特表 2022-550262 シリンダーヘッド内に一体鋳造された送水ポンプと一体化されたサーモスタットとを有する内燃機関

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)

(12)【公報種別】公表特許公報(A)

(11)【公表番号】

(43)【公表日】2022-12-01

(54)【発明の名称】シリンダーヘッド内に一体鋳造された送水ポンプと一体化されたサーモスタットとを有する内燃機関

(51)【国際特許分類】

   F01P 5/10 20060101AFI20221124BHJP

   F01P 3/02 20060101ALI20221124BHJP

   F01P 3/22 20060101ALI20221124BHJP

   F02F 1/36 20060101ALI20221124BHJP

   F02B 67/00 20060101ALI20221124BHJP

【ＦＩ】

F01P5/10 A

F01P5/10 C

F01P3/02 M

F01P3/22 U

F02F1/36 Z

F02B67/00 G

【審査請求】未請求

【予備審査請求】未請求

(21)【出願番号】P 2022513849

(86)(22)【出願日】2020-09-17

(85)【翻訳文提出日】2022-03-04

(86)【国際出願番号】 EP2020000159

(87)【国際公開番号】W WO2021058125

(87)【国際公開日】2021-04-01

(31)【優先権主張番号】102019006790.8

(32)【優先日】2019-09-27

(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE

(81)【指定国・地域】

(71)【出願人】

【識別番号】592007771

【氏名又は名称】ドイツ アクチェンゲゼルシャフト

(74)【代理人】

【識別番号】100092277

【弁理士】

【氏名又は名称】越場 隆

(74)【代理人】

【識別番号】100155446

【弁理士】

【氏名又は名称】越場 洋

(72)【発明者】

【氏名】スリワ，マルコ

【テーマコード（参考）】

3G024

【Ｆターム（参考）】

3G024AA08

3G024CA13

3G024GA01

(57)【要約】

本発明はシリンダーヘッドハウジングに鋳造成形された送水ポンプを有する少なくとも１つのシリンダーヘッドを含む内燃機関に関する。

【特許請求の範囲】

【請求項1】

シリンダーヘッドハウジングと一体化された送水ポンプ（２）を有する少なくとも１つのシリンダーヘッド（１）を有する内燃機関。

【請求項2】

送水ポンプハウジング（１４）がシリンダーヘッド（１）の鋳造部品の一部である請求項１に記載の内燃機関。

【請求項3】

送水ポンプハウジング（１４）が端部開口部（１３）を有する請求項１または2に記載の内燃機関、

【請求項4】

送水ポンプハウジング（１４）が送水ポンプスクリュー（９）、圧力口通路（４）および吸込口通路（３）を有する請求項１～３のいずれか一項に記載の内燃機関、

【請求項5】

送水ポンプ（２）が少なくとも１つの一体化サーモスタット（５）を含む請求項１～４のいずれか一項に記載の内燃機関、

【請求項6】

送水ポンプ（２）が送水ポンプハウジング（１４）とモジュール（１５）とで構成される請求項１～５のいずれか一項に記載の内燃機関。

【請求項7】

モジュール（１５）がインペラ（１０）、ベアリング付きドライブシャフト（１１）およびハウジングカバー（１２）を含む請求項１～６のいずれか一項に記載の内燃機関。

【請求項8】

モジュール（１５）のハウジングカバー（１２）がネジによって送水ポンプハウジング（１４）に螺合できるように設計されている請求項１～７のいずれか一項に記載の内燃機関。

【請求項9】

送水ポンプ（２）がシリンダークランクケース内のチャネルを介して水の通路（７）によってシリンダーヘッド（１）の冷却水容積に直接接続され、圧力口通（４）がシリンダークランクケースの冷却水容積に直接接続される請求項１～８のいずれか一項に記載の内燃機関。

【請求項10】

請求項１～９のいずれか一項に記載の内燃機関を含む内燃機関の運転方法。

【発明の詳細な説明】

【技術分野】

【0001】

本発明は、シリンダーヘッド内に一体鋳造された送水ポンプ（eingegossener Wasserpumpe）と一体化されたサーモスタット（integriertem Thermostat）とを有する内燃機関に関するものである。

【背景技術】

【0002】

［特許文献１］（特許第３５１７００２Ａ１号公報）にはカムシャフトに直接接続されたウオータポンプを有する水冷内燃機関が開示され、このウオータポンプはカムシャフトによって駆動される。

【0003】

［特許文献２］（ドイツ特許第ＤＥ１０２０１００５０２６１Ｂ３号公報）に開示の機械的に駆動される制御可能な冷却ポンプは、エンジンの全動作範囲での汚染物質の排出、摩擦損失および燃料消費を大幅に削減でき、しかも、追加のアクチュエータを設置せずに、冷却ポンプのサイズ、従って駆動力を大きくせず、追加の要素、例えば排気ガス再循環要素、排気マニホールド、ヒーター等のサイズを小さくでき、製造および設置が簡単で、安価である。冷却水は高い効率でシリンダークランクケースおよびシリンダーヘッド中に留まり、また、操作の安全性および信頼性が高く、エンジン管理システムに高い費用効果で簡単に統合することが可能である。ポンプハウジングにはフロー時に開口するバルブスライドがスライド可能に取り付けられ、スライド作業室への追加のバイパスノズル開口部を備えている。バルブスライドのスライド後壁には圧力リングディスクが配置されるか、スライド後壁自体が圧力リングディスクとして設計され、この圧力リングディスクはベルトプーリー側にあり、一つ／複数の接触面がポンプハウジングの反対側に配置され、これらの接触面に囲まれた一つ／複数の出口開口部がポンプハウジングに配置され、バイパス接続部に開口し、インペラ出口がバルブスライドの外筒によって完全に解放された時にスラストワッシャーがポンプハウジングの接触面と直接または間接的に相互作用して出口開口部を閉じる点に特徴がある。

【0004】

［特許文献３］（国際公開ＷＯ２０１８／１５８２７２Ａ１号公報）に開示された送水ポンプはクランクケースの前面に配置され、ベルトで駆動される。この構造の欠点は送水ポンプがクランクケースの端面に配置されているため一部の用途ではエンジン全体の長さが長くなり過ぎる点にある。

【先行技術文献】

【特許文献】

【0005】

【特許文献1】特許第3517002 A1号公報

【特許文献2】ドイツ特許第DE 10 2010 050 261(B3)号公報

【特許文献3】国際公開WO 2018/158272 A1号公報

【発明の概要】

【発明が解決しようとする課題】

【0006】

本発明の目的は、上記の欠点を回避し、構造寸法、特に長さを短くした内燃機関を提供することである。

【課題を解決するための手段】

【0007】

本発明の上記目的は請求項１に記載の内燃機関および請求項１０に記載の方法によって達成される。また、本発明の有利な実施形態は従属請求項に記載してある。

【図面の簡単な説明】

【0008】

【図1】送水ポンプ、サーモスタットおよび接続部品を備えたシリンダーヘッドの図。

【図2】図１を回転させて示した送水ポンプハウジングを備えたシリンダーヘッドの図。

【図3】シリンダーヘッドを上から見た時のサーモスタットの図。

【図4】図３のＢ－Ｂ断面図。

【図5】図３のＣ－Ｃ断面図。

【図6】図３のモジュール１５の図。

【発明を実施するための形態】

【0009】

以下、２つの例示的な実施形態を使用して本発明をより詳細に説明する。
［図１］に示したシリンダーヘッド１はシリンダーヘッド１中に鋳造成形(キャスト)された送水ポンプ２を有し、この送水ポンプ２はサーモスタット５および接続部品８を有する。

【0010】

エンジン開発ではコンパクトさが重視される。特に、エンジンを設置する機器をコンパクトに保つためにはエンジンの長さ、高さ、幅が重要になる。エンジンの長さ、幅、高さの基準は送水ポンプ２のアタッチメントを含むシリンダーヘッド１である。現在の設計では、シリンダークランクケースの前または上、および／またはシリンダーヘッドの前または上にブラケットを螺合する。一部のコンソールはサーモスタット５と送水ポンプ２への給水ラインを有している。これらの設計には十分に大きさの設置スペースが必要である。他の構造では、シリンダークランクケース内に送水ポンプ２が設置される。この構造ではトラクターの用途で車輪のたわみ（Bereich des Radeinschlages）領域でエンジンを使用できないことが多い。

【0011】

［図２］は［図１］の送水ポンプハウジングを備えた回転シリンダーヘッドを示している。これはモーターの全長、幅、高さを大幅に小さくする一つの解決策で、ラクターの用途で車輪のたわみ領域を妨げるものは何もない。これは送水ポンプスクリュー９、圧力口通路４および吸込口通路３を有する送水ポンプハウジング１４をシリンダーヘッド１内に一体化することで達成される。［図４］に示すように、吸込口通路３および［図５］に示す圧力口通路４および送水ポンプスクリュー９はシリンダヘッド１内に鋳造されている。［図６］に示すように、インペラ１０、ベアリング１１を備えたドライブシャフトおよびハウジングカバー１２はモジュール１５となり、このモジュール１５は［図２］に示す開口部１３を介して送水ポンプハウジング１４に取り付けられる。こうすることによって送水ポンプをエンジンの直ぐ近くに配置することが可能になると同時に、［図１］に見られるように、入口通路６のための十分なスペースをシリンダーヘッド１上に確保することができる。送水ポンプ２の位置が高くなるため、エンジンは高さ方向の幅のみが大きくなるが、外部送水ポンプ２を使用した設計ほど大きくはならい。トラクターの車輪のたわみ領域は影響を受けない。送水ポンプ２を［図１］からの入口チャネル６の前で動かすことによってエンジンの長さは短くなる。

【0012】

［図３］はシリンダーヘッド１を上から見た時のサーモスタット５とモジュール１５とを示している。送水ポンプ２がエンジンの長さを決定することは無くなった。[図３]に見られるように、送水ポンプ２の上にサーモスタット５をさらに追加一体化しても、水の通路７はシリンダーヘッド１と送水ポンプ２とからなるシリンダーの共通鋳造品の一体部分であり、水の通路７のための高さおよび長い距離のスペースを節約することができ、さらに、[図４]に示すように、送水ポンプ２への追加の配管を節約できる。すなわち、シリンダーヘッド１の送水ポンプ２の容積は水の通路７を介してシリンダーブロックの冷却水容量に直接接続される、

【0013】

［図４］は［図３］のＢ?Ｂ断面である。［図１］に示すように、必要なものは１つの接続部品８のみである。この構造によってシール面および水システム全体のライン長さが短くなる。従って、送水ポンプ２をヘッドに統合でき、クーラーへの入口ラインと出口ラインを除いて、少ないコンポーネントとシール面とでラインフリーの冷却システムを構成することができる。

【0014】

［図５］は［図３］のＣ－Ｃ断面で、シリンダーヘッド１と、圧力口通路４と、モジュール１５の一部としての送水ポンプスクリュー９とを示す。圧力口通路４はシリンダークランクケースハウジングの水に直接接続されている。

【0015】

［図６］は［図３］、［図４］および［図５］のモジュール１５を示し、このモジュール１５はインペラ１０と、ベアリング１１を備えたドライブシャフトと、ハウジングカバー１２とを含む。

【符号の説明】

【0016】

１ シリンダーヘッド
２ 送水ポンプ
３ 吸込口通路
４ 圧力口通路
５ サーモスタット
６ 入口通路
７ 水の通路
８ 接続部品
９ 送水ポンプスクリュー
１０ インペラ
１１ ベアリング付きドライブシャフト
１２ ハウジングカバー
１３ フロントオープニング
１４ 送水ポンプハウジング
１５ モジュール

【図1】

【図2】

【図3】

【図4】

【図5】

【図6】

【国際調査報告】