IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ホリスティック・メディカルの特許一覧

特表2022-550271医療用インプラント、送達装置、医療用インプラントを製造する方法、および医療用インプラントを送達する方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-12-01
(54)【発明の名称】医療用インプラント、送達装置、医療用インプラントを製造する方法、および医療用インプラントを送達する方法
(51)【国際特許分類】
   A61B 17/00 20060101AFI20221124BHJP
【FI】
A61B17/00 500
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022516214
(86)(22)【出願日】2020-09-11
(85)【翻訳文提出日】2022-04-28
(86)【国際出願番号】 EP2020075550
(87)【国際公開番号】W WO2021048409
(87)【国際公開日】2021-03-18
(31)【優先権主張番号】PCT/IB2019/001058
(32)【優先日】2019-09-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IB
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.ベルクロ
(71)【出願人】
【識別番号】522064269
【氏名又は名称】ホリスティック・メディカル
【氏名又は名称原語表記】HOLISTICK MEDICAL
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ロッシュ,エレン
(72)【発明者】
【氏名】キロワー,マチュー
(72)【発明者】
【氏名】プーレティ,フィリップ
(72)【発明者】
【氏名】ポー,アントワーヌ
(72)【発明者】
【氏名】ガード,マルコ
(72)【発明者】
【氏名】ワーナック,ボリス
(72)【発明者】
【氏名】スペンサー,アンドリュー
(72)【発明者】
【氏名】ブリュノー,マエル
(72)【発明者】
【氏名】ウェイス,トニー
(72)【発明者】
【氏名】バーディック,ジェイソン・アラン
【テーマコード(参考)】
4C160
【Fターム(参考)】
4C160DD03
4C160DD55
4C160DD65
4C160MM33
(57)【要約】
本発明は、欠損(D)、特に心室壁、心房壁、または隔壁(W)の開口部を修復または閉鎖するように適合された医療用インプラント(1)に関する。医療用インプラント(1)は、特に、パッチであってもよい。それは接着剤組成物(6)を含む。それは、2つの状態をさらに含み、第1の状態では、接着剤組成物(6)が不活性である間に医療用インプラント(1)を埋め込み部位に展開することができる。それは、活性化機構によって第2の状態にすることができる。接着剤組成物(6)は、第2の状態において、硬化機構によって硬化可能である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
医療用インプラント(1)、好ましくは欠損(D)、好ましくは心室壁または心房壁または血管壁(W)の開口部を修復または閉鎖するように適合されたパッチ(5)であって、
前記医療用インプラント(1)は接着剤組成物(6)を備え、
前記医療用インプラント(1)は、2つの状態を備え、前記医療用インプラント(1)は、第1の状態において、前記接着剤組成物(6)が不活性である間に埋め込み部位に展開されることができ、活性化機構によって、好ましくは前記埋め込み部位において第2の状態にされ、
前記接着剤組成物(6)は、前記第2の状態において、硬化機構によって硬化可能である、医療用インプラント(1)。
【請求項2】
前記第1の状態において、前記医療用インプラント(1)は、前記接着剤組成物(6)を収容し、前記第2の状態において前記接着剤組成物(6)を放出するように適合された少なくとも1つの空洞(24)を備える、請求項1に記載の医療用インプラント(1)。
【請求項3】
前記空洞は、少なくとも2つの境界面を有し、少なくとも1つの特性、好ましくは透過性および溶解性の少なくとも一方が、前記2つの境界面の間で異なる、請求項2に記載の医療用インプラント。
【請求項4】
放射線不透過性要素(106,107,108,109)を備える、請求項1または2に記載の医療用インプラント。
【請求項5】
支持構造(31,107,109)を備え、前記放射線不透過性要素(106,107,108,109)は、好ましくは、前記支持構造(31)内に配置されるか、または前記支持構造によって形成される、請求項4に記載の医療用インプラント。
【請求項6】
前記放射線不透過性要素(106,107,108,109)は、前記接着剤組成物(6,104、117’、117’’)内に配置されるか、または前記接着剤組成物によって形成される、請求項4または5に記載の医療用インプラント。
【請求項7】
前記放射線不透過性要素(106,107,108,109)は、硫酸バリウムおよびヨウ素のうちの少なくとも1つを備える、請求項4~6のいずれか1項に記載の医療用インプラント。
【請求項8】
前記インプラント(1)が少なくとも1つの離散マーカ(110)を備える、先行する請求項のいずれか1項に記載の医療用インプラント。
【請求項9】
前記マーカ(110)が、放射線不透過性およびエコー源性のうちの少なくとも一方である、請求項8に記載の医療用インプラント。
【請求項10】
前記インプラントは、互いに所定の距離および/または向きに配置された少なくとも2つの離散マーカ(110)を備える、請求項8または9に記載の医療用インプラント。
【請求項11】
前記医療用インプラント(1)は、第1の表面(101’、103’)および第2の表面(101’、103’’)を有する概して平坦な形状を有し、前記第1の表面(101’、103’)および前記第2の表面(102,103’’)は、実質的に反対の向きを有し、前記第1の表面(101’、103’)の少なくとも1つの特性は、前記第2の表面(102,103’’)の対応する特性とは異なる、先行する請求項のいずれか1項に記載の医療用インプラント。
【請求項12】
前記第1の表面(101’、103’)は、細胞内殖を増強するように適合されている、請求項11に記載の医療用インプラント。
【請求項13】
前記第2の表面(102,103’’)は、生体組織、好ましくはヒト組織、最も好ましくは心内膜組織、心膜組織および中隔組織のうちの1つへの接着を提供するように適合されている、請求項11または12に記載の医療用インプラント。
【請求項14】
前記インプラントの少なくとも1つの表面が、ベロア様表面(101’’)を含む、先行する請求項のいずれか1項に記載の医療用インプラント。
【請求項15】
前記接着剤組成物は、前記医療用インプラント上に、好ましくは不均一なパターンで配置される、先行する請求項のいずれか1項に記載の医療用インプラント。
【請求項16】
前記接着剤組成物が、GelMA、好ましくは動物由来のGelMA、特に好ましくは魚GelMAまたはブタGelMAを備える、先行する請求項のいずれか1項に記載の医療用インプラント。
【請求項17】
前記GelMAが、動物由来の少なくとも2つのGelMAの混合物、好ましくは魚GelMAとブタGelMAとの混合物によって形成される、請求項16に記載の医療用インプラント。
【請求項18】
前記接着剤組成物が光開始剤をさらに含む、請求項16または17に記載の医療用インプラント。
【請求項19】
前記GelMAがX線放射によって架橋可能である、請求項16~18のいずれか1項に記載の医療用インプラント。
【請求項20】
組織に前記インプラントを取り付けるための少なくとも1つのリベット(130)、好ましくはブラインドリベットを備える、先行する請求項のいずれか1項に記載の医療用インプラント。
【請求項21】
縫合糸(125)を前記インプラントの外周に保持するための少なくとも保持要素(123,124)と、前記ループ(124)内に配置された縫合糸(123,124)とを備える、先行する請求項のいずれか1項に記載の医療用インプラント。
【請求項22】
前記少なくとも1つの保持要素(123,124)が、前記医療用インプラント(1)と同じ材料から形成される、請求項21に記載の医療用インプラント。
【請求項23】
前記少なくとも1つの保持要素(123,124)は、35~65μm、好ましくは45~55μmの厚さを有するポリウレタンから形成される、請求項21または22に記載の医療用インプラント。
【請求項24】
前記少なくとも1つの保持要素(123,124)は、前記医療用インプラント(1)に配置された別個の要素として構成される、請求項21~23のいずれか1項に記載の医療用インプラント。
【請求項25】
前記少なくとも1つの保持要素(123,124)は、所定の破断点、特に刻み目(122,127)を備える、請求項21~24のいずれか1項に記載の医療用インプラント。
【請求項26】
前記接着剤組成物が、乾燥接着剤組成物(111’、112’)を備え、好ましくは前記乾燥接着剤組成物からなる、先行する請求項のいずれか1項に記載の医療用インプラント。
【請求項27】
前記乾燥接着剤組成物が、液体への暴露によって活性化可能である、請求項26に記載の医療用インプラント。
【請求項28】
接着剤を備える医療用インプラント(1)、好ましくは請求項1に記載の接着剤を備える医療用インプラント(1)を展開するための方法であって、
前記医療用インプラント(1)を第1の状態において第1の部位に展開するステップと、
活性化機構によって前記医療用インプラント(1)を第2の状態にするステップと
を備え、前記接着剤が硬化機構によって硬化される、方法。
【請求項29】
前記医療用インプラント(1)を前記第2の状態にするために温度を増大させるステップを備える、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
前記温度増大が、外部熱源によって少なくとも部分的に、好ましくは前記外部熱源のみによって提供される、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
前記温度増大が、患者の体熱によって少なくとも部分的に、好ましくは前記患者の体熱のみによって提供される、請求項28~30のいずれか1項に記載の方法。
【請求項32】
前記温度増大が、電磁放射線によって少なくとも部分的に、好ましくは前記電磁放射線のみによって提供される、請求項28~31のいずれか1項に記載の方法。
【請求項33】
前記インプラントを前記第2の状態にするために圧力増大を加えるステップを備える、請求項28~32のいずれか1項に記載の方法。
【請求項34】
前記圧力増大が浸透圧によって少なくとも部分的に引き起こされる、請求項33に記載の方法。
【請求項35】
前記圧力増大が、前記医療用インプラント(1)に機械的変形、好ましくは機械的圧力を加えることによって少なくとも部分的に引き起こされる、請求項33または34に記載の方法。
【請求項36】
前記インプラントを前記第2の状態にするために前記インプラントを湿度に暴露するステップを備える、請求項28~35のいずれか1項に記載の方法。
【請求項37】
前記インプラントを前記第2の状態にするために前記インプラントを電磁放射線に暴露するステップを備える、請求項28~36のいずれか1項に記載の方法。
【請求項38】
前記接着剤の硬化を引き起こす、前記第2の状態の2つの成分を自然発生的に混合するステップを備える、請求項28~37のいずれか1項に記載の方法。
【請求項39】
前記接着剤の硬化を引き起こす、前記第2の状態において前記インプラントを電磁放射線に暴露するステップを備える、請求項28~38のいずれか1項に記載の方法。
【請求項40】
前記医療用インプラント(1)を前記第2の状態にするために、別個の膨張リザーバ(27)を膨張させるステップを含む、請求項28~39のいずれか1項に記載の方法。
【請求項41】
前記医療用インプラント(1)を前記第2の状態にするために、液体、好ましくは有機溶媒、さらにより好ましくはヒトの血液と混和性の有機溶媒を配置するステップを備える、請求項28~40のいずれか1項に記載の方法。
【請求項42】
欠損(D)、好ましくは心室壁または心房壁または血管壁(W)の開口部を修復または閉鎖するように適合された医療用インプラント(1)、好ましくは請求項1~25のいずれか1項に記載の医療用インプラント(1)であって、
前記医療用インプラント(1)が、前記医療用インプラント(1)の周縁に近接して配置された少なくとも1つの引き裂き線(3)を備え、
埋め込み部位、好ましくは中隔欠損部位(D)への展開を受けて、前記医療用インプラント(1)を組織壁に取り付け、前記引き裂き線(3)に沿って引き裂くことができるように適合されている、医療用インプラント(1)。
【請求項43】
6~36ヶ月以内、好ましくは12ヶ月以内、さらにより好ましくは6ヶ月以内に人体内で機械的強度を失うように適合された生分解性材料を備える、請求項1~25または42のいずれか1項に記載の医療用インプラント(1)。
【請求項44】
前記医療用インプラント(1)が、前記外縁(OC)と前記引き裂き線(3)との間で、非接着性コーティング(2)、好ましくはシリコーンおよびポリ(テトラフルオロエチレン)のうちの少なくとも一方によってコーティングされている、請求項42または43に記載の医療用インプラント(1)。
【請求項45】
前記医療用インプラント(1)は、好ましくは十字形の切れ込み(4)を備え、前記切れ込みは、送達装置が前記切れ込み(4)を部分的に通って延伸することができるように適合されている、請求項42~44のいずれか1項に記載の医療用インプラント(1)。
【請求項46】
前記医療用インプラント(1)が、繊維(26)、好ましくは織り繊維、紡糸繊維または編み繊維(26)を備える、請求項42~45のいずれか1項に記載の医療用インプラント(1)。
【請求項47】
前記繊維(26)が生分解性材料から作製されている、請求項46に記載の医療用インプラント(1)。
【請求項48】
前記生分解性材料は、ポリ(乳酸-co-グリコール酸)、ポリ(L-乳酸)、ポリ(D-乳酸)、ポリ(グリコール酸)、ポリ(カプロラクトン)、これらの材料の任意のコポリマーおよび/またはブレンドからなる群から選択される、請求項47に記載の医療用インプラント(1)。
【請求項49】
スパイン構造(31)、好ましくは、前記医療用インプラント(1)の残りの部分とは異なる機械的特性を有するスパイン構造(31)を備える、先行する請求項のいずれか1項に記載の医療用インプラント(1)。
【請求項50】
前記スパイン構造(31)が、ポリウレタンを備え、好ましくはポリウレタンからなる、請求項49に記載の医療用インプラント。
【請求項51】
前記スパイン構造が、前記医療用インプラント(1)を越えて延伸して非弾性引き裂きアームを提供する、請求項49に記載の医療用インプラント(1)。
【請求項52】
前記保持要素(123,124)は、前記非弾性引き裂きアーム(120,126)によって、または前記非弾性引き裂きアーム上に形成される、請求項20~25および請求項51のいずれか1項に記載の医療用インプラント。
【請求項53】
前記医療用インプラント(1)が、接着剤組成物(6)、特に前記医療用インプラント(1)をヒト組織に取り付けるように適合された接着剤組成物(6)を備える、請求項42~48のいずれか1項に記載の医療用インプラント(1)。
【請求項54】
前記引き裂き線(3)がレーザ切断引き裂き線(3)を備える、請求項42~53のいずれか1項に記載の医療用インプラント(1)。
【請求項55】
前記医療用インプラント(1)の周縁を越えて半径方向に延伸する少なくとも1つの延伸部(13)を備える、請求項42~54のいずれか1項に記載の医療用インプラント(1)。
【請求項56】
前記少なくとも1つの延伸部(13)が、紐および縫合糸のうちの一方を備える、請求項55に記載の医療用インプラント(1)。
【請求項57】
前記少なくとも1つの延伸部(13)が、前記医療用インプラント(1)と同じ材料からなるストリップを備える、請求項55または56に記載の医療用インプラント(1)。
【請求項58】
前記保持要素(123,124)は、前記少なくとも1つの延伸部(120,126)によって形成される、請求項20~25のいずれか1項および請求項55~57のいずれか1項に記載の医療用インプラント。
【請求項59】
前記少なくとも1つの引き裂き線(3)は、引き裂きを受けて前記少なくとも1つの延伸部(13)を前記医療用インプラント(1)から分離するように適合され、特に配置され寸法決めされる、請求項55~57のいずれか1項に記載の医療用インプラント(1)。
【請求項60】
前記延伸部(13)は、前記医療用インプラント(1)、好ましくはパッチ(5)を送達装置、好ましくはバルーン(B)に対して保持するように適合されている、請求項55または59に記載の医療用インプラント(1)。
【請求項61】
前記医療用インプラント(1)が、送達装置の膨張可能なバルーン(B)の表面の一部によって形成される、請求項42~60のいずれか1項に記載の医療用インプラント(1)。
【請求項62】
請求項42~61のいずれか1項に記載の医療用インプラント(1)、好ましくは接着剤(6)を備える医療用インプラント(1)を送達するための送達装置であって、
前記インプラント(1)を保持するためのインプラントホルダ(21)を有するシャフト(S)であって、前記インプラントホルダ(H)は、好ましくは少なくとも部分的に周縁に沿って前記インプラント(1)を保持するように適合されている、シャフト(S)を備え、
前記送達装置は、前記作動機構の作動を受けて前記引き裂き線(3)が少なくとも部分的に破断されるように、前記インプラントの少なくとも2つの所定の点の間の距離を増大させるための作動機構をさらに備える、送達装置。
【請求項63】
前記作動機構が膨張可能バルーン(B)を含む、請求項62に記載の送達装置。
【請求項64】
前記送達装置(C)、好ましくは前記インプラントホルダは、前記医療用インプラント(1)に接続されたまたは接続可能な少なくとも1つの縫合糸(125)を保持するように適合された縫合糸(125)の保持要素(129)を有する、請求項62または63に記載の送達装置。
【請求項65】
前記医療用インプラント(1)と組織との間の接着力を示すための、好ましくはハンドル(113)上に配置されたゲージ(114’、114’’)をさらに備える、請求項62~64のいずれか1項に記載の送達装置。
【請求項66】
欠損(D)、好ましくは心臓壁または血管壁(W)の開口部を閉鎖するように適合された医療用インプラント(1)、好ましくはパッチ、好ましくは請求項1~25または42~61のいずれか1項に記載の医療用インプラント(1)であって、
前記インプラントの前記外縁(OC)に配置された少なくとも1つの接続要素(9,22)、好ましくはビーズ(9)を備え、
前記接続要素(9、22)が、前記接続要素との接続のための適切な相手方要素(10,11,12,21)を有する送達装置(C)と係合するように適合されるように、前記接続要素が、前記インプラント(1)のサイズ、特に厚さ(T)よりも大きいサイズを有する、医療用インプラント(1)。
【請求項67】
前記接続要素(9,22)は、ポリマー材料または金属材料を含む、請求項66に記載の医療用インプラント(1)。
【請求項68】
医療用インプラント(1)、好ましくは請求項66に記載の医療用インプラント(1)を送達するための送達装置であって、
少なくとも1つのチューブ(10)であって、作動要素(11)、好ましくは前記チューブ内に配置されたワイヤを備える、少なくとも1つのチューブ(10)と、
前記作動要素(11)と動作可能に接続し、好ましくは前記ワイヤに取り付けられた少なくとも1つのホルダ(12a、12b)、好ましくは少なくとも2つのホルダと
を備え、前記チューブ(10)および前記少なくとも1つのホルダ(12a、12b)、好ましくは前記少なくとも2つのホルダは、医療用インプラント(1)、好ましくは請求項66に記載の医療用インプラント(1)が第1の状態において前記少なくとも1つのホルダ(12a、12b)によって保持されるように適合され、
前記医療用インプラント(1)、好ましくは請求項66に記載の医療用インプラント(1)は、前記作動要素(11)の作動によって解放することができる、送達装置。
【請求項69】
医療用インプラント、好ましくは先行する請求項のいずれか1項に記載の医療用インプラント(1)を製造する方法であって、接着剤組成物が少なくとも部分的に液体であり、前記医療用インプラントの少なくとも1つの表面に配置され、前記接着剤組成物を乾燥させるステップをさらに備える、方法。
【請求項70】
医療用インプラント、好ましくは請求項21~25のいずれか1項に記載の医療用インプラントを製造する方法、好ましくは請求項69に記載の方法であって、前記医療用インプラント(1)の外周に少なくとも1つの延伸要素(120,126)を配置するステップであって、前記延伸要素(120,126)は、好ましくは所定の破断点(122,127)を備える、配置するステップと、特に前記延伸要素(120,126)の一端が前記医療用インプラント(1)の表面に配置され、前記延伸要素(120,126)が実質的に閉じたループを形成するように、前記少なくとも1つの延伸要素(120,126)を、保持要素(123,124)を形成するように構成するステップと、前記延伸要素(120,126)を固定するように前記延伸要素(120,126)の端部を接合して、前記延伸要素(120,126)が保持要素(123,124)を備える構成にするステップとを備え、好ましくは、縫合糸(125)を前記保持要素(123,124)内に、好ましくは前記実質的に閉じたループ内に配置するステップをさらに備える、方法。
【請求項71】
前記接着剤組成物は、インクジェット印刷を介して前記医療用インプラント(1)上に配置される、請求項69または71に記載の方法。
【請求項72】
前記接着剤組成物が、前記医療用インプラント(1)上に所定のパターンで配置される、請求項69または71に記載の方法。
【請求項73】
欠損(D)、好ましくは心室壁または心房壁または血管壁(W)内の開口部を処置する方法であって、医療用インプラント、好ましくは請求項1~25、または42~61、または66、または67のいずれか1項に記載の医療用インプラントを埋め込むステップを備え、前記医療用インプラントが接着剤組成物を備え、前記方法は、前記接着剤組成物をin situで水和させるステップをさらに備える、方法。
【請求項74】
欠損(D)、好ましくは心室壁または心房または血管壁(W)内の開口部を処置する方法であって、医療用インプラント(1)、好ましくは請求項21~25のいずれか1項に記載の医療用インプラントを埋め込むステップと、少なくとも1つの縫合糸(125)を引くステップとを備え、前記医療用インプラント(1)は、前記縫合糸(125)を引くことによって解放される、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、独立請求項の前文に記載の医療用インプラント、特にパッチ、医療用インプラントの送達装置、および医療用インプラントを送達する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば心房中隔欠損(ASD)または心室中隔欠損(VSD)などの組織の欠損は、典型的には侵襲または手術を最小限にして治療されるヒトにおいてかなり一般的な状態である。そのような欠損は、息切れならびに心臓および肺へのより高い負担などの様々な症状を引き起こす可能性がある。
【0003】
結果として、従来技術では無数の埋め込み型装置が提案されており、その多くは低侵襲的な方法で展開することができる。
【0004】
例えば、カテーテルを通じて傘状インプラントを展開することによる心房中隔欠損(ASD)の閉鎖が、Lock他(DOI:10.1161/01.CIR.79.5.1091)によって開示されている。
【0005】
しかしながら、既知のインプラントは、いくつかの欠点を示す。典型的には、それらは組織壁に取り付けられるか、または機械的に定位置に保持される。一方では、これは治療される組織のわずかな損傷につながる可能性がある。一方、機械的な取り付けは、使用される構成要素の材料選択および機械的強度に制約を課す。最後に、機械的固定はまた、低侵襲処置において実現することが困難であり得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
したがって、本発明の目的は、先行技術の欠点を克服すること、特に、容易かつ安全に使用することができる医療用インプラント、インプラントを送達するための装置、およびインプラントを送達する方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この目的および他の目的は、本発明の独立請求項の特徴記載部分による医療用インプラント、送達装置および方法によって達成される。
【0008】
本発明による医療用インプラントは、欠損、特に心室壁、心房壁または隔壁の開口部を修復または閉鎖するように適合される。特に、医療用インプラントは、パッチ、例えばポリマーまたは心膜パッチであってもよい。それは接着剤組成物を含む。それは、2つの状態をさらに含み、第1の状態では、接着剤組成物が不活性である間に医療用インプラントを埋め込み部位に展開することができる。それは、活性化機構によって、好ましくは埋め込み部位において第2の状態にすることができる。接着剤組成物は、第2の状態において、硬化機構によって硬化可能である。特に、活性化機構は硬化機構と同一であることが想定される。代替的に、活性化および硬化のために2つの異なる機構を利用してもよい。
【0009】
医療用インプラントは、左心耳などの空腔を閉じるのにも適し得る。特に、インプラントは、インプラントを空腔の口に取り付けることができるようなサイズおよび形状であり得る。
【0010】
硬化機構は、特に、電磁放射線への暴露、例えば可視光、UV光、IR光、および/またはX線への暴露であり得る。硬化は、特に、接着剤の架橋を含んでもよい。
【0011】
パッチは、実質的に平坦な構造として理解されるものとする。好ましくは、それは、下にある表面形状または構造に適合することができるように機械的に可撓性である。
【0012】
インプラントは、好ましくは、心室隔壁および心房隔壁の開口部、例えば卵円孔開存(PFO)を閉鎖するようなサイズおよび形状に適合される。典型的には、そのような用途のための医療用インプラントは、実質的に丸形、好ましくは円形の形状を有するが、三角形、正方形、またはより複雑な形状などの任意の形状が可能である。これは実質的に平坦であり、20~30mm、好ましくは20~25mmの典型的な直径を有する。当然ながら、処置される患者または開口部に応じて、これはより大きくてもよく、またはより小さくてもよい。例えば、子どもの心臓の開口部はより小さい場合があり、10mmという小さいパッチ直径を必要とする。これはまた、例えば患者が非常に背が高い場合、30mmもの大きさになり得る。典型的には、医療用インプラントの厚さは100~200μmである。当然ながら、厚さはまた、適合することもでき、50μm程度の薄さまたは1.5mm程度の厚さ、好ましくは1mm程度の厚さ、特に好ましくは500μm程度の厚さであってもよい。
【0013】
好ましくは、医療用インプラントは、自己修復特性および/または自己閉鎖特性を有する材料を含む。このような特性は、インプラントを、例えば針および/または縫合糸を用いて、穴を通して器具を用いて一時的に保持することができ、穴が埋め込み後に自動的に閉じるため、より容易な埋め込みを可能にする。
【0014】
付加的または代替的に、インプラントは、送達器具による保持を可能にするかまたは補助する中央領域内の穴を備えてもよい。
【0015】
一般に、高い可撓性を有する材料が、本発明によるインプラントのための好ましい材料である。高い可撓性は、埋め込み中および埋め込み後の引き裂き、破断および/または脱落のリスクを低減する。しかしながら、剛性材料も、原則として、本明細書に開示されるインプラントに適していることが理解されよう。
【0016】
好ましくは、第1の状態において、医療用インプラントは、接着剤組成物を収容する少なくとも1つの空洞を含む。好ましくは、医療用インプラントは、複数の空腔を備える。それは、第2の状態において、接着剤組成物を放出するように適合することができる。
【0017】
空洞は、液体、粘性液体、またはさらには固体などの別の物質を保持することができる医療用インプラント内の閉鎖構造として理解されるべきである。例えば、空洞は、大きい中空構造または小さい細孔であってもよい。接着剤が周囲の媒体、特に例えば体液として生じる身体からの湿度/水分から保護されるため、空洞は、第1の状体において接着剤組成物を貯蔵するのに特に有利である。したがって、それは、活性化前に誤って組織に係合することがなく、接着剤漏れによるカテーテルの詰まりなどの医療用インプラントを展開する間の問題を防止する。
【0018】
一般に、接着剤は電気的に活性化可能であってもよい。電気的に活性化可能な接着剤の例は、例えば、参照により本明細書に組み込まれるACS Appl.Bio Mater.2019,2,6,2633-2642に開示されているvoltaglueである。しかしながら、任意の他の電気的に活性化可能な接着剤が好適である。一般に、そのような接着剤は、電圧に暴露されたときにラジカルを形成することができる元素または分子を含有し得る。形成されたラジカルは架橋を引き起こし得る。
【0019】
好ましくは、インプラントは、積層造形/3D印刷方法によって製造される。
好ましくは、インプラントは、インプラント内で光を分配するための光ファイバを備える。例えば、光ファイバは、ガラス、ポリマー、または特に好ましくは生分解性ポリマーを含んでもよく、またはそれらからなってもよい。
【0020】
空洞は、少なくとも2つの境界面を有することができる。境界面の少なくとも1つの特性は、一方の境界面と他方の境界面との間で異なる。好ましくは、上記特性は、透過性および溶解性の少なくとも一方を含む。
【0021】
例えば、境界面は、空洞の特定の位置または側において接着剤を優先的に放出するように、接着剤に対する透過性が異なっていてもよい。付加的または代替的に、血液または別の体液に対する透過性が異なっていてもよい。
【0022】
付加的または代替的に、境界面は、血液または別の体液へのそれらの溶解性が異なっていてもよい。このような溶解性の差は、空洞の特定の位置または側における接着剤の優先的な放出を引き起こす可能性がある。
【0023】
特に、境界面のうちの少なくとも1つは、PEG、PLA、PET、PUのうちの少なくとも1つを含んでもよく、好ましくはこれらからなってもよい。
【0024】
2つの異なる表面はまた、一方の表面が組織への接着を提供するように適合され、一方で、他方の表面が組織および/または細胞の増殖を増強するように適合されるように構成されてもよい。
【0025】
医療用インプラントは、放射線不透過性要素を備えることができる。放射線不透過性要素は、放射線撮像においてコントラストを提供する任意の要素であってもよい。好ましくは、放射線不透過性要素は、硫酸バリウム、白金、イリジウム、および/またはタングステンを含み、特にこれらからなる。放射線不透過性要素は、特に、ワイヤ、粒子、または別のマーカであってもよい。
【0026】
好ましくは、医療用インプラントは支持構造を備え、放射線不透過性要素は支持構造内に配置されるか、または支持構造によって形成される。例えば、医療用インプラントは、少なくとも1つ、好ましくは複数の硫酸バリウム粒子を含むポリマーから作製された骨格を備えることができる。代替的に、同様の骨格が、放射線不透過性の金属から作製されてもよい。
【0027】
特に好ましくは、複数の放射線不透過性要素が、放射線不透過性要素の相対位置、例えば撮像データから判定されるそれらの間隔および/または位置整合に関するデータが医療用インプラントの適切な接着および/または位置付けに関する情報を提供することができるように、特定のパターン、間隔、幾何学的形状または位置整合において配置構成されてもよい。例えば、3つのマーカをインプラントの周囲に等間隔に離間させることができる。付加的または代替的に、放射線不透過性要素は、インプラントの接着および/または位置に関する情報を提供する特定の形状を有してもよい。例えば、放射線不透過性要素は、インプラントが真っ直ぐな表面に取り付けられたときに接着力によって真っ直ぐに保たれる屈曲形状を有してもよい。したがって、屈曲形状が放射線撮像を介して判定される場合、それは医療装置が組織から分離していることを示す。特に、放射線不透過性要素は、インプラントを脱落させるのに十分な力を及ぼさないようにするように適合することができる。
【0028】
好ましくは、放射線不透過性要素は、接着剤組成物内に配置されるか、または接着剤組成物によって形成される。例えば、硫酸バリウム粒子を接着剤組成物中に分散させることができる。付加的または代替的に、接着剤は、バリウムイオンを含む配位高分子を含んでもよい。付加的または代替的に、放射線不透過性要素は、硫酸バリウム、ヨウ素、タンタル、イリジウム、および/またはイオヘキソールを含んでもよく、またはそれらからなってもよく、これらも接着剤中に分散させることができる。
【0029】
好ましくは、放射線不透過性要素は、硫酸バリウムおよびヨウ素のうちの少なくとも一方を含む。ヨウ素は、放射線不透過性要素を使用して、接着剤、パッチ材料、またはインプラントの他の部分の分解を追跡する場合に特に有利である。例えば、医療用インプラントが、細胞の過剰増殖を可能にしながら人体内で分解するように設計されている場合、ヨウ素を生分解性材料に組み込むことができる。生分解性材料の分解は、放射線撮像によって追跡することができる。例えば、分解中に凝固抑制剤療法が必要であるが、分解中のみ必要である場合、撮像データは、凝固抑制剤が依然として必要であるか否かを示すことができる。
【0030】
好ましくは、インプラントは、少なくとも1つの離散マーカを備える。離散とは、特定の領域またはロケーションに含まれることと理解されるものとする。例えば、離散マーカを使用して、インプラントの一方の側を他方の側から区別して指定し、または、上部および下部を区別して指定することができる。付加的または代替的に、離散マーカは、圧力によって変形可能であり得、インプラントの特定のロケーションにおける圧力、例えば、組織壁とインプラントとの間の接着力によって引き起こされる圧力を示すことができる。特に好ましくは、離散マーカは、インプラントと組織との間の接着力が特定の閾値を下回る場合に離脱を引き起こすことができ、したがって(所定の破断点と同様に)脱落の検出を容易にするばねであってもよい。
【0031】
マーカは、特に、インプラントが埋め込まれた後にロボット、好ましくはマイクロロボットを埋め込み部位に案内するために使用することができる。マーカは、体内の位置を規定することができ、特に一定期間、例えば1年間その機能を維持することができる。したがって、ロボットの案内はまた、埋め込みの一定時間量後に行うこともできる。マーカは、ロボットによって検出可能であり得、したがって受動的案内を可能にすることができる。代替的に、マーカは、ロボットによって検出され、したがって能動的案内を可能にする信号を発することができる。
【0032】
好ましくは、離散マーカは、放射線不透過性およびエコー不透過性/エコー源性のうちの少なくとも1つである。特に好ましくは、離散マーカは、放射線不透過性要素であるものとして構成される。
【0033】
インプラントは、互いに所定の距離および/または向きに配置構成された少なくとも2つの離散マーカを含むことができる。
【0034】
好ましくは、医療用インプラントは、第1の表面および第2の表面を有する概して平坦な形状を有し、第1の表面および第2の表面は、実質的に反対の方向に面している。第1の表面の少なくとも1つの特性は、第2の表面の対応する特性とは異なる。
【0035】
「概して平坦」は、わずかに湾曲した平坦な表面および形状、特にディスクまたはチップ状の形状を包含し得ることが当業者には理解されよう。
【0036】
第1の表面と第2の表面との間の差は、任意の測定可能な量に関するものであってもよく、上記量の測定は、著しく異なる値をもたらす。特に好ましくは、第1の表面および第2の表面は、極性、電荷、官能化、表面構造、表面パターン、材料、コーティング、および/または有孔性が異なる。
【0037】
第1の表面は、細胞内殖を増強するように適合され得る。特に、表面の有孔性は、例えば、細胞内殖を可能にするように適合された孔径を有することによって、細胞内殖を可能にするように適合され得る。孔径は、数マイクロメートル~数百マイクロメートルの範囲内であってもよい。好ましくは、細孔は、50μm~500μmの直径を有する。付加的または代替的に、第1の表面は生体適合性であってもよく、特に成長因子または細胞接着モチーフによって官能化されてもよい。第1の表面は、細胞を活性化および/または誘引する表面電荷を含むことができる。第1の表面はまた、細胞内殖を増強するように適合された表面粗度を有することもでき、および/またはベロア様表面を含むこともできる。
【0038】
特に、細孔および穴の長さ、サイズ、および3D配置構成うちの少なくとも1つは、細胞内殖を増強するように適合され得る。長さは、特に、非球形の細孔/穴の場合には、細孔または穴の軸に沿った最長の延伸を示し得る。
【0039】
好ましくは、第1の表面および/または第2の表面は、ポリマーペプチドの誘導体を含むか、またはそれらからなることができる。
【0040】
好ましくは、第2の表面は、生体組織への接着を提供するように適合することができる。特に、生体組織は、ヒトまたは動物の組織、例えば心内膜組織、心膜組織および中隔組織のうちの1つであってもよい。例えば、第2の表面は、接着剤層を含むことができる。
【0041】
好ましくは、インプラントの少なくとも1つの表面、特にインプラントの第1の表面および第2の表面のうちの少なくとも一方は、ベロア様表面を含む。特に好ましくは、インプラントのすべての表面が、ベロア様表面を含む。
【0042】
好ましくは、接着剤組成物は、医療用インプラント上に一定のパターンで配置構成される。パターンは不均一であってもよい。特に、パターンは、インクジェット印刷または押出印刷によってインプラント上に印刷されてもよい。パターンはまた、規則的とすることもできるが、3D構造および/または不均一なトポグラフィを含む。
【0043】
好ましくは、接着剤組成物は、ゼラチンメタクリロイル(GelMA)、特に動物由来のGelMAを含む。特に適したGelMAは、魚GelMA、ブタGelMA、およびウシGelMA、すなわち加工され、魚および/またはブタおよび/またはウシから加工された、これらに由来するGelMAである。冷水魚に由来するGelMAは、その低温(特に室温)機械的可撓性のために特に適している。しかしながら、任意のタイプの市販のGelMAが本発明に適している。
【0044】
特に、GelMAは、特にブタに由来する場合、250~325のブルーム値を有することができる。魚由来のGelMAは、ブルーム強度を有しない場合がある。
【0045】
好ましくは、GelMAは50~170kDaの分子量を有する。
好ましくは、GelMAは、動物由来の少なくとも2つのGelMAの混合物によって形成することができる。特に好ましくは、GelMAは、魚GelMAとブタGelMAとの混合物によって形成される。
【0046】
2つのGelMAの混合物は、異なるGelMAの特性を組み合わせることを可能にする。例えば、(冷水)魚GelMAとブタGelMAとの混合物は、ブタGelMAの溶解性および魚GelMAの機械的可撓性を有するGelMAを生成することができる。異なるGelMA、例えばブタおよび魚のGelMAの比を選択することによって、特性、例えば溶解性および機械的可撓性を漸進的に調節することも可能である。そのようなGelMAは当業者に知られており、市販されている。
【0047】
付加的または代替的に、異なる分子量の変化および/または混合によってGelMAの特性を調節することも可能である。
【0048】
好ましくは、接着剤組成物は、少なくとも1つの光開始剤をさらに含む。接着剤組成物は、いくつかの異なる光開始剤、単一の光開始剤、または異なる光開始剤の混合物を含んでもよい。
【0049】
光開始剤は、いわゆるI型光開始剤、好ましくはリチウムフェニル-2,4,6トリメチルベンゾイルホスフィネート、LAP、Irgacure、およびカンファーキノンのうちの1つであってもよい。
【0050】
付加的または代替的に、光開始剤は、いわゆるII型光開始剤、好ましくはエオシンYおよびモノ/ジ/トリエタノールアミン、ローズベンガルおよびモノ/ジ/トリエタノールアミン、ならびにリボフラビンおよびモノ/ジ/トリエタノールアミンのうちの1つであってもよい。
【0051】
GelMAはまた、X線放射によって架橋可能であってもよい。特に好ましくは、GelMAは、X線によって活性化され得る光開始剤を介して架橋可能である。代替的に、GelMAは、光開始剤なしで架橋可能であってもよい。
【0052】
医療用インプラントはまた、リベット、特にブラインドリベットを含んでもよい。リベットは、インプラントを組織に取り付けるために使用することができる。
【0053】
リベットは、異なる温度、化学的環境、および湿度レベルに対する感受性がなく、したがってそれらの存在下で確実に付着するため、特に有利である。したがって、好ましくは、リベットを使用して、例えば接着剤組成物の硬化中、インプラントの配置中、および/またはインプラントに対する他の操作が医療専門家によって行われている間に、医療用インプラントを組織に少なくとも一時的に取り付けることができる。
【0054】
医療用インプラントは、インプラントの外周に少なくとも1つの縫合糸を保持するための少なくとも1つの保持要素を備えることができる。さらに、縫合糸を上記ループ内に配置することができる。
【0055】
そのような保持要素は、医療用インプラントを送達装置に一時的に取り付ける特に容易な方法を提供する。特に、縫合糸(複数可)は、送達装置への接続を提供することができる。縫合糸(複数可)および/または保持要素を引き裂くことによって、インプラントを解放することができる。
【0056】
好ましくは、保持要素は、布地のループを含むか、またはそれからなる。代替的に、保持要素はまた、インプラントの周縁方向領域にループを形成するように折り畳まれた骨格によって形成されてもよい。
【0057】
保持要素はまた、所定の破断点を備えてもよい。
好ましくは、少なくとも1つの保持要素は、医療用インプラントと同じ材料から形成される。
【0058】
付加的または代替的に、少なくとも1つの保持要素は、35~65μmの厚さを有するポリウレタンから形成される。好ましくは、厚さは45~55μmである。
【0059】
代替的に、少なくとも1つの保持要素は、医療用インプラント上に配置された別個の要素として構成される。例えば、保持要素は、インプラントの周縁領域に取り付けられ、ループを形成するように折り畳まれた別個の布地ストリップとして構成されてもよい。代替的に、保持要素は、縫合糸によって形成されたループを含んでもよい。
【0060】
好ましくは、少なくとも1つの保持要素は、所定の破断点、特に好ましくは刻み目を含む。これにより、インプラントを解放するときに保持要素がどこで破断するかを制御することができ、したがって、インプラント手技をより良好に制御することができる。
【0061】
接着剤組成物はまた、乾燥接着剤組成物を含んでもよく、特にそれからなってもよい。乾燥接着剤組成物は、液体に暴露されると膨潤し、および/または少なくとも部分的に液体になり得る。乾燥接着剤組成物はまた、シアノアクリレートなどの液体への暴露によって架橋可能であってもよい。例えば、本明細書に記載のGelMAは、このように乾燥させて使用することができる。代替的に、任意のフィルム形成ポリマー、特にヒアルロン酸、コラーゲン、ヘパリンおよびそれらの光重合性対応物(例えば、メタクリル酸コラーゲン)などのバイオポリマーも適している。
【0062】
乾燥接着剤組成物は、好ましくは、液体への暴露、例えば生理食塩水、血液および/または水における再水和によって活性化可能である。付加的または代替的に、乾燥接着剤はまた、シアノアクリレートへの暴露によって活性化可能であってもよい。再水和後、以前に乾燥していた接着剤は、光開始剤の存在下で、可視光および/またはUV光などの電磁放射線に暴露することによって硬化可能であり得る。
【0063】
好ましくは、第1の状態では、医療用インプラントは、複数の空洞、特にマイクロサイズの空洞を含む。
【0064】
マイクロサイズの空洞は、マイクロメートル範囲、すなわち1μm~1000μmの特徴的なサイズを有する任意の形状を有する空洞として理解されるものとする。例えば、医療用インプラントは、10μm~100μmの直径を有する複数の球状空腔を含むことができる。これは、接着剤組成物が放出されるときにその均質な分布および必要に応じて混合を確実にするため、特に有利である。
【0065】
好ましくは、少なくとも1つの空洞は、湿度に暴露されると膨潤する添加剤を含む。少なくとも1つの空洞は、膨潤を受けて接着剤組成物を放出するように適合することができる。
【0066】
これは、血液への暴露が自動的に空洞を膨潤させ、したがって接着剤を放出させるため、接着剤を放出する特に容易な方法を可能にする。
【0067】
好ましくは、医療用インプラントは、少なくとも2つの異なる種類の空洞を備える。
2つのタイプの空洞は、サイズ、組成、形状、または他の任意の特性が異なり得る。例えば、2つの異なるタイプの空洞は、それらを異なる速度で膨潤させる異なる添加剤を含んでもよい。それらはまた、異なる壁厚、異なる半径を有してもよく、または異なる材料から作製されてもよい。それらはまた、一方のタイプの空洞が膨潤し、他方のタイプの空洞が膨潤しないように適合されてもよい。これにより、接着剤の放出をより良好に制御することができる。例えば、一方の成分を最初に選択的に放出することができ、または一方の成分を他方とは異なる速度で放出することができる。接着剤が1つの成分のみを含む場合、それはまた、放出速度のより良好な制御を可能にし得る。例えば、接着剤の第1の画分を放出し、後の時点で第2の画分を放出することが有利であり得る。異なる圧力または温度で接着剤組成物またはその成分を放出するように空洞を適合させることも可能である。
【0068】
好ましくは、少なくとも2つの異なるタイプの空洞は、接着剤組成物の異なる成分を、特に液体、ゲル、乾燥、または気体の形態で含むように適合される。これは、特に、上述したような2つの異なるタイプの空洞の特徴のいずれかを含むことができる。しかしながら、それは、接着剤の特定の成分の貯蔵を可能にする特定の特性も含み得る。例えば、特定の壁材料は、接着剤組成物の1つの成分に特に有利であり得るが、別の成分とは不適合であり得る。したがって、接着剤組成物の特定の成分に空洞を適合させることが有利であり得る。当然ながら、これはまた、最終的な(混合された)接着剤組成物中の2つの成分の所望の比を計上するために、異なるサイズまたは分解速度の空洞を含むこともできる。
【0069】
好ましくは、接着剤組成物は、第1の状態において2つの成分が分離されるように、空洞内に個別に配置される2つの成分を含む。これにより、例えば埋め込み部位における第2の状態での制御された混合が可能になる。これは、当然のことながら、混合前に硬化可能でない2成分接着剤にとって特に有利である。この場合、例えば湿度または温度上昇への偶発的な暴露による接着剤放出前の意図しない硬化を防止することができる。しかし、当然ながら、例えば架橋によって接着剤組成物をさらに剛直化させるだけの1つの成分を含む接着剤を有することが想定される。そのような構成要素を別個に配置することも有利であり得る。
【0070】
好ましくは、接着剤組成物は、少なくとも2つの成分の混合を受けて硬化可能であるように適合される。これは、接着剤の放出前の偶発的な硬化を防止する。混合後に硬化性接着剤組成物を硬化させる任意の硬化機構が想定される。それは、温度の増大、湿度への暴露、可視光、赤外光、紫外光などの電磁放射線への暴露、またはそれらの組み合わせであり得る。
【0071】
好ましくは、接着剤組成物は、少なくとも2つの成分の混合によって自然発生的に硬化可能であるように適合される。これは、2つの成分の放出および自然発生的な混合を超える追加の処理工程を必要としないため、接着剤組成物を展開する特に有利な方法を提供する。例えば、第1の成分は第1級アミンを含んでもよく、第2の成分はNHSエステルを含んでもよい。第1の成分および第2の成分の官能基の存在下において、接着剤は混合を受けて硬化し得る。しかし、当然ながら、そのような接着剤組成物を追加の硬化機構と組み合わせることが可能である。例えば、2つの成分を有する接着剤組成物は、混合を受けて自然発生的に硬化し得るが、必要に応じて電磁放射線、湿度、または温度増大などの追加の硬化機構への暴露が硬化を加速することができる。追加の硬化剤として第3の成分を使用することも想定される。
【0072】
好ましくは、空洞は、温度増大を受けて、特に人体の温度に合わせて接着剤組成物を放出するように適合される。これにより、インプラントが37°Cまで加熱されるため、埋め込み後の接着剤組成物の自動放出が可能になる。
【0073】
好ましくは、空洞は、電磁放射線への暴露を受けて接着剤組成物を放出するように適合される。例えば、空洞は、可視光、赤外光、紫外光などの照射を受けて分解または破裂することができる。それらはまた、特定の波長または波長範囲の照射を受けて接着剤組成物を放出するように適合されてもよい。複数のタイプの空洞が存在する場合、それらはまた、一度に1つの成分を選択的に放出することが可能であるように、異なる波長範囲での照射を受けて接着剤を放出するように適合されてもよい。一般に、電磁放射線への暴露を受けて接着剤組成物を放出するように適合された空洞は、例えば国際公開第15/1756632号に開示されている送達装置など、放出のために光を伝達することができる送達装置との組み合わせを可能にするため、特に有利である。また、光は典型的には人体内に広く存在するものではなく、したがって偶発的な放出を防止するため、これは接着剤組成物を放出する特に安全な方法でもある。
【0074】
好ましくは、空洞は、圧力の増大を受けて接着剤組成物を放出するように適合される。特に、これは、バルーンの膨張を受けて接着剤組成物を放出することを可能にする。しかしながら、圧力増大をもたらすための任意の他の機構も想定される。例えば、空洞は、液体への暴露が圧力差をもたらす浸透圧による膨潤を引き起こすように適合されてもよい。それはまた、空洞、インプラント、またはその別の部分に圧力を与えるための別個の膨張リザーバを備えてもよい。
【0075】
好ましくは、空洞は、機械的圧縮を受けて接着剤組成物を放出するように適合される。例えば、送達装置のバルーンによる圧縮が利用され得、バルーンを備えた送達装置が既知であり、したがって実施が容易であるため、特に有利である。
【0076】
好ましくは、接着剤組成物は、電磁放射線への暴露によって硬化可能であるように適合される。これは、電磁放射線への暴露を受けて放出されるように適合された空洞の文脈ですでに説明した同様の利点を提供する。例えば、接着剤組成物は、可視光、赤外光、紫外光などの照射を受けて硬化可能であってもよい。それはまた、特定の波長または波長範囲の照射を受けて硬化可能であるように適合されてもよい。一般に、電磁放射線への暴露を受けて接着剤組成物を放出するように適合された接着剤組成物は、例えば国際公開第15/1756632号に開示されている送達装置など、放出のために光を伝達することができる送達装置との組み合わせを可能にするため、特に有利である。また、光は典型的には人体内に広く存在するものではなく、したがって偶発的な硬化を防止するため、これは接着剤組成物を硬化させる特に安全な方法でもある。
【0077】
好ましくは、医療用インプラントは自己拡張支持構造を含む。支持構造は、インプラントの残りの部分よりも高い機械的剛性および/または強度を有する任意の構造であってもよい。例えば、これは、インプラントに機械的剛性を提供するポリマー材料の少なくとも1つの支柱を含んでもよい。付加的または代替的に、これはまた、医療用インプラントをPFOなどの所望の埋め込みロケーションの所定の位置に保持する構造を備えてもよい。例えば、これは、欠損内に配置され、欠損の各側に1つずつ、2つのパッチを保持するように適合された構造を備えてもよい。代替的に、これは、1つのパッチのみを保持してもよい。支持構造の自己拡張性は、カテーテルを通じた特に容易な展開を可能にする。例えば、これは、形状記憶ポリマーなどの形状記憶材料、またはニチノールなどの形状記憶金属から構成されてもよい。しかしながら、送達装置内で圧縮され、埋め込み部位において元の形状に拡張する弾性材料を使用することも想定される。
【0078】
好ましくは、空洞は、閉じたカプセルによって形成される。特に、空洞は球状カプセルによって形成されてもよい。それらは、活性化機構によって開かれるように適合することができる。
【0079】
好ましくは、カプセルは、活性化機構によって破開するように適合される。それらは、本明細書に記載の活性化のいずれか、例えば電磁放射線への暴露、圧力増大、温度増大、またはそれらの組み合わせによって破開するように適合することができる。
【0080】
好ましくは、カプセル壁は、活性化機構によって溶解するように適合される。これは、それらが水、血液、または別の体液に暴露されると溶解するように適合されている場合に、特に有利である。なぜなら、そのような活性化機構は、埋め込み部位にこれらの流体が自然に存在することに起因して追加の取り扱いまたは処理を必要としないためである。したがって、これは、接着剤組成物をカプセルから放出する特に容易で安全な方法を提供する。
【0081】
好ましくは、カプセル、特にカプセル壁は充填材料を含む。充填材料は、硬化した接着剤の機械的強度を高めることができる。したがって、そのようなカプセルは、接着剤組成物を保持し、放出を受けて充填材料を提供することによって二重の目的を果たすことができる。
【0082】
好ましくは、医療用インプラントは多孔質発泡体を含み、第1の状態において、接着剤組成物は多孔質発泡体内に配置される。当然ながら、発泡体を本明細書に記載の他の空洞と組み合わせることも可能である。例えば、医療用インプラントは、発泡体の細孔よりも大きく、接着剤の第2の成分、硬化剤、または別の物質を含む空洞を含んでもよい。発泡体は、特に、固体または液体成分からなる細孔壁によって分離された細孔から実質的になる材料として理解されるべきである。発泡体の細孔は、典型的には、統計的に変動するサイズおよび形状を示す。典型的には、それらはまた浸透性である。
【0083】
特に好ましい実施形態では、医療用インプラントは、多孔質発泡体を支持する編組構造を含む。
【0084】
好ましくは、多孔質発泡体は中実壁を含む。
好ましくは、多孔質発泡体は、ヒドロゲルから形成された壁を含む。ヒドロゲルは、典型的には生体適合性であるため、特に有利である。さらに、それらは多種多様な異なる材料から製造することができ、したがって、用途またはさらには処置される患者にも適合させることができる。さらに、ヒドロゲルは、活性成分を官能化し、含むことができる。ヒドロゲルはまた、生分解性に適合させることができる。
【0085】
好ましくは、発泡体の孔径は、細胞内殖を可能にするように適合される。これにより、発泡体内またはその周囲の組織の形成が容易になる。特に、これは、このように適合されたヒドロゲルなどの生分解性材料と組み合わせて有利である。したがって、医療用インプラントは、細胞内殖よりも遅い速度で分解するように適合させることができる。したがって、医療用インプラントは、テンプレートまたはスキャフォールドとして機能することができ、インプラントが体組織と交換されると体内で分解することができる。
【0086】
好ましくは、医療用インプラントは少なくとも1つのリザーバを備え、接着剤組成物の少なくとも一部分が上記リザーバ内に配置される。リザーバは、インプラント自体の大きさ程度の特徴的なサイズを有する医療用インプラント内の区画として理解されるべきである。これは、医療用インプラント内の空洞として配置されてもよい。しかしながら、これは、インプラントに取り付けられる別個のリザーバとして配置されてもよい。例えば、これは、医療用インプラントの表面上のブリスタであってもよい。リザーバは、比較的大量の接着剤を迅速に放出する必要がある場合、および/または特定の位置でのみ必要とされる場合に有利であり得る。
【0087】
好ましくは、医療用インプラントは、少なくとも1つの別個の膨張リザーバを備える。これにより、局所的な膨張、したがって空洞またはリザーバ内に配置された接着剤の放出が可能になる。例えば、最初に医療用インプラントの特定のロケーションのリザーバを膨張させ、接着剤の第1の部分を放出することが可能である。次いで、接着剤の残りを第2の時点において放出することができる。同様に、2つの膨張リザーバを配置して、例えば2つの異なるロケーションで2つの部分を別個に選択的に解放することが想定される。
【0088】
特に好ましい実施形態では、接着剤で充填された少なくとも1つのリザーバは、少なくとも1つの膨張リザーバの膨張を受けて上記接着剤を放出するように適合される。したがって、医療用インプラントは、接着剤で少なくとも部分的に充填された少なくとも1つのリザーバと、少なくとも1つの膨張リザーバとを備える。しかしながら、医療用インプラントが、いくつかの膨張リザーバおよび/または接着剤で充填されたいくつかのリザーバを備えることも当然ながら可能である。特に、1つの膨張リザーバを使用して、接着剤で充填された2つ以上のリザーバから接着剤を放出することができる。同様に、2つ以上の膨張リザーバを、接着剤で充填された1つのリザーバから接着剤を放出するように適合させることができる。これは、冗長性による追加の安全性を提供することができ、または接着剤の規定の第1の部分および第2の部分を1つのリザーバから放出する容易な方法を提供するために使用することもできる。
【0089】
好ましくは、リザーバは、接着剤が医療用インプラントの片側でのみ放出されるように適合される。特に、それは、パッチの遠位側またはパッチの近位側でのみ放出されてもよい。しかしながら、接着剤が医療用インプラントの側壁側でのみ放出されることも想定される。これにより、組織に面する接着剤の適切な配置が保証され、医療が組織と動作可能に接触せず、そのように設計されていない場合、接着剤の放出が防止される。その結果、接着剤組成物の必要量も低減される。これは、患者にとってより経済的で安全である。医療用インプラントは、各側で異なる材料を選択することによって、各側で材料の厚さおよび/もしくは密度を変化させることによって、発泡体の孔径および/もしくは構造を変化させることによって、または、接着剤組成物のインプラント材料の透過性を変化させ得る任意の他の特性を変化させることによって、片側でのみ接着剤を放出するように適合され得る。
【0090】
好ましくは、医療用インプラントは、接着剤を放出するためのリザーバと流体接続する少なくとも1つのマイクロチャネルを備える。マイクロチャネルは、医療用インプラントの表面に流体接続し、医療用インプラントおよびリザーバのサイズと比較して小さい直径を有する長手方向形状を有するチャネルとして理解されるべきである。特に、それは、1~1000μm、好ましくは25~750μm、さらにより好ましくは50~300μmの範囲内のチャネル直径を有し得る。そのようなマイクロチャネルは、リザーバからの接着剤組成物の容易な放出を可能にする。
【0091】
特に好ましい実施形態では、医療用インプラントは、インプラントの片側でのみ接着剤組成物を放出するように適合され、少なくとも1つのマイクロチャネルを含む。特に、インプラントは、接着剤が上記マイクロチャネルを通じてのみ放出されるように適合されてもよい。したがって、マイクロチャネルの配置は、医療用インプラントを特定の位置、例えばインプラントの片側でのみ接着剤を放出するように適合させる容易な方法を提供する。
【0092】
好ましくは、接着剤組成物は、繊維、特に中実繊維として配置される。さらにより好ましくは、接着剤組成物は、少なくとも2つの成分を含み、その少なくとも1つは、中実繊維として配置される。中実繊維は、乾燥接着剤、または溶融することができる接着剤(ホットメルトなど)、または湿度もしくは水に暴露されると膨潤する接着剤を含むことができる。特に、接着剤組成物はまた、繊維上にコーティングとして配置されてもよい。
【0093】
特に、繊維のうちの少なくとも1つは、組織に接着するように適合されたアルデヒドを含むことができる。
【0094】
[30]好ましくは、接着剤組成物は、液体、特に有機溶媒、生理食塩水、および血液のうちの1つに暴露されると少なくとも部分的に溶解し、ゲル、特にヒドロゲルを形成するように適合される。
【0095】
好ましくは、接着剤組成物は、メタクリル化ゼラチン、メタクリロイル置換トロポエラスチン、ポリ(アクリル)酸およびメタクリル化コラーゲンからなる群からの少なくとも1つの成分を含む。ポリ(アクリル)酸は、ジアクリレート/ジメタクリレート/アミド架橋剤と共に使用することができる。
【0096】
好ましくは、接着剤組成物は、液体、特に有機溶媒または血液に暴露されると硬化機構によって硬化可能であるように適合された乾燥成分を含む。これは、血液の存在に起因する埋め込み時の接着剤の自動活性化を可能にするため、特に有利である。当然ながら、有機溶媒による選択的活性化のみが可能であるように接着剤組成物を適合させることも可能である。これはまた、血液への暴露が接着剤を活性化するが、有機溶媒へのさらなる暴露が活性化プロセスを加速するように適合させることもできる。特に、埋め込み前に体内または体外の液体によって活性化され得るように接着剤を適合させることも可能である。
【0097】
特に、接着剤組成物は、光開始剤を含む溶液ですすぐことによって活性化可能であり得る。代替的に、光開始剤はまた、乾燥接着剤に含まれ、液体への暴露によって活性化されてもよい。例えば、それは少なくとも部分的に膨潤した接着剤中でのみ反応性であり得、乾燥固体接着剤中で動力学的に阻害され得る。
【0098】
好ましくは、医療用インプラントは、生体吸収性または生分解性材料(以下、「生分解性」材料への言及は、生体吸収性材料と生分解性材料の両方を包含すると理解されるものとする)から作製されたスキャフォールド、特に織物、編物、電界紡糸、溶融紡糸、および/または不織生体吸収性材料、および/または3D印刷によって作製された生物学的インプラントを含む。スキャフォールドは、特に、細胞内殖および組織形成を促進するために使用することができる。
【0099】
本発明はまた、接着剤を含む医療用インプラントを展開するための方法に関する。本方法は、本明細書に記載の医療用インプラントと組み合わせると特に有利であるが、当然ながら、接着剤を含む任意の他の医療用インプラントを用いて本方法を実施することが可能である。本方法は、医療用インプラントを第1の状態において第1の部位に展開するステップと、活性化機構によって医療用インプラントを第2の状態にするステップと、硬化機構によって接着剤を硬化させるステップとを含む。第1の部位は、好ましくは埋め込み部位である。しかしながら、インプラントを、埋め込み部位ではなく体外または体内のいずれかで第2の状態にすることも可能である。
【0100】
好ましくは、本方法は、医療用インプラントを第2の状態にするためにその温度を増大させるステップを含む。特に、例えば、カプセルを破開し、および/または空洞を溶解することによって、本明細書に記載の接着剤を放出するために、増大した温度を使用することができる。
【0101】
好ましくは、温度増大は、外部熱源によって少なくとも部分的に提供される。それはまた、外部熱源のみによって提供されてもよい。
【0102】
代替的または付加的に、温度増大は、患者の体熱によって少なくとも部分的に提供される。それはまた、患者の体熱によってのみ提供されてもよい。
【0103】
代替的または付加的に、温度増大は、電磁放射線、特に赤外光によって少なくとも部分的に提供される。これはまた、電磁放射線によってのみ提供されてもよい。
【0104】
好ましくは、本方法は、インプラントを第2の状態にするために圧力を加えるステップを含む。例えば、加えられる圧力は、接着剤組成物をカプセルまたは空洞から絞り出すことができる。それはまた、接着剤組成物を発泡体の細孔から放出することもできる。
【0105】
好ましくは、圧力増大は、浸透圧によって少なくとも部分的に引き起こされる。それはまた、浸透圧によってのみ引き起こされてもよい。例えば、接着剤組成物は、血液のものよりも高いイオン濃度を含んでもよく、水が拡散し得る壁を有する複数の空洞に含まれてもよい。浸透圧により、空洞内に水が拡散する。空洞は、それらが浸透圧より低い圧力で破裂するように適合させることができる。当然ながら、これは、1つのみまたは任意の他の数の空洞によって達成することができる。
【0106】
好ましくは、圧力増大は、インプラントに機械的変形、特に機械的圧力を加えることによって少なくとも部分的に引き起こされる。当業者は、当然ながら、本明細書に記載の圧力を増大させるすべての可能性を組み合わせることができることを理解するであろう。
【0107】
好ましくは、本方法は、インプラントを第2の状態にするためにそれを湿度に暴露するステップを含む。湿度は、例えば、空洞またはカプセルの溶解または破裂を引き起こすことができる。それはまた、接着剤組成物を膨潤させて硬化可能または硬化状態にすることもできる。接着剤を放出し、および/または本明細書に記載の硬化性状態にする任意の他の機構が想定される。
【0108】
好ましくは、本方法は、医療用インプラントを電磁放射線に暴露して第2の状態にするステップを含む。電磁放射線は、赤外光、紫外光、または可視光であってもよい。それは、空洞または本明細書に記載の任意の他の機構の分解を引き起こして、空洞から接着剤を放出し、および/またはそれを硬化可能な状態にすることができる。
【0109】
好ましくは、本方法は、接着剤の硬化を引き起こす、第2の状態の2つの成分を自然発生的に混合するステップを含む。例えば、接着剤組成物は、本明細書の機構のいずれかによって別個のカプセルから放出される2つの成分を含むことができる。放出されると、混合物は、空洞内での分離の喪失のために自然発生的に混合する。したがって、接着剤組成物は、一切の他の外部トリガなしに2つの成分が互いに反応するように適合することができる。これは、接着剤組成物を硬化させる特に容易な方法を提供する。しかし、当然ながら、そのような接着剤組成物を追加の硬化機構と組み合わせてそれをさらに硬化または剛直化することが可能である。
【0110】
好ましくは、本方法は、医療用インプラントを電磁放射線に暴露して第2の状態にするステップを含み、これによって接着剤が硬化する。
【0111】
好ましくは、本方法は、インプラントを第2の状態にするために別個の膨張リザーバを膨張させるステップを含む。特に、別個の膨張リザーバの膨張は、接着剤を含むリザーバから接着剤を絞り出すことができる。
【0112】
好ましくは、本方法は、インプラントを第2の状態にするために液体を配置するステップを含む。液体は、有機溶媒、特にヒトの血液と混和性の有機溶媒であってもよい。しかしながら、液体はまた、水、特に生理食塩水を含んでもよく、またはさらにはそれからなってもよい。
【0113】
本発明はさらに、医療用インプラントに関する。医療用インプラントは、医療用インプラントの周縁に近接して配置された少なくとも1つの引き裂き線を備える。医療用インプラントは、欠損、好ましくは心室壁または心房壁または血管壁の開口部を修復または閉鎖するように適合される。特に、医療用インプラントは、パッチまたは本明細書に開示される任意の他のインプラントであってもよい。医療用インプラントは、埋め込み部位、特に中隔欠損部位に展開されると、医療用インプラントを組織壁に取り付け、引き裂き線に沿って引き裂くことができるようにさらに適合される。
【0114】
引き裂き線は、所定の破断部位を作り出す材料の任意の種類の脆弱化として理解されるものとする。したがって、機械的応力が材料に加えられると、材料は最初に引き裂き線に沿って破断する。これにより、医療用インプラントを送達装置に取り付け、引き裂き線に沿って破断しまたは引き裂くことによって送達装置から容易に解放することが可能になる。引き裂き線は、例えば、材料内の位置整合した穴もしくは穿孔による材料の脆弱化であってもよく、または特定の線に沿ったより薄い厚さ、または異なる材料の領域であってもよい。
【0115】
引き裂き線は、医療用インプラントの全周にわたって、またはインプラントが送達装置に取り付けられる選択された領域にのみ配置されてもよい。特に、医療用インプラントはまた、送達装置に取り付けるための、引き裂き線によって医療用インプラントから分離可能な細長い要素を含んでもよい。例えば、そのような細長い要素は、インプラントと同じ材料のフラップもしくはアーム、またはポリマーもしくは金属などの別の材料の支柱であってもよい。
【0116】
引き裂き線を引き裂く好ましい方法は、送達装置上のバルーンの膨張によるものである。したがって、引き裂き線は、好ましくは、バルーンによってそれに機械的応力を加えることができるように配置される。例えば、医療用インプラントは、短すぎてバルーンの周縁に到達することができない引き裂き可能なフラップを備えてもよい。したがって、引き裂き線は、フラップの長手方向軸に対して垂直に配置される。バルーンの膨張は、フラップの長手方向軸に沿った機械的応力を引き起こし、したがって、引き裂き線に沿って破断する。
【0117】
好ましくは、医療用インプラントは、3年以内、好ましくは12ヶ月以内、さらにより好ましくは6ヶ月以内に人体内でその機械的強度を失うように適合された生分解性材料を含む。機械的強度の喪失は、特に、機械的剛性を低下させるポリマー物質の分子量損失を包含するものとする。
【0118】
好ましくは、医療用インプラントは、外縁と引き裂き線との間で非接着性コーティング、特にシリコーンおよび/またはポリ(テトラフルオロエチレン)によってコーティングされる。これは、送達装置によって後退されるように設計された領域内の組織への医療用インプラントの接着を防止する。
【0119】
好ましくは、医療用インプラントは、切れ込みであって、送達装置が部分的に当該切れ込み切れ込みを通って延伸することができるように適合された切れ込み、特に十字形の切れ込みを含む。切れ込みは、閉鎖することができる医療用インプラントの開口部を提供する任意の形状を有することができる。例えば、それはまた、同様の形状のフラップを形成する半円形の切れ込みであってもよく、または正方形状の切れ込みであってもよい。直線的な切れ込みも想定されるが、送達装置がそれを通って延伸するのに十分な長さでなければならない。さらに、切れ込みは、それによって形成された開口部が少なくともそれ自体を閉じる傾向を有するように適合される。これにより、送達装置は、送達中にインプラントの両側に少なくとも部分的に延伸するが、送達後に医療用インプラントを通して後退されることが可能になる。後退後、フラップは開口部を閉じる。
【0120】
好ましくは、医療用インプラントは、繊維、特に織り繊維、紡糸繊維、または編み繊維を含む。これは、医療用インプラントが布地パッチを含むか、またはそれからなる場合に特に有利である。繊維は、接着剤または薬物によってコーティングされている、および/または生分解性であるなどの特定の機能に適合させることができる。当然ながら、1つの医療用インプラント内の異なるタイプの繊維、例えば、異なる接着剤によってコーティングされ、異なる速度で生分解するように適合された繊維、または異なる薬物を溶出するように適合された繊維、またはそれらの任意の組み合わせを組み合わせることが可能である。
【0121】
好ましくは、繊維は生分解性材料から作製される。
好ましくは、生分解性材料は、ポリ(乳酸-co-グリコール酸)、ポリ(L-乳酸、ポリ(D-乳酸)、ポリ(グリコール酸)、ポリ(カプロラクトン)、これらの材料の任意のコポリマーおよび/またはブレンドからなる群から選択される。これらの材料は、非毒性であり、周知であり、医療用途に承認されており、市場で容易に入手可能であるという点で特に有利である。
【0122】
好ましくは、医療用インプラントはスパイン構造を含む。特に、スパイン構造は、医療用インプラントの残りの部分とは異なる機械的特性を有することができる。例えば、それは異なる材料から作製されてもよく、またはより大きい厚さなどの異なる寸法を有してもよい。スパイン構造は、他の特性に起因して選択された可能性があるインプラント材料を必ずしも変更することなく機械的特性を調節することができるため、より柔軟にインプラント特性を調節することを可能にする。
【0123】
好ましくは、スパイン構造はポリウレタンを含み、特に好ましくはポリウレタンからなる。
【0124】
好ましくは、スパイン構造は、非弾性引き裂きアームを提供するために医療用インプラントを越えて延伸する。非弾性引き裂きアームは、インプラントを送達装置、特に中央管腔に接続するために使用することができる。これにより、材料の選択を制限することなく、より信頼性の高いインプラント、特にパッチの放出が可能になる。
【0125】
特に好ましくは、少なくとも1つの縫合糸を保持するための保持要素が、非弾性引き裂きアームによってまたは非弾性引き裂きアーム上に形成される。
【0126】
例えば、インプラント材料のシートから延伸フラップを含むインプラントを切り出すことによって、非弾性引き裂きアームをインプラントの延伸部として構成することも可能である。
【0127】
好ましくは、医療用インプラントは、接着剤組成物、特に医療用インプラントをヒト組織に取り付けるように適合された接着剤組成物を含む。特に、本明細書に記載の任意の接着剤組成物を使用することができる。これは、医療用インプラントが取り付けられる組織の前処理のためにグルタルアルデヒドを含むことが好ましい。特に、接着剤組成物は、細胞表面分子に共有結合するリンカーを有するポリマーの誘導体を含み得る。付加的または代替的に、それに組み込まれた接着剤組成物は、成長因子、走化性因子、凝固または抗凝固因子、および/または抗炎症化合物を含んでもよい。
【0128】
好ましくは、引き裂き線は、レーザ切断引き裂き線を含む。これは、引き裂き線を有する医療用インプラントを製造する特に容易で精密な方法を提供する。
【0129】
好ましくは、医療用インプラントは、医療用インプラントの周縁を越えて半径方向に延伸する少なくとも1つの延伸部を含む。これにより、送達装置への取り付けが可能になる。
【0130】
特に好ましい実施形態において、医療用インプラントは、医療用インプラントの周縁を越えて半径方向に延伸する少なくとも1つの延伸部と、スパイン構造とを含む。特に、スパイン構造はまた、本明細書に記載の非弾性引き裂きアームを含んでもよく、非弾性引き裂きアームは、延伸部に含まれるように構成される。
【0131】
好ましくは、少なくとも1つの延伸部は、紐および/または縫合糸を含む。特に、延伸部は、紐および/または縫合糸からなってもよい。これは、例えば結び目または縫合糸によって医療用インプラントを送達装置に取り付ける単純な方法を提供するため、特に有利である。
【0132】
付加的または代替的に、少なくとも1つの延伸部は、医療用インプラントと同じ材料からなるストリップを含む。これは、医療用インプラントを、例えば延伸部とともに基材から直接切り出すことができるため、特に容易に製造することができる。
【0133】
少なくとも1つの縫合糸を保持するための保持要素は、少なくとも1つの延伸部によって形成されてもよい。
【0134】
好ましくは、少なくとも1つの引き裂き線は、引き裂きを受けて少なくとも1つの延伸部を医療用インプラントから分離するように適合され、特に配置され寸法決めされる。医療用インプラントが非弾性および/または非延伸性の引き裂きアームを有するスパイン構造を含む場合、少なくとも1つの延伸部と同じまたは異なる位置で非弾性引き裂きアームを脆弱化するように引き裂き線を配置することもできる。
【0135】
好ましくは、延伸部は、医療用インプラント、好ましくはパッチを送達装置、特に送達装置に含まれるバルーン内に保持するように適合される。
【0136】
好ましくは、インプラントは、送達装置の膨張可能バルーンの表面の一部分によって形成される。バルーンは、ポリウレタンなどのインプラントグレードの材料から作製することができる。それはまた、所定の圧力または引張力で破断するように適合された引き裂き線を備えることもできる。特に、引き裂き線は、効率的な膨張を可能にするために、穴または切れ込み以外の材料を脆弱化することによって形成することができる。例えば、バルーンの周縁は、バルーンが上記引き裂き線に沿って破断するように、より薄い壁を有することができる。バルーン、または引き裂き線の内側の領域は、接着剤によってコーティングすることもできる。
【0137】
本発明はさらに、本明細書に記載の引き裂き線を含む医療用インプラント、特に接着剤を含む医療用インプラントを送達するための送達装置に関する。これは、インプラントを保持するためのインプラントホルダを有するシャフトを備える。インプラントホルダは、インプラントを、好ましくは少なくとも部分的にその周縁に沿って保持するように適合される。特に、それは、医療用インプラントの周縁上に接着リングによってインプラントを保持することができる。送達装置は、作動機構の作動を受けて上記引き裂き線が少なくとも部分的に破断されるように、インプラントの少なくとも2つの所定の点の間の距離を増大させるための作動機構をさらに備える。
【0138】
好ましくは、作動機構は膨張可能バルーンを含む。
送達装置、特にインプラントホルダは、縫合糸の保持要素を有することができる。保持要素は、医療用インプラントに接続されたまたは接続可能な少なくとも1つの縫合糸を保持するように適合される。
【0139】
保持要素は、特に、縫合糸を有する保持要素を備えるインプラントを動作可能に接続する、すなわち保持するように適合される。
【0140】
好ましくは、送達装置は、医療用インプラントと組織との間の接着力を示すための、特に好ましくはハンドル上に配置されたゲージを含む。
【0141】
示された接着力は、送達装置によって直接測定することができ、例えばインプラントの一部分を引き、力を測定する。突然の脱落によって検出され得るインプラントの分離の場合に、力を決定することができる。代替的に、加えられた力は、分離なしに測定することができ、これは接着力の最小値を提供する。
【0142】
代替的に、ゲージは、インプラント上のマーカ、例えば圧力下で変形可能なマーカによって判定される値を示すことも可能である。
【0143】
本発明はさらに医療用インプラント、好ましくはパッチ、好ましくは、本明細書に記載の医療用インプラント、特に、欠損、好ましくは心臓壁、特に心房壁、心室壁および/もしくは隔壁、または血管壁の開口部、あるいは本明細書に記載の任意の他の欠損を閉じるように適合された医療用インプラントに関する。医療用インプラントは、医療用インプラントの外縁に位置する少なくとも1つの接続要素、特にビーズを備える。接続要素は、接続要素が、上記接続要素との接続のための適切な相手方要素を有する送達装置と係合するように適合されるように、インプラントのサイズ、特に厚さよりも大きいサイズを有する。
【0144】
好ましくは、ビーズは、ポリマー材料または金属材料を含む。特に、それらは全体がポリマーまたは金属材料からなってもよい。それらは、ワイヤまたは縫合糸に取り付けることができる。
【0145】
本発明はさらに、医療用インプラント、特に本明細書に記載の接続要素を備える医療用インプラントの送達装置に関する。送達装置は、作動要素を備える少なくとも1つのチューブを備える。作動要素は、特に、上記チューブ内に配置されたワイヤであってもよい。これは、上記作動要素と動作可能に接続している、特に上記ワイヤに取り付けられた少なくとも1つのホルダ、好ましくは少なくとも2つのホルダをさらに備える。チューブおよび少なくとも1つのホルダ、好ましくは少なくとも2つのホルダは、医療用インプラントが第1の状態において少なくとも1つのホルダによって保持されるように適合される。医療用インプラントは、作動要素の作動によって解放することができる。
【0146】
本発明はさらに、医療用インプラント、好ましくは本明細書に記載の医療用インプラントを製造する方法に関する。接着剤組成物は、少なくとも部分的に液体であり、医療用インプラントの少なくとも1つの表面上に配置される。接着剤組成物は乾燥される。
【0147】
接着剤組成物は、インプラント上に配置された後に乾燥されてもよく、または最初に乾燥され、次いでインプラント上に配置されてもよい。
【0148】
特に、接着剤組成物は、真空下、または少なくとも大気圧より低い圧力下で乾燥させることができる。付加的または代替的に、接着剤組成物を乾燥させるために上昇した高温も使用され得る。
【0149】
本発明はさらに、医療用インプラントを製造する方法、好ましくは上述の方法に関する。本方法は、好ましくは、本明細書に記載の医療用インプラントを製造するために使用される。少なくとも1つの延伸要素が、医療用インプラントの外周に配置される。延伸要素は、好ましくは所定の破断点を含む。少なくとも1つの延伸要素は、保持要素を形成するように構成される。この目的のために、延伸要素の端部は、特に、延伸要素が実質的に閉ループを形成するように医療用インプラントの表面上に配置されてもよい。延伸要素の端部は、保持要素を含む構成で延伸要素を固定するように接合される。好ましくは、方法は、保持要素、特に実質的に閉じたループに縫合糸を配置するステップをさらに含む。
【0150】
実質的に閉じたループは、特に、例えば、延伸部の2つの端部を互いに近接して配置し、2つの端部をともに結合するように、延伸部を折り畳むことによって形成されてもよい。
【0151】
接着は、好ましくは、接着剤/接着剤組成物の被着によって達成される。付加的または代替的に、接合はまた、溶接、はんだ付け、鋳造、および/または機械的取り付け(リベット、フック、ベルクロ、縫合)によって達成されてもよい。
【0152】
好ましくは、接着剤組成物は、インクジェットまたは押出印刷を介して医療用インプラント上に配置構成される。
【0153】
特に、インクジェット印刷または押出印刷は、他の様態では乾燥時の接着剤組成物の脆性のために達成が困難であり得る複雑な構造およびパターンの接着剤を医療用インプラント上に配置することを可能にする。
【0154】
代替的に、接着剤の連続フィルムを配置することも可能であり、接着剤が液体状態にある間にスタンプによってパターンが作られる。
【0155】
特に好ましくは、接着剤組成物は、特定の方向におけるインプラントの可撓性を可能にするように予め規定されたパターンで配置構成される。例えば、接着剤組成物は、丸形ディスクのスライスとして配置構成されてもよい。このとき、インプラントは、個々のスライスを分離する軸に沿って可撓性であってもよい。付加的または代替的に、予め規定されたパターンは、スパイク、錐体、三角形、立方体、返し、羽根、または他の形状を含むことができる。
【0156】
予め規定されたパターンは、二次元パターンであってもよく、すなわち、パターン化構造を有する実質的に平坦な接着フィルムであってもよい。代替的に、パターンはまた、三次元であってもよく、すなわちまた、接着剤組成物が配置されるインプラント表面に垂直な軸に沿ったパターンを含んでもよい。
【0157】
三次元パターンは、圧力の局所的な調節を可能にするため、特に有利である。例えば、表面から延伸する錐体が、平坦なフィルムよりも高い局所圧力で組織に押し付けられてもよい。したがって、そのような構造はまた、組織内への拡散による組織の集積を促進し得る。
【0158】
本発明はさらに、欠損、特に心室壁または心房壁または血管壁の開口部を処置する方法に関する。本方法は、医療装置、好ましくは本明細書に記載の医療装置を埋め込むステップを含む。インプラントは接着剤組成物を含む。接着剤組成物は、in situで水和され得る。代替的に、接着剤組成物は、フラッシングによって送達の前に水和されてもよい。
【0159】
水和は、受動的であってもよく、すなわち、血液または他の体液中に自然に存在する液体水および/もしくは蒸気を介してもよく、または能動的であってもよく、すなわち、例えば送達装置内の流体管を通じた液体の送達を介してもよい。
【0160】
本発明はさらに、欠損、特に心室壁、心房壁、隔壁または血管壁の開口部を処置する方法に関する。インプラントは、好ましくは、本明細書に開示されるインプラント、特に保持要素を含むインプラントである。好ましくは、本明細書に記載の送達装置、好ましくは保持要素を含む送達装置が、本方法を実施するために使用される。本方法は、インプラントを埋め込むステップと、少なくとも1つの縫合糸を引くステップとを含む。医療用インプラントは、縫合糸を引くことによって解放される。
【0161】
以下では、添付の図を参照して本発明を詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0162】
図1a】医療用インプラントの一実施形態の図である。
図1b】医療用インプラントの一実施形態の図である。
図2】患者に埋め込まれた医療用インプラントの一実施形態の図である。
図3】医療用インプラントを有する送達装置の一実施形態の図である。
図4】医療用インプラントの解放後の送達装置の一実施形態の図である。
図5a】医療用インプラントおよび概略的な解放機構の一実施形態の図である。
図5b】医療用インプラントおよび概略的な解放機構の一実施形態の図である。
図5c】医療用インプラントおよび概略的な解放機構の一実施形態の図である。
図6】医療用インプラントの一実施形態の図である。
図7】送達装置を有する医療用インプラントの一実施形態の図である。
図8】送達装置の一実施形態の図である。
図9a】医療用インプラントの異なる実施形態の図である。
図9b】医療用インプラントの異なる実施形態の図である。
図9c】医療用インプラントの異なる実施形態の図である。
図9d】医療用インプラントの異なる実施形態の図である。
図10a】医療用インプラントの一実施形態の図である。
図10b】医療用インプラントの一実施形態の図である。
図11a】医療用インプラントの一実施形態の図である。
図11b】医療用インプラントの一実施形態の図である。
図12】医療用インプラントおよび概略的な解放機構の一実施形態の図である。
図13】医療用インプラントおよび概略的な解放機構の一実施形態の図である。
図14】医療用インプラントおよび概略的な解放機構の一実施形態の図である。
図15a】接着剤送達の異なる実施形態の概略図である。
図15b】接着剤送達の異なる実施形態の概略図である。
図15c】接着剤送達の異なる実施形態の概略図である。
図16a】医療用インプラントの一実施形態の図である。
図16b】医療用インプラントの一実施形態の図である。
図17】患者に埋め込まれた医療用インプラントの一実施形態の図である。
図18a】充填材料を含有するカプセルを有するパッチの図である。
図18b】充填材料を含有するカプセルを有するパッチの図である。
図19a】異なる第1の表面および第2の表面を有するパッチの側面図である。
図19b】異なる第1の表面および第2の表面を有するパッチの側面図である。
図20a】パターン化された接着剤層を有するパッチの上面図である。
図20b】パターン化された接着剤層を有するパッチの上面図である。
図21a】放射線不透過性マーカの異なる実施形態を有するパッチの図である。
図21b】放射線不透過性マーカの異なる実施形態を有するパッチの図である。
図21c】放射線不透過性マーカの異なる実施形態を有するパッチの図である。
図22】離散マーカを有するパッチの図である。
図23a】活性化の前の乾燥接着剤を有するパッチの図である。
図23b】活性化の後の乾燥接着剤を有するパッチの図である。
図24a】ゲージを有する送達装置のハンドルの2つの実施形態のうちの1つの図である。
図24b】ゲージを有する送達装置のハンドルの2つの実施形態のうちの1つの図である。
図25】3次元パターンを有する接着剤を有するパッチの図である。
図26a】パッチ上に接着剤層をパターン化する方法の概略図である。
図26b】パッチ上に接着剤層をパターン化する方法の概略図である。
図26c】パッチ上に接着剤層をパターン化する方法の概略図である。
図26d】パッチ上に接着剤層をパターン化する方法の概略図である。
図27a】保持要素を有するパッチを製造する方法の概略図である。
図27b】保持要素を有するパッチを製造する方法の概略図である。
図27c】保持要素を有するパッチを製造する方法の概略図である。
図27d】保持要素を有するパッチを製造する方法の概略図である。
図28a】医療用インプラントの骨格の一実施形態の概略図である。
図28b】医療用インプラントの骨格の一実施形態の概略図である。
図29】保持要素が保持要素に取り付けられている医療用インプラントの図である。
図30】組織壁に取り付けられたインプラントの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0163】
図1aおよび図1bは、本発明による医療用インプラント1の一実施形態を示す。インプラントは、引き裂き線3を有する布地パッチ5を備える。布地は、ポリグリコール酸からなる生体適合性繊維の織物であり、生体接着剤によってコーティングされている。付加的または代替的に、繊維は、PETなどの別のポリマーから作製されてもよい。
【0164】
図1aは、医療用インプラント1の側面図を示す。インプラント1の片側にのみ配置されたシリコーン層2が、この視点において非常によく見えている。これは、患者内に残っていない領域内での医療用インプラントと患者の組織との間の接着を防止する。この視点では、インプラントの厚さTも見ることができ、これは150μmである。
【0165】
図1bは、医療用インプラント1の正面図を示す。布地は、機械的に可撓性であり、患者の解剖学的構造および埋め込み部位における組織の表面構造に適合することができる。引き裂き線3は、円形の所定の破断線を共に形成するパッチ5の周縁に沿った複数のレーザ切断部分を含む。引き裂き線は、パッチ5の半径方向の伸張を受けて破断するように適合され、引き裂き後にいかなる自由繊維も有しない。医療用インプラント1の外縁OCと引き裂き線3との間には、非接着性材料としての層状シリコーン2が存在する。パッチ5は、送達装置(図示せず)がそれを通って部分的に延伸することができるように適合された十字形の切れ込み4をその中心にさらに備える。パッチは、6ヶ月以内に人体内で分解するように適合される。織構造は、インプラントが分解されるまでに組織と置換されるように、組織成長を促進する。インプラントは、外縁OC上のリムを含め直径25mmであり、パッチは、引き裂き線3に沿った引き裂き後は直径20mmである。
【0166】
図2は、埋め込み部位におけるパッチ5の形態の医療用インプラント1を示す。埋め込み部位は、患者の心臓の心房壁Wの欠損Dである。ここでは、埋め込みプロセス中の医療用インプラント1が示されている。位置付け装置Pを備える送達装置Cが、パッチ5およびその中心の切れ込み(見えない)を通じて部分的に延伸する。パッチは、接着剤組成物6、この場合はGelMAによってコーティングされる。代替的に、グルタルアルデヒドを利用してもよい。これにより、パッチ5を心房壁Wに効果的に取り付けることができる。
【0167】
図3は、図2に示すのと同様の医療用インプラント1を示す。ここでは、埋め込みプロセス中であるが、バルーンBを含む送達装置(図示せず)から取り外す前のインプラントが示されている。医療用インプラントは、医療用インプラント1のバルーン側で、かつ医療用インプラント1の外縁OCとその引き裂き線との間で、接着剤リム7によってバルーンBに取り付けられた編布地から作製されるパッチ5を備える。他方の側では、インプラント1は、引き裂き線3によって囲まれた領域内で接着剤組成物6によってコーティングされる。引き裂き線3と外縁OCとの間には、接着剤リム7の反対側の部位に、接着剤の濡れ、したがって接着を防止するPTFEコーティングがある。ここに示す図では、バルーンBは部分的に膨張している。
【0168】
図4に示すように、さらなる膨張は、接着剤リム7を介してバルーンBに取り付けられた医療用インプラントの外側リム8の、送達装置の長手方向軸Lに直交する方向への延伸に起因して、パッチ(明確にするために図示せず)および引き裂き線3に力Fを加える。したがって、さらなる膨張は、引き裂き線3を破断し、パッチ5を解放する。ここでは、送達装置Cが示されており、パッチを電磁照射Eに暴露するように適合されている。
【0169】
図5a~図5cは、医療用インプラント1および医療用インプラント1のための解放機構を概略的に示す。ここで、医療用インプラントは、ポリ乳酸の紡糸繊維のパッチを含む。しかし、当然ながら、解放機構を任意のパッチ材料またはさらには任意の種類の医療用インプラントと組み合わせることができることが当業者には理解されよう。インプラント1は、ポリマー材料から作製されたビーズ9を含む。ここで、ビーズは、典型的には2週間以内に人体内で分解するように適合された生分解性ポリマー材料から作製される。当然ながら、それらはより速くまたはより遅く分解するように適合させることもできる。これらは、医療用インプラント1の縁OCに取り付けられている。
【0170】
図5aは、医療用インプラント1を側方から示している。この図では、ビーズ9が医療用インプラントの厚さよりも大きい直径を有することが特によく見える。ここで、ビーズ9は、わずかに細長い形状であるが、球状ビーズを配置することも可能である。
【0171】
図5bでは、医療用インプラント1を上面から示している。ビーズが医療用インプラントよりも相当に小さいことがよく見える。典型的には、それらは300μmの直径を有するが、直径は最大1mmであってもよい。ここで、インプラント1は、医療用インプラント1の周囲に等間隔に配置された4つのビーズを含む。当然ながら、医療用インプラント上により多いまたはより少ない数のビーズを配置すること、および/またはそれらを不均等に離間することが想定される。
【0172】
図5cは、図5aおよび図5bに示すインプラント1を解放することができる方法を概略的に示す。送達装置は、少なくとも1つのチューブ10、典型的には医療用インプラント1に取り付けられたビーズ9ごとに1つのチューブ10を備える。上記チューブ10には、下側ホルダ12aおよび上側ホルダ12bを有するワイヤ11が設けられている。ホルダ12a、12bは、チューブ10内でそれらの間に位置するビーズ9がチューブの長手方向に沿ってホルダを通過することができないように適合されている。したがって、埋め込みのために、ビーズ9は、上側ホルダ12bと下側ホルダ12aとの間でチューブ10内に配置される。これにより、上側ホルダ12bがチューブ10から解放されるようにワイヤ11が作動される図示の解放機構が可能になる。これにより、ビーズ9もチューブ10から出ることができ、したがってインプラント1が解放される。
【0173】
図6は、医療用インプラント1および概略的な解放機構の別の実施形態を示す。ここで、医療用インプラント1は、生分解性布地から作製されたパッチ5を備える。布地は、接着剤組成物(図示せず)によってコーティングされた繊維を含む。インプラント1は、インプラント1から外方に延伸する4つの延伸部13を備える。各延伸部13は、引き裂き線によってインプラント1から分離されている。ここで、延伸部は、パッチ5と同じ材料からなる。これは特に単純であるが、当然ながら他の材料を含むことも可能である。引き裂き線は、引き裂き線が引き裂かれると、パッチ5が実質的に球形になり、20mmの直径を有するように構成される。
【0174】
図7は、医療用インプラント1の別の実施形態を示す。ここでは、バルーンBが送達装置(C)に取り付けられる。バルーンは、インプラントグレードの材料から、ここではポリウレタンから作製されている。バルーンは、遠位側において接着剤組成物6によってコーティングされている。これは、実質的に円形であり、送達装置Cの長手方向軸Lに対して実質的に垂直な平面内に配置された引き裂き線3をさらに含む。ここで、引き裂き線は、所定の破断点を生成するバルーンBのより薄い壁部分として形成される。しかしながら、それは、バルーンBの膨張を可能にするためにまだシールされたままである。バルーンBの膨張は、バルーン壁内に接線方向の機械的応力を生じさせる。所定の破断点に起因して、バルーンは、引き裂き線3に沿って破断する。破断によって形成されたパッチは、接着剤組成物6によって組織に接着する。したがって、医療用インプラントは、送達中はバルーンBの一部であった。
【0175】
図8は、送達装置Cの別の実施形態を示す。ここでは、送達装置Cは、医療用インプラント1を送達するのに役立つことができる他の実施形態で説明したバルーンBを含む。当然ながら、本明細書に記載の任意の医療用インプラント1は、本明細書に示すような送達装置と組み合わせることができる。ここでは、医療用インプラントは、接着性繊維を有する布地パッチからなる。送達装置は、バルーンBおよび医療用インプラント1の周りに外層を形成する第2のバルーン14を備える。したがって、それは、パッチおよび接着剤を、組織との接触から保護する。ここで、外側バルーン14は、医療用インプラント1のほぼ中央に配置された開口部30を備える。これは、医療用インプラント1を埋め込むための有利な方法を提供するが、任意選択である。これにより、組織への予備的な取り付けが可能になる。展開のために、外側バルーンは、送達装置の長手方向軸Lに沿ってインプラント1から離れる方向に後退される。これにより、インプラント1が組織に露出し、接着剤組成物が組織に付着することが可能になる。
【0176】
図9a~図9dは、布地スキャフォールドから切り出された布地パッチの異なる実施形態を示す。したがって、ここに示される延伸部13は、パッチ5と同じ材料からなる。図9a~図9d全体を通じて、明確にするために、特定の同一の特徴について1つの参照符号のみが示されている。これらの実施形態に示す延伸部13は、15mmの典型的な長さおよび3.5mmの幅を有する。当然ながら、これらの値は、特定の機械的強度に達するように、またはパッチを特定の送達装置に適合させるように適合させることができる。
【0177】
図9aは、PET布地15から作製された8つの延伸部13を有するパッチを示す。延伸部13は、各々引き裂き線3によってパッチ5から分離されている。PETは、非吸収性材料である。したがって、図示の実施形態は、例えば新たに形成される組織の安定性が不十分であるために、インプラントを組織で置き換えることが不可能または望ましくない場合に特に有利である。
【0178】
図9bは、2つの延伸部13のみを有するパッチ5の実施形態を示す。布地15は、編まれたポリ(L-乳酸)(PLLA)からなる。PLLAは、2年以内に人体に吸収される。したがって、示されている実施形態は、細胞内殖が遅いか、または1~2年間パッチ5による支持が所望される場合に特に有利である。
【0179】
図9cは、電界紡糸ポリカプロラクトン(PCL)から作製された布地15から切り出されたパッチ5の実施形態を示す。それは、各々引き裂き線3によってパッチ5から分離されている6つの延伸部13を備える。PCLは、電界紡糸に特に有利であり、したがって、布地15を製造する容易な方法を提供する。これは、約6ヶ月以内に人体で分解し、したがって、比較的速い分解が必要または所望される場合、選択される材料である。
【0180】
図9dは、図9cに示すのと同じ電界紡糸PCL布地15から作製されたパッチの別の実施形態を示す。パッチ5は、円形形状と、外側リム8を形成するその周囲の連続した円形形状の引き裂き線3とを有する。
【0181】
図10aおよび図10bは、医療用インプラント1の別の実施形態を断面図(図10a)および上面図(図10b)で示す。明確にするために、同一の特徴については1つの参照符号のみが示されている。医療用インプラント1は、繊維が官能化され、方向性を有する電界紡糸パッチを備える。インプラント1は、接着剤組成物で充填することができるリザーバ16を備える。パッチ5の領域18は、より低い透過性を有するように官能化することができる。ここで、これにより、リザーバ16内に配置された接着剤がパッチを透過して医療用インプラントのこの側に放出されることが防止される。代わりに、図示の実施形態は、選択的レーザ溶接によって一体化されたマイクロチャネル17を備える。これらのマイクロチャネル17は、医療用インプラント1の外面およびリザーバ17と流体接続している。したがって、接着剤は、マイクロチャネルによって指向的に放出され得る。
【0182】
図11aおよび図11bは、スパイン構造31の一実施形態を示す。図11aは、単独のスパイン構造31を示す。図示のスパイン構造は、パッチと同様または異なるポリマーから作製されている。これは、3つの細長い構造19、20を含む。これは、典型的には、インプラントに十分な機械的安定性を提供するという点で最も有利な構成である。しかしながら、必要に応じて、スパイン構造をいくつかの追加の細長い構造、またはそれらのうちの1つまたは2つのみで適合させることも可能である。細長い構造は、内側部分20と、所定の破断点33によって分離された引き裂きアーム19とを備える。引き裂きアームの弾性は、概して、内側部分の弾性よりも低い。内側部分20は、医療用インプラント1に近い領域に配置され、埋め込みを受けて患者内に留まるように設計されている。したがって、内側部分20の1つのアームの長さは、インプラントの直径の約半分、典型的には約10mmである。当然ながら、スパイン構造31全体および内側部分20のサイズは、特定のインプラントに適合させることができ、したがってより大きくまたは小さくすることができる。内側部分は、送達および埋め込み中にインプラントに機械的安定性を与え、また、埋め込み後にさらなる支持を与える。スパイン構造31は、構造31の中央に丸形の穴32をさらに備える。これにより、送達装置および/または位置付け装置(いずれも図示せず)がスパイン構造31を通って延伸し、それを通って再び後退されることが可能になる。さらに、より弾性の低い引き裂きアーム19を送達装置に取り付けることができる。所定の破断点での破断が、インプラント1の解放を可能にする。ここに示すスパイン構造31は、医療用インプラント1の機械的特性からパッチを解放するのに必要な力を分離する特に有利な方法を提供する。
【0183】
図11bは、図11aに示すのと同じ特徴を有するが医療用インプラント1と組み合わせたスパイン構造を示す。
【0184】
図12は、医療用インプラント1のための送達装置Cおよび概略的な放出機構を示す。送達装置Cは、バルーンBなどの膨張可能または拡張可能な構造と、医療用インプラント1を保持および解放するための外側支柱21とを備える。ここでは、医療用インプラントは、外側支柱21によって保持されるノッチ22を有する縫合糸を含む。ノッチを保持および解放する機構は、図5cに概略的に示すボール解放に実質的に対応し、ノッチ22は、図5cに示すボールの技術的効果を有する。したがって、バルーンBは、医療用インプラントに圧力を加えるために使用することができるが、インプラント1を送達装置Cから解放する必要はない。
【0185】
図13は、図12に示すものと同様の送達装置Cを示す。しかしながら、ここでは、外側支柱21は、縫合糸23を通じて医療用インプラント1に接続されている。縫合糸は、縫合糸23を解放する機構を含まない外側支柱21に固定して接続される。代わりに、バルーンBは、膨張すると、外側支柱21を医療用インプラントから押し離し、したがって接続部を破断させてインプラント1を解放する。
【0186】
図14は、図6に示すものと同様の医療用インプラント1を有する送達装置Cを概略的に示す。インプラント1は、引き裂き線3を通じてインプラント1に接続された細長いフラップ3を備える。インプラント1の図示の実施形態は、4つのそのようなフラップ13を有するが、より少数またはより多数のフラップを有するように適合させることもできる。送達装置はバルーンBを含む。膨張すると、バルーンは引き裂き線3に力を及ぼし、それらを破断させてインプラントを解放させる。次いで、医療用インプラント1を患者の体内に残したまま、フラップ13を送達装置Cと共に後退させることができる。ここには示されていないが、図示されている実施形態は、図11aおよび図11bに示すようなスパイン構造と組み合わせるのによく適している。
【0187】
図15a~図15cは、接着剤組成物を含むパッチ5の異なる実施形態を概略的に示す。
【0188】
図15aは、2つの異なるタイプの空洞24a、24bを含むパッチ5を示す。空洞24a、24bは、球形であり、約1mmの直径を有する。パッチは20mmの直径を有し、ポリ(乳酸-co-グリコール酸)からなる。PLA-GA、PLGA、PCL、PUなどの他の吸収性材料も使用することができる。代替的に、PET、PE、および/またはPPなどの非吸収性材料を使用することができる。空洞24a、24bは、接着剤組成物の異なる2つの成分、すなわち樹脂および硬化剤を含有する。樹脂および硬化剤は、互いに物理的に分離され、混合すると硬化可能になる。したがって、接着剤組成物は、2つの成分が分離された図示の状態では硬化可能でない。しかしながら、図示の実施形態における空洞24a、24bは、例えば膨張可能なバルーンによって加えられる機械的圧力の印加を受けて破裂するように適合されている。空洞の破裂は、接着剤組成物の両方の成分の放出を引き起こし、それを硬化可能にする。典型的な接着剤は、GelMA(メタクリル化ゼラチン)、CollMA(メタクリル化コラーゲン)またはMeTro(メタクリル化トロポエラスチン)であり得る。
【0189】
図15bは、発泡体25を含むパッチを示す。発泡体の細孔35は、ヒドロゲルからなる壁34によって囲まれている。ヒドロゲルは、24ヶ月以内に人体内で分解するように適合される。細孔35に接着剤組成物が充填される。パッチは、機械的変形を受けて接着剤組成物を細孔35から放出するように適合される。ここでは、接着剤組成物は、電磁放射線への暴露によって硬化可能である。任意の接着剤組成物を、示されたパッチ、特に任意の硬化機構と組み合わせることができることが当業者には理解されよう。細孔35は、接着剤組成物の放出後に空の細孔が組織増殖のためのスキャフォールドとして機能することができるように、細胞内殖を促進するようにそれらのサイズを適合される。パッチ5の生分解は、パッチが新しい組織の形成後に分解するように適合される。
【0190】
図15cは、パッチ5のさらに別の実施形態を示す。示されているパッチは、ポリカプロラクトンの電界紡糸繊維26から作製されている。繊維の直径は約3μm、長さは数百μmである。繊維は、接着剤組成物としてのメタクリル化ゼラチンによってコーティングされている。したがって、このパッチは、組織に容易に取り付けることができ、電界紡糸によって特に容易に製造することができる。当然ながら、繊維は、それによってコーティングされる代わりに接着剤組成物からなることもできることが当業者には理解されよう。同様に、ポリカプロラクトンは電界紡糸に特に有利であるが、繊維は別の材料から作製されてもよい。
【0191】
図16a~図16bは、側方断面における医療用インプラント1の実施形態を示す。インプラント1は、膨張リザーバ27と、パッチ5と、接着剤を収容するためのリザーバ16を含む別個の層28とを備える。図示の実施形態は、図10aおよび図10bに示す医療用インプラントと同様である。
【0192】
図16aは、第1の状態の医療用インプラント1を示す。膨張リザーバは空である。接着剤を含むためのリザーバ16は、接着剤で充填される。典型的には、接着剤は、アクリレート/メタクリレート/アミューズ架橋剤を使用するポリ(アクリル)酸であり得る。
【0193】
パッチ5は、ダクロンの電界紡糸繊維からなり、生分解性ではない。しかしながら、当然ながら、パッチ5を生分解性であるように適合させることも可能であろう。接着剤のリザーバ16を含む層28は、中実ダクロンからなる。
【0194】
図16bは、膨張リザーバ27が膨張している第2の状態の医療用インプラント1を示す。膨張リザーバ27の膨張は、接着剤を含むリザーバ16に機械的圧力を加え、続いて接着剤が絞り出され、インプラント1の一方の側に接着剤6の層が形成される。ここで、パッチ5は、接着剤組成物が貫入できないように適合されており、したがって、インプラントの他方の側で接着剤組成物が選択的に放出される。膨張リザーバは、膨張後に除去されるように適合されている。しかしながら、患者内に留まるインプラントグレードの材料からそれを形成することも想定される。
【0195】
図17は、心臓壁Wの欠損Dを閉鎖する埋め込み状態の本発明による医療用インプラントの別の実施形態を示す。インプラント1は、欠損Dの周囲に延伸する支持構造29を備える。支持構造は、埋め込み部位において自己拡張を提供する形状記憶ポリマーからなる。拡張すると、それは欠損Dに係合する。支持構造29には、二つのパッチ5が取り付けられている。示されている実施形態のパッチは、体内の湿度に暴露されると膨潤するメタクリル化コラーゲンによってコーティングされた電界紡糸ダクロン繊維を含む。しかしながら、本明細書に記載の任意のパッチを使用することができることは言うまでもない。
【0196】
当然ながら、本明細書に記載の実施形態は例であり、本発明の範囲を限定するものではないことを当業者は理解するであろう。特に、本明細書に記載の異なる特徴は、他の特徴と自由に組み合わせることができ、および/または特定の特徴なしで使用することができる。
【0197】
図18aおよび図18bは、カプセル壁38内に充填材料37を有するカプセル36を含むパッチ5の実施形態を示す。
【0198】
図18aは、第1の状態のパッチを示す。カプセル36は、球形であり、約0.5~2mmの直径を有し、パッチ5内に均一に分布している。カプセル36の内部には、メタクリロイル置換トロポエラスチンを含む接着剤組成物6が収容されている。ここでは、カプセル36は、浸透圧によって破開するように適合されている。例えば、血液または別の液体への暴露が、カプセル36の膨潤を引き起こす。次いで、結果として生じる圧力増大が、カプセル36の破裂を引き起こす。
【0199】
図18bは、カプセル36の破断後の第2の状態のパッチ5を示す。接着剤組成物6は、パッチ5の表面にわたって均一に分布している。充填材料37は、接着剤組成物6中に留まり、接着剤層にさらなる機械的強度を提供する。
【0200】
図19aは、パッチ1の側面図である。パッチ1は、第1の表面101’および第2の表面102を有する。第1の表面101’は、第1の表面101’から外方に延伸する布地101’’の短い撚糸を有するベロア様表面として構成される。第2の表面102は接着層を含む。医療用インプラント1はポリウレタン製であり、ベロア様表面101’はポリウレタン繊維を含む。図示の構成では、ベロア様表面101’は細胞内殖、したがって組織の過成長を促進し、一方、第2の表面102は組織への接着を提供する。
【0201】
図19bは、図19aに示すものと同様の実施形態を示す。医療用インプラント1は、第1の表面103’および第2の表面103’’を備える。第1の表面103’は、接着剤組成物(図示せず)に対して第1の表面103’よりも低い透過性を有する。本事例において、これは多孔質材料のより厚い層によって達成される。インプラントは接着剤組成物を含み、機械的圧力が加えられるとスポンジ様機構によってそれを放出することができる。接着剤組成物は、第2の表面103’’に優先的に浸透し、したがって、第2の表面103’’は、活性化されたとき、第1の表面103’と比較してより高い接着性を提供する。
【0202】
図20aは、パターン化構造を有する接着剤層104を有するパッチ1を示す。パターンは、パッチ1を形成する円形の5つの扇形区画として構成される。その結果、接着剤層を含まない4つの中間扇形区画105が存在する。接着剤層104は、インクジェット印刷によって印刷されており、ブタおよび魚のGelMAの混合物に基づいている。代替的にまた、押出印刷を利用してもよい。本例において、パターンは二次元である。したがって、接着剤層は実質的に平坦であり、パッチ1の扇形区画104,105は、接着剤層を有するか否かが異なるが、上記接着剤層の厚さは異ならない。
【0203】
図20bは、図20aに示すものと同様の医療用インプラントを示す。パッチ1は、接着剤104のインクジェット印刷パターンを含む。接着剤パターンは二次元であり、パッチ1のほぼ外周に配置される。接着剤パターンは、いくつかの曲線を含む。
【0204】
特に接着剤がインクジェット印刷される場合、任意の特定の接着剤パターンをパッチ上に配置することができることが理解されよう。代替的にまた、押出印刷を利用してもよい。
【0205】
図21aは、放射線不透過性要素106を有するパッチ1の実施形態を示す。放射線不透過性要素106は、パッチ1の円周領域に配置され、パッチ1の周縁方向に沿って実質的に均等に広がる硫酸バリウムを含む4つのビーズからなる。
【0206】
図21bは、放射線不透過性要素107を有するパッチ1の代替的な実施形態を示す。放射線不透過性要素107は、十字形の金属スパイン構造からなる。
【0207】
図21cは、パッチ1上の放射線不透過性要素108,109の代替的な実施形態を示す。ポリウレタン製のスパイン構造108は、ヨウ素で充填された小カプセル109を含む。ヨウ素は放射線不透過性を提供する。
【0208】
図22は、離散マーカ110を有するパッチ1を示す。離散マーカ110は、ばね状の要素として構成されている。離散要素110はチタンからなり、したがって放射線不透過性かつエコー不透過性でもある。しかしながら、離散マーカ110を放射線不透過性かつ/またはエコー不透過性ではないように代替的に構成することが可能であろう。離散マーカは、圧力によって変形可能であり、したがって、そのロケーションでパッチ1に作用する圧力に関する情報を提供する。本例において、圧力は、例えばX線撮影によって、長手方向軸(パッチ1の表面に垂直)に沿ったマーカ110の延伸を測定することによって読み取ることができる。
【0209】
図23aは、乾燥接着剤111’を有する医療用インプラント1を示す。乾燥接着剤は、水溶液から紡糸され、次いで乾燥されたブタGelMAの繊維112を含む。任意のゼラチンを、ブタGelMAに加えて、またはブタGelMAの代替物として利用することもできる。
【0210】
図23bは、水性液体への暴露後の図23aの医療用インプラント1を示す。接着剤組成物111’’は、水の取り込みから膨潤し、したがって、繊維112’’は、乾燥繊維111’、112’と比較して直径が大きい。膨潤状態では、繊維112’’はヒト組織に対して接着力を示す。
【0211】
図24aは、送達装置のハンドル113を示す。ハンドル113は、本明細書に示されるようなインプラントとそれが取り付けられるヒト組織(図示せず)との間の接着力を表す数値を示すように適合されたデジタルゲージ114’を備える。ゲージ114’は、遠位端でインプラントに取り付けられ、接着力を測定する。
【0212】
図24bは、ハンドル113の代替的な実施形態を示す。アナログゲージ114’’は、本明細書に示すインプラントとそれが取り付けられているヒト組織(図示せず)との間の接着力の定性的測度(例えば、高、中、低)を提供する。
【0213】
デジタルゲージを使用して定性的測度を示すこともでき、および/またはアナログゲージを使用して数値を示すことができることが理解されよう。
【0214】
図25は、三次元的にパターン化された接着剤115を有する医療用インプラント1の実施形態を示す。接着剤は、インプラントの一方の表面の上に等間隔に配置された錐体116として形成される。医療用インプラントは、心膜からなるパッチとして構成される。接着剤115は、魚GelMAの錐体116からなる。
【0215】
図26a~図26dは、医療用インプラント1上に接着剤組成物をパターン化する方法を概略的に示す。
【0216】
図26aは、滑らかで均質な接着剤層117’を有するポリウレタン製の医療用インプラント1を示す。接着剤はウシGelMAに基づく。
【0217】
図26bは、スタンプ状要素118を示す。スタンプ状要素は、医療用インプラント1上の所望の接着パターンの陰型を表す形状を有する。スタンプ状要素118は、PTFEコーティングを有する金属材料からなる。したがって、スタンプ状要素118は接着剤層117’に接着せず、接着剤支持面から容易に除去することができる。
【0218】
図26cは、医療用インプラント1の接着層117’上に押圧されているスタンプ状要素118を示す。スタンプ状要素118は、接着剤を横方向に押しのける。
【0219】
図26dは、スタンプ状要素を除去した後の医療用インプラント1を示す。接着層117’’は、スタンプ状要素の陰型形状に実質的に対応するパターンを有する。したがって、医療用インプラント1は、接着剤層によって覆われていない領域119を備える。領域119の集合が、スタンプ状要素の形状に実質的に対応する。
【0220】
本明細書に開示されるインプラントおよび接着剤のいずれも、図26a~図26dに示す方法でパターン化するのに適している。図26a~図26bの方法を使用して三次元パターンをパターン化することも可能である。
【0221】
図27a~図27dは、縫合糸(複数可)を保持するための保持要素を備える医療用インプラント1を製造する方法を概略的に示す。
【0222】
図27aは、本方法の第1のステップを示す。医療用インプラント1は、半径方向に延伸する3つのフラップ120と共に配置される。この場合、延伸フラップ120は、ポリウレタンから作製され、心膜から作製されたパッチ121に別個に取り付けられる。3つの延伸フラップ120のうちの1つは、延伸フラップを破断するのに必要な力を低減するための、および/または、破断が発生する場所を制御するための所定の破断点として機能する刻み目122を備える。代替的に、刻み目の有無にかかわらず、任意の数の延伸フラップ120を有することが可能であろう。
【0223】
図27bは、図27aの医療用インプラント1を示し、延伸フラップは、医療用インプラント1の中心に向かって折り畳まれている。医療用インプラント1は、折り畳まれた後、実質的に丸形の形状を有する。折り目123の領域の周りには、通路が形成される(見えない、図27c参照)。
【0224】
図27cは、平面Mに沿った図27bの医療用インプラント1の断面を示す。折り目123の領域には、例えば縫合糸(図示せず)を保持するために使用することができる通路124が形成される。
【0225】
図27dは、図27a~27cに示す医療用インプラント1の一実施形態を概略的に示す。インプラント1は、縫合糸125によって通路124の折り目123に保持される。縫合糸125を引くと、折り目123の領域で延伸フラップ120を引き裂くことによってインプラント1が解放される。
【0226】
図28aは、ポリウレタン製のスパイン構造31の実施形態を示す。スパイン構造31は、一般に、開示された医療用インプラントのいずれかと組み合わせるのに適している。スパイン構造31は、3つのアーム126を備える。各アームは、2mmの厚さを有し、刻み目127をさらに備え、アーム126は、1mmの低減された厚さを有する。刻み目127は、スパイン構造31の中心128から10mmの距離に配置される。したがって、医療用インプラント上に配置される場合、刻み目は、典型的にはインプラントの周縁に位置する。スパイン構造はまた、この場合、インプラントの周縁を越えて延伸するように構成され、したがって、図27a~図27cに示すようにインプラントを製造するのに特に適している。
【0227】
図28bは、図28aに示すものと同様のスパイン構造の断面を示す。アーム126は、刻み目127の周りで折り畳まれる。図示の実施形態では、スパイン構造31は、布地パッチとして構成された医療用インプラント1に取り付けられている。アーム126は、ポリウレタンが部分的に溶融されて布地内に拡散され、したがって接着をもたらす熱接着によってインプラント1の布地上に接着されている。折り畳まれたアーム126は、縫合糸が通される通路124を形成する。したがって、折り畳まれたアーム126は、保持要素を形成し、縫合糸125によって保持される。縫合糸は、縫合糸を引くと刻み目127においてスパイン構造31のアーム126を引き裂くことができるように、その機械的強度(すなわち、厚さおよび材料の選択)が適合されている。インプラントは、折り畳まれたアーム126によってインプラント1上に保持された白金粒子として構成された放射線不透過性要素106をさらに備える。白金の代替として、イリジウムも、放射線不透過性マーカの材料として適している。付加的または代替的に、スパイン構造31は、BaSO4などの放射線不透過剤で充填されたポリマーから作製することができる。
【0228】
図29は、本発明によるインプラント1を示す。インプラント1は、図27dに示すものと同様である。インプラントは、インプラント1の本体と同じベースシート材料から切り出された延伸アーム120を備える。アーム120はパッチ1上に折り畳まれ、したがって、縫合糸125が通過することを可能にするためにパッチ1の周縁領域に小さい通路124を残している。縫合糸125は、保持要素129を介して送達システムに取り付けることができる。図12~14に示されているような任意の送達システムが、保持要素129と組み合わせるのに適している。縫合糸を後方に引くと、縫合糸129がポリマーシートを切断し、したがってインプラント1を解放する。切断に必要な力は、図27aに示すように、アーム120に小さい刻み目を入れることによって制御/調整することができる。インプラントは、例えばインプラント1を埋め込み部位において容易に中心合わせするために、送達器具によるさらなる保持を可能にする中心領域128内の穴をさらに備える。
【0229】
図30は、欠損Dを閉じるように組織壁Wに取り付けられたインプラント1を概略的に示す。インプラント1は、2つのリベット130によって組織壁Wに取り付けられる。リベットは生分解性材料からなり、1年以内に人体内で分解する。したがって、リベット130は、例えば、十分な接着力がインプラント1上に形成されるまで、および/または組織がインプラント1上に形成されるまで、一時的な付着を提供する。
図1a
図1b
図2
図3
図4
図5a
図5b
図5c
図6
図7
図8
図9a
図9b
図9c
図9d
図10a
図10b
図11a
図11b
図12
図13
図14
図15a
図15b
図15c
図16a
図16b
図17
図18a
図18b
図19a
図19b
図20a
図20b
図21a
図21b
図21c
図22
図23a
図23b
図24a
図24b
図25
図26a
図26b
図26c
図26d
図27a
図27b
図27c
図27d
図28a
図28b
図29
図30
【国際調査報告】