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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-12-01
(54)【発明の名称】磁場センサ
(51)【国際特許分類】
   G01R 33/07 20060101AFI20221124BHJP
   H01L 43/06 20060101ALI20221124BHJP
【FI】
G01R33/07
H01L43/06 S
H01L43/06 D
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022519484
(86)(22)【出願日】2020-07-16
(85)【翻訳文提出日】2022-05-26
(86)【国際出願番号】 GB2020051707
(87)【国際公開番号】W WO2021058932
(87)【国際公開日】2021-04-01
(31)【優先権主張番号】1913936.9
(32)【優先日】2019-09-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】500530340
【氏名又は名称】コベントリー ユニバーシティー
(74)【代理人】
【識別番号】100091443
【弁理士】
【氏名又は名称】西浦 ▲嗣▼晴
(74)【代理人】
【識別番号】100091649
【弁理士】
【氏名又は名称】初瀬 俊哉
(74)【代理人】
【識別番号】100130432
【弁理士】
【氏名又は名称】出山 匡
(72)【発明者】
【氏名】ファラマー,ソローシュ
(72)【発明者】
【氏名】アイジック,ピーター
【テーマコード(参考)】
2G017
5F092
【Fターム(参考)】
2G017AA01
2G017AB05
2G017AC04
2G017AD53
5F092AA08
5F092AB01
5F092AC02
5F092BA06
5F092BA07
5F092BA15
5F092BA21
5F092BA40
(57)【要約】
基板と半導体材料の複数の層を含む半導体デバイス。一次領域はそれに関連した一次コンタクトを有するように提供される。このデバイスは、それに関連した第1の二次コンタクトおよび第2の二次コンタクトを有する二次領域を含む。一次領域と二次領域の間に導電性領域が設けられている。補助コンタクトは、電流源に動作可能に結合され、温度に依存して半導体デバイスを通る電流の流れを制御する。
【選択図】 図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体デバイスであって、基板と、半導体材料の複数の層と、それに関連した一次コンタクトを有する一次領域と、それに関連した第1の二次コンタクトおよび第2の二次コンタクトを有する二次領域と、前記一次領域と前記二次領域の間の導電性領域と、前記半導体デバイスを通る電流の流れを制御するために電流源に動作可能に接続された補助コンタクトとを有し、前記電流源は、その動作が温度に依存するように構成されていることを特徴とする半導体デバイス。
【請求項2】
請求項1に記載の半導体デバイスであって、前記電流源が、前記一次コンタクトと前記第1の二次コンタクトおよび第2の二次コンタクトおよび/または前記補助コンタクトとの間で前記半導体デバイスを通る電流の流れを制御するために、前記補助コンタクトに動作可能に接続されていることを特徴とする半導体デバイス。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の半導体デバイスであって、前記電流源が、前記半導体デバイスの動作範囲内および/または前記半導体デバイスによって監視される電子部品の動作範囲内のすべての温度において、前記電流を実質的に一定の値に維持するように構成されることを特徴とする半導体デバイス。
【請求項4】
先行する請求項のいずれか一項に記載の半導体デバイスであって、前記一次コンタクトが、前記半導体デバイスの幅に対して実質的に中央に配置されていることを特徴とする半導体デバイス。
【請求項5】
先行する請求項のいずれか一項に記載の半導体デバイスであって、前記第1の二次コンタクトおよび第2の二次コンタクトが、前記半導体デバイス内で空間的に分離されていることを特徴とする半導体デバイス。
【請求項6】
請求項5に記載の半導体デバイスであって、前記第1の二次コンタクトおよび第2の二次コンタクトが、前記半導体デバイスの長さに沿って配列されていることを特徴とする半導体デバイス。
【請求項7】
請求項5または請求項6に記載の半導体デバイスであって、前記第1の二次コンタクトおよび第2の二次コンタクトが、前記半導体デバイスの対向する複数の端部に配置されることを特徴とする半導体デバイス。
【請求項8】
先行する請求項のいずれか一項に記載の半導体デバイスであって、前記第1の二次コンタクトおよび第2の二次コンタクトが、複数のドレイン電極を含み、前記使用中の前記2つのドレイン電極間の電流分布がは、前記半導体デバイスに印加された磁場を示すことを特徴とする半導体デバイス。
【請求項9】
請求項8に記載の半導体デバイスであって、前記第1の二次コンタクトおよび第2の二次コンタクト間の前記電流分布を測定するための手段を含むか、またはその手段に動作可能に接続されていることを特徴とする半導体デバイス。
【請求項10】
請求項7に記載の半導体デバイスであって、前記第1の二次コンタクトおよび第2の二次コンタクト間の前記デバイス間電圧を測定するための手段を含むか、またはその手段に動作可能に接続され、前記電圧が、前記半導体デバイスに印加される前記磁場を示すことを特徴とする半導体デバイス。
【請求項11】
先行する請求項のいずれか一項に記載の半導体デバイスであって、前記補助コンタクトが、前記第1の二次コンタクトおよび第2の二次コンタクトの間のギャップに設けられていることを特徴とする半導体デバイス。
【請求項12】
請求項1乃至10のいずれか一項に記載の半導体デバイスであって、前記第1の二次コンタクトおよび第2の二次コンタクトが、前記半導体デバイスの長さに沿った第1の点に設けられるとともに、前記補助コンタクトが前記半導体デバイスの長さに沿った第2の点に設けられていることを特徴とする半導体デバイス。
【請求項13】
先行する請求項のいずれか一項に記載の半導体デバイスであって、前記半導体の幅は、その長さに沿って実質的に一定であることを特徴とする半導体デバイス。
【請求項14】
請求項1乃至12のいずれか一項に記載の半導体デバイスであって、前記半導体の幅が、その長さに沿って変化することを特徴とする半導体デバイス。
【請求項15】
先行する請求項のいずれか一項に記載の半導体デバイスであって、ゲートコンタクトを含むことを特徴とする半導体デバイス。
【請求項16】
先行する請求項のいずれか一項に記載の半導体デバイスであって、前記半導体材料の複数の層が、ワイドバンドギャップ半導体材料を含むことを特徴とする半導体デバイス。
【請求項17】
請求項16に記載の半導体デバイスであって、前記ワイドバンドギャップ半導体材料が、アルミニウムガリウムヒ素(AlGaAs)およびガリウムヒ素(GaAs)、窒化アルミニウムガリウム(AlGaN)および窒化ガリウム(GaN)、 窒化アルミニウムガリウム(AlGaN)および窒化アルミニウムガリウム(AlGaN)、 酸化亜鉛(ZnO)およびガリウム酸化亜鉛(GaZnO)、窒化インジウムアルミニウム(InAlN)および窒化ガリウム(GaN)のうちのいずれか1つまたは複数を含むことを特徴とする半導体デバイス。
【請求項18】
先行する請求項のいずれか一項に記載の半導体デバイスであって、前記電流源が、電圧制御電流源(VCCS)または電流制御電流源(CCCS)を含むことを特徴とする半導体デバイス。
【請求項19】
先行する請求項のいずれか一項に記載の半導体デバイスであって、前記電流源が、温度センサに動作可能に接続されていることを特徴とする半導体デバイス。
【請求項20】
前記半導体デバイスに動作可能に接続された制御ユニットによって制御可能であることを特徴とする先行する請求項のいずれか一項に記載の半導体デバイス。
【請求項21】
先行する請求項のいずれか一項に記載の半導体デバイスを含むか、またはそうでなければ前記半導体デバイスに関連した電子部品であって、前記半導体デバイスが、使用中の前記電子部品によって生成される磁場の測定値を取得することによって、前記電子部品の動作を監視するように構成されていることを特徴とする電子部品。
【請求項22】
本発明の先行する態様の前記半導体デバイスを使用して電子部品の動作を監視する方法であって、該方法は、
前記半導体デバイス内の電荷キャリアの偏向の測定値を取得し、
前記半導体デバイス内の前記電荷キャリアの偏向の測定値に依存して磁場強度を決定し、
決定された前記磁場強度に依存して前記電子部品の動作状態を決定し、
前記半導体デバイスの感度を制御するために前記デバイスを流れる電流を制御するために、温度に依存して前記電流源の動作を制御することをさらに含むことを特徴とする電子部品の動作を監視する方法。
【請求項23】
請求項22に記載の方法であって、前記半導体デバイス内の前記電荷キャリアの偏向の測定値の取得では、
前記第1の二次コンタクトおよび第2の二次コンタクトの間の電流分布を決定するか、
または前記第1二次コンタクトおよび第2の二次コンタクトの間の電圧を決定することを特徴とする電子部品の動作を監視する方法。
【請求項24】
請求項22または請求項23に記載の方法であって、前記半導体デバイスの動作温度を監視し、前記半導体デバイスの動作温度に依存して前記電流源の動作を制御することを特徴とする電子部品の動作を監視する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の磁場センサとして使用される複数の半導体デバイスに関する。特に、本発明は、使用時に磁場強度の測定値を取得するように、動作可能な複数の磁気感受性(ホール効果)半導体デバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
複数の磁気センサは、航空宇宙や自動車を含む、さまざまな分野で使用されている。典型的には、複数の磁場センサは、例えば、敏感なデバイスを流れる電流が許容レベルを超えないことを確実にするために、電流および/または磁場強度の両方を測定するように動作可能であってよい。そのような複数の装置は、例えば、複数の回転部品の周波数(および速度)を監視するために使用されている。磁気に敏感な複数の電界効果トランジスタ(MagFETs)はそのような複数のセンサの例である。
【0003】
MagFETsは、通常空間的に分離された2つのドレイン出力を備えた半導体デバイスで構成される。使用中、デバイス内を移動する電荷キャリアは、印加された磁場の影響下で偏向される。したがって、2つのドレイン出力間の電流分布のばらつきを測定することによって、例えば、2つのドレイン出力間の電流または電圧の差を検出すれば、印加された磁場の測定を行うことができる。
【0004】
近年、磁気に敏感なセンサ技術の開発の多くが、このタイプの複数のセンサの性能の大幅な向上を実現させた。具体的には、シリコン(Si)から窒化ガリウム(GaN)ベースの複数のセンサ(複数の磁気感受性高電子移動度トランジスタ(MagFETs))に移行することで、複数の磁場強度の範囲にわたって同等の温度でのSiベースの3%の相対感度と比較して約14%の値が達成されたように、相対感度が向上した。より高い温度範囲で、例えば、複数のSiセンサの最大動作温度範囲(~120℃)を超える温度では、複数のGaNセンサは、大幅に低い温度範囲での複数のSiセンサの性能に匹敵する相対感度を持つことが示されている。例えば、170℃でのGaNセンサの相対感度は約3%であることが示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、監視対象デバイスに関連する電流/磁界強度の正確な複数の測定値を提供するために、温度によるこのような複数のセンサの感度の低下が考慮されなければならない。通常、そのためには、温度による特定の複数のセンサの感度特性の正確なモデリングが必要である。高い温度範囲での感度の低下が、そのような特性を正確にモデル化することを困難にし、使用中にセンサの精度が低下する可能性がある。
【0006】
したがって、実質的に一定の感度である温度範囲にわたって動作可能なセンサを提供することは有利であろう。
【0007】
先行技術に関連する1以上の問題を克服するか、または少なくとも部分的に軽減することが、本発明の1以上の実施形態の目的である。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一態様によれば、基板と、半導体材料の複数の層と、それに関連した一次コンタクトを有する一次領域と、それに関連した第1の二次コンタクトおよび第2の二次コンタクトを有する二次領域と、一次領域と二次領域の間の導電性領域と、半導体デバイスを通る電流の流れを制御するために電流源に動作可能に接続された補助コンタクトと、を有し、電流源は、その動作が温度に依存するように構成されている半導体デバイスが提供される。
【0009】
有利なことに、半導体デバイスを通る電流の流れは、温度に依存して制御されてよい。半導体デバイスが、例えば磁場センサのようにセンサとして動作可能な場合、センサの感度は電流源を介して制御されるであろう。このように、温度、例えば周囲温度または動作温度の変化は、センサの感度の変動を最小限に抑えるか、理想的には変化させないことが可能である。
【0010】
電流源は、例えば、一次コンタクトと第1の二次コンタクトおよび第2の二次コンタクトおよび/または補助コンタクトとの間で、半導体デバイスを通る電流の流れを制御するために補助コンタクトに動作可能に接続される。例えば、電流源は、デバイスを通る電流の流れを「増強」または「阻止」するように構成されてよく、そうでなければ、温度によって増加または減少するように構成されてもよい。電流源は、すべての温度範囲で、または少なくとも半導体デバイスの動作範囲内および/または半導体デバイスによって監視される電子部品の動作範囲内のすべての温度範囲において、電流を実質的に一定の値に維持するように構成されてよい。温度に依存して電流源を制御することにより、半導体デバイスの感度をある温度範囲に対して比較的一定に維持していてよい。
【0011】
一次コンタクトは、複数の実施形態において、ソース電極を含んでいてよい。そのような複数の実施形態では、半導体デバイスの一次領域は、ソース領域を含んでいてよい。
【0012】
いくつかの実施形態では、一次コンタクトは、実質的に半導体デバイスの幅全体にまたがっていてよい。他の複数の実施形態では、一次コンタクトは、半導体デバイスの幅の一部のみにまたがっていてよい。一次コンタクトは、半導体デバイスの幅に対して実質的に中央に配置してよい。一次コンタクトは、半導体デバイスのエッジに配置してもよい。
【0013】
第1の二次コンタクトおよび第2の二次コンタクトは、半導体デバイス内で空間的に分離されてよい。第1の二次コンタクトおよび第2の二次コンタクトは、半導体デバイスの長さに沿って配列されてよい。複数の実施形態では、第1の二次コンタクトおよび第2の二次コンタクトは、半導体デバイスの対向する端部に配置されてよい。
【0014】
複数の実施形態では、第1の二次コンタクトおよび第2の二次コンタクトは、複数のドレイン電極を含んでいてよい。そのような複数の実施形態では、半導体デバイスの二次領域は、ドレイン領域を含んでいてよい。
【0015】
複数の実施形態における第1の二次コンタクトおよび第2の二次コンタクトは、複数のドレイン電極を含み、2つのドレイン電極間の電流分布は、半導体デバイスに印加された磁場を示してよい。したがって、そのような複数の実施形態における半導体デバイスは、第1の二次コンタクトおよび第2の二次コンタクトの間の電流分布を測定するための手段を含むか、またはその手段に動作可能に接続されていてよい。このようにして、半導体デバイスは、それに印加される磁場の強さを測定するための磁場センサとして動作可能であり得る。
【0016】
複数の実施形態における第1の二次コンタクトおよび第2の二次コンタクトは、半導体デバイスの対向する端部に配置されていて、半導体デバイスは、第1の二次コンタクトおよび第2の二次コンタクトの間のデバイス間の電圧を測定するための手段を含むか、またはその手段に動作可能に接続され、電圧は、半導体デバイスに印加される磁場を示す。具体的には、デバイス内の電荷キャリアの分布は、デバイスに印加される磁場の強さに依存して変化し、それによって、第1の二次コンタクトおよび第2の二次コンタクトを介して測定され得るデバイス全体の電位差を生じさせる。
【0017】
補助コンタクトは、第1の二次コンタクトおよび第2の二次コンタクトの間のギャップに設けられていてよい。代替の複数の実施形態では、補助コンタクトは、第1の二次コンタクトおよび第2の二次コンタクトから離れていてよい。例えば、いくつかの実施形態では、半導体デバイスの長さに沿った第2の点に設けられた補助コンタクトと共に、第1の二次コンタクトおよび第2の二次コンタクトは、半導体デバイスの長さに沿った第1の点に設けられている。
【0018】
複数の実施形態では、導電性領域は、高い電荷キャリア密度を含んでいてよい。
【0019】
半導体の幅は、その長さに沿って実質的に一定であってよく、他の複数の実施形態では、半導体の幅は、その長さに沿って変化してもよい。理解されるように言えば、半導体デバイスの感度は、デバイス自体の形状に依存し得るということである。したがって、半導体の幅は、半導体デバイスの感度をさらに制御するために、その長さに沿って変化させてよいことになる。
【0020】
複数の実施形態では、半導体デバイスは、ゲートコンタクトを含んでいてよい。理解されるように言えば、ゲートコンタクトは、導電性領域内の電荷キャリアの移動度を制御するために導電性領域全体に配置されていてよい。ゲートコンタクトは、一次コンタクトと第1の二次コンタクトおよび第2の二次コンタクトとの間に配置されていてよい。
【0021】
半導体材料の複数の層が、ワイドバンドギャップ半導体材料を含んでいてよい。ワイドバンドギャップ半導体材料が、アルミニウムガリウムヒ素(AlGaAs)およびガリウムヒ素(GaAs)、窒化アルミニウムガリウム(AlGaN)および窒化ガリウム(GaN)、窒化アルミニウムガリウム(AlGaN)および窒化アルミニウムガリウム(AlGaN)、酸化亜鉛(ZnO)およびガリウム酸化亜鉛(GaZnO)、窒化インジウムアルミニウム(InAlN)および窒化ガリウム(GaN)のうちのいずれか1以上を含んでいてよい。これらの複数の材料の組合せは、シリコン(Si)、炭化ケイ素(SiC)、GaN、ガラス、ダイヤモンド、サファイアなど、これらに限定されることのないさまざまな基板上に堆積(または成長)させることができる。
【0022】
複数の実施形態では、半導体材料の複数の層は、半導体材料の複数の層の2つのそれぞれの層の間に2次元の電荷キャリア(例えば、電子または正孔)層を含んでいる。
【0023】
複数の実施形態では、電流源は、依存した電流源を含んでいてよい。例えば、いくつかの実施形態では、電流源は、電圧制御電流源(VCCS)を含んでいてよい。他の複数の実施形態では、電流源は、電流制御電流源(CCCS)を含んでいてよい。
【0024】
複数の実施形態では、電流源は、温度センサに動作可能に接続されていてよい。温度センサは、周囲温度を監視するように動作可能であってよい。温度センサは、半導体デバイスの動作温度を監視するように動作可能であってよい。温度センサは、例えば、使用中の半導体デバイスによって監視される電子部品のように、半導体デバイスに関連する電子部品の動作温度を監視するように動作可能であってよい。
【0025】
半導体デバイスは、半導体デバイスに動作可能に接続された制御ユニットによって、制御可能であってよい。複数の実施形態では、制御ユニットは、1以上の命令に従って半導体デバイスの動作を制御するための1以上の命令を実行するように構成された1以上のプロセッサ(例えば、複数の電子プロセッサ)を含んでいてよい。1以上の命令は、例えば、コントロールユニットによってアクセス可能なローカルまたはリモートメモリ手段のように、制御ユニットに関連付けられたメモリ手段に格納されていてよい。
【0026】
いくつかの実施形態では、制御ユニットは、電流源の動作を制御するための1以上の命令を実行するように構成されていてよい。
【0027】
制御ユニットは、1以上の信号を受信するための1以上の入力(例えば、電気入力)を含んでいてよい。1以上の信号は、複数の実施形態において、制御ユニットに動作可能に接続された温度センサによって監視される温度を示していてよい。制御ユニットは、1以上の制御信号を出力するための1以上の出力(例えば、電気出力)を含んでいてよい。1以上の制御信号は、複数の実施形態において、例えば、温度センサによって監視される温度に応じて電流源の動作を制御するための複数の命令のような、電流源の動作を制御するための複数の命令を含んでいてよい。
【0028】
本発明の一態様によれば、電子部品は、本発明の任意の先行する態様による半導体デバイスを含むか、またはそうでなければ半導体デバイスに関連した電子部品であって、半導体デバイスは、使用中の電子部品によって生成される磁場の測定値を取得することによって、電子部品の動作を監視するように構成されている。
【0029】
電子部品は、ガルバニック電流監視技術を介して電源スイッチの出力電流を監視するように動作可能な統合センサを含む半導体デバイスと共に、電源スイッチを含んでいてよい。あるいは、電子部品は、例えば、電気機械ドライバ、またはバッテリー充電器を含むことができ、半導体デバイスは、電流測定のための個別のセンサとして使用されることが可能である。さらなる複数の実施形態では、電子部品は、高温または極低温の範囲での開ループまたは閉ループの複数の電力変換器を含んでいてよい。
【0030】
本発明の別の態様によれば、本発明の任意の先行する態様の半導体デバイスを使用して、電子部品の動作を監視するための方法であって、この方法は、半導体デバイス内の電荷キャリアの偏向の測定値を取得し、半導体デバイス内の電荷キャリアの偏向の測定値に依存して磁場強度を決定し、そして決定された磁場強度に依存して電子部品の動作状態を決定するものであって、この方法は、半導体デバイスの感度を制御するためにデバイスを通る電流の流れを制御するために、温度に依存して電流源の動作を制御することをさらに含む。
【0031】
複数の実施形態では、半導体デバイス内の電荷キャリアの偏向の測定値を取得することは、第1の二次コンタクトおよび第2の二次コンタクトの間の電流分布を決定することを含む。他の複数の実施形態では、半導体デバイス内の電荷キャリアの偏向の測定値を取得することは、第1の二次コンタクトおよび第2の二次コンタクトの間の電圧を決定することを含む。
【0032】
この方法は、周囲温度を監視することと周囲温度に依存して電流源の動作を制御することを含んでいてよい。この方法は、半導体デバイスの動作温度を監視することと半導体デバイスの動作温度に依存して電流源の動作を制御することを含んでいてよい。この方法は、電子部品の動作温度を監視することと電子部品の動作温度に依存して電流源の動作を制御することを含んでいてよい。
発明の詳細な説明
本発明をより明確に理解するために、その1以上の実施形態を、単に一例として、添付の複数の図面を参照して説明する。
【図面の簡単な説明】
【0033】
図1】従来技術の半導体デバイスの斜視図である。
図2図1の半導体デバイスの温度範囲にわたって、第1のドレインコンタクトおよび第2のドレインコンタクトの間の電流の不均衡が磁場によってどのように変化するかを示すグラフである。
図3図1の半導体デバイスの相対感度Sが、ある温度範囲で磁場によってどのように変化するかを示すグラフである。
図4図1の半導体デバイスの相対感度Sが、温度によってどのように変化するかを示すグラフである。
図5】本発明の半導体デバイスの一実施形態の斜視図である。
図6】本発明の半導体デバイスのさらなる実施形態の斜視図である。
図7図7Aおよび図7Bは、その動作状態を描いた図5の半導体デバイスの概略図である。
図8図7Aおよび図7Bに示される半導体デバイスの変形状態の概略図である。
図9図7Aおよび図7Bに示される半導体デバイスのさらなる変形状態の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
概略として、本発明は、基板112、212、312、412、および半導体材料の複数の層113、213、313、413を含む半導体デバイス110、210、310、410に関する。一次コンタクトCと第1の二次コンタクトおよび第2の二次コンタクトC1、C2は、補助コンタクトAとともに配置される。使用中、補助コンタクトAは、温度センサ122、322、422によって測定されるだろう温度に依存して、順次制御可能である半導体デバイス110、210、310、410を通る電流の流れを制御するための電流源120、320、420に動作可能に接続されている。
【0035】
有利なことに、半導体デバイス110、210、310、410を通る電流の流れは、温度に依存して制御されるだろう。半導体デバイス110、210、310、410は、例えば、磁場センサのように、センサとして動作可能であり、センサ110、210、310、410の感度は、電流源120、320、420を介して制御されるだろう。このように、例えば、周囲温度または動作温度のような温度の変化は、センサ110、210、310、410の感度の変動を最小限に抑えるか、理想的には変化させないように、考慮されることが可能である。
【0036】
図1は、従来技術の半導体デバイス10を示している。デバイス10は、基板12と、半導体材料の複数の層13a、13b、13cとを含む。図示された実施形態では、複数の半導体材料は、GaNおよびAlGaNを含む。本明細書で説明されるように、そのような複数の材料から形成された複数のデバイスは、シリコンベースの複数のデバイスよりも著しく高い範囲の相対感度値となることが示されている。
【0037】
一次コンタクトCおよび第1の二次コンタクトおよび第2の二次コンタクトC1、C2は、絶縁層15を介してデバイス10の残りの部分から電気的に絶縁されたゲートコンタクトGとともに設置される。層13c内の一次領域14-例えばソース領域-は、一次コンタクトCに関連付けられている。層13c内の二次領域16-例えばドレイン領域-は、二次コンタクトC1、C2に関連付けられている。導電性領域18は、一次領域14と二次領域16との間に設けられている。
【0038】
使用中、二次コンタクトC1と二次コンタクトC2との間の電流分布は、磁場Bが存在することを示している。Bの場が存在しない場合、デバイス10を通る電流は、二次コンタクトC1と二次コンタクトC2との間で均等に分割される。しかしながら、磁場Bの存在下では、デバイス10内の複数の電荷キャリアは、それらの運動の方向に垂直であり、かつBの場の方向に垂直であるローレンツ力を発揮する。ローレンツ力は、Bの場の強さに比例する。加えられたローレンツ力の下でのデバイス10内の複数の電荷キャリアのこの再分配は、二次コンタクトC1、C2の間の電流分配を調整し、それにより、存在するBの場を示す測定可能な量をもたらす。具体的には、第1の二次コンタクトC1での出力電流と第2の二次コンタクトC2での出力電流との間の電流不均衡ΔIは、以下の式1に従って、存在する磁場強度を示す。
【0039】
【数1】
さらに、半導体デバイス10の相対感度Sは、以下のように定義されることが可能である。
【0040】
【数2】
図2は、第1および第2のドレインコンタクトの間の電流不均衡ΔIが、磁場によってどのように変化するか、および図1の半導体デバイス10における温度範囲でどのように変化するかを示している。示されているように、電流の不均衡ΔIは、磁場とともに実質的に線形に変化している。しかしながら、温度範囲が上昇すると、磁場によってΔIが変化する速度(rate)が低下することが示されている。デバイス10の相対感度に対するこの影響を図3および図4に示す。
【0041】
具体的には、図3および図4は、半導体デバイス10の相対感度Sが、ある範囲の温度にわたって、磁場によってどのように変化するかを示している。図3に示されるように、任意の温度に対して、相対感度Sは、磁場に対してほぼ一定である。しかしながら、温度範囲が上昇すると、デバイス10の相対感度は低下する。300K、すなわちほぼ室温では、GaNベースのデバイス10の相対感度は約10%であるものの、高温範囲になると、例えば、450Kでは、デバイス10の相対感度は、より低温範囲でのシリコンベースのデバイスに匹敵する約3.75%まで低下する。
【0042】
温度範囲の上昇に伴う電子移動度の相対的な低下が、デバイスのドレイン電流と相互コンダクタンスの相応の低下の主な要因、すなわち相対的な感度である可能性が高いことがわかる。
【0043】
本明細書で説明しているように、温度を伴うそのような複数のデバイスの感度の低下は、監視される電子部品に関連する磁場強度の正確な測定を提供するために、考慮されなければならない。通常、これには、温度による特定のデバイスの感度特性の正確なモデリングが必要になる。高温で感度が低下すると、そのような特性を正確にモデル化することが困難になり、使用中のデバイスの精度が低下する可能性がある。
【0044】
図5図9は、この問題を軽減しようとする本発明による複数の半導体デバイス110、210、310、410の複数の実施形態を示している。
【0045】
半導体デバイス110の第1の実施形態は、図5図7Aおよび図7Bに示されている。デバイス110は、先行する複数の図に示されているデバイス10と構造が類似しており、基板112と半導体材料の複数の層113a、113bとを含んでいる。図示された実施形態では、複数の半導体材料は、GaNおよびAlGaNを含むが、他の複数の材料も同様に適用可能であってよい。
【0046】
一次コンタクトCおよび二次コンタクトC1および二次コンタクトC2が、絶縁層115を介してデバイス110の残りの部分から絶縁されたゲートコンタクトGとともに提供される。層113b内の一次領域114-例えばソース領域-は、一次コンタクトCに関連付けられている。層113b内の二次領域116-例えばドレイン領域-は、二次コンタクトC1、C2に関連付けられている。導電性領域118は、一次領域114と二次領域116との間に設けられている。
【0047】
半導体デバイス10と同様に、使用時には、二次コンタクトC1とC2との間の電流分布は、磁場Bが存在することを示している。具体的には、第1の二次コンタクトC1での出力電流と第2の二次コンタクトC2での出力電流との間の電流不均衡ΔIは、式1に従って存在する磁場強度を示している。
【0048】
これは、図7Aおよび図7Bに比喩的に示されている。特に、図7Aは、磁場Bが存在しない半導体デバイス110を示している。ここで、電流不均衡ΔIは0であり、第1の二次コンタクトおよび第2の二次コンタクトC1、C2の両方からの出力電流は等しくなる。場Bの適用時、例えば、電子部品に関連する動作中に、ここではデバイス110に垂直な方向に示されているが、デバイス110内の複数の電荷キャリアの分布は、上記説明のように、ローレンツ力の影響下で変化する。これにより、存在する磁場の強さに比例した電流の不均衡ΔI>0が発生する。これは図7Bに示され、IC2>IC1となる。この電流不均衡電流不均衡ΔIを測定することにより、磁場の強さが決定されることが可能である。
【0049】
ここに示された半導体デバイス110は、補助コンタクトAの存在においてデバイス10とは異なる。この実施形態に示されるように、補助コンタクトAは、第1の二次コンタクトおよび第2の二次コンタクトC1、C2の間に設けられる。使用中、および図7Aおよび図7Bに示されるように、補助コンタクトAは、半導体デバイス110を通る電流の流れを制御するために電流源120に動作可能に接続されている。さらに、電流源120の動作は、電流源120に動作可能に接続された温度センサ122によって測定された温度に依存して制御可能である。
【0050】
具体的には、電流源120は、一次コンタクトCと第1の二次コンタクトC1および第2の二次コンタクトC2との間の半導体デバイス110を通る電流の流れを制御するために補助コンタクトAに動作可能に接続される。このようにして、半導体デバイス110は、電流源120の動作が、デバイス110を通る電流の流れを「増強」または「反対」するように制御されてよく、そうでなければ、温度によって増減するかもしれない。このようにして、デバイス110を通る電流の流れは、すべての温度範囲で、または少なくとも半導体デバイス110の動作範囲および/または半導体デバイス110によって監視されている電子部品の動作範囲のすべての温度範囲で、実質的に一定の値に維持されてよい。このようにして、半導体デバイス110の感度は、ある範囲の温度に対して比較的一定に保たれてよい。
【0051】
電流源120の動作は、電流源120と温度センサ122の両方に動作可能に接続されている制御ユニット124を介して制御される。制御ユニット124は、1以上の命令に従って、電流源120の動作を制御するための1以上の命令を実行するように構成された電子プロセッサ(図示せず)を含む。理解を深めるために、1以上の命令は、制御ユニット124に関連付けられたメモリ手段、例えば、制御ユニット124によってアクセス可能であるローカルまたはリモートメモリ手段に、格納されていてよい。
【0052】
制御ユニット124は、電気的な出力を介して電流源120に、および電気的な入力を介して温度センサ122に動作可能に接続されている。1以上の信号が、温度センサ122によって監視される温度を示す電気的な入力として受信されてよい。同様に、制御ユニット124は、温度センサ122によって監視される温度に依存して、電流源120の動作を制御するための電気的な出力を介して制御信号を出力するように構成されてよい。
【0053】
図6図8、および図9は、本発明による複数の半導体デバイス210、310、410のさらなる複数の実施形態を示している。
【0054】
これらの複数の図に示される複数のデバイス210、310、410は、図5図7Aおよび図7Bに示されるデバイス110と実質的に類似しており、同様の参照番号が同様の複数の構成要素を表示するために使用されている。
【0055】
複数のデバイス210、310、410のそれぞれにおいて、第1の二次コンタクトC1および第2の二次コンタクトC2は、デバイス210、310、410を通る電流の流れに関して、補助コンタクトAの「前方」に配置されている。具体的には、第1の二次コンタクトC1および第2の二次コンタクトC2は、デバイス210、310、410の長さに沿った第1の点に配置され、一方、補助コンタクトAは、デバイス210、310、410の長さに沿った第2の点に配置される。
【0056】
図6に示される半導体デバイス210は、図5に示されるデバイス110と同様に、実質的に長方形の構成を含む。しかしながら、二次コンタクトC1およびC2は、装置210の長さに沿って補助コンタクトAから変位している。
【0057】
図8および図9に示される複数の半導体デバイス310、410は、それぞれ、いくらか不規則な(すなわち、非長方形の)複数の構成を含む。理解されるように言えば、半導体デバイスの感度は、デバイスの形状がデバイス内の複数の電荷キャリアの分布に及ぼす影響に起因するデバイスの形状を含む、いくつかの変数に比例する。したがって、半導体デバイスの感度は、その形状の適切な構成によってさらに変更することができる。
【0058】
図8に示される半導体デバイス310もまた、実質的に長方形の構成である。しかしながら、デバイス310の一次領域314および二次領域316の少なくとも一部は、デバイス310の残りの部分よりも小さい幅を有していてもよい。ここで、二次コンタクトC1、C2は、二次コンタクトC1、C2の分離を維持するために幅がより広いデバイス310の長さに沿った点に配置される。この特定の配置は、特に一次(例えば、ソース)領域314のサイズを縮小するが、二次コンタクトC1、C2の分離を維持することによって、さらにデバイス310を介して電荷キャリアに最適なまたは少なくとも改善された電流経路を提供することによって、デバイス310の感度を高められるかもしれない。
【0059】
図9に示される半導体デバイス410は、実質的に三角形の構成になっている。デバイス410は、図8に示されるデバイス310と比較した場合に、幅がさらに縮小された一次領域414を含む。二次コンタクトC1、C2は、二次コンタクトC1、C2の分離を維持/最大化するために、デバイス410の長さに沿った最も幅の広い点に設けられている。この特定の配置は、特に一次(例えば、ソース)領域414のサイズをさらに小さくすることによって、しかし再び二次コンタクトC1、C2の分離を維持することによって、さらに最適なまたは少なくとも改善されたデバイス410を通る電荷キャリアのための電流経路を提供することによって、デバイス410の感度を高めるかもしれない。
【0060】
複数のデバイス210、310、410は、上述のデバイス110と実質的に同じ方法で動作可能であるが、これらの図に示される構成は、二次コンタクトC1およびC2が、電流分布ではなく、磁場Bの存在下では、デバイス210、310、410の両端の電圧を測定するために使用される場合に、特に有用であるかもしれない。これは、デバイス210、310、410内の電荷キャリアの分布が、やはりローレンツ力のために、デバイス210、310、410に印加される磁場の強さに依存して変化するという事実を利用している。デバイス210、310、410内の電荷キャリアのこの再分配は、デバイス210、310、410にわたって電位差を生じさせ、これは、第1の二次コンタクトC1および第2の二次コンタクトC2を介して測定されるであろう。例えば、二次コンタクトC1、C2は、半導体デバイスに印加される磁場に比例して測定される電圧と共に、第1および第2の二次コンタクトC1、C2の間のデバイスの両端の電圧を測定するための手段に動作可能に接続されてよい。
【0061】
ここでは複数のセンサ110、210、310、410が、ゲートで制御されるように示されてきたが、すなわち、ゲートコンタクトGを介して、センサ110、210、310、410は、等しくゲートで制御されていないかもしれない。
【0062】
1以上の実施形態は、例としてのみ上述の通りに記載されている。添付の複数の請求項によって提供される保護の観点から逸脱することなく、多くの変形が可能である。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7A
図7B
図8
図9
【国際調査報告】