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特表2022-550256海洋構造物を輸送するためのシステム
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-12-01
(54)【発明の名称】海洋構造物を輸送するためのシステム
(51)【国際特許分類】
   B63B 35/00 20200101AFI20221124BHJP
【FI】
B63B35/00 P
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2022512313
(86)(22)【出願日】2020-08-21
(85)【翻訳文提出日】2022-04-08
(86)【国際出願番号】 NL2020050523
(87)【国際公開番号】W WO2021040516
(87)【国際公開日】2021-03-04
(31)【優先権主張番号】2023699
(32)【優先日】2019-08-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】NL
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】519436987
【氏名又は名称】デルフト・オフショア・タービン・ベー・フェー
(74)【代理人】
【識別番号】100126572
【弁理士】
【氏名又は名称】村越 智史
(72)【発明者】
【氏名】ファン デル テンプル, ヤン
(72)【発明者】
【氏名】メトリクイン, アンドレイ ウラジーミロヴィチ
(57)【要約】
海洋構造物を輸送するためのシステムであって、海洋構造物を受け、受けた海洋構造物のスリップジョイント部とともにスリップジョイントを形成するように構成された輸送装置、特に船舶又は車両を備え、前記システムは、固定状態から解放可能状態に移行するように構成されており、前記解放可能状態において、前記輸送装置と前記海洋構造物とが形成する前記スリップジョイントのスリップジョイント力は、前記固定状態における当該スリップジョイント力よりも小さい、システム。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
海洋構造物を輸送するためのシステムであって、
海洋構造物(2)を受け、受けた海洋構造物(2)のスリップジョイント部(9)とともにスリップジョイント(JT)を形成するように構成された輸送装置(1)、特に船舶又は車両を備え、
前記システムは、固定状態から解放可能状態に移行するように構成されており、前記解放可能状態において、前記輸送装置(1)と前記海洋構造物(2)とが形成する前記スリップジョイント(JT)のスリップジョイント力は、前記固定状態における当該スリップジョイント力よりも小さい、システム。
【請求項2】
前記固定状態において、前記海洋構造物(2)は前記輸送装置(1)に固定され、前記解放可能状態において、前記海洋構造物(2)は、例えば、吊上げ手段を使用して、前記輸送装置(1)から解放可能である、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記輸送装置(1)及び前記海洋構造物(2)を互いに対して振動させるための、特に前記スリップジョイント力を低減するための振動発生装置(3)であって、前記振動は、好ましくは実質的に1つ以上の所定の共振周波数において発生する振動発生装置(3)
をさらに備える、請求項1から2の何れかに記載のシステム。
【請求項4】
例えば、前記海洋構造物(2)と前記輸送装置(1)との間に分離力(FS)を加えるように構成された1つ以上の機械力発生装置(5)、例えばジャッキ、を含む分離システム(4)
をさらに備える、請求項1から3の何れかに記載のシステム。
【請求項5】
前記システム、好ましくは前記輸送装置(1)は、前記スリップジョイント(JT)に加えて、前記海洋構造物(2)と前記輸送装置(1)とを互いにクランプするためのクランプ装置(6)を備え、
前記固定状態において、前記解放可能状態と比較して、前記海洋構造物(2)及び前記輸送装置(1)は、前記クランプ装置(6)によって実質的に互いにクランプされ、
前記クランプ装置(6)は、好ましくは、1つ以上の、例えば2つの、クランプ要素(7)を、好ましくは、前記輸送装置(1)及び/又は前記海洋構造物(2)に向かって延びるそれぞれの1つ以上のクランプ方向(C)に、例えば油圧で押すように構成される、
請求項1から4の何れかに記載のシステム。
【請求項6】
前記輸送装置(1)及び前記海洋構造物(2)はそれぞれ、例えば円錐面または裁頭円錐面のようなそれぞれの傾斜面、好ましくは接合面を有する部分(8,9)を含み、当該それぞれの傾斜面部分(8,9)は、特にそれらが互いに接するように配置されるときに、前記スリップジョイント(JT)を互いと形成するよう構成される、請求項1から5の何れかに記載のシステム。
【請求項7】
前記輸送装置(1)は、前記海洋構造物(2)を受け方向Rにおいて受けるように構成されており、特に、前記海洋構造物(2)の前記スリップジョイント部(9)とともに前記スリップジョイント(JT)を形成するように構成され、
前記受け方向(R)は、前記海洋構造物(2)に作用する重力の方向と実質的に一致し、前記受け方向(R)は、特に、実質的に下方向である、
請求項1から6の何れかに記載のシステム。
【請求項8】
吊上げ装置(10)、例えばクレーンなどであって、前記海洋構造物(2)を吊り上げるとともに、好ましくは、特に前記輸送装置(1)に対して、及び/又は別の構造物、例えば積載地ベース構造物(11)及び/又は輸送先ベース構造物(12)に対して前記海洋構造物(2)を位置付けるように構成された、吊上げ装置(10)
をさらに備える、請求項1から7の何れかに記載のシステム。
【請求項9】
前記システムは、前記海洋構造物(2)を積載地から輸送するように構成され、
前記システムは、前記積載地における積載地ベース構造物(11)、例えば、基礎であって、例えば、前記海洋構造物(2)とともにスリップジョイント(JL)を形成するように構成された、積載地ベース構造物(11)をさらに備え、
前記システムは、積載ベース固定状態から、積載ベース解放可能状態に移行するように構成され、前記積載ベース解放可能状態において、前記積載地ベース構造物(11)と前記海洋構造物(2)とが形成するスリップジョイント(JL)の前記スリップジョイント力は、前記積載ベース固定状態における当該スリップジョイント力より小さい、
請求項1から8の何れかに記載のシステム。
【請求項10】
前記積載地ベース構造物(11)及び前記海洋構造物(2)を互いに対して振動させるための、特にこれらの構造物によって形成される前記スリップジョイント(JL)の前記スリップジョイント力を低減するための振動発生装置(3)を備え、前記振動は、好ましくは実質的に1つ以上の所定の共振周波数において発生する、請求項9に記載のシステム。
【請求項11】
例えば、前記海洋構造物(2)と前記積載地ベース構造物(11)との間に分離力(FS)を加えるように構成された1つ以上の機械力発生装置(5)を含む積載ベース分離システム(13)をさらに備える、請求項9から10の何れかに記載のシステム。
【請求項12】
前記システムは、前記海洋構造物(2)を輸送先に輸送するように構成され、
前記システムは、輸送先に、例えば基礎のような輸送先ベース構造物(12)をさらに備え、
前記輸送先ベース構造物(12)は、前記海洋構造物(2)を受けて、前記海洋構造物(2)の前記スリップジョイント部(9)とともにスリップジョイント(JD)を形成するように構成された、
請求項1から11の何れかに記載のシステム。
【請求項13】
前記輸送装置(1)は、複数の海洋構造物(2)を受け、受けた各海洋構造物(2)の前記スリップジョイント部(9)とそれぞれのスリップジョイント(JT)を形成するよう構成され、
前記システムは、受けた各海洋構造物(2)について、それぞれの固定状態から、それぞれの解放可能状態に移行するように構成され、当該解放可能状態において、前記輸送装置(1)と前記海洋構造物(2)とで形成されたスリップジョイント(JT)の前記スリップジョイント力は、前記固定状態における当該スリップジョイント力よりも小さい、
請求項1から12の何れかに記載のシステム。
【請求項14】
海洋構造物(2)は、1つ以上の風力発電装置(2)及び/又は1つ以上の風力発電部品、例えばパイル(14)及び/又はナセル(15)を含む、
請求項1から13の何れかに記載のシステム。
【請求項15】
前記輸送装置(1)は、海洋構造物(2)を受け、受けた海洋構造物(2)のスリップジョイント部(9)とともに複数のスリップジョイント(JT)を形成するように構成され、
前記システムは、固定状態から解放可能状態に移行するように構成されており、前記解放可能状態において、前記輸送装置(1)と前記海洋構造物(2)とが形成する各スリップジョイント(JT)の前記スリップジョイント力は、前記固定状態におけるそれぞれのスリップジョイント力よりも小さい、
請求項1から14の何れかに記載のシステム。
【請求項16】
海洋構造物を輸送するための方法であって、
輸送装置(1)上に海洋構造物(2)を受け、前記輸送装置(1)と受けた前記海洋構造物(2)との間にスリップジョイント(JT)を形成する工程と、
前記スリップジョイント(JT)のスリップジョイント力を低減する工程と、
前記スリップジョイント力の低減後に前記海洋構造物(2)を前記輸送装置(1)から解放する工程と
を備える方法。
【請求項17】
前記海洋構造物(2)及び/又は前記輸送装置(1)の振動を、好ましくは実質的に1つ以上の所定の共振周波数で発生させ、それによって前記スリップジョイント(JT)の前記スリップジョイント力を低減させる工程を更に備える請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記海洋構造物(2)と前記輸送装置(1)との間に分離力(FS)を加える工程を更に備える請求項16または17に記載の方法。
【請求項19】
前記分離力(FS)は、前記振動を発生させる前に加えられる、請求項17および18に記載の方法。
【請求項20】
前記分離力(FS)は、前記振動を発生させている間に加えられる、請求項17および請求項18から19の何れかに記載の方法。
【請求項21】
前記輸送装置(1)に対する前記海洋構造物(2)の変位を測定する工程、及び/又は前記海洋構造物(2)と前記輸送装置(1)との間の圧力を測定する工程と、
測定された前記変位及び/又は圧力に応じて前記海洋構造物(2)を前記輸送装置(1)から解放する工程と
を更に備える請求項17から20の何れかに記載の方法。
【請求項22】
特に解放中にアクティブヒーブ補償を使用する工程を更に備える請求項17から21の何れかに記載の方法。
【請求項23】
請求項1から15の何れかに記載のシステムの輸送装置(1)、特に船舶または車両であって、前記輸送装置(1)は、海洋構造物(2)を受け、受けた海洋構造物(2)のスリップジョイント部(9)とともにスリップジョイント(JT)を形成するように構成された、輸送装置(1)。
【請求項24】
前記輸送装置(1)及び前記輸送装置(1)上に受けられた海洋構造物(2)を互いに対して振動させるための、特に前記スリップジョイント(JT)の前記スリップジョイント力を低減させるための、振動発生装置(3)を備える、請求項23に記載の輸送装置。
【請求項25】
例えば、前記海洋構造物(2)と前記輸送装置(1)との間に分離力(FS)を加えるように構成された1つ以上の機械力発生装置(5)を含む分離システム(4)備える、請求項23から24の何れかに記載の輸送装置。
【請求項26】
請求項1から15の何れかに記載のシステムの海洋構造物であって、特に風力発電装置(2)及び/又は1つ以上の風力発電部品(14、15)及び/又は1つ以上の複数部材海洋構造物を含み、前記海洋構造物(2)は、特に前記海洋構造物(2)を前記輸送装置(1)に固定するために、輸送装置(1)、例えば請求項23から25の何れかに記載の輸送装置のそれぞれのスリップジョイント部(8)とともにスリップジョイント(JT)を形成するように構成されている少なくとも一つのスリップジョイント部(9)を有する、海洋構造物。
【請求項27】
前記海洋構造物(2)を受けた輸送装置(1)と前記海洋構造物(2)とを互いに対して振動させるための、特に前記スリップジョイント(JT)の前記スリップジョイント力を低減するための振動発生装置(3)を備える、請求項26に記載の海洋構造物。
【請求項28】
例えば、輸送装置(1)と前記海洋構造物(2)との間に分離力(FS)を加えるように構成された1つ以上の機械力発生装置(5)を含む分離システム(4)を備える、請求項26から27の何れかに記載の海洋構造物。
【請求項29】
前記スリップジョイントは前記海洋構造物の重量の影響下で形成及び/又は維持される、請求項1から15の何れか一項に記載のシステム、請求項16から22の何れか一項に記載の方法、請求項23から25の何れか一項に記載の輸送装置、または請求項26から28の何れか一項に記載の海洋構造物。
【請求項30】
前記スリップジョイントは、前記海洋構造物の下端のスリップジョイント部と、前記輸送装置のスリップジョイント部の上端または前記海洋基礎の上端のスリップジョイント部との間に形成される、請求項1から15の何れか一項に記載のシステム、請求項16から22の何れか一項に記載の方法、請求項23から25の何れか一項に記載の輸送装置、または請求項26から28の何れか一項に記載の海洋構造物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は海洋構造物を輸送するためのシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
海洋構造物を、例えば、陸上から海上へ、またはその逆方向に輸送することが必要な場合がある。ここで問題となるのは、例えば、構造物を輸送する船舶などの輸送装置に対して、構造物が実質的に大きくかつ重くなり得ることである。安定した輸送を可能にするためには、一般に、海洋構造物をそのような輸送装置に堅固に固定または締結することが必要である。これは、洋上風力発電機を直立姿勢で船上輸送する場合など、海洋構造物の重心が輸送装置によって支持される位置から大きく離れている場合に特に重要である。例えば、海上の設置場所に到着後、海洋構造物は輸送装置から解放される必要があり、そのためには一般に締結が解除される必要がある。
【0003】
海洋構造物を輸送装置に締結するための既知の解決策では、海洋構造物を輸送装置に堅固に連結するために多くのナットとボルトが使用されるが、これらのナットとボルトは、海洋構造物を解放するために後で取り外す必要がある。これでは、受ける時や締結時、そして解放時に非常に手間と時間がかかる。さらに、この解決策では、輸送装置は、海洋構造物の特定のサイズおよび構成(例えば、ボルト用の穴の位置を含む)に対応するように特別に構成される必要がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、海洋構造物を輸送するための改良されたシステムを提供することであり、特に、上述した問題の少なくとも1つを解決することである。本発明のさらなる目的は、改良された海洋構造物の輸送方法、改良された輸送装置、および改良された海洋構造物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一態様は、海洋構造物を輸送するためのシステムを提供し、当該システムは請求項1の特徴によって特徴づけられる。
【0006】
このシステムは、海洋構造物を受け、受けた海洋構造物のスリップジョイント部とともにスリップジョイントを形成するように構成された輸送装置、特に船舶又は車両から構成される。
【0007】
本システムは、固定状態から解放可能状態に移行するように構成されており、解放可能状態において、輸送装置と海洋構造物とが形成するスリップジョイントのスリップジョイント力は、固定状態におけるスリップジョイント力よりも小さくなる。
【0008】
スリップジョイントは、海洋構造物を輸送装置に実質的に迅速に締結するための安全かつ効率的な手段を提供することができる。例えば、スリップジョイントは、海洋構造物の自重の影響下で形成及び/又は維持されることが可能である。さらに、このようにして、輸送装置の特定の改造を実質的に必要とすることなく、様々な寸法の海洋構造物を輸送装置上に交換可能に受けることができる。解放可能状態に移行するように構成されることによって、システムは、輸送装置から海洋構造物を実質的に迅速に解放するための安全かつ効率的な手段を提供することができる。
【0009】
一実施形態によれば、固定状態において、海洋構造物は輸送装置に固定され、解放可能状態において、海洋構造物は、例えば、吊上げ手段を使用して、輸送装置から解放可能である。
【0010】
このように、システムが固定状態から解放可能状態に移行することで、海洋構造物を、輸送装置に固定した状態(例えば、安定的に確実に輸送するため)から解放可能な状態(例えば、海洋構造物を輸送先で設置するため)へと移行させることができる。
【0011】
一実施形態において、システムは、輸送装置及び海洋構造物を互いに対して振動させるための、特にスリップジョイント力を低減させるための振動発生装置をさらに備える。
【0012】
このような振動発生装置は、スリップジョイント力を低減するための有効な手段となり得ることが判明している。
【0013】
一実施形態において、振動は、実質的に1つ以上の所定の共振周波数で発生される。
【0014】
そのような周波数での振動は、スリップジョイント力を低減させるのに特に効果的であることが判明している。
【0015】
一実施形態では、システムは、例えば、海洋構造物と輸送装置との間に分離力を加えるように構成された1つ以上の機械力発生装置(例えば、ジャッキ)を含む分離システム4をさらに含む。
【0016】
このような分離システムは、例えば振動発生装置と相補的に、スリップジョイント力の低減を補助する手段、およびスリップジョイント力が低減している間に海洋構造物を輸送装置から実質的に分離する手段を提供することができる点で有利である。このように海洋構造物を輸送装置から分離することは、例えば、海洋構造物の自重の影響下および/または例えば吊上げ手段による海洋構造物の操作に応答して、スリップジョイント力が一旦低減した後に再び増大することを防ぐのに役立つ。
【0017】
一実施形態において、システム、好ましくは輸送装置は、スリップジョイントに加えて、海洋構造物と輸送装置とを互いにクランプするためのクランプ装置を備える。
【0018】
ここで、固定状態において、解放可能状態と比較して、海洋構造物及び輸送装置は、クランプ装置によって実質的に互いにクランプされる。
【0019】
クランプ装置は、好ましくは、1つ以上の、例えば2つの、クランプ要素を、輸送装置及び/又は海洋構造物に向かって延びるそれぞれの1つ以上のクランプ方向に、例えば油圧で押すように構成されている。
【0020】
クランプ装置は、海洋構造物を効率的かつ迅速に締結及び解放するための補完的な手段を提供することができる。
【0021】
一実施形態において、輸送装置及び海洋構造物はそれぞれ、例えば円錐面または裁頭円錐面のようなそれぞれの傾斜面部分、好ましくは接合面を含み、当該それぞれの傾斜面部分は、特にそれらが互いに接するように配置されるときに、前記スリップジョイントを互いと形成するよう構成される。
【0022】
このようなそれぞれの面は、スリップジョイントを形成するための有効な手段を提供することができる。さらに、輸送装置の特定の改造を実質的に必要とすることなく、様々な寸法の海洋構造物を輸送装置上に交換可能に受けるための手段を提供することができる。例えば、海洋構造物の様々なサイズの裁頭円錐面部分は、輸送装置の裁頭円錐面部分の様々な高さに降ろすことによって受けることが可能である。
【0023】
一実施形態では、輸送装置は、海洋構造物を受け方向に受けるように構成されており、特に、海洋構造物のスリップジョイント部とともにスリップジョイントを形成するように構成されている。ここで、受け方向は、海洋構造物に作用する重力の方向と実質的に一致し、受け方向は、特に、実質的に下方向である。
【0024】
有利な点としては、スリップジョイントは、このように海洋構造物の自重の影響下で形成及び/又は維持されることが可能である。
【0025】
一実施形態において、システムは、吊上げ装置、例えばクレーンなどをさらに備え、この装置は、海洋構造物を吊り上げるとともに、好ましくは、特に輸送装置に対して、及び/又は別の構造物、例えば積載地ベース構造物及び/又は輸送先ベース構造物に対して海洋構造物を位置付けるように構成されている。
【0026】
このような吊上げ装置は、特にシステムが解放可能状態にあるときに、海洋構造物を輸送装置から解放するための手段を提供することができる。同じまたは類似の吊上げ装置を用いて、例えば、海洋構造物を輸送装置上に降ろすことによって、スリップジョイントを形成することが可能である。
【0027】
一実施形態において、システムは、海洋構造物を積載地から輸送するように構成されており、システムは、積載地に、例えば基礎などの積載地ベース構造物をさらに備え、積載地ベース構造物は、例えば、海洋構造物とともにスリップジョイントを形成するように構成されている。
【0028】
このシステムは、積載ベース固定状態から、積載ベース解放可能状態に移行するように構成され、積載ベース解放可能状態において、積載地ベース構造物と海洋構造物とが形成するスリップジョイントのスリップジョイント力が、積載ベース固定状態におけるスリップジョイント力より小さくなるように構成されている。
【0029】
このように、積載地において、海洋構造物を安全かつ効率的に、そして迅速に積載することができる。例えば、積載地ベース構造物とのスリップジョイントは、このように、輸送装置とのスリップジョイントと同様に形成及び解除することができる。
【0030】
一実施形態において、システムは、積載地ベース構造物及び海洋構造物を互いに対して振動させるための、特にこれらの構造物によって形成されるスリップジョイントのスリップジョイント力を低減するための振動発生装置を備え、ここで、振動は、実質的に1つ以上の所定の共振周波数において発生することが好ましい。
【0031】
このような振動発生装置は、先に説明した輸送装置と海洋構造物とを互いに対して振動させるための振動発生装置と比較して、類似の利点(若干の差異はあるとしても)を提供することができる。
【0032】
一実施形態では、システムは、海洋構造物と積載地ベース構造物との間に分離力を加えるよう構成された、例えば1つ以上の機械力発生装置を含む、積載ベース分離システムをさらに備えている。
【0033】
このような積載ベース分離システムは、先に説明した海洋構造物と輸送装置との間に分離力を加えるための分離システムと比較して、類似の利点(若干の差異はあるとしても)を提供することができる。この分離力は海洋構造物の重量よりも有意に小さくてもよく、この分離力は、海洋構造物の前記解放可能状態に少なくとも部分的に到達することを提供することができる。あるいは、分離力は海洋構造物の重量と等しいか、それ以上であってもよい。
【0034】
一実施形態において、システムは、海洋構造物を輸送先に輸送するように構成され、システムは、輸送先に、例えば基礎のような輸送先ベース構造物をさらに備え、輸送先ベース構造物は、海洋構造物を受けて、海洋構造物のスリップジョイント部とともにスリップジョイントを形成するように構成されている。
【0035】
このように、輸送先において、海洋構造物を安全、効率的、かつ迅速に設置することができる。例えば、輸送装置とのスリップジョイントと比較して、このように、輸送先ベース構造物とのスリップジョイントを同様に形成することができる。
【0036】
一実施形態では、輸送装置1は、複数の海洋構造物を受け、受けた各海洋構造物のスリップジョイント部とそれぞれのスリップジョイントを形成するよう構成されている。
【0037】
システムは、受けた各海洋構造物について、それぞれの固定状態から、それぞれの解放可能状態に移行するように構成され、解放可能状態において、輸送装置と海洋構造物とで形成されるスリップジョイントのスリップジョイント力は、固定状態におけるスリップジョイント力よりも小さくなっている。
【0038】
このようなシステムは、複数の海洋構造物が上述した利点の恩恵を受けながら同時に輸送できる点で有利である。
【0039】
一実施形態において、海洋構造物は、1つ以上の風力発電装置及び/又は例えばパイル及び/又はナセルなどの1つ以上の風力発電部品、及び/又はジャケット、トリポッド及び/又はトップサイドなどの1つ以上の複数部材海洋構造物を含んでいる。
【0040】
また、例えば、一実施形態では、1つの海上構造物を複数(例えば、2つ、3つ、4つ以上)のスリップジョイントで支持するように構成することも可能である。この場合、好ましくは、本システムは、固定状態から解放可能状態に移行するように構成されており、解放可能状態において、輸送装置と海洋構造物とが形成する複数のスリップジョイントの各々のスリップジョイント力は、固定状態におけるそれぞれのスリップジョイント力よりも小さくなる。
【0041】
一実施形態では、海洋構造物は、5万kgより大きい、又は490,000Nより大きい質量を有する。
【0042】
このような大きな質量は、海洋構造物の自重の影響下でスリップジョイントを形成することを助ける点で有利である。
【0043】
本発明の別の態様は、海洋構造物を輸送するための方法を提供する。この方法は、輸送装置上に海洋構造物を受け、輸送装置と受けた海洋構造物との間にスリップジョイントを形成する工程を備える。この方法はさらに、スリップジョイントのスリップジョイント力を低減する工程と、スリップジョイント力の低減後に海洋構造物を輸送装置から解放する工程とを備える。
【0044】
スリップジョイントは、少なくとも海洋構造物の重量の影響を受けて形成および/または維持されるものと理解するのが好ましい。
【0045】
このような方法は上述した利点をもたらすことができる。
【0046】
一実施形態において、本方法は、海洋構造物及び/又は輸送装置の振動を、好ましくは実質的に1つ以上の所定の共振周波数で発生させ、それによってスリップジョイントのスリップジョイント力を低減させる工程を更に含む。
【0047】
一実施形態において、本方法は、海洋構造物と輸送装置との間に分離力を加える工程をさらに含む。
【0048】
一実施形態において、分離力は、振動を発生させる前に加えられる。
【0049】
これにより、振動によるスリップジョイント力の低減効果を高められることが判明している。
【0050】
一実施形態において、分離力は、振動を発生させている間に加えられる。
【0051】
このようにすれば、特に安定的に、かつ、良好に制御された状態で、海洋構造物を輸送装置から分離させることができる。
【0052】
一実施形態において、本方法は、輸送装置に対する海洋構造物の変位を測定する工程、及び/又は海洋構造物と輸送装置との間の圧力を測定する工程、並びに測定された変位及び/又は圧力に応じて海洋構造物を輸送装置から解放する工程を更に含む。
【0053】
このようにすれば、海洋構造物を輸送装置から円滑かつ安全に、効率よく解放することができる。例えば、変位が所定の閾値変位より大きいことが測定された後、及び/又は、圧力が所定の閾値圧力より小さいことが測定された後に、海洋構造物が解放されてもよい。
【0054】
一実施形態において、本方法は、特に解放中にアクティブヒーブ補償を使用する工程をさらに含む。
【0055】
海洋構造物の輸送、特に解放は、アクティブヒーブ補償の使用により、より安定し、及び/又は良好に制御され得ることが見出されている。
【0056】
本発明の別の態様は、輸送装置、特に本発明に係るシステムの輸送装置であって、特に船舶または車両であり、当該輸送装置は、海洋構造物を受け、受けた海洋構造物のスリップジョイント部とともにスリップジョイントを形成するように構成されている。
【0057】
このような輸送装置は、特に海洋構造物との組み合わせによって、上述の利点を提供することができる。
【0058】
一実施形態において、輸送装置は、輸送装置及び輸送装置上に受けられた海洋構造物を互いに対して振動させるための、特にスリップジョイントのスリップジョイント力を低減させるための、振動発生装置を備える。
【0059】
一実施形態において、輸送装置は、例えば、海洋構造物と輸送装置との間に分離力を加えるように構成された、1つ以上の力発生装置を含む分離システムを備える。
【0060】
本発明の別の態様は、本発明のシステムの海洋構造物であって、特に風力発電装置及び/又は1つ以上の風力発電部品及び/又は1つ以上の複数部材海洋構造物を含み、海洋構造物は、特に海洋構造物を輸送装置に固定するために、輸送装置、例えば本発明の輸送装置のそれぞれのスリップジョイント部とともにスリップジョイントを形成するように構成されている少なくとも一つのスリップジョイント部を有する。
【0061】
このような海洋構造物は、特に輸送装置との組み合わせによって、上述の利点を提供することができる。
【0062】
一実施形態において、海洋構造物は、海洋構造物を受けた輸送装置と海洋構造物とを互いに対して振動させるための、特にスリップジョイントのスリップジョイント力を低減するための振動発生装置を備えている。
【0063】
一実施形態において、海洋構造物は、例えば、輸送装置と海洋構造物との間に分離力を加えるように構成された、1つ以上の機械力発生装置を含む分離システムを備える。
【0064】
以下の記載において、例示的な実施形態および図面を用いて本発明をさらに説明する。
【図面の簡単な説明】
【0065】
図1a】一実施形態におけるシステムの断面図を示す。
図1b】別の実施形態におけるシステムの断面図を示す。
図2a】一実施形態におけるシステムの断面図であり、当該システムが吊上げ装置を備え、当該吊上げ装置が実質的に除荷状態にある様子を示す。
図2b図2aのシステムの断面図であり、吊上げ装置が実質的に負荷状態にある様子を示す。
図2c図2a~図2bのシステムの断面図であり、海洋構造物が吊上げ装置によって吊り上げられた様子を示す。
図3a】さらに別の実施形態におけるシステムの断面図であり、当該システムがスリップジョイントに加えてクランプ装置を備える様子を示す。
図3b】さらに別の実施形態におけるシステムの断面図であり、複数の海洋構造物が輸送装置に受けられた様子を示す。
図4a】一実施形態における海洋構造物が設置された積載地ベース構造物の断面図である。
図4b】一実施形態における海洋構造物が設置された目的地ベース構造物の断面図である。
図5】海洋構造物のスリップジョイント部と輸送装置の対応するスリップジョイント部を示す透視分解図である。
【0066】
これらの図面は模式的なものである。図面において、類似または対応する要素には、類似または対応する参照符号を付している。
【発明を実施するための形態】
【0067】
本開示において、スリップジョイントは、少なくとも、海洋構造物と、輸送装置又は海洋基礎のスリップジョイント部との間のジョイントであって、海洋構造物の重量の影響下で形成及び/又は維持されるものを意味すると理解されるべきである。
【0068】
本開示において、スリップジョイントは、好ましくは、海洋構造物の下端部、特に海洋構造物のスリップジョイント部を形成する下端部と、輸送装置の補完的スリップジョイント部又は海洋基礎の補完的スリップジョイント部、特に海洋基礎の上端部の補完的スリップジョイント部との間に設けられる。
【0069】
本開示において、スリップジョイントは、少なくとも1つの傾斜面を有する輸送装置または海洋基礎のスリップジョイント部の上端と、補完的な傾斜面を有する海洋構造物の下端とを備え、海洋構造物が輸送装置または海洋基礎に取り付けられるとき、これらの傾斜面が接合するようにすることが可能である。傾斜とは、少なくとも鉛直線またはスリップジョイント部の軸に対して傾斜していることとして理解されなければならない。
【0070】
一実施形態において、傾斜面は、海洋構造物並びに輸送装置および海洋基礎のスリップジョイント部の円錐面または裁頭円錐面によって、またはその一部として形成することができる。傾斜面は、好ましくは、海洋構造物の重量によって海洋構造物が輸送装置又は海洋基礎のスリップジョイント部にさらに押し付けられ、固定状態となるように設けられる。
【0071】
本開示によるスリップジョイントは、例えば、国際公開第2018/070868号によるスリップジョイントであり得るが、これに限定されない。
【0072】
図1aは、実施形態による海洋構造物を輸送するためのシステムを示す。このシステムは、海洋構造物2を受け、受けた海洋構造物2のスリップジョイント部9(図2c及び図5参照)とともにスリップジョイントJTを形成するように構成された輸送装置1、特に船舶又は車両から構成される。この例では、輸送装置1と海洋構造物2のスリップジョイント部9との間に、単一のスリップジョイントJTが形成される。あるいは、輸送装置1と海洋構造物2とは、その間に複数のスリップジョイントJTを形成するように構成することができる(特に、海洋構造物2が複数のスリップジョイント部を備える場合、輸送装置1は、海洋構造物2を受けて海洋構造物2のスリップジョイント部9とともに複数のスリップジョイントJTを形成するための複数のスリップジョイント部8を有することができる)。単一の構造物を輸送するために複数のスリップジョイントを設けることは、例えば、当業者には理解されるように、ジャケット、トリポッドまたはトップサイドなどの複数部材の海洋構造物を輸送する場合に実施することができる。
【0073】
図5に見られるように、スリップジョイント部8、9は、平行で好ましくは一致する長手方向軸X-Xを有し、これらは、少なくとも基礎または輸送装置上の海洋構造物の静止位置において、好ましくは実質的に鉛直方向に延在する。スリップジョイント部8、9は傾斜面8A、9Aを有し、これらは、ここでは単に例として裁頭円錐状として示されている。傾斜面8A、9Aは、ここでは実質的に鉛直および/または力FSおよびFLに対して実質的に平行に延びる線または軸X-Xに対して傾斜している。海洋構造物の重量により傾斜面8A、9Aが押し出され、さらに互いに接触して接合状態となるように、傾斜面8A、9Aは形成され、傾斜している。
【0074】
本システムは、固定状態から解放可能状態に移行するように構成されており、解放可能状態において、輸送装置1と海洋構造物2とが形成するスリップジョイントJTのスリップジョイント力は、固定状態におけるスリップジョイント力よりも小さくなる。
【0075】
スリップジョイントJTは、海洋構造物2を輸送装置1に実質的に迅速に締結するための安全かつ効率的な手段を提供することができる。例えば、スリップジョイントJTは、海洋構造物2の自重の影響下で形成及び/又は維持されることが可能である。さらに、このようにして、輸送装置1の特定の改造を実質的に必要とすることなく、様々な寸法の海洋構造物を輸送装置1上に交換可能に受けることができる。様々な寸法の海洋構造物302、302’、302”に該当する例については、図3bを参照されたい。解放可能状態に移行するように構成されることによって、システムは、輸送装置1から海洋構造物2を実質的に迅速に解放するための安全かつ効率的な手段を提供することができる。
【0076】
一実施形態によれば、固定状態において、海洋構造物2は輸送装置1に固定され、解放可能状態において、海洋構造物2は、例えば、吊上げ手段(例えば、図2cに示す吊上げ手段10)を使用して、輸送装置1から解放可能である。
【0077】
このように、システムが固定状態から解放可能状態に移行することで、海洋構造物2を、輸送装置1に固定した状態(例えば、安定的に確実に輸送するため)から解放可能な状態(例えば、海洋構造物2を輸送先で設置するため)へと移行させることができる。
【0078】
一実施形態において、図1aをさらに参照すると、システムは、輸送装置1及び海洋構造物2を互いに対して振動させるための、特にスリップジョイント力を低減させるための振動発生装置3をさらに備える。
【0079】
このような振動発生装置3は、スリップジョイント力を低減するための有効な手段となり得ることが判明している。図1aにおいて、例えば1つ以上の振動モータを含む振動発生装置は、輸送装置1に取り付けられている。他の実施形態では、例えば図1bに示すように、振動発生装置103は、海洋構造物102に取り付けられてもよい。これらの選択肢の組み合わせ及び変形も可能であることが理解されよう。
【0080】
振動は、好ましくは、実質的に1つ以上の所定の共振周波数で発生される。
【0081】
そのような周波数での振動は、スリップジョイント力を低減させるのに特に効果的であることが判明している。
【0082】
一実施形態では、システムは、例えば、海洋構造物2と輸送装置1との間に分離力FSを加えるように構成された1つ以上の機械力発生装置(例えば、1つ以上の油圧ジャッキ)5を含む分離システム4をさらに又は代替的に含む。例えば、そのような機械力発生装置5は、構造物2と輸送装置1との間に前記分離力を発生させるための、(例えば、油圧式及び/又は電気的に動力を与えられる)相互に変位可能な要素を含むことが可能である。図面から分かるように、分離力FSは、好ましくは、重力方向と平行に向けられる(すなわち、重力に対抗することを目的とする)。前記1つ以上の機械力発生装置5は、例えば、分離される海洋構造物2の重量よりも著しく小さい(例えば、少なくとも10倍小さい)合計最大力を提供するように構成され得る。さらに、分離システム4は、解放可能な状態が達成されたときに海洋構造物2を吊り上げるために使用することができる外部吊上げ手段10(吊上げ手段10は、海洋構造物2の重量を上回る吊上げ力を提供することができる)とは別個のものである。
【0083】
このような分離システム4は、例えば振動発生装置3と相補的に、スリップジョイント力の低減を補助する手段、およびスリップジョイント力が低減している間に海洋構造物2を輸送装置1から分離することを補助する手段を提供することができる点で有利である。このように海洋構造物2を輸送装置1から分離することは、例えば、海洋構造物の自重の影響下および/または例えば外部吊上げ手段10(図2c参照)による海洋構造物2の操作に応じて、スリップジョイント力が一旦低減した後に再び増大することを防ぐのに役立つ。
【0084】
図1aと図1bは、分離システム4の異なる選択肢を示している。図1aは、海洋構造物2の内面に取り付けられ、輸送装置1の上部を実質的に下向きに押すように構成された機械力発生装置5を示し、図1bは、輸送装置1に取り付けられ、海洋構造物2の底部を実質的に上向きに押すように構成された機械力発生装置5を示している。これらの選択肢の組み合わせや変形も可能であることが理解されるであろう。図1bに示す振動発生装置103および分離システム104の両方は、図1aに示すものと異なるが、これらの変形は必ずしも相互に依存しないことも理解されるであろう。
【0085】
図3aを参照すると、一実施形態において、システム、好ましくは輸送装置201は、スリップジョイントJTに加えて、海洋構造物202と輸送装置201とを互いにクランプするためのクランプ装置206を備える。
【0086】
ここで、固定状態において、解放可能状態と比較して、海洋構造物202及び輸送装置201は、クランプ装置206によって実質的に互いにクランプされる。
【0087】
クランプ装置206は、海洋構造物202を効率的かつ迅速に締結及び解放するための補完的な手段を提供することができる。
【0088】
クランプ装置206は、好ましくは、1つ以上の、例えば2つの、クランプ要素207を、輸送装置201及び/又は海洋構造物202に向かって延びるそれぞれの1つ以上のクランプ方向Cに、例えば油圧で押すように構成されている。
【0089】
図2c及び図5に示すように、一実施形態において、輸送装置1及び海洋構造物2はそれぞれ、例えば円錐面または裁頭円錐面のような傾斜面、好ましくは接合面であるそれぞれのスリップジョイント部8、9を含み、それぞれのスリップジョイント部8、9は、特にそれらが互いに接するように、例えば受け方向R(図5参照)に向けて配置されるときに、スリップジョイントJTを互いと形成するよう構成される。
【0090】
このようなスリップジョイント部8,9は、スリップジョイントJTを形成するための有効な手段を提供することができる。さらに、輸送装置の特定の改造を実質的に必要とすることなく、様々な寸法の海洋構造物を輸送装置上に交換可能に受けるための手段を提供することができる。例えば、図3bに示すように、海洋構造物302、302’、302”の様々なサイズの裁頭円錐面を有するスリップジョイント部は、輸送装置の裁頭円錐面の様々な高さの対応するスリップジョイント部に降ろすことによって受けることが可能である。
【0091】
海洋構造物2は、図5の概略図に部分的にしか示されていない場合があることが理解されよう。
【0092】
一実施形態では、図2c及び図5に示すように、輸送装置1のスリップジョイント部8は、海洋構造物2を受け方向Rに受けるように構成されており、特に、海洋構造物2のスリップジョイント部9とともにスリップジョイントJT(例えば図2aを参照)を形成するように構成されている。
【0093】
ここで、受け方向Rは、海洋構造物2に作用する重力の方向と実質的に一致し、受け方向Rは、特に、実質的に下方向である。
【0094】
有利な点としては、スリップジョイントJTは、このように海洋構造物2の自重の影響下で形成及び/又は維持されることが可能である。
【0095】
図2a~図2cに示すように、一実施形態において、システムは、吊上げ装置10、例えばクレーンなどをさらに備え、この装置は、海洋構造物2を吊り上げるとともに、好ましくは、特に輸送装置1に対して、及び/又は別の構造物、例えば積載地ベース構造物11(図4aを参照)及び/又は輸送先ベース構造物12(図4bを参照)に対して海洋構造物2を位置付けるように構成されている。
【0096】
このような吊上げ装置10は、特にシステムが解放可能状態にあるときに、海洋構造物2を輸送装置1から解放するための手段を提供することができる。同じまたは類似の吊上げ装置10を用いて、例えば、海洋構造物2を輸送装置1上に降ろす(例えば、受け方向Rに、図2c参照)ことによって、スリップジョイントJTを形成することが可能である。
【0097】
図2aは、スリップジョイントJTが形成されている間、実質的に除荷状態にある吊上げ装置10を示す。システムが解放可能状態に入ると、図2bに示すように、吊上げ装置10が負荷状態にされ、その後、吊上げ装置10によって海洋構造物2の吊り上げが行われ(図2cを参照)、海洋構造物2が輸送装置1から解放される。図2b及び図2cは、吊上げ装置10の吊上げ装置力の方向FLを示す図である。
【0098】
一実施形態において、システムは、海洋構造物2を積載地から輸送するように構成されており、システムは、積載地に、例えば基礎などの積載地ベース構造物11(図4a参照)をさらに備え、積載地ベース構造物11は、例えば、海洋構造物2とともにスリップジョイントJLを形成するように構成されている。
【0099】
このシステムは、積載ベース固定状態から、積載ベース解放可能状態に移行するように構成され、積載ベース解放可能状態において、積載地ベース構造物11と海洋構造物2とが形成するスリップジョイントJLのスリップジョイント力が、積載ベース固定状態におけるスリップジョイント力より小さくなるように構成されている。
【0100】
このように、積載地において、海洋構造物2を安全かつ効率的に、そして迅速に積載することができる。例えば、積載地ベース構造物11とのスリップジョイントJLは、このように、輸送装置1とのスリップジョイントJTと同様に形成及び解除することができる。
【0101】
一実施形態において、図4aをさらに参照すると、システムは、積載地ベース構造物11及び海洋構造物2を互いに対して振動させるための、特にこれらの構造物によって形成されるスリップジョイントJLのスリップジョイント力を低減するための振動発生装置3を備え、ここで、振動は、実質的に1つ以上の所定の共振周波数において発生することが好ましい。
【0102】
このような振動発生装置は、先に説明した輸送装置と海洋構造物とを互いに対して振動させるための振動発生装置と比較して、類似の利点(若干の差異はあるとしても)を提供することができる。いくつかの実施形態では、振動発生装置は、例えば、振動発生装置3が実質的に海洋構造物2に含まれる場合、先に説明した振動発生装置と実質的に同じであり得る。あるいは、例えば、図4aに示すように、振動発生装置は、積載地ベース構造物411に取り付けられる積載ベース振動発生装置410であってもよい。
【0103】
一実施形態では、図4aをさらに参照すると、システムは、海洋構造物2と積載地ベース構造物11との間に分離力FSを加えるよう構成された、例えば1つ以上の機械力発生装置5を含む、積載ベース分離システム13を備えている。
【0104】
このような積載ベース分離システムは、先に説明した海洋構造物と輸送装置との間に分離力を加えるための分離システムと比較して、類似の利点(若干の差異はあるとしても)を提供することができる。いくつかの実施形態では、積載ベース分離システム13は、例えば先に説明した分離システム4が海洋構造物に実質的に含まれる場合、分離システム4と実質的に同じであるか、又はそれに含まれることができる。
【0105】
一実施形態において、図4bを参照すると、システムは、海洋構造物2を輸送先に輸送するように構成され、システムは、輸送先に、例えば基礎のような輸送先ベース構造物12をさらに備え、輸送先ベース構造物12は、海洋構造物2を受けて、海洋構造物2のスリップジョイント部9とともにスリップジョイントJDを形成するように構成されている。
【0106】
このように、輸送先において、海洋構造物2を安全、効率的、かつ迅速に設置することができる。例えば、輸送装置1とのスリップジョイントJTと比較して、このように、輸送先ベース構造物12とのスリップジョイントJDを同様に形成することができる。
【0107】
一実施形態では、図3bに示すように、輸送装置1は、複数の海洋構造物302、302’、302”を受け、受けた各海洋構造物302、302’、302”のスリップジョイント部9とそれぞれのスリップジョイントJT、JT’、JT”を形成するよう構成されている。
【0108】
システムは、受けた各海洋構造物2について、それぞれの固定状態から、それぞれの解放可能状態に移行するように構成され、解放可能状態において、輸送装置1と海洋構造物2とで形成されるスリップジョイントJTのスリップジョイント力は、固定状態におけるスリップジョイント力よりも小さくなっている。
【0109】
このようなシステムは、複数の海洋構造物が上述した利点の恩恵を受けながら同時に輸送できる点で有利である。システムは、図3bに示される数よりも多い又は少ない数の海洋構造物を受けるように構成されてもよく、受ける複数の海洋構造物の互いに対する相対位置及び輸送装置に対する相対位置は、図3bに示される構成とは異なってもよいことが理解されよう。例えば、海洋構造物は、マトリクス構造に従って位置決めされてもよい。また、複数の海洋構造物は、それぞれが同じ種類及び/又は寸法であってもよいし、そうでなくてもよいことが理解されよう。
【0110】
一実施形態において、海洋構造物2は、1つ以上の風力発電装置2及び/又は1つ以上の風力発電部品、例えばパイル14及び/又はナセル15(図4bを参照)を含む。他の例では、海洋構造物2は、ジャケット又はトップサイドを含んでもよい。
【0111】
一実施形態では、海洋構造物2は、5万kgより大きい、又は490,000Nより大きい質量を有する。
【0112】
このような大きな質量は、海洋構造物の自重の影響下でスリップジョイントを形成することを助ける点で有利である。
【0113】
海洋構造物の輸送方法は、輸送装置1上に海洋構造物2を受け、輸送装置1と受けた海洋構造物2との間にスリップジョイントJTを形成する工程と、スリップジョイントJTのスリップジョイント力を低減する工程と、スリップジョイント力の低減後に海洋構造物2を輸送装置1から解放(例えば、図2c参照)する工程とを備えている。
【0114】
一実施形態において、本方法は、海洋構造物2及び/又は輸送装置1の振動を、好ましくは実質的に1つ以上の所定の共振周波数で発生させ、それによってスリップジョイントJTのスリップジョイント力を低減させる工程を更に含む。
【0115】
一実施形態において、本方法は、海洋構造物2と輸送装置1との間に分離力FSを加える工程をさらに含む。
【0116】
一実施形態において、分離力FSは、振動を発生させる前に加えられる。
【0117】
これにより、振動によるスリップジョイント力の低減効果を高められることが判明している。
【0118】
一実施形態において、分離力FSは、振動を発生させている間に加えられる。
【0119】
このようにすれば、特に安定的に、かつ、良好に制御された状態で、海洋構造物2を輸送装置1から分離させることができる。
【0120】
一実施形態において、本方法は、輸送装置1に対する海洋構造物2の変位を測定する工程、及び/又は海洋構造物2と輸送装置1との間の圧力を測定する工程、並びに測定された変位及び/又は圧力に応じて海洋構造物2を輸送装置1から解放する工程を更に含む。
【0121】
このようにすれば、海洋構造物2を輸送装置1から円滑かつ安全に、効率よく解放することができる。例えば、変位が所定の閾値変位より大きいことが測定された後、及び/又は、圧力が所定の閾値圧力より小さいことが測定された後に、海洋構造物2が解放されてもよい。
【0122】
変位及び/又は圧力を測定するために、分離システム4は、1つ以上の測定装置(図示せず)、例えば変位測定装置(例えばカメラを用いるもの)及び/又は圧力測定装置(例えば、機械力発生装置又はジャッキ5の油圧作動流体の圧力を測定するためのもの)を含んでもよい。
【0123】
一実施形態において、本方法は、特に解放中にアクティブヒーブ補償を使用する工程をさらに含む。
【0124】
海洋構造物の輸送、特に解放は、アクティブヒーブ補償の使用により、より安定し、及び/又は良好に制御され得ることが見出されている。
【0125】
この目的のために、例えば、吊上げ装置10は、アクティブヒーブ補償のためのシステムを含んでもよい。アクティブヒーブ補償のための関連する一般的なシステム及び方法は、当業者に知られているであろう。
【0126】
上述した実施形態は、輸送装置1、特に船舶または車両を含んでもよく、輸送装置1は、海洋構造物2を受け、受けた海洋構造物2のスリップジョイント部9とともにスリップジョイントJTを形成するように構成されている。
【0127】
実施形態において、輸送装置は、輸送装置1及び輸送装置1上に受けられた海洋構造物2を互いに対して振動させるための、特にスリップジョイントJTのスリップジョイント力を低減させるための、振動発生装置3を備える。
【0128】
実施形態において、輸送装置は、例えば、海洋構造物2と輸送装置1との間に分離力FSを加えるように構成された、1つ以上のジャッキ及び/又は他の力発生装置5を含む分離システム4を備える。
【0129】
上述した実施形態は、特に風力発電装置2及び/又は1つ以上の風力発電部品14、15を含む海洋構造物2を含んでもよく、海洋構造物2は、特に海洋構造物2を輸送装置1に固定するために、輸送装置1、例えば上述の輸送装置のスリップジョイント部8とともにスリップジョイントJTを形成するように構成されているスリップジョイント部9を備えている。
【0130】
実施形態において、海洋構造物は、海洋構造物2を受けた輸送装置1と海洋構造物2とを互いに対して振動させるための、特にスリップジョイントJTのスリップジョイント力を低減するための振動発生装置3を備えている。
【0131】
実施形態において、海洋構造物は、例えば、輸送装置1と海洋構造物2との間に分離力FSを加えるように構成された、1つ以上の機械力発生装置5を含む分離システム4を備える。
【0132】
開示されている実施形態は、例としてのみ示されており、本開示の範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。特許請求の範囲によって定義される本発明の範囲内で、多くの変形が可能である。
【0133】
例えば、システムは、海洋構造物ごとに複数のスリップジョイント、例えば海洋構造物ごとに2つまたは3つまたは4つのスリップジョイントを形成するように構成されてもよく、複数のスリップジョイントが同時に形成され、同時に解放可能状態にされ、および/または同時に解放されてもよい。このように、例えば3つ又は4つの脚部を有するジャケット又はトップサイドを、記載された利点を用いて輸送することができる。
【0134】
振動発生装置は、例えばそれぞれのスリップジョイントの詳細な構成に応じて、それぞれのスリップジョイント力を低減するための様々な持続時間および大きさの振動を発生するように構成することができる。
【0135】
振動装置は、例えば、衝撃装置またはハンマー装置などを用いて、スリップジョイントに、例えば海洋構造物に少なくとも1つの衝撃を与えることによって、相互加速度を生成するように構成することができる。
【0136】
輸送装置は、推進システムを備えることができ、及び/又は、外部推進力によって推進されるように構成されることができる。
【0137】
輸送装置は、例えば、はしけとすることができる。受けた海洋構造物は、既知の締結方法で、例えば1つ以上のナット及びボルトを使用して、輸送装置に追加的に締結することができる。
【0138】
海洋構造物及び/又は輸送装置は、例えば、海洋構造物を輸送装置と位置合わせするために、海洋構造物の受け及び/又は解放の間、海洋構造物を輸送装置に対してガイドするための1つ以上の、好ましくはそれぞれの、ガイド手段を含んでもよい。
【0139】
輸送装置1のスリップジョイント部8は、様々な方法で構成することができる。輸送装置1のスリップジョイント部8は、輸送装置1の切り離し不能な部分であってもよく、例えば輸送装置1と一体で作られていてもよいが、それは必須ではない。
【0140】
輸送機器1のスリップジョイント部8は、例えば、輸送機器1の支持フレーム、デッキ及び/又は他の部位に溶接及び/又はボルト止めされるジョイント部であってもよい。輸送装置1のスリップジョイント部8は、例えば、鋼鉄製であってもよいが、必須ではない。輸送装置1のスリップジョイント部8は、使用後(すなわち、輸送される海洋構造物2とのスリップジョイントを提供するために使用した後)、例えば、輸送装置1を別種の輸送に利用可能とするために、輸送装置1から取り外すことができる部分であってもよい。
【0141】
これらおよびその他の修正は、開示された実施形態またはその一部の組み合わせを含むがこれに限定されないものであるが、やはり特許請求の範囲の範囲内で開示されていると考えられる。
【符号の説明】
【0142】
1.輸送装置
2.海洋構造物
3.振動発生装置
4.分離システム
5.機械力発生装置
6.クランプ装置
7.クランプ要素
8.輸送装置のスリップジョイント部
9.海洋構造物のスリップジョイント部
10.吊上げ装置
11.積載地ベース構造物
12.輸送先ベース構造物
13.積載ベース分離システム
14.パイル
15.ナセル
16.積載ベース振動発生装置
C.クランプ方向
FS.分離力
FL.吊上げ装置力
JD.目的地ベース構造物と海洋構造物とによって形成されるスリップジョイント
JL.積載地ベース構造物と海洋構造物とによって形成されるスリップジョイント
JT.輸送装置と海洋構造物とによって形成されるスリップジョイント
R.受け方向
図1a
図1b
図2a
図2b
図2c
図3a
図3b
図4a
図4b
図5
【手続補正書】
【提出日】2021-10-11
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
海洋構造物を輸送するためのシステムであって、
海洋構造物(2)を受け、受けた海洋構造物(2)のスリップジョイント部(9)とともにスリップジョイント(JT)を形成するように構成された輸送装置(1)、特に船舶又は車両を備え、
前記スリップジョイント(JT)は、前記海洋構造物(2)の前記スリップジョイント部(8)を形成する前記海洋構造物(2)の下端部と、前記輸送装置(1)の補完的スリップジョイント部(9)との間に設けられ、
前記輸送装置(1)の前記スリップジョイント部(9)は円錐面または裁頭円錐面(9A)を含み、前記海洋構造物(2)の前記スリップジョイント部(8)は補完的な円錐面または裁頭円錐面(8A)を含み、
前記スリップジョイント(JT)は、前記海洋構造物の自重の影響下で形成及び/又は維持され、使用中に前記スリップジョイント部(8,9)の前記円錐面または裁頭円錐面(8A,9A)は接合し、前記海洋構造物(2)の重量によって前記海洋構造物(2)が前記輸送装置(1)の前記スリップジョイント部(9)にさらに押し付けられるように設けられ、
前記システムは、固定状態から解放可能状態に移行するように構成されており、前記解放可能状態において、前記輸送装置(1)と前記海洋構造物(2)とが形成する前記スリップジョイント(JT)のスリップジョイント力は、前記固定状態における当該スリップジョイント力よりも小さい、システム。
【請求項2】
前記海洋構造物(2)の前記スリップジョイント部(8)に対して補完的な円錐面または裁頭円錐面を有するスリップジョイント部を含む海洋基礎をさらに備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
スリップジョイントは前記輸送装置の前記スリップジョイント部(9)の上端部を含む、請求項1または2に記載のシステム。
【請求項4】
前記固定状態において、前記海洋構造物(2)は前記輸送装置(1)に固定され、前記解放可能状態において、前記海洋構造物(2)は、吊上げ手段を使用して、前記輸送装置(1)から解放可能である、請求項1から3の何れか一項に記載のシステム。
【請求項5】
前記輸送装置(1)及び前記海洋構造物(2)を互いに対して振動させるための、特に前記スリップジョイント力を低減するための振動発生装置(3)であって、前記振動は、好ましくは実質的に1つ以上の所定の共振周波数において発生する振動発生装置(3)
をさらに備える、請求項1からの何れかに記載のシステム。
【請求項6】
例えば、前記海洋構造物(2)と前記輸送装置(1)との間に分離力(FS)を加えるように構成された1つ以上の機械力発生装置(5)、例えばジャッキ、を含む分離システム(4)
をさらに備える、請求項1からの何れかに記載のシステム。
【請求項7】
前記システム、好ましくは前記輸送装置(1)は、前記スリップジョイント(JT)に加えて、前記海洋構造物(2)と前記輸送装置(1)とを互いにクランプするためのクランプ装置(6)を備え、
前記固定状態において、前記解放可能状態と比較して、前記海洋構造物(2)及び前記輸送装置(1)は、前記クランプ装置(6)によって実質的に互いにクランプされ、
前記クランプ装置(6)は、好ましくは、1つ以上の、例えば2つの、クランプ要素(7)を、好ましくは、前記輸送装置(1)及び/又は前記海洋構造物(2)に向かって延びるそれぞれの1つ以上のクランプ方向(C)に、例えば油圧で押すように構成される、
請求項1からの何れかに記載のシステム。
【請求項8】
前記輸送装置(1)は、前記海洋構造物(2)を受け方向Rにおいて受けるように構成されており、特に、前記海洋構造物(2)の前記スリップジョイント部(9)とともに前記スリップジョイント(JT)を形成するように構成され、
前記受け方向(R)は、前記海洋構造物(2)に作用する重力の方向と実質的に一致し、前記受け方向(R)は、特に、実質的に下方向である、
請求項1からの何れかに記載のシステム。
【請求項9】
吊上げ装置(10)、例えばクレーンなどであって、前記海洋構造物(2)を吊り上げるとともに、好ましくは、特に前記輸送装置(1)に対して、及び/又は別の構造物、例えば積載地ベース構造物(11)及び/又は輸送先ベース構造物(12)に対して前記海洋構造物(2)を位置付けるように構成された、吊上げ装置(10)
をさらに備える、請求項1からの何れかに記載のシステム。
【請求項10】
前記システムは、前記海洋構造物(2)を積載地から輸送するように構成され、
前記システムは、前記積載地における積載地ベース構造物(11)、例えば、基礎であって、例えば、前記海洋構造物(2)とともにスリップジョイント(JL)を形成するように構成された、積載地ベース構造物(11)をさらに備え、
前記システムは、積載ベース固定状態から、積載ベース解放可能状態に移行するように構成され、前記積載ベース解放可能状態において、前記積載地ベース構造物(11)と前記海洋構造物(2)とが形成するスリップジョイント(JL)の前記スリップジョイント力は、前記積載ベース固定状態における当該スリップジョイント力より小さい、
請求項1からの何れかに記載のシステム。
【請求項11】
前記積載地ベース構造物(11)及び前記海洋構造物(2)を互いに対して振動させるための、特にこれらの構造物によって形成される前記スリップジョイント(JL)の前記スリップジョイント力を低減するための振動発生装置(3)を備え、前記振動は、好ましくは実質的に1つ以上の所定の共振周波数において発生する、請求項10に記載のシステム。
【請求項12】
例えば、前記海洋構造物(2)と前記積載地ベース構造物(11)との間に分離力(FS)を加えるように構成された1つ以上の機械力発生装置(5)を含む積載ベース分離システム(13)をさらに備える、請求項10から11の何れかに記載のシステム。
【請求項13】
前記システムは、前記海洋構造物(2)を輸送先に輸送するように構成され、
前記システムは、輸送先に、例えば基礎のような輸送先ベース構造物(12)をさらに備え、
前記輸送先ベース構造物(12)は、前記海洋構造物(2)を受けて、前記海洋構造物(2)の前記スリップジョイント部(9)とともにスリップジョイント(JD)を形成するように構成された、
請求項1から12の何れかに記載のシステム。
【請求項14】
前記輸送装置(1)は、複数の海洋構造物(2)を受け、受けた各海洋構造物(2)の前記スリップジョイント部(9)とそれぞれのスリップジョイント(JT)を形成するよう構成され、
前記システムは、受けた各海洋構造物(2)について、それぞれの固定状態から、それぞれの解放可能状態に移行するように構成され、当該解放可能状態において、前記輸送装置(1)と前記海洋構造物(2)とで形成されたスリップジョイント(JT)の前記スリップジョイント力は、前記固定状態における当該スリップジョイント力よりも小さい、
請求項1から13の何れかに記載のシステム。
【請求項15】
海洋構造物(2)は、1つ以上の風力発電装置(2)及び/又は1つ以上の風力発電部品、例えばパイル(14)及び/又はナセル(15)を含む、
請求項1から14の何れかに記載のシステム。
【請求項16】
前記輸送装置(1)は、海洋構造物(2)を受け、受けた海洋構造物(2)のスリップジョイント部(9)とともに複数のスリップジョイント(JT)を形成するように構成され、
前記システムは、固定状態から解放可能状態に移行するように構成されており、前記解放可能状態において、前記輸送装置(1)と前記海洋構造物(2)とが形成する各スリップジョイント(JT)の前記スリップジョイント力は、前記固定状態におけるそれぞれのスリップジョイント力よりも小さい、
請求項1から15の何れかに記載のシステム。
【請求項17】
海洋構造物を輸送するための方法であって、
輸送装置(1)上に海洋構造物(2)を受け、前記輸送装置(1)と受けた前記海洋構造物(2)との間にスリップジョイント(JT)を形成する工程であって、前記スリップジョイント(JT)は、前記海洋構造物(2)の自重の影響下で形成及び/又は維持され、前記スリップジョイントは、円錐面または裁頭円錐面(8A)を有する前記海洋構造物(2)の下端部を、補完的な円錐面または裁頭円錐面(9A)を有する前記輸送装置(2)のスリップジョイント部(9)上に降ろすことによって形成される、工程と、
前記スリップジョイント(JT)のスリップジョイント力を低減する工程と、
前記スリップジョイント力の低減後に前記海洋構造物(2)を前記輸送装置(1)から解放する工程と
を備える方法。
【請求項18】
前記海洋構造物(2)及び/又は前記輸送装置(1)の振動を、好ましくは実質的に1つ以上の所定の共振周波数で発生させ、それによって前記スリップジョイント(JT)の前記スリップジョイント力を低減させる工程を更に備える請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記海洋構造物(2)と前記輸送装置(1)との間に分離力(FS)を加える工程を更に備える請求項17から18の何れか一項に記載の方法。
【請求項20】
前記分離力(FS)は、前記振動を発生させる前に加えられる、請求項17から19の何れか一項に記載の方法。
【請求項21】
前記分離力(FS)は、前記振動を発生させている間に加えられる、請求項18および請求項19から20の何れかに記載の方法。
【請求項22】
前記輸送装置(1)に対する前記海洋構造物(2)の変位を測定する工程、及び/又は前記海洋構造物(2)と前記輸送装置(1)との間の圧力を測定する工程と、
測定された前記変位及び/又は圧力に応じて前記海洋構造物(2)を前記輸送装置(1)から解放する工程と
を更に備える請求項17から21の何れかに記載の方法。
【請求項23】
特に解放中にアクティブヒーブ補償を使用する工程を更に備える請求項17から22の何れかに記載の方法。
【請求項24】
請求項1から16の何れかに記載のシステムの輸送装置(1)、特に船舶または車両であって、前記輸送装置(1)は、海洋構造物(2)を受け、受けた海洋構造物(2)のスリップジョイント部(9)とともにスリップジョイント(JT)を形成するように構成され、前記輸送装置は、前記海洋構造物の自重によって、前記海洋構造物の下端部とともにスリップジョイントを形成するための少なくとも1つのスリップジョイント部を含み、輸送中に前記スリップジョイントは、前記海洋構造物の重量の影響下で形成及び/又は維持され、前記輸送装置(1)の前記スリップジョイント部(9)および前記海洋構造物(2)の前記スリップジョイント部(8)は相補的な円錐面または裁頭円錐面(8A,9A)を含む、輸送装置(1)。
【請求項25】
前記輸送装置(1)及び前記輸送装置(1)上に受けられた海洋構造物(2)を互いに対して振動させるための、特に前記スリップジョイント(JT)の前記スリップジョイント力を低減させるための、振動発生装置(3)を備える、請求項24に記載の輸送装置。
【請求項26】
例えば、前記海洋構造物(2)と前記輸送装置(1)との間に分離力(FS)を加えるように構成された1つ以上の機械力発生装置(5)を含む分離システム(4)備える、請求項24から25の何れかに記載の輸送装置。
【請求項27】
請求項1から16の何れかに記載のシステムの海洋構造物であって、特に風力発電装置(2)及び/又は1つ以上の風力発電部品(14、15)及び/又は1つ以上の複数部材海洋構造物を含み、
前記海洋構造物(2)は、特に前記海洋構造物(2)を前記輸送装置(1)に固定するために、輸送装置(1)、例えば請求項20から23の何れかに記載の輸送装置のそれぞれのスリップジョイント部(8)とともにスリップジョイント(JT)を形成するように構成されている少なくとも一つのスリップジョイント部(9)を有し、
前記海洋構造物は、前記海洋構造物(2)を受けた輸送装置(1)と前記海洋構造物(2)とを互いに対して振動させるための、特に前記スリップジョイント(JT)の前記スリップジョイント力を低減するための振動発生装置(3)を備える、海洋構造物。
【請求項28】
例えば、輸送装置(1)と前記海洋構造物(2)との間に分離力(FS)を加えるように構成された1つ以上の機械力発生装置(5)を含む分離システム(4)を備える、請求項27に記載の海洋構造物。
【請求項29】
前記スリップジョイントは前記海洋構造物の重量の影響下で形成及び/又は維持される、請求項27から28の何れか一項に記載の海洋構造物。
【請求項30】
前記スリップジョイントは、輸送中に、前記海洋構造物の下端のスリップジョイント部と、前記輸送装置のスリップジョイント部の上端との間に形成され、前記海洋構造物の使用中に、前記海洋構造物の下端のスリップジョイント部と、前記海洋基礎の上端のスリップジョイント部との間に形成される、請求項1から16の何れか一項に記載のシステム、請求項17から23の何れか一項に記載の方法、請求項24から26の何れか一項に記載の輸送装置、または請求項27から29の何れか一項に記載の海洋構造物。
【国際調査報告】