(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-12-01
(54)【発明の名称】有機化合物におけるまたは関連する改善
(51)【国際特許分類】
A23L 27/20 20160101AFI20221124BHJP
C07C 233/40 20060101ALI20221124BHJP
C07C 233/78 20060101ALI20221124BHJP
C07C 233/22 20060101ALI20221124BHJP
C07C 233/20 20060101ALI20221124BHJP
【FI】
A23L27/20 F
C07C233/40 CSP
C07C233/78
C07C233/22
C07C233/20
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022519666
(86)(22)【出願日】2020-09-29
(85)【翻訳文提出日】2022-05-27
(86)【国際出願番号】 EP2020077221
(87)【国際公開番号】W WO2021063942
(87)【国際公開日】2021-04-08
(32)【優先日】2019-09-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2020-09-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】501105842
【氏名又は名称】ジボダン エス エー
(74)【代理人】
【識別番号】100102842
【氏名又は名称】葛和 清司
(72)【発明者】
【氏名】フッラー,スティーブン,マイケル
(72)【発明者】
【氏名】デ クレルク,アドリ
(72)【発明者】
【氏名】カオゥアス,アブデルマジッド
(72)【発明者】
【氏名】スレック,ジェイ,パトリック
(72)【発明者】
【氏名】ヴィンクル,コルネリス
【テーマコード(参考)】
4B047
4H006
【Fターム(参考)】
4B047LB08
4B047LE01
4B047LF01
4B047LF02
4B047LF03
4B047LF04
4B047LF05
4B047LF06
4B047LF07
4B047LF08
4B047LF09
4B047LF10
4B047LG14
4H006AA01
4H006AA03
4H006AB10
4H006BJ50
4H006BV34
4H006BV53
(57)【要約】
式(I)に従う化合物、X、Y=-NH-または-O-を有し、ここで、少なくともXまたはYは-NH-である、その立体異性体のいずれか1つの形態の化合物またはその混合物の使用であって、式中、は、炭素-炭素単結合または二重結合を示し、1つの炭素-炭素二重結合はC2またはC3のいずれかに存在し、波状結合は、隣接する二重結合の不特定の配置を示す、うま味味物質としての前記使用。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)
【化1】
【化2】
およびX、Y=-NH-または-O-を有し、ここで、少なくともXまたはYは-NH-である、に従う1以上の化合物、その立体異性体のいずれか1つの形態の化合物またはその混合物の使用であって、式中、
【化3】
は、炭素-炭素単結合または二重結合を示し、1つの炭素-炭素二重結合はC2またはC3のいずれかに存在し、
波状結合は、隣接する二重結合の不特定の配置を示す、
消費可能組成物のうま味感を付与、増強、改善または改変するための成分としての前記使用。
【請求項2】
式(I)に従う1以上の化合物が、式(II)
【化4】
【化5】
を有する、その立体異性体のいずれか1つの形態のものまたはその混合物、式中、波状結合は、隣接する二重結合の不特定の配置を示す、によってさらに定義される、消費可能組成物のうま味感を付与、増強、改善または改変するための成分としての請求項1に記載の使用。
【請求項3】
1以上の化合物が、(E)-N-(4-シンナムアミドブチル)-2-メチルブタ-2-エンアミド、(E)-N-(4-((E)-3-(4-メトキシフェニル)アクリルアミド)ブチル)-2-メチルブタ-2-エンアミド、(E)-4-メトキシ-N-(4-(2-メチルブタ-2-エンアミド)ブチル)ベンズアミド、4-シンナムアミドブチル(E)-2-メチルブタ-2-エノアート、4-シンナムアミドブチル2-メチルブタ-3-エノアートおよび4-((E)-2-メチルブタ-2-エンアミド)ブチルシンナマートからなる群から選択される、請求項1に記載の使用。
【請求項4】
(i)1以上の請求項1に記載の式(I)に従う化合物、および
(ii)1以上のさらなるフレーバー成分
を含む、うま味フレーバー組成物。
【請求項5】
1以上の式(I)に従う化合物が、(E)-N-(4-シンナムアミドブチル)-2-メチルブタ-2-エンアミド、(E)-N-(4-((E)-3-(4-メトキシフェニル)アクリルアミド)ブチル)-2-メチルブタ-2-エンアミド、(E)-4-メトキシ-N-(4-(2-メチルブタ-2-エンアミド)ブチル)ベンズアミド、4-シンナムアミドブチル(E)-2-メチルブタ-2-エノアート、4-シンナムアミドブチル2-メチルブタ-3-エノアートおよび4-((E)-2-メチルブタ-2-エンアミド)ブチルシンナマートからなる群から選択される、請求項4に記載のうま味フレーバー組成物。
【請求項6】
(i)少なくとも1つの請求項1に定義された式(I)に従う化合物、または請求項4または5に定義されたうま味フレーバー組成物;および
(ii)製品ベース
を含む、消費可能組成物。
【請求項7】
式(I)
【化6】
【化7】
およびX、Y=-NH-または-O-を有し、ここで、少なくともXまたはYは-NH-である、に従う1以上の化合物、その立体異性体のいずれか1つの形態の化合物またはその混合物、式中、
【化8】
は、炭素-炭素単結合または二重結合を示し、ただし、点線の一方は二重結合を示し、他方は単結合を示し、
波状結合は、隣接する二重結合の不特定の配置を示す、
を消費可能組成物に添加するステップを含む、うま味感を有する消費可能組成物を提供する方法。
【請求項8】
式(I)
【化9】
【化10】
およびX、Y=-NH-または-O-を有し、ここで、少なくともXまたはYは-NH-である、に従う化合物、その立体異性体のいずれか1つの形態の化合物またはその混合物、式中、
【化11】
は、炭素-炭素単結合または二重結合を示し、1つの炭素-炭素二重結合はC2またはC3のいずれかに存在し、
波状結合は、隣接する二重結合の不特定の配置を示す、ただし、前記化合物は(E)-N-(4-シンナムアミドブチル)-2-メチルブタ-2-エンアミドではない。
【請求項9】
(E)-N-(4-((E)-3-(4-メトキシフェニル)アクリルアミド)ブチル)-2-メチルブタ-2-エンアミド、(E)-4-メトキシ-N-(4-(2-メチルブタ-2-エンアミド)ブチル)ベンズアミド、4-シンナムアミドブチル(E)-2-メチルブタ-2-エノアート、4-シンナムアミドブチル2-メチルブタ-3-エノアートおよび4-((E)-2-メチルブタ-2-エンアミド)ブチルシンナマートからなる群から選択される、請求項9に記載の化合物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、うま味フレーバーおよびそれを作る方法に向けられている。それは、うま味感および風味フレーバーを提供する化合物、ならびに組成物および消費可能製品におけるそれらの使用に関連する。
【背景技術】
【0002】
うま味は、一般的にアジア料理に関するフレーバー感覚である。それは、風味または肉質として記載されており、だし汁および調理済みの肉の特徴である。さらにまた、改善されたうま味感は、減塩製品をより美味しくするのに役立つ。うま味フレーバーは、伝統的にグルタミン酸ナトリウム(MSG)の食品への添加によって達成されてきた。しかしながら、いくらかの消費者は、グルタミン酸塩、とりわけMSGによって悪影響を受けると考えており、その結果として、消費可能製品のうま味感および風味フレーバーを改変するために、かかる化合物への依存を置き換えるかまたは減らすグルタミン酸塩に基づかない化合物が依然として必要である。
【0003】
天然源からのケイ皮酸誘導体および芳香族アミンのアミドは、US2012308703A1、WO2013000673A1またはWO2014083202A1で天然または天然と同一のうま味味物質として報告されている。かかるアミドおよびさらなる物質を含むフレーバー組成物は、WO2014095564A1に開示されている。三叉神経効果を生成し得る特定のクラスのシンナミドは、最近公開されたWO2019063069A1の対象である。
【発明の概要】
【0004】
驚くべきことに、今、あるプトレシンビスアミドおよびアミドエステル類似体、すなわち、例えば、一方にケイ皮酸、ケイ皮酸誘導体、または4-メトキシ安息香酸の部分、および他方にチグリン酸((2E)-2-メチルブタ-2-エン酸)を有する、プトレシン(ブタン-1,4-ジアミン)および4-アミノブタン-1-オールのものがうま味味物質として使用できることが見出された。
【0005】
そのため、本発明の第1の側面において、消費可能組成物のうま味感を付与、増強、改善、または改変するための成分として、あるプトレシンビスアミドおよびアミドエステル類似体の使用が提供される。
さらに、フレーバー成分およびあるプトレシンビスアミドまたはアミドエステル類似体を含むフレーバー組成物が提供される。
さらに、うま味フレーバーを有する消費可能組成物が提供され、前記うま味フレーバーは、あるプトレシンビスアミドまたはアミドエステル類似体の存在によって少なくとも部分的に提供される。
【0006】
本発明のさらなる側面において、新規なプトレシンビスアミドおよびアミドエステル類似体が提供される。
本発明の第1の側面において、式(I)
【化1】
【化2】
およびX、Y=-NH-または-O-を有し、ここで、少なくともXまたはYは‐NH‐である、に従う1以上の化合物、その立体異性体のいずれか1つの形態の化合物またはその混合物の使用であって、式中、
【化3】
は、炭素-炭素単結合または二重結合を示し、1つの炭素-炭素二重結合はC2またはC3のいずれかに存在し、
波状結合は、隣接する二重結合の不特定の配置を示す、
消費可能組成物のうま味感を付与、増強、改善または改変するための成分としての前記使用が提供される。
【0007】
本発明の一態様において、式(II)
【化4】
【化5】
を有する、に従う1以上の化合物、その立体異性体のいずれか1つの形態の化合物またはその混合物の使用であって、式中、波状結合は、隣接する二重結合の不特定の配置を示す、消費可能組成物のうま味感を付与、増強、改善または改変するための成分としての前記使用が提供される。
【0008】
式(II)に従う化合物はビスアミドであり、式(I)、式中、XおよびYは-NH-であり、およびここで1つの炭素-炭素二重結合はC2に存在する、に従う化合物に相当する。
【0009】
本発明のさらなる態様において、上に定義されるとおりの式(I)に従う化合物の使用が提供され、ここで化合物は、(E)-N-(4-シンナムアミドブチル)-2-メチルブタ-2-エンアミド、(E)-N-(4-((E)-3-(4-メトキシフェニル)アクリルアミド)ブチル)-2-メチルブタ-2-エンアミド、(E)-4-メトキシ-N-(4-(2-メチルブタ-2-エンアミド)ブチル)ベンズアミド、4-シンナムアミドブチル(E)-2-メチルブタ-2-エノアート、4-シンナムアミドブチル2-メチルブタ-3-エノアートおよび4-((E)-2-メチルブタ-2-エンアミド)ブチルシンナマートからなる群から選択される。
【0010】
本発明のさらなる態様において、上に定義されるとおりの式(I)による化合物の混合物の使用が提供される。より具体的には、4-シンナムアミドブチル(E)-2-メチルブタ-2-エノアートおよび4-シンナムアミドブチル2-メチルブタ-3-エノアートの比率1:2の混合物の使用が提供される。
【0011】
本発明のさらなる態様において、上に定義されるとおりの式(II)に従う化合物の使用が提供され、ここで化合物は、(E)-N-(4-シンナムアミドブチル)-2-メチルブタ-2-エンアミド、(E)-N-(4-((E)-3-(4-メトキシフェニル)アクリルアミド)ブチル)-2-メチルブタ-2-エンアミドおよび(E)-4-メトキシ-N-(4-(2-メチルブタ-2-エンアミド)ブチル)ベンズアミドからなる群から選択される。
【0012】
さらに、式(I)に従うまたは式(II)に従う1以上の化合物および1以上のさらなるフレーバー成分を含むうま味フレーバー組成物が提供される。
式(I)に従うまたは式(II)に従う化合物は、消費可能組成物中の唯一のフレーバー成分として単独で、またはさらなるフレーバー成分と組み合わせて使用して、消費可能組成物にすぐに添加できるフレーバー組成物を提供し得る。さらなるフレーバー成分は、他のうま味味物質および/またはうま味感もしくはフレーバーエンハンサーを含有してもよく、MSGを包含する。式(I)に従うまたは式(II)に従う化合物の使用は、MSGレベルの相当な低減を可能にし、いくつかのケースにおいて、MSGの完全な排除を可能にする。
【0013】
前記他のうま味味物質および/または前記うま味感もしくはフレーバーエンハンサーは、これらに限定されないが、以下を包含する:L-Glu(グルタミン酸、グルタマート、例えば、グルタミン酸ナトリウム、グルタミン酸カリウム、グルタミン酸アンモニウム、グルタミン酸カルシウム、グルタミン酸マグネシウムなどのその塩の形態)、L-Asp(L-アスパラギン、またはその塩)、5’-リボヌクレオチドまたはそれらの塩、限定せずに、5’-リボヌクレオチドカルシウム、5’-リボヌクレオチド二ナトリウム、および5’-リボヌクレオチド二カリウムを包含し(例として、イノシン酸、グアニル酸、アデノシン酸、イノシン酸塩、グアニル酸塩、およびアデニル酸塩であって、以下、グアノシン5’-一リン酸、イノシン5’-一リン酸、および5’-アデニル酸ならびにそれらの塩、たとえばグアニル酸二ナトリウム、イノシン酸二ナトリウム、アデニル酸二ナトリウム、グアニル酸二カリウム、イノシン酸二カリウム、アデニル酸二カリウム、グアニル酸カルシウム、イノシン酸カルシウム、アデニル酸カルシウムなどを包含する)、マルトール、エチルマルトール、グリシン、L-ロイシン、自己分解または加水分解タンパク質(例として、自己分解酵母、加水分解酵母、加水分解植物性タンパク質)、Koji-Aji(発酵小麦グルテンとマルトデキストリンを有するヌクレオチドリッチ酵母抽出物、またAjinomoto Food Ingredients, LLC.によって生産されるグルタミン酸塩も含有する)、および上記の1以上を含有する天然製剤または抽出物、例えば、野菜(キノコ、椎茸、大豆、トマト、ジャガイモ、ホエイ、ケルプ/海藻を包含する)の抽出物、ピューレまたは濃縮物、シリアル、肉、魚(例として、貝、マサゴ)、新鮮なまたは発酵した、関係のある成分に由来したもの、部分的または完全に加水分解された形態(例として、様々な加水分解タンパク質)の牛乳、チーズ、および卵黄。
【0014】
前記他のうま味味物質および/または前記うま味感もしくは風味フレーバーエンハンサーの具体的な例は、英国特許出願第0913804号および国際出願PCT/EP2010/059916に記載の化合物を包含する。うま味フレーバーを付与および増強する化合物の他の非限定例は、EP 1642886、WO 2005/015158、EP 1312268、WO 2003/088768、EP1291342およびWO2006/003107に記載のものを包含し、これらのすべてが参照により本明細書に組み込まれる。
【0015】
他のうま味味物質および/またはうま味感もしくは風味フレーバーエンハンサーの他に、式(I)に従うまたは式(II)に従う化合物と組み合わせて使用されてフレーバー組成物を提供し得る他のさらなるフレーバー成分は、天然フレーバー、人工フレーバー、香辛料、香味料など、合成フレーバーオイルおよびフレーバーアロマおよび/またはオイル、オレオレジン、エッセンス、蒸留物、および植物、葉、花、果物およびその他に由来する抽出物から選択され得る。一般に、National Academy of Sciencesによる、Chemicals Used in Food Processing、刊行1274、63-258頁に記載されているものなどの任意のフレーバーまたは食品添加剤を使用することができる。この刊行物は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0016】
式(I)に従うまたは式(II)に従う化合物は、消費可能組成物に直接用いられるか、または、それはフレーバー組成物、とりわけうま味フレーバー組成物の一部を形成してもよく、続いて、消費可能組成物と混合される。具体的な態様において、式(I)に従うまたは式(II)に従う化合物は、フレーバー組成物に基づき、約0.001~100重量%、または0.01~10重量%、より好ましくは0.1~10重量%、さらにより好ましくは0.5~5重量%の量で用いられ得る。
【0017】
式(I)に従うまたは式(II)に従う化合物は、フレーバー組成物において従来使用される1以上の成分または賦形剤、例えば、当技術分野において一般に使用される担体材料および他の助剤と併せて、フレーバー組成物にさらに使用することができる。フレーバー組成物に好適な賦形剤は当技術分野において周知であり、例えば、限定されずに、溶媒(水、アルコール、エタノール、油、脂肪、植物油、およびミグリオールを包含する)、結合剤、希釈剤、崩壊剤、潤滑剤、フレーバー剤、着色剤、防腐剤、抗酸化剤、乳化剤、安定剤、フレーバー-エンハンサー、固化防止剤等を包含する。
【0018】
フレーバー組成物のためのかかる担体または希釈剤の例は、例えば、“Perfume and Flavour Materials of Natural Origin”, S. Arctander, Ed., Elizabeth, N.J., 1960; “Perfume and Flavour Chemicals”, S. Arctander, Ed., Vol. I & II, Allured Publishing Corporation, Carol Stream, USA, 1994; in “Flavourings”, E. Ziegler and H. Ziegler (ed.), Wiley-VCH Weinheim, 1998,および“CTFA Cosmetic Ingredient Handbook”, J.M. Nikitakis (ed.), 1st ed., The Cosmetic, Toiletry and Fragrance Association, Inc., Washington, 1988に見出され得る。
フレーバー組成物の他の好適なおよび所望される成分は、“Handbook of Industrial Chemical Additives”, ed. M. and I. Ash, 2nd Ed., (Synapse 2000)などの標準的なテキストに記載されている。
【0019】
さらに、うま味フレーバーを有する消費可能組成物が提供され、前記うま味フレーバーは、その中の式(I)に従うまたは式(II)に従う化合物の存在によって少なくとも部分的に提供される。
式(I)に従うまたは式(II)に従う少なくとも1つの化合物を含む消費可能組成物、あるいは式(I)に従うまたは式(II)に従う1以上の化合物;および製品ベースを含むうま味フレーバー組成物がさらに提供される。
【0020】
消費可能組成物に使用される式(I)に従うまたは式(II)に従う化合物の割合は、使用の性質および所望される効果に依存するであろう。例えば、MSGの部分的な置き換えに必要な割合は、当然、完全なMSGの置き換えよりも低くなる。割合は、広い限界間、典型的には消費可能組成物の重量で0.01ppm~10000ppmの間、より具体的には0.1ppm~1000ppmの間、さらにより具体的には1ppm~500ppmの間または5~50ppmの間で変化し得る。しかしながら、これらは有用な割合の一般的な指標にすぎず、熟練したフレーバーリストは特定の効果のためにこれらの範囲外の割合を使用し得る。
【0021】
「消費可能組成物」は、最終的な吐き出しまたは摂取のために口に取り込まれる任意の組成物を意味する。組成物は、任意の物理的形態、固体、液体または気体であり得る。非限定例は、すべての食品製品、食品添加剤、栄養補助食品、医薬品、および(これらに限定されないが)、チューインガム、オーラルケア製品、および口腔衛生製品を包含する口に入れられる任意の製品を包含し、これらに限定されないが以下を包含する、シリアル製品、米製品、タピオカ製品、サゴ製品、製パン用製品(baker’s product)、ビスケット製品、ペストリー製品、パン製品、菓子製品、デザート製品、ガム、チューインガム、フレーバーまたはフレーバーコーティングされた食品/飲料容器、酵母製品、ベーキング-パウダー、塩およびスパイス製品、スナック食品、セイボリー製品、マスタード製品、ビネガー製品、ソース(調味料)、スープ、調味料、すぐに食べられる食事、グレイビー、ナッツ&ナッツ製品、加工食品、野菜製品、肉および肉製品、卵製品、牛乳および乳製品、ヨーグルト、チーズ製品、バターおよびバター代替製品、牛乳代替製品、大豆製品、食用油脂製品、飲料、炭酸飲料、ビール、ワインおよびスピリッツなどのアルコール飲料、ソフトドリンクなどのノンアルコール飲料、または再構成を必要とする形態を包含する他のフレーバー物品であって、限定せずに、飲料粉末、ミルクベースの飲料粉末、無糖飲料粉末、飲料シロップ、飲料濃縮物、コーヒーおよび紅茶、食品抽出物、植物抽出物、肉抽出物、調味料、ゼラチン、医薬品および非医薬品のガム、錠剤、ロゼンジ、ドロップ、エマルジョン、エリキシル、シロップおよび他の飲料作成用製剤、およびそれらの組み合わせ。
【0022】
とりわけ、式(I)に従うまたは式(II)に従う化合物は、数ある中でも、スナック、スープ、ブイヨン、ソース、肉/タンパク質およびすぐに食べられる食事を包含する、風味用途からなる群から選択される消費可能組成物に好適である。
「製品ベース」は、特定の消費可能組成物に必要とされるすべての通常の当技術分野で認められた成分の組み合わせを意味する。
【0023】
本発明のさらなる側面において、式(I)に従うまたは式(II)に従う1以上の化合物を消費可能組成物に添加するステップを含む、うま味感を有する消費可能組成物を提供する方法が提供される。
【0024】
本発明のさらなる態様において、式(I)
【化6】
【化7】
およびX、Y=-NH-または-O-を有し、ここで、少なくともXまたはYは‐NH‐である、に従う化合物、その立体異性体のいずれか1つの形態の化合物またはその混合物、式中、
【化8】
は、炭素-炭素単結合または二重結合を示し、1つの炭素-炭素二重結合はC2またはC3のいずれかに存在し、
波状結合は、隣接する二重結合の不特定の配置を示す、ただし、前記化合物は(E)-N-(4-シンナムアミドブチル)-2-メチルブタ-2-エンアミドではない、
が提供される。
【0025】
Aglaia gracilisの抽出物において、新しいクラスのプトレシンビスアミドが見出された(Inada et al., Phytochemistry 53, 2000, 1091‐1095)。それらのうちの2つは、(E)-N-(4-シンナムアミドブチル)-2-メチルブタ-2-エンアミドを包含するシンナムアミドとして同定されている。それらの合成は報告されている(Deterbeck et al., Tetrahedron, 58 (2002) 6887‐6893)。
【0026】
とりわけ、式(I)に従う化合物は、(E)-N-(4-((E)-3-(4-メトキシフェニル)アクリルアミド)ブチル)-2-メチルブタ-2-エンアミド、(E)-4-メトキシ-N-(4-(2-メチルブタ-2-エンアミド)ブチル)ベンズアミド、4-シンナムアミドブチル(E)-2-メチルブタ-2-エノアート、4-シンナムアミドブチル2-メチルブタ-3-エノアートおよび4-((E)-2-メチルブタ-2-エンアミド)ブチルシンナマートからなる群から選択される。
【0027】
式(I)に従うまたは式(II)に従う化合物は、簡単な合成手順および当業者に知られている容易に入手可能な出発材料を使用して得ることができる。具体的な反応条件は、例においてさらに記載されている。
本発明は、具体的な態様を表す以下の非限定例によってさらに記載される。
【0028】
例:
例1:(E)-N-(4-シンナムアミドブチル)-2-メチルブタ-2-エンアミド(Ia)の合成
【化9】
【0029】
1a)tert-ブチル(4-シンナムアミドブチル)カルバマート(1):
ジクロロメタン(50ml)中の塩化シンナモイル(4.21g、25.3mmol)の溶液を、氷浴で冷却されたジクロロメタン(200ml)中のカルバミン酸tert-ブチル(4-アミノブチル)(5g、26.6mmol)およびトリエチルアミン(3.07g、30.4mmol)の溶液に滴加した。室温で2時間撹拌後、反応混合物を、1MHCl(2×100ml)、飽和NaHCO3(100ml)およびH2O(100ml)で連続して洗浄した。有機相をMgSO4で乾燥し、濾過し、濃縮した。得られた固体をMTBE/ペンタンで洗浄し、次いで40℃で真空オーブンで乾燥させた。7.5g(93%)のtert-ブチル(4-シンナムアミドブチル)カルバマート(1)が白色粉末として生じた。
NMR分析による純度は>95%である。
1H NMR (600 MHz, DMSO-d6) δ = 1.15 - 1.58 (m, 13 H), 2.82 - 3.00 (m, 2 H), 3.08 - 3.23 (m, 2 H), 6.55 - 6.70 (m, 1 H), 6.77 - 6.92 (m, 1 H), 7.29 - 7.47 (m, 4 H), 7.49 - 7.66 (m, 2 H), 8.03 - 8.32 (m, 1 H) ppm.
13C NMR (151 MHz, DMSO-d6) δ = 26.74, 27.26, 28.44, 38.61, 39.65, 77.52, 122.48, 127.63, 129.10, 129.54, 135.11, 138.55, 155.77, 164.96 ppm.
【0030】
1b)N-(4-アミノブチル)シンナムアミド(2):
TFA(4.84ml、62.8mmol)を、ジクロロメタン(100ml)中のtert-ブチル(4-シンナムアミドブチル)カルバマート(1)(2g、6.28mmol)の溶液に添加した。室温で2時間撹拌後、揮発性物質を50℃で減圧(20mbarまで)で除去した。中間体N-(4-アミノブチル)シンナムアミド(2、N-(4-アミノブチル)-3-フェニル-プロパ-2-エンアミド)が、粘性の黄色の油として得られ、これをさらに精製することなく次のステップ1c)で使用する。
【0031】
1c)(E)-N-(4-シンナムアミドブチル)-2-メチルブタ-2-エンアミド(Ia):
中間体N-(4-アミノブチル)シンナムアミド(2)をジクロロメタン中に溶解した。得られた溶液に、室温で撹拌しながらトリエチルアミン(5.25ml、37.7mmol)を添加した。次いで、ジクロロメタン(10ml)中の(E)-2-メチルブタ-2-エノイルクロリド(1.043g、8.79mmol)の溶液を滴加した。撹拌を2時間続け、次いで溶液を室温で終夜放置した。翌日、溶液をジクロロメタン(100ml)で希釈し、次いで希塩酸溶液(2×100ml)および飽和炭酸カリウム溶液(2×100ml)で連続して洗浄した。有機層を分離し、MgSO4で乾燥し、濾過し、濃縮した。得られた固体を50℃/20mbarで真空オーブンで乾燥させた。
1.5g(78%)の(E)-N-(4-シンナムアミドブチル)-2-メチルブタ-2-エンアミド(Ia)が白色固体として得られた。
NMR分析による純度は約98%である。
1H NMR (600 MHz, DMSO-d6) δ = 1.33 - 1.51 (m, 4 H), 1.44 (s, 1 H), 1.45 (s, 1 H), 1.62 - 1.77 (m, 6 H), 1.68 (s, 1 H), 1.72 (s, 1 H), 2.96 - 3.25 (m, 4 H), 3.10 (s, 1 H), 3.17 (s, 1 H), 6.13 - 6.38 (m, 1 H), 6.29 (s, 1 H), 6.50 - 6.71 (m, 1 H), 6.61 (s, 1 H), 7.22 - 7.47 (m, 1 H), 7.34 - 7.43 (m, 2 H), 7.41 (s, 1 H), 7.50 - 7.64 (m, 2 H), 7.55 (s, 1 H), 7.69 - 7.80 (m, 1 H), 7.75 (s, 1 H), 8.01 - 8.36 (m, 1 H), 8.12 (s, 1 H) ppm.
13C NMR (151 MHz, DMSO-d6) δ = 12.41, 13.63, 26.73, 26.79, 38.50, 38.57, 122.34, 127.48, 128.84, 128.96, 129.40, 132.05, 134.97, 138.41, 164.81, 168.31 ppm.
【0032】
例2:(E)-N-(4-((E)-3-(4-メトキシフェニル)アクリルアミド)ブチル)-2-メチルブタ-2-エンアミド(Ib)の合成
【化10】
【0033】
2a)tert-ブチル(E)-(4-(2-メチルブタ-2-エンアミド)ブチル)カルバマート(3、N-Boc-N’-チグリル-プトレシン):
(E)-2-メチルブタ-2-エノイルクロリド(3.19g、26.9mmol)を、氷浴で冷却したジクロロメタン(200ml)中のtert-ブチル(4-アミノブチル)カルバマート(4.6g、24.43mmol)およびトリエチルアミン(5g、49.4ミリモル)の溶液に滴加した。得られた溶液を室温で2時間撹拌し、次いで1MHCl(2×100ml)、飽和NaHCO3(100ml)およびH2O(100ml)で連続して洗浄した。有機物をMgSO4で乾燥し、濾過し、濃縮した。固体をペンタンで洗浄し、次いで40℃で真空オーブンで乾燥させた。
6.1g(92%)のtert-ブチル(E)-(4-(2-メチルブタ-2-エンアミド)ブチル)カルバマート(3)がオフホワイトの固体としてもたらされた。
NMR分析による純度は>95%である。
【0034】
2b)(E)-N-(4-アミノブチル)-2-メチルブタ-2-エンアミド:
TFA(8.55ml、111mmol)を、ジクロロメタン(50ml)中のtert-ブチル(E)-(4-(2-メチルブタ-2-エンアミド)ブチル)カルバマート(3)(3g、11.10mmol)の溶液に滴加し、無色の溶液を得た。室温で1時間撹拌後、溶液を減圧下(20mbarまで)、50℃で濃縮した。中間体(E)-N-(4-アミノブチル)-2-メチルブタ-2-エンアミド(4)が粘性の黄色の油として得られ、これをさらに精製することなく次のステップ2cで使用する。
【0035】
2c)((E)-N-(4-((E)-3-(4-メトキシフェニル)アクリルアミド)ブチル)-2-メチルブタ-2-エンアミド(Ib):
中間体(E)-N-(4-アミノブチル)-2-メチルブタ-2-エンアミド(4)をジクロロメタン(150ml)に溶解した。得られた溶液に、室温で撹拌しながらトリエチルアミン(13.47g、133mmol)を添加した。次いで、ジクロロメタン(20ml)中の((E)-3-(4-メトキシフェニル)アクリロイルクロリド(2.62g、13.31mmol)の溶液を滴加した。撹拌を2時間続け、次いで溶液を室温で終夜放置した。翌日、溶液をジクロロメタン(100ml)で希釈し、1MHCl(3×150ml)、飽和NaHCO3(2×150ml)およびH2O(150ml)で連続して洗浄した。有機層をMgSO4で乾燥し、濾過し、濃縮し、NMR分析による約80%の純度を有する3.3gのオフホワイトの固体を得た。
DCM/酢酸エチルを使用したシリカゲルカラムによる精製、それに続くエタノールからの再結晶は、1.5g(41%)の(E)-N-(4-((E)-3-(4-メトキシフェニル)アクリルアミド)ブチル)-2-メチルブタ-2-エンアミド(Ib)を白色固体としてもたらした。
NMR分析による純度は>98%である。
1H NMR (600 MHz, DMSO-d6) δ = 1.35 - 1.50 (m, 4 H), 1.43 (s, 1 H), 1.44 (s, 1 H), 1.60 - 1.77 (m, 6 H), 1.67 (s, 1 H), 1.72 (s, 1 H), 3.00 - 3.21 (m, 4 H), 3.10 (s, 1 H), 3.15 (s, 1 H), 3.70 - 3.85 (m, 3 H), 3.78 (s, 1 H), 6.17 - 6.36 (m, 1 H), 6.27 (s, 1 H), 6.41 - 6.56 (m, 1 H), 6.96 (d, J=8.95 Hz, 2 H), 7.21 - 7.43 (m, 1 H), 7.43 - 7.56 (m, 2 H), 7.48 (s, 1 H), 7.60 - 7.82 (m, 1 H), 7.74 (s, 1 H), 7.89 - 8.17 (m, 1 H), 8.01 (s, 1 H) ppm.
13C NMR (151 MHz, DMSO-d6) δ = 12.41, 13.63, 26.79, 38.46, 38.59, 55.26, 114.38, 119.85, 127.52, 129.03, 132.05, 138.11, 160.25, 165.12, 168.32 ppm.
【0036】
例3:(E)-4-メトキシ-N-(4-(2-メチルブタ-2-エンアミド)ブチル)ベンズアミド(1c)の合成
【化11】
【0037】
3a)例2のステップ2b)から得られた中間体(E)-N-(4-アミノブチル)-2-メチルブタ-2-エンアミド(4)をジクロロメタン(150ml)に溶解した。結果として生じた溶液に、トリメチルアミン(4.04g、39.9mmol)を室温で撹拌しながら添加した。次いで、ジクロロメタン(20ml)中の4-メトキシベンゾイルクロリド(0.7g、4.10mmol)の溶液を滴加した。撹拌を2時間続け、次いで溶液を室温で終夜放置した。翌日、溶液をジクロロメタン(100ml)で希釈し、1MHCl(2×150ml)、飽和NaHCO3(2×150ml)およびH2O(150ml)で連続して洗浄した。有機層をMgSO4で乾燥し、濾過し、濃縮してわずかに黄色の固体を得て、これを酢酸エチルから再結晶し、エーテルで洗浄し、50℃で真空オーブンで乾燥させた。0.8g(79%)の(E)-4-メトキシ-N-(4-(2-メチルブタ-2-エンアミド)ブチル)ベンズアミド(Ic)が白色粉末として生じた。
NMR分析による純度は>95%である。
1H NMR (600 MHz, DMSO-d6) δ = 1.29-1.54 (m, 4 H), 1.61-1.74 (m, 6 H), 3.03- 3.16 (m, 2 H), 3.18-3.28 (m, 2 H), 3.73-3.86 (m, 3 H), 5.82-6.50 (m, 1 H), 6.79-7.08 (m, 2 H), 7.59-7.92 (m, 3 H), 8.21-8.43 (m, 1 H) ppm.
13C NMR (151 MHz, DMSO-d6) δ = 12.55, 13.76, 26.96, 38.50, 38.77, 55.47, 113.55, 127.02, 128.97, 129.07, 132.18, 161.53, 165.68, 168.42 ppm.
【0038】
例4:4-シンナムアミドブチル(E)-2-メチルブタ-2-エノアート(Id)と4-シンナムアミドブチル2-メチルブタ-3-エノアート(Ie)との混合物(1:2)の合成
【化12】
【0039】
4a)N-(4-ヒドロキシブチル)シンナムアミド(5)
250mLの丸底フラスコ中に、ジクロロメタン(100ml)中の4-アミノブタン-1-オール(3.21g、36.0mmol)およびトリエチルアミン(9.20ml、66.0mmol)を提供した。氷/水浴で冷却しながら、10mLのジクロロメタン中の塩化シンナモイル(5g、30.0mmol)を滴加した。冷却浴を除去し、室温で2時間撹拌を続けた。反応混合物をジクロロメタンで希釈し、希塩酸溶液で洗浄した。有機層を分離し、飽和炭酸水素ナトリウム溶液およびブラインで洗浄した。有機層を乾燥および蒸発させて、4.5g(67%)のN-(4-ヒドロキシブチル)シンナムアミド(5)が油として生じた。
NMR分析による純度は>95%である。
1H NMR (600 MHz, DMSO-d6) δ = 1.35-1.55 (m, 4 H), 3.09-3.25 (m, 2 H), 3.36- 3.58 (m, 2 H), 4.43 (t, 1 H), 6.61-6.64 (d, 1 H), 7.32-7.43 (m, 4 H), 7.54-7.56 (d, 2 H), 8.11 (br t, 1 H) ppm.
13C NMR (151 MHz, DMSO-d6) δ = 25.89, 30.00, 38.63, 60.45, 122.38, 127.49, 128.97, 129.40, 134.99, 138.40, 164.81 ppm.
【0040】
4b)4-シンナムアミドブチル(E)-2-メチルブタ-2-エノアート(Id)および4-シンナムアミドブチル2-メチルブタ-3-エノアート(Ie)
N-(4-ヒドロキシブチル)シンナムアミド(5)(1g、4.56mmol)をジクロロメタン(25ml)に溶解した。トリエチルアミン(1.271ml、9.12mmol)を撹拌しながら添加した。次いで、(E)-2-メチルブタ-2-エノイルクロリド(0.595g、5.02mmol)を撹拌しながら滴加した。発熱反応を還流し始めた。室温で3時間撹拌を続けた。反応混合物をエーテルで希釈し、希塩酸溶液で洗浄した。有機層を分離し、飽和炭酸水素ナトリウム溶液で洗浄し、乾燥し、濃縮した。残留物をフラッシュカラムクロマトグラフィーにより精製した。溶離液ジクロロメタン/メタノール、0~3%メタノール。
0.7gの生成物IdおよびIe(51%)が1:2の比率で得られた。
1H NMR (600 MHz, DMSO-d6) δ = 1.16 - 1.20 (m, 3 H), 1.45 - 1.56 (m, 3 H), 1.57 - 1.67 (m, 3 H), 1.74 - 1.78 (m, 3 H), 3.16 - 3.23 (m, 4 H), 4.03 -4.07 (m, 2 H), 4.07 - 4.11 (m, 1 H,) 5.06 - 5.17 (m, 2 H), 5.84 - 5.92 (m, 1 H), 6.59 - 6.64 (m, 1 H), 6.74 - 6.81 (m, 1 H), 7.35 - 7.39 (m, 2 H), 7.39 - 7.41 (m, 2 H), 7.41 - 7.44 (m, 3 H), 7.53 - 7.59 (m, 3 H), 8.04 - 8.21 (m, 1 H) ppm.
13C NMR (151 MHz, DMSO-d6) δ = 12.50, 14.70, 16.90, 26.18, 26.24, 26.32, 38.73, 38.78, 40.56, 43.28, 64.23, 64.37, 116.48, 122.78, 128.01, 129.47, 129.92, 135.46, 137.67, 137.86, 139.00, 165.36, 174.09 ppm.
【0041】
例5:4-((E)-2-メチルブタ-2-エンアミド)ブチルシンナマート(If)の合成
【化13】
【0042】
5a)(E)-N-(4-ヒドロキシブチル)-2-メチルブタ-2-エンアミド(6)
4-アミノブタン-1-オール(3.01g、33.7mmol)をジクロロメタン(50ml)に溶解した。撹拌しながらトリエチルアミン(4.70ml、33.7mmol)を添加した。溶液を氷/水浴で冷却し、(E)-2-メチルブト-2-エノイルクロリド(2g、16.87mmol)を滴加した。冷却浴を除去し、室温で3時間撹拌を続けた。反応混合物をジクロロメタンで希釈し、希塩酸溶液で洗浄した。有機層を分離し、炭酸カリウム溶液で洗浄し、乾燥し、濃縮した。残留物をフラッシュカラムクロマトグラフィーにより精製した。溶離液DCM/メタノール、0~3%メタノール。1gの油が得られた。
NMR分析による純度は>95%である。
1H NMR (600 MHz, DMSO-d6) δ = 1.28 - 1.51 (m, 4 H), 1.62 - 1.70 (d, 3 H), 1.74 (s, 3 H), 3.00 - 3.13 (m, 2 H), 3.36 - 3.40 (m, 2 H), 4.30 - 4.36 (t, 1 H), 6.25 - 6.30 (q, 1 H), 7.59 - 7.86 (br t, 1 H) ppm.
13C NMR (151 MHz, DMSO-d6) δ = 12.41, 13.62, 25.90, 30.02, 38.79, 60.54, 128.74, 132.11, 168.28 ppm.
【0043】
5b)4-((E)-2-メチルブタ-2-エンアミド)ブチルシンナマート(If)
(E)-N-(4-ヒドロキシブチル)-2-メチルブタ-2-エンアミド(6、1g、5.84mmol)に塩化シンナモイル(0.973g、5.84mmol)を添加した。反応混合物を60℃で3時間撹拌した。次いで、100℃で短時間加熱した。粗生成物をフラッシュカラムクロマトグラフィー、1%メタノールを有する溶離液DCM/メタノールによって精製して、1.5gの無色の油が生じた。
1H NMR (600 MHz, DMSO-d6) δ = 1.39 - 1.77 (m, 10 H), 3.05 - 3.22 (q, 2 H), 4.08 -4.21 (t, 2 H), 6.18 - 6.38 (q, 1 H), 6.59 - 6.71 (d, 1 H), 7.29 - 7.50 (m, 3 H), 7.62 - 7.82 (m, 4 H) ppm.
13C NMR (151 MHz, DMSO-d6) δ = 12.54, 13.75, 25.88, 30.86, 38.53, 63.98, 118.24, 128.34, 128.54, 129.08, 130.63, 132.17, 134.18, 144.62, 165.43, 168.48 ppm.
【0044】
例6:味の評価-MSGとの比較
NaCl水溶液(0.5重量%)を調製した。このベースに以下を追加した:
a)30ppmの化合物Ia(サンプル6a);
b)200ppmのMSG(サンプル6b、ベンチマーク)。
2つのサンプル6aおよび6bの味は、5人の訓練されたパネリストによって評価された。彼らは、サンプル6aの強度をサンプル6bとの差として格付けし、全体的な効果を説明するように求められた。典型的に、効果を説明するために以下の記載が使用される:うま味、塩味、苦味、全体的に甘い。
サンプル6aの味は、うま味、だし汁的(brothy)および長持ちと記載された。苦味レベルでのうま味はベンチマークより少し高いとマークされた。全体として、サンプル6aはサンプル6bよりも好まれた。
【0045】
例7:味の評価-さらなる誘導体との比較
NaCl水溶液(0.5重量%)を調製した。このベースに以下を添加した:
a)20ppmの化合物Ia(サンプル7a);
b)20ppmの化合物Ib(サンプル7b);
c)20ppmの化合物Ic(サンプル7c)。
3つのサンプル7a、7b、および7cの味は、5人の訓練されたパネリストによって評価された。
サンプル7bの味は、サンプル7aと比較して、よりうま味が多く、より強く、より長く続く、より甘いが、オフノート、動物性、フローラルスウィートを有すると記載された。
サンプル7cの味は、サンプル7aよりもうま味が多く、うま味がよりきれいであると記載された。
【0046】
例8:アミドエステル類似体の味の評価
NaCl(0.5重量%)およびMSG(0.05重量%)の水溶液を調製した。
このベースに以下を添加した:
a)1:2の比率の化合物(Id+Ie)の混合物20ppm(サンプル8a)。
b)化合物If(サンプル8b)20ppm。
4人の経験豊富なテイスターのグループがサンプル8aおよび8bを純粋なベースと比較した。
グループは満場一致で、サンプル8aがベースよりもうま味が多いと認識した。加えて、いくらかの苦味が感じられた。
満場一致で、グループはサンプル8bがベースよりうま味が多いと認識した。味わいは、心地よい味体験と記載された。
【国際調査報告】