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特表2022-550653血液ガスまたは代謝パラメーターを決定するための方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-12-05
(54)【発明の名称】血液ガスまたは代謝パラメーターを決定するための方法
(51)【国際特許分類】
   G01N 33/49 20060101AFI20221128BHJP
   G01N 33/48 20060101ALI20221128BHJP
   C12Q 1/02 20060101ALN20221128BHJP
   C12Q 1/56 20060101ALN20221128BHJP
   C12N 5/078 20100101ALN20221128BHJP
【FI】
G01N33/49 W
G01N33/48 K
C12Q1/02
C12Q1/56
C12N5/078
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021568235
(86)(22)【出願日】2020-05-14
(85)【翻訳文提出日】2022-01-13
(86)【国際出願番号】 EP2020063409
(87)【国際公開番号】W WO2020229580
(87)【国際公開日】2020-11-19
(31)【優先権主張番号】PA201900579
(32)【優先日】2019-05-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DK
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】500554782
【氏名又は名称】ラジオメーター・メディカル・アー・ペー・エス
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100122644
【弁理士】
【氏名又は名称】寺地 拓己
(74)【代理人】
【識別番号】100220098
【弁理士】
【氏名又は名称】宮脇 薫
(72)【発明者】
【氏名】ハンスン,トマス・スティーン
(72)【発明者】
【氏名】ホレスン,イーダ
(72)【発明者】
【氏名】ブルクハルト,メラニー・アンドレア
【テーマコード(参考)】
2G045
4B063
4B065
【Fターム(参考)】
2G045AA25
2G045CA28
4B063QA01
4B063QA05
4B063QQ08
4B063QQ36
4B063QR77
4B063QX01
4B065AA90X
4B065AA94X
4B065AC20
4B065BD50
4B065CA46
(57)【要約】
本発明は、血液試料において血液ガスパラメーターおよび/または基礎代謝パネルパラメーターを決定するための方法であって、該血液試料を抗凝固剤および抗血小板剤と組み合わせ、そして該試料における前記の血液ガスパラメーターおよび/またはパラメーターを決定することを含む方法に関する。ある側面において、本発明は、分析前のストレスを受けている試料において前記のパラメーターを決定することに関する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
血液試料における血液ガスパラメーターおよび/または基礎代謝パネル(BMP)パラメーターを決定するためのインビトロの方法であって、以下の工程:
i)血液試料を抗凝固剤および抗血小板剤と組み合わせ、そして
ii)該試料における前記の血液ガスパラメーターおよび/またはBMPパラメーターを決定する;
を含み、前記の血液試料が、工程ii)における決定の前に、分析前のストレス、例えば20℃未満の温度への曝露により、空気との接触により、および/またはせん断力により引き起こされるストレスを受けているインビトロの方法。
【請求項2】
請求項1に記載のインビトロの方法であって、工程ii)が、2以上の分析物センサーを含むセンサーアセンブリにおいて実施されるインビトロの方法。
【請求項3】
請求項2に記載のインビトロの方法であって、前記の2以上の分析物センサーが、全て同じ平面に位置しているわけではなく、かつ前記の分析物センサーの1つが、前記の血液ガスパラメーターまたは前記のBMPパラメーターを分析し、かつ同じ平面に配置されていない別の分析物センサーが、異なる血液ガスパラメーターまたはBMPパラメーターを分析するインビトロの方法。
【請求項4】
血液試料におけるpOおよびpCOからなる群から選択される血液ガスパラメーターを決定するためのインビトロの方法であって、以下の工程:
i)血液試料を抗凝固剤および抗血小板剤と組み合わせ、そして
ii)該試料における前記の血液ガスパラメーターを決定する;
を含み、工程ii)が、2つ以上の分析物センサーを含むセンサーアセンブリにおいて実施され、前記の2つ以上の分析物センサーが、全て同じ平面に位置しているわけではなく、かつ前記の分析物センサーの1つが、前記の血液ガスパラメーターを分析し、かつ同じ平面に配置されていない別の分析物センサーが、異なる血液ガスパラメーターまたはBMPパラメーターを分析するインビトロの方法。
【請求項5】
請求項4に記載のインビトロの方法であって、前記の血液試料が、工程ii)における決定の前に、分析前のストレス、例えば20℃未満の温度により、空気との接触により、および/または剪断力により引き起こされるストレスを受けているインビトロの方法。
【請求項6】
請求項1~5のいずれか1項に記載のインビトロの方法であって、前記の血液試料が、-5℃~20℃の温度、例えば-5℃~15℃の温度、例えば0℃~10℃の温度への曝露により引き起こされるストレス、例えば0℃~5℃の温度により引き起こされるストレスを受けているインビトロの方法。
【請求項7】
請求項1~6のいずれか1項に記載のインビトロの方法であって、工程ii)が、以下:
a)第1および第2表面を有する第1電子配線基板ならびにその第1表面上に形成された少なくとも1つの分析物センサー、ここで、該少なくとも1つの分析物センサーは1つ以上の電気接点に接続されている、
b)第1および第2表面を有する第2電子配線基板ならびにその第1表面部分上に形成された少なくとも1つの分析物センサー、ここで、該少なくとも1つの分析物センサーは1つ以上の電気接点に接続されている、ならびに
c)第1および第2開口部を有する貫通凹部を有するスペーサー;
を含むセンサーアセンブリにおいて実施され、該第1基板、該第2基板および該スペーサーが、層状構造で配置されており、該第1基板の該第1表面が該スペーサーの該第1開口部を塞ぎ、該第2基板の該第1表面が該スペーサーの該第2開口部を塞ぎ、それにより測定セルを形成し、測定セルが該基板のそれぞれからの少なくとも1つの分析物センサーに面しているインビトロの方法。
【請求項8】
請求項1~7のいずれか1項に記載のインビトロの方法であって、工程ii)における決定のために使用される容積が、1ml未満、例えば0.5ml未満、例えば200マイクロリットル未満、例えば100マイクロリットル未満、例えば50マイクロリットル未満、例えば2~50マイクロリットルであるインビトロの方法。
【請求項9】
請求項1~8のいずれか1項に記載のインビトロの方法であって、該抗凝固剤が、ヘパリンであるインビトロの方法。
【請求項10】
請求項1~9のいずれか1項に記載のインビトロの方法であって、該抗血小板剤が、糖タンパク質IIb/IIIa阻害剤、ADP受容体/P2Y12阻害剤、プロスタグランジン類似体、COX阻害剤、トロンボキサン阻害剤、ホスホジエステラーゼ阻害剤、クロリクロメン、ジタゾール、ボラパキサルおよびそれらの組み合わせからなる群から選択されるインビトロの方法。
【請求項11】
請求項1~10のいずれか1項に記載のインビトロの方法であって、該抗血小板剤が、イロプロストであるインビトロの方法。
【請求項12】
請求項1~11のいずれか1項に記載のインビトロの方法であって、工程i)が、該血液試料を混合することを含むインビトロの方法。
【請求項13】
請求項1~3または6~12のいずれか1項に記載のインビトロの方法であって、該方法が、血液ガスパラメーターを決定するためのものであり、かつ該血液ガスパラメーターが、pH、pCO、pO、酸素飽和度(sO)、総ヘモグロビン濃度(ctHb)、オキシヘモグロビンの割合(FOHb)、カルボキシヘモグロビンの割合(FCOHb)、メトヘモグロビンの割合(FMetHb)、デオキシヘモグロビンの割合(FHHb)および胎児ヘモグロビンの割合(FHbF)からなる群から選択されるインビトロの方法。
【請求項14】
請求項1~3または6~12のいずれか1項に記載のインビトロの方法であって、該方法が、BMPパラメーターを決定するためのものであり、かつ該BMPパラメーターが、Na、K、Mg2+、Cl、HCO 、尿素、クレアチニン、グルコース、Ca2+、ラクテートおよび総ビリルビンからなる群から選択されるインビトロの方法。
【請求項15】
請求項1~14のいずれか1項に記載のインビトロの方法であって、該方法が、さらに工程i)において得られた試料において血小板数および/または白血球数を決定することを含むインビトロの方法。
【請求項16】
血液試料において血液ガスパラメーターおよび/またはBMPパラメーターを決定するためのインビトロの方法であって、以下の工程:
i)血液試料を抗凝固剤および抗血小板剤と組み合わせ、
ii)前記の血液試料を20℃未満の温度に曝露し、そして
iii)該試料における前記の血液ガスパラメーターおよび/またはBMPパラメーターを決定する;
を含むインビトロの方法。
【請求項17】
請求項16に記載のインビトロの方法であって、請求項2、3または6~15のいずれか1項の特徴を含むインビトロの方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、診断的血液試料分析の分野に関する。
【背景技術】
【0002】
血液検査への迅速なアクセスは、急性疾患の診断および処置における頼みの綱である。酸素化状態および酸塩基平衡は、動脈血ガス(BG)分析によって決定され、救命救急における現代のエビデンスベース処置アルゴリズムの中心部分を構成する。さらに、救命救急検査に関して意図されたデバイスは、例えば電解質、腎機能(クレアチニン)、炎症(C反応性タンパク質)および心臓バイオマーカーの評価を可能にする。
【0003】
基礎代謝パネル(BMP)は、ある人の腎臓の状態ならびにそれらの電解質および酸/塩基平衡、ならびにそれらの血中グルコースレベル(その全てが人の代謝に関連している)をチェックするために使用される。それは、入院患者ならびに特定の既知の病気、例えば高血圧および低カリウム血症を有する人々をモニターするために用いられることもできる。
【0004】
さらに、白血球の数は、いくつかの疾患に関する重要なバイオマーカーであり、差次的なWBCの数は、異なるタイプの血液細胞、例えば好中球、リンパ球、単球、好酸球および好塩基球を識別することができる。それぞれが、例えば百分率として報告されることができる。百分率における変化は、病理学的な状態を示している可能性がある。
【0005】
さらに、血小板(栓球とも呼ばれる)が、別のパラメーターとして計数されることができる。血小板は、正常な凝血に不可欠である細胞の小さい断片である。血小板数は、血塊形成に関する問題を引き起こし得る様々な疾患および病気をスクリーニングまたは診断するために使用されることができる。それは、少し例を挙げるだけでも出血性障害、骨髄疾患または過剰凝血障害の精密検査の一部として使用されることができる。その検査は、内在する症状を有する、または血小板に影響を与えることが知られている薬物による処置を受けている人々に関するモニタリングツールとして使用されることができる。それは、血小板障害に関して処置されている人をモニターして療法が有効であるかどうかを決定するために使用されることもできる。
【0006】
しかし、血液試料は、通常は上記の各パラメーターの診断的測定のために異なる方法で調製されなければならない。例えば、BGおよびBMPパラメーターの分析に関して、標準的な抗凝固剤は、ヘパリンである。ヘパリンは、血液凝固を防ぐが、それは、血小板(栓球)の活性化および凝集を防がず、それは、血小板凝集体の形成につながる。従って、ヘパリンは、最近では、WBC、血小板の計数、3分類(3-diff)または5分類(5-diff)、赤血球(RBC)濃度、ヘマトクリット、ヘモグロビン濃度およびRBC記述的パラメーターを含む全血球計算(CBC)分析には使用されない。ヘパリン処理された血液中の測定された血小板数は、特に単一の血小板と凝集した血小板の塊を識別することができない現状技術の自動血液学分析装置を使用する場合には、少なく見積もられるであろう。代わりに、血小板凝集体は、血液学分析装置により間違って白血球と分類される可能性があり、従って間違って高いWBC数が得られ、それは結果として欠陥のある診断またはフラグおよびエラーメッセージをもたらして結果を使用不能にする可能性がある。
【0007】
エチレンジアミン四酢酸(EDTA)は、二ナトリウム、二カリウムまたは三カリウム塩のいずれかで血液学において一般的に使用される別の標準的な抗凝固剤である。EDTAの使用は、一般に全血球計算値を得るために安全かつ信頼性が高いと認められている。加えて、EDTA塩類は、血液塗抹標本の標準的な染色プロトコルと適合可能であり、すなわちそれに干渉しない。EDTA依存性の偽性血小板減少症に関する問題が発生した場合、シトレートが代替の抗凝固剤として使用される。しかし、EDTAまたはシトレートは、これらの抗凝固剤が電解質の測定に強く干渉するため、BGおよびBMPのパラメーター分析には使用されることができない。例えば、EDTAおよびシトレートは、Ca2+と錯体を形成し、そうしてCa2+の測定に干渉し、これらの抗凝固剤は、自動分析装置のカルシウムセンサーを破壊する可能性さえある。
【0008】
現在、血液学分析および特にCBCは、EDTAまたはシトレートで抗凝固処置された血液試料に対して実施され、ヘパリン処理された血液試料に対しては実施されない。
結果として、これまでのCBC、BGおよびBMPパラメーターの包括的分析は、別々の装置で異なる方法で抗凝固処置された別々の血液試料を用いて実施される必要がある。
【0009】
Schnuff-Wernet et al. (Br. J. Haematol. 162, 684, 2013)は、MgSOがEDTAまたはシトレートの代わりとして偽性血小板減少症を有する患者の血液試料のための抗凝固剤として使用されることができると記載している。
【0010】
米国特許出願公開第2010/0280412号は、血液凝固第Xa因子阻害剤およびヒト血液の抗凝固のための方法を開示しており、ここで、血中カルシウム濃度は同じままであり、トロンビンは形成されず、栓球の機能は影響を受けない。
【0011】
米国特許第6,880,384 B2号は、血液ガスパラメーター、代謝パラメーターおよび電解質を測定するための自動血液分析装置ならびに血液試料および撹拌素子を収容する血液サンプラーを記載している。
【0012】
国際公開第2019096598号は、血液試料を調製するためのインビトロの方法を記載しており、ここで、血液は、以下のものと組み合わせられる:
a)血液ガスおよび基礎代謝パネルパラメーターの決定のための少なくとも1種類の抗凝固剤;および
b)少なくとも1種類の抗血小板剤。
【0013】
前記の方法に従って調製された血液試料は、BGおよびBMPパラメーター分析ならびに血小板計数に適している。従って、全てのパラメーターが、同じ血液試料および同じ自動血液分析装置を用いて決定されることができる。国際公開第2019096598号は、前記の試料調製法に従って調製された血液試料において血液ガスおよびBMPパラメーターならびに血小板数を決定するためのインビトロの方法も記載している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】米国特許出願公開第2010/0280412号
【特許文献2】米国特許第6,880,384 B2号
【特許文献3】国際公開第2019096598号
【非特許文献】
【0015】
【非特許文献1】Schnuff-Wernet et al. (Br. J. Haematol. 162, 684, 2013)
【発明の概要】
【0016】
第1側面において、本発明は、以下の工程:
i)血液試料を抗凝固剤および抗血小板剤と組み合わせ、そして
ii)試料における前記の血液ガスパラメーターおよび/またはBMPパラメーターを決定する;
を含む血液試料における血液ガスパラメーターおよび/または基礎代謝パネル(BMP)パラメーターを決定するためのインビトロの方法に関し、ここで、前記の血液試料は、工程ii)における決定の前に、分析前のストレス、例えば20℃未満の温度への曝露により、空気との接触により、および/またはせん断力により引き起こされたストレスを受けている。
【0017】
同様に、第2側面において、本発明は、以下の工程:
i)血液試料を抗凝固剤および抗血小板剤と組み合わせ、
ii)前記の血液試料を20℃未満の温度に曝露し、そして
iii)試料における前記の血液ガスパラメーターおよび/またはBMPパラメーターを決定する;
を含む、血液試料における血液ガスパラメーターおよび/またはBMPパラメーターを決定するためのインビトロの方法に関する。
【0018】
第3側面において、本発明は、以下の工程:
i)血液試料を抗凝固剤および抗血小板剤と組み合わせ、そして
ii)試料における前記の血液ガスパラメーターを決定する;
を含む血液試料におけるpOおよびpCOからなる群から選択される血液ガスパラメーターを決定するためのインビトロの方法に関し、ここで、工程ii)は、2つ以上の分析物センサーを含むセンサーアセンブリにおいて実施され、ここで、前記の2つ以上の分析物センサーは、全て同じ平面に位置しているわけではなく、かつここで、前記の分析物センサーの1つは、前記の血液ガスパラメーターを分析し、かつここで、同じ平面に配置されていない別の分析物センサーが、異なる血液ガスパラメーターまたはBMPパラメーターを分析する。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】液体ヘパリンのみを含有するPICO70サンプラー(LiHep、金コート(Au)ボールなし、穏やかな手作業での混合)、SAMミキサー上で混合されたPICO70(PicoSAM)、EDTA抗凝固剤および2つの濃度レベルの抗血小板薬エプチフィバチド、チロフィバンまたはイロプロストとの組み合わせでの液体ヘパリンまたは完全なPicoSAMを用いて採取された血液において定量化された単一の血小板数および血小板凝集体の数。3種類の抗血小板薬は、標準的なEDTA抗凝固血液と比較可能な単一の血小板数および凝集体が無いか少ないことを示している。
図2】液体ヘパリンのみを含有するPICO70サンプラー(LiHep、Auボール無し、穏やかな手作業での混合)、SAMミキサー上で混合されたPICO70(PicoSAM)、EDTA抗凝固剤および2つの濃度レベルの抗血小板薬MgSOとの組み合わせでの液体ヘパリンまたは完全なPicoSAMを用いて採取された血液において定量化された単一の血小板数および血小板凝集体の数。
図3】液体ヘパリンのみを含有するPICO70サンプラー(LiHep、Auボール無し、穏やかな手作業での混合)、SAMミキサー上で混合されたPICO70(PicoSAM)、EDTA抗凝固剤および2つの濃度レベルの抗血小板薬チクロピジンとの組み合わせでの液体ヘパリンまたは完全なPicoSAMを用いて採取された血液において定量化された単一の血小板数および血小板凝集体の数。
図4】液体ヘパリンのみを含有するPICO70サンプラー(LiHep、Auボール無し、穏やかな手作業での混合)、SAMミキサー上で混合されたPICO70(PicoSAM)、EDTA抗凝固剤および2つの濃度レベルの抗血小板薬L-アルギニンとの組み合わせでの液体ヘパリンまたは完全なPicoSAMを用いて採取された血液において定量化された単一の血小板数および血小板凝集体の数。
図5】液体ヘパリンのみを含有するPICO70サンプラー(LiHep、Auボール無し、穏やかな手作業での混合)、SAMミキサー上で混合されたPICO70(PicoSAM)、EDTA抗凝固剤および2つの濃度レベルの抗血小板薬ジピリダモールとの組み合わせでの液体ヘパリンまたは完全なPicoSAMを用いて採取された血液において定量化された単一の血小板数および血小板凝集体の数。
図6】(A)ヘパリンおよび(B)EDTAで抗凝固処理された血液試料の顕微鏡画像。EDTAは、血液試料中で血小板の活性化を防ぎ、単一の血小板を維持するが、ヘパリンは、他のアゴニストまたは異物により誘導される血小板の凝集を可能にし、または増強しさえする。ヘパリンのこの作用は、(C)20μMのエプチフィバチドがヘパリンに添加された場合、顕微鏡画像において観察されることができない。
図7】染色/溶血試薬と手作業で混合された血液試料。カバーガラス上で湿式マウントで調製された染色されたWBC(白血球)および血小板を、Leicaの顕微鏡で40倍の対物レンズを用いて明視野モードで画像化した。(A)血小板との相互作用を示す白血球の例。(B)白血球凝集体の例。
【発明を実施するための形態】
【0020】
第1側面において、本発明は、以下の工程:
i)血液試料を抗凝固剤および抗血小板剤と組み合わせ、そして
ii)試料における前記の血液ガスパラメーターおよび/またはBMPパラメーターを決定する;
を含む血液試料における血液ガスパラメーターおよび/または基礎代謝パネル(BMP)パラメーターを決定するためのインビトロの方法に関し、ここで、前記の血液試料は、工程ii)における決定の前に、分析前のストレス、例えば20℃未満の温度への曝露により、空気との接触により、および/または剪断力により引き起こされるストレスを受けている。本明細書で用いられる場合の分析前のストレスは、分析の前に、すなわち工程ii)におけるパラメーターの決定の前に試料に加えられたストレスを示す。
【0021】
同様に、第2側面において、本発明は、以下の工程:
i)血液試料を抗凝固剤および抗血小板剤と組み合わせ、
ii)前記の血液試料を20℃未満の温度に曝露し、そして
iii)試料における前記の血液ガスパラメーターおよび/またはBMPパラメーターを決定する;
を含む、血液試料における血液ガスパラメーターおよび/またはBMPパラメーターを決定するためのインビトロの方法に関する。
【0022】
驚くべきことに、血液試料中の抗凝固剤および抗血小板剤両方の存在は、BGおよびBMPパラメーターの決定の正確さおよび堅牢性を向上させることが見出されている。従って、例えば低温、空気との接触または高い剪断力によるストレスを受けたことがある試料でさえも、これらのパラメーターの決定のために確実に使用されることができる。本発明者らは、そのようなストレス条件下では、試料中に抗凝固剤および抗血小板剤の両方を存在させることが、抗凝固剤のみが添加された場合よりも少ない塊による測定エラーをもたらすことを観察している。いかなる理論にも縛られることなく、抗血小板剤の存在は血小板の活性化を防ぎ、そうして血小板凝集体の形成を防ぐと信じられている。血小板凝集体は、以前はBGおよびBMPパラメーターの決定におけるエラーの源としては知られていなかった。結論として、本発明の方法は、ストレスを受けていた試料におけるBGおよびBMPパラメーターのより正確な決定を可能にする。加えて、方法の工程i)に従って調製された血液試料は、BGおよびBMPパラメーター分析ならびに血小板計数に適しており、従って全てのパラメーターが、同じ血液試料および同じ自動血液分析装置を使用して決定されることができる。従って、本発明の方法が1つの血液試料で“3イン1”分析を可能にすることは、本発明の方法のさらなる利点である。
【0023】
第3側面において、本発明は、以下の工程:
i)血液試料を抗凝固剤および抗血小板剤と組み合わせ、そして
ii)試料における前記の血液ガスパラメーターを決定する;
を含む血液試料におけるpOおよびpCOからなる群から選択される血液ガスパラメーターを決定するためのインビトロの方法に関し、ここで、工程ii)は、2つ以上の分析物センサーを含むセンサーアセンブリにおいて実施され、ここで、前記の2つ以上の分析物センサーは、全て同じ平面に位置しているわけではなく、かつここで、前記の分析物センサーの1つは、前記の血液ガスパラメーターを分析し、かつここで、同じ平面に配置されていない別の分析物センサーが、異なる血液ガスパラメーターまたはBMPパラメーターを分析する。センサーが全て同じ平面上にあるわけではない、例えばサンドイッチ構成である、またはチューブ中にあるマルチセンサーアセンブリは、より少量の試料の分析を可能にする。繰り返すが、本発明の方法の1つの利点は、複数のパラメーターが1つの試料から測定されることができることである。
【0024】
分析前のストレス
上記のように、本発明の方法では、血液試料は、前記の試料におけるBGおよび/またはBMPパラメーターの決定の前に抗凝固剤および抗血小板剤と組み合わせられる。血液試料を抗凝固剤および抗血小板剤と組み合わせることは、試料を分析前のストレス、例えば20℃未満の温度への曝露により、空気との接触により、および/または剪断力により引き起こされるストレスに対してより堅牢にする。
【0025】
20℃未満の温度への曝露により引き起こされるストレスは、例えば試料が氷上で保管またはインキュベートされた場合に起こり得る。温度低下は、分析前の試料の取り扱いまたは輸送の間にも起こり得る。曝露は、血液試料自体の温度の著しい低下を引き起こすために十分な最小限の時間であって、実際にストレスを引き起こしたものだったであろうことは、理解されている。一態様において、血液試料は、-5℃~20℃の温度、例えば-5℃~15℃の温度、例えば0℃~10℃の温度への曝露により引き起こされるストレス、例えば0℃~5℃の温度により引き起こされるストレスを受けている。さらなる態様において、血液試料は、-5℃、-4℃、-3℃、-2℃、-1℃、0℃、1℃、2℃、3℃、4℃、5℃、6℃、7℃、8℃、9℃、10℃、11℃、12℃、13℃、14℃、15℃、16℃、17℃、18℃または19℃から-4℃、-3℃、-2℃、-1℃、0℃、1℃、2℃、3℃、4℃、5℃、6℃、7℃、8℃、9℃、10℃、11℃、12℃、13℃、14℃、15℃、16℃、17℃、18℃、19℃または20℃の温度への曝露により引き起こされるストレスを受けている。一態様において、曝露時間は、少なくとも5秒、例えば少なくとも10秒、少なくとも30秒、少なくとも1分、少なくとも2分、少なくとも5分、少なくとも10分または少なくとも30分であった。
【0026】
血液試料を低温で、例えば10℃未満で、例えば氷上でインキュベートまたは保管する能力は、特定の目的のために、特に低温でのインキュベーションが分析前の取り扱いの間の試料におけるさらなる代謝を妨げるBMPパラメーターの決定のために望ましい可能性がある。
【0027】
空気との接触により引き起こされるストレスは、例えば、試料が分析前に最適以下で扱われている場合に、例えば血液試料がシリンジで引き込まれ、空気がシリンジに入り、分析手順におけるその後の工程の前に除去されない場合に起こり得る。特に、空気の存在下での血液試料の混合は、そのようなストレスを増大させ得る。従って、一態様において、空気との接触により引き起こされるストレスは、試料の混合の間に空気との接触により引き起こされるストレスである。従って、一態様において、本発明の方法は、決定前の混合工程を含み、ここで、試料は、混合工程の間に空気と接触している。
【0028】
剪断力により引き起こされるストレスは、いくつかの方法で、例えば試料がある期間、例えば0.1秒より長い、0.2秒より長い、0.5秒より長い、1秒より長い、2秒より長い、または5秒より長い期間の間10000秒-1より上の平均剪断速度に晒される場合に起こり得る。10000秒-1より上の剪断速度は、それらが大きなロール状の(rolling)凝集体の形成をもたらし得るため、“病理学的”と記載されている(Nesbitt et al. (2009) Nature Medicine 15: 665; Ruggeri et al. (2006) Blood 108:1903)。平均剪断速度は、例えばシミュレーション技法を用いて決定されることができる。例えば、COMSOL Multiphysics(v. 5.2. www.comsol.com. COMSOL AB, ストックホルム、スウェーデン)は、物理学に基づく問題を解決するその能力で知られている商業的に入手可能なソフトウェアである。別の態様において、試料は、12000秒-1より上の、15000秒-1より上の、または20000秒-1より上の平均剪断速度にある期間、例えば0.1秒より長い、0.2秒より長い、0.5秒より長い、1秒より長い、2秒より長い、または5秒より長い期間の間晒されている。剪断力により引き起こされるストレスは、試料が分析前に最適以下で扱われている場合に、例えば試料が(ストレスを引き起こさない穏やかな手順である混合とは異なる)強い振盪またはボルテックスを受けている場合にも起こり得る。さらに、剪断力により引き起こされるストレスは、手順の間の試料の自動化された取り扱いまたは輸送の間にも起こり得る。自動試料管理システムは、例えば試料を表面上に、または試料受け取りデバイス中にぶつける可能性がある。本発明の方法の一態様において、血液試料は、血液の引き出しに続く全ての工程または方法の工程i)に続く全ての工程において自動化されたシステムで(すなわち人間による手作業での取り扱いを伴わずに)取り扱われる。
【0029】
パラメーター
上記のように、本発明は、BGパラメーターおよび/またはBMPパラメーターを決定するためのインビトロの方法に関する。
【0030】
好ましい態様において、方法は、BGパラメーターを決定するためのものである。さらなる態様において、血液ガスパラメーターは、pH、pCO、pO、酸素飽和度(sO)、総ヘモグロビン濃度(ctHb)、オキシヘモグロビンの割合(FOHb)、カルボキシヘモグロビンの割合(FCOHb)、メトヘモグロビンの割合(FMetHb)、デオキシヘモグロビンの割合(FHHb)および胎児ヘモグロビンの割合(FHbF)からなる群から選択される。好ましい態様において、血液ガスパラメーターは、pOまたはpCOである。
【0031】
別の態様において、方法は、pHを決定するためのものであり、血液試料は、20℃未満または19℃未満、または18℃未満、または17℃未満、または16℃未満、または15℃未満、または14℃未満、または13℃未満、または12℃未満、または11℃未満、または10℃未満、または9℃未満、または8℃未満、または7℃未満、または6℃未満、または5℃未満、または4℃未満、または3℃未満、または2℃未満、または1℃未満の温度への曝露により引き起こされるストレスを受けている。別の態様において、方法は、pCOを決定するためのものであり、血液試料は、20℃未満または19℃未満、または18℃未満、または17℃未満、または16℃未満、または15℃未満、または14℃未満、または13℃未満、または12℃未満、または11℃未満、または10℃未満、または9℃未満、または8℃未満、または7℃未満、または6℃未満、または5℃未満、または4℃未満、または3℃未満、または2℃未満、または1℃未満の温度への曝露により引き起こされるストレスを受けている。別の態様において、方法は、pOを決定するためのものであり、血液試料は、20℃未満または19℃未満、または18℃未満、または17℃未満、または16℃未満、または15℃未満、または14℃未満、または13℃未満、または12℃未満、または11℃未満、または10℃未満、または9℃未満、または8℃未満、または7℃未満、または6℃未満、または5℃未満、または4℃未満、または3℃未満、または2℃未満、または1℃未満の温度への曝露により引き起こされるストレスを受けている。別の態様において、方法は、sOを決定するためのものであり、血液試料は、20℃未満または19℃未満、または18℃未満、または17℃未満、または16℃未満、または15℃未満、または14℃未満、または13℃未満、または12℃未満、または11℃未満、または10℃未満、または9℃未満、または8℃未満、または7℃未満、または6℃未満、または5℃未満、または4℃未満、または3℃未満、または2℃未満、または1℃未満の温度への曝露により引き起こされるストレスを受けている。別の態様において、方法は、ctHbを決定するためのものであり、血液試料は、20℃未満または19℃未満、または18℃未満、または17℃未満、または16℃未満、または15℃未満、または14℃未満、または13℃未満、または12℃未満、または11℃未満、または10℃未満、または9℃未満、または8℃未満、または7℃未満、または6℃未満、または5℃未満、または4℃未満、または3℃未満、または2℃未満、または1℃未満の温度への曝露により引き起こされるストレスを受けている。別の態様において、方法は、FOHbを決定するためのものであり、血液試料は、20℃未満または19℃未満、または18℃未満、または17℃未満、または16℃未満、または15℃未満、または14℃未満、または13℃未満、または12℃未満、または11℃未満、または10℃未満、または9℃未満、または8℃未満、または7℃未満、または6℃未満、または5℃未満、または4℃未満、または3℃未満、または2℃未満、または1℃未満の温度への曝露により引き起こされるストレスを受けている。別の態様において、方法は、FCOHbを決定するためのものであり、血液試料は、20℃未満または19℃未満、または18℃未満、または17℃未満、または16℃未満、または15℃未満、または14℃未満、または13℃未満、または12℃未満、または11℃未満、または10℃未満、または9℃未満、または8℃未満、または7℃未満、または6℃未満、または5℃未満、または4℃未満、または3℃未満、または2℃未満、または1℃未満の温度への曝露により引き起こされるストレスを受けている。別の態様において、方法は、FMetHbを決定するためのものであり、血液試料は、20℃未満または19℃未満、または18℃未満、または17℃未満、または16℃未満、または15℃未満、または14℃未満、または13℃未満、または12℃未満、または11℃未満、または10℃未満、または9℃未満、または8℃未満、または7℃未満、または6℃未満、または5℃未満、または4℃未満、または3℃未満、または2℃未満、または1℃未満の温度への曝露により引き起こされるストレスを受けている。別の態様において、方法は、FHHbを決定するためのものであり、血液試料は、20℃未満または19℃未満、または18℃未満、または17℃未満、または16℃未満、または15℃未満、または14℃未満、または13℃未満、または12℃未満、または11℃未満、または10℃未満、または9℃未満、または8℃未満、または7℃未満、または6℃未満、または5℃未満、または4℃未満、または3℃未満、または2℃未満、または1℃未満の温度への曝露により引き起こされるストレスを受けている。別の態様において、方法は、FHbFを決定するためのものであり、血液試料は、20℃未満または19℃未満、または18℃未満、または17℃未満、または16℃未満、または15℃未満、または14℃未満、または13℃未満、または12℃未満、または11℃未満、または10℃未満、または9℃未満、または8℃未満、または7℃未満、または6℃未満、または5℃未満、または4℃未満、または3℃未満、または2℃未満、または1℃未満の温度への曝露により引き起こされるストレスを受けている。
【0032】
別の態様において、方法は、BMPパラメーターを決定するためのものである。さらなる態様において、BMPパラメーターは、Na、K、Mg2+、Cl、HCO3-、尿素、クレアチニン、グルコース、Ca2+、ラクテートおよび総ビリルビンからなる群から選択される。
【0033】
別の態様において、方法は、Naを決定するためのものであり、血液試料は、20℃未満または19℃未満、または18℃未満、または17℃未満、または16℃未満、または15℃未満、または14℃未満、または13℃未満、または12℃未満、または11℃未満、または10℃未満、または9℃未満、または8℃未満、または7℃未満、または6℃未満、または5℃未満、または4℃未満、または3℃未満、または2℃未満、または1℃未満の温度への曝露により引き起こされるストレスを受けている。別の態様において、方法は、Kを決定するためのものであり、血液試料は、20℃未満または19℃未満、または18℃未満、または17℃未満、または16℃未満、または15℃未満、または14℃未満、または13℃未満、または12℃未満、または11℃未満、または10℃未満、または9℃未満、または8℃未満、または7℃未満、または6℃未満、または5℃未満、または4℃未満、または3℃未満、または2℃未満、または1℃未満の温度への曝露により引き起こされるストレスを受けている。別の態様において、方法は、Mg2+を決定するためのものであり、血液試料は、20℃未満または19℃未満、または18℃未満、または17℃未満、または16℃未満、または15℃未満、または14℃未満、または13℃未満、または12℃未満、または11℃未満、または10℃未満、または9℃未満、または8℃未満、または7℃未満、または6℃未満、または5℃未満、または4℃未満、または3℃未満、または2℃未満、または1℃未満の温度への曝露により引き起こされるストレスを受けている。別の態様において、方法は、Clを決定するためのものであり、血液試料は、20℃未満または19℃未満、または18℃未満、または17℃未満、または16℃未満、または15℃未満、または14℃未満、または13℃未満、または12℃未満、または11℃未満、または10℃未満、または9℃未満、または8℃未満、または7℃未満、または6℃未満、または5℃未満、または4℃未満、または3℃未満、または2℃未満、または1℃未満の温度への曝露により引き起こされるストレスを受けている。別の態様において、方法は、HCO3-を決定するためのものであり、血液試料は、20℃未満または19℃未満、または18℃未満、または17℃未満、または16℃未満、または15℃未満、または14℃未満、または13℃未満、または12℃未満、または11℃未満、または10℃未満、または9℃未満、または8℃未満、または7℃未満、または6℃未満、または5℃未満、または4℃未満、または3℃未満、または2℃未満、または1℃未満の温度への曝露により引き起こされるストレスを受けている。別の態様において、方法は、尿素を決定するためのものであり、血液試料は、20℃未満または19℃未満、または18℃未満、または17℃未満、または16℃未満、または15℃未満、または14℃未満、または13℃未満、または12℃未満、または11℃未満、または10℃未満、または9℃未満、または8℃未満、または7℃未満、または6℃未満、または5℃未満、または4℃未満、または3℃未満、または2℃未満、または1℃未満の温度への曝露により引き起こされるストレスを受けている。別の態様において、方法は、クレアチニンを決定するためのものであり、血液試料は、20℃未満または19℃未満、または18℃未満、または17℃未満、または16℃未満、または15℃未満、または14℃未満、または13℃未満、または12℃未満、または11℃未満、または10℃未満、または9℃未満、または8℃未満、または7℃未満、または6℃未満、または5℃未満、または4℃未満、または3℃未満、または2℃未満、または1℃未満の温度への曝露により引き起こされるストレスを受けている。別の態様において、方法は、グルコースを決定するためのものであり、血液試料は、20℃未満または19℃未満、または18℃未満、または17℃未満、または16℃未満、または15℃未満、または14℃未満、または13℃未満、または12℃未満、または11℃未満、または10℃未満、または9℃未満、または8℃未満、または7℃未満、または6℃未満、または5℃未満、または4℃未満、または3℃未満、または2℃未満、または1℃未満の温度への曝露により引き起こされるストレスを受けている。別の態様において、方法は、Ca2+を決定するためのものであり、血液試料は、20℃未満または19℃未満、または18℃未満、または17℃未満、または16℃未満、または15℃未満、または14℃未満、または13℃未満、または12℃未満、または11℃未満、または10℃未満、または9℃未満、または8℃未満、または7℃未満、または6℃未満、または5℃未満、または4℃未満、または3℃未満、または2℃未満、または1℃未満の温度への曝露により引き起こされるストレスを受けている。別の態様において、方法は、ラクテートを決定するためのものであり、血液試料は、20℃未満または19℃未満、または18℃未満、または17℃未満、または16℃未満、または15℃未満、または14℃未満、または13℃未満、または12℃未満、または11℃未満、または10℃未満、または9℃未満、または8℃未満、または7℃未満、または6℃未満、または5℃未満、または4℃未満、または3℃未満、または2℃未満、または1℃未満の温度への曝露により引き起こされるストレスを受けている。別の態様において、方法は、総ビリルビンを決定するためのものであり、血液試料は、20℃未満または19℃未満、または18℃未満、または17℃未満、または16℃未満、または15℃未満、または14℃未満、または13℃未満、または12℃未満、または11℃未満、または10℃未満、または9℃未満、または8℃未満、または7℃未満、または6℃未満、または5℃未満、または4℃未満、または3℃未満、または2℃未満、または1℃未満の温度への曝露により引き起こされるストレスを受けている。
【0034】
方法は、さらに工程i)で得られた試料中の血小板数および/または白血球数を決定することを含むことができ、または含まなくてもよい。一態様において、白血球数は、総白血球数である。別の態様において、白血球数は、5つの異なるタイプの血球(“5分類”または“5種分類(5-part diff)”)、すなわち、好中球、リンパ球、単球、好酸球および好塩基球の数、またはこれらの1つ、2つもしくはより多くのタイプの数である。ある態様において、好中球、好塩基球および好酸球は、グループとして顆粒球として報告される。それぞれは、例えば百分率として報告されることができる。百分率における変化は、病理学的状態を示している可能性がある。
【0035】
一態様において、方法は、同じ試料において上記のパラメーターの2以上、例えば上記のパラメーターの3以上、4以上、5以上、6以上、8以上、10以上、12以上、14以上、16以上、18以上または19以上を決定する、例えば同じ試料においてこれらのパラメーターを同時に決定するためのものである。
【0036】
一態様において、方法は、同じ試料において上記のパラメーターの2つ以上を決定するためのものであり、前記の2つ以上のパラメーターは、以下のパラメーターを含む:
pHおよびKまたは
pOおよびKまたは
pCOおよびKまたは
pHおよびグルコースまたは
pOおよびグルコースまたは
pCOおよびグルコース。
【0037】
センサーアセンブリ
原則として、あらゆる適切な方法が、試料において前記の血液ガスパラメーターおよび/またはBMPパラメーターを決定する工程のために使用されることができる。
【0038】
一態様において、決定は、1つ以上の分析物センサーを使用するセンサーアセンブリで実施される。好ましくは、決定は、2つ以上の分析物センサーを含むセンサーアセンブリで実施され、従って2つ以上のパラメーターの同時決定を促進する。
【0039】
好都合には、前記の2つ以上の分析物センサーは、全てが同じ平面に位置しているわけではなく、前記の分析物センサーの1つが、前記の血液ガスパラメーターまたは前記のBMPパラメーターを分析し、同じ平面に配置されていない別の分析物センサーが、異なる血液ガスパラメーターまたはBMPパラメーターを分析する。センサーが全て同じ平面上にあるわけではない、例えばサンドイッチ構成またはチューブ中にあるマルチセンサーアセンブリは、より少ない量の試料の分析を可能にする。用語“平面”は、本明細書で使用される際、平坦な2次元の表面を意味する。ある好ましい態様において、前記の2つ以上の分析物センサーは、互いに対して180°の角度で位置していない2つ以上の平面上に配置されている。別の好ましい態様において、前記の2つ以上の分析物センサーは、全てが互いに対して180°の角度で位置しているわけではない。
【0040】
好ましい態様において、決定は、以下:
a)第1および第2表面を有する第1電子配線基板ならびにその第1表面上に形成された少なくとも1つの分析物センサー(少なくとも1つの分析物センサーは、1つ以上の電気接点に接続されている)、
b)第1および第2表面を有する第2電子配線基板ならびにその第1表面部分上に形成された少なくとも1つの分析物センサー(少なくとも1つの分析物センサーは、1つ以上の電気接点に接続されている)ならびに
c)第1および第2開口部を有する貫通凹部(through-going recess)を有するスペーサー;
を含むセンサーアセンブリにおいて実施され、ここで、第1基板、第2基板およびスペーサーは、層状構造で配置されており、ここで、第1基板の第1表面がスペーサーの第1開口部を塞ぎ、第2基板の第1表面がスペーサーの第2開口部を塞ぎ、それにより測定セルを形成し、それは、基板のそれぞれからの少なくとも1つの分析物センサーに面している。そのようなセンサーアセンブリは、国際公開第2008/131767号(Radiometer Medical ApS)において記載されている。そのさらなる態様において、測定セルの容積は、1ml未満、例えば0.5ml未満、例えば200マイクロリットル未満、例えば100マイクロリットル未満、例えば50マイクロリットル未満、例えば2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48または49マイクロリットル未満である。さらなる態様において、測定セルの容積は、2~50マイクロリットル、例えば2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48または49マイクロリットルから3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49または50マイクロリットルである。従って、一態様において、決定のために使用される量、すなわち測定セル内に収容される量は、1ml未満、例えば0.5ml未満、例えば200マイクロリットル未満、例えば100マイクロリットル未満、例えば50マイクロリットル未満、例えば2~50マイクロリットル、例えば2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48または49マイクロリットルから3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49または50マイクロリットルである。スペーサーにおける凹部ならびに第1および第2基板の第1表面により提供される測定セルは、好ましくは約25~45マイクロリットルの容積、より好ましくは約30~40マイクロリットルの容積を提供する。そのような容積により、測定セル中の分析物センサーによる測定のために非常に少ない試料が必要とされる。好ましくは、スペーサーの寸法は、以下の範囲内である:長さ20~60mm、幅5~20mmおよび厚さ0.2~0.6mm。スペーサー内の凹部は、以下の範囲内の寸法を有することができる:長さ10~50mm、幅1~5mmおよび深さ0.2~0.6mm。第1および第2基板ならびにスペーサーの寸法、従ってセンサーアセンブリの寸法は、意図される使用に応じて適合させられることができる。しかし、好ましい態様において、第1基板は、以下の範囲内の寸法を有する:長さ約20~60mm、幅約5~20mmおよび厚さ約0.3~0.8mm。第2基板の幅および/または長さは、第1基板の幅および/または長さよりもいくらか大きいことができる。これは、一部の好ましい態様に関して第2基板の第1表面がセンサーアセンブリ中のスペーサーおよび第1基板の縁を越えて突出していることが好ましいという事実による。第2基板は、好ましくは以下の範囲内の寸法を有する:長さ約20~60mm、幅約5~40mmおよび厚さ0.3~0.8mm。第2基板の長さおよび幅は、約4~20mmの範囲の第1基板およびスペーサーの縁を越えた延長を提供することができる。
【0041】
別の態様において、決定は、以下のものを含むセンサーアレイにおいて実施される:基部、基部の上に間隔をあけて配置された上部および基部から上部へと延びる外壁を有するハウジング;流体の試料を受け入れる大きさであるハウジングにおける入口;流体入口の周りに配置され互いに実質的に隔離された複数の区画、各区画は、流体入口により受け入れられた流体の試料の一部を受け入れるために流体入口においてポートを有する;ならびに各区画における少なくとも1つのセンサー、ここで、少なくとも1つのセンサーは、流体が少なくとも1つのセンサーと接触した際に流体に対して反応性であり、ここで、センサーアレイは、流体入口から複数の区画の1つ以上により受け入れられた流体の試料を少なくとも1つのセンサーと接触するように選択的に方向付けるように構成されている。そのようなセンサーアレイは、国際公開第2018/112017号において記載されている。そのさらなる態様において、各区画中の決定のために使用される量、すなわち区画内に収容される量は、1ml未満、例えば0.5ml未満、例えば200マイクロリットル未満、例えば100マイクロリットル未満、例えば50マイクロリットル未満、例えば2~50マイクロリットル、例えば2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48または49マイクロリットルから3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49または50マイクロリットルである。
【0042】
別の態様において、決定は、以下のものを含むセンサーアセンブリにおいて実施される:第1外側シース、第1外側シース内の第1膜コアおよび第1膜コアにより少なくとも部分的に包まれており第1膜コアと接触している第1導電素子を有する第1マイクロセンサー、ここで、第1導電素子は、第1膜コアが流体と接触した際に第1電気応答信号を検出する;ならびに第1マイクロセンサーの外側表面に隣接する第2マイクロセンサー、第2マイクロセンサーは、第2外側シース、第2外側シース内の第2膜コアおよび第2膜コアにより少なくとも部分的に包まれており第2膜コアと接触している第2導電素子を有し、ここで、第2導電素子は、第2膜コアが流体と接触した際に第2電気応答信号を検出する。そのようなセンサーアセンブリは、国際公開第2018/112012号において記載されている。そのさらなる態様において、決定のために使用される量、すなわち測定セル内に収容される量は、1ml未満、例えば0.5ml未満、例えば200マイクロリットル未満、例えば100マイクロリットル未満、例えば50マイクロリットル未満、例えば2~50マイクロリットル、例えば2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48または49マイクロリットルから3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49または50マイクロリットルである。
【0043】
別の態様において、決定は、以下のものを含むマイクロキャピラリーセンサーアレイにおいて実施される:長手方向軸に沿って細長いセンサー本体、センサー本体は、第1端部、長手方向軸に沿って第1端部から間隔をあけて配置された第2端部、外側表面および内側表面を有し、ここで、内側表面は、長手方向軸に沿って第1端部から第2端部に向かって延びる中空キャピラリーを定めている;センサー本体を通って外側表面から中空キャピラリーへと延びる感知素子;ならびに感知素子と接触する導電素子;ここで、導電素子は、流体が中空キャピラリーを通って流れて感知素子と接触する際に、感知素子および流体の間の反応により生成された応答信号を検出する。そのようなセンサーアレイは、国際公開第2018/112008号において記載されている。そのさらなる態様において、決定のために使用される量、すなわち測定セル内に収容される量は、1ml未満、例えば0.5ml未満、例えば200マイクロリットル未満、例えば100マイクロリットル未満、例えば50マイクロリットル未満、例えば2~50マイクロリットル、例えば2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48または49マイクロリットルから3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49または50マイクロリットルである。
【0044】
別の態様において、決定は、以下のものを含む試験デバイスにおいて実施される:第1平面表面を有する第1平面基板;第2平面表面を有する第2平面基板;第1感知領域および第2感知領域、第1感知領域および第2感知領域は、第1平面表面および第2平面表面の間に配置されており、第1感知領域および第2感知領域の両方が、それぞれ第1電極および第2電極と電気的に接続された化学物質および/または試薬を含む;流路を有する第1平面状中間隔離層、ここで、第1感知領域は、第2感知領域の反対にあり、流路が第1感知領域および第2感知領域の間に配置されている;ならびに第1平面表面および第2平面表面の間に配置された第1加熱素子。そのような試験デバイスは、国際公開第2017/120464号において記載されている。そのさらなる態様において、決定のために使用される量、すなわち測定セル内に収容される量は、1ml未満、例えば0.5ml未満、例えば200マイクロリットル未満、例えば100マイクロリットル未満、例えば50マイクロリットル未満、例えば2~50マイクロリットル、例えば2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48または49マイクロリットルから3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49または50マイクロリットルである。
【0045】
別の態様において、決定は、以下のものを含む試験デバイスで実施される:少なくとも第1感知領域を有する第1平面状中間隔離層;少なくとも第2感知領域を有する第2平面状中間隔離層;流路14を有する第3平面状中間隔離層、ここで、第1感知領域は、第2感知領域の反対にあり、流路が第1感知領域および第2感知領域の間に配置されている;第3平面状中間隔離層の反対にある第1中間隔離層に隣接して配置された第1平面状導電層;第1中間隔離層の反対にある第1平面状導電層に隣接して配置された第1平面基板;第3平面状中間隔離層の反対にある第2平面状中間隔離層に隣接して配置された第2平面基板、第2平面基板は、少なくとも第2感知領域と電気的に接触する第1導電性ビアを有する;ならびに第2平面状中間隔離層の反対にある第2平面基板に接触して配置された第2平面状導電層、第2平面状導電層は、第1導電性ビアと電気的に接触しており、ここで、第1平面状中間隔離層、第2平面状中間隔離層、第3平面状中間隔離層、第1平面状導電層、第1平面基板、第2平面基板および第2平面状導電層のそれぞれは、厚さにより隔てられた2つの平面表面を有し、それぞれの2つの平面表面のそれぞれは、おおよそ等しい平面面積を有し、ここで、第1導電層の平面面積は、第1平面状中間隔離層、第2平面状中間隔離層、第3平面状中間隔離層、第2平面基板および第2平面状導電層のそれぞれの平面面積より大きい。そのような試験デバイスは、国際公開第2017/019609号において記載されている。そのさらなる態様において、決定のために使用される量、すなわち測定セル内に収容される量は、1ml未満、例えば0.5ml未満、例えば200マイクロリットル未満、例えば100マイクロリットル未満、例えば50マイクロリットル未満、例えば2~50マイクロリットル、例えば2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48または49マイクロリットルから3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49または50マイクロリットルである。
【0046】
別の態様において、決定は、以下のものを含む試験デバイスで実施される:単一の基板、基板は、第1表面を有し、第1表面は、線により分離された第1領域および第2領域を有し、第1領域は、単一の基板の第1表面の第2領域の反対にある;単一の基板上に配置された導体層、導体層は、第1領域にプリントされた第1電極群および第2領域にプリントされた第2電極群を含む;導体層上に配置された誘電体層、誘電体層は、第1電極群上に配置された誘電体材料の第1領域および第2電極群上に配置された誘電体材料の第2領域を含み、誘電体材料の第1領域および誘電体材料の第2領域は、それぞれが誘電体層中に形成されたそれぞれの第1反応ウェル群および第2反応ウェル群を含み、少なくとも1つの反応ウェルは、それぞれの電極に電気的に結合され、化学物質を含有している;ならびに誘電体材料の第1領域および誘電体材料の第2領域に隣接するスペーサー層、スペーサー層は、第1反応ウェル群および第2反応ウェル群の間に流路を形成している。そのような試験デバイスは、国際公開第2016/106320号において記載されている。そのさらなる態様において、決定のために使用される量、すなわち測定セル内に収容される量は、1ml未満、例えば0.5ml未満、例えば200マイクロリットル未満、例えば100マイクロリットル未満、例えば50マイクロリットル未満、例えば2~50マイクロリットル、例えば2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48または49マイクロリットルから3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49または50マイクロリットルである。
【0047】
別の態様において、決定は、以下のものを含む試験細片において実施される:第1平面表面上に共面電極を有する第1平面基板および第2平面表面上に共面電極を有する第2平面基板、第1平面基板および第2平面基板は、第1平面基板の第1表面が第2平面基板の第2平面表面の反対にあるように配置されている;反対にある第1平面基板の第1表面および第2平面基板の第2平面表面の間に配置された中間層;第1電気接点に電気的に接続された第1感知領域を有する第1平面基板の第1平面表面;ならびに第1電気接点に導電素子を介して電気的に接続された第2電気接点を有する第2平面基板の第2平面表面、導電素子は、第1平面基板の第1表面および第2平面基板の第2表面の間に、第1平面基板または第2平面基板を通過することなく延びている。そのような試験細片は、国際公開第2016/011308号において記載されている。そのさらなる態様において、決定のために使用される量、すなわち測定セル内に収容される量は、1ml未満、例えば0.5ml未満、例えば200マイクロリットル未満、例えば100マイクロリットル未満、例えば50マイクロリットル未満、例えば2~50マイクロリットル、例えば2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48または49マイクロリットルから3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49または50マイクロリットルである。
【0048】
別の態様において、決定は、以下のものを含むセンサーアセンブリにおいて実施される:基層、基層の第1平面表面上に形成された導電層および導電層の第1平面表面または基層の第1平面表面の少なくとも一方の上に形成された誘電体層を有する第1平面基板、誘電体層は、導電層の第1平面表面から少し離れて配置された第1平面表面を有し、導電層は、少なくとも第1電気接点および第1電気接点から電気的に絶縁された第2電気接点を含み、誘電体層は、誘電体層を通る液体流路を定め、流路は、2つの側壁および2つの側壁の間に延びる底面を有し、2つの側壁は、基層の第1平面表面および誘電体層の第1平面表面の間に延びており、そして誘電体層は、さらに導電層の第1電気接点および第2電気接点のそれぞれの上に第1感知領域および第2感知領域を定め、第1感知領域および第2感知領域は、流路中の液体が第1電気接点および第2電気接点のそれぞれに接触することを可能にする;ならびに第2平面基板、第2基板は、第1基板に接着されており、第1基板に接着される際、第2基板は、液体流路の上側表面を定め、液体流路の上側表面は、2つの側壁の間に延び、液体流路の底部表面から少し離れて配置されている。そのようなセンサーアセンブリは、国際公開第2016/007716号において記載されている。そのさらなる態様において、決定のために使用される量、すなわち測定セル内に収容される量は、1ml未満、例えば0.5ml未満、例えば200マイクロリットル未満、例えば100マイクロリットル未満、例えば50マイクロリットル未満、例えば2~50マイクロリットル、例えば2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48または49マイクロリットルから3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49または50マイクロリットルである。
【0049】
別の態様において、決定は、以下のものを含むセンサーアセンブリにおいて実施される:第1表面および第1表面の反対にある第2表面を有する基板;基板の第1表面および第2表面の少なくとも一方の上に位置する少なくとも1つの分析物センサー;ならびに少なくとも1つの分析物センサーの対応する1つと電気的に通信する基板上に位置する少なくとも1つの電気接点、ここで、基盤は、内部表面および外部表面を有するチューブを定めるように構成されており、基板の第1表面の少なくとも一部が、チューブの内部表面を定めており、少なくとも1つの分析物センサーが、チューブの内部表面および外部表面の少なくとも一方の上に配置されている。そのようなセンサーアセンブリは、国際公開第2013/163120号において記載されている。そのさらなる態様において、決定のために使用される量、すなわち測定セル内に収容される量は、1ml未満、例えば0.5ml未満、例えば200マイクロリットル未満、例えば100マイクロリットル未満、例えば50マイクロリットル未満、例えば2~50マイクロリットル、例えば2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48または49マイクロリットルから3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49または50マイクロリットルである。
【0050】
好ましい態様において、BGおよびBMPパラメーターならびに血小板数の決定は、自動血液分析装置を用いて実施される。適切な血液分析装置は、例えば米国特許第5,564,419号または米国特許第6,880,384号に記載されている。
【0051】
試料
血液試料は、典型的には全血である。好ましい態様において、血液試料の血液は、特定のタイプの血球の精製された画分、例えば血小板の調製物または集団、例えば洗浄された血小板の集団ではない。
【0052】
ある態様において、方法の全ての工程は、全血に対して実施され、すなわち工程i)(抗凝固剤および抗血小板剤との組み合わせ)は、全血に対して実施され、分析前ストレスを受けた血液試料は、全血試料であり、工程ii)(パラメーター(単数または複数)の決定)は、全血に対して実施される。
【0053】
他の態様において、工程i)は、全血に対して実施され、分析前ストレスを受けた血液試料は、全血試料であり、工程ii)は、血液画分、例えば血清または血漿に対して実施される。
【0054】
さらに他の態様において、工程i)は、全血に対して実施され、次いで、血液は、例えば血清または血漿試料へと分画され、分画された試料、例えば血清または血漿試料は、工程ii)における決定の前に分析前ストレスを受ける。
【0055】
血液は、静脈血であることも動脈血であることもできる。血液は、動脈血であることが好ましい。しかし、本発明の方法が救急部の設定で血液試料を調製するために使用される場合、静脈血の使用が好ましい可能性がある。一態様において、血液は、毛細管血であることができる。この態様は、血液試料が新生児から得られる場合に特に好ましい。
【0056】
抗凝固剤および抗血小板剤
上記のように、本発明の方法は、血液試料を抗凝固剤および抗血小板剤と組み合わせることを含む。用語“a”または“an”は、本明細書で使用される場合、別途明記されない限り、“少なくとも1つ”の意味を有する。従って、血液試料は、1種類以上の抗凝固剤および/または1種類以上の抗血小板剤と組み合わせられることができる。本発明の方法で使用される抗凝固剤は、BGおよびBMPパラメーターの決定に適した抗凝固剤、すなわち血液試料がBGおよびBMPパラメーターの分析のために使用されることができるように血液試料における抗凝固剤として適している物質であることは、理解されている。
【0057】
好ましい態様において、間接的な第Xa因子阻害剤または直接的な第Xa因子阻害剤またはそれらの組み合わせからなる群から選択される。
好ましい態様において、抗凝固剤は、ヘパリネート類またはヘパリン類似物質またはそれらの組み合わせからなる群から選択される。ヘパリネート類の好ましい態様は、ヘパリン、例えば未分画、高分子量ヘパリン(HMWH)、低分子量ヘパリン(LMWH)(ベミパリン、セルトパリン、ダルテパリン、エノキサパリン、ナドロパリン、パルナパリン、レビパリン、チンザパリンを含む);およびオリゴ糖類、例えばフォンダパリヌクス、イドラパリヌクスである。ヘパリン類似物質の好ましい態様は、ダナパロイド、デルマタン硫酸およびスロデキシドを含む。
【0058】
直接的な第Xa因子阻害剤の好ましい態様は、アピキサバン、ベトリキサバン、ダレキサバン(darexaban)、エドキサバン、オタミキサバンおよびリバーロキサバンを含む。
【0059】
好ましい態様において、BGおよびBMPパラメーター分析に適した抗凝固剤は、ヘパリンを含む。上記のように、ヘパリンは、BGおよびBMPパラメーター分析のための標準的な抗凝固剤である。ヘパリンは、天然存在多糖類であり、それは、血栓症につながるプロセスである凝固を阻害する。天然のヘパリンは、様々な長さまたは分子量の分子鎖からなる。それは、抗凝固薬(血液希釈剤(blood thinner))としても使用されている。それは、酵素阻害剤であるアンチトロンビンIII(AT)に結合して立体構造変化を引き起こし、それは、結果としてその反応部位のループの柔軟性における増大によりその活性化をもたらす。次いで、活性化されたATは、トロンビン、第Xa因子および他のプロテアーゼを不活性化する。
【0060】
好ましい態様において、抗凝固剤は、電解質平衡ヘパリン(“平衡ヘパリン”とも呼ばれる)である。ヘパリンは、正に荷電した電解質に結合することが知られており、これは、電解質の測定に干渉し得る。電解質平衡ヘパリンの製剤はヘパリンのリチウム塩、亜鉛塩、ナトリウム塩、カリウム塩またはアンモニウム塩を含むことが、好ましい。好ましい態様において、電解質平衡ヘパリンの製剤は、ヘパリンリチウムおよびヘパリンナトリウムを含む。
【0061】
別の態様において、抗凝固剤ヘパリンは、ヒトヘパリン、ブタヘパリンまたは合成ヘパリンである。好ましい態様において、抗凝結剤は、ブタヘパリンである。別の好ましい態様において、抗凝固剤は、未分画のヘパリンである。
【0062】
好ましい態様において、抗凝固剤、例えばヘパリンの終濃度は、約10IU/mL~約200IU/mL、好ましくは約20IU/mL~約100IU/mLである。特に好ましい態様において、抗凝固剤、例えばヘパリンの終濃度は、約60IU/mLである。
【0063】
一態様において、本発明に従って使用される抗凝固剤は、液体形態(“液体ヘパリン”とも呼ばれる)であることができ、または例えば血液と組み合わせられる場合には乾燥平衡ヘパリンのような乾燥形態であることもできる。抗凝固剤の乾燥形態の一例は、凍結乾燥された抗凝固剤、例えば凍結乾燥されたヘパリンまたは凍結乾燥された平衡ヘパリンである。
【0064】
一態様において、抗凝固剤は、血液と組み合わせられる場合に凍結乾燥形態である。
好ましい態様において、抗血小板剤は、糖タンパク質IIb/IIIa阻害剤、ADP受容体/P2Y12阻害剤、プロスタグランジン類似体、COX阻害剤、トロンボキサン阻害剤、ホスホジエステラーゼ阻害剤、クロリクロメン、ジタゾール、ボラパキサル(vorapraxar)またはそれらの組み合わせからなる群から選択される。
【0065】
インテグリンαIIbβ3としても知られる糖タンパク質IIb/IIIaは、血小板上にあるインテグリン複合体である。それは、フィブリノーゲンおよびフォン・ヴィレブランド因子に関する受容体であり、血小板の活性化を助ける。糖タンパク質IIb/IIIa阻害剤は、心臓発作または卒中のリスクを低下させるために凝血塊を予防するために使用されることができる。糖タンパク質IIb/IIIaの例は、アブシキシマブ、エプチフィバチド(integrillinとも呼ばれる)、オルボフィバン、ロトラフィバン、ロキシフィバン、シブラフィバン(sibrafiban)およびチロフィバン(aggrastatとも呼ばれる)またはその塩を含むが、それらに限定されない。好ましい糖タンパク質IIb/IIIa阻害剤は、エプチフィバチドおよびチロフィバンまたはその塩である。
【0066】
アデノシン二リン酸(ADP)受容体/P2Y12阻害剤は、抗血小板剤の薬物クラスであり、急性冠症候群の処置において、または血栓塞栓症、心筋梗塞もしくは卒中のリスクがある患者における予防として使用されている。作用機序は、P2Y12タンパク質への拮抗、従ってADPのP2Y12受容体への結合の防止にある。これは、血小板の凝集の減少をもたらし、血栓の形成を妨げる。P2Y12受容体は、血小板上に存在する表面結合型タンパク質である。それらは、Gタンパク質共役型プリン作動性受容体(GPCR)に属し、ADPに関する化学受容体である。ADP受容体/P2Y12阻害剤の例は、チエノピリジン類、例えばクロピドグレル、プラスグレルおよびチクロピジンまたはその塩;ならびにヌクレオチド/ヌクレオシド類似体/受容体アンタゴニスト、例えばカングレロル、エリノグレル、チカグレロル、スラミンナトリウムおよび2-MeSAMPを含むが、それらに限定されない。チエノピリジン類は、それらがインビトロでADP受容体/P2Y12阻害活性を示さないプロドラッグであるため、本発明に従うそれほど好ましくないADP受容体/P2Y12阻害剤である。従って、ヌクレオチド/ヌクレオシド類似体/受容体アンタゴニスト、例えばカングレロル、エリノグレル、チカグレロルまたはその塩、スラミンナトリウムおよび2-MeSAMPが、本発明に従う好ましいADP受容体/P2Y12阻害剤である。
【0067】
プロスタグランジン類は、血小板の凝集および狭窄を誘導または阻害し、血管を拡張させ得る。プロスタグランジン類似体は、プロスタグランジン受容体に結合する薬物のクラスである。例は、ベラプロスト、イロプロスト(ZK36374としても知られている)、プロスタサイクリン、エポプロステノールおよびトレプロスチニルを含むが、それらに限定されない。
【0068】
シクロオキシゲナーゼ(COX)は、正式にはプロスタグランジン-エンドペルオキシドシンターゼ(PTGS)として知られており、トロンボキサン類およびプロスタグランジン類を含むプロスタノイド類の形成の原因となる酵素である。COX阻害剤の例は、アセトリサリチル酸、アロキシプリン、カルバサラートカルシウム、イブプロフェン、トリフルサール(trifusal)、スルフィンピラゾンおよびニトロアスピリン(NCX-4016)を含むが、それらに限定されない。
【0069】
トロンボキサンは、エイコサノイド類として知られている脂質のファミリーのメンバーである。2つの主要なトロンボキサン類が、トロンボキサンA2およびトロンボキサンB2である。トロンボキサン類の際立った特徴は、6員エーテル含有環である。トロンボキサンは、血塊形成おけるその役割にちなんで名付けられている。トロンボキサンAシンターゼは、血小板に存在する酵素であり、アラキドン酸誘導体であるプロスタグランジンHをトロンボキサンに変換する。トロンボキサン阻害剤は、トロンボキサンシンターゼ阻害剤、例えばジピリダモール(dtritriipyridamole)、ピコタミド、テルボグレル、ダルトロバン、セラトロダスト、SQ-29548およびラマトロバン;ならびにトロンボキサン受容体アンタゴニスト、例えばテルボグレルおよびテルトロバン(terutroban)を含む。
【0070】
ホスホジエステラーゼは、ホスホジエステル結合を切断する酵素である。ホスホジエステラーゼ酵素(PDE)は、それらの独特な組織分布、構造的特性および機能的特性により、しばしば薬理学的阻害の標的である。ホスホジエステラーゼの阻害剤は、cAMPまたはcGMPにより媒介される生理的プロセスの作用を、ホスホジエステラーゼによるそれらの分解の阻害により延長または増強することができる。PDE阻害剤は、肺動脈高血圧、冠動脈心疾患、認知症、鬱病、喘息、COPD、マラリアを含む原虫感染症および統合失調症のような領域における新規の可能性のある療法として同定されている。さらに、環状アデノシン3’,5’-一リン酸(cAMP)および環状グアノシン3’,5’-一リン酸(cGMP)は、重要な細胞内二次メッセンジャーであり、根本的な血小板機能への強い阻害活性を与えられている。PDEは、cAMPおよびcGMPの加水分解を触媒することにより環状ヌクレオチドの細胞内レベルを制限し、そうして血小板の機能を制御している。従って、PDEの阻害は、強い血小板阻害作用を発揮し得る(Gresele et al. Br. J. Clin. Pharmacol. 2011 Oct;72(4):634-46)。PDEの例は、シロスタゾール、ジピリダモール、トリフルサール(Trifusal)、ミルリノン、アナグレリドおよびテオフィリンを含むが、それらに限定されない。
【0071】
上記の群の1つに属することが知られていない抗血小板薬は、クロリクロメン、ジタゾール、ボラパキサル(vorapraxar)およびL-アルギニンまたはそれらの塩類を含むが、それらに限定されない。
【0072】
クロリクロメンは、血栓塞栓性障害の処置において用いられる血管拡張活性を有する抗血小板薬である。
ジタゾールは、フェニルブタゾンに類似した鎮痛および解熱活性を有する非ステロイド系抗炎症剤である。加えて、ジタゾールは、血小板凝集阻害剤であり、スペインおよびポルトガルでは商品名Ageroplas(登録商標)で市販されている。
【0073】
ボラパキサル(Vorapraxar)(以前はSCH 530348として知られていた)は、天然産物であるヒンバシンに基づくトロンビン受容体(プロテアーゼ活性化型受容体、PAR-1)拮抗薬である。
【0074】
経口L-アルギニンは、一酸化窒素経路により血小板凝集を阻害することが示されている(Adams et al., J. Am. Coll. Cardiol. 1995 Oct;26(4):1054-61)。
抗血小板剤は、糖タンパク質IIb/IIIa阻害剤、ADP受容体/P2Y12阻害剤、プロスタグランジン類似体、クロリクロメン、ジタゾール、ボラパキサル(vorapraxar)またはそれらの組み合わせからなる群から選択されることが好ましい。
【0075】
別の好ましい態様において、抗血小板剤は、糖タンパク質IIb/IIIa阻害剤、プロスタグランジン類似体、クロリクロメン、ジタゾール、ボラパキサル(vorapraxar)またはそれらの組み合わせからなる群から選択される。
【0076】
別の好ましい態様において、抗血小板剤は、糖タンパク質IIb/IIIa阻害剤およびプロスタグランジン類似体からなる群から選択される。
好ましい態様において、抗血小板剤は、プロスタグランジン類似体を含む。
【0077】
さらに別の好ましい態様において、抗血小板剤は、アブシキシマブ、エプチフィバチド、オルボフィバン、ロトラフィバン、ロキシフィバン、シブラフィバン(sibrafiban)およびチロフィバンからなる群から選択される糖タンパク質IIb/IIIa阻害剤またはその塩である。好ましい態様において、抗血小板剤は、エプチフィバチドおよび/またはチロフィバンまたはその塩を含む。好ましい態様において、エプチフィバチドは、エプチフィバチド酢酸塩として使用される。チロフィバンは、チロフィバン塩酸塩として使用されることも好ましく、より好ましくはチロフィバン塩酸塩一水和物塩として使用される。
【0078】
さらに別の好ましい態様において、抗血小板剤は、ベラプロスト、イロプロスト、プロスタサイクリン、エポプロステノール、トレプロスチニルまたはその塩からなる群から選択されるプロスタグランジン類似体である。
【0079】
特に好ましい態様において、抗血小板剤は、エプチフィバチド、チロフィバン、イロプロスト、その塩またはそれらの組み合わせを含む。
抗血小板剤がイロプロストを含むことが、特に好ましい。イロプロストは、それがBG、BMPおよび血小板計数に関する血液試料の調製に適しているだけでなく、驚くべきことに、それが白血球の活性化を阻害し、従って血液試料中のWBCの凝集が非常に少ないことも分かったため、抗血小板剤として特に好ましい。
【0080】
別の態様において、抗血小板剤は、ADP受容体/P2Y12阻害剤を含み、ここで、ADP受容体/P2Y12阻害剤は、ヌクレオチド/ヌクレオシド類似体/受容体アンタゴニストである。ADP受容体/P2Y12阻害剤は、カングレロル、エリノグレル、チカグレロルまたはその塩、スラミンナトリウム、2-MeSAMPからなる群から選択されることが好ましい。
【0081】
別の好ましい態様において、本発明の方法は、MgSO、EDTAまたはシトレートを血液試料の血液と組み合わせる工程を含まない。これらの抗凝固剤は、BGおよびBMPパラメーター分析のための血液試料の調製には適していない。
【0082】
本発明の方法の一態様において、試料は、工程i)の後、すなわち試料が抗凝固剤および抗血小板剤と組み合わせられた後に、分析前ストレスを受けている。
別の好ましい態様において、本発明の方法は、さらに血液試料を混合する工程を含む。血液試料の混合は、血液試料はそうしなければ凝固もしくは沈降し得る、または試料は分析前に血液試料中の空気と反応し得るため、有利である。混合は、例えば撹拌により行われ得る。混合は、手作業で血液試料を繰り返し反転させることにより、またはそれを水平に転がすことにより実施され得る。撹拌素子が、血液試料中に含ませられることもできる。次いで、試料は、例えば動く手段、例えば米国特許第6,880,384 B2号において記載されているような手段を用いることにより撹拌されることができる。血液試料の混合は、抗凝固剤、例えばヘパリンの溶解を促進し、それは、沈降を防止する。抗凝固剤が適切に溶解しない場合、それは、微小な塊の形成をもたらす可能性があり、それは、結果を偏らせる、かつ/または分析装置を損傷させる可能性がある。沈降は、試料の不均一性および誤解を招く分析結果をもたらし得る。
【0083】
一態様において、本発明の方法は、以下のものを含有する血液サンプラーの使用を含む:
a)上記の抗凝固剤;および
b)上記の抗血小板剤。
【0084】
血液サンプラーは、上記の本発明の方法を実施するために使用されることができる。BGおよびBMPパラメーター分析のための抗凝固剤は、液体形態で血液サンプラー内に存在していることができ、またはそれは、乾燥製剤で存在することができる。
【0085】
一態様において、血液サンプラーは、抗凝固剤および/または抗血小板剤を含むさらなる要素を含有する。例えば、さらなる要素は、“ヘパリンブリック(heparin bricks)”に関して知られるような“ブリック(brick)”であることができる。この文脈における“ブリック”は、抗凝固剤が不活性なフィラー材の“パフ(puff)”中で調製されたことを意味し、ここで、パフは溶解し、ヘパリンは、適切な混合により試料全体にわたって分散させられ、ここで、パフは、各サンプラー中に再現可能な量のヘパリンを送達するように製造の間に分配され得る。そのようなブリックの一例は、例えば抗凝固剤および/または抗血小板剤に浸漬されたセルロース片である。しかし、抗凝固剤および/または抗血小板剤を血液と接触した際に放出し得る他のさらなる要素、例えば内部サンプラー表面上に噴霧された血液サンプラー壁面コーティングマトリックスも、可能である。
【0086】
一態様において、血液サンプラーは、プラスチックまたはガラスで構成される。
別の好ましい態様において、血液サンプラーは、サンプラーキャップを含む。サンプラーキャップは、血液サンプラーの開放端に、例えばシリンジの先端に、または毛細管もしくは試験管の開放端に接続されるべきキャップである。BG分析結果を偏らせ得る周囲とのガス交換は、サンプラーキャップを使用することによって回避され得る。適切なサンプラーキャップは、例えば国際公開第2004/000412号に記載されている。
【0087】
別の好ましい態様において、血液サンプラーは、撹拌素子を含有する。撹拌素子は、球形素子または丸みを帯びた端部を有する円筒形素子であることが好ましい。撹拌素子がボールの形を有することが、特に好ましい。ボールは、例えば鋼またはプラスチックで作製されていることができる。
【0088】
別の態様において、撹拌素子は、不活性材料によるコーティングを含む。不活性材料は、好ましくは血液分析に干渉しないか、または実質的に干渉しない。例えば、不活性材料は、金、プラチナ、パラジウムまたはロジウムからなる群から選択されることができる。好ましい態様において、不活性材料は、金である。
【0089】
特に好ましい態様において、撹拌素子が金でコートされたボール、好ましくは金でコートされた鋼のボールであることが、特に好ましい。
一態様において、撹拌素子は、米国特許第6,880,384 B2号において記載されているような撹拌素子である。撹拌素子の動きは、米国特許第6,880,384 B2号にも記載されている。従って、撹拌素子は、動かす手段により、例えば機械的手段により動かされることが好ましい。動かす手段は、試料ハンドラーおよび/またはサンプラーベッドを動かし、例えば傾け、または回転させ、それによりその中のあらゆるサンプラーにおいて保持されている撹拌素子を重力により動かすためのロボットアームまたは支持体であることができる。
【0090】
定義
本明細書で用いられる際、用語“パラメーター”は、血液試料に関する臨床情報のあらゆる部分を意味する。
【0091】
本明細書で用いられる際、“血液ガスパラメーター”におけるような用語“血液ガス”は、血液のガス性パラメーターを指し、血液、典型的には動脈血中に溶解している特定のガス(例えば酸素および二酸化炭素)の量を含む。血液ガスパラメーターは、pH、pCO、pO、酸素飽和度(sO)、総ヘモグロビン濃度(ctHbまたはtHb)、オキシヘモグロビンの割合(FOHbまたはOHb)、カルボキシヘモグロビンの割合(FCOHbまたはCOHb)、メトヘモグロビンの割合(FMetHbまたはMetHb)、デオキシヘモグロビンの割合(FHHbまたはRHb)および胎児ヘモグロビンの割合(FHbF)を含む。“血液ガス分析に適した血液試料”は、血液試料が少なくとも1つの血液ガスパラメーターを測定するために使用されることができるが、好ましくはpH、pCO、pO、ctHb、FOHb、FCOHb、FMetHb、FHHbおよびFHbFの全ての血液ガスパラメーターを測定するのに適していることを意味する。少なくともpH、tHb、FCOHbおよびFMetHbが測定されることができることが、好ましい可能性がある。
【0092】
本明細書で用いられる際、“基礎代謝パネルパラメーター分析”におけるような用語“基礎代謝パネル”は、生化学的血液パラメーター、特に電解質、すなわちNa、K、Mg2+、Cl、HCO3-、尿素、クレアチニン、グルコース(glu)、Ca2+、乳酸(lac)および総ビリルビン(tBil)の濃度を指す。従って、“BMPパラメーター分析に適した血液試料”は、上記のBMPパラメーターの少なくとも1つであるが好ましくは全てを決定するために使用されることができる血液試料である。少なくともNa、K、Mg2+、Cl、Ca2+、glu、lacおよびtBilが測定されることができることが、好ましい可能性がある。
【0093】
本明細書で用いられる際、用語“血小板計数”または“血小板の数を決定すること”は、患者の血液中の血小板の数を決定する診断検査を意味する。栓球とも呼ばれる血小板は、骨髄で産生される小さい円盤の形状の血液細胞であり、凝血のプロセスに関わっている。通常は、1マイクロリットルの血液ごとに150,000~450,000個の血小板が存在する。低い血小板数または異常な形状の血小板は、出血性障害と関係している。高い血小板数は、時々骨髄の障害を示している。
【0094】
本明細書で用いられる際、用語“抗凝固剤”は、血液の凝固、すなわちフィブリン重合につながる凝固カスケード、従ってフィブリン塊の形成を予防または低減する物質を意味する。抗凝固剤は、それにより、最初の血小板凝集後に凝固因子による凝固カスケードを阻害することにより、凝血時間を延長する。
【0095】
本明細書で用いられる際、用語“BGおよびBMPパラメーターの決定に適した抗凝固剤”は、血液試料がBGおよびBMPパラメーターの分析のために使用されることができるようにある物質が血液試料中の抗凝固剤として適していることを意味する。一部の抗凝固剤、例えばEDTAは、例えばそれらがCa2+と錯体を形成し、従ってカルシウム濃度が血液試料において確実に決定されることができないため、BGおよびBMPパラメーターの決定には適さないことが知られている。従って、EDTAは、BGおよびBMPパラメーターの決定に適した抗凝固剤ではない。
【0096】
本明細書で用いられる際、用語“抗血小板剤”は、血小板の凝集を減少させる、かつ/または血栓形成を阻害する物質、すなわち凝血の初期の血小板凝集を阻害する物質を意味する。従って、抗血小板剤は、フィブリン線維、他の細胞外マトリックス構成要素に付着する、または凝集して血小板凝集体になることができる活性化された血小板をもたらす血小板活性化カスケードに干渉する。凝固カスケードおよび血小板凝集カスケードは、たとえ一部のタンパク質、例えばトロンビンが両方のカスケードにおいて役割を果たしているとしても2つの別々のカスケードであることが、強調される。抗血小板薬は、血小板の活性化に関わるプロセスを可逆的または非可逆的に阻害し、結果として血小板が互いに、そして損傷した血管内皮に、または血液サンプラーの材料のような異物の表面に付着する傾向の減少をもたらすことができる。
【0097】
本明細書で用いられる際、用語“血液試料”または“血液分析試料”は、診断または分析目的に適している血液の試料を指す。従って、血液試料は、比較的少量の血液(20μL~10mLの血液)を含み、すなわち例えば献血に必要とされる量(約450mLに至るまでの血液)は含まない。
【0098】
本明細書で用いられる際、用語“血液サンプラー”は、血液の採取のためのデバイス、例えばシリンジ、キャピラリーチューブまたは試験管、例えば吸引式サンプラーもしくは自己吸引式サンプラー、例えばPICOシリンジ(Radiometer Medical ApS)、真空試験管または血液採取に関して指定された類似のデバイスを意味する。
【0099】
本明細書で用いられる際、用語“白血球計数”は、患者の血液の試料中の白血球の数を計数する診断検査を意味する。平均的な正常な範囲は、1μLの血液あたり3,500~10,500個の白血球である。
【0100】
一般に、本発明は、開示された試薬、例えば抗血小板剤または抗凝固剤の全ての塩類を、これらの塩類が血液分析に干渉しないか実質的に干渉しない限り含む。塩類の例は、無機および有機の酸付加塩類および塩基性塩類を含む。塩類は、金属塩類、例えばセシウム塩、アルカリ塩類、例えばリチウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩またはマグネシウム塩、有機アミン塩類、例えばトリエチルアミン塩、ピリジン塩、ピコリン塩、エタノールアミン塩、トリエタノールアミン塩、ジシクロヘキシルアミン塩、N,N’ジベンジルエチレンジアミン塩等;無機酸塩類、例えばクエン酸塩、酒石酸塩、マレイン酸塩、フマル酸塩、マンデル酸塩、酢酸塩、ジクロロ酢酸塩、トリフルオロ酢酸塩、ジクロロ酢酸塩(dicloroacetate)、トリフルオロ酢酸塩、シュウ酸塩、ギ酸塩等、スルホン酸塩類、例えばメタンスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、p-トルエンスルホン酸塩等;ならびにアミノ酸塩類、例えばアルギン酸塩、グルタミン酸塩等を含むが、それらに限定されない。酸付加塩類は、塩酸、フマル酸、マレイン酸、コハク酸、酢酸、クエン酸、酒石酸、リン酸、シュウ酸、ジクロロ酢酸等を含むが、それらに限定されない。
【実施例
【0101】
実施例1 ヘパリンおよび異なる抗血小板剤を用いた血小板凝集の分析
各実験は、1人の自発的なドナーからの血液を用いて別々の日に実施され、1種類の抗血小板薬候補を試験した。各実験に関して、PICO70シリンジサンプラー(Radiometer Medical ApS)が、試料の引き出しの直前に準備された。“LiHep”(液体ヘパリン)条件に関して、PICO70サンプラーから金ボールおよびヘパリンブリックを出して空にし、ヘパリンリチウム(Celsus Laboratories)およびヘパリンナトリウム(Celsus Laboratories)を含む水性液体緩衝ヘパリン15μl(ヘパリンの終濃度60IU/mL血液)ならびに試験薬の溶媒15μlを添加した。“PicoSAM”条件に関して、未修正のPICO70サンプラー(金ボールおよびヘパリンブリックを有する)を使用し、それぞれの試験薬の溶媒15μlを添加した。“LiHep xxx薬物”条件に関して、LiHepに関して記載したようにPICO70サンプラーを空にし、液体緩衝ヘパリン15μl(ヘパリンの終濃度60IU/mL血液)および溶解した試験薬15μlを添加した。“PicoSAM xxx薬物”条件に関して、未修正のPICO70サンプラー(金ボールおよびヘパリンブリックを有する)を使用し、溶解した試験薬15μlを添加した。試験される抗血小板薬候補および対応する溶媒は、エプチフィバチドアセテート(Sigma、SML1042;生理食塩水中で溶解させたもの、終濃度5および20μM)、MgSO(Sigma、M7506;生理食塩水中で溶解させたもの、終濃度3および12mM)、チロフィバン塩酸塩一水和物(Sigma、SML0246;1:200生理食塩水中DMSO中で溶解させたもの、終濃度0.5および1μM)、イロプロスト(Sigma、SML1651;1:1000または1:10000生理食塩水中エタノール中で溶解させたもの、終濃度10および100nM(後に1μMも))、チクロピジン塩酸塩(生理食塩水中で溶解させたもの、終濃度60および600μM)、L-アルギニン(Sigma、A5006;生理食塩水中で溶解させたもの、終濃度600μMおよび6mM)およびジピリダモール(Sigma、D9766;1:10または1:100生理食塩水中DMSO中で溶解させたもの、終濃度10および100μM)であった。EDTAチューブ(BD Vacutainer、噴霧コートされたKEDTAを有する、10ml)およびPICO70シリンジサンプラーの全条件の複製試料を、密封されたVTC(開孔のある先端の蓋(vented tip cap))を用いて翼状針を介して静脈血を引き出すことにより充填し、他の点では(otherwise)自己吸引式のPICO70サンプラーに1.5mLの静脈全血を充填した。試料の適切な抗凝固を保証するために、サンプラーを引き出しの直後に8回反転させた。血液試料を手により(金ボール無しのサンプラー)、またはSAMミキサー(Radiometer Medical ApS)上で試料の引き出し後15分間穏やかに混合した。混合した試料を10%ホルマリン溶液ですぐに少なくとも10分間固定し(血液のホルマリン中における1:1希釈)、血小板希釈溶液中で1:10に希釈して赤血球(RBC)を溶血させ、血球計数器を用いて手作業での血小板数を評価した。単一の血小板(凝集していないもの)の手作業での血小板数、血小板凝集体の数および可能であれば血小板凝集体の大きさ(凝集体中の血小板の数)を、10倍および20倍の位相差空気対物レンズを有するLeica 750顕微鏡を用いて血球計数器で血小板を計数することにより各試料において二重に定量化した。単一の血小板数を液体ヘパリンおよび/または溶解した薬物溶液での希釈に関して調整して単一の血小板の濃度を算出した。
【0102】
エプチフィバチド、チロフィバンおよびイロプロストは、“LiHep”および“PicoSAM”参照と比較して血小板凝集体の形成を低減した(図1参照)。
MgSOも、血小板凝集体の形成を低減した(図2参照)。
【0103】
チクロピジンLiHepは、EDTA参照と比較して類似の単一の血小板の数ならびにLiHepおよびPicoSAM対照と比較してわずかに低減した凝集体の数を示した(図3参照)。L-アルギニンは、EDTA対照と比較して減少した血小板の数およびより高い血小板凝集体の数を示したが、LiHepおよびPicoSAM対照よりもなおわずかに高い血小板数を示した(図4参照)。
【0104】
ホスホジエステラーゼ阻害剤およびトロンボキサン阻害剤であるジピリダモールは、LiHepおよびPicoSAM対照と比較してわずかに高い血小板数を示した(図5参照)。
【0105】
実施例2 ヘパリン処理した血液およびEDTA処理した血液を用いた血小板凝集試験
前に実施例1で記載したように引き出し、混合し、10%ホルマリン溶液で固定した静脈血試料を用いて、スライドガラス上に湿式マウントを調製し、カバーガラスで覆った。次いで、固定した血液細胞の湿式マウント試料を、40倍の位相差空気対物レンズを使用したLeica 750顕微鏡で画像化した。ヘパリン処理された血液中の凝集した血小板対EDTAで抗凝固処理された血液および例えばエプチフィバチドを含むヘパリン処理された血液中の凝集していない単一の血小板が、豊富なRBCの間に見られる。
【0106】
結果が図6に示されている。ヘパリン処理された血液は、EDTAを用いて調製された血液試料においてもヘパリンおよびエプチフィバチドのような抗血小板薬を用いて調製された血液試料においても見ることができなかった血小板凝集体を示した。
【0107】
実施例3 染色された血液試料の湿式マウント画像
静脈血試料を前に実施例1において記載したように引き出して混合し、染色された湿式マウント画像を作成するために使用した。血液試料を染色剤および溶血剤(それぞれメチレンブルーおよびデオキシコール酸)と混合し、水浴中で47℃で30秒間インキュベートした。次いで染色および溶血させた血液試料をスライドガラス上で湿式マウント試料として調製し、カバーガラスで覆った。次いで染色された試料の画像をLeica 750顕微鏡により40倍空気対物レンズを用いて明視野モードで取得した。画像処理ソフトウェア(FIJI、ImageJ)を用いて画像から代表的な染色されたWBCの対象領域(ROI)を選択した。
【0108】
PicoSAM試料(抗血小板薬を含まないヘパリン処理された血液)は、多くの凝集した血小板(小さい丸みを帯びた細胞)を示した。
1μMチロフィバンまたは20μMエプチフィバチドを含むPicoSAM試料は、単一の血小板を示したが、血小板の衛星現象(satellinism)、すなわちWBCに結合している血小板も示した。これは、例えば図7Aに示されている。さらに、図7Bに示されるように、WBCの凝集体も観察された。
【0109】
100nMイロプロストを含むPicoSAM試料(または緩衝LiHepおよび100nMイロプロストを含む試料)は、単一の血小板を示し、血小板の衛星現象(satellinism)もWBCの凝集体も示さなかった。同じ結果が、EDTAで抗凝固処理された血液を用いて得られた。
【0110】
実施例4 EDTA参照試料と比較したイロプロストヘパリン試料の単一血小板濃度
手作業での血小板計数
試料を実施例1で記載したように調製した。
【0111】
ABX血小板計数
上記のように引き出し15分後に混合した血液試料を、自動血液学分析装置(Horiba、ABX Pentra 60C+)(ABX)を用いてWBC濃度、血小板濃度、平均血小板容積(MPV)、好中球、リンパ球、単球、好酸球および好塩基球の濃度および割合、RBC濃度、ヘマトクリット、ヘモグロビン濃度、RBC記述的パラメーター(MCV、MCH、MCHC、RDW)を含む5分類での全血球計算(CBC)に関して評価した。試料は、数人のドナーから調製された。測定された血小板濃度を用いて、(PICO70サンプラーにおける)イロプロストヘパリン試料およびEDTAで抗凝固処理した試料の手作業で評価された血小板濃度を比較した。対照に関して、血小板凝集体を含まないEDTA試料を測定された自動ABX血小板濃度に関する参照測定値として使用した。
【0112】
1人のドナーに関して、参照としてのEDTA試料と比較したPicoSAM 100nMイロプロスト試料の血小板計数の平均性能は、手作業での計数に関して97%であった。
【0113】
8人のドナーに関して、参照としてのEDTA試料と比較したPicoSAM 1μMイロプロスト試料の血小板計数の平均性能は、手作業での計数に関して93%であった。
それぞれのPicoSAM試料、すなわちイロプロストを含まないがヘパリンを含むPicoSAM試料は、対照的に、EDTA参照と比較して40%未満の性能を示した。
【0114】
7人のドナーに関して、参照としてのEDTA試料と比較したPicoSAM 1μMイロプロスト試料の血小板計数の平均性能は、ABX血小板計数に関して97%であった。
【0115】
表1は、両方のタイプの血小板計数(手作業およびABX血小板計数)が実施されたドナー試料に関する血小板計数の結果を示す。
【0116】
【表1】
【0117】
実施例5 ABL90パラメーターに対する抗血小板薬干渉試験
各実験は、1人の自発的なドナーからの血液を用いて別々の日に実施された。各実験に関して、3つのPICO70シリンジサンプラー(Radiometer Medical ApS)(改変されていない、金ボールおよびヘパリンブリックを含有する)を準備した。1つのPICO70は、改変せずに使用し(対照)、1つのPICO70には示された血液試料中の終濃度に達するように15μlの溶解した抗血小板薬を充填した。3番目のPICO70サンプラーには15μlの溶媒(試験した抗血小板薬を溶解させるために使用した特定の溶媒:参照試料)を充填した。静脈血試料を、翼状針および密封された開孔のある先端の蓋(VTC)を介してPICO70シリンジサンプラー中に引き入れ、自己吸引式のPICO70サンプラーに1.5mLの全血を充填した。試料の適切なヘパリン処理を保証するために、サンプラーを引き出しの直後に8回反転させた。血液試料をSAMミキサー(Radiometer Medical ApS)上で混合し、均一かつ再現性のある混合を確実にするために血液試料を通して金コートされた鋼のボールを血液の引き出し後15分間動かし、ABL90血液ガス分析装置(Radiometer Medical ApS)上で分析した。試料を、血液試料が測定を通して均一に混合された状態を保つために穏やかに手作業で試料を反転させながら順番を交代させて(対照、参照試料、薬物試料)各5回(5回の繰り返し測定)測定した。全ての計算された値を表3に記載する。その後、血液試料を遠心分離して血漿画分を分離した。全試料の血漿をABL90機器上で3つ組で順番を交代させて測定して血漿中の遊離ヘモグロビン濃度を評価し、それは、全血試料中の赤血球(RBC)の可能性のある問題のある溶血を示している。溶血した試料は、例えば測定されたK濃度に対する干渉を示している。
【0118】
測定したパラメーターを表2に記載する。
【0119】
【表2】
【0120】
どのように計算がなされてきたかの命名法(nomenclature)を表3に記載し、測定された試料の命名法を表4に記載する。
【0121】
【表3】
【0122】
【表4】
【0123】
成人に関する参照範囲および実施例で許容される最大干渉を表5に示す。
(最大干渉の割合としての)測定の結果を表6に要約する。
【0124】
【表5】
【0125】
【表6】
【0126】
エプチフィバチド、チロフィバンおよびイロプロストは、評価されたABLパラメーターに対して干渉を示さず、一方でMgSOは、複数のパラメーター(pH、N、K、Ca2+、ClおよびLac)に対して干渉を示した(差/最大干渉>2)。
【0127】
従って、エプチフィバチド、チロフィバンおよびイロプロストは、血液ガスおよび基礎代謝パネルパラメーターの測定に使用されるヘパリン処理された血液に試験された濃度で添加しても安全であるはずである。
【0128】
実施例6 分析前のストレスに対する試料の堅牢性
ストレス条件に対する試料の堅牢性の試験を実施し、ヘパリン(リチウムヘパリン18IU/ml)のみを含む血液試料およびヘパリン(リチウムヘパリン18IU/ml)+イロプロスト(1マイクロM)を含む血液試料を比較した。
【0129】
血液を引き出した直後、バキュテイナチューブからの血液を印を付けたSafePicoAspシリンジ中に吸引し(1.5ml)、プラスチックの袋に入れ、角氷中に30分完全に浮かび上がらせた(emerged)。30分後、シリンジを取り出し、速い長さ方向の動きで前後におおよそ4/秒で30秒間振盪した。全てのシリンジを分析装置での吸引の前に穏やかに(手首をひねることによる遅い反転により、おおよそ1/秒)混合した。得られた試料を9台のABL90分析装置上でそれぞれおおよそ400回吸引し、塊の事例を記録した。全ての試料をpicosafeサンプラーから吸引した。結果を表7に示す。
【0130】
【表7】
【0131】
塊の頻度は、イロプロストを含まない試料において4~5倍高かった。
9mlのGreiner Bio-one Vaceutte真空管を用いてより大きい血液量でさらなる実験を実施した。血液の引き出しの少し後に、バキュテイナチューブを30分間氷上に置いた。その後、バキュテイナチューブを周囲温度に調節し、穏やかに混合した後、1500Gで3分間遠心分離して沈降を模倣した。遠心分離後、血液をプールし、2×3の印を付けた20mlシリンジ中に分配し、ロボットにより10台のABL90分析装置上で試験した。試料を大きい20mlの試料を用いて吸引した(ロボット)。結果を表8に示す。
【0132】
【表8】
【0133】
ここでも、塊の頻度はイロプロストを含まない試料においてより高かった。
【符号の説明】
【0134】
14 流路
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
【国際調査報告】