(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-12-05
(54)【発明の名称】ウィスパリングギャラリーモード(WGM)マイクロ共振器に基づく超音波センシング及び画像化
(51)【国際特許分類】
A61B 8/13 20060101AFI20221128BHJP
G01N 21/00 20060101ALI20221128BHJP
G01N 29/24 20060101ALI20221128BHJP
【FI】
A61B8/13
G01N21/00 A
G01N29/24
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022517280
(86)(22)【出願日】2020-09-18
(85)【翻訳文提出日】2022-04-11
(86)【国際出願番号】 US2020051596
(87)【国際公開番号】W WO2021055823
(87)【国際公開日】2021-03-25
(32)【優先日】2019-09-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】597025806
【氏名又は名称】ワシントン・ユニバーシティ
【氏名又は名称原語表記】Washington University
(74)【代理人】
【識別番号】110001379
【氏名又は名称】特許業務法人 大島特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ヤン、ラン
(72)【発明者】
【氏名】ジャオ、ガンミン
(72)【発明者】
【氏名】ジャン、シュエフェン
(72)【発明者】
【氏名】リ、イハン
【テーマコード(参考)】
2G047
2G059
4C601
【Fターム(参考)】
2G047AA05
2G047AA12
2G047AC13
2G047BC13
2G047CA04
2G047DA02
2G047GD01
2G047GH06
2G059AA05
2G059BB08
2G059BB12
2G059EE16
2G059FF02
2G059GG01
2G059HH01
2G059JJ17
2G059JJ30
2G059KK08
2G059MM01
4C601BB09
4C601DE16
4C601EE01
4C601GB03
(57)【要約】
ウィスパリングギャラリーモードの光共振器ベースの音響センサ、この音響センサを使用した画像化システム、及びこの音響センサを使用して超音波を検出する方法が開示される。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
音響センサであって、
ウィスパリングギャラリーモードの光共振器と、
前記光共振器に光学的に結合するための結合導波路であって、分離ギャップによって前記光共振器から隔てられた、該結合導波路と、
前記結合導波路の一部及び前記光共振器を包むポリマーと、を含み、
前記光共振器及び前記結合導波路は、それぞれ、前記ポリマーの屈折率よりも高い屈折率を有する、音響センサ。
【請求項2】
請求項1に記載の音響センサであって、
前記分離ギャップは、前記音響センサが、前記光共振器と前記結合導波路との臨界結合から選択される動作条件、または最大負荷係数で動作するように選択される、音響センサ。
【請求項3】
請求項1に記載の音響センサであって、
前記光共振器は、50μm~200μmの範囲の直径を有する、音響センサ。
【請求項4】
請求項1に記載の音響センサであって、
前記分離ギャップは、0.6μm~0.8μmの範囲の距離を有する、音響センサ。
【請求項5】
請求項1に記載の音響センサであって、
前記分離ギャップは、前記音響センサの動作中に最大負荷係数をもたらす、音響センサ。
【請求項6】
請求項1に記載の音響センサであって、
前記結合導波路は、1.5μm未満の最小テーパ直径を有するテーパ付き光ファイバである、音響センサ。
【請求項7】
請求項1に記載の音響センサであって、
前記音響センサは、圧力変動を、前記光共振器を通る透過振幅の変動として符号化する、音響センサ。
【請求項8】
請求項1に記載の音響センサであって、
前記ポリマーが、1.33の屈折率を有する紫外線硬化型ポリマーである、音響センサ。
【請求項9】
音響センシングシステムであって、
ウィスパリングギャラリーモードの光共振器と、
前記光共振器に光学的に結合するための結合導波路であって、第1の端部及びその反対側の第2の端部を有し、かつ、分離ギャップによって前記光共振器から隔てられた、該結合導波路と、
前記結合導波路の一部及び前記光共振器を包むポリマーと、
前記結合導波路の前記第1の端部に結合され、前記低屈折率ポリマーから突出する光源と、
前記結合導波路の第2の端部に結合され、前記低屈折率ポリマーから突出する光検出器と、を備え、
前記光共振器及び前記結合導波路は、それぞれ、前記ポリマーの屈折率よりも高い屈折率を有する、音響センシングシステム。
【請求項10】
請求項9に記載の音響センシングシステムであって、
プロセッサを有するコンピュータ装置を含む駆動システムをさらに備え、
前記駆動システムは、前記光源及び前記光検出器に動作可能に接続され、
前記駆動システムは、
前記光源を或る範囲の波長で動作させ、前記光検出器から複数の検出器信号を受信することによって透過スペクトルを取得するステップであって、前記検出器信号は、前記光共振器に結合された結合ファイバを通る前記光源からの光の透過を符号化する、該ステップと、
前記透過スペクトルに基づいて、圧力変動を検出するための動作波長を選択するステップと、
少なくとも1つの前記透過スペクトルに基づいて前記分離ギャップを選択するステップと、
前記光源を前記動作波長で動作させ、前記光検出器から第2の複数の信号を受信することによって圧力変動を検出するステップと、
を行うように構成されている、音響センシングシステム。
【請求項11】
請求項10に記載の音響センシングシステムであって、
前記圧力変動を、前記光共振器を通る透過振幅の変動として符号化する、音響センシングシステム。
【請求項12】
超音波画像化装置であって、
音響センサを備え、
前記音響センサは、
ウィスパリングギャラリーモードの光共振器と、
前記光共振器に光学的に結合するための結合導波路であって、第1の端部及びその反対側の第2の端部を有し、かつ、分離ギャップによって前記光共振器から隔てられた、該結合導波路と、
前記結合導波路の一部及び前記光共振器を包むポリマーと、
前記結合導波路の前記第1の端部に結合され、前記低屈折率ポリマーから突出する光源と、
前記結合導波路の第2の端部に結合され、前記低屈折率ポリマーから突出する光検出器と、を含み、
前記光共振器及び前記結合導波路は、それぞれ、前記ポリマーの屈折率よりも高い屈折率を有する、超音波画像化装置。
【請求項13】
請求項12に記載の超音波画像化装置であって、
前記音響センサは、圧力変動を、前記光共振器を通る透過振幅の変動として符号化する、超音波画像化装置。
【請求項14】
請求項12に記載の超音波画像化装置であって、
前記音響センサは、超音波トランスデューサによって関心領域に導かれた励起性超音波パルスに応答して、前記関心領域内で生成された超音波パルスを検出するように構成される、超音波画像化装置。
【請求項15】
光音響画像化装置であって、
音響センサを備え、
前記音響センサは、
ウィスパリングギャラリーモードの光共振器と、
前記光共振器に光学的に結合するための結合導波路であって、第1の端部及びその反対側の第2の端部を有し、かつ、分離ギャップによって前記光共振器から隔てられた、該結合導波路と、
前記結合導波路の一部及び前記光共振器を包むポリマーと、
前記結合導波路の前記第1の端部に結合され、前記低屈折率ポリマーから突出するトランスデューサ光源と、
前記結合導波路の第2の端部に結合され、前記低屈折率ポリマーから突出するトランスデューサ光検出器と、を含み、
前記光共振器及び前記結合導波路は、それぞれ、前記ポリマーの屈折率よりも高い屈折率を有する、光音響画像化装置。
【請求項16】
請求項15に記載の光音響画像化装置であって、
前記音響センサは、圧力変動を、前記光共振器を通る透過振幅の変動として符号化する、光音響画像化装置。
【請求項17】
請求項15に記載の光音響画像化装置であって、
前記音響センサは、前記光音響光源によって生成されたレーザパルスの照射に応答して、前記関心領域内で生成された光音響信号を検出するように構成される、光音響画像化装置。
【請求項18】
超音波を検出する方法であって、
音響センサであって、
ウィスパリングギャラリーモードの光共振器と、
前記光共振器に光学的に結合するための結合導波路であって、第1の端部及びその反対側の第2の端部を有し、かつ、分離ギャップによって前記光共振器から隔てられた、該結合導波路と、
前記結合導波路の一部及び前記光共振器を包み、かつ、試料接触面を形成するポリマーと、
前記結合導波路の前記第1の端部に結合され、前記低屈折率ポリマーから突出する光源と、
前記結合導波路の第2の端部に結合され、前記低屈折率ポリマーから突出する光検出器と、を含み、
前記光共振器及び前記結合導波路は、それぞれ、前記ポリマーの屈折率よりも高い屈折率を有する、該音響センサを提供するステップと、
試料を前記ポリマーの前記試料接触面に音響的に結合させ、前記試料内から放射される超音波を、前記ポリマーを介して前記結合導波路の一部及び前記光共振器に伝導させるステップと、
前記光源によって生成された光を、前記結合導波路の前記第1の端部に導入するステップと、
前記結合導波路の前記第2の端部から出た光を前記光検出器によって検出し、検出された光を、該光の振幅を符号化して検出器信号に変換するステップと、
前記検出器信号を予め定められた較正ルールを用いて圧力に変換するステップと、を含む方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2019年9月18日出願の米国仮特許出願第62/901、883号に基づく優先権を主張する。上記出願の開示内容の全体は、参照により本明細書中に援用される。
【0002】
(連邦政府による資金提供を受けた研究開発の記載)
本発明は、米国国立衛生研究所から交付された助成金番号W911NF1710189及びW911NF1210026の下に、米国政府の支援を受けてなされた。米国政府は本発明において一定の権利を有する。
【0003】
(技術分野)
本開示は、一般に、ウィスパリングギャラリーモード共振器を含む音響トランスデューサを使用して超音波画像化を行うためのシステム及び方法に関する。
【背景技術】
【0004】
超音波技術は、様々な分野で、特に、非侵襲的測定、リモートセンシング、及び生物医学的画像化において、関心が高まっている。超音波画像化は、患者の体内の組織境界から反射された超音波パルスを検出することによって、患者の内部構造を非侵襲的に画像化するために、様々な設定で使用される。超音波画像化の用途に使用される超音波検出器は、一般的に、低い雑音等価電力(NEP)を有し、広帯域幅の高周波で機能する。現在利用可能な圧電型の超音波検出器は、これらの要件を概ね満たしている。しかしながら、圧電型の超音波検出器を小型すると、超音波検出に関連するノイズの増加を伴う。そのため、小型の超音波検出器が必要とされる超音波画像化用途では、圧電型の超音波検出器の使用は、ノイズによって制限される。
【0005】
さらに、高周波数の音波を適用して超音波の分解能を高めると、音響減衰の増加に起因して、浸透深さ(侵入深さ)が減少する。分解能と浸透深さとの間のこのトレードオフは、従来の圧電型の超音波センサでは課題であった。
【0006】
フォトニックデバイス(例えば、回析格子、エタロンなど)は超音波検出の性能または感度を犠牲にすることなくマイクロスケールで製造することができるため、フォトニックデバイス及び光学的圧力検出技術は、それらが超音波検出において非常に有望視されており、ますます関心が高まっている。フォトニックデバイスでは、音波によって誘起された歪みに起因する屈折率変調及び/または形状変形は、検出光の強度の変化または該デバイスのスペクトル特性の変化に変換される。いくつかの既存のフォトニックデバイスでは、光共振器が高感度超音波検出器として使用されている。これらの光共振器では、超音波の入射により、共振周波数または透過光強度が変調される。一般に、光共振器の性能は、そのQ値(すなわち、Q値が高いほど、光損失は低くなり、検出可能な共鳴シフトは小さくなる)、並びに、共振器を形成する材料の音響光学的特性及び機械的特性によって制限される。
【0007】
他の目的及び特徴は、以下で、一部は明らかになり、一部は示されるであろう。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0008】
一態様では、音響センサであって、ウィスパリングギャラリーモードの光共振器と、光共振器に光学的に結合するための結合導波路と、結合導波路の一部及び光共振器を包むポリマーと、を含む音響センサが開示される。結合導波路は、分離ギャップによって光共振器から隔てられている。光共振器及び結合導波路は、それぞれ、ポリマーの屈折率よりも高い屈折率を有する。
【0009】
別の態様では、音響センシングシステムであって、ウィスパリングギャラリーモードの光共振器と、光共振器に光学的に結合するための結合導波路と、結合導波路の一部及び光共振器を包むポリマーと、結合導波路の第1の端部に結合され、低屈折率ポリマーから突出する光源と、結合導波路の第2の端部に結合され、低屈折率ポリマーから突出する光検出器と、を備えた音響センシングシステムが開示される。結合導波路は、第1の端部及びその反対側の第2の端部を有し、かつ、分離ギャップによって光共振器から隔てられている。光共振器及び結合導波路は、それぞれ、ポリマーの屈折率よりも高い屈折率を有する。
【0010】
別の態様では、音響センサを備えた光音響画像化装置が開示される。音響センサは、ウィスパリングギャラリーモードの光共振器と、光共振器に光学的に結合するための結合導波路と、結合導波路の一部及び光共振器を包むポリマーと、結合導波路の第1の端部に結合され、低屈折率ポリマーから突出するトランスデューサ光源と、結合導波路の第2の端部に結合され、低屈折率ポリマーから突出するトランスデューサ光検出器と、を含む。結合導波路は、第1の端部及びその反対側の第2の端部を有し、かつ、分離ギャップによって光共振器から隔てられている。光共振器及び結合導波路は、それぞれ、ポリマーの屈折率よりも高い屈折率を有する。
【0011】
別の態様では、超音波を検出する方法であって、音響センサを提供するステップを含む方法が提供される。音響センサは、ウィスパリングギャラリーモードの光共振器と、光共振器に光学的に結合するための結合導波路と、結合導波路の一部及び光共振器を包むポリマーと、光源と、光検出器と、を含む。結合導波路は、第1の端部及びその反対側の第2の端部を有し、かつ、分離ギャップによって光共振器から隔てられている。光源は、結合導波路の第1の端部に結合され、低屈折率ポリマーから突出する。光検出器は、結合導波路の第2の端部に結合され、低屈折率ポリマーから突出する。ポリマーは、試料接触面を形成する。光共振器及び結合導波路は、それぞれ、ポリマーの屈折率よりも高い屈折率を有する。本開示の方法は、試料をポリマーの試料接触面に音響的に結合させ、試料内から放射される超音波を、ポリマーを介して結合導波路の一部及び光共振器に伝導させるステップと、光源によって生成された光を、結合導波路の第1の端部に導入するステップと、結合導波路の第2の端部から出た光を光検出器によって検出し、検出された光を、該光の振幅を符号化して検出器信号に変換するステップと、検出器信号を予め定められた較正ルールを用いて圧力に変換するステップと、をさらに含む。
【0012】
他の目的及び特徴は、以下で、一部は明らかになり、一部は示されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0013】
当業者であれば、以下に説明する図面は説明のみを目的としていることを理解するであろう。以下に説明する図面は、本教示の範囲をいかなる形でも限定することを意図していない。
【0014】
【
図1】
図1Aは、空気中での、様々な直径の光ファイバについて、ファイバモード指数を波長の関数として要約したグラフである。
図1Bは、
図1Aに示した1.6μmの光ファイバのファイバモード分布を示すマップである。
図1Cは、屈折率(n)が1.33のポリマー中での、様々な直径の光ファイバについて、ファイバモード指数を波長の関数として要約したグラフである。
図1Dは、
図1Cに示した1.6μmの光ファイバのファイバモード分布を示すマップである。
【
図2】
図2Aは、屈折率(n)が1.33のポリマー内に封入された光ファイバ(n
fiber)及びマイクロトロイド共振器(m
WGM,tr)内の883nmでの光透過の実効屈折率を要約したグラフである。
図2Bは、
図2Aに示した光ファイバのファイバモード分布を示すマップである。
図2Cは、屈折率(n)が1.33のポリマー内に封入された光ファイバ(n
fiber)及びマイクロトロイド共振器(m
WGM,tr)内の778nmでの光透過に対する実効屈折率数を要約したグラフである。
図2Dは、
図2Cに示した光ファイバのファイバモード分布を示すマップである。
図2Eは、屈折率(n)が1.33のポリマー内に封入された光ファイバ(n
fiber)及びマイクロトロイド共振器(m
WGM,tr)内の709nmでの光透過の実効屈折率数を要約したグラフである。
図2Fは、
図2Eに示した光ファイバのファイバモード分布を示すマップである。
【
図3】本開示の一態様による光共振器ベースの音響圧力センサの画像である。
【
図4A】
図3に示した光共振器型音響センサの断面概略図であり、光共振器型音響圧力センサは、低屈折率ポリマー材料で形成されたケーシング内に埋め込まれている。
【
図4B】
図4Aに示した埋め込み式の光共振器型音響センサの概略側面図である。
【
図5】本開示の一態様による光共振器ベースの音響センシングプローブを備えた音響画像化システムを示す図である。
【
図6】光共振器ベースの音響センシングプローブを透過する透過光強度のスペクトルを透過光波長の関数として示した図である。
【
図7】光共振器ベースの音響センシングプローブが超音波パルスに応答して生成された信号の一例を示すグラフである。
【
図8】本開示の一態様によるシステムを概略的に示すブロック図である。
【
図9】本開示の一態様によるコンピュータ装置を概略的に示すブロック図である。
【
図10】本開示の一態様によるリモートまたはユーザコンピュータ装置を概略的に示すブロック図である。
【
図11】本開示の一態様によるサーバシステムを概略的に示すブロック図である。
【
図12】本開示の一態様によるマイクロトロイド共振器の製造方法を示す概略図である。
【
図13A】本開示の一態様による音響センサの組み立て方法を示す概略側面図である。
【
図13B】本開示の一態様による音響センサの組み立て方法を示す概略上面図である。
【
図14】本開示の一態様による光音響センサから送信読み取り値を取得するための携帯型装置のディスプレイを示すスクリーンショットである。
【
図15】本開示の一態様による光共振器ベースの音響センサを備えた超音波画像化システムの要素を示す概略図である。
【
図16A】空気中の光共振器ベースの音響センサの臨界結合からのギャップ離調に関する感度負荷係数を要約したグラフである。
【
図16B】n=1.33ポリマー内に封入された光共振器型音響センサの臨界結合からのギャップ離調に関する感度負荷係数を要約したグラフである。
【
図17A】脂肪組織または乳房組織を代表する組織サンプル中に様々な程度のセンサ増強を有する光共振器ベースの音響センサを組み込むことによって可能となる様々なセンサ増強についての超音波センサの侵入深さを、超音波周波数の関数として示したグラフである。
【
図17B】血液を代表する組織サンプル中に様々な程度のセンサ増強を有する光共振器ベースの音響センサを組み込むことによって可能となる様々なセンサ増強ついての超音波センサの侵入深さを、超音波周波数の関数として示したグラフである。
【
図18A】画像解像度及び透過深さの関数としてマッピングされた様々な既存の画像化モダリティ(OCT/光干渉断層法、PAT/光音響断層法、US/超音波、MRI/磁気共鳴画像法)を要約したグラフである。
【
図18B】本開示の一態様による様々な画像化モダリティにおける光共振器ベースの音響センサによって提供される改善された感度の効果を示す、
図18Aのグラフに対応するグラフである。
【
図19】本開示の態様による単一のマイクロトロイドセンサを示す光学顕微鏡画像である。
【
図20A】様々な圧力で送達された5MHzの超音波パルスに応答してポリマー封入ミクロトロイド圧力センサによって測定された信号を要約したグラフである。
【
図20B】様々な圧力で送達された20MHzの超音波パルスに応答してポリマー封入ミクロトロイド圧力センサによって測定された信号を要約したグラフである。
【
図21】ポリマー封入ミクロトロイド圧力センサを使用して得られた信号振幅を、ポリマー封入ミクロトロイド圧力センサのSNRを評価するために使用される周波数離調の関数として要約したグラフである。
【
図22】或る範囲の周波数で送達される超音波パルスを検出するポリマー封入マイクロトロイド圧力センサによって得られる正規化された信号振幅を示すグラフである。
【
図23A】ポリマー封入マイクロトロイド圧力センサの表面上への入射音波の方向を定量化するために使用される符号規則を示す概略図である。
【
図23B】
図23Aに定義された入射音角度の範囲で送達される超音波パルスを検出するポリマー封入ミクロトロイド圧力センサによって得られる正規化信号強度のマップである。
【
図24】本開示の一態様によるマイクロトロイド圧力センサを用いた音響信号の検出の概略図である。
【
図25】共振器の波長アップスキャン中の共振器内の波長離調及び透過率を示すグラフを含む。
【
図26】本開示の一態様による光音響画像化システムの概略図である。
【0015】
図面には、現在説明されている構成が示されているが、本実施形態は図示した構成に限定されるものではなく、示された手段であることを理解されたい。様々な実施形態が開示されているが、本開示の例示的な態様を示す以下の詳細な説明から、本発明のさらなる別の実施形態が当業者には明らかになるであろう。理解されるように、本発明は、本発明の精神及び範囲から逸脱することなく、様々な態様で改変が可能である。したがって、図面及び詳細な説明は、本質的に例示的なものであり、限定的なものではないと見なされるべきである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
様々な態様では、低屈折率ポリマーで包まれた超高品質のウィスパリングギャラリーモード(WGM)光共振器を含む圧力センサが開示される。様々な別の態様では、ポリマーで包まれた(polymer-encased)ウィスパリングギャラリーモード(WGM)光共振器は、圧力検出システムに含まれる。様々な別の態様では、医用画像化システム、これに限定しないが例えば超音波画像化システムは、音響センサとして、ウィスパリングギャラリーモード(WGM)光共振器を含む。光共振器は、圧電材料に基づく従来のハイドロフォンと比較して、入射した音波によって誘起される機械的摂動に対する循環光の高い感度を利用することができ、したがって、音響信号に対するより高い感度を実現することができる。また、WGMマイクロ共振器(WGM光共振器)を使用して実現可能なサブミリメートルサイズのフットプリントにより、(1)コンパクトなセンサアレイの形成、及び、(2)音響応答帯域幅の高周波数への拡大が期待される。
【0017】
様々な態様では、ポリマーで包まれたWGM光共振器は、以下でさらに詳細に説明するように、高い光学品質係数(Q~107)と、入ってくる音響信号に反応する豊富な機械的モードとの両方を有する。ポリマーケーシング(polymer casing)は、ファイバテーパ及びWGM光共振器の結合を固定配置に維持し、それにより、機械的摂動のない、システムのロバストな光学的駆動を可能にする。ポリマーケーシングは、製造時の光学パッケージングプロセスをさらに単純化し、そのようなパッケージングは、圧力センサとしてのポリマーケーシングされたWGM光共振器の、様々な装置、これに限定しないが例えば超音波画像化システムの設計への組み込みを簡素化にする。
【0018】
I.光共振器ベースの音響センサ、センサシステム、及びその使用方法
【0019】
本発明の詳細及び様々な実施形態は、図面を参照することによって、よりよく理解されよう。
図3を参照すると、光共振器ベースの音響センシングシステム100が示されている。様々な態様では、システム100は、光源101、これに限定しないが、例えば波長可変レーザを備える。システム100は、基板113に取り付けられたWGM光共振器102と、レーザエネルギーをWGM光共振器102の共振モードに出し入れするための結合導波路104とをさらに備える。システム100は、光源101によって生成されたレーザエネルギーを結合導波路104に導くように構成された光結合器103をさらに備える。適切な光源の非限定的な例としては、半導体レーザ(DFBまたはFPレーザダイオード)、GaNまたは同様のLEDオンチップ光源、または、温度制御または駆動電流制御によって波長を微調節することができるオンチップWGMマイクロレーザが挙げられる。結合導波路104の、光結合器103が配置された端部とは反対側の端部に結合された受光器106(または光検出器)を使用して、結合導波路104の出力ポート110でレーザ信号108を検出することができる。
【0020】
様々な態様では、光源101及び受光器106の両方は、コンピュータ装置112(図示せず)に接続されている。様々な態様では、コンピュータ装置112は、光源101の動作を制御するように、かつ、受光器106からの出力を処理してWGM光共振器102からの光透過に関する情報を抽出するように構成されている。別の態様では、以下でさらに詳細に説明するように、システム100のコンピュータ装置112は、プロセッサ及び不揮発性コンピュータ可読メモリ(図示せず)をさらに含む。
【0021】
図4A及び
図4Bはそれぞれ、
図3に示したシステムと同様のシステム100の概略的な断面図及び側面図である。このシステム100では、WGM光共振器102、及び、結合導波路104の一部114が、低屈折率ポリマー116内に封止されている。一態様では、低屈折率ポリマー116は、結合導波路104及びWGM光共振器102の一部114の結合を固定配置に維持する。いくつかの態様では、固定配置は、結合導波路104をWGM光共振器102から隔てる分離ギャップ118を含む。一態様では、分離ギャップ118は、結合導波路104を介して導かれたレーザエネルギーのWGM光共振器102への臨界結合をもたらすように選択される。別の態様では、以下でさらに詳細に説明するように、WGM光共振器102の動作を、センサ感度向上に関連する最大負荷係数に近づけるために、分離ギャップ118は、臨界結合ギャップ距離からわずかにオフセットされている。
【0022】
様々な態様では、分離ギャップの選択された値は、これに限定しないが、WGM光共振器の寸法及び材料、結合導波路の寸法及び材料、封止ポリマーの寸法及び材料、WGM光共振器ベースの圧力センサの動作パラメータ、及び任意の他の関連する因子を含む複数の因子のうちの任意の1以上の影響を受ける。上述した因子の少なくとも一部の関係の詳細な説明は、以下でさらに詳細に説明する。
【0023】
再び
図4A及び
図4Bを参照して、低屈折率ポリマー116は、以下でさらに詳細に説明するように、結合導波路104とWGM光共振器102との間で光を効率的に伝達し、かつ、超音波画像化システムを使用して画像化される組織から超音波を効率的に受信するように構成されている。様々な態様では、低屈折率ポリマー116は、未硬化状態で、WGM光共振器102、結合導波路104、及び基板113上に塗布し、その後、硬化方法を用いてその場で硬化させる。低屈折率ポリマー116を硬化させるために、選択されたポリマー材料に適合する限り、いかなる既知の硬化方法を使用してもよい。適切な硬化方法の非限定的な例としては、UV硬化、湿気硬化、及び架橋硬化が挙げられる。いくつかの態様では、以下でさらに詳細に説明するように、低屈折率ポリマー116の音響インピーダンス及び/または屈折率を、システム100の効率的な動作を可能にするレベルになるように、硬化の程度を調節してもよい。非限定的な例として、硬化方法により、WGM光共振器102と結合導波路104との間の効率的な光透過に適した屈折率、並びに、超音波画像化される組織に適合したメカニカルインデックスによって特徴付けられる硬化ポリマーを生成することができる。特定の理論に限定されないが、低屈折率ポリマー116の組織への機械的マッチングは、画像化される組織から放射される超音波パルスの効率的な伝達を容易にすることができる。
【0024】
別の態様では、低屈折率ポリマー116は、追加の膜層120で覆われている。様々な態様では、膜層120は、それの下層の低屈折率ポリマー116を密封するように選択され、酸素が低屈折率ポリマー116と接触するのを防止するバリアを提供し、それによって、以下でさらに詳細に説明するUV硬化プロセスなどの硬化プロセスを促進する。いくつかの態様では、膜層120は、硬化プロセスの完了時に、システム100の低屈折率ポリマー116から除去される。別の態様では、膜層120は、低屈折率ポリマー116の露出面上に保持される。これらの別の態様では、膜層120の材料は、以下でさらに詳細に説明するように、音響センシングシステム100を含む超音波画像化システムを使用して画像化される組織に音響的に適合するように選択される。
【0025】
様々な態様では、膜層120は、酸素が下層の低屈折率ポリマー116の層に浸透するのを防止することができる任意の適切な材料である。適切な膜層材料の非限定的な例としては、カバースリップ、ポリマー層、及び任意の他の適切な膜材料が挙げられる。いかなる特定の理論にも限定されないが、膜層の屈折率は、本明細書に記載される、ポリマー内に封止されたWGM光共振器102及び結合導波路104の性能に影響を与えない。いくつかの態様では、膜層120は、上述したように、画像化される組織に音響的に適合する材料を使用して製造される。
【0026】
様々な態様では、膜層120は予め形成し低屈折率ポリマー116上に適用してもよいし、または、膜層120は未硬化状態で低屈折率ポリマー116上に適用し所定位置で硬化させてもよい。非限定的な例として、予め形成された膜層を低屈折率ポリマー上に適用することにより、上述したような低屈折率ポリマーの硬化完了後の膜層の除去を容易にすることができる。別の非限定的な例として、画像化される組織に音響的に適合する膜材料を所定位置に適用し、硬化させて、膜層と低屈折率ポリマーとの間の密接度を高め、それによって、組織からセンサへの音響信号の効率的な伝達を促進することができる。
【0027】
様々な態様では、膜層の厚さは、約0.1mm~約5mmの範囲である。様々な別の態様では、膜層の厚さは、約0.1mm~約0.3mm、約0.2mm~約0.4mm、約0.3mm~約0.5mm、約0.5mm~約0.7mm、約0.6mm~約0.8mm、約0.7mm~約0.9mm、約0.8mm~約1.0mm、約0.9mm~約1.1mm、約1.0mm~約2mm、約1.5mm~約2.5mm、約2mm~約3mm、約2.5mm~約3.5mm、約3mm~約4mm、約3.5mm~約4.5mm、及び、約4mm~約5mmの範囲である。
【0028】
図4Bは、
図4Aに示したシステム100の側面図である。
図4Bに示すように、結合導波路104の低屈折率ポリマー116で封止された部分114に隣接する結合導波路104の両端部は、低屈折率ポリマー116から突出している。これにより、結合導波路104の一方の端部において、光結合器103を介して光源101を結合導波路104に結合させ、結合導波路104の他方の端部において、光検出器106を結合導波路104に結合させることが可能になる。光検出器106は、結合導波路104の出力ポート110から出力されたレーザ信号を検出し、検出されたレーザ信号の出力を表す検出器出力信号122を送信するように構成されている。
【0029】
様々な態様では、以下でさらに詳細に説明するように、コンピュータ装置112は、光共振器ベースの音響センシングシステム100を走査モードで動作させて動作波長を選択するとともに、動作波長でロックされたシステム100を動作させて音響信号を検出するようにさらに構成される。一態様では、以下でさらに詳細に説明するように、コンピュータ装置112は、結合導波路104に導入された波長を走査するために光源を制御及び調節するとともに、検出器出力信号の透過スペクトルを分析するための選択アルゴリズムを実行するように構成され、それによって、検出された偏光度を導出して、複数の偏光度から適合する偏光度を選択する。
【0030】
様々な態様では、光共振器は、約50μm~約200μmの範囲の直径を特徴とすることができる。様々な別の態様では、共振器の直径は、約50μm~約60μm、約55μm~約65μm、約60μm~約70μm、約65μm~約75μm、約70μm~約80μm、約75μm~約85μm、約80μm~約90μm、約85μm~約95μm、約90μm~約100μm、約95μm~約105μm、約100μm~約120μm、約110μm~約130μm、約120μm~約140μm、約130μm~約150μm、約140μm~約160μm、約150μm~約170μm、約160μm~約180μm、約170μm~約190μm、及び、約180μm~約200μmの範囲である。
【0031】
特定の理論に限定されないが、光共振器の直径は、光共振器ベースの圧力センサの性能に関連する複数の因子のうちの少なくとも1つ、これに限定しないが、例えば、圧力センサの共振波長及び中心周波数に影響を与える。
【0032】
様々な別の態様では、結合導波路は、これに限定しないが、任意の適切な導波路を含む。一態様では、結合導波路は、テーパ付き光ファイバである。様々な態様では、テーパ付き光ファイバの最小直径は、約0.5μm~約5μmの範囲である。様々な別の態様では、テーパ付き光ファイバの最小直径は、約0.5μm~約0.7μm、約0.6μm~約0.8μm、約0.7μm~約0.9μm、約0.8μm~約1.0μm、約0.9μm~約1.1μm、約1μm~約2μm、約1.5μm~約2.5μm、約2μm~約3μm、約2.5μm~約3.5μm、約3μm~約4μm、約3.5μm~約4.5μm、及び、約4μm~約5μmの範囲である。いかなる特定の理論にも限定されないが、テーパ直径を小さくすると、本明細書に記載されるように、本開示の音響センサのWGM光共振器への短光波長の結合を最適化することができると考えられる。
【0033】
一態様では、結合導波路は、少なくとも1.5μmの最小直径、約2cmのテーパ長、及び約125μmのファイバ端部直径を有するテーパ付き光ファイバを含む。様々な別の態様では、結合導波路は、これに限定しないが、溶融シリカ材料、低損失光学ポリマー、及び任意の他の適切な材料を含む、当技術分野で既知の任意の適切な材料から構成される。
【0034】
様々な態様では、WGM光共振器ベースの音響センサの性能は、これに限定しないが、任意の適切な既存の分析方法を用いて評価することができる。一態様では、トロイダル共振器ベースの音響センサによって得られた超音波振幅の測定値は、SNR及びノイズ等価圧力を評価するために、
図21に示すような標準的な方法を用いて分析することができる。別の態様では、超音波圧力の或る範囲におけるトロイダル共振器ベースの音響センサの応答振幅の測定値は、超音波の様々な周波数におけるセンサの感度を測定するための標準的な方法を用いて分析することができる。非限定的な例として、様々な波圧での5MHz及び20MHzの超音波に対するトロイダル共振器型音響センサの信号振幅を、それぞれ
図20A及び
図20Bに示す。さらなる態様では、
図22に示すように、超音波周波数の或る範囲に対するトロイダル共振器ベースの音響センサの応答振幅の測定値は、センサの帯域幅を測定するための標準的な方法を用いて分析することができる。本明細書に記載されるような、ポリマーで封止されたWGM光共振器を含む音響センサの音響センシング性能は、下記の表1に要約される。
【0035】
【0036】
別の非限定的な例として、表1で特徴付けられるような音響センサの音響センシング性能を、下記の表2に示す従来の圧電トランスデューサの対応する性能と比較して示す。
【0037】
【0038】
図6を参照して、高QのWGMから得られる透過スペクトルは、一般的に、ローレンツ線形状を有する。
図24に示すように、入射した超音波は、屈折率変調及び/または形状変形(
図24の左側の画像を参照)を誘発することができ、これは、透過スペクトルにおける共鳴シフト(
図24の右側のグラフ参照)に変換される。動作波長が固定された場合、共振周波数の変動は、送信光パワーの経時的な振動として反映される(
図24の右グラフの出力パワー信号を参照)。一態様では、入射した超音波によって誘起される出力振動の振幅を最大にするために、動作波長は、透過スペクトルの傾斜が最大となる点2402に対応する波長に設定される。
【0039】
熱的に安定な側のみが有利であることに留意されたい。特定の理論に限定されないが、熱的に安定な側は、これに限定しないが共振器の材料に関連する熱光学係数を含む少なくとも1つの因子に依存して、短波長側または長波長側のいずれかである。共振器の熱光学係数が、正の熱光学係数で特徴付けられる誘電体材料、これに限定しないが、例えば、シリカ、シリコン、窒化シリコンによって支配される場合、短波長側(
図6の領域606)が熱的に安定な側となる。共振器の熱光学係数が、負の熱光学係数で特徴付けられる高分子材料によって支配される場合、長波長側(
図6の領域608)が熱的に安定な側となる。
【0040】
図25に示すように、高Qのマイクロ共振器の透過スペクトルにおける熱的に安定な領域は、波長走査プロセス中に三角形状2502を有することが確認されている。非限定的な例として、正の熱光学係数(dn/dT>0)を有する誘電体材料から作製された高Qのシリカ製のマイクロ共振器の場合、波長アップ走査プロセス中にポンプレーザの波長が共振波長に近づくと、キャビティ(共振器)が加熱を開始し、共振波長を赤色シフトさせ、アップ走査を、共振波長と走査ポンプ波長との間の追跡プロセスにする、すなわち、共振波長と走査ポンプ波長との両方を同じ方向にシフトさせる。具体的には、共振波長とポンプ波長との両方は線形に増加し、一方、それらの間の波長離調は線形に減少する。この追跡プロセスでは、ポンプ波長(
図25の上側のグラフにおいて破線で示す)が移動する共振波長(
図25の上側のグラフにおいて実線で示す)を追跡し、それらの間の離調は、共振の帯域幅内に収まる。したがって、共振器は共振状態で動作し、ポンプレーザのエネルギーは共振器に結合される。この追跡プロセスは、ポンプ波長が共振波長に追いつくまで続けられる。この点を超えると、ポンプレーザが共振波長をそれ以上プッシュすることができないので、共振状態は、移動する共振波長の領域2504で急速に失われる。
【0041】
熱的に安定な領域は、上述のような正の熱光学係数を有する共振器材料の場合は波長アップスキャン(
図25参照)中に特定され、負の熱光学係数を有する共振器材料の場合は波長ダウンスキャン(図示せず)中に特定されることに留意されたい。共振器の熱光学係数が、熱光学係数>0を有するシリカ、シリコン、窒化シリコンなどの誘電体材料によって支配される場合、波長アップスキャン側(短波長側)が熱的に安定な側となる。共振器の熱光学係数がポリマーによって支配される場合(熱光学係数<0)、波長アップスキャン側(長波長側)が熱的に安定な側となる。
【0042】
a.共振器及び光ファイバの配置
【0043】
様々な態様では、光ファイバ及び光共振器の寸法及び配置は、センサの性能に関連する様々な因子を組み込んだ1以上の規則にしたがって決定される。一態様では、テーパ状光ファイバと光共振器の外周とを分離するギャップを決定するために、分離規則を用いることができる。別の態様では、光ファイバ及び光共振器の寸法及び配置は、以下に説明する複数の因子の影響を受ける。
【0044】
特定の理論に限定されないが、ファイバ導波路の寸法により、導波路モードの実効屈折率が決定され、ファイバテーパと共振器との間のギャップにより、結合強度が決定される。結合強度は、結合誘起損失として、代替的に定量化することができる。本明細書では臨界結合とも称される理想的に励起されたWGMは、結合されたWGMとファイバテーパの透過スペクトル内の狭くて深いローレンツのディップ形状によって特徴付けられる。この臨界結合は、(i)ファイバ導波路モードの実効屈折率がWGMの実効屈折率に一致し、かつ、(ii)結合誘起損失が共振器内部の固有損失に等しい場合に実現される。
【0045】
b.理想的なファイバテーパの決定
【0046】
様々な態様では、ウィスパリングギャラリーモード(WGM)のマイクロトロイド共振器において光学モードを励起するための理想的なファイバテーパは、以下でさらに詳細に説明する様々な基準を用いて決定される。
【0047】
一態様では、理想的なファイバテーパは、以下に示すように、目標WGMとの位相整合条件を満たすべきである。
【0048】
【0049】
上記の式中、nWGM、trは、WGMマイクロトロイド共振器(nWGM)の変換された実効屈折率である。nfiberは、ファイバテーパの直径と屈折率によって決定される。nWGMは、共振器の寸法及び屈折率、並びに、周囲媒質の屈折率によって決定される。様々な態様では、nfiber及びnWGMの両方は、これに限定しないが有限要素法(FEM)などの当技術分野で既知の任意の適切な方法を用いて、数値的に計算され得る。
【0050】
nfiber:
【0051】
一態様では、FEMモード解析が適用され、
図1A~
図1Dに示すように、空気中(
図1A及び
図1B)、及び、低屈折率(n=1.3)ポリマー中(
図1C及び
図1D)の様々なテーパ直径について、様々な直径及び周囲材料を有するファイバモードのモード分布及び実効屈折率をシミュレートする。
【0052】
nWGM:
【0053】
さらなる態様では、FEM固有周波数解析(2D回転対称モデル)を適用して、WGMマイクロトロイド共振器のモード分布及び固有周波数をシミュレーションする。この態様では、nWGMは、下記の式を用いて導出される。
【0054】
【0055】
上記の式中、mは、方位角モード次数であり、cは、光の速度であり、ωは、シミュレートされた固有振動数である。Reは、「モード質量中心」の半径位置であり、下記の式で表される。
【0056】
【0057】
上記の式中、Eは、電界の振幅であり、n(r)は、屈折率である。
【0058】
nWGM、tr:
【0059】
別の態様では、nWGM、trは、下記の式を用いて求められる。
【0060】
【0061】
上記の式中、dsepは、WGMの「モード質量中心」とファイバ中心との間の距離である。
【0062】
結合ギャップが非常に小さい場合、すなわち、ファイバのテーパが共振器にほとんど接触している場合、下記のように表される。
【0063】
【0064】
上記の式中、a及びafは、それぞれ、マイクロトロイド及びファイバテーパ半径の短半径であり、Rpは、マイクロトロイド共振器の長半径である。
【0065】
図2A、
図2C、及び
図2Eはそれぞれ、上述の方程式及び方法を用いて作成した、883nm、778nm、及び709nmの波長でファイバテーパ直径が変化する実効屈折率n
WGM、tr及びn
fiberを要約したグラフである。
図2B、2D、及び2Fはそれぞれ、
図2A、
図2C、及び2Eの光ファイバのファイバモード分布のマップである。
図2A、
図2C、及び
図2Eは、ポリマー背景についての理想的なテーパ直径は、883nm、778nm、及び709nmの波長で、それぞれ1.41μm、1.31μm、及び1.25μmであることを示す。
【0066】
c.低屈折率ポリマー層
【0067】
様々な態様では、WGM光共振器と、結合導波路の一部とが、低屈折率ポリマー材料で包まれる。ポリマー封止(polymer encasement)は、本明細書に記載されるように、製造、超音波画像化システムなどの様々な装置への組み込み、及び、圧力を検出するためのWGM光共振器ベースの光圧力センサの使用に関連する様々な機能を実現する。いくつかの態様では、ポリマー封止は、(i)結合領域の保護、(ii)入力音響信号の効果的な送達、及び、(iii)振動構造体のための減衰層として作用、の3つの機能を果たす。封止ポリマー(encasement polymer)によって実現される上記の複数の機能は、封止ポリマー材料及びポリマー層寸法の選択に制約を課す。
【0068】
一態様では、封止ポリマー材料は、迅速な硬化を可能にし、かつ、屈折率及び密度の変化を最小限に抑えるように選択される。別の態様では、封止ポリマー材料は、入力信号(これに限定しないが、超音波または光音響画像化システムを使用して画像化される組織から放射される超音波パルスを含む)に対して音響的に透明であるように選択される。別の態様では、WGM光共振器ベースの圧力センサに送達される音響信号は、封止ポリマー層の寸法を変更することによって増強させることができる。この別の態様では、ポリマー封止層の厚さは、音響中心波長の(1/4+n/2)倍に設定することができ、及び/または、ポリマー封止層に凸状の上部境界を形成して、WGM光共振器に対する音響集束性を高めることができる。さらなる別の態様では、封止ポリマー材料は、パルス音響入力に対する応答テールを除去するために、受信した圧力パルスに応答して、共振器構造体の機械的振動の効果的な減衰を高めるように選択される。
【0069】
例示的な一態様では、上述のように封止ポリマー層を形成することによってセンサ感度を高めたり、適切なレベルの音響減衰を有するポリマーを選択することによって機械的振動または多重反射による応答テールを最小限に抑えたりするために、封止ポリマー材料を選択及び加工することができる。
【0070】
様々な態様では、封止ポリマー材料は、本明細書では、WGM光共振器及び結合導波路の屈折率よりも小さい屈折率を有するポリマーとして定義される低屈折率ポリマーであり得る。いかなる特定の理論にも限定されないが、封止ポリマー材料を包含することにより、WGM光共振器及び結合導波路の結合誘起モードの広がり、空気中の同等のシステムと比較して増大する。非限定的な例として、低屈折率ポリマー(
図1D参照)内に封止された光ファイバのファイバモード分布は、空気中の光ファイバのファイバモード分布(
図1B参照)と比べて広くなる。その結果、以下でさらに詳細に説明するように、選択された封止ポリマーの屈折率は、最適な分離ギャップの距離でのカップリングファイバの正確な位置決めに対するセンサ性能の感度を向上させることができる。特定の理論に限定されないが、屈折率コントラスト(n
contrast=n
resonator/n
polymer)は、以下でさらに詳細に説明するように、WGM光共振器のローレンツ線形(
図6)及び負荷曲線(
図16B)に影響を与える。特に、n
contrastが1に近づくと、のローレンツ線形と負荷曲線は広がり、Q値は低下する。
【0071】
様々な別の態様では、封止ポリマー材料の音響インピーダンスは、WGM光共振器ベースの圧力センサを組み込んだ超音波画像化システムを使用した超音波画像化に供される試料の音響インピーダンスに適合させることができる。非限定的な例として、PDMSは、一般的な生物組織との音響ミスマッチの程度が比較的低い(約2倍)ポリマーである。様々な別の態様では、超音波のWGM光共振器への効率的な伝達を維持しながら、封止ポリマー材料の音響減衰を選択することにより、封止ポリマー材料内の超音波の内部エコーを抑制することができる。
【0072】
様々な態様では、これに限定しないが、当技術分野で既知の任意の適切な光学ポリマーを、封止ポリマーとして使用するために選択することができる。様々な態様では、封止ポリマーは、これに限定しないが、UV硬化ポリマーまたは水硬化ポリマーを含む。適切な封止ポリマー材料の非限定的な例としては、PDMS、PFOA、及び、非PFOA型フルオロ(メタ)アクリレートが挙げられる。
【0073】
d.中心周波数
【0074】
様々な態様では、WGMベースのセンサの音響応答帯域の中心周波数は、共振器の固有の機械的モードによって決定される。非限定的な例として、微小球において、同じ次数の機械的モードに対する機械的共振周波数は、微小球共振器の直径に反比例し、自由球モデルに基づく理論的予測と一致する。別の非限定的な例として、チップベースのマイクロディスクまたはマイクロトロイド共振器の場合、機械的共振周波数は、自立型ディスク膜の長さ、すなわちアンダーカットサイズに近似的に反比例する。
【0075】
e.結合ギャップ
【0076】
様々な態様では、WGM光共振器ベースの圧力センサの結合ギャップは、少なくともいくつかのセンサ性能パラメータのうちの任意の1以上、これに限定しないが、例えば、WGM光共振器と結合導波路との臨界結合、及びセンサ感度、を高めるように選択される。
【0077】
特定の理論に限定されないが、結合誘起モードの広がりκcは、exp(-2γd)に比例することが見出された。ここで、γは、
【0078】
【0079】
によって推定される共振器本体の外側の電界減衰係数であり、dは、結合ギャップの幅である。空気バックグラウンドでは、ncontrast=nresonatorであり、ポリマーパッケージでは、ncontrast=nresonator/npolymerである。
【0080】
いくつかの態様では、WGM光共振器ベースの圧力センサの感度は、WGM光共振器のローレンツ線形の一方の側の中心にレーザ周波数がロックされたときに向上する。
図16Aには、封止物が存在しないセンサについて(空気)、
図16Bには、低屈折率ポリマー封止が存在するセンサについて示されている。熱的にロックされた場合、短波長側は正の熱光学係数を有する材料(誘電体材料)に対して安定的となり、一方、長波長側は負の熱光学係数を有する材料(ポリマー)に対して安定的となる。分析的には、下記のように表すことができる。
【0081】
【0082】
上記の式中、Δωは、ポンプレーザと実時間共振との間の角周波数離調であり、Tは、観測可能な透過率である。
【0083】
別の態様では、共鳴シフトによって示される小さな信号が最も増幅されるように、理想的な動作離調は、透過スペクトルの最大勾配で発生する。加えて、結合誘導κ
cは、透過率のローレンツ線形の深さと幅に関係している。非限定的な例として、
図6は、透過スペクトルのグラフであり、深さ602、幅604、及び最大傾斜606が示されている。
【0084】
一態様では、標準的な結合基準は、「臨界結合」と定義され、κ0=κcであり、最も深い線形状は、送信パワーの完全な拡張の直接的なインジケータによって実現される。Δdを臨界結合のギャップからのギャップ幅離調とした場合、κc=κ0exp(-2γΔd)となるため、T´(Δωideal)に比例する理論上の感度は、Δdの関数として表すことができる。
【0085】
【0086】
臨界結合での感度を正規化することによって、結合によって誘発される負荷係数が定義される。
【0087】
【0088】
図16A及び
図16Bは、空気中及びポリマー中(n=1.33)における780nmでの負荷係数をそれぞれプロットしたグラフである。
【0089】
f.マイクロトロイドの製造方法
【0090】
様々な態様では、マイクロトロイドWGM光共振器は、当技術分野で既知の任意の適切な方法を用いて、シリコンウェハまたは任意の他の適切な基板上に製造することができる。非限定的な例として、
図12は、一態様におけるマイクロトロイド製造方法の概要を示す。
図12を参照して、単結晶シリコン基板上にシリカ層を酸化させ(ステップ1)、任意の適切な方法、これに限定しないが例えば熱蒸着及びスピンコーティングなどを用いて、シリカ層上にHDMSを堆積させる(ステップ2)。この態様では、フォトレジスト上にUVマスクを堆積させた後にUV露光を行い(ステップ3)、現像中にマスクされていないフォトレジストを除去する(ステップ4)。フォトレジストの除去によって露出したシリカ層の部分を、任意の適切な方法を用いて除去する(ステップ5)。シリコン基板の一部を除去して、任意の適切な方法を用いて支持カラムを形成し(ステップ6)、続いて、任意の既知の方法、これに限定しないが例えばCO
2レーザリフローを用いて、シリカ層の周囲のシリカリップを形成し、マイクロトロイドを完成させる(ステップ7)。上述した方法を用いて作製したマイクロトロイドの画像を
図19に示す。
【0091】
様々な態様では、光共振器は、任意の適切な形態、これに限定しないが、例えば、マイクロトロイド、マイクロディスク、マイクロリング、微小球、及び任意の他の適切な形態で提供され得る。様々な別の態様では、光共振器は、任意の適切な材料、これに限定しないが、例えば、シリコン、シリカ、ニオブ酸リチウム、及び限定されない他の任意の適切な材料を含むから構成され得る。
【0092】
g.センサのパッケージ化方法
【0093】
様々な態様では、WGM光共振器ベースの音響センサは、サブミリメータレベルのフットプリントを有し、コンパクトなセンサアレイの形成を可能にすることを特徴とする。いくつかの態様では、WGM光共振器ベースの音響センサのオンチップ設計を使用して、0.3mm程度の小さな周期を有する一次元または二次元センサアレイを構築することができる。
【0094】
一態様では、本明細書に記載されるWGM光共振器は、これに限定しないが、任意の適切な既存の製造方法を用いて、市販のシリコンウェハ上に製造することができる。別の態様では、現在の半導体産業の製造システム及び方法に対する適切な製造方法の適合性により、センサのコストは、大幅に低減される。
【0095】
非限定的な例として、
図13A及び
図13Bに示すように、マイクロトロイド共振器1302は、工学的機械スペクトル及び側面の支持壁を有する基板1312上に製造される。最適な直径を有するテーパ付き光ファイバ1304を作製し、封止ポリマー1306内に配置し、マイクロトロイド1302と結合させる。一態様では、マイクロトロイド1302に隣接するテーパ付き光ファイバ1304の位置決めを容易にするために、基板1312上にファイバガイド1308が作製される。この態様では、基板1312は、調節可能なプラットフォーム、これに限定しないが、例えば、プラットフォームを移動させ、ファイバガイド1308及びマイクロトロイド1302をテーパ付き光ファイバ1304に結合させるように構成されたマイクロステージまたはマイクロマニピュレータに結合される。
【0096】
この態様では、
図13A及び
図13Bに示すように、マイクロトロイド1302及びファィバ1304は、UV硬化性低屈折率ポリマーで覆われる。次に、マイクロトロイド1302とファィバ1304との間のギャップ1310を調節することによって、ポリマーで覆われたマイクロトロイド1302及びファイバガイド1308を移動させて、ポリマーにおける最適な結合ギャップに調節される。一態様では、最適な調節ギャップは、
図14に示すような、コンピュータ装置を使用して、様々なギャップ距離についての透過スペクトルを反復的に取得することによって特定することができる。マイクロトロイド1302及びファィバ1304が上述のように所望のギャップに配置されると、低屈折率ポリマーが直接UV光に暴露され、結合領域の硬化の兆候が検出されるまで、
図14に示すように透過スペクトルをリアルタイムで監視する。一態様では、結合領域の硬化の兆候は、透過スペクトルにおける光学共鳴の高速シフトを含む。別の態様では、ポリマー層をUV硬化するための不活性環境を構築するために、センサ装置全体をプラスチックフィルムで覆ってもよい。この不活性環境下では、封止ポリマー層全体をこの態様で硬化させることができる。
【0097】
一態様では、
図14に示す光共振器の駆動システムは、電話機サイズのシステムとして提供することができる。この電話機サイズのシステムは、ファイバ及びマイクロトロイドを位置決めしながら装置の性能を評価するために、並びに、本明細書に記載されるような様々な装置において圧力センサを動作させるために使用することができる。
【0098】
II.画像化システム
【0099】
様々な態様では、上述の光共振器ベースの音響センサは、従来の音響センサでは前例のないレベルでの高感度及び広帯域幅を同時に実現する。いくつかの態様では、少なくとも1つの光共振器ベースの音響センサは、臨床画像化システム、これに限定しないが、例えば、超音波音響画像化システム、光熱画像化システム、及び、音響信号の検出を含む任意の他の適切な臨床画像化システムにおける音響検出器として機能することができる。
【0100】
a.超音波画像化システム
【0101】
一態様では、
図15に示すように、光共振器ベースの音響センサは、超音波画像化システム1500に組み込まれる。この態様では、光共振器ベースの音響センサ1502が、プローブアレイ1504内の超音波を検出するための既存の圧電トランスデューサに取って代わる一方で、画像形成される組織によって散乱されるか、反射されるか、または他の方法で変更されるUSパルスを生成するために、圧電トランスデューサを超音波プローブヘッド1506内に保持する。光共振器ベースの音響センサ1502は、圧電センサなどの従来の装置に比べて感度が向上し、帯域幅が広がることにより、高周波で強く減衰した超音波信号からでさえ、画像再構成に十分な情報を収集することができる。その結果、光共振器ベースの音響センサ1502を組み込むことは、現在の臨床超音波システムの分解能(周波数決定)と浸透深さ(侵入深さ)との間のトレードオフを克服するのに役立つ。
【0102】
様々な態様では、超音波画像化システムは、これに限定しないが、約20kHzを超える任意の周波数の超音波を生成する。上述したように、ウィスパリングギャラリーモードのマイクロ共振器は、広範囲の音響周波数を検出するように構成される。いくつかの態様では、超音波画像化システムは、約20kHz~約200MHzまたはそれ以上の範囲の周波数を有する音波を使用する。別の態様では、超音波画像化システムは、約20kHz~約200MHzまたはそれ以上の範囲の周波数を有する音波、これに限定しないが、既存の超音波画像化システムで使用される約2MHz~約20MHzの範囲、約100MHz~約300MHzの超音波周波数、及び任意の他の適切な超音波周波数、を使用する。本開示の光共振器ベースの超音波検出器は、深い浸透要件を有する用途のための高周波超音波の使用を可能にすることによって、超音波画像化の解像度を大幅に向上させることができる。
【0103】
再び
図15を参照して、超音波信号は、従来のトランスデューサ1506から送信され、エコー信号はプローブアレイ1504内の光共振器ベースの超音波センサ1502によって収集される。携帯型の光制御モジュール1508は、従来のトランスデューサ1506によって生成された超音波パルスに応答して画像化される組織によって生成された超音波信号を検出するために、プローブアレイ1504内の光学センサ1502を駆動するのに使用される。光制御モジュール1508は、プローブアレイ1504内の光共振器ベースの超音波センサ1502の各々に動作可能に接続される。加えて、光制御モジュール1508は、従来のトランスデューサ1506を動作させ、プローブアレイ1504から信号を受信し、プローブアレイ1504から受信した信号に基づいて超音波画像を再構成するように構成された画像化制御及び分析システム1520に動作可能に接続される。
【0104】
再び
図15を参照して、光制御モジュール1508は、プローブアレイ1504の光共振器ベースの超音波センサ1502に動作可能に接続された光源1516及び受光器1514を含む。光源1516は、光を光共振器ベースの超音波センサ1502に結合するために使用される少なくとも1つの結合導波路(図示せず)に導かれる光を生成する。受光器1514は、光共振器ベースの超音波センサ1502によって変調された少なくとも1つの結合導波路から受信した光を検出するように構成された少なくとも1つの光検出器(図示せず)を含む。光制御モジュール1508は、受光器1514の少なくとも1つの光検出器の出力を、それを符号化した電気信号に変換するように構成された信号処理モジュール1512をさらに含む。組織から検出された超音波信号に応答して、信号処理モジュール1512によって生成された電気信号は、プローブアレイ1504の信号出力1510に伝達され、画像制御及び分析システム1520に伝達される。
【0105】
様々な態様では、プローブアレイ1504は、少なくとも1つの光共振器ベースの超音波センサ1502を含む。いくつかの態様では、プローブアレイ1504は、所定のアレイパターン、これに限定しないが、例えば、一次元線形アレイパターン、及び二次元アレイパターンなどで配置された複数の光共振器ベースの超音波センサ1502を含む。2Dアレイパターンは、これに限定しないが、任意の適切な2Dアレイパターンを含む。適切な2Dアレイパターンの非限定的な例としては、デカルト格子パターン、単一の円のセンサまたは複数の同心円のセンサなどの円形パターン、及びそれらの任意の組み合わせが挙げられる。一態様では、プローブアレイ1504は、
図15に示すように、複数のセンサ1502を含む一次元線形アレイである。プローブアレイのすべてのセンサは、上述したように、連続的な低屈折率ポリマー層内に封止される。
【0106】
様々な態様では、センサアレイ1504内の互いに隣接するセンサ1502間の間隔は、均一であってもよいし、または、異なっていてもよい。プローブアレイ1504内のセンサ1502間の間隔は、少なくともいくつかの因子のうちの1以上、これに限定しないが、例えば、画像化システムの所望の空間分解能、WGM光共振器及び結合導波路の寸法、センサアレイのアーキテクチャ、互いに隣接するセンサ間のクロストークの回避、及び他の関連因子などに基づいて選択される。いくつかの態様では、プローブアレイ1504内の互いに隣接するセンサ1502間の最小間隔は、センサ1502のクロストークを回避するために、少なくとも5μmである。
【0107】
様々な別の態様では、センサアレイのセンサは、本質的に互いに等しい寸法を有する。別の態様では、センサ1502の少なくとも一部は、異なる寸法を有し得る。特定の理論に限定されないが、様々なセンササイズにより、様々な周波数範囲にわたる音響信号に対する感度を高めたセンサアレイを提供することができる。
【0108】
様々な別の態様では、プローブアレイ1504の各センサ1502は、センサ1502の数が結合導波路の数と等しくなるように、別個の結合導波路に結合してもよい。他の別の態様では、センサの少なくとも一部は、共有結合導波路への結合を共有してもよい。いくつかの別の態様では、プローブアレイは、センサの1以上の部分によって共有される1以上の共有結合導波路、並びに、各々が別個の結合導波路に結合されるセンサの追加の部分を含んでもよい。
【0109】
図5は、組織への超音波パルスの導入と、
図15に示すシステム1500と同様の超音波画像化システム500内の光共振器ベースの音響センシングシステム100を使用した、組織によって生成された超音波信号の検出を示す概略図である。
図5を参照して、音響センシングシステム100の少なくとも1つのWGMマイクロ共振器102及び結合導波路104は、画像化される組織504に音響的に結合され得る。従来の超音波トランスデューサ506が、組織504に向けて超音波パルス508を照射し、音響信号502を誘起する。一態様では、WGMマイクロ共振器102に結合された光は、光源101(レーザ)を使用して生成され、偏光コントローラ(図示せず)を介して導かれる。音響信号502は、上述のようにWGMマイクロ共振器102と相互作用し、結合導波路104の出力ポート110に結合された光検出器106によって検出されるレーザ信号の変化の形態で検出される。光検出器106の出力信号は、信号解析器として機能するコンピュータ装置112に伝達される。一態様では、コンピュータ装置112は、
図7に示すように、光検出器106の出力信号を、マイクロ共振器の光共振振幅の形態で音響信号に変換する。別の態様では、コンピュータ装置112は、光検出器106の出力信号を、
図6に示すように、マイクロ共振器600のスペクトル応答から特定される共振波長を使用して得られる音響信号の形態で音響信号に変換する。
【0110】
いくつかの態様では、超音波画像化システムは、単一の光共振器ベースの音響センシングシステムを備える。この態様では、集束超音波源を適用して超音波を発信するとともに、単一の光共振器ベースの音響センシングシステムでエコーを収集して、反射器の深さ(Aスキャン画像)を求める。Bスキャン画像は、境界線源及びセンサを機械的に走査することによって取得することができる。
【0111】
別の態様では、超音波画像化システムは、
図15に示すように、光共振器ベースの音響センサのアレイを備える。この態様では、超音波の集束及び走査は、トランスデューサ位相アレイによって実現される。いくつかの態様では、リアルタイムのBスキャン画像は、光学センサの収集された信号群に、適切なビーム形成アルゴリズムを適用することによって取得することができる。別の態様では、傾斜させた平面波超音波をトランスデューサ位相アレイによって送信することにより、送信角度を走査することができる。反射信号は、光共振器ベースの音響センサアレイによって収集することができる。適切なビーム形成アルゴリズムにより、Bスキャン画像の超高速取得を実現することができる。
【0112】
様々な態様では、光共振器ベースの音響センサのアレイは、空間アレイ内に配置された少なくとも2つのWGM光共振器を含む。空間アレイとしては、これに限定しないが、例えば、例えば、線形アレイ、平面アレイまたはリングアレイなどの2Dアレイ、及び、円筒状アレイまたは半球状アレイなどの3Dアレイが挙げられる。いくつかの態様では、アレイ内の少なくとも2つのWGM光共振器は、それぞれ別々の結合ファイバ、光源、及び光検出器に結合される。別の態様では、アレイ内の少なくとも2つのWGM光共振器は、同一の結合ファイバ、光源、及び光検出器に結合される。
【0113】
他の別の態様では、アレイ内の少なくとも2つのWGM光共振器ベースの圧力センサシステムは、寸法、中心周波数、動作波長、感度、及び任意の他の関連する動作パラメータに関して本質的に同一である。さらに他の別の態様では、少なくとも2つのWGM光共振器ベースの圧力センサシステムは、1以上のパラメータが異なり、そのような1以上のパラメータとしては、これに限定しないが、例えば、共振器の直径、共振器の材料、分離ギャップの距離、動作波長、封止ポリマー材料、結合テーパ材料、結合テーパ直径、及び任意の他の関連するパラメータなどが挙げられる。
【0114】
別の態様では、光共振器ベースの音響センシングシステムは、高調波超音波画像化の品質を向上させるために、既存の超音波画像化システムに組み込むことができる。高調波超音波画像化は、画像化される標的からの高周波非線形超音波エコーに起因して、高い感度及び特異性を有する。しかしながら、非線形信号の弱さと広帯域の性質は、超音波検出器に対する困難な課題を強いる。光共振器ベースの音響センサは、(1)非線形超音波エコーを効率的に収集するために使用することができ、かつ、(2)(より高い分解能のために)より高い周波数と短いパルス持続時間で超音波を励起することができるので、十分に広い検出帯域を可能にする。
【0115】
b.光音響画像化システム
【0116】
様々な態様では、光共振器ベースの音響センサは、超音波画像化システムに組み込まれる。いかなる特定の理論にも限定されないが、少なくとも1つの光パルスが、画像化される組織に導入され、入射光子のエネルギーが、組織内の構造によって吸収され、超音波の形態で光音響信号を再放出する。放射された超音波は、その後、少なくとも1つの超音波トランスデューサによって検出され、検出された信号は、光音響画像を再構成するために使用される。様々な態様では、光音響信号を検出するように構成された光共振器ベースの音響センサは、これに限定しないが、任意の既存の超音波画像化システムに適合する。光共振器ベースの音響センサに適合する超音波システムの非限定的な例としては、光音響顕微鏡(PAM)システム、及びコンピュータ断層撮影(PACT)システムが挙げられる。
【0117】
図26を参照して、一態様における光音響画像化システム2600は、光音響(PA)光源2602を含む。光音響(PA)光源2602としては、これに限定しないが、PA光学モジュール2608の少なくとも1つの光学素子を使用して組織2606内に導入される複数のレーザパルス2604を生成するように構成された少なくとも1つのパルスレーザが挙げられる。一態様では、PA光源2602によって生成される各レーザパルス2604は、レーザパルス2604が導入される組織2606の一部の構造2612から複数のPA信号2610を誘起するように構成される。上述したように、単一のレーザパルス2604によって誘起された複数のPA信号2610は、トランスデューサアレイ2614によって検出され、当該技術分野で既知の任意の適切な再構成方法を用いてPA画像(図示せず)に再構成される。
【0118】
再び
図26を参照して、一態様では、複数の超音波を含むPA信号2610は、トランスデューサアレイ2614内の少なくとも1つの光共振器ベースの超音波センサ2616によって収集される。本明細書に記載される任意の適切な光学センサは、これに限定しないが、光共振器ベースの超音波センサ2616としてトランスデューサアレイ2614に組み込むことができる。
図26に示すように、光音響画像化システム2600は、少なくとも1つのトランスデューサ光源2618と、トランスデューサアレイ2614の光共振器ベースの超音波センサ2616に動作可能に接続された少なくとも1つのトランスデューサ光検出器2620とをさらに備える。光源2618は、光を光共振器ベースの超音波センサ2616に結合させるために使用される少なくとも1つの結合導波路2622に導かれる光を生成する。トランスデューサ光検出器2620は、光共振器ベースの超音波センサ2616のWGM光共振器2624によって変調された少なくとも1つの結合導波路2622から受信した光を検出するように構成された少なくとも1つの光検出器(図示せず)を含む。
【0119】
コントローラ2626は、PA光源2602によって生成されたレーザパルス2604に応答して組織2606によって生成されたPA信号2610を検出するために、トランスデューサアレイ2614内の光学センサ2616を駆動するために使用される。コントローラ2626は、トランスデューサ光源2618及びトランスデューサ光検出器2620を介して、トランスデューサアレイ2614内の各光共振器ベースの超音波センサ2616に動作可能に接続される。いくつかの態様では、コントローラは、少なくとも1つのトランスデューサ光検出器2620の出力を、検出器出力を符号化する電気信号に変換するように構成された信号処理モジュール(図示せず)を含む。加えて、コントローラ2626は、トランスデューサアレイ2614から受信した信号に基づいて超音波画像を再構成するように構成されたPA画像解析モジュール2628に動作可能に接続される。いくつかの態様では、コントローラ2626は、
図14及び
図25を参照して上述した携帯型駆動システムと同様の光学制御モジュールの形態で提供される。
【0120】
様々な態様では、PA光源2602の少なくとも1つのパルスレーザの各々は、パルス波長で複数のレーザパルスを生成することができる。パルス波長は、1以上の因子、これに限定しないが、例えば、パルス波長によって画像化される特定の組織への浸透性の増強、循環腫瘍細胞の非標識可視化に有用であり得る周囲構造に関して関心のある構造のコントラストの増強、及び、NIR色素などの造影剤の灌流のSIP-PACT画像化に有用であり得る関心のある外因性構造のコントラストの増強、に基づいて選択され得る。一態様では、画像化される哺乳類動物の全身を通る光浸透を最大にするために、約650nm~約1350nmの範囲のパルス波長が選択される。この波長範囲は、この「光学ウインドウ」の外側に位置する波長と比べて、哺乳類動物の組織内での減衰が少ないパルス波長を包含するためである。特定の一態様では、PA画像化システム2600を使用して哺乳類動物の組織のPA画像化を可能にするために、約1064nmのパルス波長が選択される。
【0121】
様々な態様では、PA光源2602は、必要に応じて、単一の波長、2つの(デュアル)波長、または3つ以上の(マルチ)波長で、レーザパルスを生成することができる。様々な態様では、複数のレーザパルスは、約650nm~約1350nmの範囲内の1以上の波長で生成することができ、それによって、動物被験体の全身画像化のための最大限の光浸透を可能にする。いかなる特定の理論にも限定されないが、この波長範囲は、生物学的組織への浸透の増強によって特徴付けられる。例えば、この波長範囲は、哺乳類動物組織が光を最も減衰させないパルス波長に相当することが従来から知られている。
【0122】
様々な別の態様では、PA画像化システム2600は、画像化される特定の組織の浸透を増強するために選択された単一パルス波長、及び/または、周囲構造に関する関心のある構造のコントラストを増強するために選択された単一パルス波長を使用することができる。別の態様では、PA画像化システム2600は、デュアルパルス波長及び/またはマルチパルス波長を使用して、これに限定しないが、血液及び他の組織内の酸素飽和度の測定を含む、機能的画像化を可能にする。例えば、第1のパルス波長は、オキシヘモグロビンについて最大コントラストを可能にするように選択され、第2のパルス波長は、デオキシヘモグロビンについて最大コントラストを可能にするように選択されるか、または、すべてのヘモグロビンについて最大コントラストを可能にするように選択される。また、デュアルパルス波長/マルチパルス波長は、血液細胞、CTC、白血球、造影剤(例えば、NIR色素など)の様々な構造のコントラストを増強するために、または、関心のある外因性構造(すなわち、NIR色素などの造影剤の潅流)のコントラストを増強するために選択され得る。様々な態様では、PA画像化システム2600は、単一パルス波長でレーザパルスを生成するパルスレーザを含み、そのようなものとしては、これに限定しないが、20Hzの繰返し率及び12nsのパルス幅を有するLS-2145-LT-150Ti-サファイア(Ti-Sa)パルスレーザ(Symphotic TII)などの720nmレーザ、50Hzの繰返し率及び約5ns~約9nsの範囲のパルス幅を有するDLS9050パルスレーザ(Continuum)などの1064nmレーザ、及び、任意の他の適切なパルスレーザが挙げられる。
【0123】
様々な態様では、PA画像化システム2600のPA光学モジュール2608は、PA光源2602によって生成された複数のレーザパルスを、画像化される組織2606に導入するように構成された1以上の光学素子を含む。いくつかの態様では、超音波トランスデューサアレイ2614の焦点領域は、レーザパルス2604によって照射される画像化される組織の少なくとも一部と一致し、複数のレーザパルス2604によって誘起されるPA信号2610がトランスデューサアレイ2614によって検出され、1以上のPA画像を再構成するために使用される。
【0124】
様々な態様では、PA光学モジュール2608の1以上の光学素子(図示せず)は、少なくとも1つのパルスレーザによって生成された複数のレーザパルスを受信するためにPA光源2602に動作可能に接続される。さらに、1以上の光学素子は、複数のレーザパルスの様々な変換を行うように構成され、そのようなものとしては、これに限定しないが、各レーザパルスの進行方向の変更、各レーザパルスの断面積にわたる光エネルギーの分布を光エネルギーの本質的に均一な空間分布に再分配すること、各レーザパルスの断面サイズ及び/または形状の変更、各レーザパルスの光強度またはフルエンスの調節、2つの対応するパルスレーザによって生成された2つの異なるレーザパルスの到着の相対時間の調節、1以上のパルスレーザからのレーザパルスの伝達の選択的な伝達または遮断、及び、複数のレーザパルスの任意の他の適切な変換、が挙げられる。
【0125】
PA画像化システム2600のPA光学モジュール2608への組み込みに適した適切な光学素子の非限定的な例としては、プリズム、ミラー、拡散器、コンデンサ、レンズ、ビームスプリッタ、ビームコンバイナ、光ファイバ、導波路、及び、レーザパルスの1以上の特性を変更するのに適した任意の他の既知の光学素子が挙げられる。1以上の光学素子を使用して変更及び/または変調されるレーザパルスの特性の非限定的な例としては、断面形状、断面寸法、進行方向、波速度、波長、偏光、強度、位相、波面形状、他のレーザパルスとの重ね合わせ、断面エネルギー均一性、パルス幅、パルス系における他のレーザパルスに対する遅延、及び、レーザパルスの他の関連する特性が挙げられる。
【0126】
一態様では、ディフューザは、エネルギー強度がレーザパルスの断面積にわたって均一に分布するように、レーザパルスのプロファイルを均一化するように構成され得る。適切なディフューザの非限定的な例としては、リングディフューザなどの様々な工学的ディフューザが挙げられる。一態様では、ディフューザは、これに限定しないが、EDC-10-A-1r(RPC Photonics)を含む、市販の工学的ディフューザであり得る。適切なコンデンサの非限定的な例としては、カスタマイズされたリングコンデンサなどの様々なカスタマイズされたコンデンサが挙げられる。好適なプリズムの非限定的な例としては、三角柱、菱形プリズム、及び任意の他の好適なプリズムが挙げられる。適切なレンズの非限定的な例としては、凸レンズ、凹レンズ、シリンドリカルレンズ、半円筒レンズ、複合レンズ、及び任意の他の適切なレンズが挙げられる。別の態様では、レンズは、これに限定しないが、AX-FS-1-140-0円錐レンズ(Del Mar Photonics)を含む市販のレンズであり得る。適切なミラーの非限定的な例としては、平面ミラー、凸面ミラー、及び凹面ミラーが挙げられる。
【0127】
様々な態様では、1以上の光学素子は、画像化される領域または組織、及び/または、PA画像化システム2600を用いて実施される画像化の種類に応じて選択された照明アプローチを可能にするようにさらに構成され得る。一態様では、1以上の光学素子は、上方照射アプローチ(
図26参照)または側方照射アプローチを可能にするように構成され得る。PA画像化システム2600に組み込まれる特定の光学素子の選択は、PA画像化システム2600によって使用される照明アプローチによって、少なくとも部分的に影響を受ける。
【0128】
III.コンピュータシステム及びコンピュータ装置
【0129】
図8は、本明細書に記載の方法を実施するためのコンピュータ装置800の簡略化されたブロック図である。
図8に示すように、コンピュータ装置800は、本開示の光共振器ベースの圧力センサシステムを使用して、本開示の方法に関連するタスクの少なくとも一部を実施するように構成される。コンピュータ装置800は、コンピュータ装置802を備える。一態様では、コンピュータ装置802は、データベースサーバ806を含むサーバシステム804の一部である。コンピュータ装置802は、データベースサーバ806を介してデータベース808と通信する。コンピュータ装置802は、ネットワーク850を介して画像化システム810及びユーザコンピュータ装置830に通信可能に接続される。ネットワーク850は、装置間のローカルエリア通信またはワイドエリア通信を可能にする任意のネットワークであり得る。例えば、ネットワーク850は、様々なインターフェース、これに限定しないが、インターネット、ローカルエリアネットワーク(LAN)、ワイドエリアネットワーク(WAN)、統合サービスデジタルネットワーク(ISDN)、ダイヤルアップ接続、デジタル加入者線(DSL)、携帯電話接続、及びケーブルモデムなどのインターフェースを介して、インターネットとの通信的接続を可能にするネットワークであり得る。ユーザコンピュータ装置830は、インターネットにアクセス可能な任意の装置、これに限定しないが、デスクトップコンピュータ、ラップトップコンピュータ、パーソナルデジタルアシスタント(PDA)、携帯電話、スマートフォン、タブレット、ファブレット、ウェアラブル電子機器、スマートウォッチ、または、他のウェブベースの接続可能な装置またはモバイル装置であり得る。
【0130】
別の態様では、コンピュータ装置802は、光共振器ベースの音響センサ、及び/または、光共振器ベースの音響センサを組み込んだ画像化システム、これに限定しないが上述の超音波(US)画像化システム及び光音響(PA)画像化システム、の動作に関連する複数のタスクを実行するように構成される。
図9は、他の関連するコンピュータコンポーネントとともにデータベース910を含むコンピュータ装置902のコンポーネント構成900を示す。いくつかの態様では、コンピュータ装置902は、コンピュータ装置802(
図8に示す)と同様である。ユーザ904は、コンピュータ装置902のコンポーネントにアクセスすることができる。いくつかの態様では、データベース910は、データベース808(
図8に示す)と同様である。
【0131】
一態様では、データベース910は、画像データ918及びアルゴリズムデータ912を含む。適切な画像データ918の非限定的な例としては、これに限定しないが、超音波画像データまたは光音響画像データなどの医用画像データが挙げられる。適切なアルゴリズムデータ912の非限定的な例としては、WGM光共振器ベースの音響センサ、超音波画像化システム、及び光音響画像化システムの動作を規定するパラメータの任意の値が挙げられる。適切なアルゴリズムデータ912の非限定的な例としては、本明細書に記載の本開示の方法に関連するアルゴリズムを定義するパラメータの任意の値、または、上述の超音波画像または光音響画像を再構成するために使用される任意の画像再構成アルゴリズムが挙げられる。
【0132】
コンピュータ装置902はまた、特定のタスクを実行する多数のコンポーネントを含む。例示的な態様では、コンピュータ装置902は、データ記憶装置930、画像化コンポーネント940、音響センサコンポーネント950、及び通信コンポーネント960を含む。データ記憶装置930は、コンピュータ装置902によって受信または生成されたデータ、例えば、データベース910に格納された任意のデータ、またはコンピュータ装置902の任意のコンポーネントによって実施された任意のプロセスの任意の出力など、を格納するように構成される。
【0133】
通信コンポーネント960は、ネットワーク850(
図8に示す)などのネットワーク、または、TCP/IP(伝送制御プロトコル/インターネットプロトコル)などの所定のネットワークプロトコルを使用する複数のネットワーク接続を介して、コンピュータ装置902と他の装置(例えば、
図8に示すユーザコンピュータ装置830及び画像化システム810)との間の通信を可能にするように構成される。
【0134】
図10は、ユーザコンピュータ装置830(
図8に示す)などのリモートまたはユーザコンピュータ装置1002の構成を示す。コンピュータ装置1002は、命令を実行するためのプロセッサ1005を含む。いくつかの態様では、実行可能命令がメモリ領域1010に格納される。プロセッサ1005は、1以上の処理ユニット(例えば、マルチコア構成)を含み得る。メモリ領域1010は、実行可能命令及び/または他のデータなどの情報を格納及び検索することを可能にする任意の装置であり得る。メモリ領域1010は、1以上のコンピュータ可読媒体を含み得る。
【0135】
コンピュータ装置1002はまた、ユーザ1001に情報を提示するための少なくとも1つのメディア出力コンポーネント1015を含む。メディア出力コンポーネント1015は、ユーザ1001に情報を伝達することができる任意のコンポーネントであり得る。いくつかの態様では、メディア出力コンポーネント1015は、ビデオアダプタ及び/またはオーディオアダプタなどの出力アダプタを含み得る。出力アダプタは、プロセッサ1005に動作可能に接続される。また、出力アダプタは、ディスプレイ装置(例えば、液晶ディスプレイ(LCD)、有機発光ダイオード(OLED)ディスプレイ、陰極線管(CRT)、「電子インク」ディスプレイ)、または、音声出力装置(例えば、スピーカー、ヘッドフォン)などの出力装置に動作可能に接続される。いくつかの態様では、メディア出力コンポーネント1015は、ユーザ1001に対話型ユーザインターフェース(例えば、ウェブブラウザやクライアントアプリケーション)を提示するように構成され得る。
【0136】
いくつかの態様では、コンピュータ装置1002は、ユーザ1001から入力を受けるための入力装置1020を含む。入力装置1020としては、例えば、キーボード、ポインティングデバイス、マウス、スタイラス、タッチセンシティブパネル(例えば、タッチパッドまたはタッチスクリーン)、カメラ、ジャイロスコープ、加速度計、位置検出器、及び/またはオーディオ入力装置が挙げられる。タッチスクリーンなどの単一のコンポーネントは、メディア出力コンポーネント1015の出力装置及び入力装置1020の両方として機能することができる。
【0137】
コンピュータ装置1002はまた、遠隔装置に通信可能に接続される通信インターフェース1025を含む。通信インターフェース1025としては、例えば、携帯電話ネットワーク(例えば、GSM(Global System for Mobile communications)、3G、4G、またはBluetooth(登録商標))、または、他の携帯データネットワーク(例えば、WIMAX(Worldwide Interoperability for Microwave Access))とともに共に使用するための有線または無線のネットワークアダプタまたは無線データトランシーバが挙げられる。
【0138】
メモリ領域1010に格納されるのは、例えば、メディア出力コンポーネント1015を介してユーザ1001にユーザインターフェースを提供する、かつ、任意選択で、入力装置1020から入力を受信して処理するためのコンピュータ読み取り可能命令である。ユーザインターフェースは、他の可能性の中でもとりわけ、ウェブブラウザ及びクライアントアプリケーションを含み得る。ウェブブラウザは、ユーザ1001が、ウェブサーバからウェブページまたはウェブサイトに通常埋め込まれたメディア及び他の情報を表示し、対話することを可能にする。クライアントアプリケーションは、ユーザ1001が、例えば、ベンダーまたはビジネスに関連付けられたサーバアプリケーションと対話することを可能にする。
【0139】
図11は、サーバシステム1102の構成の一例を示す図である。サーバシステム1102は、これに限定しないが、データベースサーバ806と、コンピュータ装置802とを含む(両方とも
図8に示す)。いくつかの態様では、サーバシステム1102は、サーバシステム804(
図8に示す)と同様である。サーバシステム1102は、命令を実行するためのプロセッサ1105を含む。命令は、例えば、記憶装置1110に格納される。プロセッサ1105は、1以上の処理ユニット(例えば、マルチコア構成)を含み得る。
【0140】
プロセッサ1105は、サーバシステム1102が、ユーザコンピュータ装置830(
図8に示す)または別のサーバシステム1102などの遠隔装置と通信できるように、通信インターフェース1115に動作可能に接続される。例えば、通信インターフェース1115は、ネットワーク850(
図8に示す)を介してユーザコンピュータ装置830から要求を受信することができる。
【0141】
プロセッサ1105は、記憶装置1110に動作可能に接続される。記憶装置1110は、データを記憶及び/または検索するのに適した任意のコンピュータ動作ハードウェアであり得る。いくつかの態様では、記憶装置1110は、サーバシステム1102と統合してもよい。例えば、サーバシステム1102は、記憶装置1110として1以上のハードディスクドライブを含み得る。別の態様では、記憶装置1110は、サーバシステム1102の外部に存在してもよく、複数のサーバシステム1102によってアクセスされてもよい。例えば、記憶装置1110は、ハードディスクまたはRAID(redundant array of inexpensive disks)構成のソリッドステートディスクなどの複数の記憶ユニットを含み得る。記憶装置1110は、ストレージエリアネットワーク(SAN)及び/またはネットワーク接続ストレージ(NAS)システムを含み得る。
【0142】
いくつかの態様では、プロセッサ1105は、記憶インターフェース1120を介して記憶装置1110に動作可能に接続される。記憶インターフェース1120は、プロセッサ1105に記憶装置1110へのアクセスを提供することができる任意のコンポーネントであり得る。記憶インターフェース1120としては、例えば、ATA(Advanced Technology Attachment)アダプタ、シリアルATA(SATA)アダプタ、SCSI(Small Computer System Interface)アダプタ、RAIDコントローラ、SANアダプタ、ネットワークアダプタ、及び/または、プロセッサ1105に記憶装置1110へのアクセスを提供する任意のコンポーネントが挙げられる。
【0143】
メモリ領域1010(
図10に示す)及び記憶装置1110としては、これに限定しないが、ダイナミックRAM(DRAM)やスタティックRAM(SRAM)などのランダムアクセスメモリ(RAM)、読み出し専用メモリ(ROM)、消去可能なプログラマブル読み出し専用メモリ(EPROM)、電気的に消去可能なプログラマブル読み出し専用メモリ(EEPROM)、及び不揮発性RAM(NVRAM)が挙げられる。上記のメモリタイプは単なる例であり、したがって、コンピュータプログラムの記憶に使用可能なメモリのタイプを限定するものではない。
【0144】
本明細書で説明するコンピュータシステム及びコンピュータ実施方法は、本明細書の別の箇所で説明するものを含めて、追加の、より少ない、または代替の動作及び/または機能を含むことができる。コンピュータシステムは、非一時的なコンピュータ可読媒体に格納されたコンピュータ実行可能命令を含むか、またはそれを介して実施される。本方法は、1以上のローカルプロセッサまたはリモートプロセッサ、トランシーバ、サーバ、及び/またはセンサ(例えば、車両またはモバイル装置に搭載された、またはスマートインフラストラクチャまたはリモートサーバに関連付けられたプロセッサ、トランシーバ、サーバ、及び/またはセンサ)を介して、及び/または、非一時的なコンピュータ可読媒体に格納されたコンピュータ実行可能命令を介して実施することができる。
【0145】
上述の本明細書の記載に基づいて理解されるように、本開示の上述の態様は、コンピュータソフトウェア、ファームウェア、ハードウェア、またはそれらの任意の組み合わせまたはサブセットを含むコンピュータプログラミングまたはエンジニアリング技術を用いて実施することができる。コンピュータ可読コード手段を有する、任意のそのようなプログラムは、1以上のコンピュータ可読媒体内に具現化または提供され、それによって、本開示の説明された態様にしたがって、コンピュータプログラム製品(すなわち、製造品)を製造することができる。コンピュータ可読媒体は、これに限定しないが、例えば、固定(ハード)ドライブ、ディスケット、光ディスク、磁気テープ、読み出し専用メモリ(ROM)などの半導体メモリ、及び/または、インターネットまたは他の通信ネットワーク若しくはリンクなどの任意の送信/受信媒体であり得る。コンピュータコードを含む製造品は、或る媒体から直接コードを実行することによって、或る媒体から別の媒体にコードをコピーすることによって、または、ネットワークを介してコードを送信することによって、製造及び/または使用することができる。
【0146】
これらのコンピュータプログラム(「プログラム」、「ソフトウェア」、「ソフトウェアアプリケーション」、「アプリケーション」、「コード」とも呼ばれる)は、プログラマブルプロセッサ用の機械命令を含み、高レベルの手続き型及び/またはオブジェクト指向のプログラミング言語、及び/またはアセンブリ/機械言語によって実装することができる。本明細書で使用するとき、「機械可読媒体」、「コンピュータ可読媒体」という用語は、機械命令及び/またはデータをプログラマブルプロセッサに提供するために使用される任意のコンピュータプログラム製品、装置、及び/またはデバイス(例えば、磁気ディスク、光ディスク、メモリ、プログラマブルロジックデバイス(PLD))を指し、機械命令を機械可読信号として受信する機械可読媒体を含む。ただし、「機械可読媒体」及び「コンピュータ可読媒体」には、一過性の信号は含まれない。「機械可読信号」という用語は、プログラマブルプロセッサに機械命令及び/またはデータを提供するために使用される任意の信号を指す。
【0147】
本明細書中で使用するとき、プロセッサは、マイクロコントローラ、縮小命令セット回路(RISC)、特定用途向け集積回路(ASIC)、論理回路、及び本明細書中に記載される機能を実行することができる任意の他の回路またはプロセッサを使用するシステムを含む任意のプログラマブルシステムを含み得る。上記の例は単なる例示であり、したがって、「プロセッサ」という用語の定義及び/または意味をいかなる形でも限定することを意図していない。
【0148】
本明細書で使用するとき、「ソフトウェア」及び「ファームウェア」という用語は互換的に使用され、例えば、RAMメモリ、ROMメモリ、EPROMメモリ、EEPROMメモリ、及び不揮発性RAM(NVRAM)メモリなどの、プロセッサによる実行のためにメモリに格納された任意のコンピュータプログラムを含む。上記のメモリの種類は単なる例示であり、したがって、コンピュータプログラムの格納に使用可能なメモリの種類を限定するものではない。
【0149】
一態様では、コンピュータプログラムが提供され、そのプログラムはコンピュータ可読媒体により具現化される。一態様では、本システムは、サーバコンピュータへの接続を必要とせず、単一のコンピュータシステム上で実行される。別の態様では、本システムは、Windows(登録商標)環境で実行される(Windows(登録商標)は、米国ワシントン州レッドモンド所在のマイクロソフト社(Microsoft Corporation)の登録商標である)。さらに別の態様では、本システムは、メインフレーム環境及びUNIX(登録商標)サーバ環境で実行される(UNIX(登録商標)は、英国バークシャー州レディング所在のエックス・オープン社(X/Open Company Limited)の登録商標である)。このアプリケーションは柔軟であり、主要な機能を損なうことなく、様々な環境で実行することができるように設計されている。
【0150】
いくつかの態様では、システムは、複数のコンピュータ装置間に分散された複数のコンポーネント(構成要素)を含む。1以上のコンポーネントは、コンピュータ可読媒体により具現化されたコンピュータ実行可能命令の形態であってよい。本システム及びプロセスは、本明細書に記載された特定の態様に限定されない。さらに、各システム及び各プロセスのコンポーネントは、本明細書に記載された他のコンポーネント及びプロセスから独立して別個に実施することができる。各コンポーネント及びプロセスは、他のアセンブリパッケージ及びプロセスと組み合わせて使用してもよい。本発明の態様は、コンピュータ及び/またはコンピュータシステムの機能を向上させることができる。
【0151】
本明細書に記載された定義及び方法は、本開示をより良く定義し、本開示の実施において当業者を導くために提供される。特に断りのない限り、用語は、関連分野の当業者による従来の使用法にしたがって理解されるべきである。
【0152】
いくつかの実施形態では、本開示の所定の実施形態を説明及び請求するために使用される、成分の量、特性、例えば分子量、反応条件などを表す数は、いくつかの例では、「約」という用語により修飾されるものとして理解されるべきである。いくつかの実施形態では、「約」という用語は、或る値が、その値を決定するために用いられている装置または方法についての平均の標準偏差を含むことを示すために使用される。いくつかの実施形態では、本明細書及び添付の特許請求の範囲に記載された数値パラメータは、特定の実施形態によって得ようとする所望の特性に応じて変更可能な近似値である。いくつかの実施形態では、数値的パラメータは、報告された有効桁数を考慮して、通常の丸め技術を適用することによって解釈されるべきである。本開示のいくつかの実施形態の広い範囲を示す数値範囲及びパラメータは近似値であるとはいえ、特定の実施例に示される数値は、実行可能な限り正確に報告される。本開示のいくつかの実施形態で示される数値は、それらの各試験測定値において見られる標準偏差から必然的に生じる一定の誤差を含み得る。本明細書における値の範囲の記載は、その範囲内に入る個別の値を個々に指定するため簡略化された方法としての役割を果たすことを単に意図している。本明細書において特に指定しない限り、個々の値は、本明細書において個々に記載されているかのように明細書に組み込まれる。離散的な値の列挙は、各値の間の範囲を含むと理解される。
【0153】
いくつかの実施形態では、「a」、「an」、「the」という用語、並びに、特定の実施形態を説明する文脈において(とりわけ、以下の特許請求の範囲の特定の文脈において)使用される同様の用語は、特に断りのない限り、単数形及び複数形の両方を包含すると解釈することができる。いくつかの実施形態では、特許請求の範囲を含めて、本明細書で使用される「または」という用語は、選択肢のみを指すか、または選択肢が相互に排他的であると明示的に示されない限り、「及び/または」を意味するために使用される。
【0154】
「含む(comprise)」、「有する(have)」、及び「含む(include)」という用語は、オープンエンドの連結動詞である。これらの動詞の1以上の任意の変化形または時制、例えば「含む(comprises)」、「含んでいる(comprising)」、「有する(has)」、「有している(having)」、「含む(includes)」、及び「含んでいる(including)」もまた、オープンエンドである。例えば、1以上のステップを「含む(comprises)」、「有する(has)」、または「含む(includes)」任意の方法は、それらの1以上のステップのみを有することに限定されず、他の挙げられていないステップも包含し得る。同様に、1以上の特徴を「含む(comprises)」、「有する(has)」または「含む(includes)」任意の組成物または装置は、それらの1以上の特徴のみを有することに限定されず、他の挙げられていない特徴を包含し得る。
【0155】
本明細書に記載されるすべての方法は、本明細書中で特に断りのない限り、または文脈によって明らかに矛盾しない限り、任意の適切な順序で実施することができる。本明細書の特定の実施形態に関して提供される任意の及びすべての実施例、または例示的な言語(例えば、「~など」)の使用は、単に、本開示をより良く明らかにすることを意図しており、特に請求項に記載されない限り、本発明の範囲に限定を課すものではない。本明細書におけるいかなる文言も、請求項に記載されていない任意の要素が本開示の実施に必須であることを示すと解釈されるべきではない。
【0156】
本明細書に開示された本開示の代替要素または実施形態のグループ化は、限定として解釈されるべきではない。各グループのメンバーは、個々に、またはグループの他のメンバーまたは本明細書に記載されている他の要素との任意の組み合わせで言及及び請求することができる。グループの1以上のメンバーは、利便性または特許性の理由から、グループに包含するか、またはグループから削除することができる。そのような包含または削除が行われた場合、本明細書は、修正されたグループを含むものと見なされ、したがって、添付の特許請求の範囲において使用されるすべてのマーカッシュグループの記述を満たす。
【0157】
本出願において引用されたすべての刊行物、特許、特許出願、及び他の文献は、それらの個々が具体的かつ個別に示された場合と同じ程度に、すべての目的のためにその全体が参照によって本明細書に組み込まれる。本明細書における文献の引用は、それが本開示の先行技術であることを認めるものと解釈されるべきではない。
【0158】
本開示を詳細に説明してきたが、添付の特許請求の範囲に定義される本開示の範囲を逸脱することなく、修正、変形、及び同等の実施形態が可能であることは明らかであろう。さらに、本開示におけるすべての実施例が、非限定的な実施例として提供されていることを理解されたい。
【手続補正書】
【提出日】2021-05-06
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
音響センサであって、
ウィスパリングギャラリーモードの光共振器と、
前記光共振器に光学的に結合するための結合導波路であって、分離ギャップによって前記光共振器から隔てられた、該結合導波路と、
前記結合導波路の一部及び前記光共振器を包むポリマーと、を含み、
前記光共振器及び前記結合導波路は、それぞれ、前記ポリマーの屈折率よりも高い屈折率を有する、音響センサ。
【請求項2】
請求項1に記載の音響センサであって、
前記分離ギャップは、前記音響センサが、前記光共振器と前記結合導波路との臨界結合から選択される動作条件、または最大負荷係数で動作するように選択される、音響センサ。
【請求項3】
請求項1に記載の音響センサであって、
前記光共振器は、50μm~200μmの範囲の直径を有する、音響センサ。
【請求項4】
請求項1に記載の音響センサであって、
前記分離ギャップは、0.6μm~0.8μmの範囲の距離を有する、音響センサ。
【請求項5】
請求項1に記載の音響センサであって、
前記分離ギャップは、前記音響センサの動作中に最大負荷係数をもたらす、音響センサ。
【請求項6】
請求項1に記載の音響センサであって、
前記結合導波路は、1.5μm未満の最小テーパ直径を有するテーパ付き光ファイバである、音響センサ。
【請求項7】
請求項1に記載の音響センサであって、
前記音響センサは、圧力変動を、前記光共振器を通る透過振幅の変動として符号化する、音響センサ。
【請求項8】
請求項1に記載の音響センサであって、
前記ポリマーが、1.33の屈折率を有する紫外線硬化型ポリマーである、音響センサ。
【請求項9】
音響センシングシステムであって、
ウィスパリングギャラリーモードの光共振器と、
前記光共振器に光学的に結合するための結合導波路であって、第1の端部及びその反対側の第2の端部を有し、かつ、分離ギャップによって前記光共振器から隔てられた、該結合導波路と、
前記結合導波路の一部及び前記光共振器を包むポリマーと、
前記結合導波路の前記第1の端部に結合され、
前記ポリマーから突出する光源と、
前記結合導波路の第2の端部に結合され、
前記ポリマーから突出する光検出器と、を備え、
前記光共振器及び前記結合導波路は、それぞれ、前記ポリマーの屈折率よりも高い屈折率を有する、音響センシングシステム。
【請求項10】
請求項9に記載の音響センシングシステムであって、
プロセッサを有するコンピュータ装置を含む駆動システムをさらに備え、
前記駆動システムは、前記光源及び前記光検出器に動作可能に接続され、
前記駆動システムは、
前記光源を或る範囲の波長で動作させ、前記光検出器から複数の検出器信号を受信することによって透過スペクトルを取得するステップであって、前記検出器信号は、前記光共振器に結合された結合ファイバを通る前記光源からの光の透過を符号化する、該ステップと、
前記透過スペクトルに基づいて、圧力変動を検出するための動作波長を選択するステップと、
少なくとも1つの前記透過スペクトルに基づいて前記分離ギャップを選択するステップと、
前記光源を前記動作波長で動作させ、前記光検出器から第2の複数の信号を受信することによって圧力変動を検出するステップと、
を行うように構成されている、音響センシングシステム。
【請求項11】
請求項10に記載の音響センシングシステムであって、
前記圧力変動を、前記光共振器を通る透過振幅の変動として符号化する、音響センシングシステム。
【請求項12】
超音波画像化装置であって、
音響センサを備え、
前記音響センサは、
ウィスパリングギャラリーモードの光共振器と、
前記光共振器に光学的に結合するための結合導波路であって、第1の端部及びその反対側の第2の端部を有し、かつ、分離ギャップによって前記光共振器から隔てられた、該結合導波路と、
前記結合導波路の一部及び前記光共振器を包むポリマーと、
前記結合導波路の前記第1の端部に結合され、
前記ポリマーから突出する光源と、
前記結合導波路の第2の端部に結合され、
前記ポリマーから突出する光検出器と、を含み、
前記光共振器及び前記結合導波路は、それぞれ、前記ポリマーの屈折率よりも高い屈折率を有する、超音波画像化装置。
【請求項13】
請求項12に記載の超音波画像化装置であって、
前記音響センサは、圧力変動を、前記光共振器を通る透過振幅の変動として符号化する、超音波画像化装置。
【請求項14】
請求項12に記載の超音波画像化装置であって、
前記音響センサは、超音波トランスデューサによって関心領域に導かれた励起性超音波パルスに応答して、前記関心領域内で生成された超音波パルスを検出するように構成される、超音波画像化装置。
【請求項15】
光音響画像化装置であって、
音響センサを備え、
前記音響センサは、
ウィスパリングギャラリーモードの光共振器と、
前記光共振器に光学的に結合するための結合導波路であって、第1の端部及びその反対側の第2の端部を有し、かつ、分離ギャップによって前記光共振器から隔てられた、該結合導波路と、
前記結合導波路の一部及び前記光共振器を包むポリマーと、
前記結合導波路の前記第1の端部に結合され、
前記ポリマーから突出するトランスデューサ光源と、
前記結合導波路の第2の端部に結合され、
前記ポリマーから突出するトランスデューサ光検出器と、を含み、
前記光共振器及び前記結合導波路は、それぞれ、前記ポリマーの屈折率よりも高い屈折率を有する、光音響画像化装置。
【請求項16】
請求項15に記載の光音響画像化装置であって、
前記音響センサは、圧力変動を、前記光共振器を通る透過振幅の変動として符号化する、光音響画像化装置。
【請求項17】
請求項15に記載の光音響画像化装置であって、
前記音響センサは、
前記トランスデューサ光源によって生成されたレーザパルスの照射に応答して、前記関心領域内で生成された光音響信号を検出するように構成される、光音響画像化装置。
【請求項18】
超音波を検出する方法であって、
音響センサであって、
ウィスパリングギャラリーモードの光共振器と、
前記光共振器に光学的に結合するための結合導波路であって、第1の端部及びその反対側の第2の端部を有し、かつ、分離ギャップによって前記光共振器から隔てられた、該結合導波路と、
前記結合導波路の一部及び前記光共振器を包み、かつ、試料接触面を形成するポリマーと、
前記結合導波路の前記第1の端部に結合され、
前記ポリマーから突出する光源と、
前記結合導波路の第2の端部に結合され、
前記ポリマーから突出する光検出器と、を含み、
前記光共振器及び前記結合導波路は、それぞれ、前記ポリマーの屈折率よりも高い屈折率を有する、該音響センサを提供するステップと、
試料を前記ポリマーの前記試料接触面に音響的に結合させ、前記試料内から放射される超音波を、前記ポリマーを介して前記結合導波路の一部及び前記光共振器に伝導させるステップと、
前記光源によって生成された光を、前記結合導波路の前記第1の端部に導入するステップと、
前記結合導波路の前記第2の端部から出た光を前記光検出器によって検出し、検出された光を、該光の振幅を符号化して検出器信号に変換するステップと、
前記検出器信号を予め定められた較正ルールを用いて圧力に変換するステップと、を含む方法。
【国際調査報告】