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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-12-02
(54)【発明の名称】光学系を洗浄するための装置
(51)【国際特許分類】
   B60S 1/62 20060101AFI20221125BHJP
   B08B 3/02 20060101ALI20221125BHJP
【FI】
B60S1/62 120B
B08B3/02 F
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022520616
(86)(22)【出願日】2020-09-02
(85)【翻訳文提出日】2022-05-13
(86)【国際出願番号】 EP2020074405
(87)【国際公開番号】W WO2021063618
(87)【国際公開日】2021-04-08
(31)【優先権主張番号】1911041
(32)【優先日】2019-10-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】512092737
【氏名又は名称】ヴァレオ システム デシュヤージュ
【氏名又は名称原語表記】VALEO SYSTEMES D’ESSUYAGE
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【弁理士】
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100127465
【弁理士】
【氏名又は名称】堀田 幸裕
(74)【代理人】
【識別番号】100202304
【弁理士】
【氏名又は名称】塙 和也
(72)【発明者】
【氏名】バティスト、ベジア
(72)【発明者】
【氏名】マルゴー、ボーベ
【テーマコード(参考)】
3B201
3D225
【Fターム(参考)】
3B201AA47
3B201AB51
3B201BB22
3B201BB92
3D225AA11
3D225AC02
3D225AD22
(57)【要約】
本発明は、車両の少なくとも1つの光学系(5)を洗浄するための洗浄装置(2)であって、チャンバ(32)を画定するシリンダ本体(31)と、チャンバ(32)内で移動できるピストン(33)と、ピストン(33)に接続されるロッド(34)とを備えるアクチュエータ(3)を備え、ロッド(34)の一端が、アクチュエータ本体(31)から出現し、ロッド(34)が、ロッド(34)の端部に形成された少なくとも1つの洗浄流体噴射要素(36)を備え、ロッド(34)が、チャンバ(32)を少なくとも1つの噴射要素(36)に接続する少なくとも1つの洗浄流体循環ダクト(35)を備え、洗浄装置(2)が、ピストン(33)の位置にしたがって作動される少なくとも1つのスイッチ(4)を備えることを特徴とする、洗浄装置(2)に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の少なくとも1つの光学系(5)を洗浄するための洗浄装置(2)であって、
チャンバ(32)を画定するシリンダ本体(31)と、前記チャンバ(32)内で移動できるピストン(33)と、前記ピストン(33)に接続されるロッド(34)とを備えるシリンダ(3)を備え、
前記ロッド(34)の一端が、前記シリンダ本体(31)から出現し、
前記ロッド(34)が、前記ロッド(34)の端部に設けられる少なくとも1つの洗浄流体噴射要素(36)を備え、
前記ロッド(34)が、前記チャンバ(32)を前記少なくとも1つの噴射要素(36)に接続する少なくとも1つの洗浄流体循環チャネル(35)を備え、
前記洗浄装置(2)が、前記ピストン(33)の位置にしたがって作動されるスイッチ(4)を備えることを特徴とする、洗浄装置(2)。
【請求項2】
前記スイッチ(4)は、前記シリンダ本体(31)と一体の少なくとも2つの電気端子(41)と、前記ピストン(33)によって支持される接触部材(42)とを備え、前記スイッチ(4)は、前記少なくとも2つの電気端子(41)が前記接触部材(42)によって電気的に接触されるときに作動されるように構成される、請求項1に記載の洗浄装置(2)。
【請求項3】
前記シリンダ本体(31)は、2つの端部と、前記2つの端部にそれぞれ配置される2つの端壁(381,382)とを有する管状部(37)を備え、前記少なくとも2つの電気端子(41)が、前記端壁(381,382)のうちの一方によって支持される、請求項2に記載の洗浄装置(2)。
【請求項4】
前記スイッチ(4)は、前記ピストン(33)によって支持される少なくとも1つの磁石(43)と、前記シリンダ本体(31)によって支持される少なくとも1つの磁気センサ(44)とを備え、前記スイッチ(4)は、前記少なくとも1つの磁石(43)が前記少なくとも1つの磁気センサ(44)と対向しているときに作動されるように構成される、請求項1に記載の洗浄装置(2)。
【請求項5】
前記シリンダ本体(31)は、2つの端部と、前記2つの端部にそれぞれ配置される2つの端壁(381,382)とを備える管状部(37)を備え、前記少なくとも1つの磁気センサ(44)が、前記管状部(37)に配置される、請求項4に記載の洗浄装置。
【請求項6】
前記スイッチ(4)は、前記管状部(37)に沿う複数の位置に配置されるように構成される複数の磁気センサ(44)を備える、請求項5に記載の洗浄装置(2)。
【請求項7】
車両の少なくとも1つの光学系(5)を洗浄するための洗浄システム(1)であって、請求項1から6のいずれか一項に記載の少なくとも1つの洗浄装置(2)と、洗浄流体リザーバ(11)と、前記洗浄流体を前記リザーバ(11)から前記シリンダ(3)の前記チャンバ(32)に移送するポンプ(12)とを備え、前記ポンプ(12)の動作が前記スイッチ(4)の依存下に置かれる、洗浄システム(1)。
【請求項8】
前記ポンプ(12)の前記動作は、前記スイッチ(4)の作動時に中断される、請求項7に記載の洗浄システム(1)。
【請求項9】
請求項7又は8に記載の洗浄システム(1)を実装する車両の光学系(5)を洗浄するための方法であって、
-前記ポンプ(12)は、前記ピストン(33)の移動及び前記光学系(5)への前記洗浄流体の噴射を引き起こすように動作され、
-前記スイッチは、前記ピストン(33)の位置にしたがって作動され、
-前記ポンプ(12)の動作は、前記スイッチ(4)が作動されるときに中断される、
方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両を洗浄するための装置の分野に関し、より詳細には、車両に配置される光学系を洗浄するための装置に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車市場の革新の進行に伴い、車両に存在する光学系、例えばセンサの数は、近年著しく増加してきた。したがって、そのような光学系を洗浄する必要性が急速に感じられた。
【0003】
ロッドを備えるシリンダを伴って光学系付近に洗浄装置をセットアップすることが知られており、ロッドは、シリンダ本体から出現するとともに、ロッドの出現端に位置される噴射要素によって洗浄流体を光学系に噴射する。装置は、例えばボタンの起動後に作動される。その後、ロッドがシリンダ本体から出現し、噴射要素は、それが最大位置で停止されるまで距離を移動し、洗浄流体がこの動作の全持続時間にわたって噴射される。したがって、ロッドの移動中、洗浄流体の噴流は、光学系の光学面が位置される領域を拭掃し、したがって、その領域を洗浄する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この洗浄装置によって引き起こされる問題は、洗浄装置が洗浄流体を特定の期間にわたって噴射するようにプログラムされており、その特定の期間が、例えば車両の移動速度に応じて異なる噴射状況をカバーするべく意図的に長くなっていることである。したがって、無視できない量の洗浄流体が光学系に噴射されず、洗浄流体が長期にわたって無駄にされる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、車両の少なくとも1つの光学系を洗浄するための洗浄装置であって、チャンバを画定するシリンダ本体と、チャンバ内で移動できるピストンと、ピストンに接続されるロッドとを備えるシリンダを備え、ロッドの一端が、シリンダ本体から出現し、前記ロッドが、ロッドの端部に設けられる少なくとも1つの洗浄流体噴射要素を備え、ロッドが、チャンバを前記少なくとも1つの噴射要素に接続する少なくとも1つの洗浄流体循環チャネルを備え、洗浄装置が、ピストンの位置にしたがって作動されるスイッチを備えることを特徴とする、洗浄装置を提案することによってこの問題を克服することを提案する。
【0006】
シリンダ本体は、そこからのロッドの出現を可能にするように構成される。ピストンは、噴射要素を備える端部とは反対側のロッドの端部に位置される。したがって、ピストンがロッドの端部に接続される状態で、ロッドをシリンダ本体から出現させるのはピストンの移動であるが、光学系の洗浄が実行された時点でシリンダ本体内のロッドの戻りもピストンの移動である。洗浄流体循環チャネルは、チャンバ内へ通じるようにロッド及びピストンを貫通する。したがって、洗浄流体循環チャネルは、チャンバから噴射要素まで延在し、チャンバ及び噴射要素は、洗浄装置が作動されるときに洗浄流体で満たされる。
【0007】
スイッチは、ピストンによって作動される。したがって、スイッチは、ピストン上並びにピストンの通路付近に位置されるシリンダ本体の領域上に部分的に位置されるように配置される。したがって、スイッチは、ピストンとシリンダ本体との間の相互作用にしたがって作動される。換言すれば、スイッチの作動は、シリンダ本体内のピストンの正確な位置を決定できるようにする。スイッチは、例えば電気的又は磁気的な相互作用の後に作動され得る。作動は、常時開又は常時閉のスイッチ、使用されるスイッチのタイプに適合される電気回路の実装を意味すると理解される。
【0008】
本発明の1つの特徴によれば、スイッチは、シリンダ本体と一体の少なくとも2つの電気端子と、ピストンによって支持される接触部材とを備え、スイッチは、前記少なくとも2つの電気端子が接触部材によって電気的に接触されるときに作動されるように構成される。これは、洗浄装置の第1の実施形態である。2つの電気端子は、部分的にシリンダ本体内で延びる電気回路の一部である。回路は2つの電気端子間で遮断され、したがって、これにより電流が流れるのが防止される。したがって、スイッチは、電気回路が2つの電気端子間で開いている限り、すなわち、接触部材と2つの電気端子との間に接触がない限り、作動しない。
【0009】
接触部材は、ピストンに当て付いて配置され、導電面を備える。接触部材は、2つの電気端子と同時に接触するように適合される寸法を有する。したがって、2つの電気端子と接触部材との間の接触時に、接触部材は、2つの電気端子間に導電ブリッジを形成し、それにより、電気回路を閉じる。その後、スイッチが作動される。
【0010】
本発明の1つの特徴によれば、シリンダの本体は、2つの端部と、前記2つの端部にそれぞれ配置される2つの端壁とを備える管状部を備え、前記少なくとも2つの電気端子が、端壁のうちの一方によって支持される。ピストンは、シリンダ本体の管状部に沿って長手方向の移動を実行し、ピストンの移動は、シリンダ本体の各端壁で実質的に停止する。シリンダ本体の端壁のうちの一方は、ロッドがシリンダ本体から出ることができるようにする少なくとも1つの開口を備える。
【0011】
好適には、電気端子は、開口を備える端壁上に、より正確には端壁の内面上に、すなわち、ピストンの方向に向けられた面上に配置される。したがって、スイッチは、ピストン、より具体的には接触部材が2つの電気端子に押し付けられるときに作動される。言い換えると、スイッチは、ピストンがシリンダ本体の端部にあってロッドがシリンダ本体から出現するその最大容量に達するときに作動される。したがって、洗浄装置のこの第1の実施形態は、ピストンがシリンダ本体の一端部にあるときにピストンの位置を決定できるようにする。
【0012】
本発明の1つの特徴によれば、スイッチは、ピストンによって支持される少なくとも1つの磁石と、シリンダ本体によって支持される少なくとも1つの磁気センサとを備え、スイッチは、前記少なくとも1つの磁石が前記少なくとも1つの磁気センサと抵抗しているときに作動されるように構成される。洗浄装置のこの第2の実施形態において、スイッチは、一方では磁石と他方では磁気センサとの間の磁気相互作用中に作動される。原理は、第1の実施形態と同一のままであり、すなわち、ピストンがシリンダ本体の特定の領域に近いときにスイッチが作動される。2つの電気端子と同様に、磁気センサは、磁石が電気センサに近接していない限り開いたままである電気回路に接続される。したがって、洗浄装置のこの第2の実施形態は、ピストンがシリンダ本体の一端部にあるときに又はシリンダ本体の2つの長手方向端部間に位置される決定された位置にあるときにピストンの位置を決定できるようにする。
【0013】
本発明の1つの特徴によれば、シリンダの本体は、2つの端部と、前記2つの端部にそれぞれ配置される2つの端壁とを備える管状部を備え、前記少なくとも1つの磁気センサが、管状部に配置される。形状及び寸法に関して、シリンダ本体は、前述したものと同一の特徴を有する。磁気センサが管状部に配置されるという事実は、ピストンがシリンダ本体の一端部に、より詳細にはシリンダ本体の端壁のうちの一方に実質的に当て付いて位置されるときにスイッチが作動される第1の実施形態とは異なり、スイッチが作動されるときのピストンの位置に関してより大きな影響を与える。
【0014】
本発明の1つの特徴によれば、スイッチは、磁石が磁気センサと対向しているときに作動される。換言すれば、磁石の中心を通る第1の横断面が磁気センサの中心を通る第2の横断面と一致するときにスイッチが作動される。磁気センサと対向する磁石の通過は、磁気センサにおける電気回路の閉鎖を引き起こす。
【0015】
本発明の1つの特徴によれば、スイッチは、管状部に沿う複数の位置に配置されるように構成される複数の磁気センサを備えることができる。第2の実施形態は、管状部の略全長に亘って磁気センサの位置決めの自由度を有するという利点を有する。換言すれば、磁気センサの位置決めの選択にしたがってスイッチが作動されたときのシリンダ本体に対するピストンの位置を決定することができる。そのような位置決めの自由度は、本発明に係る洗浄装置を標準化できるようにするとともに、洗浄装置を各車両モデルのニーズに適合させて、例えば洗浄装置が洗浄するように意図される光学系の位置決め又は寸法に特有のピストンストッパを有することができるようにする。洗浄装置が複数の光学系を洗浄するように構成される場合には、管状部に沿って複数の磁気センサを配置することも考えられる。
【0016】
また、本発明は、前述の少なくとも1つの洗浄装置と、洗浄流体リザーバと、洗浄流体をリザーバからシリンダのチャンバに移送するポンプとを備え、ポンプの動作がスイッチの依存下に置かれる、車両の少なくとも1つの光学系を洗浄するための洗浄システムもカバーする。洗浄流体リザーバ及びシリンダチャンバは、例えば、特にシリンダ本体の端壁のうちの一方を貫通する洗浄流体パイプによって接続され得る。ポンプは、リザーバからシリンダチャンバへの洗浄流体の循環を可能にする。チャンバに洗浄流体を充填すると、ピストンに作用する圧力がもたらされ、この圧力は、洗浄流体が貫通して流れるシリンダ本体の端壁とは反対側の端壁に向かうピストンの移動を引き起こす。ピストンがその動きに追従して圧縮するばねに接続されることに留意すべきである。ばねは、洗浄流体によってピストンに及ぼされる圧力よりも小さい抵抗力、したがって前記ばねの圧縮を有する。
【0017】
ピストンを移動させることに加えて、洗浄流体はシリンダロッド循環チャネルにも入る。循環チャネルは、噴射要素における洗浄流体の圧力を増大させる傾向がある十分に小さい直径を有する。その後、洗浄流体は、噴射要素によって光学面上に噴射されるまで、循環チャネルを介してシリンダロッド内に流入する又はシリンダロッドに沿って流れる。シリンダチャンバを充填する洗浄流体の圧力に晒されるピストンは、第1の実施形態に係る2つの電気端子と接触部材との間の接触によって又は第2の実施形態に係る磁石と磁気センサとの間の磁力によって、スイッチが作動するまで移動され、それにより、ポンプの動作を中断させる。
【0018】
本発明の1つの特徴によれば、ポンプの動作は、スイッチが作動されるときに中断される。ポンプは、発電機と、第1のスイッチと、第2のスイッチとを備える供給回路に電気的に接続される。スイッチはそれぞれ、開位置及び閉位置を有することができる。両方のスイッチが閉位置にある場合にのみ電流が流れる。洗浄システムが非作動であるとき、第1のスイッチは開位置にあり、第2のスイッチは閉位置にある。第1のスイッチは、例えば車両を運転する運転者によって実行される手動コマンドにしたがって、又は、洗浄システムに関連する光学系が、除去される必要がある光学系の光学面における不純物の存在を示す検出器を備える場合には自動的に、閉位置に切り換わることができる。
【0019】
第1のスイッチが閉位置に切り換わると、供給回路は、完全に閉じられ、したがって、リザーバからシリンダチャンバへの洗浄流体の循環を確保するポンプの動作を引き起こす。洗浄流体は、ロッドの噴射要素によって光学系に対して噴射されつつピストンを移動させる。ピストンは、スイッチを作動させるまで移動する。スイッチが作動されると、その後に電気回路が閉じられ、電気回路は、ポンプの供給回路に作用し得る、より詳細には第2のスイッチに作用してそれを開位置に切り換えることができる電気リレーに給電する。
【0020】
この状況では、供給回路がその後に遮断されて、ポンプが停止する。洗浄流体は、もはやピストンに圧力を及ぼさず、もはや噴射要素を介して噴射されない。ばねはもはやピストンの圧力を受けないため、ばねは、弛緩してその初期位置に戻り、それにより、シリンダ本体の端壁に向かうピストンの移動及びそれに伴う噴射要素の移動を引き起こす。もはや圧力を何ら及ぼさない洗浄流体は、ピストンの圧力を受け、それがリザーバに戻るまで循環パイプ内に押し込まれる。したがって、スイッチは、その作動により、洗浄流体が光学系を洗浄した後に噴射されることによって不必要に浪費されることを防止する。一般に、スイッチの作動は、例えば、電気回路及び/又はスイッチの開閉、或いは、ポンプの中断につながる任意の他の作用を引き起こすことができる。
【0021】
また、本発明は、前述の洗浄システムを実装する車両の光学系を洗浄するための方法をカバーし、該方法において、
-ポンプは、ピストンの移動及び光学系への洗浄流体の噴射を引き起こすように動作され、
-スイッチは、ピストンの位置にしたがって作動され、
-ポンプの動作は、スイッチが作動されるときに中断される。
本発明の更なる特徴及び利点は、一方では以下の説明から、他方では添付の概略図面に関連して非限定的な表示によって与えられる複数の典型的な実施形態から、より明確に明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】光学系を洗浄するための洗浄システム内に含まれる洗浄装置の第1の実施形態の概略図であり、洗浄システムが非作動である。
図2】第1の実施形態の概略図であり、洗浄システムが作動しており、洗浄装置が洗浄流体を噴射している。
図3】洗浄装置のスイッチを作動させる際の第1の実施形態の概略図である。
図4】洗浄装置のスイッチを作動させた後の第1の実施形態の概略図である。
図5】光学系を洗浄するための洗浄システム内に含まれる洗浄装置の第2の実施形態の概略図であり、洗浄システムが作動しており、洗浄装置が洗浄流体を噴射している。
図6】洗浄装置のスイッチを作動させる際の第2の実施形態の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
図1は、光学系5を洗浄するのに適した洗浄システム1を表わす。光学系5は、様々な種類を成すことができ、汚れやすい。洗浄システム1は、洗浄流体を光学系5に噴射することによって光学系5を洗浄する機能を有する。そのような光学系は、例えば、反転レーダ、反転カメラ、又は、LIDAR型光学系である。
【0024】
これを行なうために、洗浄システム1は洗浄装置2を備える。洗浄装置2は、端壁によってその端部のそれぞれで閉じられる管状部37の形態を成す少なくとも1つのシリンダ本体31を備えるシリンダ3から成る。管状部37は、略円筒状の中空形状を成す。端壁は、管状部37の円筒形状の両端を閉じる。したがって、端壁は、管状部37の直径に適合される寸法を有する。管状部37及びシリンダ本体31の端壁は共に、チャンバ32と呼ばれる内部容積を画定する。
【0025】
また、シリンダ3は、ピストン33及びロッド34も備える。ピストン33は、ピストン33がチャンバ32内で並進移動するように、その直径がシリンダ本体31の管状部37の直径よりも実質的に小さい略円筒形状を有する。ピストン33は、ロッド34の一端部に位置される。ロッド34は、管状部37の回転軸と平行な主寸法を有する。ロッド34は、第1の端壁381を貫通することによってシリンダ本体31から出現できる。したがって、第1の端壁381は、ロッド34の通過のために形成された開口を有する。シリンダ本体31から出現するロッド34の一端部は、噴射要素36を備える。噴射要素36は、例えば、洗浄流体を光学系5に噴射する噴射ノズルの形態をとることができる。噴射要素36は、洗浄流体を光学系5の方向に噴射するようにロッド34に対して方向付けられる。洗浄流体が噴射要素36に到達するために、循環チャネル35が、ロッド34内に配置されるとともに、ロッド34及びピストン33を通過しつつチャンバ32内に出現するように噴射要素36から延在する。
【0026】
また、シリンダ3はばね39も備える。ばね39は、第1の端壁381からピストン33へとチャンバ32内で延在する。したがって、ばね39は、ピストン33に機械的な力を及ぼす。図1では、ばね39がその初期位置にあって完全に弛緩している。
【0027】
シリンダ3に加えて、洗浄装置2は、スイッチ、例えば電気スイッチも備える。この第1の実施形態において、スイッチは、2つの部分、すなわち、2つの電気端子41から構成される第1の部分と、接触部材42から構成される第2の部分とに分けられる。電気端子41は両方とも、第1の端壁381上に、より詳細には、チャンバ32に向けられた第1の端壁381の面上に配置される。接触部材42は、それに関する限り、第1の端壁381に向けられたピストン33の面上に配置される。2つの電気端子41は、後に詳述する電気回路16に電気的に接続される。接触部材42は、それが配置されるピストン33の全面を覆う。接触部材42は、例えば、アルミニウム又は任意の他の導電材料から形成され得る。スイッチは、2つの電気端子41が接触部材42に接触するときに作動される。図1では、スイッチが非作動であり、2つの電気端子41及び接触部材42が互いに離れている。
【0028】
また、洗浄システム1は、洗浄流体リザーバ11も備える。リザーバ11は、洗浄流体の貯蔵を可能にする容量を有し、例えば手動補充との関連でアクセス可能であり得る。リザーバ11は、洗浄流体パイプ13に接続される。パイプ13は、ポンプ12を備え、リザーバ11からシリンダ3まで延在し、チャンバ32内に通じるようにシリンダ本体31の第2の端壁382を貫通する。
【0029】
ポンプ12は、発電機14によってその電流が生成される供給回路15によって給電される。電気回路15は、第1のスイッチ151と第2のスイッチ152とを備える。第1のスイッチ151は、例えば、車両のユーザが手動で操作可能であってもよく、或いは、光学系5が不純物を検出する装置を備える場合には自動的に操作可能であってもよい。第1のスイッチ151を閉位置にして通じさせることで、ポンプ12の供給回路15内での電流の循環が可能となる。図1では、第1のスイッチ151が開位置にある。したがって、洗浄システム1は非作動である。
【0030】
また、発電機14は、前述した電気回路16も給電する。電気回路16は、管状部37の構造及びシリンダ本体31の端壁38を貫通して、スイッチの2つの電気端子41のそれぞれまで延在する。電流が電気回路16内で流れるためには、後述するように、電気回路は、例えば、2つの電気端子41のそれぞれの間の導電ブリッジによって閉じられなければならない。また、電気回路16は、ポンプ12の供給回路15の第2のスイッチ152に作用することができる電気リレー17も備える。第2のスイッチ152は、ここでは閉位置にある。
【0031】
図2は、上述の洗浄システム1を示す。図2において、洗浄システム1は、手動又は自動のいずれかで関与する。したがって、第1のスイッチ151が閉位置に切り換わり、発電機14によって生成された電流が供給回路15内で循環してポンプ12に給電することができる。ポンプは、始動して、パイプ13を介してリザーバ11からシリンダ3のチャンバ32に洗浄流体を圧送する。洗浄流体は、チャンバ32内に蓄積してピストン33に圧力を及ぼし、ピストンは、洗浄流体がピストン33と管状部37との間に浸透できないようにシールを有する。洗浄流体によってピストン33に及ぼされる圧力は、第1の端壁381の方向でピストンの移動を強制する。前記圧力は、ばね39によってピストン33に及ぼされる力よりも高い力を有する。したがって、ばね39は、ピストン33の移動の影響下で圧縮される。また、ピストン33の移動は、シリンダ本体31からのロッド34の出現を引き起こす。
【0032】
洗浄流体は、ピストン33を移動させながら、循環チャネル35内でも流れる。循環チャネルの小さい直径は、洗浄流体が循環チャネルの出口、すなわち、噴射要素36においてその圧力を増大させることができるようにする。洗浄流体は、噴射要素36によって噴射される前に循環チャネル35の全体内を循環する。したがって、洗浄流体は、噴射要素36の位置決めに関連する方向であるがロッド34の出現にしたがった方向で噴射される。光学系5は、ロッド34が出現するときに洗浄流体が必然的に光学系に噴射されるように配置される。
【0033】
図3は、上記の洗浄システム1の概略図である。時系列の観点から、図3図2の論理的な連続に相当する。洗浄流体によって及ぼされる圧力を依然として受けるピストン33は、それが第1の端壁381に近づくまでシリンダ本体31内でその移動を継続する。電気端子41が電気端子から出ると、ピストン33が電気端子41と接触する。ここには示されていないばねは、その最大まで圧縮される。
【0034】
前述したように、接触部材42はピストン33によって支持される。したがって、電気端子41と接触するのは接触部材42であり、アセンブリがスイッチ4を形成する。この状況では、スイッチが作動される。具体的には、電気回路16は、最初に、2つの電気端子が互いに直接に接続されないため、2つの電気端子41間で遮断される。接触部材42が2つの電気端子41と同時に接触するときに接触部材42が電気的に導通し、このとき、電流が一方の電気端子41から他方の電気端子に流れることができそれにより、スイッチ4の作動及び電気回路16の閉鎖が引き起こされる。
【0035】
電気回路16が閉じられると、電気リレー17に電流が供給され、電気リレー17が第2のスイッチ152の位置を変更する。その後、第2のスイッチは、開位置に切り換わり、したがって供給回路15内の電流の通過を遮断する。これにより、ポンプ12が停止する。
【0036】
この正確な瞬間において、洗浄流体はもはやピストン33に圧力を及ぼさず、洗浄流体はもはや噴射要素36によって噴射されない。ピストン33及びロッド34がそのような位置にあるとき、すなわち、スイッチ4が作動されるときには、噴射要素36は必ず洗浄流体を光学系5に噴射する。したがって、この状況では無駄になる洗浄流体の噴射を継続する必要はない。スイッチ4を作動させて洗浄流体の噴射を停止させると、洗浄流体が節約され、例えば前の図に示されるようにロッド34の移動中に光学系5が洗浄されてしまったことは確実である。
【0037】
図4は、スイッチの作動後の同じ洗浄システム1を依然として示す。したがって、噴射要素36はもはや洗浄流体を噴射せず、ポンプ12は停止され、チャンバ32内に存在する洗浄流体はもはやピストン33に圧力を及ぼさない。洗浄流体の圧力がなければ、最大の力を有するのはばね39である。したがって、ばねは、図1に示されるように、その初期位置を回復するために弛緩することができる。したがって、ばね39は、ピストン33に圧力を及ぼし、ピストンを前述した方向とは反対の方向、すなわち、第2の端壁382の方向に移動させる。
【0038】
チャンバ32内に収容された洗浄流体は、ピストン33の移動によって及ぼされる圧力を受け、その後にパイプ13内に押し込まれる。パイプ13は、循環チャネル35の直径よりも大きい直径を有する。したがって、洗浄流体は、循環チャネル35内ではなく、パイプ13及びポンプ12内を自然に流れる。したがって、ポンプ12の作動がない場合、洗浄流体は、その開始点、すなわちリザーバ11に戻る。
【0039】
また、ピストン33の移動は、スイッチの停止を引き起こし、接触部材42はピストン33によって支持される。したがって、電気回路16は、再び、2つの電気端子41間で遮断され、これにより、第2のスイッチ152の通路が閉位置になる。その間に第1のスイッチ151が再び開いていれば、第2のスイッチ152が閉じてもポンプ12は再び作動しない。ピストン33の移動は、ばね39がその初期形状に戻るまで継続する。
【0040】
図5は、ポンプ12の作動後の洗浄システム1内の洗浄装置2の第2の実施形態に相当する。2つの実施形態間の唯一の違いは、スイッチの性質及び位置にある。したがって、洗浄システム1の一般的な提示については図1の説明を参照されたく、また、図5に示される段階での洗浄方法の進行については図2の説明を参照されたい。
【0041】
洗浄装置2の第2の実施形態によれば、磁石43及び磁気センサ44によって、スイッチが2つの部分に分割される。
【0042】
磁石43は、ピストン33によって支持される。より詳細には、磁石43は、シリンダ本体31の管状部37と接触又は実質的に接触して位置されるピストン33の部分に配置される。磁石43は、磁石43の中心を通る第1の横断面101と交差している。横断とは、ロッド34に対して垂直な方向を意味する。磁石43は、ピストン33の外周部においてピストンに接続される。
【0043】
磁気センサ44は、チャンバ32に可能な限り近接して、管状部37の周囲又は内部に配置される。磁気センサ44も、洗浄装置2の第1実施形態の電気端子と同様に、電気回路16に接続される。磁気センサは、電気回路16の2つの端部に接続され、電気回路を開いた状態に保つ。磁気センサ44は、磁気センサ44の中心を通る第2の横断面102と交差している。横断とは、ロッド34に対して垂直な方向を意味する。
【0044】
今しがた前述したように、ピストン33は、シリンダ3のチャンバ32を満たす洗浄流体の圧力下で第1の端壁381の方向に移動する。同時に、噴射要素36を介して光学系5に洗浄流体が噴射される。供給回路15及び電気回路16に関する説明については、図1図4に関連して説明したものを参照されたく、そのような説明は、必要な変更を加えて、図5及び図6に示す第2の実施形態に適用される。
【0045】
図6は、上記のような洗浄システム1内の洗浄装置2の第2の実施形態の概略図である。時系列の観点から、図6は、図5に示される段階の直後の段階に相当する。したがって、ピストン33は、第1の端壁381の方向に移動し続ける。ピストン33の移動は、ピストンによって支持される磁石43の移動を論理的に引き起こす。
【0046】
この移動は、ピストン33、より正確には磁石43が管状部37内に配置された磁気センサ44に対向するまで続く。磁石43と磁気センサ44とが互いに対向するためには、磁石43の中心を通る第1の横断面101と磁気センサ44の中心を通る第2の横断面102とが互いに一致している必要がある。
【0047】
磁石43と磁気センサ44とが対向すると、スイッチ4が作動される。磁石43の磁気容量は、磁気センサ44内に配置された導電ブレードの吸引を引き起こし、電気回路16を閉じることができるようにする。第1の実施形態と同様に、電気回路16に電流が流れ、したがって、供給回路15を遮断してポンプ12の動作を停止させるために第2のスイッチ152を開放する電気リレー17が給電される。そのため、スイッチ4の作動は、ポンプ12の停止、したがってピストン33の移動の停止、並びに噴射要素36を介した洗浄流体の噴射の停止を引き起こす。その後、ピストン33は、図4に示されるように、ばね39によってピストン33に及ぼされる力により、第2の端壁382に向かって反対方向に移動される。
【0048】
洗浄装置2の第2実施形態に関しては、磁気センサ44をシリンダ本体31の管状部37に沿う複数の位置に配置することができる。したがって、選択された磁気センサ44の位置に応じて、ピストン33の移動がチャンバ32のどのレベルで中断されるかを決定することが可能である。したがって、ロッド34がシリンダ本体31からどの程度出現するかを決定することも可能である。要約すると、磁気センサ44の配置のために選択された位置にしたがって、噴射要素36による洗浄流体の噴射の作用場を決定することが可能である。したがって、洗浄装置2の第2の実施形態は、例えば車両モデル、光学系5のサイズ、又は、洗浄システム1に対する光学系5の位置にしたがって、当初の機器として又は後付けとしてかどうかにかかわらずカスタマイズ可能であり、後付けの適合を容易にする。
【0049】
例えば、ピストン33の移動をどの磁気センサ44で中断しなければならないかを決定できるようにする電子アセンブリに結合される、シリンダ本体31の管状部37内に配置された複数の磁気センサ44を想像することも可能である。したがって、洗浄装置2の第2の実施形態は、光学系5を洗浄するときに洗浄流体の節約が最大化されるようにする。
【0050】
無論、本発明は今しがた説明した例に限定されず、本発明の範囲から逸脱することなくこれらの例に対して多くの変更を行なうことができる。
【0051】
本発明は、今しがた説明したように、本発明が設定した目的を首尾よく達成し、洗浄流体の噴射を停止してそれを節約するように機能するスイッチを備える光学系用の洗浄装置を提案することを可能にする。本明細書に記載されていない変形例は、本発明によれば、本発明に係る洗浄装置を備えることを条件として、本発明の文脈から逸脱することなく実施することができる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
【国際調査報告】