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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-12-02
(54)【発明の名称】受動光学ナノ構造を備える照明装置
(51)【国際特許分類】
   F21S 2/00 20160101AFI20221125BHJP
   H01L 33/58 20100101ALI20221125BHJP
   F21V 3/12 20180101ALI20221125BHJP
   F21V 3/00 20150101ALI20221125BHJP
   F21V 5/02 20060101ALI20221125BHJP
   F21V 5/00 20180101ALI20221125BHJP
   F21V 9/40 20180101ALI20221125BHJP
   F21V 9/30 20180101ALI20221125BHJP
   H01L 25/18 20060101ALI20221125BHJP
   G02B 5/20 20060101ALI20221125BHJP
   G02B 5/18 20060101ALI20221125BHJP
   F21Y 115/10 20160101ALN20221125BHJP
【FI】
F21S2/00 481
H01L33/58
F21V3/12
F21V3/00 530
F21V5/02 400
F21V5/00 530
F21V9/40 400
F21V9/30
H01L25/04 Z
G02B5/20
G02B5/18
F21Y115:10
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022519582
(86)(22)【出願日】2020-10-01
(85)【翻訳文提出日】2022-04-06
(86)【国際出願番号】 US2020053864
(87)【国際公開番号】W WO2021067639
(87)【国際公開日】2021-04-08
(31)【優先権主張番号】62/910,204
(32)【優先日】2019-10-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/979,029
(32)【優先日】2020-02-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/979,039
(32)【優先日】2020-02-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】516384542
【氏名又は名称】リアルディー スパーク エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ロビンソン、マイケル ジー.
(72)【発明者】
【氏名】ウッドゲート、グラハム ジェイ.
(72)【発明者】
【氏名】ハロルド、ジョナサン
【テーマコード(参考)】
2H148
2H249
3K244
5F142
【Fターム(参考)】
2H148AA00
2H249AA02
2H249AA12
2H249AA50
2H249AA60
2H249AA64
3K244AA04
3K244BA08
3K244BA11
3K244BA14
3K244BA18
3K244CA02
3K244DA01
3K244GA01
3K244GA03
3K244GA04
3K244GA05
3K244GA10
3K244GA17
3K244JA03
3K244KA03
3K244KA10
3K244KA15
5F142AA14
5F142BA32
5F142CA11
5F142DA14
5F142DB30
5F142DB32
5F142GA11
(57)【要約】
照明装置は、第1の基板と、光学構造と、第1の基板と光学構造との間に配設された発光素子のアレイと、第1の基板と光学構造との間に配設された受動光学ナノ構造のアレイと、を備える。受動光学ナノ構造の各々は、発光素子のそれぞれの1つに配設され、各受動光学ナノ構造は、エアギャップを備える。各受動光学ナノ構造は、それぞれの発光素子と光学構造との間に配設され、各受動光学ナノ構造は、それぞれの発光素子によって放出された光を受容し、受容された光を通過させ、通過光を光学構造に向けて出力するように構成されている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
照明装置であって、
第1の基板と、
光学構造と、
前記第1の基板と前記光学構造との間に配設されている発光素子のアレイと、
前記第1の基板と前記光学構造との間に配設されている複数の受動光学ナノ構造のアレイであって、各受動光学ナノ構造が、前記発光素子のそれぞれに配設され、各受動光学ナノ構造が、エアギャップを含み、各受動光学ナノ構造が、それぞれの発光素子と前記光学構造の間に配設されている、受動光学ナノ構造のアレイと、を備え、
各受動光学ナノ構造が、それぞれの発光素子によって放出された光を受容し、前記受容された光を通過させ、前記通過した光を前記光学構造に向けて出力するように構成されている、照明装置。
【請求項2】
各受動光学ナノ構造が、それぞれの発光素子を前記光学構造から分離するように構成されている複数のスペーサを備える、請求項1に記載の照明装置。
【請求項3】
前記エアギャップが、前記複数のスペーサの間の空間を充填する空気を含む、請求項2に記載の照明装置。
【請求項4】
各受動光学ナノ構造の前記複数のスペーサの各々の高さが、前記それぞれの発光素子によって放出される光の波長よりも大きい、請求項2または3に記載の照明装置。
【請求項5】
前記複数の受動光学ナノ構造の各々およびそれぞれの発光素子を取り囲むカップをさらに備える、請求項2~4のいずれか一項に記載の照明装置。
【請求項6】
各発光素子によって放出された光の少なくとも一部が、前記エアギャップとの界面で全反射を受ける、請求項1~5のいずれか一項に記載の照明装置。
【請求項7】
前記受動光学ナノ構造が、疎水性である、請求項1~6のいずれか一項に記載の照明装置。
【請求項8】
前記光学構造が、反射屈折光学構造である、請求項1~7のいずれか一項に記載の照明装置。
【請求項9】
前記光学構造を前記受動光学ナノ構造に接着するように配置されている接着剤層をさらに備える、請求項1~8のいずれか一項に記載の照明装置。
【請求項10】
各発光素子とそれぞれの受動光学ナノ構造との間に配設された色変換層をさらに備える、請求項1~9のいずれか一項に記載の照明装置。
【請求項11】
前記発光素子が、300μm未満の最大寸法を有するマイクロLEDである、請求項1~10のいずれか一項に記載の照明装置。
【請求項12】
複数のアパーチャを含むマスクであって、前記発光素子のアレイに対する前記第1の基板の反対側に配設されているマスクをさらに備える、請求項1~11のいずれか一項に記載の照明装置。
【請求項13】
前記光学構造が、前記発光素子のアレイから受容された前記光の少なくとも一部を、前記マスクにおける前記複数のアパーチャを通して方向付けるように構成される、請求項12に記載の照明装置。
【請求項14】
請求項1~13のいずれか一項に記載の照明装置を備える、バックライト装置。
【請求項15】
請求項1~13のいずれか一項に記載の照明装置または請求項14に記載のバックライト装置を備える、ディスプレイ装置。
【請求項16】
照明装置を製造する方法であって、
基板上に発光素子のアレイを取り付けることと、
前記発光素子の各々に受動光学ナノ構造を取り付けることであって、各受動光学ナノ構造がエアギャップを含む、取り付けることと、
各受動光学ナノ構造が、それぞれの発光素子と光学構造との間に配設されるように、前記光学構造を前記基板に結合することと、を含む、方法。
【請求項17】
前記発光素子のアレイが、発光素子の非モノリシックアレイであり、前記方法が、モノリシックウェーハから前記発光素子の非モノリシックアレイを抽出することをさらに含む、請求項16に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ディスプレイ装置を含む照明装置に関する。
【背景技術】
【0002】
マイクロLEDが使用される照明装置、例えば、ラップトップまたはTVディスプレイなどのディスプレイは、ますます商業的に関連するようになっている。これらのタイプのディスプレイでは、通常、光学的クロストークを防止することが望ましい。また、通常、ディスプレイ用には、物理的に堅牢な構造を提供することが望ましい。
【発明の概要】
【0003】
本開示の第1の態様によれば、提供されるのは照明装置であって、第1の基板と、光学構造と、第1の基板と光学構造との間に配設されている発光素子のアレイと、第1の基板と光学構造との間に配設されている受動光学ナノ構造のアレイであって、各受動光学ナノ構造が、発光素子のそれぞれの1つに配設され、各受動光学ナノ構造が、エアギャップを含み、各受動光学ナノ構造が、それぞれの発光素子と光学構造との間に配設されている、受動光学ナノ構造のアレイと、を備え、各受動光学ナノ構造が、それぞれの発光素子によって放出された光を受容し、受容された光を通過させ、通過した光を光学構造に向けて出力するように構成されている。
【0004】
光学構造は、発光素子からの光を方向付け、所望の位置または角度範囲に向けるように配置し得る。光学構造の隣接する光学素子間のクロストークが低減され、照明装置からの光出力の方向性が維持される。受動光学ナノ構造は、高解像度の光学的特徴を備えたモノリシックウェーハから製造し得る。受動光学ナノ構造は、低面積で提供され、コストを低減し、性能を増加させ得る。受動光学ナノ構造の高い均一性が達成され得る。
【0005】
各受動光学ナノ構造は、それぞれの発光素子を光学構造から分離するように構成された複数のスペーサを備え得る。エアギャップは、複数のスペーサの間の空間を充填する空気を含み得る。発光素子からの光は、光学構造内の光円錐が媒体内の光の臨界角内にあるように、受動光学ナノ構造を通過する。有利に、光学構造の隣接する光学素子間のクロストークが低減される。
【0006】
各受動光学ナノ構造の複数のスペーサの各々の高さは、それぞれの発光素子によって放出される光の波長よりも大きくてもよい。発光素子からの光は、光学構造内の光円錐が光学構造の媒体中の光の臨界角と実質的に同じであり得るように、受動光学ナノ構造を通過する。有利に、光学構造の隣接する光学素子間のクロストークが低減される。光線は、光学構造内をガイドするように配置され得る。有利に、広い領域にわたって、高い出力均一性が達成され得る。
【0007】
照明装置は、複数の受動光学ナノ構造の各々およびそれぞれの発光素子を取り囲むカップをさらに備え得る。有利に、クロストークは、さらに低減され得る。
【0008】
各発光素子によって放出された光の少なくとも一部は、エアギャップとの界面で全内部反射を受け得る。有利に、光線は、デバイスの効率を増加させるために、発光素子内で再循環し得る。
【0009】
受動光学ナノ構造は、疎水性であり得る。有利に、接着剤は、受動光学ナノ構造のスペーサ間のギャップを充填することができず、光学出力は、光学構造内の臨界角内に維持され得る。
【0010】
光学構造は、反射屈折光学構造であり得る。有利に、薄い出力円錐角度が、薄い厚さの照明装置からの出力のために提供され得る。
【0011】
照明装置は、光学構造を受動光学ナノ構造に接着するように配置された接着剤層をさらに含み得る。第1の基板および光学構造は、環境条件の変化に対する回復力の増加を有利に達成するために光学的に結合され得る。光学構造から光学構造に通過する一部の光線は、低損失で透過され、出力効率が増加し得る。
【0012】
照明装置は、各発光素子とそれぞれの受動光学ナノ構造との間に配置された色変換層をさらに備え得る。有利に、出力色を判定し得る。
【0013】
発光素子は、300μm未満の最大寸法を有するマイクロLEDであり得る。発光素子は、好ましくは200μm未満、最も好ましくは100μm未満である最大寸法を有するマイクロLEDであり得る。有利に、薄い厚さの光学素子が提供され得る。
【0014】
照明装置は、複数のアパーチャを含むマスクをさらに含み得、マスクは、発光素子のアレイに対して第1の基板の反対側に配設される。光学構造は、発光素子のアレイから受容された光の少なくとも一部をマスクのアパーチャを通して方向付けるように構成し得る。有利に、照明装置は、高い出力効率を備え得る。照明装置の低い反射率を達成し得る。ディスプレイ装置では、高い画像コントラストを達成し得る。
【0015】
本開示の第2の態様によれば、第1の態様の照明装置を含むバックライト装置が提供される。有利に、厚さの薄い高効率のバックライトは、環境の変化に対して高い弾力性を備えて提供され得る。バックライトは可撓性があり、広く分離されているマイクロLEDを有するので、マイクロLEDのコストが低減され得る。高レベルのコリメーションが達成され得る。
【0016】
本開示の第3の態様によれば、第1の態様の照明装置または第2の態様のバックライト装置を含むディスプレイ装置が提供される。明るく照らされた周囲環境において高い画像コントラストを有し、薄い厚さで高い効率を有するディスプレイ装置が有利に達成され得る。プライバシーディスプレイまたは夜間操作用のディスプレイなどの低迷光ディスプレイが提供され得る。
【0017】
本開示の第4の態様によれば、提供されるのは照明装置を製造する方法であって、基板上に発光素子のアレイを取り付けることと、発光素子の各々に受動光学ナノ構造を取り付けることであって、各受動光学ナノ構造がエアギャップを含む、取り付けることと、各受動光学ナノ構造が、それぞれの発光素子と光学構造との間に配設されるように、光学構造を基板に結合することと、を含む。有利に、照明装置を提供し得る。高精度のナノ構造は、モノリシックウェーハ基板上に提供され得、望ましい性能レベルを満たす受動光学ナノ構造のみを転写し得る。高い均一性および低コストを実現し得る。
【0018】
発光素子のアレイは、発光素子の非モノリシックアレイであり得る。この方法は、モノリシックウェーハから発光素子の非モノリシックアレイを抽出することをさらに含み得る。有利に、発光素子は、モノリシックウェーハ基板上に提供され得、望ましい性能レベルを満たすそれらの発光素子のみが転写され得る。高い均一性および低コストを実現し得る。
【図面の簡単な説明】
【0019】
実施形態は、添付の図に例として示され、同様の参照番号は、同様の部分を示す。
【0020】
図1A】一実施形態による照明装置の断面の断面図を示す。
図1B図1Aの照明装置の断面の斜視図を示す。
図2】臨界角が受動光学ナノ構造に関連するパラメータにどのように依存するかを示すグラフである。
図3】受動光学ナノ構造がその一部として形成されているモノリシックウェーハの斜視図を示す。
図4】一実施形態による、受動光学ナノ構造が発光素子110上にどのようにスタックされるかを示す。
図5A】照明装置の実施形態の断面図を示す。
図5B】照明装置の実施形態の斜視図を示す。
図6A】複数のスペーサの実施形態の上面図を示す。
図6B】複数のスペーサの実施形態の上面図を示す。
図6C】複数のスペーサの実施形態の上面図を示す。
図6D】複数のスペーサの実施形態の上面図を示す。
図7】照明装置の一実施形態の断面図を示す。
図8A図5Aおよび図5Bの実施形態の照明装置の製造中に光学構造を基板に取り付ける方法の断面図を示す。
図8B図5Aおよび図5Bの実施形態の照明装置の製造中に光学構造を基板に取り付ける方法の断面図を示す。
図9図5Aおよび図5Bの実施形態の照明装置の製造中に光学構造を基板に取り付ける別の方法の断面図を示す。
図10図5Aおよび図5Bの実施形態の照明装置の製造中に光学構造を基板に取り付ける別の方法の断面図を示す。
図11A】光学構造の入力側に配置された受動光学ナノ構造を含む実施形態の照明装置の製造時に、光学構造を基板に取り付ける方法であって、受動光学ナノ構造が光学構造上に形成されている、断面図を示す。
図11B】光学構造の入力側に配置された受動光学ナノ構造を含む実施形態の照明装置の製造時に、光学構造を基板に取り付ける方法であって、受動光学ナノ構造が光学構造上に形成されている、断面図を示す。
図12A】光学構造の入力側に配置された受動光学ナノ構造を含む実施形態の照明装置の製造時に、光学構造を基板に取り付ける方法であって、受動光学ナノ構造が光学構造の材料で形成されている断面図を示す。
図12B】光学構造の入力側に配置された受動光学ナノ構造を含む実施形態の照明装置の製造時に、光学構造を基板に取り付ける方法であって、受動光学ナノ構造が光学構造の材料で形成されている断面図を示す。
図13】照明装置のさらなる実施形態の断面図を示す。
図14】照明装置のさらなる実施形態の断面図を示す。
図15】照明装置のさらなる実施形態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0021】
この明細書では(「パッケージ化された」という用語で修飾されている場合を除く)、「LED」または「マイクロLED」は、モノリシックウェーハ、つまり半導体素子から直接抽出されたパッケージ化されていないLEDダイチップを指す。マイクロLEDは、複数のLEDがモノリシックエピタキシャルウェーハから並列に取り出されるアレイ抽出方法によって形成され得、5マイクロメートル未満の位置公差で配置され得る。これは、パッケージ化されたLEDとは異なる。パッケージ化されたLEDは、通常、標準の表面実装PCB(プリント回路基板)アセンブリに好適なはんだ端子を備えたリードフレームおよびプラスチックまたはセラミックのパッケージを有している。パッケージ化されたLEDのサイズとPCBアセンブリ技術の限界は、パッケージ化されたLEDから形成されたディスプレイが約1mm未満のピクセルピッチで組み立てることが難しいことを意味する。このようなアセンブリ機によって載置される構成素子の精度は、通常、約プラスマイナス30マイクロメートルである。このようなサイズおよび許容誤差は、非常に高解像度のディスプレイへの適用を阻止する。
【0022】
ここで、様々な指向性ディスプレイデバイスの構造および動作を説明する。本説明では、共通の要素は、共通の参照番号を有する。任意の要素に関する開示は、同じまたは対応する要素が提供される各デバイスに適用されることに留意されたい。よって、簡潔にするために、そのような開示は繰り返されない。
【0023】
図1Aは、一実施形態による照明装置100の断面の断面図を示している。照明装置100は、発光素子110、色変換層120、受動光学ナノ構造130、接着剤層206、および光学構造220を備え、その順にスタックされている。
【0024】
照明装置100は、第1の基板200をさらに備える。発光素子110のアレイは、第1の基板200と光学構造220との間に配設されている。受動光学ナノ構造130のアレイは、第1の基板200と光学構造220との間に配設され、各受動光学ナノ構造130は、発光素子110のそれぞれの1つに配設され、各受動光学ナノ構造は、エアギャップ133を含み、各受動光学ナノ構造130は、それぞれの発光素子110と光学構造220との間に配設され、各受動光学ナノ構造130は、それぞれの発光素子110によって放出された光を受容し、受容された光170、180を通過させ、通過した光を光学構造220に向けて出力するように構成される。各受動光学ナノ構造130は、それぞれの発光素子110を光学構造220から分離するように構成された複数のスペーサ132を備える。エアギャップ133は、複数のスペーサ132の間の空間を充填する空気を含む。発光素子110は、特定の波長帯域(例えば、赤、青、または緑)で光を放出するように構成される。この実施形態では、発光素子は発光ダイオード(LED)である。より具体的には、この実施形態では、発光ダイオードは、マイクロLED、すなわち、300μm未満、好ましくは200μm未満、最も好ましくは100μm未満の最大サイズまたは寸法を有するLEDである。光線160は、マイクロLEDの発光層内の励起112によって放出される。色変換層120は、各発光素子110とそれぞれの受動光学ナノ構造130との間に配設されている。色変換層120は、発光素子110によって放出された光線160を受容し、吸収領域122で光の少なくとも一部を吸収し、発光素子110によって放出される光の波長帯域とは異なる波長帯域の光線170を放出するように構成される。言い換えれば、色変換層120は、発光素子110によって放出された光の少なくとも一部の色を変換するように効果的に作用する。
【0025】
色変換層120は、リン光体、量子ドット、または他の色変換材料を含み得る。いくつかの実施形態では、色変換層120は省略され得、着色された発光は、発光素子110によって直接提供されることが理解されよう。
【0026】
受動光学ナノ構造130は、色変換層120によって放出された光線170を受容し、それを通して受容された光を伝達し、伝達された光を出力するように構成されている。
【0027】
受動光学ナノ構造130は、それを通過する光の少なくとも一部の進行方向を変えるように構成されている。受動光学ナノ構造130は、ベース層131、複数のスペーサ132、およびエアギャップ133を備える。
【0028】
エアギャップ133との境界に入射する光線170は、受動光学ナノ構造130を通過する。
【0029】
この実施形態では、複数のスペーサ132はピラーまたはカラムである。複数のスペーサ132は、ベース層132から垂直に延びる。複数のスペーサ132は、隣接するスペーサ132間の距離p(スペーサ132のピッチとしても知られる)が隣接するスペーサ132の各対について実質的に同じであるように、ベース層131上に均一に分布している。
【0030】
複数のスペーサ132の各々は、他のスペーサ132の各々と実質的に同じ高さhを有する。エアギャップ133は、スペーサ132およびベース層131によって画定される。より具体的には、エアギャップ133は、ベース層131からスペーサ132の高さまでスペーサ132の間の空間を充填する空気を含む。
【0031】
ベース層131は、例えば、二酸化ケイ素などの無機材料から形成されているか、またはポリマー材料であり得る。スペーサ132は、例えば、二酸化ケイ素などのパターン化された無機材料から形成されているか、またはポリマー材料であり得る。
【0032】
接着剤層206は、光学構造220を受動光学ナノ構造130に接着するように配置されている。接着剤層206は、受動光学ナノ構造130を光学構造220に結合する。より具体的には、接着剤層206は、スペーサ132の上部および光学構造220の底面に結合される。接着剤層206は、任意の適切な接着剤、例えば、光学的に透明な接着剤(OCA)または感圧接着剤(PSA)から形成され得る。
【0033】
光学構造220は、それが受容する光を操作する光学素子である。この実施形態では、光学構造220は、それが受容する光がそれを通過することを可能にする透明な基板(例えば、ガラス基板)である。図1Aの照明装置は、別の光学構造にさらに結合され得るか、または光学構造は、光学構造の中または上に形成され得る。光学構造の例を以下に説明する。
【0034】
動作中、ベース層131とエアギャップ133との間の界面135に到達する発光素子110からの光線180は、臨界角よりも大きい入射角で界面に当たると、完全に内部反射される。光線180は、発光素子110または色変換層120内で再循環され得る。再循環光線182の一部は、受動光学ナノ構造130を介して出力され得、効率を増加させる。
【0035】
したがって、界面での臨界角よりも小さい入射角で界面135に当たる光のみが、界面135を通過する。第1の光線160は、色変換層120によって色変換されていない発光素子110によって放出される光線である。第1の光線160は、界面でのその入射角が臨界角よりも小さいので、エアギャップ133に入って通過する。第2の光線170および第3の光線180は、色変換層120によって色変換された光線である。第2の光線170は、界面でのその入射角が臨界角よりも小さいので、エアギャップ133に入って通過する。第3の光線180は、界面でのその入射角が臨界角よりも大きいので、界面で完全に内部反射される。第2の光線170および第3の光線180は、エアギャップ133と接着剤層206との間の界面に到達し、そこで屈折されて接着剤層206に入る。次に、第2の光線170および第3の光線180は、接着剤層206を通って光学構造220に進む。
【0036】
この実施形態では、接着剤層206および光学構造220は実質的に同じ屈折率を有し、したがって、接着剤層206と光学構造220との間の界面で屈折は起こらない。上述の光伝播は、有利に、エアギャップを通って光学構造220に到達する光が、光学構造220内の比較的小さな入射角の制限された範囲を有することを提供する。表面法線199方向からの光学構造220内の範囲は、臨界角θによって実質的に決定される。
【0037】
これは、別途、より高い入射角で光学構造220に到達したであろう光が第1の基板に到達しないためであり、なぜなら、それは代わりに、ベース層131とエアギャップ133との間の界面で完全に内部反射されるからである。有利に、光学構造220内を伝搬する光円錐は、ランバートではないが、円錐角が制限されている。以下でさらに説明するように、そのような制限された円錐角は、光学構造220の光学表面による光出力のコリメーションを可能にする。
【0038】
次に、550nmの公称波長に対する受動光学ナノ構造130の望ましい寸法特性について説明する。スペーサ132はそれぞれ、エアギャップ133およびスペーサ132を通過する光の波長λよりも大きい高さhを有する。
【0039】
各受動光学ナノ構造130の複数のスペーサ132のそれぞれの高さhは、それぞれの発光素子110によって放出される光160の波長λよりも大きい。さらに、高さhは、それぞれの発光素子110および色変換層120によって放出される光の波長λよりも大きくてもよい。高さhは、それぞれの発光素子110による発光に続いて、色変換層120によって色変換された光の波長よりも大きくてもよい。
【0040】
スペーサ132の幅wおよびピッチpは、エアギャップ133を通って移動する光のスペーサ132からの拡散光散乱を最小化し、スペーサ132内の光の誘導を最小限にするように配置される。
【0041】
ピッチpは、2λ未満、好ましくはλ未満、より好ましくはλ/2未満、最も好ましくはλ/5未満であり得る。比w/pは、0.5未満、好ましくは0.3未満、より好ましくは0.1未満であり得る。
【0042】
動作中、光の波状の性質を使用して、受動光学構造130を通る光の伝播を分析することができ、すなわち、光線160、170、180によって提供されるように見える光伝播は、実際には、エアギャップ133およびスペーサ132を通過する、光学モードを伝播することによって提供される。言い換えれば、光伝播の光線モデルは、受動光学ナノ構造130において分解される。このようなスケールでは、受動光学構造130は光線モデルを使用して解決することができず、波の伝播の解釈がより適切であり、受動光学構造130は、入射波に対してほぼ均一な構造として表示される。
【0043】
そのような受動光学素子130は、高角度回折またはゼロ次回折を提供し得る。有利に、スペーサからの回折散乱およびスペーサ間のギャップを低減して、光散乱を最小限に抑え得る。以下の図5Aの実施形態の例示的な例では、隣接する湾曲した反射器222A、222B間のクロストークが有利に低減され得る。
【0044】
そのような素子は、モノリシックウェーハ上でのリソグラフィー製造技術によって提供され得る。素子は、モノリシックウェーハから転写され得、または本明細書の他の場所で説明するように複製ツールを提供するように配置され得る。
【0045】
受動光学ナノ構造との比較として、例えば、ピッチpが20ミクロンで幅wが5ミクロンの受動光学マイクロ構造を用いて、低い実効屈折率および小角度の回折散乱を達成され得る。そのようなスペーサは、スペーサ内の入射光をガイドし、光学構造220へのランバート入力を提供する。反射器220A、220Bの間に望ましくないクロストークが提供される場合がある。
【0046】
受動光学ナノ構造130は、次の方程式で与えられる有効屈折率nを有する。
【数1】
式中、nは、有効屈折率であり、nは、スペーサ132の屈折率であり、pは、スペーサ132のピッチであり、wは、各スペーサ132の幅である。
【0047】
各発光素子110によって放出される光180の少なくとも一部は、エアギャップ133との界面で全内部反射を受ける。w、p、およびnは、nが、受動光学ナノ構造130に到達する光の少なくとも一部の全内部反射を引き起こす値であるような値を有する。次に、光学構造220内の光の臨界角θは、次の方程式によって与えられる。
【数2】
式中、nは、光学構造220の材料の屈折率である。
【0048】
他の実施形態では、スペーサは、間隔のいくらかの分布を有し得、距離pは、平均ピッチpavを有する分布を有し得、ここで、pavは、1ミクロン未満、好ましくは0.5ミクロン未満、最も好ましくは0.25ミクロン未満である。有利に、残留回折構造は、固定された周期性と比較して、外見上低減され得る。
【0049】
上述の構造は、外部基板による発光素子への結合を達成しながら、制御された円錐角および高効率で光学素子に光を入力することを可能にする傾向がある。したがって、該構造は、機械的および熱的安定性を改善しながら、照明システムにおける光学的クロストークを低減することを可能にする傾向がある。
【0050】
図1Bは、図1Aの照明装置100の断面の斜視図を示している。さらに詳細に考察されていない図1Bの実施形態の特徴は、特徴の潜在的な変化を含む、上で考察される同等の参照番号を伴う特徴に対応すると想定され得る。
【0051】
図1Bでは、接着剤層206が存在するが、例示を容易にするために示されていない。図1Bは、発光素子110を駆動するための電極パッド210、212をさらに示す。電極パッド210、212は、受動光学ナノ構造が接触している発光素子110の表面とは反対側にある発光素子110の表面と接触している。図1Aの配置と比較して、色変換層120は省略されている。
【0052】
図1Bは、無機マイクロLED110の構造をさらに示している。Pドープ半導体層124およびnドープ半導体層126は、多重量子井戸構造122のいずれかの側に配置されている。したがって、電極210、212は、それぞれ、pドープおよびnドープの半導体層124、126に取り付けられる。
【0053】
受動光学ナノ構造130は、発光素子110の出力側に設けられている。発光素子110が配置された第1の基板200が設けられている。第1の基板200は、反射マスク領域および制御電極(図示せず)をさらに含み得る。領域138において、マスク領域は、すべての光が発光素子110から受動光学ナノ構造130に出力されるように設けられ得る。さらに、発光素子110の側面は、受動光学ナノ構造を介する以外の発光を防止するためにコーティングされ得る。他の実施形態では、受動光学ナノ構造130は、発光素子110よりも大きくてもよく、その結果、発光素子からの実質的にすべての光が、受動光学ナノ構造130を通過するように方向付けられる。
【0054】
代替的な実施形態では、電極パッド212は省略されてもよい。透明電極(図示せず)は、光学基板220上に配置され得、スペーサ132は、電気信号がスペーサ132を通過し得るようにさらに導電性であり得る。発光素子110の電気的制御は、最上面の電気接点から達成し得る。電流注入領域は、発光素子110全体に広がっている。有利に、電流密集が低減され得、効率を増加させ得る。
【0055】
有利に、薄い構造で制御された照明出力を提供するように配置された光学構造220の照明に好適な発光素子を提供し得る。
【0056】
図2は、臨界角が受動光学ナノ構造130に関連するパラメータにどのように依存するかを示すグラフを例示している。具体的には、図2は、受動光学ナノ構造のスペーサ132の幅wをスペーサ132のピッチで割ったものの関数としての臨界角を示している。好ましくは、w/pの比は、50°未満の臨界角を達成する0.5未満であり、より好ましくは、45°未満の臨界角を達成する、w/pの比は、0.3未満である。
【0057】
図3は、受動光学ナノ構造130がその一部として形成されているモノリシックウェーハ300の斜視図を示している。さらに詳細に考察されていない図3の実施形態の特徴は、特徴の潜在的な変化を含む、上で考察される同等の参照番号を伴う特徴に対応すると想定され得る。
【0058】
上述の照明装置100で使用される前に、受動光学ナノ構造は、受動光学ナノ構造130のモノリシックウェーハ300の一部として形成(例えば、成長)され、次いで、照明装置100の製造に使用するためにモノリシックウェーハ300から抽出される。
【0059】
選択された受動光学ナノ構造130に対応する領域131の抽出は、既知の抽出方法によって提供され得る。例えば、領域131は、選択された受動光学ナノ構造130を成長基板モノリシックウェーハ300から少なくとも部分的に分離するUV光などの光で照射され得る。他の抽出方法では、領域131は、機械的スタンパーを使用する機械的分離によってエッチングおよび抽出され得る。
【0060】
複数の受動光学ナノ構造130は、単一の位置合わせステップで転写され得る。有利に、複数の受動光学ナノ構造130のアレイは、単一のステップで転写され得、コストおよび複雑さを低減する。
【0061】
抽出領域131に対応する選択された受動光学ナノ構造130は、モノリシックウェーハ300から切り離され、発光素子110であり得る受信機に接着される。受信機は、選択された受動光学ナノ構造130が受信機と接触したときにそれに付着するような接着剤を含み得る。
【0062】
有利に、高精度の受動光学ナノ構造は、既知の半導体リソグラフィー製造プロセスによって提供され得る。
【0063】
成長後、モノリシックウェーハ300は、境界302によって示されるように異なる性能の領域を含み得、さらに、動作中に望ましくない光学性能を生み出す引っかき傷、破片、および他の欠陥を含み得る。本実施形態の受動光学ナノ構造130は、モノリシックウェーハの望ましい領域からのみ有利に抽出され得る。有利に、出力の均一性が増加され得る。さらに、良好な受動光学ナノ構造の歩留まりが増加し、コストの低減を達成した。多数の発光素子を備えた発光素子のアレイは、望ましい光出力および低コストで提供され得る。
【0064】
次に説明するように、複数の受動光学ナノ構造は、発光素子110と受動光学ナノ構造130との間に提供され得る。
【0065】
図4は、一実施形態に従って、受動光学ナノ構造130がどのように発光素子110上にスタックされるかを示している。さらに詳細に考察されていない図4の実施形態の特徴は、特徴の潜在的な変化を含む、上で考察される同等の参照番号を伴う特徴に対応すると想定され得る。
【0066】
この実施形態では、モノリシックウェーハ300からの抽出に続いて、受動光学ナノ構造130は、すべて発光素子110上にスタックされた異なるタイプの受動光学ナノ構造の連続順序の一部として、発光素子上にスタックされている。具体的には、この実施形態では、下から上への順序で、スタックは、モスアイ構造410、量子ロッド構造420、コリメートナノ構造430、ワイヤーグリッド偏光子440、フォーム複屈折リターダ450、および図1図4を参照して上述した受動光学ナノ構造130を含む。このようにして、発光素子110から受動光学ナノ構造130に到達する光は、受動光学ナノ構造130によって操作される前に、スタックにおける受動光学ナノ構造410、420、430、440、450の他のタイプによる様々な方法で操作されている。他の実施形態では、受動光学ナノ構造130は、光が受動光学ナノ構造130によって操作されることが望ましい、スタックにおけるポイントに依存して、図4に示される他のタイプの受動光学ナノ構造410、420、430、440、450のいずれかと所定の位置で交換され得ることが理解されよう。
【0067】
次に、照明装置における受動光学ナノ構造の動作について説明する。
【0068】
図5Aおよび図5Bは、それぞれ、照明装置100の実施形態の断面図および斜視図を示している。さらに詳細に考察されていない図5Aおよび図5Bの実施形態の特徴は、特徴の潜在的な変化を含む、上で考察される同等の参照番号を伴う特徴に対応すると想定され得る。
【0069】
照明装置100は、基板200、基板200上に配設された発光素子110のアレイ、および発光素子110のそれぞれの1つ上にそれぞれ配設された受動光学ナノ構造130のアレイを備える。
【0070】
この実施形態では、発光素子110は、光線170が発光素子110および反射領域35によって基板200から離れて方向付けられるように、反射領域35上に配置されている。反射領域は、光が基板200に透過するのを防止する。有利に、アパーチャ152を通る光線の透過効率が増加する。
【0071】
この実施形態では、照明装置100は、不透明光吸収領域151によって分離された複数のアパーチャ152を含む出力マスク150をさらに備え、出力マスク150は、発光素子110のアレイに対して基板200の反対側に配設されている。出力マスク150は、そのアパーチャ152を通過する場合を除いて、光が通過するのを遮断するように構成される。この実施形態では、光学構造220は、発光素子110のアレイから受容された光の少なくとも一部を、出力マスク150のアパーチャ152を通して方向付けるように構成される。
【0072】
出力マスク150の不透明光吸収領域151は、例えば、黒色の材料を基板200上に印刷することによって、任意の適切な不透明材料から形成され得る。不透明領域151は、代替的または追加的に、ナノ構造の黒色吸収体、「ナノ黒色」、またはAcktar(イスラエル、キルヤットガト)によって販売されているものなどの他の同様の材料を含み得る。有利に、非常に低い反射率が、照明装置の正面から達成され得る。
【0073】
より具体的には、この実施形態では、光学構造220は、それが受容する光の少なくとも一部を基板200に向かって反射するように構成された反射光学構造である。特に、光学構造220は、それぞれがそれぞれの発光素子110と位置合わせされ、その発光素子110から受容された光の少なくとも一部を反射するように構成された、複数の凹状の湾曲した反射面222A、222Bを備える。
【0074】
光学構造220は、透明な本体と、湾曲した反射器222A、222Bを構成するその上に配設された反射材料とから形成され得る。光学構造220の本体は、ガラスまたはポリマー材料であり得る。湾曲した反射器の表面レリーフ構造は、例えば、ポリマー材料の成形または鋳造プロセス材料によって提供され得る。反射層は、湾曲した反射器222A、222B、例えば、銀またはアルミニウム材料ならびに表面接着促進剤および保護層を含み得る堆積された金属コーティング上に形成され得る。
【0075】
出力マスク150のアパーチャ152の各々は、その中に配置された拡散器を含み得、拡散器は、アパーチャ152を通って移動する光を散乱させて出力光線164を提供するように構成されている。アパーチャ152における拡散器は、広い角度広がりを有し得る光線164を提供する。有利に、照明装置は、広い照明角度にわたって照明を提供し得、ディスプレイ用途では、照明装置は、広い視野角から視認可能である。
【0076】
光学構造220は、反射屈折光学構造を含み得る。本実施形態では、湾曲した反射光学構造222A、222Bでの反射および受動光学ナノ構造130の出力での屈折は、反射屈折光学構造を提供し、すなわち、動作は、屈折および反射の両方によって提供される。
【0077】
動作中、光線170は、臨界角θcよりも小さい、表面法線199からの角度で湾曲した反射面222Bに向けられ、受動光学ナノ構造130の表面法線199は図1Aに示されている。
【0078】
有利に、図5Aおよび図5Bの実施形態は、特定の発光素子110からの光が、特定の発光素子110が位置合わせされていない曲面222Aに到達するのを防止する傾向がある。これは、光を完全に内部反射する各発光素子110上の受動光学ナノ構造130によるものである。例えば、この実施形態では、受動光学ナノ構造130から光線を出力することができる最大角度θcは、発光素子110からの光が受動光学ナノ構造130のエアギャップに入る界面に関連する臨界角によって設定される。したがって、この実施形態は、それらが位置合わせされていない発光素子110からの光を反射する反射面222Aに関連する迷光を防止する傾向がある。有利に、隣接するアパーチャ152間の迷光が低減される。ディスプレイ用途では、画像のクロストークが低減され、画像のコントラストが増加する。
【0079】
図2のグラフを参照すると、w/pの比は、臨界角が45度未満になるように、提供され得る。湾曲した反射面222A、222Bは、色収差を有さず、臨界角に近い光に対して幾何学的収差を有し、これは、発光素子110からそれぞれの位置合わせされているアパーチャ152への光の効率的な画像化を達成し得る。有利に、隣接する発光素子110からの低い迷光で高い結合効率が達成され得る。隣接するアパーチャ152間のクロストークが低減され得る。
【0080】
出力マスク150は、反射光線162の輝度がアパーチャ152を透過する光の輝度よりも実質的に低くなるように、周囲照明160からの入射光線161(室内照明または直射日光など)を吸収するように構成され得る。有利に、ディスプレイ用途では、周囲照度が高い環境においては、画像のコントラストが実質的に向上し得る。そのような高い周囲照度環境において望ましいコントラストを達成するために、光線162の低減された輝度が提供され得る。ディスプレイ電力消費が低減され得る。
【0081】
不透明領域151は、周囲の装飾材料と同様の反射率を有する材料を含み得る。ディスプレイは、例えば自動車用途において、使用されていないときのディスプレイの美的外観を有利に改善するために、装飾内に隠され得る。
【0082】
照明装置100はまた、発光素子110を駆動するための電子機器520を含み、電子機器520は、隣接する発光素子110の間の基板200上に配設される。有利に、本実施形態は、損失なしに制御電子機器520を載置するための比較的大きな領域を提供する。制御電子機器520は、照明装置の観察者には見えない。
【0083】
一実施形態では、制御電子機器520は、すべての発光素子110の全体的な制御を提供するように配置され得る。別の実施形態では、制御電子機器520およびさらなる外部制御電子機器(図示せず)は、表示機能を提供するように配置され得、すなわち、発光素子の各々は、画像データで個別に制御可能であり得る。別の実施形態では、制御電子機器520およびさらなる外部制御電子機器(図示せず)は、透過型空間光変調器の照明のためのバックライト機能を提供するように構成され得る。発光素子110の個別の制御は、高ダイナミックレンジ機能を提供するために使用され得、ディスプレイ電力消費を低減するために使用され得る。
【0084】
図6A図6Dは、それぞれ、複数のスペーサ132の実施形態の上面図を示している。図6Aでは、例えば図1Bの六角形グリッドと比較して、スペーサ132は正方形グリッド上に配置され、円形断面を有する。有利に、スペーサ132の面積を最小化し得る。残留回折の可視性は、スペーサ132の配置の設計において調整され得る。図6Bでは、スペーサ132は線形であり、少なくとも一方向に延在している。有利に、残留回折の可視性は、1つの軸において排除され得る。機械的強度が増加され得る。図6Cでは、スペーサ132は環状であり、図6Dでは、スペーサ132は箱形状である。有利に、機械的強度が増加され得る。
【0085】
発光素子110のエッジからの光の軸外伝播を制限することがさらに望ましい場合がある。
【0086】
図7は、照明装置100の実施形態の断面図を示している。さらに詳細に考察されていない図7の実施形態の特徴は、特徴の潜在的な変化を含む、上で考察される同等の参照番号を伴う特徴に対応すると想定され得る。
【0087】
この実施形態では、照明装置100は、複数の受動光学ナノ構造130の各々とそれぞれの発光素子110とを取り囲むカップ140をさらに備える。
【0088】
この実施形態では、各受動光学ナノ構造130は、それぞれの発光素子110の側面の周りに延びる。この実施形態では、照明装置100は、複数のカップ140を備える。各カップ140は、基板200上に配設され、それぞれの発光素子110および受動光学ナノ構造130の側面を取り囲む。各カップ140は、光がそこを通過するのを遮断するように構成されており、したがって、それぞれの受動光学ナノ構造130の側面から光が出力されるのを防ぐように作用する。これは、受動光学ナノ構造130の側面から広角光が出力されるのを防ぐのに役立つ。有利に、隣接する素子間のクロストークが、低減され得る。光出力のある程度のコリメーションが達成され得、正面からの効率が増加し得る。
【0089】
次に、図5A図5Bの装置を形成する方法について説明する。
【0090】
図8Aおよび図8Bは、図5Aおよび図5Bの実施形態の照明装置100の製造中に光学構造220を基板200に取り付ける方法の断面図を示す。さらに詳細に考察されていない図8A図8Bの実施形態の特徴は、特徴の潜在的な変化を含む、上で考察される同等の参照番号を伴う特徴に対応すると想定され得る。
【0091】
図8Aに示されるように、最初に、光学構造が基板200の上に配置され、基板200は、受動光学ナノ構造130、発光素子110、および基板に取り付けられている出力マスク150を有する。光学構造220は、その湾曲した反射面222Aの各々がそれぞれの発光素子110と位置合わせされるように位置決めされている。次に、図8Bに示すように、光学構造と基板200との間に接着剤層206を形成して、光学構造を基板200に取り付ける。接着剤層206は、発光素子110および受動光学ナノ構造130の周りの空間を充填する。接着剤層206の接着剤は、液体形態で光学構造220と基板200との間の空間に注入され得、次いで、例えばUVおよび/または熱硬化によって光学構造220を基板200に結合するために固体形態にその後固定され得る。有利に、動作中の熱的および機械的変動が最小限に抑えられる。光学基板220と第1の基板200との間のギャップでのフレネル反射が低減され、光学効率が増加し、隣接するチャネル間のクロストークが低減される。
【0092】
受動光学ナノ構造130は、接着剤が液体の形で注入された場合にそれらのエアギャップが接着剤で充填されないように疎水性であり得る。有利に、表面張力は、接着剤206が受動光学ナノ構造130のスペーサ132間のエアギャップ133を充填しないように配置され得、光出力は、光学構造220内の臨界角θc内に維持され得る。
【0093】
次に、図5A図5Bの実施形態の光学装置を提供するためのさらなる方法について説明する。
【0094】
図9および図10は、図5Aおよび図5Bの実施形態の照明装置100の製造中に光学構造220を基板200に取り付ける別の方法の断面図を示している。さらに詳細に考察されていない図9~10の実施形態の特徴は、特徴の潜在的な変化を含む、上で考察される同等の参照番号を伴う特徴に対応すると想定され得る。
【0095】
図9に示すように、この方法では、光学構造220は、基板200の上に位置決めされ、基板200は発光素子110、反射マスク35およびそこに取り付けられた出力マスク150を有し、光学構造220は、それに取り付けられた受動光学ナノ構造130を有する。各受動光学ナノ構造130は、光学構造220のそれぞれの湾曲した反射面222Aと位置合わせされるように、光学構造220に取り付けられている。光学構造は、その湾曲した反射面222Aの各々がそれぞれの発光素子110と位置合わせされるように位置決めされている。次に、図10に示すように、光学構造と基板200との間に接着剤層206を形成して、光学構造を基板200に取り付ける。接着剤層206は、発光素子110および受動光学ナノ構造130の周りの空間を充填する。接着剤層206の接着剤は、光学構造220と基板200との間の空間に液体形態で注入され、次いで固体形態に設定されて、光学構造220を基板200に結合し得る。受動光学ナノ構造130は、接着剤206が液体の形で注入された場合にそれらのエアギャップが接着剤206で充填されないように疎水性であり得る。
【0096】
図11A図11Bは、光学構造の入力側に配置された受動光学ナノ構造を含む実施形態の照明装置の製造時に、光学構造を基板に取り付ける方法であって、受動光学ナノ構造が光学構造上に形成されている、断面図を示す。さらに詳細に考察されていない図12A図12Bの実施形態の特徴は、特徴の潜在的な変化を含む、上で考察される同等の参照番号を伴う特徴に対応すると想定され得る。
【0097】
図8A図8Bの方法と比較して、受動光学ナノ構造130は、光学構造220の入力側221に配置されている。受動光学ナノ構造130は、図3に示されるように、モノリシックウェーハからのものであり得る。受動光学ナノ構造130を取り付ける前に、光学構造220上に接着剤が形成され得る。複数の受動光学ナノ構造130は、単一の位置合わせステップで転写され得る。有利に、より少ないプロセスステップが発光素子110に提供され、組み立てられた第1の基板200のコストおよび複雑さを低減する。
【0098】
図12A図12Bは、光学構造の入力側に配置された受動光学ナノ構造を含む実施形態の照明装置の製造時に、光学構造を基板に取り付ける方法であって、受動光学ナノ構造が光学構造の材料で形成されている断面図を示す。さらに詳細に考察されていない図11A図11Bの実施形態の特徴は、特徴の潜在的な変化を含む、上で考察される同等の参照番号を伴う特徴に対応すると想定され得る。
【0099】
図11A図11Bの実施形態と比較して、図12Aに示されるように、受動光学ナノ構造130は、入力側の光学構造220の材料に形成され、モノリシックウェーハから転写されない。図12Bは、光学構造200が接着剤200によって基板200に取り付けられていることを示している。ギャップ133は、例えば、疎水性ピラー132によって維持され得る。
【0100】
有利に、受動光学ナノ構造のコストは、光学構造の入力側221を形成するために使用されるツールに構造を組み込むことによって低減され得る。
【0101】
図13および図14は、照明装置100のさらに2つの実施形態の断面図を示している。さらに詳細に考察されていない図13および図14の実施形態の特徴は、特徴の潜在的な変化を含む、上で考察される同等の参照番号を伴う特徴に対応すると想定され得る。
【0102】
図13は、光学構造220が透過性であり、基板200が不透明であるため、光が基板を通過することができない実施形態を示している。光は、光学構造220を透過し、その結果、発光素子110から放出された光は、基板200に向かって戻ることなく、照明装置100から出力される。図5Aと比較して有利に、高密度の電子制御構成要素520および電極は、効率を低減させることなく、基板200上に配置され得る。
【0103】
レンズ240A、240Bは、コリメートされた出力を提供するように配置されている。プライバシー表示用のバックライト装置が提供され得る。
【0104】
図14は、光学構造220が反射性であり、光を基板200に向かって反射して戻す実施形態を示している。図14の実施形態では、基板は透明であるため、光はそれを通って移動することができる。したがって、図14の実施形態では、発光素子110から放出された光は、照明装置100から基板200を通って出力される。図5Aの配置と比較して、出力はコリメートされており、マスク150は提供されていない。有利に、コリメートされた出力照明は、薄い構造において高効率で達成され得る。
【0105】
ディスプレイ装置は、透過型空間光変調器48を照明するための照明装置100を含むバックライト装置を備え得る。そのような装置は、プライバシーディスプレイなどのディスプレイ装置のために提供され得る。
【0106】
代替的な実施形態では、空間光変調器48は省略され得、照明装置は、例えば、ダウンライトまたは自動車のヘッドライト用に、指向性環境照明を提供するために使用され得る。
【0107】
次に、本実施形態の受動光学ナノ構造130を含むディスプレイ装置用の薄いバックライト構造について説明する。
【0108】
図15は、照明装置100のさらなる実施形態を示している。さらに詳細に考察されていない図15の実施形態の特徴は、特徴の潜在的な変化を含む、上で考察される同等の参照番号を伴う特徴に対応すると想定され得る。
【0109】
基板200は、透明であり、光学構造220は、領域222A、222Bで反射性である。これらの実施形態の両方において、光学構造220は、コリメートされた出力光線190を提供するための光偏向マイクロ構造226を含むファセット反射面を含む。図5Aの実施形態と比較して、法線199に対してある角度で光学構造220に入力される光線190は、構造220内にガイドされる。そのようなガイド光は、それぞれの発光素子110から離れて広がる。薄いパッケージでは、高レベルのコリメーションが実現され得る。さらに、基板200、220は、熱的および機械的安定性を達成するために結合され得る。
【0110】
本明細書で使用され得るように、「実質的に」および「ほぼ」という用語は、対応する用語および/またはアイテム間の相対性に対して業界で認められた公差を提供する。このような業界で認められた公差は、0パーセント~10パーセントの範囲であり、構成要素の値、角度などに対応するが、これらに限定されない。アイテム間のそのような相対性は、ほぼ0パーセント~10パーセントの範囲である。
【0111】
本明細書に開示された原理による様々な実施形態が上記で説明されたが、それらは単なる例として提示されたものであり、限定ではないことを理解されたい。よって、本開示の幅および範囲は、上記の例示的な実施形態のいずれによっても制限されるべきではなく、本開示から発行される請求項およびそれらの同等物に従ってのみ定義されるべきである。さらに、上記の利点および特徴は、記載された実施形態において提供されるが、上記の利点のいずれかまたはすべてを達成するプロセスおよび構造へのそのような発行された請求項の適用は制限されるべきではない。
【0112】
加えて、本書のセクションの見出しは、37 CFR 1.77に基づく提案との一貫性を保つため、または組織的な手がかりを提供するために提供されている。これらの見出しは、本開示から発行され得る請求項に記載されている実施形態を制限または特徴付けるべきではない。具体的には、例として、見出しは「技術分野」に言及しているが、請求項は、いわゆる分野を説明するために、この見出しの下で、選択された言語によって制限されるべきではない。さらに、「背景」における技術の説明は、特定の技術が本開示における任意の実施形態の先行技術であることを認めるものとして解釈されるべきではない。また、「要約」は、発行された請求項において記載された実施形態の特徴と見なされるべきではない。さらに、本開示における単数形の「発明」への言及は、本開示における新規性の単一の点のみがあると主張するために使用されるべきではない。本開示から発行される複数の請求項の制限に従って複数の実施形態が記載され得、よって、そのような請求項は、それによって保護される実施形態およびそれらの同等物を定義する。すべての場合において、そのような請求項の範囲は、この開示に照らしてそれ自体のメリットで考慮されるべきであるが、本書に記載された見出しによって制約されるべきではない。
図1A
図1B
図2
図3
図4
図5A
図5B
図6A
図6B
図6C
図6D
図7
図8A
図8B
図9
図10
図11A
図11B
図12A
図12B
図13
図14
図15
【国際調査報告】