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特表2022-550685機械オペレーターのコマンド遅延を軽減させる方法及び装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-12-05
(54)【発明の名称】機械オペレーターのコマンド遅延を軽減させる方法及び装置
(51)【国際特許分類】
   E02F 3/43 20060101AFI20221128BHJP
【FI】
E02F3/43 C
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022516278
(86)(22)【出願日】2020-08-24
(85)【翻訳文提出日】2022-03-31
(86)【国際出願番号】 US2020047683
(87)【国際公開番号】W WO2021061321
(87)【国際公開日】2021-04-01
(31)【優先権主張番号】16/585,662
(32)【優先日】2019-09-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】505315742
【氏名又は名称】トプコン ポジショニング システムズ, インク.
(74)【代理人】
【識別番号】100112427
【弁理士】
【氏名又は名称】藤本 芳洋
(72)【発明者】
【氏名】ヴァーノン,ジョセフ,ブラーベック
【テーマコード(参考)】
2D003
【Fターム(参考)】
2D003AA01
2D003AB03
2D003AB04
2D003AC07
2D003BA02
2D003BB05
2D003BB11
2D003CA02
2D003DA02
2D003DA04
2D003DB04
2D003DB05
2D003FA02
(57)【要約】
機械のグレードアシスト方法には、ユーザー入力によって機械の器具が所望の地面の高さの下まで掘削するかを決定することが含まれる。掘削機(100)のスティック(104)を動作させるユーザー入力は液圧を使用してブロック及び/又は遅延させることができ、これによって掘削機のスティック及びブーム(102)の両方の動作を同期させ、スティックの動作時にバケット(106)が所望の地面の高さ(404)の下まで掘削することを防止することができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
建設機械のスティックを前記建設機械の本体に向けて移動させる信号を検知すること、
前記スティックの動作を液圧で遅延させること、
前記信号に応じて、前記信号に応答する前記スティックの予測動作に基づき、前記建設機械のブームの所望動作であって前記建設機械のバケットを所望の地面の高さの上方に維持するための前記ブームの所望動作を決定すること、
前記信号に応じて、前記信号に応答する前記スティックの前記予測動作及び前記ブームの前記所望動作に基づき、前記建設機械の前記スティックの所望動作であって前記建設機械の前記バケットを前記所望の地面の高さの上方に維持するための前記スティックの所望動作を決定すること、
前記ブームの前記所望動作に基づき前記ブームを液圧で作動すること、及び
前記スティックの前記所望動作に基づき前記スティックを液圧で作動すること、を含む方法。
【請求項2】
前記ブームの前記所望動作を決定すること及び前記スティックの前記所望動作を決定することは更に、前記所望の地面の高さに対する前記建設機械の前記バケットの現在位置に基づく請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記バケットの前記現在位置は、前記ブーム、前記スティック、前記バケットの位置を検知するセンサーからのデータに基づく請求項2記載の方法。
【請求項4】
前記スティックの所望動作を決定することは更に、前記ブームの所望動作を決定することに基づく請求項3記載の方法。
【請求項5】
前記掘削機がグレードアシストモードであると判定することを更に含む請求項1記載の方法。
【請求項6】
前記ブームの前記所望動作を決定することは、前記スティックのスウィングアーク及び前記ブームのスウィングアークに基づく請求項1記載の方法。
【請求項7】
前記ブームを前記液圧で作動することは、前記スティックを前記液圧で作動することと同時である請求項1記載の方法。
【請求項8】
前記スティックの動作を前記液圧で遅延させることは、ユーザー入力に応じて加えられる作動液圧力により前記スティックの動作をブロックさせる反比例バルブを作動することを含む請求項1記載の方法。
【請求項9】
前記スティックの動作を前記液圧で遅延させることは、ユーザー入力に応じて電磁バルブの第1入力に加えられる作動液圧力により前記スティックの動作をブロックさせる前記電磁バルブを作動することを含む請求項1記載の方法。
【請求項10】
前記スティックは、バルブを作動するコントローラーから前記電磁バルブの第2入力への作動液圧力の追加によって作動される請求項9記載の方法。
【請求項11】
プロセッサーと、
コンピュータープログラム指令を保存するメモリとを備える装置であって、
前記コンピュータープログラム指令は前記プロセッサーによって実行されるときに前記プロセッサーに、
建設機械のスティックを前記建設機械の本体に向けて移動させる信号を検知すること、
前記スティックの動作を液圧で遅延させること、
前記ユーザー信号に応じて、前記信号に応答する前記スティックの予測動作に基づき、前記建設機械のブームの所望動作であって前記建設機械のバケットを所望の地面の高さの上方に維持するための前記ブームの所望動作を決定すること、
前記信号に応じて、前記信号に応答する前記スティックの前記予測動作及び前記ブームの前記所望動作に基づき、前記建設機械の前記スティックの所望動作であって前記建設機械の前記バケットを前記所望の地面の高さの上方に維持するための前記スティックの所望動作を決定すること、
前記ブームの前記所望動作に基づき前記ブームを液圧で作動すること、及び
前記スティックの前記所望動作に基づき前記スティックを液圧で作動すること、
を含むオペレーションを実行させる装置。
【請求項12】
前記ブームの前記所望動作を決定すること及び前記スティックの前記所望動作を決定することは更に、前記所望の地面の高さに対する前記建設機械の前記バケットの現在位置に基づく請求項11記載の装置。
【請求項13】
前記バケットの前記現在位置は、前記ブーム、前記スティック、前記バケットの位置を検知するセンサーからのデータに基づく請求項12記載の装置。
【請求項14】
前記スティックの所望動作を決定することは更に、前記ブームの所望動作を決定することに基づく請求項13記載の装置。
【請求項15】
前記掘削機がグレードアシストモードであると判定することを更に含む請求項11記載の装置。
【請求項16】
前記ブームの前記所望動作を決定することは、前記スティックのスウィングアーク及び前記ブームのスウィングアークに基づく請求項11記載の装置。
【請求項17】
前記ブームを前記液圧で作動することは、前記スティックを前記液圧で作動することと同時である請求項11記載の装置。
【請求項18】
前記スティックの動作を前記液圧で遅延させることは、ユーザー入力に応じて加えられる作動液圧力により前記スティックの動作をブロックさせる反比例バルブを作動することを含む請求項11記載の装置。
【請求項19】
前記スティックの動作を前記液圧で遅延させることは、ユーザー入力に応じて電磁バルブの第1入力に加えられる作動液圧力により前記スティックの動作をブロックさせる前記電磁バルブを作動することを含む請求項11記載の装置。
【請求項20】
前記スティックは、バルブを作動するコントローラーから前記電磁バルブの第2入力への作動液圧力の追加によって作動される請求項19記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【関連出願】
【0001】
この出願は2019年9月27日に出願された先の米国特許出願No.16/585,662に基づく優先権を主張しており、その開示内容すべてが本明細書に取り込まれている。
【背景技術】
【0002】
本開示は概して建設機械に関するものであり、更に具体的には、ユーザーが表面を造成するためのアシストを行う建設機械の操作モードであって、掘削機の器具のブーム及びスティックの動作を遅延及び同期させることによって、所望の地面の高さの下まで掘削することを防止するものに関する。
【0003】
掘削機などの建設機械は、所望の現場計画に基づき表面を造成するために頻繁に使用される。現場計画には一般的に、所望の地面の高さの仕様が含まれている。所望の地面の高さ上方に位置する物質は除去する必要がある。所望の地面の高さの下まで掘削することなく、所望の地面の高さ上方に位置する物質を除去することは困難を伴う場合がある。建設機械のユーザーは、経験が浅い場合又は偶発的に、所望の地面の高さの下まで掘削してしまうことが多い。更に経験豊かなユーザーであっても、建設機械の器具の一部が同期せずに動作するために、所望の地面の高さの下まで意図せずに掘削する場合がある。たとえばユーザーは、掘削器具のブームが起動する前に掘削器具のスティックが起動するために、所望の地面の高さの下まで意図せず掘削することが多い。建設機械の液圧系統における遅延のためにブーム起動が遅延しながらスティックが起動することから、スティック端部に位置するバケットが所望の地面の高さの下まで掘削してしまい、ブームを上昇させてそのような掘削を防止することが間に合わない場合がある。
【発明の概要】
【0004】
機械オペレーターのコマンド遅延を軽減させる方法及び装置は、ターゲット表面軌道を併せて規定する操作中に、プロセッサーの制御及び適切なアルゴリズムに基づき、掘削機のスティック動作をコマンドする信号を感知してスティックの動作を遅延させることによって、掘削機のスティック及びブームの両方を同時に動作可能とするものである。スティックの起動遅延、及び、掘削機のスティックの動作とブームの演算動作との同期は、掘削機がグレードアシストモードに置かれている時点で発生する。
【0005】
前記方法には、ユーザーが機械をグレードアシストモードに設定した時点を検知するステップが含まれる。グレードアシストモードでは、ユーザー入力に応答して建設機械のスティックを建設機械本体の接近方向(又は離間方向)に移動させる信号が検知される。スティックの動作は液圧によって遅延する。信号に応答した建設機械のブームの所望動作は、スティックの予測動作及び所望の設計表面軌道に基づき決定される。建設機械のブームの所望動作とは、建設機械のバケットを所望の地面の高さ上方に維持するための動作である。建設機械のスティックの所望動作は、ユーザー信号に応答して、更にスティックの予測動作及びブームの所望動作に基づき決定される。スティックの所望動作とは、建設機械のバケットを所望の地面の高さ上方に維持するための動作である。その後、決定された所望動作に基づき、ブーム及びスティックが液圧によって起動する。一実施の形態では更に、所望の地面の高さ設計との関係における建設機械のバケットの現在位置に基づき、所望動作が決定される。ブーム、スティック、バケットの現在位置を、センサーからのデータに基づき決定することができる。一実施の形態では、スティックのスウィングアーク及びブームのスウィングアークに基づき、ブームの所望動作を決定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1図1は建設現場を造成する掘削機を示す。
【0007】
図2図2は掘削機の器具について可能な動作を示す。
【0008】
図3図3は掘削機へのユーザー入力を感知、制限、遅延させるためのコントローラー及び関連する構成要素を示す。
【0009】
図4図4は建設現場を造成する掘削機において、バケットが所望の地面の高さの下まで進行する状況を示す。
【0010】
図5図5は建設現場を造成する掘削機において、バケットが所望の地面の高さ以上の位置を維持する状況を示す。
【0011】
図6A図6Aは掘削機のスティックの動作と関係する掘削機の液圧系統の部分を示す。
【0012】
図6B図6Bは掘削機のブームの動作と関係する掘削機の液圧系統の部分を示す。
【0013】
図7図7はこの実施の形態に係る掘削機へのユーザー入力を遅延させる方法を示すフローチャートである。
【0014】
図8図8はこの実施の形態に係る反比例バルブを使用した液圧回路の部分を示す。
【0015】
図9図9はこの実施の形態に係る3ウェイ・2ポジション電磁バルブを使用した液圧回路の部分を示す。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図1は建設機械、具体的には掘削機100を示す。掘削機100は、ブーム102、スティック104、バケット106からなる器具(たとえば表面造成器具)を有し、これらは掘削機100の運転台108に位置するユーザーによりそれぞれ制御される。運転台108は掘削機100の本体としても称される部分であり、運転体108にはトレッド及びその他の搬送手段も含まれる。この実施の形態では、ユーザーは運転台108に配置された操縦桿を操作し、液圧シリンダー110に加えられる作動液圧力を介してブーム102を動作させる。ユーザーは他の操縦桿を操作し、液圧シリンダー112に加えられる作動液圧力を介してスティック104を動作させる。ユーザーは更なる操縦桿を操作し、液圧シリンダー116に加えられる作動液圧力を介してバケット106を動作させる。ユーザーは所望の設計表面軌道(たとえば所望の設計表面形状)に従い、器具を使用して表面を造成する。
【0017】
図2は掘削機100の各部分の動作可能な方向を示す。図2に示すように、ブーム102は矢印103A及び103Bで示す方向に、旋回軸202の周囲を回動可能である。このようにブーム102は、一般に、掘削機100が位置する表面に接近する方向及び離間する方向に動作する。スティック104は矢印105A及び105Bで示す方向に、旋回軸204を中心として回動可能である。このようにスティック104は、掘削機100本体に略接近する方向及び略離間する方向に動作する。バケット106は矢印107A及び107Bで示す方向に、旋回軸206を中心として回動可能である。このようにバケット106は、掘削機100本体に略接近する方向及び略離間する方向に動作する。
【0018】
通常操作において、運転台108に位置するオペレーターは、複数の操縦桿のいずれか1つを操作することにより、ブーム102、スティック104、バケット106のそれぞれを動かす。それぞれの操縦桿を操作することによって、各液圧シリンダーに作動液圧力が加えられ、ブーム102、スティック104、バケット106のいずれか1つが移動する。各操縦桿の動作によって作動液圧力が各液圧シリンダーに加えられるが、操縦桿の作動から器具の各部位の動作までの間に遅延が発生する可能性がある。この遅延の結果として、器具の望ましくない動作が発生し、バケット106が所望の地面の高さの下まで掘削する可能性がある。たとえば、ユーザーが操縦桿を操作して、スティック104を掘削機100の本体に向かって移動させたとする。スティック104が移動を開始すると、ユーザーは、バケット106が所望の地面の高さの下まで掘削することを防止する目的で、操縦桿を操作してブーム102を上方に移動させる。スティック104が掘削機100の本体に向かって移動するときに、操縦桿を操作してブーム102を上方に移動させるまでの間に遅延が生じることから、各操縦桿の操作に応答してブーム104が上方に移動する前に、バケット106が所望の地面の高さの下まで掘削する可能性がある。
【0019】
図3は、この実施の形態に係るブーム102及びスティック104の自動制御に関する掘削機100の各構成部品の概要を示す。この実施の形態に係るコントローラー302は、コンピューターを使用して実行される。コントローラー302はプロセッサー318を有しており、プロセッサー318は、コントローラー302の全体的なオペレーションを規定するコンピュータープログラム指令を実行することによって、この全体的なオペレーションを制御する。コンピュータープログラム指令は、記憶装置322又はその他のコンピューター読取可能媒体(たとえば磁気ディスク、CD-ROM等)に保存され、コンピュータープログラム指令の実行を希望するときにメモリ320にロードされ得る。すなわち、図7に示す方法のステップ(後述する)は、メモリ320及び/又は記憶装置322に保存されたコンピュータープログラム指令によって規定され、このコンピュータープログラム指令を実行するプロセッサー318によって制御され得る。たとえば、コンピュータープログラム指令は、図7に示す方法のステップで規定されるアルゴリズムを実施するために、当業者によってプログラムされたコンピューター実行可能コードとして実装され得る。したがって、コンピュータープログラム指令を実行することによって、プロセッサー318は、図7に示す方法のステップで規定されるアルゴリズムを実行する。当業者であれば、コントローラーの実行にはその他の構成部品も含まれる可能性があり、コントローラー302は、このようなコントローラーの構成部品のいくつかを、例示目的で高レベルに表現したものであると理解するであろう。
【0020】
センサー304は掘削機100の位置及び状態を検知する1つ又は複数のセンサーを有している。この実施の形態において、掘削機100の位置は、GPS受信器及び/又は慣性計測ユニット(IMU)を使用して判定される。この実施の形態において、掘削機100の状態は、器具のブーム102、スティック104、バケット106の位置を判定するためのリニア若しくはロータリーセンサー、及び/又は慣性計測ユニットを使用して判定される。この実施の形態において、センサー304には更に、建設現場の現在状況を検知するためのセンサーを含むこともできる。たとえばセンサー304には、カメラ、隻眼線スキャナ、又は掘削機100が位置する建設現場の現在状況を判定するためのその他のタイプの装置を含むことができる。
【0021】
この実施の形態において、入力308には、掘削機100を操作するユーザーからの入力が含まれる。この実施の形態において、入力308には、ブーム102、スティック104、バケット106を動作させるための1つ又は複数の操縦桿を含むことができる。たとえばブームの操縦桿は、ブーム102を上昇又は下降させるユーザーのコマンドによって起動させることができる。同様にスティックの操縦桿(すなわちスティック104の動作を制御する操縦桿)は、スティック104を掘削機100の本体に接近させる又は掘削機100から離間させるユーザーのコマンドによって起動させることができる。この実施の形態において、各操縦桿に関係する各入力は、それぞれの操縦桿に関係する各センサーからの信号である。操縦桿の起動による入力は更に、それぞれの操縦桿の動作に関係する液圧変化を検知する各センサーからも受信することができる。入力308は更に、タッチスクリーン、ボタン、その他のタイプの入力など、各種入力装置を介したユーザーからの入力を含むこともできる。
【0022】
この実施の形態において、ディスプレイ306は掘削機100の運転台に配置され、ユーザーに情報を表示する。ディスプレイ306は、タッチスクリーン、発光ダイオードディスプレイ、液晶ディスプレイ、ヘッドアップ投影ディスプレイなど、いずれのタイプのディスプレイでもよい。ディスプレイ306は、関係する機械、現在の現場計画、所望の現場計画などに関するさまざまな情報をユーザーに提示する。
【0023】
コントローラー302は、掘削機100の器具に関係する複数の制御バルブに接続されている。この実施の形態において、ブーム上昇バルブ310及びブーム下降バルブ312は電気機械バルブであり、電気機械バルブはブーム102に関係する液圧シリンダーに作動液圧力を送り込むことによって、掘削機100のブーム102の動作を制御するために使用される。この実施の形態において、スティック接近バルブ314及びスティック離間バルブ316は電気機械バルブであり、スティック104に関係する液圧シリンダーに作動液圧力を送り込むことによって、掘削機100のスティック104の動作を制御するために使用される。コントローラー302には更に、バケット106又はその他の掘削機100に関係する機械を制御するための電気機械バルブを接続することもできる。
【0024】
この実施の形態においてコントローラー302は、入力308及びセンサー304からの入力を受信する。コントローラー302は、その入力を分析し、ディスプレイ306を介してユーザーに表示する情報を決定する。コントローラー302は、更に入力を分析し、ブーム上昇バルブ310若しくはブーム下降バルブ312に信号を送信してブーム102を制御すべきか、及び/又はスティック接近バルブ314若しくはスティック離間バルブ316に信号を送信してスティック104を制御すべきか決定する。この実施の形態においてコントローラー302はまた、バルブ310、312、314、316のいずれか1つ又は複数を作動させることによって、通常の操作中に入力308を介したユーザーからの入力に基づいて発生するであろうブーム102及び/又はスティック104の動きを遅らせることができる。
【0025】
図4に示す掘削機100は、所望の地面の高さ404の上方に位置する物質を除去するために表面406を造成する工程を示す。この実施の形態においてコントローラー302は、入力308を介してスティック104を移動するよう命令するユーザーからの入力(たとえば操縦桿からの入力)に応じて、掘削機100のスティック104の動作を遅延させる。図4は、ユーザーからの入力に応答してのみ移動することが許可されている場合に、バケットが所望の地面の高さ404を下回る原因となる円弧402をバケット106が描く様子を示している。コントローラー302は、バケット106が円弧402に沿って移動することを許可した場合、バケット106が所望の地面の高さ404の下まで進行することになるのか判定する。この実施の形態においてコントローラー302は、(スティック104の動作によって発生する)バケット106の動作が所望の現場計画と比較された現在の現場をどのように造成するのかという比較に基づき、バケット106が所望の地面の高さの下まで進行するであろうと判断する。
【0026】
バケット106が所望の地面の高さ404の下まで進行するという判断に応答して、コントローラー302は、ユーザー入力に優先して、バケットが所望の地面の高さ404の下まで掘削することを禁止する。この実施の形態において、バケット106が所望の地面の高さ404の下まで掘削することなくバケット106を移動させるために、コントローラー302は、スティック104の動作を遅延させた後に、ブーム102を上昇させる動作と同期させつつスティック104の動作を制御する。コントローラー302は、スティック104が円弧を描きながら動作するときにバケット106が所望の地面の高さ404の下まで進行しない特定の距離まで、ブーム102を上方に移動させる。コントローラー302は、必要に応じて、ブーム102及びスティック104を作動させるための液圧系統の一部であるブーム上昇バルブ310、ブーム下降バルブ312、スティック接近バルブ314、及び/又はスティック離間バルブ316に信号を送信する。なお、ユーザー入力の遅延及びブームとスティックとの同期動作は、掘削機100が半自動運転の場合、又はオペレーター不在で完全自動制御が使用されている場合にも発生させることができる。
【0027】
図5は所望の地面の高さ404に沿ってバケット106が動作する状態を示す。スティック104を移動させるユーザー入力によって、バケット106が図4に示す所望の地面の高さ404の下まで進行する場合がある。コントローラー302によって、矢印504に示す掘削機本体に接近するスティック104の動作を遅延させ、矢印502に示すブーム102の上方への移動と同期させて、バケット106が所望の地面の高さ404の下まで掘削することを防止する。図5に示すようにバケット106は、スティックの動作が遅延する動作、及びその後のスティックが掘削機100に接近する動作とブーム102の上昇動作との同期によって、所望の地面の高さ404の下まで掘削することなく表面406から物質を除去する。
【0028】
図6Aは掘削機100の液圧系統600の一部の概要を示す。ユーザーは、掘削機100のスティック104が掘削機100の本体に接近する移動又は掘削機100の本体から離間する移動を命令するために操縦桿606を操作する。なお、この実施の形態において操縦桿606(及びここで述べるその他の操縦桿)は、液圧構成部品に適用される操縦桿606の作動に応答して転送されるパイロット作動液圧力の供給を受けてもよい。
【0029】
シャトルバルブ604及びメインバルブ614を通じて、液圧シリンダー112のスティック接近キャビティ601に作動液圧力を加えるように操縦桿606を操作することができる。この実施の形態において、メインバルブ614(及びここで述べるその他のメインバルブ)は機械液圧バルブであり、2つの入力及び2つの出力を有する。メインバルブの入力に加圧される作動液圧力に基づき、メインバルブの2つの出力のうち1つに作動液圧力が加圧される。(図1に示すように)液圧シリンダー112はスティック104に接続されており、液圧シリンダー112のピストンの動作によって、スティック104が動作する。シャトルバルブ604は液圧装置であり、2つの入力間の圧力差に基づき、メインバルブ614に接続されている出力に作動液圧力を加圧する。シャトルバルブ604の一方の入力は操縦桿606に接続されており、他方の入力はスティック接近バルブ314に接続されている。操縦桿606によりシャトルバルブ604に加えられた作動液圧力は、液圧センサー607により感知される。スティック接近バルブ314はコントローラー302からの信号によって制御される電気機械装置であり、シャトルバルブ604に作動液圧力を加圧する。パイロットサプライ608からスティック接近バルブ314に作動液圧力が供給され、スティック接近バルブ314に転送されなかった作動液は液体タンク612に返還され、ここから作動液をパイロットサプライ608に供給する。
【0030】
更に、シャトルバルブ616及びメインバルブ614を通じて、液圧シリンダー112のスティック離間キャビティ603に作動液圧力を加えるように操縦桿606を操作することができる。(図1に示すように)液圧シリンダー112はスティック104に接続されており、液圧シリンダー112のピストンの動作によって、スティック104が動作する。シャトルバルブ616は液圧装置であり、2つの入力間の圧力差に基づき、メインバルブ614に接続されている出力に作動液圧力を加圧する。シャトルバルブ616の一方の入力は操縦桿606に接続されており、他方の入力はスティック離間バルブ316に接続されいる。操縦桿606によりシャトルバルブ616に加えられた作動液圧力は、液圧センサー605により感知される。スティック離間バルブ316はコントローラー302からの信号によって制御される電気機械装置であり、シャトルバルブ616に作動液圧力を加圧する。パイロットサプライ617からスティック離間バルブ316に作動液圧力が供給され、スティック接近バルブ316に転送されなかった作動液は液体タンク619に返還され、ここから作動液をパイロットサプライ617に供給する。
【0031】
ユーザーは操縦桿606を第1方向(たとえば図6Aに示す操縦桿606の右方向)に移動させることによって、スティック104が掘削機100の本体から離間移動するようコマンドする。操縦桿606を第1方向に移動させた場合には、液圧シリンダー112のスティック離間キャビティ603に作動液圧力が加えられ、掘削機100のスティック104を掘削機100の本体から離間するよう移動させる。
【0032】
ユーザーは操縦桿606を第2方向(たとえば図6Aに示す操縦桿606の左方向)に移動させることによって、スティック104が掘削機100の本体に接近移動するようコマンドする。操縦桿606を第2方向に移動させた場合には、液圧シリンダー112のスティック接近キャビティ601に作動液圧力が加えられ、掘削機100のスティック104を掘削機100の本体に接近するよう移動させる。液圧シリンダー112に加えられる作動液圧力は、操縦桿606の動作に応答する。この実施の形態において、スティック接近バルブ314からシャトルバルブ604に作動液圧力を加え、操縦桿606がシャトルバルブ604に加圧する作動液圧力を打ち消すことによって、掘削機100の本体に向かうスティック104の移動を遅延及び/又は禁止することができる。これをスティック104の液圧遅延動作と称する。
【0033】
図6Bは掘削機100の液圧系統620の一部の概要を示す。ユーザーは操縦桿626を操作することにより、掘削機が位置する表面に対して上昇又は下降するよう掘削機100のブーム102に命令する。
【0034】
シャトルバルブ624及びメインバルブ640を通じて、液圧シリンダー110のブーム上昇キャビティ621に作動液圧力を加えるように操縦桿626を操作することができる。(図1に示すように)液圧シリンダー110はブーム102に接続されており、液圧シリンダー110のピストンの動作によって、ブーム102が動作する。シャトルバルブ624は液圧装置であり、2つの入力間の圧力差に基づき、メインバルブ640に接続されている出力に作動液圧力を加圧する。シャトルバルブ624の一方の入力は操縦桿626に接続されており、他方の入力はブーム上昇バルブ310に接続されている。操縦桿626によりシャトルバルブ624に加えられた作動液圧力は、液圧センサー627により感知される。ブーム上昇バルブ310はコントローラー302からの信号によって制御される電気機械装置であり、シャトルバルブ624に作動液圧力を加圧する。パイロットサプライ628からブーム上昇バルブ310に作動液圧力が供給され、ブーム上昇バルブ310に転送されなかった作動液は液体タンク632に返還され、ここから作動液をパイロットサプライ628に供給する。
【0035】
シャトルバルブ642及びメインバルブ640を通じて、液圧シリンダー110のブーム下降キャビティ623に作動液圧力を加えるように操縦桿626を操作することができる。(図1に示すように)液圧シリンダー110はブーム102に接続されており、液圧シリンダー110のピストンの動作によって、ブーム102が動作する。シャトルバルブ642は液圧装置であり、2つの入力間の圧力差に基づき、メインバルブ640に接続されている出力に作動液圧力を加圧する。シャトルバルブ642の一方の入力は操縦桿626に接続されており、他方の入力はブーム下降バルブ312に接続されている。操縦桿626によりシャトルバルブ642に加えられた作動液圧力は、液圧センサー629により感知される。ブーム下降バルブ312はコントローラー302からの信号によって制御される電気機械装置であり、シャトルバルブ642に作動液圧力を加圧する。パイロットサプライ644からブーム下降バルブ312に作動液圧力が供給され、ブーム下降バルブ312に転送されなかった作動液は液体タンク646に返還され、ここから作動液をパイロットサプライ644に供給する。
【0036】
ユーザーは操縦桿626を第1方向(たとえば図6Bに示す操縦桿626の右方向)に移動させることによって、ブーム102が下降するようコマンドする。操縦桿626を第1方向に移動させた場合には、液圧シリンダー110の一方側に作動液圧力が加えられ、掘削機100のブーム102を下降させる。
【0037】
ユーザーは操縦桿626を第2方向(たとえば図6Bに示す操縦桿626の左方向)に移動させることによって、ブーム102が上昇するようコマンドする。操縦桿626を第2方向に移動させた場合には、液圧シリンダー110のブーム上昇キャビティ621に作動液圧力が加えられ、掘削機100のブーム102を上昇させる。液圧シリンダー110のブーム上昇キャビティ621に加えられる作動液圧力は、操縦桿626の動作に応答する。この実施の形態において、コントローラー302は、ブームの操縦桿626によってシャトルバルブ624に加圧される作動液圧力に優先させる目的で、シャトルバルブ624に作動液圧力を加圧する信号をブーム上昇バルブ310に送信することによって、ブーム102を上昇移動させることができる。シャトルバルブ624における入力の圧力差によって、シャトルバルブ624は液圧シリンダー110のブーム上昇キャビティ621に作動液圧力を加え、ブーム102を上昇移動させる。更に、シャトルバルブ624に作動液圧力を加え、操縦桿626がシャトルバルブ624に加圧する作動液圧力を打ち消すことによって、ブーム102の上昇移動を禁止することができる。
【0038】
(たとえば操縦桿606、626からの)ユーザー入力のみを使用して掘削機100をマニュアル操作する場合、ブーム102は操縦桿626を使用して上昇又は下降移動が可能である。同様にスティック104も、操縦桿606を使用して掘削機100の本体に接近させる移動又は掘削機100の本体から離間させる移動が可能である。この実施の形態において、掘削機は、所望の地面の高さの下まで掘削することを防止するモードで操作することができる。このモードをグレードアシストモードと称する。掘削機100をグレードアシストモードで操作する場合、コントローラー302はスティック104とブーム102とを同期して動作させることによって、ユーザーが表面を所望の地面の高さに造成するためのアシストを行う。
【0039】
図7は、この実施の形態において、掘削機100を使用して表面を所望の地面の高さに造成する際にユーザーをアシストする方法700のフローチャートを示す。ステップ702においてコントローラー302は、掘削機100がグレードアシストモードであることを判定する。この実施の形態においてユーザーは、入力308(たとえばボタン又はディスプレイ306上の仮想ボタン)を使用して、グレードアシストモードを入力することができる。コントローラー302はグレードアシストモードにおいてユーザー入力を監視し、バケット106が所望の地面の高さの下まで表面を造成することを防止する。ステップ704においてコントローラー302は、ユーザー入力を検知し、スティック104を掘削機100の本体に向けて移動させる。この実施の形態においてコントローラー302は、スティック104を掘削機100の本体に接近移動させる信号を検知する。この実施の形態において前記信号は、操縦桿606からシャトルバルブ604の操縦桿側に加圧される液圧に応答した作動液圧力によって生成される。ユーザー入力は更に、信号を発生させる操縦桿606に関係するセンサー、たとえば圧力センサー、圧力スイッチ、慣性運動センサー、この系統が電気パイロット形式であれば電気入力などを使用して検知することもできる。
【0040】
図7に戻り、ステップ706においてコントローラー302は、シャトルバルブ604に作動液圧力を加えることによって、スティック104の動作を遅延及び/又は禁止する。コントローラー302からの信号に応答して、スティック接近バルブ314は作動液圧力をシャトルバルブ604に加圧する。スティック接近バルブによってシャトルバルブ604に加圧された作動液圧力は、操縦桿606によってシャトルバルブ604に加圧される作動液圧力に対抗する。この実施の形態においてこれらの圧力は実質的に同等であり、シャトルバルブ604の動作を禁止することによって、スティック104の動作を停止及び/又は禁止する。シャトルバルブ604の動作を禁止するために要求される正確な圧力は、作動液を蓄えた導管内の液流抵抗など、さまざまな要因によって変化する。
【0041】
ステップ708では、ブーム102の所望動作が決定される。この実施の形態においてブームの所望動作は、信号に応答して、前記信号に応答するスティック104の予測動作に基づき決定される。たとえばコントローラー302が受信した信号は、一定のマグニチュード(大きさ)を有している可能性がある。このマグニチュードは、センサー607からのユーザーパイロット圧力と関係させることができる。このように前記信号は、スティック104の予測動作を決定するために使用することができる。これに対応するブームの所望動作によって、建設機械のバケットは所望の地面の高さ上方に維持される。バケットが所望の地面の高さ上方に維持されることによって、所望の地面の高さの下まで掘削することが防止される。
【0042】
ステップ710では、前記信号に応答して、更に、スティックの予測動作、センサー607が感知したユーザー入力、及び建設機械のバケットを所望の地面の高さ上方に維持するブームの所望動作に基づき、建設機械のスティックの所望動作が決定される。この実施の形態においてスティックの所望動作は更に、決定済のブームの所望動作に基づき決定される。たとえばスティックの予測動作は、ブーム102の高さに基づきバケット106が横移動するスウィングアークを決定するために使用することができる。スティックの所望動作は、建設機械100のバケット106を所望の地面の高さ上方に維持するためにスティック104がその円弧上を横移動するときに、ブーム103をどの程度まで上昇させる必要があるのか決定するために使用することができる。
【0043】
この実施の形態においてブーム及びスティックの所望動作は更に、所望の地面の高さに関する建設機械のバケットの現在位置に基づき決定される。スティック104は円弧上を移動することから、バケット106も円弧上を移動する。スティック104はブーム102に位置する旋回軸を中心にスウィングする(回動する)ことから、スティック104の円弧及びバケット106の円弧はいずれも、ブーム102の高さに依存する。この実施の形態においてバケットの現在位置は、ブーム、スティック、バケットの各位置を検知するセンサーからのデータを基礎とする。
【0044】
ステップ712においてブーム102及びスティック104は、ブーム及びスティックの所望動作に基づき液圧で作動する。この実施の形態においてブーム102は、コントローラー302からブーム上昇バルブ310への信号に応じて液圧で作動し、ここではシャトルバルブ624に作動液圧力が加圧され、その後にシャトルバルブ624が作動液圧力を液圧シリンダー110に加圧する。この実施の形態においてブーム上昇バルブ310に送信された信号は、スティック104が円弧上をスウィングするときにバケット106が所望の地面の高さの下まで掘削することを防止する程度まで、ブーム102を上昇移動させるための計算を行う。この実施の形態においてスティック104は、コントローラー302からスティック接近バルブ314への信号に応答して液圧で起動し、ここではシャトルバルブ604に作動液圧力が加圧され、その後にシャトルバルブ604が作動液圧力を液圧シリンダー112に加圧する。この実施の形態においてスティック接近バルブ314に送信された信号は、ブーム102が上昇移動するときにバケット106が所望の地面の高さの下まで掘削することを防止する程度まで、スティック104が円弧上をスウィング移動するための計算を行う。
【0045】
この実施の形態においてスティック及びブームの動作は同期しており、所望の地面の高さの下まで掘削することなく表面を造成するよう同時に動作する。ブーム及びスティックの同期及び/又は同時動作によって、ブームが動作する前に、所望の地面の高さの下までバケットが掘削することを防止する。このような掘削は、該当する場合にはユーザーからの予測外の入力によってスティックが動作する時間と、コントローラー302を介してブームが移動する時間との差によって発生することが多い。
【0046】
なおブームの動作及びスティックの動作のいずれも、バケットの位置及び動作に影響を与える。そのためにこの実施の形態においてブームの所望動作は、スティックのスウィングアーク及びブームのスウィングアークに基づき決定される。同様にこの実施の形態においてスティックの所望動作は、スティックのスウィングアーク及びブームのスウィングアークに基づき決定される。なお、スティックの動作及び/又は制限、ブームの動作及び/又は制限は、ユーザー入力及び所望の地面の高さ設計の両方に基づき、コントローラー302によって決定することができる。
【0047】
上述したこの実施の形態において、ブーム102又はスティック104の動作をコマンドするユーザー入力は、各シャトルバルブに対抗する作動液圧力を加圧することによって遅延する。同様にブーム102又はスティック104の動作をコマンドするユーザー入力は、その他の方法を使用して遅延及び/又はブロックすることができる。この実施の形態では、ユーザー入力に応答して各シャトルバルブに加圧される作動液圧力をブロックするために反比例バルブを使用している。この実施の形態では、各メインバルブに接続されるシャトルバルブとして3ウェイ・2ポジション電磁バルブが使用され、各液圧シリンダーに加圧される作動液圧力を制御している。この実施の形態において作動の遅延及び/又はブロックは、ユーザー入力に応答して加圧される作動液圧力を検知し、所望の設計表面軌道(たとえば所望の設計表面形状)に関して掘削機が実行する演算軌道に基づき、コントローラー302がユーザー入力を削減、制限又は無効化して、ユーザー入力への応答を遅延及び複製することによって達成される。
【0048】
図8は、ユーザー入力に応答して加圧される作動液圧力をブロックする目的で反比例バルブを使用している液圧回路800の実施形態を示す。反比例バルブは電気機械バルブであり、その入力から出力までの液圧の加圧を制御する。液圧シリンダー112は掘削機100のスティック104に接続され、関係性を有している。液圧シリンダー112は、メインバルブ614の2つの出力のうちの1つからその2つの入力のうち対応する1つに加圧される作動液圧力に応答して作動する。メインバルブ614は、シャトルバルブ604及び/又はシャトルバルブ616から加圧される作動液圧力に応答して作動する。
【0049】
シャトルバルブ604は、スティック接近バルブ314からの作動液圧力を受ける一方の入力と、反比例バルブ802を通じた操縦桿606からの作動液圧力を受ける他方の入力とを有している。操縦桿606の作動に応答してシャトルバルブ604に加圧される作動液圧力は、作動液圧力センサー607により感知される。シャトルバルブ616は、スティック離間バルブ316からの作動液圧力を受ける一方の入力と、反比例バルブ804を通じた操縦桿606からの作動液圧力を受ける他方の入力とを有している。操縦桿616の作動に応答してシャトルバルブ606に加圧される作動液圧力は、作動液圧力センサー605により感知される。
【0050】
操縦桿606の作動に応答してシャトルバルブ604に加圧される作動液圧力は、反比例バルブ802によってブロックすることができる。シャトルバルブ604に加圧される作動液圧力は、コントローラー302と通信している作動液圧力センサー607により検知される。コントローラー302は、上述した図7に示す方法によってユーザー入力を遅延及び/又はブロックする必要があるのか決定する。操縦桿606の作動に応答してシャトルバルブ604に作動液圧力を加圧するユーザー入力を遅延又はブロックすべき場合、コントローラー302は反比例バルブ802に信号を送信する。反比例バルブ802は、操縦桿606からシャトルバルブ604に作動液圧力が加圧される状況をブロックする。これによってコントローラー302は、操縦桿606の起動を介したユーザー入力に応答してシャトルバルブ604に作動液圧力が加圧される状況をブロックする。
【0051】
コントローラー302はユーザーが操縦桿606を操作した後の一定時間、スティック接近バルブ316を作動して、作動液圧力をシャトルバルブ604に加圧することができる。これによって、所望の設計表面軌道(たとえば所望の設計表面形状)に対して掘削機が実行する演算軌道に基づき、コントローラー302がスティック104及びブーム102の動作を同期させる目的で、ユーザー入力をブロック又は遅延させることができる。操縦桿606の作動に応答してシャトルバルブ616に作動液圧力が加圧され、その圧力に応答してシャトルバルブ616への加圧をブロック及び/又は遅延させる構成と同様に、反比例バルブ804、作動液圧力センサー605、シャトルバルブ616、スティック離間バルブ316も、コントローラー302と組み合わせて使用することができる。
【0052】
図9は、(図6Aに示すシャトルバルブ604及び616などの)シャトルバルブに代えて、3ウェイ・2ポジション電磁バルブ902、904を使用している液圧回路900の実施形態を示す。この3ウェイ・2ポジション電磁バルブ(以下「電磁バルブ」と称する)は電気機械バルブであり、その2つの入力からその1つの出力までの液圧の加圧を制御する。電磁バルブは第1位置において、作動液圧力をその第1入力からその出力に誘導する。第1位置において、電磁バルブの第2入力に加圧された作動液圧力はブロックされている(すなわち、電磁バルブの出力への加圧が禁止されている)。電磁バルブは第2位置において、作動液圧力をその第2入力からその出力に誘導する。第2位置において、電磁バルブの第1入力に加圧された作動液圧力はブロックされている(すなわち、電磁バルブの出力への加圧が禁止されている)。電磁バルブ902及び904の位置は、コントローラー302からの信号によって制御される。
【0053】
電磁バルブ902は、その一方の入力に接続されたスティック接近バルブ314の出力と、その他方の入力に接続された操縦桿606の出力とを有している。操縦桿606又はスティック接近バルブ314のいずれか1つから加圧された作動液圧力は、コントローラー302から電磁バルブ902に送信された信号のコマンドに従う電磁バルブ902の位置に基づき、電磁バルブ902から出力することをブロックされる。電磁バルブ904は、その一方の入力に接続されたスティック離間バルブ316の出力と、その他方の入力に接続された操縦桿606の出力とを有している。操縦桿606又はスティック離間バルブ316のいずれか1つから加圧された作動液圧力は、コントローラー302から電磁バルブ904に送信された信号のコマンドに従う電磁バルブ904の位置に基づき、電磁バルブ904から出力することをブロックされる。
【0054】
操縦桿606の作動に応答して電磁バルブ902に加圧される作動液圧力は、コントローラー302と通信している作動液圧力センサー607により検知される。操縦桿606の作動に応答して電磁バルブ902に加圧される作動液圧力は、コントローラー302からの信号に応じて電磁バルブ902によってブロックされることができる。コントローラー302は、上述した図7に示す方法によってユーザー入力を遅延及び/ブロックする必要があるのか決定する。操縦桿606の作動に応答して電磁バルブ902に作動液圧力を加圧するユーザー入力を遅延又はブロックすべき場合、コントローラー302は電磁バルブ902に信号を送信する。電磁バルブ902は、操縦桿606からメインバルブ614に作動液圧力が加圧されることをブロックする。これによってコントローラー302は、操縦桿606の作動を介したユーザー入力に応答してメインバルブ614に作動液圧力が加圧されることをブロックする。コントローラー302はユーザーが操縦桿606を操作した後の一定時間、スティック接近バルブ314を作動して、作動液圧力をメインバルブ614に加圧することができる。これによって、所望の設計表面軌道(たとえば所望の設計表面形状)に関して掘削機が実行する演算軌道に基づき、コントローラー302がスティック104及びブーム102の動作を同期させる目的で、ユーザー入力をブロック又は遅延させることができる。
【0055】
なお液圧回路800及び液圧回路900には、バケット106など液圧で作動する追加的な構成部品及び/又は部材、更に、その他の液圧で作動する構成部品及び/又は部材の動作をブロック及び/又は遅延させるための追加的な構成部品及び/又は部材を含むことができる。
【0056】
なおユーザー入力に対するコンピューター制御、遅延、減衰化及び/又は優先化のシステムを、あらゆる液圧器具又は液圧器具の部品に使用することができる。たとえばユーザー入力に対するコンピューター制御、遅延、減衰化及び/又は優先化のシステムを、掘削機100のスティック104及びバケット106と併せて使用することができる。
【0057】
上述した詳細な説明は、すべての点において参考的かつ例示的であるが、限定的なものではないと理解され、ここで開示された発明の範囲は詳細な説明から決定すべきでなく、むしろ、各特許法で許される最大の幅によって解釈される請求の範囲から決定すべきである。ここで表示及び説明した各実施態様は本発明の原理を参考的に示したものに過ぎず、当業者であれば、発明の範囲及び要旨から逸脱することなく、各種変形例の実施が可能なものと理解される。また当業者であれば、発明の範囲及び要旨から逸脱することなく、各種特徴のその他の組合せの実施が可能なものと考えられる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6A
図6B
図7
図8
図9
【国際調査報告】