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特表2022-550504マルチゾーン能力を備えた高温窒化アルミニウムヒータ
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-12-02
(54)【発明の名称】マルチゾーン能力を備えた高温窒化アルミニウムヒータ
(51)【国際特許分類】
   H05B 3/12 20060101AFI20221125BHJP
   C04B 35/581 20060101ALI20221125BHJP
   C04B 35/56 20060101ALI20221125BHJP
   H05B 3/16 20060101ALI20221125BHJP
   H05B 3/74 20060101ALI20221125BHJP
【FI】
H05B3/12 A
C04B35/581
C04B35/56 070
H05B3/16
H05B3/74
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2022512284
(86)(22)【出願日】2020-04-21
(85)【翻訳文提出日】2021-12-24
(86)【国際出願番号】 US2020029152
(87)【国際公開番号】W WO2020226893
(87)【国際公開日】2020-11-12
(31)【優先権主張番号】62/843,241
(32)【優先日】2019-05-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521481094
【氏名又は名称】サーム-エックス オブ カリフォルニア インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【弁理士】
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100144451
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 博子
(74)【代理人】
【識別番号】100168871
【弁理士】
【氏名又は名称】岩上 健
(72)【発明者】
【氏名】ラル アネンドラ
(72)【発明者】
【氏名】サネ アジット
【テーマコード(参考)】
3K092
【Fターム(参考)】
3K092PP20
3K092QA05
3K092QB02
3K092QB74
3K092RF03
3K092RF11
3K092RF25
3K092SS12
3K092SS14
3K092VV04
3K092VV23
3K092VV31
(57)【要約】
電気ヒータ装置の実施形態を開示する。1つの実施形態では、電気ヒータ装置が、(a)電気絶縁材料を含む第1の熱伝導層と、(b)第1の熱伝導層の上面に配置された1又は2以上の溝に配置された1又は2以上の導電性加熱素子と、(c)1又は2以上の加熱素子を覆って第1の熱伝導層の上面に配置された第2の熱伝導層とを含む。1又は2以上の加熱素子は、炭素、窒素、アルミニウム、イットリウム又は酸素のうちの少なくとも1つでドープされた1又は2以上の耐火硬質金属を含む。ドープされた1又は2以上の耐火硬質金属は、周囲温度~約850℃の動作温度にわたって、ドープされていない耐火硬質金属と比べて温度に影響されにくい電気抵抗を含む。1又は2以上の加熱素子は、1又は2以上の加熱ゾーンを提供するように独立して制御可能である。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ウェハ処理チャンバ内で半導体ウェハを処理する際に使用される電気ヒータ装置であって、
電気絶縁材料、上面及び底面を含む第1の熱伝導層と、
前記第1の熱伝導層の前記上面に配置された1又は2以上の溝のそれぞれの溝内に配置された1又は2以上の導電性加熱素子と、
前記1又は2以上の加熱素子を覆って前記第1の熱伝導層の前記上面に配置された第2の熱伝導層と、
を含み、前記1又は2以上の加熱素子は、炭素、窒素、アルミニウム、イットリウム又は酸素のうちの少なくとも1つでドープされた1又は2以上の耐火硬質金属を含み、該ドープされた1又は2以上の耐火硬質金属は、周囲温度~約850℃の動作温度にわたって、ドープされていない耐火硬質金属と比べて温度に影響されにくい電気抵抗を有し、前記1又は2以上の加熱素子は、前記第1の熱伝導層の前記上面に沿って1又は2以上の加熱ゾーンを提供するように独立して制御可能である、
電気ヒータ装置。
【請求項2】
前記第1の熱伝導層はディスクを含む、請求項1に記載の電気ヒータ装置。
【請求項3】
前記第1の熱伝導層は焼結され、前記1又は2以上の加熱素子は、前記第1の熱伝導層を焼結する前に最初に粉末、塗料、又は高分子シートからの事前切断パターンのうちの高濃度のものを含む、 請求項1に記載の電気ヒータ装置。
【請求項4】
炭素の濃度は約0.1at%から約50at%まで変化することができ、アルミニウムの濃度は約0.1at%から約20at%まで変化することができ、窒素の濃度は約0at%から約20at%まで変化することができ、酸素の濃度は約0at%から約5at%まで変化することができ、イットリウムの濃度は約0at%から約3at%まで変化することができる、請求項1に記載の電気ヒータ装置。
【請求項5】
前記第1の熱伝導層は窒化アルミニウムを含む、請求項1に記載の電気ヒータ装置。
【請求項6】
前記第1の熱伝導層の前記底面に配置された第3の熱伝導層を含み、該第3の熱伝導層はハブを含む、請求項1に記載の電気ヒータ装置。
【請求項7】
前記第2及び第3の熱伝導層は窒化アルミニウムを含む、請求項6に記載の電気ヒータ装置。
【請求項8】
前記ハブに取り付けられた焼結ライザを含む、請求項6に記載の電気ヒータ装置。
【請求項9】
前記ハブに接合された焼結ライザを含み、前記接合されたライザは、前記ハブとの間にヘリウムタイトシールを形成する、請求項6に記載の電気ヒータ装置。
【請求項10】
前記第1の熱伝導層の前記底面に配置された1又は2以上のチャネルのそれぞれのチャネル内に配置された1又は2以上の電気的相互接続部を含む、請求項6に記載の電気ヒータ装置。
【請求項11】
前記相互接続部は、回路内で前記ハブから前記1又は2以上の加熱素子に、及び、前記1又は2以上の加熱素子から前記ハブに、電気を伝えるように構成される、請求項10に記載の電気ヒータ装置。
【請求項12】
前記相互接続部は、1又は2以上の温度センサから前記ハブにセンサデータを伝えるように構成される、請求項10に記載の電気ヒータ装置。
【請求項13】
前記1又は2以上の温度センサは、前記第1の熱伝導層の前記底面上であって前記第3の熱伝導層の下方に配置された1又は2以上のチャネルのそれぞれのチャネル内に配置される、請求項12に記載の電気ヒータ装置。
【請求項14】
前記第3の熱伝導層は、前記1又は2以上の温度センサを覆って配置される、請求項13に記載の電気ヒータ装置。
【請求項15】
前記1又は2以上の加熱素子及び前記第1の熱伝導層は、前記電気ヒータ装置における有害なクラック又は亀裂を避けるように機能的に同様の熱膨張係数を有する、請求項1に記載の電気ヒータ装置。
【請求項16】
ウェハ処理チャンバ内で半導体ウェハを処理する際に使用される電気ヒータ装置であって、
熱伝導性かつ電気絶縁性の材料、上面及び底面を含む焼結ディスクと、
前記ディスクの前記上面に配置された1又は2以上の溝のそれぞれの溝内に配置された1又は2以上の導電性加熱素子と、
前記1又は2以上の加熱素子を覆って前記ディスクの前記上面に配置された第1の熱伝導層と、
前記ディスクの前記底面に配置された1又は2以上のチャネルのそれぞれのチャネル内に配置された1又は2以上の相互接続部と、
前記1又は2以上の相互接続部を覆って前記ディスクの前記底面に配置された、ハブを含む第2の熱伝導層と、
を含み、
前記1又は2以上の加熱素子は、炭素、窒素、アルミニウム、イットリウム又は酸素のうちの少なくとも1つでドープされた1又は2以上の耐火硬質金属を含み、該ドープされた1又は2以上の耐火硬質金属は、周囲温度~約850℃の動作温度にわたって、ドープされていない耐火硬質金属と比べて温度に影響されにくい電気抵抗を有し、前記1又は2以上の加熱素子は、前記ディスクの前記上面に沿って1又は2以上の加熱ゾーンを提供するように独立して制御可能であり、
前記1又は2以上の導電性加熱素子は化学攻撃から保護される、
電気ヒータ装置。
【請求項17】
炭素の濃度は約0.1at%から約50at%まで変化することができ、アルミニウムの濃度は約0.1at%から約20at%まで変化することができ、窒素の濃度は約0at%から約20at%まで変化することができ、酸素の濃度は約0at%から約5at%まで変化することができ、イットリウムの濃度は約0at%から約3at%まで変化することができる、請求項16に記載の電気ヒータ装置。
【請求項18】
前記熱伝導性かつ電気絶縁性の材料は窒化アルミニウムである、請求項16に記載の電気ヒータ装置。
【請求項19】
前記第1及び第2の熱伝導層は窒化アルミニウムを含む、請求項16に記載の電気ヒータ装置。
【請求項20】
前記ハブに取り付けられたライザを含む、請求項16に記載の電気ヒータ装置。
【請求項21】
前記ライザは前記ハブに接合され、前記接合されたライザは、前記ハブとの間にヘリウムタイトシールを形成する、請求項20に記載の電気ヒータ装置。
【請求項22】
前記相互接続部は1又は2以上の電気的相互接続部を含み、該電気的相互接続部は、回路内で、前記ハブから前記1又は2以上の加熱素子に、及び、前記1又は2以上の加熱素子から前記ハブに、電気を伝えるように構成される、
請求項16に記載の電気ヒータ装置。
【請求項23】
前記1又は2以上のチャネル内に配置された1又は2以上の温度センサを含む、請求項16に記載の電気ヒータ装置。
【請求項24】
前記第2の熱伝導層は、前記1又は2以上の温度センサを覆って配置される、請求項23に記載の電気ヒータ装置。
【請求項25】
前記1又は2以上の加熱素子及び前記ディスクは、前記電気ヒータ装置における有害なクラック又は亀裂を避けるように機能的に同様の熱膨張係数を有する、請求項16に記載の電気ヒータ装置。
【請求項26】
前記1又は2以上の加熱素子は、前記ディスクの前記上面に沿って1又は2以上の加熱ゾーンを提供するように独立して制御可能である、請求項16に記載の電気ヒータ装置。
【請求項27】
ウェハ処理チャンバ内で半導体ウェハを処理する際に使用される電気ヒータ装置の製造方法であって、
約3~約5wt%のイットリアを含む焼結助剤を含む窒化アルミニウム、上面及び底面を含むディスクを準備するステップと、
前記ディスクの前記上面に1又は2以上の溝を作製するステップと、
前記ディスクの前記上面に配置された1又は2以上の溝のそれぞれの溝内に1又は2以上の導電性加熱素子を堆積させるステップと、
を含み、
前記1又は2以上の加熱素子は、炭素、窒素、アルミニウム、イットリウム又は酸素のうちの少なくとも1つでドープされた1又は2以上の耐火硬質金属を含み、該ドープされた1又は2以上の耐火硬質金属は、周囲温度~約850℃の動作温度にわたって、ドープされていない耐火硬質金属と比べて温度に影響されにくい電気抵抗を有し、前記1又は2以上の加熱素子は、前記ディスクの前記上面に沿って1又は2以上の加熱ゾーンを提供するように独立して制御可能であり、
前記電気ヒータ装置の製造方法は、さらに、
前記1又は2以上の加熱素子を覆って前記ディスクの前記上面に窒化アルミニウムを含む第1の粉末を堆積させるステップと、
前記ディスクを金型内で少なくとも1回プレス加工して前記第1の粉末を圧密化するステップと、
前記ディスクの前記底面に1又は2以上のチャネルを作製するステップと、
前記ディスクの前記底面上の前記1又は2以上のチャネル内に1又は2以上の導電性相互接続部を堆積させるステップと、
前記1又は2以上の相互接続部を覆って前記ディスクの前記底面に窒化アルミニウムを含む第2の粉末を堆積させるステップと、
前記ディスクを金型内で少なくとも1回プレス加工して前記第2の粉末を圧密化するステップと、
前記プレス加工されたディスクを、ハブを含むように機械加工して研削加工するステップであって、前記プレス加工され機械加工されたディスクが、埋め込まれた加熱素子及び相互接続部を有する窒化アルミニウムマトリックスを定める、ステップと、
前記窒化アルミニウムマトリックスを約1600℃~約1850℃の範囲の温度で焼結させるステップであって、該焼結させるステップは、前記窒化アルミニウムマトリックス内のいずれかの一時的結合剤を燃焼させるように制御された加熱下の窒素環境内で実行され、炭素の量は、アルミナ及びイットリアの液相が、前記焼結された窒化アルミニウムマトリックス内のAl23/Y23モル比が10:3~0.1:1であるような組成となるように、前記窒化アルミニウムマトリックス内のイットリアに関連しない窒化アルミニウムの酸素含有量未満に維持され、前記炭素の量の一部は、前記1又は2以上の導電性加熱素子の前記ドープされた1又は2以上の耐火硬質金属に取り込まれ、焼結によって、前記焼結された窒化アルミニウムマトリックス内に高密度化された1又は2以上の導電性加熱素子を含む高密度化された窒化アルミニウムマトリックスが形成される、前記焼結させるステップと、
前記ハブに焼結されたライザを接合するステップと、を含む、
電気ヒータ装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
〔関連出願〕
本出願は、2019年5月3日に出願された米国仮特許出願第62/843,241号の利益を主張するものであり、この文献はその全体が引用により本明細書に組み入れられる。
【0002】
本開示は、電気ヒータに関し、具体的には、シリコンウェハ及びヒ化ガリウムウェハなどの半導体ウェハの作製において使用されるヒータに関する。
【背景技術】
【0003】
半導体ウェハ製造において使用される電気ヒータは、材料堆積(例えば、物理的又は化学的気相成長法)、材料除去(例えば、エッチング又は平坦化)、パターニング(例えば、リソグラフィ)、及び電気的特性の修正(例えば、ドーピング又はアニーリング)を含むウェハの製造/処理の様々な段階で使用することができる。このような電気ヒータは、浸食性の強い環境に耐えることができ、急激な温度変化下の熱衝撃に耐性があり、長期にわたって極めて高い温度に耐えることができなければならない。しかしながら、本開示よりも前には、半導体ウェハ製造のための既知の電気ヒータは、(1)高温での電気抵抗率の変動が比較的大きくなりやすいことによって複雑でコストの掛かる温度制御が必要になり、(2)マルチゾーン加熱を容易に行うことができず、(3)熱応力及び熱サイクルに起因するクラック又は故障が発生しやすく、従って耐久性又は長寿性に欠けたコンポーネントを有しており、(4)熱膨張係数が異なるという理由で共に同時焼成できないコンポーネントを有していることによって、組み立てのためにさらなる製造段階が発生する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従って、これらの及びその他の問題を解決する装置が必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の1つの実施形態では、電気ヒータ装置が、1又は2以上の熱伝導層と、1又は2以上の熱伝導層内又はこれらの間に埋め込まれた1又は2以上の加熱素子とを含み、1又は2以上の加熱素子は、モリブデン(Mo)、タングステン(W)、或いは炭素(C)、窒素(N)、アルミニウム(Al)又は酸素(O)のうちの少なくとも1つ又は2つ以上でドープされた他のいずれかの耐火硬質金属(refractory hard metal)を含む。1つの実施形態では、電気ヒータ装置の加熱素子が、モリブデンと、炭化物含有量が5%を上回るような炭化モリブデン(Mo2C)とを含む。
【0006】
本開示による電気ヒータ装置の加熱素子は、数ある利点の中でも特に、高温において、とりわけ約300℃~約850℃の範囲でだけでなく、約周囲温度~約850℃までの範囲でも改善された電気抵抗率の安定性を示す。
【0007】
別の実施形態では、ウェハ処理チャンバ内で半導体ウェハを処理する際に使用される電気ヒータ装置であって、(a)電気絶縁材料、上面及び底面を含む第1の熱伝導層と、(b)第1の熱伝導層の上面に配置された1又は2以上の溝のそれぞれの溝内に配置された1又は2以上の導電性加熱素子と、(c)1又は2以上の加熱素子を覆って第1の熱伝導層の上面に配置された第2の熱伝導層とを含み、1又は2以上の加熱素子が、炭素、窒素、アルミニウム、イットリウム又は酸素のうちの少なくとも1つでドープされた1又は2以上の耐火硬質金属を含み、ドープされた1又は2以上の耐火硬質金属が、周囲温度~約850℃の動作温度にわたって、ドープされていない耐火硬質金属と比べて温度に影響されにくい電気抵抗を有し、1又は2以上の加熱素子が、第1の熱伝導層の上面に沿って1又は2以上の加熱ゾーンを提供するように独立して制御可能である電気ヒータ装置を開示する。
【0008】
第1の熱伝導層は、ディスクを含むことができる。第1の熱伝導層は焼結することができ、1又は2以上の加熱素子は、第1の熱伝導層を焼結する前に最初に粉末、塗料、又は高分子シートからの事前切断パターンのうちの高濃度のものを含むことができる。炭素の濃度は約0.1at%から約50at%まで変化することができ、アルミニウムの濃度は約0.1at%から約20at%まで変化することができ、窒素の濃度は約0at%から約20at%まで変化することができ、酸素の濃度は約0at%から約5at%まで変化することができ、イットリウムの濃度は約0at%から約3at%まで変化することができる。第1の熱伝導層は、窒化アルミニウムを含む。
【0009】
電気ヒータ装置は、第1の熱伝導層の底面に配置された第3の熱伝導層を含むことができる。第3の熱伝導層は、ハブを含むことができる。第2及び第3の熱伝導層は、窒化アルミニウムを含むことができる。電気ヒータ装置は、ハブに取り付けられた焼結ライザを含むことができる。或いは、焼結ライザをハブに接合することもでき、接合されたライザは、ハブとの間にヘリウムタイトシールを形成することができる。電気ヒータ装置は、第1の熱伝導層の底面に配置された1又は2以上のチャネルのそれぞれのチャネル内に配置された1又は2以上の電気的相互接続部を含むことができる。相互接続部は、回路内でハブから1又は2以上の加熱素子に、また1又は2以上の加熱素子からハブに電気を伝えるように構成することができる。相互接続部は、1又は2以上の温度センサからハブにセンサデータを伝えるように構成することができる。1又は2以上の温度センサは、第1の熱伝導層の底面上であって第3の熱伝導層の下方に配置された1又は2以上のチャネルのそれぞれのチャネル内に配置することができる。第3の熱伝導層は、1又は2以上の温度センサを覆って配置することができる。
【0010】
1又は2以上の加熱素子及び第1の熱伝導層は、電気ヒータ装置における有害なクラック又は亀裂を避けるように機能的に同様の熱膨張係数を有することができる。
【0011】
別の実施形態では、ウェハ処理チャンバ内で半導体ウェハを処理する際に使用される電気ヒータ装置であって、(a)熱伝導性かつ電気絶縁性の材料、上面及び底面を含む焼結ディスクと、(b)ディスクの上面に配置された1又は2以上の溝のそれぞれの溝内に配置された1又は2以上の導電性加熱素子と、(c)1又は2以上の加熱素子を覆ってディスクの上面に配置された第1の熱伝導層と、(d)ディスクの底面に配置された1又は2以上のチャネルのそれぞれのチャネル内に配置された1又は2以上の相互接続部と、(e)1又は2以上の相互接続部を覆ってディスクの底面に配置された、ハブを含む第2の熱伝導層とを含み、1又は2以上の加熱素子が、炭素、窒素、アルミニウム、イットリウム又は酸素のうちの少なくとも1つでドープされた1又は2以上の耐火硬質金属を含み、ドープされた1又は2以上の耐火硬質金属が、周囲温度~約850℃の動作温度にわたって、ドープされていない耐火硬質金属と比べて温度に影響されにくい電気抵抗を有し、1又は2以上の加熱素子が、ディスクの上面に沿って1又は2以上の加熱ゾーンを提供するように独立して制御可能であり、1又は2以上の導電性加熱素子が化学攻撃から保護される、電気ヒータ装置を開示する。
【0012】
炭素の濃度は約0.1at%から約50at%まで変化することができ、アルミニウムの濃度は約0.1at%から約20at%まで変化することができ、窒素の濃度は約0at%から約20at%まで変化することができ、酸素の濃度は約0at%から約5at%まで変化することができ、イットリウムの濃度は約0at%から約3at%まで変化することができる。熱伝導性かつ電気絶縁性の材料は、窒化アルミニウムとすることができる。第1及び第2の熱伝導層は、窒化アルミニウムを含むことができる。
【0013】
電気ヒータ装置は、ハブに取り付けられたライザを含むことができる。ライザはハブに接合することができ、接合されたライザは、ハブとの間にヘリウムタイトシールを形成することができる。相互接続部は、1又は2以上の電気的相互接続部を含むことができ、電気的相互接続部は、回路内でハブから1又は2以上の加熱素子に、また1又は2以上の加熱素子からハブに電気を伝えるように構成することができる。
【0014】
電気ヒータ装置は、1又は2以上のチャネル内に配置された1又は2以上の温度センサを含む含むことができる。第2の熱伝導層は、1又は2以上の温度センサを覆って配置することができる。1又は2以上の加熱素子及びディスクは、電気ヒータ装置における有害なクラック又は亀裂を避けるように機能的に同様の熱膨張係数を有することができる。1又は2以上の加熱素子は、ディスクの上面に沿って1又は2以上の加熱ゾーンを提供するように独立して制御することができる。
【0015】
別の実施形態では、ウェハ処理チャンバ内で半導体ウェハを処理する際に使用される電気ヒータ装置の製造方法であって、(a)約3~約5wt%のイットリアを含む焼結助剤を含む窒化アルミニウム、上面及び底面を含むディスクを準備するステップと、(b)ディスクの上面に1又は2以上の溝を作製するステップと、(c)ディスクの上面に配置された1又は2以上の溝のそれぞれの溝内に1又は2以上の導電性加熱素子を堆積させるステップとを含み、1又は2以上の加熱素子は、炭素、窒素、アルミニウム、イットリウム又は酸素のうちの少なくとも1つでドープされた1又は2以上の耐火硬質金属を含み、ドープされた1又は2以上の耐火硬質金属は、周囲温度~約850℃の動作温度にわたって、ドープされていない耐火硬質金属と比べて温度に影響されにくい電気抵抗を有し、1又は2以上の加熱素子は、ディスクの上面に沿って1又は2以上の加熱ゾーンを提供するように独立して制御可能であり、(d)1又は2以上の加熱素子を覆ってディスクの上面に窒化アルミニウムを含む第1の粉末を堆積させるステップと、(e)ディスクを金型内で少なくとも1回プレス加工して第1の粉末を圧密化するステップと、(f)ディスクの底面に1又は2以上のチャネルを作製するステップと、(g)ディスクの底面上の1又は2以上のチャネル内に1又は2以上の導電性相互接続部を堆積させるステップと、(h)1又は2以上の相互接続部を覆ってディスクの底面に窒化アルミニウムを含む第2の粉末を堆積させるステップと、(i)ディスクを金型内で少なくとも1回プレス加工して第2の粉末を圧密化するステップと、(j)プレス加工されたディスクを、ハブを含むように機械加工して研削加工するステップであって、プレス加工され機械加工されたディスクが、埋め込まれた加熱素子及び相互接続部を有する窒化アルミニウムマトリックスを定める、ステップと、(k)窒化アルミニウムマトリックスを約1600℃~約1850℃の範囲の温度で焼結させるステップとをさらに含み、焼結させるステップは、窒化アルミニウムマトリックス内のいずれかの一時的結合剤を燃焼させるように制御された加熱下の窒素環境内で実行され、炭素の量は、アルミナ及びイットリアの液相が、焼結された窒化アルミニウムマトリックス内のAl23/Y23モル比が10:3~0.1:1であるような組成となるように、窒化アルミニウムマトリックス内のイットリアに関連しない窒化アルミニウムの酸素含有量未満に維持され、炭素の量の一部は、1又は2以上の導電性加熱素子のドープされた1又は2以上の耐火硬質金属に取り込まれ、焼結によって、焼結された窒化アルミニウムマトリックス内に高密度化された1又は2以上の導電性加熱素子を含む高密度化された窒化アルミニウムマトリックスが形成され、(l)ハブに焼結されたライザを接合するステップをさらに含む、方法を開示する。
【0016】
本明細書では、これらの及びその他の実施形態について説明する。
【0017】
本開示で説明する特徴をより良く理解できるように、図面に示す実施形態を参照することができる。図面のコンポーネントは必ずしも縮尺通りではなく、本明細書で説明する新規特徴を強調して明確に示すために関連要素を省略していることもある。また、当業で周知のように、システムコンポーネントは様々に配置することができる。図では、特に指定していない限り、異なる図全体を通じて同様の部品を同様の参照数字によって示すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本開示の電気ヒータの実施形態の底面斜視図である。
図2図1の電気ヒータの一部の分解上面斜視図である。
図3】ディスクアセンブリのディスク上面の溝を示す図1の電気ヒータのディスクアセンブリの上面斜視図である。
図4図3のディスク並びにそれぞれの内側及び外側加熱素子の上面分解斜視図である。
図5】それぞれの内側及び外側加熱素子をディスクの溝に組み込んだ後の図4のディスクの上面斜視図である。
図6】ディスクの上面に熱伝導性粉末を堆積させた後の図5のディスクの上面斜視図である。
図7図6のディスク上に熱伝導性粉末を凝縮させた後の図6のディスクの上面斜視図である。
図8】ディスクの底面の溝を示す図7のディスクの底面斜視図である。
図9図8のディスク並びに相互接続部及び(単複の)熱電対の底面分解斜視図である。
図10】相互接続部及び(単複の)熱電対を取り付けた後の図9のディスクの底面斜視図である。
図11】ディスクの底面に熱伝導性粉末を堆積させた後の図8図10のディスクの底面斜視図である。
図12】ディスクの底面上に熱伝導性粉末を凝縮させ、機械加工し、焼結して完成したディスクアセンブリを形成した後の図8図11のディスクの底面分解斜視図である。また、ディスクの焼結前又は焼結後に組み込むことができるそれぞれの熱電対ソケット及び加熱素子ソケットも示す。
図13図12のディスクアセンブリの上面図である。
図14】線14-14に沿って切り取った図13のディスクアセンブリの断面図である。
図15図13のディスクアセンブリの底面斜視図である。
図16図15のディスクアセンブリ並びにライザポストの底部分解斜視図である。
図17】接合されたライザポストと共に電気ヒータ装置を形成する、図15のディスクアセンブリ、並びに取り付け位置に示す図16のライザポストの上面斜視図である。
図18】接合されたライザポストと共に電気ヒータ装置を形成する、図15のディスクアセンブリ、並びに取り付け位置に示す図16のライザポストの底面斜視図である。
図19図18の電気ヒータ装置の実施形態の平面透視図である。
図20】線20-20に沿って切り取った図19の電気ヒータ装置の断面図である。
図21】線21-21に沿って切り取った図19の電気ヒータ装置の断面図である。
図22】本開示の電気ヒータの実施形態の作製方法を示す概略的フロー図である。
図23】本開示の電気ヒータ装置の別の実施形態の断面図である。
図24】純タングステン及び純モリブデンの温度の関数としての電気抵抗率を示す代表的グラフである。
図25】SEM/EDSスペクトル分析である。
図26】本明細書に開示するように構成されたサンプルディスクアセンブリにおける窒化アルミニウムマトリックスの断面内の加熱素子断面において採取した図25のスペクトル8の代表的元素濃度である。
図27】熱シミュレーションによる電力対温度プロットである。
図28】本開示の代表的な加熱素子から取り込まれた抵抗データを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本明細書で説明する特徴、方法、デバイス及びシステムは様々な形態で具体化することができるが、図面にはいくつかの例示的かつ非限定的な実施形態を示して以下で説明する。しかしながら、本開示で説明する図示のコンポーネントは全て必要なわけではなく、いくつかの実装は、本開示で明示的に説明するコンポーネントに比べてさらなる、異なる又は少ないコンポーネントを含むこともできる。コンポーネントの配置及びタイプは、本明細書に示す特許請求の範囲の趣旨又は範囲から逸脱することなく変更することができる。従って、本明細書の図を参照しながら説明する実施形態のいずれかの特徴は、本開示の他の実施形態に関連して説明する特徴と組み合わせ又はこれらに取って代わることができると理解されたい。
【0020】
本開示では、半導体ウェハを製造するための電気ヒータ装置の少なくとも1つの実施形態の様々な態様について説明する。電気ヒータ装置の様々な実施形態は数多くの利点をもたらす。例えば、本開示の電気ヒータ装置は、約周囲温度~約850℃の範囲、とりわけ約300℃~約850℃の範囲での動作中に、同じ試験温度にわたってその金属製の同等物と比べて抵抗変化が比較的小さな(すなわち、電気抵抗が比較的温度変化に影響されにくい)電気抵抗ヒータを提供する。他の利点としては、以下が挙げられる。
a.加熱素子の組成及びその多孔性が、窒化アルミニウムの収縮と相性の良い収縮を可能にする。収縮に過度の不一致が存在しないので、結果として得られる、窒化アルミニウムマトリックスに埋め込まれた1又は2以上の加熱素子を含む加熱素子が、有害な内部亀裂又はクラックを生じない。
b.加熱素子組成物は、窒化アルミニウムとの焼結時に窒化アルミニウムの熱膨張係数に適度に近い熱膨張係数を有し、従ってヒータの性能に悪影響をもたらすクラックが発生しない。
c.本明細書で説明する実施形態は、多層加熱素子ディスクと、ヘリウムを漏らさないことができる強固な接合部を有するライザアセンブリとを含むこと。
d.本明細書で説明する実施形態は、単一又は複数の加熱ゾーンを提供するスケーラブルな設計を提供し、約周囲温度~約850℃の範囲の機能的な温度均一性を有する様々なマルチゾーンヒータ構成の設計を可能にする。
e.本明細書で説明する実施形態は、既知のデバイスの熱電対温度センサを上回るさらなる又は複数の熱電対温度センサを可能にし、これらのセンサは全て、コンポーネントの圧縮、コンポーネントの埋め込み、及び約1600℃~約1850℃の範囲の高い焼結温度へのコンポーネントの曝露を伴う段階を含むヒータ作製工程を耐え抜くことができる。
f.本明細書で説明する実施形態は、高い放射熱損失に起因して高温動作に必要とされる高電力を供給できる解決策を提供する。
g.本明細書で説明する実施形態は、高温使用に適するとともに本明細書に開示するようなヒータ作製工程に耐えることができる、電源導体及びセンサ導体を熱素子に接続する電気接続システムを含む。
h.本明細書で説明する実施形態は、加熱素子の抵抗が温度にわたって大きく変化しないので、標準的な温度制御システムを組み込んで又は使用して電気ヒータ装置を動作させる能力を可能にする。従って、動作温度範囲にわたって比較的温度に影響されにくい電気抵抗を有する加熱素子を使用することで、より複雑なコントローラ、制御検討事項及びスイッチ部品の必要性が回避される。
i.本明細書で説明する実施形態は、周囲温度~約850℃の動作温度を可能にするように構成されたマルチゾーン電気ヒータ装置を提供する。
j.本明細書で説明する実施形態はエッチング耐性がある。
【0021】
図には、電気ヒータ装置の様々な実施形態を示す。例えば、図1には、本開示による電気ヒータ装置100の1つの実施形態を示す。電気ヒータ装置100には、ライザポスト150が固定される。ライザポスト150は、電気ヒータ装置100を半導体ウェハ処理チャンバの外部の大気環境に移行させるフィードスルー(図示せず)に取り付けられるように構成される。
【0022】
図2図18には、電気ヒータ装置100の様々な態様を示す。例えば、電気ヒータ装置100は、ディスクアセンブリ105と、ディスクアセンブリ105に固定されたライザポスト150とを含む。ディスクアセンブリ105は、ディスク120の上面115に配置された1又は2以上の加熱素子110及び熱伝導層140を含む。ディスクアセンブリ105は、ディスク120の底面116に配置された相互接続部125、熱伝導層145及びソケット135を含む。電気ヒータ装置100のライザポスト150は概ね管状であり、ディスクアセンブリ105に接合された後にはディスク120の底面116から垂直に延びる。当業者であれば、ディスク120の上面115はウェハ側であり、底面116はウェハ処理チャンバの外部への接続の一部を提供すると理解するであろう。
【0023】
ディスク120は、円板又は平板として構成することができ、円形、半円形又は他のいずれかの平面形状を有することができる。図示の実施形態によれば、ディスク120は円形の平面形状を有し、例えば直径150mm直径、200mm直径、300mm直径又は450mm直径などのいずれかの直径で製造することができる。ディスク120は、熱伝導性かつ電気絶縁性の材料で構成することができる。図示の実施形態では、好適な熱伝導性かつ電気絶縁性の材料が、約3wt%~約5wt%の量のイットリアを含むことができる焼結助剤を含む窒化アルミニウムを含む。他の実施形態では、イットリアに加えて又は代えて、窒化アルミニウム粉末が、酸化カルシウムを含む少量(すなわち、5wt%未満)のアルカリ土類金属酸化物を含むことができる。窒化アルミニウム及び焼結助剤は、存在する場合には好適な結合剤と組み合わせることもできる。結合剤を含む窒化アルミニウムセラミック粉末は、ディスク120を形成するように金型内で十分な圧力下で圧密化することができる。ディスクアセンブリ105の熱伝導層140、145も、互いの熱適合性を確実にするように窒化アルミニウムから形成することができる。
【0024】
ディスク120は、1又は2以上の加熱素子110を受け取るようにディスク120の上面115に配置された溝155を有するように構成される。このようにして、ディスク120は、1又は2以上の加熱素子110の基板として機能することができる。図3図4及び図19の実施形態に最も良く示すように、溝155は、それぞれが始点又は終点のない連続チャネルとして定められた内側溝156及び外側溝157を含む。他の実施形態では、溝155の1つ又は2つ以上が、終点が定められた蛇行形状又は他の形状を有することもできる。溝155の内側溝156及び外側溝157は、ディスク120の上面115を共通平面内でジグザグに横切る複数の円弧状の離間したチャネル部分によってさらに定められる。他の実施形態では、溝155を、単一の加熱素子を受け取るように構成することができる。他の実施形態では、溝155を、2つよりも多くの加熱素子を受け取るように構成することができる。
【0025】
図3に示すように、ディスク120の外側溝157の離間したチャネル部分は、互いに半径方向に概ね等距離であるが、内側溝156の離間したジグザグ形のチャネル部分の少なくとも一部は、内側溝156の他の離間したジグザグ形のチャネル部分よりも互いに半径方向に近接する。このように、ディスク120の上面115の異なる部分又は領域では、チャネル部分の半径方向の密度をより高く又は低くすることができる。いくつかの実施形態では、チャネルがディスク120の上面115の中心から半径方向外向きに円弧状のジグザグパターンで横切る際に、円弧状のジグザグ形のチャネル部分の半径方向間隔を互いに対して比較的一定とすることができる。他の実施形態では、円弧状のジグザグ形のチャネル部分の半径方向間隔が異なることができる。いくつかの実施形態では、チャネル部分の周方向間隔を比較的一定とすることも、異ならせることも、或いはディスク120の上面115の異なる部分又は領域でより高く又は低くすることもできる。
【0026】
他の実施形態では、溝155のパターン及び形状が、いずれか所望のパターン、深さ及び幅を含むことができる。例えば、いくつかの実施形態では、溝155をディスク120の上面115に渦巻状に配置することができる。いくつかの実施形態では、溝155の内部形状が、平坦な底壁と、底壁に対して垂直に向けられた対向する側壁とを有することができる。他の実施形態では、溝155の内部形状が、傾斜した、円錐形の又は丸みを帯びた側壁及び/又は底壁、或いは他のいずれかの形状を含むことができる。いくつかの実施形態では、最適な熱均一性を達成するために、熱分析を使用してチャネルの幅をディスク120にわたって又は局所的に最適化することができる。
【0027】
図4及び図5の実施形態に示すように、1又は2以上の加熱素子110は、それぞれの内側溝156及び外側溝157内に配置され又はこれらによって受け取られる内側加熱素子111及び外側加熱素子112を含む。いくつかの実施形態では、1又は2以上の加熱素子110を、熱伝導層140、145及び/又はディスク120内又はこれらの間に埋め込むことができる。例えば、ディスク120の上面115に溝155を形成するのではなく、代わりに熱伝導層140の底面に溝155を配置して1又は2以上の加熱素子を受け取ることができる。これらの図には1対の加熱素子を示しているが、他の実施形態では、ディスク120の上面115に1つのみの加熱素子、或いは2つよりも多くの加熱素子を配置することもできる。複数の加熱素子は、ディスク120の上面115にわたって示差加熱(differential heating)又は実質的に均一な加熱をもたらすようにコントローラによって制御することができる。
【0028】
少なくともこの実施形態では、1又は2以上の加熱素子110が、ドープされたモリブデン又はモリブデン含有炭化物、或いはタングステン又はその合金などの耐火硬質金属の当量化合物(equivalent compounds)を含む。モリブデンの好ましいドーピングは、炭素と、アルミニウムと、場合によっては窒素、酸素及びイットリウムとを必要とする。
【0029】
炭素ドーパントは、ディスクアセンブリ105を焼結している間の結合剤の燃焼中に生成され、或いは導電性である1又は2以上の加熱素子110に関連する金属粉末に別様に添加される。この工程中には、不活性雰囲気又は実質的に不活性雰囲気において約1600℃~約1850℃の範囲で部品を加熱して、所望の量の残留炭素を生成するように結合剤を熱分解する。この工程によって生じる炭素の量は、アルミナ及びイットリアの液相が、焼結体のAl23/Y23モル比が10:3~0.1:1であるような組成となるように、イットリアに関連しない窒化アルミニウムの酸素含有量未満に保たれる。この炭素の一部がモリブデン粉末に取り込まれ、このモリブデン粉末が収縮及び焼結して窒化アルミニウムマトリックス内に高密度の加熱素子を形成する。残りの炭素は、Al23と反応して窒化アルミニウム及び一酸化炭素を形成する。典型的には約1600℃~約1850℃の範囲の高温では、窒素雰囲気における窒化アルミニウム、モリブデン、炭素及び(上述した)アルミナ-イットリア焼結助剤間の相互作用に起因して1又は2以上の加熱素子110の組成が化学平衡に近づく結果、1又は2以上の加熱素子110の所望の組成が得られる。アルミニウム、窒素、酸素及びイットリウムなどの他のドーパントは、導電性加熱素子成分と周囲の窒化アルミニウムマトリックスとの間の高温相互作用によって単純に添加することができる。炭素、アルミニウム、窒素、酸素及びイットリウムの濃度は以下の範囲内で変化することができる。
炭素:0.1~50at%
アルミニウム:0.1~20at%
窒素:0~20at%
酸素:0~5at%
イトッリウム:0~3at%
【0030】
なお、SEM/EDS分析は、微量~少量のホウ素には反応しない場合もある。通常、スペクトル分析において他の元素からの干渉がない場合、ホウ素濃度は10%を超えた場合に検出することができる。ホウ素は、結合剤の燃焼中及び/又は焼結中に不活性支持を行う窒化ホウ素(又は窒化アルミニウム加工可能なセラミックと結合した窒化ホウ素)として使用されるために存在することができるので、組成の候補から除外することはできない。従って、ホウ素は、アルミニウム、窒素及び酸素などのドーパントについて上述したように焼結中の高温相互作用中に添加されることがあるが、従来のSEM/EDS分析を使用して検出されない場合もある。従って、一般に0~約10at%である検出限界までの範囲内のドーパントとしてのホウ素を除外することはできない。
【0031】
1又は2以上の加熱素子110の組成は、炭素、窒素及び酸素などの非金属元素に加えて、微量のホウ素、並びに窒化アルミニウムセラミックにおいて見られる元素、すなわちアルミニウム、イットリウムを含み、これらは全てSEM/EDS分析によって決定される。非金属元素は、結合剤の燃焼段階における熱分解中に残留炭素量をもたらす有機結合剤などの前駆体を直接添加することによって、或いはモリブデン及び炭素の固溶体又は炭化モリブデン(Mo2C又はMoC)のいずれかを形成する加熱素子のみに取り込まれる微粒炭素を直接添加することによって添加することができる。X線回折解析では、加熱素子が、モリブデンと炭化モリブデンの混合物と、不十分な数のピークに起因する微量の未同定相(unidentified phases)とを含むことが示された。1つの事例では、モリブデンとMo2Cである炭化モリブデンとの比率がほぼ2:1であった。
【0032】
部品は、液体形成酸化物焼結相(liquid forming oxide sintering phase)(A2O3-Y2O3)を使用して窒素雰囲気中で焼成されるので、1又は2以上の加熱素子110の組成は、微量~少量のアルミニウム、イットリウム及び酸素を含むことができる。わずかなドーパントの添加が金属及びセラミックス(金属と非金属の化合物)の電気的特性に影響を与え得ることはよく知られているので、加熱要素/電極組成内の微量~少量の元素の存在を考慮しなければならない。
【0033】
説明するような1又は2以上の加熱素子110は、(1)熱応力に耐える能力(すなわち、ディスクアセンブリ105のセラミックマトリックスの熱膨張係数に十分に近い熱膨張係数)、(2)セラミックマトリックスに対する化学的適合性(すなわち、不活性))、(3)セラミックマトリックスとの同時焼成能力、及び(4)特に注目すべき、とりわけ高い動作温度における温度の関数としての電気抵抗率の安定性の向上、を含む複数の非常に望ましい特性を提供する。実際に、説明するような1又は2以上の加熱素子110は、約周囲温度~約850℃で測定した電気抵抗率係数が、同じ温度にわたって0.005(1/K)の電気抵抗率係数を有する純モリブデンと比べて約0.001(1/K)と比較的低いため、約周囲温度~約850℃の所望の動作範囲において電気抵抗率の変化が比較的少ない(すなわち、電気抵抗が比較的温度変化に影響されにくい)ことが観察される。1つの実施形態では、図28に示すように、約300℃~約600℃の温度にわたって電気抵抗が約4.18オーム~約4.28オームであった。
【0034】
図6に、ディスク120の上面115に窒化アルミニウム粉末の形態で最初に配置される熱伝導層140を示す。この粉末を圧力下で結合剤を使用して圧密化して、機械加工可能な表面を形成する。図7に示すように、複合ディスク120/熱伝導層140の3箇所にドリルで穴を開けて、ディスクアセンブリ105の割出し及びクロッキング用の穴122を形成する。図19に示すように、穴122は、1又は2以上の加熱素子110又は相互接続部125には干渉しない。
【0035】
ディスク120は、相互接続部125を受け取るようにディスク120の底面116に配置される溝165を含むように構成される。図8図9の実施形態に最も良く示すように、溝165は、加熱素子相互接続溝166と、内側熱電対相互接続溝167と、外側熱電対相互接続溝168とを含む。本開示では、図2及び図9に示すように、相互接続部125が、加熱素子相互接続部126、129と、内側加熱素子熱電対127と、外側加熱素子熱電対128とを含む。いくつかの実施形態では、相互接続部125を熱伝導層140、145及び/又はディスク120内又はこれらの間に埋め込むことができる。例えば、ディスク120の底面116に溝165を形成するのではなく、代わりに熱伝導層140の上面に溝165を配置して1又は2以上の加熱素子を受け取ることができる。
【0036】
図10に示すように、加熱素子相互接続部126、129は、それぞれの相互接続溝166内に配置され又はこれらによって受け取られ、内側加熱素子熱電対127は、相互接続溝167内に配置され又はこれらによって受け取られ、外側加熱素子熱電対128は、相互接続溝168内に配置され又はこれらによって受け取られる。溝165は概ね円弧状であり、共通平面内に若干放射状に配置される。相互接続貫通穴170、171、172、173は、1又は2以上の加熱素子110に電力が伝わることを可能にするとともに、内側及び外側熱電対127、128からのセンサ信号が上面115に対してディスク120を通過し、ライザポストの内部に位置するいずれかの電極及び熱電対延長ワイヤなどの導体を通じ、最終的にはフィードスルー(図示せず)を通じて伝わることを可能にする。
【0037】
具体的には、それぞれの加熱素子相互接続部126のポスト146がそれぞれの貫通穴170に挿入され又はこれらによって受け取られて外側加熱素子112に電力を伝える。一方のポスト146は、外側加熱素子112に電気を伝え、他方のポスト146は、外側加熱素子112の反対端からフィードスルー(図示せず)に電気を戻して回路を完成させる。
【0038】
加熱素子相互接続部126の一方は、その内端接点(inner end interface)130において電気を受け取ってそのポスト146に電気を伝える。加熱素子相互接続部126の他方は、そのポスト146から電気を受け取ってその内端接点130に電気を伝える。図9及び図12に示すように、内端接点130は、ディスク120の内側ハブ142上に配置された貫通穴163に挿入されたそれぞれのソケット174から伝えられた電気を受け取る。当然ながら、電気は逆方向に流れることもできる。
【0039】
同様に、加熱素子相互接続部129のポスト147(図示せず)は、貫通穴172に挿入され又はこれによって受け取られて内側加熱素子111に電力を伝える。ポスト147は、内側加熱素子111に電気を伝え、端子137は、内側加熱素子111の反対端からフィードスルー(図示せず)に電気を戻して回路を完成させる。
【0040】
加熱素子相互接続部129は、その内端接点131において電気を受け取ってそのポスト147に電気を伝える。図9及び図12に示すように、内端接点131は、ディスク120の内側ハブ142上に配置された貫通穴162に挿入されたソケット174から伝えられた電気を受け取る。端子137は、内側加熱素子111の反対端から、ディスク120の内側ハブ142上に配置された貫通穴171に挿入されたソケット174に電気を伝える。当然ながら、電気は逆方向に流れることもできる。
【0041】
内側及び外側熱電対127、128は、温度に比例するミリボルト信号を生成し、それぞれの貫通穴164に挿入されたそれぞれのソケット175に接続された端子138を介してこの信号を伝える。
【0042】
加熱素子相互接続部126、129及びソケット135を作製する組成及び方法も、これらのコンポーネントの動作温度範囲にわたって抵抗変化が小さいとの利点を含むように、1又は2以上の加熱素子110の組成及び方法と同様であることができる。本明細書に開示するような小さな電気抵抗変化(すなわち、電気抵抗が比較的温度変化に影響されにくいこと)は、熱の不均一性に対する熱の影響を最小化する。従って、加熱素子相互接続部126、129及びソケット135は、本明細書において1又は2以上の加熱素子110について説明したようにドープすることができる。いくつかの実施形態では、加熱素子相互接続部126、129及びソケット135をドープしないこともできるが、このような状況では、ドープされていない加熱素子相互接続部126、129及びソケット135が1又は2以上の加熱素子110と比べてあらゆる温度において十分に低い電気抵抗を有していなければならない。この十分に低い電気抵抗は、例えば加熱素子相互接続部126、129及びソケット135の形状を電気抵抗が十分に小さくなるように制御することによって達成することができる。いくつかの実施形態では、本明細書に開示するような1又は2以上の耐火硬質金属を含む加熱素子相互接続部126、129及びソケット135の組成がドーピングを必要としないこともでき、或いは少なくともそれぞれのコンポーネントの抵抗部分にとって必要な程度までドープすることもできる。
【0043】
図11に示すように、ディスク120の底面116には、最初に窒化アルミニウムの粉末の形態の熱伝導層145が配置される。この粉末を圧力下で結合剤を使用して圧密化して、機械加工可能な表面を形成する。図12に示すように、底面116は、完成した熱伝導層145を形成するようにプレス加工され機械加工されている。ソケット135は、加熱素子ソケット175及び熱電対ソケット176を含む。図13図15に、完成したディスクアセンブリ105を示す。ディスクアセンブリ105の底面116は、ライザポスト150のフランジ182を受け取るように環状突出部180内に形成された環状溝178を含む。この時点で、ウェハ持ち上げ機構(wafer lifting mechanism)にアクセスを提供する目的で、穴122をその最終直径に拡大することができる。ソケット135は、ディスク120/ディスクアセンブリ105の焼結前又は焼結後にディスク120に挿入することができる。
【0044】
図16に、ライザポスト150を取り付ける前のディスクアセンブリ105を示し、図17図18に、ライザポスト150を取り付けた後のディスクアセンブリ105を示す。ライザポスト150は、一端(上端)にフランジ182を有して反対端(下端)に環状突出部183を有する管状延長部160を含む。フランジ182の上面184は、環状溝178の底壁186と嵌合するように構成される。同様に、フランジ182の外壁188は、環状溝178の外壁190と嵌合するように構成され、フランジ182の内壁192は、環状溝178の内壁194と嵌合するように構成される。環状突出部183は、フィードスルー(図示せず)又は他の構造に係合して、ウェハ処理チャンバの外部の大気条件に移行するように構成される。
【0045】
ライザポスト150は、ヘリウムタイトシールでもあるという能力を有する強固な接合部を形成するように、いずれかの適用可能な接合法を使用してディスクアセンブリ105に接合することができる。例えば、工程要件に応じて、拡散接合法(diffusion bonding)、金属化ろう付け法(metalized brazing)、高温シールでの機械的接合法、ガラス又はガラスセラミック接合法、或いはその他の技術を使用することができる。1つの好適な接合法は、「AlNセラミック体の拡散接合アセンブリ及びこれによって構成された放熱部材(Diffusion-Bonded Assembly of AlN Ceramic Bodies and Heat Dissipation Member Constituted Thereby)」という名称の米国特許第5,096,863号明細書に開示されており、この文献はその全体が引用により本明細書に組み入れられる。この特許において教示される接合工程は、ライザポスト150とディスクアセンブリ105との間にヘリウムタイトシールを形成する。
【0046】
なお、電気ヒータ装置は、本明細書に開示する原理に一致するあらゆる形状又は構成のものが可能である。例えば、一部のエンドユーザは、ディスクアセンブリ105内に埋め込まれた接地面又は静電チャック電極を含む構成を必要とすることがある。このようなさらなる特徴は、本明細書の教示から逸脱することなく容易に組み込むことができる。また、パススルー接続部(passthrough connections)の数を最小限に抑えながら複数の加熱素子及び/又は加熱ゾーンに対応する異なる電気配線スキームを展開することもできる。さらに、ディスクアセンブリ105は、異なる層上のコンポーネント間で信号(すなわち、電力、センサなど)を伝える相互接続部を有する、上述した層数を上回る数の層を含むこともできる。
【0047】
図22に、電気ヒータ装置100の1つの実施形態の様々な製造ステップを示す。例えば、ステップ300において、窒化アルミニウムなどの熱伝導性かつ電気絶縁性の材料で構成され、金型内で十分に高い圧力下で結合剤を使用して圧密化された粉末によって形成された、所望の直径及び初期厚みの「グリーン(green)」ディスク120から開始して、ディスク120の上面115に1又は2以上の加熱素子110を受け取るための溝155を形成し、ディスク120の底面116に相互接続部125を受け取るための溝165を形成する。他の実施形態では、溝165を溝155とは異なる時点で形成することができる。溝155、165を作製するために、それぞれの上面115/底面116にマスキングフィルムを適用してレーザー彫刻法を展開することができる。溝155、165は、本開示の教示から逸脱することなく他の同様の技法を使用して作製することもできる。例えば、溝155、165は、最初にディスク120がプレス加工されて形成される際にグリーンディスク120内に形成することもできる。或いは、溝155、165は、最初にディスク120を形成した後にディスク120内に機械加工することもできる。
【0048】
この時点で、ディスク表面が窒化アルミニウム粉末で覆われた後にディスク120のクロッキング/割出しを可能に/確実にするように穴122を形成することができる。ステップ305において、溝155内に1又は2以上の加熱素子110を配置する。これを行うために、(1)モリブデン、タングステン及び/又はタンタルなどの1又は2以上の耐火硬質金属を含む高濃度塗料、(2)モリブデン、タングステン及び/又はタンタルなどの1又は2以上の高濃度耐火金属を含む高分子シートからの事前切断パターン、又は(3)モリブデン、タングステン及び/又はタンタルなどの耐火硬質金属の高濃度粉末、のうちの少なくとも1つを(規定通りに)適用又は挿入して溝155を埋め、これらの(1)~(3)は、全て本明細書に開示するような組成/濃度、或いは本明細書に開示する教示から当業者が理解するように自然に生じるような組成/濃度を有する。ステップ310において、ディスク120の上面115に窒化アルミニウム粉末などの熱伝導性粉末を適用する。ステップ315において、この粉末を圧力下で結合剤を使用して圧密化して機械加工可能な表面を形成する。ステップ320において、溝165に相互接続部125を取り付け、それぞれが本明細書に開示する組成/濃度のモリブデン、タングステン及び/又はタンタルなどの1又は2以上の耐火硬質金属を含む上記で開示したような粉末、塗料又は高分子シートからの事前切断パターンのうちの高濃度のものを適用又は挿入して溝165を埋める。ステップ325において、ディスク120の底面116に窒化アルミニウム粉末などの熱伝導性粉末を適用する。ステップ330において、この粉末を圧力下で結合剤を使用して圧密化して機械加工可能な表面を形成する。ステップ335において、ディスク120の底面116の窒化アルミニウム粉末のそれぞれの貫通穴に電力及び熱電対ソケット135を取り付ける。ステップ340において、ディスク120の両面をほぼ最終寸法まで機械加工してディスクアセンブリ105を形成する。ステップ345において、制御された加熱下の窒素雰囲気中でディスクアセンブリ105の結合剤の燃焼及び焼結を行って少量の残留炭素を生成する。この炭素の一部はモリブデン粉末に取り込まれ、このモリブデン粉末が収縮及び焼結して窒化アルミニウムマトリックス内に高密度の1又は2以上の加熱素子110を形成する。残りの炭素は、Al23と反応して窒化アルミニウム及び一酸化炭素を形成する。典型的には約1600℃~約1850℃の範囲の高温では、窒素雰囲気における窒化アルミニウム、モリブデン、炭素及びアルミナ-イットリア焼結助剤間の相互作用に起因して1又は2以上の加熱素子110の組成が化学平衡に近づく結果、1又は2以上の加熱素子110の所望の組成が得られる。
【0049】
ステップ350において、最終的な寸法形状を達成するために、ディスクアセンブリ105に対して最後の機械加工及び/又は研削加工を実行する。ステップ355において、本明細書に開示するようないずれかの適用可能な接合法を使用してディスクアセンブリ105にライザポスト150を接合する。ステップ360において(別のコンポーネントで構成されている場合には)フィードスルーを組み立てることができ、ステップ365においてフィードスルーをライザポスト150に取り付けることができる。
【0050】
当業者であれば、ディスクアセンブリ105及び/又は電気ヒータ装置100を作製するように様々な付加製造法を適合させることができると理解するであろう。以下で電気ヒータ装置400について説明するように、好適な付加製造工程は、ロールツーロール法によって供給されるレーザー切断紙のシートを積層させることによって3D物体を形成する、Helysis社によって開発された薄膜積層法(Laminated Object Manufacturing)と呼ばれる工程を含むことができ、この工程はその全体が引用により本明細書に組み入れられる。
【0051】
次に図23に、本開示の電気ヒータ装置400の別の実施形態を示す。この実施形態では、ディスクアセンブリ420が、埋め込み型加熱素子407を含む窒化アルミニウム層401、402、403と、ビア409及び配電層402aと、シャフト404及びフィードスルー406と、金属チャンバ取り付けフランジ405と、加熱素子/電極コンポーネント411、412、413と、電極入口点410とを含む。
【0052】
コンポーネント411、412、413として概念的に示す加熱要素/電極システムは、入口点410において加熱素子407に電流を供給するために使用される。剛性ピン411は、入口点410に接合されていないので、モリブデン又はタングステンに限定されない導電性金属である。いくつかの実施形態では、同様にニッケル合金を利用することもできる。410と411との間の接点は、電流を供給する電気接点を形成する。ばね412によって上向きの力が加えられる。可撓性導体は外部システムに接続する。可撓性導体はフィードスルー406において密封される。この接続システムは、ヒータ及び熱電対センサに使用することができる。単純化のために1組のコンポーネントしか示していない。この接続システムは、高温でのコンポーネントの熱伸長(thermal extension)を可能にする。好ましくはシール部品及び締結具を含むアルミニウム製の金属チャンバ取り付けフランジ105は、チャンバ壁又は昇降台(lifting stage)に基台を取り付ける。
【0053】
少なくともこの実施形態では、加熱素子407が、ドープされたモリブデン又はモリブデン含有炭化物、或いはタングステン又はその合金などの耐火硬質金属の当量化合物を含む。モリブデンの好ましいドーピングは、炭素と、アルミニウムと、場合によっては窒素、酸素及びイットリウムとを必要とする。
【0054】
炭素ドーパントは、ディスクアセンブリ420を焼結している間の結合剤の燃焼中に生成され、或いは導電性である加熱素子407に関連する金属粉末に別様に添加される。この工程中には、不活性雰囲気又は実質的に不活性雰囲気において約1600℃~約1850℃の範囲で部品を加熱して、所望の量の残留炭素を生成するように結合剤を熱分解する。この工程によって生じる炭素の量は、アルミナ及びイットリアの液相が、焼結体のAl23/Y23モル比が10:3~0.1:1であるような組成となるように、イットリアに関連しない窒化アルミニウムの酸素含有量未満に保たれる。この炭素の一部がモリブデン粉末に取り込まれ、このモリブデン粉末が収縮及び焼結して窒化アルミニウムマトリックス内に高密度の加熱素子を形成する。残りの炭素は、Al23と反応して窒化アルミニウム及び一酸化炭素を形成する。典型的には約1600℃~約1850℃の範囲の高温では、窒素雰囲気における窒化アルミニウム、モリブデン、炭素及び(上述した)アルミナ-イットリア焼結助剤間の相互作用に起因して1又は2以上の加熱素子110の組成が化学平衡に近づく結果、1又は2以上の加熱素子110の所望の組成が得られる。アルミニウム、窒素、酸素及びイットリウムなどの他のドーパントは、導電性加熱素子成分と周囲の窒化アルミニウムマトリックスとの間の高温相互作用によって単純に添加することができる。炭素、アルミニウム、窒素、酸素及びイットリウムの濃度は以下の範囲内で変化することができる。
炭素:0.1~50at%
アルミニウム:0.1~20at%
窒素:0~20at%
酸素:0~5at%
イトッリウム:0~3at%
【0055】
なお、SEM/EDS分析は、微量~少量のホウ素には反応しない場合もある。通常、スペクトル分析において他の元素からの干渉がない場合、ホウ素濃度は10%を超えた場合に検出することができる。ホウ素は、結合剤の燃焼中及び/又は焼結中に不活性支持を行う窒化ホウ素(又は窒化アルミニウム加工可能なセラミックと結合した窒化ホウ素)として使用されるために存在することができるので、組成の候補から除外することはできない。従って、ホウ素は、アルミニウム、窒素及び酸素などのドーパントについて上述したように焼結中の高温相互作用中に添加されることがあるが、従来のSEM/EDS分析を使用して検出されない場合もある。従って、一般に0~約10at%である検出限界までの範囲内のドーパントとしてのホウ素を除外することはできない。
【0056】
加熱素子407の組成は、炭素、窒素及び酸素などの非金属元素に加えて、微量のホウ素、並びに窒化アルミニウムセラミックにおいて見られる元素、すなわちアルミニウム、イットリウムを含み、これらは全てSEM/EDS分析によって決定される。非金属元素は、結合剤の燃焼段階における熱分解中に残留炭素量をもたらす有機結合剤などの前駆体を直接添加することによって、或いはモリブデン及び炭素の固溶体又は炭化モリブデン(Mo2C又はMoC)のいずれかを形成する加熱素子のみに取り込まれる微粒炭素を直接添加することによって添加することができる。X線回折解析では、加熱素子が、モリブデンと炭化モリブデンの混合物と、不十分な数のピークに起因する微量の未同定相(unidentified phases)とを含むことが示された。1つの事例では、モリブデンとMo2Cである炭化モリブデンとの比率がほぼ2:1であった。
【0057】
部品は、液体形成酸化物焼結相(A2O3-Y2O3)を使用して窒素雰囲気中で焼成されるので、加熱素子407の組成は、微量~少量のアルミニウム、イットリウム及び酸素を含むことができる。わずかなドーパントの添加が金属及びセラミックス(金属と非金属の化合物)の電気的特性に影響を与え得ることはよく知られているので、加熱要素/電極組成内の微量~少量の元素の存在を考慮しなければならない。
【0058】
説明するような加熱素子407は、(1)熱応力に耐える能力(すなわち、ヒータ基台ディスクアセンブリ420のセラミックマトリックスの熱膨張係数に十分に近い熱膨張係数)、(2)セラミックマトリックスに対する化学的適合性(すなわち、不活性))、(3)セラミックマトリックスとの同時焼成能力、及び(4)特に注目すべき、とりわけ高い動作温度における温度の関数としての電気抵抗率の安定性の向上、を含む複数の非常に望ましい特性を提供する。実際に、説明するような加熱素子407は、約周囲温度~約850℃で測定した電気抵抗率係数が、同じ温度にわたって0.005(1/K)の電気抵抗率係数を有する純モリブデンと比べて約0.001(1/K)と比較的低いため、約周囲温度~約850℃の所望の動作範囲において電気抵抗率の変化が比較的少ない(すなわち、電気抵抗が比較的温度変化に影響されにくい)ことが観察される。1つの実施形態では、図28に示すように、約300℃~約600℃の温度にわたって電気抵抗が約4.18オーム~約4.28オームであった。
【0059】
また、本明細書に開示された多層構造の電気ヒータ装置は、真空ウェハ処理チャンバ内に取り付けた場合に漏れを防ぐとともに、複数のゾーンに対応できるスケーラブルな設計を提供し、より良い温度均一性のために単一の加熱ゾーン又は複数の加熱ゾーンが可能な解決策を示す。この構成は、例えば温度センサなどの1又は2以上の熱電対の追加も可能にする。層402と403との間に熱電対を追加したところ、セラミック製造工程に耐え抜いた。
【0060】
また、モリブデンのドーピングに関与する炭素及びアルミニウム、場合によっては酸素の上述した濃度では、電気抵抗の温度に対する感度が低下することによって、温度制御の大幅な容易化、高温での化学的適合性、及びアセンブリの同時焼成/焼結中の窒化アルミニウム基板との適合性が可能になるという予想外の発見もあった。
【0061】
少なくとも本明細書に開示するこの実施形態では、電気ヒータ装置400を以下のステップに従って構成することができる。
a.窒化アルミニウムを含むグリーン体(すなわち、金型内で十分に高い圧力下で結合剤を使用してセラミック粉末を圧密化することによって形成される自立体(self-supporting body))を準備する。次に、このグリーン体を機械加工してディスク状基板を形成し、この上に加熱素子407を印刷及び/又は配置することができる。
b.複数の既知の塗料又はペースト作製法のうちのいずれか1つを使用して、モリブデン粉末、有機結合剤及び溶剤を含む導電性加熱素子組成物を調製する。或いは、それぞれが本明細書に開示した組成/濃度のモリブデン、タングステン及び/又はタンタルなどの1又は2以上の耐火硬質金属を含む上記で開示したような粉末、塗料又は高分子シートからの事前切断パターンのうちの高濃度のものを調製することもできる。
c.次に、グリーン体ディスクの一方の表面にマスキングフィルムを適用し、レーザー彫刻法を使用して、必要な深さ、幅及び長さの浅いトレンチを含む明確なパターンを形成する。
d.次に、モリブデン塗料を適用して、モリブデン面と窒化アルミニウム面とが基準面に対して同じ高さになるように均一にトレンチを埋める。或いは、それぞれが本明細書に開示した組成/濃度のモリブデン、タングステン及び/又はタンタルなどの1又は2以上の耐火硬質金属を含む上記で開示したような粉末、塗料又は高分子シートからの事前切断パターンのうちの高濃度のものを適用又は挿入してトレンチを埋める。次に、ビア409を埋めて反対面に接続する電力リードを形成する。
e.マスクを除去し、ビア409及び加熱素子407のパターンを厚みの均一性についてチェックし、必要に応じて補修する。
f.次に、金型内での粉末プレス加工とその後の機械加工とを連続して使用して、図23に示すように多層ディスクアセンブリ420構造に加熱素子の導電パターンを封入し又は埋め込む。
g.或いは、導電パターンを封入するように又は埋め込むように付加製造工程を適合させることもできる。この目的で適合させることができる好適な付加製造工程としては、ロールツーロール法によって供給されるレーザー切断紙のシートを積層させることによって3D物体を形成する、Helysis社によって開発された薄膜積層法と呼ばれる工程を挙げることができ、この工程はその全体が引用により本明細書に組み入れられる。この工程の原理を利用することにより、(本明細書で説明した)プレス加工、ロール圧縮法(roll compaction)、テープ成形法(tape casting)、噴霧堆積法(spray deposition)などの当業で周知のセラミック作製工程によって窒化アルミニウムのシートを作成することができる。シートの表面は、パススルー接続部のためにレーザー切断して導電素子塗料を印刷することができる。一方で、印刷された導電素子パターンを有するシート上に粉末を加えて再びプレス加工する代わりに、印刷シートを互いに積み重ね、「多層セラミックモジュールの作製方法(Fabrication Techniques for Multi-Layer Ceramic Modules)」という名称の米国特許第4024629号の教示による溶剤を使用して最初に接合することもでき、この文献はその全体が引用により本明細書に組み入れられる。このアセンブリは、温間静水圧加圧法(warm isostatic pressing)、ハイドロフォーミング法又は同等の成形技術によってさらに圧密化することができる。上述した薄膜積層法は、複雑な3D構造を形成するように高度に自動化されており、このことは、本明細書で説明する電気ヒータ装置を製造する工程も高度に自動化できることを示唆する。なお、ここで説明した、一方が電気的に絶縁性であるが熱伝導性であり、他方が導電性である2つの相互接続された3D構造を形成する原理は、本明細書で説明した加熱素子、相互接続部、センサなどの導電パターンの内部構造を含む窒化アルミニウムマトリックスを形成するように他の付加製造工程を使用して展開することもできる。このような他の付加的製造法としては、バインダジェット法、溶融フィラメント堆積法、噴霧堆積法、光造形法に見られるような高濃度セラミック又は金属粉末を含むUV硬化ポリマが挙げられる。導電性加熱素子、相互接続部、電力リード、熱電対などの本明細書で説明したような内部構造を含む窒化アルミニウムのグリーン体を作製した後に、後述する残りの工程ステップを適用することができる。
h.次に、窒素雰囲気中で、結果として得られたディスクアセンブリ420の結合剤の燃焼及び焼結を行う。結合剤の燃焼は、少量の残留炭素が生成されるように制御された加熱下の窒素環境で行われる。この工程によって生じる炭素の量は、アルミナ及びイットリアの液相が、焼結体のAl23/Y23モル比が10:3~0.1:1であるような組成となるように、イットリアに関連しない窒化アルミニウムの酸素含有量未満に保たれる。この炭素の一部がモリブデン粉末に取り込まれ、このモリブデン粉末が収縮及び焼結して窒化アルミニウムマトリックス内に高密度の加熱素子/電極を形成する。上述したように、焼結中には、加熱素子407と、ビア409と、焼結中に焼結助剤として機能するアルミナ-イットリア相を含む周囲の窒化アルミニウムマトリックスとの間の高温相互作用に起因して、アルミニウム、窒素、酸素、イットリウム、及び場合によってはホウ素などの他のドーパントが添加される。残りの炭素は、Al23と反応して窒化アルミニウム及び一酸化炭素を形成する。典型的には約1600℃~約1850℃の範囲の高温では、窒素雰囲気における窒化アルミニウム、モリブデン、炭素及びアルミナ-イットリア焼結助剤間の相互作用に起因して1又は2以上の加熱素子110の組成が化学平衡に近づく結果、1又は2以上の加熱素子110の所望の組成が得られる。この説明は、焼結窒化アルミニウムディスクヒータの作製を対象とする。次に、このディスクアセンブリ420を、中空/管状のシャフト404への接合及び接合後の作業に必要な最終寸法に機械加工する。
i.窒化アルミニウムから物品を作製するのに適した既知の工程を使用して窒化アルミニウムから中空/管状のシャフト404を準備し、最終形態に機械加工する。具体的には、窒化アルミニウムセラミックを焼結するための標準的な工程に従って、すなわち粉末を管状の予備成形品にプレス加工し、この予備成形品を機械加工して所望の形状及び寸法のグリーン体を形成した後に結合剤の燃焼及び焼結を行うことによって中空/管状のシャフト404を加工する。次に、この焼結された部品を、ディスクアセンブリ420に結合する準備が整った中空/管状のシャフト404を形成するために必要な最終寸法に機械加工する。
j.いずれかの適用可能な接合法を使用して、焼結された中空/管状シャフト404及び焼結された窒化アルミニウムディスクアセンブリ420を互いに取り付ける。例えば、工程要件に応じて、拡散接合法、金属化ろう付け法、高温シールでの機械的接合法、ガラス又はガラスセラミック接合法、或いはその他の技術を使用することができる。1つの好適な接合法は、「AlNセラミック体の拡散接合アセンブリ及びこれによって構成された放熱部材」という名称の米国特許第5,096,863号明細書に開示されており、この文献はその全体が引用により本明細書に組み入れられる。
k.コンポーネントの酸化を防ぐために、管状シャフト404内の容積を不活性ガスでパージする。
l.入口点410において加熱素子407に電流を供給するために、コンポーネント411、412、413によって概念的に示す電力電極システムを取り付ける。
m.可撓性導体を外部システムに接続してフィードスルー406において密封する。
n.単純化のために1組の加熱素子407及び熱電対センサしか示していないが、他の実施形態では複数の加熱素子及び熱電対センサを配置することもできる。
o.この接続システムは、高温でのコンポーネントの熱伸長を可能にする。
【0062】
この独自の製造法は、ほとんどのコンポーネントに粒状組成物を使用する付加製造工程の使用、制御された結合剤燃焼工程、及び基台ディスクの焼結を含むことができ、本明細書に開示するような予想外の結果を伴う解決策をもたらす。
【0063】
次に図24に、純タングステン及び純モリブデンの温度の関数としての電気抵抗率を示すグラフを示しており、このグラフには、タングステンについては約0℃~約3400℃の、モリブデンについては約0℃~約2200℃の範囲温度にわたって着実に電気抵抗率が増加することが示される。
【0064】
図25及び図26には、本明細書に開示するように構成されたサンプルディスクアセンブリ内の加熱素子/電極の近傍のSEM/EDSスペクトル分析及び代表的な元素濃度を示す。パラジウム及び金のスペクトル線は、試料の薄い導電膜被覆に由来する。この試料では、図26に示すように、モリブデンの重量パーセントは70.8%であり、炭素は20.6%であり、酸素は3.6%であり、窒素は3.1%であり、アルミニウムは1.9%であり、イットリウムは0.0%であった。
【0065】
図27には、熱シミュレーションによる電力対温度のプロットを示す。この種のプロットは、コンポーネントのサイズ設定及び適切な制御システムの選択に役立つことがある。高温動作では、放射熱損失に起因して高電力が必要とされる。放射熱伝達のためのステファン-ボルツマンの法則は、温度に伴う非線形増加(4乗)を示す。本明細書に開示する実施形態は、図27に示すような高い放射熱損失に起因する約600℃~約800℃の範囲の高温動作のために高電力を供給する。
【0066】
図28には、本開示の代表的な加熱素子から取り込んだ抵抗データを示す。このデータには、高温、すなわち約500℃~約600℃では抵抗が安定し、約300℃~約500℃ではある程度安定することが示されている。揺らぎは、電力変動及び導体の加熱に起因する。抵抗は、電圧及び電流の読み取り値から計算される。
【0067】
本明細書で説明した実施形態は考えられる実装例であり、本明細書で説明した特徴の原理を明確に理解できるように示したものにすぎない。上述した(単複の)実施形態には、本明細書で説明した技術、工程、デバイス及びシステムの趣旨及び原理から実質的に逸脱することなく多くの変形及び修正を行うことができる。本明細書では、このような全ての修正が本開示の範囲内に含まれ、以下の特許請求の範囲によって保護されるように意図されている。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26
図27
図28
【手続補正書】
【提出日】2021-03-03
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0014
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0014】
電気ヒータ装置は、1又は2以上のチャネル内に配置された1又は2以上の温度センサを含むことができる。第2の熱伝導層は、1又は2以上の温度センサを覆って配置することができる。1又は2以上の加熱素子及びディスクは、電気ヒータ装置における有害なクラック又は亀裂を避けるように機能的に同様の熱膨張係数を有することができる。1又は2以上の加熱素子は、ディスクの上面に沿って1又は2以上の加熱ゾーンを提供するように独立して制御することができる。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0020
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0020】
本開示では、半導体ウェハを製造するための電気ヒータ装置の少なくとも1つの実施形態の様々な態様について説明する。電気ヒータ装置の様々な実施形態は数多くの利点をもたらす。例えば、本開示の電気ヒータ装置は、約周囲温度~約850℃の範囲、とりわけ約300℃~約850℃の範囲での動作中に、同じ試験温度にわたってその金属製の同等物と比べて抵抗変化が比較的小さな(すなわち、電気抵抗が比較的温度変化に影響されにくい)電気抵抗ヒータを提供する。他の利点としては、以下が挙げられる。
a.加熱素子の組成及びその多孔性が、窒化アルミニウムの収縮と相性の良い収縮を可能にする。収縮に過度の不一致が存在しないので、結果として得られる、窒化アルミニウムマトリックスに埋め込まれた1又は2以上の加熱素子を含む加熱素子が、有害な内部亀裂又はクラックを生じない。
b.加熱素子組成物は、窒化アルミニウムとの焼結時に窒化アルミニウムの熱膨張係数に適度に近い熱膨張係数を有し、従ってヒータの性能に悪影響をもたらすクラックが発生しない。
c.本明細書で説明する実施形態は、多層加熱素子ディスクと、ヘリウムを漏らさないことができる強固な接合部を有するライザーアセンブリとを含
d.本明細書で説明する実施形態は、単一又は複数の加熱ゾーンを提供するスケーラブルな設計を提供し、約周囲温度~約850℃の範囲の機能的な温度均一性を有する様々なマルチゾーンヒータ構成の設計を可能にする。
e.本明細書で説明する実施形態は、既知のデバイスの熱電対温度センサを上回るさらなる又は複数の熱電対温度センサを可能にし、これらのセンサは全て、コンポーネントの圧縮、コンポーネントの埋め込み、及び約1600℃~約1850℃の範囲の高い焼結温度へのコンポーネントの曝露を伴う段階を含むヒータ作製工程を耐え抜くことができる。
f.本明細書で説明する実施形態は、高い放射熱損失に起因して高温動作に必要とされる高電力を供給できる解決策を提供する。
g.本明細書で説明する実施形態は、高温使用に適するとともに本明細書に開示するようなヒータ作製工程に耐えることができる、電源導体及びセンサ導体を熱素子に接続する電気接続システムを含む。
h.本明細書で説明する実施形態は、加熱素子の抵抗が温度にわたって大きく変化しないので、標準的な温度制御システムを組み込んで又は使用して電気ヒータ装置を動作させる能力を可能にする。従って、動作温度範囲にわたって比較的温度に影響されにくい電気抵抗を有する加熱素子を使用することで、より複雑なコントローラ、制御検討事項及びスイッチ部品の必要性が回避される。
i.本明細書で説明する実施形態は、周囲温度~約850℃の動作温度を可能にするように構成されたマルチゾーン電気ヒータ装置を提供する。
j.本明細書で説明する実施形態はエッチング耐性がある。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0029
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0029】
炭素ドーパントは、ディスクアセンブリ105を焼結している間の結合剤の燃焼中に生成され、或いは導電性である1又は2以上の加熱素子110に関連する金属粉末に別様に添加される。この工程中には、不活性雰囲気又は実質的に不活性雰囲気において約1600℃~約1850℃の範囲で部品を加熱して、所望の量の残留炭素を生成するように結合剤を熱分解する。この工程によって生じる炭素の量は、アルミナ及びイットリアの液相が、焼結体のAl23/Y23モル比が10:3~0.1:1であるような組成となるように、イットリアに関連しない窒化アルミニウムの酸素含有量未満に保たれる。この炭素の一部がモリブデン粉末に取り込まれ、このモリブデン粉末が収縮及び焼結して窒化アルミニウムマトリックス内に高密度の加熱素子を形成する。残りの炭素は、Al23と反応して窒化アルミニウム及び一酸化炭素を形成する。典型的には約1600℃~約1850℃の範囲の高温では、窒素雰囲気における窒化アルミニウム、モリブデン、炭素及び(上述した)アルミナ-イットリア焼結助剤間の相互作用に起因して1又は2以上の加熱素子110の組成が化学平衡に近づく結果、1又は2以上の加熱素子110の所望の組成が得られる。アルミニウム、窒素、酸素及びイットリウムなどの他のドーパントは、導電性加熱素子成分と周囲の窒化アルミニウムマトリックスとの間の高温相互作用によって単純に添加することができる。炭素、アルミニウム、窒素、酸素及びイットリウムの濃度は以下の範囲内で変化することができる。
炭素:0.1~50at%
アルミニウム:0.1~20at%
窒素:0~20at%
酸素:0~5at%
イットリウム:0~3at%
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0033
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0033】
説明するような1又は2以上の加熱素子110は、(1)熱応力に耐える能力(すなわち、ディスクアセンブリ105のセラミックマトリックスの熱膨張係数に十分に近い熱膨張係数)、(2)セラミックマトリックスに対する化学的適合性(すなわち、不活性、(3)セラミックマトリックスとの同時焼成能力、及び(4)特に注目すべき、とりわけ高い動作温度における温度の関数としての電気抵抗率の安定性の向上、を含む複数の非常に望ましい特性を提供する。実際に、説明するような1又は2以上の加熱素子110は、約周囲温度~約850℃で測定した電気抵抗率係数が、同じ温度にわたって0.005(1/K)の電気抵抗率係数を有する純モリブデンと比べて約0.001(1/K)と比較的低いため、約周囲温度~約850℃の所望の動作範囲において電気抵抗率の変化が比較的少ない(すなわち、電気抵抗が比較的温度変化に影響されにくい)ことが観察される。1つの実施形態では、図28に示すように、約300℃~約600℃の温度にわたって電気抵抗が約4.18オーム~約4.28オームであった。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0052
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0052】
コンポーネント411、412、413として概念的に示す加熱要素/電極システムは、入口点410において加熱素子407に電流を供給するために使用される。剛性ピン411は、入口点410に接合されていないので、モリブデン又はタングステンに限定されない導電性金属である。いくつかの実施形態では、同様にニッケル合金を利用することもできる。410と411との間の接点は、電流を供給する電気接点を形成する。ばね412によって上向きの力が加えられる。可撓性導体は外部システムに接続する。可撓性導体はフィードスルー406において密封される。この接続システムは、ヒータ及び熱電対センサに使用することができる。単純化のために1組のコンポーネントしか示していない。この接続システムは、高温でのコンポーネントの熱伸長(thermal extension)を可能にする。好ましくはシール部品及び締結具を含むアルミニウム製の金属チャンバ取り付けフランジ405は、チャンバ壁又は昇降台(lifting stage)に基台を取り付ける。
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0054
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0054】
炭素ドーパントは、ディスクアセンブリ420を焼結している間の結合剤の燃焼中に生成され、或いは導電性である加熱素子407に関連する金属粉末に別様に添加される。この工程中には、不活性雰囲気又は実質的に不活性雰囲気において約1600℃~約1850℃の範囲で部品を加熱して、所望の量の残留炭素を生成するように結合剤を熱分解する。この工程によって生じる炭素の量は、アルミナ及びイットリアの液相が、焼結体のAl23/Y23モル比が10:3~0.1:1であるような組成となるように、イットリアに関連しない窒化アルミニウムの酸素含有量未満に保たれる。この炭素の一部がモリブデン粉末に取り込まれ、このモリブデン粉末が収縮及び焼結して窒化アルミニウムマトリックス内に高密度の加熱素子を形成する。残りの炭素は、Al23と反応して窒化アルミニウム及び一酸化炭素を形成する。典型的には約1600℃~約1850℃の範囲の高温では、窒素雰囲気における窒化アルミニウム、モリブデン、炭素及び(上述した)アルミナ-イットリア焼結助剤間の相互作用に起因して1又は2以上の加熱素子110の組成が化学平衡に近づく結果、1又は2以上の加熱素子110の所望の組成が得られる。アルミニウム、窒素、酸素及びイットリウムなどの他のドーパントは、導電性加熱素子成分と周囲の窒化アルミニウムマトリックスとの間の高温相互作用によって単純に添加することができる。炭素、アルミニウム、窒素、酸素及びイットリウムの濃度は以下の範囲内で変化することができる。
炭素:0.1~50at%
アルミニウム:0.1~20at%
窒素:0~20at%
酸素:0~5at%
イットリウム:0~3at%
【手続補正7】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0058
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0058】
説明するような加熱素子407は、(1)熱応力に耐える能力(すなわち、ヒータ基台ディスクアセンブリ420のセラミックマトリックスの熱膨張係数に十分に近い熱膨張係数)、(2)セラミックマトリックスに対する化学的適合性(すなわち、不活性、(3)セラミックマトリックスとの同時焼成能力、及び(4)特に注目すべき、とりわけ高い動作温度における温度の関数としての電気抵抗率の安定性の向上、を含む複数の非常に望ましい特性を提供する。実際に、説明するような加熱素子407は、約周囲温度~約850℃で測定した電気抵抗率係数が、同じ温度にわたって0.005(1/K)の電気抵抗率係数を有する純モリブデンと比べて約0.001(1/K)と比較的低いため、約周囲温度~約850℃の所望の動作範囲において電気抵抗率の変化が比較的少ない(すなわち、電気抵抗が比較的温度変化に影響されにくい)ことが観察される。1つの実施形態では、図28に示すように、約300℃~約600℃の温度にわたって電気抵抗が約4.18オーム~約4.28オームであった。
【手続補正8】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0059
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0059】
また、本明細書に開示するような多層構造の電気ヒータ装置は、真空ウェハ処理チャンバ内に取り付けた場合に漏れを防ぐとともに、複数のゾーンに対応できるスケーラブルな設計を提供し、より良い温度均一性のために単一の加熱ゾーン又は複数の加熱ゾーンが可能な解決策を示す。この構成は、例えば温度センサなどの1又は2以上の熱電対の追加も可能にする。層402と403との間に熱電対を追加したところ、セラミック製造工程に耐え抜いた。
【手続補正9】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図1
【補正方法】変更
【補正の内容】
図1
【国際調査報告】