(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-12-05
(54)【発明の名称】組織を修復または増加させるための組成物および方法
(51)【国際特許分類】
A61K 31/77 20060101AFI20221128BHJP
A61P 9/00 20060101ALI20221128BHJP
A61K 47/04 20060101ALI20221128BHJP
A61K 47/12 20060101ALI20221128BHJP
A61K 45/00 20060101ALI20221128BHJP
A61K 35/14 20150101ALI20221128BHJP
A61K 9/08 20060101ALI20221128BHJP
【FI】
A61K31/77
A61P9/00
A61K47/04
A61K47/12
A61K45/00
A61K35/14 Z
A61K9/08
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022517352
(86)(22)【出願日】2020-09-23
(85)【翻訳文提出日】2022-04-08
(86)【国際出願番号】 US2020052075
(87)【国際公開番号】W WO2021061687
(87)【国際公開日】2021-04-01
(32)【優先日】2019-09-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】PCT/US2020/025103
(32)【優先日】2020-03-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】599170663
【氏名又は名称】バージニア コモンウェルス ユニバーシティー
(74)【代理人】
【識別番号】100156443
【氏名又は名称】松崎 隆
(72)【発明者】
【氏名】マンジーノ、マーティン、ジェイ
(72)【発明者】
【氏名】リーブレヒト、ローレン、ケイ
【テーマコード(参考)】
4C076
4C084
4C086
4C087
【Fターム(参考)】
4C076AA11
4C076BB11
4C076CC11
4C076DD23
4C076DD42
4C084AA19
4C084MA02
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4C084ZA361
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4C084ZC751
4C086AA01
4C086AA02
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4C086ZA36
4C086ZC75
4C087AA01
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4C087BB34
4C087BB36
4C087MA02
4C087NA14
4C087ZA36
4C087ZC75
(57)【要約】
組織灌流を回復または増加させるための組成物が提供される。組成物は、5~20%w/v濃度の分子量18,000~100,000Daを有するポリエチレングリコールポリマー(PEG);1~30重量%濃度の分子量が1,000~10,00DaであるPEG;および水を含み、前記分子量18,000~100,000Daを有するPEGと前記分子量が1,000~10,000Daを有するPEGとが、前記水中に溶解または分散している。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
5~20%w/v濃度の分子量18,000~100,000Daを有するポリエチレングリコールポリマー(PEG);
1~30重量%濃度の分子量が1,000~10,00DaであるPEG;および
水を含む組成物であって、
前記分子量18,000~100,000Daを有するPEGと前記分子量が1,000~10,000Daを有するPEGとが、前記水中に溶解または分散している、組成物。
【請求項2】
前記組成物の全体積が100~1000mlである、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
全体積が136~680mlの範囲である、請求項2に記載の組成物。
【請求項4】
前記分子量18,000~100,000Daを有するPEGが分子量20,000Daを有するPEGである、請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
前記分子量20,000Daを有するPEGが10%w/vの濃度である、請求項4に記載の組成物。
【請求項6】
前記水が脱イオン水である、請求項1に記載の組成物。
【請求項7】
前記組成物が、塩化ナトリウム、乳酸ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルシウムおよび、塩化マグネシウムの1種以上をさらに含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項8】
流体を静脈内に送達するように構成されたバッグと、前記バック内の組成物とを含む静脈内注入製品であって、前記組成物が、
5~20%w/v濃度の分子量18,000~100,000Daを有するポリエチレングリコールポリマー(PEG)と;
1~20%w/v濃度の分子量1,000~10,000Daを有するPEGと;
水とを含み、
前記分子量18,000~100,000Daを有するPEGと前記分子量1,000~10,000Da
を有するPEGとが前記水中に溶解または分散している、静脈内注入製品。
【請求項9】
前記組成物の全体積が100~1000mlである、請求項8に記載の静脈内注入製品。
【請求項10】
総全容積が136~680mlの範囲である、請求項9に記載の静脈内注入製品。
【請求項11】
前記分子量18,000~35,000Daを有するPEGが分子量20,000Daを有するPEGである、請求項8に記載の静脈内注入製品。
【請求項12】
分子量20,000Daを有するPEGが10%w/vの濃度である、請求項11に記載の静脈内注入製品。
【請求項13】
前記水が脱イオン水である、請求項8に記載の静脈内注入製品。
【請求項14】
前記組成物が、塩化ナトリウム、乳酸ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルシウム及び塩化マグネシウムの1種以上をさらに含む、請求項8に記載の静脈内注入製品。
【請求項15】
必要とされる対象における局所的または広範囲に組織灌流を回復または増加させる方法であって、
請求項1に記載の組成物の治療上有効な量を前記対象に投与することを含む、方法。
【請求項16】
前記組成物を静脈内に投与する、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記組成物の量が100~1000mlである、請求項15に記載の方法。
【請求項18】
組成物の量が136-680mlである、請求項15に記載の方法。
【請求項19】
前記対象が心原性または非心原性ショックにより広範囲にまたは局所的に組織灌流が減少している、請求項15に記載の方法。
【請求項20】
細胞または無細胞酸素キャリア溶液を同時にまたは連続的に投与する工程をさらに含む、請求項15に記載の方法。
【請求項21】
前記無細胞酸素キャリア溶液がヘモグロビンベースの酸素キャリア(HBOC)である、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記細胞性酸素キャリア溶液が全血または濃厚赤血球である、請求項20に記載の方法。
【請求項23】
投与する前記細胞酸素キャリア溶液の量が組成物の非存在下で必要とされる推定血液量の50%以下である、請求項20に記載の方法。
【請求項24】
前記細胞または無細胞酸素キャリア溶液を前記組成物の投与の12時間以内に投与する、請求項20に記載の方法。
【請求項25】
必要とされる対象における心臓の蘇生方法であって、
請求項1に記載の組成物の治療上有効な量を前記対象に投与することを含む、方法。
【請求項26】
前記組成物を静脈内に投与する、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
前記組成物の量が100~1000mlである、請求項25に記載の方法。
【請求項28】
前記組成物の量が136~680mlの範囲である、請求項25に記載の方法。
【請求項29】
前記対象が心原性または非心原性ショックを受ける、請求項25に記載の方法。
【請求項30】
細胞または無細胞酸素キャリア溶液を同時にまたは連続的に投与する工程をさらに含む、請求項25に記載の方法。
【請求項31】
前記無細胞酸素キャリア溶液がヘモグロビンベースの酸素キャリア(HBOC)である、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
前記細胞酸素キャリア溶液が全血または濃厚赤血球である、請求項30に記載の方法。
【請求項33】
投与する前記細胞酸素キャリア溶液の量が組成物の非存在下で必要とされる推定血液量の50%以下である、請求項30に記載の方法。
【請求項34】
前記細胞または無細胞酸素キャリア溶液を前記組成物の投与の12時間以内に投与する、請求項30に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
連邦政府が後援する研究または開発に関する声明
本発明は、陸軍(MRMC)によって付与された認可番号W81XWH-16-2-0040の下で政府支援を用いて開発したものである。政府は本発明において一定の権利を有する。
本発明は、概して、虚血組織における微小循環への酸素送達を回復または増加させるのに有用な、高分子量および低分子量のポリマーを含む組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
全血または血液製剤を伴う外傷およびショック状態にある患者の蘇生は、輸液蘇生が絶対的な基準であると考えられる。しかしながら、ショックを受けた患者を蘇生するために使用される任意の溶液の有効性を大幅に制限する、ショック中の細胞損傷および組織損傷のあるメカニズムがある。全血は、乳酸リンゲル液のような他のIV溶液と比較したときに最良の選択肢であり得るが、虚血組織を再灌流するときに生じるノーリフロー現象により非常に不利にもなる。
【0003】
組織損傷のこのメカニズムを軽減するための改良された組成物および方法は、生体器官および組織における全血が毛細血管ネットワークを容易に通過することを可能にし、これによりショックによる代謝効果を軽減し、かつ、反転するために必要な酸素移動を生じさせる。
【発明の概要】
【0004】
本開示は、例えば、病院または救急診療において、外傷またはショック状態にある患者を蘇生するのに使用される、安全で不活性な溶液を提供する。この溶液は、患者の組織への酸素移動を大幅に改善し、蘇生後の結果を改善し、患者の生存を増加させる。輸血前に溶液を投与すると、輸液に必要な血液量が減少する。
【0005】
本開示の一態様は、5~20%w/vの濃度の分子量18,000~100,000Daを有するポリエチレングリコールポリマー(PEG)と;1~30%w/vの濃度の分子量1,000~10,000Daを有するPEGと;水とを含む組成物であって、分子量18,000~100,000Daを有するPEGと分子量1,000~10,000Daを有するPEGとが水中に溶解または分散している組成物を提供する。いくつかの実施形態では、組成物の全体積は、1000ml以下、例えば100~1000mlである。いくつかの実施形態では、全体積は136~680mlである。
【0006】
いくつかの実施形態では、組成物は、10%w/vの濃度で分子量20,000Daを有するPEGを含む。いくつかの実施形態では、組成物は、15%w/vの濃度で分子量1,000Daを有するPEGを含む。いくつかの実施形態では、水は脱イオン水である。いくつかの実施形態では、組成物は、塩化ナトリウム、乳酸ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルシウム、および、塩化マグネシウムのうちの1種以上をさらに含む。
【0007】
本開示の別の態様は、輸液を静脈内に送達するように構成されたバッグと、バッグ内に本明細書に記載される組成物とを含む、静脈内注入製品を提供する。
【0008】
本開示の別の態様は、それを必要とする対象における局所的または広範囲に組織灌流を回復または増加させるための方法であって、本明細書に記載の組成物の治療上有効な量を対象に投与することを含む方法を提供する。いくつかの実施形態では、組成物は静脈内に投与される。いくつかの実施形態では、対象は、心原性または非心原性ショックのために、広範囲にまたは局所的な組織灌流が減少している。
【0009】
いくつかの実施形態では、前記方法は、細胞または無細胞酸素キャリア溶液を同時にまたは連続投与する工程を含む。いくつかの実施形態では、無細胞酸素キャリア溶液は、ヘモグロビンベースの酸素キャリア(HBOC)である。いくつかの実施形態では、細胞酸素キャリア溶液は全血または濃厚赤血球である。いくつかの実施形態では、投与する細胞酸素キャリア溶液の量は、組成物が存在しない場合に必要とされる推定血液量の50%以下である。いくつかの実施形態では、細胞または無細胞酸素キャリア溶液は、組成物の投与の12時間以内に投与する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】(A)ショック時の浸透水移動と代謝細胞の膨張の図。(B)内皮細胞の代謝細胞膨張および関連する毛細血管圧縮の説明
【
図2】細胞外および毛細血管内への等張水の非エネルギー移動を生じさせる浸透勾配の図
【
図3】(A)LVR時間、(B)最終的な乳酸、及び(C)種々のLVR溶液を投与した後の最終的なMAP
【
図4】致死ショックの齧歯類モデルにおける投与量応答データ
【
図5】10%PEG-20kを全ヒト血液に添加した後の赤血球沈降を示す図
【
図6】全血中でのESR沈降速度を向上させた、大きいポリマー(A)PEG-20k、(B)PEG-35kおよび(C)PEG-100k上の小分子PEGポリマーの効果を示すウエスタンESR分析データ
【
図7】本開示のいくつかの実施形態による静脈内注入製品
【発明を実施するための形態】
【0011】
本開示の実施形態は、虚血組織における微小循環への酸素送達を回復または増加させる溶液を提供する。虚血は、非心原性(例えば、低容量性、閉塞性、敗血症性、アナフィラリア性、または神経因性)ショックまたは心原性ショックから生じることがある。本明細書に記載の組成物は、虚血中および再灌流蘇生後、具体的には代謝細胞の膨張および二次微小循環圧縮の後に起こる、組織灌流の不良における主要な原因因子である新規な作用メカニズムを標的とする。
【0012】
ショック中に生じる細胞虚血は、側底細胞膜中のNa/K ATPaseを動かすのに必要なATP濃度の損失をもたらす。これにより、ナトリウムポンプの速度が遅くなり、細胞へのナトリウムの侵入が増加し、その後の浸透水の動きによって代謝細胞の膨張が生じる(
図1A)。組織内の実質細胞としては、組織に酸素を供給する微小循環が圧縮し、毛細血管の流れおよび酸素の対流移動を減速または停止させる。同様に、内皮細胞の代謝的膨張は毛細血管内腔の直径を減少させ、さらに流れを制限する(
図1B)。これは、毛細血管空間から逃げるが細胞に入ることができない不活性分子である不透過性細胞を細胞外空間に充填することにより、防止または逆転させることができる。それらは、細胞外に蓄積し、浸透圧的に、内向きの水の動きを阻止しまたは逆転させ、それにより組織の浮腫を防止し、微小循環を減圧する。これにより、低体積状態であっても、効率的な毛細血管灌流及び組織への酸素の移送を行うことができる。
【0013】
約18,000~100,000Daの分子量を有するポリエチレングリコール(PEG)ポリマーは、2つの現象のために最も効果的である:1)それらは部分的な膠質浸透圧特性を有する不透過性分子であり、2)それらは高度に親水性であり、水分子を誘引する。トレーサー研究は、PEG-20k分子の浸透圧反射係数(σd)が約0.5であることを示唆し、これは、毛細管空間内に留まるPEG-20kの2分子ごとに、1分子が出て隙間空間に入ることを意味する。不浸透性であるため、細胞内に入ることはない。これにより、浸透勾配が形成され、等張水の細胞外および毛細血管内への非エネルギー移動を確立する(
図2参照)。この水の移送は、毛細血管の流れの駆動圧力を高めるための容積を補充しながら、毛細血管の減圧を促進して流れに対する抵抗を減少させる。PEGポリマーは非常に親水性であり、分子の周りに水の殻をきれいに誘引する。これにより、浸透勾配だけで水の引き込みが増強される。
【0014】
ショック、外傷、重大な病気、組織損傷で発生する低流動状態および前炎症状態は、組織内の毛細血管の数を常に減少させることによって緩慢な流れ(灌流不良)を引き起こす。このための一つのメカニズムは赤血球(RBC)の連銭(rouleaux)形成を含み、これは微小循環中のRBCの何列ものまとまった堆積である。これらのRBC連銭は毛細血管内に捕らえられ、物理的障害により流れを妨害し、局所的な血液粘度を増加させ、ショックにおけるグリコカリックスの破壊による損傷した血管内皮に付着した他の炎症性細胞と架橋する。治療用PEGポリマー(20-100k)はRBC凝集を増加させ、ショックおよび低流動状態での連銭形成を促進する可能性が高い。これは、代謝細胞および組織の膨張を制限することによって毛細血管の流れおよび灌流を回復させるための治療用PEGポリマーにより生じる保護効果に反して作用する。
【0015】
本開示は、少量の低分子量ブロッキング剤と組み合わされた治療用PEGポリマーを含む組成物であって、連銭形成を制限することにより、局所的毛細血管灌流に対する治療効果を高める組成物を提供する。従って、本開示の実施形態は、分子量18,000~100,000Da、例えば18,000~40,000Da、例えば20,000~35,000Da、例えば18,000Da、20,000Da、25,000Da、30,000Da、35,000Da、40,000Daを有するPEGを、5~30重量%、例えば5~20%、10~30%、または10~20%w/v、g/Lの総溶液の濃度で含む組成物を提供する。組成物はさらに、分子量1,000~10,000Da、例えば2,000~8,000Da、例えば2,000Da、3,000Da、4,000Da、5,000Da、6,000Da、7,000Da、または、8,000Da、例えば、6,000Daを有するPEGを、1~30%、例えば1~20%、1~10%w/v、g/Lの総溶液の濃度で含む。
【0016】
ほとんどのPEGは、分子量の分布を有する分子を含む(すなわち、多分散系である)。この粒度分布は、重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)により統計的に特徴づけることができ、その割合は多分散指数(Mw/Mn)と呼ばれる。いくつかの実施形態では、多分散指数は、約5未満、例えば、4、3、2、1.5、または1.2未満である。
【0017】
小さいポリマーは2つの重要な作用を提供する:1)それらは、全血または血液製剤とは別個に投与されたとき生体において、または、複合血液製剤として提供されたときのインビトロのいずれかにおいて、赤血球沈降についての大きなPEG分子の増強速度を減衰させ、当該製剤の投与をより容易にし、また、2)それらは、蘇生後の細胞性免疫系の活性成分の短期免疫的カモフラージュを提供し、それにより蘇生後の早期の炎症反応の一部を阻止する。免疫的カモフラージュは、ポリマーによる血液細胞の非特異的な表面安定化によって達成される。このポリマーは、細胞-細胞相互作用のために活性化された表面受容体を覆い、それにより損傷組織による活性化からそれを覆いまたはカモフラージュすることにより白血球を“コーディング”し、蘇生後の二次炎症損傷をさらに保護する。
【0018】
高分子量PEGおよび低分子量PEGは、水、例えば脱イオン水に溶解または分散される。いくつかの実施形態では、組成物は、生理食塩水または乳酸リンゲル溶液であり、塩化ナトリウム、乳酸ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルシウム、および、塩化マグネシウムのうちの1種以上を含む。
【0019】
いくつかの実施形態では、組成物の全体積は、1000ml以下、例えば500ml、250ml、または、150ml以下、例えば100~1000mlである。いくつかの実施形態では、全体積は、20~100kgの患者のための6.8ml/kg体重の用量に基づいて、約136~680mlの範囲である。
【0020】
溶液は、単相溶液、分散液、エマルジョン、または、対象への送達に物理的に適した任意の他の形態であってもよい。溶液は、過度の有害な影響を生じさせることなく、対象への注入に適しているという点で"生理学的に許容される"ものである。溶液は、自己血液または代用血液を含むことができる。いくつか実施形態では、溶液は、追加の細胞不浸透剤または膨張剤を含む。
【0021】
図7を参照すると、本開示のさらなる実施形態は、流体を静脈内に送達するように構成されたバッグ10と、バッグ内に本明細書に記載される組成物とを含む静脈内注入製品を提供する。Viaflex(登録商標)バッグのような適切なIV注入バッグが当該技術分野でよく知られている。
【0022】
本開示のさらなる実施形態は、細胞または無細胞酸素キャリア溶液と混合された本明細書に記載の組成物を提供する。無細胞酸素キャリア溶液には、例えば、ヘムキュア(hemature(登録商標))、パーフルオロケミカル液のエマルジョン(PECエマルジョン)、および、これらの酸素キャリアのいずれかの脂質カプセル化のようなヘモグロビンベースの酸素キャリア(HBOC)が含まれる。細胞酸素キャリアは、全血を含み、例えば、輸血または濃厚赤血球を介して投与される。従って、本明細書に記載される組成物は、全血または血液製品のための無菌添加剤、または、外傷、低電圧血症、ショックまたは灌流不良による代謝極値を有する患者を蘇生させるために使用される他の酸素キャリア溶液であってもよい。添加剤は全血の1単位と組み合わせてもよいし、全血採取時にドナーバッグに添加してもよい。例えば、50~150mlの組成物を濾過滅菌し、400~600mlの酸-クエン酸塩-デキストロース(ACD)で処理した全血と混合してもよい。混合した製品は、全血蘇生の有効性を劇的に増加させ、患者における成果および生存を増加させる。
【0023】
さらなる実施形態は、本明細書に記載の組成物の治療上有効な量を対象、例えば、外傷またはショック患者、に投与することを含む、それを必要とする対象における局所的または広範囲な組織灌流を回復または増加させるための方法を提供する。組成物は、細胞または無細胞酸素キャリア溶液の投与と同時に、またはそれよりも前に加えることができる。いくつかの実施形態では、細胞または無細胞酸素キャリア溶液は、組成物の投与の12時間以内、例えば、10、8、6、4、2、または1時間以内に投与する。いくつかの実施形態では、投与される細胞酸素キャリア溶液の量は、組成物の非存在下で必要とされる推定血液量の50%以下、例えば40%、30%、20%、10%、または5%以下である。
【0024】
さらなる実施形態は、本明細書に記載される組成物の治療上有効な量を対象、例えば外傷またはショック患者、に投与することを含む、それを必要とする対象における心臓の蘇生のための方法を提供する。組成物は、細胞または無細胞酸素キャリア溶液の投与と同時に、またはそれ以前に加えることができる。いくつかの実施形態では、細胞または無細胞酸素キャリア溶液は、組成物の投与の12時間以内、例えば10、8、6、4、2、または1時間以内に投与する。いくつかの実施形態では、投与される細胞酸素キャリア溶液の量は、組成物の非存在下で必要とされる推定血液量の50%以下、例えば40%、30%、20%、10%、または5%以下である。
【0025】
本明細書に記載される溶液は、動脈内、静脈内、骨内、または、心臓内経路のような任意の適切な手段によって投与することができる。
【0026】
"対象"または"患者"という用語は、一般に、任意の哺乳動物、典型的にはヒトを指す。本明細書に記載される溶液および方法はまた、コンパニオンアニマルおよび家畜動物を含むが、これらに限定されない獣医学的用途を有する。
【0027】
本明細書で使用する場合、"有効量"または"治療上有効量"という用語は、非毒性であるが所望の生物学的結果を提供するのに十分な量の薬剤を意味する。この結果は、疾患の徴候、症状または原因の減少および/もしくは緩和、または、蘇生中の代謝細胞および組織の膨張の減少または阻害のような生物学的システムの他の所望の改変であり得る。
【0028】
本明細書に記載の組成物は、血液が生体器官および組織において毛細血管ネットワークを容易に通過することを可能にするので、必要な酸素移動が起こり、ショックの代謝効果を緩和し、反転させることができる。本明細書に記載の組成物は、広範囲の酸素負債(2.5mm以上の血漿乳酸)を有する重症患者に投与することができる。本発明の組成物は、二次損傷としての過剰な細胞性炎症に対する保護を付与することで、低酸素組織への酸素送達および酸素の移行に関して同時にまたは逐次的に投与される全血または血液製剤の性能を改善する。本発明の組成物は、組成物を使用しない同じ量の全血または血液製剤と比較して、その結果および生存性を改善する。
【0029】
本明細書に記載の組成物は、輸液蘇生に伴う“ノーリフロー(no reflow)”の問題を解決するものであり、これは、以前に認められたものよりはるかに重要である。血液が毛細血管交換血管に到達できない場合には(毛細血管ノーリフロー)、ショックを受けた患者への全血の投与は良好ではない。ノーリフローの解決は、酸素を運ぶ全血が毛細管空間に移動し、虚血組織への多くの必要な酸素移動に影響を及ぼすことができる。これは、乳酸を減少させ、発生した酸素負債を戻し、生存を劇的に増加させる。
【0030】
本明細書に記載される組成物は、代謝および心臓血管の機能不全(例えば、2.5mMより大きい血漿乳酸により指標とされる)を有する患者のための病院の輸血に有用である。他の用途としては、外科または内科ICUにいる重症患者、火傷患者、コンパートメント症候群の危険性のある外傷患者、移植片を受ける移植患者、心血管虚脱を伴う臓器ドナー、急激な血液損失を治療するための手術室、および、失血または心血管虚脱がある場合の輸送のための使用を含む。製品はまた、軍事衝突領域内の前線野戦病院で使用されてもよく、地上および空中の輸送車両において、または、心血管虚脱、ショック、外傷、または病気に由来する何らかの形態の酸素欠乏に罹患している患者における全血の必要性があるいずれの場所において使用されてもよい。
【0031】
本発明の例示的な実施形態をより詳細に説明する前に、本発明は、当然ながら、そのような特定の実施形態に限定されるものではないことを理解すべきである。本明細書で使用される用語は、特定の実施形態のみを説明するためのものであり、本発明の範囲は添付の請求の範囲によってのみ限定され、本発明の範囲を限定することを意図するものではないことも理解されるべきである。
【0032】
値の範囲が提供される場合には、その範囲の上限および下限の間に介在するそれぞれの値、文脈が明確に指示しない限り下限の単位の10分の1まで、および、その記載された範囲内の他の記載された値または介在する値は本開示に含まれることが理解される。これらのより小さい範囲の上限および下限は、この範囲内の任意の具体的に除外された境界を条件として、独立して、より小さい範囲に含まれてもよく、また、本開示の範囲内にも包含される。記載された範囲が境界の1つまたは両方を含む場合には、これらの含まれる境界のいずれかまたは両方を除く範囲も開示に含まれる。
【0033】
他に定義されていない限り、本明細書で使用される全ての技術用語及び科学用語は、本発明が属する技術分野の当業者によって一般的に理解されるものと同じ意味を有する。本発明の実施または試験には、本明細書に記載された任意の方法および材料との近似物または均等物を使用することもできるが、代表的かつ例示的な方法および材料について説明する。
【0034】
本明細書に引用されている全ての刊行物および特許は、個々の刊行物または特許が具体的に、かつ、個別に参照として組み込まれていることが示されているかのように参照として組み込まれ、刊行物が引用されているものに関連した方法および/または材料を開示しおよび記述するために本明細書に組み込まれる。任意の刊行物の引用は、出願日の前におけるその開示を示すためのものであり、本発明が先行発明を理由にそのような刊行物に先行する権利がないことを承認するものと解釈されるべきではない。また、提供された刊行物の日付は個別に確認する必要があり実際の掲載日とは異なることがある。
【0035】
本明細書および添付の特許請求の範囲において使用されるように、単数形"a"、"an"、および"the"は、文脈が他の方法で明確に指示しない限り、複数の指示物を含むことに留意されたい。さらに、特許請求の範囲は、任意の要素を排除するように記載してもよいことに留意されたい。このように、本記述は、請求項の要素の記載に関連して、"単独"、"唯一"等のような専用用語の使用、または"ネガティブ"な限定の使用のための先立つ根拠としての役割を果たすことを意図している。
【0036】
本開示を読むことにより当業者には明らかなように、本明細書に記載され例示された個々の実施形態の各々は、本発明の範囲または精神から逸脱することなく、他のいくつかの実施形態のいずれかの特徴から容易に分離または結合され得る個別の構成要素および特徴を有する。記載されている方法は、記載されている事象の順序で、または、論理的に可能な任意の他の順序で実行することができる。
【0037】
本発明は、本発明についてさらに説明し、かつ、本発明の範囲を限定する意図ではない、もしくは、本発明の範囲を限定するものと解釈されるべきではない、以下の非限定的な実施例によってさらに説明される。
【0038】
実施例1
出血性ショック蘇生のためのPEGポリマーのサイズ
致死性出血性ショックおよび低容量蘇生(LVR)の着実な齧歯類モデルにおける初期の研究は、典型的な不透過性分子が非常に有効であったことを示し、ショックに対する耐性の指標となる低容量蘇生(LVR)時間を2倍にした。他の心血管および代謝の結果も、生理食塩水容量コントロール群に対して2倍に改善された。効果を最適化するために、本発明者らは、浸透圧反射係数が1未満(毛細血管空間内に留まるアルブミンのような純粋な膨張剤)、かつ、0より大きい(毛細血管と間隙空間との間で自由に平衡化するグルコン酸のような純粋な非透過剤)である不透過性分子を探索した。本発明者らは、10kより大きいが100k未満のPEGポリマーが魅力的な候補であることを見出した。ショック状態におけるサイジング研究を行い、結果を酸素負債の指標としてLVR時間、蘇生後の動脈圧、および、蘇生後の血漿乳酸蓄積にて示す。これらの研究を
図3に要約する。
【0039】
結果は、PEG-8kがショック耐性の2~3倍の増加を生じたことを示し、これはグルコン酸に類似し、その分子反射係数と一致する。20-35kの間のPEGポリマーは、最も高いLVR時間、最も高い末梢平均動脈圧、および最も低い最終乳酸値を有していたので、齧歯動物のショックモデルにおいて最適な結果を生じた。実際には、PEG-20kおよび-35kは、蘇生において乳酸を10mMからベースライン近く(1.2mM)まで低下させ、これは24時間での酸素負債の返済を示す。PEG-100kによる低容量の蘇生は、LVR倍に基づいて良好な結果が得られたが、ラットのMAPは非常に低く(蘇生後4時間約40mmHg)、乳酸は10mM付近まで上昇したので、酸素負債の再蓄積を示し、ラットは悪化し始めた。したがって、致死ショック後の蘇生には、20-35kDaのPEGポリマーの大きさが最適であると思われる。
【0040】
実施例2
出血性ショック蘇生のためのPEG投与量
ショック蘇生のために推奨される現在の投与量は、推定血液容積の10%に等しい体積または6.8ml/kgの単一の低容量IVボーラス注入である。使用される溶液は、ポリエチレングリコール20,000(PEG-20k)の10重量%溶液である。投与量は、注入器により5分かけて投与されるか、または静脈アクセスラインへの重力供給によって投与される。この特定の投与量は、前臨床ブタモデルと相関することが示された致死ショックの周知の齧歯類モデルにおける反復実験から試験的に決定された。これらの投与量応答データを
図4に示す。これらのデータは、LVR時間および最終血漿乳酸値の結果の両方に基づいて、PEG-20k IV溶液の最適な投与量を示す。具体的には、最も効果的な蘇生結果は、最も長いLVR時間と最も低いの乳酸値を有するものである(各バーの下にmM/Lで示される)。この試験モデルにおけるこれらの基準を用いて、推定血液量(6.8ml/kg)の10%の体積投与量でPEG-20kの10%溶液としてのPEG-20k投与は、最も明らかに最適結果を示した。
【0041】
濃度を5%に低下させる(10%EBV用量)、または、10%溶液で5%EBVまで投与すると、低い結果が生じた。同様に、同じ質量のPEG-20kを送達するが、半分の体積(5%EBV用量で送達される20%溶液)は劣っていたが、PEG-20kの同じ有効質量は、最少量の等張性ビヒクル(乳酸リンゲル液成分)を必要とすることを示唆している。これは、細胞の外に等張溶液を移動させ、毛細血管空間を再充填するメカニズムから理解される。10%EBV (6.8ml/kg)の最小液量が必要である。これは、まだ低容量の蘇生容量と考えられるものの上限内にある。10%PEG-20k溶液は最適な結果を得るが、その濃度がより効果的であるかは疑いがあり、最終的な乳酸濃度は、240分LVR期間の終了時点においてわずかに高かったのであまり有益ではなかった(それぞれ20%PEG-20kと比較して、10%PEG-20kの1.2mM対2.5mM)。最適なPEG-20k投与量はまた、ショック蘇生法におけるLVR溶液として使用され得る他の公知の晶質液(生理食塩水、Hextend、アルブミン)の性能と比較される。他の研究では、7.5%PEG-20kを含む溶液による蘇生法は、10%溶液とは有意に異なっていなかった。
【0042】
実施例3
配合最適化:ESR効果
激しいショック後に蘇生する際にこれらの有益な効果を有する高分子量のPEGも、全血と混合した際には赤血球沈降速度(ESR)を飛躍的に増大させる。ポリエチレングリコールポリマーは、生物学的および非生物学的物質に非特異的に結合することができる。さらに、4nMを超える分子半径を有するポリマーは、赤血球のような細胞に結合し、架橋することができ、一方で4nm未満のポリマーは結合しない。これは10-20kDaの間の分子量カットオフとして説明され、PEG-20kはRBCと相互作用するのに十分な大きさであり、大きさがPEG-10kよりも小さいと十分ではない。ショック状態の前臨床モデルにおいて、インビボで10%PEG-20k IV溶液を用いて作用させた最初の観察結果のうちの一つは、1回のPEG-20kの静脈内投与後に採取された全血サンプル中においてRBCを迅速に沈降させる能力を示した(
図5-右側は、PEG-20kの10%溶液を含む。この画像は、10分後の赤血球沈降の程度を示す)。この効果を、ex vivoヒト血液中の古典的ウエスタンESR定量法を用いてPEG-20k ESR効果を定量した。通常の血液中での60分での沈降は、約2~6mmである。血液を10%PEG-20kで1:9希釈にて希釈したときに60mmに増加し、これはショック時のLVR後の希釈をシミュレートする。
【0043】
次に、標準ウエスタンESRアッセイを用いてESR速度を測定し、RBC上の結合部位の競合阻害剤として作用する異なる濃度の小さいPEGポリマーのファミリーを添加することにより、沈降効果をブロックまたは減衰させようとした。理論に拘束されることなく、我々の仮説は、大きなPEGポリマーはRBC荷電表面に非特異的に結合すると考える。複数のRBCが各大型ポリマーに付着すると、架橋が起こり、血液粒子密度を増加させ、それによってそれらを迅速に溶液から沈降させる。小さなポリマーはRBCの表面に対して同じ親和性を有するが、複数のRBC結合を受け入れることができず、したがって架橋を許容しないと仮定した。
【0044】
この仮説を試験するために、本発明者らは系統的な重合体ブロックの研究を行った。PEG架橋およびESR沈降を競合的に干渉するために、分子半径が4nm未満(分子量10kDa未満)の小さいPEGポリマーを、PEG処理全血に添加した。既知の治療範囲ショックに対する3種の市販のPEGポリマー(PEG-20k、PEG-35k、およびPEG-l00k)を試験した。その結果を
図6a-
図6cに示す。PEG-35k (
図6b)およびPEG-100k (
図6c)の治療濃度を有する非常に強いESR効果(2x)を示す。小さいPEGポリマー(PEG-lk-PEG-10k)を使用するこれらのESR効果を抑制する能力は、治療用PEGの分子量が増加するにつれて鈍化される。一般に、それらは、PEG-20kを使用して見られるものと比較して、より抑制した効果をもたらすためにより高い濃度のブロッカーPEGポリマーを必要とする。
【0045】
小さいPEGポリマーを使用する別の利点は、これらのポリマーが活性化された炎症性細胞に及ぼす免疫偽装効果である。これは、二次蘇生および再灌流障害を阻害クし、制限するのに役立つ。
【0046】
本発明をその好ましい実施形態に関して説明してきたが、当業者は、添付の請求の範囲の主旨および範囲内で本発明を修正して実施することができることを認識するであろう。従って、本発明は、上述した実施形態に限定されるべきではなく、本明細書に提供される説明の主旨および範囲内でのすべての修正および均等物をさらに含む。
【手続補正書】
【提出日】2022-11-25
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
5~20%w/v濃度の分子量18,000~100,000Daを有するポリエチレングリコールポリマー(PEG);
1~30
%w/v濃度の分子量が1,000~10,00DaであるPEG;および
水を含む組成物であって、
前記分子量18,000~100,000Daを有するPEGと前記分子量が1,000~10,000Daを有するPEGとが、前記水中に溶解または分散している、組成物。
【請求項2】
前記組成物の全体積が100~1000mlである、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
全体積が136~680mlの範囲である、請求項2に記載の組成物。
【請求項4】
前記分子量18,000~100,000Daを有するPEGが分子量20,000Daを有するPEGである、請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
前記分子量20,000Daを有するPEGが10%w/vの濃度である、請求項4に記載の組成物。
【請求項6】
前記水が脱イオン水である、請求項1に記載の組成物。
【請求項7】
前記組成物が、塩化ナトリウム、乳酸ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルシウムおよび、塩化マグネシウムの1種以上をさらに含む、請求項1に記載の組成物
【請求項8】
流体を静脈内に送達するように構成されたバッグと、前記バック内の組成物とを含む静脈内注入製品であって、前記組成物が、
5~20%w/v濃度の分子量18,000~100,000Daを有するポリエチレングリコールポリマー(PEG)と;
1~20%w/v濃度の分子量1,000~10,000Daを有するPEGと;
水とを含み、
前記分子量18,000~100,000Daを有するPEGと前記分子量1,000~10,000Da
を有するPEGとが前記水中に溶解または分散している、静脈内注入製品。
【請求項9】
前記組成物の全体積が100~1000mlである、請求項8に記載の静脈内注入製品。
【請求項10】
総全容積が136~680mlの範囲である、請求項9に記載の静脈内注入製品。
【請求項11】
前記分子量18,000~35,000Daを有するPEGが分子量20,000Daを有するPEGである、請求項8に記載の静脈内注入製品。
【請求項12】
分子量20,000Daを有するPEGが10%w/vの濃度である、請求項11に記載の静脈内注入製品。
【請求項13】
前記水が脱イオン水である、請求項8に記載の静脈内注入製品。
【請求項14】
前記組成物が、塩化ナトリウム、乳酸ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルシウム及び塩化マグネシウムの1種以上をさらに含む、請求項8に記載の静脈内注入製品。
【請求項15】
必要とされる対象における局所的または広範囲に組織灌流を回復または増加させる方法であって、
請求項1に記載の組成物の治療上有効な量を前記対象に投与することを含む、方法。
【請求項16】
前記組成物を静脈内に投与する、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記組成物の量が100~1000mlである、請求項15に記載の方法。
【請求項18】
組成物の量が136~680mlである、請求項15に記載の方法
【請求項19】
前記対象が心原性または非心原性ショックにより広範囲にまたは局所的に組織灌流が減少している、請求項15に記載の方法。
【請求項20】
細胞または無細胞酸素キャリア溶液を同時にまたは連続的に投与する工程をさらに含む、請求項15に記載の方法。
【請求項21】
前記無細胞酸素キャリア溶液がヘモグロビンベースの酸素キャリア(HBOC)である、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記細胞性酸素キャリア溶液が全血または濃厚赤血球である、請求項20に記載の方法。
【請求項23】
投与する前記細胞酸素キャリア溶液の量が組成物の非存在下で必要とされる推定血液量の50%以下である、請求項20に記載の方法。
【請求項24】
前記細胞または無細胞酸素キャリア溶液を前記組成物の投与の12時間以内に投与する、請求項20に記載の方法。
【請求項25】
必要とされる対象における心臓の蘇生方法であって、
請求項1に記載の組成物の治療上有効な量を前記対象に投与することを含む、方法。
【請求項26】
前記組成物を静脈内に投与する、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
前記対象が心原性または非心原性ショック状態にある、請求項25に記載の方法。
【請求項28】
細胞または無細胞酸素キャリア溶液を同時にまたは連続的に投与する工程をさらに含む、請求項25に記載の方法。
【請求項29】
前記無細胞酸素キャリア溶液がヘモグロビンベースの酸素キャリア(HBOC)である、請求項
28に記載の方法。
【請求項30】
前記細胞酸素キャリア溶液が全血または濃厚赤血球である、請求項
28に記載の方法。
【国際調査報告】