(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-12-05
(54)【発明の名称】繊維強化プラスチック材料を押し出して部品を付加製造する方法および押出装置
(51)【国際特許分類】
B29C 64/321 20170101AFI20221128BHJP
B29C 64/106 20170101ALI20221128BHJP
B29C 64/209 20170101ALI20221128BHJP
B33Y 10/00 20150101ALI20221128BHJP
B33Y 30/00 20150101ALI20221128BHJP
【FI】
B29C64/321
B29C64/106
B29C64/209
B33Y10/00
B33Y30/00
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022507689
(86)(22)【出願日】2019-08-08
(85)【翻訳文提出日】2022-02-07
(86)【国際出願番号】 EP2019071342
(87)【国際公開番号】W WO2021023389
(87)【国際公開日】2021-02-11
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520001095
【氏名又は名称】アイム3デー・ゲーエムベーハー
【氏名又は名称原語表記】AIM3D GMBH
(74)【代理人】
【識別番号】100087941
【氏名又は名称】杉本 修司
(74)【代理人】
【識別番号】100112829
【氏名又は名称】堤 健郎
(74)【代理人】
【識別番号】100142608
【氏名又は名称】小林 由佳
(74)【代理人】
【識別番号】100155963
【氏名又は名称】金子 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】100154771
【氏名又は名称】中田 健一
(74)【代理人】
【識別番号】100150566
【氏名又は名称】谷口 洋樹
(74)【代理人】
【識別番号】100213470
【氏名又は名称】中尾 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100220489
【氏名又は名称】笹沼 崇
(72)【発明者】
【氏名】モリソン・ヴィンセント
(72)【発明者】
【氏名】リーバーヴィルト・クレメンス
(72)【発明者】
【氏名】ツィールケ・ルネ
(72)【発明者】
【氏名】ラドン・ロベルト
(72)【発明者】
【氏名】ヴァイドナー・ティム
【テーマコード(参考)】
4F213
【Fターム(参考)】
4F213AA04
4F213AA11
4F213AA13
4F213AA15
4F213AA21
4F213AA23
4F213AA24
4F213AA25
4F213AA26
4F213AA28
4F213AA29
4F213AB11
4F213AB25
4F213WA25
4F213WB01
4F213WL02
4F213WL23
4F213WL25
4F213WL32
4F213WL74
(57)【要約】
【課題】繊維強化プラスチック材料の付加製造用加工における従来技術の短所を克服又は緩和することが可能な方法および装置を提供する。
【解決手段】繊維強化プラスチック材料を押し出して部品1を付加製造する方法では、繊維強化プラスチック材料8が押出装置2に供給されて押出装置2の加熱領域43で加熱された後、この繊維強化プラスチック材料8が押出装置2の押出ノズル10に供給されて、押出ノズル10で繊維強化プラスチック材料8からなる糸状材料が製造対象の部品として押し出される。押出装置2における長さ-直径の比が10未満のスクリューコンベア3が、加熱領域43内で繊維強化プラスチック材料8の移送に用いられる。加熱領域43内における繊維強化プラスチック材料8用の容積が最大で5.5cm
3であり、かつ、スクリューコンベア3の回転速度が最大30回転/分に制限される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
繊維強化プラスチック材料を押し出して部品(1)を付加製造する方法であって、
-前記繊維強化プラスチック材料(8)が押出装置(2)に供給されて当該押出装置(2)の加熱領域(43)で加熱された後、この繊維強化プラスチック材料(8)が前記押出装置(2)の押出ノズル(10)に供給されて、当該押出ノズル(10)で繊維強化プラスチック材料(8)からなる糸状材料が製造対象の前記部品用として押し出されて、
-前記押出装置(2)における長さ-直径の比が10未満のスクリューコンベア(3)が、前記加熱領域(43)を通って前記繊維強化プラスチック材料(8)を移送するのに用いられる、方法において、
前記加熱領域(43)内において、前記繊維強化プラスチック材料(8)用に、最大で
5.5cm
3の容積が備えられて、かつ、前記スクリューコンベア(3)の回転速度が30回転/分以下に制限されることを特徴とする、方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法において、前記加熱領域内において、前記繊維強化プラスチック材料用に、2.5cm
3~5.5cm
3の範囲内の容積が備えられていることを特徴とする、方法。
【請求項3】
請求項2に記載の方法において、前記加熱領域内において、前記繊維強化プラスチック材料用に、3.0cm
3~3.5cm
3の範囲内の容積が備えられていることを特徴とする、方法。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか一項に記載の方法において、前記スクリューコンベア(3)の前記繊維強化プラスチック材料(8)の送込み速度は、前記押出ノズル(10)の方向に送り込まれる前記繊維強化プラスチック材料(8)の前記加熱領域(43)内での滞留時間が最大で20分になるように設定されることを特徴とする、方法。
【請求項5】
請求項4に記載の方法において、前記スクリューコンベア(3)の前記繊維強化プラスチック材料(8)の前記送込み速度は、前記押出ノズル(10)の方向に送り込まれる前記繊維強化プラスチック材料(8)の前記加熱領域(43)内での滞留時間が少なくとも
0.5秒、最大で30分になるように設定されることを特徴とする、方法。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか一項に記載の方法において、前記スクリューコンベア(3)の前記繊維強化プラスチック材料(8)の送込み速度が、少なくとも5cm
3/時の値に設定されることを特徴とする、方法。
【請求項7】
請求項6に記載の方法において、前記スクリューコンベア(3)の前記繊維強化プラスチック材料(8)の前記送込み速度が、7500cm
3/時以下の値に設定されることを特徴とする、方法。
【請求項8】
請求項7に記載の方法において、前記スクリューコンベア(3)の前記繊維強化プラスチック材料(8)の前記送込み速度が、250cm
3/時未満の範囲内の値に設定されることを特徴とする、方法。
【請求項9】
請求項8に記載の方法において、前記スクリューコンベア(3)の前記繊維強化プラスチック材料(8)の前記送込み速度が、150cm
3/時~220cm
3/時の範囲内の値に設定されることを特徴とする、方法。
【請求項10】
請求項1から9のいずれか一項に記載の方法において、前記繊維強化プラスチック材料が、熱可塑性マトリクス材と、カーボン繊維および/またはガラス繊維および/またはアラミド繊維および/または合成繊維および/またはプラスチック系繊維および/または天然繊維および/またはセラミック繊維と、を含有することを特徴とする、方法。
【請求項11】
請求項10に記載の方法において、前記マトリクス材が、ポリカーボネート、ポリ乳酸、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリメチルメタクリレート、ポリブチレンテレフタレート、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン共重合体、ポリオキシメチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリ塩化ビニルまたはポリアミドを含むことを特徴とする、方法。
【請求項12】
請求項1から11のいずれか一項に記載の方法において、前記繊維強化プラスチック材料が、追加の補強材として、補強材の粉末および/または断片、特にはガラスの断片を含有することを特徴とする、方法。
【請求項13】
部品(1)を付加製造するために、繊維強化プラスチック材料を押し出しする押出装置であって、
-当該押出装置(2)は加熱領域(43)を有し、押し出される前記繊維強化プラスチック材料(8)が前記加熱領域(43)内で加熱された後、この繊維強化プラスチック材料(8)が当該押出装置(2)の押出ノズル(10)に供給されて、当該押出ノズル(10)で繊維強化プラスチック材料(8)からなる糸状材料が製造対象の前記部品用として押し出されることが可能であり、
-当該押出装置(2)は、前記加熱領域(43)を通って前記繊維強化プラスチック材料(8)を移送するために、長さ-直径の比が10未満のスクリューコンベア(3)を備える、押出装置において、
前記加熱領域(43)内における前記繊維強化プラスチック材料(8)用に、最大で
5.5cm
3の容積が備えられており、当該押出装置(2)の電子制御装置(20)によって前記スクリューコンベア(3)の回転速度が最大で30回転/分に制限されることを特徴とする、押出装置。
【請求項14】
請求項10に記載の押出装置において、前記スクリューコンベア(3)の前記繊維強化プラスチック材料(8)の送込み速度は、前記押出ノズル(10)の方向に送り込まれる前記繊維強化プラスチック材料(8)の前記加熱領域(43)内での滞留時間が最大で20分になるように、当該押出装置(2)の前記電子制御装置(20)によって指定されることを特徴とする、押出装置。
【請求項15】
請求項13または14に記載の押出装置において、前記スクリューコンベア(3)の送込み速度が、前記電子制御装置(20)によって少なくとも5cm
3/時に指定されることを特徴とする、押出装置。
【請求項16】
請求項10に記載の押出装置において、前記スクリューコンベア(3)の送込み速度が、前記電子制御装置(20)によって最大で7500cm
3/時に制限されることを特徴とする、押出装置。
【請求項17】
請求項13から16のいずれか一項に記載の押出装置において、前記加熱領域(43)は、長さが40mm以下であり、直径が25mm以下であることを特徴とする、押出装置。
【請求項18】
請求項13から17のいずれか一項に記載の押出装置において、前記スクリューコンベア(3)が、前記プラスチック材料(8)の移送方向へと7mm~17mmの傾斜をもって立ち上がるスクリュー・ブレードを有していることを特徴とする、押出装置。
【請求項19】
請求項13から18のいずれか一項に記載の押出装置において、前記加熱領域(43)が、前記プラスチック材料(8)の移送方向に位置した一端に、円錐テーパ(V)を有しており、繊維強化プラスチック材料(8)は当該円錐テーパ(V)を介して前記押出ノズル(10)へと供給されることが可能であり、当該円錐テーパ(V)の開口角度(φ)が50°~65°の範囲内であることを特徴とする、押出装置。
【請求項20】
請求項13から19のいずれか一項に記載の押出装置において、当該押出装置(2)が
フィードゾーン(41)を有し、前記繊維強化プラスチック材料は当該フィードゾーン(41)で前記スクリューコンベア(3)へと供給されることが可能であり、前記プラスチック材料(8)の移送方向で前記加熱領域(43)の前に、当該押出装置(2)の当該加熱領域(43)と前記フィードゾーン(41)とを空間的に隔てる遮断領域(42)が存在しており、
-前記遮断領域(42)は、当該遮断領域(42)に隣接し前記加熱領域(43)の少なくとも一部を形成しているハウジング部(43g)を構成する材料よりも低い熱伝導率の材料からなるハウジング部(42g)で形成されており、
-前記加熱領域(43)の少なくとも一部を形成している前記ハウジング部(43g)が、前記遮断領域(42)を形成する前記ハウジング部(42g)よりも大きい熱質量を有していることを特徴とする、押出装置。
【請求項21】
請求項13から20のいずれか一項に記載の押出装置において、前記加熱領域(43)内で、前記スクリューコンベア(3)のシャフト(6)の直径が、前記プラスチック材料(8)の移送方向で少なくとも一回増加することを特徴とする、押出装置。
【請求項22】
請求項21に記載の押出装置において、前記加熱領域(43)内で、前記スクリューコンベア(3)の前記シャフト(6)の直径が、当該シャフト(6)の最小直径の1.5~2倍まで7°~10°の範囲の角度をもって円錐状に増加することを特徴とする、押出装置。
【請求項23】
請求項13から22のいずれか一項に記載の押出装置において、前記加熱領域(43)が、前記プラスチック材料(8)の移送方向に沿って前記スクリューコンベア(3)の長手方向軸心と平行に、当該長手方向軸心に沿った前記スクリューコンベア(3)の長さの1/2以下に相当する長さにわたって延在することを特徴とする、押出装置。
【請求項24】
請求項13から23のいずれか一項に記載の押出装置において、前記スクリューコンベア(3)が、前記加熱領域(43)内に、溶融圧縮ゾーン(32)、および前記プラスチック材料(8)の移送方向で当該溶融圧縮ゾーン(32)の後に続くとともに前記スクリューコンベア(3)の軸方向端部を含んでいる排出ゾーン(33)を有するように延在しており、前記溶融圧縮ゾーン(32)と前記排出ゾーン(33)を合わせて、前記長手方向軸心に沿った前記スクリューコンベア(3)の長さの1/3以下であることを特徴とする、押出装置。
【請求項25】
請求項13から24のいずれか一項に記載の押出装置において、前記スクリューコンベア(3)のうちの前記プラスチック材料(8)の移送方向に位置した軸方向端部と前記押出ノズル(10)との間の領域に、溶融した繊維強化プラスチック材料(8)を過剰圧の状態に維持することが可能なリザーバー(7)が設けられていることを特徴とする、押出装置。
【請求項26】
請求項25に記載の押出装置において、前記リザーバーが、前記移送方向と前記スクリューコンベア(3)の長手方向軸心とに平行に、当該長手方向軸心に沿った前記スクリューコンベア(3)の長さの1/3以下に相当する長さにわたって延在することを特徴とする、押出装置。
【請求項27】
請求項13から26のいずれか一項に記載の押出装置(2)を少なくとも1つ備える、3Dプリンター。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本提案の解決手段は、繊維強化プラスチック材料を押し出して部品を付加製造(addtive Fertigung)する押出方法および押出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
スクリュー型押出機などの形態の押出装置は、とりわけ、射出成形やダイカストによる部品の連続生産で利用される。大抵の場合、スクリューコンベア、射出ノズルおよび金型が、互いに対して水平線状に配置される。主に粒体や粉体として存在する材料は、一般的に、スクリュー型押出機の最後部にあるいわゆるフィードゾーンで充填される。同材料は、押出機のバレル部に位置したホッパーにより、鉛直方向にスクリューコンベアへと直に導かれる。ホッパーの断面積はブリッジングを防止するよう十分に大きくなっているので、上記材料は重力で上記スクリューコンベアへと落下して当該スクリューコンベアに引き込まれる。連続生産では、上記材料を引き込んで上記ノズルまで移送するのに、いわゆる3ゾーン式のスクリュー型押出機が一般的に利用される。同材料は、圧縮、脱気および均質化を受ける。そして、圧力が高められて上記金型への注入が行われる。
【0003】
スクリュー型押出機のフィードゾーンは、しばしば、当該スクリュー型押出機のハウジングのバレル部として構成される。このバレル部に、材料をスクリューへと供給することが可能なホッパーが設けられる。バレル部およびホッパーについては、粒体の形態で存在する材料のブリッジングが生じ得ないように、最小断面積に関して選定を行わなければならない。これは、使用するバルク材の安息角や摩擦係数に大きく左右される。
【0004】
DE 10 2014 018 081 A1(特許文献1)には、金属部品の付加製造用の3Dプリンターが記載されている。ここでも、粒体の形態で存在する加工材料を加工するスクリュー型押出機が利用される。3Dプリンターのうちの横行可能な造形ヘッド内に鉛直に配置されたスクリュー型押出機で、熱塑性変形可能な加工材料が層単位で押し出されることにより、立体的な部品が製造される。特許文献1には、押出スクリューへの加工材料の移送に関する細部が含まれていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】独国特許出願公開第102014018081号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
スクリュー型押出機を付加製造に適用しようとすると、スクリュー型押出機をトラバース・デザインにしなければなかったり、ワーク部分全体を動かすことになったりするので、スクリュー型押出機の重量や全体的サイズ[これらは典型的にスクリューコンベア(押出スクリュー)の長さに大きく依存する]の制限をとりわけ受けることになる。しかし、ワーク部分全体を動かすという後者の例では、3Dプリンター(3D-Druckvorrichtung)全体が顕著にオーバーサイズにならざるを得ない。また、付加製造用のこれまでに知られている押出方法では、繊維強化プラスチック材料を加工する際に、製造対象部品の望ましい材料強度、あるいは、同部品に必要とされる材料強度さえも、実現が困難になったり全く実現できなかったりするということが典型的に見受けられる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この背景に対して、本提案の解決手段の根底をなす目的は、繊維強化プラスチック材料の付加製造用加工をさらに改善し、従来技術からこれまで知られている短所を克服するか又は少なくとも緩和することである。
【0008】
この目的は、請求項1の方法、および請求項13の押出装置によって達成される。
【0009】
繊維強化プラスチック材料を押し出して部品を付加製造する本提案の方法では、
-前記繊維強化プラスチック材料が押出装置に供給されて当該押出装置の加熱領域で加熱された後、この繊維強化プラスチック材料が前記押出装置の押出ノズル(場合によっては、交換可能な押出ノズル)に供給されて、当該押出ノズルで(溶融した)繊維強化プラスチック材料からなる糸状材料(Materialfaden)が製造対象の前記部品として押し出されて、
-前記押出装置における長さ-直径の比が10未満のスクリューコンベアが、前記加熱領域を通って前記繊維強化プラスチック材料を移送するのに用いられる。
本提案の解決手段では、さらに、前記加熱領域内における前記繊維強化プラスチック材料用の容積が5.5cm3未満であり、かつ、前記スクリューコンベアの(当該スクリューコンベアの長手方向軸心回りの)回転速度が最大で30回転/分に制限される。
【0010】
つまり、実験から得られた知見に基づくものであるが、本提案の解決手段は、繊維強化プラスチック材料を押し出して部品を付加製造するにあたって、長さ-直径の比が10未満のスクリューコンベア(押出スクリュー)に対し、前記加熱領域内の容積を5.5cm3以下に制限すると共に同スクリューコンベアの回転速度の所定上限を最大で30回転/分に制限することにより、繊維強化プラスチック材料を用いた押出に基づく部品の付加製造が極めて有利なものになるという基本思想を起点としている。本提案の解決手段に基づけば、押出時に前記プラスチック材料が劣化するのを効果的に防止することができると同時に、完成部品中の繊維の配向が極めて有利なものとなり、同完成部品の材料強度向上に良い効果をもたらすことが判明した。前記スクリューコンベアの回転速度をそのように制限すること、特に、これに加えて前記スクリューコンベアの長さ-直径の比を10未満とすると共に前記加熱領域内における前記繊維強化プラスチック材料用の容積を5.5cm3以下に制限することにより、例えば、押出時に前記スクリューコンベアから前記プラスチック材料に加わる剪断力について、完成部品中の比較的長い繊維が剪断されなくなるという良い効果も得られる。前記スクリューコンベアの回転速度をそのように制限することで、(せん断速度に関係する)周速は従来の成形機よりも50~80倍の範囲で小さくなる。
【0011】
この関連で、一実施形態では、前記加熱領域内における前記繊維強化プラスチック材料用の容積を2.5cm3~5.5cm3の範囲内、特には2.5cm3~4.5cm3とするのが有利であり得る。具体的には、一実施形態において、3.0cm3~3.5cm3の範囲内の容積、例えば約3.30cm3の容積が設けられる。ここでいう前記押出装置の前記加熱領域内に設けられる前記繊維強化プラスチック材料用の容積とは、前記加熱領域を形成するハウジング部内に形成されて前記スクリューコンベアが延在せしめられることになる空洞の容積から、前記加熱領域内で同スクリューコンベアが占有する体積を差し引くことによって算出されるものである。
【0012】
一実施形態において、前記スクリューコンベアの前記繊維強化プラスチック材料の送込み速度は、前記押出ノズルの方向に送り込まれる前記繊維強化プラスチック材料の前記加熱領域内での滞留時間が最大で20分になるように設定される。ここでの送込み速度および/または滞留時間は、前記スクリューコンベアの回転速度を最大で30回転/分に制限することを考慮したうえで、前記押出装置で直接、調節可能なものであり得る。あるいは、前記送込み速度および/または前記滞留時間は、前記スクリューコンベアの回転速度を変化させることで調節可能であり得る。
【0013】
具体的には、使用するプラスチック材料や繊維強化プラスチック材料という原材料の供給形態によるものの、前記スクリューコンベアの送込み速度は、送り込まれる前記繊維強化プラスチック材料の前記加熱領域内での滞留時間が1.5秒以上(特には、4.75秒以上または50秒以上)で、最大で20分になるように設定され得る。例えば、特定の繊維強化プラスチック材料では、粉体の形態や粒体として前記押出装置に供給する場合、1.5秒~約60秒又は数分の範囲内の滞留時間が有利であることが明らかになった。
【0014】
前記プラスチック材料の送込み速度は、例えば、5cm3/時以上の値および/または7500cm3/時以下の値に設定され得る。つまり、前記スクリューコンベアは、比較的高出力となり得る。例えば、前記送込み速度は、10cm3/時~5500cm3/時の範囲内、特には10cm3/時~2500cm3/時、10cm3/時~250cm3/時などの範囲内に設定され得る。
【0015】
一実施形態において、前記スクリューコンベアの前記繊維強化プラスチック材料の前記送込み速度は、例えば、150cm3/時~220cm3/時の範囲内、特には150cm3/時~200cm3/時の範囲内の値に設定される。例えば、前記加熱領域内における前記繊維強化プラスチック材料用の容積が3.3cm3であるとき、送込み速度を10cm3/時とすることにより、前記繊維強化プラスチック材料の前記加熱領域内での滞留時間の上限を20分未満に設定することが可能である。
【0016】
前記繊維強化プラスチック材料は、例えば:熱可塑性マトリクス材と;カーボン繊維および/またはガラス繊維、かつ/あるいは、その他にもアラミド繊維および/または合成繊維および/またはプラスチック系繊維および/または天然繊維および/またはセラミック繊維と;を含有し得る。これに代えて又はこれに加えて、前記マトリクス材は:ポリカーボネート;ポリ乳酸;ポリエチレン;ポリエチレンテレフタレート;ポリメチルメタクリレート;ポリブチレンテレフタレート;アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン共重合体;ポリオキシメチレン;ポリプロピレン;ポリスチレン;ポリ塩化ビニル;およびポリアミド;のうちの1種以上の素材を含み得て、特には1種のみの素材からなり得る。
一実施形態において、前記繊維強化プラスチック材料は、少なくとも1種の追加の補強材、例えば、粉末および/または断片からなる補強材を含有する。具体的に述べると、前記繊維強化プラスチック材料は、追加の補強材としてガラスの断片を含有し得る。
【0017】
一実施形態において、前記プラスチック材料は、前記押出装置のフィードゾーンにある材料供給部で供給される。例えば、漏斗状の流入口が、前記フィードゾーンを形成している。当該フィードゾーンには、前記スクリューコンベアの取込部が設けられ得る。当該スクリューコンベアの(スクリューの)長手方向軸心回りの回転により、前記フィードゾーンに供給された例えば粉体、粒体等である繊維強化プラスチック材料が当該取込部から前記押出ノズルの方向に送り込まれる。このとき、前記スクリューコンベアのスクリューフライトによって前記繊維強化プラスチック材料が引き込まれていく。前記スクリューコンベアの前記スクリューフライトは、前記加熱領域に到達するまで前記プラスチック材料が圧縮を受けないように構成されている。つまり、前記スクリューコンベアによる圧縮は、例えば、当該スクリューコンベアのうちの、前記加熱領域の部分に位置すると共に圧縮を行い且つ前記加熱領域で供給される熱と協働で前記プラスチック材料の溶融も行う溶融圧縮ゾーンのみで行われる。原則として、前記スクリューフライトのピッチを変化させたり、前記スクリューコンベアにおいて前記スクリューフライトを形成しているシャフトの直径を変化させたりすることによって行うようにしてもよい。
【0018】
原則として、複合材料である前記繊維強化プラスチック材料は、補強材、特には繊維を、10体積%以上または10質量%以上含有するものとされ得る。
また、押出方法に関して、繊維の配向は、原則としてプロセスパラメータ、特には押出温度を変化させることによって制御され得て、かつ/あるいは、配される前記繊維強化プラスチック材料の繊維は、製造対象の部品における糸状材料で配された2つ以上の層同士を互いに連結するようにして堆積し得る。
【0019】
本提案の解決手段の他の態様は、繊維強化プラスチック材料を押し出して部品を付加製造する押出装置に関する。
ここでの押出装置は加熱領域を有し、押し出される前記繊維強化プラスチック材料が前記加熱領域内で加熱された後、この繊維強化プラスチック材料が当該押出装置の押出ノズル(場合によっては、交換可能な押出ノズル)に供給されて、当該押出ノズルで(溶融した)繊維強化プラスチック材料からなる糸状材料が製造対象の前記部品として押し出されることが可能である。同押出装置は、さらに、前記加熱領域内で前記繊維強化プラスチック材料を前記押出ノズルの方向に移送する長さ-直径の比が10未満のスクリューコンベアを備える。本提案の解決手段では、前記加熱領域内における前記繊維強化プラスチック材料用の容積が5.5cm3未満である。さらに、同押出装置の電子制御装置により、前記スクリューコンベアの回転速度が最大で30回転/分に制限される。
【0020】
原則として、本提案の押出装置により、可塑化した繊維強化プラスチック材料を素早く圧縮することができるので、当該繊維強化プラスチック材料の分離、したがって、分解が防止される。さらに、押出時には、押し出される前記プラスチック材料に働く剪断力を有利なもの、つまり、比較的小さなものにすることができる。これにより、全体として、前記押出ノズルで押し出された繊維強化プラスチック材料からなる糸状材料による部品の付加製造を大きく向上させることができる。
【0021】
本提案の押出装置の実施形態により、本提案の押出方法の実施形態を実施することが可能である。よって、本提案の押出方法の実施形態に関して説明した利点や構成は、本提案の押出装置の実施形態にも当てはまり、その逆も然りである。
【0022】
また、前記スクリューコンベアの前記繊維強化プラスチック材料の送込み速度は、前記押出ノズルの方向に送り込まれる前記繊維強化プラスチック材料の前記加熱領域内での滞留時間が最大で30分、特には少なくとも1.5秒、最大で20分になるように、前記押出装置の前記電子制御装置によってセットされ得る。
【0023】
これに代えて又はこれに加えて、例えば前記制御装置で前記スクリューコンベアの送込み(体積)速度が指定可能であり、当該送込み(体積)速度が5cm3/時以上に指定されて且つ/或いは7500cm3/時以下に制限されるものとしてもよい。具体的に述べると、これには、前記送込み速度が前記電子制御装置で10cm3/時以上7500cm3/時以下の値に設定され得る、例えば、最大で5500cm3/時、最大で2500cm3/時、最大で1000cm3/時、最大で250cm3/時等に制限される実施形態が包含される。
【0024】
前記押出装置の前記電子制御装置で、前記スクリューコンベアの前記繊維強化プラスチック材料の特定の送込み(体積)速度が予め設定されるものとしてもよく、任意で、供給される同プラスチック材料および/または(特に、前記加熱領域を形成するハウジング部が交換可能な場合に)前記加熱領域内に設けられた容積に応じて予め設定されるものとしてもよい。これにより、例えば、前記押出装置のユーザは、供給される繊維強化プラスチック材料の種類と形態を前記制御装置に接続された操作部で入力するだけで、同電子制御装置に、押し出される同繊維強化プラスチック材料の前記加熱領域内での滞留時間が20分以下になるような特定の送込み速度を、記憶した参照値に基づいて(前記スクリューコンベアの超えてはならない上限速度を30回転/分としたうえで)設定させることができる。よって、指定される前記送込み速度は、例えば、供給される熱可塑性材が何であるのか且つ繊維の種類が何であるのかに応じて、かつ/あるいは、前記繊維強化プラスチック材料が前記押出装置に粉体として供給されるのか粒体として供給されるのかで変化し得る。
【0025】
一実施形態において、前記加熱領域は、長さが最大で40mmに、直径が最大で25mmに制限されている。よって、この実施形態では、特に、前記加熱領域内で前記スクリューコンベアが占有する体積にもよるものの、前記繊維強化プラスチック材料用に設けられる容積が容易に約5.5cm3未満となる。
【0026】
一実施形態において、前記スクリューコンベアは、前記プラスチック材料の移送方向へと立ち上がるスクリュー羽根を有している。このときのスクリュー羽根は、例えば、7mm~17mmの傾斜、特には8mm~15mmの傾斜を有し得る。具体的に述べると、本提案の解決手段に基づいて指定されるパラメータに加えて前記スクリューコンベアの構成をこのようなものにすることにより、熱可塑性マトリクスを含有し粒体の形態で供給される繊維強化プラスチック材料による完成部品中の繊維の配向がいずれにせよ有利なものになると共に、完成部品中の比較的長い繊維が剪断されなくなるようにできることが明らかとなった。
【0027】
一実施形態において、前記加熱領域は、前記プラスチック材料の移送方向に位置した一端に円錐テーパを有しており、繊維強化プラスチック材料は当該円錐テーパを介して前記押出ノズルへと供給されることが可能である。例えば、この円錐テーパの開口角度は、50°~65°の範囲内、特には55°~60°の範囲内、例えば58°である。当該テーパ部の度合いも、製造対象の前記部品の材料強度や繊維配向に影響する要因であり得る。
【0028】
既述したように、前記押出装置はフィードゾーンを有し、前記繊維強化プラスチック材料は当該フィードゾーンで前記スクリューコンベアへと供給されることが可能である。一実施形態では、前記プラスチック材料の移送方向で前記加熱領域の前に、前記押出装置の当該加熱領域と前記フィードゾーンとを空間的に隔てる遮断領域が存在している。前記遮断領域により、例えば前記フィードゾーンと前記加熱領域との間に熱遮断領域が形成される。有利には、
-前記遮断領域が、当該遮断領域に隣接し前記加熱領域の少なくとも一部を形成しているハウジング部を形成する材料よりも低い熱伝導率の材料からなるハウジング部で形成され得て、
-前記加熱領域の少なくとも一部を形成している前記ハウジング部が、前記遮断領域を形成する前記ハウジング部よりも大きい熱質量を有し得る。
【0029】
例えば、前記遮断領域の前記ハウジング部は、高強度又は硬質であるが熱伝導性に乏しい材料、例えば、セラミック材料からなる。任意で、前記遮断領域には、さらに、前記押出装置の前記加熱領域による前記フィードゾーンの昇温を最小限に抑えるように冷却部が設けられていてもよい。一実施形態では、前記遮断領域が酸化ジルコニウムまたは酸化アルミニウムからなる。
【0030】
一実施形態では、前記加熱領域内で、前記スクリューコンベアのシャフトの直径が、前記プラスチック材料の移送方向で少なくとも一回増加する。例えば、前記加熱領域内で、前記繊維強化プラスチック材料の圧縮を支援するように前記直径が円錐状に増加する。つまり、同実施形態では、前記スクリューコンベアの第1のスクリュー部における前記シャフトの直径が(小径の)第1の直径である一方で、前記移送方向で当該第1のスクリュー部に隣接した第2のスクリュー部における前記シャフトの直径が(大径の)第2の直径となる。つまり、前記スクリューコンベアは、特には締め付けスクリュ(Stopfschnecke)の様式で構成され得る。例えば、前記スクリューコンベアの前記シャフトの直径を前記第1の直径から前記第2の直径へと前記移送方向に増加させる円錐状の遷移部分が、前記第1のスクリュー部から前記第2のスクリュー部への拡径目的で設けられ得る。
【0031】
具体的に述べると、これには、前記加熱領域内で、特には、例えば前記スクリューコンベアの溶融圧縮ゾーン内で、前記スクリューコンベアのシャフトの直径が、前記スクリューコンベアの当該シャフトの(第1の)最小直径の1.5~2倍まで7°~10°の範囲の角度をもって円錐状に増加する実施形態が包含される。これに基づく一改良形態では、それ以降の前記直径が、前記スクリューコンベアのうちの、前記移送方向に位置し当該スクリューコンベアの排出ゾーンの領域にある端部まで一定とされる。
【0032】
一実施形態では、例えば、前記加熱領域が、(前記スクリューコンベアによって定まる)前記プラスチック材料の移送方向に沿って前記スクリューコンベアの長手方向軸心と平行に、当該長手方向軸心に沿った前記スクリューコンベアの長さ(全長)の最大でも半分に相当する長さにわたって延在する。つまり、加熱領域の長さは、最大でも前記スクリューコンベアの長さの1/2となる。前記加熱領域の長さに前記スクリューコンベアの全長に対するこのような幾何的制限を設けることは、特定の構成において、特に、前記スクリューコンベアに設定される長さ-直径の比を10未満とすることに関係して有利であることが明らかとなった。
【0033】
これに代えて又はこれに加えて、前記スクリューコンベアは、前記加熱領域内に、溶融圧縮ゾーン、および前記プラスチック材料の移送方向で当該溶融圧縮ゾーンの後に続くとともに前記スクリューコンベアの軸方向端部を含んでいる排出ゾーンを有するように延在し、前記溶融圧縮ゾーンと前記排出ゾーンを合わせて、前記長手方向軸心に沿った前記スクリューコンベアの長さの1/3以下とされてもよい。つまり、前記スクリューコンベアのうちの、前記押出装置の前記加熱領域内に前記溶融圧縮ゾーンおよび前記排出ゾーンを形成している部分の長さが、前記スクリューコンベアの全長の1/3を超えない。
【0034】
具体的に述べると、本実施形態において、前記溶融圧縮ゾーンでは、前記移送方向で当該溶融圧縮ゾーンの前にあって繊維強化プラスチック材料という原材料を前記スクリューコンベアへと供給する当該スクリューコンベアの取込部よりも、当該スクリューコンベアのスクリューピッチが短いものとされ得る。つまり、前記押出装置内の前記プラスチック材料の移送方向を基準にすると、前記押出ノズルの方向で前記スクリューの長手方向軸心に沿って送込みゾーンの後に前記溶融圧縮ゾーンが続き、当該溶融圧縮ゾーンの後に前記
排出ゾーンが続く。
【0035】
一実施形態では、前記スクリューコンベアのうちの前記プラスチック材料の移送方向に位置した軸方向端部と前記押出ノズルとの間の領域に、溶融した繊維強化プラスチック材料を過剰圧の状態に維持することが可能なリザーバーが設けられている。つまり、前記押出装置は、溶融した繊維強化プラスチック材料を当該押出装置の動作において過剰圧の状態に維持することによって当該プラスチック材料を前記押出ノズルで糸状材料として排出するように構成かつ設けられたリザーバーを備えている。
【0036】
例えば、前記リザーバーは、前記移送方向と前記スクリューコンベアの長手方向軸心とに平行に、当該長手方向軸心に沿った前記スクリューコンベアの長さの1/3以下に相当する長さにわたって延在するものとされる。つまり、前記リザーバーの長さは、前記スクリューコンベアの全長の1/3以下となる。例えば、前記リザーバーの長さは、前記スクリューコンベアの長さの1/15以下とされる。
【0037】
一実施形態において、前記押出ノズルのノズル直径は、0.25mm~2mmの範囲内である。具体的に述べると、前記押出ノズルは、それぞれ例えば0.25mm~2mmの範囲内にある種々のノズル直径の押出ノズルを前記押出装置で利用することができるように交換可能なものとされ得る。
【0038】
本提案の解決手段のさらなる他の態様は、本提案の押出装置の少なくとも1つの実施形態を備えた3Dプリンター、および/または本提案の押出方法の実施形態を実行する押出装置を備えた3Dプリンターに関する。具体的に述べると、このような3Dプリンターは、当該3Dプリンターの押出装置で実施される熱可塑性材熱溶解積層法(thermoplastisches Schmelzschichtungsverfahren)用に構成かつ設けられたものであり得て、前記押出装置は、前記3Dプリンターのうちの、三軸運動システム上のプリントヘッドの少なくとも一部として用いられる。
【0039】
添付の図面に、本提案の解決手段の考えられ得る実施形態を例示する。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【
図1】3Dプリンターを示す概略図であり、当該3Dプリンターにおける小型のスクリュー型押出機により、繊維強化プラスチック材料の付加加工が行われる。
【
図2】前記スクリュー型押出機を示す断面図である。
【
図3】前記スクリュー型押出機を示す他の断面図である。
【
図4】前記スクリュー型押田機を示す平面図である。
【
図5】前記スクリュー型押出機によって積層される、押し出された繊維強化プラスチック材料からなる糸状材料同士/ウェブ同士の、機械的な繋がり合い(Verzahnung)を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0041】
図1は、3Dプリンターを示す概略斜視図である。同3Dプリンターには、スクリュー型押出機2形態の本提案の押出装置の一実施形態が、当該3Dプリンターの造形ヘッドの一部として設けられている。スクリュー型押出機2により、繊維強化プラスチック材料を用いて部品1を熱可塑性材溶融積層方法で付加製造することができる。三軸運動システムにより、スクリュー型押出機2は、製造対象の部品1が形成されるプラットフォーム又はベース11の上方でトラバースすることが可能である。スクリュー型押出機2の押出ノズル10により、溶融した繊維強化プラスチック材料の糸状材料がベース11上に配される。スクリュー型押出機2の電子制御装置20により、押出プロセスが制御される。
【0042】
スクリュー型押出機2について、
図2及び
図3の拡大断面図ならびに
図4の平面図を参照しながら示されているように、スクリュー型押出機2は、粉体又は粒体の形態で供給された繊維強化プラスチック材料8を押出ノズル10の方向に移送するスクリューコンベア3を備えている。このスクリューコンベア3は、(スクリューの)長手方向軸心に沿って全長が、取込部31から、隣接する溶融圧縮ゾーン32、排出ノズル33まで延在している。スクリューコンベア3は、スクリュー型押出機2のハウジング4内において当該スクリューコンベア3の長手方向軸心回りに回転可能であるように収容されており、図示しないモータ駆動部によって回転させられることが可能である。
【0043】
図2及び
図3の断面図では、スクリューコンベア3を少なくとも部分的に収容したハウジング4が、別々のハウジング部41g,42g,43gを有するものとして描かれている。また、個々のハウジング部41g,42g,43gは、相互に連結されて共同でハウジング4を形成する互いに独立したハウジング部を形成するものであり得る。第1のハウジング部41gは、粉体又は粒体の繊維強化プラスチック材料8を供給する漏斗状の流入口5を形成している。繊維強化プラスチック材料8は、例えば、複合材料として、繊維が埋め込まれた熱可塑性マトリクス材からなる。押出ノズル10への移送方向に、前記プラスチック材料を供給するフィードゾーン41を形成する流入口8付き第1のハウジング部41gには、熱遮断領域42を形成する第2のハウジング部42gが隣接している。前記
遮断領域42は、フィードドーン41と、ハウジング4のうちの後続の第3のハウジング部43gで形成された加熱領域43とを隔てている。フィードゾーン41と加熱領域43との熱分離のために、第2のハウジング部42gは、例えば、熱伝導性が極めて乏しい高強度の材料(例えば、セラミック材料)からなり、任意で、吸気冷却部(Einzugskuehlung)を追加で有している。例えば、熱遮断領域42のハウジング部42gは、酸化ジルコニウム、酸化アルミニウムなどからなる。
【0044】
加熱領域43の構成として、第3のハウジング部43gは、一つの加熱体9または周囲に配置された複数の加熱体9を具備している。押出ノズル10の方向に移送される繊維強化プラスチック材料8が加熱体9によって溶融されることにより、当該プラスチック材料は、押出ノズル10から糸状マテリアルで押し出しされることが可能となる。糸状マテリアルの厚みは、ハウジング4に固定された(本例では、交換可能に固定された)押出ノズル10の形状で決まる。
【0045】
適切な装着状態で縦型に配置されるスクリューコンベア3は、当該スクリューコンベア3の取込部31の全体が第1のハウジング部41g及び第1のハウジング部41gにより形成されるフィードゾーン41で取り囲まれるようにしてハウジング4内に延在するものとされる。第3のハウジング部43g内、つまり、加熱領域43内にある、スクリューコンベア3のうちの送込みゾーン31に隣接した圧縮溶融ゾーン32で、プラスチック材料8がスクリューコンベア3による圧縮を受ける。このため、スクリューコンベア3は、当該スクリューコンベア3のシャフト6の直径が溶融圧縮ゾーン32付近で当該スクリューコンベア3の最小直径の1.5~2倍まで7°~10°の角度をもって円錐状に増加する、締め付けスクリュー(Stopfschnecke)として構成されている。
【0046】
スクリューコンベア3のうちの溶融圧縮ゾーン32に隣接した排出ゾーン33も、同じく加熱領域43内に位置している。排出ゾーン33では、スクリューコンベア3のシャフト6の(大径の)直径が一定に維持されている。排出ゾーン33、つまり、スクリューコンベア3の軸方向端部には、前記繊維強化プラスチック材料の移送方向でリザーバー7が隣接している。このリザーバー7は、スクリューコンベア3の前記軸方向端部と押出ノズル10との間に形成されており、加熱領域43内で、第3のハウジング部43gのうちのスクリューコンベア3に面した内殻面の円錐テーパVによって少なくとも部分的に形成されている。このリザーバー7では、溶融した繊維強化プラスチック材料が過剰圧下で維持される。本例では、リザーバー7の長さが、スクリューコンベア3の全長の1/15以下とされる。本例では、第3のハウジング部43g内に設けられた円錐テーパVの、押出ノズル10の方向への開口角度φが、58°以上程度とされる。
【0047】
図示のスクリューコンベア2では、まず、プラスチック材料8が、当該スクリューコンベア3の取込部31の漏斗状の流入口5で受け入れられて当該スクリューコンベア3内を前記移送方向に沿って下方へと移送される。プラスチック材料8は、ハウジング4の熱遮断領域42により、当該熱遮断領域42を形成する第2のハウジング部42gまで自由に流動する。また、ハウジング4内の加熱領域43に到達するまでは、スクリューフライトのピッチの変化やスクリューコンベア3のシャフト6の直径の変化による圧縮が生じない。
【0048】
遮断領域42の下方に直に隣接した加熱領域43でのみ、プラスチック材料8が溶融し圧縮される。この目的のために、本例では、径方向に配置された加熱体9が加熱領域43のハウジング側に設けられており、当該加熱体は、加熱領域43の全長に沿って延在し熱エネルギーを極めて局所的にインプットする。本例では、加熱領域43の前記ハウジング側の長さが、最大でスクリューコンベア3の長さの1/2に相当する長さとされる。加熱領域43を形成する第3のハウジング部43gは、遮断領域42を形成する第2のハウジング部42gよりも熱伝導率が大きいと共に、この第2のハウジング部42gに比べて熱質量が大きいものとされる。
【0049】
スクリュー型押出機2形態の図示の押出装置では、加熱領域43内に繊維強化プラスチック材料8用として設けられているハウジング4内部の容積が、5.5cm3未満、本例では約3.30cm3に制限されている。換言すると、スクリューコンベア3の長手方向軸心に沿ってプラスチック材料8を押出ノズル10の方向に移送するにあたって加熱領域43内で利用することのできる容積が、最大で3.30cm3とされている。この容積は、スクリューコンベア3が溶融圧縮ゾーン32及び排出ゾーン33として延在している第3のハウジング部43g内部の空洞部分とスクリューコンベア3の占有体積との差から算出される。
【0050】
さらに、スクリューコンベア3の(スクリューの)長手方向軸心回りの最大の回転速度が、電子制御装置20によって30回転/分に制限される。本例において、スクリューコンベア3の送込み体積速度は、押出ノズル10の方向に移送される繊維強化プラスチック材料8の加熱領域43内での滞留時間が最大で20分、本例では、例えば1.5秒以上20分以下になるように、前記速度制限を考慮しながら設定される。この場合、7500cm3/時以下、特には5500cm3/時以下、2500cm3/時以下、1000cm3/時以下または250cm3/時以下の範囲内という、スクリューコンベア3の比較的高い出力が同時達成される。これに加えて、スクリューコンベア3の長さ-直径の比を10未満とすることにより、繊維強化プラスチック材料8の加熱領域43内での滞留時間が比較的短時間となり、それにより、プラスチック材料8の劣化が防止される。このことは、加熱領域43の長さを最大で24mm、直径を18mm未満とすることによってさらに助長される。また、上記のプロセスパラメータに相当する押出方法をスクリュー型押出機2で実施することで、粉体又は粒体のプラスチック材料8に含まれる繊維が比較的少ない程度しか切断されず、同繊維の約70%が押出ノズル10の移動方向に積層されるということが明らかになった。これにより、製造対象の部品1の形状にかかわらず、繊維の配向、つまり、当該部品の強度に影響を加えるということが可能になる。3Dプリントプロセスでは、押出ノズル10の移動経路のみを操作するだけでよくなる。
【0051】
原則として、加熱領域43内やスクリューコンベア3の溶融圧縮ゾーン32に沿った処理(スループット)時間は、使用する繊維強化プラスチック材料8に依存する。本提案の解決手段に対応して、スクリューコンベア3の最大回転速度は、30回転/分という上限に制限される。これに加えてスクリューコンベア3の長さ-直径の比を10未満とすることにより剪断力が小さくなる。また、前記スループット時間は、プラスチック材料8の前記加熱領域内での滞留時間が20分以下になるように選択される。
(具体的には、スクリューコンベア3の長さに対して)幾何学的に比較的短いデザインの加熱領域43において、容積を定めた結果として当然のごとく小さく保たれている5.5cm3よりも小さいプラスチック材料の量の供給速度によって特に固定される短い滞留時間により、プラスチック材料8がごく短時間のあいだしか高温状態に留まらず、溶融圧縮ゾーン32に溜まった溶融物のスループット時間が十分短いものになる。
【0052】
図1~
図4に示す小型のスクリュー型押出機2は、例えば:ポリカーボネート;ポリ乳酸;ポリエチレン;ポリエチレンテレフタレート;ポリメチルメタクリレート;ポリブチレンテレフタレート;アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン共重合体;ポリオキシメチレン;ポリプロピレン;ポリスチレン;ポリ塩化ビニル;およびポリアミド;のうちの少なくとも1種のマトリクス材を含有する繊維強化プラスチック材料8を加工することが可能である。さらに、前記マトリクス材には、ガラス繊維および/またはアラミド繊維および/またはスチール繊維および/またはカーボン繊維および/または合成繊維および/またはプラスチック系繊維および/または天然繊維および/またはセラミック繊維の形態の様々な補強材が埋め込まれ得る。追加の補強物として、ガラスや他の材料の粉末や断片も用いられ得る。また、前記プラスチック材料は、ミネラル強化であってもよい。
【0053】
一応用例として、繊維強化プラスチック材料8は、連続(エンドレス)繊維を含まず且つ繊維含有量が10%以上のものとされる。
【0054】
スクリュー型押出機2またはスクリュー型押出機2が造形ヘッドの一部を形成している3Dプリンターにより、部品1を効果的に付加製造することができる。スクリュー型押出機2で押出過程を実施することにより、例えば、
図5の概略図に対応して、押出ノズル10の移動方向に積層された70%の繊維を含む層(マテリアルウェブ)が、スクリュー型押出機2で実施される押出プロセスを用いることによって、繊維強化プラスチック材料8の押出糸状材料によって部品1として配され得る。配された(プリントされた)層から残りの30%の繊維が空間内のあらゆる方向に突き出ることにより、互いに積層された層間で機械底な繋がり合いが生じる。これにより、比較的高い材料強度が完成部品1で得られると共に、完成部品1の変形や破損の挙動を的を絞って指定することが可能となる。
【符号の説明】
【0055】
1 部品
10 押出ノズル
11 ベース
2 スクリュー型押出機(押出装置)
20 制御装置
3 スクリューコンベア/押出スクリュー
31 取込部
32 溶融圧縮ゾーン
33 排出ゾーン
34 端部領域
340 面取り部
4 ハウジング
41 フィードゾーン
42 (熱)遮断領域
41g,42g,43g ハウジング部
43 加熱領域
5 流入口
6 シャフト
7 リザーバー
8 繊維強化プラスチック材料
9 加熱体
V テーパ
φ 開口角度
【手続補正書】
【提出日】2022-08-01
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0054
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0054】
スクリュー型押出機2またはスクリュー型押出機2が造形ヘッドの一部を形成している3Dプリンターにより、部品1を効果的に付加製造することができる。スクリュー型押出機2で押出過程を実施することにより、例えば、
図5の概略図に対応して、押出ノズル10の移動方向に積層された70%の繊維を含む層(マテリアルウェブ)が、スクリュー型押出機2で実施される押出プロセスを用いることによって、繊維強化プラスチック材料8の押出糸状材料によって部品1として配され得る。配された(プリントされた)層から残りの30%の繊維が空間内のあらゆる方向に突き出ることにより、互いに積層された層間で機械底な繋がり合いが生じる。これにより、比較的高い材料強度が完成部品1で得られると共に、完成部品1の変形や破損の挙動を的を絞って指定することが可能となる。
以下、本発明に含まれる態様を記す。
〔態様1〕繊維強化プラスチック材料を押し出して部品(1)を付加製造する方法であって、
-前記繊維強化プラスチック材料(8)が押出装置(2)に供給されて当該押出装置(2)の加熱領域(43)で加熱された後、この繊維強化プラスチック材料(8)が前記押出装置(2)の押出ノズル(10)に供給されて、当該押出ノズル(10)で繊維強化プラスチック材料(8)からなる糸状材料が製造対象の前記部品用として押し出されて、
-前記押出装置(2)における長さ-直径の比が10未満のスクリューコンベア(3)が、前記加熱領域(43)を通って前記繊維強化プラスチック材料(8)を移送するのに用いられる、方法において、
前記加熱領域(43)内において、前記繊維強化プラスチック材料(8)用に、最大で
5.5cm
3
の容積が備えられて、かつ、前記スクリューコンベア(3)の回転速度が30回転/分以下に制限されることを特徴とする、方法。
〔態様2〕態様1に記載の方法において、前記加熱領域内において、前記繊維強化プラスチック材料用に、2.5cm
3
~5.5cm
3
の範囲内の容積が備えられていることを特徴とする、方法。
〔態様3〕態様2に記載の方法において、前記加熱領域内において、前記繊維強化プラスチック材料用に、3.0cm
3
~3.5cm
3
の範囲内の容積が備えられていることを特徴とする、方法。
〔態様4〕態様1から3のいずれか一態様に記載の方法において、前記スクリューコンベア(3)の前記繊維強化プラスチック材料(8)の送込み速度は、前記押出ノズル(10)の方向に送り込まれる前記繊維強化プラスチック材料(8)の前記加熱領域(43)内での滞留時間が最大で20分になるように設定されることを特徴とする、方法。
〔態様5〕態様4に記載の方法において、前記スクリューコンベア(3)の前記繊維強化プラスチック材料(8)の前記送込み速度は、前記押出ノズル(10)の方向に送り込まれる前記繊維強化プラスチック材料(8)の前記加熱領域(43)内での滞留時間が少なくとも0.5秒、最大で30分になるように設定されることを特徴とする、方法。
〔態様6〕態様1から5のいずれか一態様に記載の方法において、前記スクリューコンベア(3)の前記繊維強化プラスチック材料(8)の送込み速度が、少なくとも5cm
3
/時の値に設定されることを特徴とする、方法。
〔態様7〕態様6に記載の方法において、前記スクリューコンベア(3)の前記繊維強化プラスチック材料(8)の前記送込み速度が、7500cm
3
/時以下の値に設定されることを特徴とする、方法。
〔態様8〕態様7に記載の方法において、前記スクリューコンベア(3)の前記繊維強化プラスチック材料(8)の前記送込み速度が、250cm
3
/時未満の範囲内の値に設定されることを特徴とする、方法。
〔態様9〕態様8に記載の方法において、前記スクリューコンベア(3)の前記繊維強化プラスチック材料(8)の前記送込み速度が、150cm
3
/時~220cm
3
/時の範囲内の値に設定されることを特徴とする、方法。
〔態様10〕態様1から9のいずれか一態様に記載の方法において、前記繊維強化プラスチック材料が、熱可塑性マトリクス材と、カーボン繊維および/またはガラス繊維および/またはアラミド繊維および/または合成繊維および/またはプラスチック系繊維および/または天然繊維および/またはセラミック繊維と、を含有することを特徴とする、方法。
〔態様11〕態様10に記載の方法において、前記マトリクス材が、ポリカーボネート、ポリ乳酸、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリメチルメタクリレート、ポリブチレンテレフタレート、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン共重合体、ポリオキシメチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリ塩化ビニルまたはポリアミドを含むことを特徴とする、方法。
〔態様12〕態様1から11のいずれか一態様に記載の方法において、前記繊維強化プラスチック材料が、追加の補強材として、補強材の粉末および/または断片、特にはガラスの断片を含有することを特徴とする、方法。
〔態様13〕部品(1)を付加製造するために、繊維強化プラスチック材料を押し出しする押出装置であって、
-当該押出装置(2)は加熱領域(43)を有し、押し出される前記繊維強化プラスチック材料(8)が前記加熱領域(43)内で加熱された後、この繊維強化プラスチック材料(8)が当該押出装置(2)の押出ノズル(10)に供給されて、当該押出ノズル(10)で繊維強化プラスチック材料(8)からなる糸状材料が製造対象の前記部品用として押し出されることが可能であり、
-当該押出装置(2)は、前記加熱領域(43)を通って前記繊維強化プラスチック材料(8)を移送するために、長さ-直径の比が10未満のスクリューコンベア(3)を備える、押出装置において、
前記加熱領域(43)内における前記繊維強化プラスチック材料(8)用に、最大で
5.5cm
3
の容積が備えられており、当該押出装置(2)の電子制御装置(20)によって前記スクリューコンベア(3)の回転速度が最大で30回転/分に制限されることを特徴とする、押出装置。
〔態様14〕態様10に記載の押出装置において、前記スクリューコンベア(3)の前記繊維強化プラスチック材料(8)の送込み速度は、前記押出ノズル(10)の方向に送り込まれる前記繊維強化プラスチック材料(8)の前記加熱領域(43)内での滞留時間が最大で20分になるように、当該押出装置(2)の前記電子制御装置(20)によって指定されることを特徴とする、押出装置。
〔態様15〕態様13または14に記載の押出装置において、前記スクリューコンベア(3)の送込み速度が、前記電子制御装置(20)によって少なくとも5cm
3
/時に指定されることを特徴とする、押出装置。
〔態様16〕態様10に記載の押出装置において、前記スクリューコンベア(3)の送込み速度が,前記電子制御装置(20)によって最大で7500cm
3
/時に制限されることを特徴とする、押出装置。
〔態様17〕態様13から16のいずれか一態様に記載の押出装置において、前記加熱領域(43)は、長さが40mm以下であり、直径が25mm以下であることを特徴とする、押出装置。
〔態様18〕態様13から17のいずれか一態様に記載の押出装置において、前記スクリュー婚ベア■3)が、前記プラスチック材料(8)の移送方向へと7mm~17mmの鶏舎をもって立ち上がるスクリュー・ブレードを有していることを特徴とする、押出装置。
〔態様19〕態様13から18のいずれか一態様に記載の押出装置において、前記加熱領域(43)が、前記プラスチック材料(8)の移送方向に位置した一端に、円錐テーパ(V)を有しており、繊維強化プラスチック材料(8)は当該円錐テーパ(V)を介して前記押出ノズル(10)へと供給されることが可能であり、当該円錐テーパ(V)の開口角度(φ)が50°~65°の範囲内であることを特徴とする、押出装置。
〔態様20〕態様13から19のいずれか一態様に記載の押出装置において、当該押出装置(2)がフィードゾーン(41)を有し、前記繊維強化プラスチック材料は当該フィードゾーン(41)で前記スクリューコンベア(3)へと供給されることが可能であり、前記プラスチック材料(8)の移送方向で前記加熱領域(43)の前に、当該押出装置(2)の当該加熱領域(43)と前記フィードゾーン(41)とを空間的に隔てる遮断領域(42)が存在しており、
-前記遮断領域(42)は、当該遮断領域(42)に隣接し前記加熱領域(43)の少なくとも一部を形成しているハウジング部(43g)を構成する材料よりも低い熱伝導率の材料からなるハウジング部(42g)で形成されており、
-前記加熱領域(43)の少なくとも一部を形成している前記ハウジング部(43g)が、前記遮断領域(42)を形成する前記ハウジング部(42g)よりも大きい熱質量を有していることを特徴とする、押出装置。
〔態様21〕態様13から20のいずれか一態様に記載の押出装置において、前記加熱領域(43)内で、前記スクリューコンベア(3)のシャフト(6)の直径が、前記プラスチック材料(8)の移送方向で少なくとも一回増加することを特徴とする、押出装置。
〔態様22〕態様21に記載の押出装置において、前記加熱領域(43)内で、前記スクリューコンベア(3)の前記シャフト(6)の直径が、当該シャフト(6)の最小直径の1.5~2倍まで7°~10°の範囲の角度をもって円錐状に増加することを特徴とする、押出装置。
〔態様23〕態様13から22のいずれか一態様に記載の押出装置において、前記加熱領域(43)が、前記プラスチック材料(8)の移送方向に沿って前記スクリューコンベア(3)の長手方向軸心と平行に、当該長手方向軸心に沿った前記スクリューコンベア(3)の長さの1/2以下に相当する長さにわたって延在することを特徴とする、押出装置。
〔態様24〕態様13から23のいずれか一態様に記載の押出装置において、前記スクリューコンベア(3)が、前記加熱領域(43)内に、溶融圧縮ゾーン(32)、および前記プラスチック材料(8)の移送方向で当該溶融圧縮ゾーン(32)の後に続くとともに前記スクリューコンベア(3)の軸方向端部を含んでいる排出ゾーン(33)を有するように延在しており、前記溶融圧縮ゾーン(32)と前記排出ゾーン(33)を合わせて、前記長手方向軸心に沿った前記スクリューコンベア(3)の長さの1/3以下であることを特徴とする、押出装置。
〔態様25〕態様13から24のいずれか一態様に記載の押出装置において、前記スクリューコンベア(3)のうちの前記プラスチック材料(8)の移送方向に位置した軸方向端部と前記押出ノズル(10)との間の領域に、溶融した繊維強化プラスチック材料(8)を過剰圧の状態に維持することが可能なリザーバー(7)が設けられていることを特徴とする、押出装置。
〔態様26〕態様25に記載の押出装置において、前記リザーバーが、前記移送方向と前記スクリューコンベア(3)の長手方向軸心とに平行に、当該長手方向軸心に沿った前記スクリューコンベア(3)の長さの1/3以下に相当する長さにわたって延在することを特徴とする、押出装置。
〔態様27〕態様13から26のいずれか一態様に記載の押出装置(2)を少なくとも1つ備える、3Dプリンター。
【国際調査報告】