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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-12-02
(54)【発明の名称】フォトクロミック光学要素
(51)【国際特許分類】
   G02C 7/10 20060101AFI20221125BHJP
   G02F 1/13 20060101ALI20221125BHJP
   G02B 27/02 20060101ALI20221125BHJP
   H04N 5/64 20060101ALI20221125BHJP
   G02C 7/12 20060101ALI20221125BHJP
   G02B 5/23 20060101ALI20221125BHJP
【FI】
G02C7/10
G02F1/13 505
G02B27/02 Z
H04N5/64 511A
G02C7/12
G02B5/23
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022500532
(86)(22)【出願日】2020-09-07
(85)【翻訳文提出日】2022-03-02
(86)【国際出願番号】 US2020049612
(87)【国際公開番号】W WO2021067004
(87)【国際公開日】2021-04-08
(31)【優先権主張番号】62/911,211
(32)【優先日】2019-10-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】16/854,181
(32)【優先日】2020-04-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】515046968
【氏名又は名称】メタ プラットフォームズ テクノロジーズ, リミテッド ライアビリティ カンパニー
【氏名又は名称原語表記】META PLATFORMS TECHNOLOGIES, LLC
(74)【代理人】
【識別番号】110002974
【氏名又は名称】弁理士法人World IP
(72)【発明者】
【氏名】シアーズ, ジャスミン ソリア
(72)【発明者】
【氏名】ジャマリ, アフスーン
(72)【発明者】
【氏名】リー, ユン-ハン
【テーマコード(参考)】
2H006
2H088
2H148
2H199
【Fターム(参考)】
2H006BE02
2H006BE03
2H088EA10
2H088EA32
2H088EA35
2H088HA02
2H088JA03
2H148DA04
2H148DA22
2H148DA24
2H199CA66
2H199CA70
2H199CA75
(57)【要約】
光学要素(200)は、第1の境界層(220)と、第2の境界層(240)とを含む。溶液(230)が、第1の境界層と第2の境界層との間に配置される。溶液は、楕円形フォトクロミック色素分子(233)と混合されている液晶(235)を含む。
【選択図】図2A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シーン側透明境界層と、
眼側透明境界層と、
前記シーン側透明境界層と前記眼側透明境界層との間に配置されている溶液であって、楕円形フォトクロミック色素分子と混合された液晶を含む、溶液と
を備える、光学要素。
【請求項2】
前記液晶は、温度の上昇に応答して漸増的に無秩序になるように構成されており、前記楕円形フォトクロミック色素分子は、前記液晶と配向され、無秩序な前記液晶が増大するにつれて、入来光に対する前記楕円形フォトクロミック色素分子の断面積を増大させるように構成されている、請求項1に記載の光学要素。
【請求項3】
前記楕円形フォトクロミック色素分子は、温度の上昇に応答して前記楕円形フォトクロミック色素分子の吸光の低減を相殺するように前記液晶に適合されることにより、前記光学要素にわたって温度勾配があるときに、前記入来光の透過が前記光学要素にわたってほぼ等しくなる、請求項2に記載の光学要素。
【請求項4】
前記入来光は、前記シーン側透明境界層に対してほぼ垂直に、前記シーン側透明境界層に入射し、前記液晶の長軸は、前記シーン側透明境界層および前記眼側透明境界層に対してほぼ垂直に自己配向される、請求項2に記載の光学要素。
【請求項5】
前記液晶の第1の屈折率は、前記楕円形フォトクロミック色素分子の第2の屈折率に実質的に等しい、請求項1に記載の光学要素。
【請求項6】
前記液晶は、棒状液晶分子である、請求項1に記載の光学要素。
【請求項7】
前記光学要素を含むヘッドマウントデバイスの着用者の眼に画像を提示するように構成されている表示光学要素をさらに含む、請求項1に記載の光学要素。
【請求項8】
ヘッドマウントデバイスであって、
前記ヘッドマウントデバイスがオンになったときに熱を放散する電子装置を含むフレームと、
前記フレーム内に搭載されている光学要素と
を備え、前記光学要素は、前記フレーム内の前記電子装置によって放散される前記熱を受け取り、
前記光学要素は、請求項1から8のいずれか一項に記載の光学要素を含む、ヘッドマウントデバイス。
【請求項9】
第1の透明導電層と、
第2の透明導電層と、
前記第1の透明導電層と前記第2の透明導電層との間に配置されている溶液であって、楕円形フォトクロミック色素分子と混合された液晶を含み、前記第1の透明導電層および前記第2の透明導電層にわたって印加される電圧が、前記第1の透明導電層および前記第2の透明導電層に対する前記液晶の配向を制御する、溶液と
を備える、光学要素。
【請求項10】
前記第1の透明導電層および前記第2の透明導電層にわたる前記電圧が増大すると、前記第1の透明導電層と第2の透明導電層との間の前記液晶の前記配向が増大することによって、前記光学要素を通じた光透過率が増大する、請求項9に記載の光学要素。
【請求項11】
前記液晶は、温度の上昇に応答して漸増的に無秩序になるように構成されており、前記楕円形フォトクロミック色素分子は、前記液晶と配向され、無秩序な前記液晶が増大するにつれて、入来光に対する前記楕円形フォトクロミック色素分子の断面積を増大させるように構成されている、請求項9に記載の光学要素。
【請求項12】
前記楕円形フォトクロミック色素分子は、温度の上昇に応答して前記楕円形フォトクロミック色素分子の吸光の低減を相殺するように前記液晶に適合されることにより、前記光学要素にわたって温度勾配があるときに、前記入来光の透過が前記光学要素にわたってほぼ等しくなる、請求項11に記載の光学要素。
【請求項13】
前記液晶の第1の屈折率は、前記楕円形フォトクロミック色素分子の第2の屈折率に実質的に等しい、請求項9に記載の光学要素。
【請求項14】
前記第1の透明導電層および前記第2の透明導電層は、酸化インジウムスズ(ITO)を含む、請求項9に記載の光学要素。
【請求項15】
ヘッドマウントデバイスであって、
前記ヘッドマウントデバイスがオンになったときに熱を放散する電子装置を含むフレームと、
前記フレーム内に搭載されている光学要素と
を備え、前記光学要素は、前記フレーム内の前記電子装置によって放散される前記熱を受け取り、
前記光学要素は、請求項10から14のいずれか一項に記載の光学要素を含む、ヘッドマウントデバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、参照により本明細書に組み込まれる、2019年10月5日に提出された米国仮特許出願第62/911,211号に対する優先権を主張する。
【0002】
本開示は、一般に、フォトクロミック光学要素、および、フォトクロミック光学要素を含むヘッドマウントデバイスに関する。
【背景技術】
【0003】
フォトクロミックレンズは、一般に度付き眼鏡と度なしサングラスの両方に使用されている。いくつかのフォトクロミックレンズでは、レンズに含まれるフォトクロミック分子が、例えば、紫外光に応答してレンズを通じた入射光の透過を低減する(減光)。しかし、ある種の熱環境では、温度に対してフォトクロミック分子の透明性が変化することにより、フォトクロミックレンズの不均一な減光が容易にわかる場合がある。
【発明の概要】
【0004】
本発明の一態様による光学要素は、シーン側透明境界層と、眼側透明境界層と、シーン側透明境界層と眼側透明境界層との間に配置されている溶液であって、楕円形フォトクロミック色素分子と混合された液晶を含む、溶液とを備える。
【0005】
いくつかの実施形態において、液晶は、温度の上昇に応答して漸増的に無秩序になるように構成されており、楕円形フォトクロミック色素分子は、液晶と配向され、無秩序な液晶が増大するにつれて、入来光に対する楕円形フォトクロミック色素分子の断面積を増大させるように構成されている。
【0006】
いくつかの実施形態において、楕円形フォトクロミック色素分子は、温度の上昇に応答して楕円形フォトクロミック色素分子の吸光の低減を相殺するように液晶に適合され、その結果、光学要素にわたって温度勾配があるときに、入来光の透過が光学要素にわたってほぼ等しくなる。
【0007】
いくつかの実施形態において、入来光は、シーン側透明境界層に対してほぼ垂直に、シーン側透明境界層に入射し、液晶の長軸は、シーン側透明境界層および眼側透明境界層に対してほぼ垂直に自己配向される。
【0008】
いくつかの実施形態において、液晶の第1の屈折率は、楕円形フォトクロミック色素分子の第2の屈折率に実質的に等しい。
【0009】
いくつかの実施形態において、液晶は、棒状液晶分子である。
【0010】
いくつかの実施形態において、光学要素は、光学要素を含むヘッドマウントデバイスの着用者の眼に画像を提示するように構成されている表示光学要素をさらに含む。
【0011】
本発明の別の態様による光学要素は、第1の透明導電層と、第2の透明導電層と、第1の透明導電層と第2の透明導電層との間に配置されている溶液であって、楕円形フォトクロミック色素分子と混合された液晶を含み、第1の透明導電層および第2の透明導電層にわたって印加される電圧が、第1の透明導電層および第2の透明導電層に対する液晶の配向を制御する、溶液とを備える。
【0012】
いくつかの実施形態において、第1の透明導電層および第2の透明導電層にわたる電圧が増大すると、第1の透明導電層と第2の透明導電層との間の液晶の配向が増大することによって、光学要素を通じた光透過率が増大する。
【0013】
いくつかの実施形態において、液晶は、温度の上昇に応答して漸増的に無秩序になるように構成されており、楕円形フォトクロミック色素分子は、液晶と配向され、無秩序な液晶が増大するにつれて、入来光に対する楕円形フォトクロミック色素分子の断面積を増大させるように構成されている。
【0014】
いくつかの実施形態において、楕円形フォトクロミック色素分子は、温度の上昇に応答して楕円形フォトクロミック色素分子の吸光の低減を相殺するように液晶に適合され、その結果、光学要素にわたって温度勾配があるときに、入来光の透過が光学要素にわたってほぼ等しくなる。
【0015】
いくつかの実施形態において、液晶の第1の屈折率は、楕円形フォトクロミック色素分子の第2の屈折率に実質的に等しい。
【0016】
いくつかの実施形態において、第1の透明導電層および第2の透明導電層は、酸化インジウムスズ(ITO)を含む。
【0017】
本発明のさらなる態様によるヘッドマウントデバイスは、ヘッドマウントデバイスがオンになったときに熱を放散する電子装置を含むフレームと、フレーム内に搭載されている光学要素とを備え、光学要素は、フレーム内の電子装置によって放散される熱を受け取り、光学要素は、本明細書に記載の本発明の前述の態様のうちの1つによる光学要素を含む。
【0018】
したがって、一態様によるヘッドマウントデバイスは、ヘッドマウントデバイスがオンになったときに熱を放散する電子装置を含むフレームと、フレーム内に搭載されている光学要素とを備え、光学要素は、フレーム内の電子装置によって放散される熱を受け取り、光学要素は、シーン側透明境界層、眼側透明境界層、およびシーン側透明境界層と眼側透明境界層との間に配置されている溶液であって、楕円形フォトクロミック色素分子と混合された液晶を含む、溶液を備える。
【0019】
いくつかの実施形態において、液晶は、温度の上昇に応答して漸増的に無秩序になるように構成されており、楕円形フォトクロミック色素分子は、液晶と配向され、無秩序な液晶が増大するにつれて、入来光に対する楕円形フォトクロミック色素分子の断面積を増大させるように構成されている。
【0020】
いくつかの実施形態において、楕円形フォトクロミック色素分子は、温度の上昇に応答して楕円形フォトクロミック色素分子の吸光の低減を相殺するように液晶に適合され、その結果、光学要素にわたって温度勾配があるときに、入来光の透過が光学要素にわたってほぼ等しくなる。
【0021】
いくつかの実施形態において、入来光は、シーン側透明境界層に対してほぼ垂直に、シーン側透明境界層に入射し、液晶の長軸は、シーン側透明境界層および眼側透明境界層に対してほぼ垂直に自己配向される。
【0022】
いくつかの実施形態において、液晶の第1の屈折率は、楕円形フォトクロミック色素分子の第2の屈折率に実質的に等しい。
【0023】
いくつかの実施形態において、液晶は、棒状液晶分子である。
【0024】
いくつかの実施形態において、光学要素は、ヘッドマウントデバイスの着用者の眼に画像を提示するように構成されている表示光学要素をさらに含む。
【0025】
本発明の特定の態様に組み込むのに適しているものとして本明細書に記載されている任意の特徴は、本開示のあらゆる態様および実施形態にわたって一般化可能であるように意図されていることが諒解されよう。
【0026】
本発明の非限定的かつ非網羅的な実施形態を以下の図を参照して説明するが、ここで、特に指定されない限り、同様の参照番号は、様々な図全体を通して同様の部分を指す。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】フォトクロミックレンズを含む眼鏡を示す図である。
図2A-2C】本開示の一実施形態による、楕円形フォトクロミック色素分子と混合された液晶の溶液を含む例示的な光学要素を示す図である。
図3A-3C】本開示の一実施形態による、第2の温度における液晶の配向および第2の温度における楕円形フォトクロミック色素分子の透過特性を示す図である。
図4A-4C】本開示の一実施形態による、第3の温度における液晶の配向および第3の温度における楕円形フォトクロミック色素分子の透過特性を示す図である。
図5】本開示の一実施形態による、フォトクロミック光学要素を含むヘッドマウントデバイスを示す図である。
図6】本開示の一実施形態による、フォトクロミック光学要素を含むヘッドマウントディスプレイ(HMD)を示す図である。
図7】本開示の一実施形態による、導波路を含むフォトクロミック光学要素の上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
フォトクロミック光学要素の実施形態が、本明細書に記載されている。以下の説明では、多くの具体的な詳細は、実施形態の徹底的な理解を提供するために、記載されている。しかしながら、関連技術の当業者は、本明細書に記載された技術が、特定の詳細の1つまたは複数なしで、または他の方法、構成要素、材料などを用いて実施され得ることを認識するであろう。他の例では、特定の態様を不明瞭にしないために、周知の構造、材料、または操作は、詳細に図示または説明しない。
【0029】
本明細書全体を通して「1つの実施形態」または「一実施形態」というのは、実施形態に関連して説明された特定の特徴、構造、または特性が本発明の少なくとも1つの実施形態に含まれることを意味する。したがって、本明細書全体を通して様々な箇所における「1つの実施形態では」または「一実施形態では」という句の出現は、必ずしも全てが同じ実施形態を指しているわけではない。さらに、特定の特徴、構造、または特性は、1つまたは複数の実施形態において任意の好適な様式で組み合わせることができる。
【0030】
本開示のいくつかの実施形態において、「ニアアイ」は、ヘッドマウントデバイスまたはヘッドマウントディスプレイ(HMD)などのニアアイ光学デバイスが利用されている間にユーザの眼の35mm以内に配置されるように構成されている光学要素を含むものとして定義され得る。
【0031】
本開示の態様において、可視光は、約380nm~700nmの波長範囲を有するものとして定義され得る。不可視光は、紫外光および赤外光などの、可視光範囲外にある波長を有する光として定義され得る。約700nm~1mmの波長範囲を有する赤外光が、近赤外光を含む。本開示の態様において、近赤外光は、約700nm~1.4μmの波長範囲を有するものとして定義され得る。
【0032】
本開示の態様において、「透明」という用語は、90%よりも大きい光透過率を有するものとして定義され得る。いくつかの態様において、「透明」という用語は、90%よりも大きい可視光透過率を有する物質として定義され得る。
【0033】
本開示の実施形態は、光学要素が熱勾配を有するときのフォトクロミック吸光一貫性を改善することができる。フォトクロミック要素内で使用される吸光色素(フォトクロミック分子)は、それらが温かくなるにつれて、吸光を損失する場合がある。例えば、ヘッドマウントディスプレイ(HMD)内のレンズは、縁部の周りでより高温になることが多く、したがって、フォトクロミックレンズの縁部の周りの吸光は、レンズの撚り低温の中央よりも低い。これに対処するために、楕円形フォトクロミック色素分子を、溶液中で液晶と混合することができる。いくつかの液晶は、熱に応答して配向が無秩序になる。楕円形フォトクロミック色素分子は、無秩序な液晶と配向される傾向にあり得、これによって、入来光に露出される楕円形フォトクロミック分子の露出断面積が増大し得る(吸光が増大する)。光学要素は、楕円形フォトクロミック色素分子が液晶と混合されているフォトクロミックセルを含むことができる。本開示の実施形態において、液晶の無秩序配向特性は、液晶と配向される楕円形フォトクロミック色素分子の露出断面積を増大させることによって、熱によって引き起こされる色素吸光の低減を相殺または部分的に相殺することができる。結果として、光学要素(例えば、フォトクロミックレンズ)は、たとえ光学要素にわたって熱勾配があるときであっても、光学要素にわたる均一または実質的に均一な透過プロファイルを有することができる。
【0034】
1つの実施形態において、フォトクロミック光学要素は、受動的であり、光学要素を通じたより均一な透過を生成するために、楕円形フォトクロミック色素分子と組み合わさった、温度に応答した液晶の無秩序性に依拠する。
【0035】
一実施形態において、光の透過を制御するために、吸光方向を最小化するかまたは吸光方向を最大化するように、光学要素を能動的に駆動するために、1つまたは複数のアクティブシャッタが利用される。アクティブシャッタ実施形態は、液晶と混合されている楕円形フォトクロミック色素分子を含む1つまたは複数のフォトクロミックセルを含むことができる。フォトクロミックセルは、可視光に対して透明であり得る2つの電極層(例えば、酸化インジウムスズ)の間に配置することができる。電極層は、デジタルに駆動されてもよく(オフまたはオン)、または、光学要素を通じた透過をより精細に制御するために、より粒度の細かいグレースケール制御を提供するように駆動されてもよい。1つまたは複数のアクティブシャッタを能動的に駆動することによって、光学要素にわたる温度勾配にかかわらず、光学要素を通じたより均一な透過制御を可能にすることができる。これらおよび他の実施形態は、図1図7に関連してより詳細に説明される。
【0036】
図1は、フォトクロミックレンズ172を含む眼鏡199を示す。眼鏡199は、フレーム164に結合されているアーム161Aおよび161Bを含む。フォトクロミック光学要素172Aおよび172Bが、フレーム164内に含まれる。図1は、フォトクロミック光学要素の外側がフォトクロミック光学要素172の中央(最も暗い)部分よりも高い温度を有するときに、フォトクロミック光学要素172が、フォトクロミック要素172の外側においてより透過性であることを示している。眼鏡199がヘッドマウントデバイスまたは「スマートグラス」である場合、電池、電源、プロセッサなどから放散する熱が、フォトクロミック光学要素172にわたる熱勾配に寄与し得る。いくつかの状況において、フォトクロミック光学要素172の外縁は、フォトクロミック光学要素172の中央よりも10℃(以上)温かくなり得、この結果として、フォトクロミック光学要素172の位置がフレーム164に接近(または接触)するフォトクロミック光学要素の外側境界(外縁)に向かうにつれて温度が増大する熱勾配がもたらされる。
【0037】
図2A図2Cは、本開示の態様による、楕円形フォトクロミック色素分子と混合された液晶の溶液を含む例示的な光学要素200を示す。図2Aは、第1の境界層220と、第2の境界層240と、第1の境界層220と第2の境界層240との間に配置されている溶液230とを含む光学要素200の一部分の上面図を示す。光学要素200が眼鏡とともに使用するために作製されるとき、第1の境界層220は、眼側透明境界層として参照される場合があり、第2の境界層240は、シーン側透明境界層として参照される場合がある。光学要素200は、ニアアイ光学要素であってもよい。溶液230は、楕円形フォトクロミック色素分子233と混合されている複数の液晶235を含む。図2A図4Cは、液晶235および楕円形フォトクロミック色素分子233を機能レベルにおいて示しており、必ずしも原寸に比例して描かれていない場合がある。さらに、液晶235および楕円形フォトクロミック色素分子233の濃度は、実際の実施態様では、図解から変化し得る。
【0038】
図2Aは、第1の温度における液晶235の配向および同じ第1の温度における楕円形フォトクロミック色素分子233の透過特性を示す。第1の温度は、例えば、20℃であってもよい。第1の温度は、いくつかの実施形態において、25℃であってもよい。第1の温度は、いくつかの実施形態において、30℃以上であってもよい。
【0039】
第1の温度において、液晶235の長軸236Aは、眼側透明境界層220およびシーン側透明境界層240にほぼ垂直に自己配向される。液晶235は、眼側透明境界層220およびシーン側透明境界層240に垂直な長軸236Aの自己配向を容易にするために、棒状液晶であってもよい。楕円形フォトクロミック色素分子233は、楕円形フォトクロミック色素分子233の長軸234Aが、概して、特定の楕円形フォトクロミック色素分子233に接近する液晶235の長軸236Aと配向されるように液晶235と配向されるように構成されている。図2Aの特定の図解において、液晶235Aの長軸236Aは、例えば、楕円形フォトクロミック色素分子233Aの長軸234Aとほぼ平行に位置付けられる。
【0040】
図2Aにおいて、入来光299Aは、シーン側透明層240に対してほぼ垂直に、シーン側透明層240に入射する。入来光299Aが溶液230を通じて伝播するにつれて、入来光299Aの一部分が、楕円形フォトクロミック色素分子233によって吸収される。楕円形フォトクロミック色素分子233によって吸収されない入来光299Aの残りの部分は、残光298Aとして光学要素200を出射する。図2A図2Cにおいて、楕円形フォトクロミック色素分子233は、第1の温度において楕円形フォトクロミック色素分子233の吸光特性が高いことを表すために、中実の黒い中身を有して示されている。特に、中実の黒い中身は、図2A図2C全体における楕円形フォトクロミック色素分子233の相対的な集合的透過特性を表し得る。これは、個々の分子233が、いくつかの実施態様において、完全な吸光状態または完全な透明(透過)状態のいずれかであり得るためである。
【0041】
図2Bは、第1の温度における光学要素200の一部分の正面図を示す。図2Bは、シーン側透明境界層240に対してほぼ垂直に、シーン側透明境界層240に行き当たり、溶液230および眼側透明境界層220を通じて伝播する、紙面内へと進む入来光299Aを示す。特に、液晶235はシーン側透明境界層240に対してほぼ垂直に配向されるため、液晶235の断面積および(液晶235と配向されている)楕円形フォトクロミック色素分子233の断面積は、液晶235の可能な最小の断面積、および、入来光299Aに露出されている楕円形フォトクロミック色素分子233の可能な最小の断面積に近づく。したがって、楕円形フォトクロミック色素分子233は第1の温度において高い吸光性を有するが、楕円形フォトクロミック色素分子233の断面積は相対的に小さい。
【0042】
図2Cは、液晶235の小さい断面積、および、入来光299Aを吸収するために入来光299Aに向き合っている楕円形フォトクロミック色素分子233Aの対応する小さい断面積237を示す、例示的な液晶235Aおよび例示的な楕円形フォトクロミック色素分子233Aの拡大図を示す。図2Cは、例示的な液晶235Aの長軸236Aが紙面内に向かう方向にあることを示している。上述したように楕円形フォトクロミック色素分子233の濃度は、図解とは異なってもよい(例えば、はるかにより高濃縮されていてもよい)。
【0043】
図3Aは、第2の温度における液晶235の配向および第2の温度における楕円形フォトクロミック色素分子233の透過特性を示す。第2の温度は、第1の温度よりも高い。第2の温度は、例えば、第1の温度よりも5℃高くてもよい。
【0044】
第2の温度において、液晶235の長軸236Bはもはや、眼側透明境界層220およびシーン側透明境界層240に垂直に向けられるように自己配向されない。むしろ、図3Aにおける第2の温度において、液晶235は、第2の温度の温度増大に起因してわずかに無秩序である。液晶235がわずかに無秩序であるため、液晶235の長軸236はもはや実質的に配向されず、したがって、楕円形フォトクロミック色素分子233の長軸234Bはもはや、シーン側透明境界層240および眼側透明境界層220に垂直に向けられない。
【0045】
図3Aにおいて、入来光299Bは、シーン側透明層240に対してほぼ垂直に、シーン側透明層240に入射する。入来光299Bが溶液230を通じて伝播するにつれて、入来光299Bの一部分が、楕円形フォトクロミック色素分子233によって吸収される。楕円形フォトクロミック色素分子233によって吸収されない入来光299Bの残りの部分は、残光298Bとして光学要素200を出射する。図3A図3Cにおいて、楕円形フォトクロミック色素分子233は、第2の温度において楕円形フォトクロミック色素分子233の吸光特性が中程度であることを表すために、斑模様の塗り潰しを有して示されている。ここでも、斑模様の塗り潰しは、図3A図3C全体における楕円形フォトクロミック色素分子233の相対的な集合的透過特性を表し得る。これは、個々の分子233が、いくつかの実施態様において、完全な吸光状態または完全な透明(透過)状態のいずれかであり得るためである。
【0046】
図3Bは、第2の温度における光学要素200の一部分の正面図を示す。図3Bは、シーン側透明境界層240に対してほぼ垂直に、シーン側透明境界層240に行き当たり、溶液230および眼側透明境界層220を通じて伝播する、紙面内へと進む入来光299Bを示す。液晶235は第2の温度においてわずかに無秩序であるため、(わずかに無秩序である液晶235と配向されていることに起因して同じくわずかに無秩序である)楕円形フォトクロミック色素分子233のより大きい断面積が、入来光299Bに向き合い、したがって、入来光299Bが溶液230を通じて伝播するにつれて、入来光299Bは楕円形フォトクロミック色素分子233のより大きい断面積に行き当たる。しかしながら、(第2の温度において液晶235がわずかに無秩序であることに起因して)第2の温度において入来光299Bに向き合う楕円形フォトクロミック色素分子233のより大きい断面積は、楕円形フォトクロミック色素分子233Bの吸光の低減によって相殺(または平衡)される。結果として、残光298Bの強度は、残光298Aの強度と同じになり得る。
【0047】
図3Cは、液晶235のより大きい断面積、および、入来光299Bを吸収するために入来光299Bに向き合っている楕円形フォトクロミック色素分子233Bの対応する中程度の断面積237Bを示す、例示的な液晶235Bおよび例示的な楕円形フォトクロミック色素分子233Bの拡大図を示す。
【0048】
図4Aは、第3の温度における液晶235の配向および第3の温度における楕円形フォトクロミック色素分子233の透過特性を示す。第3の温度は、第2の温度よりも高い。第3の温度は、例えば、第2の温度よりも5℃高くてもよい。
【0049】
第3の温度において、液晶235Cの長軸236Cは、眼側透明境界層220およびシーン側透明境界層240に垂直に向けられるように自己配向されていない。むしろ、図4Aにおける第3の温度において、液晶235は、第3の温度の温度増大に起因して無秩序である。液晶235が無秩序であるため、液晶235の長軸は配向されず、したがって、楕円形フォトクロミック色素分子233の長軸234Cは、シーン側透明境界層240および眼側透明境界層220に垂直でない。
【0050】
図4Aにおいて、入来光299Cは、シーン側透明層240に対してほぼ垂直に、シーン側透明層240に入射する。入来光299Cが溶液230を通じて伝播するにつれて、入来光299Cの一部分が、楕円形フォトクロミック色素分子233によって吸収される。楕円形フォトクロミック色素分子233によって吸収されない入来光299Cの残りの部分は、残光298Cとして光学要素200を出射する。図4Aにおいて、楕円形フォトクロミック色素分子233は、第3の温度において楕円形フォトクロミック色素分子233の吸光特性が低いことを表すために、疎な中身を有して示されている。図2A図3Cに関連して言及したように、疎な中身は、図4A図4C全体における楕円形フォトクロミック色素分子233の相対的な集合的透過特性を表し得る。これは、個々の分子233が、いくつかの実施態様において、完全な吸光状態または完全な透明(透過)状態のいずれかであり得るためである。
【0051】
図4Bは、第3の温度における光学要素200の一部分の正面図を示す。図4Bは、シーン側透明境界層240に対してほぼ垂直に、シーン側透明境界層240に行き当たり、溶液230および眼側透明境界層220を通じて伝播する、紙面内へと進む入来光299Cを示す。液晶235は第3の温度において無秩序であるため、(無秩序である液晶235と配向されていることに起因して同じく無秩序である)楕円形フォトクロミック色素分子233のより大きい断面積が、入来光299Cに向き合い、したがって、入来光299Cが溶液230を通じて伝播するにつれて、入来光299Cは楕円形フォトクロミック色素分子233の非常に大きい断面積に行き当たる。しかしながら、(第3の温度において液晶235が無秩序であることに起因して)第3の温度において入来光299Cに向き合う楕円形フォトクロミック色素分子233の非常に大きい断面積は、第3の温度において楕円形フォトクロミック色素分子233の吸光の低減によって相殺(または平衡)される。結果として、残光298Cの強度は、残光298Bおよび残光298Aの強度と同じになり得る。
【0052】
図4Cは、液晶235の非常に大きい断面積、および、入来光299Cを吸収するために入来光299Cに向き合っている楕円形フォトクロミック色素分子233Cの対応する大きい断面積237Cを示す、例示的な液晶235Cおよび例示的な楕円形フォトクロミック色素分子233Cの拡大図を示す。
【0053】
図5は、本開示の態様による、光学要素200の構造を含むフォトクロミック光学要素522を含むヘッドマウントデバイス500を示す。ヘッドマウントデバイス500は、いくつかの状況において、「電子眼鏡」または「スマートグラス」と考えることができる。ヘッドマウントデバイス500は、処理論理545および要素547などの電子装置を含む。要素547は、いくつかの実施形態において、カメラであってもよい。ヘッドマウントデバイス500はまた、電池、ネットワーク通信チップセット(例えば、IEEE802.11x無線インターフェース)、電力変換器(例えば、スイッチング電源)などのような追加の電子要素(図示せず)も含んでもよい。ヘッドマウントデバイス500内に含まれる電子装置は、アーム511Aおよび511B、ならびに、アーム511Aおよび511Bに結合されているフレーム514内に配置されてもよい。
【0054】
これらの電子装置によって放散される熱が、フォトクロミック光学要素光学要素522Aおよび522B内へと伝導される場合があり、これは、そうでなければ周囲の気温と同様である温度を有し得るフォトクロミック光学要素522の温度を増大させる。結果として、フォトクロミック光学要素522にわたって温度勾配がある場合がある。いくつかの実施形態において、この温度勾配は、フォトクロミック光学要素の位置がフレーム164に接近(または接触)するフォトクロミック光学要素の外側境界(外縁)に向かうにつれて温度が増大する。図5は、第1の座標541、第2の座標542、および第3の座標543を示す。第1の座標541は、フォトクロミック光学要素522Bのほぼ中央または中心にあり、第3の座標543は、フォトクロミック光学要素522Bの外縁に非常に近い。第2の座標542は、ほぼ第1の座標541と第3の座標543との中間に配置されている。具体的に例示されてはいないが、フォトクロミック光学要素522Aにわたって同様の熱勾配があり得ることが、当業者には諒解される。
【0055】
第1の座標541は、第1の温度(例えば、25℃)にあってもよく、第1の座標541にある光学要素522Bは、図2A図2Cに示すような、液晶235の関連する向きおよび楕円形フォトクロミック色素分子233の対応する向きを有し得る。第3の座標543は、第3の温度(例えば、35℃)にあってもよく、第3の座標543にある光学要素522Bは、図4A図4Cに示すような、液晶235の関連する向きおよび楕円形フォトクロミック色素分子233の対応する向きを有し得る。第2の座標542は、第2の温度(例えば、30℃)にあってもよく、第2の座標542Bにある光学要素522Bは、図3A図3Cに示した、液晶235の関連する向きおよび楕円形フォトクロミック色素分子233の対応する向きを有し得る。しかし、残光298A、298B、および298Cの強度が、異なる温度範囲にわたって光学要素200を通じて同じであり得るのと同様に、座標541、542、および543が異なる温度を経験するとしても、入来光599の透過率は、フォトクロミック光学要素522Bにわたってほぼ等しい。したがって、液晶235は、温度の上昇に応答して漸増的に無秩序になるように構成されており、楕円形フォトクロミック色素分子233は、液晶235と配向され、(無秩序な液晶235が増大するにつれて)入来光599に対する楕円形フォトクロミック色素分子の断面積を増大させるように構成されているため、フォトクロミック光学要素522Aおよび522Bは、実質的に均一な減光を有して示されている。
【0056】
楕円形フォトクロミック色素分子233は、温度の上昇に応答して楕円形フォトクロミック色素分子233の吸光の低減を相殺するように液晶235に適合され、その結果、フォトクロミック光学要素にわたって温度勾配があるときに、入来光599の透過がフォトクロミック光学要素522Bにわたってほぼ等しくなる。言い換えれば、残光598(吸収または他の様態で散乱されない入来光599の部分)は、入来光599がフォトクロミック光学要素522Bに入射する座標にかかわらず、ほぼ同じ強度を有し得る。液晶235の第1の屈折率は、楕円形フォトクロミック色素分子233の第2の屈折率に実質的に等しくなり得る。
【0057】
図6は、本開示の態様による、フォトクロミック光学要素622を含むヘッドマウントディスプレイ(HMD)600を示す。図6において、フォトクロミック光学要素622Aは、ディスプレイ660Aによって生成される画像光をユーザの眼へと方向付けるための導波路650Aを含む。フォトクロミック光学要素622Bもまた、ディスプレイ660Bによって生成される画像光をユーザの眼へと方向付けるための導波路650Bを含むことができる。したがって、いくつかの実施形態において、フォトクロミック光学要素は、HMD600の着用者の眼に画像を提示するための導波路650を含む。導波路650は、フォトクロミック光学要素200の眼側透明境界層220の眼側に配置することができる。HMD600は、HMD600の着用者の眼に画像を提示するために必ずしも導波路を使用しない表示アーキテクチャを促進するための代替的な表示光学要素(図示せず)を含んでもよい。例えば、HMD600は、HMD600の着用者の眼に画像を提示するために、ホログラフィックディスプレイを利用してもよい。
【0058】
図7は、本開示の態様による、導波路750を含むフォトクロミック光学要素700の上面図を示す。導波路750は、透明層720の眼側に配置される。導波路750は、HMD(例えば、HMD600)の着用者の眼に画像を提示するために、画像光751を眼に向かう方向に方向付ける。図7において、フォトクロミック光学要素700は、第1の透明導電層720と、第2の透明導電層740とを含む。第1の透明導電層720および第2の透明導電層740は、例えば、酸化インジウムスズ(ITO)であってもよい。
【0059】
処理論理770は、第1の透明導電層720および第2の透明導電層740に対する液晶235の配向を制御するように、第1の透明導電層720および第2の透明導電層740にわたる電圧V773を駆動するように構成することができる。処理論理770は、第1の透明導電層720および第2の透明導電層740にわたる駆動電圧V773を促進するための適切なトランジスタを含んでもよい。処理論理770は、第1の透明導電層720および第2の透明導電層740にわたるデジタル電圧V773(例えば、0VDCまたは3.3VDC)を駆動するように構成することができ、デジタルハイ電圧は、液晶235の長軸を第1の透明導電層720および第2の透明導電層740に対して垂直に配向させるように機能し、デジタルロー電圧は、液晶235が無秩序になるのを可能にする。
【0060】
いくつかの実施形態において、処理論理770は、液晶235の配向に対するより粒度の細かい制御を容易にするために、第1の透明導電層720および第2の透明導電層740にわたるグレーレベルアナログ電圧V773(例えば、0VDC~3.3VDCの可変電圧)を駆動してもよい。この実施形態では、電圧V773が高いほど、図7に示すように、多くの液晶の長軸が第1の透明導電層720および第2の透明導電層740に対してより垂直に配向されるようになる。対照的に、電圧V773が低いほど、液晶235はより無秩序になる。
【0061】
処理論理770が、第1の透明導電層720および第2の透明導電層740にわたってデジタル電圧V773を駆動するか、または、グレーレベル電圧V773を駆動するかにかかわらず、処理論理770は、センサ780から光信号が受信されるのに応答して、電圧V773を駆動することができる。センサ780は、光学要素700の外部環境から周囲光783を受け取り、測定するように構成することができる。処理論理770は、センサ780から光信号を受信するように構成されている。1つの実施形態において、センサ780は、周囲光783の強度に対応する電流を生成するフォトダイオードである。いくつかの実施形態において、センサ780は、画像を生成する相補型金属酸化膜半導体(CMOS)画像センサを含み、処理論理770は、画像のピクセル値から周囲光783の強度を導出する。
【0062】
処理論理770が、第1の透明導電層720および第2の透明導電層740にわたってデジタル電圧V773を駆動するか、または、グレーレベル電圧V773を駆動するかにかかわらず、処理論理770は、液晶235と配向される楕円形フォトクロミック色素分子233(および入来光799に向き合う対応する断面積)によって、液晶235の配向、ひいては入来光799の透過を制御するように構成されている。残光798(楕円形フォトクロミック色素分子233によって吸収されない入来光799の部分)が、導波路750を通じて、引き続きヘッドマウントデバイスの着用者の眼に向かって伝播する。
【0063】
いくつかの実施形態において、処理論理770は、0VDCを電圧V773として駆動し、溶液230が、図2A図4Cに関連して説明したように、熱に関して入来光799の透過を受動的に制御することを可能にするデフォルト状態を有することができる。処理論理770は、液晶235を配向または部分的に配向させるための電圧V773を駆動する能動状態に変化することができる。1つの状況において、光学要素700を含むヘッドマウントデバイスの着用者は、楕円形フォトクロミック色素分子233を作動させて減光(吸光)状態にする、明るい日光を有する屋外環境にある。その後、ヘッドマウントデバイスの着用者は、明るい日光を有しない屋内環境に変化する。このシナリオにおいて、光学要素700は、数秒またはさらには数分にわたって、減光または部分的に減光したままである場合がある。しかしながら、処理論理770は、液晶235を配向させ、結果として、入来光799を吸収する楕円形フォトクロミック色素分子233の断面積を最小化または大幅に低減するために、デジタルハイ電圧を電圧V773として駆動することができる。このように、処理論理770の能動状態は、もはや減光が必要とされ得ない屋内環境にユーザが入るのを受けて、光学要素700が減光したままである時間を低減する。処理論理770は、例えば、センサ780から受信される光信号の強度の突然の低下に基づいて、屋外環境から屋内環境への環境の切り替えを判定することができる。
【0064】
本発明の実施形態は、人工現実システムを含んでもよく、または、人工現実システムと併せて実施されてもよい。人工現実は、例えば、仮想現実(VR)、拡張現実(AR)、複合現実(MR)、ハイブリッド現実、またはそれらの何らかの組み合わせおよび/もしくは派生形を含むことができ、ユーザに提示される前に何らかの様式で調整されている現実感の一形態である。人工現実コンテンツは、全体が生成されているコンテンツ、または、キャプチャされた(例えば、実世界の)コンテンツと組み合わされた、生成されているコンテンツを含み得る。人工現実コンテンツは、ビデオ、オーディオ、触覚フィードバック、またはそれらの何らかの組み合わせを含むことができ、それらのいずれかは、単一のチャネルまたは複数のチャネル(受け手に対して三次元効果を生成するステレオビデオなど)において提示することができる。付加的に、いくつかの実施形態において、人工現実はまた、例えば、人工現実内のコンテンツを生成するために使用され、および/または、他の様態で人工現実において使用される(例えば、人工現実における活動を実施する)ために使用される、アプリケーション、製品、アクセサリ、サービス、またはそれらの何らかの組み合わせと関連付けることもできる。人工現実コンテンツを提供する人工現実システムは、ホストコンピュータシステムに接続されているヘッドマウントディスプレイ(HMD)、独立型HMD、モバイルデバイスもしくはコンピューティングシステム、または、1人もしくは複数の受け手に人工現実コンテンツを提供することが可能な任意の他のハードウェアプラットフォームを含む、様々なプラットフォーム上に実装することができる。
【0065】
「処理論理」(例えば、545または770)という用語は、本開示では、本明細書において開示されている動作を実行するための1つまたは複数のプロセッサ、マイクロプロセッサ、マルチコアプロセッサ、特定用途向け集積回路(ASIC)、および/またはフィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)を含んでもよい。いくつかの実施形態において、メモリ(図示せず)が、動作を実行するための命令を記憶し、および/または、データを記憶するために、処理論理に組み込まれる。処理論理はまた、本開示の実施形態による動作を実施するためのアナログまたはデジタル回路も含むことができる。
【0066】
本開示に記載されている「メモリ」または「複数のメモリ」は、1つまたは複数の揮発性または不揮発性メモリアーキテクチャを含むことができる。「メモリ」または「複数のメモリ」は、コンピュータ可読命令、データ構造、プログラムモジュール、または他のデータのような情報の記憶のための任意の方法または技術において実装される取り外し可能および取り外し不可能な媒体を含むことができる。例示的なメモリ技術は、RAM、ROM、EEPROM、フラッシュメモリ、CD-ROM、デジタル多用途ディスク(DVD)、高精細マルチメディア/データ記憶ディスク、もしくは他の光学ストレージ、磁気カセット、磁気テープ、磁気ディスクストレージもしくは他の磁気的記憶デバイス、または、コンピューティングデバイスによってアクセスするための情報を記憶するために使用することができる任意の他の非伝送媒体を含むことができる。
【0067】
コンピューティングデバイスは、デスクトップコンピュータ、ラップトップコンピュータ、タブレット、ファブレット、スマートフォン、フィーチャーフォン、サーバコンピュータなどを含んでもよい。サーバコンピュータは、データセンタ内に遠隔配置されてもよく、または、ローカルに格納されてもよい。
【0068】
上記で説明したプロセスは、コンピュータソフトウェアおよびハードウェアに関して記載されている。記載されている技法は、機械によって実行されると機械に、記載されている動作を実施させる、有形または非一時的機械(例えば、コンピュータ)可読記憶媒体内に具現化されている機械実行可能命令を構成することができる。付加的に、プロセスは、特定用途向け集積回路(「ASIC」)などのようなハードウェア内に具現化されてもよい。
【0069】
有形非一時的機械可読記憶媒体は、機械(例えば、コンピュータ、ネットワークデバイス、個人情報端末、製造ツール、1つまたは複数のプロセッサのセットを備えるいずれかのデバイスなど)がアクセス可能な形態の情報を提供(すなわち、記憶)する任意のメカニズムを含む。例えば、機械可読記憶媒体は、記録可能/記録不可能な媒体(例えば、読み取り専用メモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、磁気ディスク記憶媒体、光学記憶媒体、フラッシュメモリデバイスなど)を含む。
【0070】
要約書に記載されているものを含む、本発明の例示されている実施形態の上記の記載は、排他的であることも、本発明を開示された正確な形態に限定することも意図されてはいない。本発明の特定の実施形態および実施例が例示を目的として本明細書に記載されているが、当業者には認識されるように、本発明の範囲内で様々な変更が可能である。
【0071】
これらの変更は、上記で詳述した説明に照らして本発明に対して行うことができる。添付の特許請求の範囲において使用されている用語は、本発明を、本明細書において開示されている特定の実施形態に限定するものとして解釈されるべきではない。むしろ、本発明の範囲は、特許請求の範囲の確立されている原則に従って解釈されるべきである、添付の特許請求の範囲によって全体的に決定されるものとする。
図1
図2A-2C】
図3A-3C】
図4A-4C】
図5
図6
図7
【国際調査報告】