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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-12-02
(54)【発明の名称】無線センサを含む透明体
(51)【国際特許分類】
   G08C 17/02 20060101AFI20221125BHJP
   G08C 15/00 20060101ALI20221125BHJP
   B64D 15/12 20060101ALI20221125BHJP
   B64C 1/14 20060101ALI20221125BHJP
【FI】
G08C17/02
G08C15/00 D
B64D15/12
B64C1/14
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022520517
(86)(22)【出願日】2020-10-01
(85)【翻訳文提出日】2022-04-20
(86)【国際出願番号】 US2020053753
(87)【国際公開番号】W WO2021067567
(87)【国際公開日】2021-04-08
(31)【優先権主張番号】16/590,548
(32)【優先日】2019-10-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】399074983
【氏名又は名称】ピーピージー・インダストリーズ・オハイオ・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】PPG Industries Ohio,Inc.
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(72)【発明者】
【氏名】ドゥアルテ, ニコラス ビー.
【テーマコード(参考)】
2F073
【Fターム(参考)】
2F073AA02
2F073AA11
2F073AA19
2F073AA40
2F073AB01
2F073AB04
2F073BB01
2F073BC02
2F073CD11
2F073DD02
2F073DE02
2F073DE06
2F073DE13
2F073EE01
2F073EE12
2F073EE13
2F073FF01
2F073FG01
2F073FG02
2F073GG01
2F073GG04
2F073GG05
2F073GG08
(57)【要約】
透明体は、複数のシートを含む。複数のシートの各シートは、第1の主表面と、反対側の第2の主表面と、第1の主表面と第2の主表面との間の周辺表面と、を含むことができる。透明体は、複数のシートのシートのうちの1つの第1の主表面と複数のシートの隣接するシートの第2の主表面との間に位置付けられたシート間層と、シート間層内に位置付けられた無線センサと、をさらに含むことができる。無線センサは、透明体の一部分の状態を表す情報を測定するように構成された知覚部分と、受信された情報を無線受信機に無線で送信するように構成された無線送信機と、を含む。
【選択図】図1B
【特許請求の範囲】
【請求項1】
透明体であって、
複数のシートであって、各シートが、第1の主表面、反対側の第2の主表面、および前記第1の主表面と前記第2の主表面との間の周辺表面、を備える、複数のシートと、
前記複数のシートのシートのうちの1つの前記第1の主表面と、前記複数のシートの隣接するシートの前記第2の主表面との間に位置付けられたシート間層と、
前記シート間層内に位置付けられた無線センサであって、前記透明体の一部分の状態を表す情報を測定するように構成された知覚部分、および前記受信された情報を無線受信機に無線で送信するように構成された無線送信機を備える、無線センサと、を備える透明体。
【請求項2】
前記無線センサが、温度センサ、水分センサ、歪みセンサ、腐食センサ、衝撃センサ、破断センサ、電流センサ、アークセンサ、部分放電センサ、電圧センサ、抵抗センサ、またはp静的センサを備える、請求項1に記載の透明体。
【請求項3】
前記無線センサが、温度センサを備え、前記温度センサの前記知覚部分が、サーミスタ、熱電対、および/または赤外線検出器を備える、請求項1に記載の透明体。
【請求項4】
前記無線センサが、前記無線センサの前記知覚部分および/または前記無線送信機に電力を提供するための電源を備える、請求項1に記載の透明体。
【請求項5】
前記電源が、周囲または送信された信号からエネルギーを収集するように構成されたエネルギー採取アンテナを備える、請求項4に記載の透明体。
【請求項6】
前記無線送信機が、低電力短距離アンテナ、無線周波数充電アンテナ、および/または近距離通信アンテナを備える、請求項1に記載の透明体。
【請求項7】
前記複数のシートのうちの1つの前記主表面のうちの1つ上の導電性コーティングをさらに備え、前記導電性コーティングが、前記透明体を除霧および/または除氷するために熱を発生させるように構成されており、前記無線センサが、前記知覚部分におよび/または前記無線送信機に電力を提供するための電源を備えており、前記電源が、前記導電性コーティングの加熱に起因して電力を発生させるように構成された熱電部材を備える、請求項1に記載の透明体。
【請求項8】
1つより多い無線センサを備え、前記1つより多い無線センサが、第1のタイプの第1の無線センサと、前記第1のタイプとは異なる第2のタイプの第2の無線センサと、を備え、前記センサのタイプが、温度センサ、水分センサ、歪みセンサ、腐食センサ、衝撃センサ、破断センサ、電流センサ、アークセンサ、部分放電センサ、電圧センサ、抵抗センサ、またはp静的センサである、請求項1に記載の透明体。
【請求項9】
請求項1に記載の透明体と、前記透明体を航空機の機体に装着するための装着ブラケットと、を備える、航空機フロントガラス。
【請求項10】
透明体監視システムであって、
請求項1に記載の透明体と、
前記無線センサからの前記情報を受信および処理するように構成された前記透明体の前記無線センサと無線通信する無線受信機と、を備える、システム。
【請求項11】
前記無線センサが、前記無線受信機から無線で受信された信号に応答して電力を発生させるように構成された電源をさらに備える、請求項10に記載のシステム。
【請求項12】
前記無線受信機が、前記無線センサに電力を提供するための信号を発生させるための無線周波数発生器、赤外線源、および/または超音波発生器を備える、請求項10に記載のシステム。
【請求項13】
前記無線センサが、前記シート間層の一部分の温度を表す情報を測定するように構成された無線温度センサを備える、請求項10に記載のシステム。
【請求項14】
前記透明体が、前記透明体を除霧および/または除氷するための熱を発生させるように構成された前記複数のシートのシート上の導電性コーティングをさらに備える、請求項13に記載のシステム。
【請求項15】
前記無線受信機が、前記無線温度センサからの前記シート間層の一部分の温度を表す前記情報を受信および処理し、前記受信された情報からの信号を発生させ、前記信号を前記ヒータコントローラに通信するように構成されている、請求項14に記載のシステム。
【請求項16】
前記ヒータコントローラをさらに備え、前記ヒータコントローラが、前記導電性コーティングに電流を提供するための電力供給部を備え、前記ヒータコントローラが、
前記無線受信機から前記信号を受信することと、
前記信号を処理して、前記無線温度センサによって感知された温度値を判定することと、
前記判定された温度値と所定の閾値とを比較することと、
前記電力供給部に、前記判定された温度値と前記所定の閾値との比較に基づいて、前記導電性コーティングに提供される電流の強度を調整させることと、を行うように構成されている、請求項15に記載のシステム。
【請求項17】
前記判定された温度値が前記所定の閾値を超えるときに、前記ヒータコントローラが、前記電力供給部を前記導電性コーティングから電子的に接続解除するように構成されている、請求項16に記載のシステム。
【請求項18】
前記無線受信機が、前記無線温度センサからの前記シート間層の一部分の温度を表す前記情報をデジタル信号として受信および処理し、前記デジタル信号を前記透明体に関連付けられているヒータコントローラと互換性のあるアナログ信号に変換し、前記アナログ信号を前記ヒータコントローラに通信するように構成されている、請求項14に記載のシステム。
【請求項19】
積層透明体を作製する方法であって、
前記複数のシートを一緒に接合することによって、請求項1に記載の透明体を製造するステップであって、隣接するシートが、前記シート間層によって離間されている、製造するステップと、
前記透明体の製造中に、前記複数のシートの前記隣接するシート間の前記シート間層内に前記無線センサを配置するステップと、を含む、方法。
【請求項20】
前記透明体の製造中に、前記複数のシートのうちの1つの前記主表面のうちの1つ上に導電性コーティングを塗布するステップをさらに含み、前記導電性コーティングが、前記透明体を除霧および/または除氷するための熱を発生させるように構成されている、請求項19に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、透明体、具体的には、透明体のシート間層に位置付けられた無線センサを含む透明体に関する。
【背景技術】
【0002】
透明体は、複数のシートおよびシート間層を備える積層物品であり得る。シートおよびシート間層は、当技術分野で既知であるように、従来の積層プロセスによって一緒に積層することができる。透明体は、透明体に接続され、透明体の状態に関連する情報を感知するために使用されるセンサを含むことができる。センサは、温度センサ、水分センサ、衝撃センサ、亀裂センサ、破裂センサ、アークセンサ、腐食センサ、破断センサ、電流センサ、部分放電センサ、電圧センサ、抵抗センサ、および/またはp静的センサを含む、透明体に近接する透明および/または周囲状態の異なる特性を測定するための様々な異なるセンサタイプを含むことができる。
【0003】
従来の透明体監視システムでは、センサは、センサからの情報を受信、処理、および/または分析するコントローラまたは制御システムに接続することができる。コントローラまたは制御システムは、センサから受信された情報が、透明体が許容動作限界の外で実行されていることを示すときにアクションを実行するように構成することができる。コントローラまたは制御システムによって実行されるアクションは、透明体の動作に関連する電気システムをオフにすること、または透明体の損傷を防止するために透明体の電気回路への電流の流れを制限することを含むことができる。透明体、センサ、および関連するコントローラを備える航空機フロントガラスは、米国特許第10,063,047号の第5欄、16~52行および第7欄14~50行に説明されており、これは参照により本明細書に組み込まれる。
【0004】
センサは、シートの外側に向いている表面に、またはシートの内側に向いている表面とシート間層との間に装着することができる。センサはまた、シートの表面と、透明体の周辺を取り囲む水分密封部との間に位置付けることもできる。従来の透明体では、センサは、センサからコントローラまたは制御システムに延在するワイヤを備える有線センサである。有線センサは、積層透明体に統合することができ、透明体を通って透明体の周辺縁部まで延在することができる。ワイヤは、透明体の周辺縁部の開口部を通って延在することができる。
【0005】
ワイヤおよび開口部は、航空機で使用されるものなど、従来の透明体の潜在的な故障点であり得る。水分は、開口部を通って透明体の内部に進入し、シート間層を損傷させ得る。また、ワイヤは、航空機が加圧されるとき、および/または透明体が加熱または冷却するときに、撓むかまたは曲がることがあり、これは、ワイヤをセンサに装着するはんだ接合部に応力を与えることがある。長時間の応力により、ワイヤがはんだ接合部から引き離され、センサが故障する可能性がある。センサのはんだ接合部への応力を低減するように設計されたワイヤ配置を含む温度センサは、米国特許第10,129,932号の第5欄、7~32行に説明されており、これは、参照により本明細書に組み込まれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許第10,063,047号
【特許文献2】米国特許第10,129,932号
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、複数のシートを備える透明体を含むことができる。各シートは、第1の主表面と、反対側の第2の主表面と、第1の主表面と第2の主表面との間の周辺表面と、を含むことができる。透明体は、複数のシートのシートのうちの1つの第1の主表面と複数のシートの隣接するシートの第2の主表面との間に位置付けられたシート間層と、シート間層内に位置付けられた無線センサと、をさらに含むことができる。無線センサは、透明体の一部分の状態を表す情報を測定するように構成された知覚部分と、受信された情報を無線受信機に無線で送信するように構成された無線送信機と、を備える。
【0008】
本発明はまた、先で説明される透明体のいずれかと、透明体を航空機の機体に装着するための装着ブラケットと、を備える、航空機フロントガラスも含むことができる。
【0009】
本発明はまた、先で説明される透明体のうちのいずれかと、無線センサからの情報を受信および処理するように構成された透明体の無線センサと無線通信する無線受信機と、を含む、透明体監視システムも含むことができる。
【0010】
本発明はまた、積層透明体を作製する方法であって、複数のシートを一緒に接合することによって、先で説明される透明体のうちの1つを製造するステップであって、隣接するシートがシート間層によって離間されている、製造するステップと、透明体の製造中に、無線センサを、複数のシートの隣接するシート間のシート間層内に配置するステップと、を含む、方法も含むことができる。
【0011】
本発明はまた、透明体の監視方法も含むことができる。本方法は、無線受信機を介して、透明体の一部分の温度を表す第1の信号を、透明体のシート間層内に位置付けられた無線温度センサから受信するステップと、受信された第1の信号を無線受信機のプロセッサで処理して、透明体の一部分の温度を表す第2の信号を発生させるステップと、を含むことができる。第2の信号は、透明体の導電性コーティングを加熱するように構成されたヒータコントローラと互換性があり得る。方法は、第2の信号を無線受信機からヒータコントローラに送信することをさらに含むことができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
本開示のこれらのおよび他の特徴および特性、ならびに構造の関連要素の動作および機能の方法、ならびに部品の組み合わせおよび製造の経済性は、添付図面を参照して以下の説明および添付の特許請求の範囲を考察することによってより明らかになり、これらのすべてが本明細書の一部を形成し、同様の参照番号が種々の図における対応する部品を指定する。しかしながら、図面は、単に例示および説明の目的のためのものであり、本発明の限定を定義することを意図したものではないことを明確に理解されたい。
【0013】
さらなる特徴および他の実施例および利点は、以下の図面を参照してなされる詳細な説明から明らかになるであろう。
【0014】
図1A】無線センサを含む透明体の上面図である。
図1B】線1B-1Bに沿って切断した図1Aの透明体の断面図である。
図2A図1Aの透明体で使用することができる無線温度センサの概略図である。
図2B図1Aの透明体で使用することができる無線温度センサの概略図である。
図3図1Aの透明体のための加熱装置の概略図である。
図4図1Aの透明体のための監視システムの概略図である。
図5A】航空機の概略図である。
図5B図5Aの航空機の機体にフロントガラスを接続するための装着ブラケットを含む航空機フロントガラスの一部分の概略図である。
図6】積層透明体のための製造方法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本明細書で使用するとき、「右」、「左」、「頂部」、「底部」という用語、およびその派生語は、図面に配向されているように本発明に関連するものとする。しかしながら、以下の詳細な説明の目的のために、本発明が、相反することが明示的に指定されている場合を除き、様々な代替的な変形およびステップシーケンスが想定され得ることが理解されるべきである。さらに、任意の動作の実施例以外で、または別様に示される場合以外で、例えば、本明細書および特許請求の範囲において使用される成分の量を表すすべての数字は、すべての場合において、「約」という用語によって修飾されていると理解されるべきである。したがって、相反することが示されない限り、以下の明細書および添付の特許請求の範囲に記載される数値パラメータは、本発明によって得られる所望の特性に応じて変動し得る近似値である。少なくとも、均等論の適用を特許請求の範囲に限定しようとするものではなく、各数値パラメータは、少なくとも報告された有効数字の数に照らし合わせて、かつ通常の四捨五入技法を適用することによって解釈されるべきである。
【0016】
本発明の広い範囲を記載する数値範囲およびパラメータは近似値であるにもかかわらず、特定の実施例において記載される数値は、可能な限り正確に報告される。しかしながら、任意の数値は、それらのそれぞれの試験測定値に見出される標準偏差に必然的に起因する、特定の誤差を本質的に含む。
【0017】
また、本明細書に列挙される任意の数値範囲は、その中に包含されるすべての副範囲を含むことが意図されていることが理解されるべきである。例えば、「1~10」の範囲は、列挙される最小値である1と列挙される最大値である10との間の、およびこれらを含む、任意およびすべての副範囲、すなわち、1に等しいまたは1を超える最小値で始まり、10に等しいまたは10未満の最大値で終わるすべての副範囲、およびそれらの間のすべての副範囲、例えば、1~6.3、または5.5~10、または2.7~6.1を含むことを意図している。
【0018】
加えて、本明細書では、「および/または」がある特定の例で明示的に使用され得るが、別段の明記がない限り、「または」の使用は、「および/または」を意味する。本明細書では、単数形の使用は、別段の明記がない限り、複数形を含み、複数形は単数形を包含する。さらに、本明細書で使用するとき、「a」、「an」、および「the」の単数形は、別途文脈が明確に指示しない限り、複数の指示対象を含む。例えば、本発明は、「透明体」、「無線センサ」、または「無線受信機」の観点から本明細書に説明されているが、これらの構成要素のうちのいずれかの1つもしくは1つより多く、または本明細書に列挙される任意の他の構成要素を、本開示の範囲内で使用することができる。
【0019】
本明細書で使用するとき、「通信」および「通信する」という用語は、1つもしくは1つより多くの信号、メッセージ、コマンド、または他のタイプのデータの受信または転送を指す。一方のユニットまたは構成要素が別のユニットまたは構成要素と通信することは、一方のユニットまたは構成要素が、他方のユニットまたは構成要素との間で直接的または間接的にデータを受信し、および/またはデータを送信することができることを意味する。これは、本質的に有線および/または無線とすることができる、直接的または間接的な接続を指すことができる。加えて、送信されるデータを第1および第2のユニットまたは構成要素の間で、修正、処理、ルーティング、などを行うことができる場合であっても、2つのユニットまたは構成要素は、互いに通信することができる。例えば、第1のユニットがデータを受動的に受信し、第2のユニットにデータを能動的に送信しない場合であっても、第1のユニットは、第2のユニットと通信することができる。別の例として、中間ユニットが、あるユニットからのデータを処理し、処理されたデータを第2のユニットに送信する場合、第1のユニットは、第2のユニットと通信することができる。また、数多くの他の配設も可能であることが認識されるであろう。
【0020】
図1図4を参照すると、本開示は、窓、フロントガラス、透明もしくは部分的に透明な壁パネル、基材、または類似の物品などの透明体10を対象とする。透明体10は、一般に、個人が透明体を通して物体を視認することを可能にするのに十分な可視光線透過率を有する透明または半透明の物品である。透明体10は、少なくとも10%の視覚的な光透過率を有することができる。透明体10は、当技術分野で既知であるように、従来の積層技術による複数のシートおよびシート間層を一緒に積層することによって形成することができる。透明体10は、航空機(例えば、航空機もしくはヘリコプター)、陸上車両(例えば、自動車、トラック、バス、もしくは列車)、または水上船舶などの車両に統合および/もしくは装着することができる。本明細書でさらに詳細に説明されるように、透明体10のうちの1つまたは1つより多くを、航空機の機体に装着して、航空機フロントガラスを形成することができる。
【0021】
透明体10は、透明体10の状態に関する情報を感知するための無線センサ12を備える。本明細書で使用するとき、透明体10の「状態」に関する情報は、透明体の性能、透明体の構造的完全性、透明体の周りの環境状態、透明体によって吸収される材料、および/または透明体によって生じる損傷に関連する情報を指す。無線センサ12は、透明体10上の、または透明体10内の任意の好都合な場所に位置付けることができる。無線センサ12は、透明体10のシート間層内に位置付けることができる。本明細書で使用するとき、層またはシート「に位置付けられる」センサは、層またはシートによって少なくとも部分的に封入される。センサ12は、シート間層によって完全に封入され得る。代替的に、センサ12は、シートのうちの1つと隣接するシート間層との間に封入され得る。
【0022】
本明細書でさらに詳細に説明されるように、無線センサ12は、有線センサを備える従来の透明体内に存在する潜在的な故障点を低減または排除するために提供される。車両のフロントガラスなどの従来の加熱された透明体は、加熱中の透明体を監視するための有線センサを含む。有線センサは、透明体の積層部分に統合されている。透明体の積層部分を通ってセンサから延在するワイヤは、いくつかの既知の潜在的な故障点、例えば、はんだ接合部(例えば、ワイヤがセンサ回路の他の部分に接続する)、およびワイヤが透明体から延在する開口部で、透明体を故障させる可能性がある。開口部は、透明体10への水分の進入のための場所であり得る。損傷はまた、航空機などの車両の動作中にワイヤに加えられる応力によっても引き起こされる可能性がある。透明体が加圧されると(例えば、透明体の一方の側の圧力が透明体の反対側の圧力と異なるとき)、はんだ接合部および開口部に応力が加えられる。応力は、ワイヤを損傷させる可能性があり、および/またはワイヤをはんだ接合部から接続解除させる可能性がある。ワイヤに適用される応力はまた、ワイヤを圧着するかまたは曲げることもあり、ワイヤを通過する電気信号の品質を低下させる。ワイヤおよびはんだ接合部の損傷は、透明体の性能に影響を与え、透明体の寿命を短くする可能性がある。本明細書に説明されるように、無線センサを使用することは、そのような潜在的な故障点を低減または排除し、これは、保守コストを低減し、透明体の寿命を延ばす。また、有線センサを無線センサに置き換えることは、積層中にワイヤを透明体に統合する必要がないため、製造の複雑さも低減する。
【0023】
本開示はまた、本明細書に開示される透明体10および無線センサ12を含む透明体監視システム110にも関する。監視システム110は、従来の有線センサから信号を受信するように構成された車両電気システムなどの既存の電気システムと統合するように構成することができる。本明細書にさらに詳細に説明されるように、従来の有線センサは、一般に、センサ12の知覚部分の電気抵抗を表すアナログ信号などのアナログ信号を出力する。対照的に、本開示の無線センサ12は、デジタル信号を出力することができる。本明細書に開示する監視システム110は、無線センサからの出力デジタル信号を、従来の有線センサからのアナログ信号に対応するアナログ信号に変換するように構成することができる。本明細書に開示する監視システム110はまた、透明体および/または他の車両システムの動作を制御するために、変換されたアナログ信号を車両の他の電気システムおよびデバイスに提供するように構成することもできる。
【0024】
透明体10の温度を監視するための無線温度センサ12を含む加熱された透明体10について、本明細書に開示される監視システム110は、アナログ有線温度センサによって出力されるアナログ抵抗信号に対応する電気抵抗のためのアナログ信号を出力することができる。アナログ抵抗信号は、従来のヒータコントローラ118に提供され得る。本明細書に説明されるように、従来のヒータコントローラ118は、信号が従来の有線温度センサから発生したような方法で、アナログ抵抗信号を受信し、これに作用することができる。したがって、本開示の監視システム110は、無線センサと互換性があるように電気システムを交換またはアップグレードする必要なしに、既存の電気システムおよび車両と共に容易に実装することができる。
【0025】
無線センサを有する透明体
図1Aおよび図1Bを参照すると、本開示の特徴を含む透明体10は、第1のシート14、第2のシート16、および第3のシート18などの複数のシートを備える。シート14、16、18は、第1のまたは頂部主表面20と、反対側の第2のまたは底部主表面22と、頂部主表面20と底部主表面22との間の周辺縁部または周辺表面24と、を備える。シート14、16、18の配向は、本明細書で使用するとき、本開示の範囲を限定することを意図しないが、第1のシート14は、航空機などの車両の外部に面する頂部主表面20を有するシートを指す。第3のシート18は、航空機などの車両の内部に面する底部主表面22を有するシートを指す。第2のシート16は、第1のシート14と第3のシート18との間にある。シート14、16、18は、化学的または熱的に処理されたガラスなどのガラス、および/またはプラスチックシートであり得る。透明体10は、個人が透明体10を通して物体を視認することができるように構成することができる。透明体10を見やすくするために、透明体10は、中心視野領域26と、中心視野領域26を少なくとも部分的に取り囲む周辺領域28とを画定することができる。無線センサ12および他の電子回路などの透明体10の不透明な構成要素は、中心視野領域26を通る個人の視界を妨げないように、周辺領域28内に位置付けることができる。
【0026】
透明体10は、シート14、16、18の間に位置付けられた、第1のシート間層(複数可)30および第2のシート間層(複数可)32などのシート間層をさらに備える。図1Bに示すように、第1のシート間層(複数可)30は、第1のシート14の底部主表面22と第2のシート16の頂部主表面20との間に位置付けられる。単一の第2のシート間層32は、第2のシート16の底部主表面22と第3のシート18の頂部主表面20との間に位置付けられる。シート間層30、32は、一般に、シート14、16、18よりも柔らかい材料から形成され、隣接するシートが使用中に互いに損傷するのを防止するために、シート14、16、18を互いから分離する。シート間層30、32は、ポリウレタンまたはポリビニル材料などの軟質ポリマー材料であり得る。図1Bに示すように、第1のシート間層30は、ウレタン層30a、30cと、ウレタン層30aとウレタン層30cとの間のビニル層30bと、を備えることができる。第2のシート間層32は、ポリビニル材料から形成された単層であり得る。
【0027】
透明体10は、透明体10のシート間層(複数可)30、32内に位置付けられた無線センサ12をさらに備える。透明体10は、透明体10の異なる場所に複数の無線センサ12を備えることができる。複数の無線センサ12は、各々同じタイプのセンサであり得るか、または異なるタイプのセンサであり得る。無線センサ12は、透明体10の中心視野領域26を通る個人の視界を歪めないように、透明体10の周辺領域28に位置付けることができる。
【0028】
本明細書で使用するとき、「無線センサ」は、透明体10のシート間層30、32内などの透明体10内に(図2Aおよび2Bに示される)知覚部分34を備えるセンサを指すことができる。知覚部分34は、透明体10の任意の他の電気構成要素またはデバイスにワイヤによって接続されていない。具体的には、無線センサ12の知覚部分34は、透明体10内の他の電気デバイスもしくは構成要素、または透明体10の遠隔にある電気デバイスのいずれにもワイヤによって直接接続されていない。無線センサ12は、知覚部分34からの感知された情報を、透明体10とは別の、かつこれの遠隔にある電子デバイスまたはシステムに無線で送信する。無線センサ12は、無線で電力供給することができ、かつ/または独立して電力を発生させることができる。代替的または追加的に、無線センサ12は、無線センサ12の電気構成要素に電力を提供するための、電池またはコンデンサなどのエネルギー貯蔵デバイス52(図2Aに示される)などの独立した電源を含むことができる。
【0029】
無線センサ12の知覚部分34は、透明体10の一部分の状態を表す情報を測定するように構成されている。先で考察されるように、透明体10の「状態」を監視することは、透明体10の性能、透明体10の構造的完全性、透明体10の周りの環境条件、透明体10によって吸収される材料、および/または透明体10によって生じる損傷に関連する情報を感知することを指す。無線センサ12は、加熱中の透明体10の温度を測定するための温度センサ、透明体10への水分の侵入を検出するための水分センサ、ならびに/または環境要因、透明体10への影響、および他の損傷によって引き起こされる透明体10の応力を識別するための歪みセンサを備えることができる。応力はまた、透明体10が装着されている車両の動作によって発生する車両振動および他の力によっても引き起こされ得る。異なるタイプの無線センサ12からの情報は、透明体10を監視し、透明体10に関連付けられている電気システムの動作を制御するために使用することができる。
【0030】
無線センサ12は、知覚部分34によって感知された情報を、図4に示される無線受信機112などの透明体10とは別の電子デバイスに無線で送信するために知覚部分34に電気的に接続された無線送信機36(図2Aおよび2Bに示される)をさらに備える。知覚部分34および無線送信機36を含む、無線温度センサ12の電気構成要素は、図2Aおよび2Bに示され、本明細書にさらに詳細に説明される。
【0031】
透明体10は、透明体10の周辺表面24の周りに延在しており、透明体10の周辺表面24を水分から密封するように構成される、縁部部材または水分バリア38(図1Bに示される)をさらに備えることができる。水分バリア38は、シリコーンゴムまたは他の柔軟な耐久性のある防湿材料など、任意の好適な防水密封材料から形成することができる。水分バリア38の内側表面と透明体10との間の摩擦によって、水分バリア38を透明体10の周辺縁部24に固定することができる。種々の接着剤、液体シーラント、および類似の材料を使用して、水分バリア38と透明体10との間の密封部を強化することができる。
【0032】
透明体10は、透明体10を除霧および/または除氷するための熱を発生させるための加熱装置40をさらに備える。透明体10の加熱装置40の概略図を図3に示す。加熱装置40は、シート14、16、18のうちの1つの表面の少なくとも一部分にわたって導電性コーティング42を備えることができる。図1Bに示すように、導電性コーティング42は、第1のシート14の底部主表面22の少なくとも一部分を覆っている。導電性コーティング42をシート14、16、18のうちの1つの内側に向いている表面に配置することは、導電性コーティング42を損傷から保護し、それによって透明体10の使用可能な寿命を延ばす。代替的に、導電性コーティング42は、第1のシート14の頂部主表面20など、シート12、14、16上の他の好都合な場所に堆積され得る。導電性コーティング42は、電流が適用されるときに加熱する抵抗性コーティングまたはフィルムを備えることができる。導電性コーティング42は、透明または半透明であり得、少なくとも10%の可視光透過率を有し得る。
【0033】
導電性コーティング42は、任意の好適な十分に透明または半透明の導電性材料から作ることができる。好適な材料としては、限定ではないが、PPG Industries,Inc.によって販売されているNESA(登録商標)などの熱分解性沈着フッ素ドープ酸化スズフィルム、PPG Industries Inc.によって販売されているNESATRON(登録商標)などのマグネトロンスパッタリング堆積スズドープ酸化インジウムフィルム、および/または金属フィルム(例えば、金属酸化物間銀フィルム)、酸化亜鉛、および/またはスズ酸亜鉛を含む、マグネトロンスパッタリング堆積フィルムから作られた他のコーティング材料が挙げられる。フィルムは、マグネトロンスパッタリングによって順次塗布することができる。
【0034】
加熱装置40は、導電性コーティング42に電流を提供するために導電性コーティング42に電気的に接続された要素をさらに備える。導電性コーティング42に電力を提供するための様々な導電性要素の配置および設計が既知であり、本明細書に開示される透明体10と共に使用するように適合され得る。加熱装置40の導電性要素は、透明体10の周辺視野領域28に沿って位置付けられたバスバー44、46(図1Bおよび図3に示される)を備えることができる。バスバー44、46は、導電性コーティング42および/またはシート14、16、18のうちの1つの表面に付着した金属ロッド、ストリップ、バー、または類似の細長い部材などの金属から形成される細長い導電性部材であり得る。バスバー44、46はまた、透明体10の周辺視野領域28の一部分に沿って延在する導電性金属箔でもあり得る。バスバー(複数可)44、46の寸法は、透明体のサイズ、バスバー44、46と導電性コーティング42との間を通過する電流の振幅、および他の要因に基づいて選択することができる。本開示の透明体10と共に使用することができるバスバー構成は、米国特許第10,063,047号の第6欄、3~60行に説明されており、これは参照により組み込まれる。
【0035】
本明細書にさらに詳細に説明されるように、バスバー44、46は、透明体10から電源120に延在するワイヤまたはリード122、124によって電源120に電気的に接続することができる。電源120は、導電性コーティング42を加熱する目的で、バスバー44、46に好適な直接電流または交流電流を提供することができる任意のデバイスを備えることができる。例えば、電源120は、当技術分野で既知であるように、電池、電流発生器、AC/DCコンバータ、および/または類似の電気構成要素であり得る。
【0036】
無線センサ
無線センサ12の電気構成要素は、図2Aおよび2Bに概略的に示される。先で考察されるように、無線センサ12は、温度センサ、水分センサ、歪みセンサ、腐食センサ、衝撃センサ、破断センサ、電流センサ、アークセンサ、および/または部分放電センサ、ならびに透明体の電圧、抵抗、および/またはp静的部分を測定するためのセンサを備えることができる。当業者によって認識されるように、温度センサは、温度変化に応答して特性(例えば、電気特性、剛性、粘度、サイズ、形状、体積、外観、色、または任意の他の測定可能な特性の変化)の識別可能な変化を受ける温度感応性部分または材料を含む知覚部分34を備えるセンサを指す。温度感応性部分または材料の特性の変化に関する情報を収集および処理して、センサの温度および/またはセンサ12に近接する材料の温度を検出することができる。水分センサは、水分が水分感応性材料によって吸収されると特性の変化を受ける水分感応性材料を含む知覚部分34を備えることができる。無線センサとしての使用に適合させることができる水分センサの知覚部分34は、米国特許第9,983,171号の第6欄、24~44行に開示されており、これは参照により本明細書に組み込まれる。歪みセンサは、歪み下で抵抗が変化するワイヤなどの導電性要素を備える知覚部分34を備えることができる。歪みセンサの知覚部分34はまた、圧力および/または応力が印加されると抵抗が変化する圧電材料または結晶も備え得る。
【0037】
無線センサ12の電気的構成要素の以下の考察は、無線温度センサ12を説明する。当業者によって認識されるように、透明体10の水分センサ、歪みセンサ、または任意の他のタイプの無線センサ12は、電気構成要素の類似の配置を含むことができる。図2Aおよび2Bに示すように、無線温度センサ12は、実質的に平坦な本体または基材48上に配設された平面センサであり得る。平面構造体は、透明体10のシート間層30、32のうちの1つに少なくとも部分的に埋め込まれるのに適切なサイズおよび形状であり得る。センサ12の知覚部分34は、概してサイズが小さい(例えば、任意の寸法で100μm未満)が、より大きなセンサ12もまた、本開示の範囲内で使用することができる。センサ12のアンテナまたは無線送信機は、知覚部分34よりも大きくてもよい(例えば、1mm~1インチであるか、またはそれより大きい)。本体または基材48は、繊維ガラス、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、または任意の他の好都合な材料など、プリント基板の製造に一般的に使用される材料から形成することができる。基材48はまた、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリイミドフィルム(例えば、KAPTON(登録商標))、および/または積層合成紙(例えば、TESLIN(登録商標))を含む、印刷電子機器の製造で使用される他の材料から形成され得る。さらに、これらのシステムは、反対側のガラス表面、積層前のウレタン上に印刷されるか、または導電性ヒータ材料からエッチングされ得る。
【0038】
無線温度センサ12は、本体または基材48に装着することができる知覚部分34をさらに備える。知覚部分34は、無線温度センサ12に直接隣接する透明体10のシート間層30、32の一部分の温度を表す信号を感知するように構成することができる。知覚部分34は、サーミスタ、熱電対、抵抗温度検出器、および/または赤外線検出器を含む温度を表す信号を感知するように構成された様々な電子構成要素を含むことができる。これらの電気構成要素の各々は、温度の変化に応答して識別可能な抵抗変化を放出するように構成されている。
【0039】
無線温度センサ12は、知覚部分34に電気的に接続され、知覚部分34によって感知された情報を無線受信機112などの遠隔電子デバイスに無線で送信するように構成された無線送信機36をさらに備える。無線送信機36は、低電力短距離アンテナまたは近距離通信アンテナなどの、短距離データ送信のための1つまたは1つより多くのアンテナを備えることができる。代替的または追加的に、無線送信機36は、セルラネットワークに接続し、セルラネットワークを通じてデータを送信するように構成されたセルラ送信機などの、長距離データ送信のための回路を備えることができる。
【0040】
当業者によって認識されるように、無線温度センサ12から遠隔デバイスに送信されるデータは、データ破損、信号ノイズ、および/または損失データ送信によって引き起こされるエラーを低減するために、様々な周波数で送られるおよび/または複数回送られる必要があり得る。データ破損を回避し、エラーを低減するために、同じデータセットまたは信号は、データが遠隔デバイスによって受信される可能性を増加させるために、互いとのおよび外部周波数との干渉を回避するのに十分に離れている2つの周波数で送ることができる。冗長データセットが同時に異なる周波数で送信されている場合、信号は互いとの干渉を避けるために1MHzまたはそれより大きい間隔を空ける必要があり得る。データセットが次々に2つの周波数で送られている場合、送られた信号は互いと干渉しないため、使用される周波数は互いに近くなり得る。その場合、データセットは、任意の外部周波数との干渉を避けるために、複数の周波数で送られる。データは、毎秒5回(例えば、0.2秒ごと)、毎秒20回(例えば、0.05秒ごと)、または毎秒100回(例えば、0.01秒ごと)などの規則的な間隔で送られ得る。
【0041】
遠隔受信デバイス(例えば、無線受信機112)は、受信されたデータ(例えば、受信された温度値)をエラーチェックするように構成することができる。エラーチェックは、同じセンサから異なる時間に受信されたデータを比較して、エラーまたは異常値を識別することを含むことができ、これは、特定のデータが正しくない、および/または破損していることを示している。他の受信した温度値と著しく異なる受信された温度値は、無視することができる。送信されたデータの検証のための他の標準的なエラーチェックおよび/またはデータ修正プロセスもまた、遠隔デバイスによってセンサ12から受信されたデータが正確かつ完全であることを保証するために使用することができる。受信されたデータを検証するためのエラーチェック方法は、チェックサム(例えば、データストリームの一部は、常に同じ数まで加算されるように構成される)、パリティビット(例えば、ソースが正確であることを保証するためにソースビットのグループに追加されるビット)、巡回冗長性チェック、ハッシュ関数、エラー訂正コード、ならびに当技術分野で既知であるような類似の検証およびエラーチェックプロセスを含むことができる。
【0042】
無線温度センサ12は、知覚部分34および無線送信機36に電力を提供するための電気構成要素をさらに備えることができる。図2Aに示すように、無線センサ12は、エネルギー貯蔵デバイス52に電気的に接続された電源50を備えることができる。電源50は、周囲信号または送信された信号などの外部刺激または信号に応答して電流を発生させるように構成された発電器であり得る。電源50はまた、電力を受信し、電力をセンサ12の他の構成要素に提供するように構成された送信機または受信機デバイスでもあり得る。エネルギー貯蔵デバイス52は、フロントガラスの予想される使用可能な寿命のために無線センサ12に電力を提供するのに十分な電荷を有することができる。エネルギー貯蔵デバイス52はまた、電源50から電力を受信する充電可能な電池でもあり得る。エネルギー貯蔵デバイス52からの電力は、電源50が電力を発生させていないときに無線センサ12の構成要素を動作させるために、および/または無線センサ12を動作させるために追加の電力が必要なときに、電源50によって生成された電力を補完するために使用することができる。
【0043】
電源50は、当技術分野で既知であるように、外部電子デバイスまたは信号発生器から提供される無線周波数信号などの起動信号にさらされたときに電力を生成するように構成された、無線周波数充電またはエネルギー採取アンテナであり得る。電源50はまた、振動エネルギー、太陽エネルギー、または熱エネルギーを含む他の刺激またはエネルギー源から電力を提供するように構成することもできる。本開示のセンサ12と共に使用され得るエネルギー採取アンテナは、ペンシルベニア州ピッツバーグに位置するPowercast Corporationによって製造されたPOWERHARVESTER(登録商標)Receiverである。電源50は、センサ12の知覚部分34および/または無線送信機36を動作させるのに十分な電力を生成するように構成されている。そのような電子構成要素を動作させるために、電源50は、異なる知覚部分34および送信機36の要件に応じて、0.5mA~2.0Aまたはそれより大きいものを生成し得る。無線温度センサ12は、単一のアンテナのみを含むことができる。単一のアンテナは、無線周波数信号にさらされたときに電力を発生させることと、無線温度センサ12から無線受信機112などの遠隔デバイスに感知された信号を無線で送信することの両方のために構成することができる。代替的に、無線温度センサ12は、異なる機能を実行するための複数のアンテナを備えることができる。アンテナのうちの1つは、感知されたデータを遠隔デバイスに送信するように構成された無線送信機であり得る。第2のアンテナは、無線温度センサ12のための電力を発生させるためのエネルギー採取アンテナであり得る。
【0044】
電源50はまた、導電性コーティング42によって発生する熱など、透明体10によって発生する熱から電力を発生させる熱電部材も備えることができる。先で考察されるように、導電性コーティング42に電流が適用されるとき、導電性コーティング42は、透明体10を除氷および/または除霧するために熱を発生させる。無線温度センサ12の熱電部材は、導電性コーティング42が熱を発生させるときに電力を発生させるように構成することができる。電力が発生すると、センサ12の知覚部分34は、加熱された透明体10の温度など、透明体10の状態に関する情報を感知し始めるように構成することができる。感知された温度信号は、知覚部分34から無線送信機36に提供され得る。熱電部材から生成された電力は、無線送信機36に温度信号を処理させ、図4に示される無線受信機112などの遠隔電子デバイスに送信させることができる。
【0045】
図2Bに示すように、無線センサ12はまた、いずれの種類のエネルギー貯蔵デバイスも電池も伴わずに提供され得る。代わりに、図2Bに示すように、無線センサ12は、無線センサ12の知覚部分34および無線送信機36に電気的に接続されたエネルギー採取アンテナ54を備える。先で考察されるように、エネルギー採取アンテナ54は、無線受信機112などの遠隔デバイスからの送信信号などの電力を受信するように構成されている。エネルギー採取アンテナ52は、受信された電力を知覚部分34および無線送信機36に提供する。図2Bのセンサ12は、電池または貯蔵デバイスを含まないため、センサ12は受動的であり、送信された信号がセンサ12に提供されているときにのみ動作する。他の時間において、センサ12は、透明体10の温度を感知しないか、または無線受信機112などの遠隔デバイスにデータを送信しない。
【0046】
透明体監視システム
本明細書に開示される透明体10および無線センサ12は、車両のフロントガラスの監視システムなどの透明体監視システム110と統合されるように構成することができる。図4に示すように、透明体監視システム110は、透明体10および無線センサ12のうちの1つまたは1つより多くを備える。無線センサ12は、透明体10の一部分の状態を表す情報を測定するように構成された知覚部分34と、受信した情報を無線受信機112などの遠隔電気デバイスに無線で送信するように構成された無線送信機36と、を備える。先で考察されるように、本明細書に開示される透明体10および無線センサ12は、車両または建物の既存の電気システムなど、既存の電気システムと統合されるように適合することができる。したがって、車両の透明体監視システム110に対して、システム110は、既存のヒータコントローラ118、表示デバイス、制御パネル、ユーザインターフェース、および車両に見られる他の電子システムなどの既存の電気システムを含むか、またはこれらに電気的に接続することができる。無線温度センサ12から収集された情報はまた、フロントガラスワイパーを制御するための雨センサからの情報と共に、および/またヘッドライトの自動調光制御のための光センサからの情報と共に使用することもできる。
【0047】
監視システム110の無線受信機112は、無線送信機、アンテナ、および無線センサ12からの電子信号を送信および受信するためのハウジング114に囲まれた信号発生器などの回路を含む専用電子デバイスであり得る。無線受信機112は、透明体10の内側表面などの透明体10に装着することができる。無線受信機112はまた、透明体10とは別であってもよい。本明細書で使用するとき、「とは別である」は、無線受信機112が透明体10に付着または装着されていない、および/または透明体10のいずれの部分とも物理的に接触していないことを意味する。代わりに、無線受信機112は、車両の別の部分に装着され得る。航空機の場合、無線受信機112は、航空機コックピットの内側に位置し、航空機の機体の一部分に装着され得る。機体に装着されるのではなく、無線受信機112は、航空機を動作させるための他の電子デバイスおよびアビオニクスデバイスを含むキャビネットなどの、航空機内側の電子機器キャビネット内に位置付けられ得る。代替的に、無線受信機112は、車両の内側または車両の外側のいずれかの任意の他の好都合な場所に位置付けることができる。無線センサ12の無線送信機36が、セルラ送信機などの長距離送信機であるとき、無線受信機112は、中央保守施設などに、透明体10および車両から遠くに位置し得る。その場合、中央保守施設におけるコンピュータサーバは、異なる透明体10および/または異なる航空機上に位置する無線センサ12からデータを受信するように構成され得る。
【0048】
無線受信機112は、無線センサ12の無線送信機36によって送信される信号を無線で受信するように構成された1つまたは1つより多くの無線アンテナ130を備える。一般に、受信された信号は、無線センサ12の知覚部分34によって感知された情報に基づいて発生したデジタル信号である。無線受信機112は、単一の無線センサ12から、または1つの透明体10上に位置する複数の無線センサ12から信号を受信するように構成することができる。無線受信機112はまた、車両のフロントガラスを形成するために一緒に接合された複数の透明体10などの複数の透明体10上の無線センサ12から信号を受信するように構成することもできる。無線受信機112は、受信されたデジタル信号を処理し、受信されたデジタル信号をアナログ信号に変換することができる。変換されたアナログ信号は、既存の車両およびフロントガラスで使用される従来の有線センサによって出力されるアナログ信号に類似し得る。
【0049】
例として、有線温度センサは、サーミスタ(例えば、抵抗温度デバイス)の抵抗を表すアナログ信号を出力する。無線受信機112は、そのようなアナログ抵抗信号を模倣するように構成することができる。より具体的には、無線受信機112は、透明体10の一部分の温度を表す無線温度センサ12からデジタル信号を受信するように構成することができる。無線受信機112は、無線受信機112によって出力される信号が経時的な抵抗のためのアナログ信号であるように、デジタル信号を変換することができる。出力信号の振幅は、無線温度センサ12によって測定された温度を表すことができる。
【0050】
無線受信機112によって出力されるアナログ信号は、車両のいくつかの既存のシステムおよびデバイスに提供され得る。アナログ信号は、従来の有線センサからアナログ信号を受信するように構成された表示デバイスなどの車両の表示デバイス116に提供され得る。表示デバイス116は、受信したアナログ信号を処理して、透明体10の状態を表す測定値を判定し、判定された測定値(複数可)をユーザに表示させるように構成することができる。表示デバイス116は、判定された値を表す数値を表示する数値ディスプレイ(例えば、英数字を表示するように構成されたディスプレイ)であり得る。表示デバイス116はまた、透明体10の状態に関する情報をユーザに伝達するための、実際のまたは仮想のゲージ、ダイヤル、または他の視覚インジケータも備えることができる。
【0051】
アナログ信号はまた、無線受信機112から車両の動作を制御する電気システムにも提供され得る。図4に示すように、無線受信機112は、ヒータコントローラ118に電気的に接続することができる。ヒータコントローラ118は、透明体10の加熱装置40に電気的に接続され、導電性コーティング42に電流を提供して導電性コーティング42を加熱するように構成されている。無線受信機112と、ヒータコントローラ118と、加熱装置40と、の間の電気接続は、一般に、有線接続であり、加熱装置40および無線受信機112からヒータコントローラ118までワイヤが延在している。しかしながら、無線接続はまた、ヒータコントローラ118、無線受信機112、および/または加熱装置40の間のデータを送信するために使用することもできる。無線通信を容易にするために、ヒータコントローラ118は、無線通信を無線受信機112に送信するための無線送信機または送受信機を備えることができる。
【0052】
先で考察されるように、ヒータコントローラ118は、加熱装置40に電流を提供するために既存の車両で使用される従来のヒータコントローラであり得る。加熱コントローラ118は、透明体10の導電性コーティング42に電流を提供するための電源120を備えることができる。図3および図4に示すように、電源120から加熱装置40に電力を提供するために、ワイヤリード122、124は、電源120から透明体10のバスバー44、46まで延在することができる。電源120によって発生した電流は、リード122、124を通過し、バスバー44、46を通って導電性コーティング42に至る。
【0053】
ヒータコントローラ118は、透明体10内の無線温度センサ12から受信された情報に基づいて、電源120から導電性コーティング42への電流の強度を制御するように構成することができる。コーティング42の温度を制御するために、ヒータコントローラ118は、無線受信機112から信号を受信するように構成することができる。ヒータコントローラ118は、無線温度センサ12によって感知された温度値を判定するための信号を処理し、判定された温度値と所定の閾値とを比較する。閾値は、導電性コーティング42または透明体10の最大安全動作温度であり得る。閾値はまた、フロントガラス上の任意の氷を溶かし、透明体10から霧および結露を除去するのに十分な温度とすることもできる。測定値と閾値との比較に基づいて、ヒータコントローラ118は、導電性コーティング42および透明体10への損傷を防止するために、電源120から導電性コーティング42への電流の流れを調整するように構成することができる。ヒータコントローラ118は、導電性コーティング42から電源120を完全に接続解除するためのスイッチ126をさらに備えることができる。図4に示すように、スイッチ126は、リード122、124のうちの1つに沿って位置付けることができる。測定された温度が許容温度範囲の実質的に外側にある場合、ヒータコントローラ118は、スイッチ126を開いて、電源120を導電性コーティング42から接続解除するように構成することができる。リード122、124を通って導電性コーティング42に電流が流れないとき、導電性コーティング42の温度は、適用された電流によってもはや上昇しない。導電性コーティング42への電流の流れを停止させることは、導電性コーティング42の過熱を防止することができ、および/またはアークによって引き起こされるコーティング42もしくは透明体10への損傷を防止することができる。
【0054】
無線センサ12からの感知された情報を受信し、アナログ信号を他の電気システムおよびデバイスに提供することに加えて、無線受信機112はまた、発電のために無線センサ12に信号を提供するように構成することもできる。先で考察されるように、無線センサ12は、別のデバイスからの電磁信号にさらされると、センサ12の知覚部分34および/または無線送信機36を動作させるのに十分な電力を生成する、電源50を含むことができる。無線受信機112は、無線センサ12にこのような電力供給信号を提供するように構成することができる。電磁信号を生成するために、無線受信機112は、無線周波数発生器、光源、超音波発生器、および/または他の無線電力送信システムなどの信号発生器128を備えることができる。信号発生器128は、無線センサ12に電力供給するための電磁信号を継続的に、周期的に、または予定外の間隔で生成するように構成することができる。無線センサ12は、発生器50によって生成された電力を使用して、知覚部分34および/または無線送信機36に電力供給することができる。代替的に、発生した電力は、エネルギー貯蔵デバイス52内に貯蔵される。十分な電力が発生し、かつ/またはエネルギー貯蔵デバイス52に貯蔵されると、センサ12の無線送信機36は、センサ読み取り値を表す信号を発し始めることができる。無線受信機112は、送信機36からの発せられた応答信号を検出し、先で説明されるように受信された信号を処理するように構成することができる。
【0055】
航空機フロントガラス
本明細書に開示される透明体10および無線センサ12は、航空機210などの車両に一体化することができる。図5Aおよび5Bに示すように、本開示の特徴を含む航空機210は、装着ブラケット218によって航空機210の機体216の前方部分またはコックピット部分214に装着された航空機フロントガラス212を備えることができる。フロントガラス212は、好適な視認領域またはパイロットが航空機210を安全に操作するための領域を形成するために、互いに隣接して装着された任意の数の別の透明体10から形成することができる。図5Aに示すように、フロントガラス212は、並んで配列された3つの透明体10を含む。他の航空機フロントガラスは、3つより少ないかまたは3つより多い透明体10を含むことができる。いくつかのフロントガラスは、2つまたは2つより多い列の透明体10を含むことができる。他の場合では、図5Aに示すように、フロントガラス212は、フロントガラス212を形成するために並べて配列された透明体10の単一の列から形成される。航空機210はまた、本開示の透明体10および無線センサ12を備えることもできるキャビンまたは乗員窓224も備える。
【0056】
図5Bを具体的に参照すると、装着ブラケット218は、透明体10のうちの1つまたは1つより多くを航空機210の機体216に接続するための任意の好都合な構造体であり得る。装着ブラケット218は、透明体10の周辺領域28上の穴と位置合わせするように構成された穴220を含み得る。ボルトまたは類似のファスナ222は、装着ブラケット218の穴220および透明体10を通して挿入されて、透明体10を装着ブラケット218に取り付けることができる。透明体10と装着ブラケット218との間の接続を強化するために、透明体10の周辺表面24の周り、および/または透明体10の部分と装着ブラケット218の部分との間に、水分密封部などの絶縁および密封構造体が提供され得る。
【0057】
本明細書に開示する透明体監視システム110の様々な電子構成要素は、航空機210の内側に提供され、透明体10の無線センサ12と有線または無線で電子通信するように構成することができる。特に、無線受信機112は、無線受信機112が近距離データ送信デバイスを使用して無線センサ12と電子通信することができるように、透明体10に近接して航空機の機体216に装着することができる。無線受信機112は、パイロットに測定値を表示するために航空機パイロットによって使用される制御パネルまたはデジタルディスプレイなど、航空機210の電気システムと有線接続することができる。また、無線受信機112は、先で説明されるように、ヒータコントローラ118などの既存の航空機制御システムと有線通信することができる。
【0058】
作製方法
本開示の無線センサ12を含む透明体10を作製するための方法は、図6のフローチャートによって示される。
【0059】
ステップ310に示すように、方法は、導電性コーティング42をガラスまたはプラスチックシート14、16、18の表面に塗布するステップを含む。先で考察されるように、導電性コーティング42は、導電性コーティング42を除氷および除霧のために加熱するために電源120に電気的に接続されるように構成されている。導電性コーティング42は、シート14、16、18の内側に面する側部に塗布され得るため、導電性コーティング42は、物体がシート14、16、18の最も外側の表面に接触したときに引き起こされる損傷から保護される。導電性コーティング42はまた、積層の前またはシート14、16、18およびシート間層(複数可)30、32が一緒に積層されて透明体10を形成した後のいずれかで、シート14、16、18のうちの1つの最も外側のまたは外側に面している表面に塗布することもできる。
【0060】
ステップ312において、方法は、透明体10のシート14、16、18のうちの1つ上の好都合な場所に無線センサ12を配置するステップをさらに含む。無線センサ12は、シート14、16、18のうちの1つの最も外側の表面と、透明体10の周辺の周りに延在する水分バリア38との間に位置付けるセンサ12の場合と同様に、透明体10のシート14、16、18のうちの1つの最も外側の表面に位置付けることができる。無線センサ12はまた、無線センサ12を保護するために、透明体10のシート間層30、32内に少なくとも部分的に埋め込むことができ、それによって、透明体10の使用可能な寿命を延ばす。センサ12を透明体10内に少なくとも部分的に埋め込むために、センサ12は、積層後に、無線センサ12がシート14、16、18の内側に面している表面とシート間層30、32との間に封入されるように、シート14、16、18のうちの1つの内側に面している表面に接続され得る。無線センサ12はまた、形成中および/またはシート間層30、32の硬化または積層の前に、シート間層30、32に押し込むことができ、これにより、積層後に無線センサ12がシート間層30、32によって完全に封入されるようになる。
【0061】
当業者によって認識されるように、透明体10の意図された用途に応じて、追加の作製ステップを実行することができる。追加のコーティング層は、積層の前または後にシート14、16、18の表面に塗布されて、透明体10を保護する、および/または改善された性能を提供することができる。透明体10に塗布され得るコーティングは、紫外線耐性コーティング、反射コーティング、および/または偏光コーティング、ならびに当技術分野で既知である他のタイプの保護コーティングを含むことができる。
【0062】
ステップ314において、方法は、電流が導電性コーティング42に適用され得るように、ワイヤリード122、124、および/またはバスバー44、46などの加熱装置40の導電性要素を、導電性コーティング42に装着するステップをさらに含むことができる。また、リード122、124は、透明体10のシート14、16、18のうちの1つ上のバスバー44、46に接続することができる。リード122、124は、透明体10から延在し、ヒータコントローラ118に接続することができる。
【0063】
ステップ316において、導電性コーティング42およびセンサ12がシート14、16、18またはシート間層30、32上に配置された後、透明体10は、シート14、16、18およびシート間層30、32を一緒に接合することによって生成することができる。シート14、16、18およびシート間層30、32は、当技術分野で既知であるように、積層プロセスによって一緒に接合されて、複数の相互接続シート14、16、18およびシート間層30、32を含む積層透明体10を生成することができる。ステップ318において、シート14、16、18および/またはシート間層30、32の間から空気を除去して、明確な単一の透明構造体を生成するために、オートクレーブプロセスを透明体10に適用することができる。オートクレーブ後、水分が透明体10に進入することを防止するために、シーラント材料を透明体10に塗布することができる。
【0064】
ステップ320において、方法は、透明体10を車両に設置するステップをさらに含む。透明体10の設置は、透明体10から車両の電気システムまで延在するワイヤリードを接続するステップを含むことができる。透明体の設置はまた、透明体10をフレームに装着するステップ、および/またはフレームを車両の対応するフレームに接続するステップも含むことができる。透明体10を設置するステップはまた、無線受信機112などの関連する電子デバイスを、透明体10に、または透明体10に近接する車両の一部分に接続するステップも含むことができ、これにより、受信機112は透明体内のセンサ12に信号を送り、センサ12から応答信号を受信することができる。
【0065】
本発明の特定の実施形態は、例示の目的で、上で説明されているが、添付の特許請求の範囲に定義される本発明から逸脱することなく、本発明の詳細について多数の変形が行われ得ることは当業者に明らかであろう。
【0066】
したがって、上述の説明を考慮して、本発明は、とりわけ、以下の項の内容に関するが、これらに限定されるものではない。
【0067】
項1:透明体であって、複数のシートであって、各シートが、第1の主表面、反対側の第2の主表面、および第1の主表面と第2の主表面との間の周辺表面、を備える、複数のシートと、複数のシートのシートのうちの1つの第1の主表面と、複数のシートの隣接するシートの第2の主表面との間に位置付けられたシート間層と、シート間層内に位置付けられた無線センサであって、透明体の一部分の状態を表す情報を測定するように構成された知覚部分、および受信された情報を無線受信機に無線で送信するように構成された無線送信機を備える、無線センサと、を備える、透明体。
【0068】
項2:無線センサが、温度センサ、水分センサ、歪みセンサ、腐食センサ、衝撃センサ、破断センサ、電流センサ、アークセンサ、部分放電センサ、電圧センサ、抵抗センサ、またはp静的センサを備える、項1に記載の透明体。
【0069】
項3:無線センサが、温度センサを備え、温度センサの知覚部分が、サーミスタ、熱電対、および/または赤外線検出器を備える、項1または項2に記載の透明体。
【0070】
項4:無線センサが、無線センサの知覚部分および/または無線送信機に電力を提供するための電源を備える、項1~3のいずれか1つに記載の透明体。
【0071】
項5:電源が、周囲または送信された信号からエネルギーを収集するように構成されたエネルギー採取アンテナを備える、項4に記載の透明体。
【0072】
項6:無線送信機が、低電力短距離アンテナ、無線周波数充電アンテナ、および/または近距離通信アンテナを備える、項1~5のいずれか1つに記載の透明体。
【0073】
項7:複数のシートのうちの1つの主表面のうちの1つ上の導電性コーティングをさらに備え、導電性コーティングが、透明体を除霧および/または除氷するために熱を発生させるように構成されており、無線センサが、知覚部分におよび/または無線送信機に電力を提供するための電源を備えており、電源が、導電性コーティングの加熱に起因して電力を発生させるように構成された熱電部材を備える、項1~6のいずれか1つに記載の透明体。
【0074】
項8:1つより多い無線センサを備え、1つより多い無線センサが、第1のタイプの第1の無線センサと、第1のタイプとは異なる第2のタイプの第2の無線センサと、を備え、無線センサのタイプが、温度センサ、水分センサ、歪みセンサ、腐食センサ、衝撃センサ、破断センサ、電流センサ、アークセンサ、部分放電センサ、電圧センサ、抵抗センサ、またはp静的センサである、項1~7のいずれか1つに記載の透明体。
【0075】
項9:項1~8のいずれか1つに記載の透明体と、透明体を航空機の機体に装着するための装着ブラケットと、を備える、航空機フロントガラス。
【0076】
項10:項1~8のいずれか1つに記載の透明体と、無線センサからの情報を受信および処理するように構成された透明体の無線センサと無線通信する無線受信機と、を備える、透明体監視システム。
【0077】
項11:無線センサが、無線受信機から無線で受信された信号に応答して電力を発生させるように構成された電源をさらに備える、項10に記載のシステム。
【0078】
項12:無線受信機が、無線センサに電力を提供するための信号を発生させるための無線周波数発生器、赤外線源、および/または超音波発生器を備える、項10または項11に記載のシステム。
【0079】
項13:無線センサが、シート間層の一部分の温度を表す情報を測定するように構成された無線温度センサを備える、項10~12のいずれか1つに記載のシステム。
【0080】
項14:透明体が、透明体を除霧および/または除氷するための熱を発生させるように構成された複数のシートのシート上の導電性コーティングをさらに備える、項13に記載のシステム。
【0081】
項15:無線受信機が、無線温度センサからのシート間層の一部分の温度を表す情報を受信および処理し、受信された情報からの信号を発生させ、信号をヒータコントローラに通信するように構成されている、項14に記載のシステム。
【0082】
項16:ヒータコントローラをさらに備え、ヒータコントローラが、導電性コーティングに電流を提供するための電力供給部を備え、ヒータコントローラが、無線受信機から信号を受信することと、信号を処理して、無線温度センサによって感知された温度値を判定することと、判定された温度値と所定の閾値とを比較することと、電力供給部に、判定された温度値と所定の閾値との比較に基づいて、導電性コーティングに提供される電流の強度を調整させることと、を行うように構成されている、項15に記載のシステム。
【0083】
項17:判定された温度値が所定の閾値を超えるときに、ヒータコントローラが、電力供給部を導電性コーティングから電子的に接続解除するように構成されている、項16に記載のシステム。
【0084】
項18:無線受信機が、無線温度センサからのシート間層の一部分の温度を表す情報をデジタル信号として受信および処理し、デジタル信号を透明体に関連付けられているヒータコントローラと互換性のあるアナログ信号に変換し、アナログ信号をヒータコントローラに通信するように構成されている、項14~17のいずれか1つに記載のシステム。
【0085】
項19:積層透明体を作製する方法であって、複数のシートを一緒に接合することによって、項1~8のいずれか1つに記載の透明体を製造するステップであって、隣接するシートがシート間層によって離間されている、製造するステップと、透明体の製造中に、無線センサを複数のシートの隣接するシート間のシート間層内に配置するステップと、を含む、方法。
【0086】
項20:透明体の製造中に、複数のシートのうちの1つの主表面のうちの1つ上に導電性コーティングを塗布するステップをさらに含み、導電性コーティングが、透明体を除霧および/または除氷するための熱を発生させるように構成されている、項19に記載の方法。
【0087】
項21:透明体の監視方法であって、無線受信機を介して、透明体のシート間層内に位置付けられた無線温度センサからの透明体の一部分の温度を表す第1の信号を受信するステップと、無線受信機のプロセッサで、受信された第1の信号を処理して、透明体の部分の温度を表す第2の信号を発生させるステップであって、第2の信号が、透明体の導電性コーティングを加熱するように構成されたヒータコントローラと互換性がある、発生させるステップと、第2の信号を無線受信機からヒータコントローラに送信するステップと、を含む、透明体の監視方法。
【0088】
項22:ヒータコントローラで、無線受信機からの第2の信号を受信するステップと、ヒータコントローラのプロセッサで、第2の信号を処理して、無線温度センサによって感知される温度値を判定するステップと、ヒータコントローラのプロセッサで、判定された温度値を所定の閾値と比較するステップと、ヒータコントローラの電力供給部に、判定された温度値と所定の閾値との間の比較に基づいて、透明体の導電性コーティングに提供される電流の強度を調整させるステップと、をさらに含む、項21に記載の方法。
【0089】
項23:判定された温度値が所定の閾値を超えるときに、電力供給部を導電性コーティングから電子的に接続解除するステップをさらに含む、項22に記載のシステム。
【0090】
項24:第1の信号が、アナログ信号を含み、第2の信号が、デジタル信号を含む、項21~23のいずれか1つに記載のシステム。
図1A
図1B
図2A
図2B
図3
図4
図5A
図5B
図6
【国際調査報告】