(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-12-02
(54)【発明の名称】空気成形法に基づく近円柱面を有する微細溝アレイ表面を作製するための方法
(51)【国際特許分類】
B81C 99/00 20100101AFI20221125BHJP
B81C 1/00 20060101ALI20221125BHJP
B29C 59/02 20060101ALI20221125BHJP
【FI】
B81C99/00
B81C1/00
B29C59/02 Z
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022512443
(86)(22)【出願日】2021-08-18
(85)【翻訳文提出日】2022-02-22
(86)【国際出願番号】 CN2021113161
(87)【国際公開番号】W WO2022068448
(87)【国際公開日】2022-04-07
(31)【優先権主張番号】202011046923.2
(32)【優先日】2020-09-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】517405840
【氏名又は名称】江▲蘇▼大学
(74)【代理人】
【識別番号】110000291
【氏名又は名称】弁理士法人コスモス国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】李 健
(72)【発明者】
【氏名】居 信
(72)【発明者】
【氏名】金 ▲衛▼鳳
(72)【発明者】
【氏名】王 ▲ラー▼梅
【テーマコード(参考)】
3C081
4F209
【Fターム(参考)】
3C081AA17
3C081BA06
3C081BA09
3C081BA21
3C081BA72
3C081CA02
3C081CA13
3C081CA17
3C081CA23
3C081CA31
3C081CA35
3C081DA10
3C081DA43
3C081DA46
3C081EA07
3C081EA45
4F209AA36
4F209AF01
4F209AG05
4F209PA02
4F209PB01
4F209PN07
4F209PN09
4F209PQ11
(57)【要約】
【課題】本発明は、空気成形法に基づく近円柱面を有する微細溝アレイ表面を作製するための方法を開示し、機能表面を作製する技術分野に関する。
【解決手段】以下の工程に従って行われる。(1)微細溝アレイを有する表面を作製し、次に、補助平板の上に、成形される液体重合体膜の層を均一に広げ、微細溝アレイ表面のブランク位置に、塊状スペーサを置く。(2)液体重合体膜が広げられた補助平板を微細溝アレイ表面上の塊状スペーサの上に置き、そのまま真空乾燥オープンに送り入れる。(3)真空乾燥オープンの圧力を設計した圧力値に従って設定し、さらに、重合体材料を加熱して硬化させ、表面を分離することにより、近円柱面を有する微細溝アレイ表面の作製を実現する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の工程:
(1)微細溝アレイを有する表面を作製し、次に、補助平板の上に、成形される液体重合体膜の層を均一に広げ、微細溝アレイ表面のブランク位置に、塊状スペーサを置くこと、
(2)液体重合体膜が広げられた補助平板を微細溝アレイ表面上の塊状スペーサの上に置き、そのまま真空乾燥オープンに送り入れること、
(3)真空乾燥オープンの圧力を設計した圧力値に従って設定し、さらに、重合体材料を加熱して硬化させ、表面を分離することにより、近円柱面を有する微細溝アレイ表面の作製を実現することが含まれ、
前記した方法の工程(1)において、まずレーザー直接描画法などの従来の微加工方法により微細溝アレイを有する表面を作製でき、用いられるレーザーのスポット径は5μm~100μmであり、走査中のレーザースポットのオーバーラップ率は30%~90%であり、処理される溝領域は面走査にかけられ、走査回数が5回~20回であり、作製された微細溝の深さは微細溝の幅よりも多い
ことを特徴とする、補助平板の前広がりに基づく近円柱面を有する微細溝アレイ表面を作製するための空気成形法。
【請求項2】
工程(1)において、補助平板の上に、成形される液体重合体膜の層を均一に広げることには、液体重合体材料PDMS(ポリジメチルシロキサン)を補助平板の上に滴下し、液体重合体を所望の厚さに自由に広げ、自由に広げる時間は10s~300sであり、形成される液体重合体膜の厚さは50μm~1500μmの範囲であり、液体重合体膜の広がり面積は微細溝アレイ表面を完全に覆うようになることを特徴とする、請求項に記載の補助平板の前広がりに基づく近円柱面を有する微細溝アレイ表面を作製するための空気成形法。
【請求項3】
工程(1)において、微細溝アレイ表面のブランク位置に塊状スペーサを置くには、液体重合体膜の厚さよりも10μm~50μm薄い厚さの塊状スペーサを3個用意し、塊状スペーサの長さ及び幅は1mm×1mm~5mm×5mmの範囲であり、微細溝アレイ表面縁部に近づくブランク位置に塊状スペーサを3個置き、塊状スペーサの間の接続線が鋭角三角形に形成されるように3個の塊状スペーサを分散して配置することを特徴とする、請求項に記載の補助平板の前広がりに基づく近円柱面を有する微細溝アレイ表面を作製するための空気成形法。
【請求項4】
前記した方法の工程(2)において、液体重合体膜が広げられた補助平板を微細溝アレイ表面上の塊状スペーサの上に置き、そのまま真空乾燥オープンに送り入れるには、液体重合体膜が広げられた補助平板を微細溝アレイ表面上の塊状スペーサの上に置き、液体重合体を微細溝アレイ表面と接触させ、微細溝内のガスの液体シールを実現し、液体重合体膜の流れを制限するために、後の処理プロセスで微細溝アレイ表面を水平に保ち、そのような液体重合体膜と微細溝アレイ表面との間の十分な接触及び水平状態を維持し、処理するために真空乾燥オープンに送り入れることを特徴とする、請求項に記載の補助平板の前広がりに基づく近円柱面を有する微細溝アレイ表面を作製するための空気成形法。
【請求項5】
工程(2)において、真空乾燥オープンの圧力を設計した圧力値に従って設定し、さらに、重合体材料を加熱して硬化させ、表面を分離することにより、微細の円柱面溝アレイ表面を作製するには、設計した近円柱面を有する微細溝の曲率半径rに応じて、真空乾燥オープンの圧力P=P
0-σ/rを算出し、ここで、P
0は大気圧力であり、σは液体成形重合体の表面張力であり、真空乾燥オープンを計算した圧力値Pに真空化し、温度を60℃に調節して2時間保温することによって成形した重合体膜を硬化させ、硬化プロセスが終了した後で放冷し、作製した硬化フィルム、すなわち近円柱面を有する微細溝アレイ表面を微細溝の鋳型と補助平板との間から分離することを特徴とする、請求項に記載の補助平板の前広がりに基づく近円柱面を有する微細溝アレイ表面を作製するための空気成形法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、機能表面を作製する技術分野に関し、特に近円柱面を有する微細溝アレイ表面を作製するための空気成形法を指し、その方法が重合体の近円柱面を有する微細溝アレイ表面を作製するのに適しており、とりわけ簡単な条件で近円柱面を有する微細溝アレイ表面を作製するのに適する。
【背景技術】
【0002】
近円柱面を有する微細溝アレイ表面は、表面が近円柱面を有する微細溝アレイ構造を有する表面を指し、そのような表面は、構造摩擦対として使用でき、光学分野の微細柱レンズを作製するために、近円柱面の微細突縁アレイ構造の表面を作製するための鋳型としても使用でき、近年広く注目されている。
【0003】
近円柱面を有する微細溝アレイ表面は、一般的に微細溝の表面品質を確保する必要があるが、該微細溝アレイはマイクロメートルスケールであるため、機械的処理方法や化学的エッチング法では表面品質の確保が困難である。近円柱面を有する微細溝または微細突縁の作製を実現するために、一般的に液滴移動法を用いて成形するための液滴を滑らかな表面に一滴ずつ配列させてから、配列された液滴を熱硬化の方法で硬化させて近円柱面構造を形成し、そのような方法では、液滴の体積や形状を制御することは困難である。中国特許(ZL200910024713.0)では、ほぼ球冠形の構造を作製するための空気成形法を提案し、ナノスケールのほぼ球冠形のピットアレイの作製を実現しているが、その方法では細孔アレイ鋳型上でのみ実現できる。細孔アレイ鋳型と異なり、微細溝アレイの鋳型に近円柱面を有する微細溝アレイを空気成形法で作製する問題は、液体の鋳型の溝内部への広がりにある。空気成形法の実施プロセスでは、成形液体重合体は、鋳型の表面に滴下されてから表面で広がるため、細孔アレイの鋳型の場合、そのような広がりプロセスが液体シールの効果により細孔内部のガスを除去し難く、気体模法の実施が保証される。微細溝アレイでは、成形重合体は、広がりプロセスで溝内部に充填されて溝内部のガスを排出するため、空気成形法が無効になり、
図1に示すように成形重合体液滴3は微細溝2の内部に充填されやすい。従って、成形液体重合体の溝内部への広がりを制御する方法でのみで、近円柱面を有する微細溝の作製を空気成形法で実現する。
【0004】
要するに、マイクロナノレンズアレイを作製するための方法は、初期の研究で提案されているが、この方法は孔のアレイのみを鋳型として使用でき、溝のアレイを鋳型として使用する場合、成形された液体重合体の溝内部での広がりが空気成形法を無効にするため、近円柱面を有する微細溝アレイ表面の作製を実現することが困難である。近円柱面を有する微細溝アレイ表面の作製を実現するために、本発明は、補助平板の前広がりに基づく空気成形法を提供する。
【発明の概要】
【0005】
本発明の目的は、補助平板の前広がりに基づく近円柱面を有する微細溝アレイ表面を作製するための空気成形法を提供することにあり、簡単な条件で重合体材料の近円柱面を有する微細溝アレイ表面を制御可能に作製することを実現する。
【0006】
本発明は、以下の技術スキームに従って実現される。
【0007】
補助平板の前広がりに基づく近円柱面を有する微細溝アレイ表面を作製するための空気成形法は、以下の工程に従って行われる。
【0008】
(1)微細溝アレイを有する表面を作製し、次に、補助平板の上に、成形される液体重合体膜の層を均一に広げ、微細溝アレイ表面のブランク位置に、塊状スペーサを置く。
【0009】
(2)液体重合体膜が広げられた補助平板を微細溝アレイ表面上の塊状スペーサの上に置き、そのまま真空乾燥オープンに送り入れる。
【0010】
(3)真空乾燥オープンの圧力を設計した圧力値に従って設定し、さらに、重合体材料を加熱して硬化させ、表面を分離することにより、近円柱面を有する微細溝アレイ表面の作製を実現する。
【0011】
前記した方法の工程(1)において、まずレーザー直接描画法などの従来の微加工方法により微細溝アレイを有する表面を作製でき、用いられるレーザーのスポット径は5μm~100μmであり、走査中のレーザースポットのオーバーラップ率は30%~90%であり、処理される溝領域は面走査にかけられ、走査回数が5回~20回であり、作製された微細溝の深さは微細溝の幅よりも多い。
【0012】
前記した方法の工程(1)において、補助平板の上に、成形される液体重合体膜の層を均一に広げるには、液体重合体材料PDMS(ポリジメチルシロキサン)を補助平板の上に滴下し、液体重合体を所望の厚さに自由に広げ、自由に広げる時間は10s~300sであり、形成される液体重合体膜の厚さは50μm~1500μmの範囲であり、液体重合体膜の広がり面積は微細溝アレイ表面を完全に覆うようになる。
【0013】
前記した方法の工程(1)において、微細溝アレイ表面のブランク位置に塊状スペーサを置くには、液体重合体膜の厚さよりも10μm~50μm薄い厚さの塊状スペーサを3個用意し、塊状スペーサの長さ及び幅は1mm×1mm~5mm×5mmの範囲であり、微細溝アレイ表面縁部に近づくブランク位置に塊状スペーサを3個置き、塊状スペーサの間の接続線が鋭角三角形に形成されるように3個の塊状スペーサを分散して配置する。
【0014】
前記した方法の工程(2)において、液体重合体膜が広げられた補助平板を微細溝アレイ表面上の塊状スペーサの上に置き、そのまま真空乾燥オープンに送り入れるには、液体重合体膜が広げられた補助平板を微細溝アレイ表面上の塊状スペーサの上に置き、液体重合体を微細溝アレイ表面と接触させ、微細溝内のガスの液体シールを実現し、液体重合体膜の流れを制限するために、後の処理プロセスで微細溝アレイ表面を水平に保ち、そのような液体重合体膜と微細溝アレイ表面との間の十分な接触及び水平状態を維持し、処理するために真空乾燥オープンに送り入れる。
【0015】
前記した方法の工程(2)において、真空乾燥オープンの圧力を設計した圧力値に従って設定し、さらに、重合体材料を加熱して硬化させ、表面を分離することにより、微細の円柱面溝アレイ表面を作製するには、設計した近円柱面を有する微細溝の曲率半径rに応じて、真空乾燥オープンの圧力P=P0-σ/rを算出し、ここで、P0は大気圧力であり、σは液体成形重合体の表面張力であり、真空乾燥オープンを計算した圧力値Pに真空化し、温度を60℃に調節して2時間保温することによって成形した重合体膜を硬化させ、硬化プロセスが終了した後で放冷し、作製した硬化フィルム、すなわち近円柱面を有する微細溝アレイ表面を微細溝の鋳型と補助平板との間から分離する。
【0016】
設計した近円柱面を有する微細溝の曲率半径rに応じて、真空乾燥オープンの圧力P=P0-σ/rを算出し、ここで、P0は大気圧力であり、σは液体成形重合体の表面張力であり、真空乾燥オープンを計算した圧力値Pに真空化し、成形重合体液を真空化処理後の成形重合体液7に変換される。真空化処理後の成形重合体液7を加熱して硬化させ、補助平板4及び微細溝アレイ表面1から分離し、ラプラス方程式の界面圧力と界面曲率半径の法則に従った微細溝構造は、近円柱面を有する微細溝構造、すなわち、近円柱面を有する微細溝アレイ表面8を形成する。
【0017】
本発明には、以下の技術的利点がある。
【0018】
液体重合体の前広がりを補助平板で実現することにより、液体重合体が微細溝アレイ表面に広げられる時に微細溝の充填や排気のため空気成形法を適用するのが難しいという問題は解決される。
【0019】
近円柱面を有する微細溝アレイ表面の作製を空気成形法で実現することにより、作製した微細溝内部表面の品質は、液気界面の品質によるため、滑らかな微細溝内部の表面を実現でき、光学分野への適用に寄与する。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】成形重合体の広がりによる微細溝内からの気体逸出の原理である。
【
図2】空気成形法に基づく近円柱面を有する微細溝アレイ表面を作製するための方法の実施を示すフローチャートである。
【
図3】塊状スペーサの微細溝表面上への配置を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明によって提出される具体的なプロセスの実施の詳細及び作業状況は、
図2及び
図3を参照して以下に説明される。
【0022】
補助平板の前広がりに基づく近円柱面を有する微細溝アレイ表面を作製するための空気成形法は、
図2に示すように、主に以下の4つの工程:微細溝アレイ表面を作製すること、補助平板の上に液体の成形重合体を前広げること、広げられた液体の成形重合体を微細溝アレイ表面と接触させて液体シールを形成すること、及び成形重合体を真空化して成形し、硬化、分離して、空気成形法に基づく近円柱面を有する微細溝アレイ表面の作製を実現することが含まれる。
【0023】
まず、微細溝アレイ表面1は、ある方法で作製され、該表面の作製方法は、レーザー直接描画法やフォトエッチング加工方法などの従来の微加工方法を使用でき、作製された微細溝2の深さは微細溝2の幅よりも多い。レーザー直接描画を使用する場合には、レーザービームは滑らかな表面に直接適用され、滑らかな表面の局所領域の材料を除去し、材料除去プロセスを複数回繰り返し、レーザービームを制御して特定の路径に沿って走査することにより特定の溝を得ることができる。フォトエッチング加工方法を使用する場合は、まずマスクプレートをカスタマイズし、特定の滑らかな基材にフォトレジストをコーティングし、さらにフォトエッチング露光システムを介してマスクプレートのパターンをフォトレジストに投影することにより、フォトレジストが性能を変化させ、後の現像、ハード焼成、腐食、レジスト除去などのプロセスにより微細溝アレイ表面1を得る。
【0024】
次に、補助平板4の上に、液体重合体膜5を前広げる。補助平板4の上に厚さが50μm~1500μmである液体重合体膜5の層をコーティングし、一般的な液体重合体の場合、微量の液体重合体膜5(体積は50μL<V<1500μLである)を補助平板4上に注ぎ、液体重合体膜をスピンコーターまたは重力によって所望の厚さ(50μm~1500μm)に広げる。
【0025】
第3の工程は、広げられた液体重合体膜5を微細溝アレイ表面1と接触させて液体シールを形成することである。
図3に示すように、微細溝アレイ表面1を水平に置き、塊状スペーサ9を微細溝アレイ表面1の縁部のブランク位置に配置し、塊状スペーサの間に塊状スペーサ間の接続線が鋭角三角形10を形成することや、塊状スペーサ9の厚さが広げられた液体重合体膜5の厚さよりも10μm~50μm小さいことを確実にする。その後、広げられた液体重合体膜5を微細溝アレイ表面1と接触させた場合は、液体の成形重合体が表面張力とガス圧力の作用下で特定の形状を形成し、すなわち、補助平板と微細溝アレイ表面との間の成形重合体液6を形成することにより、微細溝内部の残留ガスが重合体によって密封される。
【0026】
第4の工程は、成形重合体を真空化して成形し、硬化、分離して、空気成形法による微細構造の作製を実現する。前工程の微細溝アレイ表面1を水平に保ち、補助平板と微細溝アレイ表面との間の成形重合体液6及び補助平板4と共に真空乾燥オーブンに入れ、設計した近円柱面を有する微細溝の曲率半径rに応じて、真空乾燥オープンの圧力P=P0-σ/rを算出し、ここで、P0は大気圧力であり、σは成形材料の表面張力であり、真空乾燥オープンを計算した圧力値Pに真空化し、成形重合体液を真空化処理後の成形重合体液7に変換される。真空化処理後の成形重合体液7を加熱して硬化させ、補助平板4及び微細溝アレイ表面1から分離し、ラプラス方程式の界面圧力と界面曲率半径の法則に従った微細溝構造は、近円柱面を有する微細溝構造、すなわち、近円柱面を有する微細溝アレイ表面8を形成する。
【実施例1】
【0027】
(液体重合体膜5はポリジメチルシロキサンPDMSが使用され、補助平板4は滑らかなSi表面が使用され、塊状スペーサはシリコンウェーハチップが使用される)
レーザー直接描画加工法により、一般的な微細溝アレイ表面1を作製し、使用されたレーザーのスポット径は20μmであり、走査中のレーザースポットのオーバーラップ率は50%であり、すなわち、2つの連続するスポットの間の距離は10μmであり、処理される溝領域は面走査にかけられ、走査回数が10回であり、ここで、基材表面は1060アルミニウム板が使用され、加工後の微細溝の幅は50μmであり、深さは100μmであり、溝の長さは2mmである。成形重合体ポリジメチルシロキサンPDMS(米国ダウコーニング社から購入、商品名Sylgard 184A)を補助の滑らかなSi表面に300μL滴下し、PDMSを3分間自由に広げさせることにより、液体PDMS膜がコーティングされた滑らかで平直なシリコンウェーハを得ることができる。作製した微細溝の1060アルミニウム板を水平に置き、微細溝の1060アルミニウム板縁部に厚さ200μmのシリコンウェーハチップを塊状スペーサとして3個配置し、液体PDMSフィルムが広げられたシリコンウェーハを塊状スペーサ上に置き、微細溝内部の残留ガスをPDMSフィルムで密封する。微細溝の1060アルミニウム板を水平状態のまま補助の滑らかなSi表面及び液体PDMSと共に真空乾燥オープン内に送り入れ、曲率半径を50μmに設定して、真空圧力が100925Paであると算出し、該圧力値に従って真空化し、60oCに加熱して2時間保温した後で、放冷し、重合体膜を補助平板及び微細溝アレイ表面上から分離することにより、幅が50μmで、深さが50μmである近円柱面を有する微細溝アレイ表面を得た。
【符号の説明】
【0028】
1 微細溝アレイ表面
2 微細溝
3 成形重合体液滴
4 補助平板
5 液体重合体膜
6 補助平板の重合体鋳型と微細溝アレイ表面との間の成形重合体液
7 真空化処理後の成形重合体液
8 近円柱面を有する微細溝アレイ表面
9 塊状スペーサ
10 塊状スペーサの間に形成された鋭角三角形
【手続補正書】
【提出日】2022-02-22
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0010
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0010】
(3)真空乾燥オープンの圧力を設計した圧力値に従って設定し、さらに、液体重合体膜を加熱して硬化させ、表面を分離することにより、近円柱面を有する微細溝アレイ表面の作製を実現する。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0012
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0012】
前記した方法の工程(1)において、補助平板の上に、成形される液体重合体膜の層を均一に広げるには、液体重合体材料PDMS(ポリジメチルシロキサン)を補助平板の上に滴下し、液体重合体材料を所望の厚さに自由に広げ、自由に広げる時間は10s~300sであり、形成される液体重合体膜の厚さは50μm~1500μmの範囲であり、液体重合体膜の広がり面積は微細溝アレイ表面を完全に覆うようになる。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0014
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0014】
前記した方法の工程(2)において、液体重合体膜が広げられた補助平板を微細溝アレイ表面上の塊状スペーサの上に置き、そのまま真空乾燥オープンに送り入れるには、液体重合体膜が広げられた補助平板を微細溝アレイ表面上の塊状スペーサの上に置き、液体重合体膜を微細溝アレイ表面と接触させ、微細溝内のガスの液体シールを実現し、液体重合体膜の流れを制限するために、後の処理プロセスで微細溝アレイ表面を水平に保ち、そのような液体重合体膜と微細溝アレイ表面との間の十分な接触及び水平状態を維持し、処理するために真空乾燥オープンに送り入れる。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0015
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0015】
前記した方法の工程(3)において、真空乾燥オープンの圧力を設計した圧力値に従って設定し、さらに、液体重合体膜を加熱して硬化させ、表面を分離することにより、近円柱面を有する微細溝アレイ表面を作製するには、設計した近円柱面を有する微細溝の曲率半径rに応じて、真空乾燥オープンの圧力P=P0-σ/rを算出し、ここで、P0は大気圧力であり、σは液体成形重合体の表面張力であり、真空乾燥オープンを計算した圧力値Pに真空化し、温度を60℃に調節して2時間保温することによって成形した液体重合体膜を硬化させ、硬化プロセスが終了した後で放冷し、作製した硬化フィルム、すなわち近円柱面を有する微細溝アレイ表面を微細溝の鋳型と補助平板との間から分離する。
【手続補正5】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の工程:
工程1
:微細溝アレイを有する表面を作製し、次に、補助平板の上に、成形される液体重合体膜の層を均一に広げ、微細溝アレイ表面のブランク位置に、塊状スペーサを置くこと、
工程2
:液体重合体膜が広げられた補助平板を微細溝アレイ表面上の塊状スペーサの上に置き、そのまま真空乾燥オープンに送り入れること、
工程3
:真空乾燥オープンの圧力を設計した圧力値に従って設定し、さらに、
液体重合体
膜を加熱して硬化させ、表面を分離することにより、近円柱面を有する微細溝アレイ表面の作製を実現することが含まれ、
前記した方法の工程
1において、まずレーザー直接描画法などの従来の微加工方法により微細溝アレイを有する表面を作製でき、用いられるレーザーのスポット径は5μm~100μmであり、走査中のレーザースポットのオーバーラップ率は30%~90%であり、処理される溝領域は面走査にかけられ、走査回数が5回~20回であり、作製された微細溝の深さは微細溝の幅よりも多い
ことを特徴とする、補助平板の前広がりに基づく近円柱面を有する微細溝アレイ表面を作製するための空気成形法。
【請求項2】
工程
1において、補助平板の上に、成形される液体重合体膜の層を均一に広げることには、液体重合体材料
であるポリジメチルシロキサ
ンを補助平板の上に滴下し、液体重合体
材料を所望の厚さに自由に広げ、自由に広げる時間は10s~300sであり、形成される液体重合体膜の厚さは50μm~1500μmの範囲であり、液体重合体膜の広がり面積は微細溝アレイ表面を完全に覆うようになることを特徴とする、請求項
1に記載の補助平板の前広がりに基づく近円柱面を有する微細溝アレイ表面を作製するための空気成形法。
【請求項3】
工程
1において、微細溝アレイ表面のブランク位置に塊状スペーサを置くには、液体重合体膜の厚さよりも10μm~50μm薄い厚さの塊状スペーサを3個用意し、塊状スペーサの長さ及び幅は1mm×1mm~5mm×5mmの範囲であり、微細溝アレイ表面縁部に近づくブランク位置に塊状スペーサを3個置き、塊状スペーサの間の接続線が鋭角三角形に形成されるように3個の塊状スペーサを分散して配置することを特徴とする、請求項
1に記載の補助平板の前広がりに基づく近円柱面を有する微細溝アレイ表面を作製するための空気成形法。
【請求項4】
前記した方法の工程
2において、液体重合体膜が広げられた補助平板を微細溝アレイ表面上の塊状スペーサの上に置き、そのまま真空乾燥オープンに送り入れるには、液体重合体膜が広げられた補助平板を微細溝アレイ表面上の塊状スペーサの上に置き、液体重合体
膜を微細溝アレイ表面と接触させ、微細溝内のガスの液体シールを実現し、液体重合体膜の流れを制限するために、後の処理プロセスで微細溝アレイ表面を水平に保ち、そのような液体重合体膜と微細溝アレイ表面との間の十分な接触及び水平状態を維持し、処理するために真空乾燥オープンに送り入れることを特徴とする、請求項
1に記載の補助平板の前広がりに基づく近円柱面を有する微細溝アレイ表面を作製するための空気成形法。
【請求項5】
工程
3において、真空乾燥オープンの圧力を設計した圧力値に従って設定し、さらに、
前記液体重合体
膜を加熱して硬化させ、表面を分離することにより、
近円柱面を有する微細溝アレイ表面を作製するには、設計した近円柱面を有する微細溝の曲率半径rに応じて、真空乾燥オープンの圧力P=P
0-σ/rを算出し、ここで、P
0は大気圧力であり、σは液体成形重合体の表面張力であり、真空乾燥オープンを計算した圧力値Pに真空化し、温度を60℃に調節して2時間保温することによって成形した
液体重合体膜を硬化させ、硬化プロセスが終了した後で放冷し、作製した硬化フィルム、すなわち近円柱面を有する微細溝アレイ表面を微細溝の鋳型と補助平板との間から分離することを特徴とする、請求項
1に記載の補助平板の前広がりに基づく近円柱面を有する微細溝アレイ表面を作製するための空気成形法。
【手続補正書】
【提出日】2022-11-25
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の工程:
工程1:微細溝アレイを有する表面を作製し、次に、補助平板の上に、成形される液重合体膜の層を均一に広げ、微細溝アレイ表面のブランク位置に、塊状スペーサを置くと、
工程2:液体重合体膜が広げられた補助平板を微細溝アレイ表面上の塊状スペーサの上に置き、そのまま真空乾燥オー
ブンに送り入れること、
工程3:真空乾燥オー
ブンの圧力を設計した圧力値に従って設定し、さらに、液体重合体膜を加熱して硬化させ、表面を分離することにより、近円柱面を有する微細溝アレイ表面の作製を実現することが含まれ、
前記した方法の工程1において、まずレーザー直接描画
法により微細溝アレイを有する表面を作製でき、用いられるレーザーのスポット径は5μm~100μmであり、走査中のレーザースポットのオーバーラップ率は30%~90%であり、処理される溝領域は面走査にかけられ、走査回数が5回~20回であり、作製された微細溝の深さは微細溝の幅よりも多い
ことを特徴とする、補助平板の前広がりに基づく近円柱面を有する微細溝アレイ表面を作製するための空気成形法。
【請求項2】
工程1において、補助平板の上に、成形される液体重合体膜の層を均一に広げることには、液体重合体材料であるポリジメチルシロキサンを補助平板の上に滴下し、液体重合体材料を所望の厚さに自由に広げ、自由に広げる時間は10s~300sであり、形成される液体重合体膜の厚さは50μm~1500μmの範囲であり、液体重合体膜の広がり面積は微細溝アレイ表面を完全に覆うようになることを特徴とする、請求項1に記載の補助平板の前広がりに基づく近円柱面を有する微細溝アレイ表面を作製するための空気成形法。
【請求項3】
工程1において、微細溝アレイ表面のブランク位置に塊状スペーサを置くには、液体重合体膜の厚さよりも10μm~50μm薄い厚さの塊状スペーサを3個用意し、塊状スペーサの長さ及び幅は1mm×1mm~5mm×5mmの範囲であり、微細溝アレイ表面縁部に近づくブランク位置に塊状スペーサを3個置き、塊状スペーサの間の接続線が鋭角三角形に形成されるように3個の塊状スペーサを分散して配置することを特徴とする、請求項1に記載の補助平板の前広がりに基づく近円柱面を有する微細溝アレイ表面を作製するための空気成形法。
【請求項4】
前記した方法の工程2において、液体重合体膜が広げられた補助平板を微細溝アレイ表面上の塊状スペーサの上に置き、そのまま真空乾燥オー
ブンに送り入れるには、液体重合体膜が広げられた補助平板を微細溝アレイ表面上の塊状スペーサの上に置き、液体重合体を微細溝アレイ表面と接触させ、微細溝内のガスの液体シールを実現し、液体重合体膜の流れを制限するために、後の処理プロセスで微細溝アレイ表面を水平に保ち、そのような液体重合体膜と微細溝アレイ表面との間の十分な接触及び水平状態を維持し、処理するために真空乾燥オー
ブンに送り入れることを特徴とする、請求項1に記載の補助平板の前広がりに基づく近円柱面を有する微細溝アレイ表面を作製するための空気成形法。
【請求項5】
工程3において、真空乾燥オー
ブンの圧力を設計した圧力値に従って設定し、さらに、前記液体重合体膜を加熱して硬化させ、表面を分離することにより、近円柱面を有する微細溝アレイ表面を作製するには、設計した近円柱面を有する微細溝の曲率半径rに応じて、真空乾燥オー
ブンの圧力P=P0-σ/rを算出し、ここで、P0は大気圧力であり、σは液体成形重合体の表面張力であり、真空乾燥オー
ブンを計算した圧力値Pに真空化し、温度を60℃に調節して2時間保温することによって成形した液体重合体膜を硬化させ、硬化プロセスが終了した後で放冷し、作製した硬化フィルム、すなわち近円柱面を有する微細溝アレイ表面を微細溝の鋳型と補助平板との間から分離することを特徴とする、請求項1に記載の補助平板の前広がりに基づく近円柱面を有する微細溝アレイ表面を作製するための空気成形法。
【国際調査報告】