IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ユニヴェルシテ ド リールの特許一覧 ▶ セントラール リール アンスティテュートの特許一覧 ▶ ユニベルシテ ポリテクニーク オー-ド-フランスの特許一覧 ▶ セントレ・ナショナル・デ・ラ・レシェルシェ・サイエンティフィークの特許一覧 ▶ インクレア オー ド フランスの特許一覧 ▶ ヴァレオ システム デッスヤージュの特許一覧

<>
  • 特表-電気音響デバイス 図1
  • 特表-電気音響デバイス 図2
  • 特表-電気音響デバイス 図3
  • 特表-電気音響デバイス 図4
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-12-01
(54)【発明の名称】電気音響デバイス
(51)【国際特許分類】
   H04R 17/00 20060101AFI20221124BHJP
   B08B 3/12 20060101ALI20221124BHJP
   B05B 17/06 20060101ALN20221124BHJP
【FI】
H04R17/00 330Z
B08B3/12 Z
B05B17/06
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022518883
(86)(22)【出願日】2020-09-24
(85)【翻訳文提出日】2022-04-26
(86)【国際出願番号】 EP2020076762
(87)【国際公開番号】W WO2021058666
(87)【国際公開日】2021-04-01
(31)【優先権主張番号】1910590
(32)【優先日】2019-09-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】518202367
【氏名又は名称】ユニヴェルシテ ド リール
(71)【出願人】
【識別番号】522111633
【氏名又は名称】セントラール リール アンスティテュート
(71)【出願人】
【識別番号】522111644
【氏名又は名称】ユニベルシテ ポリテクニーク オー-ド-フランス
(71)【出願人】
【識別番号】500531141
【氏名又は名称】セントレ・ナショナル・デ・ラ・レシェルシェ・サイエンティフィーク
(71)【出願人】
【識別番号】522111655
【氏名又は名称】インクレア オー ド フランス
(71)【出願人】
【識別番号】522111666
【氏名又は名称】ヴァレオ システム デッスヤージュ
(74)【代理人】
【識別番号】100085545
【弁理士】
【氏名又は名称】松井 光夫
(74)【代理人】
【識別番号】100118599
【弁理士】
【氏名又は名称】村上 博司
(72)【発明者】
【氏名】ペレ,アドリアン
(72)【発明者】
【氏名】ブルターノル,フレデリック
(72)【発明者】
【氏名】ボウデェイン,ミシェル
(72)【発明者】
【氏名】ボウ マタ-ラカーズ,オリヴィエ
【テーマコード(参考)】
3B201
4D074
5D019
【Fターム(参考)】
3B201BB84
4D074AA09
4D074BB03
4D074DD23
4D074DD65
4D074FF06
5D019AA18
5D019BB03
5D019BB12
5D019BB25
5D019FF06
(57)【要約】
電気音響デバイス(5)であって、圧電基板(25)と、前記圧電基板と接触している第1の電極(30)及び第2の電極(35)とを備えている超音波トランスデューサ(15)、並びに支持体(10)を備えており、前記トランスデューサが、前記支持体に固定され且つ前記支持体に音響的に結合されており、並びに、前記第1の電極及び第2の電極が、前記圧電基板と前記支持体との間に少なくとも部分的に挟まれており、前記デバイスは、電流が前記第1の電極及び第2の電極を通過するときに、前記トランスデューサからある距離のところで前記支持体内を伝播する超音波表面波(W)を生成するように構成されている、前記電気音響デバイス。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気音響デバイス(5)であって、
圧電基板(25)と、前記圧電基板と接触している第1の電極(30)及び第2の電極(35)とを備えている超音波トランスデューサ(15)、並びに
支持体(10)
を備えており、
前記トランスデューサが、前記支持体に固定され且つ前記支持体に音響的に結合されており、並びに、前記第1の電極及び第2の電極が、前記圧電基板と前記支持体との間に少なくとも部分的に挟まれており、
前記デバイスは、電流が前記第1の電極及び第2の電極を通過するときに、前記トランスデューサからある距離のところで前記支持体内を伝播する超音波表面波(W)を生成するように構成されており、
前記トランスデューサが、該トランスデューサからある距離のところで前記支持体内で前記超音波表面波に変換される誘導波を生成するように構成されており、前記デバイスは、前記超音波誘導波の基本周波数が、10MHz~1000MHzである、
前記電気音響デバイス。
【請求項2】
前記第1の電極及び第2の電極は、前記支持体と接触している、又は前記支持体上に配置された中間層、例えば接着剤で形成された中間層、と接触している、請求項1に記載のデバイス。
【請求項3】
前記圧電基板の厚み(e)が、前記超音波誘導波の基本波長よりも大きい、請求項1又は2に記載のデバイス。
【請求項4】
前記第1の電極及び第2の電極夫々の一部が、前記支持体から突出している、請求項1~3のいずれか1項に記載のデバイス。
【請求項5】
音響デバイス(5)であって、
圧電基板(25)と、前記圧電基板と接触している第1の電極(30)及び第2の電極(35)とを備えている超音波トランスデューサ、並びに
支持体
を備えており、
前記トランスデューサが、前記支持体に固定され且つ前記支持体と音響的に結合されており、
前記トランスデューサが、前記支持体の端部から突出しており、前記第1の電極及び第2の電極が、前記支持体と反対側の前記基板の面を被覆し、且つ前記支持体に重畳されていない前記圧電基板の一部分上に配置されており、
前記デバイスは、電流が前記第1の電極及び第2の電極を通過するときに、前記トランスデューサからある距離のところで前記支持体内を伝播する超音波表面波を生成するように構成されている、
前記音響デバイス。
【請求項6】
前記基体が、前記支持体上に接着されている、請求項1~5のいずれか1項に記載のデバイス。
【請求項7】
前記圧電基板上に重畳された保護部材(100)を備えている、請求項1~6のいずれか1項に記載のデバイス。
【請求項8】
前記トランスデューサが、前記保護部材及び前記支持体によって画定された空洞に収容されている、請求項1~7のいずれか1項に記載のデバイス。
【請求項9】
前記支持体が、
自動車両の表面、例えば車両のフロントガラス、バックミラーのガラスの中から選択される自動車両の表面、又は
ヘッドセットのバイザー、
建物の窓、
センサ、例えば、光学センサ、熱センサ、音響センサ又は圧力若しくは速度センサ、とりわけプローブ、例えばピトー・プローブ、
例えばカメラのレンズ、アイウェアレンズの中から選択される、光学デバイスの表面、及び
そのようなセンサの保護要素
によって形成される群から選択される、請求項1~8のいずれか1項に記載のデバイス。
【請求項10】
方法であって、
圧電基板(25)と、前記圧電基板と接触している第1の電極(30)及び第2の電極(35)と、支持体(10)とを備えている超音波トランスデューサ(15)を備えているデバイスを用意すること、ここで、前記トランスデューサが、前記支持体に固定され且つ前記支持体と音響的に結合されており、前記第1の電極及び第2の電極は、前記圧電基板と前記支持体との間に少なくとも部分的に挟まれており、前記デバイスは、電流が前記第1の電極及び第2の電極を通過するときに、前記トランスデューサからある距離のところで前記支持体内を伝播する超音波表面波(W)を生成するように構成され、前記トランスデューサは、前記トランスデューサからある距離のところで前記支持体内で前記超音波表面波に変換される誘導波を生成するように構成されており、
前記支持体の面上に配置された液状の物体(65)まで、前記トランスデューサからある距離のところで前記支持体(10)内を伝播する超音波表面波(W)を、上記デバイスによって合成すること、ここで、前記超音波のエネルギーは、前記支持体上の前記物体の変位を誘発するのに十分であり、
前記物体が、シートである、又は5mm以下の直径を有する滴である、
ことを含む、前記方法。
【請求項11】
前記滴が、1mm以下の直径を有する、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記滴が、0.1mm以下の直径を有する、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記支持体の表面上に且つ前記トランスデューサからある距離に配置された液状の物体(65)まで、前記支持体内を伝播する超音波表面波を、請求項1~9のいずれか1項に記載のデバイスによって合成することを含む方法であって、前記超音波波のエネルギーが、前記支持体上の前記物体の変位を誘発するのに十分である、前記方法。
【請求項14】
前記物体が、シートである、又は5mm以下の直径を有する滴である、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記滴が、1mm以下の直径を有する、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記滴が、0.1mm以下の直径を有する、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
方法であって、
請求項1~9のいずれか1項に記載の音響デバイス(5)を用意すること、及び
波トランスデューサに電力供給して、前記支持体(10)の面上に且つ前記トランスデューサからある距離に配置された物体(65)まで、前記支持体内を伝播する超音波表面波(W)を合成すること、ここで、電力供給エネルギーの少なくとも一部が、前記トランスデューサによって熱形態に変換される、
前記トランスデューサに電力供給する電気エネルギーが、
前記物体が固体状態にあるときに前記物体を融解させること、
及び/又は、前記支持体の温度が前記物体の固体化温度よりも低いときに前記物体を液体状態に維持すること
を誘発する為の前記超音波表面波の熱及びエネルギーに十分である、
ことを含む、前記方法。
【請求項18】
前記超音波のエネルギーはまた、融解した前記物体の変位、又は前記支持体の前記面上で前記液体状態に維持されている前記物体の変位を誘発するのに十分である、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記物体は、水、とりわけ雨水若しくは霧水、を含み、又は水、とりわけ雨水若しくは霧水、からなる、請求項10~18のいずれか1項に記載の方法。
【請求項20】
前記誘導波の基本周波数及び/又は前記表面波の基本周波数が、0.1MHz~1000MHzである、好ましくは10MHz~100MHzである、例えば40MHzに等しい、請求項10~19のいずれか1項に記載の方法。
【請求項21】
支持体、好ましくは請求項9に記載された支持体、の表面を清掃する及び/又は晴らす(disperse)及び/又は除氷する為の、請求項1~9のいずれか1項に記載のデバイスを使用する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、支持体の中を伝播する超音波表面波を生成する為のデバイス、並びにこのデバイスを実装して、該支持体上に配置された物体を融解させる、及び/又は該支持体上の液体状態の物体を変位させる為の方法に関する。
【背景技術】
【0002】
様々な分野において、環境の温度及び/又は表面の温度が液体の固体化温度よりも低いときに、該表面上への該液体の蓄積及びこの液体の固体化に関係する影響を克服する必要がある。
【0003】
表面上に蓄積した液体の滴を放散させる為に、例えば自動車両のフロントガラス上のフロントガラスワイパーを用いて、該滴に機械力を加えることは周知の慣行である。しかしながら、フロントガラスワイパーは、運転者にとって利用可能な視野を制限する。また、それは、該フロントガラスの表面に堆積された油分の多い粒子を広げてしまう。加えて、該フロントガラスワイパーのブレードは、定期的に新しくされる必要がある。
【0004】
更に、現代の自動車両は一般に1つ以上のドライバ支援システムを含んでおり、該システムは、多数のセンサ、例えば光学センサ、例えば該車両と物との間の距離を見積もる為のライダー、又はプローブ、例えばピトー・プローブ、を実装する。ここで、好適な機械的手段に利用できる空間が不足していることから、そのようなセンサの表面を清掃する為に、該滴に対する機械力は容易に加えられることができず、該機械的手段は該表面を傷つけることがありうる。
【0005】
例えば、自動車両の分野では、冬季条件において、安全な運転を保証する為に、バックミラーのミラー、フロントガラス、又は車両の後部窓を除霜する必要がある。1つの既知の除霜技術は、霜及び/又は氷の表面が堆積しているのと反対側のフロントガラスの表面に熱風を吹き付けることからなる。しかしながら、そのような技術によって必要とされる除霜時間は特に長い。後部窓を除霜するには、均等な間隔を空けた線によって形成される軌跡に従って、金属フィラメントを、塊(mass)で又はまとまり(volume)で内部に備えることが既知の慣行である。該フィラメント内の電流の循環によりジュール効果によって加熱を発生させ、その結果、該フィラメントの近傍にある霜及び/又は氷の層が水の膜の形態となって融解し、次いで該水の膜が蒸発する。しかしながら、そのようなフィラメントは、該車両の運転者にとって利用可能な後方視野を制限する。更に、該霜及び/又は氷の層は一般に、該水の膜が蒸発すると支持体と接触したままになる粒子を含んでいる。すると、しばしば続いて該後部窓を清掃することが必要となり、これは面倒であることが分かる。更に、霜及び/又は氷の形成は、埋め込まれた運転システムの該センサの動作も乱す。
【0006】
更に、使用時、そのようなセンサの表面はまた、それらが搭載されている車両の速度と同程度の速度で、外部要素、例えば、昆虫、埃の粒子、泥、によって打ち付けられる場合がある。それ故に、そのような表面の為の清掃デバイスは、そのような環境に耐えるのに十分に堅牢でなければならない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
それ故に、これらの欠点に対処するデバイスに対する必要性がある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、その第1の観点により、電気音響デバイスであって、
圧電基板と、該圧電基板と接触している第1の電極及び第2の電極とを備えている超音波トランスデューサ、並びに
支持体
を備えており、
該トランスデューサが、該支持体に固定され且つ該支持体に音響的に結合されており、並びに、該第1の電極及び第2の電極が、該圧電基板と該支持体との間に少なくとも部分的に挟まれており、
該デバイスは、電流が該第1の電極及び第2の電極を通過するときに、該トランスデューサからある距離のところで該支持体内を伝播する超音波表面波を生成するように構成されている、
上記電気音響デバイスを提案する。
【0009】
本発明に従う該デバイスは堅牢である。該第1の電極及び第2の電極が該支持体及び該圧電基板によって保護されるので、それにより、例えば該トランスデューサが、上記で言及されたような外部要素と接触して配置されたときに、その劣化が制限される。
【0010】
更に、下記でより明らかとなるように、本発明に従う該デバイスは、有利には、物体、例えば液体、によって覆われた表面を清掃する為に実装されることができる。
【0011】
好ましくは、該トランスデューサは、該支持体内の該トランスデューサからある距離のところで該超音波表面波に変換される誘導波を生成するように構成される。該超音波「誘導」波は、互いと向かい合っている該基板及び該支持体それぞれの面まで、該支持体及び該トランスデューサ両方の中を伝播する。本発明の下記で説明される、該デバイスが該支持体と該トランスデューサとの間にある中間層を備える変形例において、該誘導波はまた、該中間層内を伝播することができる。該超音波誘導波は、とりわけストンリー波であることができる。
【0012】
好ましくは、該第1の電極及び第2の電極は該圧電基板上に配置されている。好ましくは、それらは該圧電基板と接触している。
【0013】
好ましくは、該第1の電極及び第2の電極は、該支持体と接触している、又は該支持体上に配置された、好ましくは接着剤によって形成された、中間層と接触している。それにより該超音波表面波の生成が容易にされる。該中間層は好ましくは、該超音波誘導波の基本波長よりも小さい厚みを有する。特に、それは、該中間層を通じた伝送損失を制限する為に、該誘導波の上記基本波長の10分の1よりも小さい厚みを有することができる。
【0014】
該デバイスは、該超音波誘導波の基本周波数が、0.1MHz~1000MHzである、好ましくは10MHz~100MHzである、例えば40MHzに等しい、ように構成されることができる。
【0015】
好ましくは、該圧電基板の厚みは、該超音波誘導波の該基本波長よりも大きい。よって、該超音波誘導波は、該第1の電極及び第2の電極によって被覆された面と反対側の面に到達することを防止される。有利には、追加的な部材、例えば本明細書の下記に記載されている保護部材、が、上記反対側の面に配置されることができ、該誘導波は該部材に到達することができない。
【0016】
該第1の電極、該第2の電極夫々の一部が、該支持体から突出していることができる。該支持体から突出している該第1の電極、該第2の電極それぞれの該一部は、電力供給コネクタを画定することができる。該電力供給コネクタは、電流発生器に電気的に接続されるように構成されることができる。
【0017】
更に、本発明は、その第2の観点により、音響デバイスであって、
圧電基板と、該圧電基板と接触している第1の電極及び第2の電極とを備えている超音波トランスデューサ、並びに
支持体
を備えており、
該トランスデューサが、該支持体に固定され且つ該支持体と音響的に結合されており、
該トランスデューサが該支持体の端部から突出しており、該第1の電極及び第2の電極が、該支持体と反対側の該基板の面を被覆し、且つ該支持体に重畳されていない該圧電基板の一部分上に配置されており、
該デバイスは、電流が該第1の電極及び第2の電極を通過するときに、該トランスデューサからある距離のところで該支持体内を伝播する超音波表面波を生成するように構成されている、
上記音響デバイスを提案する。
【0018】
よって、該第1の電極及び第2の電極は、該圧電基板によって該外部要素から保護されることができ、それがその劣化を制限する。更に、該電極は該基板の該端部から突出して配置されているので、該トランスデューサによって被覆される該支持体の面積が縮小される。
【0019】
更に、該第1の電極及び第2の電極の特有の配置により、該超音波の生成時の該デバイスの加熱を低減することが可能になる。特に、該電極は該支持体上に配置されていない為、それにより、該電極によって発生する熱の伝導による該支持体の加熱が制限される。
【0020】
更に、該トランスデューサがポリマー接着剤によって該支持体に接着される変形例において、該接着剤が吸収した該超音波のエネルギーの一部の変換による該接着剤の過度の加熱から生じることができる、該トランスデューサと該支持体との間の分離のリスクが低減される。
【0021】
該トランスデューサは好ましくは、電流が該第1の電極及び第2の電極を通過するときに、該基板内を伝播し、該トランスデューサからある距離のところで該支持体内を伝播する該超音波表面波に変換される、一次超音波を生成するように構成される。
【0022】
その観点のいずれか1つによる該デバイスはまた、以下の任意的な特徴のいずれか1つを有することができる。
【0023】
該トランスデューサは、種々の方式で該支持体に固定されることができる。それは、とりわけポリマー接着剤により、該支持体に接着されることができる。該接着剤は、紫外線放射による照射によって架橋可能であることができる。それは例えばエポキシ樹脂である。該トランスデューサは、分子付着により、又は該支持体と該基板との間の接着を確実にする薄い金属層を用いて、固定されることができる。該層はまた、低い融点、すなわち200℃よりも低い融点、を有する金属又は合金、例えばインジウムの合金、からなることができる。変形例として、該金属層は、200℃よりも高い融点を有する金属又は合金、例えばアルミニウム及び/又は金の合金、からなることができる。
【0024】
分子付着による固定の例が、"Glass-on-LiNbO3 heterostructure formed via a two-step plasma activated low-temperature direct bonding method", J. Xu et al., Applied Surface Science 459 (2018) 621-629, doi: 10.1016/j.apsusc.2018.08.031に記載されている。別の変形例によると、該トランスデューサは、該基板の一部分及び/又は該支持体の一部分を融解させるステップと、それに続く、該支持体及び基板それぞれの融解した部分が互いと接触した状態で該基板と該支持体とを共に圧縮することからなるステップと、を含む方法を用いて、該支持体に固定されることができる。別の変形例によれば、該トランスデューサは、低い融点を有する合金からなるボンドコートを、該基板の一部分及び該支持体の一部分にそれぞれ堆積させ、上記ボンドコートを少なくとも部分的に融解させ、次いで、該基板を該支持体と共に圧縮し、該支持体及び該基板と反対側にある該ボンドコートの各面が該圧縮中に互いと接触状態にされること、を含む方法を用いて、該支持体に固定されることができる。該ボンドコートは、陰極スパッタリングにより、又は薄膜堆積の分野で実施される蒸着技術により、堆積されることができる。該基板は好ましくは、該支持体に接着される。該支持体と反対側の該基板の面は好ましくは、これも該トランスデューサを音響的に該支持体に結合する接着剤からなる中間層を用いて、該支持体に接着される。好ましくは、該接着剤の層の厚みは、該一次超音波が該トランスデューサから該支持体まで効果的に伝達されることが可能となるように、すなわち該接着剤の層内での放散を制限することにより、該一次超音波の波長よりも小さい。
【0025】
その観点のいずれか1つによる該デバイスは、以下の特徴の1つを有することができる。
【0026】
該デバイスは、該超音波表面波の該基本周波数が、0.1MHz~1000MHzである、好ましくは10MHz~100MHzである、例えば40MHzに等しい、ように構成されることができる。
【0027】
該超音波表面波は、レイリー波又はラム波であることができる。特に、該支持体が該超音波表面波の該波長よりも大きい厚みを有する場合、それはレイリー波であることができる。レイリー波は、該波のエネルギーの最大の割合が、それが伝播する該支持体の面に集中し、該支持体と接触している物体に伝達されることができる為、好ましい。
【0028】
該デバイスは、該超音波表面波の振幅が1ピコメートル~500ナノメートルとなるように構成されることができる。該振幅は、基本波の周波数に依存することができる。とりわけ、該周波数が高いほど、該振幅が低くなることができる。該超音波表面波の該振幅は、該超音波表面波が伝播する該支持体の面の垂直方向の変位に対応し、レーザ干渉測定によって測定されることができる。
【0029】
該支持体は、超音波表面波を伝播することが可能な任意の材料からなることができる。該支持体は、該支持体中での該表面波の減衰長が、音波が加えられる対象のゾーンよりも大きくなるように選択されることができる。
【0030】
該支持体は、自重で破断することなく、とりわけ弾性的に、変形されることができる限り、自己支持型であることができる。
【0031】
長手方向の表面波が伝播する該支持体の面は、平坦であることができる。それはまた、該面の曲率半径が該超音波表面波の該波長よりも大きければ、湾曲していることができる。
【0032】
該面は、粗面であることができる。粗さは好ましくは、該超音波表面波の伝播に有意に影響することを防ぐ為に、該超音波表面波の基本波長よりも小さい。
【0033】
該支持体は、とりわけ、平坦な板又は湾曲した板の形態を取ることができる。該支持体の厚みは、0.01m未満であることができる。該支持体の長さは、1mmより大きい、更には1cmより大きい、更には1mより大きいものであることができる。
【0034】
該板の面の面積は、0.01m~10mであることができる。
【0035】
「該支持体の厚み」は、該超音波が伝播する該表面に対して直角の方向に測定される、該支持体の最も小さい寸法であると考えられる。
【0036】
該支持体は、とりわけ可視範囲の光に対して、又は紫外若しくは赤外範囲の放射線に対して、光学的に透明であることができる。よって、該方法は、その場合、特には該支持体を通して自身の周囲状況を観察するユーザの視覚的快適さの向上が求められる用途に好適である。
【0037】
該支持体は、圧電材料、ポリマー、特に熱可塑性プラスチック、とりわけポリカーボネート、ガラス、金属、及びセラミックの中から選択される材料からなりうる。
【0038】
好ましくは、該支持体は、圧電材料以外の材料からなる。
【0039】
好ましくは、該支持体は、
自動車両の表面、例えば車両のフロントガラス、バックミラーのガラスの中から選択される自動車両の表面、又は
ヘッドセットのバイザー、
建物の窓、
センサ、例えば、光学センサ、熱センサ、音響センサ又は圧力若しくは速度センサ、とりわけプローブ、例えばピトー・プローブ、
例えばカメラのレンズ、アイウェアレンズの中から選択される、光学デバイスの表面、及び
そのようなセンサの保護要素
によって形成される群から選択される。
【0040】
他のタイプの支持体が構想されることができる。とりわけ、該支持体は、とりわけマイクロ流体用途向けの、ラボオンチップ(laboratory-on-a-chip)の基板であることができる。
【0041】
該支持体は、航空機の構造体の要素、例えば翼、胴体、又は尾翼、であることができる。
【0042】
該支持体は好ましくは、薄い形態を有する。該支持体の該長さと該支持体の該厚みとの比は、10より大きい、更には100より大きい、更には1000より大きいものであることができる。
【0043】
該支持体はまた、熱交換器の要素、配管設備、及び換気システムの要素の中から選択されることができる。そのような媒体は一般に、例えば結露により、堆積し、且つ固体化することができる液体の滴を消散する為にアクセスするのが難しい表面を有する。
【0044】
該支持体は、食料保管要素、例えば冷蔵庫の内部壁、又は固体化することができる液体の結露にさらされる壁、であることができる。例えば、冷蔵庫内では、壁への水の滴の結露及びその固体化が、該壁と該冷蔵庫の冷気体積(cool air volume)との間の熱交換を増加させ、その効率を低下させる。
【0045】
該トランスデューサによって覆われる該支持体の面積と、該トランスデューサが固定される該支持体の面の面積との比は、15%未満であることができる。
【0046】
該トランスデューサは好ましくは、薄い形態を有する。該トランスデューサの長さと該トランスデューサの厚みとの比は、10より大きい、更には100より大きい、更には1000より大きいものであることができる。
【0047】
該トランスデューサは、平坦な又は湾曲した板の形態を取ることができる。
【0048】
該トランスデューサは、10ピコメートル~1マイクロメートルの厚みを有することができる。該トランスデューサは、好ましくは1ミリメートル~20cmである、長さ及び/又は幅を有することができる。
【0049】
好ましくは、該第1の電極及び第2の電極は、第1及び第2の櫛形コームを形成する。
【0050】
該第1及び第2のコームは好ましくは、指状物(finger)の列がそこから延びる基部を備えることができ、該指状物は好ましくは、互いと平行である。該指状物は、該超音波の該基本波長を8で割った値と、該超音波の該基本波長を2で割った値との間にある幅を有することができる。該指状物の該幅は、該超音波表面波の該基本周波数を部分的に決定する。更に、小さい指状物幅は、該トランスデューサの電気抵抗を増大させ、該電気抵抗は、該支持体と接触している該物体の融解又は該液体状態への該物体の維持に寄与することができる加熱によって反映されうる。
【0051】
更に、該第1のコーム及び該第2のコームそれぞれの列のうち2つの連続して隣接する指状物間の間隔は、該超音波の該基本波長を8で割った値と、該超音波の該基本波長を2で割った値との間にあることができる。
【0052】
櫛形の指状物の数は、該トランスデューサの品質係数を増大させる為に増加されることができる。
【0053】
各コームは好ましくは、2~50本の指状物を備えている。
【0054】
該基板は、例えば化学気相成長又は物理気相成長により、該支持体上に堆積された薄層であることができる。変形例として、該基板は、自己支持型である、すなわち、自重の影響下で屈曲しないだけの剛性を有することができる。該自己支持型の基板は、該支持体に固定、例えば接着、されることができる。
【0055】
該圧電材料は、ニオブ酸リチウム、窒化アルミニウム、ジルコン酸チタン鉛、酸化亜鉛、及びそれらの混合物によって形成される群から選択されることができる。該圧電材料は、可視範囲の光に対して不透明であることができる。
【0056】
一つの変形例において、該支持体は圧電材料によって形成され、該トランスデューサは該支持体を備えている。該第1及び第2のコームは好ましくは、該支持体と接触して配置される。
【0057】
別の変形例において、該支持体は、圧電材料以外の材料からなり、該電極は該中間基板上に配置される。
【0058】
該第1の電極及び第2の電極は、フォトリソグラフィにより、該支持体及び/又は該基板上に堆積されることができる。
【0059】
物体が、該支持体の面上に、該トランスデューサからある距離のところに配置されることができる。
【0060】
該トランスデューサから最も遠い該物体の部分は、1メートルの最大距離にあることができる。
【0061】
該支持体の温度は、0℃より低い、更には-10℃より低い温度であることができ、該物体は水性であることができる。
【0062】
該物体は、該トランスデューサが固定される該支持体の該面、又は該トランスデューサが固定される該支持体の該面と反対側の面と接触していることができる。該物体は、該トランスデューサが固定される該支持体の該面と接触していることができ、別の物体が、該物体が配置される該面と接触していることができる。
【0063】
該物体は、固体状態にある部分と、液体状態にある部分とを備えることができる。例えば、該物体は水であることができ、霜状、氷状、又は雪状の部分と、該霜状、氷状、又は雪状の部分とそれぞれ接触している液体部分とによって形成されることができる。
【0064】
該液体状態の該物体は、少なくとも1つの滴又は少なくとも1つの膜の形態を取ることができる。「膜」は、該支持体上に形成された薄膜を意味するものと理解される。該膜は、連続的又は非連続的であることができる。
【0065】
該物体は、水性であることができる。特に、それは雨水又は露水であることができる。該雨水及び/又は該露水は、とりわけ粒子を含むことができる。露水は、支持体の表面上で汚泥を形成する。それは、空気に含まれる蒸気形態の水が、その場の圧力及び温度条件で該支持体上に結露する結果生じる。該物体は、該支持体上で固体化する前に結露によって堆積されていることができる。
【0066】
該固体状態にある該物体は、霜、氷、及び雪の中から選択されることができる。該液体状態にある該物体は、シート、少なくとも1つの滴、例えば汚泥、であることができる。「霜」は、該支持体上に堆積される前に固体化した水の滴によって形成される。「氷」は、該支持体上に結露し、次いで該支持体上で固体化した水の滴によって形成される。
【0067】
更に、該トランスデューサを、とりわけ上記で言及された外部要素から、保護する為に、該デバイスは好ましくは、該圧電基板に重畳された保護部材を備えている。
【0068】
好ましくは、該トランスデューサは、該保護部材及び該支持体によって画定された空洞に収容される。
【0069】
特に、本発明の該第1の観点による該デバイスにおいて、該第1の電極及び第2の電極によって被覆されていない該基板の面の少なくとも1つ、更には全てが、該保護部材と接触していることができる。
【0070】
該保護部材は好ましくは、該超音波表面波の伝播を妨害しないように、該支持体からある距離にある。
【0071】
該保護部材は、該第1の電極及び第2の電極によって被覆されていない該トランスデューサの面と接触していることができる。すると、それは該誘導波とも該一次波とも相互作用しない。好ましくは、該保護部材は、該第1の電極及び第2の電極が堆積されている該面と反対側の該トランスデューサの面と接触している。特に該保護部材は、該トランスデューサに固定、例えば接着、されることができる。それにより、該デバイスの製造が平易にされる。
【0072】
更に、該デバイスは、トランスダクタに電力供給する電流発生器に電気的に接続されることができる。該電流発生器は、好ましくは1ミリワット~500ワットである、電力供給を送出するように構成されることができる。
【0073】
更に、本発明は、本発明に従う該デバイスを製造する為の方法に関し、該方法は、以下の連続するステップ、
a)波トランスデューサを得る為に、圧電基板の面に第1の電極及び第2の電極を形成するステップ、
b)該波トランスデューサを支持体に固定して上記デバイスを得るステップ
を含む。
【0074】
好ましくは、該支持体及び/又は該波トランスデューサは、接着剤の層で被覆され、次いで適宜被覆された支持体及び/又は波トランスデューサが組み立てられる。
【0075】
本発明はまた、本発明に従う電気音響デバイスを用いて、該支持体の面上に配置された液状の物体まで、該トランスデューサからある距離のところで該支持体内を伝播する超音波表面波を合成することを含む第1の方法に関し、該超音波のエネルギーは、該支持体上の該物体の変位を誘発するのに十分である。
【0076】
該物体は、該超音波表面波の伝播方向に変位されることができる。
【0077】
本発明はまた、第2の方法であって、
本発明に従う電気音響デバイスを用意すること、及び
該波トランスデューサに電力供給して、該支持体の面上に且つ該トランスデューサからある距離に配置された物体まで、該支持体内を伝播する超音波表面波を合成すること、ここで、電力供給エネルギーの少なくとも一部分が、該トランスデューサによって熱形態に変換される、
該トランスデューサに電力供給する電気エネルギーが、
該物体が固体状態にあるときに該物体を融解させること、
及び/又は、該支持体の温度が該物体の固体化温度よりも低いときに該物体を液体状態に維持すること
を誘発する為の該超音波表面波の熱及びエネルギーに十分である、
ことを含む上記第2の方法に関する。
【0078】
該超音波のエネルギーは更に、融解した該物体の変位、又は該面上で該液体状態に維持されている該物体の変位を誘発するのに十分であることができる。
【0079】
本発明はまた、第3の方法であって、
圧電基板と、該圧電基板と接触している第1の電極及び第2の電極と、支持体とを備えている超音波トランスデューサを備えているデバイスを用意すること、ここで、該トランスデューサが、該支持体に固定され且つ該支持体と音響的に結合されており、該第1の電極及び第2の電極は、該圧電基板と該支持体との間に少なくとも部分的に挟まれており、該デバイスは、電流が該第1の電極及び第2の電極を通過するときに、該トランスデューサからある距離のところで該支持体内を伝播する超音波表面波を生成するように構成され、該トランスデューサは、該支持体内の該トランスデューサからある距離のところで該超音波表面波に変換される誘導波を生成するように構成されており、
該支持体の面上に配置された液状の物体まで、該トランスデューサからある距離のところで該支持体内を伝播する超音波表面波を、上記デバイスを用いて合成すること、ここで、該超音波のエネルギーは、該支持体上の該物体の変位を誘発するのに十分であり、
該物体が、シートである、又は5mm以下の直径を有する滴である、
ことを含む上記第3の方法に関する。
【0080】
該物体の「直径」は、該物体に外接する最も小さい球の直径を意味するものと理解される。該物体の該直径は、該超音波の合成に先立って決定される。
【0081】
該第1の方法及び/又は該第2の方法及び/又は該第3の方法は、以下の特徴を含むことができる。
【0082】
該物体は、上記の特徴のいずれか1つを有することができる。
【0083】
該物体は、シートであることができる。該シートは、該支持体上で、2cm以上、更には5cm以上、更には10cm以上、更には100cm以上、更には500cm以上の、表面積にわたって延びることができる。該シートの厚みは、10μm~10mm、更には50μm~5mmであることができる。
【0084】
該物体は、5mm以下の直径を有する滴であることができる。該滴は、1mm以下、更には0.1mm以下の直径を有することができる。該滴は、2mm~5mmである直径を有することができる。それは、0.1mm~2mmである直径を有することができる。
【0085】
該物体は、該超音波表面波の伝播方向に変位されることができる。
【0086】
該物体は、それが配置されている該支持体の面に沿って変位されることができる。
【0087】
更に、該支持体の温度は、0℃よりも低い温度であることができ、該物体は好ましくは、水性である。
【0088】
最後に、本発明は、支持体の面、とりわけ自動車両の表面、を清掃(clean)及び/又は浄化(clear)及び/又は除霜(defrost)する為の、本発明に従う該デバイスの使用に関する。
【0089】
本発明は、その非制限的な例示的実装形態についての以下の詳細な説明を読み、以下の添付図面を考察すると、よりよく理解されることができる。
【図面の簡単な説明】
【0090】
図1図1は、本発明に従う電気音響デバイスの例を模式的に断面図で表す。
図2図2は、図1に示された該電気音響デバイスの波トランスデューサを斜視図で表す。
図3図3は、本発明に従う電気音響デバイスの別の例を表す。
図4図4は、本発明に従う電気音響デバイスの更に別の例を表す。
【発明を実施するための形態】
【0091】
図面の構成要素は、明瞭性の為に実際の縮尺では表されていない。
【0092】
図1は、本発明の該第1の観点による電気音響デバイス5の第1の例を示す。
【0093】
それは、接着剤の層20によってトランスデューサ15が固定される支持体10を備えている。該接着剤の層は、該支持体を該トランスデューサに音響的に結合する。
【0094】
該トランスデューサは、基板25と、該基板の面40を被覆する第1の電極30及び第2の電極35とを備えている。
【0095】
基板は、圧電材料、例えば128°Yカットニオブ酸リチウム、からなる。それは、板の形態を取り、その厚みeは、該トランスデューサによって生成される波の波長よりも大きい。よって、該トランスデューサによって生成される該波は、該支持体内で直接伝達され、該支持体が装着されている面と反対側の該基板の面45には到達しない。
【0096】
該第1の電極及び第2の電極は、該支持体と該基板との間に挟まれており、それらに電力供給する電圧発生器50に接続されている。よって、それらは、該支持体の方を向いて配置され、該支持体、該基板、及び該接着剤の層によって保護される。
【0097】
図示された該例における該支持体は板の形態を取り、外部環境60と接触している上面55を有する。図示された該例において、それは、水の膜の形態の物体65によって覆われている。該物体65は、滴又はシートであることができる。例えば、該シートは、該支持体上に、例えば雨の、滴が集まることによって形成される。
【0098】
該デバイスを製造する為に、該第1の電極及び第2の電極は、蒸着又はスパッタリング法によって形成され、フォトリソグラフィによって成形されることができる。それらは、クロム、若しくはアルミニウム、又は、ボンドコート、例えばチタン、と導電層、例えば金、との組み合わせによって作られることができる。適宜覆われた該基板は、次いで該支持体上に接着されることができる。接着作業を容易にする為に、自己支持型の支持体が好ましい。
【0099】
図2に示されているように、該第1の電極30及び第2の電極35は、第1のコーム70及び第2のコーム75を形成する。各コームは、基部80、85と、該基部から互いと並行に延びる指状物の列90、95とを備えている。該第1及び第2のコームは櫛形である。
【0100】
該第1のコーム、該第2のコームそれぞれの該指状物の各々は、該超音波表面波の該基本波長を4で割った値に等しい幅lを有し、一つのコームの2つの連続した指状物間の間隔Sは、該超音波表面波の該基本波長を4で割った値に等しい。
【0101】
該指状物間の該間隔は、当業者が容易に決定することができる該トランスデューサの共振周波数を決定する。交流電圧が、該発生器50によって印加され、該トランスデューサが超音波表面波を生成することができるように増幅されることができる。
【0102】
該第1の電極及び第2の電極の交流の電力供給は、該圧電材料からの機械的反応を誘発し、その結果、誘導される表面波Gが生成されて、支持体中を伝播方向Pに、とりわけ該支持体上に配置された該物体に向かって、伝播する。
【0103】
所定の基本周波数の波を生成するように構成されたトランスデューサの場合、該物体を変位若しくは融解させる、及び/又はそれを液体状態に維持する為に十分な該トランスデューサによって生成されるエネルギーの決定は、当業者にとって容易である。とりわけ、当業者は、該超音波誘導波の基本周波数を、該波を生成する為の電気信号の周波数に関係付けることができる。そして、当業者は、該トランスデューサに供給される十分な電気エネルギーを決定する為に、該電気信号の振幅を変動させることができる。
【0104】
該トランスデューサが該電圧発生器によって電力供給されると、それは超音波を生成する。該第1の電極及び第2の電極は該支持体と該基板との間に挟まれているので、該トランスデューサによって生成された波Gは、誘導され、該電極によって被覆された該基板の該面と、該電極の方を向いた該支持体の面とによって画定された、該支持体と該基板との間の界面において伝播する。該誘導波がその伝播方向に沿って該基板の横側の端98に到達すると、それは、該支持体の表面上を伝播する超音波表面波Wの形態となって該支持体内を伝達される。該誘導波の表面波への変換は、該トランスデューサによって覆われていない該支持体の部分内の2つの固体の間に界面が存在しないことから生じる。該表面波は、次いで該支持体を覆っている該物体と相互作用する。液体の物体の場合、0.1MHz~1000MHzである、好ましくは10MHz~100MHzである、例えば40MHzに等しい、基本周波数で表面波を合成するトランスデューサが、水の膜の変位を保証する為に好適である。該水の膜が氷又は霜の形態である変形例において、それはまた、該超音波表面波からのエネルギーの入力と、それが生成する熱の伝達、とりわけ該電極の抵抗加熱、とにより、該水の膜の融解を誘発する為に好適である。
【0105】
図3に示された該デバイスは、該支持体上及び該トランスデューサ上に重畳された保護部材100を更に備えている点で、図1に示されたものと異なっている。該支持体と共に、それは、該トランスデューサが収容される空洞105を画定する。よって、該トランスデューサ、より特には該基板、は、該外部要素、例えば降水及び埃、から保護される。該保護部材は、該第1の電極及び第2の電極によって被覆されていない該基板の該面45に固定される。該基板は該誘導波の波長よりも大きい厚みを有するので、該保護部材は該誘導波と相互作用しない。該保護部材は、耐衝撃材料、例えば金属又は熱可塑性プラスチック、からなることができる。図示された該例において、該保護部材は、該支持体からある距離にある。よって、該支持体中の該超音波表面波の伝播を妨害しない。
【0106】
最後に、図4に示されたデバイスは、該支持体の端部から突出している部分を備えており、該第1の電極及び第2の電極が、該支持体に重畳されていない該圧電基板の部分108に配置されているという点で、図1に示された該デバイスと異なっている。該第1の電極及び第2の電極は該支持体からある距離にある為、それらを該電圧発生器に電気的に接続することは容易である。
【0107】
該基板が電力供給されると、該デバイスは一次波Qを生成し、該一次波Qは、該基板の表面上を伝播し、次いで該基板と該支持体との間の該界面110において伝播する。該一次波がその伝播方向に沿って該基板の該横側の端98に到達すると、それは、該支持体の表面上を伝播する超音波表面波の形態となって該支持体内を伝達される。図1の該例と同様に、該超音波表面波は、該支持体上の液体の変位を誘起することができる。
【0108】
言うまでもなく、本発明は、本明細書の記載に提示された該方法の実施態様、とりわけ該例に、制限されない。
図1
図2
図3
図4
【国際調査報告】