(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-12-01
(54)【発明の名称】ビルドアップフィルムを備えた変圧器
(51)【国際特許分類】
H01F 41/00 20060101AFI20221124BHJP
H01F 17/04 20060101ALI20221124BHJP
H01L 25/00 20060101ALI20221124BHJP
【FI】
H01F41/00 C
H01F17/04 F
H01L25/00 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022518895
(86)(22)【出願日】2020-09-21
(85)【翻訳文提出日】2022-05-24
(86)【国際出願番号】 US2020051741
(87)【国際公開番号】W WO2021061546
(87)【国際公開日】2021-04-01
(32)【優先日】2019-09-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】507107291
【氏名又は名称】テキサス インスツルメンツ インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】230129078
【氏名又は名称】佐藤 仁
(71)【出願人】
【識別番号】390020248
【氏名又は名称】日本テキサス・インスツルメンツ合同会社
(72)【発明者】
【氏名】ジェミン ジャン
(72)【発明者】
【氏名】大竹 健二
(72)【発明者】
【氏名】イー ヤン
(72)【発明者】
【氏名】ジェフェリー モロニ
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 佑樹
(72)【発明者】
【氏名】安藤 貴文
【テーマコード(参考)】
5E070
【Fターム(参考)】
5E070AA11
5E070AB02
(57)【要約】
幾つかの例において、変圧器デバイスを製造する方法(100)が、第1の磁性部材を提供すること(102)と、積層部材を介して延在するオリフィスの周囲の周りに巻かれた一次及び二次変圧器巻線を含む積層部材を提供することと(106)を含む。この方法は、積層部材に当接するビルドアップフィルムを配置すること(104)をさらに含む。この方法はまた、第2の磁性部材の少なくとも一部をオリフィス内に配置すること(110)を含む。この方法は、第1の磁性部材と第2の磁性部材との間の距離が減少し、また、ビルドアップフィルムが溶融するように、第1の磁性部材と第2の磁性部材の少なくとも一方を加熱プレスすること(112、114)をさらに含み、それによって、変圧器デバイスが生成される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
変圧器デバイスの製造方法であって、
第1の磁性部材を提供することと、
積層部材を提供することであって、前記積層部材を介して延在するオリフィスの周りに巻かれた一次及び二次変圧器巻線を含む前記積層部材を提供することと、
前記積層部材に当接するビルドアップフィルムを配置することと、
前記オリフィス内に第2の磁性部材の少なくとも一部を配置することと、
前記第1及び第2の磁性部材の間の距離が減少し、前記ビルドアップフィルムが溶融するように、前記第1及び第2の磁性部材の少なくとも一方を加熱プレスすることであって、それによって変圧器デバイスを生成することと、
を含む、方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法であって、前記加熱プレスすることによって前記第1及び第2の磁性部材が互いに接触するようにされ、前記第1の磁性部材がTコア部材を含み、前記第2の磁性部材がUコア部材を含む、方法。
【請求項3】
請求項1に記載の方法であって、前記加熱プレスすることで、前記ビルドアップフィルムの少なくとも一部が前記オリフィス内に配置される、方法。
【請求項4】
請求項1に記載の方法であって、前記第1及び第2の磁性部材の一方がEコア部材を含み、前記第1及び第2の磁性部材の他方がIコア部材を含む、方法。
【請求項5】
請求項1に記載の方法であって、前記ビルドアップフィルムがポリマー材料を含む、方法。
【請求項6】
請求項1に記載の方法であって、前記変圧器デバイスを半導体パッケージ内に収容することをさらに含む、方法。
【請求項7】
半導体パッケージの製造方法であって、
第1の磁性部材を提供することと、
前記第1の磁性部材に当接する第1のビルドアップフィルムを配置することと、
前記第1のビルドアップフィルムに当接し、一次及び二次変圧器巻線を含む積層部材を配置することと、
前記積層部材に当接する第2のビルドアップフィルムを配置することと、
前記第2のビルドアップフィルムに当接する第2の磁性部材を配置することと、
前記第1のビルドアップフィルムと前記第2のビルドアップフィルムを溶融することと、
前記第1の磁性部材と第2の磁性部材とを互いに接触させて変圧器デバイスを形成させることと、
前記変圧器デバイスをリードフレーム表面上に搭載することと、
前記変圧器デバイスとリードフレーム表面をモールディングで覆い、半導体パッケージを製造することと、
を含む、方法。
【請求項8】
請求項7に記載の方法であって、前記第1の磁性部材が高透磁率フェライト部材を含む、方法。
【請求項9】
請求項7に記載の方法であって、前記第2の磁性部材の一部が、前記積層部材のオリフィス内に配置される、方法。
【請求項10】
請求項9に記載の方法であって、前記第1のビルドアップフィルム及び前記前記第2のビルドアップフィルムを溶融させることで、前記第1のビルドアップフィルム、前記第2のビルドアップフィルム、又は前記第1及び前記第2のビルドアップフィルムの両方の少なくとも一部を前記オリフィス内に配置される、方法。
【請求項11】
請求項7に記載の方法であって、前記第2の磁性部材がEコア部材を含み、前記第1の磁性部材がIコア部材を含む、方法。
【請求項12】
請求項7に記載の方法であって、前記第1及び第2の磁性部材の一方がTコア部材を含み、前記第1及び第2の磁性部材の他方がUコア部材を含む、方法。
【請求項13】
半導体デバイスであって、
第1の磁性部材と、
第2の磁性部材と、
前記第1及び第2の磁性部材の間に位置する積層部材であって、一次及び二次変圧器巻線を含む、前記積層部材と、
前記第1の磁性部材と第2の磁性部材との間に配置され、前記積層部材に当接するビルドアップフィルム材料と、
を含む、半導体デバイス。
【請求項14】
請求項13に記載の半導体デバイスであって、前記第1の磁性部材が高透磁率フェライト部材を含む、半導体デバイス。
【請求項15】
請求項13に記載の半導体デバイスであって、前記第2の磁性部材がEコア部材を含み、前記第1の磁性部材がIコア部材を含む、半導体デバイス。
【請求項16】
請求項13に記載の半導体デバイスであって、前記第2の磁性部材がIコア部材を含み、前記第1の磁性部材がEコア部材を含む、半導体デバイス。
【請求項17】
請求項13に記載の半導体デバイスであって、前記第2の磁性部材がT型コア部材を含み、前記第1の磁性部材がU型コア部材を含む、半導体デバイス。
【請求項18】
請求項13に記載の半導体デバイスであって、前記第2の磁性部材がUコア部材を含み、前記第1の磁性部材がTコア部材を含む、半導体デバイス。
【請求項19】
請求項13に記載の半導体デバイスであって、前記第1及び第2の磁性部材がIコア部材を含み、前記半導体デバイスが複数の磁性ピラーをさらに含む、半導体デバイス。
【請求項20】
請求項19に記載の半導体デバイスであって、前記複数の磁性ピラーの第1の磁性ピラーが前記積層部材のオリフィスの内部に配置される、半導体デバイス。
【請求項21】
請求項13に記載の半導体デバイスであって、前記第1及び第2の磁性部材の一方の一部が、前記積層部材のオリフィスの内部に配置される、半導体デバイス。
【請求項22】
半導体パッケージであって、
第1の磁性部材と、
第2の磁性部材と、
前記第1及び第2の磁性部材の間に位置する積層部材であって、一次及び二次変圧器巻線を含む、前記積層部材と、
前記第1の磁性部材と第2の磁性部材との間に配置され、前記積層部材に当接するビルドアップフィルム材料と、
前記第1の磁性部材、第2の磁性部材、前記積層部材、及びビルドアップフィルムを覆うモールド材料と、
を含む、半導体パッケージ。
【請求項23】
請求項22に記載の半導体パッケージであって、前記第1の磁性部材が高透磁率フェライト部材を含む、半導体パッケージ。
【請求項24】
請求項22に記載の半導体パッケージであって、前記第2の磁性部材がEコア部材を含み、前記第1の磁性部材がIコア部材を含む、半導体パッケージ。
【請求項25】
請求項22に記載の半導体パッケージであって、前記第2の磁性部材がIコア部材を含み、前記第1の磁性部材がEコア部材を含む、半導体パッケージ。
【請求項26】
請求項22に記載の半導体パッケージであって、前記第2の磁性部材がT型コア部材を含み、前記第1の磁性部材がU型コア部材を含む、半導体パッケージ。
【請求項27】
請求項22に記載の半導体パッケージであって、前記第2の磁性部材がUコア部材を含み、前記第1の磁性部材がTコア部材を含む、半導体パッケージ。
【請求項28】
請求項22に記載の半導体パッケージであって、前記第1及び第2の磁性部材がIコア部材を含み、前記半導体パッケージが複数の磁性ピラーをさらに含む、半導体パッケージ。
【請求項29】
請求項28に記載の半導体パッケージであって、前記複数の磁性ピラーの第1の磁性ピラーが、前記積層部材のオリフィスの内部に配置される、半導体パッケージ。
【請求項30】
請求項22に記載の半導体パッケージであって、前記第1及び第2の磁性部材の一方の一部が、前記積層部材のオリフィスの内部に配置される、半導体パッケージ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
半導体ダイは、典型的には、熱、湿気、及びデブリなどの有害な環境影響からダイを保護するパッケージ内部に収容される。パッケージ化されたダイは、パッケージの外側表面に露出されるリードなどの導電性端子を介して、パッケージ外部の電子デバイスと通信する。パッケージは、半導体ダイ上に形成された回路以外の構成要素を含み得る。例えば、変圧器アッセンブリをパッケージ内部に収容することができ、変圧器コイルの端子は、変圧器アッセンブリが必要に応じて(例えば、パッケージに収容された半導体ダイ上に形成された回路によって)用いられ得るように、パッケージ内の適切な電気接続(例えば、ボンドワイヤ、リードフレームのリード)に結合される。
【発明の概要】
【0002】
幾つかの例において、変圧器デバイスを製造する方法が、第1の磁性部材を提供することと、積層部材を介して延在するオリフィスの周りに巻かれた一次及び二次変圧器巻線を含む積層部材を提供することとを含む。この方法は、積層部材に当接するビルドアップフィルムを配置することをさらに含む。この方法はまた、第2の磁性部材の少なくとも一部をオリフィス内に配置することを含む。この方法は、第1及び第2の磁性部材の少なくとも一方を加熱プレスして、第1及び第2の磁性部材間の距離が減少し、ビルドアップフィルムが溶融するようにし、それによって変圧器デバイスを生成することをさらに含む。
【0003】
幾つかの例において、半導体デバイスが、第1の磁性部材と、第2の磁性部材と、第1の磁性部材と第2の磁性部材との間に位置する積層部材とを含む。積層部材は、一次及び二次変圧器巻線を含む。パッケージはまた、第1及び第2の磁性部材の間に配置され、積層部材に当接するビルドアップフィルム材料を含む。
【0004】
種々の例の詳細な説明のため、ここで、添付の図面を参照する。
【図面の簡単な説明】
【0005】
【
図1】種々の実施例に従った、ビルドアップフィルムを含む変圧器を収容する半導体パッケージの製造方法のフローチャートを示す。
【0006】
【
図2A】種々の例に従った、ビルドアップフィルムを含む変圧器を収容する半導体パッケージの製造の正面断面図を示す。
【
図2B】種々の例に従った、ビルドアップフィルムを含む変圧器を収容する半導体パッケージの製造の正面断面図を示す。
【
図2C】種々の例に従った、ビルドアップフィルムを含む変圧器を収容する半導体パッケージの製造の正面断面図を示す。
【
図2D】種々の例に従った、ビルドアップフィルムを含む変圧器を収容する半導体パッケージの製造の正面断面図を示す。
【
図2E】種々の例に従った、ビルドアップフィルムを含む変圧器を収容する半導体パッケージの製造の正面断面図を示す。
【
図2F】種々の例に従った、ビルドアップフィルムを含む変圧器を収容する半導体パッケージの製造の正面断面図を示す。
【0007】
【
図2G】種々の例に従った、ビルドアップフィルムを含む変圧器を収容する半導体パッケージの製造の側面図を示す。
【
図2H】種々の例に従った、ビルドアップフィルムを含む変圧器を収容する半導体パッケージの製造の斜視図を示す。
【0008】
【
図3A】種々の例に従った、ビルドアップフィルムを含む変圧器を収容する半導体パッケージの製造の上面図である。
【
図3B】種々の例に従った、ビルドアップフィルムを含む変圧器を収容する半導体パッケージの製造の上面図である。
【
図3C】種々の例に従った、ビルドアップフィルムを含む変圧器を収容する半導体パッケージの製造の上面図である。
【
図3D】種々の例に従った、ビルドアップフィルムを含む変圧器を収容する半導体パッケージの製造の上面図である。
【
図3E】種々の例に従った、ビルドアップフィルムを含む変圧器を収容する半導体パッケージの製造の上面図である。
【
図3F】種々の例に従った、ビルドアップフィルムを含む変圧器を収容する半導体パッケージの製造の上面図である。
【
図3G】種々の例に従った、ビルドアップフィルムを含む変圧器を収容する半導体パッケージの製造の上面図である。
【0009】
【
図4A】種々の実施例に従った、ビルドアップフィルム及び代替の磁性部材を含む変圧器を収容する半導体パッケージの製造の正面断面図を示す。
【
図4B】種々の実施例に従った、ビルドアップフィルム及び代替の磁性部材を含む変圧器を収容する半導体パッケージの製造の正面断面図を示す。
【0010】
【
図5A】種々の実施例に従った、ビルドアップフィルム及び代替の磁性部材を含む変圧器を収容する半導体パッケージの製造の正面断面図を示す。
【
図5B】種々の実施例に従った、ビルドアップフィルム及び代替の磁性部材を含む変圧器を収容する半導体パッケージの製造の正面断面図を示す。
【0011】
【
図6A】種々の実施例に従った、ビルドアップフィルム及び代替の磁性部材を含む変圧器を収容する半導体パッケージの製造の正面断面図を示す。
【
図6B】種々の実施例に従った、ビルドアップフィルム及び代替の磁性部材を含む変圧器を収容する半導体パッケージの製造の正面断面図を示す。
【0012】
【
図7A】種々の実施例に従った、ビルドアップフィルム及び代替の磁性部材を含む変圧器を収容する半導体パッケージの製造の正面断面図を示す。
【
図7B】種々の実施例に従った、ビルドアップフィルム及び代替の磁性部材を含む変圧器を収容する半導体パッケージの製造の正面断面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0013】
幾つかの変圧器アッセンブリは、複数の磁性部材の間に配置されたコイルを用いて形成される。例えば磁性部材とコイルとの間の、変圧器アッセンブリ内の空間は、適切なダイ取り付け材料を用いて充填される。ダイ取り付け材料は、機械的サポート及び耐湿性を提供し、様々な機能的な目的(例えば、電流導通、熱放散)に役立つ。しかしながら、ダイ取り付け材料を適用するための現在の技法は、ダイ取り付け材料が堆積されるべき空間に残余エアギャップ(例えば、気泡)を残すので、満足できるものではない。これにより、低電圧での降伏を含む多くの問題が生じ、変圧器の絶縁性能に大きく影響する。また、残ったエアギャップは、変圧器アッセンブリの機械的安定性及び信頼性にマイナスの影響を及ぼす可能性がある。さらに、変圧器アッセンブリを製造するために複数の硬化工程が必要とされることがあり、これは時間がかかり、複雑であり、製造コストを実質的に増大させる可能性がある。
【0014】
本開示は、新規な変圧器デバイス、及び新規な変圧器デバイスを製造するための方法の種々の例を記載する。変圧器デバイス内の空間を充填するためにダイ取り付け材料を用いる代わりに、変圧器デバイスは、ビルドアップフィルム(例えば、AJINOMOTO(登録商標)ABF(登録商標)ビルドアップフィルムなどのポリマープリプレグフィルム)を用いて形成される。ビルドアップフィルムは、上述したダイ取り付け材料と同様の目的を果たすが、以下に説明するその物理的特性のため、溶融したときに、ギャップが、たとえあるとしてもほとんど残らないので、ダイ取り付け材料よりも優れている。ビルドアップフィルムは、一対の磁性部材間に、コイルを含む積層部材に近接して、配置される。積層部材及びビルドアップフィルムは磁性部材の間に配置され、その後、磁性部材は加熱プレスされて、ビルドアップフィルムを溶融され、それらを流動させて、磁性部材と積層部材との間のギャップを充填する。この技法は、既存の変圧器アッセンブリ製造技法と比較して、変圧器アッセンブリ内のエアギャップの寸法及び数を最小化又は排除し、それにより、優れた性能及び機械的安定性を有する変圧器アッセンブリが製造される。さらに、冗長で高価な硬化工程が製造工程から排除される。
【0015】
図1は、種々の例に従った、ビルドアップフィルムを含む変圧器を収容する半導体パッケージを製造する方法100のフローチャートを示す。方法100は、
図2A~
図3Gと並んで以下に説明される。したがって、ここで、
図2A~
図3Gを簡単に紹介し、続いて
図1~
図3Gを共に詳細に説明する。
【0016】
図2A~
図2Fは、種々の例に従った、ビルドアップフィルムを含む変圧器を収容する半導体パッケージの製造の正面断面図を示す。
図2G及び
図2Hは、種々の例に従った、ビルドアップフィルムを含む変圧器を収容する半導体パッケージの製造の側面図及び斜視図をそれぞれ示す。
図3A~
図3Gは、種々の例に従った、ビルドアップフィルムを含む変圧器を収容する半導体パッケージの製造の上面図である。
【0017】
図1~
図3Gを共に参照すると、方法100は、第1の磁性部材を提供することによって開始する(工程102)。幾つかの例において、第1の磁性部材は、高透磁率フェライト部材(例えば、150までの透磁率範囲を有するフェライト磁性シート)を含む。幾つかの例において、第1の磁性部材は、例示の寸法が5mm幅×5mm長さ×270μm厚さの矩形角柱を含む。磁性部材の他の透磁率範囲、形状、及び大きさが考えられ、本開示の範囲に含まれる。
図2Aは、例示の磁性部材200の正面断面図を示し、
図3Aは、例示の磁性部材200の上面図を示す。
【0018】
方法100は、第1の磁性部材に当接する第1のビルドアップフィルムを配置することにより続く(工程104)。幾つかの例において、第1のビルドアップフィルムは、AJINOMOTO(登録商標)ABF(登録商標)ビルドアップフィルムなどのポリマー材料を含む。幾つかの例において、第1のビルドアップフィルムは、25~150℃の温度範囲にわたって46ppmの範囲の概して低い熱膨張係数、約170℃のガラス転移温度、3付近の概して低い誘電率、及び適切に高いレベルの絶縁信頼性などの特定の特性を有する。温度及び圧力に対するビルドアップフィルムの挙動(例えば、粘度)が本明細書に記載の第1のビルドアップフィルムの挙動と同様である限り、他のタイプのビルドアップフィルムを用いてもよい。幾つかの例において、第1のビルドアップフィルムは、工程102に従って配置される場合、中実又は半中実であり、矩形角柱の形状を有する。幾つかの例において、第1のビルドアップフィルムの寸法は、長さ5mm、幅6mm、厚さ25μmである。他の形状及び寸法も考えられ、本開示の範囲に含まれる。
図2Aは、第1の磁性部材200の上に配置され当接する例示のビルドアップフィルム202の正面断面図を示す。
図3Bは、第1の磁性部材200の上に配置され当接する例示のビルドアップフィルム202の上面図を示す。図示のように、幾つかの例において、ビルドアップフィルム202は、第1の磁性部材200よりも体積が小さい。幾つかの例において、以下で詳細に説明するように、複数のビルドアップフィルム202を用いることができる。
【0019】
方法100はさらに、第1のビルドアップフィルムに当接する積層部材を配置することを含み、積層部材は、一次及び二次変圧器巻線を含む(工程106)。幾つかの例において、積層部材は、プリプレグ及び/又はBT CORELAYER(登録商標)を含み、これらは両方ともポリマーマトリックス材料である。幾つかの例において、積層部材は、長さ5mm、幅6mm、厚さ388μmの例示の寸法を有する。幾つかの例において、積層部材は矩形角柱である。本開示の範囲は、任意の特定の寸法、形状、又は構成の積層部材の使用に限定されない。幾つかの例において、積層部材は、積層体の厚さの一部又は全部を介して延在するオリフィス(例えば、円筒状オリフィス)を含む。幾つかの例において、一次変圧器巻線はオリフィスの周りに巻かれ、積層部材内に含まれる。幾つかの例において、二次変圧器巻線は、オリフィスの周りに巻かれ、積層部材内に含まれる。
図2Cは、積層部材204の厚さを介して延在するオリフィス210を有する例示の積層部材204の正面断面図を示す。
図2Cにも示されるように、積層部材204は、オリフィス210の周りに巻かれた一次変圧器巻線206と、オリフィス210の周りに巻かれた二次変圧器巻線208とを含む。
図3Cは、ビルドアップフィルム202の上に配置され当接する積層部材204の上面図を示す。幾つかの例において、積層部材204は、ビルドアップフィルム202よりも体積が大きいが、第1の磁性部材200よりも体積が小さい。加えて、
図3Cが示すように、一次変圧器巻線206は、一次変圧器巻線206の対向する端部上に端子226を含み、これらの端子は、積層部材204の頂部表面に露出されている。同様に、二次変圧器巻線208は、二次変圧器巻線208の対向する端部上に端子211を含み、これら端子も積層部材204の頂部表面に露出されている。
【0020】
方法100は、積層部材に当接する第2のビルドアップフィルムを配置することにより続く(工程108)。幾つかの例において、以下で詳細に説明するように、複数の第2のビルドアップフィルムを用いることができる。幾つかの例において、第2のビルドアップフィルムは、AJINOMOTO(登録商標)ABF(登録商標)ビルドアップフィルムなどのポリマー材料を含む。幾つかの例において、第2のビルドアップフィルムは、第1のビルドアップフィルムに関して上述したような特定の特性を有する。温度及び圧力に対するビルドアップフィルムの挙動(例えば、粘度)が本明細書に記載の第2のビルドアップフィルムの挙動と同様である限り、他のタイプのビルドアップフィルムを用いてもよい。幾つかの例において、第2のビルドアップフィルムは、工程102に従って配置される場合、中実又は半中実であり、矩形角柱の形状を有する。幾つかの例において、第2のビルドアップフィルムの寸法は、長さ5mm、幅6mm、厚さ25μmである。他の形状及び寸法も考えられ、本開示の範囲に含まれる。幾つかの例において、第2のビルドアップフィルムは、オリフィス210(
図2C)と整合するオリフィスを含む。
図2Dは、積層部材204の上に配置され当接する例示のビルドアップフィルム212の正面断面図を示す。
図3Dは、積層部材204の上に配置され当接する例示のビルドアップフィルム212の上面図を示す。図示のように、幾つかの例において、ビルドアップフィルム212は、積層部材204よりも体積が小さい。
図2D及び
図3Dは1つのビルドアップフィルム212を示すが、幾つかの例において追加のビルドアップフィルム212を用いることができる。用いられるビルドアップフィルム212の数にかかわらず、ビルドアップフィルム212の構成は、次に説明するように、第2の磁性部材がオリフィスの内部に配置され得るように、オリフィス210をブロックしてはならない。例えば、ビルドアップフィルム212は、オリフィス210と整合され得る円筒形オリフィス213を含む。
【0021】
方法100は、第2のビルドアップフィルムに当接する第2の磁性部材を配置すること(工程110)で続く。幾つかの例において、第2の磁性部材は、第1の磁性部材と組成が類似している。幾つかの例において、第2の磁性部材の長さ及び幅寸法は、第1の磁性部材の長さ及び幅寸法と同様(すなわち、10%以内)である。幾つかの例において、第2の磁性部材が複数の垂直延長部を含むため、第2の磁性部材の厚さは変動する。
図2Eは、第2のビルドアップフィルム212に近接する第2の磁性部材214の正面断面図を示す。第2の磁性部材214は、図示されるように、延長部214A、214B、及び214Cを有する。幾つかの例において、延長部214A、214B、又は214Cを含む部分における第2の磁性部材214の厚さは約658μmである。幾つかの例において、延長部214A、214B、又は214Cを含まない部分における第2の磁性部材214の厚さは約270μmである。幾つかの例において、延長部214Bはオリフィス210の内部に配置され、延長部214A及び214Cは、積層部材204に対して横方向に配置される。
図3Eは、上述のように配置された第2の磁性部材214の上面図を示す。
【0022】
方法100は、第1及び第2のビルドアップフィルムを溶融すること(工程112)と、第1及び第2の磁性部材を互いにより近くに配置して変圧器デバイスを形成すること(工程114)とをさらに含む。幾つかの例において、ビルドアップフィルムが第2の磁性部材214に熱及び圧力を印加することによって溶融されてもよい。幾つかの例において、第1の磁性部材200に熱及び圧力を印加することによって、ビルドアップフィルムを溶融させてもよい。幾つかの例において、第2の磁性部材214に熱を加え、第1の磁性部材200に圧力を印加することによって、ビルドアップフィルムを溶融させてもよい。幾つかの例において、第1の磁性部材200に熱を加え、第2の磁性部材214に圧力を印加することによって、ビルドアップフィルムを溶融させてもよい。熱及び圧力を印加する他の構成も考えられ、本開示の範囲に含まれる。
図2Fは、第2の磁性部材214への加熱プレス216の適用を示す。
図3Fは同様に、加熱プレス216の適用を示す。幾つかの例において、加熱プレス216の温度(例えば、摂氏200度)及び圧力(例えば、5~10MPa)は、ビルドアップフィルム202、212の材料組成及びそれらの融点に依存する。幾つかの例において、ビルドアップフィルム202、212は溶融して、図示のように、積層部材204と第1及び第2の磁性部材200、214との間のすべての空間(オリフィス210を含む)を満たす溶融ビルドアップフィルム205を形成する。このような例では、積層部材204と第1及び第2の磁性部材200、214との間のエリアにはエアギャップが残っておらず、それによって、上述のように、現在の技術水準に関連する課題が軽減される。印加された圧力によって、第1及び第2の磁性部材200、214は互いに向かって移動し、
図2Fが示すように、第1及び第2の磁性部材200、214が接触するようになり、それによって、変圧器デバイス218が生成される。
図3Fは、例示の上面図を示す。
【0023】
方法100はまた、ダイパッドなど、リードフレームパッド上に変圧器デバイスを取り付けること(工程116)を含む。
図2Gは、リードフレームパッド220上に配置された変圧器デバイス218の側面図を示す。ボンドワイヤ224が、端子226をリードフレーム(例えば、パッケージリード)の導電性端子222上のボール228に結合する。変圧器デバイス218の他の端子は、適宜、他の導電性端子に結合することができる。
図3Gは、
図2Gのアセンブリの上面図を示しており、端子部226の1つが、導電性端子部222上のボール228に結合され、端子部226の別の1つは、ボンドワイヤ237を介して導電性端子部223上のボール227に結合され、端子部211の1つが、ボンドワイヤ235を介して導電性端子部225上のボール229に結合され、端子部211の別の1つは、ボンドワイヤ233を介して導電性端子部232上のボール231に結合される。
【0024】
方法100はさらに、半導体パッケージを製造するために、変圧器デバイス及びリードフレームパッドをモールディング内に封入すること(工程118)を含む。
図2Hは、半導体パッケージ230の1つ又はそれ以上の表面に露出された導電性端子222、223、225、及び232を有する半導体パッケージ230の斜視図を示す。
【0025】
第1及び第2の磁性部材200、214は、
図2E及び
図2Fの正面図において、第1及び第2の磁性部材200、214が、それぞれ、90度回転した英大文字「I」及び「E」に似ているので、それぞれ、I及びEコア部材と呼ばれる。幾つかの例において、他の形状の磁性部材が用いられてもよい。例えば、
図4Aは、第1の磁性部材400がEコア部材であり、第2の磁性部材402がIコア部材であるアセンブリを示す。
図4Aの矢印が示すように、熱及び圧力を印加すると、第1及び第2の磁性部材400、402が互いに接触し、ビルドアップフィルム202、212が溶融してビルドアップフィルム406になる(ビルドアップフィルム202、212を含むと言うことができる)変圧器デバイス404(
図4B)が形成される。幾つかの例において、ビルドアップフィルム406は、エアギャップを残さずに、オリフィス210を含む積層部材204と第1及び第2の磁性部材400、402との間の全てのエリアを満たす。第1の磁性部材400は延長部400A、400B、及び400Cを含み、延長部400Bは、図示のようにオリフィス210内に配置され、延長部400A、400Cは積層部材204に対して横方向に配置される。
【0026】
別の例において、
図5Aは、第1の磁性部材500がTコア部材であり(第1の磁性部材500が上下逆の英大文字「T」に似ているため)、第2の磁性部材502がUコア部材である(第2の磁性部材502が上下逆の英大文字「U」に似ているため)アセンブリを示す。
図5Aの矢印が示すように、熱及び圧力を印加すると、第1及び第2の磁性部材500、502が互いに接触し、ビルドアップフィルム202、212が溶融してビルドアップフィルム506になる(ビルドアップフィルム202、212を含むと言うことができる)変圧器デバイス504(
図5B)が形成される。幾つかの例において、ビルドアップフィルム506は、オリフィス210を含む、積層部材204と第1及び第2の磁性部材500、502との間の全てのエリアを満たす。第1の磁性部材500は、図示されるように、オリフィス210内に配置される延長部500Aを含む。第2の磁性部材502は、積層部材204に対して横方向に配置された延長部502A、502Bを含む。
【0027】
別の例において、
図6Aは、第1の磁性部材600がUコア部材であり、第2の磁性部材602がTコア部材であるアセンブリを示す。
図6Aの矢印が示すように、熱及び圧力を印加すると、第1及び第2の磁性部材600、602が互いに接触し、ビルドアップフィルム202、212が溶融してビルドアップフィルム606になる(ビルドアップフィルム202、212を含むと言うことができる)変圧器デバイス604(
図6B)が形成される。幾つかの例において、ビルドアップフィルム606は、オリフィス210を含む、積層部材204と第1及び第2の磁性部材600、602との間の全てのエリアを満たす。第1の磁性部材600は、積層部材204に対して横方向に配置された延長部600A、600Bを含み、第2の磁性部材602はオリフィス210内に配置された延長部602Aを含む。
【0028】
さらに別の例において、
図7Aは、第1の磁性部材700がIコア部材であり、第2の磁性部材702もIコア部材であるアセンブリを示す。追加の磁性部材701、703、及び705(本明細書では「ピラー」と呼ぶことがある)が含まれ、上述の第1及び第2の磁性部材と同様の特性を有する高透磁率フェライト材から構成される。磁性部材701及び705は、積層部材204に対して横方向に配置され、磁性部材703はオリフィス210内に配置される。ビルドアップフィルム707は積層部材204と第2の磁性部材702との間に位置し、ビルドアップフィルム709は、積層部材204と第1の磁性部材700との間に位置する。
図7Aの矢印が示すように、熱及び圧力の印加により、第1及び第2の磁性部材700、702の各々が磁性部材701、703、及び705と接触し、ビルドアップフィルム707、709が溶融されてビルドアップフィルム706(ビルドアップフィルム707、709を含むといえる)を形成する変圧器デバイス704(
図7B)の形成がもたらされる。幾つかの例において、ビルドアップフィルム706は、オリフィス210を含む、積層部材204と磁性部材700、702、701、及び705との間の全てのエリアを満たす。
【0029】
上述の例では、熱及び圧力の印加がビルドアップフィルムを溶融させ、流動させる。溶融したビルドアップフィルムのフローは、ビルドアップフィルムの粘度及び他の適切な特性に照らして熱及び圧力を印加することによって制御することができる(例えば、望ましくないエリアへのフローを防止することができる)。
【0030】
「第1の」及び「第2の」という用語は、本明細書では磁性部材及びビルドアップフィルムなどの種々の構成要素を指すために用いられる。これらの名称(例えば、「第1の」、「第2の」など)は説明の便宜上なされたものであり、必ずしも、それらが属する構成要素に対する特定の機能的又は構造的重要性を示すものではない。
【0031】
上述の説明は、本明細書の原理及び種々の実施例の例示であることを意味している。上記開示を完全に理解したならば、当業者には多数の変更や変形が明らかになるであろう。後述の特許請求の範囲は、このような変更及び変形を含有するよう解釈されることを意図している。特に明記しない限り、記載された値に先行する「約」、「ほぼ」、「類似する」、又は「実質的に」は、その値の+/10%を意味する。
【国際調査報告】