(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-12-01
(54)【発明の名称】ねじれた遠位端要素を備えた吸入器物品
(51)【国際特許分類】
A24F 42/20 20200101AFI20221124BHJP
A24F 42/60 20200101ALI20221124BHJP
A24F 42/80 20200101ALI20221124BHJP
【FI】
A24F42/20
A24F42/60
A24F42/80
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2022516095
(86)(22)【出願日】2020-09-17
(85)【翻訳文提出日】2022-03-11
(86)【国際出願番号】 IB2020058685
(87)【国際公開番号】W WO2021059094
(87)【国際公開日】2021-04-01
(32)【優先日】2019-09-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】596060424
【氏名又は名称】フィリップ・モーリス・プロダクツ・ソシエテ・アノニム
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【識別番号】100109335
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【氏名又は名称】那須 威夫
(74)【代理人】
【識別番号】100167911
【氏名又は名称】豊島 匠二
(72)【発明者】
【氏名】カンピテッリ ジェンナーロ
(72)【発明者】
【氏名】クーデール ガエタン
【テーマコード(参考)】
4B162
【Fターム(参考)】
4B162AA12
4B162AB12
4B162AB28
4B162AC01
4B162AC13
4B162AC41
4B162AE02
(57)【要約】
吸入器物品(110)は、マウスピース端(113)から遠位端(114)へと長軸方向軸(A)に沿って延びる本体(112)と、本体内に画定されるカプセル空洞(116)と、遠位端に配置され、カプセル空洞へと延びる遠位端要素(118)とを備える。遠位端要素は、要素遠位端(120)、要素内側端(122)、中実コア部分(124)、および少なくとも二つの溝(126)を含む。中実コア部分は、要素遠位端から要素内側端へと延びる。少なくとも二つの溝は、要素遠位端から要素内側端へと長軸方向軸に沿って中実コア部分を中心に回転するらせん状の溝である。少なくとも二つのらせん状の溝は、遠位端要素の外表面(128)に沿って延びる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
吸入器物品であって、
マウスピース端から遠位端へと長軸方向中心軸に沿って延びる本体と、
前記本体内に画定されるカプセル空洞と、
前記吸入器物品の前記遠位端に配置され、前記カプセル空洞へと延びる遠位端要素であって、前記遠位端要素が、要素遠位端、要素内側端、中実コア部分、および少なくとも二つの溝を含み、前記中実コア部分が、前記要素遠位端から前記要素内側端へと延び、前記少なくとも二つの溝が、前記要素遠位端から前記要素内側端へと前記長軸方向中心軸に沿って前記中実コア部分を中心に回転するらせん状の溝であり、前記少なくとも二つのらせん状の溝が前記遠位端要素の外表面に沿って延びる、遠位端要素と、を備える、吸入器物品。
【請求項2】
前記遠位端要素が、生分解性材料で形成される、請求項1に記載の吸入器物品。
【請求項3】
前記遠位端要素が、繊維性材料を含む、請求項1または2のいずれかに記載の吸入器物品。
【請求項4】
前記遠位端要素が、多孔性材料で形成される、請求項1~3のいずれかに記載の吸入器物品。
【請求項5】
前記遠位端要素が、セルロース材料で形成される、請求項1~4のいずれかに記載の吸入器物品。
【請求項6】
前記遠位端要素が、セルロースアセテート材料で形成される、請求項1~5のいずれかに記載の吸入器物品。
【請求項7】
前記遠位端要素が、ポリ乳酸材料で形成される、請求項1~4のいずれか一項に記載の吸入器物品。
【請求項8】
前記溝が、前記要素遠位端から前記要素内側端へと少なくとも90度回転する、請求項1~7のいずれかに記載の吸入器物品。
【請求項9】
前記要素遠位端が、前記遠位端と実質的に整列されている、請求項1~8のいずれかに記載の吸入器物品。
【請求項10】
カプセルが、前記吸入器物品の前記カプセル空洞内に配置される、請求項1~9のいずれか一項に記載の吸入器物品。
【請求項11】
前記カプセルがニコチンを含む医薬的に活性な粒子を含有し、前記医薬的に活性な粒子が、約5マイクロメートル以下、または約0.5マイクロメートル~約4マイクロメートルの範囲内、または約1マイクロメートル~約3マイクロメートルの範囲内の空気動力学的中央粒子径を有する、請求項10に記載の吸入器物品。
【請求項12】
吸入器システムであって、
請求項1~11のいずれかに記載の吸入器物品と、
前記吸入器物品を受容するように構成されたホルダーと、を備える、吸入器システム。
【請求項13】
吸入器物品用の遠位端要素を製造する方法であって、前記方法が、
長軸方向軸、外表面、要素材料遠位端、および要素材料内側端を有する遠位端要素材料を提供する工程であって、前記遠位端要素材料が、前記要素材料遠位端から前記要素材料内側端へと延びる前記外表面上の少なくとも二つの溝を含む、提供する工程と、
前記溝が前記長軸方向軸を中心にらせん状に形成されてねじれた遠位端要素を形成するように、前記要素材料遠位端および前記要素材料内側端のうちの少なくとも一つを前記長軸方向軸を中心にねじる工程と、を含む、方法。
【請求項14】
前記ねじる工程が、前記ねじれた遠位端要素形態が維持されるように、前記遠位端要素材料を変形させる、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記ねじる工程が、前記遠位端要素材料遠位端を、前記遠位端要素材料内側端に対して少なくとも90度回転させることを含む、請求項13または14に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ねじれた遠位端要素を有する吸入器物品、およびねじれた遠位端要素を作製する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
乾燥粉末吸入器は、従来の喫煙方法の吸入量または気流量の範囲内の吸入量または気流量で乾燥粉末粒子を肺に提供するために常に完全に適切なわけではない。乾燥粉末吸入器は操作するのに複雑である、またはそれには可動部品が関与する場合がある。乾燥粉末吸入器は多くの場合、一回の呼吸で乾燥粉末用量の全部を提供しようとする。
【0003】
乾燥粉末吸入器は、典型的には、生分解性ではない材料で形成される。加えて、これらの乾燥粉末吸入器は多くの場合、射出成形または鋳造を必要とし得る材料で形成され、これらの部品の組立は、製造プロセスにおける妨げとなる場合があり、高速で生産することは困難である。
【0004】
高速で組み立てられうる吸入器物品を提供することが望ましい。また、従来の紙巻たばこと類似した、持ちやすくユーザーに馴染みのある形態を有する吸入器物品を提供することが望ましい。また、消費者によって便利に使用される吸入器物品を提供することが望ましい。実質的に生分解性である乾燥粉末吸入器を提供することが望ましい。
【発明の概要】
【0005】
本発明の一態様によれば、吸入器物品のマウスピース端から遠位端へと長軸方向軸に沿って延びる本体と、本体内に画定されるカプセル空洞と、遠位端に配置され、カプセル空洞へと延びる遠位端要素とを備える、吸入器物品が提供されている。遠位端要素は、要素遠位端、要素内側端、中実コア部分、および少なくとも二つのらせん状の溝を含む。中実コア部分は、要素遠位端から要素内側端へと延びる。少なくとも二つの溝は、要素遠位端から要素内側端へと長軸方向軸に沿って中実コア部分を中心に回転するらせん状の溝である。少なくとも二つのらせん状の溝は、遠位端要素の外表面に沿って延びる。
【0006】
本発明の一態様によれば、吸入器物品のマウスピース端から遠位端へと長軸方向中心軸に沿って延びる本体と、本体内に画定されるカプセル空洞と、遠位端に配置され、カプセル空洞へと延びる遠位端要素とを備える、吸入器物品が提供されている。遠位端要素は、要素遠位端、要素内側端、中実コア部分、および少なくとも二つのらせん状の溝を含む。中実コア部分は、要素遠位端から要素内側端へと延びる。少なくとも二つの溝は、要素遠位端から要素内側端へと長軸方向中心軸に沿って中実コア部分を中心に回転するらせん状の溝である。少なくとも二つのらせん状の溝は、遠位端要素の外表面に沿って延びる。
【0007】
用語「中実コア部分」は、中実である遠位端要素のコア部分、すなわち、コア部分が内部空洞を有さない、またはコア部分が中空ではないか、またはコア部分が実質的な間隙、チャネルまたは通路を有さないことを指す。中実コア部分は、遠位端要素の全長に沿って均質な材料で形成されてもよい。中実コア部分は、遠位端要素の全長に沿って均質な多孔性材料で形成されてもよい。こうしたコア部分は、遠位端要素の中央部分であり得る。
【0008】
「実質的な間隙、チャネル、または通路」とは、端要素を形成する材料の空孔(存在する場合)よりも大きい開口部を意味すると理解される。実質的な間隙、チャネル、または通路は、1mm以上の横方向寸法を有する開口部を意味すると理解される。
【0009】
マウスピース端から遠位端へと長軸方向軸に沿って延びる本体と、本体内に画定されるカプセル空洞と、吸入器物品の遠位端に配置され、カプセル空洞へと延びる遠位端要素とを備える、吸入器物品も提供されている。遠位端要素は、要素遠位端、要素内側端、および要素遠位端から要素内側端へと延びる遠位端要素の外表面上の少なくとも二つのらせん状の溝を含む。少なくとも二つの溝を有する遠位端要素は、ねじられて、ねじれた遠位端要素を形成してもよい。遠位端要素材料のこうした少なくとも二つの溝は、ねじり前は実質的に直線状であり、ねじり後はらせん状であることが好ましい。
【0010】
遠位端要素は、遠位端プラグであることが好ましい。
【0011】
中実コア部分は、要素遠位端から要素内側端へと延び、連続的な中実コアを形成する。少なくとも二つの溝は、要素遠位端から要素内側端へと長軸方向中心軸に沿って連続的なコアを中心に回転する平行な溝であってもよい。少なくとも二つのらせん状の溝は、遠位端要素の外表面に沿って延びる。中実コア部分は、多孔性材料で形成されてもよい。中実コア部分は、セルロースアセテートなどのセルロース材料で形成されることが好ましい。中実コア部分は、ポリ乳酸材料で形成されることが好ましい。
【0012】
遠位端要素は、生分解性材料で形成されることが好ましい。遠位端要素は、繊維性材料を含むことが好ましい。遠位端要素は、多孔性材料で形成されることが好ましい。遠位端要素は、セルロースアセテートなどのセルロース材料で形成されることが好ましい。遠位端要素は、ポリ乳酸材料で形成されることが好ましい。
【0013】
有利なことに、遠位端要素は、従来の紙巻たばこを組み立てるために使用される材料で形成され得る。有利なことに、吸入器物品は生分解性材料で形成されうる。
【0014】
用語「生分解性」とは、バクテリア分解によって分解されて、ガス(CO2およびN2)、水、バイオマス、および無機塩類などの天然副生成物をもたらすことができる材料を指す。生分解性材料としては、多糖類、セルロース、セルロースアセテート、デンプンゴムなどの植物由来の材料、ポリヒドロキシアルカン酸(PHA)などの微生物由来の材料、およびポリラクチドおよびポリ乳酸(PLA)などの合成材料が挙げられる。これらの生分解性材料は、繊維性または多孔性であり得る。遠位端要素は、生分解性材料、繊維性材料、または多孔性材料で形成され得る。生分解性材料は、例えば、セルロース、セルロースアセテート、またはポリ乳酸であり得る。
【0015】
平行な溝は、要素遠位端から要素内側端へと少なくとも90度回転し得ることが好ましい。平行な溝は、要素遠位端から要素内側端へと少なくとも180度回転してもよい。要素遠位端は、吸入器物品または本体の遠位端と実質的に整列されていることが好ましい。
【0016】
有利なことに、遠位端要素は、使用中のカプセルの効果的な枯渇に有用であり得る、カプセル空洞への吸入気流に対する「渦巻き」効果を提供または生成し得る。有利なことに、この「渦巻き」吸入気流は、ユーザーによる二回以上、または五回以上、または十回以上の吸入もしくは「吸煙」にわたって、カプセルからのニコチン粒子の一部分または一分画の均一な同伴を提供するカプセルの回転を誘発し得る。
【0017】
カプセルは、吸入器物品のカプセル空洞内に配置されることが好ましい。カプセルは、ニコチンを含む医薬的に活性な粒子を含有することが好ましい。医薬的に活性な粒子は、約5マイクロメートル以下、または約0.5マイクロメートル~約4マイクロメートルの範囲内、または約1マイクロメートル~約3マイクロメートルの範囲内の空気動力学的中央粒子径を有してもよい。
【0018】
カプセルは、約20マイクロメートル以上、または約50マイクロメートル以上、または約50~約200マイクロメートル、または約50~150マイクロメートルの範囲内の空気動力学的中央粒子径を有する風味粒子の第二の集団をさらに含有してもよい。
【0019】
本発明の一態様によれば、本明細書に記載の吸入器物品と、吸入器物品を受容するように構成されたホルダーとを備える、吸入器システムが提供されている。
【0020】
ホルダーは、カプセルを起動するために吸入器物品と取り外し可能なように係合可能な貫通要素をさらに含んでもよく、ねじれた遠位端要素は、カプセルを起動する時に貫通要素によって貫通されるように構成される。
【0021】
本発明の一態様によれば、吸入器物品用の遠位端要素を製造する方法が提供されており、方法は、長軸方向軸、外表面、要素材料遠位端および要素材料内側端を有する遠位端要素材料を提供することであって、遠位端要素材料が、要素材料遠位端から要素材料内側端へと延びる外表面上の少なくとも二つの溝を含む、提供することと、溝が長軸方向軸を中心にらせん状に形成されてねじれた遠位端要素を形成するように、要素材料遠位端および要素材料内側端のうちの少なくとも一つを、長軸方向軸を中心にねじることとを含む。
【0022】
ねじる工程は、ねじれた形態が維持されるように遠位端要素材料を変形させることが好ましい。ねじる工程は、要素遠位端を、要素内側端に対して少なくとも90度または少なくとも180度回転させることが好ましい。ねじる工程は、遠位端要素を永久的に変形させることが好ましい。
【0023】
有利なことに、遠位端要素は、簡単かつ確実に形成され得る。有利なことに、遠位端要素は、乾燥粉末吸入器物品に簡単かつ確実に組み立てられ得る。有利なことに、吸入器物品は、従来的な紙巻たばこと類似した形態である。これは、吸入器物品の高速組立または製造を可能にしうる。
【0024】
本明細書に記載の吸入器物品は、従来の喫煙方法の吸入量または気流量の範囲内の吸入量または気流量で乾燥粉末を肺に提供してもよい。ユーザーは、各々の「吸煙」が、カプセル空洞内に包含されたカプセルの中に含有される乾燥粉末の部分量を送達する、複数の吸入もしくは「吸煙」を行い得る。この吸入器物品は、従来の紙巻たばこと類似した形態を有し得、従来の喫煙の決まったやり方を模倣し得る。この吸入器は、製造するのが単純で、かつユーザーが使用するのに好都合であり得る。
【0025】
本明細書に記載の吸入器物品は、貫通要素または貫通装置(ホルダーの一部を形成し得る)と組み合わされて、ニコチン粒子をカプセルからユーザーに送達し得る。貫通要素または貫通装置は吸入器物品の一部分から分離されてもよく、または吸入器物品の一部を形成しなくてもよい。複数の吸入器物品は貫通要素または貫通装置と組み合わせられて、キットを形成してもよい。
【0026】
カプセル空洞を通した気流管理は、吸入中および消費中にカプセルを回転させてもよい。カプセルは、ニコチンを含むニコチン粒子(「ニコチン粉末」または「ニコチン粒子」とも呼ばれる)、および随意に、風味を含む粒子(「風味粒子」とも呼ばれる)を含む。貫通されたカプセルの回転は、貫通されたカプセルから吸入器物品を通して移動する吸入空気中へと放出されたニコチン粒子を懸濁およびエアロゾル化してもよい。風味粒子は、ニコチン粒子よりも大きくてもよく、またニコチン粒子をユーザーの肺に送るのを助け、一方で風味粒子はユーザーの口または口腔に優先的に残る。ニコチン粒子および随意の風味粒子は従来の喫煙方法の吸入量または気流量の範囲内の吸入量または気流量で、吸入器物品で送達されてもよい。
【0027】
「多孔性」という用語は、空孔を含む材料を指す。特に、多孔性とは、空孔を画定する繊維マトリクスで形成された場合の不織布繊維材料を指す。多孔性材料は、約30~約90水柱ミリメートル(mm)の範囲内にある「引き出し抵抗」または「RTD」を有する。
【0028】
「引き出し抵抗」または「RTD」という用語は、体積流量が出力端で17.5ミリリットル/秒である安定した条件下での空気の流れによって横断された時の、標本の二つの端部間の静的圧力差を指す。標本のRTDは、ISO規格6565:2002に記載の方法を使用して測定できる。
【0029】
「ニコチン」という用語は、ニコチンおよびニコチン誘導体(例えば、遊離塩基ニコチン、ニコチン塩、ならびにこれに類するものなど)を意味する。
【0030】
「風味剤」または「風味」という用語は、その消費中または吸入中にニコチンの味覚特性または芳香特性を変化させる、また変化させるよう意図されている、感覚刺激性の化合物、組成物、または材料を指す。「風味剤」または「風味」という用語は、風味抽出物製造業組合(FEMA)の風味成分ライブラリに開示された化合物、および特にGRAS風味付け物質に関する出版物3~27(例えば、Hall,R.L.&Oser,B.L.,Food Technology,February 1965 pg151-197)、GRAS風味付け物質27(S.M.Cohen et al.,Food Technology Aug.2015 pg.40-59)、および介在するGRAS風味付け物質に関する出版物4~26に開示された化合物を指すことが好ましい。本開示の目的において、ニコチンは風味剤または風味としては考えられない。
【0031】
「上流」および「下流」という用語は、吸入気流が吸入器の本体を通して遠位端からマウスピース部分に引き出される際の吸入気流の方向に関して説明される吸入器の要素の相対的な位置を指す。
【0032】
「近位」および「遠位」という用語は、ホルダー、吸入器物品、またはシステムの構成要素または構成要素の部分の相対的位置を描写するために使用される。本発明による吸入器物品は、使用時にユーザーに送達するために粒子が吸入器物品の近位端を抜け出る近位端と、吸入器物品に入ってくる吸入気流を受容する対向する遠位端とを有する。吸入器物品の近位端はまた、口側の端と呼ばれることもある。
【0033】
本明細書で使用される単数形(「一つの(a)」、「一つの(an)」、および「その(the)」)は、複数形の対象を有する実施形態を包含するが、その内容によって明らかに別途定められている場合はその限りではない。
【0034】
本明細書で使用される「または」は概して、「および/または」を含む意味で使用されるが、その内容によって明らかに別途定められている場合はその限りではない。「および/または」という用語は、列挙された要素の一つもしくはすべて、または列挙された要素のうちの任意の二つ以上の組み合わせを意味する。
【0035】
本明細書で使用される「有する、持つ(have)」、「有している、持っている(having)」、「含む(include)」、「含まれる(including)」、「備える(comprise)」、「備える(comprising)」、またはこれに類するものは制約のない意味で使用され、概して「含むが、これに限定されない」を意味する。当然のことながら、「から本質的に成る(consisting essentially of)」、「から成る(consisting of)」、およびこれに類するものは、「含む(comprising)」およびこれに類するものに包摂される。
【0036】
「好ましい」および「好ましくは」という語は特定の状況下で、特定の利点をもたらす場合がある本発明の実施形態を指す。しかしながら、同一の状況下または他の状況下で、他の実施形態もまた好ましいものである場合がある。その上、一つ以上の好ましい実施形態の列挙は、その他の実施形態が有用ではないことを暗示するものではなく、また特許請求の範囲を含む本開示の範囲から他の実施形態を除外することを意図しない。
【0037】
本開示による吸入器物品は、マウスピース端から遠位端へと長軸方向中心軸に沿って延びる本体を含む。カプセル空洞は本体の中に画定される。遠位端要素は、遠位端に配置され、かつカプセル空洞へと延びる。遠位端要素は、要素遠位端、およびカプセル空洞に隣接する要素内側端を含む。遠位端要素は、連続的な中実コア部分、および要素遠位端から要素内側端へと延びる少なくとも二つのらせん状の溝を含む。少なくとも二つのらせん状の溝は、要素遠位端から要素内側端へと長軸方向中心軸に沿って連続的な中実コア部分を中心に回転する平行な溝である。少なくとも二つのらせん状の溝は、遠位端要素の外表面または外周に沿って延び得る。
【0038】
吸入器物品の本体、または「吸入器本体」は、任意の適切な形状を有し得る。吸入器物品の本体、または「吸入器本体」は、サイズおよび形状が喫煙物品または従来の紙巻たばこに似ていてもよい。吸入器本体は、吸入器物品の長軸方向中心軸に沿って延びる細長い円筒状の本体を有してもよい。言い換えれば、吸入器本体は、吸入器本体のその他の寸法よりも実質的に大きい長さを有しうる。吸入器本体は、吸入器本体の長さに沿って実質的に均一な外径を有し得る。吸入器本体は、吸入器本体の長さに沿って実質的に均一な内径を有し得る。吸入器本体は、任意の適切な横断面形状を有しうる。例えば、横断面は、円形、楕円形、正方形、または長方形でありうる。吸入器本体は、吸入器本体の長さに沿って均一であって細長い円筒状の本体を形成する、円形断面を有してもよい。吸入器本体は、吸入器物品の外側ラッパーであってもよく、または吸入器物品の外側ラッパーを画定してもよい。
【0039】
吸入器本体は、約6mm~約10mm、または約6mm~約9mm、または約6mm~約8mmの範囲内の外径を有してもよい。吸入器本体は、約40mm~約100mm、または約40mm~約80mm、または約40mm~約60mmの範囲内の長さ(長軸方向軸に沿った)を有し得る。
【0040】
吸入器本体は、高分子もしくはセルロース系材料、または任意のその他の適切な材料で形成されうる。吸入器本体は、生分解性材料で形成されてもよい。吸入器本体は、板紙または厚紙で形成されてもよい。吸入器本体は、その長さに沿って均一な厚さを有しうる。吸入器本体は、約1mm~約2mmの範囲の厚さを有しうる。
【0041】
吸入器本体は、本体が遠位端要素からマウスピース端へと連続的に延びる単一構造を形成し得る。遠位端要素、カプセル空洞(および存在する場合はカプセル)、および多孔性支持要素(またはフィルター)は、吸入器本体内に直列に配置されてもよい。言い換えれば、遠位端要素、カプセル空洞(および存在する場合はカプセル)、多孔性支持要素(またはフィルター)は、吸入器本体の長軸方向軸に沿って端と端を接して配設されてもよい。多孔性支持要素(またはフィルター)は、本体のマウスピース内に配置されてもよい。マウスピース空気チャネルは、多孔性支持要素(またはフィルター)からマウスピース端へと延びてもよい。多孔性支持要素(またはフィルター)は、吸入器装置のカプセル空洞からマウスピース端へと延びてもよい。
【0042】
吸入器本体は、二つ以上の部分で形成されてもよい。二つ以上の部分は、直列に隣接する関係で軸方向に整列されて、またひとまとめにされて吸入器本体を形成してもよい。ラッパーは、二つ以上の部分をひとまとめにするために利用され得る。ラッパーは生分解性材料であってもよい。ラッパーは紙ラッパーであってもよい。
【0043】
遠位端要素は、本体の遠位端内に配置されてもよい。要素遠位端は、本体の遠位端と実質的に整列されてもよい。遠位端要素は、カプセル空洞の上流境界を画定し得る。
【0044】
遠位端要素は、吸入器本体のカプセル空洞内に渦巻き気流を誘発するように構成され得る。遠位端要素は、要素遠位端において吸入器本体のカプセル空洞内に空気が入り、遠位端要素を通して延び、要素内側端において空気が出る、空気チャネルまたは通路を形成するらせん状の溝を含み得る。遠位端要素は、空気がらせん状の溝を通って、そしてカプセル空洞を通って流れるのにつれて、回転気流または渦巻き気流を誘発し得る。吸入器装置を通した気流は、要素遠位端において吸入器装置に入り、吸入器装置の長軸方向軸に沿って流れ、吸入器装置の近位端においてマウスピース端を出ることが好ましい。
【0045】
遠位端要素は、要素遠位端と要素内側端との間に吸入器本体の長軸方向軸(または長軸方向中心軸)に沿って延びる長さを有し得る。遠位端要素は、約5mm~約15mmなど、任意の適切な長さを有し得る。遠位端要素は、約7mm~約12mmの範囲内の長さを有し得る。
【0046】
遠位端要素(外周を含む)は、吸入器本体の内径を実質的に占め得る。遠位端要素は、約7mm~約7.5mm、または約7.1mm~約7.2mmの範囲内の外径を有してもよい。遠位端要素は、本体の内表面内に内表面に対して嵌合するようにサイズ設定および形状設定され得る。遠位端要素は、吸入器本体の内表面と摩擦嵌めまたは締り嵌めを形成するのに十分な外径を有し得る。
【0047】
遠位端要素の溝は、本体の内表面に沿って延びてもよい。溝は、本体の内表面によって遠位端要素の外周に沿って長軸方向に閉じられていてもよい。溝は、遠位端要素の外表面または外周に沿って画定されてもよい。溝は、遠位端要素の外表面に沿って開放されていてもよい(閉じられていない)。
【0048】
遠位端要素の溝は、コアの外径から遠位端要素の外周へと延びてもよい。言い換えれば、コアの外径は、溝の内周を画定し得る。遠位端要素は、吸入器装置の長軸方向軸(または長軸方向中心軸)に非平行に延びる少なくとも二つのらせん状の溝を含み得る。溝は、遠位端要素の全長に沿って吸入器装置の長軸方向軸と連続的に非平行であってもよい。少なくとも二つの溝は、遠位端要素の長軸方向の長さに沿って、湾曲直線状またはらせん状に延び得る。少なくとも二つの溝は、互いに平行に延びる。少なくとも二つの溝は、好ましくは三つの溝を含んでもよく、好ましくは四つの溝を含んでもよく、好ましくは四つ以上の溝を含んでもよい。少なくとも二つの溝は、遠位端要素の外周に沿って延びることが好ましい。少なくとも二つの溝は、互いから半径方向にオフセットされてもよい。少なくとも二つの溝は、遠位端要素の外周の周りに等しく半径方向に離隔してもよい。
【0049】
溝は各々、外周にコアから半径方向に延びる遠位端要素の略長方形の延長によって画定される側面を有する、略三角形の断面を有してもよい。言い換えれば、溝の各々は、外周において、遠位端要素のコアの外部の隣接する延長の間に延びる。少なくとも二つの溝は、カプセル空洞に渦巻き気流を提供するために、半円形断面、略長方形もしくは正方形断面、または他の適切な断面形状などの、任意の適切なまたは有用な形状を有し得る。溝は、約1平方mm~約2平方mm、または約1.4平方mm~約1.8平方mmの範囲内、または約1.6平方mmの総空気吸込み口断面積を画定し得る。用語「総空気吸込み口断面積」とは、吸入器物品のカプセル空洞内に吸入空気を提供するすべての空気吸込み口の断面積の合計を指す。
【0050】
遠位端要素のコアは、遠位端要素の長軸方向軸に沿って中央に配置されてもよい。コアおよび溝は各々、要素遠位端から要素内側端へと連続的に延び得る。コアは、連続的な材料の本体として形成されてもよい。コアは、連続的な材料の中実体として形成されてもよい。コアは、遠位端要素の長軸方向の全長に延びる連続的な中実コアを形成することが好ましい。
【0051】
コアは、物品の長軸方向中心軸に沿って延びてもよい。コアは、円形断面を有してもよい。コアは、遠位端要素の直径の約50%~約75%の範囲内の直径を有してもよい。コアは、約4mm~約6mm、または約4.7mm~約5mm、または約4.8mm~約4.9mmの範囲内の直径を有してもよい。
【0052】
遠位端要素は、繊維性材料で形成されてもよい。遠位端要素は、多孔性材料で形成されてもよい。遠位端要素は、生分解性材料またはバイオベース材料で形成されてもよい。遠位端要素を形成するために使用され得る一部の生分解性またはバイオベースの材料には、ポリビニルアルコール(PVOH)、ポリ乳酸(PLA)、またはポリヒドロキシブチレート(PHB)が含まれる。
【0053】
遠位端要素は、カプセル空洞内のカプセルの機械的貫通を可能にするために貫通要素の通過を可能にするのに十分に多孔性または繊維性であり得る。遠位端要素は、貫通要素が遠位端要素から取り除かれると、貫通要素によって形成された貫通開口部を回復または充填し得る。
【0054】
遠位端要素は、セルロース材料で形成されてもよい。遠位端要素は、セルロースアセテート材料で形成されてもよい。遠位端要素は、ポリ乳酸材料で形成されてもよい。
【0055】
遠位端要素は、溝が湾曲直線状になるように、少なくとも二つの直線状の溝を有する遠位端要素材料を、長軸方向中心軸を中心にねじることによって形成され得る。遠位端要素は、遠位端要素が、その後らせん状の形態にねじられる直線状の溝を含むように、押出成形プロセスを用いて形成され得る。ねじるプロセスは、要素遠位端を、要素内側端に対して少なくとも90度回転させ得る。ねじるプロセスは、要素遠位端を、要素内側端に対して少なくとも180度回転させ得る。遠位端要素材料は、コアが長軸方向中心軸に沿って連続的に延び、溝が平行ならせん状形成へと移動するようにねじられてもよい。
【0056】
ねじるプロセスは、溝が長軸方向軸を中心にらせん状に形成されてねじれた遠位端要素を形成するように、遠位端要素材料を変形させ得る。ねじるプロセスは、ねじれた形態を維持するように遠位端要素を変形させてもよい。
【0057】
遠位端要素は、遠位端要素をねじれた形態で永久的に貼り付けられるように噴霧または被覆されてもよい。遠位端要素は、押出成形プロセスによって形成されてもよく、押出成形ダイヘッドは回転して、遠位端要素が押出成形されるのにつれて外周上にらせん状のパターンで溝を形成して、所望のピッチおよび深さを有する溝を形成する。遠位端要素は、吸入器の本体に挿入される前に適切な長さに切断されてもよい。
【0058】
カプセル空洞は、遠位端要素と軸方向に整列されて、遠位端要素と下流直列配設されてもよい。遠位端要素は、カプセル空洞の上流端または遠位端または境界を形成し得る。カプセル空洞は、カプセルを包含するように構成された円筒状の空間を画定しうる。カプセル空洞は、長円のまたは丸みのある長方形の形状を有するカプセルを受容するように構成された空間を画定し得る。カプセル空洞は、カプセル空洞の長さに沿って実質的に均一な、または均一な直径を有してもよい。カプセル空洞は、カプセル空洞の長さに沿って円形の横断面を有してもよい。カプセル空洞は、円筒形状を有しうる。カプセルに対するカプセル空洞の構成は、カプセルがカプセル空洞内で安定性を有して回転することを可能にしてもよい。カプセルの長軸方向軸は、吸入中に吸入器本体の長軸方向軸を中心に安定性を有して回転してもよい。
【0059】
安定な回転は、吸入器本体の長軸方向軸がカプセルの回転軸と実質的に平行であることを意味する。安定な回転は、回転するカプセルの前進の欠如を意味する場合がある。吸入器本体の長軸方向軸は、カプセルの回転の軸と実質的に同一の広がりを持つことが好ましい。カプセルの安定な回転は、消費者による二回以上、または五回以上、または十回以上の「吸煙」にわたって、カプセルからのニコチン粒子の一部分の均一な混入を提供してもよい。
【0060】
カプセル空洞は、遠位端要素の上流端または内側端で境界がつけられ、かつ下流端で多孔性支持要素またはフィルターによって境界がつけられた、固定の空洞の長さを有してもよい。カプセル空洞は、その中に包含されたカプセルの長さの少なくとも約110%~約200%未満の空洞の長さ、またはカプセルの長さの約120%~約130%の空洞の長さ、またはカプセルの長さの約125%の空洞の長さを有してもよい。空洞の長さは約15mm~約25mmの範囲内であってもよく、カプセルの長さは約14mm~約18mmの範囲であってもよく、または空洞の長さは約20mmであってもよく、カプセルの長さは約16mmであってもよい。空洞の長さは、約20mmであってもよい。カプセル空洞および遠位端要素は、約25mm~約35mmの組み合わされた長さを有してもよく、または組み合わされた長さは約27mm~約32mmであってもよい。
【0061】
カプセル空洞は長軸方向軸と直交する空洞内径を有し、またカプセルはカプセル外径を有する。カプセル外径は空洞内径の約80%~約99%の範囲内であってもよく、またはカプセル外径は空洞内径の約85%~約95%の範囲内であってもよく、またはカプセル外径は空洞内径の約90%であってもよい。カプセル外径は約5.4mm~約6.4mmの範囲であってもよく、空洞内径は約6mm~約7mmの範囲であってもよい。
【0062】
挿入本体は、カプセル空洞内に含まれてもよい。挿入本体は、カプセルを包含するように構成された円筒状の空間を画定し得る。挿入本体は、カプセル空洞に沿って本体に追加的な剛性を提供し得る。挿入本体は、カプセル空洞の長さに沿って実質的に均一な、または均一な直径を有し得る。挿入本体は、その中に包含されたカプセルの長さの少なくとも約110%~約200%未満の長さ、またはカプセルの長さの約120%~約130%の長さ、またはカプセルの長さの約125%の長さを有してもよい。挿入本体は、本体と同じまたは異なる材料で形成されてもよい。挿入本体は、板紙または厚紙で形成されることが好ましい。
【0063】
カプセル空洞は、上流端で遠位端要素によって境界がつけられ、かつ下流端またはマウスピース側で多孔性支持要素またはフィルターによって境界がつけられてもよい。遠位端要素および多孔性支持要素は、カプセルをカプセル空洞内で長軸方向に包含するように協働し得る。遠位端要素および多孔性支持要素は各々、細長い吸入器本体の内径を占めてもよい。多孔性支持要素は、気流が細長い吸入器本体の断面に沿って、多孔性支持要素を通して均一な気流を呈することを可能にしうる。多孔性支持要素は、乱流効果または周縁効果を低減し、かつカプセル空洞を通して所望の気流パターンを確保または維持するように、フィルターまたはディフューザーとして機能してもよい。多孔性支持要素は、貫通要素が遠位端で吸入器物品に受容され、カプセルを貫通してカプセルを起動する際に、カプセルに支持を提供することによるなど、カプセルの起動中にカプセル空洞の内側のカプセルを支持しうる。
【0064】
カプセルは消費の前に、吸入器物品内に密封されていてもよい。輸送および保管のために、吸入器物品は、密封されたまたは気密の容器または袋の中に包含されていてもよい。吸入器物品は、吸入器物品の遠位端の一つ以上の空気吸込み口チャネル、または吸入器物品のマウスピース端の空気出口を覆うための、一つ以上の剥離可能なシール層を含み得る。これは、吸入器物品が適切な衛生状態および新鮮さを維持することを確実にし、またはカプセルが乾燥して硬くなったり、破砕しやすくなることを防止し得る。
【0065】
カプセルは、空気が吸入器物品を通して引き出される時に、その長軸方向軸または長軸方向中心軸を中心に回転してもよい。カプセルは、カプセル内部の粒子を実質的に包含する気密材料で形成されてもよい。カプセルは、カプセルがカプセル空洞内にある時に、貫通要素によって貫通または穿孔されるように構成されうる。貫通要素は、吸入器物品と別個でもよく、または組み合わされてもよい。カプセルは任意の適切な材料で形成されうる。カプセルは金属材料または高分子材料で形成されてもよく、この材料は汚染物質をカプセルに入れないように機能するが、カプセル内からのニコチン粒子の放出を可能にするために消費前に貫通要素によって貫通または穿孔され得る。カプセルは高分子材料で形成され得る。高分子材料はヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)であってもよい。カプセルは任意の適切なサイズを有しうる。カプセルは、サイズ1~サイズ4カプセル、またサイズ3カプセル、またはサイズ3カプセルとし得る。
【0066】
吸入器システムは、本明細書に記載の吸入器物品と、吸入器物品を受容するように構成されたホルダーとを含む。ホルダーは、吸入器装置のカプセル空洞内に配置されるカプセルを起動または貫通するための貫通要素を含み得る。
【0067】
吸入器システムは、金属または剛直な針などの別個の貫通要素を備え得る。貫通要素は、カプセル空洞内に受容されたカプセルを通して単一の開口部を形成する。貫通要素は、遠位端要素の連続的な中実コア部分を通過し、カプセル空洞内に入るように構成され得る。遠位端要素の連続的な中実コア部分は、上述したように、多孔性材料で形成され得る。遠位端要素は、貫通要素が吸入器物品から取り除かれた後に実質的にセルフシールであり得る。
【0068】
カプセルは、ニコチンを含むニコチン粒子(「ニコチン粉末」または「ニコチン粒子」とも呼ばれる)、および随意に、風味を含む粒子(「風味粒子」とも呼ばれる)を含む。カプセルは所定の量のニコチン粒子および随意の風味粒子を包含し得る。カプセルは、少なくとも2回の吸入もしくは「吸煙」、または少なくとも約5回の吸入もしくは「吸煙」、または少なくとも約10回の吸入もしくは「吸煙」を提供するのに十分なニコチン粒子を含有し得る。カプセルは、約5~50回の吸入もしくは「吸煙」、または約10~30回の吸入もしくは「吸煙」を提供するのに十分なニコチン粒子を含み得る。各々の吸入または「吸煙」は、約0.1mg~約3mgのニコチン粒子をユーザーの肺に、または約0.2mg~約2mgのニコチン粒子をユーザーの肺に、または約1mgのニコチン粒子をユーザーの肺に送達し得る。
【0069】
ニコチン粒子は、採用される特定の製剤に基づいてニコチンの任意の有用な濃度を有し得る。ニコチン粒子は、少なくとも約1重量%~最高約30重量%のニコチン、または約2重量%~約25重量%のニコチン、または約3重量%~約20重量%のニコチン、または約4重量%~約15重量%のニコチン、または約5重量%~約13重量%のニコチンを有し得る。各々の吸入もしくは「吸煙」で、約50~約150マイクログラムのニコチンがユーザーの肺に送達され得ることが好ましい。
【0070】
カプセルは、少なくとも約5mgのニコチン粒子、または少なくとも約10mgのニコチン粒子を保持または含有し得る。カプセルは約900mg未満のニコチン粒子、または約300mg未満のニコチン粒子、または150mg未満のニコチン粒子を保持または含有し得る。カプセルは、約5mg~約300mgのニコチン粒子、または約10mg~約200mgのニコチン粒子を保持または含有し得る。
【0071】
カプセルの中で風味粒子がニコチン粒子とブレンドされたまたは組み合わせられた時に、ユーザーに送達される毎回の吸入もしくは「吸煙」に所望の風味を提供する量の風味粒子が存在し得る。
【0072】
ニコチン粒子は、ユーザーの肺の中に優先的に吸入送達するために有用な任意のサイズ分布を有し得る。カプセルはニコチン粒子以外の粒子を含み得る。ニコチン粒子およびその他の粒子は粉末システムを形成し得る。
【0073】
カプセルは、少なくとも約5mgの乾燥粉末(粉末システムとも呼ばれる)または少なくとも約10mgの乾燥粉末を保持または含有し得る。カプセルは、約900mg未満の乾燥粉末、または約300mg未満の乾燥粉末、または約150mg未満の乾燥粉末を保持または含有し得る。カプセルは、約5mg~約300mgの乾燥粉末、または約10mg~約200mgの乾燥粉末、または約25mg~約100mgの乾燥粉末を保持または含有し得る。
【0074】
乾燥粉末または粉末システムは、約5マイクロメートル以下、または約1マイクロメートル~約5マイクロメートルの範囲内の粒子サイズのニコチン粒子から成る粉末システムの少なくとも約40重量%、または少なくとも約60重量%、または少なくとも約80重量%を有し得る。
【0075】
ニコチンを含む粒子の空気動力学的中央粒子径は、約5マイクロメートル以下、または約0.5マイクロメートル~約4マイクロメートルの範囲内、または約1マイクロメートル~約3マイクロメートルの範囲内、または約1.5マイクロメートル~約2.5マイクロメートルの範囲内であり得る。空気動力学的中央粒子径は、カスケードインパクターで測定することが好ましい。
【0076】
風味を含む粒子は、約20マイクロメートル以上、または約50マイクロメートル以上、または約50~約200マイクロメートルの範囲内、または約50~約150マイクロメートルの範囲内の空気動力学的中央粒子径を有し得る。空気動力学的中央粒子径は、カスケードインパクターで測定することが好ましい。
【0077】
乾燥粉末は、約60マイクロメートル以下、または約1マイクロメートル~約40マイクロメートルの範囲内、または約1.5マイクロメートル~約25マイクロメートルの範囲内の中央粒子径を有し得る。中央粒子径は質量あたりの中央粒子径を意味し、またレーザー回折、レーザー拡散、または電子顕微鏡によって測定することが好ましい。
【0078】
粉末システム中またはニコチン粒子中のニコチンは、医薬品として許容可能な遊離塩基ニコチン、またはニコチン塩もしくはニコチン塩水和物であり得る。有用なニコチン塩またはニコチン塩水和物には例えば、ピルビン酸ニコチン、クエン酸ニコチン、アスパラギン酸ニコチン、乳酸ニコチン、重酒石酸ニコチン、サリチル酸ニコチン、フマル酸ニコチン、モノ-ピルビン酸ニコチン、グルタミン酸ニコチン、またはニコチン塩酸塩が挙げられる。ニコチンと結合して塩または塩水和物を形成する化合物は、その予想される薬理学的効果に基づいて選択され得る。
【0079】
ニコチン粒子はアミノ酸を含むことが好ましい。アミノ酸はL-ロイシンなどのロイシンであってもよいことが好ましい。ニコチンを含む粒子にL-ロイシンなどのアミノ酸を提供することは、ニコチンを含む粒子の接着力を低減する場合があり、またニコチン粒子間の引力を低減し、それ故にニコチン粒子の凝集を低減し得る。同様に、風味を含む粒子に対する接着力も低減し得、それ故にニコチン粒子の風味粒子との凝集も低減する。それ故に、本明細書に記載の粉末システムは自由流動材料であり得、またニコチン粒子と風味粒子が組み合わせられる時でも、各々の粉末構成成分の安定した相対的な粒子サイズを有する。
【0080】
ニコチンは表面修飾したニコチン塩であり得ることが好ましく、その場合、ニコチン塩粒子は被覆された粒子または複合粒子を含む。好ましい被覆材料または複合材料はL-ロイシンであり得る。一つの特に有用なニコチン粒子は、L-ロイシンを含む重酒石酸ニコチンであり得る。
【0081】
粉末システムは風味粒子の集団を含み得る。風味粒子は、選択的にユーザーの口または口腔に吸入送達するために有用な任意のサイズ分布を有し得る。
【0082】
粉末システムは、約20マイクロメートル以上の粒子サイズの粒子から成る粉末システムの風味粒子の集団の少なくとも約40重量%、または少なくとも約60重量%、または少なくとも約80重量%を有し得る。粉末システムは、約50マイクロメートル以上の粒子サイズの粒子から成る粉末システムの風味粒子の集団の少なくとも約40重量%、または少なくとも約60重量%、または少なくとも約80重量%を有し得る。粉末システムは、約50マイクロメートル~約150マイクロメートルの範囲内の粒子サイズの粒子から成る粉末システムの風味粒子の集団の少なくとも約40重量%、または少なくとも約60重量%、または少なくとも約80重量%を有し得る。
【0083】
風味を含む粒子は、接着力または表面エネルギーおよび結果としてもたらされる凝集を低減する化合物を含み得る。風味粒子は接着力低減化合物を用いて表面修飾されて、被覆された風味粒子を形成し得る。一つの好ましい接着力低減化合物は、ステアリン酸マグネシウムであり得る。ステアリン酸マグネシウムなどの接着力低減化合物を風味粒子に提供すること、特に風味粒子を被覆することは、風味を含む粒子の接着力を低減する場合があり、また風味粒子の間の引力を低減し、それ故に風味粒子の凝集を低減する場合がある。それ故に、ニコチン粒子を有する風味粒子の凝集も低減する場合がある。それ故に、本明細書に記載の粉末システムは、ニコチン粒子と風味粒子が組み合わせられる時でも、ニコチンを含む粒子と風味を含む粒子の安定した相対的な粒子サイズを有してもよい。粉末システムは自由流動であり得ることが好ましい。
【0084】
乾燥粉末吸入用の従来的な製剤は、活性粒子が吸入器を通る単純な気流による影響を受けるには小さすぎる場合があるため、活性粒子の流動化を増大するように機能する担体粒子を含有する。粉末システムは担体粒子を含み得る。これらの担体粒子は、約50マイクロメートル超の粒子サイズであり得るラクトースまたはマンニトールなどのサッカリドであり得る。担体粒子は製剤中で希釈剤または膨化剤として作用することによって、用量の均一性を改善するために利用され得る。
【0085】
本明細書に記載のニコチン粉末送達システムとともに利用される粉末システムは、担体を含まなくてもよく、またはラクトースもしくはマンニトールなどのサッカリドを実質的に含まなくてもよい。担体を含まない、またはラクトースもしくはマンニトールなどのサッカリドを実質的に含まないことは、典型的な喫煙方法での吸入量または気流量と類似の吸入量または気流量でニコチンが吸入され、かつユーザーの肺に送達されることを可能にし得る。
【0086】
ニコチン粒子と風味は、単一のカプセル内に組み合わせられ得る。上述の通り、ニコチン粒子および風味はそれぞれ、低減された接着力を有してもよく、それらが安定な粒子製剤をもたらし、この場合ではニコチンを含む粒子と風味含む粒子が組み合わせられた時に各構成要素の粒子サイズは実質的に変化しない。別の方法として、粉末システムは、単一のカプセルの中に含有されたニコチン粒子と、第二のカプセルの中に含有された風味粒子とを含む。
【0087】
ニコチン粒子および風味粒子は、ニコチン粒子とともに消費された時にユーザーが風味粒子を検知するように、任意の有用な相対的な量で組み合わせられ得る。ニコチン粒子および風味粒子は、粉末システムの全重量の少なくとも約90重量%、または少なくとも約95重量%、または少なくとも約99重量%、または100重量%を形成することが好ましい。
【0088】
吸入器および吸入器システムは、従来の乾燥粉末吸入器と比較して、より複雑ではなく、また単純化された気流経路を有する。有利なことに、吸入器本体の中のカプセルの回転は、ニコチン粒子または粉末システムをエアロゾル化し、また自由流動粉末の維持を支援する場合がある。それ故に、吸入器物品は、上述のニコチン粒子を肺に深く送達するために、従来の吸入器によって典型的に利用される高い吸入量を必要としない場合がある。
【0089】
吸入器物品は、約5L/分未満、または約3L/分未満、または約2L/分、または約1.6L/分未満の流量を使用し得る。好ましくは、流量は、約1L/分~約3L/分または約1.5L/分~約2.5L/分の範囲内であり得る。好ましくは、吸入量または流量は、カナダ保健省(Health Canada)の喫煙方法の流量と同様であり、すなわち約1.6L/分であり得る。
【0090】
吸入器システムは、従来の紙巻たばこの喫煙または電子たばこのベイピングのように、消費者によって使用され得る。こうした喫煙またはベイピングは二つの工程によって特徴付けられることができ、第一の工程では、消費者が所望するニコチンの全量を含有する少量が口腔の中に引き出され、それに続く第二の工程では、所望の量のニコチンを含むエアロゾルを含むこの少量が新鮮な空気によってさらに希釈され、肺の中により深く引き出される。どちらの工程も消費者によって制御される。第一の吸入工程中に、消費者は吸入されるニコチンの量を決定し得る。第二の工程中に、消費者は肺の中により深く引き出される第一の量を希釈するための量を決定し得、気道の上皮表面に送達される活性剤の濃度が最大化される。この喫煙のメカニズムは時に、「吸煙-吸入-吐出」と呼ばれる。
【0091】
本発明の乾燥粉末吸入器で利用される乾燥粉末は、「吐出」段階中に、医薬的に活性な粒子のあらゆる吐出を無くす、または実質的に減少させる場合がある。医薬的に活性な粒子のほぼすべて、または少なくとも約99%、または少なくとも約95%、または少なくとも90%は、肺に送達される粒子サイズを有するが、通常呼吸によって吐出されるのに十分に小さくないことが好ましい。この医薬的に活性な粒子サイズは、約0.75マイクロメートル~約5マイクロメートル、または0.8マイクロメートル~約3マイクロメートル、または0.8マイクロメートル~約2マイクロメートルの範囲内であってもよい。
【0092】
本明細書に記載の吸入器物品は、カプセルを貫通することによって吸入器物品を起動し、吸入器物品内のカプセルの確実な起動を提供し(ホルダーの貫通要素でカプセルを貫通することによって)、そしてカプセル内部に収容された粒子を放出して、物品が粒子を消費者に送達することを可能にする、ホルダーと組み合わされ得る。ホルダーは吸入器物品とは別個のものであるが、消費者は、吸入器物品内で放出される粒子を消費しながら、吸入器物品およびホルダーの両方を利用しうる。複数のこれらの吸入器物品は、ホルダーと組み合わせられて、システムまたはキットを形成しうる。単一のホルダーは、10個以上、または25個以上、または50個以上、または100個以上の吸入器物品で利用されて、各吸入器物品内に収容されるカプセルを起動(穿孔または貫通)し、確実な起動、または随意に、各吸入器物品に対する吸入器物品の起動の視覚的表示(マーキング)を提供しうる。
【0093】
吸入器システムは、吸入器およびホルダーを含み得る。吸入器用のホルダーは、ハウジングを含み得る。吸入器用のホルダーは、貫通要素を含み得る。吸入器用のホルダーは、吸入器物品を受容するように構成され、ホルダー内で移動可能であり得るスリーブを含み得る。
【0094】
ホルダーは、起動した吸入器物品を保持してもよく、ユーザーは、ホルダーを把持して吸入器物品内の粒子を消費しうる。ハウジングは、ハウジング外表面およびハウジング内表面を有する。ハウジング内表面は、吸入器物品空洞を画定する。ハウジングは、ハウジング長軸方向軸に沿って、遠位端から開放近位端まで、ハウジングの長さで延在する。ハウジングの開放近位端は、吸入器の遠位端を吸入器物品空洞内に受容するように構成される。貫通要素は、ハウジング内表面に固定され、ハウジング内表面から吸入器物品空洞の中へと貫通要素長軸方向軸に沿って貫通要素の長さに延びる。貫通要素は、開放近位端から後退した距離だけ後退している。スリーブは、吸入器物品空洞内に配置され、吸入器を保持するように構成される。スリーブは、ハウジング長軸方向軸に沿って移動可能である。
【0095】
ホルダーは、スリーブをハウジングの開放近位端に向かって、弛緩位置と圧縮位置との間で付勢するように構成されたばね要素を含みうる。ばね要素は、ホルダーの吸入器物品空洞内に収容されてもよく、移動可能なスリーブおよび吸入器物品が貫通要素に向かって移動するにつれて圧縮されうる。ばね要素は、スリーブとハウジングの遠位端との間にあって、スリーブおよびハウジングの遠位端に接触してもよい。ばね要素は、スリーブの遠位端とハウジングの遠位端との間にあってもよい。ばね要素は、スリーブの遠位端およびハウジングの遠位端に接触してもよい。ばね要素は、貫通要素の周りに配置されてもよい。ばね要素は、貫通要素と同軸であってもよい。ばね要素は、円錐ばねであってもよい。
【0096】
ばね要素は、吸入器物品を貫通要素から離れるように付勢する。使用時に、ユーザーは、吸入器物品をホルダーの吸入器物品空洞の中へと挿入しうる。これによって、ばねが圧縮されて、吸入器物品が吸入器物品空洞の遠位端に向かって移動することを可能にしうる。最終的に、貫通要素は、吸入器物品内に配置されたカプセルを貫通しうる。貫通が起こると、ユーザーは、吸入器物品を解放して、ばねが吸入器物品を吸入器物品空洞の近位端に向かって、そして貫通要素から離れるように付勢することを可能にしうる。次いで、ユーザーは、吸入器物品の近位端で吸入しうる。
【0097】
スリーブは、スリーブを通る少なくとも一つの空気開口部を含む第一の空気吸込み口ゾーンを画定しうる。第一の空気吸込み口ゾーンは、スリーブの近位端に近接している。第一の空気吸込み口ゾーンは、空気がスリーブの内側から、スリーブとハウジング内表面との間に形成された気流チャネルへと流れることを可能にするように構成される。スリーブは、スリーブを通る少なくとも一つの空気開口部を含む第二の空気吸込み口ゾーンを含みうる。第二の空気吸込み口ゾーンは、スリーブの遠位端に近接している。第二の空気吸込み口ゾーンは、空気が気流チャネルからスリーブの内側へと流れることを可能にするように構成される。
【0098】
スリーブは、内側空洞を画定し、内側空洞の一部分は、内側空洞の残りの部分に対して低減された内径を有してもよい。内側空洞の一部分は、吸入器物品の外径と同じか、またはそれより小さい内径を有しうることが好ましい。
【0099】
ここで本発明の一部の態様が図示されている図面を参照する。
【0100】
概略図は必ずしも実寸に比例するものではなく、図示の目的で提示されるものであり、限定するものではない。図面は本開示で説明される一つ以上の態様を描写する。しかしながら、当然のことながら、図面に描写されていないその他の態様も本開示の範囲および趣旨の中に収まる。
【図面の簡単な説明】
【0101】
【
図1】
図1は、長軸方向軸に沿った、例示的な吸入器物品を含む吸入器システムの断面図である。
【
図2】
図2は、長軸方向軸に沿った、別の例示的な吸入器物品を含む吸入器システムの断面図である。
【
図3】
図3は、
図1および
図2に示す吸入器物品に有用な例示的な遠位端要素の側面概略図である。
【
図4A】
図4Aは、
図3に示す遠位端要素の、近位端および遠位端の横断断面図である。
【
図4B】
図4Bは、
図3に示す遠位端要素の、近位端および遠位端の横断断面図である。
【
図4C】
図4Cは、
図3に示す遠位端要素の、近位端および遠位端の横断断面図である。
【
図5A】
図5Aは、吸入器物品に有用な例示的な平面ホルダーの側面立面概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0102】
図1および
図2は、吸入器物品110を含む例示的な吸入器システム100を示す。吸入器物品110は、吸入器物品110内に配置されて吸入器システム100を構成する、カプセル130を含み得る。
【0103】
吸入器物品110は、マウスピース端113から遠位端114へと長軸方向中心軸「A」に沿って延びる本体112を含む。マウスピース端113は吸入器物品110の下流端を形成し、遠位端114は上流端を形成する。言い換えれば、マウスピース端113は、矢印で示されるように、遠位端から下流にある。カプセル空洞116は、本体112の中に画定される。遠位端要素118は、遠位端114に配置され、かつカプセル空洞116へと延びる。
【0104】
遠位端要素118は、要素遠位端120およびカプセル空洞116に隣接する要素内側端122を含む。遠位端要素118は、中実コア部分124、および要素遠位端120から要素内側端122へと延びる少なくとも二つのらせん状の溝126を含む。少なくとも二つのらせん状の溝126は、要素遠位端120から要素内側端122へと長軸方向中心軸「A」の周りに延びる平行な溝である。少なくとも二つのらせん状の溝126は、遠位端要素118の外周128に沿って延びる。
【0105】
遠位端要素118、カプセル空洞116(および存在する場合はカプセル130)、および多孔性支持要素132は、本体112内に軸方向に整列され、直列に配置され得る。遠位端要素118は、カプセル空洞116の上流端または遠位端または境界を形成し得る。カプセル空洞116は、カプセル130を包含するように構成された空間を画定し得る。カプセル空洞116は、遠位端要素118の要素内側端122で境界がつけられ、かつ下流端で多孔性支持要素132によって境界がつけられた、固定の空洞の長さを有してもよい。
図1に示すように、多孔性支持要素132は、本体110のマウスピース空気チャネル部分134内に配置され得る。マウスピース空気チャネル部分134は、多孔性支持要素132を超えてマウスピース端112へと延びてもよい。
【0106】
遠位端要素118は、本体112の遠位端114内に配置されてもよい。要素遠位端120は、本体112の遠位端114と実質的に整列されてもよい。遠位端要素118は、要素遠位端120から要素内側端122へと遠位端要素118を通って延びる、空気チャネルまたは通路を形成するように、少なくとも二つのらせん状の溝126を含み得る。さらに
図3を参照すると、少なくとも二つのらせん状の溝126の各々は、要素遠位端120に空気吸込み口136、および要素内側端122に空気出口138を含む。少なくとも二つのらせん状の溝126は、吸入器物品の長軸方向中心軸「A」に非平行に延びてもよい。らせん状の溝126は、遠位端要素118の全長に沿って、吸入器物品110の長軸方向中心軸「A」と連続的に非平行であってもよい。
【0107】
図2に示すように、吸入器物品110は、カプセル130を包含するようにカプセル空洞116を画定し、カプセル空洞116に沿って本体112に支持および剛性を提供する挿入本体140を含み得る。多孔性支持要素132は、吸入器物品110のカプセル空洞116からマウスピース端113へと延びる。
【0108】
図3および4A~4Cは、
図1および
図2の吸入器物品110の遠位端要素118を例示する。
図3は、遠位端要素118の側面図である。
図4A~4Cは、遠位端要素118の近位端および遠位端の断面図である。
図4Bは、線B-Bに沿って切り取ったものである。遠位端要素118は、長軸方向中心軸「A」に沿って延びる中実コア部分124を含む。コア部分124およびらせん状の溝126a~126dは各々、要素遠位端120から要素内側端122へと連続的に延び得る。
図4A~4Cは、遠位端要素118の外表面142または外周に沿って延びる四つのらせん状の溝126a~126dを含む遠位端要素118を示す。らせん状の溝126a~126dは、遠位端要素118の外周142に沿って開放されていてもよい(閉じられていない)。遠位端要素118のらせん状の溝126a~126dは、コア部分124の外径144から遠位端要素118の外周142へと延びてもよい。らせん状の溝126a~126dは、要素遠位端120と要素内側端122との間に遠位端要素118の長軸方向の長さに沿って湾曲直線状に延び得る。らせん状の溝126a~126dは、互いに平行に延びる。らせん状の溝126a~126dは、要素遠位端120から要素内側端122へと互いから半径方向にオフセットされている。平行ならせん状の溝126a~126dは、要素遠位端120から要素内側端122へと少なくとも90度回転してもよい。らせん状の溝126a~126dは、要素118の外周142の周りに等しく半径方向に離隔してもよい。
【0109】
図5A~5Cを参照すると、吸入器システムは、吸入器物品110およびホルダー150を含む。吸入器物品110は、吸入器外表面を画定する本体112を備える。吸入器物品110は、
図1または
図2の例示的な吸入器物品110のいずれかに類似し得る。本体112は、マウスピースまたは近位端113から遠位端114へと吸入器長軸方向軸に沿って本体の長さに延びる。
【0110】
吸入器物品110用のホルダー150は、ハウジング151および貫通要素160を含む。ホルダー150はまた、マーキング要素190も含み得る。ハウジング151は、ハウジング外表面およびハウジング内表面を有する。ハウジング内表面は、吸入器物品110を受容するように構成された吸入器物品空洞154を画定する。ハウジング151は、遠位端155から開放近位端156へとハウジング長軸方向軸に沿って延びてハウジングの長さを画定する。開放近位端156は、吸入器物品110の遠位端114を吸入器物品空洞154内に受容するように構成される。貫通要素160は、ハウジング内表面に固定され、ハウジング内表面から吸入器物品空洞154へと貫通要素長軸方向軸に沿って貫通要素の長さに延びる。貫通要素160は、開放近位端156から後退した距離だけ後退している。貫通要素160は、遠位端要素118およびカプセル空洞116内に収容されたカプセル130を貫通するように移動可能であるように構成される。ばね要素200は、貫通要素160から離れるように吸入器物品110を付勢し得る。
【0111】
上述の例示的な実施形態は限定するものではない。上述の例示的な実施形態と一貫性のある他の実施形態が、当業者に明らかであろう。
【国際調査報告】