブカバーとサクションサパイプとの間に設けられたサクションマフラの騒音除去ボックスが開示されている。騒音除去ボックスの壁は、金属材料からなる外側層(遮音層)と、合成樹脂材料等からなる内側層(断熱層)を有している。
【0011】
本発明は、上記した先行技術の課題に基づいてなされたものである。
【0012】
したがって、本発明の主な目的は、コンプレッサ(好ましくは密閉型コンプレッサ)におけるサクションマフラ(の)断熱システムを提供することであり、このシステムは、保護装置と消音装置とを備える。
【0013】
さらに、本発明の目的は、保護装置における少なくとも1つの接続領域と消音装置における接続領域の少なくとも一部との間の相互作用を利用して、前記保護装置が消音装置に接続されるマフラ断熱システムを提供することである。
【0014】
また、本発明の目的は、圧縮される冷媒流体の断熱を最適化し、コンプレッサの運転をより効率的にすることができるマフラ断熱システムを提供することである。
【0015】
本発明のさらなる目的は、消音装置と保護装置との間に、コンプレッサの運転時に冷媒流体によって満たされることができる隙間を形成できるマフラ断熱システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上記したすべての目的は、保護装置と消音装置とを備える、コンプレッサのサクションマフラ断熱システムを用いて完全に達成される。消音装置は、本体と、空洞と、くびれ領域(収縮領域、constricted region)と、上部領域とを備え、消音装置の本体は、外面及び内面を画定する壁を有する。マフラ断熱システムでは、前記消音装置が、少なくとも、それらの本体の壁に設けられた接続領域(接続部)も備える。同様に、保護装置は、外側面及び内側面を画定する壁を有する本体を備え、保護装置の本体の壁は、少なくとも接続領域(接続部)を有する。このサクションマフラ断熱システムでは、前記保護装置における少なくとも1つの接続領域と前記消音装置における接続領域の少なくとも一部との間の相互作用を利用して、前記保護装置が前記消音装置に接続されるようになっている。
【0017】
さらに、消音装置の接続領域が、前記消音装置の壁の外面からの突出部を規定する(接続領域が消音装置の壁の外面に形成された突出部を有する)、マフラ断熱システムが提供される。
【0018】
また、前記保護装置の接続領域が、前記保護装置の壁の内面に形成された凹部を規定する、マフラ断熱システムが提供される。
【0019】
さらに、本発明は、保護装置が消音装置のくびれ領域と上部領域とを包む(覆う、囲む)、マフラ断熱システムを提供する。
【0020】
また、本発明は、隙間を形成するために、保護装置の内面が消音装置の外面から最大5mm隔てられた、マフラ断熱システムを提供する。
【0021】
さらに、上記隙間に冷媒流体、断熱材料、または音響絶縁材料(防音材料)を充填した、マフラ断熱システムが提供される。
【0022】
本発明によるマフラ断熱システムでは、保護装置の本体が、空洞部と、狭窄部と、上部領域とを有する。
【0023】
さらに、マフラ断熱システムでは、保護装置の接続領域が、前記保護装置の本体の壁を通過する。
【0024】
さらに、本発明は、保護装置の本体が、1層または複数層の金属材料層及び/または高分子材料(ポリマー材料)層からなる、マフラ断熱システムを提供する。
【0025】
最後に、本発明は、保護装置がサクションマフラを固定するバネによって消音装置に取り付けられる、マフラ断熱システムを提供する。
【0026】
本発明は、以下に簡単に説明する図に基づいて詳述される。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1図1は、保護装置が接続領域を介して消音装置に接続されているマフラ断熱システムの図である。
図2図2は、保護装置の内部空洞とその本体壁の接続領域を示す斜視図である。
図3図3は、密閉型コンプレッサに取り付けられたマフラ断熱システムを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
本発明の目的に適合するように、密閉型コンプレッサに好ましく適用されるサクションマフラ断熱システムを説明する。図1に示すように、本実施形態のマフラ断熱システムは、保護装置10と消音装置1とを備えている。
【0029】
特に、消音装置1は、本体と、空洞3と、くびれ領域(収縮領域:constricted region)4と、上部領域5とを備え、消音装置1の本体は、外面7及び内面8を画定する壁6を有する。さらに、消音装置1は、その本体の壁6に設けられた(形成された)少なくとも1つの接続領域9を有する。
【0030】
尚、消音装置1のくびれ領域4は、一般に「ネック領域」と称され得る。
【0031】
そして図2に示すように、保護装置10は、外面16及び内面17を規定する壁12を有する本体を備える。さらに、好ましい実施形態では、保護装置10は、空洞13と、くびれ領域14と、上部領域15とを有する。好ましい実施形態では、本体の壁12は、少なくとも1つの接続領域(接続部)18をさらに有することができる。
【0032】
マフラ断熱システムの要素に関する先に提供された説明から、好ましくは、保護装置10は、消音装置1と同様のまたは一致する形状を有するように設計されていることがわかる。これは、保護装置10が消音装置1のカバー、覆い、または外装要素(外側に設けられる部品)として機能する必要があるためである。
【0033】
マフラ断熱システムの組立においては、保護装置10における少なくとも1つの接続領域18と消音装置1の接続領域9の少なくとも一部との間の相互作用を利用して、保護装置10が消音装置1に接続・結合される。このように、保護装置10は、迅速に、便利に、かつ安全に消音装置1に結合・固定される。特筆すべきは、保護装置10の固定は、サクションマフラを固定するバネによって行うことができることである。したがって、バネは、消音装置1(マフラ)を固定し、保護装置10を固定する。図3はこれを示す図である。
【0034】
尚、マフラ断熱システムの組立状態を維持するために、リベット、ネジ、接着剤、または他の干渉嵌合要素などの追加の接続要素及び固定要素を適用(使用)することができる。しかしながら、好ましい実施形態では、保護装置10は、サクションマフラを締結(固定)するバネによって固定される。したがって、バネは、消音装置1を固定し、保護装置10を固定する。図3は、これを示す図である。
【0035】
具体的に接続領域(接続部)18を詳述すると、図2に示すように、接続領域18は、保護装置10の壁12の内面17に凹部を有していることが分かる。好ましくは、この凹部は曲線形状(アーチ形状)を有するが、所望の要素間の接続を保証する限り、様々な形状を有することができる。別の実施形態において、接続領域18は、保護装置10の壁12の内面17に形成された突出部(凸部)であってもよい。
【0036】
接続領域9は、消音装置1の壁6の外面7から延びる突出部を有し、好ましくは、この突出部は曲線形状を有するが、この形状に限定されることはない。さらに、別の実施形態では、接続領域9は、消音装置1の壁6の外面7に形成された凹部であってもよい。
【0037】
本実施形態では、接続領域18及び9は、それらの形状が相互接続(結合、係合)を可能にするように、互いに適合するようなものでなければならない。すなわち、もし接続領域18が窪み部(凹部)である場合、接続領域9は突出部(凸部)でなければならず、逆もまた真でなければならない。さらに、図1に示すように、消音装置1及び保護装置10において、接続領域18及び9が設けられる位置も、これらの要素を組み立てるときに領域が互いに係合するように、互いに対応する位置でなければならない(同じ位置でなければならない)。
【0038】
これも、保護装置10が消音装置1の本体を包み込むような形状であるからである。好ましい実施形態では、保護装置10は、消音装置1のくびれ領域4と上部領域5を包み込む(覆う)。異なる実施形態では、保護装置10は、消音装置1のくびれ領域4(「ネック領域」)だけ、または上部領域5だけを包み込むように構成されることが可能である。
【0039】
別の好ましい実施形態では、接続領域18は、保護装置10の本体の壁12を通過(貫通)し、保護装置10の表面にオリフィス(orifices:開口部、孔)を形成してもよい。
【0040】
図1に示すように、保護装置10の内面17は、消音装置1に接続されると、当該消音装置1の外面7から隔てられている(間隔が空いている)。この離間は、好ましくは最大5.0mmの幅(大きさ)を有するギャップ(隙間)19を規定する。
【0041】
別の好ましい実施形態では、隙間19は、追加の保護(熱及び/または音響)材料の層によって充填されてもよく、または冷媒流体で充填されてもよい。上記したバリエーションは、マフラ断熱システムを適用することができる各コンプレッサのタイプ(種類、型式等)の設計、仕様及び特徴(特殊性)を満たすことを目的とする。
【0042】
特に、消音装置1(マフラ)の「ネック領域」とも呼ばれるくびれ領域4は、保護装置10のくびれ領域14によって包み込まれる(覆われる)ため、この位置に隙間19が設けられることになる。したがって、コンプレッサの運転時には、この場所(すなわち隙間19)に冷媒流体を充填することができる。したがって、断熱性能が最適化される。
【0043】
さらに、本明細書で提案するマフラ断熱システムは、消音装置1の「ネック領域」とヘッドの他の部品、特にコンプレッサヘッドの金属部品との間に流体「ギャップ」を形成することができることを強調すべきであろう。したがって、本実施形態で提案された課題解決手段は、流体への熱伝達に対して追加の熱抵抗(断熱)を導入し、消音装置1(マフラ)の「ネック領域」内部での加熱を最小限に抑える。
【0044】
最後に、保護装置10に関する説明をする。その本体は、1層または複数層の金属材料層及び/または高分子材料層であってもよいし、あるいは、この要素(保護装置の本体)の動作仕様を満たす任意の材料で構成されてもよい。
【0045】
総括として、本発明により提案されたサクションマフラ断熱システムは、圧縮される冷媒流体の断熱を最適化し、コンプレッサの運転をより効率的にすることができる構成を有することが、本明細書により明らかにされた。当該システムは、消音装置1と保護装置10を有し、接続領域を使用することにより、消音装置1と保護装置10は簡単に組み立てることができる。
【0046】
本明細書は、本発明の特定の実施形態を例示的に説明することのみを目的としている
【手続補正書】
【提出日】2021-08-23
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
保護装置(10)と消音装置(1)を備える、コンプレッサにおけるサクションマフラ断熱システムであって、
前記消音装置(1)は、本体と、空洞(3)と、くびれ領域(4)と、上部領域(5)とを備え、前記本体は、外面(7)及び内面(8)を画定する壁(6)を有し、
前記消音装置(1)は、前記壁(6)に設けられた少なくとも1つの接続領域(9)を備え、
前記保護装置(10)は、外面(16)及び内面(17)を画定する壁(12)を有する本体を備え、
前記壁(12)は、少なくとも1つの接続領域(18)を有し、
前記保護装置(10)は、前記少なくとも1つの接続領域(18)と前記少なくとも1つの接続領域(9)との間の相互作用を利用して前記消音装置(1)に接続され、
前記保護装置(10)の内面(17)は、隙間(19)を形成するために、前記消音装置(1)の外面(7)から最大5.0mm隔てられ、
前記保護装置(10)は、サクションマフラを固定するバネによって前記消音装置(1)に取り付けられていることを特徴とするサクションマフラ断熱システム。
【請求項2】
前記接続領域(9)は、前記消音装置(1)の壁(6)の外面(7)に形成された突出部を有することを特徴とする請求項1に記載のサクションマフラ断熱システム。
【請求項3】
前記接続領域(18)は、前記保護装置(10)の壁(12)の内面(17)に形成された凹部を有することを特徴とする請求項1に記載のサクションマフラ断熱システム。
【請求項4】
前記保護装置(10)は、前記消音装置(1)のくびれ領域(4)及び上部領域(5)を覆うことを特徴とする請求項1に記載のサクションマフラ断熱システム。
【請求項5】
前記保護装置(10)の本体は、空洞(13)と、くびれ領域(14)と、上部領域(15)とを有することを特徴とする請求項1に記載のサクションマフラ断熱システム。
【請求項6】
前記保護装置(10)の本体は、1層または複数層の金属材料層及び/または高分子材料層からなることを特徴とする請求項1に記載のサクションマフラ断熱システム。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、消音装置と保護装置とを備えたコンプレッサ(圧縮機)のサクションマフラ断熱(保温)システムに関する。当該システムは、圧縮される冷媒流体にとって不可欠な断熱性(断熱性能)を最適化し、コンプレッサの運転をより効率的にすることができるシステムである。
【背景技術】
【0002】
当業者には公知のように、密閉型コンプレッサは時代とともに技術的に進化しており、高効率な運転と大きな騒音のないものが増えている。特に騒音に関しては、吸気消音器(サクションマフラとも呼ばれる)が特に重要な部品となっている。
【0003】
吸気消音器またはサクションマフラは、振動や音響ノイズなど、流体の圧力脈動によって発生する望ましくない影響を緩和する機能を持つ。しかし、吸気消音器は、密閉型コンプレッサの内部動作環境に晒されるため、圧縮中の流体の温度に影響を与える熱変動に悩まされることになり、結果としてコンプレッサ全体の効率に影響を与えることになる。
【0004】
特に、冷媒流体の「過熱」に最も寄与する部位の一つが、マフラの「ネック領域(ネック部)」である。この領域は冷媒流体を吸入弁に導くため、コンプレッサヘッドの高温部に非常に近く、ヘッドの金属部品と流体との熱交換を過度に促進する。
【0005】
このため、マフラ断熱システムは、多くの場合、動作時にマフラを保護したり、その効率を高めるために設計された追加の要素を備えている。この意味で、特許文献である中国特許出願公開公報CN1955464及び特開2004-251131号公報(JP2004251131)に例示される解決策が際立っている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
例えば、中国特許出願公開公報CN1955464には、吐出パイプが外壁及び内壁から所定の間隔をおいて形成された断熱層を有するサクションマフラが開示されている。また、吐出パイプとバルブプレートとの間には、第2の断熱層が設けられている。しかしながら、当該特許文献には、消音要素の保護手段が記載されているものの、保護要素と消音要素との間の接続を容易にする手段については何ら記載も提供もしていない。さらに、中国特許出願公開公報CN1955464は、保護要素(断熱体)とマフラの「ネック領域」との間の間隔がコンプレッサからの冷媒流体で満たされる条件について何ら規定していない。
【0007】
特開2004-251131号公報には、対流による熱伝達を避けるために、その連絡パイプが真空(負圧)に調整/維持された少なくとも1つの断熱層(熱絶縁層)に繋がる吸引消音要素(マフラ)が記載されている。この従来技術でも、保護要素と消音要素との間の容易な接続のための手段は提供されておらず、また、断熱材と消音要素の「ネック領域」との間の間隔(空間、ギャップ)の存在を教示しておらず、その結果、この間隔(空間)をコンプレッサからの冷媒流体で満たすことはしていない。
【0008】
また、米国特許出願公開US2004/179955には、サクションマフラ、当該サクションマフラを備えるコンプレッサ、及び当該コンプレッサを備え且つ冷媒循環回路を備える装置が開示されている。
【0009】
さらに、国際公開第WO2006/092771号には、冷凍サイクルにおいて蒸発器から受け取る冷媒流体を、適切に断熱された小型冷媒チャンバに保持・貯留することにより、体積効率を向上したコンプレッサが開示されている。
【0010】
また、特開昭59-218323号公報には、密閉型コンプレッサのシリンダに取り付けられたバルブカバーとサクションサパイプとの間に設けられたサクションマフラの騒音除去ボックスが開示されている。騒音除去ボックスの壁は、金属材料からなる外側層(遮音層)と、合成樹脂材料等からなる内側層(断熱層)を有している。
【0011】
本発明は、上記した先行技術の課題に基づいてなされたものである。
【0012】
したがって、本発明の主な目的は、コンプレッサ(好ましくは密閉型コンプレッサ)におけるサクションマフラ(の)断熱システムを提供することであり、このシステムは、保護装置と消音装置とを備える。
【0013】
さらに、本発明の目的は、保護装置における少なくとも1つの接続領域と消音装置における接続領域の少なくとも一部との間の相互作用を利用して、前記保護装置が消音装置に接続されるマフラ断熱システムを提供することである。
【0014】
また、本発明の目的は、圧縮される冷媒流体の断熱を最適化し、コンプレッサの運転をより効率的にすることができるマフラ断熱システムを提供することである。
【0015】
本発明のさらなる目的は、消音装置と保護装置との間に、コンプレッサの運転時に冷媒流体によって満たされることができる隙間を形成できるマフラ断熱システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上記したすべての目的は、保護装置と消音装置とを備える、コンプレッサのサクションマフラ断熱システムを用いて完全に達成される。消音装置は、本体と、空洞と、くびれ領域(収縮領域、constricted region)と、上部領域とを備え、消音装置の本体は、外面及び内面を画定する壁を有する。マフラ断熱システムでは、前記消音装置が、少なくとも、それらの本体の壁に設けられた接続領域(接続部)も備える。同様に、保護装置は、外側面及び内側面を画定する壁を有する本体を備え、保護装置の本体の壁は、少なくとも接続領域(接続部)を有する。このサクションマフラ断熱システムでは、前記保護装置における少なくとも1つの接続領域と前記消音装置における接続領域の少なくとも一部との間の相互作用を利用して、前記保護装置が前記消音装置に接続されるようになっている。また、前記保護装置の内面は、隙間を形成するために、前記消音装置の外面から最大5.0mm隔てられ、前記保護装置は、サクションマフラを固定するバネによって前記消音装置に取り付けられている。
【0017】
さらに、消音装置の接続領域が、前記消音装置の壁の外面からの突出部を規定する(接続領域が消音装置の壁の外面に形成された突出部を有する)、マフラ断熱システムが提供される。
【0018】
また、前記保護装置の接続領域が、前記保護装置の壁の内面に形成された凹部を規定する、マフラ断熱システムが提供される。
【0019】
さらに、本発明は、保護装置が消音装置のくびれ領域と上部領域とを包む(覆う、囲む)、マフラ断熱システムを提供する。
【0020】
本発明によるマフラ断熱システムでは、保護装置の本体が、空洞部と、狭窄部と、上部領域とを有する。
【0021】
さらに、本発明は、保護装置の本体が、1層または複数層の金属材料層及び/または高分子材料(ポリマー材料)層からなる、マフラ断熱システムを提供する。
【0022】
本発明は、以下に簡単に説明する図に基づいて詳述される。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1図1は、保護装置が接続領域を介して消音装置に接続されているマフラ断熱システムの図である。
図2図2は、保護装置の内部空洞とその本体壁の接続領域を示す斜視図である。
図3図3は、密閉型コンプレッサに取り付けられたマフラ断熱システムを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本発明の目的に適合するように、密閉型コンプレッサに好ましく適用されるサクションマフラ断熱システムを説明する。図1に示すように、本実施形態のマフラ断熱システムは、保護装置10と消音装置1とを備えている。
【0025】
特に、消音装置1は、本体と、空洞3と、くびれ領域(収縮領域:constricted region)4と、上部領域5とを備え、消音装置1の本体は、外面7及び内面8を画定する壁6を有する。さらに、消音装置1は、その本体の壁6に設けられた(形成された)少なくとも1つの接続領域9を有する。
【0026】
尚、消音装置1のくびれ領域4は、一般に「ネック領域」と称され得る。
【0027】
そして図2に示すように、保護装置10は、外面16及び内面17を規定する壁12を有する本体を備える。さらに、好ましい実施形態では、保護装置10は、空洞13と、くびれ領域14と、上部領域15とを有する。好ましい実施形態では、本体の壁12は、少なくとも1つの接続領域(接続部)18をさらに有することができる。
【0028】
マフラ断熱システムの要素に関する先に提供された説明から、好ましくは、保護装置10は、消音装置1と同様のまたは一致する形状を有するように設計されていることがわかる。これは、保護装置10が消音装置1のカバー、覆い、または外装要素(外側に設けられる部品)として機能する必要があるためである。
【0029】
マフラ断熱システムの組立においては、保護装置10における少なくとも1つの接続領域18と消音装置1の接続領域9の少なくとも一部との間の相互作用を利用して、保護装置10が消音装置1に接続・結合される。このように、保護装置10は、迅速に、便利に、かつ安全に消音装置1に結合・固定される。特筆すべきは、保護装置10の固定は、サクションマフラを固定するバネによって行うことができることである。したがって、バネは、消音装置1(マフラ)を固定し、保護装置10を固定する。図3はこれを示す図である。
【0030】
尚、マフラ断熱システムの組立状態を維持するために、リベット、ネジ、接着剤、または他の干渉嵌合要素などの追加の接続要素及び固定要素を適用(使用)することができる。しかしながら、好ましい実施形態では、保護装置10は、サクションマフラを締結(固定)するバネによって固定される。したがって、バネは、消音装置1を固定し、保護装置10を固定する。図3は、これを示す図である。
【0031】
具体的に接続領域(接続部)18を詳述すると、図2に示すように、接続領域18は、保護装置10の壁12の内面17に凹部を有していることが分かる。好ましくは、この凹部は曲線形状(アーチ形状)を有するが、所望の要素間の接続を保証する限り、様々な形状を有することができる。本発明に属さない別の実施形態において、接続領域18は、保護装置10の壁12の内面17に形成された突出部(凸部)であってもよい。
【0032】
接続領域9は、消音装置1の壁6の外面7から延びる突出部を有し、好ましくは、この突出部は曲線形状を有するが、この形状に限定されることはない。さらに、本発明に属さない別の実施形態では、接続領域9は、消音装置1の壁6の外面7に形成された凹部であってもよい。
【0033】
本実施形態では、接続領域18及び9は、それらの形状が相互接続(結合、係合)を可能にするように、互いに適合するようなものでなければならない。すなわち、もし接続領域18が窪み部(凹部)である場合、接続領域9は突出部(凸部)でなければならず、逆もまた真でなければならない。さらに、図1に示すように、消音装置1及び保護装置10において、接続領域18及び9が設けられる位置も、これらの要素を組み立てるときに領域が互いに係合するように、互いに対応する位置でなければならない(同じ位置でなければならない)。
【0034】
これも、保護装置10が消音装置1の本体を包み込むような形状であるからである。好ましい実施形態では、保護装置10は、消音装置1のくびれ領域4と上部領域5を包み込む(覆う)。本発明に属さない別の実施形態では、保護装置10は、消音装置1のくびれ領域4(「ネック領域」)だけ、または上部領域5だけを包み込むように構成されることが可能である。
【0035】
本発明に属さない別の好ましい実施形態では、接続領域18は、保護装置10の本体の壁12を通過(貫通)し、保護装置10の表面にオリフィス(orifices:開口部、孔)を形成してもよい。
【0036】
図1に示すように、保護装置10の内面17は、消音装置1に接続されると、当該消音装置1の外面7から隔てられている(間隔が空いている)。この離間は、好ましくは最大5.0mmの幅(大きさ)を有するギャップ(隙間)19を規定する。
【0037】
本発明に属さない別の好ましい実施形態では、隙間19は、追加の保護(熱及び/または音響)材料の層によって充填されてもよく、または冷媒流体で充填されてもよい。上記したバリエーションは、マフラ断熱システムを適用することができる各コンプレッサのタイプ(種類、型式等)の設計、仕様及び特徴(特殊性)を満たすことを目的とする。
【0038】
特に、消音装置1(マフラ)の「ネック領域」とも呼ばれるくびれ領域4は、保護装置10のくびれ領域14によって包み込まれる(覆われる)ため、この位置に隙間19が設けられることになる。したがって、コンプレッサの運転時には、この場所(すなわち隙間19)に冷媒流体を充填することができる。したがって、断熱性能が最適化される。
【0039】
さらに、本明細書で提案するマフラ断熱システムは、消音装置1の「ネック領域」とヘッドの他の部品、特にコンプレッサヘッドの金属部品との間に流体「ギャップ」を形成することができることを強調すべきであろう。したがって、本実施形態で提案された課題解決手段は、流体への熱伝達に対して追加の熱抵抗(断熱)を導入し、消音装置1(マフラ)の「ネック領域」内部での加熱を最小限に抑える。
【0040】
最後に、保護装置10に関する説明をする。その本体は、1層または複数層の金属材料層及び/または高分子材料層であってもよいし、あるいは、この要素(保護装置の本体)の動作仕様を満たす任意の材料で構成されてもよい。
【0041】
総括として、本発明により提案されたサクションマフラ断熱システムは、圧縮される冷媒流体の断熱を最適化し、コンプレッサの運転をより効率的にすることができる構成を有することが、本明細書により明らかにされた。当該システムは、消音装置1と保護装置10を有し、接続領域を使用することにより、消音装置1と保護装置10は簡単に組み立てることができる。
【0042】
本明細書は、本発明の特定の実施形態を例示的に説明することのみを目的としている。
【国際調査報告】