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特表2022-550554酵素に媒介される増幅を用いた多重化イメージング
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-12-02
(54)【発明の名称】酵素に媒介される増幅を用いた多重化イメージング
(51)【国際特許分類】
   G01N 33/535 20060101AFI20221125BHJP
   G01N 33/53 20060101ALI20221125BHJP
   C12Q 1/04 20060101ALI20221125BHJP
   C12Q 1/68 20180101ALI20221125BHJP
   C12Q 1/00 20060101ALI20221125BHJP
   C12Q 1/28 20060101ALI20221125BHJP
   C07K 16/00 20060101ALN20221125BHJP
   C12N 15/11 20060101ALN20221125BHJP
   C12N 15/13 20060101ALN20221125BHJP
【FI】
G01N33/535
G01N33/53 Y
C12Q1/04
C12Q1/68
C12Q1/00 Z
C12Q1/28
C07K16/00
C12N15/11 Z
C12N15/13
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022520099
(86)(22)【出願日】2020-09-30
(85)【翻訳文提出日】2022-05-27
(86)【国際出願番号】 US2020053600
(87)【国際公開番号】W WO2021067475
(87)【国際公開日】2021-04-08
(31)【優先権主張番号】62/908,540
(32)【優先日】2019-09-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520428650
【氏名又は名称】アコヤ・バイオサイエンシズ・インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】グレーディ・カールソン
【テーマコード(参考)】
4B063
4H045
【Fターム(参考)】
4B063QA01
4B063QA18
4B063QA20
4B063QQ02
4B063QQ08
4B063QQ22
4B063QQ42
4B063QQ96
4B063QR02
4B063QR32
4B063QR55
4B063QR58
4B063QR66
4B063QR72
4B063QR77
4B063QS03
4B063QS15
4B063QS33
4B063QS36
4B063QS39
4B063QX02
4H045AA11
4H045AA20
4H045AA30
4H045BA10
4H045BA54
4H045CA40
4H045DA76
4H045EA54
4H045FA74
(57)【要約】
サンプル中の検体をイメージングするための方法であって、生物学的サンプルを結合剤と接触させる工程であって、結合剤が、検体に結合する結合部分及び第1のヌクレオチド配列を含む、工程と、生物学的サンプルを触媒作用剤と接触させる工程であって、触媒作用剤が、酵素に連結された第2のヌクレオチド配列を含み、第2のヌクレオチド配列が、第1のヌクレオチド配列にハイブリダイズする、工程と、生物学的サンプルを局在化剤と接触させる工程であって、局在化剤が、酵素に対して相補的な基質及び基質に連結された第3のヌクレオチド配列を含む、工程と、生物学的サンプルを標識化剤と接触させる工程であって、標識化剤が、光学標識に連結された第4のヌクレオチド配列を含み、第4のヌクレオチド配列が、第3のヌクレオチド配列にハイブリダイズする、工程とを含む、方法。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
生物学的サンプル中の検体をイメージングするための方法であって、
前記生物学的サンプルを、結合剤と接触させる工程であって、前記結合剤が、前記検体に結合する結合部分及び第1のヌクレオチド配列を含む、工程と、
前記生物学的サンプルを、触媒作用剤と接触させる工程であって、前記触媒作用剤が、酵素に連結された第2のヌクレオチド配列を含み、前記第2のヌクレオチド配列が、前記第1のヌクレオチド配列にハイブリダイズする、工程と、
前記生物学的サンプルを、局在化剤と接触させる工程であって、前記局在化剤が、前記酵素に対して相補的な基質及び前記基質に連結された第3のヌクレオチド配列を含む、工程と、
前記生物学的サンプルを、標識化剤と接触させる工程であって、前記標識化剤が、光学標識に連結された第4のヌクレオチド配列を含み、前記第4のヌクレオチド配列が、前記第3のヌクレオチド配列にハイブリダイズする、工程と、
前記生物学的サンプルを、照明光に曝露し、前記生物学的サンプルから放出された光を検出し、前記検体の位置が前記光学標識によって示された、前記生物学的サンプルの画像を形成する、工程と
を含む、方法。
【請求項2】
前記結合部分が、抗体、抗体フラグメント、又は抗体アナログを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記抗体、抗体フラグメント、又は抗体アナログが、IgG抗体、IgM抗体、モノクローナル抗体、一本鎖可変フラグメント、及びダイアボディからなる群から選択されるメンバーを含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記第1のヌクレオチド配列が、少なくとも5個のヌクレオチドを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記第1のヌクレオチド配列が、少なくとも50個のヌクレオチドを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記第1のヌクレオチド配列が、DNAフラグメントを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記第1のヌクレオチド配列が、RNAフラグメントを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記第1のヌクレオチド配列が、少なくとも1つの合成ヌクレオチドを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記第1のヌクレオチド配列が、一本鎖配列である、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記第1のヌクレオチド配列が、少なくとも部分的に二本鎖である、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記第2のヌクレオチド配列が、前記第1のヌクレオチド配列に対して少なくとも80%相補的である、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記第2のヌクレオチド配列が、少なくとも5個のヌクレオチドを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記第1及び第2のヌクレオチド配列が、異なる数のヌクレオチドを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記酵素が、西洋ワサビペルオキシダーゼ又はその誘導体を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
前記酵素が、西洋ワサビペルオキシダーゼを模倣する化合物を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項16】
前記化合物が、ヘミン含有複合体を含む、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記化合物が、ヘマチンを含む、請求項15に記載の方法。
【請求項18】
前記酵素が、ダイズペルオキシダーゼを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項19】
前記第3のヌクレオチド配列が、前記第1のヌクレオチド配列と同じである、請求項1に記載の方法。
【請求項20】
前記第3のヌクレオチド配列が、前記第1のヌクレオチド配列とは異なる、請求項1に記載の方法。
【請求項21】
前記第3のヌクレオチド配列が、少なくとも5個のヌクレオチドを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項22】
前記第3のヌクレオチド配列が、少なくとも50個のヌクレオチドを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項23】
前記第3のヌクレオチド配列が、DNAフラグメントを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項24】
前記第3のヌクレオチド配列が、RNAフラグメントを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項25】
前記第3のヌクレオチド配列が、少なくとも1つの合成ヌクレオチドを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項26】
前記第3のヌクレオチド配列が、一本鎖配列である、請求項1に記載の方法。
【請求項27】
前記第3のヌクレオチド配列が、少なくとも部分的に二本鎖である、請求項1に記載の方法。
【請求項28】
前記第4のヌクレオチド配列が、前記第3のヌクレオチド配列に対して少なくとも80%相補的である、請求項1に記載の方法。
【請求項29】
前記第4のヌクレオチド配列が、少なくとも5個のヌクレオチドを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項30】
前記第3及び第4のヌクレオチド配列が、異なる数のヌクレオチドを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項31】
前記光学標識が、蛍光性種を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項32】
前記光学標識が、発色性染色剤を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項33】
前記生物学的サンプルが、組織サンプルである、請求項1に記載の方法。
【請求項34】
前記組織サンプルが、新鮮組織サンプル、凍結組織サンプル、又はホルマリン固定パラフィン包埋(FFPE)組織サンプルである、請求項1に記載の方法。
【請求項35】
前記検体が、タンパク質を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項36】
前記検体が、ペプチド又はペプチドフラグメントを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項37】
前記生物学的サンプルを照明光に曝露する前に、
前記生物学的サンプルを、対比染色剤と接触させる工程と、
前記生物学的サンプルを照明光に曝露し、前記生物学的サンプルから放出された光を検出し、前記生物学的サンプル中の前記対比染色剤の位置を示す、前記サンプルの第2の画像を形成する、工程と
を更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項38】
前記対比染色剤が、DAPIを含む、請求項37に記載の方法。
【請求項39】
前記生物学的サンプルにおける前記第1のヌクレオチド配列の量に対する前記第4のヌクレオチド配列の量の比が、1を上回る、請求項1に記載の方法。
【請求項40】
前記比が、5を上回る、請求項1に記載の方法。
【請求項41】
前記比が、50を上回る、請求項1に記載の方法。
【請求項42】
前記結合剤が、第1の結合剤であり、前記触媒作用剤が、第1の触媒作用剤であり、前記局在化剤が、第1の局在化剤であり、前記標識化剤が、第1の標識化剤であり、前記検体が、第1の検体であり、前記結合部分が、第1の結合部分であり、前記方法が、前記生物学的サンプルを、第2の結合剤と接触させる工程であって、前記第2の結合剤が、前記生物学的サンプル中の第2の検体に結合する第2の結合部分及び第5のヌクレオチド配列を含む、工程を更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項43】
前記第2の検体が、前記第1の検体とは異なる、請求項42に記載の方法。
【請求項44】
前記第2の検体が、タンパク質、ペプチド、又はペプチドフラグメントを含む、請求項43に記載の方法。
【請求項45】
前記生物学的サンプルを、前記第1及び第2の結合剤に同時に接触させる工程を含む、請求項42に記載の方法。
【請求項46】
前記生物学的サンプルを、前記第1及び第2の結合剤に逐次的に接触させる工程を含む、請求項42に記載の方法。
【請求項47】
前記触媒作用剤が、第1の触媒作用剤であり、前記酵素が、第1の酵素であり、前記局在化剤が、第1の局在化剤であり、前記基質が、第1の基質であり、前記標識化剤が、第1の標識化剤であり、前記光学標識が、第1の光学標識であり、前記方法が、
前記生物学的サンプルを、第2の触媒作用剤と接触させる工程であって、前記第2の触媒作用剤が、第2の酵素に連結された第6のヌクレオチド配列を含み、前記第6のヌクレオチド配列が、前記第5のヌクレオチド配列にハイブリダイズする、工程と、
前記生物学的サンプルを、第2の結合剤と接触させる工程であって、前記第2の結合剤が、前記第2の酵素に対して相補的な第2の基質及び前記第2の基質に連結された第7のヌクレオチド配列を含む、工程と、
前記生物学的サンプルを、第2の標識化剤と接触させる工程であって、前記第2の標識化剤が、第2の光学標識に連結された第8のヌクレオチド配列を含み、前記第8のヌクレオチド配列が、前記第7のヌクレオチド配列にハイブリダイズする、工程と
を更に含む、請求項42に記載の方法。
【請求項48】
前記第1及び第5のヌクレオチド配列が、同じである、請求項42に記載の方法。
【請求項49】
前記第1及び第5のヌクレオチド配列が、異なる、請求項42に記載の方法。
【請求項50】
前記第2及び第6のヌクレオチド配列が、同じである、請求項47に記載の方法。
【請求項51】
前記第2及び第6のヌクレオチド配列が、異なる、請求項47に記載の方法。
【請求項52】
前記第3及び第7のヌクレオチド配列が、異なる、請求項47に記載の方法。
【請求項53】
前記第4及び第8のヌクレオチド配列が、異なる、請求項47に記載の方法。
【請求項54】
前記第1及び第2の光学標識が、異なる、請求項47に記載の方法。
【請求項55】
前記第2の結合部分が、抗体、抗体フラグメント、又は抗体アナログを含む、請求項42に記載の方法。
【請求項56】
前記抗体、抗体フラグメント、又は抗体アナログが、IgG抗体、IgM抗体、モノクローナル抗体、一本鎖可変フラグメント、及びダイアボディからなる群から選択されるメンバーを含む、請求項55に記載の方法。
【請求項57】
前記第5のヌクレオチド配列が、少なくとも5個のヌクレオチドを含む、請求項42に記載の方法。
【請求項58】
前記第5のヌクレオチド配列が、DNAフラグメント及びRNAフラグメントからなる群から選択される少なくとも1つのメンバーを含む、請求項42に記載の方法。
【請求項59】
前記第5のヌクレオチド配列が、少なくとも1つの合成ヌクレオチドを含む、請求項42に記載の方法。
【請求項60】
前記第5のヌクレオチド配列が、一本鎖配列である、請求項42に記載の方法。
【請求項61】
前記第5のヌクレオチド配列が、少なくとも部分的に二本鎖である、請求項42に記載の方法。
【請求項62】
前記第6のヌクレオチド配列が、前記第5のヌクレオチド配列に対して少なくとも80%相補的である、請求項47に記載の方法。
【請求項63】
前記第6のヌクレオチド配列が、少なくとも5個のヌクレオチドを含む、請求項47に記載の方法。
【請求項64】
前記第5及び第6のヌクレオチド配列が、異なる数のヌクレオチドを含む、請求項47に記載の方法。
【請求項65】
前記第1及び第2の酵素が、異なる、請求項47に記載の方法。
【請求項66】
前記第2の酵素が、西洋ワサビペルオキシダーゼ、西洋ワサビペルオキシダーゼの誘導体、西洋ワサビペルオキシダーゼを模倣する化合物、ヘミン含有複合体、及びヘマチンを含む、請求項47に記載の方法。
【請求項67】
前記第2の酵素が、ダイズペルオキシダーゼを含む、請求項47に記載の方法。
【請求項68】
前記第7のヌクレオチド配列が、前記第5のヌクレオチド配列と同じである、請求項47に記載の方法。
【請求項69】
前記第7のヌクレオチド配列が、前記第5のヌクレオチド配列とは異なる、請求項47に記載の方法。
【請求項70】
前記第7のヌクレオチド配列が、少なくとも5個のヌクレオチドを含む、請求項47に記載の方法。
【請求項71】
前記第7のヌクレオチド配列が、DNAフラグメント及びRNAフラグメントからなる群から選択される少なくとも1つのメンバーを含む、請求項47に記載の方法。
【請求項72】
前記第7のヌクレオチド配列が、少なくとも1つの合成ヌクレオチドを含む、請求項47に記載の方法。
【請求項73】
前記第7のヌクレオチド配列が、一本鎖配列である、請求項47に記載の方法。
【請求項74】
前記第7のヌクレオチド配列が、少なくとも部分的に二本鎖である、請求項47に記載の方法。
【請求項75】
前記第8のヌクレオチド配列が、前記第7のヌクレオチド配列に対して少なくとも80%相補的である、請求項47に記載の方法。
【請求項76】
前記第8のヌクレオチド配列が、少なくとも5個のヌクレオチドを含む、請求項47に記載の方法。
【請求項77】
前記第7及び第8のヌクレオチド配列が、異なる数のヌクレオチドを含む、請求項47に記載の方法。
【請求項78】
前記第2の光学標識が、蛍光性種を含む、請求項47に記載の方法。
【請求項79】
前記第2の光学標識が、発色性染色剤を含む、請求項47に記載の方法。
【請求項80】
前記生物学的サンプルにおける前記第5のヌクレオチド配列の量に対する前記第8のヌクレオチド配列の量の比が、1を上回る、請求項47に記載の方法。
【請求項81】
前記比が、50を上回る、請求項80に記載の方法。
【請求項82】
前記生物学的サンプルにおける前記第5のヌクレオチド配列の量に対する前記第8のヌクレオチド配列の量の比が、前記生物学的サンプルにおける前記第1のヌクレオチド配列の量に対する前記第4のヌクレオチド配列の量の比とは異なる、請求項47に記載の方法。
【請求項83】
前記生物学的サンプルにおける前記第5のヌクレオチド配列の前記量に対する前記第8のヌクレオチド配列の前記量の前記比が、1を上回らない、請求項82に記載の方法。
【請求項84】
前記生物学的サンプルにおける前記第5のヌクレオチド配列の前記量に対する前記第8のヌクレオチド配列の前記量の前記比が、1を上回り、前記生物学的サンプルにおける前記第1のヌクレオチド配列の前記量に対する前記第4のヌクレオチド配列の前記量の前記比が、1を上回る、請求項82に記載の方法。
【請求項85】
前記生物学的サンプルを前記第2の標識化剤と接触させる工程の前に、前記生物学的サンプルから前記第1の標識化剤を除去する工程を更に含む、請求項47に記載の方法。
【請求項86】
前記生物学的サンプルを前記第2の局在化剤と接触させる工程の前に、前記生物学的サンプルから前記第1の標識化剤を除去する工程を含む、請求項85に記載の方法。
【請求項87】
前記生物学的サンプルを前記第2の触媒作用剤と接触させる工程の前に、前記生物学的サンプルから前記第1の標識化剤を除去する工程を含む、請求項85に記載の方法。
【請求項88】
前記生物学的サンプルを前記第2の結合剤と接触させる工程の前に、前記生物学的サンプルから前記第1の標識化剤を除去する工程を含む、請求項85に記載の方法。
【請求項89】
前記第3のヌクレオチド配列から前記第4のヌクレオチド配列を脱ハイブリダイズさせることによって、前記生物学的サンプルから前記第1の標識化剤を除去する工程を更に含む、請求項85に記載の方法。
【請求項90】
前記生物学的サンプルの前記画像が、第1の画像であり、前記方法が、前記生物学的サンプルを、照明光に曝露し、前記生物学的サンプルから放出された光を検出し、前記第2の検体の位置が前記第2の光学標識によって示された、前記生物学的サンプルの第2の画像を形成する工程を更に含む、請求項47に記載の方法。
【請求項91】
前記第1の光学標識が、前記生物学的サンプルを前記照明光に曝露して、前記生物学的サンプルの前記第2の画像を形成するときに、前記生物学的サンプル中に存在している、請求項90に記載の方法。
【請求項92】
前記生物学的サンプルを前記照明光に曝露して、前記生物学的サンプルの前記第2の画像を形成する工程の前に、前記生物学的サンプルから前記第1の光学標識を除去する工程を更に含む、請求項90に記載の方法。
【請求項93】
前記生物学的サンプルから前記第1の光学標識を除去する工程が、前記第3のヌクレオチド配列から前記第4のヌクレオチド配列を脱ハイブリダイズさせることを含む、請求項92に記載の方法。
【請求項94】
前記生物学的サンプルを前記局在化剤と接触させた後、かつ前記生物学的サンプルを前記標識化剤と接触させる前に、
前記生物学的サンプルを、第2の触媒作用剤と接触させる工程であって、前記第2の触媒作用剤が、第2の酵素に連結された第5のヌクレオチド配列を含み、前記第5のヌクレオチド配列が、前記第3のヌクレオチド配列にハイブリダイズする、工程と、
前記生物学的サンプルを、第2の局在化剤と接触させる工程であって、前記第2の局在化剤が、前記第2の酵素に対して相補的な第2の基質及び前記第2の基質に連結された第6のヌクレオチド配列を含む、工程と、
を更に含み、
前記標識化剤の前記第4のヌクレオチド配列が、前記第6のヌクレオチド配列にハイブリダイズする、
請求項1に記載の方法。
【請求項95】
前記第5のヌクレオチド配列及び前記第1のヌクレオチド配列が、同じである、請求項94に記載の方法。
【請求項96】
前記第6のヌクレオチド配列及び前記第4のヌクレオチド配列が、同じである、請求項94に記載の方法。
【請求項97】
前記第2の酵素が、西洋ワサビペルオキシダーゼ及びその誘導体、ヘミン含有複合体、ヘマチン、並びにダイズペルオキシダーゼからなる群から選択される、請求項94に記載の方法。
【請求項98】
生物学的サンプル中の複数の検体をイメージングするための方法であって、
(a)前記生物学的サンプルを、前記検体のうちの1つに選択的に結合する結合部分及び第1のヌクレオチド配列を含む結合剤と接触させる工程と、
(b)前記生物学的サンプルを、触媒作用剤と接触させる工程であって、前記触媒作用剤が、酵素に連結された第2のヌクレオチド配列を含み、前記第2のヌクレオチド配列が、前記第1のヌクレオチド配列にハイブリダイズする、工程と、
(c)前記生物学的サンプルを、局在化剤と接触させる工程であって、前記局在化剤が、前記酵素に対して相補的な基質及び前記基質に連結された第3のヌクレオチド配列を含み、前記第3のヌクレオチド配列を前記検体のうちの前記1つに隣接して沈着させる、工程と、
工程(a)~(c)を繰り返して、前記生物学的サンプル中にN個の異なる第3のヌクレオチド配列を沈着させ、前記第3のヌクレオチド配列のそれぞれのものが前記検体のうちの異なるものに隣接して選択的に配置されるようにする工程と、
前記生物学的サンプルを、M個の異なる標識化剤と接触させる工程であって、それぞれの標識化剤が、異なる光学標識に連結された第4のヌクレオチド配列を含み、前記第4のヌクレオチド配列が、前記第3のヌクレオチド配列のうちの1つのみにハイブリダイズする、工程と、
前記検体のうちの1つの位置が、前記光学標識のうちの1つの位置によって示された、前記サンプルの画像を取得する工程と
を含む、方法。
【請求項99】
生物学的サンプル中の検体をイメージングするための方法であって、
酵素を前記検体に連結させて、前記酵素が前記生物学的サンプル中で前記検体の位置に局在化されるようにする、工程と、
前記生物学的サンプルを、前記酵素に対して相補的な基質及び第1のヌクレオチド配列を含む局在化剤と接触させて、前記第1のヌクレオチド配列を、前記生物学的サンプル中で前記検体の前記位置に隣接して沈着させる工程と、
前記生物学的サンプルを、前記第1のヌクレオチド配列にハイブリダイズする第2のヌクレオチド配列及び光学標識を含む標識化剤と接触させる工程と、
前記検体の前記位置が、前記光学標識の位置によって表された、前記生物学的サンプルの画像を取得する工程と
を含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2019年9月30日に出願された米国仮特許出願第62/908,540号に対する優先権を主張し、その全内容は、参照により本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
抗体は、1942年に初めて、生きた細菌を注入したマウスから得られた器官生検において肺炎球菌属抗原を可視化させるために、組織切片分析において用いられた。それ以来、免疫組織化学法は、臨床診断及び基礎研究の主軸となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許第6,372,937号
【特許文献2】米国特許第6,828,109号
【特許文献3】米国特許出願公開第2017/0226572号
【特許文献4】米国特許出願公開第2005/0003462号
【特許文献5】米国特許第9,909,167号
【特許文献6】米国特許第10,370,698号
【特許文献7】米国特許出願公開第16/902,215号
【特許文献8】米国特許第6,735,531号
【特許文献9】米国特許第7,226,788号
【特許文献10】米国特許第7,729,125号
【特許文献11】米国特許第5,391,723号
【特許文献12】米国特許第7,155,55号
【特許文献13】米国特許第7,019,777号
【特許文献14】米国特許第9,107,624号
【特許文献15】PCT特許出願公開第2005/040769号
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】Taofiqら、Molecules 22(2): 281 (2017)
【非特許文献2】G. Glass、J. Papin、J Mandell、J. Histochem Cytochem 2009 Oct; 57 (10): 899:905
【非特許文献3】Dennlerら、Antibodies 4: 197-224 (2015)
【非特許文献4】Kozlovら、Biopolymers 73:621 (2004)
【非特許文献5】van Gijlswijkら、Cytogenet. Cell Genet. 75: 258-262 (1996)
【非特許文献6】Spicerら、Chem. Rev. 118(16): 7702-7743 (2018)
【非特許文献7】Winkler、Ther. Deliv. 4(7): 791-809 (2013)
【非特許文献8】van Gijlswijkら、Histochemie 113(3): 175-180 (2000)
【非特許文献9】Woodら、「Fluorescence Labeling of Nucleic Acids」、Encylcopedia of Biophysics (2013)
【非特許文献10】Hwang、Molecules 23(1): 124 (2018)
【非特許文献11】Taskovaら、Bioconjugate Chem. 30(12): 3007-3012 (2019)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来的な免疫組織化学(IHC)法は、特に、弱く発現されるか、又は既存のIHC試薬によって効率的に標的化されない免疫学的標的に関して、必ずしも検出に適したシグナルを提供するわけではない。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示は、発色性又は蛍光性色素を使用して標的の検出を増強させ、色素を検出後に除去することができる、チラミドシグナル増幅を用いた、生物学的サンプルに免疫組織化学法を行うための方法、物質組成物、及びキットを特徴とする。多重化検出は、継続的なイメージングラウンドを通じて高い多重化レベルで行うことができ、ここで、それぞれのイメージングラウンドで、複数の標的に対応する複数の色素を検出することができ、増幅は、いくつか又はすべての標的に使用することができる。
【0007】
いくつかの実施形態において、本方法は、TSA手法を使用した、酵素に媒介されるオリゴヌクレオチド配列のサンプルへの沈着を含む。それぞれの抗体分子に連結された酵素部分は、多数のオリゴ配列分子のサンプルへの沈着を触媒し得るため、本方法は、増幅(すなわち、1:1を上回る、標的分子の量に対する色素分子の量の比)を実現する。このプロセスを、複数の抗体について繰り返して、TSAにより増幅された、サンプルへの複数のオリゴヌクレオチド配列の沈着をもたらすことができる。
【0008】
カウンターセンスオリゴヌクレオチド配列で標識化された1つ又は複数の色素が導入され、これが、対応する(すなわち、相補的な)TSAにより沈着されたオリゴヌクレオチド配列とハイブリダイズし、それを検出した後に、オリゴヌクレオチドで標識化された色素は、脱ハイブリダイズさせてサンプルから除去することができる。1回又は複数回の追加の検出ラウンドを、任意選択で行うことができる。
【0009】
いくつかの実施形態において、サンプルを、複数の一次抗体とともにインキュベートし、これらの抗体のそれぞれは、目的とされる異なる検体を標的とし、サンプル中のその標的検体に対応する部位に局在化する。それぞれの異なるタイプの抗体を、N個の配列の群S={S1, S2 …SN}から引き出した固有のオリゴヌクレオチド配列Siにコンジュゲートさせ、ここで、群Sは、直交的である、すなわち、所与のSiのカウンターセンス配列Si'は、ストリンジェントな条件下において、実質的にSiのみとハイブリダイズし、iがjではないずれのSjともハイブリダイズしないことを意味する。配列の群Sの文脈において、「実質的に」とは、配列Si'とSi以外の配列Sjとの交差結合の総量が、配列Si'の配列Siへの結合の量の1%を下回ることを意味する。
【0010】
免疫組織化学的法での抗体インキュベーション中には典型的なように、インキュベーション中の非特異的結合を最小限に抑え、その後に過剰な抗体を除去するために、ブロッキング及び洗浄工程を、行うことができる。その後に、一次抗体をサンプルによりしっかりと連結させ、抗体が後続の工程中に除去される可能性を低減させるために、固定工程を行ってもよい。
【0011】
酵素、例えば、西洋ワサビペルオキシダーゼ(HRP)を、カウンターセンス配列Si'にコンジュゲートさせ、サンプルに適用し、ここで、カウンターセンス配列Si'は、少なくとも第1の結合領域での結合によって一次抗体に連結された対応する配列Siとハイブリダイズする。ストリンジェント又はほぼストリンジェントな条件を使用して、サンプル中の他の配列及び/又は他の位置との交差ハイブリダイゼーションを最小限に抑えることができる。一次抗体は、直交的な群Sから引き出された異なる配列Siとコンジュゲートされるため、他の標的検体に特異的に結合する一次抗体に局在化する酵素はほとんどないか又はまったくない。
【0012】
これとは別に、局在化剤は、HRP酵素の基質にコンジュゲートされたオリゴヌクレオチド配列Skを含む。いくつかの好ましい実施形態において、基質は、チラミン誘導体、p-ヒドロキシ-ケイ皮酸、又はp-ヒドロキシ-ケイ皮酸の誘導体を含有する化合物であるチラミン化合物(すなわち、チラミン含有化合物)であり得る。好適なチラミンの誘導体としては、アミン基上に、1つ又は複数の(例えば、2つ若しくはそれよりも多く、3つ若しくはそれよりも多くの)置換基、例えば、1つ又は複数のアルキル、アルケニル、アルキニル(alkynl)、ヒドロキシル、ハロゲン化物、及び/又はアルコキシ基を有するチラミン部分が挙げられるが、これらに限定されない。好適なp-ヒドロキシ-ケイ皮酸の誘導体としては、Taofiqら、Molecules 22(2): 281 (2017)に記載される誘導体が挙げられるがこれらに限定されず、この文献の全内容は、参照により組み込まれる。
【0013】
いくつかの実施形態において、オリゴヌクレオチド配列は、会合する一次抗体上のものと同じである(k=i)。他の実施形態において、それは、異なる配列であり(k≠i)、更に、任意の他の一次抗体にコンジュゲートされた配列とも異なる。
【0014】
オリゴヌクレオチドで標識化された酵素基質が、次いで、サンプルに適用され、チラミドシグナル増幅を通じて、標的抗体の近くで、酵素により触媒される、配列Skを有するオリゴヌクレオチド分子のサンプルへの沈着が生じる。脱ハイブリダイゼーション工程を行い、オリゴヌクレオチドがコンジュゲートされた酵素(例えば、HRP)を、その会合する抗体から放出させ、酵素を、1回又は複数回の洗浄工程によって除去する。
【0015】
前述の手順は、1回の増幅されたオリゴヌクレオチド沈着ラウンドに相当し、それぞれの一次抗体の近傍で、サンプルに共有結合的に結合したいくつかの配列Skのオリゴヌクレオチド分子が生じる。そのような分子の平均数が、TSA機序を通じて得られる増幅の程度である。
【0016】
増幅された沈着は、複数の抗体種に行うことができ、複数の一次抗体に対応するサンプルの位置において、異なるSkタイプのオリゴヌクレオチド配列の沈着が生じる。TSAにより増幅されるオリゴ沈着ラウンドの回数は、増幅がサンプル中の1つの標的に対してのみ求められている場合には1回であってもよく、又は増幅がマーカーのサブセットに対して所望されている場合には、一次抗体の数Nよりも少ないいくつかの回数Mであってもよく、又は増幅がすべてのマーカーに対して求められている場合にはN回であってもよい。
【0017】
検出は、1つ又は複数のオリゴヌクレオチドで標識化された色素を導入することによって行うことができ、それぞれのオリゴヌクレオチドは、配列Sk'を有する。それぞれのそのようなオリゴヌクレオチドにコンジュゲートされた色素分子は、少なくとも第1の結合領域での結合によって、対応する配列Skを有するTSAにより沈着されるオリゴヌクレオチド配列とハイブリダイズする。過剰なオリゴヌクレオチドにコンジュゲートされた色素分子を除去するための洗浄工程とともに、サンプル中の他の部位に色素が結合するのを最小限に抑えるために、ストリンジェント又はほぼストリンジェントな条件が課され得る。
【0018】
サンプルを、次いで、蛍光性色素が使用された場合には蛍光顕微鏡で、又は発色性色素が使用された場合には明視野顕微鏡でイメージングする。これが、1回の検出ラウンドを構成する。その後に、脱ハイブリダイゼーション工程が行われ、オリゴで標識化された色素が放出され、それらは、1回又は複数回の洗浄工程によって除去され得る。
【0019】
いくつかの実施形態において、2個又はそれよりも多くの色素(例えば、3個若しくはそれよりも多く、4個若しくはそれよりも多く、5個若しくはそれよりも多く、6個若しくはそれよりも多く、8個若しくはそれよりも多く、10個若しくはそれよりも多く、又は更に多くの色素)が、それぞれの検出ラウンドでイメージングされ、マルチチャネル蛍光顕微鏡を使用して、それぞれの色素が個別に検出される。ある特定の実施形態において、最大6個の色素又はそれよりも多くが、スペクトルイメージング及び分解技法を使用してイメージングされる。一般に、1回のラウンドでイメージングすることができる色素の数Bは、顕微鏡の能力及びその像を解釈するために使用される分析技法に依存する。
【0020】
DAPI等の対比染色剤は、1回イメージングされてもよく、又はそれぞれのイメージングサイクル中にイメージングされてもよく、これは、すべてのラウンドから得られた画像が空間的に同時に登録される、サンプルの全体的な多重化画像を形成するために、継続的なイメージングラウンドから得られたオリゴヌクレオチドで標識化された色素の画像を登録するために使用され得る。
【0021】
したがって、高度に多重化された画像を取得することができる。イメージングすることができる標的の全体的な数Nは、直交的オリゴヌクレオチド配列で標識化された抗体の数に基づき、1回のイメージングラウンドでイメージングすることができる色素の数Bにも、TSAに基づくオリゴヌクレオチド沈着ラウンドの数Mにも、限定されない。
【0022】
HRPにより触媒されるオリゴヌクレオチドの沈着を通じた増幅の使用は、非増幅型検出と組み合わせることができる。ある特定の作業フローは、いくつかのオリゴヌクレオチドで標識化された抗体を含み得、これは、オリゴヌクレオチドで標識化されたHRPとハイブリダイズし、TSA反応を通じたサンプルへの複数のオリゴヌクレオチドの沈着を触媒し、これらの沈着されたオリゴヌクレオチドに連結するオリゴヌクレオチドで標識化された色素を通じて検出されるが、一方で他のオリゴヌクレオチドで標識化された抗体は、オリゴヌクレオチドで標識化された色素とハイブリダイズすることによって、検出される。したがって、作業フローは、いくつかの抗体の検出については増幅を組み込み得、その他のものについては組み込まない場合がある。
【0023】
いくつかの実施形態において、HRP等の酵素は、他の手段、例えば、サンプルにオリゴヌクレオチドを沈着させるための間接的な標識化によって、抗体部位に局在化され得る。一次抗体は、上述のように、サンプル中の特定の標的検体に結合することができ、次いで、一次抗体に結合する二次抗体又はナノボディ等の結合実体にコンジュゲートした酵素が、導入され得、結果として、酵素は、一次抗体に間接的に連結されることになる。
【0024】
1つの例として、PDL-1についてはE1L3Nクローンである一次抗体を、サンプルとともにインキュベートして、サンプルのPDL-1部位に局在化させることができ、Leica Power Vision Poly HRPからなる二次抗体を、一次抗体の部位に局在化させ、抗体位置に隣接した、サンプルへの配列Skを有するオリゴヌクレオチドの沈着を触媒することができる。クエン酸抗原賦活化溶液を用いた溶出等のストリッピング技法を使用して、一次及び二次抗体を除去し、沈着したオリゴヌクレオチドをそこに残すことができる。これを、他の抗体及び他の選択したSkを用いて繰り返して、HRPにより増幅された、複数の標的に対応する複数のオリゴヌクレオチドの沈着をもたらすことができ、これを、前述のように、オリゴで標識化された色素を使用して検出することができる。
【0025】
それぞれの標識化及びイメージングサイクルにおいて使用される色素は、同じであっても異なってもよく、同じ数又は異なる数の色素を、それぞれのサイクルにおいて使用及びイメージングしてもよい。目標としては、典型的には、目的とされるすべての標的をイメージングすることであるが、使用される具体的な色素及びそれらをラウンドにグループ分けする様式は、検体、サンプル、及び作業フロー条件の具体的な属性に従って選ばれ得る。例えば、1回のイメージングラウンドにおいて、TSAにより沈着されるオリゴヌクレオチドの密度が高いいくつかの標的をイメージングするために、比較的短い曝露時間の使用を選んでもよく、別のイメージングラウンドでは、TSAにより沈着されるオリゴヌクレオチドがより少数で存在する他の標的をイメージングするために、比較的短い曝露時間の使用を選んでもよい。選択した様式で標的をグループ分けすることは、曝露時間、画像登録、及びある特定の作業フローに特定の他の因子等、実際的な因子の点で、有益であり得る。
【0026】
生物学的サンプルは、生物学的組織、培養細胞、及び目的とされる動物対象から採取された細胞からなる群から選択され得る。いくつかの実施形態において、生物学的サンプルは、ヒト起源又はマウス起源である材料を含む。いくつかの実施形態において、生物学的サンプルは、新鮮なものであってもよく、凍結されていてもよく、又は固定されていてもよい。いくつかの実施形態において、それは、ホルマリン固定パラフィン包埋(FFPE)組織ブロックから得られた切片又はコアであってもよい。サンプルは、組織切片、組織マイクロアレイ(TMA)、細胞ペレット、コア生検、ニードル生検、又は血液若しくは血漿サンプルから得られた細胞に由来する材料を含み得る。
【0027】
いくつかの実施形態において、生物学的サンプルは、スライド、プレート、ウェル、又はフィルム等の表面に固定化されている。
【0028】
いくつかの実施形態において、一次及び/又は二次抗体又は抗体フラグメントは、IgG、IgM、モノクローナル抗体、scFv、ナノボディ、Fab、又はダイアボディを含む。いくつかの実施形態において、抗体又は抗体フラグメントは、サンプルのエレメント、例えば、タンパク質、又は別の抗体若しくは抗体フラグメント(例えば、間接的連結)に特異的である。
【0029】
いくつかの実施形態において、抗体にコンジュゲートされたオリゴヌクレオチド配列Siは、複数のリボ核酸を含む。いくつかの実施形態において、それは、複数のデオキシリボ核酸を含む。いくつかの実施形態において、Siオリゴヌクレオチドは、少なくとも5個、少なくとも10個、少なくとも15個、少なくとも20個、少なくとも25個、少なくとも30個、少なくとも35個、少なくとも40個、少なくとも45個、少なくとも50個、少なくとも55個、少なくとも60個、少なくとも65個、少なくとも70個、少なくとも75個、少なくとも80個、少なくとも85個、少なくとも90個、少なくとも95個、又は少なくとも100個のヌクレオチドの長さである。いくつかの実施形態において、Siオリゴヌクレオチドは、10~30個、10~50個、10~70個、10~100個、20~50個、20~70個、20~100個、30~50個、30~70個、30~100個、40~70個、40~100個、50~70個、50~100個、60~70個、60~80個、60~90個、又は60~100個のヌクレオチドの長さである。
【0030】
いくつかの実施形態において、Siオリゴヌクレオチドは、5個を上回らない、10個を上回らない、15個を上回らない、20個を上回らない、25個を上回らない、30個を上回らない、35個を上回らない、40個を上回らない、45個を上回らない、50個を上回らない、55個を上回らない、60個を上回らない、65個を上回らない、70個を上回らない、75個を上回らない、80個を上回らない、85個を上回らない、90個を上回らない、95個を上回らない、又は100個を上回らないヌクレオチドの長さである。
【0031】
いくつかの実施形態において、Siオリゴヌクレオチドは、1つ又は複数の合成ヌクレオチドを含む。いくつかの実施形態において、Siオリゴヌクレオチドは、全体として一本鎖である。いくつかの実施形態において、Siオリゴヌクレオチドは、部分的に二本鎖である。
【0032】
いくつかの実施形態において、前記Si'オリゴヌクレオチドの第1の結合領域は、前記第1のオリゴヌクレオチドSiの少なくとも一部分に対して相補的である。いくつかの実施形態において、Si'オリゴヌクレオチドの第1の結合領域は、少なくとも5個、少なくとも10個、少なくとも15個、少なくとも20個、少なくとも25個、少なくとも30個、少なくとも35個、少なくとも40個、少なくとも45個、少なくとも50個、少なくとも55個、少なくとも60個、少なくとも65個、少なくとも70個、少なくとも75個、少なくとも80個、少なくとも85個、少なくとも90個、少なくとも95個、又は少なくとも100個のヌクレオチドの長さである。いくつかの実施形態において、Si'オリゴヌクレオチドの第1の結合領域は、10~30個、10~50個、10~70個、10~100個、20~50個、20~70個、20~100個、30~50個、30~70個、30~100個、40~70個、40~100個、50~70個、50~100個、60~70個、60~80個、60~90個、又は60~100個のヌクレオチドの長さである。
【0033】
いくつかの実施形態において、Si'オリゴヌクレオチドの結合領域は、5個を上回らない、10個を上回らない、15個を上回らない、20個を上回らない、25個を上回らない、30個を上回らない、35個を上回らない、40個を上回らない、45個を上回らない、50個を上回らない、55個を上回らない、60個を上回らない、65個を上回らない、70個を上回らない、75個を上回らない、80個を上回らない、85個を上回らない、90個を上回らない、95個を上回らない、又は100個を上回らないヌクレオチドの長さである。
【0034】
いくつかの実施形態において、Si'オリゴヌクレオチドの結合領域は、1つ又は複数の合成ヌクレオチドを含む。いくつかの実施形態において、Si'オリゴヌクレオチドは、複数のリボ核酸を含む。いくつかの実施形態において、Si'オリゴヌクレオチドは、複数のデオキシリボ核酸を含む。
【0035】
いくつかの実施形態において、Si'オリゴヌクレオチドは、少なくとも5個、少なくとも10個、少なくとも15個、少なくとも20個、少なくとも25個、少なくとも30個、少なくとも35個、少なくとも40個、少なくとも45個、少なくとも50個、少なくとも55個、少なくとも60個、少なくとも65個、少なくとも70個、少なくとも75個、少なくとも80個、少なくとも85個、少なくとも90個、少なくとも95個、又は少なくとも100個のヌクレオチドの長さである。いくつかの実施形態において、第2のオリゴヌクレオチドは、10~30個、10~50個、10~70個、10~100個、20~50個、20~70個、20~100個、30~50個、30~70個、30~100個、40~70個、40~100個、50~70個、50~100個、60~70個、60~80個、60~90個、又は60~100個のヌクレオチドの長さである。いくつかの実施形態において、第2のオリゴヌクレオチドは、5個を上回らない、10個を上回らない、15個を上回らない、20個を上回らない、25個を上回らない、30個を上回らない、35個を上回らない、40個を上回らない、45個を上回らない、50個を上回らない、55個を上回らない、60個を上回らない、65個を上回らない、70個を上回らない、75個を上回らない、80個を上回らない、85個を上回らない、90個を上回らない、95個を上回らない、又は100個を上回らないヌクレオチドの長さである。
【0036】
いくつかの実施形態において、Si'オリゴヌクレオチドは、1つ又は複数の合成ヌクレオチドを含む。いくつかの実施形態において、Si'オリゴヌクレオチドは、全体として一本鎖である。いくつかの実施形態において、Si'オリゴヌクレオチドは、部分的に二本鎖である。
【0037】
いくつかの実施形態において、酵素は、西洋ワサビペルオキシダーゼ(HRP)である。いくつかの実施形態において、酵素は、HRPを模倣することができるヘミン含有複合体、例えば、ヘマチンであり得る。いくつかの実施形態において、酵素は、ダイズペルオキシダーゼであり得る。
【0038】
いくつかの実施形態において、基質材料にコンジュゲートされたオリゴヌクレオチド配列Skは、複数のリボ核酸を含む。いくつかの実施形態において、Skは、複数のデオキシリボ核酸を含む。いくつかの実施形態において、Skオリゴヌクレオチドは、少なくとも5個、少なくとも10個、少なくとも15個、少なくとも20個、少なくとも25個、少なくとも30個、少なくとも35個、少なくとも40個、少なくとも45個、少なくとも50個、少なくとも55個、少なくとも60個、少なくとも65個、少なくとも70個、少なくとも75個、少なくとも80個、少なくとも85個、少なくとも90個、少なくとも95個、又は少なくとも100個のヌクレオチドの長さである。いくつかの実施形態において、Skオリゴヌクレオチドは、10~30個、10~50個、10~70個、10~100個、20~50個、20~70個、20~100個、30~50個、30~70個、30~100個、40~70個、40~100個、50~70個、50~100個、60~70個、60~80個、60~90個、又は60~100個のヌクレオチドの長さである。
【0039】
いくつかの実施形態において、Skオリゴヌクレオチドは、5個を上回らない、10個を上回らない、15個を上回らない、20個を上回らない、25個を上回らない、30個を上回らない、35個を上回らない、40個を上回らない、45個を上回らない、50個を上回らない、55個を上回らない、60個を上回らない、65個を上回らない、70個を上回らない、75個を上回らない、80個を上回らない、85個を上回らない、90個を上回らない、95個を上回らない、又は100個を上回らないヌクレオチドの長さである。
【0040】
いくつかの実施形態において、Skオリゴヌクレオチドは、1つ又は複数の合成ヌクレオチドを含む。いくつかの実施形態において、Skオリゴヌクレオチドは、全体として一本鎖である。いくつかの実施形態において、Skオリゴヌクレオチドは、部分的に二本鎖である。
【0041】
いくつかの実施形態において、Sk'オリゴヌクレオチドの結合領域は、前記第1のオリゴヌクレオチドSkの少なくとも一部分に対して相補的である。いくつかの実施形態において、Sk'オリゴヌクレオチドの結合領域は、少なくとも5個、少なくとも10個、少なくとも15個、少なくとも20個、少なくとも25個、少なくとも30個、少なくとも35個、少なくとも40個、少なくとも45個、少なくとも50個、少なくとも55個、少なくとも60個、少なくとも65個、少なくとも70個、少なくとも75個、少なくとも80個、少なくとも85個、少なくとも90個、少なくとも95個、又は少なくとも100個のヌクレオチドの長さである。いくつかの実施形態において、Sk'オリゴヌクレオチドの第1の結合領域は、10~30個、10~50個、10~70個、10~100個、20~50個、20~70個、20~100個、30~50個、30~70個、30~100個、40~70個、40~100個、50~70個、50~100個、60~70個、60~80個、60~90個、又は60~100個のヌクレオチドの長さである。
【0042】
いくつかの実施形態において、Sk'オリゴヌクレオチドの結合領域は、5個を上回らない、10個を上回らない、15個を上回らない、20個を上回らない、25個を上回らない、30個を上回らない、35個を上回らない、40個を上回らない、45個を上回らない、50個を上回らない、55個を上回らない、60個を上回らない、65個を上回らない、70個を上回らない、75個を上回らない、80個を上回らない、85個を上回らない、90個を上回らない、95個を上回らない、又は100個を上回らないヌクレオチドの長さである。
【0043】
いくつかの実施形態において、前記Sk'オリゴヌクレオチドの結合領域は、1つ又は複数の合成ヌクレオチドを含む。いくつかの実施形態において、Sk'オリゴヌクレオチドは、複数のリボ核酸を含む。いくつかの実施形態において、Sk'オリゴヌクレオチドは、複数のデオキシリボ核酸を含む。
【0044】
いくつかの実施形態において、Sk'オリゴヌクレオチドは、少なくとも5個、少なくとも10個、少なくとも15個、少なくとも20個、少なくとも25個、少なくとも30個、少なくとも35個、少なくとも40個、少なくとも45個、少なくとも50個、少なくとも55個、少なくとも60個、少なくとも65個、少なくとも70個、少なくとも75個、少なくとも80個、少なくとも85個、少なくとも90個、少なくとも95個、又は少なくとも100個のヌクレオチドの長さである。いくつかの実施形態において、第2のオリゴヌクレオチドは、10~30個、10~50個、10~70個、10~100個、20~50個、20~70個、20~100個、30~50個、30~70個、30~100個、40~70個、40~100個、50~70個、50~100個、60~70個、60~80個、60~90個、又は60~100個のヌクレオチドの長さである。いくつかの実施形態において、Sk'オリゴヌクレオチドは、5個を上回らない、10個を上回らない、15個を上回らない、20個を上回らない、25個を上回らない、30個を上回らない、35個を上回らない、40個を上回らない、45個を上回らない、50個を上回らない、55個を上回らない、60個を上回らない、65個を上回らない、70個を上回らない、75個を上回らない、80個を上回らない、85個を上回らない、90個を上回らない、95個を上回らない、又は100個を上回らないヌクレオチドの長さである。
【0045】
いくつかの実施形態において、1つ又は複数の化合物は、TSA反応を制御又は改変するために導入される。そのような化合物及びTSA作業フローの例は、例えば、米国特許第6,372,937号及び同第6,828,109号、並びに米国特許出願公開第2017/0226572号及び同第2005/0003462号に記載されており、これらのそれぞれの全内容は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0046】
いくつかの実施形態において、オリゴヌクレオチドにコンジュゲートされる色素は、フルオロフォア、染色剤、量子ドット、又は発色性化合物である。好適な色素としては、R6G、DCC、Texas Red、FITC、Alexa Fluor 488、Alexa Fluor 568、Alexa Fluor 594、Alexa Fluor 633、Alexa Fluor 750、Cy3、Cy 3.5、Cy5、Cy 5.5、Cy7、クマリン、ローダミン、並びにこれらの種の置換バリアントである蛍光性及び発色性種が挙げられるが、これらに限定されない。
【0047】
いくつかの実施形態において、すべての増幅工程が、最初に行われ、その後に、1回又は複数回の検出ラウンドが、オリゴで標識化された色素とのハイブリダイゼーション、イメージング、及び必要に応じてオリゴで標識化された色素の除去を通じて行われる。いくつかの実施形態において、増幅は、顕微鏡以外の他の箇所に位置するサンプルに行われ、これは、その装置の利用を向上させ得るか、又は増幅工程のための自動染色装置等、特化した処理機器を利用するためであり得る。他の実施形態において、増幅は、顕微鏡上のサンプルに行われる。これにより、全増幅及び検出プロセスにわたってサンプルを1つの機器又は処理ステーションから別のものに移動させるためにロボット又はヒトによる介入を必要としない完全に自動化された作業フローが可能となる。
【0048】
他の実施形態において、増幅及び検出工程は、入り混じっている。いくつかの実施形態において、本明細書に記載される工程は、繰り返すことができる。
【0049】
ある態様において、本開示は、生物学的サンプル中の検体をイメージングするための方法であって、生物学的サンプルを結合剤と接触させる工程であって、結合剤が、検体に結合する結合部分及び第1のヌクレオチド配列を特徴とする、工程と、生物学的サンプルを触媒作用剤と接触させる工程であって、触媒作用剤が、酵素に連結された第2のヌクレオチド配列を特徴とし、第2のヌクレオチド配列が、第1のヌクレオチド配列にハイブリダイズする、工程と、生物学的サンプルを局在化剤と接触させる工程であって、局在化剤が、酵素に対して相補的な基質及び基質に連結された第3のヌクレオチド配列を特徴とする、工程と、生物学的サンプルを標識化剤と接触させる工程であって、標識化剤が、光学標識に連結された第4のヌクレオチド配列を特徴とし、第4のヌクレオチド配列が、第3のヌクレオチド配列にハイブリダイズする、工程と、生物学的サンプルを照明光に曝露し、生物学的サンプルから放出された光を検出し、検体の位置が光学標識によって示された生物学的サンプルの画像を形成する工程とを含む、方法を特徴とする。
【0050】
別の態様において、本開示は、生物学的サンプル中の複数の検体をイメージングするための方法であって、(a)生物学的サンプルを、検体のうちの1つに選択的に結合する結合部分及び第1のヌクレオチド配列を特徴とする結合剤と接触させる工程と、(b)生物学的サンプルを、触媒作用剤と接触させる工程であって、触媒作用剤が、酵素に連結された第2のヌクレオチド配列を特徴とし、第2のヌクレオチド配列が、第1のヌクレオチド配列にハイブリダイズする、工程と、(c)生物学的サンプルを局在化剤と接触させる工程であって、局在化剤が、酵素に対して相補的な基質及び基質に連結された第3のヌクレオチド配列を特徴とし、第3のヌクレオチド配列を、検体のうちの1つに隣接して沈着させる、工程と、工程(a)~(c)を繰り返して、生物学的サンプル中にN個の異なる第3のヌクレオチド配列を沈着させ、第3のヌクレオチド配列のそれぞれのものが検体のうちの異なるものに隣接して選択的に配置されるようにする工程と、生物学的サンプルを、M個の異なる標識化剤と接触させる工程であって、それぞれの標識化剤が、異なる光学標識に連結された第4のヌクレオチド配列を特徴とし、第4のヌクレオチド配列が、第3のヌクレオチド配列のうちの1つのみにハイブリダイズする、工程と、検体のうちの1つの位置が光学標識のうちの1つの位置によって示された、サンプルの画像を取得する工程とを含む、方法を特徴とする。
【0051】
更なる態様において、本開示は、生物学的サンプル中の検体をイメージングするための方法であって、酵素を検体に連結させて、酵素が生物学的サンプル中で検体の位置に局在させるようにする工程と、生物学的サンプルを、酵素に対して相補的な基質及び第1のヌクレオチド配列を特徴とする局在化剤と接触させて、第1のヌクレオチド配列を、生物学的サンプル中で検体の位置に隣接して沈着させる工程と、生物学的サンプルを、第1のヌクレオチド配列にハイブリダイズする第2のヌクレオチド配列及び光学標識を特徴とする標識化剤と接触させる工程と、検体の位置が光学標識の位置によって表された、生物学的サンプルの画像を取得する工程とを含む、方法を特徴とする。
【0052】
本方法のうちのいずれかの実施形態は、以下の特徴うちのいずれかを含み得る。
【0053】
結合部分は、抗体、抗体フラグメント、又は抗体アナログを含み得る。抗体、抗体フラグメント、又は抗体アナログは、IgG抗体、IgM抗体、モノクローナル抗体、一本鎖可変フラグメント、及びダイアボディからなる群から選択されるメンバーを含み得る。
【0054】
第1のヌクレオチド配列は、少なくとも5個のヌクレオチド(例えば、少なくとも50個のヌクレオチド)を含み得る。第1のヌクレオチド配列は、DNAフラグメントを含み得る。第1のヌクレオチド配列は、RNAフラグメントを含み得る。第1のヌクレオチド配列は、少なくとも1つの合成ヌクレオチドを含み得る。第1のヌクレオチド配列は、一本鎖配列であり得る。第1のヌクレオチド配列は、少なくとも部分的に二本鎖であり得る。
【0055】
第2のヌクレオチド配列は、第1のヌクレオチド配列に対して少なくとも80%相補的であり得る。本明細書において使用される場合、2つのヌクレオチド配列間の相補性の百分率は、2つの配列の結合領域間の相補的な塩基の百分率を指す。再生可能な結合を達成するために、第2の配列は、第1の配列に対して少なくとも70%(例えば、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、少なくとも99%)相補的であり得る。
【0056】
第2のヌクレオチド配列は、少なくとも5個のヌクレオチドを含み得る。第1及び第2のヌクレオチド配列は、異なる数のヌクレオチドを含み得る。
【0057】
酵素は、西洋ワサビペルオキシダーゼ又はその誘導体を含み得る。酵素は、西洋ワサビペルオキシダーゼを模倣する化合物を含み得る。化合物は、ヘミン含有複合体を含み得る。化合物は、ヘマチンを含み得る。酵素は、ダイズペルオキシダーゼを含み得る。
【0058】
第3のヌクレオチド配列は、第1のヌクレオチド配列と同じであってもよい。第3のヌクレオチド配列は、第1のヌクレオチド配列とは異なってもよい。第3のヌクレオチド配列は、少なくとも5個のヌクレオチド(例えば、少なくとも50個のヌクレオチド)を含み得る。第3のヌクレオチド配列は、DNAフラグメントを含み得る。第3のヌクレオチド配列は、RNAフラグメントを含み得る。第3のヌクレオチド配列は、少なくとも1つの合成ヌクレオチドを含み得る。第3のヌクレオチド配列は、一本鎖配列であり得る。第3のヌクレオチド配列は、少なくとも部分的に二本鎖であり得る。
【0059】
第4のヌクレオチド配列は、第3のヌクレオチド配列に対して少なくとも80%相補的であり得る。第4のヌクレオチド配列は、少なくとも5個のヌクレオチドを含み得る。第3及び第4のヌクレオチド配列は、異なる数のヌクレオチドを含み得る。
【0060】
光学標識は、蛍光性種を含み得る。光学標識は、発色性染色剤を含み得る。
【0061】
生物学的サンプルは、組織サンプルであり得る。組織サンプルは、新鮮組織サンプル、凍結組織サンプル、又はホルマリン固定パラフィン包埋(FFPE)組織サンプルであり得る。
【0062】
検体は、タンパク質を含み得る。検体は、ペプチド又はペプチドフラグメントを含み得る。
【0063】
本方法は、生物学的サンプルを照明光に曝露する前に、生物学的サンプルを対比染色剤と接触させる工程と、生物学的サンプルを照明光に曝露し、生物学的サンプルから放出された光を検出し、生物学的サンプル中の対比染色剤の位置を示す、サンプルの第2の画像を形成する工程とを含み得る。対比染色剤は、DAPIを含み得る。
【0064】
生物学的サンプルにおける第1のヌクレオチド配列の量に対する第4のヌクレオチド配列の量の比は、1を上回り得る(例えば、5を上回り得る、50を上回り得る)。
【0065】
結合剤は、第1の結合剤であり得、触媒作用剤は、第1の触媒作用剤であり得、局在化剤は、第1の局在化剤であり得、標識化剤は、第1の標識化剤であり得、検体は、第1の検体であり得、結合部分は、第1の結合部分であり得、本方法は、生物学的サンプルを、第2の結合剤と接触させる工程であって、第2の結合剤が、生物学的サンプル中の第2の検体に結合する第2の結合部分及び第5のヌクレオチド配列を特徴とする、工程を含み得る。第2の検体は、第1の検体とは異なり得る。第2の検体は、タンパク質、ペプチド、又はペプチドフラグメントを含み得る。本方法は、生物学的サンプルを、第1及び第2の結合剤に同時に接触させる工程を含み得る。本方法は、生物学的サンプルを、第1及び第2の結合剤に逐次的に接触させる工程を含み得る。
【0066】
触媒作用剤は、第1の触媒作用剤であり得、酵素は、第1の酵素であり得、局在化剤は、第1の局在化剤であり得、基質は、第1の基質であり得、標識化剤は、第1の標識化剤であり得、光学標識は、第1の光学標識であり得、本方法は、生物学的サンプルを、第2の触媒作用剤と接触させる工程であって、第2の触媒作用剤が、第2の酵素に連結された第6のヌクレオチド配列を特徴とし、第6のヌクレオチド配列が、第5のヌクレオチド配列にハイブリダイズする、工程と、生物学的サンプルを、第2の結合剤と接触させる工程であって、第2の結合剤が、第2の酵素に対して相補的な第2の基質及び第2の基質に連結された第7のヌクレオチド配列を特徴とする、工程と、生物学的サンプルを、第2の標識化剤と接触させる工程であって、第2の標識化剤が、第2の光学標識に連結された第8のヌクレオチド配列を特徴とし、第8のヌクレオチド配列が、第7のヌクレオチド配列にハイブリダイズする、工程とを含み得る。第1及び第5のヌクレオチド配列は、同じであってもよい。第1及び第5のヌクレオチド配列は、異なってもよい。第2及び第6のヌクレオチド配列は、同じであっても異なってもよい。第3及び第7のヌクレオチド配列は、異なってもよい。第4及び第8のヌクレオチド配列は、異なってもよい。
【0067】
第1及び第2の光学標識は、異なってもよい。第2の結合部分は、抗体、抗体フラグメント、又は抗体アナログを含み得る。抗体、抗体フラグメント、又は抗体アナログは、IgG抗体、IgM抗体、モノクローナル抗体、一本鎖可変フラグメント、及びダイアボディからなる群から選択されるメンバーを含み得る。第5のヌクレオチド配列は、少なくとも5個のヌクレオチドを含み得る。第5のヌクレオチド配列は、DNAフラグメント及びRNAフラグメントからなる群から選択される少なくとも1つのメンバーを含み得る。第5のヌクレオチド配列は、少なくとも1つの合成ヌクレオチドを含み得る。第5のヌクレオチド配列は、一本鎖配列であり得る。第5のヌクレオチド配列は、少なくとも部分的に二本鎖であり得る。
【0068】
第6のヌクレオチド配列は、第5のヌクレオチド配列に対して少なくとも80%相補的であり得る。第6のヌクレオチド配列は、少なくとも5個のヌクレオチドを含み得る。第5及び第6のヌクレオチド配列は、異なる数のヌクレオチドを含み得る。
【0069】
第1及び第2の酵素は、異なってもよい。第2の酵素は、西洋ワサビペルオキシダーゼ、西洋ワサビペルオキシダーゼの誘導体、西洋ワサビペルオキシダーゼを模倣する化合物、ヘミン含有複合体、及びヘマチンを含み得る。第2の酵素は、ダイズペルオキシダーゼを含み得る。第7のヌクレオチド配列は、第5のヌクレオチド配列と同じであってもよい。第7のヌクレオチド配列は、第5のヌクレオチド配列とは異なってもよい。第7のヌクレオチド配列は、少なくとも5個のヌクレオチドを含み得る。第7のヌクレオチド配列は、DNAフラグメント及びRNAフラグメントからなる群から選択される少なくとも1つのメンバーを含み得る。第7のヌクレオチド配列は、少なくとも1つの合成ヌクレオチドを含み得る。第7のヌクレオチド配列は、一本鎖配列であり得る。第7のヌクレオチド配列は、少なくとも部分的に二本鎖であり得る。
【0070】
第8のヌクレオチド配列は、第7のヌクレオチド配列に対して少なくとも80%相補的であり得る。第8のヌクレオチド配列は、少なくとも5個のヌクレオチドを含み得る。第7及び第8のヌクレオチド配列は、異なる数のヌクレオチドを含み得る。
【0071】
第2の光学標識は、蛍光性種を含み得る。第2の光学標識は、発色性染色剤を含み得る。
【0072】
生物学的サンプルにおける第5のヌクレオチド配列の量に対する第8のヌクレオチド配列の量の比は、1を上回り得る(例えば、50を上回り得る)。生物学的サンプルにおける第5のヌクレオチド配列の量に対する第8のヌクレオチド配列の量の比は、生物学的サンプルにおける第1のヌクレオチド配列の量に対する第4のヌクレオチド配列の量の比とは異なってもよい。生物学的サンプルにおける第5のヌクレオチド配列の量に対する第8のヌクレオチド配列の量の比は、1を上回らなくてもよい。生物学的サンプルにおける第5のヌクレオチド配列の量に対する第8のヌクレオチド配列の量の比は、1を上回り得、生物学的サンプルにおける第1のヌクレオチド配列の量に対する第4のヌクレオチド配列の量の比は、1を上回り得る。
【0073】
本方法は、生物学的サンプルを第2の標識化剤と接触させる工程の前に、生物学的サンプルから第1の標識化剤を除去する工程を含み得る。本方法は、生物学的サンプルを第2の局在化剤と接触させる工程の前に、生物学的サンプルから第1の標識化剤を除去する工程を含み得る。本方法は、生物学的サンプルを第2の触媒作用剤と接触させる工程の前に、生物学的サンプルから第1の標識化剤を除去する工程を含み得る。本方法は、生物学的サンプルを第2の結合剤と接触させる工程の前に、生物学的サンプルから第1の標識化剤を除去する工程を含み得る。本方法は、第3のヌクレオチド配列から第4のヌクレオチド配列を脱ハイブリダイズさせることによって、生物学的サンプルから第1の標識化剤を除去する工程を含み得る。
【0074】
生物学的サンプルの画像は、第1の画像であり得、本方法は、生物学的サンプルを、照明光に曝露し、生物学的サンプルから放出された光を検出し、第2の検体の位置が第2の光学標識によって示された、生物学的サンプルの第2の画像を形成する工程を含み得る。第1の光学標識は、生物学的サンプルを照明光に曝露して、生物学的サンプルの第2の画像を形成するときに、生物学的サンプル中に存在し得る。
【0075】
本方法は、生物学的サンプルを照明光に曝露して、生物学的サンプルの第2の画像を形成する前に、生物学的サンプルから第1の光学標識を除去する工程を含み得る。生物学的サンプルから第1の光学標識を除去する工程は、第3のヌクレオチド配列から第4のヌクレオチド配列を脱ハイブリダイズさせることを含み得る。
【0076】
本方法は、生物学的サンプルを局在化剤と接触させた後かつ生物学的サンプルを標識化剤と接触させる前に、生物学的サンプルを、第2の触媒作用剤と接触させる工程であって、第2の触媒作用剤が、第2の酵素に連結された第5のヌクレオチド配列を特徴とし、第5のヌクレオチド配列が、第3のヌクレオチド配列にハイブリダイズする、工程と、生物学的サンプルを第2の局在化剤と接触させる工程であって、第2の局在化剤が、第2の酵素に対して相補的な第2の基質、及び第2の基質に連結された第6のヌクレオチド配列を特徴とし、標識化剤の第4のヌクレオチド配列が、第6のヌクレオチド配列にハイブリダイズする、工程とを含み得る。第5のヌクレオチド配列及び第1のヌクレオチド配列は、同じであってもよい。第6のヌクレオチド配列及び第4のヌクレオチド配列は、同じであってもよい。第2の酵素は、西洋ワサビペルオキシダーゼ及びその誘導体、ヘミン含有複合体、ヘマチン、及びダイズペルオキシダーゼからなる群から選択され得る。
【0077】
本方法の実施形態はまた、そうでないことが明示的に示されない限り、異なる実施形態と関連して記載されている特徴の組合せを含む、本明細書に記載されている他の特徴のうちのいずれかを含み得る。
【0078】
本明細書において言及されるすべての刊行物、特許、及び特許出願は、それぞれ個別の刊行物、特許、又は特許出願が、具体的かつ個別に参照により組み込まれると示されるのと同程度に、参照により本明細書に組み込まれる。
【図面の簡単な説明】
【0079】
図1A図1Aは、サンプルへの、第1のオリゴヌクレオチドにコンジュゲートされた一次抗体を含む結合剤の結合を示す、概略図である。
図1B図1Bは、図1Aの結合剤への触媒作用剤のハイブリダイゼーションを示す概略図である。
図1C図1Cは、サンプル中で、図1Aの一次抗体の近傍における、チラミドにコンジュゲートされたオリゴヌクレオチドを含む局在化剤の、酵素に媒介される沈着を示す、概略図である。
図1D図1Dは、サンプル中で図1Aの一次抗体に近接して配置される、局在化剤の集団を示す、概略図である。
図2A図2Aは、サンプル中で、目的とされる検体に結合した一次抗体に近接して沈着される局在化剤分子を示す、概略図である。
図2B図2Bは、本システムにおける局在化剤分子への標識化剤分子のハイブリダイゼーションを示す、概略図である。
図2C図2Cは、図2Bにおける標識化されたサンプルのイメージングを示す、概略図である。
図2D図2Dは、脱ハイブリダイゼーションを通じた標識化剤の除去後の図2Bのサンプルを示す、概略図である。
図3図3は、複数の異なる検体を検出するためにサンプルを標識化及びイメージングするための例示的な工程のセットを示す、フローチャートである。
図4図4は、オリゴヌクレオチドに連結されたCD20抗体で染色し、CD20抗体の近傍に局在化される標識化剤で標識化された、組織切片の画像である。
図5図5は、標識化剤の除去後の図4の組織切片の画像である。
【発明を実施するための形態】
【0080】
図内の同様の要素は、共通の参照符号でラベル付けされている。
【0081】
概要
免疫蛍光技法は、単一のサンプルにおける複数の抗原標的を観察するため、例えば、所与の細胞又は組織切片におけるいくつかのタンパク質、ペプチド、又は他のアミノ酸含有標的の発現を可視化又は測定するために、使用され得る。このいわゆる多重化免疫蛍光法は、いくつかの様式で行うことができる。例えば、1つの技法は、サンプルを、いくつかの直接的に標識化された一次抗体と接触させることを含み、ここで、それぞれの一次抗体は、目的とされる抗原を標的とし得、異なる蛍光性色素にコンジュゲートされ得る。そのような方法において、抗体は、単一の工程で適用され得るが、しかしながら、色素は、イメージング中に互いに区別可能であり、そのため、抗原標的の数、すなわち多重化の程度は、分解することができる色素の数に制限される。また、増幅機序が存在しないため、抗原当たりの色素分子の数は、色素-抗体のコンジュゲーションによって設定され、比較的低くなり得る。
【0082】
間接的標識化を使用して、より明るいシグナルを得ることができる。その技法では、異なる種の二次抗体が、様々な一次抗体に結合し得、蛍光性色素が、二次抗体に結合し得る。これにより、複数の部位における二次結合を通じた増幅の可能性がもたらされ得るが、それは、それぞれの一次抗体が異なる種において生じていること、又は代替として二次抗体が同じ種に由来する異なる抗体を認識し得ることを必要とし得るため、直接的標識化よりも更に複雑なアプローチである。
【0083】
サンプルを、第1の抗原を標的とする単一の一次抗体と接触させることができる、連続的染色技法が開発されている。西洋ワサビペルオキシダーゼ(HRP)にコンジュゲートされた二次抗体を導入し、それが一次抗体部位に局在化し得る。チラミドシグナル増幅(TSA)を使用して、HRPによって触媒される反応を通じて、色素分子をこれらの部位の近くに沈着させることができる。TSA反応により、比較的高い増幅がもたらされ得る。色素沈着後に、一次及び二次抗体は、ストリッピング又は変性され得るが、色素は、大半がサンプルに結合したままとなる。このプロセスは、複数回繰り返すことができ、異なる色素を沈着させるために異なる抗原を標的とする異なる一次抗体が、それぞれの回で使用され得る。色素が沈着されると、サンプルをイメージングする。
【0084】
これは、一度に1つの一次抗体のみが対象となる連続的アプローチであるため、異種間反応性の問題は存在しない。抗体が産生された動物種に関する問題を伴うことなく、抗体を選択することができるため、これは、優れた現実的な利点である。しかしながら、色素がサンプルに長期間結合したままとなるため、多重化の程度は、単一のイメージングラウンドにおいて互いに高い信頼性で区別することができる色素の数によって制限される。
【0085】
いくつかの実施形態において、複数の一次抗体を、オリゴマーにコンジュゲートすることができる。例えば、それぞれが目的とされる抗原を標的とするいくつかの抗体を使用することができ、ここで、それぞれは、異なるオリゴマーにコンジュゲートされ得る。オリゴマーの配列は、異なるオリゴマー間での交差ハイブリダイゼーションが低くなるように選ばれ得又は操作され得る。サンプルを、一次抗体と接触させることができ、一次抗体は、それらのタイプに応じて抗原部位に局在化し得る。蛍光性色素又は他の検出部分、例えば、量子ドットを、様々な一次抗体に使用されるもの用に調整されたオリゴマー配列にコンジュゲートさせることができる。これらのうちの1つ又は複数を、検出部分に連結されたオリゴマーがその抗体に連結された対応物にハイブリダイズするのを促進し得る条件下において、サンプルと接触させてもよい。このようにして、検出部分は、会合する抗体の抗原部位に局在化し得、サンプルを、イメージングすることができる。本明細書において、これは、非増幅型オリゴ媒介検出と称される。そのような方法の態様は、例えば、米国特許第9,909,167号及び同第10,370,698号に記載されており、これらの全内容は、参照により組み込まれる。
【0086】
検出部分に連結されたオリゴ鎖は、脱ハイブリダイゼーションに好ましい条件を作り出し、洗浄工程を行うことによって、除去することができる。それぞれが異なるオリゴ配列を有する多くの一次抗体が、単一の実験において使用され得、対応する検出部分に連結されたオリゴは、群においてハイブリダイズされ、イメージングされ、除去される。いくつかの作業フローにおいて、イメージング工程は、任意の1つの群内に存在するいくつかの色素を区別するだけであり得るが、全体的な測定は、繰り返しを通じて高い多重化レベルを達成することができる。
【0087】
サンプルの標識化及びイメージング
本開示は、サンプル中の特定の標的検体に対応するシグナルの酵素に媒介される増幅を伴う、サンプルの標識化及びイメージングのための方法を特徴とする。いくつかの実施形態において、本方法は、生物学的サンプルを、第1のオリゴヌクレオチドSiにコンジュゲートされた抗体又は抗体フラグメントと接触させる工程と、前記第1のオリゴヌクレオチドを、第2のオリゴヌクレオチドSi'の結合領域と接触させる工程とを含み、第2のオリゴヌクレオチドSi'の結合領域は、第1のオリゴヌクレオチドSiの少なくとも一部分に対して相補的であり、第2のオリゴヌクレオチドSi'は、酵素にコンジュゲートされており、その結果、酵素は、TSA反応を通じて生物学的サンプルへの物質に沈着を媒介する。この物質は、それ自体が、顕微鏡又は類似の装置を使用してイメージングされる色素にコンジュゲートされた第4のオリゴヌクレオチドSk'の少なくとも一部分に対して相補的である第3のオリゴヌクレオチドSkである。
【0088】
この考察において、Siにおける下付き文字iは、第1のオリゴヌクレオチド配列及びイメージングされているサンプルにおける選択された標的と関連するその使用を表す。Si'という表記は、Siに対して相補的である第2のオリゴヌクレオチド配列を示し、これは、その長さの少なくとも一部分にわたってSiと選択的に結合することができる。Siは、配列の直交的なセットから引き出される、すなわち、Si'は、ストリンジェントな条件下において、セット内の任意の他の配列Sj(j≠i)とハイブリダイズしない。
【0089】
Skにおける下付き文字kは、あるオリゴヌクレオチド配列及びイメージングされているサンプルにおける選択された標的と関連するその使用を表す。Sk'という表記は、Skに対して相補的であるオリゴヌクレオチド配列を示し、これは、その長さの少なくとも一部分にわたってSkと選択的に結合することができる。Skは、配列の直交的なセットから引き出される、すなわち、Sk'は、ストリンジェントな条件下において、セット内の任意の他の配列Sm(k≠m)とハイブリダイズしない。
【0090】
本開示による複数の標的の増幅検出について説明する際、同じ下付き文字及びプライム記号の表記が、それぞれの標的と関連して使用されるが、Si及びSkが指す実際の配列は、それぞれの標的ごとに異なる。したがって、増幅が使用されるM個の異なる標的を用いた多重化実験において、それぞれの標的は、Siで表されるオリゴヌクレオチドにコンジュゲートされた抗体を有するが、Siが指す実際の配列は、それぞれの抗体ごとに異なるであろう。同様に、その標的と関連するTSA反応により、Skによって表されるオリゴヌクレオチド配列が沈着されるが、Skが指す実際の配列は、それぞれの標的ごとに異なるであろう。同様に、その標的と関連して使用されるオリゴ標識化HRPは、本明細書においてSi'と表される配列を有するが、Si'が指す実際の配列は、それぞれの標的ごとに異なり、オリゴ標識化色素は、Sk'と表される配列を有するが、Sk'が指す実際の配列は、それぞれの標的ごとに異なるであろう。
【0091】
直交的であり、天然に存在するオリゴヌクレオチド配列と選択的に結合する確率が低い、配列のセット{S1, S2 …SN}を設計又は選ぶための技法が、存在する。例えば、米国特許第10,370,698号を参照されたく、これは、これらの条件を満たす相補的な配列の例示的なセットを列挙している。
【0092】
生物学的サンプルは、2個若しくはそれよりも多く(例えば、3個若しくはそれよりも多く、4個若しくはそれよりも多く、5個若しくはそれよりも多く、6個若しくはそれよりも多く、8個若しくはそれよりも多く、10個若しくはそれよりも多く、12個若しくはそれよりも多く、15個若しくはそれよりも多く、20個若しくはそれよりも多く、30個若しくはそれよりも多く、40個若しくはそれよりも多く、50個若しくはそれよりも多く、60個若しくはそれよりも多く、80個若しくはそれよりも多く、又は更に多く)の抗体、抗体フラグメント、又はそれらの組合せと接触され得る。サンプルを、すべての抗体若しくは抗体フラグメント又は総抗体数の複数のサブセットの組合せのカクテルと接触させてもよい。単回のそのようなインキュベーションを使用することにより得られる時間の節約及び単純化に加えて、これは、サンプルにおいて共局在化された標的の改善された検出をもたらすことができる。理論によって束縛されることを望むものではないが、単一のカクテルでのインキュベーションは、サンプルにおいて隣接するか又はオーバーラップしている標的に結合する抗体間の系統的干渉を低減又は排除すると見られる。
【0093】
抗体インキュベーションと関連する抗原賦活化、ブロッキング、及び洗浄の工程は、通常の免疫組織化学法の慣例に従って用いられ得る。特定の工程、使用される化合物、時間、温度、及び動作の順序は、良好な感度、局在化、選択性、又は目的とされる他の基準を得るために、イメージングされている標的に基づいて最適化され得る。
【0094】
1つ又は複数の抗体、抗体フラグメント、又はそれらの組合せのそれぞれは、その抗体又は抗体フラグメントに固有である第1のオリゴヌクレオチドSiにコンジュゲートされる。抗体又は抗体フラグメントをサンプルに接触させた後、第1のオリゴヌクレオチドを、第2のオリゴヌクレオチドSi'と接触させることができる。例えば、第1のオリゴヌクレオチドは、相補的塩基対合等によって、第2のオリゴヌクレオチドにハイブリダイズすることができる。それぞれの第1のオリゴヌクレオチドSiは、固有の第2のオリゴヌクレオチドSi'に対応し得る。これは、前述のように配列の直交的なセット{S1, S2 …SN}を含むバーコーディングシステムによって達成され得る。
【0095】
いくつかの事例において、第1のオリゴヌクレオチドSiは、例えば、追加のリンカーオリゴヌクレオチドを介して、間接的に抗体又はフラグメントと連結される。間接的な連結の他の方法としては、一次抗体を特異的に標的とする二次抗体、ナノボディ、又は他の実体にコンジュゲートされた第1のオリゴヌクレオチドSiの結合が挙げられ、これによって、一次抗体が第1のオリゴヌクレオチドに間接的に連結される。
【0096】
それぞれの第2のオリゴヌクレオチドSi'は、生物学的サンプルへの検出可能な物質の沈着を媒介することができる酵素にコンジュゲートされる。いくつかの好ましい実施形態において、第2のオリゴヌクレオチドSi'は、西洋ワサビペルオキシダーゼ(HRP)酵素にコンジュゲートされ得る。他の実施形態において、第2のオリゴヌクレオチドSi'は、いくつかのHRP分子を含むポリマーにコンジュゲートされる。いくつかの実施形態において、酵素は、HRPを模倣することができるヘミン含有複合体、例えば、ヘマチンであり得る。いくつかの実施形態において、酵素は、ダイズペルオキシダーゼであり得る。いくつかの事例において、第2のオリゴヌクレオチドは、例えば、追加のリンカーオリゴヌクレオチド又はクリック化学反応系を介して、間接的に酵素と連結される。
【0097】
標的抗体上の意図されるSiバーコード以外の部位において結合がほとんど又はまったく生じないことを確実にするために、ストリンジェント又はほぼストリンジェントな条件が、用いられ得る。サンプルへの酵素の非特異的結合の可能性を更に低減させるために、酵素が会合しておらず、意図される結合標的Siと選択的に結合しない、他のオリゴヌクレオチド配列が、同様に適用され得る。
【0098】
オリゴヌクレオチドで標識化された酵素に対応する過剰な触媒作用剤分子は、酵素が、会合する一次抗体の近傍だけ又は主としてその近傍に局在化された後に、洗浄によってサンプルから除去され得る。
【0099】
TSA反応を使用して、サンプルにオリゴヌクレオチドSkを沈着させる。オリゴ配列Skは、TSA機序に従ってサンプルに結合するように、チラミン化合物若しくはp-ヒドロキシケイ皮酸であり得る基質、又はHRPによって触媒される別の基質に、コンジュゲートされる。オリゴ配列Skと基質材料との間の連結は、例えば、追加のリンカーオリゴヌクレオチドを介するか、又は別の機序による、間接的なものであってもよい。
【0100】
配列Skを有するオリゴヌクレオチドで標識化された酵素基質を含む局在化剤は、サンプルに導入され、一方で、配列Si'を有するオリゴヌクレオチドに連結された酵素は、ハイブリダイゼーションを通じて、配列Siを有するオリゴヌクレオチドが連結された抗体に結合される。これにより、名目上、この抗体に対応する位置においてのみ、オリゴ配列Skの沈着が生じる。
【0101】
上述のように、局在化剤の沈着は、特定の標的検体と会合するイメージングシグナルの増幅を生じさせる。増幅係数は、この考察においてαによって表され、サンプルの標的部位に局在化される抗体分子当たりの、サンプルに沈着されるオリゴヌクレオチド配列Skを有する分子の数を記載する。沈着された配列Skのオリゴヌクレオチドのそれぞれは、イメージングシグナル(例えば、蛍光シグナル、又は光の吸収、透過、若しくは反射に対応するシグナル)をもたらすように標識化されていてもよいため、それぞれの標的検体分子に対するそのような配列Skのオリゴヌクレオチドの数が、増幅係数又は増幅の程度αに対応する。
【0102】
それぞれの標的検体分子は、配列Siの単一のオリゴヌクレオチド分子に連結された一次抗体で標識化されるため、増幅係数αは、効果的に、サンプルにおける配列Siのオリゴヌクレオチドの量又は濃度に対するサンプルにおける配列Skのオリゴヌクレオチドの量又は濃度の比に対応する。量又は濃度の比(すなわち、増幅係数)は、1.1又はそれを上回り得る(例えば、1.5若しくはそれを上回り得る、2.0若しくはそれを上回り得る、3.0若しくはそれを上回り得る、4.0若しくはそれを上回り得る、5.0若しくはそれを上回り得る、7.0若しくはそれを上回り得る、10.0若しくはそれを上回り得る、20.0若しくはそれを上回り得る、30.0若しくはそれを上回り得る、40.0若しくはそれを上回り得る、50.0若しくはそれを上回り得る、60.0若しくはそれを上回り得る、70.0若しくはそれを上回り得る、80.0若しくはそれを上回り得る、90.0若しくはそれを上回り得る、100.0若しくはそれを上回り得る、200.0若しくはそれを上回り得る、500.0若しくはそれを上回り得る、1000若しくはそれを上回り得る、5000若しくはそれを上回り得る、10000若しくはそれを上回り得る、又は更に高くてもよい)。増幅係数αは、複数の抗体間におけるシグナルのレベルのバランスをとるように、所望される染色パターンを達成するように、又は行われるアッセイに基づいた他の目的のために、調節され得る。
【0103】
酵素に媒介される増幅プロセスは、局在化剤におけるオリゴヌクレオチドで標識化された酵素基質の濃度を調節すること、反応時間、反応温度、及びオリゴヌクレオチドにコンジュゲートした酵素基質の置き換え又は補充を通じて、制御することができる。これはまた、化合物、例えば、無機塩、又は有機増強化合物、例えば、米国特許第6,372,937号に記載されるものの付加によって改変することができ、この全内容は参照により組み込まれる。増幅の程度は、酵素に媒介されるそれぞれの標的検体と会合する局在化剤の沈着を別個に行うことによって、それぞれの標的検体について、別個に調節することができる。
【0104】
いくつかの条件下において、TSA反応は、サンプルへの沈着ではなく、酵素基質分子の二量体化をもたらす。これは、酵素分子又はオリゴヌクレオチドで標識化された酵素基質分子の密度が高すぎる場合に、生じ得る。これらの因子のうちの一方又は両方を低減させることにより、二量体化の作用を低減させ、より高いレベルの沈着をもたらすことができる。例えば、オリゴヌクレオチドで標識化された酵素基質の濃度を低減させてもよく、又はポリマーHRP酵素の代わりに非ポリマーHRP酵素を使用してもよい。
【0105】
沈着サイクルは、配列Siのオリゴヌクレオチドに連結された抗体に対応する、オリゴヌクレオチド配列Si'を有するオリゴヌクレオチドに連結された酵素(例えば、HRP)を使用して、それぞれの抗体について順に行うことができ、サンプルにオリゴヌクレオチド配列Skが沈着される。これが、増幅された検出が求められるそれぞれの抗体について繰り返されるが、ここで、それぞれのタイプの抗体は、異なる配列Siを有する異なるオリゴヌクレオチドに連結されている。
【0106】
いくつかの実施形態において、所与の抗体について沈着される配列Skを有するオリゴヌクレオチドは、その抗体にコンジュゲートされている配列Siと同じである。そのような実施形態において、沈着工程の結果は、抗体にコンジュゲートされているオリゴヌクレオチド配列と同じ配列を有する、複数のオリゴヌクレオチド分子を、その抗体に隣接してサンプルに結合させることである。
【0107】
ある特定の実施形態において、所与の抗体に沈着される配列Skは、その抗体にコンジュゲートされている配列Siとは異なる。そのような実施形態において、沈着工程の作用は、抗体にコンジュゲートされているオリゴヌクレオチド配列とは異なる配列を有する、複数のオリゴヌクレオチド分子を、その抗体に隣接してサンプルに結合させることである。
【0108】
サンプルに沈着されたオリゴヌクレオチド配列Skは、その長さの少なくとも一部分にわたってSkと選択的にハイブリダイズする、オリゴヌクレオチド配列Sk'にコンジュゲートされた色素分子を使用して、検出することができる。
【0109】
検出は、オリゴヌクレオチドで標識化された色素分子を含む標識化剤を導入すること、色素分子にコンジュゲートされたオリゴヌクレオチド配列Sk'が、サンプルに沈着されたか又は抗体にコンジュゲートされた配列Skを有するオリゴヌクレオチドと選択的にハイブリダイズする、ストリンジェント又はほぼストリンジェントなハイブリダイゼーション条件を提供すること、ハイブリダイズしなかったオリゴヌクレオチドで標識化された色素分子を除去すること、任意選択で、対比染色剤、例えば、DAPIを適用すること、顕微鏡を使用して、サンプルをイメージングして、色素分子の画像を形成すること、並びに任意選択で、脱ハイブリダイゼーション及び洗浄工程によって、オリゴで標識化された色素分子を除去することを含む。
【0110】
まとめると、オリゴヌクレオチドで標識化された色素分子を、相補的な局在化剤が存在するサンプルの部位に結合させる工程、対比染色剤を適用する工程、サンプルをイメージングする工程、及び色素分子を除去する工程が、1回の検出サイクルを形成する。
【0111】
上述のように、本明細書に記載されるある特定の方法の重要な態様は、標的検体の増幅された検出を行うことができ、続いて、サンプルから標識化剤を除去し、それによって、サンプルのイメージング中に観察されるシグナルを生成することである。結果として、サンプルの標識化、イメージング、及び任意選択で標識の除去から構成される複数回のサイクルを、連続して行うことができる。それぞれのサイクルにおいて使用される色素は、脱ハイブリダイゼーション及び洗浄工程によって除去され得るため、それらは、後続のサイクルにおける標識化イメージングに干渉しない。N個の標的検体を検出するための全体的に高い程度の多重化を、標識化及び検出の連続したサイクルを通じて達成することができ、ここで、より少ない色素の数B、又は更には単一の色素(B=1)が、それぞれのサイクルにおいて使用される。
【0112】
一般に、本明細書に記載される方法を使用して検出することができる標的検体の数Nは、1つ又は複数(例えば、2個若しくはそれよりも多く、3個若しくはそれよりも多く、4個若しくはそれよりも多く、5個若しくはそれよりも多く、6個若しくはそれよりも多く、8個若しくはそれよりも多く、10個若しくはそれよりも多く、12個若しくはそれよりも多く、15個若しくはそれよりも多く、20個若しくはそれよりも多く、25個若しくはそれよりも多く、30個若しくはそれよりも多く、35個若しくはそれよりも多く、40個若しくはそれよりも多く、45個若しくはそれよりも多く、50個若しくはそれよりも多く、又は更に多く)である。
【0113】
単一のイメージング工程において検出される色素の数Bは、1つ又は複数(例えば、2個若しくはそれよりも多く、3個若しくはそれよりも多く、4個若しくはそれよりも多く、5個若しくはそれよりも多く、6個若しくはそれよりも多く、8個若しくはそれよりも多く、10個若しくはそれよりも多く、15個若しくはそれよりも多く、20個若しくはそれよりも多く、30個若しくはそれよりも多く、40個若しくはそれよりも多く、50個若しくはそれよりも多く、70個若しくはそれよりも多く、又は更に多く)であり得る。
【0114】
標的検体を検出するためにサンプルに沈着させることができる、異なるタイプの標識化剤の数Mは、1つ又は複数(例えば、2個若しくはそれよりも多く、3個若しくはそれよりも多く、4個若しくはそれよりも多く、5個若しくはそれよりも多く、6個若しくはそれよりも多く、8個若しくはそれよりも多く、10個若しくはそれよりも多く、12個若しくはそれよりも多く、15個若しくはそれよりも多く、20個若しくはそれよりも多く、25個若しくはそれよりも多く、30個若しくはそれよりも多く、35個若しくはそれよりも多く、40個若しくはそれよりも多く、45個若しくはそれよりも多く、50個若しくはそれよりも多く、又は更に多く)であり得る。いくつかの実施形態において、Mは、Nよりも少ないか、又は同等である。
【0115】
いくつかの実施形態において、オリゴヌクレオチドを含む局在化剤の増幅された沈着は、イメージングされているすべての標的に対して行われる。ある特定の実施形態において、オリゴヌクレオチドを含む局在化剤の増幅された沈着は、単一の標的のみについて、又はイメージングされているN個の標的のサブセットについて、行われる。
【0116】
増幅が行われる場合、標的検体の検出は、その標的について局在化剤の沈着後の任意の時点において、行われ得る。沈着工程と検出工程とを交互に行うことが可能であり、いくつかの実施形態において、異なる標的検体と会合する1つ又は複数の異なるタイプの局在化剤を導入するために1回又は複数回の沈着工程を行うことができ、局在化剤を標識化及び検出するために1回又は複数回の検出工程を行ってもよく、更なる沈着及び検出のサイクルが続いてもよい。
【0117】
いくつかの実施形態において、局在化剤は、任意の検出工程(例えば、標識化剤の導入及びサンプルのイメージング)を行う前に、目的とされるすべての標的検体について、サンプルに沈着されてもよい。局在化剤は、特化した目的のために構築された機器、例えば、自動染色装置、染色チャンバを有するマイクロ流体システム、及び他のシステムを使用して、沈着させることができる。そのようなシステムは、ユーザの介入なしに、試薬を自動的に分注し、温度、処理時間、及び流速を管理する。そのようなシステムの1つの利点は、サンプルが、染色装置とイメージングステーションとの間を繰り返して循環されないことである。本明細書の試薬及び方法を適用するのに好適なシステムは、例えば、米国特許出願第16/902,215号、並びに米国特許第6,735,531号及び同第7,226,788号に記載されており、これらのそれぞれの全内容は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0118】
検出は、一度に1つの検体について行われてもよいが、サンプル中の領域に非特異的に結合する1つ又は複数の対比染色剤(例えば、1つ又は複数の組織対比染色剤、1つ又は複数の核対比染色剤)とともに、一度に2個、3個、4個、5個、6個、又は更に多くの検体について行われてもよい。それぞれがオリゴヌクレオチドで標識化された色素分子を有する異なる標識化剤を、1回で導入しハイブリダイズさせ、標識化剤のヌクレオチド配列Sk'が前述のように直交的であるため、それぞれの色素分子は、標的検体のうちの1つのみに結合する対応する抗体に局在化する(又は同等には、その関連する、サンプルにおける配列Skを有するオリゴヌクレオチドを有する局在化剤のTSAによる沈着)。色素の数、選択される色素、及びイメージングプロセスは、それぞれの色素と会合するシグナル、及びしたがって、それぞれの標的検体が、結果として得られる画像において互いに区別することができることを確実にするように選ばれる。
【0119】
本明細書に記載される方法を他の連続的多重化方法と比較することは、有益である。Sequential ImmunoPeroxidase Labeling and Erasing(SIMPLE、G. Glass、J. Papin、J Mandell、J. Histochem Cytochem 2009 Oct、57 (10): 899:905)と称される方法は、3-アミノ-9-エチルカルバゾール(AEC)を使用したIHCの連続ラウンドを含み、この染色は、イメージングされ、次いで、アルコールを使用して溶解される。それぞれのIHCラウンドは、単一のマーカーの図をもたらし、ブロッキング、一次抗体インキュベーション、洗浄、二次抗体インキュベーション、更なる洗浄、及び染色を必要とし、次いで、サンプルをイメージングし、水、エタノールの3回希釈物、水、過マンガン酸カリウム、及び水において洗浄する。これらの工程は、マーカー1つにつきおよそ3時間の合計時間がかかり、そのため、12重のアッセイは、サンプルを12回イメージングするのにかかる時間を除いて、36時間のサンプル処理を必要とする。
【0120】
多重化イメージング方法は、米国特許第7,729,125号に記載されており、そこでは、通常の前立腺サンプルが、11個の免疫マーカー及びDAPIを使用してイメージングされていた。それには、2回のラウンドの2チャネルの間接的IHC、続いて7回のラウンドの直接標識型IHC、それぞれの染色ラウンドの間でNaOH溶液を使用した色素の消去、続いてPBS中での洗浄が含まれた。それぞれの間接的IHCラウンドは、およそ2時間かかり、それぞれの直接的IHCラウンドは、およそ1時間かかり、消去工程は、それぞれ15分間超かかった。4つのマーカーは、二次抗体を通じたシグナル増幅を有し、7回のラウンドでは、増幅はなかった。全体として、サンプルを9回イメージングするのにかかった時間を除き、合計で14時間のサンプル処理が必要であった。
【0121】
本明細書に記載される方法は、すべての一次抗体について、単一のインキュベーション工程で行われ得る。TSA-沈着の増幅は、増幅が所望されるそれぞれの標的検体について個別に行うことができ、ハイブリダイゼーション、洗浄、TSA沈着、洗浄、及び脱ハイブリダイゼーションを含め、標的検体につきおよそ30分かかる。検出は、例えば、4つの色素(例えば、色素Opal 520、Opal 570、Opal 620、Opal 690、Akoya Biosciences, Inc.社、Menlo Park、CAから入手)を、DAPI対比染色剤とともに使用して、1回のサイクル当たり4つの種又はそれよりも多くについて行うことができ、イメージングは、Vectra Polaris機器(Akoya Biosciences, Inc.社から入手可能)を使用して行うことができる。それぞれの検出ラウンドに必要な時間は、イメージングのための約10分間を含め、およそ30分間である。一次インキュベーションを除き、この例の全体的なサンプル処理時間は、4つの種を増幅した場合には3時間半であるか、又は12個の種を増幅した場合には7時間半である。
【0122】
この比較は、すべての一次抗体の1つのカクテルとの単回インキュベーションを使用する選択肢、増幅を用いて多数のN個の標的をイメージングする能力、一部の標的に増幅を使用しその他のものには使用しないという選択肢、所望される場合にマーカーの高度な増幅を得る能力、単一の検出ラウンドにおいて複数の標的Bを標識しイメージングする能力、並びに全体的に高速であることを含む、本明細書に記載される方法のいくつかの有益な態様を例示する。
【0123】
蛍光性色素分子を使用する実施形態において、イメージングは、蛍光顕微鏡を使用して行うことができる。これは、広視野落射蛍光方法を使用して行うことができるか、又はそれは、共焦点イメージング、超解像イメージング、マルチスペクトルイメージング、二光子顕微鏡、若しくは全反射照明顕微鏡等の技法を使用し得る。画像を取得するために使用されるイメージングシステムは、正立及び/若しくは倒立顕微鏡、デジタルスライドスキャナ、又はカスタム装置を含み得る。
【0124】
発色性色素分子を使用する実施形態において、イメージングは、明視野顕微鏡を使用して行うことができる。これは、白色光源及び透過光光学装置を使用して行うことができるか、又はそれは、レーザー走査、狭帯域イメージング、若しくはマルチスペクトルイメージング等の技法を使用し得る。
【0125】
ある特定の実施形態において、連続増幅サイクルは、1つ又は複数の標的検体のそれぞれに行われ得る。例えば、オリゴヌクレオチド配列Siにコンジュゲートされた一次抗体を、オリゴヌクレオチドで標識化された酵素、例えば、Si'にコンジュゲートされたHRPに接触させる。配列Skを有するオリゴヌクレオチドで標識化された酵素基質を、サンプルに導入し、配列Skを有するオリゴヌクレオチド分子が、一次抗体と会合する酵素によって触媒されるTSA機序を通じて、増幅係数α1で、サンプルに沈着される。
【0126】
配列Si'を有する、オリゴヌクレオチドで標識化された酵素は、任意選択で脱ハイブリダイゼーションを通じてサンプルから除去され、サンプルは、配列Sk'のオリゴヌクレオチドにコンジュゲートされた、オリゴヌクレオチドで標識化された酵素(例えば、HRP)と接触される。次に、配列Skを有するオリゴヌクレオチドで標識化された酵素基質を、サンプルに適用し、配列Sk'のオリゴヌクレオチドとハイブリダイズさせ、配列Skの沈着するオリゴヌクレオチド分子は、TSA機序を通じて、増幅係数α2で(増幅係数α2は、配列Sk'のオリゴヌクレオチド分子の量又は濃度に対する配列Skのオリゴヌクレオチド分子の量又は濃度に対応する)サンプルに沈着される。沈着は、配列Skのオリゴヌクレオチドにコンジュゲートされた酵素によって、並びにサンプルから除去されていない場合には配列Si'のオリゴヌクレオチドにコンジュゲートされた酵素によって、触媒される。全体として、2回の沈着工程によって、(α1×α2)の増幅が達成される。
【0127】
連続的な増幅された沈着のラウンドを使用して、単一の沈着工程において実際的であるものよりも高度な全体的な増幅を達成することができ、かつ/又は増幅の程度を細かく制御することができる。前述の例は、単一の標的検体と会合するシグナルの増幅のための2回の沈着工程について説明しているが、より一般的には、任意の回数の沈着工程(例えば、1回若しくは複数回、2回若しくはそれよりも多く、3回若しくはそれよりも多く、4回若しくはそれよりも多く、5回若しくはそれよりも多く、6回若しくはそれよりも多く、8回若しくはそれよりも多く、10回若しくはそれよりも多く、又は更に多く)の沈着工程を行うことができ、それぞれの工程が、オリゴヌクレオチドにコンジュゲートされた酵素を有する触媒作用剤、及び相補的なオリゴヌクレオチドを有する局在化剤の導入を伴う。具体的には、弱く発現される標的検体について、複数回の沈着工程が、検出に有利であり得る。更に、沈着工程の回数は、それぞれの標的検体について独立して選択することができ、任意の2つの標的検体が、同じ回数又は異なる回数の増幅のための沈着工程の後に検出され得る。
【0128】
いくつかの実施形態において、1回又は複数回の増幅サイクル又は工程が、所与の標的検体に行われ、検出が、その標的検体に行われる。任意選択で、更なる増幅が所望されるかどうかの決定がなされる(例えば、標的検体に対応する測定されたイメージングシグナルに基づいて)。少なくともいくつかの実施形態において、増幅のための1回又は複数回の更なる沈着サイクル又は工程が、次いで、この標的検体に行われ、検出が再度行われる。これにより、異なるレベルの増幅を有するサンプルの2つ又はそれよりも多くの画像が得られる。上述のように、特定の標的検体の画像の数は、1つ又は複数(例えば、2個若しくはそれよりも多く、3個若しくはそれよりも多く、4個若しくはそれよりも多く、5個若しくはそれよりも多く、6個若しくはそれよりも多く、8個若しくはそれよりも多く、10個若しくはそれよりも多く、又は更に多く)であり得る。
【0129】
いくつかの実施形態において、上述の差次的増幅手法は、広く変動する発現を有するサンプルをイメージングするために使用され、それに最適な増幅は、イメージングの前には判明していない。他の実施形態において、この手法は、第1の画像においてサンプルにおける強力な発現領域をイメージングし、第2の画像において同じサンプルのより弱く発現する領域をイメージングするために使用される。ある特定の実施形態において、2つの画像におけるシグナルレベルの比較により、第2の増幅係数α2の評価が得られる。任意選択で、1つの画像が、標的発現における高いダイナミックレンジで、第1及び第2の画像からアセンブルされる。
【0130】
生物学的サンプルは、新鮮なものであってもよく、凍結されていてもよく、又は固定されていてもよい。生物学的サンプルは、ヒト、マウス、ラット、ウシ、ブタ、ヒツジ、サル、又はウサギから等、動物起源のものであってもよい。
【0131】
生物学的サンプルは、表面に固定化することができる。いくつかの実施形態において、表面は、スライド、プレート、ウェル、膜、又はフィルムであり得る。生物学的サンプルは、アルデヒド、アルコール、酸化剤、水銀、ピクリン酸、又はHOPE固定剤を使用して、固定されてもよい。生物学的サンプルは、或いは、熱固定を使用して、固定されてもよい。固定は、浸漬又は灌流によって達成されてもよい。生物学的サンプルは、新鮮なものであってもよく、又は凍結されていてもよい。いくつかの好ましい実施形態において、サンプルは、ホルマリン固定パラフィン包埋(FFPE)組織を含む。
【0132】
いくつかの実施形態において、生物学的サンプルを接触させる際、抗体又は抗体フラグメントは、生物学的サンプルのエレメントに結合されてもよい。抗体又は抗体フラグメントは、生物学的サンプルのエレメントと可逆的又は不可逆的に結合し得る。
【0133】
抗体又は抗体フラグメントは、IgG、IgM、ポリクローナル抗体、モノクローナル抗体、scFv、ナノボディ、Fab、又はダイアボディを含み得る。抗体又は抗体フラグメントは、タンパク質等のサンプルのエレメントに対する特異性を有し得る。入手可能な候補の中から、特定の抗体を選択することは、所与の実験の必要性に従って行われ、いくつかの因子、例えば、費用、その標的に利用可能な抗体、その標的に対するそれぞれの候補抗体の特異性、バックグラウンド(非特異的)結合の量、及び免疫組織化学設計において使用される他の因子に基づき得る。これらは、1つのクローンを別のものよりも優先して、又はモノクローナルをポリクローナルよりも優先して選び得る(又はその逆も同様である)。
【0134】
いくつかのクローンについて、これらの特性は、抗体をオリゴヌクレオチドSiにコンジュゲートさせると変化する。したがって、抗体は、その挙動の初回評価を形成するために従来的なIHC技法によって試験し、次いで、本開示において使用するためにオリゴヌクレオチド配列とのコンジュゲーション後に調査して、その性能がコンジュゲーション後に許容可能なままであることを確実にする必要がある。
【0135】
例示的な作業フロー
本明細書に記載される方法は、広範な異なる作業フローで実装することができる。図1A図1D及び図2A図2Dは、本方法の1つの例示的な実装を図示する概略図である。図1Aにおいて、サンプル102を、サンプル102中の検体101に結合する結合部分104を含む結合剤と接触させる。結合部分104は、配列Siを有する第1のオリゴヌクレオチドに連結されている。好適な結合部分104としては、抗体及び抗体フラグメント等、サンプル102中の目的とされる標的検体に特異的に結合する、本明細書に記載される結合部分のうちのいずれかが挙げられる。
【0136】
図1Bにおいて、サンプル102を、酵素110に連結された相補的な配列Si'を有する第2のオリゴヌクレオチド108を含む触媒作用剤と接触させる。本明細書において考察される場合、好適な酵素としては、HRP、ダイズペルオキシダーゼ、及びこれらのペルオキシダーゼの機能的触媒特性を模倣する他の種が挙げられる。第2のオリゴヌクレオチド108は、触媒作用剤がサンプル102中の標的検体101の位置に選択的に局在化されるように、第1のオリゴヌクレオチド106に選択的にハイブリダイズする。
【0137】
図1Cにおいて、サンプル102を、酵素110に対して相補的な基質112を含む局在化剤と接触させる。基質112は、配列Skを有する第3のオリゴヌクレオチドに連結されている。好適な基質としては、本明細書に記載されるように、チラミン及びチラミン誘導体、p-ヒドロキシケイ皮酸、並びにそれらの誘導体が挙げられるが、これらに限定されない。酵素110と基質112との間の触媒反応により、複数の局在化剤分子が、サンプル中で検体101に近接する位置に沈着される。
【0138】
図1Dにおいて、触媒作用剤は、脱ハイブリダイゼーション及び洗浄を通じて、サンプル102から除去されている。沈着された局在化剤分子は、サンプルに共有結合的に結合しているため、示されるようにサンプル中に残る。
【0139】
図2Aは、図1Dと同じサンプル102の図を示す。図2Bにおいて、光学標識118に連結された配列Sk'を有する第4のオリゴヌクレオチド116を含む標識化剤が、サンプルと接触する。第3及び第4のオリゴヌクレオチド114及び116の配列は、相補的であり、第4のオリゴヌクレオチド116は、第3のオリゴヌクレオチド114にハイブリダイズし、標識化剤を、サンプル102中で検体101に近接して局在化させる。複数の局在化剤分子が、それぞれの検体分子101について、サンプル中に沈着していたため、検体101と会合する測定されたシグナルは、増幅される。
【0140】
図2Cにおいて、照明光120が、サンプル102に入射し、光学標識118が、放出される光を生成する(例えば、蛍光を放出することによって、又は照明光の一部を吸収することによって)。放出される光を検出して、光学標識118から放出された光が検体101の位置を示す、サンプル102の画像が形成される。
【0141】
図2Dにおいて、標識化剤分子は、任意選択で、脱ハイブリダイゼーション及び洗浄によって、サンプル102から除去されている。前述のように、追加の沈着及び/又は検出サイクルを行って、サンプル102中の追加の標的検体を特定することができる。
【0142】
図3は、サンプル中の検体を検出するための、本明細書に記載される方法の1つの実装に対応する一連の例示的な工程を示す、フローチャートである。第1の工程302において、サンプルを、複数の異なるタイプの結合剤とともにインキュベートする。それぞれの異なるタイプの結合剤は、特定の標的検体に特異的な結合部分、及び結合部分と会合する配列を有する第1のヌクレオチドを含む。
【0143】
次に、工程304aにおいて、サンプルを、第2のオリゴヌクレオチドに連結された酵素を含む触媒作用剤と接触させる。第2のオリゴヌクレオチドの配列は、工程302からの異なる第1のオリゴヌクレオチドのうちの1つのみに対して相補的であり、その第1のオリゴヌクレオチドに選択的にハイブリダイズし、サンプルにおいて触媒作用剤を局在化させる。次いで、工程306aにおいて、サンプルを、第3のオリゴヌクレオチドに連結された酵素基質を含む局在化剤と接触させる。酵素と基質との間の触媒反応により、局在化剤の分子が、サンプル中で特定の標的検体の近傍に沈着される。
【0144】
工程304a及び306aは、サンプル中のN個の異なる標的検体のそれぞれについて、N回(工程304n及び306nとして、式中、n=b…N)繰り返される。工程304nにおいて導入されるそれぞれの異なるタイプの触媒作用剤は、サンプル中の異なる標的検体に特異的な結合剤のうちの異なる1つに選択的にハイブリダイズする。工程306nにおいて導入されるそれぞれの異なるタイプの局在化剤は、工程304nにおいて触媒作用剤が選択的に会合する標的検体に近接して沈着され、異なるタイプの局在化剤の配列の間で固有である第3のオリゴヌクレオチド配列を有する。
【0145】
次に、工程308aにおいて、それぞれのタイプが複数のタイプの局在化剤のうちの1つのみに相補的である配列を有する第4のオリゴヌクレオチドを有する、1つ又は複数の異なるタイプの標識化剤の群を、サンプルに接触させる。それぞれの異なるタイプの標識化剤は、その相補的な局在化剤とハイブリダイズし、光学標識を有する。工程310aにおいて、標識化剤の異なる光学標識のそれぞれからの寄与を示す、サンプルの画像が取得される。相補的な局在化剤へのハイブリダイゼーションを利用した標識化剤の局在化に起因して、それぞれのタイプの標識化剤の光学標識は、サンプル中の標的検体のうちの異なる1つの存在を示す。
【0146】
工程308a及び310aは、標識化剤のP個の異なる群について、P回繰り返される(工程308p及び310pとして、式中、p=a…P)。いくつかの実施形態において、例えば、標識化剤のそれぞれの群Pは、単一の標識化剤のみを含む。ある特定の実施形態において、標識化剤のそれぞれの群Pは、1つを上回る(例えば、2個、3個、4個、5個、6個、8個、10個、又は更には10個を上回る)標識化剤を含み、これらのそれぞれは、工程310pにおいて取得される画像において検出される。それぞれの工程310pにおいて検出される標識化剤の数は、同じであっても異なってもよいことに留意されたい。
【0147】
すべての標識化剤がサンプルに導入され、すべてのサンプル画像が取得された後、図3に示される手順は、終了する。
【0148】
オリゴヌクレオチド
オリゴヌクレオチドは、複数のヌクレオチド(例えば、そのうちの少なくともいくつかが、接続されて、鎖が形成されてもよい)を含む、分子である。本明細書に記載されるオリゴヌクレオチドは、リボ核酸を含み得る。本明細書に記載されるオリゴヌクレオチドは、デオキシリボ核酸を含み得る。いくつかの実施形態において、オリゴヌクレオチドは、ユーザが指定した配列を含め、任意の配列であり得る。
【0149】
しばしば、オリゴヌクレオチドは、G、A、T、及びC、又は相補的なヌクレオチドと高い信頼性で塩基対合することができる塩基から構成され得る。7-デアザ-アデニン、7-デアザ-グアニン、アデニン、グアニン、シトシン、チミン、ウラシル、2-デアザ-2-チオ-グアノシン、2-チオ-7-デアザ-グアノシン、2-チオ-アデニン、2-チオ-7-デアザ-アデニン、イソグアニン、7-デアザ-グアニン、5,6-ジヒドロウリジン、5,6-ジヒドロチミン、キサンチン、7-デアザ-キサンチン、ヒポキサンチン、7-デアザ-キサンチン、2,6ジアミノ-7-デアザプリン、5-メチル-シトシン、5-プロピニル-ウリジン、5-プロピニル-シチジン、2-チオ-チミン、又は2-チオ-ウリジンが、そのような塩基の例であるが、多数のその他のものが公知である。オリゴヌクレオチドは、例えば、LNA、PNA、UNA、又はモルホリノオリゴマーであってもよい。本明細書において使用されるオリゴヌクレオチドは、天然又は非天然のヌクレオチド又は連結を含有し得る。
【0150】
本明細書において、抗体、抗体フラグメント、又は別の検体-標的化部分は、抗体、抗体フラグメント、又は他の検体-標的化部分の少なくとも一部分が、生物学的サンプルの検体と接触し得るように、第1のオリゴヌクレオチドにコンジュゲートされて、結合剤を形成することができる。次いで第1のオリゴヌクレオチドは、第2のオリゴヌクレオチドの結合領域にハイブリダイズすることができ、第2のオリゴヌクレオチドは、生物学的サンプルへの別の分子の沈着を媒介することができる酵素にコンジュゲートされている。
【0151】
いくつかの実施形態において、第1のオリゴヌクレオチドは、複数のリボ核酸を含む。いくつかの実施形態において、第1のオリゴヌクレオチドは、複数のデオキシリボ核酸を含む。いくつかの実施形態において、第1のオリゴヌクレオチドは、1つ又は複数の合成ヌクレオチドを含み得る。合成ヌクレオチドの例としては、RNAアナログ又はDNAアナログを挙げることができる。いくつかの合成ヌクレオチドは、人工核酸を含み得、これは、ペプチド核酸、モルホリノ及びロックト核酸、グリコール酸、又はトレオース核酸を含み得る。
【0152】
第1のオリゴヌクレオチドは、特定の作業フローに適した所与の長さを有し得る。いくつかの実施形態において、より長いオリゴヌクレオチドが、選択され得る。いくつかの実施形態において、より短いオリゴヌクレオチドが、選択され得る。オリゴヌクレオチドの長さの選択に影響を及ぼす因子としては、例えば、融解温度、二次構造、親和性、特異性、選択性、費用、及び/又は可能性のある配列の組合せの数を挙げることができる。
【0153】
いくつかの実施形態において、第1のオリゴヌクレオチドは、少なくとも5個、少なくとも10個、少なくとも15個、少なくとも20個、少なくとも25個、少なくとも30個、少なくとも35個、少なくとも40個、少なくとも45個、少なくとも50個、少なくとも55個、少なくとも60個、少なくとも65個、少なくとも70個、少なくとも75個、少なくとも80個、少なくとも85個、少なくとも90個、少なくとも95個、又は少なくとも100個のヌクレオチドの長さであり得る。
【0154】
いくつかの実施形態において、第1のオリゴヌクレオチドは、5~30個、5~25個、5~20個、10~20個、10~30個、10~50個、10~70個、10~100個、20~50個、20~70個、20~100個、30~50個、30~70個、30~100個、40~70個、40~100個、50~70個、50~100個、60~70個、60~80個、60~90個、又は60~100個のヌクレオチドの長さであり得る。
【0155】
いくつかの実施形態において、第1のオリゴヌクレオチドは、5個を上回らない、10個を上回らない、15個を上回らない、20個を上回らない、25個を上回らない、30個を上回らない、35個を上回らない、40個を上回らない、45個を上回らない、50個を上回らない、55個を上回らない、60個を上回らない、65個を上回らない、70個を上回らない、75個を上回らない、80個を上回らない、85個を上回らない、90個を上回らない、95個を上回らない、又は100個を上回らないヌクレオチドの長さであり得る。
【0156】
いくつかの実施形態において、第1のオリゴヌクレオチドは、全体として一本鎖であり得る。いくつかの実施形態において、第1のオリゴヌクレオチドは、部分的に二本鎖であり得る。いくつかの実施形態において、部分的に二本鎖の領域は、ヌクレオチドの3'末端にあってもよく、ヌクレオチドの5'末端にあってもよく、又はヌクレオチドの5'末端と3'末端との間にあってもよい。いくつかの実施形態において、1つを上回る二本鎖領域が存在してもよい。いくつかの第1のオリゴヌクレオチドは、二次構造を有し得る。いくつかの第1のオリゴヌクレオチドは、二次構造を有してもよく、その結果、一本鎖のフォールディング及び/又はそれ自体に対する相補性により、一本鎖を含む1つ又は複数の二本鎖領域がもたらされ得る。
【0157】
酵素にコンジュゲートされて触媒作用剤を形成する第2のオリゴヌクレオチドは、第2のオリゴヌクレオチドの結合領域において、第1のオリゴヌクレオチドにハイブリダイズし得る。この相互作用は、塩基対合を通じて生じ得る。
【0158】
第2のオリゴヌクレオチドの結合領域は、第1のオリゴヌクレオチドの少なくとも一部分に対して少なくとも部分的に相補的であり得る。いくつかの実施形態において、結合領域は、第1のオリゴヌクレオチドの3'末端に対して相補的であり得る。いくつかの実施形態において、第1の結合領域は、第1のオリゴヌクレオチドの5'末端に対して相補的であり得る。いくつかの実施形態において、第1の結合領域は、第1のオリゴヌクレオチドの3'末端と5'末端との間の領域に対して相補的であり得る。いくつかの実施形態において、結合領域は、第1のオリゴヌクレオチド全体に対して相補的であり得る。いくつかの実施形態において、結合領域は、前述のように、第1のオリゴヌクレオチドの100%未満に対して相補的であり得る。
【0159】
いくつかの実施形態において、第2のオリゴヌクレオチドは、少なくとも5個、少なくとも10個、少なくとも15個、少なくとも20個、少なくとも25個、少なくとも30個、少なくとも35個、少なくとも40個、少なくとも45個、少なくとも50個、少なくとも55個、少なくとも60個、少なくとも65個、少なくとも70個、少なくとも75個、少なくとも80個、少なくとも85個、少なくとも90個、少なくとも95個、又は少なくとも100個のヌクレオチドの長さであり得る。
【0160】
いくつかの実施形態において、第2のオリゴヌクレオチドは、5~30個、5~25個、5~20個、10~20個、10~30個、10~50個、10~70個、10~100個、20~50個、20~70個、20~100個、30~50個、30~70個、30~100個、40~70個、40~100個、50~70個、50~100個、60~70個、60~80個、60~90個、又は60~100個のヌクレオチドの長さであり得る。
【0161】
いくつかの実施形態において、第2のオリゴヌクレオチドは、5個を上回らない、10個を上回らない、15個を上回らない、20個を上回らない、25個を上回らない、30個を上回らない、35個を上回らない、40個を上回らない、45個を上回らない、50個を上回らない、55個を上回らない、60個を上回らない、65個を上回らない、70個を上回らない、75個を上回らない、80個を上回らない、85個を上回らない、90個を上回らない、95個を上回らない、又は100個を上回らないヌクレオチドの長さであり得る。
【0162】
いくつかの実施形態において、第2のオリゴヌクレオチドは、全体として一本鎖であり得る。いくつかの実施形態において、第1のオリゴヌクレオチドは、部分的に二本鎖であり得る。いくつかの実施形態において、部分的に二本鎖の領域は、ヌクレオチドの3'末端にあってもよく、ヌクレオチドの5'末端にあってもよく、又はヌクレオチドの5'末端と3'末端との間にあってもよい。いくつかの実施形態において、1つを上回る二本鎖領域が存在してもよい。いくつかの第2のオリゴヌクレオチドは、二次構造を有し得る。いくつかの第2のオリゴヌクレオチドは、二次構造を有してもよく、その結果、一本鎖のフォールディング及び/又はそれ自体に対する相補性により、一本鎖を含む1つ又は複数の二本鎖領域がもたらされ得る。いくつかの実施形態において、第2のオリゴヌクレオチドは、1つを上回るオリゴヌクレオチドを含み得る。
【0163】
配列Skを有する第3のオリゴヌクレオチドは、酵素基質にコンジュゲートされて、TSA増幅に好適な局在化剤、例えば、前述のチラミド化合物、p-ヒドロキシケイ皮酸、又はそれらの誘導体を形成する。コンジュゲーションは、例えば、追加のリンカーオリゴヌクレオチドを介した、二次抗体若しくはナノボディを介した、又は前述の他の機序のうちのいずれかによる、間接的なものであってもよい。
【0164】
配列Sk'を有する第4のオリゴヌクレオチドは、光学標識にコンジュゲートされて、標識化剤を形成する。コンジュゲーションは、例えば、追加のリンカーオリゴヌクレオチドを介した、又は他の機序による、間接的なものであってもよい。典型的には、光学標識は、色素分子であり、蛍光性部分、発色性部分、又はより一般的には、照明光に曝露されたときに、検出可能なシグナルを生成する任意の他のタイプの部分であってもよい。
【0165】
光学標識は、蛍光性色素分子又は部分、例えば、Alexa 488、Alexa 514、Alexa 568、Alexa 547、Alexa 750、Cy3、Cy3.5、Cy5、Cy5.5、Cy7、フルオレセイン、ローダミン、テトラメチルローダミン、Texas red、クマリン、DyLight色素、Atto色素、又はその他であり得る。いくつかの実施形態において、色素分子又は部分は、1つ又は複数の量子ドットを含んでもよい。ある特定の実施形態において、色素分子又は部分は、1つ又は複数の発色性種を含んでもよい。
【0166】
第4のオリゴヌクレオチドは、第4のオリゴヌクレオチドの結合領域において、第3のオリゴヌクレオチドにハイブリダイズし得る。この相互作用は、塩基対合を通じて生じ得る。
【0167】
第4のオリゴヌクレオチドの結合領域は、第3のオリゴヌクレオチドの少なくとも一部分に対して相補的であり得る。いくつかの実施形態において、結合領域は、第3のオリゴヌクレオチドの3'末端に対して相補的であり得る。いくつかの実施形態において、結合領域は、第3のオリゴヌクレオチドの5'末端に対して相補的であり得る。いくつかの実施形態において、結合領域は、第3のオリゴヌクレオチドの3'末端と5'末端との間の領域に対して相補的であり得る。いくつかの実施形態において、結合領域は、第3のオリゴヌクレオチド全体に対して相補的であり得る。いくつかの実施形態において、結合領域は、第3のオリゴヌクレオチドの100%未満に対して相補的であり得る。
【0168】
本明細書に記載される方法において、サンプルを、配列Siを有する第1のオリゴヌクレオチドを有するオリゴヌクレオチドにコンジュゲートされた結合部分を含む1つ又は複数の結合剤と接触させる。上述のように、好適な結合部分は、サンプル中の標的検体であるタンパク質、マーカー、ペプチド、ペプチドフラグメント、及び他のアミノ酸含有種に選択的に結合する、抗体、抗体フラグメント、及び他の部分を含む。結合部分をオリゴヌクレオチドにコンジュゲートすることによって、好適な結合剤を調製するための方法は、例えば、米国特許第5,391,723号、並びにDennlerら、Antibodies 4: 197-224 (2015)及びKozlovら、Biopolymers 73:621 (2004)に記載されており、これらのそれぞれの全内容は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0169】
サンプルを、更に、配列Si'を有する第2のオリゴヌクレオチドに連結された酵素を含む、1つ又は複数の触媒作用剤と接触させる。酵素をオリゴヌクレオチドに連結させることによって、好適な触媒作用剤を調製するための方法は、例えば、van Gijlswijkら、Cytogenet. Cell Genet. 75: 258-262 (1996)に記載されており、この全内容は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0170】
サンプルを、更に、配列Skを有する第3のオリゴヌクレオチドに連結された酵素基質を含む、1つ又は複数の局在化剤と接触させる。酵素基質をオリゴヌクレオチドに連結させることによって、好適な局在化剤を調製するための方法は、例えば、Spicerら、Chem. Rev. 118(16): 7702-7743 (2018)、Winkler、Ther. Deliv. 4(7): 791-809 (2013)、及びvan Gijlswijkら、Histochemie 113(3): 175-180 (2000)に記載されており、これらのそれぞれの全内容は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0171】
サンプルを、更に、配列Sk'のオリゴヌクレオチドに連結された光学標識(例えば、蛍光性若しくは発色性部分)を含む、1つ又は複数の局在化剤と接触させる。好適な標識化剤を調製するための方法は、例えば、Woodら、「Fluorescence Labeling of Nucleic Acids」、Encylcopedia of Biophysics (2013)、Hwang、Molecules 23(1): 124 (2018)、及びTaskovaら、Bioconjugate Chem. 30(12): 3007-3012 (2019)に記載されており、これらのそれぞれの全内容は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0172】
プロセスの試薬及び条件
第1のオリゴヌクレオチドにコンジュゲートされた抗体、抗体フラグメント、又は他の検体標的化部分(結合剤)は、第1の緩衝液において、サンプルに送達され得る。第1の緩衝液は、PBS、PBS-T、TBS、TBS-T水、生理食塩水、又はKreb緩衝液を含み得、ブロッキング材料を含み得る。いくつかの実施形態において、ブロッキング材料は、BSA、カゼイン、せん断済みサケ精子DNA、他のオリゴヌクレオチド成分、ラットIgG、及び/又はマウスIgGを含み得る。
【0173】
オリゴヌクレオチドにコンジュゲートされた酵素分子(触媒作用剤)は、第2の緩衝液において、サンプルに送達され得る。いくつかの実施形態において、第2の緩衝液は、PBS、PBS-T、TBS、TBS-T水、生理食塩水、又はKreb緩衝液を含み得る。
【0174】
オリゴヌクレオチドにコンジュゲートされた酵素基質(局在化剤)及びオリゴヌクレオチドにコンジュゲートされた色素分子(標識化剤)は、第1又は第2の緩衝液において、サンプルに送達され得る。
【0175】
いくつかの実施形態において、第1の緩衝液は、第2の緩衝液と本質的に同じであってもよい。
【0176】
いくつかの実施形態において、第1のオリゴヌクレオチドにコンジュゲートされた抗体は、第2のオリゴヌクレオチドと同じ緩衝液中にあってもよく、これは、第1の代替緩衝液であり得る。いくつかの実施形態において、第1の代替緩衝液は、PBS、PBS-T、TBS、TBS-T水、生理食塩水、又はKreb緩衝液を含み得る。
【0177】
いくつかの実施形態において、サンプルは、ハイブリダイゼーションを促進する、DNA成分、タンパク質成分、5%、10%、15%、又は20%の濃度のカオトロピック試薬、及び界面活性剤溶液を含み得る、緩衝液に供される。
【0178】
いくつかの実施形態において、サンプルは、脱ハイブリダイゼーションを促進する、60%、70%、80%、又は90%の濃度のカオトロピック試薬、例えば、DMSO及びホルムアミドを含み得る、緩衝液に供される。
【0179】
オリゴヌクレオチドに連結された酵素分子(例えば、触媒作用剤)は、例えば、酵素及び抗体成分に直接的又は間接的にコンジュゲートされたオリゴヌクレオチド間の脱ハイブリダイゼーションを通じて、サンプルから除去することができる。いくつかの実施形態において、この脱ハイブリダイゼーションは、カオトロピック試薬、例えば、DMSO又はホルムアミドを使用して、行うことができる。脱ハイブリダイゼーション工程は、したがって、サンプル表面から、指向される酵素活性を除去することができ、これにより、非標的化部分からのシグナル混入を伴うことなく後続のハイブリダイゼーション及び酵素に触媒されるオリゴヌクレオチド沈着のラウンドが可能となり得る。
【0180】
オリゴヌクレオチドに連結された色素分子(例えば、標識化剤)は、例えば、色素及びTSAにより沈着されるオリゴヌクレオチド成分に直接的又は間接的にコンジュゲートされたオリゴヌクレオチド間の脱ハイブリダイゼーションを通じて、サンプル表面から除去することができる。いくつかの実施形態において、この脱ハイブリダイゼーションは、カオトロピック試薬、例えば、DMSO又はホルムアミドを使用して、行うことができる。脱ハイブリダイゼーション工程は、したがって、サンプル表面から色素を除去することができ、これにより、このラウンドの色素からのシグナル混入を伴うことなく後続の検出ラウンドが可能となり得る。
【0181】
このタイプのいくつかの好ましい実施形態において、一次抗体のうちの少なくともいくつかは、細胞のタイプ又は同一性を特定するために使用され得、一次抗体のうちの少なくともいくつかは、細胞の活性、発現、又はシグナル伝達状態を示す。
【0182】
組成物及びキット
本明細書に記載される試薬、分子、及び他の物質のうちの任意のものを組み合わせて、記載される様々な方法の1つ又は複数の工程を行う目的で生物学的サンプルに送達される組成物を形成することができる。参照により組み込まれる文書のいずれかに記載されている試薬、分子、及び他の物質もまた、組成物中に存在してもよい。
【0183】
組成物のうちのいずれかを含むキットはまた、本明細書に記載される方法工程のうちのいずれかを行うための説明書を含み得る。そのようなキットは、1つ又は複数の材料、例えば、紙、金属、及びプラスチックから形成されたハウジング又はパッケージングを含み得る。ハウジングは、1つ又は複数のチューブ状容器、例えば、バイアル、ブリスターパッケージ、及び他の密封容器を含む、様々な形態で実装され得る。説明書は、キットのハウジング内に配置されてもよく、そこに貼付されてもよく、又はそれに付随してもよい。
【0184】
イメージングシステム及び方法
広範な異なるイメージングシステムが、本明細書に記載される画像を取得するために使用され得る。ある特定の市販のシステム、例えば、Vectra Polarisシステム(Akoya Biosciences, Inc.社から入手可能)を使用することができる。使用することができるイメージングシステムの態様は、例えば、米国特許第7,155,55号、同第7,019,777号、同第9,107,624号、及びPCT特許出願公開第WO 2005/040769号に記載されており、これらのそれぞれの全内容は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0185】
本明細書に記載されるサンプルの画像を取得するために、サンプルを、イメージングシステムの光源からの照明光に曝露する。イメージングシステムの検出器(例えば、イメージング検出器、例えば、CCDアレイ)を使用して、照明光に応答してサンプルから放出される光を検出することによってサンプルの画像を取得する。放出される光は、蛍光放出、サンプルを透過した照明光、サンプルから反射した照明光、又はこれらのうちのいずれかの組合せであり得る。検出器の個々のエレメントが、放出された光を測定し、生物学的サンプルの二次元画像を形成する。放出された光は、標識化剤が位置するサンプル中の位置に対応するため、検体の位置が、標識化剤の光学標識によって示される。
【0186】
類似の方法を使用して、本明細書に記載されるサンプルに適用された対比染色剤の画像を取得する。対比染色剤は、サンプルの構造に非特異的に結合するため、対比染色剤の画像は、典型的には、特定の検体の位置を示さないが、代わりに、サンプルの構造、特徴、及び形態に関するより一般的な情報を提供する。
【実施例
【0187】
上述の方法を評価するために、5ミクロンの厚さの組織切片を、ホルマリン固定パラフィン包埋ヒト扁桃腺ブロックから切り出した。切片を、脱パラフィン処理し、水和させ、クエン酸緩衝液で抗原賦活化に供した。サンプルを、次いで、Akoya Biosciences, Inc.社(Menlo Park、CA)から入手したCD20(L20)抗体により、抗体に付属していた染色説明書に従って染色した。染色に使用したCD20抗体は、製造業者の説明書に従ってオリゴヌクレオチド(配列BX015、Akoya Biosciences, Inc.社から入手)に事前コンジュゲートさせた。
【0188】
染色した後に、組織切片を、パラホルムアルデヒド、氷冷メタノール、及びCODEX(登録商標)固定試薬(Akoya Biosciences, Inc.社から入手)に固定し、次いで、洗浄した。組織切片を、1倍CODEX(登録商標)アッセイ緩衝液(Akoya Biosciences, Inc.社から入手)中の20%ジメチルスルホキシド(DMSO)で10分間平衡処理した。
【0189】
平衡処理の後、組織切片を、西洋ワサビペルオキシダーゼ(HRP)にコンジュゲートされたオリゴヌクレオチドの20μM溶液5μLでハイブリダイズさせた。HRPにコンジュゲートされたオリゴヌクレオチドは、BX015配列に対して相補的なヌクレオチド配列を有していた。ハイブリダイゼーションの後に、組織切片を、CODEX(登録商標)アッセイ緩衝液で3回洗浄した。
【0190】
配列BX006を有するDNAオリゴヌクレオチド(Akoya Biosciences, Inc.社から入手)からなる試薬を、配列の5'末端のC10カルボキシリンカーにおいてチラミン部分とコンジュゲートさせた。組織サンプルを、次いで、1倍CODEX(登録商標)緩衝液中の試薬と接触させて、10分間反応させた。
【0191】
反応の後に、HRPにコンジュゲートされたオリゴヌクレオチドを、Akoya Biosciences, Inc.社から、例えば、インターネットアドレスwww.akoyabio.com/support/reagents/において入手可能なCODEX(登録商標)のユーザマニュアルに記載されているCODEX(登録商標)クリア組織プロトコールに従って、組織切片から脱ハイブリダイズさせた。
【0192】
イメージングの準備において、組織切片を、CODEX(登録商標)ハイブリダイゼーション緩衝液において、CODEX(登録商標)レポーター試薬Cy5-RX006(Akoya Biosciences, Inc.社から入手可能)とともにインキュベートした。組織切片を、Keyence顕微鏡を使用してイメージングした。
【0193】
図4は、組織切片の画像を示す。組織切片内で、明るい領域はCD20が局在化したチラミンにコンジュゲートされたオリゴヌクレオチド配列(すなわち、BX006配列)に対応する。
【0194】
イメージングした後に、レポーター試薬を、CODEX(登録商標)クリア組織プロトコールを使用して、組織切片から脱ハイブリダイズさせた。レポーター試薬を除去した組織切片の別の画像は、図5に示されている。この画像は、CD20が局在化したチラミンにコンジュゲートされたオリゴヌクレオチド配列に対応するシグナル強度の不在を例示し、脱ハイブリダイゼーション中のレポーター試薬のほぼ完全な除去を示唆する。
【0195】
他の実施形態
本開示のある特定の実施形態が本明細書に示され、説明されているが、そのような実施形態が単なる例示として提供されていることは、当業者には明らかであろう。多数の変化形、変更、及び代替形態が、当業者には明らかであろう。本明細書に具体的に記載されている実施形態に対する様々な代替形態が、本開示の範囲内に含まれることを理解されたい。
【符号の説明】
【0196】
101 検体
102 サンプル
104 結合部分
106 第1のオリゴヌクレオチド
108 第2のオリゴヌクレオチド
110 酵素
112 基質
114 第3のオリゴヌクレオチド
116 第4のオリゴヌクレオチド
118 光学標識
120 照明光
図1A
図1B
図1C
図1D
図2A
図2B
図2C
図2D
図3
図4
図5
【国際調査報告】