(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-12-01
(54)【発明の名称】付加製造方法
(51)【国際特許分類】
B22F 10/38 20210101AFI20221124BHJP
B33Y 10/00 20150101ALI20221124BHJP
B33Y 80/00 20150101ALI20221124BHJP
B22F 10/366 20210101ALI20221124BHJP
B22F 10/28 20210101ALI20221124BHJP
B22F 10/37 20210101ALI20221124BHJP
B33Y 50/02 20150101ALI20221124BHJP
B29C 64/153 20170101ALI20221124BHJP
【FI】
B22F10/38
B33Y10/00
B33Y80/00
B22F10/366
B22F10/28
B22F10/37
B33Y50/02
B29C64/153
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022519186
(86)(22)【出願日】2020-09-25
(85)【翻訳文提出日】2022-05-20
(86)【国際出願番号】 FR2020051674
(87)【国際公開番号】W WO2021058920
(87)【国際公開日】2021-04-01
(32)【優先日】2019-09-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】517160927
【氏名又は名称】アッドアップ
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【氏名又は名称】山本 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100144451
【氏名又は名称】鈴木 博子
(72)【発明者】
【氏名】ルイス ミシェル
(72)【発明者】
【氏名】ピカール アレクシス
(72)【発明者】
【氏名】オーブラン アンソニー
【テーマコード(参考)】
4F213
4K018
【Fターム(参考)】
4F213WA25
4F213WB01
4F213WL03
4F213WL12
4F213WL43
4F213WL62
4F213WL95
4K018CA44
(57)【要約】
本発明は、付加製造機械のプレート上に、一方で、その製造中に付加製造によって製造されることを意図した部品(100)を保持するのに適した構造を有する破断可能ゾーンと、他方で、プレートと破損可能な構造を有するゾーンとの間に多孔質構造を有する中間ゾーンと、を有する、付加製造によって製造されたスタックを備える付加製造支持体(1)に関する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
付加製造機械のプレート上に付加製造によって製造されたスタックを備え、
一方で、互いに離間して配置された複数の固体部分を含むラメラ構造を有した破断可能ゾーン(10)であって、その製造中に付加製造によって製造されることを意図した部品(100)を保持するために適している破断可能ゾーン(10)と、
他方で、前記プレートと破断可能構造を有する前記破断可能ゾーン(10)との間に多孔質構造を有する中間ゾーン(20)と、を有している、
ことを特徴とする付加製造支持体(1)。
【請求項2】
前記破断可能ゾーン(10)の前記固体部分が、多角形断面及び/又は曲線断面を有する、
請求項1に記載の付加製造支持体(1)。
【請求項3】
前記破断可能ゾーン(10)の前記各固体部分が、前記破断可能ゾーン(10)の面積の10%未満、好ましくは1%~5%の面積を有する、
請求項1または2に記載の付加製造支持体(1)。
【請求項4】
前記固体部分の面積の合計が、前記破断可能ゾーン(10)の面積の30%~75%である、
請求項3に記載の製造支持体(1)。
【請求項5】
前記中間ゾーンが、0.5~5%、好ましくは1~2%の気孔率を有する、
請求項1~4の何れか1項に記載の付加製造支持体(1)。
【請求項6】
前記製造プレートに取り付けられるのに適したアンカーゾーン(30)を更に備え、前記アンカーゾーン(30)は、前記多孔質中間ゾーン(20)及び/又は前記破断可能ゾーン(10)の密度よりも高い密度を有する、
請求項1~5の何れか1項に記載の付加製造支持体(1)。
【請求項7】
前記破断可能ゾーンが、前記支持体の全厚の15%未満の厚さを有する、
請求項1~6の何れか1項に記載の付加製造支持体(1)。
【請求項8】
前記中間ゾーン(20)が、前記支持体(1)の全厚の60%~95の厚みを有する、
請求項1~7の何れか1項に記載の付加製造支持体(1)。
【請求項9】
前記アンカーゾーン(30)が、前記支持体の全厚の30%以下の厚みを有する、
請求項3と組み合わせた請求項1~8の何れか1項に記載の付加製造支持体(1)。
【請求項10】
固化源によって、粉末材料の連続した層上の選択されたゾーンの固化による部品(100)の付加製造方法であって、付加製造機械のプレート上でのスタックの付加製造によって、付加製造支持体(1)が製造され、
一方で、その製造中、付加製造によって製造されることを意図した前記部品(100)を保持するのに適したラメラ構造を有する破断可能ゾーンであって、前記部品(100)の製造中に単位体積当たりのエネルギー密度の10%~25%、好ましくは14~20%のエネルギー密度で製造された破断可能ゾーンと、
他方で、前記プレートと破断可能構造を有する前記破断可能ゾーンとの間に多孔質構造を有する中間ゾーンと、を備えている、
付加製造方法。
【請求項11】
前記破断可能ゾーンの製造中のベクトル間の空間が、前記部品の製造中の前記ベクトル間の空間の300~500%である、
請求項10に記載の方法。
【請求項12】
多孔質の前記中間ゾーン(20)が、前記部品(100)の製造中の単位体積当たりのエネルギー密度の単位体積当たりのエネルギー密度の15%~60%、好ましくは22~50%の単位体積当たりのエネルギー密度で製造される、
請求項10または11に記載の方法。
【請求項13】
前記多孔質の中間ゾーンの製造中の前記ベクトル間の空間が、前記部品の製造中の前記ベクトル間の空間の130~190%である、
請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記アンカーゾーン(30)の製造中の単位体積当たりのエネルギー密度が、前記部品(100)の製造中に使用される単位体積当たりのエネルギー密度の90%~110%である、
請求項10~13の何れか1項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、付加製造の分野に関し、より詳細には、リターンを有する部品の付加製造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
既知の様態において、付加製造は、局所的に溶融される粉末の層の連続的な重ね合わせによって部品を製造することからなる。
【0003】
より具体的には、付加製造は、粉末材料(金属粉末、セラミック粉末、その他)の連続する層における選択されたゾーンを固化することによって、3次元物体を作成するものである。固化されたゾーンは、3次元物体の連続した断面に相当する。固化は、例えば、固化源(高出力レーザービーム、電子ビーム、その他)を用いて行われる全体的又は部分的な選択的溶融によって層ごとに行われる。
【0004】
この製造方法では、従来の方法(機械加工、金型加工)では製造が不可能な構造物を製造することが可能である。
【0005】
特に、付加製造では、テーパー及びアンダーカット、すなわち、反対の凸状の幾何学的形状を有する、成形により製造が不可能で機械加工によっては製造が極めて困難な部品を製造することが可能である。
【0006】
また、付加製造により、他の場合では製造できない格子構造を製造することが可能となる。
【0007】
加えて、この製造方法は、迅速で比較的安価であることが分かっているので、例えば、依然として複雑である高速機械加工に代わって、迅速なプロトタイピングの関連で使用することを可能にする。
【0008】
付加製造では、層を連続的に積み重ねることで部品を製造する。幾何形状の向きによっては、部品がその上で製造される支持体を製造することから始める必要がある場合もある。部品が、返り部分を含む、つまり部品の他の部分から張り出している部分を含む場合、この返り部分の下に支持体を設ける必要がある。しかしながら、支持体の製造は、時間がかかる作業である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
そのため、本発明の目的は、迅速且つ安価に製造することができる付加製造用支持体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
第1の態様によれば、本発明は、付加製造機械のプレート上に、付加製造によって製造されるスタックを備えた付加製造支持体であって、
一方で、製造中に付加製造によって製造されることを意図した部品を保持するのに適した構造を有する破断可能ゾーンと、
他方で、プレートと破断可能構造を有する破断可能ゾーンとの間に多孔質構造を有する中間ゾーンと、を有している支持体を提案している。
【0011】
破断可能ゾーンは、ラメラ構造を有することができる。
【0012】
中間ゾーンは、0.5~5%、好ましくは1~2%の気孔率を有することができる。
【0013】
支持体は更に、製造プレートに取り付けられるのに適したアンカーゾーンを備えることができる。アンカーゾーンは、多孔質中間ゾーン及び/又は破断可能ゾーンの密度よりも高い密度を有することができる。
【0014】
破断可能ゾーンは、支持体の全厚の15%未満の厚みを有することができる。
【0015】
中間ゾーンは、支持体の全厚の60%~95%の厚みを有することができる。
【0016】
アンカーゾーンは、支持体の全厚の30%以下の厚みを有することができる。
【0017】
第2の態様によれば、本発明は、固化源によって、粉末材料の連続する層上で選択されたゾーンの固化による部品の付加製造のための方法に関し、付加製造支持体が、付加製造機械のプレート上で、
一方で、付加製造によって製造されることを意図した部品を製造中に保持するのに適した構造を有する破断可能ゾーンと、
他方で、プレートと破断可能構造を有する破断可能ゾーンとの間に多孔質構造を有する中間ゾーンと、
を含むスタックの付加製造によって予め製造される。
【0018】
破断可能ゾーンは、部品の製造中に単位体積当たりのエネルギー密度の10%~25%、好ましくは14%~20%のエネルギー密度で製造されるラメラ構造を有するゾーンとすることができる。
【0019】
破断可能ゾーンの製造中のベクトル間の空間は、部品の製造中のベクトル間の空間の300~500%とすることができる。
【0020】
多孔質中間ゾーンは、部品の製造中の単位体積当たりのエネルギー密度の単位体積当たりのエネルギー密度の15%~60%、好ましくは22%~50%の単位体積当たりのエネルギー密度で製造することができる。
【0021】
多孔質中間ゾーンの製造中のベクトル間の空間は、部品の製造中のベクトル間の空間の130%~190%とすることができる。
【0022】
アンカーゾーンの製造中の単位体積当たりのエネルギー密度は、部品の製造中に使用される単位体積当たりのエネルギー密度の90%~110%とすることができる。
【0023】
本発明の更なる特徴、目的及び利点は、純粋に例示的且つ非限定的であり、添付図面と併せて読まれるべき以下の説明から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図2】第1の実施例による破断可能ゾーンの製造中の固化源の経路の概略図である。
【
図3】第2の実施例による破断可能ゾーンの製造中の固化源の経路を示す概略図である。
【
図4】第3の実施例による破断可能ゾーンの製造中の固化源の経路を示す概略図である。
【
図5】第4の実施例による破断可能ゾーンの製造中の固化源の経路を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
第1の態様によれば、本発明は、付加製造によって製造された複数のゾーンのスタックを備え、破断可能構造を有する少なくとも1つのゾーンと多孔質構造を有する少なくとも1つのゾーンとを有している付加製造支持体1に関する。典型的には、ここに提示された実施形態によれば、支持体1は、3つの異なる構造:破断可能ゾーン10、低エネルギー密度で製造された中間ゾーン20、及びアンカーゾーン30を備える。
【0026】
支持体1を構成するスタックは、付加製造機械プレートから始まる連続的な粉末床の堆積と、連続的に堆積された粉末材料上の選択されたゾーンの固化(焼結及び/又は溶融)とによる、付加製造によって製造される。
【0027】
スタック上では、(垂直)製造軸に沿って互いに連続する様々なゾーンは、上記軸に対して横方向に延びる材料の固化層であり、ゾーンごとに異なる構造を有している。
【0028】
ここに提示された実施形態によれば、支持体1は、付加製造機械のプレートから出発して連続的に、アンカーゾーン30、次に多孔質ゾーン20、次いで破断可能ゾーン10を備える。変形例として、支持体1は、付加製造機械のプレートから出発して、エネルギー密度の低い多孔質ゾーン20及び破断可能ゾーン10のみを備えることができる。
【0029】
破断可能ゾーン10
破断可能ゾーン10は、
一方で、粉末床堆積法による付加製造の方法に従ってその製造中に部品100を固定することを可能し、
他方で、部品100を支持体1及び付加製造機械のプレートから分離することを可能にする、
構造体を有する。
【0030】
有利な配置によれば、破断可能ゾーン10は、(巨視的な観点から)ラメラ構造を有する。
【0031】
ラメラ構造とは、互いに実質的に平行である複数のラメラから構成される構造を意味すると理解される。
【0032】
上記ゾーン10のラメラ構造は、通気性を有し、大きな比表面積を有する。また、ラメラの間にギャップを有し、これにより、ラメラ構造が低密度を有することが可能となる。すなわち、破断可能領域10は、発泡体に類似した構造、すなわち、硬質の質量体によって分離されたキャビティ(すなわち、気泡)を含む構造を有する。
【0033】
より具体的には、ラメラ構造は、互いに離間して配置された複数の固体部分を含む。言い換えれば、固体部分は、ラメラ構造の定義である。これらの固体部分は、溶融粉末の離散的な凝集塊に相当する。言い換えれば、破断可能ゾーンの製造中、付加製造機械の固化源は、(
図2~
図5に示すように)その経路に沿って粉末を不連続に溶融させることになる。従って、破断可能ゾーンは、一体部品で作られた多孔質部品とは対照的に、1つの同じブロックに属さない多数の固体部分を含む。
【0034】
特定の配置によれば、破断可能ゾーン10の固体部分は、多角形断面及び/又は曲線断面を有する。典型的には、固体部分は、三角形又は矩形、或いは円形のラメラとすることができる。更に、これらのラメラは、直線状又は波状とすることができる。
【0035】
破断可能ゾーン10の各固体部分は、破断可能ゾーン10の面積の10%未満、好ましくは1%~5%の面積を有することができる。このような配置により、製造時の部品の最適な保持と、部品の取り出し時の最適な破壊可能性を確保することが可能となる。
【0036】
特定の配置によれば、固体部分の面積の合計は、破断可能ゾーン10の面積の30%~75%とすることができる。
【0037】
ラメラ間のギャップは、アンカーゾーンである基準構造を製造するのに使用されるものと比較して、エネルギー源のビームの2つのスキャンの間のベクトル距離の300~500%の増加の結果である。この配置では、溶融/焼結浴の間の重なりを許容することができない。得られる結果は、例えば、独立したラメラの形態である。
【0038】
この配置により、破断可能ゾーン10は、製造中に発生する力に対して十分な耐性を有する構造を有すると同時に、部品100を手動で容易に分離することを可能にして、ひていは部品100と多孔ゾーン20との間の分離をより容易にすることを可能するその微細構造に関係した脆弱性を示すことができる。
【0039】
破断可能ゾーン10は、例えば、支持体1の全厚E1の15%未満の厚みE10を有する。好ましくは、厚みE10は、全厚E1の10%以下である。特に好ましくは、厚みE10は、全厚E1の5%~10%である。
【0040】
中間ゾーン20
ゾーン20は、付加製造機械のエネルギー源のビームの走査による溶融又は焼結の際に低い単位体積当たりのエネルギー密度を用いて製造される。
【0041】
この低減されたエネルギー密度の結果、ゾーン20の構造が多孔質である。
【0042】
この多孔質構造20は、製造に関連する力に耐えるのに十分な強度を可能にする。
【0043】
典型的には、ゾーン20は、その気孔率が0.5~5%、好ましくは1~2%である多孔質構造を有する。構造体の気孔率の割合は、空隙体積と多孔質構造の総体積との比率であることが想起される。
【0044】
特定の配置によれば、中間ゾーン20は、支持体1の全厚E1の60%~95%の厚みE20を有する。
【0045】
好ましくは、厚さE20は、支持体1の全厚さE1の70%~90%である。
【0046】
アンカーゾーン30
ここに提示された実施形態によれば、支持体1は、アンカーゾーン30を有する。これは有利な配置であり、他の実施形態によれば、支持体1は、破断可能ゾーン10及び中間ゾーン20のみを有することができる。
【0047】
アンカーゾーン30は、付加製造機械の製造プレートへの支持体1の良好な取り付けを確保することを意図している。
【0048】
好ましくは、アンカーゾーン30は、部品100を製造するのに使用されるものと実質的に同様の単位体積当たりのエネルギー密度で製造される。この配置により、アンカーゾーン30は、特に強くなり、付加製造機械のプレートに取り付けられることが可能となる。
【0049】
特定の配置によれば、アンカーゾーン30は、支持体1の全厚E1の30%未満の厚みE30を有する。好ましくは、厚さE30は、全厚さE1の20%以下である。
【0050】
製造方法
第2の態様によれば、本発明は、部品100の付加製造のための方法を提案する。
【0051】
付加製造とは、例えば、粉末の層が重ね合わされる粉末床堆積法による製造方法を意味すると理解される。製造される部品100の平面に応じて、粉末の各層が局所的に溶融される(従来の方法では、溶融は、電子ビーム又はレーザーによって行うことができる)。このようにして、部品100は、インクリメンテーション、すなわち様々な層の重ね合わせによって製造される。
【0052】
一般に認められた定義によれば、粉末床堆積法による付加製造は、粉末材料(金属粉末、セラミック粉末、その他)の連続する層における選択されたゾーンを固化することによって3次元物体を作成することからなる。固化されたゾーンは、3次元物体の連続した断面に相当する。固化は、例えば、固化源(高出力レーザービーム、電子ビーム、その他)を用いて行われる全体的又は部分的な選択的溶融によって層ごとに行われる。
【0053】
特に有利な配置によれば、本方法は、支持体1及び任意選択的に部品100の製造から始まる。
【0054】
支持体1のスタックゾーンは、アンカーゾーン30(適切な場合)、次に中間ゾーン20、及び破断可能ゾーン10の順序で製造される。
【0055】
特に有利な技術的配置によれば、固化ステップは、以下のように決定される単位体積当たりのエネルギー密度に対応するエネルギーの供給を含む。
【0056】
単位体積当たりのエネルギー密度(J.cm-3)=(電力(W))/(速度(cm.s-1)・ベクトル間の空間(cm)・層厚(cm))。
【0057】
ここで、速度は固化源の移動速度に対応し、ベクトル間の空間は固化源のビーム経路の2つのベクトル間の距離に対応する。
【0058】
単位体積当たりのエネルギー密度の変動により、付加製造により成形される材料の構造を変化させることが可能となることは注目に値する。
【0059】
換言すれば、単位体積当たりのエネルギー密度を変更することによって、特にベクトル距離を変更することによって、緻密な構造、多孔質構造又はラメラ構造を作成することが可能である。典型的には、限定ではないが、アンカーゾーンを製造するためのベクトル間の空間は、30~100μmである。多孔質構造を作成するために、このパラメータは、130~200%の間で増加させることができる。ラメラ構造を作成するために、この同じパラメータは、300~500%の間で増加させることができる。
【0060】
好ましくは、製造時間を節減する観点から、単位体積当たりのエネルギー密度は、ベクトル間の空間を変化させることによって変更される。具体的には、ベクトル間の空間のパラメータは、2つの連続する走査間の距離に対応し、部品100の生産持続時間を阻害することなく容易に増加させることができる。
【0061】
それにもかかわらず、他のパラメータ、すなわち固化源のパワー、固化源の移動速度、及び付加製造粉末の層厚を変更することによって、単位体積当たりのエネルギー密度を変化させることが可能である。
【0062】
特に有利な方法では、部品を製造するのに必要な単位体積当たりのエネルギー密度を基準として考えると、破断可能ゾーン10を製造するのに必要な単位体積当たりのエネルギー密度は、部品の製造に必要な単位体積当たりのエネルギー密度の10%~部品100の製造に必要な単位体積当たりのエネルギー密度の25%の間である。
【0063】
好ましくは、破断可能ゾーン10の製造に必要な単位体積当たりのエネルギー密度は、部品の製造に必要な単位体積当たりのエネルギー密度の14%~部品100の製造に必要な単位体積当たりのエネルギー密度の20%の間である。
【0064】
加えて、
図2~
図5に示すように、ラメラ構造を構成する固体部分を製造するために、固化源は間欠的にエネルギービームを放射する。従って、
図2~
図5を参照すると、ベクトル50は、固化源がビームを放射する(従って、粉末を溶融する)経路を表している。
図4は、直交方向に配向された交差ラメラのスタックを表している。従って、ベクトル50の経路は、平面図において交差している。
【0065】
有利な配置によれば、中間ゾーン20の製造に必要な単位体積当たりのエネルギー密度は、部品の製造に必要な単位体積当たりのエネルギー密度の15%~部品100の製造に必要な単位体積当たりのエネルギー密度の60%の間とすることができる。
【0066】
好ましくは、中間ゾーン20の製造に必要な単位体積当たりのエネルギー密度は、部品の製造に必要な単位体積当たりのエネルギー密度の22%~部品100の製造に必要な単位体積当たりのエネルギー密度の50%の間とすることができる。
【0067】
有利な配置によれば、アンカーゾーン30の製造に必要な単位体積当たりのエネルギー密度は、部品100の製造に必要な単位体積当たりのエネルギー密度と実質的に等しい(プラスマイナス10%の範囲内)。
【国際調査報告】