(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-12-02
(54)【発明の名称】平行経路穿刺器具ガイド装置
(51)【国際特許分類】
A61B 8/12 20060101AFI20221125BHJP
【FI】
A61B8/12
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022515654
(86)(22)【出願日】2020-10-02
(85)【翻訳文提出日】2022-03-09
(86)【国際出願番号】 US2020053988
(87)【国際公開番号】W WO2021067734
(87)【国際公開日】2021-04-08
(32)【優先日】2019-10-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521244282
【氏名又は名称】インノヴァセル アーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】110003063
【氏名又は名称】弁理士法人牛木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】セルマーク,クレイグ ジョセフ
【テーマコード(参考)】
4C601
【Fターム(参考)】
4C601EE16
4C601FE07
4C601FF04
4C601FF11
(57)【要約】
穿刺器具ガイド装置は、超音波プローブに固定的に取り付けられるように構成された本体部材と、本体部材内にスライド可能に受け入れられるスライド部材と、スライド部材内にスライド可能に受け入れられ、本体部材に対して長手方向に固定されるクレードル部材とを含む。クレードル部材は、その中に穿刺器具を受け入れるように構成されている。スライド部材の長手方向の移動は、本体部材に対するクレードル部材の半径方向の移動を引き起こす。
【選択図】
図1A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
超音波プローブに固定的に取り付けられるように構成される本体部材と、
前記本体部材内にスライド可能に受け入れられるスライド部材と、
前記スライド部材内にスライド可能に受け入れられ、前記本体部材に対して長手方向に固定されるクレードル部材と、を備え、
前記クレードル部材が、その中に穿刺器具を受け入れるように構成され、
前記スライド部材の移動が、前記本体部材に対する前記クレードル部材の半径方向の移動を引き起こす、穿刺器具ガイド装置。
【請求項2】
前記本体部材が、前記スライド部材の半径方向および長手方向の移動範囲を規定する少なくとも1つの第1経路調整チャネルを備え、
前記クレードル部材が、前記第1経路調整チャネルと反対向きに構成される少なくとも1つの第2経路調整チャネルを備え、
前記スライド部材が、前記少なくとも1つの第1経路調整チャネルおよび前記少なくとも1つの第2経路調整チャネルのそれぞれにスライド可能に係合されるように構成される、請求項1に記載の穿刺器具ガイド装置。
【請求項3】
前記少なくとも1つの第1経路調整チャネルは、前記本体部材に対して半径方向に角度がつけられて第1の方向に傾斜し、前記少なくとも1つの第2経路調整チャネルは、前記本体部材に対して半径方向に角度がつけられて前記第1の方向とは反対の第2の方向に傾斜している、請求項2に記載の穿刺器具ガイド装置。
【請求項4】
前記少なくとも1つの第1経路調整チャネルおよび前記少なくとも1つの第2経路調整チャネルのそれぞれは、1つまたは複数の角度付き部分、および、1つまたは複数の平面部分を含み、前記平面部分の位置は、複数の定義された経路位置に対応している、請求項3に記載の穿刺器具ガイド装置。
【請求項5】
前記スライド部材が、前記少なくとも1つの第1経路調整チャネル内に保持されるように構成された少なくとも1つの第1経路選択ピンと、前記少なくとも1つの第2経路調整チャネル内に保持されるように構成された少なくとも1つの第2経路選択ピンとを含む、請求項2に記載の穿刺器具ガイド装置。
【請求項6】
前記スライド部材がサイドレールを備え、
前記サイドレールの第1の側面が前記本体部材に摺動可能に係合するように構成され、前記サイドレールの第2の側面が前記クレードル部材に摺動可能に係合するように構成され、
前記少なくとも1つの第1経路選択ピンが前記サイドレールの前記第1の側面に配置され、
前記少なくとも1つの第2経路選択ピンが前記サイドレールの前記第2の側面に配置される、請求項5に記載の穿刺器具ガイド装置。
【請求項7】
前記スライド部材が、前記スライド部材を前記本体部材に解放可能に固定するように構成された経路保持要素を備える、請求項6に記載の穿刺器具ガイド装置。
【請求項8】
前記本体部材が複数の経路選択開口部を備え、
前記経路保持要素が、前記複数の経路選択開口部のそれぞれの1つに受け入れられて、選択された穿刺器具の経路位置を規定するように構成される、請求項7に記載の穿刺器具ガイド装置。
【請求項9】
前記本体部材が側壁を備え、
前記クレードル部材が、前記本体部材に対する前記クレードル部材の長手方向の移動が阻止される一方で、前記本体部材に対する前記クレードル部材の半径方向の移動が許容されるように、前記本体部材の前記側壁の一部を受容するように構成された少なくとも1つの垂直ノッチを備える、請求項1に記載の穿刺器具ガイド装置。
【請求項10】
穿刺器具の少なくとも一部をその中に受け入れるための穿刺器具カートリッジ部材をさらに備え、
前記カートリッジ部材が、前記クレードル部材内に摺動可能に受け入れられ、前記クレードル部材内の第1の長手方向位置と第2の長手方向位置との間で摺動可能である、請求項1に記載の穿刺器具ガイド装置。
【請求項11】
前記カートリッジ部材および前記クレードル部材のそれぞれが、前記カートリッジ部材から穿刺器具を挿入または取り外すことができる第1の位置と、前記カートリッジ部材が前記クレードル部材内に挿入される第2の位置との間で、前記カートリッジ部材を回転させることができるように構成された嵌合ヒンジ部を備える、請求項10に記載の穿刺器具ガイド装置。
【請求項12】
前記カートリッジ部材がリリース部材を含み、使用者による前記リリース部材のたわませにより、前記カートリッジ部材が前記第1の位置と前記第2の位置との間で回転する、請求項11に記載の穿刺器具ガイド装置。
【請求項13】
穿刺器具が注射器を備え、前記クレードル部材が前記注射器のプランジャ部を保持するように構成され、前記カートリッジ部材の前記クレードル部材に対するスライド移動によって前記注射器の押し下げが行われる、請求項10に記載の穿刺器具ガイド装置。
【請求項14】
その中に超音波プローブを解放可能なように受け入れるように構成されたプローブホルダ部材をさらに備え、
前記本体部材が前記プローブホルダ部材に固定される、請求項1に記載の穿刺器具ガイド装置。
【請求項15】
前記プローブホルダ部材が少なくとも1つの取付レールを備え、
前記本体部材が、前記少なくとも1つの取付レールへの解放可能な取り付けのための1つまたは複数のクリップ要素を備える、請求項14に記載の穿刺器具ガイド装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医用画像診断装置に使用する穿刺器具ガイド装置に関し、より詳細には、医用画像診断装置のプローブに対して穿刺器具を患者の再現可能な位置にガイドする装置に関する。
【背景技術】
【0002】
超音波プローブに代表される画像診断装置は、多くの重要な医療が実行される方法に革命をもたらした。これらの医療機器は、画像処理技術を利用して、人間の組織および/または臓器の状態を調査および評価する。その結果、診断および治療のプロトコルが開発され、患者への影響を最小限に抑えながら、成功率の高い安全な処置を行うことができるようになった。例えば、超音波プローブは、人間や動物の消化管や生殖管等の内腔を探り、日常的な検査を行うだけでなく、腫瘍やその他の組織領域の痕跡を確認するための手段として受け入れられている。
【図面の簡単な説明】
【0003】
【
図1】
図1Aおよび
図1Bは、それぞれ、本明細書に記載の実施形態と一致する超音波プローブとともに使用するための注射針ガイド装置の一実施形態を示す、等角図および組立分解等角図である。
図1Cおよび
図1Dは、それぞれ、
図1Aの注射針ガイド装置および
図1Bの組み立てられた注射針ガイド装置を、上昇させた状態で示す正面図、および、下降させた状態で示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0004】
以下の詳細な説明は、添付の図面を参照する。異なる図面における同じ参照番号は、同一または類似の要素を特定することができる。また、以下の詳細な説明は、本発明を限定するものではない。
【0005】
本明細書で説明する実施例は、超音波プローブに対して定義された位置に穿刺器具(例えば、注射針)を配置することを容易にするためのガイド装置に関する。より具体的には、以下に説明するガイド装置は、互いに相対して、かつ、超音波プローブからの異なる定義された距離において、多数の平行な経路を提供するように調整可能な構成要素を含む。したがって、記載された実施形態に係るガイド装置は、超音波プローブに対する向きの角度を変えることなく、針路の半径方向の移動を可能にする。
【0006】
例えば、ある実施形態では、超音波プローブは、経直腸超音波プローブであってもよく、ガイド装置は、超音波プローブに相対する位置で薬を投与するための皮下注射針の誘導を容易にするように構成されていてもよい。本明細書に記載された実施形態と一致して、注射針ガイド装置は、注射針と超音波プローブとの間の角度方向および軸方向の関係を維持しながら、複数の平行な経路の間で調整可能であってもよい。
【0007】
図1Aおよび
図1Bは、それぞれ、本明細書に記載された実施形態と一致する、超音波プローブ10とともに使用するための注射針ガイド装置100の一実施形態を示す、等角図および組立分解等角図である。図示するように、注射針ガイド装置100は、プローブホルダ部材105、本体部材110、スライド部材115、クレードル(受け台)部材120、および、シリンジカートリッジ部材125を含む。
【0008】
組み立てられた構成で、シリンジバレル20、バレルフランジ22、注射針25、プランジャ30、および、プランジャフランジ32を有する皮下注射器15は、以下に説明するように、投与の前に、注射針ガイド装置100内に受け入れられることができる。使用時、注射器15は、シリンジカートリッジ部材125に挿入され、当該シリンジカートリッジ部材125は、クレードル部材120に挿入される。スライド部材115を移動させて、プローブ10に対する注射針25の位置を調整し、経直腸プローブの挿入と同時に注射針が患者に注入される。カートリッジ部材125を介して、シリンジバレル20はクレードル部材120内に収納され、患者から引き出す際にその内容物を放出する。その後、シリンジカートリッジ部材125がクレードル部材120から解放され、使用済みの注射器がシリンジカートリッジ部材125から取り出される。
【0009】
図2A~
図2Cは、それぞれ、
図1Aおよび
図1Bのプローブホルダ部材105の等角図、正面図および左側面図である。本明細書に記載された実施形態と一致して、プローブホルダ部材105は、超音波プローブ10の外面に適合するようなサイズおよび形状の略管状の構成を含んでもよい。図示されるように、ホルダ部材105の上部は、
図3Dに示され以下に詳細に説明されるように本体部材110の下面から突出する、対応するクリップ要素315と係合するアタッチメントレール200を含む。一実施形態では、アタッチメントレール200は、本体部材110をその上に支持するための平面的な上面215を一緒に形成する、対向する方向のリブまたは突起210を含む。
【0010】
図2Aおよび
図2Cに示すように、一実施形態では、ホルダ部材105は、ホルダ部材105の重量を軽減するため、および、超音波プローブ10の様々な場所に配置された制御部またはボードへのアクセスを可能にするための切込み217を含む。本明細書に記載された実施形態と一致して、ホルダ部材105は、プラスチックまたはポリマー材料で形成されることができ、射出成形や、押出成形、3D印刷等の任意の適切な方法で製造することができる。
【0011】
図に描かれているホルダ部材105は、特定の構成を示しているが、注射針ガイド装置100が使用される超音波プローブの構成に基づいて、異なる構成が実施されてもよいことが理解されるべきである。また、図には描かれていないが、使用時には、超音波プローブ10の装着に先立って、超音波プローブ10の上またはその上方に、無菌シースまたは他のカバーを配置してもよい。
【0012】
図3A~
図3Eは、それぞれ、
図1Aおよび
図1Bの本体部材110の等角図、上面図、底面図、正面図および左側面図である。図示されるように、本体部材110は、底部305、サイドレール310、および、フロントレール312を有する、略フレーム状の構造を含む。サイドレール310およびフロントレール312は、底部305からその周縁部を囲むように上向きに突出する。底部305、サイドレール310、および、フロントレール312は、組み合わさって、後述するように、スライド部材115およびクレードル部材120を受け入れるように構成される。
図3C~
図3Dに示すように、本体部材110は、複数のクリップ要素315および位置決めピン325を含むことができる。クリップ要素315は、上述したように、ホルダ部材105のアタッチメントレール200に係合するように間隔を置いて配置される。特に、各クリップ要素315は、底部305から下向きに突出する下向き突起317と、下向き突起317から内向きに突出するバーブ(返し)部材319とを含むことができる。位置決めピン325は、底部305から下向きに突出してもよく、超音波プローブ10の上面に係合して、超音波プローブ10に対する本体部材の長手方向の位置決めを可能にすることができる。
【0013】
クリップ要素315に関し、本体部材110の底部305に対する下向き突起317およびバーブ部材319の寸法および位置は、組立時にクリップ要素315がアタッチメントレール200に摩擦係合するように、アタッチメントレール200に対応する。より具体的には、一実施形態において、組立中に、下向きの力が本体部材110に加えられ、これにより、バーブ部材319がアタッチメントレール200の上部に係合する。下向きの力を継続すると、バーブ部材319の角度のある下面がアタッチメントレール200に摺動可能に係合し、その結果、下向き突起317が外向きに広がり、バーブ部材319がアタッチメントレール200の周りを摺動して完全に係合することができる。別の実施形態では、クリップ要素315は、バーブ部材319を含まず、むしろ、角度のない内向きの突起を含んでもよい。このような実施形態では、本体部材110は、組立時に、アタッチメントレール200上で長手方向にスライドされることができる。
【0014】
図3A、
図3Bおよび
図3Dに示すように、本体部材110は、サイドレール310の下部および中央に位置する下向き突起317から外向きに突出する、手係合部330をさらに含むことができる。手係合部330は、本体部材110のホルダ部材105への組付け(例えば、クリッピング)に影響を与える面をユーザに提供してもよい。
【0015】
図3A、
図3Cおよび
図3Dに示すように、サイドレール315は、複数の経路調整チャネル335および経路選択開口部340を含んでもよい。図示された実施形態では、本体部材110は、4つの対向する組の経路調整チャネル335、および、4つの対向する組の経路選択開口部340を含む。別の実施形態では、より多いまたは少ない経路調整チャネル335および/または径路選択開口部340が使用されることができる。また、チャネル335および開口部340の対が図示されているが、いくつかの実施形態では、チャネル(複数可)335および/または開口部(複数可)340は、本体部材110の一方の側のみに、または左右交互に設けられてもよい。
【0016】
本明細書に記載された実施形態と一致して、経路調整チャネル335の各々は、複数の可能な経路位置に対応する複数の平面部分337および角度付き部分339を有する略角度付きのチャネルを形成する。図示された実施形態では、各経路調整チャネル335は、4つの平面部分337と、各平面部分337の間に設けられた3つの角度付き部分339とを含む。本明細書では限定されないが、一実施形態では、第1の平面部分337(
図3Dに示す)の底面と第4の平面部分337(同じく
図3Dに示す)の底面との間の垂直方向の距離は、0.5~1.5センチメートル(cm)の範囲内である。同じ例示的な実施形態では、第1の平面部分337の中心と第4の平面部分337の中心との間の長手方向の距離は、5~12cmの範囲内である。以下に説明するように、経路調整チャネル335の各々は、スライド部材115の対応する部分(複数可)を受け入れて、その結果、経路調整チャネル335によって定義されるそれらの位置にスライド部材の動きを制限するように構成される。
【0017】
経路選択開口部340は、経路調整チャネル335の平面部分337に対応するように間隔を置いて配置される。以下に説明するように、経路選択開口部340の1つは、スライド部材115の対応する部分を受け入れるように構成され、平面部分337の1つによって規定される位置にスライド部材115を積極的に保持し、使用中に経路調整チャネル(複数可)335に沿った不注意な移動を防止する。
【0018】
図3Eに示すように、フロントレール312は、本体部材110の長手方向軸線と整列し、以下に説明する方法でクレードル部材120の一部と係合するように構成された中央開口部345を含んでもよい。
【0019】
図4A~
図4Cは、それぞれ、スライド部材115の等角図、上面図および正面図である。本明細書に記載された実施形態と一致して、スライド部材115は、端部400とサイドレール405とを有する略C字型の構成を含む。サイドレール405の各々は、組立時に、スライド部材115のサイドレール405が本体部材のサイドレール315の内側表面に係合することができるように、本体部材のサイドレール315の内側寸法と実質的に同様の大きさである。
【0020】
図4Aおよび
図4Bに示すように、スライド部材115のサイドレール405は、複数の外側経路選択ピン410および内側経路選択ピン415を含む。外側経路選択ピン410の各々は、サイドレール405から外向きに突出しており、組立時に経路調整チャネル335内に捕捉されて受け取られるためのサイズおよび位置になっている。同様に、内側経路選択ピン415の各々は、サイドレール405から内向きに突出し、組立時にクレードル部材120の経路調整チャネル525内に捕捉されて受け取られるためのサイズおよび位置になっている。クレードル部材120の追加の詳細は、以下で説明される。
【0021】
スライド部材115のサイドレール405は、1つまたは複数の経路保持戻り止め420をさらに含む。
図4Aに示すように、経路保持戻り止め420は、本体部材110のサイドレール315に設けられた経路選択開口部340の1つと係合するように位置およびサイズを決められることができる。上述したように、使用中、外側経路選択ピン410と経路調整チャネル335との係合は、本体部材110に対するスライド部材115の動きを規定することができる。外側経路選択ピン410が経路調整チャネル335内の特定の平面部分337に配置されると、スライド部材115のサイドレール405に設けられた経路保持戻り止め420が対応する経路選択開口部340に係合し、これによりスライド部材115をその位置に保持することができる。
【0022】
スライド部材115の端部400は、ハンドル部分422を含む。
図4Aに示すように、一実施形態では、ハンドル部分422は、使用者がプローブ10とハンドル部分420の両方を同時に把持または係合することができるように、超音波プローブ10の一部と相補的な構成を含む。使用中、オペレータは、ハンドル部分420を係合し、経路調整チャネル335および外側経路選択ピン410によって定義されるように、スライド部材115を前方および/または後方に移動させることによって、スライド部材115の長手方向の動きに影響を与えることができる。
【0023】
図5A~
図5Cは、それぞれ、クレードル部材120の等角図、上面図および正面図である。図示するように、クレードル部材120は、底部505、中央キャビティ507、側壁510、前壁515、および、後部分520を有する略フレーム状の構造を含む。側壁510、前壁515および後部分520は、その周縁部の周りで底部505から上方に突出して、略箱状の構造を形成している。クレードル部材120の中央キャビティ507は、以下に説明する方法でシリンジカートリッジ部材125を受容する大きさになっている。側壁510の各々は、組立時に側壁510がスライド部材115のサイドレール405の内側表面に係合するように、スライド部材115の内側寸法と実質的に同様の大きさである。また、
図5Cに関連して後述するように、クレードル部材120は、組立時に本体部材110に対して長手方向に固定されるように構成されている一方で、本体部材110に対して垂直方向に移動する能力を保持している。
【0024】
図5Aおよび
図5Cに示すように、クレードル部材120の側壁510は、複数の経路調整チャネル525を含む。図示された実施形態では、クレードル部材120は、4つの対向する対の経路調整チャネル525を含む(ただし、図では各対の片側のみが描かれている)。別の実施形態では、より多いまたはより少ない経路調整チャネル525が使用されてもよい。また、チャネル525の対が図示されているが、いくつかの実施形態では、チャネル(複数可)525は、クレードル部材120の片側のみまたは左右交互に設けられてもよい。
【0025】
本明細書に記載された実施形態と一致して、本体部材110の経路調整チャネル335と同様に、クレードル部材120の経路調整チャネル525の各々も、可能な経路位置の数に対応する複数の平面部分527および角度付き部分529を有する略角度付きチャネルを形成する。図示する実施形態では、各経路調整チャネル525は、4つの平面部分527と、各平面部分527の間に設けられた3つの角度付き部分529とを含む。
【0026】
本体部材110の経路調整チャネル335とは対照的に、クレードル部材120の経路調整チャネル525は、反対の方向に配向されている。すなわち、
図1Aに示すように、本体部材110の経路調整チャネル335が注射針ガイド装置100の前から後方向に略上向きに配向されているのに対し、クレードル部材120の経路調整チャネル525は略下向きに配向されている。向きが逆であることを除けば、経路調整チャネル525は、他の点では、間隔、高さ、角度等の点で、経路調整チャネル335に適合する。さらにクレードル部材120の経路調整チャネル525はスライド部材115の内側経路選択ピン415を受容するように構成され、内側経路選択ピン415が経路調整チャネル525内を移動することで、クレードル部材120に対するスライド部材115の長手方向の移動がクレードル部材120を上向きまたは下向きに移動させるようになっている。
【0027】
本体部材110の経路調整チャネル335とクレードル部材120の経路調整チャネル525の対向性により、スライド部材115が長手方向に前方または後方に移動すると、クレードル部材120は、本体部材110に対して、互いに平行な配向を維持しながら、垂直方向(半径方向とも呼ぶ)に平行移動される。例えば、
図1Cおよび
図1Dに示すように、スライド部材115が後方に移動すると(例えば、
図1Cに示す位置から
図1Dに示す位置に移動すると)、スライド部材115の外側経路選択ピン410は、本体部材110の経路調整チャネル335内で後方かつ上方に移動し、同時に、スライド部材115の内側経路選択ピン415は、クレードル部材120の経路調整チャネル525内で後方かつ下方に移動する。
【0028】
図5A~
図5Cに示すように、クレードル部材120の前壁515は、垂直ノッチ530および針路開口部535を含む。垂直ノッチ530は、前壁515と側壁510との間で前壁515の対向する側面に形成されており、本体部材110のフロントレール312の中央開口部345を受け入れる大きさである。このような構成により、クレードル部材120は、本体部材110に対して長手方向に固定される一方で、垂直方向の移動の自由を保持している。
図1Aに示すように、針路開口部535は、使用中に注射針25が通過し得る前壁515を通り抜ける開口部を提供する。本明細書に記載される実施形態と一致して、針路開口部535は、使用中に注射針25がいかなる方法でもクレードル部材120に接触しないように構成されている。このようにして、クレードル部材120は、患者の処置の初めから終わりまで、汚染のリスクなしに使用されることができる。
【0029】
図5Aに示すように、本明細書に記載された実施形態と一致して、クレードル部材120の後部分520は、プランジャ捕捉キャビティ540と、シリンジ引込支持部545とを含む。プランジャ捕捉キャビティ540は、
図1Aに示すように、シリンジプランジャ30のフランジおよびシャフトの一部を受け入れて長手方向に保持する大きさのクレードル部材120内の凹部として形成される。シリンジ引込支持部545は、以下でさらに詳細に説明するように、シリンジバレル20をプランジャフランジに向かって引き込む際に、使用者が保持するための明確な基部を提供する。
【0030】
図5Aおよび
図5Bに示すように、クレードル部材120は、シリンジカートリッジイジェクタヒンジ部550と、シリンジカートリッジ保持要素555とをさらに含む。シリンジカートリッジ部材125に関して以下でさらに詳細に説明するように、シリンジカートリッジイジェクタヒンジ部550は、クレードル部材120の上面から外向きに延びる管状の突起を含む。使用中、シリンジカートリッジ部材125の対応する部分は、シリンジカートリッジイジェクタヒンジ部550内に回転可能かつ長手方向にスライド可能に受容される。シリンジカートリッジ保持要素555は、設置時にシリンジカートリッジ部材125を摺動可能に保持するように、シリンジカートリッジイジェクタヒンジ部550と反対側の側壁510からわずかに内側に突出している。
【0031】
図6A~
図6Dは、それぞれ、シリンジカートリッジ部材125の等角図、上面図、正面図および左側面図である。図示するように、シリンジカートリッジ部材125は、本体部分600、中央キャビティ605、バレルフランジ部610、ヒンジ部615、保持部620,ストップ部625、および、リリース部材630を含む。シリンジカートリッジ部材125は、プラスチックまたはポリマー等の半剛性材料から形成されることができる。一般的に、シリンジカートリッジ部材125は、皮下注射器15を支持し、クレードル部材120の中央キャビティ507内に受容される大きさである。シリンジカートリッジ部材125の本体部分600は、延長されたU字型を有する略谷型の構成を含み、中央キャビティ605は、装置100とともに使用される注射器15用のバレル20を収容する大きさおよび形状を有する。
【0032】
バレルフランジ部610は、シリンジカートリッジ部材125の後方端に位置し、中央キャビティ605に垂直な空洞を含み、皮下注射器15のバレルフランジ22を受容する大きさである。ヒンジ部615は、本体部分600の一側から離れて外向きに延びる実質的に円筒形の突起を含む。保持部620は、ヒンジ部615とは反対側の本体部分600の側面の上側肩部要素を含む。
【0033】
シリンジカートリッジ部材125のストップ部625は、本体部分600の下側の前方部分から突出し、シリンジカートリッジ部材125がクレードル部材115内に完全に収まったときにクレードル部材115の中央キャビティ507の内側部分に係合するように構成された要素を含む。
【0034】
シリンジカートリッジ部材125のリリース部材630は、保持部620に隣接して配置された垂直な突起を含む。
図6A~
図6Dの実施形態では、リリース部材は、湾曲したまたは部分的に管状の構成を含む。しかしながら、別の実施形態では、リリース部材630は、直線または角度のある構成を含むように構成されてもよい。処置の完了時に、リリース部材630を内側に屈折させて(たわませて)、保持部620をクレードル部材115のシリンジカートリッジ保持要素555から離脱させ、それにより、カートリッジ部材125をクレードル部材115のヒンジ部550内で上向きに回転させることができるようにしてもよい。
【0035】
装置100の使用に先立って、シリンジカートリッジ部材125のヒンジ部615が、クレードル部材120のシリンジカートリッジインジェクタヒンジ部550に挿入される。その後、皮下注射器バレル20が中央キャビティ605に挿入され、バレルフランジ22がバレルフランジ部610に挿入される。次に、シリンジカートリッジ部材125のヒンジ部615は、ストップ部625が中央キャビティ507の内側に係合するまで、シリンジカートリッジインジェクタヒンジ部550内で回転(例えば、時計回り)される。
【0036】
上述したように、使用中、スライド部材115は、選択された針路に対応する所望の位置に軸方向および半径方向に移動される。位置決めされると、トランスデューサプローブ10および注射針25が患者に挿入され、超音波画像を使用して深さを案内する。適切に位置決めされたら、操作者は、バレルフランジ部610をクレードル部材120のシリンジ引込支持部545に向けて引っ張ることにより、シリンジを引き込む。完全に引き込まれると、操作者は、リリース部材630をそらすことができ、これにより、保持部620がシリンジカートリッジ保持要素555から解放される。次に、使用者は、シリンジカートリッジ部材125を反時計回りに回転させて、使用済みの注射器15の除去を行うことができる。除去プロセスは、
図7Aおよび
図7Bに描かれている。
【0037】
前述の例示的な実施例の説明は、例示と説明を提供するものであるが、網羅的であることや、本明細書に記載された実施形態を開示された正確な形態に限定することを意図するものではない。修正および変形が、上記の教示に照らして可能であり、または実施形態の実践から得ることができる。
【0038】
本発明を詳細に説明してきたが、本発明の主旨を逸脱することなく本発明を変更することができることは、関連する技術分野の当業者にとって明らかであることが明示的に理解される。本発明の主旨および範囲から逸脱することなく、本発明に形態、設計または配置の様々な変更を加えることができる。したがって、上述の説明は、限定的なものではなく、例示的なものとみなされ、本発明の真の範囲は、以下の請求項で定義されるものである。
【0039】
本願明細書で使用されているいかなる要素、行為または指示も、そのように明示的に記述されていない限り、本発明にとって重要または必須であると解釈されるべきではない。また、本明細書では、冠詞「a」は、1つ以上の項目を含むことを意図している。さらに、「に基づく」という表現は、他に明示されていない限り、「少なくとも部分的には、・・・に基づく」という意味を意図している。
【0040】
請求項において、請求項要素を修飾するために、「第1」、「第2」、「第3」等の序数詞を使用することは、それ自体、ある請求項要素の別の請求項要素に対する優先順位、先行順位または順序、方法の行為が実行される時間的順序、装置によって実行される命令が実行される時間的順序等を意味するものではなく、単に、ある名称を有するある請求項要素を、同じ名称を有する別の要素(序数詞を使用しない場合)と区別するためのラベルとして使用されるものであり、請求項要素を区別するためのものである。
【国際調査報告】