(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-12-05
(54)【発明の名称】分散型サービスに要求応答の正確な通信遅延保証を提供するシステム
(51)【国際特許分類】
H04L 45/302 20220101AFI20221128BHJP
【FI】
H04L45/302
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022518861
(86)(22)【出願日】2019-09-26
(85)【翻訳文提出日】2022-03-23
(86)【国際出願番号】 CN2019108081
(87)【国際公開番号】W WO2021056314
(87)【国際公開日】2021-04-01
(31)【優先権主張番号】201910897838.8
(32)【優先日】2019-09-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】510268565
【氏名又は名称】中国科学院声学研究所
【氏名又は名称原語表記】INSTITUTE OF ACOUSTICS, CHINESE ACADEMY OF SCIENCES
(71)【出願人】
【識別番号】516268194
【氏名又は名称】ペキン ヒリ テクノロジー カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】BEIJING HILI TECHNOLOGY CO. LTD
(74)【代理人】
【識別番号】100099623
【氏名又は名称】奥山 尚一
(74)【代理人】
【識別番号】100129425
【氏名又は名称】小川 護晃
(74)【代理人】
【識別番号】100168642
【氏名又は名称】関谷 充司
(74)【代理人】
【識別番号】100217076
【氏名又は名称】宅間 邦俊
(74)【代理人】
【識別番号】100218604
【氏名又は名称】池本 理絵
(72)【発明者】
【氏名】リィー,イェンシア
(72)【発明者】
【氏名】ワン,ジンリィン
(72)【発明者】
【氏名】スゥン,パァン
(72)【発明者】
【氏名】リィー,ジアチィー
【テーマコード(参考)】
5K030
【Fターム(参考)】
5K030GA02
5K030KA02
5K030LB05
(57)【要約】
本発明は分散型サービスに要求応答の正確な通信遅延保証を提供するシステムを開示する。前記システムは複数のサービス提供ノード、管理ノード及び複数のプロキシノードを備え、各サービス提供ノードがサービスするユーザの集合は該サービス提供ノードの対象領域を構成する。対象領域における任意のユーザと該サービス提供ノードとの通信遅延が所定の遅延保証値よりも小さく、物理ネットワークはサービス提供ノードの対象領域に応じて分割され、ネットワークにおける各ユーザがいずれも対象領域に位置し得るようにされ、各ユーザ毎に少なくとも1つのサービス提供ノードがサービスを提供する。前記対象領域は複数の隣接領域を有し、各サービス提供ノードは複数の近傍ノードを有する。本発明の分散型サービスシステムにおいて、各ユーザはいずれも決定された通信遅延範囲内にサービス要求及び応答を完了することができる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
分散型サービスに要求応答の正確な通信遅延保証を提供するシステムであって、
前記システムは複数のサービス提供ノード、管理ノード及び複数のプロキシノードを備え、各サービス提供ノードがサービスするユーザの集合は該サービス提供ノードの対象領域を構成し、前記対象領域における任意のユーザと該サービス提供ノードとの通信遅延が所定の遅延保証値よりも小さく、物理ネットワークが前記サービス提供ノードの前記対象領域に応じて分割され、前記ネットワークにおける各ユーザがいずれも前記対象領域に位置し得るようにされ、各ユーザ毎に少なくとも1つの前記サービス提供ノードがサービスを提供し、前記対象領域は複数の隣接領域を有し、前記各サービス提供ノードは複数の近傍ノードを有し、
前記各サービス提供ノードはその近傍ノード情報を保存し、前記管理ノードにその情報を報告し、
前記管理ノードは、すべての前記サービス提供ノードが報告する情報を受信及び記憶し、前記プロキシノード又はユーザのサービス提供ノードリスト取得要求に応答し、要求パラメータには前記プロキシノード又はユーザの情報が保持されることと、前記プロキシノード又はユーザの情報を前記管理ノードに記憶されたサービス提供ノード情報とマッチングして、推奨されたサービス提供ノードリストを生成し、前記プロキシノード又はユーザに返信することと、を行うように構成され、
前記プロキシノードはユーザネットワークアクセスポイントの位置に配置され、ユーザから送信されたサービス要求メッセージを取得することと、前記管理ノードにサービス提供ノードリストを要求し、前記管理ノードから返信された推奨されたサービス提供ノードリストを取得し、該リストから遅延保証を提供できるサービス提供ノードを選択して保存することと、サービス応答メッセージを取得して、前記サービス要求メッセージを送信したユーザに転送することと、を行うように構成されたことを特徴とする分散型サービスに要求応答の正確な通信遅延保証を提供するシステム。
【請求項2】
前記近傍ノード情報は、ネットワークアドレス、地理座標及びノードサービス能力を含み、前記各サービス提供ノードが前記管理ノードに報告する前記情報は、自装置のネットワークアドレス、地理座標及びノードサービス能力を含み、前記要求パラメータには前記プロキシノード又はユーザの情報に含まれるネットワークアドレス、地理座標及び必要なサービス能力が保持されることを特徴とする請求項1に記載の分散型サービスに要求応答の正確な通信遅延保証を提供するシステム。
【請求項3】
前記プロキシノード又はユーザの情報を管理ノードに記憶されたサービス提供ノード情報とマッチングすることは、IPセグメントマッチング、地理位置座標マッチング及びサービス能力マッチングのうちの1つ又は複数を含むことを特徴とする請求項2に記載の分散型サービスに要求応答の正確な通信遅延保証を提供するシステム。
【請求項4】
前記プロキシノードがユーザから送信されたサービス要求メッセージを取得することは、ユーザが該プロキシノードに直接送信するサービス要求メッセージを直接取得し、又はキャプチャ方式によりユーザが前記サービス提供ノードに送信するサービス要求メッセージを取得することであることを特徴とする請求項3に記載の分散型サービスに要求応答の正確な通信遅延保証を提供するシステム。
【請求項5】
前記プロキシノードがサービス応答メッセージを取得することは、
該プロキシノードに保存された前記サービス提供ノードにサービス要求メッセージを転送することにより、対応するサービス応答メッセージを取得し、又は、
ローカルリソースにより対応するサービス応答メッセージを取得し、前記ローカルリソースがローカルキャッシュ情報であり、
前記プロキシノードに保存された前記サービス提供ノードの数が1つよりも多い場合、前記サービス提供ノード自体の特性に基づいて最適なサービス提供ノードを選択してサービス要求メッセージを送信し、前記特性がノードのハードウェア能力及びローカル構造を含むことを特徴とする請求項4に記載の分散型サービスに要求応答の正確な通信遅延保証を提供するシステム。
【請求項6】
請求項1~5のいずれか1項に記載のシステムに基づいて実現される正確な通信遅延保証サービスを取得する方法であって、
保存されたサービス提供ノードリストから正確な通信遅延保証を提供できる最適なサービス提供ノードを選択することと、
サービス要求メッセージを送信することと、
サービス応答メッセージを受信することと、を含む正確な通信遅延保証サービスを取得する方法。
【請求項7】
前記方法は更に、
サービス提供ノードアドレスを直接設定することと、
該サービス提供ノードにその近傍ノード情報を要求することと、
該サービス提供ノード及びその近傍ノードから遅延保証を提供できるサービス提供ノードを選別して保存することと、を含むことを特徴とする請求項6に記載の正確な通信遅延保証サービスを取得する方法。
【請求項8】
前記方法は更に、
従来のネットワークメカニズムにより対応するプロキシノードを取得することと、
前記プロキシノードに保存されたサービス提供ノードリストを要求することと、
該サービス提供ノードリストから遅延保証を提供できるサービス提供ノードを選別して保存することと、を含むことを特徴とする請求項6に記載の正確な通信遅延保証サービスを取得する方法。
【請求項9】
前記方法は更に、
前記管理ノードに推奨されたサービス提供ノードリストを要求することと、
前記サービス提供ノードリストから遅延保証を提供できるサービス提供ノードを選別して保存することと、を含むことを特徴とする請求項6に記載の正確な通信遅延保証サービスを取得する方法。
【請求項10】
保存されたサービス提供ノードリストにおける正確な通信遅延保証を提供できるサービス提供ノードの数が1つよりも多い場合、サービス提供ノード自体の特性に基づいて前記サービス提供ノードリストから最適なサービス提供ノードを選択し、前記特性がノードのハードウェア能力及びローカル構造を含むことを特徴とする請求項6に記載の正確な通信遅延保証サービスを取得する方法。
【請求項11】
前記サービス要求メッセージを送信することは、最適なサービス提供ノードにサービス要求メッセージを直接送信し、又は前記プロキシノードにサービス要求メッセージを送信することであることを特徴とする請求項6~10のいずれか1項に記載の正確な通信遅延保証サービスを取得する方法。
【請求項12】
前記サービス応答メッセージを受信することは、前記サービス提供ノードから返信されたサービス応答メッセージを直接受信し、又は前記プロキシノードから転送されたサービス応答メッセージを受信することであることを特徴とする請求項11に記載の正確な通信遅延保証サービスを取得する方法。
【請求項13】
正確な通信遅延保証サービスを取得する装置であって、
保存されたサービス提供ノードリストから正確な通信遅延保証を提供できる最適なサービス提供ノードを選択するためのサービス提供ノード取得モジュールと、
サービス要求メッセージを送信するためのサービス要求メッセージ送信モジュールと、
サービス応答メッセージを受信するためのサービス応答メッセージ受信モジュールと、を備えることを特徴とする正確な通信遅延保証サービスを取得する装置。
【請求項14】
メモリと、プロセッサと、前記メモリに記憶され且つ前記プロセッサにおいて実行され得るコンピュータプログラムと、を備える端末装置であって、
前記プロセッサは前記コンピュータプログラムを実行するとき、請求項6~12のいずれか1項に記載の方法を実現することを特徴とする端末装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は分散型サービスシステムに関し、具体的に、分散型サービスに要求応答の正確な通信遅延保証を提供するシステムに関する。
【0002】
[関連出願の相互参照]
本願は、2019年9月23日に提出した、発明の名称が「分散型サービスに要求応答の正確な通信遅延保証を提供するシステム」である中国特許出願第201910897838.8号に基づく優先権を主張し、この出願のすべての内容が参照により本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0003】
インターネットの発展過程において、当初は単一のサーバやクライアントのモデルを使用してユーザにサービスを提供していた。プロセッサレベル及びクラスタリング技術の発展に伴い、集中型サービスモデルのサービス処理時間は大幅に短縮されたが、該モデルにおいて遠距離通信がもたらすサービスがタイムリーではない問題が日増しに顕在化していった。該問題の本質とは、サービス遅延はサービス処理遅延及びサービスメッセージ伝送遅延の2つの部分を含み、サービス処理遅延は単独のマシンのハードウェア能力の向上又は水平展開の方式によりできる限り低減され得るが、サービスメッセージ伝送遅延は従来のトランスポート層技術及び目的とする伝送距離により制限されるため、サービス処理遅延よりも数桁大きくなり得ることである。このために、多くの分散型サービスシステムが出現している。これらの分散型サービスシステムにおいて、複数のサーバはネットワークに分散して配置され、ユーザは近くのサーバを選択してそれによりサービスが提供され、それによりサービスメッセージの伝送遅延が短縮され、システムの平均サービス遅延が大幅に短縮される。ところが、既存の分散型サービスシステムは、できる限り最寄りのサービスを提供するための最善の努力を保証できるが、要求が発生する前にその要求の返信遅延を予め把握できない。そして、いくつかの遅延の影響を受けやすいビジネスシナリオ、例えばテレマティクスや産業IoTにおいて、上位層のビジネスがサービスへの応答遅延に厳しい要求をしており、できる限り早く返信するのではなく、一定の遅延内に返信しなければならないサービスシステムが必要とされる。
【0004】
サービス遅延がサービス処理遅延とサービスメッセージ伝送遅延の2つの部分を含むことに鑑みて、多くのシーンにおいて、サービスメッセージ伝送遅延はサービス処理遅延よりも数桁大きく、サービス遅延の決定的な要因となっている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は上記技術的欠点を克服し、サービス応答遅延への要求が厳しい分散型サービスシナリオにおいて、遅延保証特徴を有する新型分散型サービスシステムを提供し、ネットワークにおけるすべてのユーザに要求応答の正確な通信遅延保証を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を実現するために、本発明の実施例1は分散型サービスに要求応答の正確な通信遅延保証を提供するシステムを提供し、前記システムは複数のサービス提供ノード、管理ノード及び複数のプロキシノードを備え、各サービス提供ノードがサービスするユーザの集合は、該サービス提供ノードの前記対象領域を構成し、前記対象領域における任意のユーザと該サービス提供ノードとの通信遅延が所定の遅延保証値よりも小さく、物理ネットワークが前記サービス提供ノードの前記対象領域に応じて分割され、前記ネットワークにおける各ユーザがいずれも前記対象領域に位置し得るようにされ、各ユーザ毎に少なくとも1つの前記サービス提供ノードがサービスを提供し、前記対象領域は複数の隣接領域を有し、前記各サービス提供ノードは複数の近傍ノードを有し、
前記各サービス提供ノードはその近傍ノード情報を保存し、前記管理ノードに自身の情報を報告し、
前記管理ノードは、すべての前記サービス提供ノードが報告する情報を受信及び記憶し、前記プロキシノード又はユーザのサービス提供ノードリスト取得要求に応答し、要求パラメータには前記プロキシノード又はユーザの情報が保持(伝達)され、前記プロキシノード又はユーザの情報を前記管理ノードに記憶されたサービス提供ノード情報とマッチングして、推奨されたサービス提供ノードリストを生成し、前記プロキシノード又はユーザに返信され、
前記プロキシノードは、ユーザネットワークアクセスポイントの位置に配置され、ユーザから送信されたサービス要求メッセージを取得することと、前記管理ノードにサービス提供ノードリストを要求し、前記管理ノードから返信された推奨されたサービス提供ノードリストを取得し、該リストから遅延保証を提供できるサービス提供ノードを選択して保存することと、サービス応答メッセージを取得して、前記サービス要求メッセージを送信したユーザに転送することと、を行うように構成される。
【0007】
上記システムの改良として、前記近傍ノード情報は、ネットワークアドレス、地理座標及びノードサービス能力を含み、前記各サービス提供ノードが前記管理ノードに報告する前記情報は、自装置のネットワークアドレス、地理座標及びノードサービス能力を含み、前記要求パラメータには前記プロキシノード又はユーザの情報に含まれるネットワークアドレス、地理座標及び必要なサービス能力が保持されている。
【0008】
上記システムの改良として、前記プロキシノード又はユーザの情報を管理ノードに記憶されたサービス提供ノード情報とマッチングすることは、IPセグメントマッチング、地理位置座標マッチング及びサービス能力マッチングのうちの1つ又は複数を含む。
【0009】
上記システムの改良として、前記プロキシノードがユーザから送信されたサービス要求メッセージを取得することは、ユーザが該プロキシノードに直接送信するサービス要求メッセージを直接取得し、又はキャプチャ方式によりユーザが前記サービス提供ノードに送信するサービス要求メッセージを取得することである。
【0010】
上記システムの改良として、前記プロキシノードがサービス応答メッセージを取得することは、
該プロキシノードに保存された前記サービス提供ノードにサービス要求メッセージを転送することにより、対応するサービス応答メッセージを取得し、又は、
ローカルリソースにより対応するサービス応答メッセージを取得し、前記ローカルリソースがローカルキャッシュ情報である。
【0011】
前記プロキシノードに保存されたサービス提供ノードの数が1つより多い場合、前記サービス提供ノード自体の特性に基づいて最適なサービス提供ノードを選択してサービス要求メッセージを送信し、前記特性がノードのハードウェア能力及びローカル構造を含む。
【0012】
本発明の実施例2は正確な通信遅延保証サービスを取得する方法を提供し、上記システムに基づいて実現され、前記方法は、
保存されたサービス提供ノードリストから正確な通信遅延保証を提供できる最適なサービス提供ノードを選択することと、
サービス要求メッセージを送信することと、
サービス応答メッセージを受信することと、を含む。
【0013】
上記方法の改良として、前記方法は更に、
サービス提供ノードアドレスを直接設定することと、
該サービス提供ノードにその近傍ノード情報を要求することと、
該サービス提供ノード及びその近傍ノードから遅延保証を提供できるサービス提供ノードを選別して保存することと、を含む。
【0014】
上記方法の改良として、前記方法は更に、
従来のネットワークメカニズムにより対応するプロキシノードを取得することと、
前記プロキシノードに保存されたサービス提供ノードリストを要求することと、
該サービス提供ノードリストから遅延保証を提供できるサービス提供ノードを選別して保存することと、を含む。
【0015】
上記方法の改良として、前記方法は更に、
前記管理ノードに推奨されたサービス提供ノードリストを要求することと、
前記サービス提供ノードリストから遅延保証を提供できるサービス提供ノードを選別して保存することと、を含む。
【0016】
上記方法の改良として、保存されたサービス提供ノードリストにおける正確な通信遅延保証を提供できるサービス提供ノードの数が1つより多い場合、サービス提供ノード自体の特性に基づいて前記サービス提供ノードリストから最適なサービス提供ノードを選択し、前記特性がノードのハードウェア能力及びローカル構造を含む。
【0017】
上記方法の改良として、前記サービス提供ノードにサービス要求メッセージを送信することは、最適なサービス提供ノードにサービス要求メッセージを直接送信し、又はプロキシノードにサービス要求メッセージを送信することであり、
上記方法の改良として、前記サービス応答メッセージを受信することは、前記サービス提供ノードから返信されたサービス応答メッセージを直接受信し、又は前記プロキシノードから転送されたサービス応答メッセージを受信することである。
【0018】
本発明の実施例3は正確な通信遅延保証サービスを取得する装置を提供し、前記装置は、
保存されたサービス提供ノードリストから正確な通信遅延保証を提供できる最適なサービス提供ノードを選択するためのサービス提供ノード取得モジュールと、
サービス要求メッセージを送信するためのサービス要求メッセージ送信モジュールと、
サービス応答メッセージを受信するためのサービス応答メッセージ受信モジュールと、を備える。
【0019】
本発明の実施例4は端末装置を提供し、メモリと、プロセッサと、前記メモリに記憶され且つ前記プロセッサにおいて実行され得るコンピュータプログラムとを備え、前記プロセッサは前記コンピュータプログラムを実行するとき、上記方法を実現する。
【発明の効果】
【0020】
本発明の有益な効果は以下のとおりである。
【0021】
第1に、本発明の分散型サービスシステムにおいて、各ユーザはいずれも決められた通信遅延範囲内にサービス要求及び応答を完了できる。
第2に、本発明の正確な通信遅延保証サービスを取得する方法において、ユーザは自身の特徴に基づいて複数のアクセス方式を選択して分散型サービスシステムにアクセスすることができる。
第3に、本発明の正確な通信遅延保証サービスを取得する方法において、プロキシを使用する方式又はプロキシを使用しない方式を選択してユーザにサービスを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】
図1は本発明の分散型サービスにおいて、要求応答の正確な通信遅延保証を提供するシステムの模式図である。
【
図2】
図2はサービス提供ノードによるユーザに対するサービス対象領域の模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、図面を参照しながら具体的な実施例によって本発明の技術案を詳しく説明する。
【0024】
実施例1
本発明は分散型サービスに要求応答の正確な通信遅延保証を提供するシステムを提供し、サービス領域に分布する複数のサービス提供ノードと、管理ノードと、ユーザネットワークアクセス位置に配置される複数のプロキシノードと、を備える。サービス提供ノードは予め配置されたシステムサービスプログラムを備え、該ノードサービス領域内のユーザにこれらの配置されたサービスを提供する。それぞれのサービス提供ノードがサービスするユーザの集合は該サービス提供ノードの対象領域を構成し、対象領域における任意のユーザと該サービス提供ノードとの通信遅延が所定の遅延保証値よりも小さい。物理ネットワークはサービス提供ノードの対象領域に応じて分割され、ネットワークにおける各ユーザがいずれもある対象領域に位置し得るようにし、各ユーザ毎に少なくとも1つのサービス提供ノードがサービスを提供する。ネットワーク接続関係に基づいて、各対象領域は複数の隣接領域を有し、各サービス提供ノードは複数の近傍ノードを有する。管理ノードはすべてのサービス提供ノードの情報を保存し、情報マッチング方式によりプロキシノード又はユーザのサービス提供ノードリスト取得要求に応答する。プロキシノードはネットワークアクセスポイントの位置に配置され、管理ノードから取得されたサービス提供ノードリストから適切なサービス提供ノードを選択して保存し、ユーザのサービス提供ノード取得要求に応答することができ、ユーザに代わってサービス提供ノードにサービス要求を転送したり、ユーザのサービス要求に直接応答したりすることができる。ユーザはその位置する対象領域内のサービス提供ノードに上記配置されたサービスを要求する。ネットワーク管理者による手動設定方式、プロキシノードからサービス提供ノードを取得する方式、又は管理システムからサービス提供ノードを取得する方式の3つの方式により適切なサービス提供ノードを選択してユーザにサービスを提供することができ、サービス提供ノードにサービス要求を送信する方式又はプロキシノードにサービス要求を送信する方式の2つの方式により該分散型サービスを使用することができる。上記システムによって、ネットワークにおけるユーザに分散型サービスを提供する場合、要求応答通信遅延をある正確な遅延値内に保証することができる。
【0025】
図1に示すように、本発明の実施例1は分散型サービスに要求応答の正確な通信遅延保証を提供するシステムを提供し、該システムは、サービス領域に分布する複数のサービス提供ノードと、管理ノードと、ユーザネットワークアクセス位置に配置される複数のプロキシノードとを備える。ここで、サービス提供ノード、管理ノード及びプロキシノードはサーバであってもよい。
サービス提供ノードは予め配置されたシステムサービスプログラムを備え、該ノードサービス領域内のユーザにこれらの配置されたサービスを提供する。それぞれのサービス提供ノードがサービスするユーザの集合は該サービス提供ノードの対象領域を構成し、対象領域における任意のユーザと該サービス提供ノードとの通信遅延が所定の正確な遅延よりも小さい。物理ネットワークはサービス提供ノードの対象領域に応じて分割され、ネットワークにおける各ユーザがいずれもある対象領域に位置し得るようにし、各ユーザ毎に少なくとも1つのサービス提供ノードがサービスを提供する。ネットワーク接続関係に基づいて、各対象領域は複数の隣接領域を有し、対応する各サービス提供ノードは複数の近傍ノードを有し得る。サービス提供ノードによるユーザに対するサービス対象領域は
図2に示される。
【0026】
各サービス提供ノードはその近傍ノード情報を保存する。近傍ノード情報はネットワークアドレス、地理座標、ノードサービス能力等を含み得るが、それらに限定されない。
各サービス提供ノードは管理ノードに自装置の情報を報告し、報告情報はネットワークアドレス、地理座標、ノードサービス能力等を含み得るが、それらに限定されない。
【0027】
ネットワークはネットワーク装置と装置間の通信回線とで構成されるものであり、互いに隣接領域となる2つのネットワーク領域において、少なくとも1対のネットワーク装置同士が通信回線を介して直接接続される。
【0028】
管理ノードはすべてのサービス提供ノードが報告する情報を記憶する役割を担い、管理ノードはプロキシノード又はユーザのサービス提供ノードリスト取得要求に応答し、要求パラメータによって伝送される情報はプロキシノード又はユーザのネットワークアドレス、地理座標、必要なサービス能力等を含むが、それらに限定されない。管理ノードは該プロキシノード又はユーザの情報を使用して管理ノードに記憶されるサービス提供ノード情報とマッチングし、プロキシノード又はユーザに推奨されたサービス提供ノードリストを返信する。マッチング方式はIPセグメントマッチング、地理位置座標マッチング、サービス能力マッチング等を含み得るが、それらに限定されない。
【0029】
プロキシノードはユーザのネットワークアクセスポイントの位置に配置され、ユーザのサービス提供ノード取得要求に応答してもよく、ユーザのサービス要求を取得してそれに応答してもよい。プロキシノードのネットワークアクセスポイント装置における配置態様は、プロキシノードプログラムの配置、プロキシノードの転送装置への配置等を含む。
【0030】
ユーザは従来のネットワークメカニズムによりネットワークアクセスポイントに配置されるプロキシノードアドレスを取得することができ、前記従来のネットワークメカニズムは現在のゲートウェイアドレス命令を取得することなどを含み得るが、それらに限定されない。プロキシノードは管理ノードにサービス提供ノードリストを要求し、該リストから適切なサービス提供ノードを選択して保存する。選択プロセスにおける考慮要素は、該プロキシノードからサービス提供ノードまでの通信遅延値、各サービス提供ノード自体の特性(ハードウェア能力、ローカル構造特性等を含むが、それらに限定されない)等を含んでもよいが、それらに限定されない。プロキシノードはユーザのサービス提供ノード取得要求に応答し、該プロキシノードに保存されるサービス提供ノード情報を返信する。プロキシノードはユーザが該プロキシノードに直接送信するサービス要求メッセージを取得してもよく、キャプチャ方式によりユーザがサービス提供ノードに送信するサービス要求メッセージを取得してもよい。プロキシノードは該ユーザに該サービス要求メッセージに対応するサービス応答メッセージを返信する。
プロキシノードは該プロキシノードに保存されるサービス提供ノードにサービス要求メッセージを転送する方式により対応するサービス応答メッセージを取得してもよく、ローカルリソースにより対応するサービス応答メッセージを取得してもよい。ローカルリソースとはローカルキャッシュ情報を指す。プロキシノードはネットワークアクセスポイントの位置に配置され、ユーザからサービス提供ノードまでの通信メッセージは必ず該ネットワークアクセスポイントを通過する。プロキシノードは管理ノードが取得するサービス提供ノードリストから適切なサービス提供ノードを選択して保存し、ユーザのサービス提供ノード取得要求に応答してもよく、ユーザのサービス要求を取得してそれに応答してもよい。
【0031】
プロキシノードが管理ノードからサービス提供ノードを取得するステップは以下のとおりである。
【0032】
第1に、プロキシノードは管理ノードに推奨されたサービス提供ノードリストを要求し、要求パラメータに自装置の情報が保持され、該情報はネットワークアドレス、地理座標等を含み得るが、それらに限定されない。
第2に、プロキシノードは該サービス提供ノード推奨リストから遅延保証を提供できるサービス提供ノードを選別する。
【0033】
プロキシノードは下記2つの方式によりユーザのサービス要求メッセージを取得することができる。
【0034】
第1に、プロキシノードはユーザがプロキシノードに送信するサービス要求メッセージを受信する。
第2に、プロキシノードはユーザがサービス提供ノードに送信するサービス要求メッセージをキャプチャする。キャプチャ方式はネットワークアクセスポイントに監視モジュールを配置することなどを含むが、それらに限定されない。
【0035】
プロキシノードは下記2つの方式によりサービス要求メッセージに対応するサービス応答メッセージを取得することができる。
【0036】
第1に、プロキシノードは該メッセージを該プロキシノードに保存されるサービス提供ノードに転送し、サービス応答メッセージを受信する。
プロキシノードに保存されたサービス提供ノードの数が1つよりも多い場合、サービス提供ノード自体の特性値に基づいて1つの最適なサービス提供ノードを選択してサービス要求メッセージを送信する。前記特性はノードのハードウェア能力及びローカル構造を含む。
【0037】
第2に、プロキシノードはローカルリソースにより該サービス要求メッセージに対応するサービス応答メッセージを取得する。ローカルリソースはローカルキャッシュ情報等を含み得るが、それらに限定されない。
【0038】
プロキシノードは管理ノードにサービス提供ノードリストを要求し、要求パラメータに自装置の情報が保持され、該情報はネットワークアドレス、地理座標等を含み得るが、それらに限定されない。
ユーザがサービス提供ノードに送信するサービス要求メッセージをプロキシノードがキャプチャする方式は、ネットワークアクセスポイントに監視モジュールを配置することなどを含むが、それらに限定されない。
【0039】
プロキシノードがサービス提供ノードを取得するステップは、
ステップ101)プロキシノードが管理ノードに自装置の情報を送信し、推奨されたサービス提供ノードリストを要求するステップと、
ステップ102)プロキシノードが該推奨されたサービス提供ノードリストから遅延保証を提供できるサービス提供ノードを選別するステップと、を含む。
【0040】
実施例2
上記システムに基づいて、本発明の実施例2は正確な通信遅延保証サービスを取得する方法を更に提供し、該方法は以下を含む。
【0041】
ステップS1)保存されたサービス提供ノードリストから正確な通信遅延保証を提供できる最適なサービス提供ノードを選択する。
下記3つの方式により正確な通信遅延保証を提供できるサービス提供ノードリストを保存することができる。
【0042】
ユーザがネットワーク管理者による手動設定により分散型ネットワークにアクセスする場合には、
ステップ201)ネットワーク管理者がユーザへのサービス提供ノードアドレスを手動で設定するステップと、
ステップ202)ユーザが該サービス提供ノードにその近傍ノードアドレスを要求するステップと、
ステップ203)ユーザが該サービス提供ノード及びその近傍ノードから遅延保証を提供できるサービス提供ノードを選別するステップと、を含む。
【0043】
ユーザがアクセスプロキシを介して分散型ネットワークにアクセスする場合には、
ステップ301)ユーザが従来のネットワークメカニズムにより対応するプロキシノードアドレスを取得するステップと、
ステップ302)ユーザがプロキシノードに対応するサービス提供ノードアドレスを要求するステップと、
ステップ303)ユーザが該サービス提供ノードリストから遅延保証を提供できるサービス提供ノードを選別するステップと、を含む。
【0044】
ユーザが管理ノードを介して分散型ネットワークにアクセスする場合には、
ユーザが管理ノードにサービス提供ノードリストを要求する。要求パラメータに自装置の情報が保持され、該情報がネットワークアドレス、地理座標等を含み得るが、それらに限定されない。
【0045】
ステップ401)ユーザが推奨されたサービス提供ノードアドレスリストを要求する。
ステップ402)ユーザがサービス提供ノードリストから遅延保証を提供できるサービス提供ノードを選別する。
【0046】
保存されたサービス提供ノードの数が1つよりも多い場合、サービス提供ノード自体の特性値に基づいて1つの最適なサービス提供ノードを選択してサービス要求メッセージを送信する。前記特性がノードのハードウェア能力及びローカル構造を含む。
【0047】
ステップS2)サービス要求メッセージを送信する。
ユーザは最適なサービス提供ノードにサービス要求メッセージを送信したり、プロキシノードにサービス要求を送信したりすることができる。
【0048】
ステップS3)サービス応答メッセージを受信する。
【0049】
該サービス応答メッセージは該サービス提供ノードにより返信されてもよく、プロキシノードにより対応するサービス応答メッセージを返信してもよい。
【0050】
分散型ネットワークはサービス提供ノードに配置されるサービスプログラムにより、ユーザに要求応答方式に基づくサービスを提供する。サービス内容は具体的にデータベースサービス、web検索等のサービスを含み得るが、それらに限定されない。
【0051】
通信遅延はサービス要求通信遅延及びサービス応答通信遅延を含む。
ユーザ要求がサービス提供ノードに直接送信され、サービス提供ノードによりサービス応答メッセージを直接返信する場合には、サービス要求通信遅延とは、サービス要求メッセージがユーザから送信されてからサービス提供ノードにより受信されるまでの伝送遅延を指し、サービス応答通信遅延とは、サービス応答メッセージがサービス提供ノードから送信されてからユーザにより受信されるまでの伝送遅延を指す。
ユーザ要求がプロキシノードにより取得され、プロキシノードがローカルリソースに基づいてユーザにサービス応答メッセージを返信する場合には、サービス要求通信遅延とは、サービス要求メッセージがユーザから送信されてからプロキシノードにより受信されるまでの伝送遅延を指し、サービス応答通信遅延とは、サービス応答メッセージがプロキシノードから送信されてからユーザにより受信されるまでの伝送遅延を指す。
ユーザ要求がプロキシノードにより取得され、プロキシノードがサービス要求メッセージを該プロキシノードに保存されるサービス提供ノードに転送し、該サービス提供ノードの返信メッセージをユーザに返信する場合には、サービス要求通信遅延とは、サービス要求メッセージがユーザから送信されてからプロキシノードにより受信されるまでの伝送遅延と、サービス要求メッセージがプロキシノードから送信されてからサービス提供ノードにより受信されるまでの伝送遅延との合計を指し、サービス応答通信遅延とは、サービス応答メッセージがサービス提供ノードから送信されてからプロキシノードにより受信されるまでの伝送遅延と、サービス応答メッセージがプロキシノードから送信されてからユーザにより受信されるまでの伝送遅延との合計を指す。
正確な通信遅延保証とは、通信遅延が常にある一定の遅延値より低いことを意味する。
【0052】
実施例3
本発明の実施例3は正確な通信遅延保証サービスを取得する装置を提供し、前記装置は、
保存されたサービス提供ノードリストから正確な通信遅延保証を提供できる最適なサービス提供ノードを選択するサービス提供ノード取得モジュールと、
サービス要求メッセージを送信するサービス要求メッセージ送信モジュールと、
サービス応答メッセージを受信するサービス応答メッセージ受信モジュールと、を備える。
【0053】
実施例4
本発明の実施例4は端末装置を提供し、メモリと、プロセッサと、前記メモリに記憶され且つ前記プロセッサにおいて実行され得るコンピュータプログラムとを備え、前記プロセッサは前記コンピュータプログラムを実行するとき、請求項の実施例2の方法を実現する。該端末装置はコンピュータ装置又はモバイル端末であり、モバイル端末は携帯電話、タブレットコンピュータ、ウェアラブルデバイス等を含む。
【0054】
本願に係るいくつかの実施例では、理解されるように、開示される装置及び方法は他の方式で実現されてもよい。以上に説明される装置実施例は模式的なものに過ぎず、例えば、図面におけるフローチャート及びブロック図には本発明の複数の実施例に係る装置、方法及びコンピュータプログラム製品の実現可能なシステムアーキテクチャ、機能及び操作を表示する。この点では、フローチャート又はブロック図における各ブロックは1つのモジュール、プログラムセグメント又はコードの一部を代表することができ、前記モジュール、プログラムセグメント又はコードの一部は規定された論理機能を実現するための1つ又は複数の実行可能命令を含む。注意されるように、いくつかの代替としての実現方式では、ブロックに表記される機能は図面に表記される順序と異なる順序で生じてもよい。例えば、連続した2つのブロックは実際に基本的に同時に実行されてもよく、それらは逆の順序で実行される場合もあり、これは関わる機能によって決定される。注意されるように、ブロック図及び/又はフローチャートにおける各ブロック、並びにブロック図及び/又はフローチャートにおけるブロックの組み合わせは、規定された機能又は動作を実行する専用のハードウェアに基づくシステムにより実現されてもよく、又は専用ハードウェアとコンピュータ命令の組み合わせにより実現されてもよい。
【0055】
また、本発明の各実施例における各機能モジュールは一体に統合されて1つの独立した部分を形成してもよく、各モジュールは独立して存在してもよく、2つ以上のモジュールは統合されて1つの独立した部分を形成してもよい。
【0056】
前記機能はソフトウェア機能モジュールの形式で実現され、独立した製品として販売又は使用されるときは、1つのコンピュータ可読記憶媒体に記憶されてもよい。このような理解に基づいて、本発明の技術案の本質的又は従来技術に貢献する部分、又は該技術案の一部はソフトウェア製品の形式で具現されてもよく、該コンピュータソフトウェア製品は、1台のコンピュータ装置(パーソナルコンピュータ、サーバ又はネットワーク装置等であってもよい)に本発明の各実施例に記載の方法の全部又は一部のステップを実行させるための若干の命令を含む1つの記憶媒体に記憶される。そして、上記記憶媒体はUSBメモリ、ポータブルハードディスク、読み出し専用メモリ(ROM、Read-Only Memory)、ランダムアクセスメモリ(RAM、Random Access Memory)、磁気ディスク又は光ディスク等のプログラムコードを記憶できる様々な媒体を含む。
【0057】
最後に説明されるように、以上の実施例は本発明の技術案を説明するためのものであって、制限のためのものではない。実施例を参照して本発明を詳しく説明したが、当業者であれば理解されるように、本発明の技術案に対して修正又は等価置換を行うものは、いずれも本発明の技術案の趣旨及び範囲を逸脱しないものであり、それらはいずれも本発明の特許請求の範囲内に含まれるべきである。
【国際調査報告】