(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-12-02
(54)【発明の名称】検出器アレイ及び分光計システム
(51)【国際特許分類】
G01J 3/02 20060101AFI20221125BHJP
G01J 3/36 20060101ALI20221125BHJP
G01J 1/02 20060101ALI20221125BHJP
【FI】
G01J3/02 S
G01J3/36
G01J1/02 Q
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022520414
(86)(22)【出願日】2020-09-30
(85)【翻訳文提出日】2022-05-31
(86)【国際出願番号】 EP2020077329
(87)【国際公開番号】W WO2021064003
(87)【国際公開日】2021-04-08
(32)【優先日】2019-10-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】517267802
【氏名又は名称】トリナミクス ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】100100354
【氏名又は名称】江藤 聡明
(74)【代理人】
【識別番号】100167106
【氏名又は名称】倉脇 明子
(74)【代理人】
【識別番号】100194135
【氏名又は名称】山口 修
(74)【代理人】
【識別番号】100206069
【氏名又は名称】稲垣 謙司
(74)【代理人】
【識別番号】100185915
【氏名又は名称】長山 弘典
(72)【発明者】
【氏名】ファローフ,ゼバスティアン
(72)【発明者】
【氏名】ヘルメス,ヴィルフリート
(72)【発明者】
【氏名】ルンゲンシュミート,クリストフ
(72)【発明者】
【氏名】ブリル,ヨッヒェン
(72)【発明者】
【氏名】グスト,ロベルト
(72)【発明者】
【氏名】ゼント,ロベルト
(72)【発明者】
【氏名】フォイアーシュタイン,ベルトラム
(72)【発明者】
【氏名】クリュー,シュテファン
【テーマコード(参考)】
2G020
2G065
【Fターム(参考)】
2G020AA03
2G020CB02
2G020CC23
2G020CC28
2G020CC49
2G020CC63
2G020CD06
2G020CD24
2G020CD36
2G065AA13
2G065AB02
2G065BA02
2G065BA32
2G065BA33
2G065BB13
2G065BB27
2G065DA08
(57)【要約】
検出器アレイ(112)、検出器アレイ(112)を備えた分光計システム(110)、及び分光計システム(110)の様々な用途が開示される。分光計システムは、特に赤外スペクトル領域、特に近赤外スペクトル領域及び中赤外スペクトル領域において、様々な調査又は監視目的のために採用されることができる。
ここで、検出器アレイ(112)は、基板(212)と;前記基板(212)の表面に適用された複数の検出器ピクセル(144)であって、各検出器ピクセル(144)は、入射光(114)の区画を受けるように割り当てられたセンサ領域(214)を有する検出器ピクセル(144)と、を有し、各検出器ピクセル(144)は、前記検出器ピクセル(144)の前記センサ領域によって受け取られた前記入射光(114)の区画の強度に応じたセンサ信号を生成するように割り当てられ、少なくとも2つの隣接する検出器ピクセル(144)が、共通電位(316)への単一の接続を共有し、前記検出器ピクセル(144)の少なくとも2つの前記センサ領域が、対応するセンサ領域(214)のエリア(220)によって互いに関して異なっている。
【選択図】
図3A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
- 基板(212)と;
- 前記基板(212)の表面に適用された複数の検出器ピクセル(144)であって、各検出器ピクセル(144)が、入射光(114)の区画を受けるように割り当てられたセンサ領域(214)を有する検出器ピクセル(144)と、を有し、
各検出器ピクセル(144)は、前記検出器ピクセル(144)の前記センサ領域によって受け取られた前記入射光(144)の前記区画の強度に応じたセンサ信号を生成するように割り当てられ、少なくとも2つの隣接する前記検出器ピクセル(144)は共通電位(316)への単一の接続を共有し、
前記検出器ピクセル(144)の少なくとも2つの前記センサ領域は、対応するセンサ領域(214)のエリア(220)によって互いに関して異なっている、検出器アレイ(112)。
【請求項2】
前記検出器ピクセル(144)は前記基板(212)上に単一ラインで配置され、それによって、前記検出器アレイ(112)内の前記検出器ピクセル(144)の配列の配向ライン(222)を特定する、請求項1に記載の検出器アレイ(112)。
【請求項3】
それぞれの前記センサ領域(214)の前記エリア(220)は、第1方向及び第2方向に整列され、前記第1方向は、前記検出器アレイ(112)内の前記検出器ピクセル(144)の配置の前記配向ライン(222)に平行であり、前記第2方向は、前記検出器アレイ(112)内の前記検出器ピクセル(144)の配置の前記配向ライン(222)に垂直である、請求項2に記載の検出器アレイ(112)。
【請求項4】
前記検出器ピクセル(144)の少なくとも2つの前記センサ領域(214)は、前記第1方向及び前記第2方向の少なくとも1つにおける拡張によって互いに関して異なっている、請求項3に記載の検出器アレイ(112)。
【請求項5】
前記検出器ピクセル(144)の少なくとも2つは、前記検出器ピクセル(144)間の距離、及び前記基板(212)のそれぞれのセクション上の前記検出器ピクセル(144)の密度のうちの少なくとも1つによって互いに関してさらに異なる、請求項1~4のいずれか1項に記載の検出器アレイ(112)。
【請求項6】
前記共通電位(316)は、前記検出器アレイ(112)の同じ表面上に配置された同じ極性を有する検出器ピクセル(144)の電極を相互接続する、請求項1~5のいずれか1項に記載の検出器アレイ(112)。
【請求項7】
第1の数の前記検出器ピクセル(144)及び第2の数の前記検出器ピクセル(144)は、第1共通電位及び第2共通電位によって個別に相互接続されている、請求項1~6のいずれか1項に記載の検出器アレイ(112)。
【請求項8】
前記センサ領域(214)は、感光材料を含む、請求項1~7のいずれか1項に記載の検出器アレイ(112)。
【請求項9】
前記感光材料は、光導電性材料であり、前記検出器ピクセル(114)の前記エリア(220)は、前記検出器ピクセル(114)の電気抵抗率を規定し、前記検出器ピクセル(144)の少なくとも2つの前記エリア(220)は、前記センサ領域(214)の電気抵抗率を整合させるように調整される、請求項8に記載の検出器アレイ(112)。
【請求項10】
前記検出器ピクセル(144)の少なくとも2つの前記エリア(220)は、前記少なくとも2つの検出器ピクセル(144)内で同じ電気抵抗率を確保するように調整される、請求項9に記載の検出器アレイ(112)。
【請求項11】
- 入射光(114)を、前記入射光(114)の複数の区画を含むスペクトルに分離するように割り当てられた波長選択フィルタと;
- 請求項1~10のいずれか1項による検出器アレイ(112)と;
- 前記検出器アレイ(112)によって提供されるセンサ信号を評価することにより、スペクトルに関する情報を決定するように割り当てられた評価ユニット(150)と、
を備える、分光計システム(110)。
【請求項12】
検出器ピクセル(144)の少なくとも1つのエリア(220)は、前記波長選択フィルタを通過した後に前記検出器ピクセル(144)の対応するセンサ領域(214)に入射する入射光(114)の区画のスペクトル特性に調整される、請求項11に記載の分光計システム(110)。
【請求項13】
前記スペクトル特性は、前記入射光(114)のスペクトル内のピークの幅、前記波長選択フィルタの帯域幅、スペクトルを生成する物体(116)を照射する照射源(154)の発光スペクトルの変化、のうちの少なくとも1つから選択される、請求項12に記載の分光計システム(110)。
【請求項14】
前記検出器ピクセル(144)の少なくとも1つの前記エリア(220)は、前記波長選択フィルタ通過後の前記入射光(114)の帯域幅の変化に調整される、請求項13に記載の分光計システム(110)。
【請求項15】
前記検出器ピクセル(144)の少なくとも1つの前記エリア(220)は、前記検出器ピクセル(144)の少なくとも1つによって提供される前記センサ信号が、前記ピークの強度に対応することを確実にするように、前記ピークの幅に調整される、請求項13又は14に記載のシステム(110)。
【請求項16】
前記評価ユニット(150)は、2つの前記検出器ピクセル(144)のセンサ信号を評価することによって、2つの異なるピークの強度の間の関係を決定するように割り当てられる、請求項15に記載の分光計システム(110)。
【請求項17】
使用目的が:赤外線検出用途;分光法用途;排ガス監視用途;燃焼プロセス監視用途;汚染監視用途;工業プロセス監視用途;撹拌混合又は混合プロセス用途;化学プロセス監視用途;食品処理プロセス監視用途;食品調製プロセス監視;水質監視用途;大気品質監視用途;品質管理用途;温度制御用途;動作制御用途;排気制御用途;ガス感知用途;ガス分析用途;動作感知用途;化学感知用途;モバイル用途;医療用途;モバイル分光法用途;食品分析用途;土壌、サイレージ、飼料、作物又は農産物の特性評価、植物の健康状態の監視などの農業用途;プラスチックの識別及び/又はリサイクル用途、からなる群から選択される、分光計システム(110)を参照する請求項1~16のいずれか1項による分光計システム(110)の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、検出器アレイと、該検出器アレイを備えた分光器システム、ならびに該分光器システムの種々の用途に関するものである。本分光器システムは、一般に、特に赤外線(IR)スペクトル領域、特に近赤外線(NIR)スペクトル領域及び中赤外線(MidIR)スペクトル領域のうちの少なくとも1つのスペクトル領域において、様々な調査又はモニタリングのために採用されることができる。しかし、他の種類のアプリケーションも実現可能である。
【背景技術】
【0002】
IRスペクトル領域のための既知の分光計システムは、典型的には、透過及び/又は反射分光のために構成され得る。この目的のために、分光計装置は、入射光を構成波長信号のスペクトルに分離するように構成された線形可変フィルタ要素などの少なくとも1つの波長選択要素、プリズム、格子などを含んでよい。これらの波長信号のそれぞれの強度は、少なくとも1つのピクセル化光検出器及び/又は少なくとも1つの格子及び単一のピクセル光検出器とも呼ばれる少なくとも1つの単一のピクセル検出器を採用することによって決定されることができる。格子と単一ピクセル検出器を使用する場合、格子の位置は、1つのみの波長又は狭い分布を有する波長範囲のみが単一ピクセル検出器に衝突するように、格子の位置は徐々に変化され得る。具体的には、分光計装置は、吸収分光法用に構成されていてよく、また例えば、少なくとも1つのフーリエ変換赤外分光(FTIR)分光光度計を含んでいてもよい。本明細書では、分光計装置は、少なくとも1つの広帯域光源及びマイケルソン干渉計のような少なくとも1つの干渉計を含んでいてよい。FTIR分光光度計は、時間依存スペクトルを有する少なくとも1つの光ビームで物体を照射するように構成されていてよい。FTIR分光光度計は、少なくとも1つの可動ミラー要素を含んでいてよく、そこでは、ミラー要素の移動によって、広帯域光源によって生成された光ビームが干渉計によって交互に遮断及び透過される。分光計装置は、さらに、ミラー要素を制御するように構成された少なくとも1つのMicro Electro Mechanical System(MEMS)を含んでいてよい。FTIR分光光度計は、異なる波長が異なるレートで変調されるように、波長に応じて光ビームを変調するように構成されていてよい。FTIR分光光度計は、物体を通過した光ビームの吸収スペクトルを検出するように構成された少なくとも1つの固定検出器を含んでいてよい。この目的のために、FTIR分光光度計は、少なくとも1つの単一ピクセル光検出器を含んでいてよい。
【0003】
代替案として、分光計システムは、少なくとも1つの波長選択フィルタ、少なくとも1つの検出器アレイ、及び少なくとも1つの評価ユニットの組み合わせを含み得る。ここで、波長選択フィルタは、入射光を、入射光の複数の波長分解区画を含むスペクトルに分離するように割り当てられてよく、一方、検出器アレイは、複数の検出器ピクセルを含み、各検出器ピクセルは、入射光の区画を受け取るように適合されてよく、各検出器ピクセルは、対応するセンサ領域に衝突する入射光の区画の強度に応じてセンサ信号を生成するように割り当てられてもよく、一方、評価ユニットは、検出器アレイから提供されるセンサ信号の評価によりスペクトルと関連する情報を決定するように割り当てられてよい。
【0004】
US2014/131578A1は、サンプルに光を向ける照射源と、該サンプルと相互作用する光を第1焦点比で取得し、該光を第1焦点比より低い第2焦点比で線形可変フィルタ(LVF)に送達するテーパーライトパイプ(TLP)とを開示している。好ましくは、TLPは、一端がレンズ化され、段付き内壁を備えた保護ブーツに埋め込まれている。さらに、TLPとLVFの間のギャップは、解像度と堅牢性をさらに向上させるために、最小化されている。ここで強調されるのは、ここに開示されたTLPは、「光集光装置」という用語で表すこともでき、光集光装置は、捕捉された光を広げ、及び、捕捉された光の角拡散を低減するために逆方向に操作され、光集光装置は、円錐形状を含んでいることである。
【0005】
WO2014/198629A1は、少なくとも1つの縦方向光センサを含む少なくとも1つの物体の位置を決定するための検出器を開示し、光センサは物体から検出器に向かって進む光ビームを検出するように適合されている。ここで、縦方向光センサは、ピクセルの少なくとも1つのマトリックスと、少なくとも1つの評価ユニットとを有し、該評価ユニットは、光ビームによって照射された光センサのピクセル数Nを決定するように適合されており、該評価ユニットは、光ビームによって照射されたピクセル数Nを用いることによって物体の少なくとも1つの縦方向座標を決定するようにさらに適合されている。
【0006】
WO2019/115594A1、WO2019/115595A1、及びWO2019/115596A1はそれぞれ、物体から入射光を受け取り、該入射光を可変長フィルタに転送するように設計された光学要素を含む分光計装置を開示しており、これらの文書は、光学要素に関する様々な実施形態と;入射光を構成波長信号のスペクトルに分離するように割り当てられた可変長フィルタと;複数の検出器ピクセルを有する検出器アレイとによって異なっており、ここで、各検出器ピクセルは、構成波長信号の1つの少なくとも一部を受け取るように適合されており、該構成波長信号のそれぞれは、各構成波長の強度に関連している。特定の実施形態では、モノクロカメラ要素、好ましくはモノクロカメラチップが、検出器ピクセルに使用されてよく、該モノクロカメラ要素は、特に、一連の光センサに沿って変化する波長に従って、各ピクセルセンサに対して異なって選択されてよい。
【0007】
したがって、既知の検出器アレイは、一般に、同一の拡張部を有する同一種類の複数の検出器ピクセルを含み、少なくとも1つのライン内で互いに対して等距離に配置される。例として、US2014/131578A1は、50μmのピクセルピッチを有するそのようなInGaAsリニアダイオードアレイを開示しており、ここで、検出器アレイは、スペクトル分解能を高めるために200μm未満のギャップによって分離されてLVFを形成し、該ギャップは、LVF上の単一の線が検出器アレイ上にピクセル幅の線を形成することを保証している。この実施形態の結果、ピクセルのアレイは、高解像度スペクトルを記録及び生成するために設計されており、該スペクトル内の多数のピークは、この目的のために構成されたコンピュータプログラムを使用して積分を形成することによってそれぞれ決定されることができる。
【0008】
しかし、多くの場合、高解像度のスペクトルを記録及び生成する必要はない。それでも、高分解能アレイとそれを取り巻く電子機器はコストがかかり、コンピュータのプログラムはさらに複雑さを与える。
【0009】
US9,696,205B2は、第1方向と第1方向に垂直な第2方向に2次元的に配列された複数のピクセルを含み、ピクセルのそれぞれは光の波長に対する応答性を有する受光層を含む、アレイ型受光装置を開示している。第2方向に配列されたピクセルは、第2方向に延びる複数のピクセルラインを構成し、複数のピクセルラインは、第1方向に配列されてアレイを形成する。ピクセルラインのそれぞれのピクセルは、互いに異なるピクセルエリアを有する。さらに、ピクセルラインの少なくとも1つに含まれるピクセルのそれぞれのピクセルエリアは、ピクセルのそれぞれによって受けられる光の波長に対する応答性に応じて決定される。
【0010】
US8,314,866B2は、複数のマイクロピクセルを含むカラーピクセルアレイを開示している。各マイクロピクセルは、感光要素と、感光要素に到達する前に入射光をフィルタリングするための、感光要素と光学的に整合されたカラーフィルタとを含む。マイクロピクセルは、カラーピクセルアレイ内で、それぞれが三角形の形状を有する三角形マクロピクセルの繰り返しパターンに編成されている。
【0011】
US2017/0241838A1は、信号を検出するために接続された検出器を使用する、スペクトル情報を位置情報に変換するための装置のための光学フィルタ要素を開示している。この要素は、少なくとも2つの微小共振器を有し、該微小共振器のそれぞれは高屈折率を有する材料層と低屈折率を有する材料層との交互のシーケンスの少なくとも2つの重ね合わせられた反射層構造と、該2つの重ね合わせられた反射層構造の間に配置された少なくとも1つの重ね合わせられた共振層とを含む。フィルタ要素は、前記2つの微小共振器を光学的に分離するための少なくとも1つの透明な平面平行基板を備え;第1微小共振器は前記基板の2つの対向面のうちの第1表面上に配置され、第2微小共振器は前記基板上の、前記第1表面の反対に位置する第2表面上に配置されている。少なくとも1つの微小共振器の共振層、及び/又は、前記共振層を囲む反射層構造は、前記フィルタ要素の水平軸に沿って変化し得る層厚を有する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
したがって、本発明によって対処される問題は、特に、IRスペクトル領域、特にNIR及びMidIRスペクトル領域に適しており、既知の検出器アレイ及び分光計システムの欠点を少なくとも部分的に回避する、検出器アレイ及び分光計システムを提供することである。
【0013】
特に、できるだけ少ない検出器アレイを取り囲む電子機器と、単純なこの目的のために構成されたコンピュータプログラムとによって、スペクトルに関する情報の決定を可能にする、単純で、コスト効率が良く、なおかつ信頼できる検出器アレイ、及びそのような検出器アレイを有する関連する分光計システムが望まれるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0014】
この問題は、独立特許請求項の特徴を備えた本発明によって解決される。個別に又は組み合わせて実現されることができる本発明の有利な展開は、従属請求項及び/又は以下の明細書及び詳細な実施形態に示されている。
【0015】
本明細書で使用される場合、「有する」、「備える」、及び「含む」という用語、ならびにそれらの文法上の変形は、非排他的な方法で使用される。したがって、「AはBを有する」という表現、ならびに「AはBを備える」、又は「AはBを含む」という表現は、B以外に、Aは1つ以上のさらなる成分及び/又は構成要素を含むという事実、及びB以外に、他の成分及び/又は構成要素がAに存在しない場合の両方を指し得る。
本発明の第1の態様において、検出器アレイが開示されている。ここで、検出器アレイは:
- 基板と;
- 前記基板の表面に適用された複数の検出器ピクセルであって、各検出器ピクセルが、入射光の区画を受けるように割り当てられたセンサ領域を有する検出器ピクセルと、を有し、
各検出器ピクセルは、前記検出器ピクセルの前記センサ領域によって受け取られた前記入射光の前記区画の強度に応じたセンサ信号を生成するように割り当てられ、少なくとも2つの隣接する検出器ピクセルは共通電位への単一の接続を共有し、
前記検出器ピクセルの前記少なくとも2つの前記センサ領域は、対応するセンサ領域のエリアによって互いに関して異なっている。
【0016】
本発明は、特に、物体に関連し得るスペクトルに関する情報を決定するために採用されることができる。「物体」は、一般的に、生物及び非生物から選ばれる任意の物体であってよい。したがって、一例として、少なくとも1つの物体は、1つ以上の物品及び/又は物品の1つ以上の部分を含むことができ、該少なくとも1つの物品又はその少なくとも1つの部分は、調査に適したスペクトルを提供し得る少なくとも1つの構成要素を含み得る。追加的又は代替的に、物体は、1つ以上の生物及び/又はその1つ以上の部分、例えば、人間、例えばユーザー、及び/又は動物の1つ以上の体の部分であってもよいし、それらを含んでいてもよい。
【0017】
本明細書で使用される場合、「光」という用語は、通常「光スペクトル範囲」と呼ばれ、可視スペクトル範囲、紫外スペクトル範囲、及び赤外スペクトル範囲のうちの1つ以上を含む電磁放射の区画を一般的に指す。本明細書において、「紫外スペクトル範囲」という用語は、一般的に、波長が1nm~380nm、好ましくは100nm~380nmの波長を有する電磁放射を指す。さらに、この文書の日付で有効なバージョンのISO-21348規格に部分的に準拠して、「可視スペクトル範囲」という用語は、一般的に、380nm~760nmのスペクトル範囲を指す。「赤外スペクトル範囲」又は「IR」という用語は、一般的に、760nm~1000μmの電磁放射を指し、そのうち、760nm~1.5μmの範囲は通常「近赤外スペクトル範囲」又は「NIR」と称され、一方、1.5μm~15μmの範囲は「中赤外スペクトル範囲」又は「MidIR」と称され、15μm~1000μmの範囲は「遠赤外スペクトル範囲」又は「FIR」と称される。好ましくは、本発明の目的のために使用される光は、IRスペクトル範囲の光であり、より好ましくは、NIR及びMidIRスペクトル範囲の少なくとも1つ、特に1μm~5μm、好ましくは1μm~3μmの波長を有する光である。
【0018】
物体から出る光は、物体自体から発生することもできるが、任意で別の原点を有し、この原点から物体まで伝播し、続いて検出器アレイに向かって伝播することもできる。後者の場合、特に、使用される少なくとも1つの照射源によって影響を受ける可能性がある。したがって、物体から検出器アレイに伝播する光は、物体及び/又は物体に接続された反射装置によって反射され得る光であってよい。代替的に又は追加的に、光は、少なくとも部分的に物体を透過することができる。照射源は、様々な方法で具現化されることができる。したがって、照射源は、例えば、ハウジング内の分光計システムの一部であり得る。しかし、代替的に又は追加的に、少なくとも1つの照射源は、ハウジングの外側に、例えば別個の光源として配置されることもできる。照射源は、物体とは離れて配置され、物体を離れた場所から照射することができる。上に示したように、照射源は、代替的に又は追加的に、物体に接続することもでき、又は物体の一部とすることもでき、その結果、例えば、物体から発生する電磁放射は、照射源によって直接生成されることができる。例として、少なくとも1つの照射源は、物体上及び/又は物体内に配置され、電磁放射を直接発生させることができる。
【0019】
照射光源は、好ましくは、IRスペクトル範囲、特にNIR又はMidIRスペクトル範囲の少なくとも1つで十分な放射を提供することが知られている一種の光源、特に、熱放射源を含んでいてよい。本明細書で使用される場合、「熱放射源」という用語は、特に可視スペクトル範囲及びIRスペクトル範囲の少なくとも区画で、熱プロセスにおいて放射放出要素によって光を放出するように構成された光源を指す。特に、熱放射源は、白熱灯又は熱赤外線エミッタから選択されてよい。一般に使用されるように、「白熱灯」、「白熱電球」又は「白熱灯グローブ」という用語は、特にガラス又は溶融石英の電球によって閉じ込められた容積を有する装置に関し、そこでは、ワイヤフィラメント(具体的にはタングステンを含み得る)が、好ましくは不活性ガスで充填された、又は真空を含む、該容積内に放射線放出要素として配置され、そこで監視される放射線を放出する。さらに一般に使用されるように、「熱赤外線エミッタ」という用語は、放射線放出要素として放射線放出面含むマイクロ機械加工された熱放射装置を指す。例えば熱赤外線エミッタは、Axetris AG,Schwarzen-bergstrasse 10,CH-6056Kaegiswil,Switzerlandから、「emirs 50」という名称で、又はLASER COMPONENTS GmbH,Werner-von-Siemens-Str.15 82140 Olching,ドイツから「熱赤外線エミッタ」として、又はHawkeye Technologies,181 Research Drive #8,Milford CT 06460,米国から「赤外線エミッタ」として入手することができる。しかしながら、他の種類の熱赤外エミッタも可能である。
【0020】
代替的に又は追加的に、照射源は、以下の照射源のうちの少なくとも1つから選択されてもよい:火炎源;熱源;レーザ、特にレーザダイオード(ただし、さらなる種類のレーザも使用可能);発光ダイオード;有機光源、特に有機発光ダイオード;ネオン光;構造化光源。代替的又は追加的に、他の照射源も使用され得る。ここで、物体及び/又は照射源によって放射される光が、特に、それぞれの照射源によって照射され得る検出器アレイが、高強度を有するセンサ信号を提供することができ、したがって十分な信号対ノイズ比を有するセンサ信号の評価を可能にすることを確実するような方式で、検出器アレイのスペクトル感度に密接に関連し得るスペクトル範囲を示すことが特に好ましい。
【0021】
一般的に使用されるように、「スペクトル」という用語は、光学スペクトル範囲、具体的に、IRスペクトル範囲、特にNIR又はMidIRスペクトル範囲の少なくとも1つの区画を指す。ここで、スペクトルの各部分は、信号波長によって定義される光信号と対応する信号強度によって構成される。したがって、「分光計システム」という用語は、スペクトルの対応する波長又は波長間隔などのその区画に関する信号強度を記録することができる装置に関し、該信号強度は、好ましくは、さらなる評価に使用できる電気信号として提供され得る。以下により詳細に説明するように、本発明による分光計システムでは、波長選択フィルタ、特に可変長フィルタ、具体的には線形可変フィルタを有し、これは、入射光を、それぞれの強度が、以下でより詳細に説明するように、検出器アレイを採用することによって決定される複数の波長分解区画を含むスペクトルに分離するように割り当てられている。さらに、物体からの入射光を受光し、その入射光を波長選択フィルタに伝達するように設計された光学要素が適用され得る。さらに、分光計システムは、本明細書に開示される検出器アレイによって提供されるセンサ信号を評価することによってスペクトルに関する情報を決定するために割り当てられる評価ユニットを含んでいる。
【0022】
本発明よれば、検出器アレイは、本明細書において「検出器ピクセル」という用語で示される複数の画像化要素を含む。一般的に使用されるように、「検出器アレイ」という用語は、少なくとも基板を含むピクセルセンサを指し、該複数の個別の検出器ピクセルは、基板の表面、例えば基板の前面及び/又は裏面に適用される。ここで、「前面」という用語は、基板のそれぞれの表面が、入射光の方向、具体的には、より詳細に後述するように波長選択フィルタの方向に向いていることを表す。同様に、「裏面」という用語は、基板のそれぞれの表面が、入射光の方向から離れる方向に向いていることを表す。以下でより詳細に説明するように、検出器アレイは、さらに、個別の検出器ピクセルに衝突する入射光の強度に関連するセンサ信号を生成するように設計され得る追加の要素、例えば、センサ領域の境界に取り付けられた異なる極性の電極と、電極から、検出器ピクセルによって提供されるセンサ信号を評価することによって情報を決定するように割り当てられる評価ユニットへの導線などを含んでいてよい。
【0023】
一般的に使用されているように、「基板」という表現は、検出器アレイに機械的安定性を提供する担体要素を指す。本明細書では、基板は、複数の検出器ピクセルが基板の裏面に適用される場合は透明基板、又は、特に基板の表面からの光の反射を最小限に抑えるために非透明な吸収性基板であってよい。一例として、基板は、スライド及び/又は箔のような板状の基板であってよい。基板は、一般に、300μm、好ましくは500μmの厚さから1.5mm、好ましくは1mmの厚さを有していてもよい。しかしながら、他の厚さが可能である。
【0024】
好ましくは、複数の検出器ピクセルは、波長選択フィルタの長さに沿って一次元マトリックスとして一列に直列に配置されてよく、又は代替の実施形態では、1以上のライン、特に2本、3本又は4本の平行ラインとして、特に2次元マトリックスの形態に配置されてよい。したがって、一方向のピクセル数Nは、さらなる方向のピクセル数Mと比較して高くてよく、したがって、一次元の1×Nマトリックス又は長方形の二次元のM×Nマトリックスが得られ、ここで、Mは少なくとも1好ましくは4以下、最も好ましくは1又は2であり、Nは2好ましくは10より好ましくは50から、5000好ましくは1000より好ましい600までの数である。
【0025】
入射光の区画を受け取るために、各検出器ピクセルはセンサ領域を有する。一般的に使用されるように、「センサ領域」という用語は、入射光の区画を受け取ると、所望のセンサ信号の生成に使用され得る電荷を生成するように割り当てられた感光材料を含む感光領域を指す。本明細書では、検出器ピクセルの材料は、この目的に使用することができる任意の既知の材料から選択することができる。特に、例えばピクセル化無機カメラチップ、特にCCDチップ又はCMOSチップなどのピクセル化無機カメラ要素に一般的に使用される、好ましくはシリコン又はGaAsから選択される半導体材料が適用可能である。好ましい代替として、以下により詳細に説明するように、PbS、PbSe、Ge、InGaAs、拡張InGaAs、InSb、又はHgCdTeの少なくとも1つから好ましくは選択される光導電性材料が使用されてもよい。さらなる代替案として、ピクセル化有機カメラチップなどのピクセル化有機カメラ要素から知られているような有機半導体が使用されてもよい。さらなる代替として、センサ領域は、焦電、ボロメータ又はサーモパイル検出器要素の少なくとも1つに使用できる材料を含むことができる。
【0026】
さらに本発明によれば、各検出器ピクセルは、対応する検出器ピクセルのセンサ領域によって受け取られた入射光の区画の強度に応じたセンサ信号を生成するように割り当てられる。この目的のために、異なる極性の少なくとも2つ、好ましくは正確に2つの電極が、センサ領域内の入射光によって生成され得る電荷を受け取るように個別の検出器ピクセルのセンサ領域の境界に取り付けられてよい。したがって、個別の検出器ピクセルは、個別の検出器ピクセルに入射する入射光の強度に関連するセンサ信号を、好ましくは電子信号の形態で生成するように設計されている。ここで、センサ信号は、アナログ信号及び/又はデジタル信号であってよい。したがって、隣接する検出器ピクセルに対するセンサ信号は、このように、同時に生成されることも、時間的に連続して生成されることもできる。例として、列走査又は行走査中に、一列に配置された一連の個別のピクセルに対応する電子信号のシーケンスを生成することが可能である。さらに、個別の検出器ピクセルは、好ましくは、能動型検出器ピクセルであってよく、ここで、「能動型」という用語は、この特定の種類の検出器ピクセルは、電子信号を外部の評価ユニットに提供する前に増幅するように適合されていることを示す。この目的のために、検出器ピクセルは、電子信号を処理及び/又は前処理するための光学フィルタ及び/又はアナログ-デジタル変換器などの少なくとも1つの信号処理装置を備え得る。
【0027】
本発明によれば、少なくとも2つの検出器ピクセルのセンサ領域、好ましくは2つ、3つ、4つ、5つ、6つ以上の検出器ピクセルのセンサ領域、より好ましくは検出器アレイ内の優勢な数の検出器ピクセルのセンサ領域、特に検出器アレイ内の全ての検出器ピクセルのセンサ領域は、対応するセンサ領域のエリアによって互いに対して異なる。一般に使用されるように、「優勢な数」という用語は、対応するセンサ領域の異なるエリアの特徴に対応する検出器アレイ内の検出器ピクセルの第1の数が、この特徴に対応しない同じ検出器アレイ内の検出器ピクセルの第2の数より多いことを示す。本明細書で使用されるように、センサ領域の少なくとも2つの領域に関して「異なる」という用語は、少なくとも2つの領域のサイズが、少なくとも10%、好ましくは少なくとも25%、より好ましくは少なくとも50%の値だけ互いに異なることを示す。
【0028】
一般的に使用されるように、センサ領域に関する「エリア」という用語は、入射光に向けられ、したがって、入射光によって衝突され得るセンサ領域の表面のサイズに関する。ここで、センサ領域のエリアは、好ましくは、三角形、四角形、又は六角形から選択することができ、正方形を含む長方形の形状が好ましい場合がある。しかし、他の種類の形状、特に四角形のさらなる種類、例えば菱形又は台形形状、あるいは不規則に形成された形状さえも可能であり得る。
【0029】
さらに、個別の検出器ピクセルのセンサ領域の境界に取り付けられた少なくとも2つの、好ましくは正確に2つの異なる極性の電極は、したがって、センサ領域の実際のサイズ及び形状に調整され得るサイズ及び形状を示すことができる。以下により詳細に説明するように、電極の拡張は、それが取り付けられるそれぞれのセンサ領域の対応する拡張に応じて変化してよい。
【0030】
特に、検出器ピクセルが基板上に単一ラインで配置されてよい好ましい実施形態においては、検出器アレイ内の検出器ピクセル配列の配向ラインは、特にその配向ラインを単一ラインの方向に沿って定義することによって特定され得る。配向ラインの例示的な実施形態は、以下に見出されることができる。したがって、この特に好ましい実施形態では、各センサ領域のエリアは、第1方向及び第2方向に整列されることができ、第1方向は、好ましくは、検出器ピクセルの配向ラインに平行になるように選択することができ、一方、第2方向は、好ましくは、検出器ピクセルの配向ラインに垂直になるように選択することができる。 本明細書で使用される場合、「垂直」という用語は、配向ラインに対して、90°±5°、好ましくは90°±1°、好ましくは90°±0.1°の角度を指す。同様に、「平行」という用語は、配向ラインに対して、0°±5°、好ましくは0°±1°、好ましくは0°±0.1°の角度に関する。
【0031】
この特に好ましい実施形態では、検出器ピクセルの少なくとも2つのセンサ領域は、したがって、第1方向及び第2方向の少なくとも一方における拡張によって互いに関して異なっていてよい。一例として、検出器ピクセルの少なくとも2つの拡張は、第1方向に関して異なり、一方、検出器ピクセルの少なくとも2つの拡張は、第2方向に関して同じ又は許容レベル内で類似していてよく、又はその逆もまたあり得る。この特定の実施形態の具体例は以下で見出される。
【0032】
さらに好ましい実施形態では、検出器ピクセルの少なくとも2つは、以下の少なくとも1つによって互いに関してさらに異なっていてもよい。
【0033】
- 検出器ピクセル間の距離と;
- 基板上のそれぞれのセクション上の検出器ピクセルの密度。
【0034】
一般的に使用されるように、「距離」という用語は、2つの隣接する検出器ピクセルの間の間隔に関連し、該距離は、隣接する検出器ピクセルの中心間又は代替として2つの隣接する境界間のいずれかにおいて、μm又はmmなどの線形単位で示され得る。同様に、「密度」という用語は、検出器ピクセルが配置されている基板のそれぞれのセクション内における検出器ピクセルの発生頻度を指す。この点で、一般に既知のピクセルベースの装置に使用される「ピクセルピッチ」という用語は、μm又はmmなどの線形単位で示すことができる2つの隣接する検出器ピクセルの間の距離と、1インチあたりのドット数(dpi)などのレートとして示すことができるピクセルの発生頻度の両方を指し、ここで「ドット」という用語は、「検出器ピクセル」という表現と同じである、ことは示される。しかしながら、既知のピクセルベースの装置における発生頻度は、装置全体にわたるピクセルの等しい間隔によって装置全体にわたって同じであるが、本発明による検出器アレイにおけるピクセルの発生頻度は、問題の検出器ピクセルの特定の位置に依存することは明示的に強調される。
【0035】
特に好ましい実施形態では、検出器ピクセルの少なくとも1つのエリアは、好ましくは波長選択フィルタを通過した後に検出器ピクセルの対応するセンサ領域に入射する入射光の区画のスペクトル特性に調整され得る。一般的に使用されるように、「スペクトル特性」という表現は、検出器アレイに衝突するスペクトルの特性に関する。特に、好ましくは、スペクトル特性は、入射光のスペクトル内のピークの幅、波長選択フィルタの帯域幅、スペクトルを生成する物体を照射する照射源の発光スペクトルの変化、のうちの少なくとも1つから選択され得る。例えば、検出器ピクセルのエリアは、約2000nmの波長より上で不利に減少する白熱灯によって生成され得る入射光の強度の変化に調整され得る。したがって、対応する方式でより長い波長の入射光を受け取るように設計された検出器ピクセルのエリアを増加させることは、この欠点を補償するために使用されることができる。
【0036】
この特に好ましい実施形態では、検出器ピクセルの少なくとも1つのエリアは、したがって、特に入射光が波長選択フィルタ、特に可変長フィルタ、具体的には線形可変フィルタを通過した後に、入射光の帯域幅の変化に合わせて調整されることができ、該エリアは、具体的には、ライン配向内の一連の光センサに沿って、波長選択フィルタの変化する透過率特性に応じて変化することができる。例として、波長選択フィルタは、長波長を受け取るように設計された第2端部と比較して、短波長を受け取るように設計された第1端部でより選択的であってもよい。具体的には、以下に詳細に説明する1%の分解能を有する線形可変フィルタ(LVF)は、1500nmの波長で15nmの分布に対応し、2400nmの波長で24nmの分布に対応する。しかし、他の種類の調整も可能であり得る。
【0037】
したがって、光センサの一連に使用される光センサの各々が、例えば光感度の増加変化又は減少変化に一連の光センサに沿った波長を与えることによって、波長選択フィルタの変化する透過率特性にしたがって変化し得る変化する光感度を示し得るWO2019/115596A1とは対照的に、ここで使用される検出器アレイ内の検出器ピクセルは、同じ又は許容レベル内で類似の光感度を示してよく、波長選択フィルタへの変化する透過率特性に対する調整は、本発明によるセンサ領域のエリアの変化によって依然として実現されることができる。代替的又は追加的に、検出器ピクセルの少なくとも1つのエリアは、したがって、検出器ピクセルの少なくとも1つによって提供されるセンサ信号が、ピークの強度に対応することを確実にするために、分析されるスペクトルの1つ以上のピークのピーク幅に調整されることができる。例として、特定のスペクトルは、第1波長で最大強度を有する第1の顕著なピークを示すが、さらに、第2波長で最大強度を有する第2のより顕著ではないピークを示す場合がある。この例では、第1検出器ピクセルの第1領域及び第1位置は、第1ピークの第1波長及び第1幅に調整されることができ、一方、第2検出器ピクセルの第2領域及び第2位置は、第2ピークの第2波長及び第2幅に調整されることができる。その結果、第1ピークの第1強度は、第1検出器ピクセルに関連する第1センサ信号を記録することによって決定されることができ、一方、第2ピークの第2強度は、第2検出器ピクセルに関連する第2センサ信号を記録することによって、連続的に、又は、好ましくは、同時に、決定されることができる。しかしながら、さらなる種類の実施形態及び例も考えられる。
【0038】
その特定の実施形態では、評価ユニットは、特に、2つの異なるピークの強度の間の関係を決定するように割り当てられることができ、該2つの異なるピークの強度間の関係は、2つの検出器ピクセルのセンサ信号を評価することによって、特に、適合されたソフトウェアを使用することによって、又は代替的にもしくは追加的に、アナログ電子回路を使用することによって、決定されてよい。上記の例では、第1検出器ピクセルの第1センサ信号対第2検出器ピクセルの第2センサ信号の比がこの方式で決定されてよく、それによって、第1検出器ピクセルによって記録される第1ピークの強度対第2検出器ピクセルによって記録される第2ピークの強度の比が得られ得る。しかしながら、他の実施例も可能であり得る。
【0039】
さらに特に好ましい実施形態では、検出器ピクセルのセンサ領域に使用される感光材料は、好ましくはPbS、PbSe、Ge、InGaAs、拡張InGaAs、InSb、又はHgCdTeの少なくとも1つから選択される光導電性材料であり得る。ただし、他の種類の光導電性材料もこの目的に使用されることができる。一般に使用されるように、「光導電性材料」という用語は、センサ領域で電流を維持することができ、したがって、特定の電気伝導率を示す材料を指し、該電気伝導率は、光導電性材料の照射に依存する。電気抵抗率は、電気伝導率の逆数値として定義されるため、「光導電性材料」という用語は、代替的に、同じ種類の材料を示すために使用され得る。しかし、他の感光材料とは異なり、隣接する検出器ピクセルは、それらの電極を接続して単一の検出器ピクセルを形成することによって互いに単純に接続することはできない。むしろ、センサ領域に光導電性材料を有する各検出器ピクセルのエリアは、検出器ピクセルの電気抵抗率を規定する。
【0040】
この特に好ましい実施形態では、検出器ピクセルの少なくとも2つのエリアは、したがって、検出器ピクセルの少なくとも2つの対応するセンサ領域の電気抵抗率を整合させるために、好ましくは調整されることができる。上記に示されるように、検出器ピクセルの少なくとも2つの対応するセンサ領域の電気伝導率は、等しく調整され得る。本明細書で使用される場合、「整合」という用語は、検出器ピクセルの少なくとも2つの関与するセンサ領域の、同じ又は許容レベル内で類似の電気抵抗率又は電気伝導率を実現することに関する。当業者が知っているように、センサ領域の電気抵抗率又は電気伝導率を整合させることは、センサ領域の電気抵抗率がセンサ領域のエリアの関数、特に線形関数であることがよく知られている一方で、センサ領域の電気伝導率がセンサ領域のエリアの逆関数、特に逆数関数であることがよく知られているため、好ましくは、センサ領域のそれぞれのエリアを整合させることによって実現され得る。代替的に又は追加的に、当業者であれば、実験の方式でセンサ領域の電気抵抗率又は電気伝導率を容易に決定することができる。例として、検出器ピクセルのそれぞれの領域は、以下に例示するような方法で選択され得る。その結果、同一の増幅率が、各検出器ピクセルが同一又は非常に類似した電気抵抗率及び電気伝導率を示す光導電性アレイの検出器ピクセルについて、有利に使用されることができる。
【0041】
本発明のさらに好ましい実施形態では、少なくとも2種類の接続のうちの1つが、各検出器ピクセルに所望の電流を提供するように構成された電源に検出器ピクセルを接続するために使用され得る。特に、接続の種類は、検出器ピクセルの両電極について各検出器ピクセルに対する単一の接続、又は、本明細書で使用されるように、少なくとも2つの隣接する検出器ピクセルに対して共通電位を提供することから選択されることができ、該共通電位は、検出器アレイの同じ側に配置されている同じ極性を有する検出器ピクセルの対応する電極を相互接続することができる。さらに、接続の両種類の組み合わせが可能であり得る。例として、検出器ピクセルの第1の数及び第2の数は、それぞれ、第1共通電位及び第2共通電位によって個別に相互接続されてよい。以下により詳細に説明するように、検出器アレイの一方の側に相互接続を提供する共通電位は、読み出し電子機器のために様々な利点を示し、一方、単一の電極は異なる利点、特に、各検出器ピクセルを通る電流及び各検出器ピクセルNの応答性が個別の電源を用いて個々に調整することができるということを示す。
【0042】
検出器ピクセルのためにどの種類の接続が選択されるかにかかわらず、検出器アレイは、検出器アレイによって含まれる検出器ピクセルのセンサ領域によって生成され得る複数のセンサ信号、特に電気信号の形態を提供するように適合され得る。検出器アレイの個別の検出器ピクセルによって提供されるセンサ信号は、その後、外部の評価ユニット、特に、以下でより詳細に説明するように、対応する分光計システムによって含まれ得る評価ユニットに転送され得る。ここで、「評価ユニット」という用語は、特に本明細書に記載の検出器アレイを使用して記録された物体のスペクトルに関連する情報を、決定するように割り当てられた装置を指し、該情報は、センサ信号を評価することによって得られることできる。情報は、例えば、電子的、視覚的、音響的、又はそれらの任意の組み合わせで提供され得る。さらに、情報は、分光計システムのデータ記憶装置、又は別の記憶装置に保存されてよく、及び/又は、無線インターフェース及び/又は有線インターフェースなどの少なくとも1つのインターフェースを介して提供されてもよい。
【0043】
本発明のさらなる態様では、分光計システムが開示される。したがって、分光計システムは、
- 入射光を入射光の複数の区画を含むスペクトルに分離するように割り当てられた波長選択フィルタと;
- 上記及び/又は下記により詳細に説明される検出器アレイと;
- 前記検出器アレイによって提供されるセンサ信号を評価することにより、物体のスペクトルに関する情報を決定するように割り当てられた評価ユニットと、
を備える。
【0044】
ここで、上記のような分光計システムの構成要素は、個別の構成要素であってよい。あるいは、分光計システムの構成要素の2つ以上が単一の一体化された構成要素に統合されてよい。さらに、評価ユニットは、分光計システムから独立した個別の評価ユニットとして形成されてもよいが、好ましくは、特に、検出器アレイによって生成されたセンサ信号を受け取るために、分光計システムに接続されてよい。あるいは、少なくとも1つの評価ユニットは、完全に又は部分的に、少なくとも1つの分光計システムに統合されてよい。
【0045】
このように、分光計システムは、入射光を複数の波長分解区画を含むスペクトルに分離するように割り当てられた波長選択フィルタを含む。好ましくは、波長選択フィルタは、可変長フィルタであってもよいが、他の種類の波長選択フィルタも可能である。一般に使用されるように、「可変長フィルタ」という用語は、特にフィルタの連続配置で提供され得る複数のフィルタ、好ましくは、複数の干渉フィルタを含む光フィルタを指す。ここで、フィルタのそれぞれは、フィルタ上の各空間位置の可変な中心波長を有するバンドパスを、好ましくは連続的に、可変長フィルタの受信面上の通常「長さ」という用語で示される単一の次元に沿って、形成することができる。好ましい例では、可変中心波長は、フィルタ上の空間位置の線形関数であり得、その場合、可変長フィルタは通常「線形可変フィルタ」又はその略語「LVF」で呼ばれる。しかしながら、他の種類の関数が、可変中心波長とフィルタ上の空間位置の間の関係に適用可能であり得る。ここで、波長選択フィルタは、透明基板上、特に、IRスペクトル範囲内、特にNIR又はMedIRの少なくとも1つ内で、高度の光学的透明度を示すことができる少なくとも1つの材料を含むことができる透明基板上に配置され得、これにより、フィルタの長さに沿ったフィルタの変化するスペクトル特性、特に連続的に変化するスペクトル特性が実現され得る。特に、可変長フィルタは、透明基板上に少なくとも1つの応答コーティングを担持するように適合され得るウェッジフィルタであり得、該応答コーティングは、空間的可変特性、特に空間的可変厚さを示し得る。しかしながら、他の材料を含み得る、又は、さらなる空間的可変特性を示し得る他の種類の波長選択フィルタもまた可能であり得る。入射光ビームの垂直入射角では、可変長フィルタに含まれるフィルタのそれぞれは、特定のフィルタの中心波長の一部、通常は数パーセントに達し得るバンドパス幅を有し得る。例として、1400~1700nmの波長範囲と1%のバンドパス幅を有する可変長フィルタの場合、垂直入射角でのバンドパス幅は、14nm~17nmで変動し得る。しかしながら、例えば、波長範囲にわたって1%の分解能、例えば、1500nmの波長で15nmの分布、及び、2400nmの波長で24nmの分布を生じるような他の例も可能であり得る。
【0046】
可変長フィルタのこの特定の構成の結果として、バンドパス幅によって示される許容範囲内で、フィルタ上の特定の空間位置に割り当てられている中心波長に等しい波長を有する入射光のみが、その特定空間位置で可変長フィルタを通過することができる。したがって、中心波長±1/2バンドパス幅に等しくてもよい「透過波長」が、可変長フィルタ上の各空間位置に対して定義されてよい。換言すれば、送信波長で可変長フィルタを通過することができない全ての光は、可変長フィルタの受信面によって吸収されるか、ほとんどが反射され得る。結果として、可変長フィルタは、入射光をスペクトルに分離することを可能にする可変透過率を有する。ここで、同様の考察が他の種類の波長選択フィルタに適用可能であるということを強調しておく。
【0047】
このように、波長選択フィルタ上の特定の空間位置で波長選択フィルタを通過し得る光は、その後、検出器アレイに衝突し得る。言い換えれば、検出器アレイは、好ましくは、光が最初に波長選択フィルタに衝突し、波長選択フィルタ上の特定の空間位置を通過し得る光の区画のみが、その後、検出器アレイの対応する空間位置に衝突することができるように配置され得る。その結果、波長選択フィルタは、したがって、入射光をその関連する1つ又は複数の波長によって少なくとも1つの対応する空間位置に分離するために使用され得、一方、光検出器アレイによって含まれる特定の光センサは、結果的に、その特定の波長に起因して対応する空間位置で波長選択フィルタを通過することができ、したがって、特定の波長における入射光の強度を決定するために提供された特定の光センサに衝突することができる入射光の強度を測定するために採用され得る。
【0048】
特定の実施形態において、検出器アレイは、好ましくは、透明なギャップによって可変長フィルタから分離されてよい。本明細書において、透明なギャップは、例として、2つの対向する側面を有する拡張された透明体を使用することによって得られることができ、ここで、可変長フィルタを構成し得る複数の干渉フィルタは第1側面に配置され、一方、検出器アレイを構成する一連の光センサは第1側面と対向する第2側面に配置されてよい。結果として、透明なギャップに適切な幅を選択することによって、可変長フィルタに関して検出器アレイのより正確な調整が実現され得る。
【0049】
検出器アレイのさらなる詳細に関しては、本文書の他の場所での説明を参照されたい。
【0050】
さらに好ましい実施形態において、分光計システムは、物体から入射光を受け取り、入射光を波長選択フィルタに転送するように割り当てられた光学要素をさらに含んでよい。この目的のために、光学要素は、逆方向で作動可能な光集光装置であってよく、又はそれを含んでよい。一般的に使用されるように、「光集光器」という用語は、「入射瞳」又は「入射開口」としても示される入力と、入力とは反対側に位置し、「射出瞳」又は「射出開口」という用語の1つによって示される出力と、入力と出力の間に配置された光ガイド構造とを有する非画像化光学要素を指し、そこでは、光集光器は、通常の作動方向では、大きな角拡散で光を捕捉し、捕捉した光を光ガイド構造内で集束させ、集束した光を出力で放出するように適合されている。光集光装置を逆向きに使用する場合、以前の光集光器の出力は今や入射光を受け取るための入力として機能し、逆向きの光ガイド構造は入射光を拡散するために機能し、以前の入力は今や拡散した光を放出するための出力として機能する。その結果、逆方向で作動する光集光装置は、放出された光ビームが制限された角度範囲内で波長選択フィルタに入射できるように、選択及び配置され得る。
【0051】
法線方向に作動する様々な形状の光集光装置が提示されている。集光効率が低いことが知られている円錐形状を有する光集光装置を除いて、さらなる可能な光集光装置は、「複合放物面集光器」もしくは「CPC」又は「複合楕円集光器」もしくは「CEC」と呼ばれ得る形状をとることができ、一方、さらなる形状、特に「複合双曲集光器」もしくは「CHC」は、本発明の目的にはあまり適さないことが考えられる。ここで、非円錐形状を有する逆作動型光集光装置は、完全又は部分的に光学的に透明な材料の中実体であってよく、又はそれを含んでいてもよく、又は代替として、好ましくは完全に及び/又は均一に、気体及び/又は流体及び/又は固体の光学的に透明な材料で満たされ得、所望の非円錐形状をとり得る少なくとも2つの個別の側壁を含む中空体であってよく、又はそれを含んでいてもよい。本明細書において、IRスペクトル範囲内、特にNIR及びMidIRスペクトル範囲の少なくとも1つの範囲内で高い光学的透明性を示すことができ、かつ、光集光装置の中実体に選択されることができる少なくとも1つの材料は、好ましくは、フッ化カルシウム(CaF2、)、溶融シリカ、ゲルマニウム(Ge)、フッ化マグネシウム(MgF)、臭化カリウム(KBr)、サファイア、シリコン(Si)、塩化ナトリウム(NaCl)、セレン化亜鉛(ZnSe)、硫化亜鉛(ZnS)、ホウケイ酸ガラス、透明導電酸化物(TCO)、及び透明有機ポリマーからなる群から選択されてよく、ここで、高い反射指数を有するシリコン及びゲルマニウムは、それらが中実体の側壁に生じ得る全反射に対応可能であるため、特に好ましい。代替として、所望の非円錐形状を示す少なくとも2つの側壁を有する中空体を充填するために選択され得る気体の光学的に透明材料は、周囲空気、窒素ガス、又は二酸化炭素から選択され得、一方、この目的のための流体の光学的に透明材料は、浸油又はカナダバルサム、すなわちバルサムの木、特にアビスバルサムの樹脂から作られるテレビン油から選択されてよい。さらなる代替として、真空が中空体内に存在してもよい。
【0052】
逆作動型光集光装置に関するさらなる詳細については、逆作動型光集光装置、波長選択フィルタ、及び検出器アレイが分光計システムの共通の光軸に関して対称的に配置されているUS2014/131578A1と、逆作動型光集光装置内の一種の非対称性及び/又は分光計システムの共通光軸に関するその配置を開示しているWO2019/115594A1、WO2019/115595A1、及びWO2019/115596A1と、を参照することができる。
【0053】
代替的に又は追加的に、本発明による分光計システムは、光学要素として使用することができ、又は光学要素、特に逆作動型光集光装置と波長選択フィルタとの間に配置されることができる少なくとも1つの転送装置を含む。一般に用いられるように、「転送装置」という用語は、光ビームを検出器アレイに転送するように構成され得る光学要素を指し得る。特定の実施形態では、転送装置は、したがって、光ビームが波長選択フィルタに案内される前に光ビームを成形するように設計され得る。特に、転送装置は、光学レンズ、湾曲ミラー、回折格子、及び回折光学要素からなる群から選択されてよい。より具体的には、光学レンズは、特に、両凸レンズ、平凸レンズ、両凹レンズ、平凹レンズ、非球面レンズ、円筒レンズ及びメニスカスレンズからなる群から選択されてよい。これにより、転送装置は、好ましくは上記のように波長選択フィルタの全波長範囲にわたって少なくとも部分的に透明であり得る材料を含んでよい。この目的のために、この点に関して述べたのと同じ又は類似の光学的に透明な材料を使用することもできる。しかしながら、さらなる光学要素も可能であり得る。
【0054】
さらに、分光計システムは、評価ユニットを備える。本明細書でさらに使用される場合、「評価ユニット」という用語は、一般に、所望の情報項目、すなわち、物体のスペクトルに関連する少なくとも1つの情報項目を生成するように設計された任意の装置を指す。一例として、評価ユニットは、1つ以上の特定用途向け集積回路(ASIC)などの1つ以上の集積回路、及び/又は、コンピュータ、デジタル信号プロセッサ(DSP)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)の1つ以上などの1つ以上のデータ処理装置、好ましくは1つ以上のマイクロコンピュータ及び/又はマイクロコントローラであってよく、又はそれらを含むことができる。追加の構成要素は、例えば1つ以上のAD変換器及び/又は1つ以上のフィルタなどの、センサ信号を受信及び/又は前処理するための1つ以上の装置などの、1つ以上の前処理装置、及び/又はデータ収得装置などによって構成され得る。本明細書で使用される場合、センサ信号は、検出器アレイによって提供される。さらに、評価ユニットは、1つ又は複数のデータ記憶装置を含み得る。さらに、評価ユニットは、1つ以上の無線インターフェース及び/又は1つ以上の有線インターフェースなどの1つ以上のインターフェースを含み得る。少なくとも1つの評価ユニットは、情報の項目を生成するステップを実行又はサポートする少なくとも1つのコンピュータプログラムなどの、少なくとも1つのコンピュータプログラムを実行するように適合され得る。一例として、センサ信号を入力変数として使用することによって、物体の位置への所定の変換を実行することができる1つ以上のアルゴリズムを実装することができる。この目的のために、評価ユニットは、特に、少なくとも1つのデータ処理装置、特に、センサ信号を評価することによって情報項目を生成するように設計され得る電子データ処理装置を備えることができる。したがって、評価ユニットは、センサ信号を入力変数として使用し、これらの入力変数を処理することによって物体のスペクトルに関する情報項目を生成するように設計される。処理は、並行に、逐次的に、又は組み合わせでさえ行うことができる。評価ユニットは、計算によって、及び/又は少なくとも1つの保存された及び/又は既知の関係を使用することなどによって、これらの情報項目を生成するための、任意のプロセスを使用することができる。センサ信号に加えて、1つ以上のさらなるパラメータ及び/又は情報項目、例えば、光学要素の相対配置、波長選択フィルタ、及び検出器アレイに関する少なくとも1つの情報項目は、上記の関係に影響を与え得る。該関係は、経験的に、分析的に、又は半経験的に決定され又は決定可能であり得る。特に好ましくは、該関係は、少なくとも1つの較正曲線、少なくとも1組の較正曲線、少なくとも1つの関数、又は言及された可能性の組み合わせを含む。1つ以上の較正曲線は、例えば、値のセット及びその関連する関数値の形で、例えば、データ記憶装置及び/又はテーブルに記憶されることができる。しかしながら、代替的又は追加的に、少なくとも1つの較正曲線はまた、例えば、パラメータ化された形式で、及び/又は関数方程式として保存され得る。センサ信号を情報項目に処理するための別個の関係を使用することができる。あるいは、センサ信号を処理するための少なくとも1つの組み合わされた関係が可能である。様々な可能性が考えられ、組み合わせされることもできる。
【0055】
例として、評価ユニットは、情報項目を決定する目的でプログラミングに関して設計され得る。評価ユニットは、特に、少なくとも1つのコンピュータ、例えば少なくとも1つのマイクロコンピュータを含むことができる。さらに、評価ユニットは、1つ以上の揮発性又は不揮発性データメモリを備えることができる。データ処理装置、特に少なくとも1つのコンピュータの代替として、又はそれに加えて、評価ユニットは、情報項目を決定するように設計された1つ以上のさらなる電子構成要素、例えば電子テーブル、特に少なくとも1つのルックアップテーブル及び/又は少なくとも1つの特定用途向け集積回路(ASIC)を含み得る。
【0056】
さらに、評価ユニットは、例えば、少なくとも1つの照射源を制御するように、及び/又は光学要素を制御するように設計された評価ユニットにより、完全又は部分的に分光計システム又はその一部を制御又は駆動するように設計されることもできる。評価ユニットは、具体的には、複数のセンサ信号、特に、検出器アレイに沿って連続的に配置された個別のセンサピクセルのセンサ信号がピックアップされる少なくとも1つの測定サイクルを実行するように設計され得る。本明細書では、センサ信号の取得は、特に、行走査及び/又は線走査を使用することによって、順次実行され得る。しかしながら、他の実施形態、例えば、特に選択された個別のピクセルセンサが同時に記録される実施形態も可能である。
【0057】
本発明のさらなる態様では、本発明による分光計システムの使用が開示されている。そこでは、物体のスペクトルに関する情報を決定する目的の分光計システムの使用が提案されている。ここで、分光計システムは、好ましくは、以下の:赤外線検出用途;分光法用途;排ガス監視用途;燃焼プロセス監視用途;汚染監視用途;工業プロセス監視用途;化学プロセス監視用途;食品処理プロセス監視用途;水質監視用途;大気品質監視用途;品質管理用途;温度制御用途;動作制御用途;排気制御用途;ガス検知用途;ガス分析用途;動作感知用途;化学感知用途;モバイル用途;医療用途;モバイル分光法用途;食品分析用途;例えば土壌、サイレージ、飼料、作物又は農産物の特性評価、植物の健康状態の監視などの農業用途;プラスチックの識別及び/又はリサイクル用途、からなる群から選択される使用目的のために使用される。さらなる用途が可能である。
【0058】
上記の検出器アレイ及び分光計システムならびに提案された使用は、従来技術に対してかなりの利点を有する。このように、一般に、スペクトルに関する情報を正確に決定するための、単純かつ効率的な検出器アレイ及び分光計システムが提供され得る。そこでは、一例として、赤外スペクトル範囲の一区画をカバーする赤外スペクトルが、高速かつ効率的な方法で取得され得る。当技術分野において既知の装置と比較して、ここで提案される検出器アレイ及び分光計システムは、特に分光計システムの光学的構成に関して、高度な単純性を提供する。本明細書では、予想されるスペクトル、光センサの感度、及び分光計システムの光学特性の少なくとも1つに特に適合させることができる検出器アレイは、それが高度な単純化を可能にし、高速測定の可能性と組み合わせて、IRスペクトル領域、特にNIR及びMidIRスペクトル領域の少なくとも1つにおける感知、検出及び/又は監視用途に特に適しているため、有利であり得る。さらなる用途が可能である。
【0059】
要約すると、本発明の文脈では、以下の実施形態が特に好ましいと考えられる。
【0060】
実施形態1:
- 基板と;
- 前記基板の表面に適用された複数の検出器ピクセルであって、各検出器ピクセルが、入射光の区画を受けるように割り当てられたセンサ領域を有する検出器ピクセルと、を有する検出器アレイ。
【0061】
ここで、各検出器ピクセルは、前記検出器ピクセルの前記センサ領域によって受け取られた前記入射光の前記区画の強度に応じたセンサ信号を生成するように割り当てられ、
前記検出器ピクセルの少なくとも2つの前記センサ領域は、対応するセンサ領域のエリアによって互いに関して異なっている。
【0062】
実施形態2:前記検出器ピクセルは前記基板上に単一ラインで配置され、それによって、前記検出器アレイ内で前記検出器ピクセルの配列の配向ラインを特定する、先行する実施形態による検出器アレイ。
【0063】
実施形態3:それぞれの前記センサ領域のエリアは、第1方向及び第2方向に整列されている、先行する実施形態のいずれか1つによる検出器アレイ。
【0064】
実施形態4:前記第1方向は、前記検出器アレイ内の前記検出器ピクセルの配置の前記配向ラインに平行である、先行する実施形態のいずれか1つによる検出器アレイ。
【0065】
実施形態5:前記第2方向は、前記検出器アレイ内の前記検出器ピクセルの配置の前記配向ラインに垂直である、先行する2つの実施形態のいずれか1つによる検出器アレイ。
【0066】
実施形態6:前記検出器ピクセルの少なくとも2つの前記センサ領域は、前記第1方向及び前記第2方向の少なくとも一つにおける拡張によって互いに関して異なっている、先行する3つの実施形態のいずれか1つによる検出器アレイ。
【0067】
実施形態7:前記検出器ピクセルの少なくとも2つは、前記検出器ピクセル間の距離、及び前記基板のそれぞれのセクション上の前記検出器ピクセルの密度のうちの少なくとも1つによって互いに関してさらに異なる、先行する実施形態のいずれか1つによる検出器アレイ。
【0068】
実施形態8:少なくとも2つの隣接する検出器ピクセルのそれぞれが、個別の電源への個別の接続を含む、先行する実施形態のいずれか1つによる検出器アレイ。
【0069】
実施形態9:少なくとも2つの隣接する検出器ピクセルが、共通電位への単一の接続を共有する、先行する実施形態のいずれか1つによる検出器アレイ。
【0070】
実施形態10:前記共通電位は、前記検出器アレイの同じ表面上に配置された同じ極性を有する検出器ピクセルの電極を相互接続する、先行する実施形態による検出器アレイ。
【0071】
実施形態11:第1の数の前記検出器ピクセル及び第2の数前記検出器ピクセルは、第1共通電位及び第2共通電位によって個別に相互接続されている、先行する2つの実施形態のいずれか1つによる検出器アレイ。
【0072】
実施形態12:前記検出器ピクセルは:ピクセル化有機カメラ要素、好ましくはピクセル化有機カメラチップ;光導電体アレイ、特に無機光導電体アレイ、特にPbS、PbSe、Ge、InGaAs、拡張InGaAs、InSb、又はHgCdTe光導電体アレイ;焦電、ボロメータ又はサーモパイルアレイ;ピクセル化無機カメラ要素、好ましくはピクセル化無機カメラチップ、より好ましくはCCDチップ又はCMOSチップ;モノクロカメラ要素、好ましくはモノクロカメラチップ;FIPセンサ、の少なくとも1つから選択される、先行する実施形態のいずれか1つによる検出器アレイ。
【0073】
実施形態13:前記センサ領域は、感光材料を含む、先行する実施形態のいずれか1つによる検出器アレイ。
【0074】
実施形態14:前記感光材料は、光導電性材料である、先行する実施形態のいずれか1つによる検出器アレイ。
【0075】
実施形態15:前記検出器ピクセルのエリアは、前記検出器ピクセルの電気抵抗率を規定する、先行する実施形態による検出器アレイ。
【0076】
実施形態16:前記検出器ピクセルの少なくとも2つのエリアは、前記センサ領域の電気抵抗率を整合させるように調整される、先行する実施形態による検出器アレイ。
【0077】
実施形態17:前記検出器ピクセルの少なくとも2つのエリアは、前記少なくとも2つの検出器ピクセル内で同じ電気抵抗率を確保するように調整される、先行する実施形態による検出器アレイ。
【0078】
実施形態18:前記入射光は、760nm~1000μm(赤外スペクトル範囲)の電磁放射を含む、先行する実施形態のいずれか1つによる検出器アレイ。
【0079】
実施形態19:前記入射光は、1μm~3μmの電磁放射を含む、先行する実施形態による検出器アレイ。
【0080】
実施形態20:光ビームが、物体での一次放射の反射によって、及び/又は、前記一次放射によって活性化された前記物体自体による発光によって生成される、先行する実施形態のいずれか1つによる検出器アレイ。
【0081】
実施形態21:
- 入射光を、前記入射光の複数の区画を含むスペクトルに分離するように割り当てられた波長選択フィルタと;
- 先行する実施形態のいずれか1つによる検出器アレイと;
- 前記検出器アレイによって提供されるセンサ信号を評価することにより、スペクトルに関する情報を決定するように割り当てられた評価ユニットと、
を備える、分光計システム。
【0082】
実施形態22:前記評価ユニットは、前記検出器アレイ内の検出器ピクセルの位置、前記入射光の波長、及び前記センサ信号の間の少なくとも1つの事前に定義された関係から前記スペクトルに関連する情報を生成するように設計されている、先行する実施形態による分光計システム。
【0083】
実施形態23:前記センサ信号は、少なくとも1つの電流-電圧測定及び/又は少なくとも1つの電圧-電流測定を行うことにより生成される、先行する実施形態による分光計システム。
【0084】
実施形態24:物体を照射するように適合された照射源をさらに備える、分光計システムに関連する先行する実施形態のいずれか1つによる分光計システム。
【0085】
実施形態25:前記照射源が、白熱灯;熱赤外エミッタ;火炎源;熱源;レーザ、特にレーザダイオード;発光ダイオード;有機光源、特に有機発光ダイオード;ネオン光;構造化光源の少なくとも1つから選択される、先行する実施形態による分光計システム。
【0086】
実施形態26:照射源は、分光計装置に一体化されているか又は取り付けられている、先行する2つの実施形態のいずれか1つによる分光計装置。
【0087】
実施形態27:物体からの入射光を受け取り、前記入射光を波長選択フィルタに転送するように設計された光学要素をさらに備える、分光計システムに関する先行する実施形態のいずれか1つによる分光計装置。
【0088】
実施形態28:前記光学要素は、逆方向に作動する光集光装置、又は転送装置から選択される、先行する実施形態による分光計装置。
【0089】
実施形態29:転送装置をさらに備える、分光計システムに関する先行する実施形態のいずれか1つによる分光計装置。
【0090】
実施形態30:前記転送装置は、収束光学要素を構成するか、又はそれを含み、前記収束要素は、入射光の波長範囲の少なくとも区画に関して少なくとも部分的に光学的に透明である、先行する2つの実施形態のいずれか1つによる分光計装置。
【0091】
実施形態31:前記収束光学要素は、収束光学レンズ、収束回折光学要素及び収束曲面鏡からなる群から選択される、先行する実施形態による分光計装置。
【0092】
実施形態32:前記転送装置は、前記光集光装置と可変長フィルタの間に配置されている、先行する3つの実施形態のいずれか1つによる分光計装置。
【0093】
実施形態33:前記検出器アレイは、透明なギャップによって前記波長選択フィルタから分離されている、先行する実施形態のいずれか1つによる分光計装置。
【0094】
実施形態34:赤外線検出用途;分光法用途;排ガス監視用途;燃焼プロセス監視用途;汚染監視用途;工業プロセス監視用途;化学プロセス監視用途;食品処理プロセス監視用途;水質監視用途;大気品質監視用途;品質管理用途;温度制御用途;動作制御用途;排気制御用途;ガス感知用途;ガス分析用途;動作感知用途;化学感知用途;モバイル用途;医療用途;モバイル分光法用途;食品分析用途;土壌、サイレージ、飼料、作物又は農産物の特性評価、植物の健康状態の監視などの農業用途;プラスチックの識別及び/又はリサイクル用途、における、先行する実施形態のいずれか1つによる分光計装置又は分光計システムの使用。
【図面の簡単な説明】
【0095】
本発明のさらなる任意の詳細及び特徴は、従属請求項と関連して続く好ましい例示的な実施形態の説明から明らかである。この文脈では、特定の特徴は、個別に実施されても、又は他の特徴と組み合わせて実施されてもよい。本発明は、例示的な実施形態に限定されない。例示的な実施形態は、図に概略的に示されている。個々の図における同一の符号は、同一の要素又は同一の機能を有する要素、又はその機能に関して互いに対応する要素を指している。
【0096】
具体的には、以下の図の中で:
【
図1】本発明による検出器アレイを備えた分光計システムの例示的な実施形態を示す概略図である。
【
図2】現在の技術に基づく検出器アレイの正面を示す図である。
【
図3】本発明による検出器アレイの好ましい例示的な実施形態の正面を示す図である。
【
図4】本発明による検出器アレイの好ましい例示的な実施形態の正面を示す図である。
【
図5】電源の異なる実施形態をさらに示す、本発明による検出器アレイの好ましい例示的な実施形態の正面を示す図である。
【
図6】電源の異なる実施形態をさらに示す、本発明による検出器アレイの好ましい例示的な実施形態の正面を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0097】
実施形態の詳細説明
図1は、本発明による検出器アレイ112を備える分光計システム110の例示的な実施形態を非常に概略的な方法で示している。一般的に使用されるように、分光計システム110は、「スペクトル」として又はその区画して表される波長範囲にわたって、入射光114の対応する波長又は波長間隔に関して、入射光114の信号強度を記録するよう割り当てられる。本発明によれば、分光計システム110は、特に、赤外線(IR)スペクトル領域、好ましくは、近赤外線(NIR)及び中赤外線(MidIR)スペクトル範囲の少なくとも1つにおけるスペクトルを記録するように適合されることができ、該入射光が1μm~5μm、好ましくは1μm~3μmの波長を有することができ、したがって、特にIRスペクトル領域での調査又は監視目的に適用可能である。ここで、入射光114は、生き物、及び1つ以上の物品及び/又は物品の1つ以上の部分を含む非生物であり得る、物体116によって生成及び/又は反射され得、少なくとも1つの物品又はその少なくとも1つの部分は、IR、特にNIRスペクトル領域での調査に適切であり得るスペクトルを提供する少なくとも1つの構成要素を有することができる。
【0098】
図1に概略的に示される例示的な分光計システム110は、波長選択フィルタの好ましい例として線形可変フィルタ118を備え、ここで線形可変フィルタ118は、入射光114を入射光114の複数の波長分解区画を含むスペクトルに分離するように割り当てられ、検出器アレイ112は受信波長信号のそれぞれの強度を決定するように設計され、及び光学要素120は、物体116からの入射光114を受け、入射光114を線形可変フィルタ118に転送するように割り当てられる。一般に、少なくとも1つ転送装置(ここには示されず)、好ましくは屈折レンズが、光学要素120として使用され得る。
【0099】
図1に概略的に示すように、光学要素120は、代替的に又は追加的に、光集光装置122を含むことができ、光集光装置122は、逆方向124に作動され得る。ここで、逆作動型光集光装置122は、非円錐形状126、特に放物線形状128を含むことができる。しかしながら、他の種類の形状、具体的には円錐形状、又は楕円形状のような別の種類の非円錐形状126も可能である。ここに示されているように、逆作動型光集光装置124は、入力130、光ガイド構造132、及び出力134を含む。したがって、物体116によって放出もしくは反射され得、又は物体116を通過したかもしれない入射光114は、入射光114を受け取るように設計された入力130で逆作動型光集光装置122に入射する。その後、入力130によって捕捉された入射光114は、好ましくは、入射光114を広げるように設計された光ガイド構造132を通過する。最後に、このように広げられた入射光114は、この目的のために割り当てられている出力134によって放出される。これにより、出力134で放出された光ビームの角度の広がりは、入射光114の角度の広がりと比較して同時に減少されることができる。その結果、逆作動型光集光装置122は、逆作動型光集光装置124の出力134で放出された光が低減された角度広がりを示すように物体116によって提供される入射光114を修正することを可能にする。
【0100】
その結果、逆作動型光集光装置124の出力134によって提供される光ビームの主な部分は、平行に、特に線形可変フィルタ118の受信面136に垂直な平行の態様で、線形可変フィルタ118に衝突する。この例示的な実施形態で使用されるように、線形可変フィルタ118は、好ましくは干渉フィルタの連続配置で提供される複数の干渉フィルタを有する光学フィルタであるか、又はそれを含む。本明細書では、干渉フィルタのそれぞれは、可変中心波長が空間位置138の線形関数であり得るように、線形可変フィルタ118の受信面136上の各空間位置138での可変中心波長を有するバンドパスを形成し得る。
【0101】
図1に例示的に示されるように、線形可変フィルタ118は、したがって、通常は線形可変フィルタ118の「長さ」として、一次元に沿って、好ましくは連続的に、配置され得る。例として、線形可変フィルタ118は、透明基板142上に少なくとも1つの応答コーティング140を担持し得るウェッジフィルタとすることができ、該応答コーティング140は、空間可変特性、特に空間可変厚さ(ここには示されず)を示すことができる。本明細書において、透明基板142は、IRスペクトル範囲で高度の光学的透明性を示すことができ、好ましくはフッ化カルシウム(CaF
2)、溶融シリカ、ゲルマニウム(Ge)、フッ化マグネシウム(MgF)、臭化カリウム(KBr)、サファイア、シリコン(Si)、塩化ナトリウム(NaCl)、セレン化亜鉛(ZnSe)、硫化亜鉛(ZnS)、ホウケイ酸ガラス、透明導電酸化物(TCO)、及び透明有機ポリマーからなる群から選択され得る少なくとも1つの材料を含むことができ、ここで、CaF
2、溶融シリカ、MgF、KBr、サファイア、Si、NaCl、ZnSe、ZnS、ホウケイ酸ガラス、透明導電酸化物、及び選択された透明有機ポリマーは、特に、NIRスペクトル範囲に適用することができる。しかしながら、線形可変フィルタ118の他の実施形態も可能であり得る。しかしながら、他の種類の可変長フィルタもまた、本発明の目的のために可能であり得る。
【0102】
線形可変フィルタ118は、入射光114を入射光114の複数の波長分解区画を含むスペクトルに分離するように割り当てられる。この目的のために、入射光114は、好ましくは、入射光114の波長に関連する特定の空間位置138で線形可変フィルタ118を通過することができる。入射光114は、入射光114の波長に関連する特定の空間位置138で線形可変フィルタ118を通過した後、続いて、検出器アレイ112、具体的には検出器アレイ112に含まれる複数のセンサピクセル144のうちの1つに衝突する。したがって、センサピクセル144のそれぞれは、上述のように線形可変フィルタ118を通過した後に、入射光114によって提供される構成波長信号の1つの少なくとも一部を受け取る。さらに、センサピクセル144のそれぞれは、各構成波長の強度に関連するセンサ信号を提供するように適合されている。言い換えると、分光計システム110は、したがって、構成波長信号に基づいて複数のセンサ信号を生成するように割り当てられ、該センサ信号のそれぞれは、入射光114の各区画の強度に関連している。
【0103】
図1にさらに示されるように、検出器アレイ112は、好ましくは、透明なギャップ146によって線形可変フィルタ118から分離されることができ、透明なギャップ146は、例えば、透明基板142を使用することによって得られてもよい。その結果、透明ギャップ146の適切な幅を選択することにより、線形可変フィルタ118に関する検出器アレイ112のより正確な調節が、実現され得る。さらに、透明なギャップ146を調整することにより、分光計システム110の効率をさらに増加させることを可能にし得る。
【0104】
複数のセンサ信号は、
図1に概略的に示されるように、信号リード線148を介して、分光計システム110によってさらに含まれ得る評価ユニット150に、送信され得る。ここで、評価ユニット150は、一般に、検出器アレイ112によって提供される複数のセンサ信号を評価することによって、物体116のスペクトルに関する情報を決定するように割り当てられる。この目的のために、評価ユニット150は、信号評価ユニット152によって象徴的に示される複数の検出器信号を評価するために、1つ以上の電子装置及び/又は1つ以上のソフトウェアコンポーネントを、含み得る。ここで、評価ユニット150は、2つ以上のセンサ信号を比較することにより、物体116のスペクトルに関する少なくとも1つの情報項目を決定するように適合され得る。
【0105】
分光計装置112の光学要素122によって受け取られる入射光114は、発光する物体116によって生成され得る。代替的又は追加的に、入射光114は、周囲光源及び/又は人工光源、特に白熱灯156を含み得る別個の照射源154によって生成されることができ、該照射源154は、照射源154によって生成された光の少なくとも一部が物体116(ここには示されず)を通過できるように、及び/又は、入射光114が光学要素120によって受け取られるように構成されるように、物体116が照射源154によって生成された光の少なくとも一部を反射し得るように、物体116を照射するように割り当てられ得る。本明細書では、照射源154は、連続的に発光する光源及び/又は変調された光源であるか、又はそれらを含み得る。
図1にさらに示されるように、照射源154は、必要に応じて変調された光を提供するように適合され得る少なくとも1つの照射制御ユニット158によって制御され得る。本明細書では、照射制御ユニット158は、さらに、信号評価ユニット152に照射に関する情報を提供することができ、及び/又は、信号評価ユニット152によって制御されることができ、この制御は、
図1の照射制御ユニット158と信号評価ユニット152との間の接続によって象徴的に示される。代替的又は追加的に、物体116の照射の制御は、照射源154と物体116との間、及び/又は物体116と光学要素120との間のビーム経路で行われてもよい。さらなる可能性が考えられる。
【0106】
一般に、評価ユニット150は、データ処理装置160の一部であってもよく、及び/又は1つ以上のデータ処理装置160を備えていてもよい。評価ユニット150は、検出器アレイ112、線形可変フィルタ118及び任意の光学要素120をさらに含むことができるハウジング162に完全に又は部分的に統合されてもよく、及び/又は、無線又は有線で検出器アレイ112に電気的に接続され得る別個の装置として完全又は部分的に具体化されてもよい。評価ユニット150は、1つ以上の電子ハードウェアコンポーネント、及び/又は、1つ以上の測定ユニット及び/又は1つ以上の評価ユニット及び/又は1つ以上の制御ユニット(ここには示されず)などの1つ以上のソフトウェアコンポーネント、などの1つ以上の追加コンポーネントをさらに含むことができる。
【0107】
図1の例示的な実施形態でさらに説明されているように、検出器アレイ112、線形可変フィルタ118及び任意の光学要素120は、この特定の実施形態において、共通の光軸164に沿って配置されてよい。具体的に、光軸164は、検出器アレイ112、線形可変フィルタ118及び任意の光学要素120の少なくとも1つの構成の対称及び/又は回転の軸であり得る。特に、光軸164は、したがって、線形可変フィルタ118の受信面136に垂直な面に平行であり得る。
【0108】
図2は、現在の技術水準による既知の検出器アレイ210の正面図の一例を示しており、ここで、検出器アレイ210の前面は、線形可変フィルタ118に向けられている。ここに示されているように、検出器アレイ210は、複数のセンサピクセル144を担持する基板212を備え、各センサピクセル144は、入射光114の区画を受け取るように割り当てられたセンサ領域214を有する。ここで、各センサピクセル144は、対応するセンサ領域214によって受け取られた入射光114の区画の強度に応じたセンサ信号を生成するように割り当てられる。この目的のために、異なる極性の2つの電極216、218が、対応するセンサ領域214内の入射光114によって生成され得る電荷を受け取るために、各センサ領域214の境界に取り付けられてよい。このように、センサピクセル144は、個別のセンサピクセル144に衝突する入射光114の強度に関連するセンサ信号を、好ましくは電子信号の形態で生成するように設計される。
【0109】
図2に示されるように、既知の検出器アレイ210内の複数のセンサピクセル144のセンサ領域214のそれぞれは、同一の形状を示し、同一のエリア220を有し、隣接するセンサピクセル144の中心間に同一の距離224を有する等距離で単一ラインの方向に沿って配向の単一ライン222で基板212上に配置されている。その結果として、既知の検出器アレイ210は、高解像度スペクトルを記録し生成するように設計されており、そこでは、スペクトルの多数のピークが、この目的のために構成されたコンピュータプログラムを用いて、それぞれ関与する検出器ピクセル144のセンサ信号を用いてそれぞれ積分を形成することにより、決定されることができる。
【0110】
技術水準による既知の検出器アレイ210の典型的な実施形態を概略的に示す
図2とは対照的に、
図3及び
図4は、本発明による検出器アレイ112の種々の好ましい例示的な実施形態を示している。本明細書において、検出器アレイ112の例示的な実施形態は、やはり、基板212と、基板212の前面に適用された複数の検出器ピクセル144を備える。さらに、各検出器ピクセル144は、やはり、入射光114の区画を受け取るように割り当てられたセンサ領域214を備え、各検出器ピクセル144は、やはり、対応する検出器ピクセル144のセンサ領域214によって受け取られた入射光114の区画の強度に応じたセンサ信号を生成するように割り当てられている。しかしながら、
図2に示されるような技術水準による既知の検出器アレイ210とは対照的に、
図3及び
図4の検出器ピクセル144の少なくとも2つのセンサ領域214は、対応するセンサ領域214のそれぞれのエリア220のサイズによって互い異なっている。
【0111】
図3A及び
図3Bに示されるように本発明による検出器アレイ112の好ましい例示的な実施形態では、検出器アレイ112のそれぞれは、例として、7つの異なる検出器ピクセル144-1、144-2、144-3、144-4、144-5、144-6、及び144-7を有しており、
- 検出器ピクセル144-1、144-3、144-4、及び144-7の対応するセンサ領域214-1、214-3、214-4、及び214-7のそれぞれのエリア220-1、220-3、220-4、及び220-7のサイズは、互いに関して、及び、他の検出器ピクセル114-2、144-5及び144-6に関して異なり、
- 他の検出器ピクセル114-2、144-5及び144-6は、対応するセンサ領域214-2、214-5、214-6のエリア220-2、220-5及び220-6について同じサイズを示すが、それでも検出器ピクセル144-1、144-3、144-4及び144-7とは異なる。
【0112】
上記に示したように、検出器アレイ112の他の好ましい例示的な実施形態は、検出器ピクセル144の異なる数N≧5を含んでいてよいが、好ましくはN≦25、より好ましくはN≦10である。
【0113】
その結果、
図3A及び3Bの検出器アレイ112の好ましい例示的な実施形態における検出器ピクセル114の少なくとも2つのセンサ領域214は、対応するセンサ領域214のそれぞれのエリア220のサイズによって互いに対して異なる。さらにそこに示されるように、各個別の検出器ピクセル144のセンサ領域214の境界に取り付けられる異なる極性の2つの電極216、218は、したがって、各電極216、218の拡張が、それが取り付けられるそれぞれのセンサ領域214の対応する拡張に応じて変化するようにセンサ領域214の実際のサイズ及び形状に調整されたサイズ及び形状を示す。
【0114】
図3Aの検出器アレイ112と、技術水準による
図2の検出器アレイ210とを比較すると、基板212のそれぞれのセクション上の検出器ピクセル144の密度が、両方の実施形態において異なる。結果として、
図3のAの実施形態における検出器ピクセル144-1、144-2、144-3、144-4、144-5、144-6、及び144-7の発生頻度は、
図2の実施形態における検出器ピクセル144の単一の発生頻度と比較して、基板212のそれぞれのセクションで変化している。例として、セクションは、
図2に示されるように、基板212の幅と、隣接するセンサピクセル144の中心間の距離224の値とによって与えられる表面積によって定義され得る。このセクション上の検出器ピクセル144の密度は、
図2では1であるのに対し、
図3Aではセクションごとに異なっている。同様の考察を、
図3B、4A、4B、5A、5B、6A、6Bの他の実施形態についても行うことができる。
【0115】
図3Aに示されるように、検出器ピクセル144のエリア220のサイズは、幅226で示され得る検出器アレイ212の基板に関して配向ライン222に沿ってのみ変化させることができるが、各検出器ピクセル144の長さ228は一定に維持され得る。このような種類の実施形態は、一般に、検出器アレイ112の製造を容易にすることができるため、有利であり得る。
【0116】
しかしながら、
図3Bに示されるように、検出器ピクセル144のエリア220のサイズは、幅226に関してのみ変化させることはできず、すなわち配向ライン222に沿ってだけでなく、各検出器ピクセル144の長さ228に関しても変化させる。この特に好ましい実施形態では、検出器ピクセル144の対応するエリア220は、したがって、好ましくは、検出器ピクセル144のそれぞれのセンサ領域214の電気抵抗率を整合させるために、調整されることができる。その結果、各検出器ピクセル144は、同じ又は非常に類似した電気抵抗率を示す。このような種類の実施形態は、特に、上に示したように、センサ領域214の感光材料が光導電性材料から選択される場合に有利となり得る。したがって、検出器ピクセル144の対応するセンサ領域214の電気伝導率を等しく調整することができる。その結果、センサ電流を増幅するための増幅率は、有利には、センサ領域214が同じ光導電性材料を有するこの種の検出器アレイ112の全ての検出器ピクセル114に対して等しく選択され得る。
【0117】
したがって、各検出器ピクセル144のエリア220が、調査又は監視されるスペクトルで発生すると予想されるピークに適合される
図3A及び
図3Bの検出器アレイ112を使用することは、本発明による検出器アレイ112内の検出器ピクセル144の数を、センサ信号を生成するために積分されるピークの数に概略減らすことにより、センサ信号の積分を容易にする。特に、線形可変フィルタ118が固定されているため、ピークは常にスペクトル内の同じ位置に現れ、したがって、対応する検出器ピクセル144を検出器アレイ112上の同じ位置に配置することができる。さらに、積分の比率の形成は、比率を決定することが望まれるピークに割り当てられた2つの検出器ピクセル144のセンサ信号を利用するアナログ電子機器を使用することによっても決定され得る。
【0118】
図4A及び
図4Bに示されるような本発明による検出器アレイ112のさらなる好ましい例示的な実施形態では、検出器アレイ112のそれぞれは、例として、17個の異なる検出器ピクセル144-1、144-2、・・・144-17を有しており、検出器ピクセル144-1、144-2、・・・144-17の対応するセンサ領域214-1、214-2、・・・214-17のそれぞれのエリア220-1、220-2、・・・220-17のサイズは、それぞれのエリア220-1、220-2、・・・220-17のサイズが、好ましくは線形可変フィルタ118を通過した後に検出器ピクセル144-1、144-2、・・・144-17の対応するセンサ領域214-1、214-2、・・・214-17に衝突する入射光114の区画のスペクトル特性に調整されるように、互いに関して異なる。
図4A及び
図4Bに概略的に示されているように、それぞれのエリア220-1、220-2、・・・220-17のサイズの変化は、線形可変フィルタ118内の位置に関して、及び、検出器アレイ112が線形可変フィルタ118に関して固定位置に維持され得るため、やはり検出器アレイ112内の線形可変フィルタ118に関して、線形可変フィルタ118の帯域幅の依存性に従うことができる。線形可変フィルタ118が、短波長を受け取るように設計された第2端232と比較して長波長を受け取るように設計された第1端230においてより選択的であり得る実施形態では、それぞれのエリア220-1、220-2、・・・220-17のサイズは
図4A及び4Bに示されるように変化する可能性がある。加えて、
図4Aと
図4Bとの間の差は、上述した
図3Aと
図3Bとの間の差に対応することが強調される。
【0119】
本発明による検出器アレイ112のさらに好ましい例示的な実施形態(ここには示されず)では、それぞれのエリア220-1、220-2、・・・220-17のサイズは、この種の発光スペクトルを有する入射光114が検出器アレイ112を直接照射する場合、線形又は平坦なスペクトルが得られるように、スペクトルを生成する物体116を照射する照射源154の発光スペクトルの変化に関して変化し得る。しかしながら、検出器アレイ112の追加の実施形態が考えられる。
【0120】
さらに、
図5及び
図6は、本発明による検出器アレイ112の正面図の好ましい例示的実施形態を示し、そこでは、検出器アレイ112の検出器ピクセル144への電源310の適用に関する隣接する検出器ピクセル144間の2つの異なる種類の接続が追加的に示されている。ここで、
図5A及び5Bの検出器アレイ112は、
図3Aの検出器アレイ112に対応する一方、
図6A及び6Bの検出器アレイ112は、
図4Bの検出器アレイ112と類似である。類似の実施形態(ここには示されず)が、
図3B及び
図4Aの検出器アレイ112に対しても提供され得る。さらなる詳細については、
図3及び
図4に関する上記の説明を参照することができる。さらに、さらなる実施形態、特に、検出器ピクセル144-1、144-2、144-3、・・・144-Nのいくつかが第1の実施形態による種類の電源を有し、一方、他の検出器ピクセル144-1、144-2、144-3、・・・144-Nのいくつかが異なる実施形態による異なる種類の電源を有している実施形態が考えられ得る。
【0121】
図5Aに概略的に示さるような電源310の第1の実施形態では、個別の電源312-1、312-2、312-3、・・・312-Nは、各検出器ピクセル144-1、144-2、144-3、・・・144-Nに設けられている。その利点として、各検出器ピクセル144-1、144-2、144-3、・・・144-Nに対する電流通過及び応答性が、個別の電源312-1、312-2、312-3、・・・312-Nを用いることにより、個別に調整されることが可能である。しかしながら、各検出器ピクセル144-1、144-2、144-3、・・・144-Nは、本実施形態において、個別の電源312-1、312-2、312-3、・・・312-Nを有し、各検出器ピクセル144-1、144-2、144-3、・・・144-Nを流れる電流のノイズは、互い異なることがあり得る。
図5Aの実施形態は、特に、個別の電源312-1、312-2、312-3、・・・312-N及び対応する個別の読み出し電子機器314-1、314-2、314-3、・・・314-Nが、検出器ピクセル144-1、144-2、144-3、・・・144-Nに容易に提供できる場合に使用することができる。ここで、検出器アレイ112の効率の向上が、検出器アレイ112に衝突する波長がそれぞれの帯域に関して異なる場合において得ることができ、検出器アレイ112における各検出器ピクセル144-1、144-2、144-3、・・・144-Nのセンサ信号の線形化は、適合した様式で個別の読み出し電子機器314-1、314-2、314-3、・・・314-Nを用いることにより実現され得る。
【0122】
図5Bに概略的に示されているような電源310のさらなる実施形態では、共通電位316は、全ての検出器ピクセル144-1、144-2、144-3、・・・144-Nに提供され、したがって、全ての検出器ピクセル144-1、144-2、144-3、・・・144-Nの電極216間に相互接続を発生させる。その利点として、共通電位316は、
図5Aの個別の電源312-1、312-2、312-3、・・・312-Nと比較して、リソグラフィを用いてより容易に製造することが可能である。
図5Bの実施形態は、特に、個別の読み出し電子機器314-1、314-2、314-3、・・・314-Nが、単一の電源電圧のみを生成することによって、対応する検出器ピクセル144-1、144-2、144-3、・・・144-Nに容易に提供できる場合に使用することができる。ここもまた、検出器アレイ112の効率の向上が、検出器アレイ112に衝突する波長がそれぞれの帯域に関して異なる場合において得ることができ、検出器アレイ112における各検出器ピクセル144-1、144-2、144-3、・・・144-Nのセンサ信号の線形化は、個別の読み出し電子機器314-1、314-2、314-3、・・・314-Nを適宜用いることにより実現され得る。
【0123】
図6Aに概略的に示されるような電源310のさらなる実施形態では、個別の電源312-1、312-2、312-3、・・・312-Nは、(
図5Aの実施形態と同様に)各検出器ピクセル144-1、144-2、144-3、・・・144-Nに設けられている。その利点として、各検出器ピクセル144-1、144-2、144-3、・・・144-Nに対する電流通過及び応答性はまた、個別の電源312-1、312-2、312-3、・・・312-Nを用いることにより、個別に調整されることが可能である。さらに、各検出器ピクセル144-1、144-2、144-3、・・・144-Nは、同じアスペクト比、すなわち各検出器ピクセル144-1、144-2、144-3、・・・144-Nの長さ228対幅226の同じ関係を示す。その特定の利点として、検出器ピクセル144-1、144-2、144-3、・・・144-Nの対応するセンサ領域214-1、214-2、214-3、・・・214-Nの電気抵抗率は、各検出器ピクセル144-1、144-2、144-3、・・・144-Nが同じ桁の暗抵抗を示すように整合され得る。その結果、異なる検出器ピクセル144-1、144-2、144-3、・・・144-Nを通る電流のノイズは、同じ範囲内の値を想定することができる。さらなる利点及び用途については、
図5Aの説明を参照されたい。
【0124】
図6Bに概略的に示されているような電源310のさらなる実施形態では、共通電位316は、(
図5Bの実施形態と同様に)全ての検出器ピクセル144-1、144-2、144-3、・・・144-Nに提供され、したがって、全ての検出器ピクセル144-1、144-2、144-3、・・・144-Nの電極216間に相互接続を発生させる。その利点として、共通電位316もまた、
図5Aの個別の電源312-1、312-2、312-3、・・・312-Nと比較して、リソグラフィを用いてより容易に製造することが可能である。
図6Bの実施形態は、特に、個別の読み出し電子機器314-1、314-2、314-3、・・・314-Nが、単一の電源電圧のみを生成することによって、対応する検出器ピクセル144-1、144-2、144-3、・・・144-Nに容易に調整される場合に使用することができる。ここもまた、検出器アレイ112の効率の向上が、検出器アレイ112に衝突する波長がそれぞれの帯域幅に関して異なる場合において得ることができ、検出器アレイ112における各検出器ピクセル144-1、144-2、144-3、・・・144-Nのセンサ信号の線形化は、個別の読み出し電子機器314-1、314-2、314-3、・・・314-Nを適宜用いることにより実現され得る。さらに、各検出器ピクセル144-1、144-2、144-3、・・・144-Nは、(
図6Aの実施形態と同様に)同じアスペクト比、すなわち各検出器ピクセル144-1、144-2、144-3、・・・144-Nの長さ228対幅226の同じ関係を示し、これにより、検出器ピクセル144-1、144-2、144-3、・・・144-Nの対応するセンサ領域214-1、214-2、214-3、・・・214-Nの電気抵抗率は、各検出器ピクセル144-1、144-2、144-3、・・・144-Nの暗抵抗が同じ桁を示すように整合され得るという上記に示したものと同様の特定の利点がある。その結果、異なる検出器ピクセル144-1、144-2、144-3、・・・144-Nを通る電流のノイズもまた、同じ範囲内の値を想定することができる。さらなる利点及び用途については、
図5B及び6Aの説明を参照されたい。
【符号の説明】
【0125】
参照番号のリスト
110 分光計システム
112 検出器アレイ
114 入射光
116 物体
118 波長選択フィルタの好ましい例としての線形可変フィルタ
120 光学要素
122 逆作動型光集光装置
124 逆方向
126 非円錐形状
128 放物線形状
130 入力
132 ガイド構造
134 出力
136 受信面
138 空間位置
140 応答コーティング
142 透明基板
144 検出器ピクセル
146 透明なギャップ
148 信号リード線
150 評価ユニット
152 信号評価ユニット
154 照射源
156 白熱灯
158 照射制御ユニット
160 データ処理装置
162 ハウジング
164 光軸
210 技術水準による既知の検出器アレイ
212 基板
214 センサ領域
216 電極
218 電極
220 感光エリア
222 配向ライン
224 距離
226 幅
228 長さ
230 第1端
232 第2端
310 電源
312 個別の電源
314 個別読み出し電子機器
316 共通電位
【国際調査報告】