(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-12-05
(54)【発明の名称】コンプライアント要素を有するレンズリテーナーリング
(51)【国際特許分類】
G02B 7/02 20210101AFI20221128BHJP
G03B 15/00 20210101ALI20221128BHJP
G03B 17/02 20210101ALI20221128BHJP
H04N 5/225 20060101ALI20221128BHJP
【FI】
G02B7/02 Z
G02B7/02 D
G03B15/00 V
G02B7/02 A
G02B7/02 F
G03B17/02
H04N5/225 430
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022516197
(86)(22)【出願日】2020-09-23
(85)【翻訳文提出日】2022-05-09
(86)【国際出願番号】 US2020052165
(87)【国際公開番号】W WO2021061737
(87)【国際公開日】2021-04-01
(32)【優先日】2019-09-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】317015065
【氏名又は名称】ウェイモ エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100126480
【氏名又は名称】佐藤 睦
(72)【発明者】
【氏名】ラスト,マシュー
(72)【発明者】
【氏名】ヘンリー,ジョン
(72)【発明者】
【氏名】カカニ,チャンドラ
(72)【発明者】
【氏名】シェパード,ラルフ,ハミルトン
(72)【発明者】
【氏名】ウーリッヒ,ドリュー
【テーマコード(参考)】
2H044
2H100
5C122
【Fターム(参考)】
2H044AA15
2H044AD02
2H044AD03
2H044AH05
2H044AH11
2H044AJ03
2H044AJ05
2H044AJ06
2H100EE05
2H100EE06
5C122DA11
5C122DA14
5C122EA02
5C122FA06
5C122FB03
5C122FB08
5C122GE01
5C122GE05
5C122GE07
5C122GE11
5C122GE20
5C122GE22
5C122HA75
5C122HB01
(57)【要約】
本技術は、デバイスの動作温度範囲全体にわたって低いが一貫した予圧力を提供するセンサーユニット用のレンズ組立体(100)に関連する。一貫した予圧付与は、亀裂や塑性変形を回避するのに役立つ。特に、高分子材料のコンプライアント構造(206)は、極高低温を超えて膨張および収縮することができる。さらに、高分子材料は、リテーナーリング(204)と合わせて配置されて、レンズ(202)とともに不連続なシールを形成する。これにより、結露や汚染物質を減らすことができる漏れ経路が提供される。その結果、センサーユニット内の湿気を逃がすことができ、デバイスの動作を損ない得る、レンズまたはセンサーユニットの他の部分の損傷が軽減または排除される。
【選択図】
図7A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
センサー組立体であって、
レンズと、
前記レンズの第1の部分を、その第1のセクションに沿って受容するハウジング部材と、
前記レンズを前記センサー組立体に固定するために前記レンズの第2の部分と直接接触するリテーナー組立体であって、前記リテーナー組立体は、リテーナーリングおよびそれに結合された高分子材料を含み、前記リテーナーリングは、前記ハウジング部材の第2のセクションに取り外し可能にはり付けられ、前記高分子材料は、前記レンズの前記第2の部分の複数のセクションと直接接触している、リテーナー組立体とを備え、
前記高分子材料は前記レンズとともに不連続なシールを形成し、前記高分子材料は、選択された温度範囲にわたって弾性を維持するように選択される、センサー組立体。
【請求項2】
前記選択された温度範囲が、-40°F~185°Fである、請求項1に記載のセンサー組立体。
【請求項3】
前記リテーナー組立体と前記レンズとの間の前記不連続シールが、結露または汚染物質が前記センサー組立体から出るための漏れ経路を提供する、請求項1に記載のセンサー組立体。
【請求項4】
前記リテーナーリングが金属である、請求項1に記載のセンサー組立体。
【請求項5】
前記金属リングがアルミニウムである、請求項4に記載のセンサー組立体。
【請求項6】
前記アルミニウム金属リングが、スタンピングまたは機械加工によって形成される、請求項5に記載のセンサー組立体。
【請求項7】
前記高分子材料が、インサート成形またはオーバーモールドを使用して前記リテーナーリングに沿って形成される、請求項1に記載のセンサー組立体。
【請求項8】
前記リテーナーリングが前記レンズに直接接触しない、請求項1に記載のセンサー組立体。
【請求項9】
前記高分子材料が、前記リテーナーリングの別々の部分にはり付けられた複数のコンプライアント構成要素として配置される、請求項1に記載のセンサー組立体。
【請求項10】
前記高分子材料が、前記高分子材料のセクション間に1つ以上のギャップを提供することによって、前記レンズとともに前記不連続シールを形成する、請求項1に記載のセンサー組立体。
【請求項11】
前記レンズが複数のレンズを含み、
前記リテーナー組立体が、複数のリテーナー組立体を含み、前記複数のリテーナー組立体の各々が、前記複数のレンズのうちの1つを前記センサー組立体の前記ハウジング部材に固定する、請求項1に記載のセンサー組立体。
【請求項12】
前記複数のレンズが、前記センサー組立体の前記ハウジング部材内に積み重ねられた配置で構成される、請求項11に記載のセンサー組立体。
【請求項13】
前記センサー組立体が、ライダーセンサーを含む、請求項1に記載のセンサー組立体。
【請求項14】
前記センサー組立体が、カメラセンサーを含む、請求項1に記載のセンサー組立体。
【請求項15】
請求項1に記載のセンサー組立体を含むセンサーハウジング。
【請求項16】
前記センサー組立体が、ライダーセンサーおよびカメラセンサーのうちの少なくとも1つを含む、請求項15に記載のセンサーハウジング。
【請求項17】
請求項1に記載のセンサー組立体を含む車両。
【請求項18】
前記センサー組立体が、前記車両のルーフ、フロントエンド、リアエンド、またはサイドパネルに沿って配設されている、請求項17に記載の車両。
【請求項19】
センサー組立体を製造する方法であって、
リテーナーリングを提供することと、
コンプライアント構成要素を提供することであって、前記コンプレイント構成要素は前記センサー組立体の動作のために選択された温度範囲にわたって弾性を維持するように選択されることと、
前記コンプライアント構成要素を前記リテーナーリングにしっかりと固定することにより、リテーナー組立体を形成することと、
レンズの第1の部分をセンサーハウジングの第1のセクションに沿って配置することと、
前記リテーナーリングを前記センサーハウジングの第2のセクションに結合することにより、前記リテーナー組立体を用いて前記レンズを前記センサーハウジングに固定して、前記コンプライアント構成要素が前記レンズの第2の部分の複数の別々のセクションと直接接触するようにすることと、を含み、
前記コンプレイント構成要素が前記レンズとともに不連続なシールを形成する、方法。
【請求項20】
前記コンプライアント構成要素を前記リテーナーリングにしっかりと固定することによって前記リテーナー組立体を形成することが、前記コンプライアント構成要素を前記リテーナーリングにインサート成形またはオーバーモールドすることによって実施される、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記リテーナーリングを前記センサーハウジングの前記第2のセクションに結合することによって、前記リテーナー組立体を用いて前記レンズを前記センサーハウジングに固定することが、前記リテーナーリングを前記センサーハウジングの前記第2のセクションにねじで固定する、接着結合する、またはスナップフィットすることのうちの1つを含む、請求項19に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2019年9月27日に出願された米国特許出願第16/586,144号の優先権を主張し、かつその継続出願であり、その開示全体は、参照により本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
レンズは、カメラやライダーを含む、幅広い種類のセンサーで使用されている。そのようなレンズは、例えば、氷点下(例えば、少なくとも-20°Fほど低い)から非常に高温(例えば、120°F超え)までの広い温度範囲にわたって動作し得る。いくつかの構成では、アルミニウムまたは別の金属を、センサーのハウジング内に1つ以上のレンズを保持するためのリテーナーリングとして使用することができる。しかしながら、異なる材料の熱膨張係数(CTE)に基づく熱膨張率の違いにより、非常に高い温度では、アルミニウム製の保持リングとそれが保持するレンズ素子との間にギャップが形成され得る。また、非常に低い温度では、アルミニウム製の保持リングとガラス製のレンズ素子との間に過度の応力が溜まる場合があり、レンズ素子の亀裂および/またはアルミニウムの塑性変形が結果として生じ得る。
【0003】
レンズに対して予圧力を維持してレンズを所定の位置にとどめるための1つのアプローチは、1つ以上のコンプライアントOリングを使用することである。しかしながら、Oリングには独自の制限がある。例えば、Oリングを備えたレンズ組立体は、組み立てるのが困難または時間がかかる場合がある。これは、多数(例えば、数万)のセンサーを組み立てる必要がある場合、または大量生産する必要がある場合に重大な懸念事項である。また、Oリングは、レンズ組立体を空気が通過するのを防ぐシールを形成することができる。その結果、湿気や汚染物質がレンズ上またはレンズの近くに蓄積する場合があり、センサーのパフォーマンスを低下させ得る。これは、センサーが安全重視の設定で使用される場合に特に問題になり得、迷光や画像のシャープネスのパフォーマンスの低下がセンサーを低い有効性で動作させ得る。
【発明の概要】
【0004】
本技術は、デバイスの動作温度範囲全体にわたって低いが一貫した予圧力を提供するセンサー用のレンズ組立体に関連する。これにより、他のアプローチで発生し得る亀裂や塑性変形の問題を回避することができる。特に、極高低温を超えて伸縮できるコンプライアント構造が提供される。さらに、コンプライアント構造は、不連続なシール構成を介して結露または汚染物質を低減するための漏れ経路を提供する。
【0005】
本技術の一態様によれば、センサー組立体が提供される。センサー組立体は、レンズ、ハウジング部材、およびリテーナー組立体を備える。ハウジング部材は、ハウジング部材の第1のセクションに沿ってレンズの第1の部分を受容する。
【0006】
リテーナー組立体は、レンズの第2の部分と直接接触して配置され、レンズをセンサー組立体に固定する。リテーナー組立体は、リテーナーリング、およびそれに結合された高分子材料を含む。リテーナーリングは、ハウジング部材の第2のセクションに取り外し可能にはり付けられる。高分子材料は、レンズの第2の部分の複数のセクションと直接接触している。
【0007】
したがって、高分子材料はレンズとともに不連続なシールを形成する。さらに、高分子材料は、選択された温度範囲にわたって弾性を維持するように選択される。
【0008】
選択された温度範囲は、例えば、センサー組立体の予想される動作範囲であり得る。一例では、選択された温度範囲は、-40°F~185°F程度である。他の例では、この範囲は10~20%以上変動し得る。
【0009】
リテーナー組立体とレンズの間の不連続シールは、結露または汚染物質がセンサー組立体から出るための漏れ経路を提供するように構成され得る。
【0010】
1つのシナリオでは、リテーナーリングは金属で形成されている。例えば、金属リングはアルミニウム製でもよい。例として、アルミニウム金属リングは、スタンピングまたは機械加工によって形成され得る。
【0011】
高分子材料は、異なる方法でリテーナーリングに沿って形成されてもよい。例えば、インサート成形またはオーバーモールドが使用されてもよい。
【0012】
一例では、リテーナーリングはレンズに直接接触しない。しかしながら、別の例では、リテーナーリングの少なくとも一部分がレンズのセクションに直接接触してもよい。
【0013】
高分子材料は、リテーナーリングの別々の部分にはり付けられた複数のコンプライアント構成要素として配置されてもよい。例えば、2つ、3つ、4つ、またはそれ以上のコンプライアント構成要素が、リテーナーリングの異なるセクションに沿って形成されるか、さもなければそれらにはり付けられ得る。
【0014】
高分子材料は、高分子材料のセクション間に1つ以上のギャップを提供することによって、レンズとともに不連続なシールを形成することができる。
【0015】
1つのシナリオでは、レンズは複数のレンズを含み、リテーナー組立体は複数のリテーナー組立体を含む。ここで、複数のリテーナー組立体の各々は、複数のレンズのうちの1つをセンサー組立体のハウジング部材に固定する。このシナリオでは、複数のレンズは、センサー組立体のハウジング部材内に積み重ねられた配置で構成され得る。
【0016】
一例では、センサー組立体はライダーセンサーを含む。別の例では、センサー組立体はカメラセンサーを含む。さらなる例では、センサー組立体は、ライダーセンサーとカメラセンサーの両方を含む。
【0017】
本技術の別の態様では、上記のようなセンサー組立体を含むセンサーハウジングが提供される。例えば、センサー組立体は、ライダーセンサーおよびカメラセンサーのうちの少なくとも1つを含み得る。
【0018】
本技術のさらに別の態様では、上記のようなセンサー組立体を含む車両が提供される。例えば、センサー組立体は、車両のルーフ、フロントエンド、リアエンド、またはサイドパネルに沿って配設することができる。センサー組立体は、車両の外部環境内の物体に関する情報を取得するために、例えば、車両が部分的または完全に自律運転モードで動作することを可能にするために使用されてもよい。
【0019】
そして、本技術の別の態様によれば、センサー組立体を製造する方法が含まれる。この方法は、リテーナーリングを提供することと、コンプライアント構成要素を提供することとを含む。コンプレイント構成要素は、センサー組立体の動作のために選択された温度範囲にわたって弾性を維持するように選択される。
【0020】
この方法はまた、コンプライアント構成要素をリテーナーリングにしっかりと固定することによってリテーナー組立体を形成することを含む。レンズの第1の部分は、センサーハウジングの第1のセクションに沿って配置される。
【0021】
この方法は、リテーナーリングをセンサーハウジングの第2のセクションに結合することによってリテーナー組立体を用いてレンズをセンサーハウジングに固定し、コンプライアント構成要素が、レンズの第2の部分の複数の別々のセクションと直接接触するようにすることをさらに含む。結果として生じる配置は、コンプレイント構成要素がレンズとともに不連続なシールを形成するようなものである。
【0022】
一例では、コンプライアント構成要素をリテーナーリングにしっかりと固定することによってリテーナー組立体を形成することは、コンプライアント構成要素をリテーナーリングにインサート成形またはオーバーモールドすることによって実施される。
【0023】
別の例では、リテーナーリングをセンサーハウジングの第2のセクションに結合することによってリテーナー組立体を用いてレンズをセンサーハウジングに固定することは、リテーナーリングをセンサーハウジングの第2のセクションにねじで固定する、接着結合する、またはスナップフィットすることのうちの1つを含む。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1A-1B】本技術の態様に使用するために構成された例示的なセンサー組立体を示す。
【
図2A-2C】本技術の態様による、例示的なレンズ配置を示す。
【
図3A-3B】本技術の態様による、例示的なリテーナー組立体を示す。
【
図4A-4B】本技術の態様による、例示的な配置を示す。
【
図5A-5B】本技術の態様による、別の例示的な配置を示す。
【
図6A-6B】本技術の態様による、オーバーモールドの例を示す。
【
図7A-7B】本技術の態様による、センサー組立体の破断図を示す。
【
図8】本技術の態様による、デュアルレンズ構成を示す。
【
図9】本技術の態様に使用するための例示的な車両を示す。
【
図10】本技術の態様による、センサー組立体を製造する方法を示す。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本技術の態様は、センサー組立体用の1つ以上のレンズリテーナーリングを備えたコンプライアント構造の統合を伴う。成形ガスケットなどのコンプライアント構造は、センサー組立体に対して指定された温度範囲にわたって一貫した機械的予圧力を提供するように設計されている。例えば、温度範囲は、-40°F~185°F程度であり得る。
【0026】
コンプライアント構造は、不連続なシールも提供する。これにより、センサー組立体内のガス用の漏れ経路が可能になり、設計上、保持リングが気密式区画を形成するのを防止する。これにより、湿気が逃がされ、入射光の散乱および/または屈折によってデバイスの動作を損ない得る、レンズまたはセンサー組立体の他の部分への結露が低減または排除される。例えば、湿気の蓄積は、受信したライダーリターンに悪影響を及ぼしたり、センサー組立体によって取得された光学画像を歪めたりする可能性がある。
【0027】
図1A~Bは、例示的なセンサー組立体100の正面および背面の斜視図をそれぞれ示している。図示されるように、組立体100は、外側ハウジング102とレンズ104aおよび104bとを有する。2つのレンズのみが示されているが、センサー組立体100は、レンズ104aと104bとの間のハウジング102内に受容される1つ以上の他のレンズを含む、3つ以上のレンズを含み得る。あるいは、センサー組立体100は、別の例では単一のレンズのみを含み得る。
【0028】
図2A~Cは、レンズ202、円形リテーナーリング204、および複数のコンプライアント構造206を含む単一のレンズ構成200を示す。特に、
図2Aは、レンズ202の片側を示す第1の斜視図であり、
図2Bは、レンズ202の反対側を示す第2の斜視図であり、
図2Cは、側面図である。
図2Bおよび
図2Cに見られるように、複数のコンプライアント構造206が、リテーナーリング204に沿ってレンズ202の周囲に分布している。
図2Cに最もよく見られるように、ギャップまたは他の空間208が、隣接するコンプライアント構造206の間に形成される。一態様によれば、ギャップは、コンプライアント構造/ガスケットよりも小さくてもよい。ほんの一例として、一実装では、ガスケットは、直径が約0.5~1.5mmであるのに対し、ギャップは、0.1mm以下である。ギャップ対ガスケットの比は、圧縮に使用されるガスケット材料の面積によって異なり得る。例えば、ガスケット材料が多いほど、高分子内へのクリープの可能性をより効果的に減らすことができる。あるいは、所望のガス流量を確実に促進するのに十分に大きいギャップが使用され得る。ここで、例えば、高分子ビーズ幅の2倍の小ささのギャップが利用されてもよい。
【0029】
図3A~Bは、レンズ202が省略された状態の
図2A~Cによるリテーナー組立体300を示す。ここで、複数のコンプライアント構造206がリテーナーリング204の周りに等間隔に配置されていることが分かる。
図3Bの側面図に示されるように、コンプライアント構造206は、リテーナーリング204の一方の側210aから延在し、他方の側210bからは延在しない。側面図はまた、隣接するコンプライアント構造206間のギャップ208を明確に示している。この例では4つのコンプライアント構造が示されているが、2つ以上のコンプライアント構造を使用することができる。コンプライアント構造は、示されるように放射状の対称性を有するように配置され得るが、これは必須ではない。また、ギャップの数とそのサイズはさまざまであり得る。例えば、組立体がある内部状態を維持するために流れる空気を必要とする状況では、必要に応じて空気の流れが分配されることを確実にするよう、より多くのギャップ(例えば、6つ以上)を含めることができる。1つのシナリオでは、コンプライアント構造は同じ長さおよび/または形状を有する。他のシナリオでは、コンプライアント構造は異なる構成を有し得る。これらのシナリオでは、すべてのギャップが同じ長さである必要はない。異なる構成は、スロットの寸法が最小化される弾性平均化を最適化するための配置、またはコンプライアント構造の最小の組の接触点(例えば、3つの接触点)が使用されるキネマティックカップリングを模倣するための配置を含み得る。
【0030】
あるいは、リテーナーリング(例えば、
図3の210a)の片側を覆うが、1つ以上のギャップ208を結果としてもたらす複数の突起を有する単一のコンプライアント構成要素が提供されてもよい。例えば、
図4Aは、レンズ402、リテーナーリング404、およびレンズ402とリテーナーリング404との間に配設された単一のコンプライアント構成要素406を備えた配置400を示している。
図4Aおよび
図4AのA-A断面に沿った
図4Bの破断図に見られるように、コンプライアント構成要素406は、ギャップ408を提供する1つ以上の突起407を含む。
【0031】
これらの例に示されているように、コンプライアント構造またはコンプライアント構成要素(コンプライアント要素)は、リテーナーリングと合わせて形成または配置されて、不連続シールを作成する。これらの構造または構成要素は、両方ともDymax(登録商標)によって販売されているGA-112およびGA-201などの樹脂、または他の熱可塑性、熱硬化性、UV硬化性、もしくは湿度硬化性材料、またはそれらの任意の組み合わせを含む高分子材料であり得る。高分子材料は、その弾性が対象温度範囲(例えば、-20°F~185°F)にわたって維持され、ガス放出が最小限に抑えられるように選択される。
【0032】
リテーナーリングは、アルミニウム、または対象温度範囲にわたって好適なCTEを有する別の金属もしくは他の材料であり得る。例えば、アルミニウム金属リングが、スタンピングまたは機械加工によって形成されてもよい。コンプライアント要素は、不連続シールを作成する方法でリテーナーリングと機械的に結合されてもよい。例えば、
図5A~Bに示される一実施形態500では、リテーナーリング502のチャネル、スロット、または他のセグメントに高分子部材504が挿入されていてもよい。
図5AのA-A線に沿った破断
図5Bに示されるように、ここでは、各高分子部材504は、反対側の端部506まで部分505を介してリテーナーリングを通して延在する。部分505は、反対側の端部506と同じサイズまたはそれより小さくてもよい。部分505は、強化部材またはリテーナーリングとの機械的結合機能として作用することができる。この配置は、例えば、高分子部材504をインサート成形するなど、所定の位置に形成することができる。
【0033】
他の例では、例えば、浸漬プロセスによるオーバーモールドが使用されてもよい。そのような2つの例が
図6Aおよび
図6Bに示されている。例えば、
図6Aの例600では、リテーナーリング602は、レセプタクルまたはくぼみなどのインターロック604を含む。リテーナーリング602は、インターロック604に流れ込むか、さもなければ係合する高分子材料606に浸漬または噴霧され得る。ここで、1つ以上のインターロック要素が、リテーナーリング602の片側に形成されてもよい。あるいは、
図6Bの例610に示されるように、一連のインターロック要素614が、リテーナーリング612の両側に形成されてもよい。ここで、浸漬または噴霧された高分子材料616は、インターロック要素614に流れ込むか、そうでなければインターロック要素614と係合する。
【0034】
コンプライアント構成要素がリテーナーリングにはり付けられる、さもなければ係合されると、このリテーナー組立体を使用してレンズをセンサーハウジングに固定する。
図7Aおよび
図7Bは、2つの例を示している。
図7Aの側面破断
図700に示されるように、支持要素704は、センサーハウジングの側壁702に取り付けられる。支持要素704は、例えば、レンズ706の片側の縁に沿って、レンズ706の一部分を支持する。リテーナー組立体は、センサー組立体内にレンズを固定する。図示されるように、リテーナーリング708およびコンプライアント要素710は、構成要素712を介して側壁702にはり付けられる。構成要素712は、例えば、接着剤または留め具であり得る。例えば、構成要素712は、1つ以上のねじ山、接着剤(例えば、ばねに予圧を加えて硬化させる)、または所定の高さを設定するためのスナップリングであり得る。一例では、リテーナーリングは、側壁にねじで係合され得る。この場合、係合は、任意選択的に接着剤で補強することができる。接着剤は、例えば、嫌気性硬化スレッドロッカー、湿度硬化室温加硫(RTV)接着剤、または紫外線+熱硬化エポキシであり得る。
【0035】
この例では、リテーナーリング708はレンズに直接接触しない。特に、示されるように、コンプライアント要素は、高分子材料の部分間にギャップがある領域に沿った場所以外は、レンズ706と直接接触している。ここで、保持リング708は、高分子材料に下向きの力を与え、これにより、その選択された部分に沿ってレンズが押される。
【0036】
図7Bは、別の例720を示している。ここで、示されるように、コンプライアント要素722は、リテーナーリング708の一部分とレンズ706との間に配設されるが、リテーナーリング708の少なくとも一部もレンズに直接接触する。この配置では、レンズへのリテーナーリングの直接接触により、コンプライアント要素のポリマーに最大圧縮比を保証することができる。これは、目標が、昇温状態で特定の最小予圧を維持することだけである場合、ただし、低温状態での最大応力がレンズを損傷するのに十分でない場合に有益であり得る。そのような配置はまた、ポリマーの亀裂/流れを防ぐのに役立ち得る。
【0037】
上記のように、多数のレンズ組立体が1つのセンサー組立体で使用されてもよい。
図8は、一対のレンズ802aおよび802bがハウジング804内に受容される一例800を示す。この例では、各レンズ802は、それぞれそれ自身のリテーナーリング806aまたは806bを有する。一組のコンプライアント要素808aは、リテーナーリング806aと統合されてレンズ802aをハウジング804に固定する。同様に、一組のコンプライアント要素808bは、リテーナーリング806bと統合されてレンズ802bをハウジング804に固定する。2つのレンズ組立体のみが示されているが、任意の数のレンズ組立体を1つのセンサー組立体の一部として使用することができる。さらに、本技術のこれらの態様によるセンサー組立体は、ライダーセンサー、ならびに光学および/または赤外線センサーなどのカメラを含み得る。これらのセンサー組立体は、部分的または完全に自律型の自動運転車、トラック、バス、オートバイ、農機具などの自動運転車両で使用されてもよい。上記のセンサー組立体および変形は、これらのタイプのシステムに限定されない。例えば、移動ロボット、施設のセキュリティ、交通流の最適化、および自動運転車両に関連する用途以外のその他の用途で使用されてもよい。
【0038】
図9は、上記のような1つ以上のセンサー組立体を有する車両900の例を示す。特に、この例は、ミニバン、スポーツ多目的車(SUV)、またはその他の車両などの乗用車の斜視図を提供する。乗用車900は、車両の外部環境に関する情報を取得するための様々なセンサーを含んでもよい。例えば、ルーフトップハウジング902は、ライダーセンサー、ならびに様々なカメラ、レーダーユニット、赤外線および/または音響センサーを含むことができる。車両900のフロントエンドに位置するハウジング904、ならびに車両の運転席側および助手席側のハウジング906a、906bは、各々、ライダー、レーダー、カメラおよび/または他のセンサーを組み込むことができる。例えば、ハウジング906aは、車両のクォーターパネルに沿って運転席側のドアの前に位置していてもよい。図示されるように、乗用車900はまた、これも車両の後方ルーフ部分に向かって位置する、レーダーユニット、ライダー、および/またはカメラのためのハウジング908a、908bも含む。追加のライダー、レーダーユニット、および/またはカメラ(図示せず)は、車両900に沿った他の場所に位置していてもよい。例えば、矢印910は、センサーユニットが、車両900の後方に沿って、例えば、バンパー上またはバンパーに隣接して位置決めされてもよいことを示す。矢印912は、車両の前方を向いた方向に沿って配置された一連のセンサーユニット914を示す。ハウジングのいずれかまたはすべては、上記のような1つ以上のセンサー組立体を含み得る。例えば、一対のライダーまたはカメラセンサー組立体は、ハウジング902、904、906aもしくは906b、908aもしくは908b、または914のいずれかに組み込むことができる。車両900は、車両の外部環境における物体に関する情報を取得するために1つ以上のセンサー組立体を訴え、この情報を使用して、部分的または完全に自律型の自動運転モードで動作することができる。
【0039】
図10は、上記の構成を考慮してセンサー組立体を製造する方法を示している。ブロック1002に示されるように、リテーナーリングが提供され、ブロック1004に示されるように、コンプライアント構成要素が提供される。高分子材料などのコンプレイント構成要素は、センサー組立体の動作のために選択された温度範囲にわたって弾性を維持するように選択される。
【0040】
例えば、選択された温度範囲は、約-40°F~185°F程度であり得る。提供されるリテーナーリングは、アルミニウムなどの金属であり得る。例として、アルミニウム金属リングは、スタンピングまたは機械加工によって形成されてもよい。
【0041】
ブロック1006において、方法は、コンプライアント構成要素をリテーナーリングにしっかりと固定することによってリテーナー組立体を形成することを含む。これは、上記のように、コンプライアント構成要素をリテーナーリングにインサート成形またはオーバーモールドすることによって行うことができる。
【0042】
ブロック1008において、レンズの第1の部分は、例えば、手または機械(例えば、ロボットアームまたは他のデバイス)を介して配置することによって、センサーハウジングの第1のセクションに沿って配置される。次に、ブロック1010において、リテーナーリングをセンサーハウジングの第2のセクションに結合することによって、レンズは、リテーナー組立体を用いてセンサーハウジングに固定され、その結果、コンプライアント構成要素は、レンズの第2の部分の複数の別々のセクションと直接接触する。この例は、上記の
図7A~Bに示される。例えば、リテーナーリングをセンサーハウジングの第2のセクションに結合することによってリテーナー組立体を用いてレンズをセンサーハウジングに固定することは、リテーナーリングをセンサーハウジングの第2のセクションにねじで固定する、接着結合する、またはスナップフィットすることのうちの1つを含み得る。
【0043】
その結果、コンプレイント構成要素はレンズとともに不連続なシールを形成する。例えば、リテーナー組立体とレンズとの間の不連続シールにより、結露または汚染物質がセンサー組立体から出るための漏れ経路を提供することができ得る。
【0044】
特段の記述がない限り、前述の代替例は、相互に排他的ではないが、独自の利点を達成するために様々な組み合わせで実装することができる。上述した機能のこれらおよび他の変形および組み合わせは、特許請求の範囲によって定義される主題から逸脱することなく利用することができるので、実施形態の前述の説明は、特許請求の範囲によって定義される主題を限定するものとしてではなく、例示として見なされるべきである。加えて、本明細書に記載の例、ならびに「など」、「含む」などと表現された節の提示は、特許請求の範囲の主題を特定の例に限定するものとして解釈されるべきではなく、むしろ、例は、多くの可能な実施形態のうちの1つだけを例示することが意図される。さらに、異なる図面中の同じ参照番号は、同じまたは類似の要素を特定することができる。
【国際調査報告】