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特表2022-550719複数のワークピースの各々に同一の一組の歯を、切削することにより、生成または加工する方法、ならびにそのための機械群および制御プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-12-05
(54)【発明の名称】複数のワークピースの各々に同一の一組の歯を、切削することにより、生成または加工する方法、ならびにそのための機械群および制御プログラム
(51)【国際特許分類】
   B23F 5/16 20060101AFI20221128BHJP
   B24B 3/34 20060101ALI20221128BHJP
【FI】
B23F5/16
B24B3/34
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022518905
(86)(22)【出願日】2020-09-23
(85)【翻訳文提出日】2022-03-24
(86)【国際出願番号】 EP2020076635
(87)【国際公開番号】W WO2021063782
(87)【国際公開日】2021-04-08
(31)【優先権主張番号】102019006809.2
(32)【優先日】2019-09-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】500120211
【氏名又は名称】グリーソン - プァウター マシネンファブリク ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】弁理士法人谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ユルゲン クレシェル
【テーマコード(参考)】
3C025
3C158
【Fターム(参考)】
3C025AA11
3C158AA03
3C158AA12
3C158AB01
3C158AB04
3C158CA01
3C158DB07
(57)【要約】
本発明は、すくい面(5)を有する一組の歯を有する歯車切削工具(S)を有し、かつローリング加工噛合において回転軸(B1)を有する1つ以上の歯車切削機(100)において、ワークピースバッチの複数のワークピース、特に少なくとも4つのワークピースの各々に同一の一組の歯を、切削することにより、生成または加工する方法であって、一組の歯に求められる歯形からの一組の歯の偏差が検出または予想される場合には、偏差を打ち消す対策が決定され、対策を使用して、ワークピースバッチのうちの追加ワークピースの生産/加工が継続され、対策は、少なくとも部分的に、工具の回転軸に対するすくい面の位置の変更であり、変更は、歯車切削機において、または歯車切削機の機械群に属する研削機(140)で実行される研削によってもたらされる、方法に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
すくい面(5)を有する一組の歯を有する歯車切削工具(S)を有し、かつローリング加工噛合において回転軸を有する1つ以上の歯車切削機において、ワークピースバッチの複数のワークピース、特に少なくとも4つのワークピースの各々に同一の一組の歯を、切削することにより、生成または加工するための方法であって、一組の歯に求められる歯形からの前記一組の歯の偏差が検出または予想される場合には、前記偏差を打ち消す対策が決定され、前記対策を使用して、前記ワークピースバッチのうちの追加ワークピースの生成/加工が継続され、
前記対策は、少なくとも部分的に、前記工具の前記回転軸に対する前記すくい面(5)の位置(φ、τ)の変更であり、前記変更は、前記歯車切削機において、または前記歯車切削機の機械群に属する研削機(140)で実行される研削によってもたらされる、方法。
【請求項2】
前記歯車切削工具は、その研削動作とその使用の継続との間に耐摩耗性層を有するコーティングを受けない、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記歯車切削工具(S)の前記すくい面(5)は、前記研削動作中に、修正された先端すくい角(φ)に研削される、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記歯車切削工具(S)の前記すくい面(5)は、ステップ研削され、前記研削動作中に、修正されたステップ角(τ)に研削される、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
加工噛合は、二歯面法を使用して行われ、前記ステップ角(τ)の前記修正は、左右の歯面上における偏差に対するプロファイル誤差の非対称部分を打ち消す、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記加工噛合は、前記二歯面法を使用して行われ、前記先端すくい角(φ)の前記修正は、前記左右の歯面上における前記偏差に対する前記プロファイル誤差の対称部分を打ち消す、請求項3乃至5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記対策はまた、前記すくい面の相対位置を変更することに加えて、前記一組の歯を生成/加工するための機械軸の動き(A1、Y1)に対して、前記検出された偏差を用いて修正された前記機械軸の動きの形態の動的補正を含む、請求項1乃至6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記動的補正は、前記すくい面に行われた前記修正に応じて、加工噛合のための前記機械軸を制御するコントローラによって独立して計算される、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記加工噛合の機械軸が、前記歯車切削工具をその研削動作中に位置決めするために使用される、請求項1乃至8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記加工噛合は、歯車スカイビングまたは歯車形削りのものである、請求項1乃至9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
機械群であって、ローリング加工噛合においてワークピース上に歯車の歯を、切削することにより、生成および/または加工するための、コントローラが設けられた歯車切削機(100)を備え、かつ前記歯車切削機で使用される歯車切削工具のすくい面を研削するための研削機(140)を備え、前記研削機のコントローラは特に、前記歯車切削機の前記コントローラに連結されているかまたは前記コントローラに含まれており、前記コントローラは、先行請求項のいずれか一項に記載の方法による制御のために前記機械群の少なくとも1つの動作モードに設計されている、機械群。
【請求項12】
前記歯車切削機(100)および前記研削機(140)は、機械の組み合わせ(200)を形成する、請求項11に記載の機械群。
【請求項13】
前記機械群はまた、歯車の歯のプロファイルおよびプロファイル誤差を測定するための歯部試験機を有する、請求項11または12に記載の機械群。
【請求項14】
機械アセンブリ、または請求項11乃至13のいずれか一項に記載の機械アセンブリの歯車切削機のコントローラ上で実行されたとき、前記コントローラを、請求項1乃至10のいずれか一項に記載の方法を実施するように制御する、制御プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、すくい面を有する一組の歯を有する歯車切削工具を有し、かつローリング加工噛合において回転軸を有する1つ以上の歯車切削機において、ワークピースバッチの複数のワークピース、特に少なくとも4つのワークピースの各々に同一の一組の歯を、切削することにより、生成または加工する方法であって、一組の歯に求められる歯形からの一組の歯の偏差が検出または予想される場合には、偏差を打ち消す対策が決定され、対策を使用して、ワークピースバッチのうちの追加ワークピースの生成/加工が継続される、方法に関する。
【背景技術】
【0002】
そのような方法および対策は既知である。特定のワークピースの歯車の歯用に設計された歯車切削工具が、求められているワークピース歯車の歯形を正確に生成しないことは、繰り返し発生する可能性がある。例えば、一組の歯の左歯面上および/または右歯面上のスカイビング中に、例えばワークピースバッチの第1のワークピースまたは複数の第1のワークピースを測定することによって、高すぎるプロファイル角偏差が決定される。ワークピースの数が少ない場合、ワークピースをさしあたり硬化させた後の硬質精密加工中のみ、対策が考えられるが、これは、特により大量のワークピースバッチの場合には、その後の硬質精密加工にかなりの負担となり、場合によっては、偏差が大きすぎた場合、補償することが困難になる。
【0003】
したがって、これらの後続のワークピースを所望の歯形に近づけるために、ワークピースバッチ内の後続のワークピースの加工にすでに使用されている対策によって、加工自体中でも、技術的に対応することは、より大きなワークバッチの場合には的確である。
【0004】
この目的のために、最新のCNC制御歯車切削機の柔軟性と加工精度は、検出された偏差を打ち消す加工介入の修正が機械軸補正によって設定されることによって使用される。例えば、歯車スカイビングの場合には、スカイビング機の旋回軸を、ワークピース回転軸に対する工具回転軸の修正された交差軸角に設定することができ、または、加工位置のオフセットを、例えば接線方向キャリッジを使用して設定することができる。スカイビング中のこれらの条件間の関係に関する詳細については、本願がこれらの態様、スカイビングの切削条件および運動学的特性について引用するEP2537615A1を参照されたい。これにより、非常に柔軟な補正方法が可能になり、したがって、必要な機械軸の変更を独立して計算する対応するコントローラが、多数の製造業者によって製造された最新のCNC機械に実装される。
【発明の概要】
【0005】
本発明の目的は、特に柔軟性と工具の耐用年数との満足のいく組み合わせに関して、冒頭で述べたタイプの方法をさらに改善することである。
【0006】
この目的は、対策が、少なくとも部分的に、工具の回転軸に対するすくい面の位置の変更であり、その変更は、歯車切削機において、または歯車切削機の機械群に属する研削機で実行される研削によってもたらされることによって、処理技術の観点から本発明によって達成される。
【0007】
したがって、本発明は、対策の一部分、特に主要部分を、動的補正から工具の構造的変更に、具体的には工具回転軸に対するすくい面の相対位置の変更にシフトする。本発明によるこれらのすくい面、好ましくは平面状すくい面は、ステップカット切削ホイールの典型的な設計における工具回転軸に対するそれらの位置での、ステップ角、すなわち、円周方向で見たときの、工具回転軸に直交する平面に対するすくい面の傾斜によって、場合によっては、ゼロでない角度の先端すくい角、すなわち、工具回転軸に対して半径方向のこの平面に対するすくい面の傾斜によって、決定される。
【0008】
本発明によれば、このすくい面の位置または位置的配向は、所定の位置で再研削することによって変更される。歯車切削工具は、再研削のために歯車切削機自体にクランプされたままであることが好ましい。本発明による方法では、上記で説明した動的補正は、ワークピースバッチの他のワークピースを所望の歯形に近づけるためにはもはや必要ではなく、または、少なくともそれ程ではないにせよ、それは、歯車切削工具が、歯車切削工具用に選択された円錐度で工具が設計された機械軸設定に近い機械軸設定でそのまま使用され、したがって、最も好ましい場合には、有効逃げ角が全体として保持されることを意味する。これは、歯車切削工具にかかる負荷を増加させ、それに応じて工具の耐用年数を短くする要因として認識された、プロセス力が歯車切削工具の耐用年数にわたってシフトすることを防ぐ。
【0009】
しかしながら、再研削に必要な時間および機械を容認することを含むけれども、歯車切削工具を所定の位置で再研削することにより、方法の柔軟性は維持される。
【0010】
方法は、4個以上、10個以上、さらには20個以上のワークピースを有するより小さなワークピースバッチ、および50個以上、さらに100個または200個以上のワークピースを有するより大きなワークピースバッチに好適である。
【0011】
歯車切削工具を再研削することが決定され得る状況には、様々な理由があり得る。歯車切削工具の通常の耐用年数の過程で発生する不具合を補正することができるが、また、例えば、前もって補償される必要がある硬化歪みの傾向が認められる場合、または例えば所望の歯形をより良く近似する余地がある他の場合、例えば意図した最終形状に加えて許容値とは異なる所望の歯形に対処することもできる。
【0012】
歯車切削工具は、好ましくは、切削ホイール、すなわち、特に、すでに事前切削され、事前切削後に硬化された一組の歯を、スカイビングするためのスカイビングホイール、もしくはハードスカイビングするためのスカイビングホイール、または歯車の歯を形削りするための形削りホイールである。硬質金属または粉末金属高速度鋼(PM-HSS)材料をベース材料として使用することができるが、他の材料を使用することもできる。場合によっては、Al、CrN、またはTiNなどの当業者に一般的な任意の他のコーティングなどの、耐摩耗性強化コーティングが提供され得る。
【0013】
方法の好ましい実施形態では、歯車切削工具は、例えば単なる再研磨の後、当技術分野で別様に慣例的であるように、その研削処理とその使用の継続との間に耐摩耗性強化層を有するコーティングをもはや受けないことが提供される。このようにして、時間のかかるコーティングプロセスはもはや期待されず、もはや時間遅延の影響もない。全体として、歯車切削工具は、再研削された後、かなり迅速に再び使用する準備が整っている傾向にあり、特に、好ましくは少なくとも24時間以内、より好ましくは12時間以内、さらには6時間以内に使用される。複数の同一の歯車切削工具が利用可能である場合、再研削後、これらの同じ工具のうちの1つを用いて、加工を継続することができる。
【0014】
歯車切削工具の使用は、まったく同じ歯車切削機で継続することが好ましいが、同じタイプのワークピースバッチを並行して処理する複数の、特に同一の歯車切削機を有するより大きなシステムでは、使用は、そのような並列機で継続することもできる。
【0015】
方法の好ましい実施形態では、すくい面は、研削中に、修正された先端すくい角に研削され、すなわち、先端すくい角は、再研削によって変更される。先端すくい角の減少は、ワークピース歯部の歯形のプロファイル角または圧力角の増加を引き起こし、一方、先端すくい角の増加は、逆に、(二歯面法で動作するときの)ワークピース歯部の両歯面のプロファイル角の減少につながる。したがって、この点での再研削は、ワークピース歯部の左右の歯面上で主に対称的に発生する偏差を補正しまたはそれに影響を与えるのに特に好適である。
【0016】
さらに、代替的または追加的に、研削または再研削は、研削プロセス中に、修正されたステップ角に実行されることが与えられることが好ましい。これにより、ワークピース歯部の一方の歯面と他方の歯面とに非対称の影響がもたらされる。例えば、ステップ角を小さくすることにより左歯面上のプロファイル角を大きくすると、これは、(二歯面法では)右歯面側上では大きくならず、むしろ小さくなる。したがって、左右の歯面上における偏差に対するプロファイル誤差の非対称部分は、好ましくは、ステップ角を修正することによって打ち消される。
【0017】
簡単に図示および説明するために、ワークピース歯部の左歯面上でプロファイル角の偏差が+5、右歯面上で+1であると、例えば、左歯面に対して-2のステップ角の修正と、-3の先端すくい角の修正を行うことができる。左歯面上では、これらの補正は加算的であり、プロファイル角の偏差+5を-5で打ち消し、右歯面上では、ステップ角の修正が先端すくい角の修正を打ち消し、したがって、-1の総合修正が、+1のプロファイル角の偏差も補償する。
【0018】
本発明による方法はまた、追加の対策として、上記で説明された動的補正を含むことができる。したがって、対策は、すくい面の相対位置を変更することに加えて、歯車の歯の生成/加工、または検出された偏差もしくは検出されるべき偏差を有する歯車の歯の本来意図された生成/加工のための機械軸の動きと比較して修正された機械軸の動きの形態の動的補正も含むことが明確に意図される。本発明のこのさらなる開発にも使用することができるこの例は、本明細書の序文ですでに述べられている。
【0019】
これに関連して、動的補正は、すくい面に行われた修正に応じて、加工動作のための機械軸を制御するコントローラによって独立して計算されることが与えられることが好ましい。例えば、機械のオペレータは、機械のコントローラから、取られるべき対策が識別されたときに求められる歯形からの偏差から計算された歯車切削工具の再研削の補正値または目標値を受け取る。次いで、研削機に、適切に制御された再研削のタスクを半自動的または自動的に割り当てることができる。しかしながら、オペレータが、偏差の部分的な補正にしかならないより少ない再研削を決定し、残りの偏差は動的補正を介して実行されることも考えられる。
【0020】
偏差全体が再研削を介して補正されるが、動的に補正される補正の必要性が、恐らく後の時点で検出されることも考えられる。この場合、歯車切削機は、再研削前の元の工具輪郭ではなく、必要な機械軸補正を決定するための基礎として、以前に再研削された工具輪郭を使用する。
【0021】
すでに上記で示したように、歯車切削工具の再研削は、歯車切削機の機械群に属する研削機、例えば機械の組み合わせにおいて歯車切削機に機械的に連結されている研削機で行うことができる。いずれにせよ、コントローラは、別個に設けられているならば、上記で説明された再研削パラメータに関してデータ交換を可能にするために、連結されていることが好ましい。好ましい実施形態では、歯車切削工具は、工具交換システムを介して、または何らかの他の方法で、研削機に持って来ることができる。さらに好ましい実施形態では、少なくともワークピースバッチを単独で処理する歯車切削機の場合、歯車切削工具は、それを歯車切削機の工具ヘッドからクランプ解除する必要なしに、再研削することができる。この点で好ましい方法構成では、歯車切削工具をその研削作業中に位置決めするために、加工介入の機械軸を使用することができる。
【0022】
デバイス技術に関して、発明は、上記の態様によるコントローラを有する対応する機械群によって、ならびに制御プログラム自体によって、保護される。
【0023】
発明による技術的実現の利点は、上記で説明した方法態様の利点から生じる。
【0024】
追加の態様では、所定の位置の研削性を使用して、歯車切削工具を再研削すること、すなわち、工具回転軸に対するすくい面の位置は変わらず、むしろ、工具回転軸上の基準点に対するそれらの高さのみが変わる、すくい面の研削プロセスを実行することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
本発明のさらなる特徴、詳細、および利点は、添付の図面を参照する以下の説明に見出すことができる。
図1図1は、一体型研削機を有する歯車切削機を示す。
図2図2は、ステップカット切削ホイールの形態の歯車切削工具を示す。
図3図3は、ステップ研削工具の研削噛合を概略的に示す。
図4図4は、先端すくい角を有する切削ホイール上の研削噛合を概略的に示す。
図5図5は、ステップカットの図を示す。
図6A図6Aは、ステップ角を修正する効果を概略的に示す。
図6B図6Bは、ステップ角を修正する効果を概略的に示す。
図7図7は、先端すくい角の図を示す。
図8A図8Aは、先端すくい角を修正する効果を模式的に示す。
図8B図8Bは、先端すくい角を修正する効果を模式的に示す。
図9A図9Aは、補正すくい面修正の適用の前(a)と後(b)のプロファイル角偏差を示す。
図9B図9Bは、補正すくい面修正の適用の前(a)と後(b)のプロファイル角偏差を示す。
【発明を実施するための形態】
【0026】
図1に示された工作機械は、スカイビングホイールSを用いてスカイビングするために設計された機械100である。ワークピース側に、機械100は工具テーブル80を有し、工具テーブル80は、回転駆動方式で機械床90に取り付けられており、例えば加工されるべき内歯歯部を有する、加工されるワークピース(図1には示さず)が、工具側の機械回転軸C1の周りで回転可能であるようにクランプ可能である。
【0027】
工具側に、機械100は、ワークピースに対する工具の半径方向位置決め移動のための線形機械軸X1と、テーブル軸C1の軸方向に沿った工具の移動のための軸Z1と、工具とワークピースとの間の接線方向相対移動のための軸Y1とを有する。これらの線形軸X1、Z1は、互いに垂直であり、X1移動のための線形キャリッジ72がZ1移動のための垂直方向キャリッジ74を担持するキャリッジ構成70を介して実装されている。この実施形態では、回転軸B1を有する工具回転のための直接ドライブとしてのCNCドライブも担持する、工具Sを担持する工具ヘッド78は、接線方向移動Y1のための線形キャリッジ76と共に動くことができる。しかしながら、接線方向キャリッジ76は、垂直方向キャリッジ74上に、旋回軸A1をもって回転可能に配置され、したがって、そのキャリッジの動きは、図1に示された位置では水平方向のみであり、そうでなければ、設定された旋回角A1だけZ1軸に対して傾斜している。
【0028】
歯車切削機100は、やはり図1に示されている研削機140と一緒になって、機械の組み合わせ200を形成する。研削機140はまた、再研削されるべき工具のためにそれ自体のクランプ部を有することができるが、歯車切削機100の工具スピンドルに保持されたクランプ部が好ましい。
【0029】
研削機140は、研削工具Mを、工具ヘッド78の工具クランプ部にクランプされたスカイビングホイールSと研削噛合させることができる移動システムを有し、工具側の線形軸および回転軸もまた。研削噛合の生成に使用される(され得る)。図示の実施形態では、この実施形態ではカップホイールの形態で構成されている研削工具Mは、X1-Z1平面に直交する接線方向Yで移動可能である。したがって、それを、半径方向X1に対して横方向に、加工空間に導入することができる。Y方向のこの動きは、二重キャリッジ41、42によって実装され、そのうちの下部キャリッジ41は、軸Y3についての位置決めのために設けられ、一方、上部キャリッジ42は、研削動作における上昇移動のために設けられている。また、研削工具Mを担持し、軸D1を中心に回転駆動される研削スピンドル44が、Y方向に直交する平面において旋回可能(旋回軸はA2で示されている)となるように配置され、したがって、角ξが、X1-Z1平面に平行に走る平面内で、回転軸D1の軸方向と軸Z1(C1)との間に形成される。
【0030】
工具ヘッド78の(恐らくZ1と組み合わされた)Y1軸が研削ストローク運動のために使用され、場合によっては、Y2などの研削ヘッド上の軸が保存される変形態様も考えられる。また、X1方向に平行な研削ヘッドの追加の軸X2、または旋回軸X2を有するさらなる旋回軸も考えられる。
【0031】
(例えば、図示しない、歯部試験機で測定することにより)スカイビングホイールSによってすでに加工されたワークピースについて、その歯形が所定の所望の歯形から逸脱していると判定された場合、これは合図であり、この実施形態では、同じワークピースバッチのさらなるワークピースは、検出されたプロファイル偏差を打ち消すスカイビングホイールSの修正後にのみ加工されることが決定される。機械の組み合わせ200のコントローラ(図示せず)は、(それらの法線ベクトルの)すくい面の配向に必要な(ステップ角および/または先端すくい角の)変更を計算し、研削機140は、これらの仕様に従ってそれを修正するために、スカイビングホイールSに研削動作を実行する。
【0032】
ステップ研削(図2も参照)で実装され、ゼロでない先端すくい角を有するスカイビングホイールSについて、これを以下に説明する。この場合、研削工具Mは、旋回軸A2を用いて、スカイビングホイールSの修正されたステップ角に旋回される。スカイビングホイールSの旋回軸A1は、スカイビングホイールSの修正された先端すくい角に旋回される。この設定では、(割り出し方法で)再研削されるべきすくい面5であって、研削工具Mの側を向いているすくい面5の中心線は、半径方向軸X1に対して90°の位置で水平に走る。研削ストローク運動(軸Y2)中、次いで、加工領域は、研削ストローク中にすくい面5に沿って動き、カップホイールMの研削領域の配向は、修正されたすくい面の配向と一致し、したがって、すくい面5をそれに応じて再研削することができる。スカイビングホイールSのZ1軸は、加工噛合の高さ調整と送りとに使用することができ、一方、XY機械軸は位置決めに使用されることは、言うまでもない。
【0033】
研削工具Mを半径方向軸X1に対して横方向に送り込むことにより、機械側での競合スペース要件が回避される。また、研削ストロークと送り込み方向が平行であるので、再研削中の振動が大幅に回避される。このように割り出し加工ですべてのすくい面5が連続して再研削されると、研削工具Mが引っ込められ、スカイビングホイールSによる歯車加工を再開して続行することができる。
【0034】
再研削によるスカイビングホイールの変更された形状から生じる変更は、機械コントローラにおいて自動的に採用される。機械コントローラは、元々そこに保存されていた工具設計に由来するすべての必要な情報と、このプロセスで使用される機械軸の軸方向位置を介して再研削中に実行される切削の知識とを有する。補正措置が再研削によるのみと決定された場合、前と同じ機械軸コントローラを用いて連続加工が実行される。しかしながら、必要な対策の一部分(特に主要部分)のみを再研削によって補正するように備えることもできる。この場合、機械コントローラは、再研削された工具のデータに応じて、まだ考慮されていない補正成分を自動的に計算し、この補正成分に関して、例えば修正された旋回設定(軸A1)または偏心(軸Y1)によって、加工噛合のための機械軸設定を変更することによって、先行技術において慣例的であるように、動的補正を実行する。
【0035】
しかしながら、代替実施形態では、例えば、主機械スタンド(70)に最も近い(例えば内歯歯部のための0°位置)、または主機械スタンド(70)から最も遠い(例えば外歯歯部のための180°位置)、工具の側面が研削される場合、研削ストロークは、X1機械方向で実行することもできる。この場合、好ましくは、工具ヘッド78の旋回軸設定を加工軸交差角に設定したままにする。例えば、ワークピース加工が、作業がゼロ°位置で行われる、内歯歯部のものである場合、すくい面5を水平に設定するために、180°の位置を、反対側の軸交差角の2倍に設定することができる。しかしながら、このように軸交差角を変更することや、それを加工位置位でそのままにすることはないことも考えられる。次いで、研削ヘッド(44)が追加の旋回軸を受容するように備えることができ、カップホイールとして設計されていない高度に円錐形の外側表面を研削ホイールに使用することも考えられる。先端すくい角がない場合には、半径方向水平に走るすくい面を再研削する必要があり、既存の先端すくい角の場合、例えば機械軸Z1の追加の動きによって、再研削接触を維持することができる。この目的のために、カップホイールを使用するとき、軸A2(図1)を先端すくい角に旋回させることができ、再研削ヘッドの旋回軸A2は、加工動作で研削されるべき表面の同じ配向に設定する。
【0036】
この変形態様では、ワークピーステーブル80とのスペースの競合を避けるために、主機械スタンド(キャリッジ構成70)に最も近い工具Sの側で、再研削を実行することが好ましい。工具ヘッド78は旋回軸A1を介して旋回挿入される必要がないので、これは、内歯歯部を加工するときに特に重要である。外歯歯部の場合、旋回軸A1を介して旋回挿入するつもりがなければ、再研削は、180°の位置で行われる必要がある。180°の位置では、多くの場合により有利である、利用可能な設置スペースの条件が存在する。特に、スカイビングホイールSが先端すくい角を有さない場合には、加工中にワークピースを担持するスピンドル(図1と類似の構成において、機械テーブル80)を介した研削工具Mの回転運動を使用することを考慮すること、および半径方向軸X1を介して研削ストロークを実行することも可能である。この変形態様は、半径方向軸X1が研削ストロークに使用され、重畳された動きY1とZ1による(0°の位置に対する)噛合領域の調整されたオフセットが使用されることによって、ゼロに等しくない先端すくい角でも考えられる。
【0037】
研削ストロークが斜め方向に行われる(つまり、X方向成分およびY方向成分を有する)重畳変形態様は、スカイビングホイールSに対しておよび切削工具Mに対して、一方では、図1に示された機械構成の既存の機械軸の周りで実装することができる。次いで、スカイビングホイールSの旋回軸(A1軸)が、研削ストローク方向と、修正されたヘッドすくい角に好適な、研削工具Mに設定された角度ξとに応じて設定されることが好ましい。
【0038】
使用される研削工具Mの寸法に応じて、研削ストロークの実現を完全に省くことも考えられ、すなわち、すくい面5がすでに完全に覆われている場合である。すると、再研削は、プランジ研削になる。
【0039】
スカイビングホイールSと研削工具Mとの間の相対位置を正確に決定するために、研削工具Mに対する工具Sの歯の正確な相対高さおよび相対角位置を決定するために、軸方向および円周方向においてスカイビングホイールSを研削工具Mと共にプロービングすることが可能である。これは、特に、加工工具Sおよび/または研削工具Mの変更後であると示される。これは、研削ヘッド78の旋回により、工具Sを加工軸交差角のままにしておくことが可能であるからである。しかしながら、工具の歯4の角位置は、機械軸B1の以前の加工および監視のためにすでに分かっている可能性がある。例えば工具またはワークピーススピンドル(B1/C1)のトルクの変化を介して、機械軸を監視することができるように、接触検出のために、ノイズ検出を使用することができる。スパークなどの視覚的検出方法を使用することもできる。
【0040】
そのようなプロービングは、研削工具M自体が目直し作業を受けたときにも好ましい。それは完全に自動的に実行することができ、つまり、機械の組み合わせ200は、独立して、またはオペレータが大まかな事前位置決めをして半自動的に、または、オペレータが機械のユーザインターフェイスを介してプロービングを制御する場合はソフトウェアに誘導されて、プロービングを実行する。手動制御を使用して軸の動きを通してプロービングすることによる純粋手動の変形態様も考えられる。
【0041】
例えばステップ研削を有さないスカイビングホイールが使用される場合、再研削のための連続プロセスを、例えばカップホイールを用いて、断続的なプロセスに加えて使用することができる。
【0042】
ゼロでない角度の修正された先端すくい角を生成する場合、すくい面は、半径方向においてわずかに湾曲した表面を有するカロットの形態に研削することもできる。工具ヘッド78の追加の旋回軸(図1には示さず)を使用して、ゼロ度以外のヘッドすくい角を生成することもできる。
【0043】
原則として、比較的平らなカップを、カップホイール、さもなければディッシュホイールとして使用することができる。中実円筒形ホイールと比較して、カップホイールの場合には狭い領域のみが使用され、カップホイールは、より簡単かつより正確に目直しすることができ、研削工具を目直しするのに有利である。
【0044】
図2は、図1に示された機械100で使用することができるスカイビングホイールSの形状を示す。ステップカットすくい面5を有する工具の歯4のステップカット設計をはっきりと見ることができる。図2に示された工具Sには、ゼロでない先端すくい角Φがあり(図7)、すくい面は、半径方向に対しても傾斜している。
【0045】
図3は、カップ形研削ホイールの形態の研削工具M3を用いて切削ホイールS3を再研削する間の介入状況を示す。切削ホイールS3および研削工具M3の回転軸は、右勝手切削設計用に1回、左勝手切削設計用に1回、修正されたステップ付き研削角度τに一致するように互いに向かって旋回されることが分かる。
【0046】
図4は、ステップ研削が設けられていない切削ホイールS4が、回転する円筒形研削ホイールM4によって再研削される変形態様を概略的に示す。ここでは、それぞれの回転軸の相対角位置が、どのようにして切削ホイールS4の修正された先端すくい角と一致するように設定されるかが分かる。研削ストローク運動が、両側の矢印で示されている。しかしながら、例えば、切削ホイールの軸の方向に補償運動を実行すること、およびそれを研削ストロークに結合することも考えられる。M4などのこのタイプの円筒形研削工具は、ステップ研削の場合には、図4に示された再研削位置ではなく、むしろ、(スカイビングヘッドに近い0°とスカイビングヘッドから離れた180°との間の中間位置である)90°回転した位置で、場合によってはオフセットを伴って、使用することもできる。
【0047】
図5は、ステップ角が描かれたステップカット切削ホイールの詳細の図を再び示す。図6は、説明の目的で、ワークピース歯部のプロファイルのどの修正が、ステップ角の変更によって引き起こされるかを示す。したがって、図5の図におけるステップ角を小さくすると、左側上のプロファイル角が大きくなり、右側上のプロファイル角が小さくなり(図6A)、ステップ角を大きくすると効果が逆になる(図6B)。修正された工具の影響は、破線で示されている。工具を、右上がりから左上がりへ、またはその逆に変更すると、影響は鏡映される。
【0048】
図7は、示されているステップカット切削ホイールの詳細のための先端すくい角φを再び示す。図6と同様に、図8は、すくい面5を異なる先端すくい角に再研削することによる修正の影響の図に対応する。ここで、先端すくい角を小さくすると、ワークピースの両側のプロファイル角が大きくなり(図8A)、一方、先端すくい角を大きくすると、両側のプロファイル角が小さくなる(図8B)。
【0049】
したがって、両方の補正を重畳することにより、プロファイル偏差の対称部分を、先端すくい角を補正することによって補正することができ、プロファイル偏差の非対称部分を、ステップ角の影響によって補正することができる。
【0050】
例えば、ワークピースバッチの一組の歯は以下の歯車データを有する:モジュール1.7圧力角20°歯数90、ねじれ角0(直線)歯幅25mm;根本円直径155mm;先端円直径は148mm、およびこの一組の歯を生成するために使用された切削ホイールは以下のパラメータを有する:歯数54;ねじれ角10°、ならびにステップ角10°および先端すくい角5°、および図9Aの測定プロファイルに示されたように、この切削ホイールに対して、プロファイル偏差が左側上で3.9μm、右側上で9.3μmと決定された場合、この具体的な実施形態では、3°の先端すくい角および12°のステップ角への切削ホイールのすくい面の補償再研削が実行される。修正された(補正された)切削ホイールを用いるもので生成された図9Bの測定プロファイルから、図9Aからの偏差を打ち消す再研削の効果を認識することが可能である。
【0051】
上記から分かるように、本発明は、先行する実施例に具体的に示された実装態様に限定されない。むしろ、上の明細書および以下の特許請求の範囲の個々の特徴は、その異なる実施形態において本発明を実施するために、個々におよび組み合わせて、不可欠であり得る。
図1
図2
図3
図4
図5
図6A
図6B
図7
図8A
図8B
図9A
図9B
【国際調査報告】