IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ダウ グローバル テクノロジーズ エルエルシーの特許一覧

<>
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-12-05
(54)【発明の名称】エーテル化の方法
(51)【国際特許分類】
   C07C 41/06 20060101AFI20221128BHJP
   C07C 43/13 20060101ALI20221128BHJP
   B01J 37/08 20060101ALI20221128BHJP
   B01J 29/70 20060101ALI20221128BHJP
   C07B 61/00 20060101ALN20221128BHJP
【FI】
C07C41/06
C07C43/13 B
B01J37/08
B01J29/70 Z
C07B61/00 300
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022515143
(86)(22)【出願日】2020-09-23
(85)【翻訳文提出日】2022-03-07
(86)【国際出願番号】 US2020052095
(87)【国際公開番号】W WO2021067077
(87)【国際公開日】2021-04-08
(31)【優先権主張番号】62/907,801
(32)【優先日】2019-09-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】502141050
【氏名又は名称】ダウ グローバル テクノロジーズ エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100128495
【弁理士】
【氏名又は名称】出野 知
(74)【代理人】
【識別番号】100208225
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 修二郎
(74)【代理人】
【識別番号】100144417
【弁理士】
【氏名又は名称】堂垣 泰雄
(72)【発明者】
【氏名】リー、ウェンシェン
(72)【発明者】
【氏名】キロス、ベアタ エイ.
(72)【発明者】
【氏名】ク、ソンユ
(72)【発明者】
【氏名】キング、ステファン ダブリュー.
【テーマコード(参考)】
4G169
4H006
4H039
【Fターム(参考)】
4G169AA02
4G169BA07A
4G169BA07B
4G169BE01C
4G169BE17C
4G169CB25
4G169CB71
4G169DA08
4G169EC03Y
4G169EC04Y
4G169EC12Y
4G169EC27
4G169FB30
4G169FC06
4G169FC07
4G169ZA19A
4G169ZA19B
4G169ZB06
4H006AA02
4H006AB84
4H006AC43
4H006BA71
4H006DA15
4H006GN21
4H006GP01
4H039CA61
4H039CF10
(57)【要約】
本開示の実施形態は、ゼオライト触媒のテンプレートを還元して、ゼオライト触媒のか焼後に維持される3~15重量%重量%のテンプレートを有する還元テンプレートゼオライト触媒を提供することと、還元テンプレートゼオライト触媒をオレフィンおよびアルコールと接触させてモノアルキルエーテルを生成することとを含む、エーテル化の方法に関する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エーテル化の方法であって、前記方法が、
ゼオライト触媒のテンプレートを還元して、前記ゼオライト触媒のか焼後に維持される3~15重量%のテンプレートを有する還元テンプレートゼオライト触媒を提供することと、
前記還元テンプレートゼオライト触媒をオレフィンおよびアルコールと接触させてモノアルキルエーテルを生成することと、を含む、方法。
【請求項2】
前記ゼオライト触媒の重量が、前記ゼオライト触媒およびテンプレートの総重量に基づいて、5重量%~15重量%に還元される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記ゼオライト触媒がゼオライトベータ触媒である、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記ゼオライト触媒のテンプレートを還元することが、前記ゼオライト触媒を300℃~510℃の温度でか焼することを含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記ゼオライト触媒が、1時間~24時間か焼される、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記テンプレートが、アンモニウムイオンを含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記オレフィンが、6~30個の炭素原子を含む、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記オレフィンが、C12-C14オレフィンである、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記アルコールが、モノエチレングリコール、ジエチレングリコール、グリセロール、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項1~8のいずれか一項に記載の方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の実施形態は、エーテル化の方法に関するものであり、より具体的には、実施形態は、ゼオライト触媒のテンプレートを還元して還元テンプレートゼオライト触媒を提供することと、還元テンプレートゼオライト触媒をオレフィンおよびアルコールと接触させてモノアルキルエーテルを生成することとを含むエーテル化の方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
モノアルキルエーテルは、例えば、溶媒、界面活性剤、および化学中間体などの多くの用途に有用である。当業界では、モノアルキルエーテルを製造するために利用され得る新規かつ改善された材料および/または方法を開発することに引き続き焦点が当てられている。
【発明の概要】
【0003】
本開示は、エーテル化の方法を提供し、この方法は、ゼオライト触媒のテンプレートを還元して、ゼオライト触媒のか焼後に維持される3~15重量%のテンプレートを有する還元テンプレートゼオライト触媒を提供することと、還元テンプレートゼオライト触媒をオレフィンおよびアルコールと接触させてモノアルキルエーテルを生成することとを含む。
【0004】
本開示の上記概要は、開示された各実施形態または本開示のすべての実装形態を説明することを意図するものではない。より具体的に示す本明細書は、例示的な実施形態を例示するものである。本出願全体にわたるいくつかの場所では、例のリストを通じて指針が提供され、これらの例は、様々な組み合わせで使用することができる。どの場合も、列挙されたリストは、代表的なグループとしてのみ機能し、排他的なリストとして解釈されるべきではない。
【発明を実施するための形態】
【0005】
エーテル化の方法が本明細書に開示されている。この方法は、ゼオライト触媒のテンプレートを還元して還元テンプレートゼオライト触媒を提供することと、還元テンプレートゼオライト触媒をオレフィンおよびアルコールと接触させてモノアルキルエーテルを生成することとを含む。
【0006】
有利には、本明細書に開示されるエーテル化の方法は、本明細書でさらに考察されるように、還元テンプレートゼオライト触媒を利用しないエーテル化と比較して、改善された、すなわち、より高いモノアルキルエーテル選択性を提供することができる。改善されたモノアルキルエーテル選択性は、化学中間体としての利用など、多くの用途に望ましい場合がある。一例として、モノアルキルエーテルは、エトキシル化プロセスによる界面活性剤の生成に利用することができ、モノアルキルエーテルは、例えば、ジアルキルエーテルと比較して、界面活性剤の特性に望ましい影響を与えることができる。
【0007】
さらに、本明細書に開示されるエーテル化の方法は、本明細書でさらに考察されるように、還元テンプレートゼオライト触媒を利用しないエーテル化と比較して、改善された、すなわち、より少ないジアルキルエーテル選択性を提供することができる。改善された、より少ないジアルキルエーテル選択性は、エトキシル化プロセスによる界面活性剤の生成などの多くの用途にとって望ましい場合があり、ジアルキルエーテルは、例えば、モノアルキルエーテルと比較して、界面活性剤の特性に望ましくない影響を与える可能性がある。言い換えれば、ジアルキルは望ましくない生成物である。
【0008】
ゼオライト触媒は、結晶性メタロシリケート、例えばアルミノシリケートであり、例えば、TがSi、AlまたはP(または四面体ユニットの組み合わせ)であり得るTOの四面体ユニットを繰り返すことから構成される。これらのユニットは互いに連結して、規則的な結晶内空洞および/または分子寸法のチャネル、例えばミクロ細孔を有する骨格を形成する。
【0009】
本開示の実施形態は、ゼオライト触媒が合成ゼオライト触媒であることを提供する。合成ゼオライト触媒は、例えば、アルカリおよびテンプレートの存在下でのシリカ-アルミナゲルの結晶化の既知のプロセスによって製造することができる。例としては、国際ゼオライト協会の構造委員会による命名法に従ってIUPACコードを使用して記載されるゼオライトベータ触媒(BEA)、リンデタイプA(LTA)、リンデタイプXおよびY(AlリッチおよびSiリッチFAU)、シリカライト-1、ZSM-5(MFI)、リンデタイプB(ゼオライトP)、リンデタイプF(EDI)、リンデタイプL(LTL)、リンデタイプW(MER)、ならびにSSZ-32(MTT)が挙げられる。国際ゼオライト協会の構造委員会によって描写された結晶構造を説明するIUPACコードは、特に明記されていない限り、この文書の優先日時点の最新の表記を意味する。
【0010】
1つ以上の実施形態は、ゼオライト触媒、ゼオライトベータ(BEA)触媒を提供する。1つ以上の実施形態は、ゼオライト触媒が、多くのブレンステッド酸部位、すなわち、プロトンを供与する部位を含むことを提供する。
【0011】
ゼオライト触媒は、中性子放射化分析を使用して測定した場合、5:1~1500:1のSiO/Alモル比を有することができる。5:1~1500:1のすべての個々の値および部分範囲が含まれ、例えば、ゼオライト触媒は、下限5:1、10:1、15:1または20:1~上限1500:1、750:1、300:1または100:1のSiO/Alモル比を有することができる。
【0012】
ゼオライト触媒は、5~12オングストロームの平均細孔径を有することができる。5~12オングストロームのすべての個々の値および部分範囲が含まれ、例えば、ゼオライト触媒は、下限5または7オングストローム~上限11または12オングストロームの平均細孔径を有することができる。
【0013】
ゼオライト触媒は、130~1000m/gの表面積を有することができる。130~1000m/gのすべての個々の値および部分範囲が含まれ、例えば、ゼオライト触媒は、下限130、150、175、300、400または500m/g~上限1000、900または800m/gの表面積を有することができる。表面積を、ASTM D4365-19に従って測定する。
【0014】
前述のように、ゼオライト触媒は、有機テンプレートとも称されることがあるテンプレートを利用するプロセスによって製造される。テンプレートは、テンプレート剤および/または構造指向剤(SDA)とも称されることがある。テンプレートは、ゼオライト触媒を製造するための反応混合物に添加して、例えば、ゼオライト触媒の骨格の分子形状および/またはパターンを誘導する、例えば指向することができる。ゼオライト触媒製造プロセスが完了すると、ゼオライト触媒は、テンプレート、例えば、ゼオライト触媒のミクロ細孔に位置するテンプレートを含む。テンプレートは、ゼオライト触媒の形成に利用される。1つ以上の実施形態は、テンプレートがアンモニウムイオンを含むことを提供する。テンプレートを含むゼオライト触媒は、既知のプロセスによって製造することができる。テンプレートを含むゼオライト触媒は、商業的に入手することができる。好適な市販のメタロシリケート触媒の例としては、Conshohocken,PAのZEOLYST INTERNATIONAL(商標)からのCP814E、CP814C、CP811C-300、CBV712、CBV720、CBV760、CBV2314、CBV10Aが挙げられる。
【0015】
ゼオライト触媒を製造するために利用され得る様々なテンプレートが知られている。テンプレートの例としては、とりわけ、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、N,N,N-トリメチル-1-アダマンテ-アンモニウムヒドロキシド、ヘキサメチレンイミン、およびジベンジルメチルアンモニウムが挙げられる。
【0016】
前述のように、本明細書に開示される方法は、ゼオライト触媒のテンプレートを還元して、還元テンプレートゼオライト触媒を提供することを含む。本開示の実施形態は、ゼオライト触媒のテンプレートが、か焼によって還元され得ることを提供する。本開示の実施形態は、ゼオライト触媒のテンプレートのすべてがか焼によって除去されるとは限らないことを提供する。
【0017】
テンプレートを還元するために、ゼオライト触媒を300℃~510℃の温度でか焼することができる。300℃~510℃のすべての個々の値および部分範囲が含まれ、例えば、ゼオライト触媒は、下限300℃、310℃または315℃~上限510℃、505℃または500℃でか焼することができる。
【0018】
テンプレートを還元するために、ゼオライト触媒は、多くの既知のか焼環境でか焼することができる。例えば、ゼオライト触媒は、空気環境または窒素環境でか焼され得る。
【0019】
テンプレートを還元するために、ゼオライト触媒は、か焼することができ、すなわち、か焼環境において、1時間~24時間、300℃~510℃の温度にさらすことができる。1時間~24時間のすべての個々の値および部分範囲が含まれ、例えば、ゼオライト触媒は、下限1時間、3時間または6時間~上限24時間、18時間または12時間でか焼することができる。
【0020】
本開示の実施形態は、ゼオライト触媒の重量が、か焼によって還元され、還元テンプレートゼオライト触媒を得ることを提供する。ゼオライト触媒の重量は、テンプレートを還元することによるか焼によって、すなわち、ゼオライト触媒からいくつかのテンプレートを除去することによって還元される。ゼオライト触媒の重量は、最初のゼオライト触媒およびテンプレートの総重量に基づいて、5重量%~15重量%に還元することができる。5重量%~15重量%のすべての個々の値および部分範囲が含まれ、例えば、ゼオライト触媒は、ゼオライト触媒およびテンプレートの総重量に基づいて、下限5、5.3、または5.5重量%~上限15、14.7、または14.5重量%還元することができる。例えば、ゼオライト触媒の重量が90グラムであり、そこに含まれるテンプレートの重量が10グラムであり、ゼオライト触媒をか焼してテンプレートを還元し、還元テンプレートゼオライト触媒の重量が90グラムであり、それに含まれるテンプレートの重量が5グラムである場合、最初のゼオライト触媒およびテンプレートの総重量に基づいて、ゼオライト触媒の重量は、5重量%還元する。
【0021】
本開示の実施形態は、ゼオライト触媒のテンプレートを還元することにより、還元テンプレートゼオライト触媒が提供されることを提供する。還元テンプレートゼオライト触媒は、ゼオライト触媒および残りのテンプレートの総重量に基づいて、ゼオライト触媒のか焼後に維持されるテンプレートの3重量%~15重量%を有することができる。言い換えれば、本開示の実施形態は、還元テンプレートゼオライト触媒を提供するために、すべてのテンプレートがか焼によって除去されないことを提供する。3重量%~15重量%のすべての個々の値および部分範囲が含まれ、例えば、還元テンプレートゼオライト触媒は、ゼオライト触媒のか焼後に維持される下限3、4、または5重量%~上限15、14、13、または12重量%のテンプレートを有することができる。
【0022】
本開示の実施形態は、エーテル化の方法に関する。エーテル化とは、エーテルを生成する化学プロセス、例えば化学反応を指す。本明細書に開示される方法は、還元テンプレートゼオライト触媒をオレフィンおよびアルコールと接触させて、モノアルキルエーテルを生成することを含む。
【0023】
本明細書で使用される場合、「オレフィン」は、1つ以上の炭素-炭素二重結合を有する炭化水素である化合物を指す。本開示の実施形態は、オレフィンが6~30個の炭素原子を含むことを提供する。6~30個の炭素原子のすべての個々の値および部分範囲が含まれ、例えば、オレフィンは、下限6、8または10個の炭素原子~上限30、20または14個の炭素原子を有することができる。
【0024】
オレフィンとしては、アルファ(α)オレフィン、内部二置換オレフィン、または環状構造(例えば、C-C12シクロアルケン)などのアルケンが挙げられ得る。アルファオレフィンは、オレフィンのα位置に不飽和結合を含む。好適なαオレフィンは、プロピレン、1-ブテン、1-ヘキセン、4-メチル-1-ペンテン、1-ヘプテン、1-オクテン、1-デセン、1-ドデセン、1-テトラデセン、1-ヘキサデセン、1-オクタデセン、1-イコセン、1-ドコセンおよびそれらの組み合わせからなる群から選択され得る。内部二置換オレフィンは、オレフィンの末端位置にない不飽和結合を含む。内部オレフィンは、2-ブテン、2-ペンテン、2-ヘキセン、3-ヘキセン、2-ヘプテン、3-ヘプテン、2-オクテン、3-オクテン、4-オクテン、2-ノネン、3-ノネン、4-ノネン、2-デセン、3-デセン、4-デセン、5-デセンおよびそれらの組み合わせからなる群から選択され得る。他の例示的なオレフィンは、ブタジエンおよびスチレンを含み得る。
【0025】
好適な市販のオレフィンの例としては、Shell,The Hague,NetherlandsからのNEODENE(商標)6-XHP、NEODENE(商標)8、NEODENE(商標)10、NEODENE(商標)12、NEODENE(商標)14、NEODENE(商標)16、NEODENE(商標)1214、NEODENE(商標)1416、NEODENE(商標)16148が挙げられる。
【0026】
本開示の実施形態は、アルコールが単一のヒドロキシル基を含み得るか、2つのヒドロキシル基、すなわち、グリコールを含み得るか、または3つのヒドロキシル基を含み得ることを提供する。アルコールは、1炭素以上、または2炭素以上、または3炭素以上、または4炭素以上、または5炭素以上、または6炭素以上、または7炭素以上、または8炭素以上、または9炭素以上を含み得るが、同時に10炭素以下、または9炭素以下、または8炭素以下、または7炭素以下、または6炭素以下、または5炭素以下、または4炭素以下、または3炭素以下、または2炭素以下を含み得る。アルコールは、メタノール、エタノール、モノエチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、モノプロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、1,3-プロパンジオール、1,2-ブタンジオール、2,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,4-シクロヘキサンメタンジオール、グリセロールおよびそれらの組み合わせからなる群から選択され得る。1つ以上の実施形態は、アルコールが、モノエチレングリコール、ジエチレングリコール、グリセロール、およびそれらの組み合わせからなる群から選択されることを提供する。1つ以上の実施形態は、アルコールが、モノエチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、またはトリエチレングリコールなどの(ポリ)アルキレングリコールであることを提供する。(ポリ)アルキレングリコールの例としては、モノエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、モノプロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、1,3-プロパンジオール、1,2-ブタンジオール、2,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、パラキシレングリコール、グリセロール、および1,4-シクロヘキサンメタンジオールが挙げられる。1つ以上の実施形態は、(ポリ)アルキレングリコールがモノエチレングリコールであることを提供する。
【0027】
本開示の実施形態は、アルコールとオレフィンを、例えば、オレフィンのモル比に対して0.05:1~20:1のモル比のアルコールのモル比で反応させることを提供する。0.05:1~20:1のすべての個々の値および部分範囲が含まれ、例えば、アルコールおよびオレフィンは、オレフィンのモル比に対して下限0.05:1、0.075:1または0.1:1~上限20:1、18:1または15:1のアルコールのモル比で反応させることができる。
【0028】
前述のように、本明細書に開示される方法は、還元テンプレートゼオライト触媒をオレフィンおよびアルコールと接触させて、モノアルキルエーテルを生成することを含む。オレフィンおよびアルコールは、既知のエーテル化条件下で還元テンプレートゼオライト触媒を接触することができ、既知の反応装置および既知の反応成分を利用することができる。例えば、オレフィンおよびアルコールは、スラリー反応器、固定床反応器、または流動床反応器において還元テンプレートゼオライト触媒と接触することができる。反応器は、バッチモードまたは連続モードで動作することができる。還元テンプレートゼオライト触媒は、例えば、オレフィンの総重量に基づいて、還元テンプレートゼオライト触媒が1重量%~50重量%である量で利用することができる。オレフィンおよびアルコールは、80℃~200℃、または100℃~150℃の反応温度で還元テンプレートゼオライト触媒を接触することができる。反応圧力は、用途によって異なる場合がある。例えば、反応圧力は、減圧、大気圧、または高圧であり得る。
【0029】
還元テンプレートゼオライト触媒をオレフィンおよびアルコールと接触させると、モノアルキルエーテルが生成される。様々なモノアルキルエーテルは、例えば、どのオレフィンが利用されるかを変えることによって、および/またはどのアルコールが利用されるかを変えることによって、異なる用途のために製造され得る。モノアルキルエーテルは、例えば、溶媒、界面活性剤、および化学中間体などの多くの用途に利用される。有利には、本明細書に開示されるエーテル化の方法は、本明細書で記載されるように、還元テンプレートゼオライト触媒を利用しないエーテル化と比較して、改善された、すなわち、より高いモノアルキルエーテル選択性を提供することができる。
【0030】
さらに、本明細書に開示されるエーテル化の方法は、本明細書で記載されるように、還元テンプレートゼオライト触媒を利用しないエーテル化と比較して、改善された、すなわち、より少ないジアルキルエーテル選択性を提供することができる。
【0031】
本明細書に開示されるエーテル化の方法は、0.1%~50%のオレフィン転化率で85%を超えるモノエーテル選択性を提供することができる。例えば、モノエーテル選択性は、0.1%~50%へのオレフィン転化率で86%、87%または88%を超える可能性がある。
【0032】
驚くべきことに、本明細書に開示される実施形態による、改善されたモノアルキルエーテル選択性および改善されたジアルキルエーテル選択性は、テンプレートに類似の、すなわち同じ化合物をゼオライト触媒に含浸させることによって達成されない。言い換えれば、テンプレートに類似した化合物を後で含浸するテンプレートを含まないゼオライト触媒は、本明細書で考察されるように、還元テンプレートゼオライト触媒を利用するときに達成される改善されたモノアルキルエーテル選択性および改善されたジアルキルエーテル選択性を提供しない。
【実施例
【0033】
本実施例では、例えば、以下を含む、材料に関する様々な用語および名称を使用する。
【0034】
ゼオライトベータ触媒(CP814E、CAS番号1318-02-1、25:1のSiO/Alモル比、平均細孔径6.7オングストローム、表面積680m/g、すべての有機テンプレートは、受領前に商業的供給元によって除去、Zeolyst Internationalから入手)、
ゼオライトベータ触媒(CP806EL、CAS番号1318-02-1、25:1のSiO/Alモル比、平均細孔径6.7オングストローム、表面積177m/g、商業的供給元から得られた有機テンプレートを含む、Zeolyst Internationalから入手)。
【0035】
熱重量分析(TGA)を利用して、ゼオライトベータ触媒(CP806EL、得られたテンプレートを含む)の重量還元率、すなわちゼオライトベータ触媒および含まれるテンプレートの初期総重量に基づくか焼による失われた重量パーセントを決定した。ゼオライトベータ触媒は、28℃の開始温度から10℃/分の上昇速度で空気環境中で800℃でか焼され、ゼオライトベータ触媒の重量を焼成中に測定した。さらに、還元テンプレートゼオライト触媒のTGA実験に基づいて、か焼後に維持されたテンプレートの重量%も計算した。110℃までの重量損失が吸着水の除去に起因し、110℃までの重量損失が還元テンプレートゼオライト触媒のテンプレートの還元に起因しないTGA分析の場合、テンプレートは、800℃で完全に除去された、すなわち100%のテンプレート還元であると想定された。様々なか焼後に維持されたテンプレートの重量%は、(110℃での触媒の重量-800℃での触媒の重量)/(110℃での触媒の重量)×100によって計算された。本明細書の様々なか焼条件から得られた還元テンプレートゼオライト触媒についても同様に決定がなされた。結果を本明細書に報告する。
【0036】
実施例1を以下のように実施した。ゼオライトベータ触媒(CP806EL、約30グラム)を空気環境中350℃で8時間か焼して、テンプレートを含む最初のか焼ゼオライトベータ触媒の総重量に基づいて、か焼による重量還元率が5.6である還元テンプレートゼオライトベータ触媒を得て、還元テンプレートゼオライトベータ触媒は、ゼオライトベータ触媒のか焼後に維持されるテンプレートの重量%(ゼオライトおよび残存テンプレートの総重量を基準とする)は8.7であった。エーテル化を以下のように実施した。還元テンプレートゼオライトベータ触媒(0.75グラム)を、希土類磁気撹拌棒(部品番号:VP 772FN-13-13-150、V&P Scientific,Inc.)を備えたバイアル反応器(40mL)に加え、1-ドデセン(6.2グラム)およびモノエチレングリコール(6.7グラム)をバイアル反応器に加え、バイアル反応器の内容物を125℃に加熱し、エーテル化のために3時間撹拌した。次いで、バイアル反応器の内容物をガスクロマトグラフィーによって分析した。ガスクロマトグラフィーサンプルを、バイアル反応器の内容物(100μL)を10mLの内部標準溶液(1Lの酢酸エチルに溶解した1mLのヘキサデカン)に加えることによって調製し、次いで、Agilent GC(7890)を使用してオフラインで分析した。分析のために、ジオキサン、1-ドデセン(1-C12)およびその異性体(C12)、2-ドデカノール、ジエチレングリコール、モノアルキルエーテルおよびそれらの異性体、ならびにジアルキルエーテルおよびその異性体が、生成物の定量化のために含まれ、関心のある種の重量%が得られた(モノアルキルエーテル、ジアルキルエーテル、2-ドデカノールを含む1-ドデセン由来の種、1-ドデセンおよび1-ドデセン以外のすべてのC12異性体を含むドデセンの総量)。
【0037】
ドデセン由来の種は、モノエーテル、ジエーテル、および2-ドダカノールであった。
【0038】
ドデセン由来の種の総量=モノエーテルモル+2×ジエーテルモル+2ドデカノール、
ドデカンの総量には、1-ドデセンおよびすべての非1-ドデセンの他のC12異性体が含まれており、
ドデシル-モノエーテル(ME)選択性(%)を、[MEの総量]/[C12由来の種の総量]×100%として決定した。
【0039】
ドデシル-ジエーテル(DE)選択性(%)を、2×[DEの総量]/[C12由来の種の総量]×100%として決定した。
【0040】
オレフィン転化率(%)を、[C12由来の種の総量]/[C12由来の種の総量+ドデセンの総量]×100%として決定した。
【0041】
ドデシルモノエーテル(ME)収率(%)を、C12転化率×ドデシル-モノエーテル選択性として決定した。
【0042】
結果を表1に報告する。
【0043】
実施例2および3を、表1に示されている変更を加えて実施例1と同様に実施した。
【0044】
ゼオライトベータ触媒(CP806EL)ではなくゼオライトベータ触媒(CP814E)を利用すること、ゼオライトベータ触媒を12時間か焼すること、という変更を加えて、比較例Aを実施例1と同様に実施し、その他の変更を表1に示す。
【表1】
【0045】
表1のデータは、実施例1~3の各々が、比較例Aと比較して、改善された、すなわち、より大きなモノアルキルエーテル選択性およびモノアルキルエーテル収率を有したことを示している。
【0046】
表1のデータは、実施例1~3の各々が、比較例Aと比較して、改善された、すなわち、より少ないジアルキルエーテル選択性を有したことを示している。
【0047】
エーテル化のためにそれぞれのバイアル反応器の内容物を125℃ではなく150℃に加熱することを変更して、実施例4~7を実施例1と同様に実施し、実施例7は、エーテル化のために3時間ではなく、1.5時間撹拌し、任意のさらなる変更は表2に示す。結果を表2に報告する。
【0048】
エーテル化のためにバイアル反応器の内容物を125℃ではなく150℃に加熱することを変更して、比較例Bを実施例1と同様に実施し、比較例Bは、エーテル化のために3時間ではなく、1.0時間撹拌し、任意のさらなる変更は表2に示す。結果を表2に報告する。
【表2】
【0049】
表2のデータは、実施例4~7の各々が、比較例Bと比較して、改善された、すなわち、より大きなモノアルキルエーテル選択性を有したことを示している。
【0050】
表2のデータは、実施例4~7の各々が、比較例Bと比較して、改善された、すなわち、より少ないジアルキルエーテル選択性を有したことを示している。
【0051】
エーテル化のためにバイアル反応器の内容物を125℃ではなく150℃に加熱することを変更して、実施例8を実施例1と同様に実施し、実施例8は、エーテル化のために3時間ではなく、1.0時間撹拌し、任意のさらなる変更は表3に示す。結果は、表3において報告される。
【0052】
比較例Cを以下のように実施した。ゼオライトベータ触媒(CP806EL)を空気環境中550℃で12時間か焼し、ゼオライトベータ触媒のミクロ細孔に位置するテンプレート(テトラエチルアンモニウムヒドロキシド)を除去し、次いで、ゼオライトベータ触媒(6.05グラム)に、容器内で10分間撹拌することを介して、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド(18.35グラム、35%テトラエチルアンモニウムヒドロキシド水溶液)を含浸させ、次いで、ゼオライトベータ触媒を100℃のボックスオーブンで1時間乾燥させ、続いて空気環境中で400℃で8時間か焼した。バイアル反応器の内容物を、エーテル化および反応時間とし1時間、125℃ではなく150℃に加熱して、0.75グラムではなく0.35グラムのゼオライトベータ触媒を利用することを変更して、エーテル化を実施例1と同様に実施した。結果は、表3において報告される。
【表3】
【0053】
表3のデータは、実施例8が、比較例Cと比較して、改善された、すなわち、より大きなモノアルキルエーテル選択性を有したことを示している。
【0054】
表3のデータは、実施例8が、比較例Cと比較して、改善された、すなわち、より少ないジアルキルエーテル選択性を有したことを示している。
【0055】
表3のデータは、改善されたモノアルキルエーテル選択性および改善されたジアルキルエーテル選択性が、テンプレートに類似した化合物、すなわちテトラエチルアンモニウムヒドロキシドのゼオライトベータ触媒含浸によって達成されないことを示している。
【国際調査報告】