(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-12-02
(54)【発明の名称】窒素含有化合物、電子素子及び電子装置
(51)【国際特許分類】
C07C 211/61 20060101AFI20221125BHJP
C07D 307/91 20060101ALI20221125BHJP
C07D 209/86 20060101ALI20221125BHJP
C07D 333/76 20060101ALI20221125BHJP
C07D 471/04 20060101ALI20221125BHJP
H01L 51/50 20060101ALI20221125BHJP
H01L 51/46 20060101ALI20221125BHJP
【FI】
C07C211/61
C07D307/91 CSP
C07D209/86
C07D333/76
C07D471/04 112T
H05B33/14 A
H05B33/22 D
H01L31/04 168
H01L31/04 154C
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022527951
(86)(22)【出願日】2020-07-30
(85)【翻訳文提出日】2022-05-13
(86)【国際出願番号】 CN2020105862
(87)【国際公開番号】W WO2021135207
(87)【国際公開日】2021-07-08
(31)【優先権主張番号】201911415821.0
(32)【優先日】2019-12-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520207310
【氏名又は名称】シャンシー ライト オプトエレクトロニクス マテリアル カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】Shaanxi Lighte Optoelectronics Material Co.,Ltd.
【住所又は居所原語表記】Building 3, No. 99, Longfeng Road, High-tech Zone, Xi’an, Shaanxi Province, 710065 P.R.China
(74)【代理人】
【識別番号】110000291
【氏名又は名称】弁理士法人コスモス国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】▲ニエ▼ 斉斉
(72)【発明者】
【氏名】曹 佳梅
(72)【発明者】
【氏名】馬 天天
【テーマコード(参考)】
3K107
4C065
4H006
5F151
【Fターム(参考)】
3K107AA01
3K107BB01
3K107BB02
3K107CC24
3K107CC45
3K107DD74
3K107DD78
3K107FF13
4C065AA04
4C065AA18
4C065BB09
4C065CC01
4C065DD02
4C065EE02
4C065HH01
4C065JJ07
4C065KK01
4C065LL01
4C065PP01
4C065QQ04
4H006AA01
4H006AB91
5F151AA11
5F151BA11
5F151DA03
(57)【要約】
構造が化学式Iで示される窒素含有化合物、電子素子及び電子装置が開示され、該窒素含有化合物は、電子素子の性能を改善することができ、有機材料の技術分野に属する。その中、化学式1-1は、化学結合を表し、R
1及びR
2は、それぞれ独立的に、水素、化学式1-1で示される基から選択され、R
1及びR
2のうちの1つのみは、化学式1-1で示される基であり、R
1又はR
2が水素から選択される場合、水素から選択される前記R
1又はR
2は、R
4により置換されることができる。
【化40】
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
構造が化学式1で示されることを特徴とする窒素含有化合物。
【化34】
R
1及びR
2は、それぞれ独立的に、水素、化学式1-1で示される基から選択され、R
1及びR
2のうちの1つのみは、化学式1-1で示される基であり、R
1又はR
2が水素から選択される場合、水素から選択される前記R
1又はR
2は、R
4により置換されることができ、
R
3、R
4は、それぞれ独立的に、重水素、ハロゲン、シアノ、炭素数3~20のヘテロアリール、炭素数6~20のアリール、炭素数3~12のトリアルキルシリル、炭素数8~12のアリールシリル、炭素数1~10のアルキル、炭素数1~10のハロアルキル、炭素数2~6のアルケニル、炭素数2~6のアルキニル、炭素数3~20のシクロアルキル、炭素数2~10のヘテロシクロアルキル、炭素数5~10のシクロアルケニル、炭素数4~10のヘテロシクロアルケニル、炭素数1~10のアルコキシ、炭素数1~10のアルキルチオ、炭素数6~18のアリールオキシ、炭素数6~18のアリールチオ、炭素数6~18のホスフィニルオキシから選択され、
aが0、1、2、3又は4から選択され、aが2以上の場合、いずれか2つのR
3は同じであるか又は異なり、
bが0、1、2又は3から選択され、bが2以上の場合、いずれか2つのR
4は同じであるか又は異なり、
Lは、単結合、置換又は非置換の炭素数6~30のアリーレン、置換又は非置換の炭素数3~30のヘテロアリーレンから選択され、
Ar
1及びAr
2は、それぞれ独立的に、置換又は非置換の、炭素数1~20のアルキル、炭素数3~20のシクロアルキル、炭素数6~30のアリール、炭素数3~30のヘテロアリールから選択され、かつ前記Ar
1及びAr
2は、いずれも、9,9-ジフェニルフルオレニルではない。)
【請求項2】
前記L、Ar
1及びAr
2の置換基は、それぞれ独立的に、重水素、ハロゲン、シアノ、炭素数3~18のヘテロアリール、炭素数6~18のアリール、炭素数6~20のハロアリール、炭素数3~12のトリアルキルシリル、炭素数8~12のアリールシリル、炭素数1~10のアルキル、炭素数1~10のハロアルキル、炭素数2~6のアルケニル、炭素数2~6のアルキニル、炭素数3~10のシクロアルキル、炭素数2~10のヘテロシクロアルキル、炭素数5~10のシクロアルケニル、炭素数4~10のヘテロシクロアルケニル、炭素数1~10のアルコキシ、炭素数1~10のアルキルチオ、炭素数6~18のアリールオキシ、炭素数6~18のアリールチオ、炭素数6~18のホスフィニルオキシから選択される、ことを特徴とする請求項1に記載の窒素含有化合物。
【請求項3】
Lは、単結合、置換又は非置換の、環を形成する炭素数6~20のアリーレン、置換又は非置換の、環を形成する炭素数3~20のヘテロアリーレンから選択される、ことを特徴とする請求項1に記載の窒素含有化合物。
【請求項4】
Lは、単結合又は以下の基からなる群から選択される、ことを特徴とする請求項1に記載の窒素含有化合物。
【化35】
Z
1~Z
22は、それぞれ独立的に、水素、重水素、ハロゲン、シアノ、炭素数1~6のアルキル、炭素数1~6のハロアルキル、炭素数1~6のアルコキシ、炭素数6~18のアリールオキシ、炭素数6~18のアリールチオ、炭素数6~20のアリール、炭素数6~20のハロアリール、炭素数3~20のヘテロアリール、炭素数3~12のシラン、炭素数3~10のシクロアルキルから選択され、
Xは、置換又は非置換の炭素数1~10のアルキレン、置換又は非置換の炭素数3~10のシクロアルキレン、置換又は非置換の炭素数6~20のアリーレン、置換又は非置換の炭素数3~20のヘテロアリーレンから選択され、
X
1~X
10は、それぞれ独立的に、かつC又はNを示し、少なくとも1つはNであり、
X
11~X
15は、それぞれ独立的に、かつC又はNを示し、少なくとも1つはNであり、
X
16~X
23は、それぞれ独立的に、かつC又はNを示し、少なくとも1つはNであり、
X
24、X
25は、それぞれ独立的に、単結合、C(R
5R
6)、N(R
7)、O、S、Si(R
5R
6)、Seから選択され、
R
5~R
7は、それぞれ独立的に、水素、重水素、置換又は非置換の炭素数1~10のアルキル、置換又は非置換の炭素数6~20のアリール、置換又は非置換の炭素数3~20のヘテロアリールから選択され、
X
26、X
27は、それぞれ独立的に、C又はNを示し、かつ少なくとも1つはNであり、
n
1、n
3、n
4、n
6、n
7、n
8、n
9、n
16、n
18、n
21は、それぞれ独立的に、1、2、3又は4から選択され、
n
10、n
11、n
22は、それぞれ独立的に、1、2又は3から選択され、
n
13、n
20は、1、2、3、4又は5から選択され、
n
2、n
14、n
19は、それぞれ独立的に、1、2、3、4、5又は6から選択され、
n
15は、1、2、3、4、5、6又は7から選択され、
n
5、n
12、n
17は、それぞれ独立的に、1、2、3、4、5、6、7又は8から選択される。)
【請求項5】
Lは、結合又は以下の基からなる群から選択される、ことを特徴とする請求項1に記載の窒素含有化合物。
【化36】
【請求項6】
Ar
1及びAr
2は、それぞれ独立的に、置換又は非置換の、炭素数6~20のアリール、炭素数3~20のヘテロアリールから選択される、ことを特徴とする請求項1に記載の窒素含有化合物。
【請求項7】
Ar
1及びAr
2は、それぞれ独立的に、置換又は非置換の、環を形成する炭素数6~20のアリール、環を形成する炭素数5~20のヘテロアリールから選択される、ことを特徴とする請求項1に記載の窒素含有化合物。
【請求項8】
Ar
1及びAr
2は、それぞれ独立的に、以下の基からなる群から選択される、ことを特徴とする請求項1に記載の窒素含有化合物。
【化37】
T
1~T
20は、それぞれ独立的に、水素、重水素、ハロゲン、シアノ、炭素数1~6のアルキル、炭素数1~6のハロアルキル、炭素数1~6のアルコキシ、炭素数6~18のアリールオキシ、炭素数6~18のアリールチオ、炭素数6~20のアリール、炭素数6~20のハロアリール、炭素数3~20のヘテロアリール、炭素数3~12のシラン、炭素数3~10のシクロアルキルから選択され、
Wは、置換又は非置換の炭素数1~10のアルキレン、置換又は非置換の炭素数3~10のシクロアルキレン、置換又は非置換の炭素数6~20のアリーレン、置換又は非置換の炭素数3~20のヘテロアリーレンから選択され、
W
1、W
2は、それぞれ独立的に、C又はNを示し、かつ少なくとも1つはNであり、W
3~W
7は、それぞれ独立的に、C又はNを示し、かつ少なくとも1つはNであり、W
8~W
15は、それぞれ独立的に、C又はNを示し、かつ少なくとも1つはNであり、W
16、W
17は、それぞれ独立的に、単結合、C(R
9R
10)、N(R
8)、O、S、Si(R
9R
10)、Seから選択され、
R
9~R
10は同じであるか又は異なり、それぞれ独立的に、水素、重水素、置換又は非置換の炭素数1~6のアルキル、置換又は非置換の炭素数7~18のアリール、置換又は非置換の炭素数3~18のヘテロアリールから選択され、
R
8は、水素、重水素、置換又は非置換の炭素数1~6のアルキル、置換又は非置換の炭素数6~20のアリール、置換又は非置換の炭素数3~20のヘテロアリールから選択され、
e
1、e
11、e
14、e
15、e
17は、それぞれ独立的に、1、2、3、4又は5から選択され、e
16、e
20は、それぞれ独立的に、1、2又は3から選択され、
e
2、e
9は、それぞれ独立的に、1、2、3、4、5、6又は7から選択され、e
3、e
4、e
5は、それぞれ独立的に、1、2、3、4、5、6、7、8又は9から選択され、e
6は、1、2、3、4、5、6、7又は8から選択され、e
7、e
10、e
12、e
13、e
18、e
19は、それぞれ独立的に、1、2、3又は4から選択され、e
8は、1、2、3、4、5又は6から選択される。)
【請求項9】
Ar
1及びAr
2は、それぞれ独立的に、以下の基からなる群から選択される、ことを特徴とする請求項1に記載の窒素含有化合物。
【化38】
【請求項10】
前記R
3、R
4は、それぞれ独立的に、重水素、フッ素、シアノ、炭素数6~18のアリール、炭素数5~18のヘテロアリール、炭素数1~6のアルキル、炭素数3~10のシクロアルキルから選択される、ことを特徴とする請求項1に記載の窒素含有化合物。
【請求項11】
前記窒素含有化合物は、以下の化合物からなる群から選択される、ことを特徴とする請求項1に記載の窒素含有化合物。
【化39-1】
【化39-2】
【化39-3】
【化39-4】
【化39-5】
【化39-6】
【化39-7】
【化39-8】
【化39-9】
【化39-10】
【化39-11】
【化39-12】
【化39-13】
【化39-14】
【化39-15】
【化39-16】
【化39-17】
【化39-18】
【化39-19】
【化39-20】
【化39-21】
【化39-22】
【化39-23】
【化39-24】
【化39-25】
【化39-26】
【請求項12】
対向して設けられる陽極と、陰極と、請求項1~11のいずれかに記載の窒素含有化合物を含み、前記陽極と前記陰極との間に設けられる機能層とを含む、ことを特徴とする電子素子。
【請求項13】
前記機能層は、電子バリア層を含み、前記電子バリア層は前記窒素含有化合物を含む、ことを特徴とする請求項12に記載の電子素子。
【請求項14】
前記電子素子は、有機エレクトロルミネッセンスデバイス又は光電変換デバイスである、ことを特徴とする請求項12又は13に記載の電子素子。
【請求項15】
前記有機エレクトロルミネッセンスデバイスは、緑色光デバイスである、ことを特徴とする請求項14に記載の電子素子。
【請求項16】
請求項12~15のいずれかに記載の電子素子を含む、ことを特徴とする電子装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、有機材料の技術分野に関し、特に窒素含有化合物、該窒素含有化合物を適用する電子素子及び該電子素子を適用する電子装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電子技術の発展と材料科学の進歩に伴い、電界発光又は光電変換を実現するための電子素子の適用範囲はますます拡大している。当該種類の電子素子は、通常、対向して設けられる陰極と陽極及び、陰極と陽極との間に設けられる機能層とを含む。当該機能層は、多層の有機又は無機膜層からなり、一般的に、エネルギー変換層、エネルギー変換層と陽極との間に位置する正孔輸送層、エネルギー変換層と陰極との間に位置する電子輸送層を含む。
【0003】
例を挙げると、電子素子は、有機エレクトロルミネッセンスデバイスである場合、一般的に、順に積層して設けられる陽極と、正孔輸送層と、エネルギー変換層である電界発光層と、電子輸送層と、陰極とを含む。陰陽極の両極に電圧を印加すると、2つの電極が電界を発生させ、電界の作用により、陰極側の電子が電界発光層へ移動し、陽極側の正孔も発光層へ移動し、電子と正孔とが電界発光層で結合して励起子を形成し、励起子が励起状態となり、外部へエネルギーを放出し、さらに、電界発光層が外部へ発光する。電界発光又は光電変換を実現する電子素子の性能を向上させるために、エネルギー変換層と正孔輸送層との間にさらに電子バリア層を設けることができる。
【0004】
電界発光又は光電変換を実現する電子素子では、陽極とエネルギー変換層との間の膜層に位置する正孔輸送性能は、電子素子の性能に重要な影響を及ぼす。中国特許出願CN201710407382.3などの特許文献に記載されているように、フルオレニルを含有する化合物は、正孔輸送層に用いることができる。しかし、従来のフルオレニルを含有する正孔輸送層材料は、性能をさらに向上させる必要がある。
【0005】
前記背景技術部分に開示されている上記情報は、本出願の背景に対する理解を高めるためのものにすぎないため、当業者に既に知られている先行技術とならない情報が含まれる場合がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本出願の目的は、電子素子及び電子装置の性能を改善するために、窒素含有化合物、電子素子及び電子装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記発明の目的を達成させるために、本出願は下記技術案を採用する。
【0008】
本出願の第1の態様によれば、構造が化学式1で示される窒素含有化合物が提供される。
【化1】
R
1及びR
2は、それぞれ独立的に、水素、化学式1-1で示される基から選択され、R
1及びR
2のうちの1つのみは、化学式1-1で示される基であり、R
1又はR
2が水素から選択される場合、水素から選択される前記R
1又はR
2は、R
4により置換されることができ、
R
3、R
4は、それぞれ独立的に、重水素、ハロゲン、シアノ、炭素数3~20のヘテロアリール、炭素数6~20のアリール、炭素数3~12のトリアルキルシリル、炭素数8~12のアリールシリル、炭素数1~10のアルキル、炭素数1~10のハロアルキル、炭素数2~6のアルケニル、炭素数2~6のアルキニル、炭素数3~20のシクロアルキル、炭素数2~10のヘテロシクロアルキル、炭素数5~10のシクロアルケニル、炭素数4~10のヘテロシクロアルケニル、炭素数1~10のアルコキシ、炭素数1~10のアルキルチオ、炭素数6~18のアリールオキシ、炭素数6~18のアリールチオ、炭素数6~18のホスフィニルオキシ(phosphinyloxy)から選択され、
aが0、1、2、3又は4から選択され、aが2以上の場合、いずれか2つのR
3は同じであるか又は異なり、
bが0、1、2又は3から選択され、bが2以上の場合、いずれか2つのR
4は同じであるか又は異なり、
Lは、単結合、置換又は非置換の炭素数6~30のアリーレン、置換又は非置換の炭素数3~30のヘテロアリーレンから選択され、
Ar
1及びAr
2は、それぞれ独立的に、置換又は非置換の、炭素数1~20のアルキル、炭素数3~20のシクロアルキル、炭素数6~30のアリール、炭素数3~30のヘテロアリールから選択され、かつ前記Ar
1及びAr
2は、いずれも、9,9-ジフェニルフルオレニルではない。
【0009】
本出願の第2の態様によれば、電子素子が提供され、電子素子は、対向して設けられる陽極と陰極と、上記の窒素含有化合物を含み、前記陽極と前記陰極との間に設けられる機能層とを含む。本出願の一実施の形態によれば、前記電子素子は、有機エレクトロルミネッセンスデバイスである。本出願の別の実施の形態によれば、前記電子素子は、太陽電池である。
【0010】
本出願の第3の態様によれば、上記の電子素子を含む電子装置が提供される。
【発明の効果】
【0011】
本出願の窒素含有化合物は、フルオレンの側位にアダマンタン構造を導入し、超共役効果により、フルオレンシクロ及び窒素含有化合物の共役系全体の電子密度を向上させ、窒素含有化合物の正孔伝導率及び電子耐性を向上させ、それとともに、該窒素含有化合物を適用する有機エレクトロルミネッセンスデバイスの発光効率を向上させ、寿命を延長させ、当該窒素含有化合物を適用する光電変換デバイスの変換効率を向上させ、寿命を延長させることができる。アダマンチルを末端ではなく、元々ほぼ平面構造であったトリアリールアミンの分岐の間に導入し、アダマンチルの大体積の立体障害により、アミンと各アリールとの結合成し角及び共役度を微細的に調整することができ、それにより、隣接層により適する材料HOMO値を得、有機エレクトロルミネッセンスデバイスの動作電圧を低減させ、光電変換デバイスの開回路電圧を向上させる。それだけでなく、導入されたアダマンチルは、さらに、窒素含有化合物の分子量を増加させ、分子対称性を低下させることができ、本出願の化合物のガラス転移温度及び蒸着温度を向上させ、窒素含有化合物の結晶性を制御することができ、それにより、含窒化合物が量産に用いられる場合、より優れた物理的及び熱的安定性を有し、さらに、有機エレクトロルミネッセンスデバイス及び光電変換デバイスなどの電子素子の量産安定性に有利である。
【0012】
本出願の上記および他の特徴および利点は、添付の図面を参照して、その例示的な実施形態の詳細な説明からより明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本出願の実施の形態の有機エレクトロルミネッセンスデバイスの構造概略図である。
【
図2】本出願の実施の形態の光電変換デバイスの構造概略図である。
【
図3】本出願の一実施の形態の第1の電子装置の構造概略図である。
【
図4】本出願の一実施の形態の第2の電子装置の構造概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照して例示的な実施例をより包括的に説明する。しかしながら、例示的な実施例は様々な形態で実施してもよく、且つここ説明する例に制限されると理解すべからず、それどころか、これらの実施例を提供することにより本出願はより包括的且つ完全になり、例示的な実施例の構想は全て当業者に伝えられる。説明される特徴、構造又は特性は、適切な任意の方式で1つ又は2つ以上の実施例に組み合わせることができる。以下の説明では、本出願の実施例を十分に理解できるように多くの詳細を提供する。
【0015】
図において、明瞭さのために、領域や層の厚さを拡大する可能性がある。図において同一の図面の符号は同一又は類似の構造を示すため、これらについての詳細な説明を省略する。
【0016】
記載された特徴、構造または特性は、任意の適切な方法で1つまたは複数の実施形態に組み併せることができる。以下の説明において、本発明の実施形態を十分に理解するために、多くの具体的な詳細が提供される。しかしながら、当業者であれば、特定の詳細のうちの1つ以上なしに、本出願の技術案を実施することができるか、または他の方法、構成要素、材料などを採用することができることを認識するべきである。他の場合、本明細書の主な技術的アイデアが不明瞭にならないように、公知の構造、材料、または動作は詳細に示されないか、または説明されない。
【0017】
本出願では、R
1又はR
2が水素から選択される場合、水素から選択される前記R
1又はR
2は、R
4により置換されることができる、ということは、R
1及びR
2のうちの一方が水素から選択される場合、水素から選択される一方がR
4により置換されてもよいし、R
4により置換されなくてもよいことを意味する。例を挙げると、R
2が化学式1-1から選択され、R
1が水素から選択される場合、R
1は、R
4により置換されてもよいし、R
4により置換されなくてもよい。具体的な化学式1は、
【化2】
を含むことができるが、これらに限られない。いずれか2つのR
4は同じであるか又は異なる。
【0018】
本出願では、アダマンタンは3次元構造であるため、化合物の構造図において、描画角度が異なるため、異なる平面形状をすることがあり、9,9-ジメチルフルオレン上に形成される環状構造は、いずれもアダマンタンであり、連結位置も同じである。例えば、
【化3】
は、いずれも同じ構造である。
【0019】
本出願は、構造が化学式1で示される窒素含有化合物を提供する。
【化4】
R
1及びR
2は、それぞれ独立的に、水素、化学式1-1で示される基から選択され、R
1及びR
2のうちの1つのみは、化学式1-1で示される基であり、R
1又はR
2が水素から選択される場合、水素から選択される前記R
1又はR
2は、R
4により置換されることができる。
R
3、R
4は、それぞれ独立的に、重水素、ハロゲン、シアノ、炭素数3~20のヘテロアリール、炭素数6~20のアリール、炭素数3~12のトリアルキルシリル、炭素数8~12のアリールシリル、炭素数1~10のアルキル、炭素数1~10のハロアルキル、炭素数2~6のアルケニル、炭素数2~6のアルキニル、炭素数3~20のシクロアルキル、炭素数2~10のヘテロシクロアルキル、炭素数5~10のシクロアルケニル、炭素数4~10のヘテロシクロアルケニル、炭素数1~10のアルコキシ、炭素数1~10のアルキルチオ、炭素数6~18のアリールオキシ、炭素数6~18のアリールチオ、炭素数6~18のホスフィニルオキシから選択され、
aが0、1、2、3又は4から選択され、aが2以上の場合、いずれか2つのR
3は同じであるか又は異なり、bが0、1、2又は3から選択され、bが2以上の場合、いずれか2つのR
4は同じであるか又は異なり、
Lは、単結合、置換又は非置換の炭素数6~30のアリーレン、置換又は非置換の炭素数3~30のヘテロアリーレンから選択され、
Ar
1及びAr
2は、それぞれ独立的に、置換又は非置換の、炭素数1~20のアルキル、炭素数3~20のシクロアルキル、炭素数6~30のアリール、炭素数3~30のヘテロアリールから選択され、かつ前記Ar
1及びAr
2は、いずれも、9,9-ジフェニルフルオレニルではない。任意選択的には、前記Ar
1及びAr
2は、両方ともスピロビフルオレニルではない。
【0020】
任意選択的には、前記L、Ar1及びAr2の置換基は、それぞれ独立的に、重水素、ハロゲン、シアノ、炭素数3~18のヘテロアリール、炭素数6~18のアリール、炭素数6~20のハロアリール、炭素数3~12のトリアルキルシリル、炭素数8~12のアリールシリル、炭素数1~10のアルキル、炭素数1~10のハロアルキル、炭素数2~6のアルケニル、炭素数2~6のアルキニル、炭素数3~10のシクロアルキル、炭素数2~10のヘテロシクロアルキル、炭素数5~10のシクロアルケニル、炭素数4~10のヘテロシクロアルケニル、炭素数1~10のアルコキシ、炭素数1~10のアルキルチオ、炭素数6~18のアリールオキシ、炭素数6~18のアリールチオ、炭素数6~18のホスフィニルオキシから選択される。
【0021】
さらに任意選択的には、Ar1及び/又はAr2の置換基は、トリフェニルシリルであってもよい。
【0022】
本出願では、L、Ar1及びAr2の炭素数とは、すべての炭素数を意味する。例を挙げると、Lが置換の炭素数12のアリーレンから選択される場合、アリーレン及びその置換基のすべての炭素数は12である。
【0023】
本出願では、使用される表現「各...は、独立的に、...である」ことと、「...は、それぞれ独立的に、から選択される」ことと、「...は独立的に、から選択される」ことは交換可能であり、いずれも広義に理解すべきであり、それらは、異なる基において、同じ符号で表される具体的なオプションが互いに影響を与えないことを示してもよいし、同一の基において、同じ符号で表される具体的なオプションが互いに影響を与えないことを示してもよい。例えば、「
【化5】
式中、各qは、独立的に、0、1、2又は3であり、各R’’は、独立的に、水素、重水素、フッ素、塩素から選択される」ということは、式Q-1がベンゼン環上にq個の置換基R’’を有することを示し、各R’’が同じであってもよいし、異なってもよく、各R’’のオプションが互いに影響を与えず、式Q-2が、ビフェニルの各ベンゼン環上にq個の置換基R’’を有することを示し、2つのベンゼン環上のR’’置換基の個数qが同じであるか又は異なり、各R’’が同じであってもよいし、異なってもよく、各R’’のオプションが互いに影響を与えないことを意味する。
【0024】
本出願では、「置換又は非置換の」の用語とは、置換基がないか、又は1つ又は複数の置換基により置換されたことを意味する。前記置換基は、重水素(D)、ハロゲン(例えば、F、Cl、Br)、シアノ、アルキル、アルケニル、アルキニル、ハロアルキル、アリール、ヘテロアリール、アリールオキシ、アリールチオ、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキルなどを含むがこれらに限られない。
【0025】
本出願では、別に具体的な定義がない場合、「ヘテロ」とは、1つの官能基に少なくとも1つのB、N、O、S又はPなどのヘテロ原子が含まれるとともに、残りの原子が炭素と水素であることを意味する。非置換のアルキルは、いずれの二重結合又は三重結合も有しない「飽和アルキル基」であってもよい。
【0026】
本出願では、「アルキル」は、直鎖アルキル又は分岐状アルキルを含んでもよい。アルキルは、1~20個の炭素原子を有してもよく、本出願では、例えば、「1~20」の数値の範囲は、所定の範囲内の各整数を意味する。例を挙げると、「1~20個の炭素原子」とは、1つの炭素原子、2つの炭素原子、3つの炭素原子、4つの炭素原子、5つの炭素原子、6つの炭素原子、7つの炭素原子、8つの炭素原子、9つの炭素原子、10個の炭素原子、11個の炭素原子、12個の炭素原子、13個の炭素原子、14個の炭素原子、15個の炭素原子、16個の炭素原子、17個の炭素原子、18個の炭素原子、19個の炭素原子又は20個の炭素原子を含みうるアルキルを意味する。アルキルは、1~10個の炭素原子を有するアルキルであってもよい。アルキルは、1~6個の炭素原子を有する低級アルキルであってもよい。また、アルキルは、置換又は非置換のものであってもよい。
【0027】
好ましくは、アルキルは、炭素数1~10のアルキルから選択され、具体例は、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、ペンチル及びヘキシルを含まれるが、これらに限定されない。
【0028】
本出願では、「アルケニル」とは、直鎖又は分岐状炭化水素鎖に1つまたは複数の二重結合を含む炭化水素基を指す。アルケニルは、非置換又は置換のものであってもよい。アルケニルは、1~20個の炭素原子を有することができ、本明細書に現れる時、例えば「1~20」の数値範囲は、所定の範囲内の各整数を意味する。例を挙げると、「1~20個の炭素原子」とは、1つの炭素原子、2つの炭素原子、3つの炭素原子、4つの炭素原子、5つの炭素原子、6つの炭素原子、7つの炭素原子、8つの炭素原子、9つの炭素原子、10個の炭素原子、11個の炭素原子、12個の炭素原子、13個の炭素原子、14個の炭素原子、15個の炭素原子、16個の炭素原子、17個の炭素原子、18個の炭素原子、19個の炭素原子又は20個の炭素原子を含むアルケニルを意味する。例えば、アルケニルは、ビニル、ブタジエン、又は1,3,5-ヘキサトリエンであってもよい。
【0029】
本出願では、シクロアルキルとは、脂環構造を含有する飽和炭化水素を意味し、単環及び縮合環の構造を含む。シクロアルキルは、3~20個の炭素原子を有してもよく、例えば「3~20」の数値の範囲は所定の範囲内の各整数を意味する。例を挙げると、「3~20個の炭素原子」とは、3つの炭素原子、4つの炭素原子、5つの炭素原子、6つの炭素原子、7つの炭素原子、8つの炭素原子、9つの炭素原子、10個の炭素原子、11個の炭素原子、12個の炭素原子、13個の炭素原子、14個の炭素原子、15個の炭素原子、16個の炭素原子、17個の炭素原子、18個の炭素原子、19個の炭素原子又は20個の炭素原子を含みうるシクロアルキルを意味する。シクロアルキルは、3~20個の炭素原子を有する小環、通常環又は大環であってもよい。シクロアルキルは、単環即ち1環のみであり、二環式即ち2環があり、多環式即ち3つ以上の環があることに分けられてもよいし、2つの環が1つの炭素原子を共用するスピロ環、2つの環が2つの炭素原子を共用する縮合環、及び2つの環が2つの以上の炭素原子を共用する橋かけ環に分けられてもよい。また、シクロアルキルは、置換又は非置換のものであってもよい。
【0030】
好ましくは、シクロアルキルは、炭素数3~10のシクロアルキルから選択され、具体的な実施例は、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシルおよびアダマンチルを含むがこれらに限られない。
【0031】
本出願では、アリールとは、芳香族炭化水素環から誘導される任意の官能基又は置換基である。アリールは、単環アリール又は多環アリールであってもよく、言い換えれば、アリールは、単環アリール、縮合環アリール、炭素炭素結合を介して共役連結される2つ以上の単環アリール、炭素炭素結合を介して共役連結される単環アリール及び縮合環アリール、炭素炭素結合を介して共役連結される2つ以上の縮合環アリールであってもよい。すなわち、炭素炭素結合を介して共役連結される2つ以上の芳香基も、本出願のアリールと見なされることができる。アリールは、B、N、O、S又はPなどのヘテロ原子を含まない。例を挙げると、本出願では、ビフェニール、テルフェニルなどは、アリールである。アリールの例は、フェニル、ナフチル、フルオレニル、アンスリル、フェナントレニル、ビフェニル、テルフェニル、クォーターフェニル、キンケフェニル、セキシフェニル、ベンゾ[9,10]フェナントレニル、ピレニル、ベンゾフルオランテニル、クリセニル、フルオレニルなどなどを含んでもよいが、これらに限定されない。本出願の「アリール」は、6~30個の炭素原子を含有してもよく、いくつかの実施の形態では、アリールにおける炭素数は、6~25個であってもよく、別のいくかの実施の形態では、アリールにおける炭素数は、6~18個であってもよく、別のいくかの実施の形態では、アリールにおける炭素数は、6~13個であってもよい。例を挙げると、アリールの炭素数は、6個、12個、13個、18個、20個、25個の又は30個であってもよく、当然ながら、炭素数は、他の数であってもよいが、ここでは一つずつ挙げられない。
【0032】
本出願では、環を形成する炭素数とは、置換又は非置換のアリール、置換又は非置換のヘテロアリールにおける、芳香環上に位置する炭素数である。なお、置換基であるアリール及びヘテロアリールの環を形成する炭素数は、考慮されるが、芳香環上の他の置換基の炭素数はカウントされない。例えば、フルオレニルの環を形成する炭素数は13であり、9,9-ジメチルフルオレンの環を形成する炭素数は13であり、ジフェニルフルオレニルの環を形成する炭素数は25である。環を形成する炭素数6~20のアリールの環を形成する炭素数は、例えば、6~20個、6~18個、6~14個又は6~10個であってもよいが、これらに限定されない。
【0033】
本出願では、置換のアリールは、アリールにおける1つ又は複数の水素原子が他の基により置換されていることである。例えば、少なくとも1つの水素原子が重水素原子、F、Cl、I、CN、ヒドロキシ、アミノ、分岐状アルキル、直鎖アルキル、シクロアルキル、アルコキシ、アルキルアミノ又は他の基で置換される。理解可能なことは、置換の炭素数18のアリールは、アリール及びアリール上の置換基の炭素の総数が18個であることを意味する。例を挙げると、9,9-ジメチルフルオレンの炭素数は15であり、9,9-ジフェニルフルオレニル及びスピロビフルオレニルの炭素数は、いずれも25である。ビフェニールは、アリール又は置換のフェニルとして解釈されてもよい。
【0034】
本出願では、フルオレニルは、置換されてもよい。置換のフルオレニルは、
【化6】
などであってもよい。
【0035】
本出願では、ヘテロアリールは、B、O、N、P、Si及びSのうちの少なくとも1つをヘテロ原子として含むヘテロアリールであってもよい。ヘテロアリールは、単環ヘテロアリール又は多環ヘテロアリールであってもよく、言い換えれば、ヘテロアリールは、単一の芳香環系であってもよいし、炭素炭素結合を介して共役連結される複数の芳香環系であるとともに、任意の芳香環系は、1つの芳香単環又は1つの芳香縮合環であってもよい。例示的には、ヘテロアリールは、チエニル、フラニル、ピロリル、イミダゾリル、チアゾリル、オキサゾリル、オキサジアゾリル、トリアゾリル、ピリジル、ビピリジル、ピリミジニル、トリアジニル、アクリジニル、ピリダジニル(pyridazinyl)、ピラジニル、キノリニル、キナゾリニル、キノキサリニル、フェノキサジニル、フタラジニル、ピリドピリミジニル、ピリドピラジニル、ピラジノピラジニルル、イソキノリニル、インドール、カルバゾリル、N-アリールカルバゾリル、N-ヘテロアリールカルバゾリル、N-アルキルカルバゾリル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾカルバゾリル、ベンゾチエニル、ジベンゾチエニル、チエノチエニル、ベンゾフラニル、フェナントロリニル、イソキサゾリル、チアジアゾリル、ベンゾチアゾリル、フェノチアジニル、ジベンゾシロリル、ジベンゾフラニル、フェニル置換のジベンゾフラニル、ジベンゾフラニル置換のフェニルなどを含んでもよいが、これらに限定されない。これらのうち、チエニル、フラニル、フェナントロリニルなどは、単一の芳香環系のヘテロアリールであり、N-アリールカルバゾリル、N-ヘテロアリールカルバゾリル、フェニル置換のジベンゾフラニル、ジベンゾフラニル置換のフェニルなどは、炭素炭素結合を介して共役連結される複数の芳香環系のヘテロアリールである。
【0036】
本出願では、環を形成する炭素数とは、芳香環上に位置する炭素総数である。例えば、環を形成する炭素数3~20のヘテロアリールとは、ヘテロアリールにおける、ヘテロ芳香環上に位置する炭素数が3~20個であることを意味し、ヘテロアリールにおける置換基上の炭素数は計算されない。ヘテロアリールにおける環を形成する炭素数は、3~20個、3~18個、4~18個、3~12個、3~8個であってもよいが、これらに限定されない。
【0037】
本出願では、置換のヘテロアリールは、ヘテロアリールにおける1つ又は複数の水素原子がその基により置換されたものであり、例えば、少なくとも1つの水素原子は、重水素原子、F、Cl、Br、CN、アミノ、アルキル、ハロアルキル、シクロアルキル、アリールオキシ、アリールチオ、シラン、アルキルアミノ、アリールアミン、ボリル、ホスフィノ又は他の基により置換される。
【0038】
本出願では、アリールについての解釈は、アリーレンに適用され、ヘテロアリールについての解釈は、同様に、ヘテロアリーレンに適用される。
【0039】
本出願では、ハロゲンは、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素であり得る。
【0040】
本出願の窒素含有化合物は、有機エレクトロルミネッセンスデバイス及び光電変換デバイスの製造に適用され、特に、有機エレクトロルミネッセンスデバイス及び光電変換デバイスの電子バリア層(正孔支援層、第2の正孔輸送層などとも呼ばれる)の製造に適用され、有機エレクトロルミネッセンスデバイス及び光電変換デバイスの効率を向上させ、寿命を延長させ、有機エレクトロルミネッセンスデバイスの動作電圧を低減させ、光電変換デバイスの開回路電圧を向上させ、光電変換デバイス及び有機エレクトロルミネッセンスデバイスの量産安定性を向上させる。
【0041】
任意選択的には、Ar1及びAr2は、それぞれ独立的に、置換又は非置換の、炭素数6~20のアリール、炭素数3~20のヘテロアリールから選択される。
【0042】
好ましくは、Lは、単結合、置換又は非置換の、環を形成する炭素数6~20のアリーレン、置換又は非置換の、環を形成する炭素数3~20のヘテロアリーレンから選択される。
【0043】
いくつかの実施の形態では、Lは、単結合又は以下の基からなる群から選択される。
【化7】
【0044】
式中、
【化8】
Z
1~Z
22は、それぞれ独立的に、水素、重水素、ハロゲン、シアノ、炭素数1~6のアルキル、炭素数1~6のハロアルキル、炭素数1~6のアルコキシ、炭素数6~18のアリールオキシ、炭素数6~18のアリールチオ、炭素数6~20のアリール、炭素数6~20のハロアリール、炭素数3~20のヘテロアリール、炭素数3~12のシラン、炭素数3~10のシクロアルキルから選択され、
Xは、置換又は非置換の炭素数1~10のアルキレン、置換又は非置換の炭素数3~10のシクロアルキレン、置換又は非置換の炭素数6~20のアリーレン、置換又は非置換の炭素数3~20のヘテロアリーレンから選択され、X
1~X
10は、それぞれ独立的に、C又はNを示し、かつ少なくとも1つはNであり、X
11~X
15は、それぞれ独立的に、C又はNを示し、かつ少なくとも1つはNであり、X
16~X
23は、それぞれ独立的に、C又はNを示し、かつ少なくとも1つはNであり、X
24、X
25は、それぞれ独立的に、単結合、C(R
5R
6)、N(R
7)、O、S、Si(R
5R
6)、Seから選択され、好ましくは、X
24及びX
25は、同時に単結合であってはならない。
【0045】
R5~R7は、それぞれ独立的に、水素、重水素、置換又は非置換の炭素数1~10のアルキル、置換又は非置換の炭素数6~20のアリール、置換又は非置換の炭素数3~20のヘテロアリールから選択され、
X26、X27は、それぞれ独立的に、C又はNを示し、かつ少なくとも1つはNであり、
n1、n3、n4、n6、n7、n8、n9、n16、n18、n21は、それぞれ独立的に、1、2、3又は4から選択され、n10、n11、n22は、それぞれ独立的に、1、2又は3から選択され、n13、n20は、1、2、3、4又は5から選択され、n2、n14、n19は、それぞれ独立的に、1、2、3、4、5又は6から選択され、n15は、1、2、3、4、5、6又は7から選択され、n5、n12、n17は、それぞれ独立的に、1、2、3、4、5、6、7又は8から選択される。
【0046】
任意選択的には、Xは、炭素数1~4のアルキレン、炭素数5~10のシクロアルキレン、炭素数6~12のアリーレン、炭素数3~12のヘテロアリーレンである。Xの具体例は、メチレン、フェニレンなどを含むがこれらに限られない。
【0047】
任意選択的には、R5~R7は、それぞれ独立的に、水素、重水素、炭素数1~4のアルキル、炭素数6~12のアリール、炭素数3~12のヘテロアリールから選択される。R5~R7の具体例は、メチル、tert-ブチル、フェニルなどを含むがこれらに限られない。
【0048】
さらに任意選択的には、Z1は、重水素で置換された炭素数6~20のアリールであり、例えば、重水素で置換されたフェニルである。
【0049】
1つの実施の形態によれば、Lは、単結合又は以下の基からなる群から選択される。
【化9】
【0050】
さらに任意選択的には、Lは、単結合又は以下の基からなる群から選択される。
【化10】
【0051】
任意選択的には、Ar1及びAr2は、それぞれ独立的に、置換又は非置換の、炭素数6~20のアリール、炭素数3~20のヘテロアリールから選択される。
【0052】
任意選択的には、Ar1及びAr2は、それぞれ独立的に、置換又は非置換の、環を形成する炭素数6~20のアリール、環を形成する炭素数5~20のヘテロアリールから選択される。
【0053】
いくつかの実施の形態では、Ar
1及びAr
2は、それぞれ独立的に、以下の基からなる群から選択される。
【化11】
【0054】
式中、
【化12】
T
1~T
20は、それぞれ独立的に、水素、重水素、ハロゲン、シアノ、炭素数1~6のアルキル、炭素数1~6のハロアルキル、炭素数1~6のアルコキシ、炭素数6~18のアリールオキシ、炭素数6~18のアリールチオ、炭素数6~20のアリール、炭素数6~20のハロアリール、炭素数3~20のヘテロアリール、炭素数3~12のシラン、炭素数3~10のシクロアルキルから選択され、
Wは、置換又は非置換の炭素数1~10のアルキレン、置換又は非置換の炭素数3~10のシクロアルキレン、置換又は非置換の炭素数6~20のアリーレン、置換又は非置換の炭素数3~20のヘテロアリーレンから選択され、W
1、W
2は、それぞれ独立的に、C又はNを示し、かつ少なくとも1つはNであり、W
3~W
7は、それぞれ独立的に、C又はNを示し、かつ少なくとも1つはNであり、W
8~W
15は、それぞれ独立的に、C又はNを示し、かつ少なくとも1つはNであり、W
16、W
17は、それぞれ独立的に、単結合、C(R
9R
10)、N(R
8)、O、S、Si(R
9R
10)、Seから選択され、好ましくは、W
16、W
17は同時に単結合ではならない。
【0055】
R9~R10は同じであるか又は異なり、それぞれ独立的に、水素、重水素、置換又は非置換の炭素数1~6のアルキル、置換又は非置換の炭素数7~18のアリール、置換又は非置換の炭素数3~18のヘテロアリールから選択され、
R8は、水素、重水素、置換又は非置換の炭素数1~6のアルキル、置換又は非置換の炭素数6~20のアリール、置換又は非置換の炭素数3~20のヘテロアリールから選択され、
e1、e11、e14、e15、e17は、それぞれ独立的に、1、2、3、4又は5から選択され、e16、e20は、それぞれ独立的に、1、2又は3から選択され、e2、e9は、それぞれ独立的に、1、2、3、4、5、6又は7から選択され、e3、e4、e5は、それぞれ独立的に、1、2、3、4、5、6、7、8又は9から選択され、e6は、1、2、3、4、5、6、7又は8から選択され、e7、e10、e12、e13、e18、e19は、それぞれ独立的に、1、2、3又は4から選択され、e8は、1、2、3、4、5又は6から選択される。
【0056】
任意選択的には、Wは、炭素数1~4のアルキレン、炭素数5~10のシクロアルキレン、炭素数6~12のアリーレン、炭素数3~12のヘテロアリーレンである。Xの具体例は、メチレン、フェニレンなどを含むがこれらに限られない。
【0057】
任意選択的には、R9~R10は、それぞれ独立的に、水素、重水素、炭素数1~4のアルキルから選択される。R9~R10の具体例は、メチル、tert-ブチルなどを含むがこれらに限られない。
【0058】
任意選択的には、R8は、それぞれ独立的に、水素、重水素、炭素数1~6のアルキル、炭素数6~12のアリール、炭素数3~12のヘテロアリールから選択される。R8の具体例は、メチル、フェニルなどを含むがこれらに限られない。
【0059】
さらに任意選択的には、T1は、重水素で置換された炭素数6~20のアリールであり、例えば、重水素で置換されたフェニルである。
【0060】
任意選択的には、Ar
1及びAr
2は、それぞれ独立的に、以下の基からなる群から選択される。
【化13】
【0061】
さらに任意選択的には、Ar
1及びAr
2は、それぞれ独立的に、以下の基からなる群から選択される。
【化14】
【0062】
任意選択的には、前記R3、R4は、それぞれ独立的に、重水素、フッ素、シアノ、炭素数6~18のアリール、炭素数5~18のヘテロアリール、炭素数1~6のアルキル、炭素数3~10のシクロアルキルから選択される。R3、R4の具体例は、重水素、フッ素、シアノ、メチル、tert-ブチル、フェニル、シクロペンチル、シクロヘキシル、ピリジルなどを含むがこれらに限られない。
【0063】
さらに任意選択的には、前記R3及び/又はR4は、重水素で置換されたフェニルである。
【0064】
任意選択的には、前記窒素含有化合物は、以下の化合物からなる群から選択される。
【化15-1】
【化15-2】
【化15-3】
【化15-4】
【化15-5】
【化15-6】
【化15-7】
【化15-8】
【化15-9】
【化15-10】
【化15-11】
【化15-12】
【化15-13】
【化15-14】
【化15-15】
【化15-16】
【化15-17】
【化15-18】
【化15-19】
【化15-20】
【化15-21】
【化15-22】
【化15-23】
【化15-24】
【化15-25】
【化15-26】
【0065】
本出願は、さらに、電子素子を提供し、前記電子素子は、対向して設けられる陽極と陰極と、本出願の窒素含有化合物を含み、前記陽極と前記陰極との間に設けられる機能層とを含む。前記電子素子は、光電変換又は電光変換を実現するために用いられることができる。
【0066】
1つの実施の形態によれば、電子素子は、有機エレクトロルミネッセンスデバイスである。
図1に示されるように、有機エレクトロルミネッセンスデバイスは、対向して設けられる陽極100と陰極200と、陽極100と陰極200との間に設けられる機能層300とを含む。機能層300は、本出願に提供される窒素含有化合物を含む。
【0067】
任意選択的には、機能層300は、電子バリア層322を含み、電子バリア層322は本出願に提供される窒素含有化合物を含む。ここで、電子バリア層322は、本出願に提供される窒素含有化合物からなってもよいし、本出願に提供される窒素含有化合物及び他の材料からともに構成されてもよい。
【0068】
任意選択的には、機能層300は、正孔輸送層321及び/又は正孔注入層310を含み、電子素子において正孔の輸送能力を向上させるために、前記正孔輸送層321は、本出願に提供される窒素含有化合物を含んでもよい。
【0069】
本出願の1つの特定の実施形態では、有機エレクトロルミネッセンスデバイスは、順に積層して設けられる陽極100、正孔輸送層321、電子バリア層322、エネルギー変換層である有機電界発光層330、電子輸送層350及び陰極200を含む。本出願に提供される窒素含有化合物は、電子バリア層322に適用されることができ、有機エレクトロルミネッセンスデバイスの発光効率及び寿命を効果的に改善し、有機エレクトロルミネッセンスデバイスの駆動電圧を低減させることができる。
【0070】
任意選択的には、陽極100は、以下の陽極材料を含み、好ましくは、機能層への正孔注入に有利する、大きな仕事関数(work function)を有する材料である。陽極材料の具体例として、ニッケル、白金、バナジウム、クロム、銅、亜鉛及び金などの金属又はそれらの合金;酸化亜鉛、酸化インジウム、酸化インジウム錫(ITO)及び酸化インジウム亜鉛(IZO)などの金属酸化物;ZnO:Al又はSnO2:Sbなどの金属と酸化物の組み合わせ;又は、ポリ(3-メチルチオフェン)、ポリ[3,4-(エチレン-1,2-ジオキシ)チオフェン](PEDT)、ポリピロール、ポリアニリンなどの導電性ポリマーを含むが、これらに限定されない。酸化インジウムスズ(インジウムスズ酸化物、indium tin oxide)(ITO)を陽極として含んだ透明電極を含むことが好ましい。
【0071】
任意選択的には、正孔輸送層321は、カルバゾール多量体、カルバゾール連結トリアリールアミン系化合物又は他の種類の化合物から選択される1種又は複数種の正孔輸送材料を含んでもよいが、本出願は、これについて特に限定しない。例えば、正孔輸送層321は、化合物NPBからなる。
【0072】
任意選択的には、有機発光層330は、単一の発光材料からなってもよく、ホスト材料及びゲスト材料を含んでいてもよい。任意選択的には、有機発光層330はホスト材料とゲスト材料とから構成され、有機発光層330に注入された正孔と有機発光層330に注入された電子とは、有機発光層330で再結合して励起子を形成し、励起子はホスト材料にエネルギーを伝達し、ホスト材料はゲスト材料にエネルギーを伝達し、さらにゲスト材料を発光させることができる。
【0073】
有機発光層330のホスト材料は、金属キレート化合物、ジスチレン誘導体、芳香族アミン誘導体、ジベンゾフラン誘導体又は他の種類の材料であってもよいが、本出願は、これについて特に限定しない。例えば、有機発光層330のホスト材料は、CBPであってもよい。
【0074】
有機発光層330のゲスト材料は、縮合アリール環を有する化合物若しくはその誘導体、ヘテロアリールシクロを有する化合物若しくはその誘導体、芳香族アミン誘導体又は他の材料であってもよいが、本出願は、これについて特に限定しない。例えば、有機発光層330のゲスト材料は、Ir(ppy)3であってもよい。
【0075】
電子輸送層350は、単層構造であってもよいし、多層構造であってもよく、ベンゾイミダゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、キノキサリン誘導体又は他の電子輸送材料から選択される1種又は複数種の電子輸送材料を含んでいてもよく、本出願はこれについて特に限定をしない。例えば、電子輸送層340は、ET-1及びLiQからなる。
【0076】
任意選択的には、陰極200は、機能層への電子注入に寄与する、小さい仕事関数を有する材料である陰極材料を含む。陰極材料の具体例は、マグネシウム、カルシウム、ナトリウム、カリウム、チタン、インジウム、イットリウム、リチウム、ガドリニウム、アルミニウム、銀、錫、鉛などの金属又はそれらの合金;又は、LiF/Al、Liq/Al、LiO2/Al、LiF/Ca、LiF/Al及びBaF2/Caなどの多層材料を含むが、これらに限定されない。アルミニウムを含む金属電極を陰極として含むことが好ましい。
【0077】
任意選択的には、正孔輸送層321への正孔注入能力を高めるために、陽極100と正孔輸送層321との間に、正孔注入層310を設けてもよい。正孔注入層310は、ベンジジン誘導体、スターバースト状アリールアミン系化合物、フタロシアニン誘導体又はその他の材料を選択することができ、本出願ではこれについて特に限定をしない。例えば、正孔注入層310は、m-MTDATAからなることができる。
【0078】
任意選択的には、
図1に示されるように、電子輸送層340への電子注入能力を高めるために、陰極200と電子輸送層350との間に、電子注入層360を設けてもよい。電子注入層360は、アルカリ金属硫化物、アルカリ金属ハロゲン化物などの無機材料を含んでいてもよいし、又はアルカリ金属と有機物との錯体を含んでいてもよい。例えば、電子注入層360は、LiQを含んでもよい。
【0079】
任意選択的には、有機発光層330と電子輸送層350との間に正孔バリア層340を設けてもよい。
【0080】
他の実施の形態によれば、電子素子は、光電変換デバイスであってもよい。
図2に示されるように、該光電変換デバイスは、対向して設けられる陽極100と陰極200と、陽極100と陰極200との間に設けられる機能層300とを含む。機能層300は、本出願に提供される窒素含有化合物を含む。
【0081】
任意選択的には、機能層300は、電子バリア層322を含み、電子バリア層322は、本出願に提供される窒素含有化合物を含む。ここで、電子バリア層322は、本出願に提供される窒素含有化合物からなってもよいし、前記窒素含有化合物及び他の材料からともに構成されてもよい。
【0082】
任意選択的には、
図2に示されるように、光電変換デバイスは、順に積層して設けられる陽極100、正孔輸送層321、電子バリア層322、エネルギー変換層である光電変換層370、電子輸送層350及び陰極200を含むことができる。本出願に提供される窒素含有化合物は、光電変換デバイスの電子バリア層322に適用されることができ、光電変換デバイスの発光効率及び寿命を効果的に改善し、光電変換デバイスの開回路電圧を向上させることができる。
【0083】
任意選択的には、陽極100と正孔輸送層321との間に正孔注入層310がさらに設けられてもよい。
【0084】
任意選択的には、陰極200と電子輸送層350との間に電子注入層360がさらに設けられてもよい。
【0085】
任意選択的には、光電変換層370と電子輸送層350との間に正孔バリア層340がさらに設けられてもよい。
【0086】
任意選択的には、光電変換デバイスは、太陽電池、特に有機フィルム太陽電池であってもよい。1つの具体的な実施の形態によれば、太陽電池は、順に積層して設けられる陽極100、正孔輸送層321、電子バリア層322、光電変換層370、電子輸送層350及び陰極200を含み、ここで、電子バリア層322は、本出願の窒素含有化合物を含む。
【0087】
本出願は、上記電子素子を含む電子装置をさらに提供する。当該電子装置は、上記電子素子を含むため、同一の有益な効果を有し、本出願では、ここで繰り返し説明しない。
【0088】
1つの実施の形態によれば、
図3に示されるように、前記電子装置は、第1の電子装置400であり、当該電子装置は、上記有機エレクトロルミネッセンスデバイスを含む。第1の電子装置400は、表示装置、照明装置、光通信装置又は他の種類の電子装置であってもよく、例えば、コンピュータスクリーン、携帯電話のスクリーン、テレビ、電子紙、非常照明灯、光モジュールなどを含んでもよいがこれらに限られない。
【0089】
別の実施の形態によれば、
図4に示されるように、前記電子装置は、第2の電子装置500であり、当該電子装置は、上記光電変換デバイスの実施の形態で説明されたいずれかの光電変換デバイスを含む。第2の電子装置500は、太陽光発電設備、光検出器、指紋認識設備、光モジュール、CCDカメラまたはその他の種類の電子装置であってもよい。
【0090】
以下、実施例により本願についてさらに詳細に説明する。ただし、下記実施例は、本願の例示にすぎず、本願を限定するものではない。
【0091】
化合物の合成
以下の合成経路によって表1で示される化合物を合成した。
【化16】
【0092】
化合物1の合成
【化17】
2-ブロモフェニルボロン酸(100.0g、500.0mmol)、1-クロロ-3-ヨードベンゼン(142.6g、597.6mmol)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(11.5g、9.97mmol)、炭酸カリウム(102g、746mmol)、テトラブチルアンモニウムブロマイド(32.1g、99.6mmol)、トルエン(800mL)、エタノール(200mL)及び脱イオン水(200mL)を丸底フラスコに加え、窒素保護下で温度を78℃に上げ、2時間撹拌し、反応液を室温まで冷却し、トルエン(500mL)を加えて抽出し、有機相を合わせ、無水硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過し、減圧して溶剤を除去し、得られた粗製品を、n-ヘプタンを移動相として使用してシリカゲルカラムクロマトグラフィーにて精製した後、ジクロロメタン/エタノール系にて再結晶および精製して、薄黄色の固体中間体I-A-1(64.0g、収率が48%である)を得た。
【0093】
【化18】
マグネシウムバー(13.54g、564mmol)及びエーテル(100mL)を窒素保護下で乾燥された丸底フラスコに入れ、ヨウ素(100mg)を加えた。次に、中間体I-A-1(50.00g、187.0mmol)を溶解したエーテル(200mL)溶液をゆっくりとフラスコに滴下し、滴下終了後、温度を35℃に上げ、3時間撹拌し、反応液について温度を0℃に下げ、アマンタドン(22.45g、149mmol)を溶解したエーテル(200mL)溶液をゆっくりと滴下し、滴下終了後、温度を35℃に上げ、6時間撹拌し、反応液を室温まで冷却し、それにpHが7より小さくなるまで5wt%の塩酸を加え、1時間撹拌し、エーテル(200mL)を加えて抽出し、有機相を合わせ、無水硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過し、減圧して溶剤を除去し、得られた粗製品を、n-ヘプタンを移動相として使用してシリカゲルカラムクロマトグラフィーにて精製して、固体中間体I-A-2(24g、収率48%)を得た。
【0094】
【化19】
中間体I-A-2(24g、71.0mmol)、トリフルオロ酢酸(40.48g、355.0mmol)及びジクロロメタン(200mL)を丸底フラスコに加え、窒素保護下で2時間撹拌し、次に、pHが8となるまで、反応液に水酸化ナトリウム水溶液を加え、分液し、有機相を無水硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過し、減圧して溶剤を除去し、得られた粗製品をジクロロメタン/n-ヘプタン(1:2)にて再結晶および精製して、白色の固体状中間体のI-A(21g、収率92.5%)を得た。
【0095】
中間体I-AのNMRデータは次のとおりであった。
1HNMR(400MHz, CD2Cl2):8.11 (d,1H), 8.03(d,1H), 7.41-7.63(m,2H), 7.37-7.39(m,1H), 7.30-7.33(m,1H), 7.23-7.24(m,1H), 2.88-2.93(m,2H), 2.81-2.85(m,2H), 2.19(s,2H), 1.99(s,2H), 1.77-1.83(m,4H), 1.54(s,2H).
【0096】
【化20】
4-ブロモビフェニル(4.0g、17.16mmol)、4-アミノビフェニル(2.96g、17.5mmol)、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0.16g、0.17mmol)、2-ジシクロヘキシルホスフィノ-2’,4’,6’-トリイソプロピルビフェニル(0.16g、0.34mmol)及びtert-ブトキシドナトリウム(2.47g、25.74mmol)をトルエン(40mL)に加え、窒素保護下で108℃に加熱し、2h撹拌し、次に、室温まで冷却し、反応液を水洗した後、硫酸マグネシウムを加えて乾燥させ、濾過後、減圧して濾液溶剤を除去し、ジクロロメタン/酢酸エチル系にて粗製品を再結晶および精製して、薄黄色の固体中間体II-A(4.1g、収率72.6%)を得た。
【0097】
【化21】
中間体I-A(4.1g、12.77mmol)、中間体II-A(4.1g、12.77mmol)、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0.12g、0.13mmol)、2-ジシクロヘキシルフォスフィノ-2’,6’-ジメトキシビフェニル(0.10g、0.25mmol)及びtert-ブトキシドナトリウム(1.84g、19.17mmol)をトルエン(40mL)に加え、窒素保護下で108℃に加熱し、1h撹拌し、次に、室温まで冷却し、反応液を水洗した後、硫酸マグネシウムを加えて乾燥させ、濾過後、減圧して濾液溶剤を除去し、トルエン系にて粗製品を再結晶および精製して、白色の固体化合物1(4.35g、収率56.2%)を得た。マススペクトル:m/z=606.3 [M+H]
+。
【0098】
化合物1のNMRデータは次のとおりであった。
1H NMR (400MHz, CD2Cl2): 8.11 (d, 1H), 8.02 (d, 1H), 7.64-7.60 (m, 6H), 7.55 (d, 4H), 7.43 (t, 4H), 7.33-7.24 (m, 8H), 7.06 (dd, 1H), 2.91 (m, 4H), 2.19 (m, 2H), 2.00 (s, 2H), 1.82 (d, 4H), 1.61 (s, 2H)。
【0099】
化合物1の合成方法を参照し、かつ、4-ブロモビフェニルの代わりに原料2を用い、4-アミノビフェニルの代わりに原料1を用いて、表1の4列目の中間体を合成し、中間体II-A及び中間体I-Aの代わりに該4列目の中間体を用いて、表1における化合物を合成して製造した。具体的な化合物の番号、構造、原料、最終ステップの合成収率、特性データなどを表1に示した。
【0100】
【表1-1】
【表1-2】
【表1-3】
【表1-4】
【0101】
化合物3のNMRデータは、1H NMR (CD2Cl2, 400MHz): 8.10 (d, 1H), 8.00 (d, 1H), 7.67-7.59 (m, 6H), 7.54 (d, 2H), 7.45-7.42 (m, 3H), 7.36-7.25 (m, 8H), 7.12 (br, 1H), 7.06 (br, 1H), 2.92 (t, 4H), 2.19 (d, 2H), 2.00 (s, 2H), 1.82 (d, 4H), 1.61 (s, 2H), 1.44 (s, 6H)であった。
【0102】
化合物7のNMRデータは、1H NMR (CD2Cl2, 400MHz): 8.11 (d, 1H), 8.03 (d, 1H), 7.91 (d, 1H), 7.85 (d, 1H), 7.62-7.60 (m, 4H), 7.56 (d, 2H), 7.51 (d, 1H), 7.45-7.39 (m, 3H), 7.36-7.26 (m, 7H), 7.21 (d, 1H), 7.07 (d, 1H), 2.92 (t, 4H), 2.19 (d, 2H), 2.00 (s, 2H), 1.82 (d, 4H), 1.62 (s, 2H)であった。
【0103】
化合物54のNMRデータは、1H NMR (400MHz, CD2Cl2 ): 8.11 (d, 1H), 7.99 (d, 1H), 7.66 (d, 2H), 7.63-7.62 (m, 3H), 7.58 (d, 1H), 7.41 (d, 2H), 7.35 (s, 2H), 7.32 (t, 2H), 7.28-7.24 (m, 4H), 7.12 (d, 2H), 7.07 (d, 1H), 2.92 (t, 4H), 2.19 (d, 2H), 2.00 (s, 2H), 1.82 (d, 4H), 1.62 (s, 2H), 1.42 (s, 12H)であった。
【0104】
化合物295の合成
【化22】
中間体I-A(10g、31.17mmol)、p-クロロベンゼンボロン酸(3.89g、24.93mmol)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0.72g、0.62mmol)、炭酸カリウム(6.45g、46.75mmol)、テトラブチルアンモニウムクロリド(1.73g、6.23mmol)、トルエン(80mL)、エタノール(20mL)及び脱イオン水(20mL)を丸底フラスコに加え、窒素保護下で温度を78℃に上げ、6時間撹拌し、反応液を室温まで冷却し、トルエン(100mL)を加えて抽出し、有機相を合わせ、使用無水硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過し、減圧して溶剤を除去し、得られた粗製品を、n-ヘプタンを移動相として使用してシリカゲルカラムクロマトグラフィーにて精製して、その後、ジクロロメタン/酢酸エチル系で再結晶および精製して、白色の固体中間体I-B(7.5g、収率75.7%)を得た。
【0105】
中間体I-Bの合成方法を参照するが、p-クロロベンゼンボロン酸の代わりに以下の表2における2列目の原料3を用い、以下の表における3列目に示される中間体を合成する点が異なった。
【0106】
【0107】
【化23】
中間体I-A(20.4g、63.7mmol)、ビス(ピナコラート)ジボロン(bis(pinacolato)diboron)(19.4g、76.5mmol)、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0.6g、0.6mmol)、2-ジシクロヘキシルホスフィノ-2’,4’,6’-トリイソプロピルビフェニル(0.6g、1.3mmol)、酢酸カリウム(12.5g、127.4mmol)及び1,4-ジオキサン(1,4-Dioxane)(150mL)をフラスコに加え、窒素ガス保護下で100℃において16時間還流撹拌し、室温まで冷却し、反応液にジクロロメタン及び水を加え、分液し、有機相を水洗した後、無水硫酸マグネシウムで乾燥させ、減圧の条件において溶剤を除去して粗製品を得、ジクロロメタン/n-ヘプタン系を使用して粗製品をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにて精製し、白色の固体中間体I-A-1(13.3g、51%)を得た。
【0108】
【化24】
中間体I-A-1(13.3g、32.3mmol)、2-ブロモ-7-クロロ-9,9-ジメチルフルオレン(10.9g、35.5mmol)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0.7g、0.6mmol)、炭酸カリウム(11.1g、80.7mmol)、テトラブチルアンモニウムブロマイド(2.1g、6.5mmol)をフラスコに加え、トルエン(80mL)、エタノール(20mL)及び水(20mL)の混合溶剤を加え、窒素保護下で、温度を80℃に上げ、温度を維持しながら、24時間撹拌し、室温まで冷却し、撹拌を停止し、反応液を水洗した後、有機相を分離させ、無水硫酸マグネシウムで乾燥させ、減圧して溶剤を除去し、粗製品を得た。粗製品をジクロロメタン/n-ヘプタンを移動相として使用してシリカゲルカラムクロマトグラフィーにて精製し、白色の固体生成物中間体I-A-2(9.0g、54.5%)を得た。
【0109】
中間体I-A-2の合成方法を参照するが、2-ブロモ-7-クロロ-9,9-ジメチルフルオレンの代わりに以下の表3における2列目の原料41を用い、以下の表における3列目に示される中間体を合成する点が異なった。
【0110】
【0111】
【化25】
4-tert-ブチルブロモベンゼン(4.0g、18.7mmol)、2-アミノビフェニル(4.39g、25.9mmol)、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0.23g、0.25mmol)、2-ジシクロヘキシルホスフィノ-2’,4’,6’-トリイソプロピルビフェニル(0.24g、0.50mmol)及びtert-ブトキシドナトリウム(3.67g、38.22mmol)をトルエン(40mL)に加え、窒素保護下で108℃に加熱し、2h撹拌し、次に、室温まで冷却し、反応液を水洗した後、硫酸マグネシウムを加えて乾燥させ、濾過後、濾液を減圧して溶剤を除去し、ジクロロメタン/酢酸エチル系にて粗製品を再結晶および精製して、薄黄色の固体中間体II-B(3.2g、収率56.6%)を得た。
【0112】
【化26】
中間体I-B(1.50g、3.78mmol)、中間体II-B(0.95g、3.85mmol)、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0.03g、0.04mmol)、2-ジシクロヘキシルフォスフィノ-2’,6’-ジメトキシビフェニル(0.03g、0.07mmol)及びtert-ブトキシドナトリウム(0.55g、5.67mmol)をトルエン(20mL)に加え、窒素保護下で108℃に加熱し、5h撹拌し、次に、室温まで冷却し、反応液を水洗した後、硫酸マグネシウムを加えて乾燥させ、濾過後、濾液を減圧して溶剤を除去し、トルエン系にて粗製品を再結晶および精製して、白色の固体化合物1(1.7g、74%)を得た。マススペクトル:m/z=662.4 [M+H]
+。
【0113】
化合物295の合成方法を参照するが、異なる点は、2-アミノビフェニルの代わりに原料4を用い、4-tert-ブチルブロモベンゼンの代わりに原料5を用いて、以下の表における4列目の中間体を合成するとともに、中間体II-Bの代わりに該4列目の中間体を用い、表4における化合物を製造することにあった。具体的な化合物の番号、構造、原料、最終ステップの合成収率、マススペクトル特性データなどを表4に示した。
【0114】
【0115】
【化27】
中間体I-Bの合成方法を参照して中間体I-A-6を製造するが、異なる点は、中間体I-Aを中間体I-A-5に置き換え、p-クロロベンゼンボロン酸をフェニルホウ酸に置き換えて、中間体I-A-6を得ることにあった。
【0116】
化合物1の合成方法を参照して、中間体I-Aの代わりに、以下の表5における3列目に示される中間体を中間体II-Aと反応させ、表5における4列目に示される化合物を製造し、具体的な化合物の番号、構造、原料、最終ステップの合成収率、特性データなどを表5に示した。
【0117】
【0118】
【化28】
1,2-ジブロモ-3-クロロベンゼン(80.0g、298.7mmol)、フェニルホウ酸(36.5g、298.7mmol)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(6.9g、6.0mmol)、炭酸カリウム(103.2g、746.7mmol)、テトラブチルアンモニウムブロマイド(19.2g、59.7mmol)をフラスコに加え、トルエン(600mL)、エタノール(150mL)及び水(150mL)の混合溶剤を加え、窒素保護下で、温度を80℃に上げ、温度を維持しながら18時間撹拌し、室温まで冷却し、撹拌を停止し、反応液を水洗した後、有機相を分離させ、無水硫酸マグネシウムにて乾燥させ、減圧して溶剤を除去し、粗製品を得た。ジクロロメタン/n-ヘプタンを移動相として使用して、粗製品をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにて精製し、白色の固体生成物中間体I-G-1(42.0g、収率53%)を得た。
【0119】
【化29】
中間体I-G-1(42.0g、157.9mmol)及びテトラヒドロフラン(300mL)をフラスコに加え、窒素保護下で温度を-78℃に下げ、撹拌の条件において、n-ブチルリチウムのテトラヒドロフラン(2.5M)溶液(95mL、236.9mmol)を滴下し、滴下終了後、1時間保温しながら撹拌し、-78℃を維持しながら、アマンタドン(19.0g、126.3mmol)を溶解したテトラヒドロフラン(100mL)溶液を滴下し、滴下終了後、1時間保温した後、室温まで上げ、24時間撹拌し、反応液に塩酸(12M)(26.3mL、315.8mmol)の水(100mL)溶液を加え、1時間撹拌し、分液し、中性になるまで有機相を水洗し、無水硫酸マグネシウムを加えて乾燥させ、減圧して溶剤を除去して粗製品を得た。酢酸エチル/n-ヘプタン系を使用して粗製品をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにて精製し、白色の固体生成物中間体I-G-2(25.8g、収率60%)を得た。
【0120】
【化30】
中間体I-Aの合成方法を参照するが、中間体I-A-2の代わりに中間体I-G-2を用いて、中間体I-Gを合成する点が異なった。
【0121】
化合物1の合成方法を参照するが、異なる点は、I-Aの代わりに中間体I-Gを用い、4-アミノビフェニルの代わりに以下の表における2列目の原料6を用い、4-ブロモビフェニルの代わりに3列目の原料7を用い、中間体II-Aの代わりに原料6と原料7で合成された4列目の中間体を用い、表6における5列目に示される化合物を製造することにあった。具体的な化合物の番号、構造、最終ステップの合成収率、特性データなどを表6に示した。
【0122】
【0123】
【化31】
中間体I-Bの合成方法を参照するが、中間体I-Aの代わりに中間体I-Gを用い、中間体I-G-1を合成する点が異なった。
【0124】
化合物295の合成方法を参照するが、I-Bの代わりに中間体I-G-1を用いて、化合物439を製造する点が異なった。具体的な化合物、最終ステップの合成収率、特性データなどを表7に示した。
【0125】
【0126】
有機エレクトロルミネッセンスデバイスの製造及び評定
実施例1
以下の方法で緑色の有機エレクトロルミネッセンスデバイスを製造した。
ITO厚さが1500オングストロームのITO基板(コーニング製)を40mm(長さ)×40mm(幅)×0.7mm(厚さ)の寸法に切断し、フォトリソグラフィ工程を用いて、陰極、陽極及び絶縁層パターンを有する実験基板に製造し、陽極(実験基板)の仕事関数を増加させつつ、スカムを除去するために、紫外線オゾン及びO2:N2プラズマを用いて表面処理を行った。
【0127】
実験基板(陽極)上にm-MTDATAを真空蒸着して、厚さが100オングストロームの正孔注入層(HIL)を形成し、正孔注入層上にNPBを真空蒸着し、厚さが1000オングストロームの第1の正孔輸送層を形成した。
【0128】
第1の正孔輸送層上に化合物1を蒸着し、厚さが350オングストロームの第2の正孔輸送層を形成した。
【0129】
CBPをホスト材料として、膜厚比100:5でIr(ppy)3を同時にドーピングし、厚さが380オングストロームの発光層(EML)を形成した。
【0130】
ET-1及びLiQを1:1の重量比率で混合し、蒸着して300オングストロームの厚さの電子輸送層(ETL)を形成し、LiQを電子輸送層上に蒸着して、10オングストロームの厚さの電子注入層(EIL)を形成し、次にマグネシウム(Mg)及び銀(Ag)を1:9の蒸着速度で混合し、電子注入層上に真空蒸着し、120オングストロームの厚さの陰極を形成した。
【0131】
また、上記陰極上に650オングストロームの厚さのCP-1を蒸着して、有機発光デバイスの製造を完了した。
【0132】
そのうち、エレクトロルミネッセンスデバイスの製造の際に、使用された各材料の構造は、以下のとおりであった。
【化32】
【0133】
実施例2~実施例43
化合物1の代わりに、以下の表8で合成された化合物をそれぞれ用い、350オングストロームの厚さの第2の正孔輸送層を形成し、対応する緑色の有機エレクトロルミネッセンスデバイスを製造した。
【0134】
比較例1~比較例7
比較例1~比較例7では、化合物1の代わりに、化合物A、化合物B、化合物C、化合物D、化合物E、化合物F、化合物Gをそれぞれ用い、同じ方法に従って、対応する緑色の有機エレクトロルミネッセンスデバイスを製造した。化合物A~化合物Gの構造は、以下のとおりであった。
【化33】
【0135】
実施例1~43及び比較例1~7で製造された緑色の有機エレクトロルミネッセンスデバイスについて性能テストを行い、具体的には、10mA/cm2の条件においてデバイスのIVL性能をテストし、T95デバイス寿命を初期輝度17,000 nitでテストし、テスト結果を表8に示した。
【0136】
【0137】
上記表から分かるように、色座標に大きな差がない場合、比較例1~7と比較すれば、実施例1~43で製造された有機エレクトロルミネッセンスデバイスの発光効率(Cd/A)及び寿命が比較例1~7と同等であるが、比較例1~7の方はデバイスの電圧が全体として高い。以上の表に示されるように、比較例1~7に比べて、実施例1~43のデバイスの電圧が少なくとも0.45V低減した。従って、第2の正孔輸送層に本出願の窒素含有化合物を用いると、動作電圧が低い有機エレクトロルミネッセンスデバイスを製造することができた。
【0138】
本出願の窒素含有化合物は、フルオレンの側位にアダマンチル構造を導入し、超共役効果により、フルオレンシクロ及び化合物全体の共役系の電子密度を向上させ、窒素含有化合物の正孔伝導率及び電子耐性を高めることができる。これだけでなく、導入されたアダマンチルは、さらに、窒素含有化合物の分子量を増加させ、分子対称性を低減させることもでき、本出願の化合物のガラス転移温度及び蒸着温度を上昇させ、窒素含有化合物の結晶性を制御することができ、窒化合物は、量産の際に、物理的および熱的安定性が向上されるようにし、さらに有機エレクトロルミネッセンスデバイス及び光電変換デバイスの量産安定性に有利である。比較例1、2、3と比較すると、アミンをフルオレンの1および3位に連結することにより、アリールアミン構造の立体障害をある程度向上させ、フルオレン平面とアリールアミン平面(特にトリアリールアミン平面)のねじれ角を増大させることができ、それにより、窒素含有化合物の共役度を低減させ、それは、該窒素含有化合物を第2の正孔輸送層(電子バリア層とも呼ばれる)として用いると、隣接層のHOMOエネルギーレベルと一致し、有機エレクトロルミネッセンスデバイスの動作電圧をさらに低減させるようにした。
【0139】
実施例1で製造された有機エレクトロルミネッセンスデバイスを2群に分け、そのうちの1群のデバイスは熱処理を経ることなく、直接性能テストが行われ、テスト結果を表9に示した。他の1群は、熱処理を経って(110℃で1時間放置されて)、性能テストが行われ、性能テスト結果を表10に示した。上記方法を参照して、実施例1、実施例14、実施例21、実施例32、実施例35、実施例38、実施例41、比較例1~7で製造された有機エレクトロルミネッセンスデバイスが熱処理されない場合の性能パラメータ、及び熱処理された後の性能パラメータをそれぞれ取得した。
【0140】
【0141】
【0142】
表9及び表10の結果から分かるように、熱処理の前に比べて、比較例1、比較例2、比較例4~7の有機エレクトロルミネッセンスデバイスは、熱処理の後、発光効率及び外部量子効率が23%以上ほど減少し、寿命について、熱処理の後、10%以上減少した。比較例3について、熱処理の後の有機エレクトロルミネッセンスデバイスは、熱処理の前に比べて、効率が5.8%低減し、寿命が6.5%低減した一方、実施例1、実施例14、実施例21、実施例35、実施例38及び実施例41の有機エレクトロルミネッセンスデバイスは、熱処理の後、熱処理の前と同等の効率及び寿命を維持している。
【0143】
表8~表10のデバイス結果から分かるように、本発明の化合物は、比較例1及び比較例3に比べて、電圧が降下されており、その原因としては、本発明の化合物は、アダマンタンフルオレンの1、3位においてアダマンタンフルオレンの2位より深いHOMOを有し、発光層への正孔注入がよりスムーズになるためである可能性がある。本発明の化合物は、比較例5、比較例6及び比較例7に比べて、電圧が降下されたとともに、熱安定性が向上し、その原因としては、本発明の9,9-ジメチルフルオレン上に形成されるシクロアルキルは、剛性かつ大体積のアダマンチルであり、単環構造に比べて、分子積層を減らす能力が強く、材料がより安定した膜層状態を達成するようにすることができるためである可能性がある。
【0144】
以上から分かるように、前記実施例の有機電発光デバイスの結果の表8~表10によれば、アダマンタン-フルオレンをコアとするアリールアミン化合物を緑色光デバイスの第2の正孔輸送層材料として用いると、駆動電圧、発光効率、外部量子効率及び熱安定性などの特性に優れ、効率が高く、耐熱性が高く、寿命が長い有機エレクトロルミネッセンスデバイスを製造することができる。
【0145】
理解すべきことは、本願は、その適用が本明細書に係る部材の詳細構造及び配置形態に限定されない。本願は他の実施形態を有することができ、かつ様々な方式で実現しかつ実行することができる。このような変形形態や変形例は本願の発明の範囲に含まれる。理解されるように、本明細書に開示及び限定された本願は、本明細書及び/又は図面に言及されるか又は明らかな2つ以上の単独な特徴の全ての代替可能な組み合わせに広がる。これらの異なる組み合わせは、本願の複数の代替可能な態様を構成する。本明細書に記載の実施形態は、本出願を実現するための最適な形態を説明し、かつ当業者が本出願を利用することができるようにする。
【符号の説明】
【0146】
100、陽極;200、陰極;300、機能層;310、正孔注入層;321、正孔輸送層;322、電子バリア層;330、有機電界発光層;340、正孔バリア層;350、電子輸送層;360、電子注入層;370、光電変換層;400、第1の電子装置;500、第2の電子装置。
【国際調査報告】