(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-12-05
(54)【発明の名称】小型RFIDタグを有する歯科用ツールおよびそれを用いた歯科用CNCフライス/研削盤
(51)【国際特許分類】
A61C 3/00 20060101AFI20221128BHJP
B23C 3/00 20060101ALI20221128BHJP
B23C 5/10 20060101ALI20221128BHJP
B23Q 17/00 20060101ALI20221128BHJP
B24D 5/00 20060101ALI20221128BHJP
【FI】
A61C3/00
B23C3/00
B23C5/10 Z
B23Q17/00 F
B24D5/00 T
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022518997
(86)(22)【出願日】2020-09-24
(85)【翻訳文提出日】2022-04-15
(86)【国際出願番号】 EP2020076660
(87)【国際公開番号】W WO2021058622
(87)【国際公開日】2021-04-01
(32)【優先日】2019-09-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】515304558
【氏名又は名称】デンツプライ・シロナ・インコーポレイテッド
(71)【出願人】
【識別番号】519410367
【氏名又は名称】シロナ・デンタル・システムズ・ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100179062
【氏名又は名称】井上 正
(74)【代理人】
【識別番号】100199565
【氏名又は名称】飯野 茂
(74)【代理人】
【識別番号】100212705
【氏名又は名称】矢頭 尚之
(74)【代理人】
【識別番号】100219542
【氏名又は名称】大宅 郁治
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100162570
【氏名又は名称】金子 早苗
(72)【発明者】
【氏名】シェーファー、アンドレアス
(72)【発明者】
【氏名】ノバラ、オリバー
(72)【発明者】
【氏名】トゥルツァー、ミヒャエル
(72)【発明者】
【氏名】フォルノフ、ペーター
【テーマコード(参考)】
3C022
3C029
3C063
4C052
【Fターム(参考)】
3C022AA09
3C022KK00
3C029EE13
3C029EE17
3C063AA01
3C063AB02
3C063BG03
3C063BH27
3C063FF12
4C052AA20
4C052GG24
(57)【要約】
本発明は、ワークピース(6)から歯科修復物を機械加工するための、歯科用CNCフライス/研削盤において使用するための歯科用ツール(1)に関し、歯科用ツール(1)は、シャフト(2)を備え、シャフト(2)の後端(2a)の前に配置された小型RFIDタグ(3)をさらに備えることを特徴とする。本発明はまた、ワークピース(6)から歯科修復物を機械加工するための、1つ以上の歯科用ツール(1)を交換可能に受け入れて駆動するようにそれぞれ適合された、1つ以上のキャリッジユニット(5b)を含む機械区画(5a)と、歯科用ツール(1)の小型RFIDタグ(3)を読み取るおよび/または書き込むようにそれぞれ適合された1つ以上のトランシーバユニット(5c)と、小型RFIDタグ(3)から読み取られた情報に基づいて、トランシーバユニット(5c)およびキャリッジユニット(5b)を制御するように適合された制御ユニットとを備えることを特徴とする歯科CNCフライス/研削盤(5)に関する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワークピース(6)から歯科修復物を機械加工するための、請求項13から21のいずれか一項に記載の歯科用CNCフライス/研削盤(5)に取り付けられるように適合された歯科用ツール(1)であって、
シャフト(2)を備え、
前記シャフト(2)の後端(2a)の前に配置された小型RFIDタグ(3)をさらに備えることを特徴とする、歯科用ツール(1)。
【請求項2】
前記小型RFIDタグ(3)を覆うための保護ハウジング(4)をさらに備え、前記ハウジング(4)の前部(4a)は、前記シャフト(2)の後端(2a)に接続され、前記小型RFIDタグ(3)は、前記ハウジング(4)の後部(4b)に、および前記シャフト(2)の外側に配置される、請求項1に記載の歯科用ツール(1)。
【請求項3】
前記シャフト(2)の前記後端(2a)は、ボア(2b)を有し、前記ハウジング(4)の前記前部(4a)は、前記ボア(2b)内に嵌め込まれる、請求項2に記載の歯科用ツール(1)。
【請求項4】
前記シャフト(2)の前記後端(2a)は、縮径部(2c)を有し、前記ハウジング(4)の前記前部(4a)は、前記縮径部(2c)に嵌め込まれる、請求項2に記載の歯科用ツール(1)。
【請求項5】
前記縮径部(2c)は、1つ以上の突起(2c-1)を有し、前記ハウジング(4)の前記前部(4a)は、前記突起(2c-1)に嵌め込まれる、請求項4に記載の歯科用ツール(1)。
【請求項6】
前記縮径部(2c)は、1つ以上の溝(2c-2)を有し、前記ハウジング(4)の前記前部(4a)は、1つ以上の爪(4a-1)を有し、前記爪(4a-1)は、前記溝(2c-2)内に嵌め込まれる、請求項4に記載の歯科用ツール(1)。
【請求項7】
前記小型RFIDタグ(3)は、読み取り専用タイプまたは読み書きタイプである、請求項1から6のいずれか一項に記載の歯科用ツール(1)。
【請求項8】
前記小型RFIDタグ(3)は、空心コイルを備える、請求項1から7のいずれか一項に記載の歯科用ツール(1)。
【請求項9】
前記小型RFIDタグ(3)は、前記歯科用ツール(1)に具体的に関連する歯科用ツール固有情報を記憶する、請求項1から8のいずれか一項に記載の歯科用ツール(1)。
【請求項10】
前記歯科用ツール固有情報は、前記歯科用ツール(1)を識別するための少なくとも一意的なIDを含む、請求項9に記載の歯科用ツール(1)。
【請求項11】
前記歯科用ツール固有情報は、前記歯科用ツール(1)の製造業者、ロット番号、タイプ、長さ、および同心性のうちの少なくとも1つに関する情報をさらに含む、請求項9または10に記載の歯科用ツール(1)。
【請求項12】
前記歯科用ツール固有情報は、前記歯科用ツール(1)の耐用年数をさらに含む、請求項9から11のいずれか一項に記載の歯科用ツール(1)。
【請求項13】
歯科用CNCフライス/研削盤(5)であって、
ワークピース(6)から歯科修復物を機械加工するための、請求項1から12のいずれか一項に記載の1つ以上の歯科用ツール(1)を交換可能に受け入れて駆動するようにそれぞれ適合された、1つ以上のキャリッジユニット(5b)、好ましくは同時機械加工のための2つの対向するキャリッジユニット(5b)を含む機械区画(5a)と、
歯科用ツール(1)の前記小型RFIDタグ(3)を読み取るおよび/または書き込むようにそれぞれ適合された1つ以上のトランシーバユニット(5c)と、
前記小型RFIDタグ(3)から読み取られた情報に基づいて、前記トランシーバユニット(5c)および前記キャリッジユニット(5b)を制御するように適合された制御ユニットとを備えることを特徴とする、歯科用CNCフライス/研削盤。
【請求項14】
前記歯科用CNCフライス/研削盤の内部または外部にあり、1つ以上の歯科用ツール(1)の歯科用ツール固有情報を記憶するデータ記憶ユニットに情報を送信し、データ記憶ユニットから情報を受信するように適合された通信ユニットをさらに備えることを特徴とする、請求項13に記載の歯科用CNCフライス/研削盤。
【請求項15】
前記データ記憶ユニットに記憶される歯科用ツール固有情報は、歯科用ツール(1)を識別するための少なくとも一意的なIDと、前記歯科用ツール(1)の製造業者、ロット番号、タイプ、長さ、同心性、および耐用年数のうちの少なくとも1つに関する情報とを含むことを特徴とする、請求項14に記載の歯科用CNCフライス/研削盤。
【請求項16】
歯科用ツール固有情報に基づいて、前記歯科用ツール(1)が摩耗しているか、または耐用年数が不十分であると決定する場合、前記制御ユニットは、前記歯科用ツール(1)の駆動を禁止するように適合されていることを特徴とする、請求項13から15のいずれか一項に記載の歯科用CNCフライス/研削盤。
【請求項17】
歯科用ツール(1)に関する歯科用ツール固有情報に基づく情報を表示するためのディスプレイ(5e)をさらに備えることを特徴とする、請求項13から16のいずれか一項に記載の歯科用CNCフライス/研削盤。
【請求項18】
前記表示された情報は、歯科用ツール(1)の少なくとも耐用年数および/または前記歯科用ツール(1)がユーザによって取り付けられるべきそれぞれのキャリッジユニット(5b)上の位置(P1、P2;P1'、P2')を含むことを特徴とする、請求項17に記載の歯科用CNCフライス/研削盤。
【請求項19】
1つ以上のトランシーバユニット(5c)を覆うためのパネル(5f)をさらに備え、前記パネル(5f)は、前記小型RFIDタグ(3)と前記トランシーバユニット(5c)との間の通信を可能にするのに十分に薄いことを特徴とする、請求項13から18のいずれか一項に記載の歯科用CNCフライス/研削盤。
【請求項20】
前記トランシーバユニット(5c)が前記キャリッジユニット(5b)内に配置されることを特徴とする、請求項13から19のいずれか一項に記載の歯科用CNCフライス/研削盤。
【請求項21】
前記キャリッジユニット(5b)は、各々が歯科用ツール(1)を受け入れて回転させるための1つ以上の歯科用ツールモータを有し、前記トランシーバユニット(5c)の1つ以上のアンテナは、前記歯科用ツールモータのステータによってそれぞれ構成されることを特徴とする、請求項20に記載の歯科用CNCフライス/研削盤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ワークピースから歯科修復物を機械加工するための歯科用CNCフライス/研削盤で使用するための歯科用ツールに関する。本発明はまた、1つ以上の歯科用ツールを使用してワークピースから歯科修復物を機械加工するための歯科用CNCフライス/研削盤に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、歯科用CNCフライス/研削盤は、少なくとも1つのワークピースを取り付けるための取り付けユニットと、ワークピースから歯科修復物を機械加工するための少なくとも1つの歯科用ツールをそれぞれ駆動するための1つ以上のキャリッジユニットとを有する。歯科用ツールのシャフトは、キャリッジユニット内の歯科用ツールモータに取り付け可能である。通常、CAD/CAMソフトウェアを使用して歯科修復物を構築し、対応する機械加工データを歯科CNCフライス/研削盤に提供する。ワークピースおよび歯科用ツールは消耗品である。市場で入手可能なワークピースおよび歯科用ツールは、サイズ、形状、および材料が様々である。機械加工の前に、歯科用CNCフライス/研削盤は、ユーザによって所望のワークピースおよび少なくとも1つの適切な歯科用ツールを装備しなければならない。歯科用ツールが機械加工プロセスに具体的に適合しない場合、歯科修復物を所望の品質で機械加工することができないリスクがある。最悪の場合、歯科用ツールは、先行する機械加工プロセスにおいて以前に使用された場合、その総耐用年数または残りの耐用年数を超過するかもしれない。そのような場合、歯科用ツールは破損し、歯科修復物は損傷を受けるだろう。それほど深刻でない場合には、歯科修復物の機械加工は、不適切な歯科用ツールの使用により、許容できないほど低い品質で完了する。これら全ての場合において、ユーザの満足度は低下し、ユーザは品質について不満を抱くかもしれない。
【発明の概要】
【0003】
本発明の目的は、従来技術の上述の問題を克服し、製造された歯科修復物が使用不可能であるか、または許容できない、低品質を有するリスクを防止または低減することができる、歯科用CNCフライス/研削盤と共に使用するための歯科用ツールを提供することである。
【0004】
この目的は、請求項1に記載の歯科用ツール、および請求項13に記載の歯科用CNCフライス/研削盤を通して達成される。他の請求項は、さらなる展開に関する。
【0005】
本発明は、ワークピースから歯科修復物を機械加工するための歯科用CNCフライス/研削盤で使用するための歯科用ツールを提供する。歯科用ツールは、シャフトと、シャフトの後端の前に配置された小型RFIDタグとを有する。
【0006】
本発明はまた、歯科用CNCフライス/研削盤を提供する。歯科用CNCフライス/研削盤は、本発明の1つ以上の歯科用ツールを交換可能に受け入れて駆動するように適合された少なくとも1つのキャリッジユニットと、歯科用ツールの小型RFIDタグを読み取りおよび/または書き込むように適合された少なくとも1つのトランシーバユニットと、1つ以上の小型RFIDタグから読み取られた情報に基づいてトランシーバユニットおよびキャリッジユニットを制御するように適合された制御ユニットとを備える。
【0007】
本発明の主要な有利な効果は、小型RFIDタグを使用して、歯科用ツールに関連する歯科用ツール固有情報を記憶できることである。それによって、歯科用ツール固有情報は、歯科用CNCフライス/研削盤のトランシーバユニットによって迅速かつ明確に取得することができる。したがって、歯科用CNCフライス/研削盤を、歯科用ツール固有情報に基づいて操作することができる。それによって、許容できない低い品質でワークピースから歯科修復物を機械加工するリスクを、可能な限り防止または低減することができる。それによって、歯科用ツールの破損のリスクおよび結果として生じる歯科修復物への損傷も、可能な限り回避または低減することができる。本発明の別の主要な有利な効果は、ユーザが歯科用ツール固有情報を覚えたりログを取ったりする必要をなくすことができ、歯科用CNCフライス/研削盤を安全かつユーザフレンドリに操作することができることである。例えば、歯科用ツールが機械加工プロセスのために十分な残存耐用年数を有すると歯科用CNCフライス/研削盤が決定したときに、ユーザは歯科用ツールを安全に再使用することができる。例えば、ユーザは、キャリッジユニット上の指定されていない歯科用ツールモータ内の歯科用ツールを使用することを防止することができる。本発明の別の主要な有利な効果は、小型RFIDタグが、簡単な取り扱いによって、すなわち、安全な読み取りおよび/または書き込みが常に直接接触から数ミリメートルの距離までの範囲で行われることができるように、歯科用ツールの後端をトランシーバユニットに接近させることによって、効果的に読み出されることができることである。小型RFIDタグがシャフトの後端の前に配置されるので、小型RFIDタグと通信するための少なくとも半球立体角を有する回転に依存しない角度範囲が保証される。
【0008】
本発明の実施形態によれば、歯科用ツールは、小型RFIDタグを収容して封止する堅牢な保護ハウジングを有することが好ましい。保護ハウジングは、小型RFIDタグを封入するプラスチック材料から作製されることが好ましい。保護ハウジングの前部は、シャフトの後端に機械的に接続されることが好ましい。あるいは、接着剤を用いて接続することもできる。小型RFIDタグは、好ましくは、歯科用CNCフライス/研削盤のトランシーバユニットとのRF通信を容易にするために、シャフトの外側の保護ハウジングの後部に埋め込まれる。小型RFIDタグと保護ハウジングとの間の空間は、封止材料で充填されることが好ましい。保護ハウジングおよび小型RFIDタグは、好ましくは、歯科用ツールのシャフト上に同心で回転対称でバランスのとれた配置を有する。それによって、歯科用ツールは、キャリッジユニットの歯科用ツールモータにおいて、比較的高い回転速度で、例えば、毎分60,000回転まで、問題なく使用することができる。保護ハウジングは任意である。したがって、小型RFIDタグは、シャフトの後端の前に直接配置され、接着シールまたはこれに類するものを通して適所に固定されることができる。
【0009】
本発明の実施形態によれば、保護ハウジングの前部は、好ましくは、歯科用ツールのシャフトの後端に形成されたボア内に嵌め込まれる。これにより、接続および封止をさらに向上させることができる。この実施形態では、小型RFIDタグを収容するハウジングの後部は、シャフトの後端の前に、具体的にはボアの外側に配置される。それによって、トランシーバユニットは、後方方向全体および半径方向全体を通して小型RFIDタグと妨害されずに通信することができる。
【0010】
本発明の代替的な実施形態によれば、ハウジングの前部は、好ましくは、歯科用ツールのシャフトの後端に形成された縮径部に嵌め込まれる。それによって、接続および封止をさらに改善することもできる。この実施形態では、小型RFIDタグを収容するハウジングの後方セクションは、縮径部の前に、具体的にはシャフトの外側に配置される。また、この代替実施形態では、トランシーバユニットは、後方方向全体および半径方向全体を通して小型RFIDタグと妨害されずに通信することができる。加えて、縮径部は、1つ以上の周方向に延びる突起を有することが好ましい。そして、ハウジングの前部が突起に嵌め込まれる。これにより、接続および封止をさらに向上させることができる。あるいは、縮径部は、ハウジングの前部に形成された対応する爪とそれぞれ係合する1つ以上の円周方向に延びる溝を有する。それによって、接続および封止をさらに改善することもできる。
【0011】
本発明の実施形態によれば、小型RFIDタグは、好ましくは読み取り専用タイプである。小型RFIDタグは、歯科用ツールに特に関連する歯科用ツール固有情報を記憶する。歯科用ツール固有情報は、少なくとも一意的なID、例えば、歯科用ツールを明確に識別するためのユニバーサル一意的識別子(UUID)を含む。歯科用ツール固有情報は、好ましくは、歯科用ツールのタイプ、製造業者、ロット番号、長さ、および同心性のうちの少なくとも1つに関する情報をさらに含む。代替的な実施形態によれば、小型RFIDタグは、好ましくは、読み書きタイプである。この代替的な実施形態では、歯科用ツール固有情報は、好ましくは、歯科用ツールの残りの耐用年数、または代替的に歯科用ツールの使用時間を更に含み、これらは、歯科用CNCフライス/研削盤を通して決定され、かつトランシーバユニットを通じて小型RFIDタグに書き込まれることができる。小型RFIDタグは、小型化された空心コイルを有することが好ましい。
【0012】
本発明の実施形態によれば、歯科用CNCフライス/研削盤は、好ましくは、1つ以上の異なる歯科用ツールの上述の歯科用ツール固有情報を少なくとも記憶するためのデータ記憶ユニットに情報を送信し、および/またはデータ記憶ユニットから情報を受信するための通信ユニットが設けられる。データ記憶ユニットは、一意的なIDを介して歯科用ツール固有情報を読み取り、書き込み、上書きし、更新するためにアクセスされてもよい。データ記憶ユニットは、歯科用CNCフライス/研削盤の内部または外部にあってもよい。データ記憶ユニットは、ネットワーク、インターネットまたはこれらに類するものを介してアクセス可能であってもよい。データ記憶ユニットは、歯科用ツールを識別するための少なくとも一意的なIDと、歯科用ツールのタイプ、製造業者、ロット番号、長さ、同心性、耐用年数のうちの少なくとも1つに関する歯科用ツール固有情報とを記憶する。
【0013】
本発明の実施形態によれば、歯科用CNCフライス/研削盤は、好ましくは、トランシーバユニットを通して一意的に識別された歯科用ツールに関する歯科用ツール固有情報に基づく情報を表示するためのディスプレイを有する。歯科用ツールの小型RFIDタグは、トランシーバユニットによって読み出される。その後、小型RFIDタグから読み取られたおよび/またはデータ記憶ユニットから受信された歯科用ツール固有情報は、ディスプレイ上に表示される。それによって、ユーザは、識別された歯科用ツールに関する詳細な情報を得て、この歯科用ツールが次の機械加工プロセスに適切であるかどうかを決定することができる。ディスプレイはまた、好ましくは、次の機械加工プロセスに必要とされる1つ以上の歯科用ツールについての歯科用ツール固有情報と、歯科用ツールがユーザによって取り付けられるべきキャリッジユニット上の関係する位置とを示す。したがって、ディスプレイは、歯科用ツール、ワークピースなどに関して、次の機械加工プロセスについてユーザに通知し、ガイドする役割も果たす。
【0014】
本発明の実施形態によれば、制御ユニットは、歯科用ツール固有情報に基づいて歯科用ツールが摩耗または耐用年数が不十分であると決定した場合、またはキャリッジユニットにおける指定されていない、すなわち誤った、位置に取り付けられていると決定した場合、キャリッジユニットの駆動を禁止する。
【0015】
本発明の実施形態によれば、歯科用CNCフライス/研削盤は、トランシーバユニットを覆うパネルを有する。パネルは、小型RFIDタグとトランシーバユニットとの間のRF通信を可能にするように、十分に薄く、トランシーバユニットに近い。トランシーバユニットの位置は、ユーザがトランシーバユニットの近くに歯科用ツールを容易に位置づけることができるように、パネル上にマークされるか、または容易に認識可能である。それによって、歯科用ツールは、キャリッジユニット上の任意の位置に取り付ける前に識別することができる。それによって、ユーザは、例えば、歯科用ツールをキャリッジユニットに取り付ける前にディスプレイを通してガイドされることができる。例えば、ユーザは、歯科用ツールが次の機械加工プロセスに適しているか否か、およびそれがキャリッジユニット上のどの位置に取り付けられなければならないかを知らされてもよい。音響ガイドが代替的に使用されてもよい。
【0016】
代替的な実施形態によれば、1つ以上のトランシーバユニットは、1つ以上のキャリッジユニットにおける歯科用ツールの取り付け位置の近くに配置される。それによって、歯科用ツールは、それがキャリッジユニット内に取り付けられた後にも識別されることができる。これにより、ユーザは、適切な歯科用ツールがキャリッジユニット上の指定された、正しい位置に取り付けられたかどうかを知ることができる。同様に、ユーザはまた、ディスプレイを通してさらにガイドされることができる。各トランシーバユニットのアンテナは、キャリッジユニット内の歯科用ツールモータの関係するステータによって構成されることが好ましい。あるいは、1つ以上の別個のアンテナが、キャリッジユニット内の各トランシーバユニットに対して配置されてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0017】
以下の説明では、例示的な実施形態を使用し、図面を参照することによって、本発明のさらなる態様および有利な効果をより詳細に説明する。
【
図1】
図1は、本発明の実施形態による歯科用ツールの概略的な断面拡大部分図である。
【
図2】
図2は、本発明の別の実施形態による歯科用ツールの概略的な断面拡大部分図である。
【
図3】
図3は、本発明の他の実施形態による歯科用ツールの概略的な断面拡大部分図である。
【
図4】
図4は、本発明の他の実施形態による様々な歯科用ツールの概略的な側面図である。
【
図5】
図5は、本発明の実施形態による歯科用ツールの小型RFIDタグのための保護ハウジングの概略的な拡大側面図である。
【
図6】
図6は、
図5の保護ハウジングの概略的な垂直断面図である。
【
図7】
図7は、
図5の保護ハウジングの概略的な斜視図である。
【
図8】
図8は、本発明の実施形態による歯科用CNCフライス/研削盤の概略的な正面図である。
【
図9】
図9は、
図8の歯科用CNCフライス/研削盤の概略的な斜視図であり、機械区画の蓋が開けられている。
【
図10】
図10は、
図8の歯科用CNCフライス/研削盤のディスプレイの概略的な拡大斜視図であり、ディスプレイは消耗品を示している。
【0018】
図面に示される参照番号は、以下に列挙される要素を示し、例示的な実施形態の以下の説明において参照される:
1.歯科用ツール
2.シャフト
2a.後端
2b.ボア
2c.縮径部
2c-1.突起
2c-2.溝
3.(空心コイルを有する)小型RFIDタグ
4.ハウジング
4a.前部
4a-1.爪
4b.後部
5.歯科用CNCフライス/研削盤
5a.機械区画
5b.キャリッジユニット
5c.トランシーバユニット
5d.カメラ
5e.ディスプレイ
5f.パネル
5g.蓋
6.ワークピース
P1,P2:左キャリッジユニット(5b)上の歯科用ツール(1)の位置。
P1’,P2’:右キャリッジユニット(5b)上の歯科用ツール(1)の位置。
【発明を実施するための形態】
【0019】
図9に示すように、本発明の歯科用ツール(1)は、ワークピース(6)から歯科修復物を機械加工するための歯科用CNC(コンピュータ数値制御)フライス/研削盤(5)での使用に適している。歯科用ツール(1)は、ワークピースをフライス/研削するのに適しており、好ましくは、ワークピース(6)に触れることを通して歯科用CNCフライス/研削盤(5)を較正するのにも適している。
図4には、本発明の代替実施形態による様々な歯科用ツール(1)が図示されている。これらの歯科用ツール(1)は、例えば、タイプ、長さ、および同心性が異なる。それらの長さは、典型的には40mmから60mmの範囲である。
図4に示すように、歯科用ツール(1)は、シャフト(2)と、シャフト(2)の後端(2a)に接続された保護ハウジング(4)とを有する。
【0020】
図1は、本発明の実施形態による歯科用ツール(1)の保護ハウジング(4)の内部を示す。
図1に示すように、小型RFIDタグ(3)は、シャフト(2)の後端(2a)の前に配置される。小型RFIDタグ(3)は、読み取り専用タイプであることが好ましい。あるいは、読み書きタイプであってもよい。小型RFIDタグ(3)は、空心コイルと一体に設けられていてもよい。小型RFIDタグ(3)は、保護ハウジング(4)によって覆われる。しかしながら、保護ハウジング(4)は任意である。あるいは、小型RFIDタグ(3)は、何らかのシーラント接着剤を用いてシャフト(1)の後端(2a)の前面に直接接着することができる。保護ハウジング(4)の前部(4a)は、シャフト(2)の後端(2a)に接続される。小型RFIDタグ(3)は、シャフト(2)の外側かつ保護ハウジング(4)の後部(4b)に配置される。
【0021】
図1に示すように、歯科用ツール(1)は、溝(2c-2)を有する縮径部(2c)を有する。ハウジング(4)の前部(4a)は、爪(4a-1)を有する。爪(4a-1)は溝(2c-2)内に嵌め込まれる。
【0022】
図2は、本発明の代替実施形態による歯科用ツール(1)を示す。この代替実施形態では、縮径部(2c)は、溝(2c-2)の代わりに突起(2c-1)を有する。この代替実施形態では、保護ハウジング(4)の前部(4a)には爪(4a-1)が設けられず、突起(2c-1)上に嵌め込まれる。
図2の破線は、小型RFIDタグ(3)が組み立て後に位置付けられる位置を示す。
【0023】
図3は、本発明の別の代替実施形態による歯科用ツール(1)を示す。この代替実施形態では、シャフト(2)の後端(2a)は、ボア(2b)を有する。そして、保護ハウジング(4)の前部(4a)がボア(2b)内に嵌め込まれる。同様に、
図3において、破線は、小型RFIDタグ(3)が組み立て後に位置付けられる位置を示す。
【0024】
図1から
図3に示す実施形態の各々では、小型RFIDタグ(3)は、RF通信のためにシャフト(2)によって円周方向および後方にブロックされないように配置される。保護ハウジング(4)は無線周波数に対して透過性である。ハウジング(4)は、好ましくはプラスチック材料から作製される。保護ハウジング(4)は、好ましくは、略U字形状の断面を有する円筒形状である。
【0025】
図8に示すように、本発明は、歯科用CNCフライス/研削盤(5)も提供する。
図9に示すように、歯科用CNCフライス/研削盤(5)は、ワークピース(6)および歯科用ツール(1)などの消耗品にアクセスするための機械区画(5a)を開閉するための蓋(5g)を有する。歯科用CNCフライス/研削盤(5)は、少なくとも1つのワークピース(6)を取り付けるための取り付けユニットと、同時機械加工のための2つの対向するキャリッジユニット(5b)を含む機械区画(5a)であって、それぞれが本発明による1つ以上の歯科用ツール(1)を交換可能に受け入れて駆動するように適合された機械区画(5a)と、歯科用ツール(1)の小型RFIDタグ(3)を読み取るように適合された1つ以上のトランシーバユニット(5c)と、小型RFIDタグ(3)から読み取られた情報に基づいてトランシーバユニット(5c)およびキャリッジユニット(5b)を個々に制御するように適合された制御ユニットとを備える。各トランシーバユニット(5c)は、小型RFIDタグ(3)のみを読み取るように適合されている。あるいは、トランシーバユニット(5c)は、小型RFIDタグ(3)を読み書きするように適合されてもよい。歯科用CNCフライス/研削盤(5)は、好ましくは、データ記憶ユニットに情報を送信し、および/またはデータ記憶ユニットから情報を受信するための通信ユニットを有する。この情報はまた、歯科用ツール固有情報に関連してもよい。データ記憶ユニットは、歯科用CNCフライス/研削盤の内部にあることが好ましい。データ記憶ユニットは、歯科用ツール(1)の歯科用ツール固有情報も記憶することができる。あるいは、データ記憶ユニットは、歯科用CNCフライス/研削盤(5)の外部にあってもよく、ネットワーク、インターネットまたはこれらに類するものを介してアクセス可能であってもよい。歯科用CNCフライス/研削盤(5)は、歯科用ツール(1)に関連する歯科用ツール固有情報に基づいて情報を表示するための、好ましくはディスプレイ(5e)を、より好ましくはタッチスクリーンディスプレイ(5e)を有する。歯科用CNCフライス/研削盤(5)は、1つ以上のトランシーバユニット(5c)を全体的または部分的に覆うパネル(5f)を有する。パネル(5f)は、小型RFIDタグ(3)とトランシーバユニット(5c)との間のRF通信を可能にするのに十分に薄いかまたは開口を有する。それに加えて、またはその代わりに、1つ以上のトランシーバユニット(5c)は、1つ以上のキャリッジユニット(5b)における歯科用ツール(1)の取り付け位置(P1、P2、P1'、P2')の近くに配置される。1つ以上のトランシーバユニット(5c)のアンテナは、好ましくは、1つ以上のキャリッジユニット(5b)内の歯科用ツールモータの関係するステータによって構成される。加えて、または代替として、1つ以上の別個のアンテナが、キャリッジユニット(5b)内へのトランシーバユニット(5c)に対して配置されてもよい。
【0026】
歯科用CNCフライス/研削盤(5)は、好ましくは、歯科用ツール(1)またはワークピース(6)のような消耗品上のバーコードを認識するために、それらのバーコードを読み取るためのカメラ(5d)も有する。認識された消耗品は、追加のガイダンス情報と共にディスプレイ(5e)上にスクリプトおよび/またはアイコンを使用して表示することができる。シャフト(2)の後端は、好ましくは、キャリッジユニット(5b)に、すなわち歯科用ツールモータのスピンドルにシャフト(2)を取り付けるための取り付けねじ(図示せず)を有する。シャフト(2)は、取り付けプロセス中にシャフト(2)の前端と形状適合的に係合する回転レンチを使用することによって取り付けることができる。代替的に、取り付けねじの代わりに、他のタイプの接続を使用してもよい。
【0027】
歯科用ツール(1)の小型RFIDタグ(3)は、歯科用ツール(1)に具体的に関連する歯科用ツール固有情報を記憶する。歯科用ツール固有情報は、歯科用ツール(1)を識別するための少なくとも一意的なIDを含む。歯科用ツール固有情報は、好ましくは、歯科用ツール(1)の製造業者、ロット番号、タイプ、長さ、および同心性のうちの少なくとも1つに関する情報をさらに含む。小型RFIDタグ(3)が読み書きタイプである場合、歯科用CNCフライス/研削盤(5)はまた、トランシーバユニット(5c)を介して残りの耐用年数を歯科用ツール(1)に記憶する。代替的にまたは追加的に、データ記憶ユニットは、歯科用ツール(1)を識別するための少なくとも一意的なIDと、歯科用ツール(1)の製造業者、ロット番号、タイプ、長さ、同心性、および残りの耐用年数のうちの少なくとも1つに関する情報とを含む。歯科用ツール(1)の残りの耐用年数は、歯科用CNCフライス/研削盤(5)によってディスプレイ(5e)上で監視することができる。
【0028】
ユーザは、例えば、CAD/CAMソフトウェアを通して明らかにされる次の機械加工プロセスにおける使用のために計画されるワークピース(6)および歯科用ツール(1)に関する情報を、ディスプレイ(5e)を通してガイドされることができる。例えば、
図10に示すように、ワークピース(6)のタイプ、使用する歯科用ツール(1)のタイプ、必要最低限の耐用年数、キャリッジユニット(5b)上の指定取り付け位置(P1、P2、P1'、P2')、またはこれらに類するものをユーザへのディスプレイ(5e)に表示することができる。取り付けられたワークピース(6)が間違っているか、取り付けられた歯科用ツール(1)が摩耗しているか、耐用年数が不十分であるか、キャリッジユニット(5b)の間違った位置に取り付けられたと決定したときに、制御ユニットは、キャリッジユニット(5b)の駆動を禁止することができる。
【0029】
ユーザは、キャリッジユニット(5b)への取り付け前または取り付け後に、トランシーバユニット(5c)を通して識別された歯科用ツール(1)に関する情報を、例えばディスプレイ(5e)を通して通知されることができる。識別された歯科用ツール(1)の耐用年数、歯科用ツール(1)のタイプ、取り付け位置、及びこれらに類するもののような歯科用ツール(1)の固有情報をユーザに表示することができる。ワークピース(6)は、カメラ(5d)を通して読み取られるバーコードを備えることができ、関連する情報は、
図10に示されるようにディスプレイ(5e)上に表示することができる。
【国際調査報告】