(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-12-05
(54)【発明の名称】脳を冷却するための、ならびに膠芽腫を診断および治療するためのデバイスおよび方法
(51)【国際特許分類】
A61B 18/02 20060101AFI20221128BHJP
A61B 17/34 20060101ALI20221128BHJP
A61M 1/00 20060101ALI20221128BHJP
A61B 34/20 20160101ALI20221128BHJP
A61B 8/14 20060101ALI20221128BHJP
【FI】
A61B18/02
A61B17/34
A61M1/00 170
A61B34/20
A61B8/14
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022519067
(86)(22)【出願日】2020-09-16
(85)【翻訳文提出日】2022-05-18
(86)【国際出願番号】 US2020051084
(87)【国際公開番号】W WO2021061471
(87)【国際公開日】2021-04-01
(32)【優先日】2019-09-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】505259952
【氏名又は名称】エドワード・ウォング
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】ウォング,エドワード
(72)【発明者】
【氏名】ソレク,ロマン
(72)【発明者】
【氏名】ファース,ジョン
【テーマコード(参考)】
4C077
4C160
4C601
【Fターム(参考)】
4C077AA16
4C077BB02
4C077CC02
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4C077HH13
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4C160FF42
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4C601BB03
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4C601FF13
4C601GA03
4C601GA20
4C601GB04
4C601LL26
(57)【要約】
脳の迅速かつ安全な冷却を使用することによって脳死を防ぐために使用される方法および装置が開示される。患者の頸部を介して大脳にアクセスし、脳の周りの冷却された人工脳脊髄液(aCSF)の流れを可能にする特別に設計された針/カニューレを使用して、患者の頸部を介する入口を使用して大槽に入ることによって、冷却されたaCSFが、脳内の腔の周りおよび脳を取り巻くくも膜下腔内で循環させられ、温度/圧力センサが配置されている頭蓋骨の開口部からaCSFが出る。データは、冷却されたaCSFを大槽内に配置された針/カニューレにポンプで送るコンピュータ制御の電動システムに送信される。aCSFのポンプ送液は、出て行くaCSFの所定の温度および/または圧力を維持するように制御される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
脳を迅速かつ安全に冷却することによって脳死を防ぐ方法であって、前記脳は、患者の頸部を介してアクセス可能な大槽を有し、
前記脳の周りの冷却された人工脳脊髄液(aCSF)の流れを可能にする特別に設計された針/カニューレを使用して、前記患者の前記頸部を介する入口を使用して前記大槽に入ることによって、1~10℃に冷却されたaCSFを、前記脳内の腔の周りおよび前記脳を取り巻くくも膜下腔内で循環させることと、
温度/圧力センサが配置されている頭蓋骨の開口部からaCSFを出すことと、
冷却されたaCSFを前記大槽内に配置された前記針/カニューレにポンプで送り込むコンピュータ制御の電動システムにデータを送信することと、
出て行く前記aCSFの所定の温度および/または圧力を維持するように前記aCSFのポンプ送液を制御することと、を含む、
方法。
【請求項2】
再生利用することなく、前記患者の下方の無菌容器内に出て行く前記aCSFを収集することをさらに含む、
請求項1に記載の方法。
【請求項3】
ろ過および冷却システムを介して出て行くaCSFを再生利用することと、前記コンピュータ制御の電動システムによって前記再生利用されたaCSFを前記大槽に配置された前記針/カニューレにポンプで送ることと、をさらに含む、
請求項1に記載の方法。
【請求項4】
患者の脊髄を外傷または虚血から保護するように前記脊髄を迅速かつ安全に冷却するための方法であって、
冷却および加圧された人工脳脊髄液(aCSF)の供給源を提供することと、
特別に設計された針/カニューレを使用して、前記患者の頸部を介する入口を使用して冷却された前記aCSFを患者の脳の底部にある大槽内に挿入することと、
冷却され、加圧された前記aCSFを脊柱管に流し込むことと、
腰椎穿刺針を介して前記aCSFを出すことと、を含む、
方法。
【請求項5】
患者の脊髄を外傷または虚血から保護するように前記脊髄を迅速かつ安全に冷却するための方法であって、
冷却および加圧された人工脳脊髄液(aCSF)の供給源を提供することと、
腰椎穿刺針を介して冷却された前記aCSFを挿入することと、
冷却および加圧された前記aCSFを脊柱管に流し込むことと、
特別に設計された針/カニューレを使用して、前記患者の頸部を介する出口を使用して前記患者の脳の底部にある大槽から前記aCSFを出すことと、を含む、
方法。
【請求項6】
神経手術、放射線療法、定位手術、血管手術、超音波インターベンション、高エネルギー陽子線療法、または他の侵襲的もしくは非侵襲的療法における処置を実行することをさらに含む、
請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記脳の前記くも膜下腔にセンサを挿入することと、前記くも膜下腔に挿入された前記センサを使用して前記脳の化学的性質をモニタリングすることと、をさらに含む、
請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記aCSFが出る前記頭蓋骨内の前記開口部を前記頭蓋骨の額の側に位置付けることと、前記患者を上向きに仰向けに寝かせて、前記大槽により近い後頭領域脳内のより冷たい流体と、前記額に向かって上昇するより温かい流体との間の差異を生じさせることによって対流冷却を確立することによって前記脳内の前記aCSFの流れを促進することで、前記頭蓋骨からの前記aCSFの流出をより効率的で迅速にするとともに、冷却効果をより迅速にすることと、をさらに含む、
請求項1に記載の方法。
【請求項9】
患者の皮膚を穿刺するための先端を有する針と、
超音波画像を生成するための超音波素子のフェーズドアレイであって、前記フェーズドアレイは前記針の前記先端に配設されている、超音波素子のフェーズドアレイと、
前記針の前記先端内の前記フェーズドアレイと通信する、音響機能を備えた軽量ハンドヘルドモニタ内の超音波イメージングシステムであって、前記超音波イメージングシステムは、少なくとも30度以上の視野内、最大2.5cm以上の貫入で、皮膚表面から下の標的組織までのすべての組織の画像を生成する、超音波イメージングシステムと、を備える、
装置。
【請求項10】
前記針の前記先端は、前記患者の大槽に入るための鋭い切断形状を有し、前記針の前記先端は、形状変化合金で構成され、冷却されたaCSFが前記針に入る際の温度変化に応答して、前記大槽に近接する脳組織の損傷を回避するために鈍い刃および鈍い先端に形状変化する、
請求項9に記載の装置。
【請求項11】
前記針の前記先端は鋭い切断形状を有し、前記針の前記先端は、形状変化合金で構成され、冷却されたaCSFが前記針に入る際の温度変化に応答して、前記大槽および前記近接する脳組織を傷つける可能性のある力強く方向付けられた流体の流れの代わりに、前記aCSFの穏やかな分散を可能にする形状に形状変化する、
請求項10に記載の装置。
【請求項12】
人工知能を有するマイクロコントローラを有する半自律ユニットと、前記針の先端内の前記フェーズドアレイ素子からの超音波画像データを使用して前記針を前記大槽にガイドするために前記超音波イメージングシステムと通信するサーボ制御の電動インサータと、をさらに備える、請求項9に記載の装置。
【請求項13】
前記針の先端内に配置されたカニューレをさらに備え、前記超音波素子のフェーズドアレイは前記カニューレ内に配置され、前記装置は、患者の大腿動脈内に前記針を迅速かつ正確に配置するために、前記超音波イメージングシステムと通信して、前記大腿動脈の動脈循環内に前記フェーズドアレイカニューレを導く半自律的またはロボット式ユニットをさらに備え、前記カニューレは、大動脈循環またはその枝の選択的バルーンタンポナーデを支援するために利用可能である、
請求項9に記載の装置。
【請求項14】
患者の頭の外側から頭蓋骨内のくも膜下腔への導管として機能する中空ネジを備えたトレフィンユニットを備え、前記中空ネジは、取り外したときに前記中空ネジ内に円錐形の空間を画定する切断先端を備えた中央トロッカーを含む、
装置。
【請求項15】
前記中空ネジが前記患者の頭に対して静止位置に固定されることによって、前記導管の相対位置が正確かつ安定して固定される、
請求項14に記載の装置。
【請求項16】
前記患者の頭の後ろにバンドをさらに備え、前記患者の大槽に挿入されたときに前記針に安定性を与えるために2つ以上の後点を選択する場合、前記ネジは前記バンドの固定点である、
請求項14に記載の装置。
【請求項17】
前記超音波イメージングシステムと組み合わされた超音波ガイド半自律的またはロボット式トレフィンユニットをさらに備え、前記超音波ガイド半自律的またはロボット式トレフィンユニットは、前記針が前記頭蓋骨に入り、患者の皮膚内の切開部および前記頭蓋骨に形成された穿頭孔を介して患者のくも膜下腔に安全かつ迅速に入ることを可能にするために使用される、
請求項14に記載の装置。
【請求項18】
前記超音波素子の前記フェーズドアレイは組織の治療的媒介のためのエネルギーを生成し、前記超音波イメージングシステムは、患者の体の他の場所に位置する正常組織に対して、固形腫瘍の特定の組織特性を特定する、
請求項9に記載の装置。
【請求項19】
患者の体の手術位置上の使い捨て可能な外骨格と、前記針の侵入をガイドするとき、前記手術位置において前記外骨格に対して前記針を正確にかつ安定して固定することを可能にするために使用される超音波ガイド半自律的トレフィンユニットと、をさらに備える、
請求項9に記載の装置。
【請求項20】
前記トレフィンユニットおよび/または前記針ユニットを正確にかつ安定して固定するために、前記外骨格の形状は前記手術位置の三次元表面スキャンを使用して画定され、前記外骨格は、前記手術位置に対して最小限の動きで前記手術位置にしっかりと正確にフィットし、超音波エネルギーで前記腫瘍を診断および治療するために、前記腫瘍に治療薬を投与するために、ならびに/または前記腫瘍および周囲の正常組織に対する前記治療薬の効果をモニタリングするために、1mm以内の近さへの前記腫瘍の正確な標的設定および侵入を可能にする、
請求項19に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本出願は、参照により本明細書に組み込まれる、35 USC 119に従って2019年9月25日に出願された米国仮特許出願第62/905,996号に基づく優先権を主張する。
【背景技術】
【0002】
図示される実施形態は、心筋梗塞、脳卒中、および出血による心停止などの疾患を含む、脳への循環が不足している場合における脳死の防止のために、安全かつ迅速に脳を超低体温に(1~10℃に冷却されたaCSFを使用して20~25℃に)冷却する独自の手法を対象とする。
【0003】
先行技術の説明
50年前、Robert White教授は、頸部の中のすべての主要な血管を結んだとき、サルの脳を15℃まで冷却すると、1時間脳に血液が循環することなく、脳の構造と機能が保護されることを実証した。頸部のすべての血管に巻かれた結紮糸を1時間後にほどき、室温に戻る時間がサルに与えられた。その後の検査は、記憶、問題解決、および運動活動の低下を示さなかった。
【0004】
White教授の新規の研究は、
図4に示すように、大動脈解離を伴うマルファン症候群の場合など、大動脈弓を大動脈プロテーゼで修復する胸部外科医によって現在みごとに使用されている。脳を10℃に予冷すると、脳への血液がほとんどまたは全くない状態で30分の手術時間を得ることができる。極度に冷たい生理食塩水を鎖骨下動脈に送ることで、この温度で脳内に達することができる。これは非常に成功しており、記憶または機能を失うことなく脳の損傷を防ぐことができる。
図4は、神経学および神経外科以外の幅広い医学文献を知ることの重要性を強調している。1975年、Grieppらは、脳の温度を心肺バイパスを用いて超低体温の範囲まで下げた後にそれを心臓胸部の文献で最初に報告した。Grieppらは大動脈弓の置換を用いて、患者の心停止にもかかわらず脳機能の維持に成功した。そのような手術では、脳に血液が流れない30分以上の間、脳を「仮死状態」にするための超低体温療法を含むのが一般的な医療行為である。
【0005】
脳の温度を極度の低体温に下げることにより、血流がないにもかかわらず、脳を仮死状態の状態にすることができる。The Lancet(355(9201)375-376)において、29歳の放射線科医、Anna Bagenholmは水没事故で13.7℃まで凍え、心電図はフラットであったと報告された。蘇生して正常体温に戻ると、彼女はすべての知的能力を完全に取り戻した。国防総省の資金提供を受けているSamuel Tisherman、MDは、脳血管循環に冷蔵生理食塩水を使用して脳を極度の低体温に冷却することにより、重度の外傷を負った患者を治療したと2019年11月に報告された。2時間の低体温の後、彼は外科的修復を完了し、患者を蘇生させることができた。
【0006】
凍った湖に落ちた子供たちが、1時間以上、極度な低体温で水没していた後、明らかな脳の損傷なしに生存したことが報告されている。子供は泉門が開いている可能性があり、また頭蓋骨が薄い可能性があり、脳の迅速な冷却が可能になるので、同様の過酷な状況下の大人は凍える水から生き残ることはできない。今日、虚血性脳損傷の危険にさらされている乳児および子供は中等度から軽度の低体温で治療されており、全身体温を下げない子供と比較して、生存率が改善され、脳損傷が少ない。
【0007】
多くのレポートが、心臓発作の場合において、体温を33℃までしか下げない、軽度から中等度の低体温の使用を研究しており、結果分析では様々な成功報告がなされている。体温を33℃未満に下げると、心室への悪影響に起因する心不整脈、血小板凝集の中断が出血を引き起こすという出血問題が生じる可能性がある。
【0008】
脳への血液の遮断がある場合、不可逆的な脳の損傷が発生するまでに数分しかかからない可能性がある。心肺蘇生法(CPR)は心停止の標準的な治療法であるが、成功した場合でも、重大な障害を伴う脳組織の卒中を引き起こすおそれがある。心停止に加えて、重大な脳卒中および出血は、脳への循環の欠如の最初の数分間の内に治療する必要がある大きな生命を脅かす問題である。軍が循環停止を用いて脳の生存を1時間以上延長する方法を見つけることを切望しているのも不思議ではない。この、「ゴールデンアワー」を延長する方法の探求は、治療を行う医師に差し迫った問題とその原因を治療するチャンスを与える。脳を1時間以上仮死状態にできれば、突然の脳死のおそれがある患者さんの医療のパラダイムシフトにつながる。超低体温を迅速かつ効果的に利用することで脳を虚血性損傷から保護することができれば、循環の回復および損傷した臓器および組織の修復が可能になる。わずか5分でなく1時間が与えられることで、治療を行う医師は患者を救うチャンスを得る。
【発明の概要】
【0009】
profound低体温(<14℃)の範囲では、人工脳脊髄液(aCSF)で脳を冷却する技術を使用してそのような低温を達成することができる。臨床的改良の対象ではあるが、この特許の目的のために、「超」低体温の目標温度範囲は、「超低体温循環停止」(DHCA)の外科的技術に従って使用される。脳の超低体温へのアプローチにおけるこのパラダイムシフトのための歴史、現在の研究、および理論的根拠のレビューが提示される。
【0010】
本発明の図示される実施形態は、心停止、脳卒中、出血による失血、および他の原因による脳への頭蓋内循環の遮断による脳死を防止するための装置および方法を提供する。脳を選択的に冷却することで、血流を循環させずに1時間以上、脳を「仮死状態」にすることができる。脳死の危機に瀕している患者を救うためにたった5分ではなく、治療を行う医師は、患者の命を救うために1時間以上の猶予がある。脳脊髄液を直接冷却することにより、脳への大動脈または大血管にカニューレを挿入することにより、脳血管循環に直接入ることなく脳を冷却することができる。循環にカニューレを挿入するのにかかる時間は、それを迅速に行うことを困難にし、全身冷却の問題は不整脈および出血を引き起こす可能性がある。
【0011】
したがって、脳の迅速な冷却におけるパラダイムシフトには新しいアプローチが必要である。大槽に安全に、正確に、そして非外傷的に迅速に入るには、図示の実施形態の装置が必要である。脳に針を挿入にあたることができる最初の人はパラメディックである可能性があるため、処置は誰にでも扱えるもので、使いやすく、迅速に実施されるものでなければならない。所望の位置に配置された後、針を静止した解剖学的部位に固定する必要があり、大槽および脳幹の脳組織への損傷を防ぐために針の鋭い切断先端の形状を変更する必要がある。戦場の状況の場合、大腿動脈などの大血管に入れられる同様の針システムの設計は、パラメディックが使用する場合に安全かつ迅速に実行される必要がある。
【0012】
大槽を介して脳を冷却する方法
脳死をもたらす脳への循環の急激な遮断が生じた患者を扱う緊急事態において、脳死を迅速に防止するための図示の実施形態の特徴は安全性、正確性、および速度である。臨床的には、鎖骨下動脈へのバイパスを介して冷蔵生理食塩水を脳にポンプで送ることによって解離性大動脈瘤を置き換えるために、手術中に脳を仮死状態にすることができる。これはヒトにおいて世界中で非常に成功を納めている。
【0013】
我々の実験室での研究は、実験動物の脳を迅速に超低体温に、またはさらに低いprofound低体温に冷却できることを実証する。冷却された人工(aCSF)を脳の周りで循環させることによって脳脊髄液(CSF)を迅速に冷却すると、くも膜下腔内の脳だけでなく脳底槽内の血管を標的にすることによって中枢神経系(CNS)が冷却される。頭頸接合部から後方的に、または乳様突起骨下方の側方経路から大槽に侵入することにより、くも膜下腔への侵入を迅速かつ安全に達成できることがわかった。侵入する針が脳幹および椎骨動脈に近接しているため、これは、針を通り抜けるおよび周囲の超音波方向を用いた直接可視化のもとで行う必要がある。aCSFを頭から排出するために、および対流冷却を可能にするために、額(生え際の近く)に位置する排出口が必要となる。この排出口は、迅速に挿入され、安定しており、脳への損傷について安全であり、正確に配置され、半自律的に1人の人間によって行われるトレフィンの新しい設計である。仰向けになっている患者の前頭葉の近くの出ようとしている液体はより温かく、後頭部に後方的に近い、より冷たい流体と温度差がある。くも膜下腔は高齢の患者では比較的大きく、aCSFの量が多いほど冷却効果が高くなる。
【0014】
別の構成は、aCSFがトレフィンから出て大槽内に再生利用されることを可能にする。aCSFを再生利用するために、排出口の開口部は、温度および圧力測定のための額内のチューブからの情報を介して制御される無菌ドレナージシステムまたはポンプシステムに接続される。出て行くaCSFの温度と、大槽に入る際の温度がモニタリングされる。冷却システムは、冷蔵ユニットおよび蠕動ポンプと統合されている。閉鎖系が使用される場合、流体が排出される脳の前部からの経路からのデブリスおよび混入物、感染性病原体を除去するために、フィルタシステムがこの閉鎖系と直列に接続される。これにより対流冷却が発生し、脳の冷却が迅速に向上する。対流冷却によって作り出される仮想「ポンプ」は頭蓋骨内の追加の「モータ」として機能し、迅速な冷却を促進する。
【0015】
事実上、再循環する冷却されたaCSFは、くも膜下腔内で大槽および脳の構造を冷却する閉じた無菌システム内に存在する。最初の冷却は脳の底部の血管に提供され、そこから脳組織を循環する冷却された血液を介して提供される。冷却されたaCSFは脳の底部、および記憶部を含む重要な構造を直接冷却する。そこから、冷却されたaCSFはくも膜下腔内で脳の周りを通過する。仰臥位では、後頭部近くの冷たい流体と、流体が出て行く脳の前部の温かい液体との間に温度差があり、それによって対流冷却が起こり、脳のより良い冷却が迅速に起こる。対流冷却によって作り出される仮想ポンプは頭蓋骨内の追加のポンプとして機能し、迅速な冷却を促進する。
【0016】
文法的な滑らかさのために、機能的な説明を用いて装置および方法が説明されてきた、または説明されるが、特許請求の範囲は、35 USC 112に基づき明確に定式化されていない限り、「手段」または「ステップ」の制限の解釈によって必ずしも制限されるものと解釈されるべきではなく、司法的な均等論に基づき特許請求の範囲によって提供される定義の意味および均等物の全範囲が与えられるべきであり、特許請求の範囲が35 USC 112に基づき明確に定式化されている場合には、35 USC 112に基づく法定の完全な均等物が与えられるべきである。本開示は、以下の図面に目を向けることによってよりよく可視化することができる。図中、類似する要素は類似する数字によって表される。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】ポンプおよび冷却器を備えた冷却システムの要素を示す人間の頭の簡略化された側面断面図である。ポンプおよび冷却器は、大槽内の固定された針を介して人工CSF(aCSF)を投与し、冷却されたaCSFを、脳底槽を介して、くも膜下腔を介して頭蓋の周りで循環させ、無菌容器に排出する。
【
図2】頭蓋骨の出口ポートからポンプ、フィルタ、および冷却システムへのaCSFの再生利用と、大槽内の固定された針を介するくも膜下腔への再侵入とを示す人間の頭の簡略化された側面断面図である。
【
図3】くも膜下腔を循環した後にaCSFを排出するための、頭蓋骨およびくも膜下腔内に配置された、特別に設計されたユニット、すなわち半自律的トレフィンを示す人間の頭の簡略化された側面断面図である。また、このユニットは温度センサおよび圧力モニタを含む。
【
図4】脳死を防ぐために超低体温の使用を必要とする現在の技術を用いた、マルファン症候群における解離性大動脈瘤の従来の外科的修復で使用されるプロテーゼの図である。1975年以来、世界中で脳を冷却することによる「仮死状態」の使用が成功を納めていることが示されている。
【
図5】異なるアプローチを使用して2018年に最初に報告された、横方向のアプローチから大槽に入る新しい技術を示す、人間の頭の簡略化された側面断面図である。この新しい技術には、骨ばった解剖学的位置に針を配置して固定するために乳様突起骨に隣接しているという利点がある。
【
図6】腰椎穿刺を介して針を大槽と、脊柱管のくも膜下腔とに挿入することによって脊髄を冷やすアプローチを示す、人体の簡略化された側面断面図である。冷却されたaCSFを大槽内に循環させ、腰椎穿刺に導くことにより、ポンプ/冷却システムはaCSF流を脊柱管の下方に導く。状況に応じて、冷却されたaCSFが腰椎穿刺針内に導かれ、大槽針から出てもよい。
【
図7】大槽内の冷却されたaCSFの入口点を使用し、頭蓋骨内の出口ポートと、下方の腰椎穿刺との両方から流れを排出することにより、脳および脊髄の両方を冷却する方法を示す、人体の簡略化された側面断面図である。
【
図8】患者が仰向けで横になっているときに脳をより迅速に冷却するために対流冷却を使用することの利点を示す、人間の頭の簡略化した側面断面図である。冷たいCSFが下に、温かいCSFが上にある結果、追加の「モータ」効果が得られ、脳一層速く冷やされる。
【
図9】針、電子インターフェースユニット、およびポータブルハンドヘルドモニタから構成される(17ゲージの針の中の)直径2mmのカニューレ内のフェーズドアレイ超音波デバイスの構成要素の図である。
【
図10】
図9の超音波デバイスの送信端と受信端の図であり、フェーズドアレイイメージングにおける64個以上の素子の使用、最大30度以上の視野、および最大2.5cmの貫入を示している。
【
図11】異なる時間における超音波針の末端の斜視図であり、ニチノールなどの感温合金を使用することの概念を示している。針が大槽内に貫入した後、冷却されたaCSFが針に入ると針の形状が変化し、尖った先端が鈍くなり、切断刃が鈍くなる。さらに、感温合金は、aCSFの流れが作り出す乱流、および神経組織への直接の流れを少なくできるように先端の形状を変化させることができる。
【
図12】超音波針ユニットに固定と安定性を与えるために外骨格のようにフィットする「スカルキャップ」を示す、人間の頭の簡略化された側面断面図である。
【
図13】額から頸椎上部までのバンドの使用を示す、人間の頭の簡略化された側面断面図である。バンドは、針を支持して固定するための半剛性のユニットを提供する。
図14に示すサーボモータシステムに取り付けるのに十分な頑丈さを備えている。トレフィン内のネジによって提供される前方の固定は前頭骨に固定される。固定点は、頭および頸部にかけての「スカルキャップ」または同様のデバイスのようなしっかりとフィットする外骨格として後方に作用し、頸部および大槽内に入る超音波針に安定性および精度を与える。
【
図14】フェーズドアレイ超音波針を
図15に示す大槽または大腿動脈内に半自律的にまたはロボットにより挿入可能なシステムの図である。針が適切な位置に配置されると、フェーズドアレイ超音波針からの情報がマイクロプロセッサ/人工知能ユニットに送信され、その後、標的部位への針の挿入を制御するサーボモータに送信される。これには、
図13に示すような頑丈で安定した固定ユニットが必要である。
【
図15】大腿動脈の標的部位、および針の入口の位置を特定するための関連する解剖学的構造の簡略化された正面断面図である。
【
図16】大腿動脈から大動脈に入るフェーズドアレイ超音波カニューレの軌道を示す大動脈の図である。30度の視野および最大2.5cmの貫入により、大動脈のバルーンタンポナーデはより正確になり、より迅速に実行される。
【
図17】中央トロッカーを備えた中空トレフィンネジの一連の側面図および2つの側面断面図である。中央トロッカーを取り外すと、超音波プローブをくも膜下腔内に安全に、正確に、そして良好な固定で厳密に配置するための円錐形のトンネルが残る。所定の位置に配置されると、このトレフィンネジにより、くも膜下腔から脳脊髄液を除去することができる。
【
図18】4つ以上のトランスデューサを収容するトレフィンデバイスユニットを示す拡大図である。これらのトランスデューサは、頭蓋骨を通るようネジを導いて骨にしっかりと固定し、くも膜下腔に入ったらネジを停止させるようにサーボモータを半自律的に制御するマイクロコンピュータに超音波情報を提供する。
【
図19】
図10のデバイス、すなわち、正常組織に対して腫瘍の組織キャラクタリゼーションを行うことができる64個以上の素子を備えた内径2mmの針を含む超音波針を示す、人間の頭の簡略化された側面断面図である。取り付けられた超音波針は、イメージングのための、針の半自律的またはロボット式挿入のための、および膠芽腫腫瘍を治療するための情報を与える。超音波トランスデューサは、腫瘍の近くの針の先端においてエネルギーを生成する。腫瘍の前治療後、同じ針が、マイクロリットル単位の様々な治療法の投与を可能にする。薬剤の投与に続いて、超音波針の先端は組織をイメージングして、正常な脳組織に対する治療効果の位置を決定することができる。
【
図20】トレフィンユニットおよび超音波針ユニットを含む
図14および
図18のデバイスの組み合わせを示す、人間の頭蓋骨内の挿入部位の側面断面図である。針はくも膜下腔内に注意深く導かれ、組織診断のための、脳組織のマッピングのための、および超音波針の脳内への軌道を作り出すための所定の位置に固定される。
【
図21】周囲のネジ内の3~4mmの中空円錐空間内にフィットする直径2mmの超音波針の側面断面図である。高精度の半自律的またはロボット式システムを使用して、超音波針を正確に配置するのに十分な自由が提供される。
【
図22】体の他の場所の固形腫瘍を治療するために外骨格をどのように使用できるかを示す、人体の斜視図の図である。レーザースキャンデータまたはMRIもしくはCTスキャンなどの他の画像データから、最小限の動きでしっかりと正確にフィットするように、外骨格の三次元プリントが迅速に作成できる。これにより、トレフィンおよび/または超音波針ユニットを固定するための強固な基盤が得られ、高精度で、そして腫瘍および周囲の正常組織に対する効果を正確にモニタリングしつつ、超音波エネルギーで診断および治療を行うために、ならびに腫瘍に治療薬を投与するために、正確に体内に入り、腫瘍の1mm以内で腫瘍を標的設定できる。
【
図23】超音波針を乳房の腫瘍から1mm以内に導くために半自律またはロボット式ユニットに安定性と精度を与えるための、人間の乳房上での外骨格の使用の側面断面図である。この場所で、超音波針は、正常組織への損傷を最小限に抑えて腫瘍を診断、描写、および治療できる。
【
図24】動物実験で使用されたブタの切断された頭頸部の矢状面図である。このCTスキャンは、白い矢印で示される大槽の針の位置、およびサーミスタの位置を確認する。
【
図25】
図24に示されるブタ実験で測定された温度対時間のグラフである。
【0018】
本開示およびその様々な実施形態は、請求項で定義される実施形態の図示される例として提示される好ましい実施形態の以下の詳細な説明を参照することによって、よりよく理解することができる。請求項によって定義される実施形態は、以下に記載される図示される実施形態よりも広い可能性があることが明確に理解される。
【発明を実施するための形態】
【0019】
動物実験:
腰椎穿刺を介して脳を冷却する先行する試みが効果的でなかったため、脳底部に位置する大槽が冷却デバイスの入り口として選択された。脊柱管を通って入ると、脊柱管内の循環血管の温かさのためにaCSFの温度が上昇した。最大の槽である大槽に入ると、17ゲージの針をくも膜下腔内に配置し、冷却した生理食塩水を額の排出口を通して循環させることができる。この方法論を使用して行われた50頭以上の最近死亡したブタの初期実験は有望な結果をもたらし、インビボでの試験を奨励するものであった。
【0020】
インビボで試験するために、組織の温度をモニタリングするために、したがって、
図24のCTスキャンに示されているような循環冷却aCSFの効果をモニタリングするために脳内の様々な深さ(5mm刻み)に配置されたサーミスタを我々のアプローチと組み合わせた。インビボ実験中に収集された脳温度は、脳に温かい血液が流れ込んでいる状態の全身麻酔下の大型動物モデル内で脳を冷却できることを示した。さらに、15:35においてeuthasolで試料を停止させた後、血流がない状態で脳の温度がモニタリングされた。
図25のグラフは、心臓からの温かい血液の流入が停止すると脳がさらに冷却されることを示す。これらの結果は、冷却されたaCSFで脳を冷却しようとする場合、流入する血液の温かい勾配を考慮することが不可欠であるという仮説と一致している。
図25は、全身麻酔下で、かつ我々が提案する低体温を引き起こす方法論の下でブタモデルの脳温をモニタリングする4つの埋め込みサーミスタから収集されたデータのグラフである。各サーミスタは、5mm刻みで表面から脳の4つの異なる深さで皮質内に配置されている。横棒はポンプ速度をmL/分で示す。最初の10分以内で温度は15℃に下がる。15:35において試料を停止させた後、実験が終了するまで温度は低下し続けた。
【0021】
反対に、この革命的なシステムは、極端な緊急の場合のために、具体的にはショックを経験している、または脳への血流がほとんどもしくは全くない患者を対象として設計されている。循環血液からの熱が最小限に抑えられることで脳の冷却がさらに容易になり、インターベンションの時間が最大化されるため、これらの場合はより有利になる。
【0022】
我々のインビボ研究の結果は、CSFを直接冷却し、ニューロンが位置する皮質に隣接するくも膜下腔内の冷却効果を対流冷却で高めることを可能にすることによって脳を冷却するという我々のアプローチを支持する。さらに、大槽からのCSFの流れは脳底部から始まるため、記憶回路の冷却は早期に冷却される。椎骨脳底動脈循環は大槽に隣接しているため、血管にカニューレを挿入せずに循環血液が冷却され、深部構造がさらに冷却される。
【0023】
図1に示すように、生きている動物の実験で冷却システムの有効性が実証された。最も重要な注意点は、針を挿入した後、大槽1の外側に超音波針3の位置変更を防ぐために、すぐに固定する必要があるということである。aCSFは冷却器7内で1~10℃の範囲内の温度に冷蔵され、ポンプ8によってフィルタ9を通って大槽1内の針3に運ばれる。くも膜下腔2全体にわたる冷却されたaCSFの流れはいくつかのレベルで脳を冷却するのに非常に有効であり、特に、灰白質のより脆弱なニューロンが存在する皮質表面で有効である。高齢の成人患者では、年齢とともに脳が自然に収縮するため、くも膜下腔2の容量がより大きくなる。その結果、循環中のaCSFの量が多くなり、脳が冷却効果により迅速にさらされる。大槽1内の冷却されたaCSFは、脳底動脈、および大脳動脈輪の循環に近い。これは、中央構造、特に記憶に役立つ脳の領域に追加の冷却効果をもたらす。なお、冷却システムは、最初は、緊急事態ではより単純で効果的な方法である化学冷却であり得ることに留意されたい。また、治療が必ずしも脳を冷却することではなく、温度をより温かい状態に変えることである場合、洗浄液を適切な温度にするために冷却器および/または加熱器が同様のシステムで利用されてもよい。サーミスタは、くも膜下腔2内の温度を、トレフィン4を通って前頭蓋骨内のaCSF 5の出口において、および大槽1の入口においてモニタリングするために提供されている。頭蓋内圧圧力計は頭蓋内圧をモニタリングする。
【0024】
開示される装置および方法は、超低体温を使用することによって脳を迅速に冷却して脳死を防ぐのに効果的で安全な方法を提供する。針3を大槽1内に安全に、迅速に、そして正確に配置して、冷たい人工脳脊髄液(または他の等張液)を頭蓋内およびくも膜下腔2内に循環させる。人工脳脊髄液(aCSF)の温度を下げ、くも膜下槽の血管の周りで循環させることにより、脳の循環が冷却される。コンピュータ制御の蠕動ポンプによって冷却されたaCSFがくも膜下腔2に、特に脳の後ろに到達すると、より温かい流体を排出するために前頭骨から出るため、対流冷却が始まる。その後、
図1に示すように、出てきたaCSFが無菌的に収集される。
【0025】
あるいは、
図2に示すように、体外で冷却およびろ過され、大槽1内に固定して配置されている、挿入された針3に戻るように再循環される。
図2では、頭蓋骨の出口ポートからポンプへのaCSF 10の再生利用には、大槽1に再び入る前に、aCSFから感染性病原体およびデブリスを除去するためのろ過システム9が必要である。無菌環境でaCSF 10を再生利用することには、無菌環境の維持がより容易である、冷却がより効果的である、緊急時に運ぶのに必要なaCSFが少ない、スペースおよび供給量の効率性が生じ得るといった多くの利点がある。挿入された針3は、大槽1内での針先の動きを防ぐために、頭頸部の
図12および
図13に記載されているように安定した構造に固定される。
【0026】
図12は、大槽1に入った後、針先を固定する方法の1つの構成を示しており、超音波針の大槽への1の適切な挿入に固定、安定性、および精度を与えるために、後頭頚部にわたって配置された外骨格24の使用を含む。乳様突起骨および/または外耳道が後固定点になり、前頭骨内のトレフィンネジが前固定点になる。「スカルキャップ」が外骨格24のようにフィットし、超音波針に固定および安定性を与える。
【0027】
図13は、大槽1に入った後に針を固定するための第2の実施形態を表す。第2の実施形態は、前頭骨25にしっかりとねじ込まれたトレフィンが位置する額の周りに配置され、耳に圧迫損傷を引き起こすことなく上部頸椎を一周するしっかりとしたバンドの使用を含む。外耳道は、バンドを適切な平面に配置するための基準点として機能する。これは、針が大槽1に入るときに針を安定して固定する。さらに、サーボモータシステムを使用して針を大槽1内に半自律的にまたはロボットで誘導および移動する場合、
図12に表されているような「スカルキャップ」外骨格24などの針の誘導の元となる安定した固定ベースが必要になる。
【0028】
くも膜下腔内の冷却されたaCSFのこの循環は、脳の底部における構造および脳の外表面の灰白質を含む脳全体を迅速に冷却する。
【0029】
図3では、くも膜下腔2から循環aCSFを排出するために頭蓋骨に単一の開口部が計画されており、患者が仰向けになっている場合は、
図8に示されるような対流冷却を利用するためにその開口部を前頭葉に向けて配置するのが最適である。中空ネジを備えた半自律的またはロボット式のトレフィン4は、
図18の流体を排出する役割を果たす。同じ開口部を通して、温度センサ11は、冷却の深さ、冷却の有効性、および冷却速度についてのフィードバックを与える。aCSFの投与中に高すぎる圧力による脳の損傷を防ぐために、圧力センサ(図示せず)も必要になる。大槽1に流入し、出口4から流出する流体の温度と流量を知ることで、冷却速度と冷却の有効性が得られる。
図8は、大槽1に入り、仰向けになっている患者の頭の後頭領域に落ち着いた後のaCSFのポンプ作用に対する対流冷却13の相加効果を説明している。冷たいCSFが下方の後頭領域にあり、相対的に温かいCSFが上方の前頭葉側にあることで対流冷却が起こり、より温かい流体がドレナージに排出される。
【0030】
したがって、開示される装置および方法は、脳の超低体温を安全かつ迅速に生成することに成功する。さらに、この方法は、
図6に示すように脊髄を迅速かつ安全に冷却して、外傷後の脊髄の腫脹を防止したり、脊髄を虚血性損傷から保護したりするのにも効果的である。冷却されたaCSFの流れを、大槽1から腰椎穿刺針14を介して腰部に誘導することにより、脊髄が冷却される。
【0031】
心停止、脳卒中、および出血は、脳を迅速に仮死状態にできない限り、5分で脳死を引き起こす可能性がある。脳を迅速に仮死状態にすることは、患者の命を救うために最大1時間以上治療を行う医師に与え、本開示の装置および方法はこれを提供する。
【0032】
開示される装置は、侵入する針の前方の三次元超音波画像を与えるように構成された複数の要素を備える、
図9および
図10に記載されるような超音波ガイド針3を含む。画像および超音波フィードバックは携帯電話と同様なサイズのビデオモニタに表示されるため、パラメディックは脳の大槽1に迅速かつ安全に入ることができる。さらに、形状を変化させ、脳組織の切断を防ぐために、および針3を通るaCSFの穏やかな流れを容易化するために、針3の先端には
図11に示すように感温合金が含まれている。同様に設計された針3は、緊急時に迅速かつ安全な侵入が必要な場合に、動脈、および大腿動脈などの体内の他の血管への半自律的な侵入を容易にする。
【0033】
超低体温を使用して脳を迅速に冷却することで脳死を防ぐには、冷却された人工脳脊髄液または他の等張液を頭蓋内およびくも膜下腔2内に循環させるために、針3を大槽1内に安全に、迅速に、かつ正確に配置されるように設計することが重要である。
【0034】
図5は、乳様突起骨12の直下の頸部の側面からの新しい経路を示す。Gong et al.(J Neurosurg 129:146-152,2018)は、1,008回の穿刺のうち98.3%が成功した側方環椎後頭腔穿刺(Lateral Atlanto-occipital Space Puncture)について説明している。これには、迅速な挿入、固定のための乳様突起骨への近接、および挿入の高い成功率という利点を有する。現在、この処置は、神経外科医および神経放射線科医が、現場、緊急治療室、または手術室で常に利用できるとは限らないX線透視を使用することによって実行されている。さらに、緊急事態のストレス下でミスが生じる可能性があり、鋭い針先は、大槽に長期間いる間に脳に危険をもたらす。したがって、大槽1に入るための新しい技術が明らかに必要である。これは本開示において扱われる。
【0035】
乳様突起骨の下にある側頸部は、パラメディックまたは看護師にとってより見つけてアクセスしやすい可能性がある。
図5に示すように、耳の後ろの骨ばっている隆起として簡単に特定でき、通常は毛を剃る必要はなく、固定の静止点であり、針3の固定をすばやく簡単に行うことができる。超音波ガイド針3を挿入すると、携帯電話のようなハンドヘルドユニットに方向的画像が表示され、
図9に示すように視覚情報および音響情報がリアルタイムで表示される。半自律的なまたはロボットによる挿入についても説明する。超音波針3の先端から得られたデータは、ユニットの先端をその軌道に向ける。
【0036】
脊椎冷却
図6は、脊髄への循環を危険にさらす可能性のある直接的な外傷、鈍傷、震盪性損傷、虚血性損傷、爆発曝露、および外科的インターベンションを受けた場合の脊髄の治療および/または保護への新しいアプローチを示す。冷却されたaCSFを大槽1に送り、脊柱管を下るようにaCSFの流れ15を向けると、腰椎穿刺針14を介して排出される。脳を冷却するのと同様に、脊髄の冷却は、aCSFを大槽1にポンプで送り込み、ドレナージボトルに排出することによって実行されてもよい。ポンプ、フィルタ、および冷却器を直列に使用して、aCSFを再生利用して腰椎穿刺針14から大槽1に戻すことは、脳の冷却技術を模倣する。流体力学および冷却する必要のある脊髄上の位置に応じて、冷却は腰椎穿刺針14を介して開始し、大槽1を介して上方に排出してもよい。
【0037】
図7は、脳および脊髄の両方を同時に冷却する必要がある状況に関する。このような場合には、広範囲の大動脈瘤解離、爆発および震盪性外傷、ならびに放射線被曝などの外傷への他の曝露が含まれ得る。大槽1から冷却することにより、頭の排出口および腰椎穿刺部位の排出口から冷却されたaCSFを排出することによって脳および脊髄の両方を同時に冷却することができる。
【0038】
針の鋭い先端が脳を切ることの防止
針3の鋭い先端が大槽1または脳幹、脊髄、および脳内の他の神経組織に穴を開けたり、切り裂いたりするのを防ぐために、針3の先端は形状記憶合金でできており、
図11に示すように、温度が所定の範囲に変化するとその形状を変化させる。針の先端の鋭さを取り除くことに加えて、隣接する神経組織を傷つける可能性のある流れのパターンを改善しつつ、冷却されたaCSFの流出量を最大化するように出口の形状が変えられてもよい。ニチノールは、米海軍によって開発されたニッケルチタン合金の略称で、熱記憶を備えた形状変化合金の1つである。
【0039】
図11は、針の切断先端にニチノールなどの感温合金を使用することの概念を示す。先が鋭い針21を大槽1に突き刺した後、針のシャフトをその決定された位置にしっかりと固定しなければならない。カニューレが取り外され、冷却されたaCSFが針のシャフトを介して投与されると、切断先端が鋭い刃のない鈍い先端22に形状変化する。ポンプが急速に与えられたより高いボリュームに上昇される場合、大槽1に入る際にaCSFが穏やかに分散するように、針のシャフトの端に新しい形状を設計することが重要である。それには、フレア状の先端23またはコンピュータシミュレーションおよびモデリングによって決定された他の形状が必要とされる可能性がある。
【0040】
大腿動脈などの大きな血管に迅速に入るために同様に設計された針3を使用する場合、パラメディックが
図9に示されるようなハンドヘルド映像および音響ユニットを使用して先端および針3を血管内に迅速にガイドしている間、針3の先端内のフェーズドアレイカニューレ19は、針3が動脈に入るまで様々な組織を描写する。
図15は、大腿動脈28の標的部位、および挿入時に混乱を引き起こす可能性のある様々な組織および血管を示す。半自律的ユニット26は、大腿動脈28への針の挿入のための安定性および固定を与える解剖学的構造に固定されている。動脈と静脈の区別に関して混乱がある場合は、ドップラー信号がその違いを示す。針先3が動脈に入ると、長時間そこに位置する必要がある場合、
図11に示唆されているように、感温合金先端3は動脈血のより高い温度で形状を変化させ、鋭い表面を鈍らせ、動脈への損傷を防ぐ。フェーズドアレイカニューレ16は、
図16に示されるように、周囲の腹部組織の循環、血管から腎臓、脾臓、膵臓、肝臓、心臓、および他の器官などの構造への循環を特定するために大動脈をのぼって延びる。フェーズドアレイ素子は、
図10に示すように、30度の視野を持ち、最大2.5cm前方への貫入が可能であり、リアルタイムの3Dイメージングを備える。
図16は、フェーズドアレイ超音波カニューレが大腿動脈28から大動脈に入るときの軌跡を示す。カニューレは、大動脈からの血管枝の三次元リアルタイム画像を与える30度の視野、および最大2.5cmの貫入を備えている。生命を脅かす出血がある場合、大動脈のバルーンタンポナーデ29はより正確かつより迅速に実行される。
【0041】
図10は、フェーズドアレイイメージングを行うように構成された内径2mmのカニューレ内の64個以上の素子の前方の有効三次元空間を示す。超音波データは30度の視野および最大2.5cm 20の貫入深度をカバーできる。複数の超音波素子を使用するフェーズドアレイの使用は医療業界全体で利用されている。カテーテル超音波システムを備えたVolcano Corporation Systems画像は、管腔の寸法と狭窄をリアルタイムで自動的に計算するAngio+(商標)定量的冠動脈分析を有する。Interson Corporationは、心臓病に適用するために独自の内蔵電子機器を使用する、市販のハードウェアを備えた小型トランスデューサシステムを商業的に製造している。
【0042】
針の電動挿入
半自律的またはロボット式技術は数十年にわたって一般的に実践されており、自動運転車のナビゲーションなどに使用されている。レーダー、カメラデータ、およびGPS情報に基づいて、「自動運転」車は、人工知能を使用して家から職場に安全に操縦するように車をプログラムする。同様に、我々は針の先端からの三次元超音波情報を利用し、人工知能を使用してサーボモータをプログラムし、針が大槽に辿り着くまでに皮膚、脂肪、筋肉、腱、および血管を安全に通過するように導く。大槽に入ると、神経組織への損傷を防ぐために針は自動的に所定の位置に固定される。これには、その全てが他の業界で行われている専門的なソフトウェア開発が必要である。本発明の新規性は、自動運転車よりも数桁高い精度で、すなわち、標的部位内の数分の1mmのオーダーで針を半自律的にまたはロボットで挿入できるよう、カスタム開発されたソフトウェアを適用することである。
【0043】
Mathiassen et.al.“Visual Servoing of a Medical Ultrasound Probe for Needle Insertion,”2016 IEEE International Conference on Robotics and Automation(2016年5月16~21日)に開示されているように、超音波画像によってガイドされる経皮針挿入は病院で日常的に行われている。これらの処置を自動化すると、配置の精度が向上し、医療従事者がこれらの処置を実行するための時間使用が削減される。自動化の重要なステップは、超音波画像内の針の向きおよび位置の推定である。針の向きおよび位置を推定するための1つのアプローチは、針を超音波プローブの画像平面に揃えることである。針およびプローブの両方の正確な測定および較正を行っても、針を平面に揃えるのは困難である。プローブの像面を針と揃えるために、ロボットを使用して超音波プローブを動かすビジュアルサーボが実行され、これにより、針を揃える問題が解決する。この方法では針がセグメント化され、針のモデルに基づいて視覚的特徴のセットが更新される。揃えるプロセスを追跡するために状態マシンが使用され、様々な視覚的特徴を使用して様々な状態でプローブが制御される。
【0044】
当該分野には、カメラから収集された画像を使用して車両のステアリング、ブレーキ、および加速をガイドする方法、アルゴリズム、および装置が存在する。例えば、ともに参照により本明細書に組み込まれる米国特許出願第15/413568号“Autonomous Driving Control Device”および米国特許第9566983号“Control Arrangement Arranged To Control An Autonomous Vehicle,Autonomous Drive Arrangement,Vehicle And Method”を参照されたい。我々の技術では、カメラからの画像を使用する代わりに、我々の超音波プローブからの画像を使用する。車の動きを制御する代わりにプローブの動きを制御する。全体として、概念およびアプローチは似ている。アルゴリズムは、異なる種類の画像の使用、および異なる種類の作動メカニズムの制御に対応するために異なる。これらの調整を行うための手段は、当該技術分野における通常の技術の範囲内である。医療機器を制御するためのフィードバックとして超音波画像を使用することに関して発行された多数の特許が存在する。特に、参照により本明細書に組み込まれる米国特許第8343050号“Feedback in Medical Ultrasound Imaging for High Intensity Focused Ultrasound”は、腫瘍組織に高強度集束超音波(HIFU)を照射した結果としての組織の小さな変化を検出およびモニタリングするための超音波イメージングの使用について記載している。画像は、HIFUの焦点、強度、および持続時間を制御するためのフィードバックとして使用される。我々の場合、プローブの動きを制御するためのフィードバックとして同じ超音波画像技術を使用している。アルゴリズムは、HIFUの代わりにサーボモータを制御するように適合される。基本的な原則およびアプローチは同じである。
【0045】
大槽1に入るための針3の電動インサータは、サーボモータ39を制御するための人工知能を備えたマイクロコントローラ38を必要とする。サーボモータ39は、角度または線形位置、速度、および加速度を正確に制御できる回転アクチュエータまたは線形アクチュエータである。これは、
図14に示すように、位置フィードバック用のセンサに結合された適切なモータで構成される。
図14は、マイクロコントローラ38およびマイクロコントローラによって指示されるサーボモータ39への超音波データフィードバックユニット37を有するフェーズドアレイ超音波カニューレを備えた針3を半自律的にまたはロボットで挿入するシステム26を示す。医療専門家が、標的である大槽1に向かう針3の軌道を設定すると、超音波データフィードバックユニット37がサーボモータ39にリアルタイムで針3を挿入するように指示する。針3は、
図12および
図13に示されるような外骨格24の形をした「スカルキャップ」などの部位上の固定デバイス、または同様のデバイスにしっかりと取り付けられ、
図9および
図10に示されるようなフェーズドアレイ超音波システム16から得られる超音波データフィードバックユニット37からの情報に依存する。サーボモータインサータ26によって、緊急時に大槽1に針3を迅速、正確、かつ安全に挿入することが容易になる。
図9は、針の先端に独自の適合を施した既知の技術を使用して皮膚から大槽1に針を導くために使用されるデバイスを示す。切断針(17ゲージ針)16内の直径2mmのカニューレを使用することにより、
図10に示される64個以上の超音波素子19を使用して、フェーズドアレイ超音波イメージングフィールド20が作成される。ラスターグラフィックスを使用することにより、ハンドヘルドポータブルモニタ18上に三次元画像がリアルタイムで提示される。インターフェースユニット17は、超音波データを表示されるイメージング情報に変換する。モニタ18によって提供される視覚的および聴覚的フィードバックの両方が大槽1への針の挿入を補助する。さらに、挿入の容易さおよび精度を高めるために大槽1の形状が描写されてもよい。
図12および
図13に関して以下でより詳細に説明するように、針3が静止部位に固定されると、カニューレ16が大槽1から取り外されて、冷却されたaCSFの投与が可能になる。フェーズドアレイ針を大腿動脈に挿入する状況では、大動脈内の多くの血管枝を可視化するために、カニューレ16が大動脈内に導かれてもよい。
【0046】
図22は、外骨格36を使用して、乳房などの体の他の場所の固形腫瘍を治療する方法を示す。レーザースキャンデータまたはMRIもしくはCTスキャンなどの他の画像データから、最小限の動きで入口または手術部位にしっかりと正確にフィットするように、硬い外骨格の三次元プリントが迅速に作成できる。これにより、トレフィンユニット33および/または超音波針3を固定するための強固な構造が得られ、高精度で、そして腫瘍および周囲の正常組織に対する効果を正確にモニタリングしつつ、超音波エネルギーで診断および治療を行うために、ならびに腫瘍34に治療薬を投与するために、正確に体内に入り、腫瘍34の1mm以内で腫瘍34を標的設定できる。
【0047】
図23は、安定性および精度を与えるために乳房にしっかりと固定された
図22の外骨格36の使用を示す。その後、周囲の正常組織に損傷を与えることなく組織を診断するために、および腫瘍34を正確に治療するために、超音波針3は1mm以内で腫瘍34に正確に導かれる。
【0048】
針3を大腿動脈に挿入する場合、フェーズドアレイ超音波システムは、大腿静脈と区別して大腿動脈の識別を容易にするための解剖学的情報を提供する。また、大腿動脈の脈拍を感じ取ることができない場合、超音波システムからの解剖学的情報により、大腿動脈の位置がより正確に特定される。大腿動脈に挿入される半自律的超音波針ユニット14はまた、
図15に示されるようにユニットの固定を必要とし、この場合では、外骨格の構成における鼠径靭帯および/または骨ばった隆起への固定を必要とする。
【0049】
頭蓋骨を介してトレフィンを安全かつ迅速に挿入するための方法およびデバイス:
脳を冷却するためのaCSFの洗浄中に冷却液がくも膜下腔2を出るための出口点を額に作成するには、一人の医療従事者が頭蓋骨の骨の穿頭を安全に、迅速に、無血で、そして高精度で行う必要がある。ユニットは、前頭骨の領域に取り付けられる「ボックス」内の、「針の挿入方法」26で説明されるようなトランスデューサおよび半自律的またはロボット式の電動挿入デバイスを含む自己完結型でなければならない。「ネジ」30は、頭蓋骨に注意深くねじ込まれるトロッカー31を備えた内径3~4mmのネジ内の中空シャフトを含む。デバイス26内のトランスデューサから受信される情報は、半自律的またはロボットによるネジ30の骨を通した安全なくも膜下腔2への挿入を制御する。
図17は、中央トロッカー31を備えた中空トレフィンネジ30を示す。中央トロッカー31を取り外すと、くも膜下腔2への安全、正確で、かつ良好に固定された厳密な配置のための円錐形のトンネル32が残る。所定位置に配置されると、このトレフィンネジ30はくも膜下腔から脳脊髄液を取り除くことを可能にする。
【0050】
半自律的トレフィンユニットの挿入方法は、通常は生え際付近の額上部である入口点を選択した後、自然な皮膚のひだにおける皺線に沿って、メスで、皮膚から下に前頭骨を覆う皮下組織まで切開される。無菌性が維持され、血管収縮剤を含む麻酔が皮膚内に注入され、切開の長さは1.0~1.5mmである。安定性および止血のために自己保持型開創器の挿入が創傷内に配置される。ボックスユニット26およびネジ30はこの開口部に挿入され、開創器に固定される。半自律的またはロボットによる挿入が作動され、骨を通ってくも膜下腔2に注意深く導かれる。超音波データは、頭皮に取り付けられたトレフィン「ボックス」内の4つ以上のトランスデューサ40から取得される。人工知能を備えたマイクロコントローラ38はサーボモータ39を指示し、サーボモータ39はトレフィンを頭蓋骨にねじ込む。最終的な構成は非常に安定しており、
図18に示すように、前頭骨内のネジによって可動にされる。
【0051】
前頭骨内のネジ30はしっかりと取り付けられており、非常に安定しており、良く固定されている。
図13に示すように、これは、ヘッドバンドが取り付けられる1つの点として機能し、ヘッドバンドは後頭部に運ばれて後方の2つまたは3つの点に取り付けられ、超音波針を大槽に挿入する際の安定性を高める。
【0052】
処置の終わりに、局所麻酔、必要であれば、上記3~4mmの小さな開口部に配置されたボーンワックス、および皮膚にかけて配置された単一の縫合糸を用いて、ネジ30の取り外しが行われ得る。切開は皺線で行われるため、傷跡は最小限に抑えられ、切開部は自然な皮膚のひだ内に位置する。
【0053】
さらに、出口ポートを作成することによって脳を冷却する上での中心的な役割のため、開示される方法およびデバイスは、硬膜外血腫の手術、硬膜下血腫の手術、および定位頭蓋内手術を含む他の脳手術で使用することができる。
【0054】
したがって、頭蓋内脳腫瘍、特に膠芽腫の治療に対する、超音波針3とトレフィン33を組み合わせたアプローチがここに提示される。
図18は、4つ以上のトランスデューサを収容するトレフィンデバイスユニット33を示す。これらのトランスデューサは、頭蓋骨を通るようネジを導いて骨にしっかりと固定し、くも膜下腔2に入ったらネジを停止させるために、半自律的またはロボット式制御のサーボモータに超音波情報を提供する。
【0055】
膠芽腫の診断、位置特定、および管理への新しいアプローチ:
最も一般的な内在性脳腫瘍である膠芽腫は早期診断および治療に抗する。従来のイメージングおよび脳生検による診断から、4~16か月以内の患者の不可避の死まで、これらの患者は頻繁に、治癒の見込みがあまりない脳神経外科手術、放射線治療、および化学療法を受ける。我々は、場合によっては、超音波検査を使用してデータからの組織特性を分析することによって組織の正式な生検を行わずに、疾患のキャラクタリゼーションおよび診断を達成するための技術および専門知識を有する。開示されるアプローチは、頭蓋骨およびくも膜下腔に超音波針を低侵襲挿入して、30度の視野および最大2.5cmの深さで脳をスキャンすることである。針の先端からの超音波データは腫瘍を三次元でイメージングし、針の先端を半自律的にまたはロボットにより標的組織から1mm以内に挿入するために使用される。これには、頭蓋骨を穿頭33し、超音波針3を標的組織にガイドするためのサーボ制御デバイスの精度および開発が必要である。
【0056】
脳の超音波イメージングの現在の最先端技術は、頭皮にトランスデューサを使用し、骨の頭蓋骨を介してエネルギーを伝達することである。低周波トランスデューサは、頭皮および骨の組織を介して伝わるという利点を有するが、解像度は低い。細胞および/または組織レベルで高解像度のイメージングを行うには、超音波トランスデューサが物体に近いこと、および高周波イメージングを有することが必要である。これはジレンマを引き起こす。したがって、理想的な超音波設計は、高周波トランスデューサを使用して疾患部位に貫入する非侵襲的デバイスを有することであろう。これは、骨の頭蓋骨を通るトレフィン33の開口部を、低侵襲性となるために十分に小さくするとともに、針3の輪郭内に配置されるように設計された超音波ユニットを使用することによって達成できる。さらに、超音波針3は、半自律的またはロボット式の電動システムを使用して体の軟組織に正確に挿入される。Sheehanらによる最近の基礎的な実験研究は、培養されている膠芽腫細胞の死に対する薬物の効果を増強するための超音波放射の使用の正の効果を報告している(Kimball Sheehan et al.Investigation of tumoricidal effects of sonodynamic therapy in malignant glioblastoma brain tumors.J.Neuro-Oncology.148,9-16,2020)。
【0057】
上記は、脳死の場合に脳を冷却するという当初の目的を超えて使用される超音波針26および半自律的またはロボット式のトレフィン33の使用を開示している。このアプローチの基本は、イメージングに使用される針3の先端内の素子を利用するため、同じ針3の先端内の同じトランスデューサからエネルギーを生成するように音がプログラムされることである。脳の膠芽腫を治療するためのこの方法は、独特で正確かつ安定したプラットフォームを形成するように合体する半自律的またはロボット式超音波針26と半自律的またはロボット式トレフィン33との密接な関係に依存する。超音波針26およびトレフィン33の設計および特性は上記の通りである。この技術の応用は、脳の膠芽腫の診断、位置特定、および管理への新しいアプローチを生み出す。
【0058】
さらに、超音波針は、0.1mm未満の精細度、30度の視野、および最大2.5cmの深さを有する、針の先端内の直径2mmのカニューレ内に少なくとも64個の素子を含む。超音波針は、超音波が腫瘍の近くまたは内部、および正常組織中を通されるとき、腫瘍の形状およびサイズをイメージングするだけでなく、特定の組織特性をレンダリングすることもできる。したがって、超音波のみで組織診断を行うことができる。中空ネジ30の半自律的またはロボットによる挿入がくも膜下腔2のレベルの低さまで行われた後、ネジ30のトロッカー31が取り外され、それ自身の半自律的またはロボット式ユニット26に囲まれた超音波針3と置き換えられる。これらの2つのユニットは一体的に機能し、しっかりと取り付けられており、針26が頭蓋腔内により深く送られている間、非常に優れた精度および固定を提供する。
図19は、
図10のデバイス、すなわち、周囲の正常組織に対して腫瘍の組織のキャラクタリゼーションを行う64個以上の超音波素子を備えた内径2mmの針3を含む超音波針3の使用を示す。超音波素子は、イメージングのための、針3の半自律的またはロボット式挿入デバイス26を半自律的またはロボット式トレフィン33の中で導くための、および膠芽腫腫瘍34を治療するための情報を与える。超音波トランスデューサは、腫瘍34の近くの針3の先端においてエネルギーを生成する。腫瘍34の前治療後、同じ針3が、マイクロリットル単位の様々な治療法の投与を可能にする。薬剤の投与に続いて、超音波針3は次に、組織をイメージングして、治療効果の位置を決定することができる。
【0059】
超音波(US)ガイド下生検は、臨床診療で日常的に行われる医療処置である。このタスクは、実行の精度を向上させるために、そして患者の安全性を向上させるためにロボット式システムによって行われ得る。ロボット式の処置および人間による処置の両方が、US画像内での針のリアルタイム位置特定から大きな利益を受ける。この情報は、重要な構造を避けて、ロボットまたは専門家を正しい標的点に導く。Mathiassen et.al.“Real Time Biopsy Needle Tip Estimation in 2D Ultrasound Images,”2013 IEEE International Conference on Robotics and Automation(2013年5月6~10日)には、BモードUS画像からリアルタイムで針の向きと先端の位置を抽出可能な針の位置の特定方法が開示されている。結果は、文献内の過去の研究と比較して、位置特定精度の点で改善を示している。
【0060】
Mathiassen,“Robust Real-Time Needle Tracking in 2-D Ultrasound Images Using Statistical Filtering”,IEEE Transactions on Control Systems Technology,2017,25(3)966-978に開示されているように、経皮的画像ガイド下腫瘍切除は、針状のアブレーションプローブを使用する悪性腫瘍の治療のための低侵襲外科処置である。ロボットを使用して針の挿入を自動化することによって精度が向上し、処置の実行時間が短縮される。超音波(US)画像から針の先端の位置を抽出することで、針が禁止領域(例えば、主要な血管および肋骨)に近づいていないことが確認され、また、針を挿入するロボットへの直接フィードバック信号としても使用される。変形されたハフ変換、画像フィルタ、および機械学習を組み合わせる、針の先端を推定するための方法が過去に開発されている。また、US画像内の関心領域の動的選択を導入し、カルマンフィルタまたは粒子フィルタのいずれかを使用して追跡結果をフィルタリング処理する方法も知られている。結果は、過去の自動的なアプローチと比較して精度が大幅に向上し、エラーの95パーセンタイルが85%を上回る減少を示している。この方法は35.4フレーム/秒のフレームレートでリアルタイムに実行される。堅牢性および精度の向上のため、開示されるアルゴリズムは、針挿入のための自律的またはロボット式手術システムで使用可能である。
【0061】
図20は、挿入部位を示す
図19の一部の拡大図であり、トレフィンユニット33および超音波針ユニット26を含む
図17および
図19のデバイスの組み合わせを示す。超音波針3はくも膜下腔2内に注意深く導かれ、組織診断のための、脳組織のマッピングのための、および超音波針3の脳内への軌道を作り出すための所定の位置に固定される。
【0062】
図21は、この設計が、膠芽腫腫瘍34における標的への超音波針3の正確な方向的誘導をどのようにして可能にするかを示す。超音波針3は直径2mmであり、それを取り囲む安定化ネジ30内の3~4mmの中空円錐空間内にフィットするので、半自律的またはロボット式システム26を使用する超音波針3の配置は高い精度で行われる。
【0063】
ネジ30内の中空コアは円錐形であるため、3~4mmの中空ネジトレフィン内で、直径が2mmである針の遊びがある。したがって、半自律的またはロボット式モータによる制御により、針3はその範囲を拡張して、30°よりも広い領域をカバーすることができる。超音波針のすぐ前にある組織を最大2.5cmの深さまでイメージングすることで、腫瘍の形状およびサイズが描写される。さらに、超音波で組織密度を測定することができるため、正常組織から膠芽腫細胞を診断することができる。超音波診断を裏付けるために、確認のために針3を介して針生検が行われてもよい。
【0064】
半自律的またはロボットによる制御および超音波情報を用いて針3を脳組織のより深いところに導くことが決定された場合、針3は腫瘍34の境界まで、または場合によっては腫瘍34内にゆっくりと正確に配置され得る。その後、トランスデューサは、針の先端3の前方、腫瘍34内に超音波エネルギーを生成するようにプログラムされ得る。針の先端3を介して、化学療法剤、免疫療法、または他のモダリティを良好に制御されたマイクロリットル単位の少量で加えることができる。組織への注入の効果は、超音波イメージングを使用して異常な組織反応を探すことによって確認できる。頭蓋内圧計(図示せず)は、頭蓋内圧の上昇を引き起こす組織の腫脹があるか否かを示す。必要に応じて、脳を冷やして腫脹を防ぐために脳の低体温処置が適用されてもよい。
【0065】
超音波針の半自律的またはロボットによる挿入:
大槽への針の半自律的またはロボットによる挿入は、針3の先端内の64個の素子から得られた情報によってガイドされるサーボ制御モータを使用することによって達成される。情報は、
図10に示すように、30度の範囲および最大2.5cmの深さの三次元空間を有する。自己学習アルゴリズムを備えた人工知能が、
図14のデバイス26のマイクロコントローラ38に機械学習を提供する。半自律的またはロボットによる挿入、およびサーボ制御されたモータの実現については「針の電動挿入」で説明している。
【0066】
ネジトレフィンの半自律的またはロボットによる挿入:
くも膜下腔内への頭蓋骨を介したネジトレフィン33の半自律的またはロボットによる挿入は、頭皮上に配置されたユニット26内の4つ以上のトランスデューサから得られた情報によってガイドされるサーボ制御モータ(図示せず)を使用する。
図18において、情報は、骨の厚さ、および硬膜とくも膜と、脳脊髄液を含むくも膜下腔2との境界の超音波データを含む。コントローラが、トロッカー21を有する中空ボアネジ30に関して適切な境界を確認すると、骨内へのネジ30の固定は自動的に完了する。半自律的またはロボットによる挿入、およびサーボ制御されたモータの実現については「針の電動挿入」で説明している。
【0067】
実施形態の趣旨および範囲から逸脱することなく、当業者によって多くの変更および改変がなされ得る。したがって、図示される実施形態は例の目的のためにのみ示され、以下の実施形態およびその様々な実施形態によって定義される実施形態を限定するものとして解釈されるべきではないことを理解されたい。
【0068】
したがって、図示される実施形態は、例の目的のためにのみ示され、以下の特許請求の範囲によって定義される実施形態を限定するものとして解釈されるべきではないことを理解されたい。例えば、ある請求項の要素が特定の組み合わせで以下に記載されていたとしても、実施形態は、そのような組み合わせが当初はクレームされていない場合でも、上記に開示されている、より少ない、より多い、または異なる要素の他の組み合わせを含むことを明確に理解されたい。2つの要素が、クレームされている、ある組み合わせで組み合わされるという教示は、2つの要素が互いに組み合わされておらず、単独で使用されるか、または他の組み合わせで組み合わされ得るクレームされる組み合わせも許容するものとしてさらに理解されたい。実施形態の任意の開示される要素の削除は、実施形態の範囲内として明確に企図される。
【0069】
様々な実施形態を説明するために本明細書で使用されている単語は、それらの一般的に定義される意味の意味で理解されるだけでなく、本明細書内の特別な定義によって、一般的に定義される意味の範囲を超える構造、材料、または作用を含むものと理解されたい。したがって、本明細書の文脈において、ある要素が2つ以上の意味を含むものとして理解できる場合、請求項でのその使用は、明細書および単語自体によって支持されるすべての可能な意味に対して包括的であると理解されたい。
【0070】
したがって、以下の特許請求の範囲の単語または要素の定義は、文字通り記載されている要素の組み合わせだけでなく、実質的に同じ結果を得るために実質的に同じ機能を実質的に同じ方法で実行するためのすべての同等の構造、材料、または作用を含むものとして本明細書で定義される。したがって、この意味で、以下の特許請求の範囲内の要素のうちのいずれか1つが2つ以上の要素によって同等に置き換えられ得り、または単一の要素が請求項内の2つ以上の要素を置き換え得ることが企図される。要素は特定の組み合わせで作用するものとして上述されている可能性があり、そのように当初クレームされている可能性さえあるが、場合によっては、クレームされている組み合わせからの1つ以上の要素が組み合わせから削除されてもよく、クレームされている組み合わせは部分的組み合わせまたは部分的組み合わせの変形例を対象とし得る。
【0071】
当業者の視点から、クレームされている主題に対して実質的でない変更は、現在知られているものか、または後に考案されるものであるかを問わず、同等に特許請求の範囲の範囲に含まれると明確に企図される。したがって、当業者に現在知られているまたは後に知られる明白な置換は、定義された要素の範囲に含まれると定義される。
【0072】
したがって、特許請求の範囲は、上記で具体的に図示および記載されたもの、概念的に同等であるもの、明白に置換できるもの、および実施形態の本質的なアイデアを本質的に組み込んだものを含むと理解されるべきである。
【手続補正書】
【提出日】2022-05-25
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワンマンの現場または病院オペレーションにおいて、底槽およびくも膜下腔を介してアクセス可能である脳を迅速かつ安全に冷却することによって脳死
および虚血性損傷を防ぐ方法であって、
前記ワンマンの現場または病院オペレーションにおいて、超音波制御の下、特別に設計された針/カニューレを前記底槽および前記くも膜下腔に挿入することと、
冷却された人工脳脊髄液(aCSF)を
大槽内に配置された前記針/カニューレにポンプで送り込むコンピュータ制御の電動システム
を提供することと、
くも膜下血管および大脳皮質を冷却するために、前記底槽および前記くも膜下腔の中で冷却されたaCSFを循環させることと、
円蓋部くも膜下腔から灌流液を排出する円蓋部穿頭孔を介して脳実質温度および圧力をモニタリングすることと、
所定の脳実質温度および圧力を維
持することと、を含む、
方法。
【請求項2】
再生利用することなく
、患者の下方の無菌容器内に出て行く前記aCSFを収集することをさらに含む、
請求項1に記載の方法。
【請求項3】
閉じたろ過および冷却システムを介して出て行くaCSFを再生利用すること
をさらに含み、前記aCSFは、前記コンピュータ制御の電動システムによって
前記大槽へと再生利用される、
請求項1に記載の方法。
【請求項4】
患者の脊髄を
、脊髄卒中または解離性大動脈瘤の外科的置換の場合を含む外傷または虚血から保護するように前記脊髄を迅速かつ安全に冷却するための方法であって、
冷却および加圧された人工脳脊髄液(aCSF)の供給源を提供することと、
特別に設計された針/カニューレを使用して
、冷却された前記aCSFを
腰椎嚢または大槽に灌流させることと、
穿頭孔を介して、または前記腰椎嚢を介して前記aCSFを出すことと、を含む、
方法。
【請求項5】
患者の脊髄を外傷または虚血から保護するように前記脊髄を迅速かつ安全に冷却するための方法であって、
冷却および加圧された人工脳脊髄液(aCSF)の供給源を提供することと、
腰椎穿刺針を介して冷却された前記aCSFを挿入することと、
冷却および加圧された前記aCSFを
腰椎嚢に流し込むことと、
特別に設計された針/カニューレを使用して、前記患者の頸部を介する出口を使用して前記患者の脳の底部にある大槽から前記aCSFを出すことと、を含む、
方法。
【請求項6】
神経手術、放射線療法、定位手術、血管手術、超音波インターベンション、高エネルギー陽子線療法、または他の侵襲的もしくは非侵襲的療法における処置を実行することをさらに含む、
請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記脳の前記くも膜下腔にセンサを挿入することと、前記くも膜下腔に挿入された前記センサを使用して前記脳の化学的性質をモニタリングすることをさらに含む、
請求項1に記載の方法。
【請求項8】
aCSFドレイナージ穿頭孔を頭蓋骨の額の側に位置付けて、患者
が上向きに仰向けに
なった状態で、前記大槽により近い後頭領域脳内のより冷たい流体と、前記額に向かって上昇するより温かい流体との間の差異を生じさせ
る対流冷却を確立することによって前記
くも膜下腔の中の前記aCSFの流れを促進することで、前記頭蓋骨からの前記aCSFの流出をより効率的で迅速にするとともに、冷却効果をより迅速にすることをさらに含む、
請求項1に記載の方法。
【請求項9】
患者の皮膚を穿刺するための先端を有する針と、
超音波画像を生成するための超音波素子のフェーズドアレイ
とを備え、
前記フェーズドアレイは、前記針の前記先端に配設されている
か、または前記針の前記先端の外部に配設されており、1つまたは複数の空間視平面を生成する、
装置。
【請求項10】
前記針の前記先端は、前記患者の大槽に入るための鋭い切断形状を有し、前記針の前記先端は、形状変化合金で構成され、冷却されたaCSFが前記針に入る際の温度変化に応答して、前記大槽に近接する脳組織の損傷を回避するために鈍い刃および鈍い前記先端に形状変化する、
前記針の鋭い前記先端の動きによる脳への損傷を防ぐための
請求項9に記載の装置。
【請求項11】
前記針の前記先端は鋭い切断形状を有し、前記針の前記先端は、形状変化合金で構成され、冷却されたaCSFが前記針に入る際の温度変化に応答して、前記大槽および近接する脳組織を傷つける可能性のある力強く方向付けられた流体の流れの代わりに、前記aCSFの穏やかな分散を可能にする形状に形状変化する、
前記aCSFの高い流量による脳損傷を防ぐための
請求項10に記載の装置。
【請求項12】
人工知能を有するマイクロコントローラを有する半自律ユニットと、
前記針の前記先端内の前記フェーズドアレイ
と通信する、音響機能を備えた軽量ハンドヘルドモニタ内の超音波イメージングシステムであって、前記超音波イメージングシステムは、皮膚表面から標的組織までのすべての組織の画像を生成する、超音波イメージングシステムと、
超音波画像データを使用して前記針を大槽にガイドするために前記超音波イメージングシステム
によって制御されるサーボ制御の電動インサータと、をさらに備える、
一人による迅速な挿入を簡略化するための
請求項9に記載の装置。
【請求項13】
前記針の前記先端内に配置されたカニューレ
と、
前記針の前記先端内の前記フェーズドアレイと通信する、音響機能を備えた軽量ハンドヘルドモニタ内の超音波イメージングシステムであって、前記超音波イメージングシステムは、皮膚表面から標的組織までのすべての組織の画像を生成する、超音波イメージングシステムと、をさらに備え、
前記超音波素子の前記フェーズドアレイは前記カニューレ内に配置され、前記装置は、大腿動脈内に迅速かつ正確に配置するために、前記超音波イメージングシステムと通信して、
出血した前記患者の大腿動脈の動脈循環内に前記カニューレを導く半自律的またはロボット式ユニットをさらに備え、
前記大腿動脈において、前記カニューレは、大動脈循環またはその枝の選択的バルーンタンポナーデを支援する
、
請求項9に記載の装置。
【請求項14】
患者の頭の外側から頭蓋骨内のくも膜下腔への導管として機能する中空ネジを備えたトレフィンユニットを備え、前記中空ネジは、取り外したときに円錐形の空間を画定する切断先端を備えた中央トロッカーを含む、
装置。
【請求項15】
前記中空ネジが前記患者の頭に対して静止位置に固定されることによって、前記導管の軸の相対位置が正確かつ安定して固定される、
安定性および固定プラットフォームを与えるための
請求項14に記載の装置。
【請求項16】
前記患者の頭の後ろに
あるバンド
と、複数のネジと、をさらに備え、
前記中空ネジは、前記患者の大槽
内にあるときに
カニューレにさらなる安定性を
提供する前記バンド
の前の固定点である、
複数の固定点および外耳道を提供することによって大槽灌流のために安定性および固定を提供するために使用される
請求項14に記載の装置。
【請求項17】
超音波イメージングシステムと組み合わされた超音波ガイド半自律的またはロボット式トレフィンユニットをさらに備え、前記超音波ガイド半自律的またはロボット式トレフィンユニットは、針が前記頭蓋骨に入り、前記患者の皮膚内の切開部および前記頭蓋骨
を貫通する穿頭孔を介して前記患者のくも膜下腔に安全かつ迅速に入ることを可能にするために使用される、
定位手術の場合に迅速かつ安全な侵入および再侵入を達成するための
請求項14に記載の装置。
【請求項18】
前記超音波素子の前記フェーズドアレイは
前記針の前記先端内にあり、前記超音波素子の前記フェーズドアレイは組織の治療的媒介のためのエネルギーを生成し、超音波イメージングシステムは、
脳内または前記患者の体の他の場所に位置する正常組織に対して、固形腫瘍の特定の組織特性を特定する、
膠芽腫または他の脳全身腫瘍を見つけて、生検し、治療するための
請求項9に記載の装置。
【請求項19】
前記患者の体の手術位置上の使い捨て可能な外骨格
、ならびに超音波ガイド半自律的トレフィン、および/または前記針の侵入をガイドするとき、手術位置において前記外骨格に対して前記針を正確にかつ安定して固定することを可能にするために使用される
ユニットをさらに備える、
請求項9に記載の装置。
【請求項20】
トレフィンユニットおよび/または針ユニットを正確にかつ安定して固定するために、前記外骨格の形状は前記手術位置の三次元表面スキャンを使用して画定され、前記外骨格は、前記手術位置に対して最小限の動きで前記手術位置にしっかりと正確にフィットし、超音波エネルギーで腫瘍を診断および治療するために、前記腫瘍に治療薬を投与するために、ならびに/または前記腫瘍および周囲の正常組織に対する前記治療薬の効果をモニタリングするために、1mm以内の近さへの前記腫瘍の正確な標的設定および侵入を可能にする、
請求項19に記載の装置。
【国際調査報告】