(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-12-01
(54)【発明の名称】隣接セル測定手順に関与するユーザ機器
(51)【国際特許分類】
H04W 36/32 20090101AFI20221124BHJP
H04W 24/10 20090101ALI20221124BHJP
H04W 36/00 20090101ALI20221124BHJP
H04W 48/16 20090101ALI20221124BHJP
【FI】
H04W36/32
H04W24/10
H04W36/00 110
H04W48/16 110
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022519836
(86)(22)【出願日】2020-08-06
(85)【翻訳文提出日】2022-03-29
(86)【国際出願番号】 EP2020072131
(87)【国際公開番号】W WO2021063570
(87)【国際公開日】2021-04-08
(32)【優先日】2019-10-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】514136668
【氏名又は名称】パナソニック インテレクチュアル プロパティ コーポレーション オブ アメリカ
【氏名又は名称原語表記】Panasonic Intellectual Property Corporation of America
(74)【代理人】
【識別番号】110002952
【氏名又は名称】弁理士法人鷲田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】タオ ミン-フン
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 秀俊
(72)【発明者】
【氏名】シャー リキン
(72)【発明者】
【氏名】リ ホンチャオ
【テーマコード(参考)】
5K067
【Fターム(参考)】
5K067AA43
5K067DD44
5K067EE02
5K067EE10
5K067LL11
(57)【要約】
本開示は、ユーザ機器(UE)であって、前記UEに対して複数のモビリティ状態の中から1つを決定するプロセッサであって、前記複数のモビリティ状態が、少なくとも3つの異なるモビリティ状態を含む、プロセッサを有する、ユーザ機器に関する。前記プロセッサは、前記UEが位置するサービング無線セルの1つ以上の無線測定数量を決定する。前記プロセッサは、前記UEの前記決定したモビリティ状態と、前記サービング無線セルの前記決定した1つ以上の無線測定数量とに基づいて、1つ以上の隣接無線セル上での無線測定を緩和するか否かを決定する。前記UEの受信機および前記プロセッサは、前記プロセッサが前記1つ以上の隣接無線セル上での無線測定を緩和しないと決定した場合、無線測定要件に従って前記1つ以上の隣接無線セル上で前記無線測定を実行する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザ機器(UE)であって、
動作中、前記UEに対して複数のモビリティ状態の中から1つを決定するプロセッサであって、前記複数のモビリティ状態が、少なくとも3つの異なるモビリティ状態を含む、プロセッサと、
前記プロセッサは、動作中、前記UEが位置するサービング無線セルの1つ以上の無線測定数量を決定し、
前記プロセッサは、動作中、前記UEの前記決定したモビリティ状態と、前記サービング無線セルの前記決定した1つ以上の無線測定数量とに基づいて、1つ以上の隣接無線セル上での無線測定を緩和するか否かを決定し、
動作中、前記プロセッサが前記1つ以上の隣接無線セル上での前記無線測定を緩和しないと決定した場合、無線測定要件に従って前記1つ以上の隣接無線セル上で前記無線測定を実行する受信機および前記プロセッサと、
を有する、ユーザ機器。
【請求項2】
前記プロセッサが前記1つ以上の隣接無線セル上での無線測定を緩和すると決定した場合、前記1つ以上の隣接無線セル上での前記無線測定を、全く実行せず、または、緩和された無線測定要件に従って実行し、前記緩和された無線測定要件は、前記無線測定要件に従うよりも少ない頻度で無線測定を実行することを前記UEに要求する、
請求項1に記載のユーザ機器。
【請求項3】
前記UEの前記複数のモビリティ状態は、低モビリティ状態、中モビリティ状態、および高モビリティ状態を含み、
任意選択的に、前記プロセッサによる前記UEのモビリティ状態の決定は、以下のうちの1つ以上に基づく、
・過去の期間のセル再選択数、
・過去の期間のビーム変化数、
・過去の期間におけるサービングセルの無線測定数量に関するフェージング状況、
・過去の期間における前記UEの位置情報、
・例えば、UEが車両に搭載されているなど、前記UEの特性、
・例えば、URLLC(Ultra-Reliable Low-Latency Communication)をサポートするUEなど、前記UEのタイプ、
請求項1または2に記載のユーザ機器。
【請求項4】
前記プロセッサは、複数の無線品質関連測定緩和基準のうちの1つ以上が満たされる場合、前記1つ以上の隣接無線セル上での前記無線測定を緩和すると決定し、前記複数の無線品質関連測定緩和基準は、
・前記サービング無線セルに対する1つ以上の無線測定数量の変化が、過去の期間中、しきい値数量未満であるときに満たされる、第1の無線品質関連測定緩和基準、および
・前記サービング無線セルに対する1つ以上の無線測定数量が、それぞれの第1の数量しきい値よりも大きいときに満たされる、第2の無線品質関連測定緩和基準、
を含む、
請求項1~3のいずれかに記載のユーザ機器。
【請求項5】
前記第2の無線品質関連測定緩和基準が満たされるか否かは、前記UEの前記決定したモビリティ状態に依存し、
高モビリティ状態にあると決定されたUEに対しては、前記第2の無線品質関連測定緩和基準が満たされることはない、
請求項4に記載のユーザ機器。
【請求項6】
高モビリティ状態にあると決定されたUEに対しては、第1の値が、前記第2の無線品質関連測定緩和基準に関する前記第1の数量しきい値に適用され、
残りのモビリティ状態にあるUEに対しては、第2の値が、前記第2の無線品質関連測定緩和基準に関する前記第1の数量しきい値に適用され、前記第1の数量しきい値の前記第1の値は、前記第1の数量しきい値の前記第2の値よりも大きい、
請求項4に記載のユーザ機器。
【請求項7】
高モビリティ状態にあると決定されたUEに対しては、前記第2の無線品質関連測定緩和基準が満たされるとき、緩和された無線測定要件に従って前記1つ以上の隣接無線セル上で前記無線測定を実行し、前記緩和された無線測定要件は、前記無線測定要件に従うよりも少ない頻度で無線測定を実行することを前記UEに要求し、
任意選択的に、低モビリティ状態または中モビリティ状態にあると決定されたUEに対しては、前記第2の無線品質関連測定緩和基準が満たされているとき、前記UEは、前記1つ以上の隣接無線セル上で前記無線測定を実行する必要はない、
請求項4に記載のユーザ機器。
【請求項8】
低モビリティ状態にあると決定されたUEに対しては、第2の数量しきい値が、前記第2の無線品質関連測定緩和基準に対して定義され、前記サービング無線セルの前記1つの無線測定数量が、前記第2の数量しきい値よりも大きく、前記第1の数量しきい値よりも小さい場合には、緩和された無線測定要件に従って前記1つ以上の隣接無線セル上で前記無線測定を実行し、前記緩和された無線測定要件は、前記無線測定要件に従うよりも少ない頻度で無線測定を実行することを前記UEに要求し、
前記サービング無線セルの前記1つの無線測定数量が、前記第1の数量しきい値よりも大きい場合には、前記1つ以上の隣接無線セル上での前記無線測定を実行しない、
請求項1~7のいずれかに記載のユーザ機器。
【請求項9】
前記1つ以上の隣接無線セル上での前記無線測定はそれぞれ、周波数内測定タイプ、周波数間測定タイプ、および無線アクセス技術間測定タイプの異なるタイプのうちの1つであり、
前記1つ以上の隣接無線セル上での無線測定を緩和するか否かの前記決定は、隣接無線セル測定のタイプごとに個別に実行され、または、隣接無線セル測定のタイプのすべてもしくはサブセットに対して一緒に実行される、
請求項1~8のいずれかに記載のユーザ機器。
【請求項10】
前記1つ以上の無線測定数量は、以下のうちの1つ以上を含む、
・参照信号受信電力(RSRP:Reference Signal Received Power)数量、
・参照信号受信品質(RSRQ:Reference Signal Received Quality)数量、および
・信号対干渉ノイズ比(SINR:Signal-to-Interference plus Noise Ratio)数量、
請求項1~9のいずれかに記載のユーザ機器。
【請求項11】
ユーザ機器(UE)によって実行される以下のステップを有する方法であって、
前記UEに対して複数のモビリティ状態の中から1つを決定するステップであって、前記複数のモビリティ状態が、少なくとも3つの異なるモビリティ状態を含む、ステップと、
前記UEが位置するサービング無線セルの1つ以上の無線測定数量を決定するステップと、
前記UEの前記決定したモビリティ状態と、前記サービング無線セルの前記決定した1つ以上の無線測定数量とに基づいて、1つ以上の隣接無線セル上での無線測定を緩和するか否かを決定するステップと、
前記1つ以上の隣接無線セル上での無線測定を緩和しないと決定した場合、無線測定要件に従って前記1つ以上の隣接無線セル上で前記無線測定を実行するステップと、
を有する、方法。
【請求項12】
前記1つ以上の隣接無線セル上での無線測定を緩和すると決定した場合、前記1つ以上の隣接無線セル上での前記無線測定を、全く実行せず、または、緩和された無線測定要件に従って実行し、前記緩和された無線測定要件は、前記無線測定要件に従うよりも少ない頻度で無線測定を実行することを前記UEに要求する、
請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記決定するステップは、複数の無線品質関連測定緩和基準のうちの1つ以上が満たされる場合、前記1つ以上の隣接無線セル上での前記無線測定を緩和すると決定し、前記複数の無線品質関連測定緩和基準は、
・前記サービング無線セルに対する1つ以上の無線測定数量の変化が、過去の期間中、しきい値数量未満であるときに満たされる、第1の無線品質関連測定緩和基準、および
・前記サービング無線セルに対する1つ以上の無線測定数量が、それぞれの第1の数量しきい値よりも大きいときに満たされる、第2の無線品質関連測定緩和基準、
を含む、
請求項11または12に記載の方法。
【請求項14】
前記第2の無線品質関連測定緩和基準が満たされるか否かは、前記UEの前記決定したモビリティ状態に依存し、
高モビリティ状態にあると決定されたUEに対しては、前記第2の無線品質関連測定緩和基準が満たされることはない、
請求項13に記載の方法。
【請求項15】
高モビリティ状態にあると決定されたUEに対しては、第1の値が、前記第2の無線品質関連測定緩和基準に関する前記第1の数量しきい値に適用され、
残りのモビリティ状態にあるUEに対しては、第2の値が、前記第2の無線品質関連測定緩和基準に関する前記第1の数量しきい値に適用され、前記第1の数量しきい値の前記第1の値は、前記第1の数量しきい値の前記第2の値よりも大きい、
請求項13に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、3GPP通信システムなどの通信システムにおける方法、装置、および物品を対象とする。
【背景技術】
【0002】
現在、第3世代パートナーシッププロジェクト(3GPP:3rd Generation Partnership Project)は、次世代のセルラー技術(第5世代(5G)とも呼ばれる)の技術仕様に取り組んでいる。
【0003】
1つの目的は、少なくとも拡張モバイルブロードバンド(eMBB:enhanced mobile broadband)、超高信頼・低遅延通信(URLLC:ultra-reliable low-latency communications)、大規模マシンタイプ通信(mMTC:massive machine type communication)を含む、あらゆる使用シナリオ、要件、および配置シナリオ(例えば、非特許文献1の6節を参照)に対処する、単一の技術的枠組みを提供することである。例えば、eMBBの配置シナリオには、屋内のホットスポット、密集都市部、郊外、都市部広域、および高速が含まれうる。URLLCの配置シナリオには、産業制御システム、モバイル健康管理(遠隔モニタリング、遠隔診断、および遠隔治療)、車両のリアルタイム制御、スマートグリッドの広域監視・制御システムが含まれうる。mMTCの配置シナリオには、スマートウェアラブルやセンサネットワークなど、遅延の影響が小さいデータ伝送を行う多数の装置を使用するシナリオが含まれうる。eMBBサービスとURLLCサービスは、いずれも極めて広い帯域幅が要求される点で似ているが、URLLCサービスでは、極めて小さいレイテンシ(待ち時間)(latency)が好ましくは要求される点において異なる。
【0004】
第2の目的は、前方互換性を達成することである。ロングタームエボリューション(LTE、LTE-A)セルラーシステムへの後方互換性は要求されず、これにより、全く新しいシステムの設計および/または新しい機能の導入が容易になる。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】TR 38.913 version 15.0.0
【非特許文献2】3GPP TS 38.300 v15.6.0
【非特許文献3】3GPP TS 38.211 v15.6.0
【非特許文献4】ITU-R M.20183
【非特許文献5】TS 23.501 v16.1.0
【非特許文献6】3GPP TS 38.133 v16.0.0
【非特許文献7】TS 38.331 v15.6.0
【非特許文献8】3GPP TS 36.304 v15.4.0
【非特許文献9】TS 36.133
【非特許文献10】3GPP TS 38.304
【発明の概要】
【0006】
1つの非限定的かつ例示的な実施形態は、測定手順の改善を容易にする手順を提供することを促進する。
【0007】
一実施形態において、本明細書に開示されている技術は、ユーザ機器(UE)であって、前記UEに対して複数のモビリティ状態の中から1つを決定するプロセッサであって、前記複数のモビリティ状態が、少なくとも3つの異なるモビリティ状態を含む、プロセッサを有する、ユーザ機器を特徴とする。前記プロセッサは、前記UEが位置するサービング無線セルの1つ以上の無線測定数量を決定する。前記プロセッサは、前記UEの前記決定したモビリティ状態と、前記サービング無線セルの前記決定した1つ以上の無線測定数量とに基づいて、1つ以上の隣接無線セル上での無線測定を緩和するか否かを決定する。前記UEの受信機および前記プロセッサは、前記プロセッサが前記1つ以上の隣接無線セル上での無線測定を緩和しないと決定した場合、無線測定要件に従って前記1つ以上の隣接無線セル上で前記無線測定を実行する。
【0008】
なお、一般的な実施形態または具体的な実施形態は、システム、方法、集積回路、コンピュータプログラム、記憶媒体、またはこれらの任意の選択的な組み合わせとして実装され得ることに留意されたい。
【0009】
開示されている実施形態およびさまざまな実装形態のさらなる恩恵および利点は、本明細書および図面から明らかになるであろう。これらの恩恵および/または利点は、本明細書および図面のさまざま実施形態および特徴によって個別に得ることができる。但し、これらは、このような恩恵および/または利点の1つまたは複数を得るために、すべてを設ける必要はない。
【図面の簡単な説明】
【0010】
以下、例示的な実施形態について添付の図面を参照してより詳細に説明する。
【0011】
【
図1】3GPP NRシステムの例示的なアーキテクチャを示す図
【
図2】NG-RANと5GCの間の機能分割を示す概略図
【
図3】RRC接続セットアップ/再設定手順のシーケンス図
【
図4】拡張モバイルブロードバンド(eMBB)、大規模マシンタイプ通信(mMTC)、および超高信頼・低遅延通信(URLLC)の使用シナリオを示す概略図
【
図5】非ローミングシナリオ向けの例示的な5Gシステムアーキテクチャを示すブロック図
【
図6】従来技術のソリューションによる、サービングセル品質および静止UEと非静止UEの区別に応じて、UEが隣接セル測定を緩和することを許可される場合を示す図
【
図7】
図UEおよびgNBの例示的な単純化した構造を示す図
【
図8】改善された測定手順の例示的な実装形態によるUEの構造を示す図
【
図9】改善された測定手順の例示的な実装形態による、UEの動作のフロー図
【
図10】改善された測定手順の第1の変形例による、UEのモビリティ状態およびサービングセル品質に応じて、UEが隣接セル測定を緩和することを許可されるかどうかとどのように隣接セル測定を緩和することを許可されるかを示す図
【
図11】改善された測定手順の第2の変形例による、UEのモビリティ状態およびサービングセル品質に応じて、UEが隣接セル測定を緩和することを許可されるかどうかとどのように隣接セル測定を緩和することを許可されるかを示す図
【
図12】改善された測定手順の他の変形例による、UEのモビリティ状態およびサービングセル品質に応じて、UEが隣接セル測定を緩和することを許可されるかどうかとどのように隣接セル測定を緩和することを許可されるかを示す図
【
図13】改善された測定手順のさらなる変形例による、UEのモビリティ状態およびサービングセル品質に応じて、UEが隣接セル測定を緩和することを許可されるかどうかとどのように隣接セル測定を緩和することを許可されるかを示す図
【
図14】改善された測定手順の例示的な実装形態による、
図10および
図13のソリューションの組み合わせによる、UEのモビリティ状態およびサービングセル品質に応じて、UEが隣接セル測定を緩和することを許可されるかどうかとどのように隣接セル測定を緩和することを許可されるかを示す図
【
図15】改善された測定手順の例示的な実装形態による、
図10および
図13のソリューションの組み合わせによる、UE動作のフロー図
【
図16】改善された測定手順の例示的な実装形態による、
図11および
図13のソリューションの組み合わせによる、UEのモビリティ状態およびサービングセル品質に応じて、UEが隣接セル測定を緩和することを許可されるかどうかとどのように隣接セル測定を緩和することを許可されるかを示す図
【
図17】改善された測定手順の例示的な実装形態による、
図11および
図13のソリューションの組み合わせによる、UE動作のフロー図
【
図18】改善された測定手順の例示的な実装形態による、
図12および
図13のソリューションの組み合わせによる、UEのモビリティ状態およびサービングセル品質に応じて、UEが隣接セル測定を緩和することを許可されるかどうかとどのように隣接セル測定を緩和することを許可されるかを示す図
【
図19】改善された測定手順の例示的な実装形態による、
図12および
図13のソリューションの組み合わせによる、UE動作のフロー図
【発明を実施するための形態】
【0012】
5G NRシステムのアーキテクチャおよびプロトコルスタック
【0013】
3GPPは、最大100GHzの周波数で動作する新しい無線アクセス技術(NR)の開発を含む第5世代セルラー技術(単に5Gと呼ばれる)の次のリリースに取り組んでいる。5G規格の最初のバージョンは、2017年の終わりに完了し、これにより、5G NR規格に準拠したスマートフォンの試験および商用展開に進むことができる。
【0014】
とりわけ、全体的なシステムアーキテクチャは、gNBを有するNG-RAN(次世代無線アクセスネットワーク:Next Generation - Radio Access Network)を仮定しており、これらのgNBは、NG無線アクセスユーザプレーン(SDAP/PDCP/RLC/MAC/PHY)プロトコルおよび制御プレーン(RRC)プロトコルを終端させる。gNBは、Xnインタフェースによって互いに相互接続されている。また、gNBは、次世代(NG:Next Generation)インタフェースによってNGC(次世代コア:Next Generation Core)に、より具体的には、NG-CインタフェースによってAMF(アクセスおよびモビリティ管理機能:Access and Mobility Management Function)(例えば、AMFを実行する特定のコアエンティティ)に、また、NG-UインタフェースによってUPF(ユーザプレーン機能:User Plane Function)(例えば、UPFを実行する特定のコアエンティティ)にも接続されている。NG-RANアーキテクチャを
図1に示す(例えば、非特許文献2の4節を参照)。
【0015】
NRにおけるユーザプレーンプロトコルスタック(例えば、非特許文献2の4.4.1節を参照)は、PDCP(パケットデータコンバージェンスプロトコル:Packet Data Convergence Protocol、非特許文献2の6.4節を参照)サブレイヤ、RLC(無線リンク制御:Radio Link Control、非特許文献2の6.3節を参照)サブレイヤ、MAC(媒体アクセス制御:Medium Access Control、非特許文献2の6.2節を参照)サブレイヤを含み、これらのサブレイヤは、ネットワーク側ではgNBにおいて終端する。これに加えて、PDCPの上に、アクセス層(AS:access stratum)の新しいサブレイヤ(SDAP、サービスデータアダプテーションプロトコル:Service Data Adaptation Protocol)が導入される(例えば、非特許文献2の6.5節を参照)。NRにおいても制御プレーンプロトコルスタックが定義されている(例えば、非特許文献2の4.4.2節を参照)。レイヤ2の機能の概要は、非特許文献2の6節に記載されている。PDCPサブレイヤ、RLCサブレイヤ、およびMACサブレイヤの機能は、非特許文献2の6.4節、6.3節、および6.2節にそれぞれ記載されている。RRCレイヤの機能は、非特許文献2の7節に記載されている。
【0016】
例えば、媒体アクセス制御レイヤは、論理チャネルの多重化、ならびに、さまざまなヌメロロジーの処理を含む、スケジューリングおよびスケジューリング関連機能を扱う。
【0017】
物理レイヤ(PHY)は、例えば、符号化、PHY HARQ処理、変調、マルチアンテナ処理、および適切な物理時間-周波数リソースへの信号のマッピングを担当する。また、物理レイヤは、物理チャネルへのトランスポートチャネルのマッピングも処理する。物理レイヤは、トランスポートチャネルの形でMAC層にサービスを提供する。物理チャネルは、特定のトランスポートチャネルの送信に使用される時間周波数リソースのセットに対応し、各トランスポートチャネルは、対応する物理チャネルにマッピングされる。例えば、物理チャネルは、アップリンク用のPRACH(物理ランダムアクセスチャネル:Physical Random Access Channel)、PUSCH(物理アップリンク共有チャネル:Physical Uplink Shared Channel)、およびPUCCH(物理アップリンク制御チャネル:Physical Uplink Control Channel)であり、また、ダウンリンク用のPDSCH(物理ダウンリンク共有チャネル:Physical Downlink Shared Channel)、PDCCH(物理ダウンリンク制御チャネル:Physical Downlink Control Channel)、およびPBCH(物理報知チャネル:Physical Broadcast Channel)である。
【0018】
NRのユースケース/配置シナリオには、拡張モバイルブロードバンド(eMBB)、超高信頼・低遅延通信(URLLC)、大規模マシンタイプ通信(mMTC)が含まれ、これらのサービスは、データレート、レイテンシ、およびカバレッジに関して多様な要件を有する。例えば、eMBBは、IMT-Advancedによって提供される3倍のオーダーのピークデータレート(ダウンリンクが20Gbps、アップリンクが10Gbps)およびユーザ体感データレートをサポートすることが期待される。これに対して、URLLCの場合、より厳しい要件として、極めて低いレイテンシ(ユーザプレーンのレイテンシはULおよびDLそれぞれで0.5ms)と、高い信頼性(1ms内で1~10-5)とが課せられる。さらに、mMTCでは、高い接続密度(都市環境では1km2あたり1,000,000個のデバイス)、過酷な環境における広いカバレッジ、およびデバイスコストを下げるための極めて長寿命のバッテリ(15年)が、好ましくは要求され得る。
【0019】
したがって、あるユースケースに適したOFDMヌメロロジー(例えば、サブキャリア間隔(subcarrier spacing)、OFDMシンボル持続時間、サイクリックプレフィックス(CP)持続時間、スケジューリング間隔あたりのシンボル数)が、別のユースケースではうまく機能しないことがある。例えば、低レイテンシのサービスでは、mMTCサービスよりも、短いシンボル持続時間(したがって、より大きいサブキャリア間隔)、および/または、スケジューリング間隔(TTIとも称される)あたりの少ないシンボルが、好ましくは要求され得る。さらには、チャネルの遅延スプレッドが大きい配置シナリオでは、遅延スプレッドが短いシナリオよりも長いCP持続時間が、好ましくは要求され得る。同程度のCPオーバーヘッドを維持するため、遅延スプレッドに応じてサブキャリア間隔を最適化するべきである。NRでは、サブキャリア間隔の2つ以上の値がサポートされ得る。したがって、現在のところ、15kHz、30kHz、60kHz、…のサブキャリア間隔が検討されている。シンボル持続時間Tuとサブキャリア間隔Δfは、式(Δf=1/Tu)により、直接関係している。LTEシステムの場合と同様に、1個のOFDM/SC-FDMAシンボルの長さに対する1つのサブキャリアから構成される最小リソース単位を表すのに、「リソースエレメント」という用語を使用することができる。
【0020】
新しい無線システム5G-NRでは、各ヌメロロジーおよびキャリアごとに、アップリンクおよびダウンリンクそれぞれにおいて、サブキャリアとOFDMシンボルのリソースグリッドが定義される。リソースグリッド内の各要素は、リソースエレメントと呼ばれ、周波数領域における周波数インデックスと時間領域におけるシンボル位置とに基づいて識別される(非特許文献3を参照)。
【0021】
NG-RANと5GCの間の5G NR機能の分割
【0022】
図2は、NG-RANと5GCの間の機能分割を示している。NG-RANの論理ノードは、gNBまたはng-eNBである。5GCの論理ノードは、AMF、UPF、およびSMFである。
【0023】
特に、gNBおよびng-eNBは、次の主要機能を処理する。
- 無線ベアラ制御(Radio Bearer Control)、無線アドミッション制御(Radio Admission Control)、接続モビリティ制御(Connection Mobility Control)、アップリンクおよびダウンリンクの両方向におけるUEへの動的なリソース割当て(スケジューリング)など、無線リソース管理(Radio Resource Management)の機能
- IPヘッダ圧縮、暗号化、およびデータの整合性保護
- UEによって提供される情報からAMFへのルーティングを決定できないときのUEのアタッチ時のAMFの選択
- UPFへのユーザプレーンデータのルーティング
- AMFへの制御プレーン情報のルーティング
- 接続の確立および解放
- ページングメッセージのスケジューリングおよび送信
- (AMFまたはOAMから送信される)システムブロードキャスト情報のスケジューリングおよび送信
- モビリティおよびスケジューリングのための測定および測定報告の設定
- アップリンクにおけるトランスポートレベルのパケットマーキング
- セッション管理
- ネットワークスライシングのサポート
- QoSフロー管理およびデータ無線ベアラへのマッピング
- RRC_INACTIVE状態のUEのサポート
- NASメッセージの配信機能
- 無線アクセスネットワークシェアリング
- デュアルコネクティビティ
- NRとE-UTRA間の緊密なインターワーキング
【0024】
アクセスおよびモビリティ管理機能(AMF)は、次の主要機能を処理する。
- 非アクセス層(NAS:Non-Access Stratum)シグナリングの終端
- NASシグナリングのセキュリティ
- アクセス層(AS:Access Stratum)のセキュリティ制御
- 3GPPアクセスネットワーク間のモビリティのためのコアネットワーク(CN:Core Network)ノード間シグナリング
- アイドルモードUEの到達可能性(Reachability)(ページング再送の制御および実行を含む)
- レジストレーションエリア(Registration Area)管理
- システム内モビリティおよびシステム間モビリティのサポート
- アクセス認証(Access Authentication)
- ローミング権のチェックを含むアクセス認証
- モビリティ管理制御(サブスクリプションおよびポリシー)
- ネットワークスライシングのサポート
- セッション管理機能(SMF:Session Management Function)の選択
【0025】
さらに、ユーザプレーン機能(UPF:User Plane Function)は、次の主要機能を処理する。
- RAT内/RAT間モビリティのためのアンカーポイント(適用可能時)
- データネットワークとの相互接続の外部PDUセッションポイント
- パケットのルーティングおよび転送
- パケット検査およびポリシールール施行のユーザプレーン部分
- トラフィック使用報告
- データネットワークへのトラフィックフローのルーティングをサポートするためのアップリンククラシファイア(classifier)
- マルチホームPDUセッションをサポートするためのブランチングポイント
- ユーザプレーンのQoS処理(例えば、パケットフィルタリング、ゲーティング、UL/DLレート強制)
- アップリンクトラフィックの検証(SDFからQoSフローへのマッピング)
- ダウンリンクパケットバッファリングおよびダウンリンクデータ通知トリガリング
【0026】
最後に、セッション管理機能(SMF)は、次の主要機能を処理する。
- セッション管理
- UE IPアドレスの割当ておよび管理
- UP機能の選択および制御
- トラフィックを正しい宛先にルーティングするためのユーザプレーン機能(UPF)におけるトラフィックステアリングの設定
- ポリシー施行およびQoSの制御部分
- ダウンリンクデータ通知
【0027】
RRC接続のセットアップおよび再設定の手順
【0028】
図3は、UEがRRC_IDLEからRRC_CONNECTEDに移行するときの、NAS部分における、UE、gNB、AMF(5GCエンティティ)の間のインタラクションを示している(非特許文献2を参照)
【0029】
RRCは、UEおよびgNBの設定に使用される上位レイヤシグナリング(プロトコル)である。特に、この移行では、AMFがUEコンテキストデータ(例えば、PDUセッションコンテキスト、セキュリティキー、UE無線能力、およびUEセキュリティ能力などを含む)を準備し、それを初期コンテキストセットアップ要求(INITIAL CONTEXT SETUP REQUEST)によってgNBに送る。次に、gNBが、UEとのASセキュリティをアクティブにし、これは、gNBがSecurityModeCommandメッセージをUEに送信し、UEがSecurityModeCompleteメッセージでgNBに応答することによって実行される。その後、gNBは、シグナリング無線ベアラ2(SRB2)およびデータ無線ベアラ(DRB)を確立するために再設定を実行し、これは、gNBがRRCReconfigurationメッセージをUEに送信し、これに応答してUEからRRCReconfigurationCompleteをgNBが受信することによる。シグナリングのみの接続の場合、SRB2およびDRBが確立されないため、RRCReconfigurationに関連するこれらのステップはスキップされる。最後に、gNBは、確立手順が完了したことを、初期コンテキストセットアップ応答(INITIAL CONTEXT SETUP RESPONSE)によってAMFに通知する。
【0030】
したがって、本開示では、gNodeBとユーザ機器(UE)との間にシグナリング無線ベアラが確立されるように、動作中、gNodeBとの次世代(NG)接続を確立する制御回路と、動作中、そのNG接続を介して初期コンテキストセットアップメッセージをgNodeBに送信する送信機とを有する、第5世代コア(5GC)のエンティティ(例えば、AMF、SMFなど)が提供される。特に、gNodeBは、リソース割当て設定情報要素を含む無線リソース制御(RRC)シグナリングを、シグナリング無線ベアラを介してUEに送信する。次いで、UEが、このリソース割当て設定に基づいてアップリンク送信またはダウンリンク受信を実行する。
【0031】
IMT-2020以降の使用シナリオ
【0032】
図4は、5G NRのユースケースのいくつかを示している。第3世代パートナーシッププロジェクトのNR(3GPP NR:3rd generation partnership project new radio)では、IMT-2020によって多種多様なサービスおよびアプリケーションをサポートすることが想定されている3つのユースケースが考慮されている。拡張モバイルブロードバンド(eMBB)のフェーズ1の仕様は決定された。現在および今後の作業としては、eMBBサポートをさらに拡張することに加えて、超高信頼・低遅延通信(URLLC)および大規模マシンタイプ通信のための標準化が含まれることになる。
図4は、2020年以降のIMTについて想定される使用シナリオのいくつかの例を示している(例えば、非特許文献4の
図2を参照)。
【0033】
URLLCユースケースは、スループットやレイテンシ、可用性などの能力に関する厳しい要件を有し、工業的製造または生産プロセスの無線制御、遠隔医療手術、スマートグリッドにおける配電自動化、輸送の安全性など、将来の垂直アプリケーションを実現する手段の1つとして想定されている。URLLCの超高信頼性は、非特許文献1によって設定される要件を満たすための技術を特定することによってサポートされる。リリース15におけるNR URLLCの場合、重要な要件は、ユーザプレーンの目標レイテンシが、UL(アップリンク)に対して0.5ms、DL(ダウンリンク)に対して0.5msであることを含む。パケットの1回の送信における一般的なURLLCの要件は、1msのユーザプレーンレイテンシでパケットサイズ32バイトの場合にBLER(ブロック誤り率)1E-5である。
【0034】
物理レイヤの観点から、信頼性は、多くの可能な方法で向上させることができる。信頼性を向上させるための現在の範囲は、URLLCのための個別のCQIテーブルや、よりコンパクトなDCIフォーマット、PDCCHの繰り返しなどを定義することを含む。しかし、(NR URLLCの重要な要件について)NRがさらに安定し、開発が進むにつれて、超高信頼性を実現するための範囲が広がりうる。リリース15におけるNR URLLCの具体的なユースケースとしては、拡張現実/仮想現実(AR/VR)、e-ヘルス、e-セーフティ、およびミッションクリティカルなアプリケーションが挙げられる。
【0035】
さらに、NR URLLCが対象とする技術強化は、レイテンシの改善および信頼性の向上を目標としている。レイテンシを改善するための技術強化としては、設定可能なヌメロロジー、柔軟なマッピングを使用する非スロットベースのスケジューリング、グラントフリー(設定済みグラント(configured grant))のアップリンク、データチャネルのスロットレベルの繰り返し、およびダウンリンクのプリエンプションが挙げられる。プリエンプションとは、リソースがすでに割り当てられている送信が中止され、すでに割り当てられているリソースが、後から要求された、より小さいレイテンシ/より高い優先度要件を有する別の送信に使用されることを意味する。したがって、すでに許可された送信が、より後の送信によってプリエンプトされる。プリエンプションは、特定のサービスタイプに関係なく適用される。例えば、サービスタイプA(URLLC)の送信を、サービスタイプB(eMBBなど)の送信によってプリエンプトすることができる。信頼性向上に関する技術強化としては、1E-5の目標BLERのための専用CQI/MCSテーブルが挙げられる。
【0036】
mMTC(大規模マシンタイプ通信)のユースケースは、非常に多数の接続されたデバイスが、一般には遅延の影響が小さい比較的少量のデータを送信することを特徴とする。デバイスは、低コストでありかつ極めて長いバッテリ寿命を有する必要がある。NRの観点からは、非常に狭い帯域幅部分を利用することは、UEの観点からの省電力を達成して長いバッテリ寿命を可能にするための1つの可能なソリューションである。
【0037】
上記のように、NRにおける信頼性の範囲が広がることが期待される。あらゆるケース、特にURLLCおよびmMTCの場合に必要な1つの重要な要件は、高信頼性または超高信頼性である。無線の観点およびネットワークの観点から、信頼性を向上させるためのいくつかのメカニズムを考えることができる。一般には、信頼性の向上に役立つ可能性のある重要な領域がいくつか存在する。これらの領域としては、コンパクトな制御チャネル情報、データチャネル/制御チャネルの繰り返し、ならびに周波数領域、時間領域、および/または空間領域に関連するダイバーシチが挙げられる。これらの領域は、特定の通信シナリオには関係なく、一般的に信頼性に適用可能である。
【0038】
NR URLCの場合、例えば、工場自動化や輸送産業、電力供給など、より厳しい要件を有するさらなるユースケースが特定されている。より厳しい要件とは、ユースケースに応じて、より高い信頼性(最大106レベル)、より高い可用性、最大256バイトのパケットサイズ、数μs(値は周波数範囲に応じて1~数μs)のオーダーの時間同期、0.5~1msのオーダーの短いレイテンシ(特にユーザプレーンの目標レイテンシは0.5ms)である。
【0039】
さらに、NR URLLCの場合、物理レイヤの観点からいくつかの技術強化が認識されている。特に、コンパクトなDCI、PDCCHの繰り返し、PDCCH監視の増大、に関連するPDCCH(物理ダウンリンク制御チャネル:Physical Downlink Control Channel)の強化が挙げられる。さらに、UCI(アップリンク制御情報:Uplink Control Information)の強化は、HARQ(ハイブリッド自動再送要求:Hybrid Automatic Repeat Request)の強化およびCSIフィードバックの強化に関連する。また、ミニスロットレベルのホッピングおよび再送信/繰り返しに関連するPUSCHの強化も認識されている。「ミニスロット」という用語は、スロット(14個のシンボルを含むスロット)よりも少ない数のシンボルを含む送信時間間隔(TTI:Transmission Time Interval)を意味する。
【0040】
QoS制御
【0041】
5G QoS(サービス品質:Quality of Service)モデルは、QoSフローに基づいており、保証フロービットレートを必要とするQoSフロー(GBR QoSフロー)と、保証フロービットレートを必要としないQoSフロー(非GBR QoSフロー)の両方をサポートする。したがって、NASレベルでは、QoSフローはPDUセッションにおけるQoS差別化の最も細かい粒度である。QoSフローは、PDUセッション内では、NG-Uインタフェースを通じてカプセル化ヘッダ内で伝えられるQoSフローID(QFI)によって識別される。
【0042】
5GCは、UEごとに、1つまたは複数のPDUセッションを確立する。NG-RANは、UEごとに、PDUセッションと一緒に少なくとも1つのデータ無線ベアラ(DRB:Data Radio Bearer)を確立し、次に、そのPDUセッションのQoSフローのための追加のDRBを、例えば、
図3を参照しながら上記したように、設定することができる(いつ設定するかはNG-RANが決定する)。NG-RANは、異なるPDUセッションに属するパケットを異なるDRBにマッピングする。UEおよび5GCにおけるNASレベルのパケットフィルタが、ULおよびDLのパケットをQoSフローに関連付け、UEおよびNG-RANにおけるASレベルのマッピング規則が、ULおよびDLのQoSフローをDRBに関連付ける。
【0043】
図5は、5G NR非ローミング基準アーキテクチャを示している(非特許文献5の4.23節を参照)。アプリケーション機能(AF:Application Function)(例えば、
図4に例示的に記載されている5Gサービスを処理する外部アプリケーションサーバ)は、サービスを提供する目的で、3GPPコアネットワーク(Core Network)と対話する。例えば、トラフィックのルーティングに対するアプリケーションの影響をサポートしたり、ネットワーク公開機能(NEF:Network Exposure Function)にアクセスしたり、またはポリシー制御(例えば、QoS制御)のためのポリシーフレームワーク(ポリシー制御機能PCFを参照)と対話する。オペレータの配備に基づいて、オペレータによって信頼されるものと見なされるアプリケーション機能(AF)を、関連するネットワーク機能(Network Function)と直接対話できるようにすることができる。ネットワーク機能に直接アクセスすることがオペレータによって許可されていないアプリケーション機能(AF)は、NEFを介して外部の公開フレームワークを使用して、関連するネットワーク機能と対話する。
【0044】
図5は、5Gアーキテクチャのさらなる機能ユニットとして、ネットワークスライス選択機能(NSSF:Network Slice Selection Function)、ネットワークリポジトリ機能(NRF:Network Repository Function)、統一データ管理(UDM:Unified Data Management)、認証サーバ機能(AUSF:Authentication Server Function)、アクセスおよびモビリティ管理機能(AMF:Access and Mobility Management Function)、セッション管理機能(SMF:Session Management Function)、およびデータネットワーク(DN:Data Network)(例えば、オペレータサービス、インターネットアクセスまたは第三者サービス)を示している。コアネットワーク機能およびアプリケーションサービスの全部または一部は、クラウドコンピューティング環境で展開されその上で動作し得る。
【0045】
したがって、本開示では、動作中、URLLCサービス、eMBBサービス、およびmMTCサービスのうちの少なくとも1つに対するQoS要件を含む要求を、5GCの機能(例えば、NEFやAMF、SMF、PCF、UPFなど)のうちの少なくとも1つに送信して、QoS要件に従ってgNodeBとUEの間の無線ベアラを含むPDUセッションを確立する送信機と、動作中、確立されたPDUセッションを使用してサービスを実行する制御回路と、を有するアプリケーションサーバ(例えば、5GアーキテクチャのAF)が提供される。
【0046】
RRM(Radio Resource Management)測定
【0047】
無線リソース測定(RRM:Radio Resource Measurement)は、電力制御、スケジューリング、セルサーチ、セル再選択、無線リンクまたは接続監視/測定を含む広範囲の技術および手順を含む(非特許文献6の“Requirements for support of radio resource management”を参照)。NR 5GのRRCは、次の3つの状態、RRC Idle、RRC Inactive、RRC Connectedをサポートする(非特許文献7の4.2.1節を参照)。RRM技術および報告メカニズムは、UEのモビリティをサポートする。UEが行うRRM関連動作は、UEのRRC状態(例えば、UEがRRC_Idle、RRC_Inactive、またはRRC_Connected状態にあること)に基づいて大別することができる。
【0048】
例えば、IDLE状態にあるUEの場合、RRMは、セル選択およびセル再選択を含み、一方、INACTIVE状態にあるUEの場合、RRMは、セル再選択を含む。セル選択は、UEが、利用可能なサービスにアクセスするためにキャンプオン(camp on)する適切なセルを選択することを可能にする。セル再選択は、UEが、キャンプオンするもっと適切なセルを選択することを可能にする。
【0049】
セル選択およびセル再選択の1つの重要な側面は、UEがサービングセルおよび隣接セルに対して実行する必要がある無線測定である。セルにキャンプオンするとき、UEは、セル再選択基準に従って、より良いセルを定期的にサーチしなければならない。
【0050】
簡単に説明すると、測定の基本的な概要を提供するために、UE(NRデバイス)は、参照信号(例えば、CSI-RS、SSブロックなど)に基づいて測定を実行し、これから測定結果を得ることができる。これらは、UEによって内部的に(例えば、IdleもしくはInactiveでのセル(再)選択)使用したり、または、対応する測定報告における一部もしくは全部の測定結果を受信した後に、他のエンティティ、例えば、モビリティ制御(例えば、CONNECTEDでのハンドオーバ)のために基地局によって使用したりすることができる。
【0051】
測定は、少なくとも3つの測定タイプに分類することができる。
・周波数内NR測定、
・周波数間NR測定
・RAT間測定
【0052】
例えば、測定は、例えば、1つ以上の測定対象を定義することによって、構成することができ、測定対象は、例えば、監視するキャリア周波数を定義する。したがって、測定対象ごとに、報告基準(例えば、イベントトリガ報告、周期的報告、およびイベントトリガ周期的報告など)を含む、1つまたはいくつかの報告構成を定義することができる(非特許文献2の9.1節を参照)。報告構成は、数量または数量のセット、例えば、チャネル品質インジケータ(CQI:channel quality indicator)、ランク指示(RI:rank indication)、プリコーダ行列インジケータ(PMI:precoder-matrix indicator)(これらは、共同でチャネル状態情報(CSI: state information)と呼ばれる)のさまざまな組み合わせを指示する。
【0053】
さらに、異なる無線測定数量、例えば、RSRP(基準信号受信電力:Reference Signal Received Power)、RSRQ(基準信号受信品質:Reference Signal Received Quality)などをUEに対して構成することができる。さらなる可能な無線測定数量は、信号対干渉ノイズ比(SINR:Signal-to-Interference plus Noise Ratio)であり得る。これらの無線測定数量の1つ以上は、例えば、サービング無線セルまたは隣接無線セルなどのセルの無線品質を決定するために、UEによって測定することができる。
【0054】
5G NR標準化ケースにおける1つの例示的な実装形態によれば、測定は、周波数内NR隣接セル、周波数間NR隣接セル、およびRAT間E-UTRAN隣接セルに対して、INACTIVEまたはIDLE UEによって、以下のように実行される(非特許文献6の4.2.2.3節、4.2.2.4節、および4.2.2.5節を参照)。
【0055】
UEは、測定ルールに従って識別・測定される周波数内セルに対して少なくともTmeasure,NR_intra(以下の表4.2.2.3-1を参照)ごとにSS-RSRPおよびSS-RSRQを測定しなければならない。
【0056】
【0057】
UEは、識別された、優先度が低いかまたは等しい周波数間セルに対して少なくともKcarrier*Tmeasure,NR_inter(以下の表4.2.2.4-1を参照)ごとにSS-RSRPまたはSS-RSRQを測定しなければならない。ここで、パラメータKcarrierは、サービングセルによって指示されたNR周波数間キャリアの数である。
【0058】
【0059】
検出されたセル(例えば、RAT間隣接無線セル)は、サービングセル品質が特定のしきい値(表4.2.2.5-1を参照)未満である場合、少なくとも(NEUTRA_carrier)*Tmeasure,EUTRANごとに測定されなければならない。パラメータNEUTRA_carrierは、隣接周波数リスト内の設定E-UTRAキャリアの総数である。
【0060】
【0061】
LTEにおける測定緩和
【0062】
緩和基準は、UEが、隣接セル測定をスキップすること、したがって、UEの電力を節約することを可能にするために提供される。すでにLTEシステムにおいて、UEは、特定の状況下で隣接セル測定を緩和することが可能であった。測定緩和手順の以下の例示的な実装形態は、3GPP LTE規格に従って提供されたものである(非特許文献8の5.2.4.2節を参照)。
【0063】
【0064】
さらに、NB-IoT(NarrowBand Internet of Thing)デバイスは、(ほとんど)静止しており、隣接セル測定をもっと頻繁に緩和することを許可されるべきであるが、このようなNB-IoTデバイスのセル再選択に対しては、異なる測定緩和ルールが提供されている(非特許文献8の5.2.4.2a節を参照)。
【0065】
【0066】
上記のパラメータをもっとよく理解するために、非特許文献8は、以下の定義を提供している。
【0067】
パラメータ「Squal」は、例えば、セル選択品質値(dB)(例えば、RSRQ)として理解されるべきである。パラメータ「Srxlev」は、例えば、セル選択RXレベル値(dB)(例えば、RSRP)として理解されるべきである。パラメータ「SIntraSearchP」は、周波数内測定のためのSrxlevしきい値(dB単位で)を指定する。パラメータ「SIntraSearchQ」は、周波数内測定のためのSqualしきい値(dB単位で)を指定する。パラメータ「SnonIntraSearchP」は、E-UTRAN周波数間およびRAT間測定のためのSrxlevしきい値(dB単位で)を指定する。パラメータ「SnonIntraSearchQ」は、E-UTRAN周波数間およびRAT間測定のためのSqualしきい値(dB単位で)を指定する。
【0068】
実際、隣接セル測定に対する上記の緩和ルールは、サービングセルに対する対応する無線品質測定値(ここでは、例えば、「Squal」、「Srxlev」)が対応するしきい値(ここでは、例えば、「SIntraSearchP」、「SIntraSearchQ」、「SnonIntraSearchP」、「SnonIntraSearchQ」)よりも大きい場合に満たされる、特定の無線品質関連測定緩和基準に基づいている。例えば、これは、UEがセル中央にある(例えば、UEが経験するサービングセル品質が十分に高い)場合には、隣接セル測定を緩和することができ、一方、UEがセル端にある(例えば、UEが経験するサービングセル品質が十分に高くない)場合には、隣接セル測定を緩和すべきでないという点において理解することができる。
【0069】
さらに、LTE 3GPP規格には、上記に加えてさらなる緩和を定義する緩和監視測定ルールが提供されている(非特許文献8を参照)。
【0070】
【0071】
パラメータ「SSearchDeltaP」は、緩和された監視中のSrxlevデルタしきい値(dB単位で)を指定する。実際、上記の緩和された監視基準は、無線品質(ここでは、Srxlev)が過去の期間(ここでは、「TSearchDeltaP」)中にあまり変化しなかった場合(ここでは、しきい値未満「<SSearchDeltaP」)に満たされる基準である。この緩和ソリューションは、特定の期間中のサービングセル品質変化の評価を通じてUEのモビリティを決定するものと理解することができる。例えば、静止UE(例えば、サービングセル品質は変化しないかまたはわずかしか変化しない)は、隣接セル測定を大幅に緩和することができるが、これは、非静止UE(例えば、サービング品質が対応するしきい値よりも大きく変化する場合)には適用されない。
【0072】
要するに、上記したように、隣接セル測定は、サービングセルに対する1つ以上の無線測定数量が特定の基準(ここでは、例えば、「Srxlev>SIntraSearchPおよびSqual>SIntraSearchQ」、「Srxlev>SnonIntraSearchPおよびSqual>SnonIntraSearchQ」、「(SrxlevRef-Srxlev)<SSearchDeltaP」、ならびに、NB-IoTデバイスの場合、「Srxlev>SIntraSearchP」)を満たす場合に、UEが、測定(それが隣接無線セル上での周波数内測定、または隣接無線セル上での周波数間測定、または隣接無線セル上でのRAT間測定であっても)を実行しないことを選択することを可能にすることによって、緩和される。
【0073】
5G NRにおける測定および測定緩和
【0074】
これに対応して、5G NRに対する例示的な現在のソリューションによれば、UEが特定の状況で隣接セル測定を実行しないことを許可する測定ルールがすでに定義されている(非特許文献8の5.2.4.2節を参照)。
【0075】
【0076】
上記から明らかなように、また、非特許文献9(TS 36.133)の対応するLTEソリューションにかなり類似しているように、隣接セル測定の上記緩和は、サービングセルに対する対応する無線品質測定値(ここでは、例えば、「Squal」、「Srxlev」)が対応するしきい値(ここでは、例えば、「SIntraSearchP」、「SIntraSearchQ」、「SnonIntraSearchP」、「SnonIntraSearchQ」)よりも大きい場合に満たされる、特定の無線品質関連測定緩和基準に基づいている。
【0077】
現在のRRM節電研究は、RRM測定の電力消費を追加的に低減することを可能にする方法を扱い、RRC測定の緩和を実装する方法を定義することを模索している。3GPP LTEにすでに採用されているいくつかの緩和ソリューションは、5G NRにおける測定緩和の改善方法について検討するための出発点として使用することができる。
【0078】
例えば、5G NRのための1つのさらなる緩和は、LTEにおいて実装されているように、特定の期間中のサービングセル品質変化の量に基づくものでもあって、したがって、静止UEに対する大幅な測定緩和を効果的に可能にするということもあり得る。
【0079】
しかし、本発明者らは、同じまたは類似のLTEソリューションを5G NRに適用することは、欠点を有することになり、NR UEが、節電しつつ同時にUEのモビリティを可能にするのに最適ではないであろうことを確認した。
【0080】
例えば、LTE UEに使用されるいくつかの測定緩和ルール(例えば、周波数内測定の場合:Srxlev>SIntraSearchPおよびSqual>SIntraSearchQ、周波数間およびRAT間測定の場合:Srxlev>SnonIntraSearchPおよびSqual>SnonIntraSearchQ)は、UEが、サービングセル無線品質が十分に高い場合、隣接無線セルで測定を実行しないことを選択することを可能にする。言い換えると、UEは、セル端に存在しない場合、隣接無線セル測定を全く実行しないことを許可される。しかし、このことは、(モビリティが高いため)短時間でセル端に移動することができる高モビリティUEにとって問題となり得る、なぜなら、このような場合、測定が欠落しているためにタイムリーにセル選択/セル再選択が実行されないことがあるからである。これは、モビリティ性能に悪影響を及ぼす。このような問題は、5G NR FR2(周波数範囲(Frequency Range)2は、FR1の帯域よりも短い範囲を提供するが、それよりも高い利用可能な帯域幅を提供する、24.25GHzから52.6GHzまでのミリメートル周波数帯域を含む)の場合に、より頻繁に起こり得る、なぜなら、セルサイズが通常小さいため、高モビリティUEがセル中央からセル端に非常に短い時間で移動する可能性が高いからである。
【0081】
一方、セル端(例えば、サービングセル無線品質がしきい値未満である)にあるUEは、測定要件を緩和することを許可されない。これは、非静止ではあるが、低モビリティUEであり、したがって、節電することを全く許可されない、UEの場合にも当てはまる。しかし、これは、低モビリティUEに適用される場合に最適であるかは分からない。したがって、これにより、低モビリティUEは、低モビリティのためにモビリティ目的での測定結果を必要としないであろうにもかかわらず、不必要に電力を消費する。
【0082】
まとめると、現在のソリューションは、サービングセル品質およびUEの静止/非静止属性を互いに独立して考慮し、これが、上記の欠点をもたらす理由の1つである。要するに、サービングセル品質が十分に良好であれば、UEは、自己のモビリティのレベルに関係なく、測定を実行しないことを許可される。一方、UEが静止しており十分に移動していなければ、そのUEは、セル内の自己の位置に関係なく、測定を実行しないことが許可される。
【0083】
図6は、UEモビリティ状態とサービングセル品質の関係およびその結果として得られるUEの測定要件を、単純化した例示的な方法で示す図である。x軸上には、UEのモビリティ状態が示され、静止UEと非静止UEとが区別されている。y軸上には、UEによって経験されたサービングセル品質が示され、セル端にある(例えば、しきい値(ここでは、S1と呼ぶ)未満)UEと、セル端にない(例えば、セル中央、しきい値S1を超える)UEとが区別されている。
【0084】
図6に示すように、LTE(および完全に採用されれば5G NRにも)のためのソリューションは、静止UEが、基本的に常に、隣接セル測定を実行しないことを許可されることを提供する。一方、サービングセル無線品質に基づく測定緩和は、しきい値S1に応じて
図6に示されている。説明を容易にするために、1つのしきい値S1(Srxlev(RSRP)またはSqual(RSRQ)またはSrxlevとSqualの仮想的な組み合わせであり得る)のみを使用して、サービングセル品質に基づく測定緩和を概念的に視覚化する。明らかなように、サービングセル品質がしきい値S1を超えるUEは、隣接セル測定を実行しないことが許可される。
【0085】
本発明者らは、5G NR測定緩和のための現在想定されているソリューションは、UEの2つの動作、1)測定する、または、2)測定しない、を区別するだけであることを確認した。これは、かなり制限的であり、UE電力消費の最適化を困難にする。よりきめ細かい制御メカニズムが有益であろう。
【0086】
さらに、本発明者らは、5G NR測定緩和のための現在想定されているソリューションは、UEのビリティを、静止対非静止の二元的方法で区別するだけであり、UEの位置を、セル端対非セル端の二元的方法で区別するだけであることを確認した。再び、これは、かなり制限的であり、UE電力消費の最適化を困難にする。よりきめ細かい制御メカニズムが有益であろう。
【0087】
これに対応して、UEによって実行される測定手順、具体的には、UEに節電する機会を与えるために測定要件を緩和する方法についての測定手順を改善する必要がある。測定手順を改善することによって、上記確認した問題のうちの1つ以上を克服することが容易になり得る。
【0088】
以下、このようなニーズを満たすUE、基地局、および手順について、5G移動通信システムに向け想定される新しい無線アクセス技術のために説明するが、これは、LTE移動通信システムにおいても使用され得る。また、さまざまな実装形態と変更例についても説明する。以下の開示は、上記の議論および発見によって促進されたものであり、例えば、少なくともその一部に基づくものであり得る。
【0089】
一般に、本開示の基礎となる原理を明瞭かつ理解しやすく説明できるように、本明細書には多くの仮定がなされていることに留意されたい。しかし、これらの仮定は、本開示の範囲を制限しない、説明を目的として本明細書になされた単なる例として理解されたい。当業者には、以下の開示の原理および特許請求の範囲に記載されている原理を、さまざまなシナリオに、本明細書に明示的に記載されていない方法で適用できることが認識されるであろう。
【0090】
さらに、以下で使用する手順、エンティティ、レイヤなどの用語のいくつかは、たとえ次の3GPP 5G通信システムのための新しい無線アクセス技術のコンテクストで使用される具体的な用語がまだ完全には決定されておらず、または最終的に変更される可能性があるにもかかわらず、LTE/LTE-Aシステムに、または、現在の3GPP 5G標準化で使用される用語に密接に関係している。したがって、用語は、実施形態の機能に影響を及ぼすことなく、将来変更され得る。そのため、当業者は、実施形態およびその保護範囲が、他にもっと新しい用語または最終的に合意された用語がないために本明細書で例示的に使用される特定の用語に限定されるべきではなく、本開示の機能および原理の基礎となる機能および概念の観点からより広く理解されるべきであることを認識する。
【0091】
例えば、移動局(mobile station)または移動ノード(mobile node)またはユーザ端末(user terminal)またはユーザ機器(UE:user equipment)は、通信ネットワーク内の物理エンティテイ(物理ノード)である。1つのノードは、いくつかの機能エンティティを有し得る。機能エンティティは、同じもしくは他のノードまたはネットワークの他の機能エンティティに所定の機能セットを実装および/または提供するソフトウェアまたはハードウェアモジュールを指す。ノードは、当該ノードの通信を可能にする通信設備または媒体に当該ノードを接続する1つ以上のインタフェースを有し得る。同様に、ネットワークエンティティは、他の機能エンティティまたは対応するノードとの通信を可能にする通信設備または媒体に機能エンティティを接続する論理インタフェースを有し得る。
【0092】
本明細書で「基地局(base station)」または「無線基地局(radio base station)」という用語は、通信ネットワーク内の物理エンティティを指す。移動局と同様に、基地局は、いくつかの機能エンティティを有し得る。機能エンティティは、同じもしくは他のノードまたはネットワークの他の機能エンティティに所定の機能セットを実装および/または提供するソフトウェアまたはハードウェアモジュールを指す。当該物理エンティティは、1つ以上のスケジューリングおよび設定を含む、通信デバイスに関するいくつかの制御タスクを実行する。また、基地局機能および通信デバイス機能は、単一のデバイス内に統合されてもよいことに留意されたい。例えば、移動端末は、他の端末のための基地局の機能も実装し得る。LTEで使用される用語は、eNB(またはeNodeB)であり、一方、5G NRで現在使用されている用語は、gNBである。
【0093】
図7は、ユーザ機器(通信デバイスとも呼ばれる)およびスケジューリングデバイス(ここでは、例示的に、基地局内、例えば、eLTE eNB(代替的にng-eNBと呼ばれる)内または5G NRのgNB内に位置するものとされる)の一般的で簡略化された例示的なブロック図を示す。UEおよびeNB/gNBは、それぞれ送受信機を使用して、(無線)物理チャネルを通じて互いに通信している。
【0094】
通信デバイスは、送受信機および処理回路を有し得る。次に、送受信機は、受信機および送信機を有し、および/または、受信機および送信機として機能し得る。処理回路は、例えば、1つ以上のプロセッサまたは任意のLSIなど、1つ以上のハードウェアであり得る。送受信機と処理回路の間には、入出力点(またはノード)があり、これを通じて処理回路は、動作中、送受信機を制御し、つまり、受信機および/または送信機を制御し、受信/送信データを交換することができる。送受信機は、送信機および受信機として、1つ以上のアンテナ、増幅器、RF変調器/復調器などを含むRF(無線周波数)フロントを含み得る。処理回路は、当該処理回路によって提供されるユーザデータおよび制御データを送信するように、および/または、当該処理回路によってさらに処理されるユーザデータおよび制御データを受信するように送受信機を制御することなどの制御タスクを実装し得る。また、処理回路は、例えば、判断、決定、計算、測定などの他のプロセスを実行することを担当し得る。送信機は、送信するプロセスおよびこれに関連する他のプロセスを実行することを担当し得る。受信機は、受信するプロセスおよびこれに関連する他のプロセス(例えば、チャネルを監視することなど)を実行することを担当し得る。
【0095】
以下、隣接セルに対する無線測定を実行する方法および実行しない方法に関する改善された測定手順について説明する。
【0096】
図8は、改善された測定手順の1つのソリューションによる単純化した例示的なUE構造を示し、
図7に関連して説明した一般的なUE構造に基づいて実装することができる。この図に示すUEのさまざまな構造要素は、例えば、制御データおよびユーザデータならびに他の信号を交換するために、例えば、対応する入出力ノード(図示せず)を用いて、互いに相互接続することができる。説明のために図示しないが、UEは、さらなる構造要素を含み得る。
【0097】
図8から明らかなように、UEは、UEモビリティ状態決定回路、サービングセル測定数量決定回路と、測定緩和決定回路、ならびに無線測定を実行する受信機および処理回路を含み得る。
【0098】
したがって、以下の開示から明らかになるように、この場合、処理回路は、UEに対して複数のモビリティ状態の中から1つを決定すること、サービング無線セルの1つ以上の無線測定量を決定すること、1つ以上の隣接無線セル上での無線測定を緩和するか否かを決定すること、および1つ以上の隣接無線セル上で無線測定を実行することなどのうちの1つ以上を少なくとも部分的に実行するように例示的に構成することができる。
【0099】
したがって、受信機は、1つ以上の隣接無線セル上で無線測定を実行することなどのうちの1つ以上を少なくとも部分的に実行するように例示的に構成することができる。
【0100】
さらに以下でより詳細に説明する1つのソリューションは、以下を含むUEによって実装される。UEのプロセッサは、UEに対して複数のモビリティ状態の中から1つを決定し、複数のモビリティ状態は、少なくとも3つの異なるモビリティ状態を含む。プロセッサは、さらに、UEが位置するサービング無線セルの1つ以上の無線測定数量を決定する。プロセッサは、さらに、UEの決定されたモビリティ状態と、サービング無線セルの決定された1つ以上の無線測定数量とに基づいて、1つ以上の隣接無線セル上での無線測定を緩和するか否かを決定する。UEの受信機およびプロセッサは、プロセッサが1つ以上の隣接無線セル上での無線測定を緩和しないと決定した場合、無線測定要件に従って1つ以上の隣接無線セル上で無線測定を実行する。
【0101】
上記のUEに沿った例示的なUE動作の対応するシーケンス図を
図9に示す。
【0102】
これに対応して、少なくとも以下の利点を容易にする、例示的な改善された隣接セル測定方法を実行するUEが提供される。UEには少なくとも3つの異なるモビリティ状態が存在するために、また、隣接セル測定を緩和するか否かの決定がUEのモビリティ状態および無線測定数量に依存するために、従来技術のソリューションについて確認された制約は、解決される。したがって、隣接セル測定緩和をより正確に適用することができ、これにより、最適な節電を容易にすると同時にUEのサポートされたモビリティにわずかな悪影響しか与えない。
【0103】
以下、上記のソリューション、ならびに上記のソリューションの変形例およびさらなる改善例について、より詳細に説明する。
【0104】
改善されたハンドオーバ手順についてのソリューションの以下の説明のために、本明細書ではいくつかの基本的な仮定を例示的にしている。例えば、UEは、1つ以上の隣接無線セル上で無線測定を実行するようにすでに構成され、サポートするものと仮定される。以下、一部の説明は、主に5G NR通信システムに関して行われているが、改善された測定手順は、LTEまたはLTE-A通信システムにも適用可能である。さらに、5G NRに対する(LTEに対しても)現在の3GPP規格の実装を検討する際に、UEは、RRC_IdleまたはRRC_Inactive状態にあり、キャンプオンする適切なまたはより良好なセルを見つけるために隣接無線セルの無線測定を実行するための要件を伴うセル選択またはセル再選択を実行するものと仮定される。したがって、UEは、ネットワークとアクティブに通信しておらず、UEは、緩和された測定要件により、通信中断を経験しないことがある。逆に、RRC_Connected状態にあるUEに対しては、以下の改善された測定手順および緩和を適用する必要はなく、むしろ、接続中断を招かないために、測定要件を少しも緩和するべきではない。しかし、以下では仮定しないが、改善された測定手順は、接続状態にあるUEにも適用し得る。
【0105】
さらに、対応する無線測定数量に反映され得る、各無線セル品質を反映するパラメータを取得するために、隣接セルおよびサービングセル上での無線測定を実行することができる。無線測定数量は、UEに対して設定することができ、例えば、RSRP(基準信号受信電力:Reference Signal Received Power)、RSRQ(基準信号受信品質:Reference Signal Received Quality)、および信号対干渉ノイズ比(SINR:Signal-to-Interference plus Noise Ratio)を含むことができる。
【0106】
上記のソリューションによれば、UEに対して少なくとも3つのモビリティ状態が区別され、そして、隣接セル測定を緩和するか否かを決定するのに使用される。例示的に、改善された測定手順との関連において、UEは、低モビリティ状態、中モビリティ状態、または高モビリティ状態にあることができる。さらに、静止のモビリティ状態も考慮することができるが、これは、改善された測定方法にはあまり関係がない、なぜなら、静止UEに対する隣接セル測定緩和のよりきめ細かい制御は必要ないかもしれないからである(例えば、静止UEは、隣接セル測定を決して実行しない)。それにもかかわらず、改善された隣接セル測定方法は、UEの4つ以上の異なるモビリティ状態が区別される場合にも、適用することができる。しかし、以下では、上記した3つの異なるモビリティ状態(低、中、高)を使用して、改善された隣接セル測定方法の基礎をなす概念について説明する。
【0107】
UEのモビリティ状態は、UEによってさまざまな異なる方法で決定することができる。例えば、以下の情報およびパラメータを決定して、UEのモビリティ状態を決定するのに使用することができる。
【0108】
第1の例として、適切な過去の期間におけるセル再選択の数を分析することができる。この点に関して、時間量および1つ以上のしきい値が、UEに対して設定される。一般に、セル再選択の数が多くなるほど、UEのモビリティレベルは高くなるものと仮定される。1つの例示的な実装形態によれば、2つのしきい値(つまり、中しきい値および高しきい値)を定義することができる。この場合、UEのセル再選択の数が中しきい値未満であれば、UEは低モビリティ状態(または、非特許文献10で使用される通常モビリティ状態)にあると決定することができ、UEのセル再選択の数が中しきい値を超えるが高しきい値未満であれば、UEは中モビリティ状態にあると決定することができ、UEのセル再選択の数が高しきい値を超えれば、UEは高モビリティ状態にあると決定することができる。代替的または追加的に、セル再選択の数に基づいて異なるモビリティ状態を区別するために、異なる期間を定義することができる。
【0109】
セル再選択の数と同様の基準は、過去の期間におけるビーム変化の数である。再び、ビーム変更の数が多くなるほど、UEのモビリティは高くなるものと仮定される。1つの例示的な実装形態によれば、2つのしきい値(つまり、中しきい値および高しきい値)を定義することができる。この場合、UEのビーム変化の数が中しきい値未満であれば、UEは低モビリティ状態にあると決定することができ、UEのビーム変化の数が中しきい値を超えるが高しきい値未満であれば、UEは中モビリティ状態にあると決定することができ、UEのビーム変化の数が高しきい値を超えれば、UEは高モビリティ状態にあると決定することができる。代替的または追加的に、ビーム変化の数に基づいて異なるモビリティ状態を区別するために、異なる期間を定義することができる。
【0110】
UEのモビリティ状態を決定する他の基準は、過去の期間におけるサービングセルの無線測定数量に関するフェージング状況である。ここでは、UEが移動すると、受信信号強度が多かれ少なかれ変化するものと仮定される。したがって、特定の時間中の変化量は、UEの異なるモビリティ状態を区別することを可能にする。例えば、そのような変化が比較的短時間で生じれば、UEは高モビリティ状態にあると考えることができ、一方、中モビリティ状態にあるUEは、同じ時間量の間の変化が少ないか、または、より長い時間量の間に同様の変化を経験するものと定義されることになる。最後に、低モビリティのUEは、関連する無線測定数量(サービングセル信号強度を反映する)にわずかな変化しか経験しないであろう。したがって、特定の例示的な実装形態によれば、サービングセル信号強度および/または期間の変化量に対する適切なしきい値を定義して、UEのモビリティ状態を区別するのに使用することができる。
【0111】
さらに、モビリティ状態は、過去の期間中のUEの位置情報から導出することができる。位置情報は、例えば、UEが監視できるGPS(全地球測位システム:Global Positioning System)信号から取得することができる。例えば、位置情報に基づいて、UEは、自己の移動速度を決定し、したがって、移動速度用の適切なしきい値を使用してモビリティ状態を導出することができる。
【0112】
さらなる基準によれば、UEは、UEの特性に基づいて特定のモビリティ状態にあると定義される。例えば、車両に搭載されたUEは、定義上、高モビリティUEと見なすことができる。これに対応して、そのような車両UEは、車両およびUEがかなり長い間移動していないにしても、高モビリティUEであろう。例えば、履歴記録(例えば、ログファイル)が、UEが常に異なるセルに現れることを示していれば、このようなUEは、高モビリティUEと見なすことができる。このような基準は、UEが測定を繰り返し実行することを必要としないという利点を有する。
【0113】
UEのモビリティ状態を決定するために使用され得る他の基準は、UEのタイプに基づく。例えば、超高信頼・低遅延通信(URLLC:Ultra-Reliable Low-Latency Communication)をサポートするかまたはアクティブに使用するUEは、高モビリティUEであると定義し得る、なぜなら、低遅延通信のUEに対しては隣接セル測定の緩和を避けるべきであるからである。例えば、ミッションクリティカルサービス(Mission Critical Service)を実行するように構成されたUE(つまり、UEのアクセスアイデンティティ(Access Identity)が2に等しい)は、高モビリティUEであると定義し得る、なぜなら、その種のUEにとって節電は重要な側面ではないからである(代わりに、モビリティ性能は、重要な側面である)。再び、UEは、自己のモビリティ状態を導出するために、何ら測定および複雑な決定を繰り返し実行する必要はない。
【0114】
UEは、上記した基準のうちの1つまたはいくつかの組み合わせに基づいて、自己のモビリティ状態を決定することができる。
【0115】
上記したステップのうちの1つは、UEが、自己が位置するサービングセルの1つ以上の無線測定数量を決定することであり、ここで、無線測定数量は、例えば、RSRP、RSRQ、またはSINRであり得る。無線測定は、例えば、サービング基地局によって送信された参照信号に対して実行することができる。
【0116】
また、改善された隣接セル測定手順は、可能であれば、隣接セル測定を緩和することによって、UEに節電する機会を与えなければならない。改善された隣接セル測定手順の例示的な実装形態によれば、隣接セル測定の緩和は、隣接セル測定を全く実行しないか、または、緩和された無線測定要件に従って隣接セル測定を実行するかのいずれかによって達成することができる。隣接セル測定を実行しないことは、UEにおける節電の可能性を最大化するが、モビリティをサポートし、したがって、セル再選択を遅延させることに害を及ぼし得る。一方、緩和された無線測定要件の概念を導入することは、節電の利点と緩和された測定の悪影響との間の構成可能なトレードオフを提供することを可能にする。例えば、通常の、緩和されていない無線測定要件は、UEが、少なくとも特定の期間ごとに(例えば、少なくとも1秒ごとに1回)隣接セル測定を実行することを必要とする。このような場合、緩和された無線測定要件は、UEが、緩和されていない要件と比較して、より少ない頻度で(例えば、少なくとも5秒ごとに1回)実行されるように隣接セル測定を緩和することを可能にし得る。したがって、隣接セル測定を実行するかまたは実行しないかという二元的な緩和選択とは対照的に、節電する現実世界の必要性および機会を正当に考慮して、UEに対する隣接セル測定の緩和をより正確に制御することができる。
【0117】
1つの例示的な実装形態によれば、このような、緩和された測定要件に基づく無線測定要件の相対的緩和は、緩和されていない通常の無線測定要件と組み合わせて使用されるべき倍率(scaling factor)を定義することによって達成することができる。緩和された測定が、緩和されていない測定による1秒ごとと比較して5秒ごとに実行される上記の使用例では、倍率は5となる。
【0118】
また、異なるモビリティ状態において異なる倍率がUEによって使用されるように、相対的緩和をUEのモビリティ状態に依存させることもできる。例えば、高モビリティUEの場合、倍率は、測定の緩和が小さく、したがって、高モビリティUEのモビリティへの悪影響が制限されるように、むしろ小さくすべきである。一方、低モビリティUEに対しては、低モビリティUEのモビリティへの悪影響の増加リスクが低く、より高い節電を達成するために、倍率を高くし得る。
【0119】
さらに、相対的緩和は、サービングセル(例えば、セル内のUEの位置を反映する)の無線測定に依存させることもできる。例えば、サービングセルの信号強度が高いと決定されたUE(例えば、UEがセル中央にある)は、無限大(∞)の倍率を使用し得る(隣接セル測定を実行する必要がないことを意味する)。自己のサービングセルの信号強度が中程度であると決定されたUE(例えば、UEが、非セル端のケースではあるが、セル中央にはない)は、1よりも大きい(>1)倍率を使用し得る(測定のある緩和が適用されることを意味する)。自己のサービングセルの信号強度が低いと決定されたUE(例えば、UEがセル端にある)は、1に等しい(=1)倍率を使用し得る(隣接セル測定の緩和が適用されないことを意味する)。
【0120】
5G NR標準化通信システムにおける1つの可能な例示的な実装形態によれば、対応する測定指示は、隣接セル測定の緩和を実装するためのそのような倍率をサポートするように適合され得る。特に、非特許文献6は、周波数内セル、周波数間セル、およびRAT間セルの測定ルールを提供し(4.2.2.3節、4.2.2.4節、および4.2.2.5節を参照)、それらは、測定用のパラメータを示すテーブルをそれぞれ有する。
【0121】
この実装形態によれば、測定規則およびテーブルを以下のように適合させ得る。
【0122】
周波数内セルの測定および周波数間セルの測定の各テーブルでは、パラメータTmeasure,NR_intraおよびTmeasure,NR_interの長さに影響する倍率N1がすでに使用されている。現在標準化されているように、倍率は、周波数範囲およびDRX周期に依存する。さらに、倍率N1は、上記したようにモビリティ状態またはセル位置に応じて隣接セル測定の緩和を実装する別の倍率kによって適合され得る(N1’=N1*k)。ここで、kは、システム情報においてシグナリングされる正の整数とすることができる。上記に沿って、より多くの追加の緩和倍率を使用する場合、いくつかの係数k1、k2、k3、…を定義することができる。
【0123】
例えば、対応するテーブルは、以下のように適合される。ここでは、Tmeasure,NR_IntraおよびTmeasure,NR_Interの列において、N1パラメータがN1’に置き換えられている。
【0124】
【0125】
【0126】
非特許文献6で現在定義されているRAT間セルの測定は、倍率N1を使用しない。したがって、上記したような改善された測定手順に従って測定緩和を実装するために、追加の倍率kを導入することができる。適合表から明らかなように、Tmeasure,EUTRANの列は、倍率kによって拡張されている。
【0127】
【0128】
改善された隣接セル測定手順は、可能であれば、隣接セル測定を緩和することによって、UEに節電する機会を与えなければならない。したがって、上記のように、改善された方法は、1つ以上の隣接無線セル上での無線測定を緩和するか否かをUEによって決定するステップを含む。この決定は、UEの現在のモビリティ状態と、サービングセル上でUEによって実行される無線測定とに基づいている(したがって、両方に基づいている)。まず、異なる緩和基準(測定された無線品質に関連し、したがって、例示的に無線品質関連測定緩和基準とも呼ばれる)を定義し、次いで、UEのモビリティ状態および測定された無線測定数量の両方に基づいて隣接セル無線測定を緩和するか否かを決定する改善された方法のステップを実装するために、それらの無線品質関連測定緩和基準が追加的にどのようにUEのモビリティ状態に依存するかについて説明する。
【0129】
例示的な実装形態によれば、隣接セル測定を緩和するか否かは、複数の緩和基準のうちの1つ以上が満たされるか否かを決定することによって決定することができる。第1の緩和基準は、サービング無線セルに対する1つ以上の測定された無線測定数量が、過去の期間中に、しきい値量未満に変化したときに満たされる。換言すれば、1つ以上の無線測定数量があまり変化しない場合、隣接セル測定の緩和を適用することができる。無線測定数量は、例えば、RSRP、RSRQ、またはSINRパラメータとすることができる。
【0130】
1つの例示的な実装形態によれば、第1の緩和基準は、1つの無線測定数量(例えば、RSRP、RSRQ、またはSINR)が、対応するしきい値(それぞれ、RSRPベースのしきい値、RSRQベースのしきい値、またはSINRベースのしきい値である)未満に変化するときに満たされる。一方、さらなる実装形態によれば、第1の緩和基準は、2つ以上の無線測定数量(例えば、RSRP、RSRQ、SINRの中の2つ以上)が、対応するしきい値(それぞれ、RSRPベースのしきい値、RSRQベースのしきい値、またはSINRベースのしきい値である)未満に変化するときに満たされる。
【0131】
5G NR標準化通信システムにおける特定の例示的な実装形態によれば、第1の緩和基準は、上記した非特許文献8の5.2.4.12節の緩和された監視ソリューションに類似し得る。したがって、UEは、(SrxlevRef-Srxlev)<S
SearchDeltaPのとき第1の緩和基準が満たされていると決定する。ここで、
【表11】
【0132】
その後、したがって、UEは、この第1の緩和基準がある期間にわたって満たされる場合、隣接セル上で周波数内測定または周波数間測定を実行しないことを選択し得る。
【0133】
上記の第1の緩和基準の代わりに、またはそれに加えて、第2の緩和基準を使用して隣接セル測定を緩和すべきか否かを決定することができ、この第2の緩和基準は、サービング無線セルに対して測定された無線測定数量のうちの1つ以上がそれぞれの数量しきい値よりも大きいときに満たされる。無線測定数量はそれぞれ、例えば、RSRP、RSRQ、またはSINRパラメータとすることができる。例えば、無線測定数量がRSRPであると仮定すると、第2の緩和基準は、測定されたRSRP値と適切なRSRPしきい値との比較を提供する。他の例によれば、第2の緩和基準は、2つ以上の測定された数量とそれぞれのしきい値との比較に基づいており、2つ以上の測定された数量がすべて、それぞれのしきい値を超える場合にのみ、第2の緩和基準は満たされたと見なされる。
【0134】
5G NR標準化通信システムにおける特定の例示的な実装形態によれば、第2の緩和基準は、上記した非特許文献8の緩和ソリューションに類似し得る。例えば、サービングセルが(Srxlev>SIntraSearchPおよびSqual>SIntraSearchQ)を満たす場合、UEは、周波数内測定を実行しないことを選択し得、サービングセルがSrxlev>SnonIntraSearchPおよびSqual>SnonIntraSearchQを満たす場合、UEは、E-UTRAN周波数間またはRAT周波数間セルの測定を実行しないことを選択し得る。例えば、NB IoT UEなど、特定の種類のUEには、他の第2の緩和基準を適用することができる。ここでは、例えば、サービングセルがSrxlev>SIntraSearchPを満たす場合、UEは、周波数内測定を実行しないことを選択し得、サービングセルがSrxlev>SnonIntraSearchPを満たす場合、UEは、周波数間測定を実行しないことを選択し得る。
【0135】
1つの例示的な実装形態によれば、2つの緩和基準はそれぞれ、それ自体で、隣接セル測定が緩和されることを正当化する。代替的な隣接セル測定は、第1の緩和基準および第2の緩和基準の両方が満たされる場合にのみ緩和される。以下、緩和基準のうちの1つを満たせばUEが隣接セル測定を緩和するのに十分であるものと例示的に仮定される。
【0136】
上記したように、改善された測定手順によれば、UEは、無線測定数量およびUEのモビリティ状態の両方に基づいて、隣接セル測定を緩和するかどうかを決定する。これは、後述するように、いくつかの異なる方法で実装することができる。例えば、隣接セル測定の緩和を決定する際に無線測定だけでなくモビリティ状態をも考慮に入れるために、無線品質関連測定緩和基準(上記の例を参照)をUEのモビリティ状態に依存させる。
【0137】
緩和決定の第1の変形例によれば、上記導入した第2の緩和基準(サービング無線セルに対する測定された無線測定数量のうちの1つ以上がそれぞれの数量しきい値よりも大きい場合)を、以下のようにUEのモビリティ状態に依存させる。例えば、高モビリティUEの場合、第2の緩和基準は、決して満たされない。したがって、例えば、UEが自己のサービングセルから非常に良好な信号強度を経験し、対応するしきい値を超えている(例えば、UEがセル中央にある)場合であっても、UEは、自己の隣接セル測定を緩和することを許可されない。これは、モビリティが高モビリティUEに対して悪影響を与えないことを保証し、これにより、結果として節電できないことを受け入れる。一方、第2の緩和基準は、依然として、他のモビリティ状態(例えば、低および中のモビリティ)にあるUEに当然適用可能である。
【0138】
緩和決定のこの第1の変形例によれば、車両に搭載されたまたはURLLCをサポートするUEも、第2の緩和基準に基づいて隣接セル測定を緩和しないと決定する。
【0139】
図10は、
図6と同様に、UEモビリティ状態とサービングセル品質の関係、および、この第1の変形例の緩和決定の結果として、UEによって実行される隣接セル測定を、単純化した例示的な方法で示す図である。緩和は、サービングセル品質に基づいて決定されることが例示的に示されており、サービングセル品質は、無線測定数量(例えば、RSRP、RSRQ、またはSINRなど)のうちの1つまたは組み合わせから導出されるパラメータであると考えることができる。低モビリティ状態および中モビリティ状態は、説明を容易にするために、
図10のx軸に一緒に示してある。同図から明らかなように、高モビリティUEは、隣接セル測定を緩和することによって節電する機会を有しない、なぜなら、第2の緩和基準は、高モビリティUEには適用されないからであり(第1の変形例の説明を参照)、また、たとえ追加的に適用されたとしても、第1の緩和基準は、UEが高モビリティ状態にある(サービングセル信号強度が頻繁にかつ連続的に変化する)ため、満たされない可能性が高いからである。一方、測定緩和は、低モビリティ状態または中モビリティ状態のUEに対しては、つまり、第2緩和基準が満たされる場合、ここでは
図10において、例えば、サービングセル無線品質(これは、RSRP、RSRQ、SINRのうちの1つまたは組み合わせである)が対応するしきい値S1を超える場合には、依然として可能である。
【0140】
緩和決定の第2の変形例によれば、上記導入した第2の緩和基準(サービング無線セルに対する測定された無線測定数量のうちの1つ以上がそれぞれの数量しきい値よりも大きい場合)を、以下のようにUEのモビリティ状態に依存させる。特に、第2の緩和基準は、測定された無線測定数量とそれぞれの数量しきい値との比較に基づいている。緩和決定のこの第2の変形例によれば、それぞれの数量しきい値は、モビリティ状態によって異なる値を有することができる。これは、別の言い方をすれば、モビリティ状態によって異なるしきい値が適用されるということであり得る。
【0141】
例えば、高モビリティ状態のUEの場合、第1の値は、第2の緩和基準の数量しきい値に使用され、一方、他のモビリティ状態(例えば、低モビリティ状態または中モビリティ状態)のUEの場合、第2の値は、第2の緩和基準の数量しきい値に使用される。第1の値は、この数量しきい値の第2の値よりも大きく、その結果、高モビリティ状態のUEは、サービングセル強度が例外的に良好である(例えば、UEがちょうどセル中央にある)場合にのみ、測定緩和を実行する。したがって、高モビリティUEは、隣接セル測定を緩和する可能性が低く、これにより、このような高モビリティUEのモビリティが測定緩和によって悪影響を受けるリスクが低減される。
【0142】
緩和決定のこの第2の変形形態によれば、車両に搭載されたまたはURLLCをサポートするUEも、第2の緩和基準に基づいて隣接セル測定を緩和するかどうかを決定するために、大きい方の数量しきい値を使用する。同様に、カバレージ拡張UE(CAT-M1)は、数量しきい値のさらに別の異なる値S1および/またはS2を使用することができる、なぜなら、通常のUEに使用されるS1およびS2の値は、著しく低いサービングセル信号強度で確実に通信することができるカバレージ拡張UEには適していないからである。これに対応して、カバレッジ拡張UEによって適用される数量しきい値のS1_CEおよびS2_CEは、他のUEによって適用される数量しきい値のS1値およびS2値よりもそれぞれ小さくすることができる。
【0143】
緩和決定のこの例示的な第2の変形例の結果を
図11に示す。
図11は、UEモビリティ状態とサービングセル品質の関係、および、UEによって実行される、結果としての隣接セル測定を、単純化した例示的な方法で示している。図を単純化するために、1つの無線測定数量が1つの適切な数量しきい値と比較されるように、第2の緩和基準が1つの無線測定数量(これはRSRP、RSRQ、またはSINRである)のみに基づいて決定されるものと例示的に仮定される。この第2の変形例によれば、数量しきい値は、UEのモビリティ状態に応じて使用される2つの異なる値S1およびS2を有する。第1の値S1は、高モビリティUEによるしきい値に使用され、第2の(小さい方の)値S2は、低モビリティUEおよび中モビリティUEによるしきい値に使用される。
【0144】
緩和決定の上記第2の変形例は、1つの無線測定数量のみを考慮する第2の緩和基準に基づいて、
図11に例示されている。しかし、概念的には、緩和決定の第2の変形例は、それぞれの数量しきい値に対してそれぞれ異なるモビリティ状態依存値を提供することによって、第2の緩和基準が2つ以上の無線測定数量を考慮する場合にも適用することができる。
【0145】
さらに、緩和決定の上記第2の変形例は、1つの数量しきい値に対して2つの異なる値のみを有する(ここでは、一方は高モビリティUE用であり、他方は残りのモビリティ状態のUE用である)という仮定に基づいて
図11に例示されている。しかし、概念的には、緩和決定の第2の変形例は、識別されるべき各モビリティ状態に対して1つの数量しきい値を対応して提供することによって、より多くのモビリティ状態を識別する場合にも適用することができる。
【0146】
上記導入した第2の緩和基準(サービング無線セルに対して測定された無線測定数量のうちの1つ以上がそれぞれの数量しきい値よりも大きい場合)をUEのモビリティ状態に厳密に依存させる代わりに、改善された測定手順のさらなるソリューションは、前述の緩和された無線測定要件の概念に依拠する。このようなソリューションは、すべてのUEに対して、それらのモビリティ状態に関係なく、同じ方法で第2の緩和基準に基づいて隣接セル測定を緩和するか否かを決定する。しかし、隣接セル測定をどのように緩和すべきかは、UEのモビリティ状態に依存する。例えば、高モビリティ状態のUEは、隣接セル測定を完全に緩和しない(例えば、隣接セル測定を全く実行しない)のではなく、むしろ、例えば、あまり頻繁には隣接セル測定を実行しないことによって、緩和された無線測定要件に従って隣接セル測定を実行する(緩和された測定要件に関する上記の説明を参照)。一方、低モビリティUEおよび中モビリティUEは、隣接セル測定を緩和すると決定する際に、隣接セル測定を全く実行しない。
【0147】
このソリューションの結果を
図12に示す。
図12は、UEモビリティ状態とサービングセル品質の関係、および、UEによって実行される、結果としての隣接セル測定を、単純化した例示的な方法で示している。緩和は、サービングセル品質に基づいて決定されることが例示的に示されており、サービングセル品質は、無線測定数量(例えば、RSRP、RSRQ、またはSINRなど)のうちの1つまたは組み合わせから導出されるパラメータであると考えることができる。低モビリティ状態および中モビリティ状態は、説明を容易にするために、
図12のx軸に一緒に示してある。同図から明らかなように、高モビリティUEは、低モビリティUEおよび中モビリティUEに適用可能なように隣接セル測定を全く実行しないというのではなく、緩和された無線測定要件に基づいて隣接セル測定を緩和する機会を有することになる。それでもなお、これにより、高モビリティUEは、依然として、UEのモビリティへの測定緩和の悪影響を制限しながら、電力消費を低減することができる。
【0148】
図10、
図11、および
図12に関連して提示された上記の変形例およびソリューションは、モビリティが悪影響を受けないことを保証するように、例えば、その点で節電の機会を犠牲にするように、高モビリティUEに対する測定緩和を最適化する。
図6について想定される測定手順と比較して、
図10、
図11、および
図12の上記の変形例およびソリューションは、異なる利点および欠点を提供する。例えば、
図10のソリューションは、高モビリティUEのモビリティへの悪影響が最も少ないが、高モビリティUEに節電機会を提供することはできない。
図11のソリューションは、サービングセルから非常に良好な信号強度を経験する場合にのみ、高モビリティUEに節電の機会を与えることと引き換えに、高モビリティUEのモビリティに悪影響を与えるリスクを取る。さらに、
図12のソリューションは、隣接セル測定を緩和すると決定する際にUEが従わなければならない緩和された無線測定要件を適切に定義することによって、節電と、高モビリティUEのモビリティへの悪影響の管理との間の構成可能なトレードオフを見つけることに大きな柔軟性を提供する。
【0149】
図10、
図11、および
図12に関連して提示された上記のソリューションは、高モビリティUEに対する緩和手順の最適化に焦点を当てているが、以下のソリューションは、低モビリティUEに対する緩和手順の最適化に焦点を当てている。例えば、低モビリティ状態のUEの場合、すでに前述した第1の数量しきい値よりも小さい値を有する追加の第2の数量しきい値が、第2の緩和基準のために定義される。このような追加の第2の数量しきい値は、中モビリティUEにも高モビリティUEにも使用される必要はない。
【0150】
その結果、低モビリティUEは、サービングセルの測定された信号強度を2つのしきい値と比較して、隣接セル測定を緩和するかどうかとどのように緩和するかを決定する。特に、サービング無線セルの信号強度が、この第2の小さい方の数量しきい値よりも大きいが、依然として既知の数量しきい値よりも小さい場合、UEは、緩和された無線測定要件に従って隣接セル測定を実行することによって、隣接セル測定を緩和すると決定する(緩和された測定要件に関する詳細については上記を参照)。UEは、信号強度が第1の大きい方の数量しきい値よりも大きい(したがって、第2の数量しきい値よりも大きい)と決定した場合、隣接セル測定をより大幅に緩和して、隣接セル測定を全く実行しないと決定し得る。
【0151】
このソリューションの結果を
図13に示す。
図13は、UEのモビリティ状態とサービングセル品質の関係、および、UEによって実行される、結果としての隣接セル測定を、単純化した例示的な方法で示している。説明を容易にするために、中モビリティUEおよび高モビリティUEは、
図13に一緒に示してある。同図から明らかなように、低モビリティUEでは緩和機会が異なり、低モビリティUEは、追加の第2しきい値(ここでは、
図13のS3)においてすでに測定緩和を実行することができる。したがって、低モビリティUEは、より多くの電力を節約することができる。
【0152】
図13に例示される上記ソリューションは、1つの無線測定数量のみを考慮する第2の緩和基準に基づいている。しかし、概念的には、このソリューションは、それぞれの測定数量に対してそれぞれ異なる第2の数量しきい値を提供することによって、第2の緩和基準が2つ以上の無線測定数量を考慮する場合にも適用することができる。
【0153】
さらに、
図13に例示される上記ソリューションは、低モビリティUEに対して1つの追加的数量しきい値のみを有するという仮定に基づいている。しかし、概念的には、このソリューションは、それぞれの第1の数量しきい値に加えて、各モビリティ状態に対して追加の第2の数量しきい値を対応して提供することによって、より多くのモビリティ状態にも適用することができる。
【0154】
高モビリティUEに対する測定緩和の最適化について
図10、
図11、および
図12に関連して説明し、一方、
図13を使用して低モビリティUEに対する測定緩和の最適化方法について説明した。上記したこれらの最適化は、個別に、スタンドアロンとして説明した。しかし、これら2つの最適化方式は、低モビリティUEおよび高モビリティUEの両方のための最適化された測定緩和手順を提供するように組み合わせることもできる。
図14は、
図10に関して提示されたソリューションと、
図13に関して提示されたソリューションとの組み合わせを示している。したがって、同図から明らかなように、隣接セル測定の緩和は、高モビリティUEには提供されず、しきい値S1よりも高いサービングセル品質を経験している中モビリティUEに提供され、また、しきい値S3よりも高いサービングセル品質を経験している低モビリティUEに提供され(ここでは、隣接セル測定を実行することによって、但し、緩和された要件で)、また、しきい値S1よりも高いサービングセル品質を経験している低モビリティUEに提供される(ここでは、隣接セル測定を全く実行しないことによって)。
【0155】
このような組み合わせソリューションのこのような例示的な実装形態のUE動作を
図15に提示する。また、UE動作は、上記した第1の緩和基準も考慮に入れる。この第1の緩和基準に従って、サービング無線セルに対する測定された無線測定数量のうちの1つ以上が、過去の期間中、しきい値量(
図15ではV1と称されている)(
図14には示されていない)未満に変化したときに、UEに対して緩和が許可される。
図15の例示的な実装形態に提示されるように、UEは、自己のモビリティ状態に応じて測定緩和手順を適応させ、その結果、高モビリティUEが測定緩和を全く実行しないことを実現するように、また、中モビリティUEがUEのサービングセル品質がしきい値S1を超えるときに測定緩和を実行することを実現するように、また、低モビリティUEが、2つのしきい値S1およびS3(ここで、S1はS3よりも値が大きい)に対してUEのサービングセル品質に応じて緩和を実行することを実現するようにしている。
【0156】
図11および
図12に関して提示されたソリューションそれぞれと、
図13に関して提示されたソリューションとの組み合わせも可能である。
【0157】
図16および
図17は、
図11のソリューションと
図13のソリューションとの組み合わせの例示的な実装形態を示している。
図16は、UEによって経験される特定のサービングセル品質およびUEのモビリティ状態に応じてUEが隣接セル測定緩和を実行するかどうかとどのように実行するかについての概要を示している。
図15と同様に、
図17による例示されたUE動作は、上記した第1の緩和基準も考慮に入れる。この第1の緩和基準に従って、サービング無線セルに対する測定された無線測定数量のうちの1つ以上が、過去の期間中、しきい値量(
図17ではV1と称されている)(
図16には示されていない)未満に変化したときに、UEに対して緩和が許可される。
図17のUE動作は、隣接セル測定を緩和するかどうかとどのように緩和するかを決定するために、無線品質ベースの緩和基準とUEのモビリティ状態との間の相互依存性を示している。これに対応して、高モビリティUEは、サービングセル品質が非常に高い(ここでは、最も大きいしきい値S1を超える)場合にのみ、測定緩和を実行する(実際、測定を全く実行しない)ことが実現される。中モビリティUEの場合には、サービングセル品質が中間のしきい値S2を超えるとき、中モビリティUEが隣接セル測定を実行しないことを許可することによって、測定緩和も提供される。最後に、UEが低モビリティ状態にある場合には、サービングセル品質が最も小さいしきい値S3未満かまたはこのしきい値S3を超えるかがさらに判定される。未満の場合、低モビリティUEは、緩和なしに隣接セル測定を実行し、超える場合(
図17の直前のチェックはサービングセル品質がS2未満であることを保証する)、低モビリティUEは、隣接セル測定のための緩和された要件を使用することによって節電を行うことができる。
【0158】
図18および
図19は、
図12のソリューションと
図13のソリューションとの組み合わせの例示的な実装形態を示している。
図18は、UEによって経験される特定のサービングセル品質およびUEのモビリティ状態に応じてUEが隣接セル測定緩和を実行するかどうかとどのように実行するかについての概要を示している。
図15および
図17と同様に、
図19による例示されたUE動作は、上記した第1の緩和基準も考慮に入れる。この第1の緩和基準に従って、サービング無線セルに対する測定された無線測定数量のうちの1つ以上が、過去の期間中、しきい値量(
図19ではV1と称されている)(
図18には示されていない)未満に変化したときに、UEに対して緩和が許可される。
図19のUE動作(
図15のUE挙動と非常に類似している)は、隣接セル測定を緩和するかどうかとどのように緩和するかを決定するために、無線品質ベースの緩和基準とUEのモビリティ状態との間の相互依存性を示している。
【0159】
これに対応して、高モビリティUEは、サービングセル品質が十分に高いとき、例えば、指示されたしきい値S1を超えるとき、緩和された測定要件に従って隣接セル測定を実行することによって、隣接セル測定を緩和することが実現される。また、中モビリティUEも、サービング品質が指示されたしきい値S1を超えるとき、隣接セル測定を緩和することができ、この場合、中モビリティUEは、隣接セル測定を全く実行しないことを許可される。さらに、低モビリティUEの場合、サービングセル品質が最も小さいしきい値S3未満かまたはこのしきい値S3を超えるかがさらに判定される。未満の場合、低モビリティUEは、緩和なしに隣接セル測定を実行し、超える場合(
図19の直前のチェックはサービングセル品質がS1未満であることを保証する)、低モビリティUEは、隣接セル測定のための緩和された要件を使用することによって節電を行うことができる。
【0160】
さらに、UEは、例えば、周波数内測定、周波数間測定、およびRAT間測定など、異なるタイプの隣接セル測定を実行することを要求され得る。改善された隣接セル測定方法は、例えば、各タイプの測定を緩和するか否かを個別に決定することによって、したがって、例えば、各タイプの隣接セル測定に対してそれぞれ異なるルールおよびしきい値を使用することによって、すべての異なるタイプの測定に個別に適用することができる。あるいは、これらの測定タイプのすべてまたはサブセットに対する緩和を、例えば、いくつかの測定タイプを緩和するか否かを一緒に決定することによって、したがって、例えば、同じルールおよびしきい値を使用することによって、一緒に制御することができる。
【0161】
1つの考えられる例示的な実装形態は、LTEに採用されたものと同様であることができる。この場合、周波数間隣接セル測定およびRAT間隣接セル測定の緩和は、同じ無線品質関連測定緩和基準(例えば、1つ以上の無線測定数量SrxlevおよびSqualが、それぞれの数量しきい値SnonIntraSearchP、SnonIntraSearchQを超えているかどうか)を使用して決定され、一方、周波数内隣接セル測定の緩和は、他の無線品質関連測定緩和基準(例えば、1つ以上の無線測定数量SrxlevおよびSqualが、それぞれの数量しきい値SIntraSearchP、SIntraSearchQを超えているかどうか)を使用して個別に決定される。
【0162】
改善された測定方法の上記のソリューションでは、UEは、特定のパラメータおよびしきい値を使用することによって、隣接セル測定を緩和するかどうかとどのように緩和するかを決定するものと仮定される。通常、UEは、隣接セル測定の実行方法について、ネットワーク(例えば、基地局)によって構成される。同様に、しきい値(S1、S2、S3)は、基地局によって同じように決定され、例えば、システム情報ブロードキャストを使用して、UEに通知されることができる。
【0163】
また、上記の改善された測定手順は、例えば、セル再選択の数およびビーム変更の数に対する1つ以上のしきい値、フェージング状況、ならびに位置情報など、特定の情報およびパラメータに基づいて、UEのモビリティ状態を決定することも含む。再び、これらのしきい値は、UEに対して基地局によって構成され、UEに、例えば、そのセル内の基地局によってブロードキャストされたシステム情報で、提供されることができる。
【0164】
さらなる態様
【0165】
第1の態様によれば、ユーザ機器(UE)であって、前記UEに対して複数のモビリティ状態の中から1つを決定するプロセッサであって、前記複数のモビリティ状態が、少なくとも3つの異なるモビリティ状態を含む、プロセッサを有する、ユーザ機器が提供される。前記プロセッサは、前記UEが位置するサービング無線セルの1つ以上の無線測定数量を決定する。前記プロセッサは、前記UEの前記決定したモビリティ状態と、前記サービング無線セルの前記決定した1つ以上の無線測定数量とに基づいて、1つ以上の隣接無線セル上での無線測定を緩和するか否かを決定する。前記UEの受信機および前記プロセッサは、前記プロセッサが前記1つ以上の隣接無線セル上での前記無線測定を緩和しないと決定した場合、無線測定要件に従って前記1つ以上の隣接無線セル上で前記無線測定を実行する。
【0166】
第1の態様に加えて提供される第2の態様によれば、前記プロセッサが前記1つ以上の隣接無線セル上での無線測定を緩和すると決定した場合、前記1つ以上の隣接無線セル上での前記無線測定は、全く実行されず、または、緩和された無線測定要件に従って実行される。前記緩和された無線測定要件は、前記無線測定要件に従うよりも少ない頻度で無線測定を実行することを前記UEに要求する。
【0167】
第1または第2の態様に加えて提供される第3の態様によれば、前記UEの前記複数のモビリティ状態は、低モビリティ状態、中モビリティ状態、および高モビリティ状態を含む。任意選択的な実装形態において、前記プロセッサによる前記UEのモビリティ状態の決定は、以下のうちの1つ以上に基づく、
・過去の期間のセル再選択数、
・過去の期間のビーム変化数、
・過去の期間におけるサービングセルの無線測定数量に関するフェージング状況、
・過去の期間における前記UEの位置情報、
・例えば、UEが車両に搭載されているなど、前記UEの特性、
・例えば、URLLC(Ultra-Reliable Low-Latency Communication)をサポートするUEなど、前記UEのタイプ。
【0168】
第1から第3の態様のうちの1つに加えて提供される第4の態様によれば、前記プロセッサは、複数の無線品質関連測定緩和基準のうちの1つ以上が満たされる場合、前記1つ以上の隣接無線セル上での前記無線測定を緩和すると決定し、前記複数の無線品質関連測定緩和基準は、
・前記サービング無線セルに対する1つ以上の無線測定数量の変化が、過去の期間中、しきい値数量未満であるときに満たされる、第1の無線品質関連測定緩和基準、および
・前記サービング無線セルに対する1つ以上の無線測定数量が、それぞれの第1の数量しきい値よりも大きいときに満たされる、第2の無線品質関連測定緩和基準、
を含む。
【0169】
第4の態様に加えて提供される第5の態様によれば、前記第2の無線品質関連測定緩和基準が満たされるか否かは、前記UEの前記決定したモビリティ状態に依存する。高モビリティ状態にあると決定されたUEに対しては、前記第2の無線品質関連測定緩和基準が満たされることはない。
【0170】
第4の態様に加えて提供される第6の態様によれば、高モビリティ状態にあると決定されたUEに対しては、第1の値が、前記第2の無線品質関連測定緩和基準に関する前記第1の数量しきい値に適用される。残りのモビリティ状態にあるUEに対しては、第2の値が、前記第2の無線品質関連測定緩和基準に関する前記第1の数量しきい値に適用される。前記第1の数量しきい値の前記第1の値は、前記第1の数量しきい値の前記第2の値よりも大きい。
【0171】
第4の態様に加えて提供される第7の態様によれば、高モビリティ状態にあると決定されたUEに対しては、前記第2の無線品質関連測定緩和基準が満たされるとき、緩和された無線測定要件に従って前記1つ以上の隣接無線セル上で前記無線測定を実行する。前記緩和された無線測定要件は、前記無線測定要件に従うよりも少ない頻度で無線測定を実行することを前記UEに要求する。任意選択的な実装形態において、低モビリティ状態または中モビリティ状態にあると決定されたUEに対しては、前記第2の無線品質関連測定緩和基準が満たされているとき、前記UEは、前記1つ以上の隣接無線セル上で前記無線測定を実行する必要はない。
【0172】
第1から第7の態様のうちの1つに加えて提供される第8の態様によれば、低モビリティ状態にあると決定されたUEに対しては、第2の数量しきい値が、前記第2の無線品質関連測定緩和基準に対して定義される。前記サービング無線セルの前記1つの無線測定数量が、前記第2の数量しきい値よりも大きく、前記第1の数量しきい値よりも小さい場合には、緩和された無線測定要件に従って前記1つ以上の隣接無線セル上で前記無線測定が実行される。前記緩和された無線測定要件は、前記無線測定要件に従うよりも少ない頻度で無線測定を実行することを前記UEに要求する。前記サービング無線セルの前記1つの無線測定数量が、前記第1の数量しきい値よりも大きい場合には、前記1つ以上の隣接無線セル上での前記無線測定は実行されない。
【0173】
第1から第8の態様のいずれか1つに加えて提供される第9の態様によれば、前記1つ以上の隣接無線セル上での前記測定はそれぞれ、周波数内測定タイプ、周波数間測定タイプ、および無線アクセス技術間測定タイプの異なるタイプのうちの1つである。前記1つ以上の隣接無線セル上での無線測定を緩和するか否かの前記決定は、隣接無線セル測定のタイプごとに個別に実行され、または、隣接無線セル測定のタイプのすべてもしくはサブセットに対して一緒に実行される。
【0174】
第1から第9の態様のいずれか1つに加えて提供される第10の態様によれば、前記1つ以上の無線測定数量は、以下のうちの1つ以上を含む、
・参照信号受信電力(RSRP:Reference Signal Received Power)数量、
・参照信号受信品質(RSRQ:Reference Signal Received Quality)数量、および
・信号対干渉ノイズ比(SINR:Signal-to-Interference plus Noise Ratio)数量。
【0175】
第11の態様によれば、ユーザ機器(UE)によって実行される以下のステップを有する方法が提供される。前記UEに対して複数のモビリティ状態の中から1つが決定され、前記複数のモビリティ状態は、少なくとも3つの異なるモビリティ状態を含む。前記UEが位置するサービング無線セルの1つ以上の無線測定数量が決定される。前記UEの前記決定したモビリティ状態と、前記サービング無線セルの前記決定した1つ以上の無線測定数量とに基づいて、1つ以上の隣接無線セル上での無線測定を緩和するか否かが決定される。前記UEは、前記1つ以上の隣接無線セル上での無線測定を緩和しないと決定した場合、無線測定要件に従って前記1つ以上の隣接無線セル上で前記無線測定を実行する。
【0176】
第11の態様に加えて提供される第12の態様によれば、前記1つ以上の隣接無線セル上での無線測定を緩和すると決定した場合、前記1つ以上の隣接無線セル上での前記無線測定は、全く実行されず、または、緩和された無線測定要件に従って実行される。前記緩和された無線測定要件は、前記無線測定要件に従うよりも少ない頻度で無線測定を実行することを前記UEに要求する。
【0177】
第11または第12の態様に加えて提供される第13の態様によれば、前記決定するステップは、複数の無線品質関連測定緩和基準のうちの1つ以上が満たされる場合、前記1つ以上の隣接無線セル上での前記無線測定を緩和すると決定する。前記複数の無線品質関連測定緩和基準は、
・前記サービング無線セルに対する1つ以上の無線測定数量の変化が、過去の期間中、しきい値数量未満であるときに満たされる、第1の無線品質関連測定緩和基準、および
・前記サービング無線セルに対する1つ以上の無線測定数量が、それぞれの第1の数量しきい値よりも大きいときに満たされる、第2の無線品質関連測定緩和基準、
を含む。
【0178】
第13の態様に加えて提供される第14の態様によれば、前記第2の無線品質関連測定緩和基準が満たされるか否かは、前記UEの前記決定したモビリティ状態に依存する。高モビリティ状態にあると決定されたUEに対しては、前記第2の無線品質関連測定緩和基準が満たされることはない。
【0179】
第13の態様に加えて提供される第15の態様によれば、高モビリティ状態にあると決定されたUEに対しては、第1の値が、前記第2の無線品質関連測定緩和基準に関する前記第1の数量しきい値に適用される。残りのモビリティ状態にあるUEに対しては、第2の値が、前記第2の無線品質関連測定緩和基準に関する前記第1の数量しきい値に適用される。前記第1の数量しきい値の前記第1の値は、前記第1の数量しきい値の前記第2の値よりも大きい。
【0180】
本開示のハードウェアおよびソフトウェアの実装形態
【0181】
本開示は、ソフトウェア、ハードウェア、またはハードウェアと連携したソフトウェアで実現することができる。上記各実施の形態の説明に用いた各機能ブロックは、部分的または全体的に、集積回路などのLSIによって実現可能であり、また、各実施形態で説明した各処理は、部分的または全体的に、同じLSIまたはLSIの組み合わせによって制御されてもよい。LSIは、チップとして個別に形成されてもよいし、または、機能ブロックの一部または全部を含むように1つのチップが形成されてもよい。LSIは、データ入力とこれに接続されたデータ出力を含んでもよい。ここで、LSIは、集積度の違いにより、IC、システムLSI、スーパーLSI、ウルトラLSIと呼称されることがある。しかし、集積回路を実装する技術は、LSIに限られるものではなく、専用回路、汎用プロセッサ、または専用プロセッサを用いて実現されてもよい。また、LSI製造後にプログラムすることが可能なFPGA(Field Programmable Gate Array)、または、LSI内部に配置された回路セルの接続および設定を再構成可能なリコンフィギャラブル・プロセッサを使用してもよい。本開示は、デジタル処理またはアナログ処理として実現することができる。半導体技術または他の派生技術の進歩の結果として将来の集積回路技術がLSIに取って代わる場合には、その将来の集積回路技術を用いて機能ブロックを集積化することができる。バイオテクノロジーも適用可能である。
【0182】
本開示は、通信装置と呼ばれる、通信機能を有するあらゆる種類の装置、デバイス、またはシステムによって実現することができる。
【0183】
通信装置は、送受信機および処理/制御回路を有し得る。送受信機は、受信機および送信機を有し、および/または、受信機および送信機として機能し得る。送受信機は、送信機および受信機として、増幅器、RF変調器/復調器などを含むRF(無線周波数)モジュール、および1つ以上のアンテナを含み得る。
【0184】
そのような通信装置のいくつかの非限定的な例は、電話機(例えば、携帯電話、スマートフォン)、タブレット、パーソナルコンピュータ(PC)(例えば、ラップトップ、デスクトップ、ノートブック)、カメラ(例えば、デジタル・スチル/ビデオ・カメラ)、デジタルプレーヤー(デジタル・オーディオ/ビデオ・プレーヤー)、着用可能なデバイス(例えば、ウェアラブルカメラ、スマートウォッチ、トラッキングデバイス)、ゲームコンソール、デジタルブックリーダー、テレヘルス/テレメディシン(遠隔ヘルスおよびメディシン)デバイス、通信機能を提供する車両(例えば、自動車、飛行機、船舶)、ならびにそれらのさまざまな組み合わせを含む。
【0185】
通信装置は、持ち運び可能または移動可能なものに限定されず、例えば、スマートホームデバイス(例えば、家電、照明、スマートメーター、コントロールパネル)、自動販売機、その他「IoT(Internet of Things)」のネットワークにおけるあらゆる「物(things)」など、持ち運びできないまたは固定されている、あらゆる種類の装置、デバイス、またはシステムを含み得る。
【0186】
通信は、例えば、セルラーシステム、無線LANシステム、通信衛星システムなどによるデータのやりとり、およびそれらのさまざまな組み合せによるデータのやりとりを含み得る。
【0187】
通信装置は、本開示に記載された通信機能を実行する通信デバイスに接続される、コントローラやセンサなどのデバイスを有し得る。例えば、通信装置は、当該通信装置の通信機能を実行する通信デバイスによって使用される制御信号またはデータ信号を生成するコントローラまたはセンサを有し得る。
【0188】
また、通信装置は、上記の非限定的な例における装置と通信しまたはこれを制御する、インフラストラクチャ設備、例えば、基地局、アクセスポイント、その他あらゆる装置、デバイス、もしくはシステムを含み得る。
【0189】
さらに、様々な実施形態は、ソフトウェアモジュールによって実施してもよく、これらのソフトウェアモジュールは、プロセッサによって実行される、または、ハードウェアにおいて直接実行される。また、ソフトウェアモジュールとハードウェア実装の組み合わせも可能である。ソフトウェアモジュールは、任意の種類のコンピュータ可読記憶媒体、例えば、RAMやEPROM、EEPROM、フラッシュメモリ、レジスタ、ハードディスク、CD-ROM、DVDなどに格納することができる。さらには、複数の異なる実施形態の個々の特徴は、個々に、または任意の組み合わせにおいて、別の実施形態の主題とすることができることに留意されたい。
【0190】
具体的な実施形態に示した本開示には、様々な変更および/または修正を行うことができることが、当業者には理解されるであろう。したがって、本明細書に示した実施形態は、あらゆる点において例示的であり、本発明を制限しないと考えられるべきである。
【国際調査報告】